『北朝鮮のミサイル発射が増幅する米韓の不協和音 北の「先手」に操られる文在寅政権』(5/14日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について

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韓国は2月に慰安婦合意見直しを国連条約組織に、黄大統領代行時代に申請したとのことです。北の影響を受けたNGOが裏で蠢いたのでしょうが、韓国政府の知らない所では動けないはずです。合意も守れないで日本を一方的に非難するのは許せません。キチンとその都度反論していかないと。経済的・軍事的にも助けることをしないように、国民がもっと怒りませんと。

http://www.sankei.com/politics/news/170514/plt1705140006-n1.html

http://www.sankei.com/politics/news/170514/plt1705140049-n1.html

国連拷問禁止委員会はスイスのジュネーブにあります。川口マーン惠美氏の『世界一豊かなスイスとそっくりな国ニッポン』によれば、スイスは自国民の人権を弾圧してきた歴史があります。そんな国が日本を批判するのに手を貸すことはできないでしょう。勿論、韓国が裏で金を出していることは間違いないと考えます。

「P.86~91

一九七〇年まで続いた奴隸市場

二〇一六年四月ニ七日、スイスの下院は、かつて国家が強制労働をさせた子供たちに対して補償金を支払うことを決めた。

この強制労働は、戦時下に外国人の子供をこき使ったという話ではない。被害者はれっきとしたスイス国民で、スイスは一八〇〇年から一九七〇年ごろまで、なんと一六〇年以上も貧困家庭や離婚家庭の子供たちを教育という名目で強制的に「保護」し、孤児院に入れたり、「里子」として斡旋したりしていた。

これはもっと侮蔑的な「Verdingkind =子供召し使い(?)」という言葉で呼ばれていたのだが、この差別的雰囲気をうまく日本語に訳せないので、ここでは「里子」としておく。 「里子」の引き取り手は、主に安い労働力を欲していた農家などだったが、ときに炭鉱で働かされたり、薬物実験に回されたりする子供もいたという。

いくつかの州においては、「里子」を取引する市場が定期的に開かれた。そこで子供たちは家畜のように吟味されたというから、まさに奴隷市場だった。

ただし、本当の奴隸市場とは違い、引き取り手はお金を支払うのではなく、「里親」として国から養育費をもらった。競売とはちょうど反対で、養育費を少なく要求した人から順に、子供をもらえたのだという。そして子供の人権は一切剥奪され、実質的には、「里親」 となった人間に生殺与奪の権利が与えられた。

こうなると、子供たちの運命は「里親」によって決まる。多くの子供たちは四、五歳ぐらいから、賃金も小遣いももらえないまま、ただ、働かされた。戦後は、最低限の義務教育は受けさせてもらったが、それより以前は学校などとは縁がなかった。

虐待は日常茶飯事で、さらに運の悪い子供たちは、飢えや寒さや性的虐待にも見舞われた。妊娠すれば堕胎させられ、断種や強制避妊も行われた。しかし、虐待がわかっても、警察や行政はほとんど介入することはなかった。

要するに、子供たちは社会のクズのような扱いを受け、お金がないのでいつまでたっても自立できず、農奴の状態を抜け出せぬまま一生を終えることも稀ではなかった。

一九一〇年には、スイス全土で一四歳未満の子供たちの四%もが、「里子」に出されていた。歴史家マルコ・ロイエンベルガーによれば、児童労働は国家の政策として、組織的に行われていたという。

首都のあるべルン州ではとくに多く、「里子」の割合は子供の約一〇%に上ったそうだ。 一九六〇〜七〇年代には、数万人いたと見られており、もちろんその多くはまだ生きている。

子供の強制収容が中止された年は

驚くべきことに、この「里親」制度が正式に中止されたのは一九八一年である。この年ようやくスイスは、これまで行ってきた子供の強制的な収容や「里親」への引き渡し、 手術や堕胎、強制的な養子縁組などを停止した。

そのあとニ〇〇五年には、法務省の指示で過去の「里親」制度にメスが入れられ、下院が法改正を提案したが、いつの間にかうやむやになり、六年後には立ち消えになってしまった。

それ以後、政府の動きはなかったが、そのうち被害者を支援する市民グループが立ち上り、国民イニシアティブの署名を集め始めた。それを見て、知らぬ存ぜぬでいられないと知った政府はニ〇一三年、法務大臣の名で公式に謝罪。いまではかつての「里子」は被害者という名前に変わっている。

翌二〇一四年には、民間の組織が補償基金を設立し、四〇〇人の被害者に一人約八〇〇〇スイスフランの補償を支払っている。そして同年、十一万の署名を集め終えた前述の市民グループが、被害者のための新たな五億スイスフラン規模の補償基金の設立を国民イニシアテイブとして発議した。

それに対して政府は、この発議が国民投票に持ち込まれるのを防ごうと、慌てて対案を下院に提出した。そして、補償規模が三億スイスフラン程度に切り下げられたこの対案が、この章の冒頭に書いたように二〇一六年四月、下院で可決されたわけである。

これを市民グループ側が了承すれば、国民投票なしで一件落着である。その場合、補償を受ける被害者の数はおよそ六五〇人で、一人当たり二万から二.五万スイスフランの額になるという。

スイスで根絶されるべき人種とは

スイスのやり方は、ロマに対しても徹底的に過酷だった。ロマとはいわゆるジプシー(差別語)で、東欧やパルカン半島に多く住んでいる。それらの国では、ロマはいまでも激しい差別を受けているが、その対応の仕方は、基本的に「無視」である。早い話、ロマはいないものとして社会が構成されている。

社会が受け入れないから、ロマたちはもちろん、ちゃんとした職にも就けない。多くの町のあちこちで物乞いをしたり、ゴミを漁ったりしているが、普通の人の目には、その姿さえ見えないも同然なのだ。

アルバニアでもブルガリアでも、現地ではそれを如実に感じた。「ロマがいるから、ハンドバッグに気をつけて」と注意してくれる人の目には、ロマは煩わしい害虫と変わりがなかった。なるべく遠くの集落に住み、なるべく社会に害を与えずにいてくれればそれでよいのだ。ロマの人権はもとより、状況の改善などを本気で考える人は、政治家にもほとんどいないというのが、私の印象だった。

ところがスイスは違った。ロマは根絶されるべき人種だというのがこの国のエリートの考えであったようだ。それゆえ、無視はせず、赤ん坊が誘拐のように連れ去られ、施設に閉じ込められたり、「里子」に出されて強制労働に従事させられたりした。収容施設では寒くて薄暗い独房に閉じ込められ、親に会わせてもらうことも一切なし・・・そんなロマの子供たちがたくさんいたという。

また子供だけでなく、大人も多くが強制的に施設に収容され、断種が積極的に行われた。スイスのロマは、生まれてから死ぬまで犯罪者のように扱われたのだ。

ロマの子供の「保護」は、一九一二年に設立された「青少年のために」という公共団体の主導のもとに行われ、とくに一九二六年からは浮浪児援助の部局が設けられ、ロマ対策に当たり、スイス政府も一九三〇年ごろから積極的に協力し始めたという。

ここら辺の事情は、福原直樹氏の著書『黒いスイス』に詳しい。同書から少し引用させていただく。

<スイスでは司法当局が詳細な「誘拐計画」を作成し、内務省が団体(筆者註:「青少年のために」)に助成金を出し始めた。同年(筆者註:一九三〇年)の団体への政府助成金は一万五〇〇〇スイスフラン。この政府の助成は一九六七年まで続き、団体の誘拐部局の経費の七〜ニ五%が、政府の助成で賄われていたという。ちなみにこの年に助成金が打ち切られたのは、問題への反省からではなく、当時の財政引締め策の一環だった>

同氏によれば、「青少年のために」は現在も、チューリヒで活動を続けているということだ。

P.146~148

日本の核シエルター普及率の衝撃

スイスではいまも「有事」という言葉が現実味を伴っている。国民は有事には蜂起する覚悟らしい。

彼らの国防意識は、危機感の高さにも表れている。第二次世界大戦ごろから、アルプスの深い山中には岩山をくりぬいて頑丈な要塞:が築かれ、軍事基地が隠されていた。数年前までは機密だった要塞だ。

冷戦後、少しずつ解体されていったが、もちろんすべてを放棄したわけではない。いまなお機密のものもあるだろう。国境を越える橋やトンネルには、有事の際、速やかに国境を封鎖する準備が整っている。

また、つい最近までは、スイスの家は必ず地下に核シェルターを備えなければならないという法律もあった。ドイツではどこの家にも地下室があるので、そのようなものを少し強化した防空壕かと思ったら、そうではなく、本当にコンクリートと金属でできた頑丈な核シエルターが各戸に設置されていた。

しかも、非常食、衛生設備、酸素ボンベなどを完備し、ニ週間は暮らせるものでなくてはならないなどと決められている。自治体の担当の部署から、抜かりはないか見回りに来ることもある、という話だった。

そこまで設置を徹底していた核シエル夕—だったが、ニ〇一二年、ついに法律が改正され、自治体に一五〇〇スイスフランを払って、最寄りの公共シエルターに家族分のスペ―スを確保すれば、自宅には設けなくても済むことになった。一九六〇年より続いてきた国防対策の一つが、ようやく緩和されたのである。

公共シエルターは、全国に五〇〇〇基あまり。病院や学校といった公共の建物の地下にあるシエルタ—と合わせると、その数は三〇万基にも上るという。全人ロの114%の収容が可能だ。

ところで世界での核シェル夕―の普及率は、イスラエルが100%、ノルウェーが98%、アメリカが82%、ロシアが78%、イギリスが67%、シンガボールが54%、そして日本は0.01%だそうだ。

もっとも、広島の原爆投下時の状況について様々な知識のある日本人にしてみれば、核シエルタ—と聞いてもあまりピンと来ない。いつ駆け込むのか、いつ出るのかなど、様々な疑問が湧いてくる。しかし、それはさておくとして、やはりいちばん衝撃的なのは、日本人は危機感が完全に欠落しているという事実に気づかされることではないか。」(以上)

渡邉哲也氏は開城工業区を再開すれば、米国は韓国にも金融制裁する可能性があるとのこと。米国も躊躇することなく、制裁を課し、経済的に韓国を崩壊させればよいでしょう。裏切りを常とする民族ですので。

韓国は北が核を持てば、半島統一後、自前で核を持ち、日本に落とせると考えているようです。日本もそうであれば核を持つべきです。米国かインドから買えば良いでしょう。その後、電磁レールガンやレーザーの研究をするのは勿論、敵基地攻撃できるミサイルを持つようにしませんと。

でも、その前に、北に核とICBMを持たせるわけには行きません。ソウルが火の海になろうと、米軍は北を是非攻撃してほしいです。秋まで待つ必要もないでしょう。ロシアのプーチンも北の核保有に反対とのことですし。

http://melma.com/backnumber_45206_6528935/

http://melma.com/backnumber_45206_6528917/

記事

北朝鮮のミサイルが発足直後の文在寅政権を揺さぶる(写真:AP/アフロ)

前回から読む)

米韓の間で不協和音が生じた。北朝鮮との対話に動く文在寅(ムン・ジェイン)大統領に対し、トランプ(Donald Trump)大統領が「待った」をかけたのだ。状況を見切った北朝鮮は5月14日、弾道ミサイルを発射、韓国を揺さぶり始めた。

「焦るな」とトランプ

鈴置:トランプ大統領は5月12日、米NBCのインタビューに答え「文在寅大統領は(南北)対話に前向きだ。対話には反対しないが、条件が整ってからすべきだ」と語りました。

米議会が設立した自由アジア放送(RFA)の記事「トランプ『南北対話は適切な条件下でのみ可能』」(5月12日、韓国語版、韓国語と英語の音声付き)はトランプ大統領の発言を原語でも報じています。以下です。

  • He’s more open to discussion. I don’t mind discussion. But it’s under certain circumstances.

RFAは「北朝鮮が核・ミサイル開発を放棄する意思を見せる前に南北対話をすべきではない」との米国のメッセージだと解説しています。

要は「北朝鮮との対話を焦るな。焦るといい結果は出ない」と、文在寅大統領を諭したのです。トランプ大統領は「1、2カ月待てばもっといい答が得られる。様子を見よう」とも文在寅大統領に呼び掛けました。

  • I could probably give you a much better answer to that in a month or two months. We’re going to see what happens.

米国が軍事的な圧力を、中国が経済的圧力をかけているのでいずれ北朝鮮は譲歩するだろう、と見通したのです。

カネを北に送りかねない韓国

—わざわざ文在寅大統領にクギを刺したのは?

鈴置:韓国の新政権は米国でも「反米親北」と見なされています。放っておくと「南北対話」と称して北朝鮮にカネを送りかねない。せっかく世界に呼び掛け、実行している圧力が無になると懸念したのです。

文在寅大統領は「当選したら米国よりも先に北朝鮮に行く」と宣言していました。国連の対北経済制裁に応じて閉鎖・中止した開城工業団地と金剛山観光事業に関しても「再開する」と公約していました。

在韓米軍基地に配備されたTHAAD(=サード、地上配備型ミサイル防衛システム)も「政権をとったら見直す」と約束していました。

選挙期間中に発言の一部は軌道修正して見せましたが、韓国世論は「偽装転向」と疑っています(「文在寅が大統領になったら移民する」参照)。

本性をあらわした文政権

実際、5月10日に文在寅政権がスタートすると、すぐにその「本性」があらわれました。

翌5月11日、韓国の統一部は開城(ケソン)工業団地の再開は国連制裁に違反するか」との記者団の質問に対し「検討する必要がある」と答えました。

聯合ニュースの「開城団地再開は国連制裁に違反か 韓国統一部『検討が必要』」(5月11日、日本語版)などが一斉に報じました。

文在寅政権発足前、統一部ははっきりと「違反である」と記者に答えていました。RFAの「統一部『開城工業団地の再開は、国連制裁に違反』」(2月7日、韓国版)が報じています。

自由アジア放送も対韓牽制

それが突然、後退したのです。もちろん、統一部の姿勢が変わったのは文在寅大統領への「忖度」からです。

新大統領は再開を公約し、それは国連制裁違反には当たらないと明言していました。役人ごときが逆らうわけにはいきません。

朝鮮日報の「文『開城工団は国連の対北制裁にない・・・大量の現金は国際制裁と歩調を合わせればよい』」(韓国語版)は、文在寅氏が4月28日に「開城工団は対北経済制裁に含まれていない」と述べていたと報じています。

米国のRFAは執拗にこの問題をウォッチし、韓国語版で報じ続けています。「韓国の新政権がどうするか、米国は見ているよ」ということでしょう。

5月11日にも「『開城工団再開』が安保理制裁違反かどうかに注目」(韓国語と英語の音声付き)で「統一部の変節」を報じました。

さらに米国の専門家の「文在寅大統領が米国だけでなく国連の制裁と調整せずに再稼働すれば、今後の大きな悩みの種(troublesome)となる」との意見を紹介しました。

THAADで軍事主権放棄

—米国が韓国を疑いの目で見るのも当然ですね。

鈴置:THAADの問題でも文在寅大統領は米国を裏切って中国側に行くのではないかと疑われています。5月11日、習近平主席と電話会談しましたが、そこにも微妙なくだりがありました。

朝鮮日報の社説「四面楚歌という安保の現実を示した米中日トップとの通話」(5月12日、韓国語版)は以下のように書きました。

  • 習近平主席は異例にも当選を祝う電話をかけてきて「(THAADに関わる)中国の重大な憂慮事項を(韓国が)重視し、実質的な行動をとるよう期待する」と語った。
  • 文大統領はこれに対し「北朝鮮の追加の挑発がなければTHAAD問題の解決は容易になる」と答えた。両国の発表を見れば、北朝鮮が追加の挑発さえしなければ、中国の希望通り、THAADを撤去するかのように聞こえる。
  • もし実際にそうなったなら、北の核・ミサイルに対する軍事的な備えを放棄したことになり、外国が我が国の軍事主権に介入する道を開く先例となる。

中国に安保代表団

こんな批判に文在寅大統領は馬耳東風。習近平主席との電話会談を受け、直ちに中国にTHAADと北朝鮮の核を議論する代表団を送ることを決めました。

左派系紙のハンギョレは当然のことながら、前向きに報じました。「韓中関係復元に向け『THAAD外交』始動」(5月12日、日本語版)から要約しつつ、引用します。

  • 文在寅大統領が11日、習近平国家主席との電話会談で「THAADおよび北朝鮮核問題を議論する代表団」を中国に派遣する計画を明らかにするなど、THAAD外交を始動させた。
  • 前日の就任演説でTHAAD問題について「米国、中国と真剣に交渉する」と明らかにしたことから一歩踏み込み、中国との対話準備に本格的に乗り出した。
  • 文大統領は、国内的に国会批准同意の過程を通じて公論化過程を経るものと見られる。外交的には公論化過程で確認された国民世論をもとに、米国、中国などとの協議に乗り出すものと予想される。

国会でTHAAD配備に確実に賛成するのは第2党の自由韓国党(107議席)と第4党の「正しい政党」(20議席)。全議席は300ですから「配備賛成法案」が可決する可能性は低い。

仮に第3党の「国民の党」(40議席)が賛成に回っても国会を通りません。韓国には与野対決法案は5分の3の180票の賛成がないと採決に回せないという奇妙な法律があるからです。なお、与党の「共に民主党」は第1党で120議席です。

国会がTHAAD配備を認めなければ、これを「国論」として米国には撤去させる一方、その実績をテコに中国には北朝鮮の核などで韓国に有利に動いてくれと言うつもりでしょう。

米韓は信頼の危機

—韓国の保守は?

鈴置:悲鳴をあげています。北朝鮮専門家の李東馥(イ・トンボク)氏が趙甲済(チョ・カプチェ)ドットコムに「文在寅政権の出帆と目に見えるようになった韓米間の『信頼の危機』」(5月12日、韓国語)を書きました。

  • 米国務省のアダムス(Katina Adams)報道官が「韓国の新政権と変わらない協力を期待している」「THAADの配備は同盟国間の合意」と強調した。
  • 「期待する」との発言の底には「現実にはそうはならない可能性がある」との不安感がある。「同盟国の合意」の強調には「合意したことは履行すべきだ」との警告が含まれている。
  • 文在寅政権が韓米間の信頼の危機の原因を提供しているのなら、国民的な次元で必要な措置を考えねばならない。

韓国の新政権に対するアダムス報道官の発言は聯合ニュースの質問に答えたもので「State Department: U.S. looks forward to continuing close cooperation with S. Korea’s next president 」(5月9日、英語版)で読めます。

—トランプ政権も「警告」していたのですね。

鈴置:もちろんです。文在寅氏の「反米親北」は公知の事実でしたから。ホワイトハウスも当選を祝うメッセージ(5月9日)の中で「両国の同盟を引き続き強化したい」と表明し「同盟をないがしろにするなよ」とクギを刺していたのです。

「非核化の機会」逃す文政権

—でも、文在寅大統領は米韓同盟をないがしろにし始めた。

鈴置:それだけではありません。北朝鮮の核武装を事実上、認める方向に動く可能性があるのです。

韓国の元外交官の千英宇(チョン・ヨンウ)韓半島未来フォーラム理事長が東亜日報に「文大統領は平和的な非核化の機会を逃してはならない」(5月11日、韓国語版)を書きました。要約します。

  • 即興的な言動で多くの国で嘲笑されるトランプ大統領。だが、韓国にとっては転がり込んできた宝物になりうる。これほどに北朝鮮の核問題を熱心に解決しようとする米国の大統領はいなかったし、今後も出そうにない。
  • 米国と協力し、北朝鮮が核を放棄せざるをえないほどに圧迫の強度を高めてこそ北は非核化交渉に出てくるし、南北対話の条件も熟す。
  • 軍事的オプションに反対することを、戦争の危機から国を救う選択と間違いやすい。先制攻撃に対する信頼性を失わせる言動は、北が制裁に決然と対抗するよう煽るだけだ。
  • 南北対話の再開に焦るあまり、窮地に追い込まれた北に息をつかせれば、千金のような非核化の機会を逃す。米国と中国でさえ難しい非核化を、南北首脳会談を通じて実現しようなどという幻想を捨てるべきだ。

日本が恐れるべき「中途半端な解決」

—南北首脳会談は対北制裁の輪を壊す、ということですね。

鈴置:仮に韓国により制裁の輪が壊されても、米国が黙って引き下がるとは思えません。ただその際、完全な核問題の解決には至らず、中途半端に終わってしまう危険性を千英宇氏は訴えています。

  • トランプ大統領が非核化を事実上放棄し、核・ミサイル実験の中断と凍結を目指して北朝鮮との交渉にはいってしまうかもしれない。それは北の核武装の正当化を意味しかねない。

こうなったら日本も非常に困るのです。北朝鮮が米国に届く核ミサイルは放棄するものの、日本に届く分に関しては保持してよい、ということになるからです。

韓国に保守政権が誕生していれば日韓で力を合わせ、米国が「中途半端な結末」に走らないよう防ぐことができたかもしれません。

—保守政権ならできましたか?

鈴置:確かに難しかったかもしれません。そもそも韓国には米国と軍事的にも協力し、北朝鮮の核を完全に解決しようとの空気が乏しいからです(「米国に捨てられ、日本に八つ当たりの韓国」参照)。米国と完全なスクラムを組もうという李東馥氏や千英宇氏はいまや少数派です。

そして韓国では「米国から軍事攻撃を教えられたら北に相談する」という文在寅政権が誕生してしまったのです(「米国に捨てられ、日本に八つ当たりの韓国」参照)。

対話したければカネを出せ

—北朝鮮の弾道ミサイル発射に対し、文在寅大統領も非難しました。韓国も軌道修正して米国側に戻りませんか?

鈴置:大統領の「非難」に惑わされてはなりません。政権発足後初の北朝鮮のミサイル発射を受け、5月14日朝、青瓦台(大統領府)は国家安全保障会議(NSC)常任委員会を開きました。

そこでの文在寅大統領の発言のうち「対話」関連部分を聯合ニュース「文大統領 北の挑発に断固対応=『態度変化あってこそ対話可能』」(5月14日、日本語版)から拾います。

  • 北との対話の可能性を開いてはいるが北が判断を誤らないよう、挑発に対しては断固たる対応をとるべきだ。対話可能性を探るからといって誤判するな。
  • (北朝鮮との対話については)北側の態度に変化があったときに可能になるということを示すべきだ。

要は(1)対話路線は変えない(2)弾道ミサイル発射を中断するなど、北朝鮮が穏健路線に転じれば対話――つまりは開城工業団地などを通じた対北送金の再開に踏み切ってもよいということです。

韓国の大統領がこう表明したため、北朝鮮は今後「弾道ミサイルを撃つぞ」と脅すことで、韓国から様々の譲歩を引き出せるようになったのです。北は韓国に以下のように言えばよいからです。

  • 「ミサイルを撃ったら対話しない」などと偉そうなことを言っていいのか。我々が対話にこだわっているのではない。対話ができなければ困るのはお前ではないか。対話など意味がないと言っていた保守派から大笑いされるからな。「対話」を不可能にするミサイル発射が嫌なら、俺が要求するモノをさっさと持ってこい。

主導権を北に握られた韓国

初めから「対話」を掲げてはいけないのです。足元を見られてしまいます。主導権を北朝鮮に握られた韓国は、どんどん振り回されていくでしょう。そんな韓国をトランプ大統領は「やれやれ」といった顔で見ていると思います。

(次回に続く)

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