7/22日経ビジネスオンライン 福島香織『習近平は尖閣諸島を奪うつもりだった 対日強硬路線変化の背景』について

「自民感じ悪いよね」と民主にプラカードで揶揄されるような人間は自民党総裁にはなれないでしょう。これだからリベラルと言われる石破はダメなのです。利敵行為でしょう。彼は一度自民党を出ていますので、古くからいる自民党議員からは信用されていません。2012年総裁選で党員込の選挙では安倍さんに勝ちましたが、議員選挙で負けたのは信用してない議員が多くいるという事です。彼が総理になったら、中韓には譲歩に次ぐ譲歩をするでしょう。根性なしです。後ろから鉄砲を打ってでも、自分を良く見せたい人間なので。

この文書が真実のもの(田中上奏文の偽書よりは本物に見えます)であるなら、軍事的に尖閣を奪い取ろうとしていたことが分かります。米国と協調して日本を孤立化する作戦だったのでしょうが、それがうまく行かなかったため、日本に擦り寄るように方針転換したのでしょう。台湾の馬英九は流石に中国人だけあって、共産党とも手を組むつもりだったのでしょう。でも来年1月の総統選で国民党の洪秀柱は民進党の蔡英文には勝てません。2期8年の国民党の馬の舵取りがひどすぎたので、国民党が勝てるとは思えません。洪を勝たせたら、ひまわり学運が無意味になりますので。

安倍首相の9月訪中はよくよくアメリカと内容を擦り合わせてから会談に臨まないと。アメリカも金を貰って来たオピニオン・リーダー達が中国離れを起こしてきているので、日本を中国の味方に付けようと思っているのでしょう。それができなくとも米国を日本に対し疑心暗鬼にさせれば、ゲームは中国の勝ちと思っていることでしょう。「騙される方が賢く、騙される方が馬鹿」という国柄ですから、注意に注意をしないと。善意は彼らには通用しません。小中華の韓国の世界遺産のようなことが起きないようにしませんと。

記事

香港で昨年秋に出版されたゴシップ本の一つに『習近平内講話』(広度書局)がある。習近平が党中央内部で行った2009年9月から2014年9月までのいくつかの講話原稿をまとめたもの、という。八・一九講話(習近平のイデオロギー政策に関する通達、これを外国メディアに漏らしたとしてジャーナリスト・高瑜は逮捕された)など、いくつか本物らしい裏のとれる原稿が含まれており、とりあえず細切れの時間に、暇つぶしに読むくらいの価値はありそうである。

 習近平の新南巡講話とか20世紀に共産党が行った戦争の回顧と反省など、なかなか面白い。その中で、興味を引くのが2012年9月13日付の「第18回党大会前の時局においての個人的見解」と題した、胡錦濤、温家宝および江沢民、李鵬、朱鎔基、喬石ら同志・長老宛てに送った手紙の中にある「対日対米に関する見方」である。

 これはちょうど習近平が「謎の失踪」(2012年9月1日~14日)によって、ヒラリー・クリントンら要人との面会をドタキャンして、様々な憶測を呼んだころの日付となっている。多くのメディアでは水泳中、プールサイドでめまいをおこし、転んで背中をけがしたと報じられている。だが、実際はこのとき、習近平はけがを理由に2週間の休暇をとり、ブレーンの一人の王滬寧と二人で、この手紙を書いていたそうだ。一応、手紙を本物と仮定して、対米、対日観についてどう描いているか要約してみよう。

2012年秋の習近平は親米路線

 まず、対米観についてこう書いてある。

 「将棋の上手同士の対局においては、一手一地に重きをなすのではなく、最終的に勝つのが目標です。この世界の対局において、それは平和安定と発展の維持です。米国は現在の国際国内において基本的に安定しています。そこをはっきり認識する必要があります。中米の過去および将来には少なからずの矛盾はあるでしょうが、第二次大戦以来、特に改革開放以来、中米の共同利益と協力路線が主流を占めています。中米に摩擦、矛盾、ときに闘争があるのは常態であり、避けることはできません。しかし、世界の歴史のプロセスにおいて、違う国情、違う理念信仰によってお互いを誤読することには、人為的、有意無意の妖魔化成分が含まれます。

 認めなければいけないのは、両大陣営が対立していた冷戦期間において、我々の宣伝攻勢が民衆を誤って(米中は対立していると)導いてしまったことです。これは米国よりもひどい状況です。我々党と政府は宣伝機関としてメディアをコントロールしていますが、米国は全民の思想・言論をコントロールできません。今年の米国総統選の両党候補に関しても、お互いを攻撃しあい、これに対する民衆の反応もさまざまです。

 我々は米国を誤解誤読し誤った判断をしてはならない。もちろん米国の主流民意および政治家が民衆を誤解誤読しないように当然望んでいます。(双方が誤解すれば)中国にとっても米国とってもやっかいなことです。中米は交流を保ち、協力的であること、これは世界の趨勢であり両国人民の根本利益のあるところだと、我々だけでなく、両国民衆にも認識させることです。

 近年来の台湾海峡の平和的安定関係の発展は米国の理解と支持を得ています。これは胡錦濤同志が主導的に推進されてきたことです。台湾と米国、両者は分けて考えられません。

 米国、欧州の近年の経済危機は、我が国が影響を受けるだけではありません。我が国の積極的な協力と自身の発展が、米国欧州の基本的な社会の安定に寄与するのです。このことは、米国の有識者もわかっているでしょう」

2012年9月の段階で習近平は、親米路線を推し進める方針だったようだ。逆にその時の対日観はなかなかきびしい。

 「現在の最大の変化の要素は日本の騒動でしょう。日本は長期の経済低迷に、天災人災が相次ぎ、社会存亡の危機に見舞われています。右翼勢力の台頭、戦後の国際秩序への挑戦をしています。日本政府が釣魚島を『国有化』するなど、これは愚かな行動の一例でしょう。我々は、アジア太平洋と世界の平和環境、秩序維持、国内の発展のために、かなり我慢して譲歩してきましたが、最近の事態はがまんの限界です。釣魚島は東海の中国大陸棚の資源に関係するだけでなく、国家の長期的戦略的経済利益に関係します。また、中華民族の近代から現代にいたる屈辱的な歴史と民族の痛みにも関係します。我が国民衆の民族の自尊、国家の尊厳、国家領土主権の防衛という正当な要求のほか、社会の各種矛盾、積怨、不満の爆発のはけ口も見つけることができます。我々がもし、(人民の不満蓄積に対する)正確な処理を導き果断に政策を決定することができなければ、その結果おきることは、想像に耐えられません。五四運動爆発の歴史は我々だけでなく、日本人、米国人もはっきり覚えているでしょう。ですから、我々は一定の民意に従い、同時に正確に誘導し、日本が運んできたこの重い石を、自分の足の上に落とさせるようにしましょう。我々が提案するのは以下、七つの方針、策略です。

日本に重い石を落とさせる七つの策略

【1】国内の反日デモは抑えつけない。しかし秩序と文明理性を堅持するよう導く。日貨の打ちこわし、その他騒動も恐れることはありません。なぜなら、我々が愚かにも自分でその胸を突き出さないかぎり、民衆は公に矛先を我々に向けることはありません。

【2】米国との協調を徹底し、お互いが戦後国際秩序を守る立場で、日本の軍国主義と拡張主義復活に対する警戒を喚起する。

【3】台湾と密接に接触し、共同で釣魚島は中国の主権にあると宣言する。具体的には両岸で共同保護、両岸三地(中国、台湾、香港)民衆、漁民による非暴力形式の中国主権の主張。民間の自発形式をもちいて、千万の漁船を派遣して釣魚島付近で作業させてもいい。必要であれば日本の艦艇を何隻か包囲する。もし、両岸三地の人員が日本側に拘束されたり、生命や財産に損害を受けた場合、両岸政府が協調して、両岸三地公民の保護、救出のために一切の管轄権利を行使する。

【4】国連に正式なプロセスにのっとって、釣魚島の主権を訴える。必要なときには、国連および関係国際機構に、この問題に対する討論表決を行うよう働きかける。同時に外交攻勢をしかける。米国があえて釣魚島帰属問題に対して日本に肩入れするような明確な表明をしないという前提のもと、本当に公の立場で日本の味方になる国家は暁の星ほど少ないでしょう。

【5】日本に対する強硬な外交姿勢を強め、経済貿易制裁など有形無形で発動する。中国経済が一時的に悪影響を受けるかもしれませんが、わが党の執政と安定性には大きな圧力とはなりません。むしろ抗戦の歴史および民族的情緒から、わが党の指導に対して説得力をもたらし、わが党の力量と体制の擁護と支持に結びつくでしょう。

【6】軍事的な釣魚島防衛の準備をする。日本が「国有化」を進めるならば、台湾方面と強調し漁民漁船作業の保護の名義で軍艦を釣魚島付近に派遣します。米国の態度があいまいなままであれば、日本は孤立するので、その海域で軍事演習を行います。

【7】宣伝部に大胆に世論を開放させ、釣魚島問題に関する民衆の言論を開放させ、公式メディア上で討論をさせる。これは我が国の公民言論思想の自由開放に向けた段階的実験となり、米国や日本の民主の規範にも符号しており、同時に米国、日本に我々の最終的狙いが何かを知らせずにすむでしょう」

 このほか、党の歴史観や党員の信仰問題などについて「個人的意見」をまとめて、目下は政治局にこの文書を送らないで、みなさんと討議したい、と手紙は結ばれている。

さて、仮に2012年9月の第18回党大会前に、習近平が、米国とともに戦後国際秩序の守り手として、軍国主義復活を企てる日本を追い詰めていく戦略を頭に描いて、こんな手紙を書いていたとしたなら、やはり彼はたいそう国際社会の現実を知らない外交音痴の人であったかと思う。結果から言えば、中国は「戦後国際秩序の守り手として米国と協調する路線」から、「米国に対抗する中華秩序圏のアジアにおける樹立」に方針変更したし、日米の離反を狙った外交・宣伝工作は失敗し、米国のアジア・リバランス政策を引き起こし、尖閣諸島(釣魚島)で作戦を仕掛ける前に南シナ海問題で米中の対立を先鋭化させた。”両岸三地共同の釣魚島防衛”など、ひまわり、雨傘運動で消し飛んでしまった。

「安倍は中国の政治を変えさせた」

 そして2014年秋からは180度方針を転換し、むしろ日本に積極的にアプローチしてきている。春節には日本での「爆買ブーム」を比較的肯定的に報道し、フェニックステレビでは6月、安倍晋三の単独インタビューを比較的好意的な編集で流し、「安倍は中国に好意的」といったシグナルを発信した。最近では、安倍の密使として訪中した谷内正太郎には、首相の李克強が35分の時間を割いて会談すると言う厚遇ぶりを見せた。9月初旬には安倍が再度訪中するかもしれない。

 2012年秋から2015年の今に至る変化の最大の背景は、習近平の見立ての悪さ、あるいは外交的失敗、あるいはクリミア問題など国際情勢の変化であると思う。だが、その次くらいの要因は安倍外交の成果ではないかと思っている。習近平が当初、日米を離反させ日本の孤立化を進められると判断したのは民主党政権のありさまを見たからである。その日米関係を立て直し、少なくとも中国に、安倍政権は長期化する可能性ありと判断させたことが、中国の対日強硬路線を変化させたといえる。しかも、その変化は、安倍政権が(少なくとも表向きは)中国に擦り寄った結果ではなく、むしろ中国の態度軟化に見える形となった。

今年5月から6月にかけて中国を訪れたとき、偶然にも複数の中国人記者や知識人から、安倍晋三に対するかなりポジティブな評価を聞いた。「リアリストである」「中国側の官僚からは、手ごわい相手だと思われている」「中国が日本の政治家の態度を変えさせることは多かったが、中国の態度を変えさせた日本の政治家はほとんどいない。安倍は中国の政治を変えさせた珍しい例」といった感想だ。

 私が日本人だから、リップサービスを半分以上含んでいるとしても、かなり高評価ではないかと思う。

外交音痴同士なら尖閣有事の危機

 さて、安倍政権は、多くの国民の反対を押し切って安保法案を成立させた。採決のとき、野党は「自民感じ悪いよね」「安倍政治を許すな」とプラカードを掲げて抵抗した。

 だが、この習近平の手紙に、中国最高指導者の本音が含まれているのだとしたら、日本が米国の庇護から離れれば、中国はすぐさま実力行使にでて、釣魚島を奪いに来るつもりでいる、ということでもある。習近平は外交音痴ではないかと先ほどいったが、当時の民主党政権も相当の外交音痴に見えたので、あのまま民主党政権が続いていたら、ひょっとすると習近平政権が当初描いていた日本孤立化作戦は成功し、尖閣有事が起きていたかもしれない。

 世論調査の民意にも憲法学者の意見にも耳を貸さずに、強引に安保法案を成立させた安倍政権は確かに感じが悪いし、また「戦後レジームからの脱却」を期待していた人からみても、米国追従型の政治は不満の残るものかもしれない。が、政治の現場での現実的な判断というのは、だいたい多くの人の理想どおりにはいかないものだろう。支持率が下がるのも仕方あるまい。ただ私個人としては、この不安定な国際情勢下で日本の舵とりを任せるなら、感じのいいポピュリスト政治家よりも、感じの悪いリアリスト政治家の方でよかったかと思っている。(=文中敬称略)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください