『韓国は日本にとっての「我慢の限界」をついに超えてしまった』(3/19ダイヤモンドオンライン 真壁昭夫)、『夢見る韓国・文政権は北朝鮮の実態を見つめ直せ 軍部が牛耳る北朝鮮~ベトナムとの違いはどこで生まれたのか』(3/16JBプレス 川島博之)について

3/21希望之声<川普签署命令保护校园言论自由 违反机构将拿不到联邦资金=トランプは学校の言論の自由を保護する命令に署名 違反した組織・機構は連邦の資金は貰えず>3/21午後、トランプ大統領は行政命令にサインし、教育・衛生・国防各省が学校に資金提供するときに、公立学校には米国憲法修正第一条を遵守することを求め、私立の機構の言論の自由のモデルとなる事も求めている。

米国では左翼・リベラルが保守派を言論弾圧しているのでこの命令を出した様です。WSJは具体的な規定がないため、恣意的な解釈になる事を心配しています。さて、日本の大学はどうか?中共のスパイ機関である孔子学院も閉鎖できないのでは。文科大臣は言論の自由を守るためにもっと動かねば。何せ、自己決定能力の無い大学が多すぎるので。

https://www.soundofhope.org/gb/2019/03/21/n2743696.html

3/21阿波羅新聞網<川习会背后中美大角力 东欧16国对中共怨声载道 “巴铁”不铁 台日共建“群岛防御”=トランプ・習会談の背後で米中の綱引きが 東欧の16カ国は中共に強烈な不満 「パキスタンとの堅い関係」は実は堅くはない 日台は諸島防衛を共同で作る> 中共はやることが多い時期を迎えようとしている。米中貿易交渉を解決することができないだけでなく、様々な国によってボイコットや封じ込めがされている。 江派の香港メディアは、「トランプ・習会談は6月に開催される可能性がある」と述べた。ある分析では「中共がずっと先延ばししており、双方は依然力比べしている」と。 香港のメディアは、「中共の“16 + 1”地域協力計画に参加した東欧の16ケ国が強烈な不満を述べた。中国の資本が入って来ないばかりでなく、中国製品の大幅流入で経済的侵略であると訴えた」と報じた。 「パキスタンとの堅い関係」として知られるパキスタンでさえ、中共との距離を置き始めている。 台湾メディアは、「日本が台湾と協同して“島の防衛”を徐々に実施し、共産軍の空と海の活動を共同で阻止している」と報じた。台湾軍と自衛隊は実際の共同軍事訓練はしていなくとも、防空・船からのロケット弾を攻撃する拠点は共産軍の第一列島線内にあり、それを阻止、諸島防衛の意図と能力を持ち合わせているのは明らかである。

後から言うのは福助頭。東欧はやはり中国人の本性を知らないで目先の金に飛びつくからでしょう。善意を持った中国人なんてほとんどいませんのに。何か裏があると考えなくては。個人対個人でもそうでしょう。うまいことを言ってくる人間をそんなに簡単に信じますかという事です。信頼するのは長く付き合い、行動を見てからでしょう。

https://www.aboluowang.com/2019/0321/1263889.html

3/22阿波羅新聞網<波兰去共产主义 起诉一批服务共产党镇压异议人士前法官=ポーランドは共産主義を捨て去る 共産党に異議を唱えた人間を弾圧した前裁判官を起訴>ポーランドは共産党の統治時代に民主主義を追求した違った政見の持主に対し刑を下した元裁判官を起訴する予定である。 その中には、現在スウェーデンに定住している元著名な裁判官をスウェーデンから引き渡しを受けたものも含まれる。彼はかつて共産党に武装抵抗したメンバーに死刑を宣告した判事である。 分析によれば、「ポーランドは共産主義とより決別して行こうとしているが、共産主義の汚濁をキレイにし、民主主義に変えていくのは、かなり困難な仕事である」と。

共産主義統治下の法律で判決を出した裁判官を裁くのは事後法に当たるのでは?国民感情的には鎮圧した側を責めるのは分かりますが。法に基づかないで逮捕拘引したとすれば、裁判そのものが茶番でしょうから、裁判官が起訴され、時効に相当しない限り刑事訴追されるのは当然でしょう。そもそもで言えば国民の代表が民主的な選挙で選ばれないで立法行為を行うのは、国民統治の正統性はないのでしょうけど。裁判官は、「ナチのアイヒマン裁判」でアイヒマンが言った「私はただ上官の命令に従っただけだ」と主張するのでは。ハンナ・アーレントはそれを「「悪の凡庸さ」(悪魔的行為の実行者が個人的にはなんと平凡な人間であったか)と言いましたが。

https://www.aboluowang.com/2019/0322/1263930.html

3/22ZAKZAK<日本、韓国のTPP加入「拒否」へ 「元徴用工」への異常判決に対抗措置>

http://www.zakzak.co.jp/soc/news/190322/soc1903220013-n1.html?ownedref=not%20set_not%20set_newsList

これからのTPP加入を制限したからと言って肌で感じる痛みとはならないのでは。制裁をかける目的は相手に痛みを感じさせることなので、これだけでは日本は腰が引けていると見え、またまた韓国を増長させるだけになります。政府はもっとしっかりしろと言いたい。

真壁氏の記事で分かる通り、韓国は文在寅だけが反日ではなく、国民世論が反日だから、日本に不合理なことをしても許されると思っているのでしょう。相手のことを考えない独善的な民族なので、日本の嫌韓の度合いが深まっていくというのが読めないのでしょう。今まではメデイアと政治家を籠絡してきたから大丈夫との思いがあったと思いますが、政治家は選挙に勝たねばならず、左翼新聞は売り上げ減に悩まされています。往年の力はもうないでしょう。そもそも反日教育を長くやって来た咎めが出てきているだけです。保守派になろうと反日は変わりません。関わらないことです。しかし、理不尽なことに対しては機敏に反撃すべきです。

川島氏の記事で、米朝会談の真の敗者は文在寅とありますが、文だけでなく韓国国民でしょう。何せ北との核を持った統一朝鮮を夢見、日本に核を落としたいと願っている民族ですから、今後国際社会から孤立して行くでしょう。というか日本が韓国を孤立させていくようにしないと。米国も韓国を見捨てているのだから、今までやられた分の3倍返しくらいはしないと。日本にいる反日朝鮮人にはお帰り頂くようにした方が良い。日本を愛せないで何故寄生しているのか分からないというか、敵の工作員だからでしょうけど。敵に寛大になるのは頂けません。

真壁記事

Photo:REUTERS/AFLO

現在、日本と韓国の関係は戦後最悪だ。特に、韓国最高裁が日本企業に元徴用工への賠償を命じた問題は、本邦企業に無視できない損害を与える恐れがある。この問題に関する韓国政府の態度は、わが国の我慢の限界を超えた。

日本政府は韓国への対抗措置を準備し始めた。5月にソウルで開催される予定だった第51回日韓経済人会議も延期せざるを得なくなった。それは、韓国経済界などの危機感を高めている。

日韓関係悪化の原因は、韓国世論だろう。韓国の政治は、世論を抑えられない。

韓国では政権が代わるたび、前政権の大統領や閣僚が収賄などの罪で逮捕され続けてきた。それは、世論の言うことを聞かなければ政権維持が難しいからだろう。韓国の政治家は、「日韓請求権協定によって賠償問題などは解決済み」と、国民に対して言うことはできないだろう。文喜相(ムン・ヒサン)国会議長が、日本を「盗っ人たけだけしい」とこき下ろした裏にもそうした事情があると見られる。文在寅(ムン・ジェイン)大統領も世論に迎合せざるを得ない。

日本政府は、韓国の取り組みに期待するのをあきらめたようだ。

文大統領も、徐々に、それに気づき始めた。ただ、韓国国内の反日感情は強く、文政権が日韓関係の修復に取り組むことは容易なことではない。わが国は、冷静かつ明確に、自国の主張の正当性を国際世論に伝え、味方を増やすことに注力すべきだ。

世論を抑えることができない韓国の文大統領

現在、韓国では反日感情が高まっている。文大統領は世論を抑えることができていない。それが日韓関係をここまで悪化させた最大の原因だろう。

2017年の大統領選挙戦の中で、文氏は「過去の政治」との決別を主張した。理由は、政財界の癒着などを放置してきた過去の政権に怒り、不満を募らせる民衆の支持を取り込むためだ。文氏は革新を主張して点数を稼ぎ、大統領の座を射止めることはできた。

しかし、文大統領は有権者の不満を解消できなかった。

韓国世論はその状況に、一段の不満を募らせた。特に、最低賃金引き上げ計画の撤回は人々を失望させた。多くの国民が、「文氏に裏切られた」との認識を強めた。その結果、大統領支持率が急落した。文政権が重視してきた北朝鮮との融和政策も行き詰まった。なぜなら、北朝鮮は中国との関係を修復し、韓国と関係を強化する必要性を感じていないからだ。

目玉政策が失敗し、文大統領は世論の反日感情に配慮せざるを得なくなった。韓国の政治は、怒る世論という濁流に押し流される小舟に例えられるかもしれない。それほど、韓国の政治に対する世論の影響力は強い。

文政権は世論に押し流されざるを得なくなり、国家間の合意すら順守できなくなった。文政権は1965年の日韓請求権協定を無視し、日本企業に元徴用工への賠償を命じた最高裁判決を尊重する姿勢をとり続けている。また、文氏は、2015年に日韓が慰安婦問題に関して「最終的かつ不可逆的に解決された」ことを確認した政府間合意をも蒸し返した。いずれも、世論への配慮の表れだ。

文大統領が政治家として生き残るためには、世論に迎合し、国民の求めに従う政策を進めること以外有効な策が見当たらないのだろう。足元では、対日強硬姿勢をとり、わが国を批判すること以外、文政権が命脈を保つことは難しくなっているとさえいえる。

文政権はかなり行き詰まっている。短期間でこの状況が改善される展開は想定することが難しい。

間違いなく戦後最悪の日韓関係

日本にとって、韓国は我慢の限界を超えた。決定的となったのが、韓国最高裁による元徴用工への賠償命令だ。この判決は、日韓関係を戦後最悪の状況に陥れた。判決は日韓両国の協定違反だ。韓国は協定違反の状態を是正しようとしていない。

3月に入り、原告側は韓国国内にある三菱重工の資産差し押さえに向けた手続きを開始すると表明した。さらに、韓国の弁護団は、欧州における三菱重工の資産差し押さえすら目指している。日本人の常識では考えられないほど、韓国世論がわが国の企業経営に影響を及ぼしている。

これまで日本は努めて冷静に、一縷(いちる)の望みをかけて韓国に対して日韓請求権協定に基づいた協議を行うことを求めてきた。しかし、事態は悪化の一途をたどっている。世論に迎合せざるを得ない韓国政府が、日本側の呼びかけに応じることは想定しづらい。

この状況を受け日本は、韓国が冷静に協議に応じると期待するのはあきらめた。わが国は、韓国を放っておく(相手にしない)わけにはいかなくなったのである。

日本政府は、自国の企業を守らなければならない。原告側が資産の差し押さえに踏み切れば、わが国企業には“実害”が生じる。それを防ぐにために、政府は協議の余地を残しつつも、韓国の行動が一線を越えた際には報復措置を発動する姿勢を明確に示した。

政府は韓国への対抗措置として100程度の選択肢をリストアップし始めた。

具体的には、韓国製品への関税引き上げ、半導体関連素材の輸出制限などが検討されている。その上、政府は、送金の停止、およびビザの発給停止など、かなり強硬な措置も検討している。韓国側の出方次第で、さらなる報復措置が検討されるだろう。

また、日本政府はわが国企業の資産が韓国の原告団によって現金化された場合、韓国との協議をあきらめる方針を固めたようだ。その際、政府は日韓請求権協定に記された“紛争の解決”に従い、第三国を交えた仲裁委員会の設置を求めるだろう。

韓国の経済界などから相次ぐ危機感表明

日本が対抗措置を準備し始めたことを受けて、韓国の経済界などは、「日本が政策転換を真剣に検討し始めた」と相次いで危機感を表明し始めた。経済人会議の延期決定に関して、韓国国内では外交問題が民間レベルの協力を困難にさせているとの指摘がある。

韓国国内の知日派は、「過去の政権否定の延長線上で対日強硬姿勢をとるのは、国家としての信用失墜に直結する」と、深刻な認識を示している。

これまで文氏は、政権内から「知日派」を追いやった。その分、韓国が日本と交渉することすらままならない。ただ、3月に入り、ようやく文大統領も事態の深刻さに気づき始めたようだ。 “三・一運動”から100年を記念する式典で、文氏は元徴用工への賠償問題に触れなかった。また、3月に入り文政権は内閣改造を行った。日本での勤務経験がある南官杓(ナム・グァンピョ)氏が駐日大使に内定した。それらは文氏なりの危機感の表れだろう。

ただ、文氏が世論に迎合せざるを得ない状況に変わりはない。客観的に考えると、文大統領が日韓関係の修復に本腰を入れることはかなり難しい。韓国が日本の要望に応じる形で日韓関係が修復されるとは想定しづらい。

企業への実害が発生する恐れが高まっている中、わが国が韓国に過度に配慮する必要はない。国際社会の中で、日本はより多くの味方を得ることに取り組めばよい。重要なのは、日本の対応と主張の正当性を冷静かつ明確に国際世論に伝え、理解と賛同を得ることだ。韓国に対しては過去の請求権を順守することを求めればよい。

韓国国内では、反日感情にもかかわらずわが国が主導したTPP11に加盟すべきとの見方も多い。日本がTPPを拡大させ、米国に代わる多国間経済連携を促進する役割を発揮できれば、韓国国内での危機感はさらに高まるかもしれない。

日本は、請求権協定などの政府間合意と現在進行形の経済連携協定などを駆使し、国際世論を味方につけることを最優先すべきだ。それが、対日強硬姿勢を強める韓国世論を抑え、極東地域の安定のために日韓関係を修復する現実的な方策だろう。

(法政大学大学院教授 真壁昭夫)

川島記事

北朝鮮の国旗(資料写真)。(c)JOHN MACDOUGALL / AFP〔AFPBB News

ベトナムのメリア ハノイ ホテル(先の会談の際に金正恩が滞在した)でこの原稿を書いている。今のベトナムは1960年代の日本によく似ている。経済成長の真最中であり、そこかしこで工事が行われている。たくさんのオートバイが行き交い、街は喧騒で溢れている。2人乗りも多いが、一昔前のように1台のバイクに3人も4人も、まるで家族全員が乗っているような光景には滅多にお目にかかれなくなった。一家に複数のバイクが普及したのだろう。自動車が増えたために、中心部では頻繁に渋滞が起こる。

そんなベトナムは北朝鮮と友好な関係を有する世界でも数少ない国である。それは1957年にベトナム建国の父、ホーチミンが北朝鮮を訪問したことに始まる。翌年には、金日成が当時の北ベトナムを訪問した。その後始まったベトナム戦争において、北朝鮮は北ベトナムを積極的に支援している。その友好関係は60年以上にわたって続いている。

そんなハノイで2月27、28日に、トランプ大統領と金正恩委員長の会談が行われた。その結果については、ここで述べる必要はないだろう。本稿では大の仲良しの北朝鮮とベトナムが、なぜこのように異なった道を歩むようになってしまったかについて考えてみたい。

案外民主的なベトナムの権力継承

ベトナムも北朝鮮と同じくらい孤立していた。しかし、その後、1986年に「ドイモイ」と呼ばれる改革開放路線に転じて徐々に経済を市場化し、また海外との交流を深めた。ハノイで米朝会談が開催されたことからも分かるように、ベトナム戦争を戦った米国とも友好な関係を作ることに成功した。

ベトナムと北朝鮮を分けたのは、権力の継承の仕方である。北朝鮮が血統による権力の継承を採用したのに対し、ベトナムは概して民主的な方法を採用した。それが、その後の国のあり方を決めた。

ベトナムと北朝鮮は一党体制を採用している点において似ている。 しかし、ベトナムのトップの決定方式は意外にも民主的である。 たとえば、ベトナム国民議会の選挙は5年ごとに行われる。人々はそれぞれの地方から中央に送る代議員を投票によって選ぶことができる。

ドイモイが始まって以降、書記長の任期は最大でも2期10年であった。1986年以降、今日まで6人が書記長を勤めており、その数は米国の大統領と同じである。

米国の大統領は国民の直接選挙で選ばれるが(厳密には代議員を選ぶ選挙)、ベトナムの書記長は党内のコンセンサスによって決まる。その選び方は日本の自民党の総裁選びによく似ている。党内の選挙もあるが、選挙以前に行われる派閥間の駆け引きが重要である。まさに自民党政治と言ってよい。

中国では権力が共産党のトップに集中するが、ベトナムでは権力は共産党書記長、国家主席、首相の3人が分掌する。党書記長といえども全てを1人で決めることはできない。そして派閥のコンセンサスで選ばれたトップは、日本と同じようにあまり強くない。これは中国には強い帝国が出現し皇帝に権力が集中していたこと、一方、ベトナムには強い王権が出現したことがなかったことを反映しているように思う。その政治感覚は、日本と同じようにコンセンサスを重視する村社会的である。

金正恩の重荷になっている“先軍政治”

ベトナムは開発途上国にしては珍しく、軍が大きな政治力を保持していない。日本と同様に、経済的な利権を主軸として派閥抗争を行ってきたために、軍のプレゼンスが弱くなってしまった。現在のベトナムを見ていると、米国に勝利した栄光あるベトナム軍はどこに行ってしまったのかと思うほどである。この軍のプレゼンスの低下が北朝鮮とベトナムの明暗を分けた。

北朝鮮では1994年に金日成が死亡した際に、息子の金正日が権力を継承した。これは儒教の影響が強かったためと思われるが、血によって政権を継承しても権力を維持することは難しい。カリスマ性のない金正日は政権の維持に苦慮した。その結果として軍の力を借りざるを得なくなり、“先軍政治”を始めることになった。

それは成功したと言って良い。金正日は権力の保持に成功して、畳の上で死ぬことができた。しかし先軍政治を始めたことは、その後継者である金正恩の重荷になっている。軍が強い力を持ってしまい、路線変更ができなくなってしまった。

軍に大きな予算を与え続けた結果、北朝鮮は原爆、そして水爆を持つことに成功した。その強い軍が担ぐ神輿に乗っていれば、権力者であり続けることができる。叔父や兄を殺すこともできる。

しかし軍の意向を重視していると、国際的に孤立してしまう。国を発展させることができない。今回のハノイでのトランプ大統領との会談は、その矛盾を炙り出したと言ってよい。米国だけでなく中国も含めた国際世論は、北朝鮮が核兵器を持ったまま、経済成長路線に転換することを許さない。

特権的な生活を続けたい北朝鮮の軍部

金正恩が最も恐れているのは北朝鮮の軍部である。JBpressにおいて右田早希氏は、金正恩が列車を使って60時間もかけてベトナムに行った理由を、飛行機を管理している北朝鮮空軍が怖いからだと書いている(参考:「北朝鮮、これから始まる『粛清の嵐』と『軍の台頭』」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55681)。もし、金正恩がトランプ大統領に対して大幅な譲歩を行えば、軍部は帰りの飛行機を爆破するかも知れない。金正恩は交渉において、少しでもフリーハンドを残しておきたいと考えて、列車で移動したのだろう。

ベトナム北部ランソン省のドンダン駅で列車に乗り込む前に手を振る北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(2019年3月2日撮影、資料写真)。(c)Vietnam News Agency / AFP〔AFPBB News

金正恩は軍部の意向に逆らった政治を行うことができない。その立場は、戦前の昭和天皇や近衛文麿首相に似ている。当時、日本の指導者は米国と妥協点を見出して、国際的な孤立から脱したかったのだが、軍部がそれを許さなかった。暗殺をほのめかして妥協を封殺した。2.26事件を経験した政治家にとって、それは単なる脅しではなかった。

北朝鮮の軍部は日本の歴史をよく学んでいる。いくら米国から圧力をかけられ、かつ挑発されても、真珠湾を攻撃するようなことはしない。暴発すれば全てを失うことを知っている。だから反発するにしても、せいぜい日本近海にミサイルを飛ばす程度である。軍の幹部連中は、先軍政治の下で豪奢で特権的な生活を続けたいと思っているだけである。そして、その最大の犠牲者は北朝鮮の一般民衆である。

北朝鮮は今後も核兵器を持ち続ける。軍部が力の源泉を手放したくないからだ。そして国際社会は永遠にそれを容認しない。

韓国はこれからも長い期間にわたり、核兵器を持つ北朝鮮と対峙して行かなければならなくなった。それは韓国にとって重荷以外の何もでもない。だが北朝鮮との平和的な統一を志向する文政権は、このような状況を理解することができないようだ。だから、支持率を上げるために日本を非難するなどといった子供じみたことを行う。

大きな目で見れば、今度の会談の真の敗者は、北朝鮮との友好を基軸においていた文政権と言ってよいだろう。

(川島 博之:東京大学大学院農学生命科学研究科准教授、ベトナム・ビングループ主席経済顧問)

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