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『驚くほど刑罰が軽かった天津爆発事故の一審判決 死者・行方不明者173人、経済損失1078億円も高級官僚は安泰』(11/18日経ビジネスオンライン 北村豊)について
天津爆発事故の死者・行方不明者が173人と言う事はないでしょう。中国は都合が悪いことは、大体1/10くらいにして発表しますので、少なくとも1500人はいるでしょう。2015年8月28日北村氏の「人災だった天津爆発事故」の記事にも具体的な人数は書かれておらず、「173人を遥かに上回っているような気がしてならない。」としかありません。
中国は一党独裁の国、司法部門は行政機構の一部であり、当然三権分立ではありません。且つ又、「政権は銃口から生まれる」という軍事優先国家でもあります。国民の批判を受け止める構造的な体制はないと言ってよいでしょう。「上訪(直訴)」することもありますが基本的には「截訪(直訴阻止)」されます。中国一流の羊頭狗肉、表面だけ飾るやり方です。
http://www.epochtimes.jp/jp/2005/04/print/prt_d51869.html
国民を不幸にする共産主義と言う制度を続けている意味が分かりません。そもそも国家とは何のために存在するのかです。国民の福利向上と国民の共同防衛を担う組織のはずです。中共は国民の自由を抑圧する組織となっている訳ですから。共産主義の恐ろしさは歴史上明らかになっています。旧ソ連、北朝鮮、今の中国の粛清の仕方を見れば、誰も喜んで住みたいとは思わないでしょう。今の韓国には選挙やデモをする権利が認められていますが、やはり火病の国だけあって知恵が回りかねと言った状態です。北が韓国への間接侵略を狙っているにも拘らず、朴大統領を追い落とそうとしているのですから。喜んで北の共産主義体制に近づこうとしているように見えます。次期大統領候補の文在寅は北の手先と言われています。イザとなったら米国が守ってくれると韓国は思っているようですが、反米・裏切りの国を助けようとはしないでしょう。桂・タフト会談やアチソン声明のように切り捨てられるだけです。ボルトン次期国務長官候補も「米国は北を先制攻撃しない」と明言しました。
http://s.japanese.joins.com/article/718/222718.html?servcode=A00§code=A20
何でも利用しようとしてきた韓国に甘い顔は出来ないという事です。日本もGSOMIAとか通貨スワップについて真剣に止めることを考えてほしい。韓国の次期大統領が潘基文か文在寅どちらになろうとも、反日・親中になるのは見えています。何故政府は利敵行為を繰り返すのか理解できません。
日本人で左翼やリベラルにシンパシーを持っている人は考えた方が良いでしょう。現実を良く見れば、人権抑圧の酷い体制と言うのが分かるはずです。それを汲み取れる頭は持っていると思うのですが。朝日新聞を筆頭とした日本のメデイアや欧米の偏向メデイアは何故中国をバッシングしないのか不思議でなりません。あれだけロシアを叩くのに。今一番世界を不安に陥れているのは軍事拡張主義を採っている中国です。批判の声を上げないというのは金に転んでいるとしか思えません。彼らに「社会の木鐸」とか「社会正義の実現」とかは言ってほしくないです。購読者は取るのを止めて、ネットから情報を取った方が良いでしょう。
記事
2015年8月12日の夜10時52分頃、天津市“濱海新区”にある天津港の“天津東彊保税区”内に所在する“瑞海国際物流有限公司”(以下「瑞海公司」)の危険品倉庫で発生した大規模な火災爆発事故は「天津爆発事故」<注1>として世界中に報じられた。
<注1>天津爆発事故の詳細については、2015年8月28日付の本リポート「人災だった天津爆発事故」参照。
「特別重大事故」だが…
事故発生直後の8月13日に組織された中国政府“国務院”の「天津港8月12日瑞海公司危険物倉庫特別重大火災爆発事故調査チーム」は、2016年2月に発表した調査報告書で天津爆発事故を“特別重大生産安全責任事故”<注2>と認定した。同報告書の要点は以下の通り。
<注2>“生産安全責任事故”とは「生産経営企業が生産経営活動中に発生させた人の死傷あるいは経済損失を引き起こした事故」を意味する。なお、“特別重大事故”は最大級の事故を指し、死者30人以上、あるは重傷者100人以上、あるいは経済損失1億元(約15.7億円)以上の事故を意味する。
【1】死者165人(内訳:救援に駆けつけた天津市消防局消防隊員24人、天津港消防支隊隊員75人、公安警察官11人、瑞海公司従業員および周辺企業従業員と住民55人)、行方不明8人(内訳:天津市消防局消防隊員5人、周辺企業従業員および天津港消防支隊隊員の家族3人)、負傷者798人(重傷者58人、軽傷者740人)。損失を受けた物:建物304棟、販売用自動車1万2428台、コンテナ7533個。2015年12月10日までに『企業従業員死傷事故経済損失統計標準』などの標準や規定に基づいて統計し、確定した直接経済損失額は68.66億元(約1078億円)である。
【2】各方面の努力を経て、2015年9月13日までに救援や現場処置などの任務を完成させ、危険化学品1176トン、販売用自動車7641台、コンテナ1万3834個、貨物1万4000トンを搬出し、798人の負傷者に適切な治療を行った。
【3】事故の直接原因は、瑞海公司が運営する危険物倉庫の荷降ろし場南側に置かれたコンテナ内の“硝化棉(ニトロセルロース)”が、湿潤剤の消失によって局部的に乾燥し、高温(天気)などの要因で分解・放熱を加速し、蓄積された熱で自然発火した。この火が周辺のコンテナ内のニトロセルロースやその他の危険化学品の燃焼を引き起こし、荷降ろし場に堆積されていた“硝酸銨(硝酸アンモニウム)”などの危険化学品の爆発を誘発した。
【4】事故調査チームは、重大な関連法令違反を行った瑞海公司が事故発生を招いた主たる責任を持つと認定した。瑞海公司は安全生産のために負うべき責任を無視し、天津市都市総合計画と濱海新区を規制する詳細計画に大きく違反し、違法に危険貨物堆積場を建設し、違法経営、危険物貯蔵規則違反を犯し、安全管理を著しく混乱させ、安全面の隠れた危険は長期間にわたって存在したと認定した。
【5】公安部門は24人の企業メンバーに対して法に基づく立件・調査ならびに“刑事強制措置(身柄の自由制限)”を取った(内訳:瑞海公司13人、“天津中濱海盛衛生安全評価監測有限公司”<注3>11人)。検察部門は政府の役人として行政監察対象者に当たる25人に対して法に基づく立件・調査ならびに“刑事強制措置”を取った(内訳:“正庁級(部長ランク)”2人、“副庁級(副部長ランク)”7人、“処級(課長ランク)”16人。その所属:交通運輸部門9人、税関系列5人、天津港(集団)有限公司5人、安全監督管理部門4人、計画部門2人)
<注3>“天津中濱海盛衛生安全評価監測有限公司”(以下「天津中濱公司」)は、消防関連などの安全評価を主務とするコンサルタント企業。同公司は瑞海公司の安全評価を担当していた。
【6】123人の責任者に対して処分を行うよう意見を提出した。すなわち、74人の責任者に対する“党紀(共産党員が守るべき規則)”・“政紀(行政機関職員が守るべき規則)”違反の処分(内訳:局長ランク5人、部長ランク22人、課長ランク22人、係長ランク以下25人)、その他48人に対する訓戒処分、残る1人は病気死去により処分免除。
27件の刑事事件の判決は
天津爆発事故の発生から1年2か月以上を経過した2016年11月7日から9日まで、同事故の一審裁判が“天津市第二中級法院(地方裁判所)”と9か所の“基層法院(下級裁判所)”で一斉に公開の形で行われた。これら10カ所の裁判所で審理されたのは「2015年天津港“8.12”特大火災爆発事故」に関わる27件の刑事事件であった。上述した国務院「天津港8月12日瑞海公司危険物倉庫特別重大火災爆発事故調査チーム」の報告書にあったように、同事故は死者165人、行方不明8人を含む直接経済損失68.66億元(約1078億円)を発生させており、その間接経済損失の規模は“不可估量(計り知れない)”のである。
11月10日付の中国メディアによれば、11月9日、上記【5】に述べた24人の企業メンバー(彼らは事故に直接責任を負う)並びに25人の役人(彼らは事故に間接責任を負う)、計49人の被告人に対し公開で一審判決が言い渡された。被告人たちは全員が罪を認め、罪を悔いて謝罪した。一審判決の内容は以下の通り。
(1)瑞海公司“董事長(取締役会長)”の“於学偉”:危険物質違法貯蔵罪、違法経営罪、危険物品事故惹起罪、贈賄罪により“死刑緩期二年執行(死刑執行猶予2年)”ならびに罰金70万元(約1100万円)。
(2)瑞海公司“副董事長(取締役副会長)”の“董社軒”、“総経理(社長)”の“只峰”など5人:危険物違法貯蔵罪、違法経営罪、危険物品事故惹起罪を構成するとして、それぞれ無期懲役から懲役15年の有罪判決。瑞海公司のその他7人はそれぞれ10年から3年の懲役刑。
(3)天津中濱公司“董事長”兼“総経理”の“趙伯揚”など11名:直接責任者としてそれぞれ4年から1年6か月の懲役刑。
(4)“天津市交通委員会”主任の“武岱”など25人の役人:職務怠慢罪や職権濫用罪によりそれぞれ7年から3年の懲役刑。このうち、“李志剛”など8人には収賄罪などの併合罪が適用された。
トカゲの尻尾切り
さて、上述したように、25人の役人には刑罰が下されたが、天津市政府の指導部に連なる高級官僚は何らの制裁も受けておらず、言ってみれば「トカゲの尻尾切り」で、中間管理職に罪を押し付けただけで幕引きを図った感がある。国務院の調査チームは、死者165人、行方不明8人との調査結果を発表したが、この数字は果たして信用してよいものか。天津爆発事故では、天津市消防局消防隊員24人、公安警察官11人と合計35人もの公務員<注4>が殉職したために彼らの死者数は公になったが、「瑞海公司従業員および周辺企業従業員と住民55人」という死者数は正しい数字と言えるのかは甚だ疑問である。この点については、<注1>に記載した2015年8月28日付の本リポート「人災だった天津爆発事故」を参照願いたい。
<注4>165人の死者には天津港消防支隊隊員75人が含まれているが、彼らは“天津港(集団)有限公司”所属の消防隊員で公務員ではない。
2012年6月30日の午後4時頃、天津市の管轄下にある“薊県”の繁華街にある5階建てのデパート“莱徳商厦”で発生した火災はビル1棟(焼損面積:約5000平方メートル)を全焼する大火となった。火災発生当時、デパート内には多数の買い物客がいたが、支払いを済ませていない客を逃がすまいと、総経理の指示で保安係がビル1階の出入り口のシャッターを閉めたことから、相当多数の客と従業員が逃げ出せずに焼け死んだ。しかし、7月6日に天津市政府が発表した同火災による死者は10人(従業員9人、客1人)で、これに異を唱えた民間の調査機関が発表した死者数378人とは大きく異なっていた。後者の数字は丹念に聞き込み調査を行った結果であり、正しい数字と考えられる。この天津市政府による死者数の隠蔽工作は、当時“天津市共産党委員会”書記であった“張高麗”が自己の業績に傷をつけることなく、中国共産党中央政治局常務委員に昇格することを目的として行われたものだった。この結果、張高麗は2012年11月に党中央政治局常務委員に昇格できた。
この例からも分かるように、中国では事故による死傷者数を過少報告するのが一般的であり、国務院の調査チームによる調査結果であろうとも、その死傷者数を鵜呑みにできない。天津爆発事故による一般住民の死者数は、爆発後の現場写真や当時の目撃者談などから判断して少なくとも数百人に上るものと考えれられるが、その実態は定かではない。
それにしても、官製発表で死者・行方不明者173人を含む直接経済損失68.66億元を出したにもかかわらず、その事故発生の直接責任者である於学偉(瑞海公司董事長)に死刑執行猶予2年の判決が出たことは、中国の庶民に驚きを持って受け止められた。死刑執行猶予2年は、猶予期間の2年間に故意の犯罪を行わなければ、2年の満期後に無期懲役に減刑されるし、2年の猶予期間中に大きな功績を立てたと認められれば、猶予満期後に懲役25年に減刑される。猶予期間中の死刑囚の評価は、“監獄(刑務所)”およびその上部組織の“司法局”によって行われるから、於学偉がいつの間にか懲役25年に減刑され、さらに服役態度が良好であるとの理由でさらなる減刑が行われる可能性もあるのだ。
三者による癒着か
ところで、話は変わるが、2014年12月13日に山西省“太原市”で“農民工(出稼ぎ農民)”の“王奎林”、その父親の“王友志”、母親の“周秀雲”など10人ほどが住宅団地“龍瑞苑”の建設現場へ押しかけて未払い給与の支払いを要求した。建設現場の警備員はこれを阻止しようと彼らに対峙し、両者の間で激しい口論が行われた。その間に警備員からの通報を受けた“龍城派出所”から3人の警官が現場へ到着したが、彼らは周秀雲に罵声を浴びせて殴り殺し、王友志にも肋骨を骨折する重傷を負わせた。王奎林からの訴えを受けて、“太原市公安局”は12月30日に警官の“王文軍”、“郭鉄偉”、“任海波”の3人を職権濫用罪の容疑で逮捕したのだった。
同事件の裁判は2015年5月に“太原市中級法院(地方裁判所)”で開廷となり、被告人3人に対する“故意傷害罪”および“職権濫用罪”の容疑に関する審議が行われて結審した。ところが、なぜか判決の宣告日が次々と5回も延期され、1年半後の2016年11月10日にようやく待ちに待った判決が言い渡された。太原市中級法院が下した判決は以下の通りだった。
主犯の王文軍を過失致死罪で懲役4年、職権乱用罪で懲役2年2か月とし、両者を併合して懲役5年に処す。刑期は判決執行の日から計算するものとし、判決執行前の拘留期間を差し引き、2014年12月27日から2019年12月26日までとする。また、郭鉄偉と任海波の2人は執行猶予とする。
事件当時、王文軍は周秀雲を殴り殺したが、周秀雲が全く動かくなったにもかかわらず、彼女の頭髪をつかんで捩じり上げ、数分かけて首をねじ切った。もうその時には周秀雲は何の反応も示さず、死亡は確実だったが、王文軍は周秀雲が死んだ振りをしているとして、周秀雲の頭を足で踏みつけたのだった。こうした事実がありながら、王文軍に適用されたのは「過失致死罪」であって、「故意殺人罪」ではなかった。判決文には次のように書かれている。
被告人の王文軍は、公務執行中に被害者の周秀雲に対して素手で頭部を捻じ曲げて制止しようとした措置は不当であり、明らかに合理的限度を超えて死に至らしめており、その行為は過失致死罪を構成する。被告人の郭鉄偉は公務執行中に職権乱用で1人に軽傷を負わせたことにより、職権乱用罪を構成する。また、被告人の任海波は故意に1人の身体に軽傷を負わせたことにより、故意傷害罪を構成する。但し、郭鉄偉と任海波は犯罪の情状が軽く、罪を悔いていることから、2人を執行猶予とする。
父親の王友志は郭鉄偉か任海波のどちらかによって肋骨を骨折させられる重傷を負ったのだが、裁判官はそれを軽傷として処理しているのである。宣告日が5回も延期されて1年半も放置されたのはなぜか。その理由は言わずもがなで、太原市公安局、“太原市検察局”、太原市中級法院の三者による癒着と考えられ、公安局の要求を受けて、判決文は当初の内容から大幅に書き換えられた可能性が高い。判決後にメディアの取材に答えた王友志は、判決内容に不満を表明しつつも、控訴しても判決が変わる可能性は極めて低いとして、上訴するかの問いに消極的な姿勢を示した。
蒸し返す方法はない
上述した2件の裁判は2016年11月9日と翌10日にそれぞれ判決が下されたが、その内容はいずれも中国共産党中央委員会総書記の“習近平”が標榜する「法治国家」と「法の下の平等」からは遥かに遠いものだった。天津爆発事件の被害者たちが一審判決を不満として控訴したとしても、為政者たちが政治的思惑や恣意的理由で決めた判決は決して変えられることはないのだ。諺に言う「“秀才遇上兵, 有理説不清(泣く子と地頭には勝てぬ)”」は、今なお中国社会全体を貫く真理としてまかり通っている。
2015年8月に世界中を驚かせた天津爆発事件は、11月9日に49人の被告に対して下された判決によって一つの区切りがつけられた。今の中国にこれを蒸し返す方策はない。
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『トランプ政権、沖縄含む海外基地800か所総点検 日本には米軍駐留経費とTPP再交渉要求か』(11/18日経ビジネスオンライン 高濱賛)、『トランプ政権に“史上最強”の海軍長官が誕生か?海軍を中心に「強い米軍」の復活を誓うトランプ新大統領』(11/17JBプレス 北村淳)について
11/18大前研一メルマガ<米トランプ次期大統領・日米関係・TPP・米欧関係 ~米軍の駐留経費を100%負担する方針で交渉を進めるべき
| 米トランプ次期大統領 円滑な政権移行で一致 | |
| 日米関係 「トランプ・ショック」が日本の外交・安全保障に波紋 | |
| TPP 「年内議会提出は確実にない」 | |
| 米欧関係 トランプ氏勝利の影響を協議 |
米軍の駐留経費を100%負担する方針で交渉を進めるべき
米国のトランプ次期大統領は10日、ホワイトハウスでオバマ大統領と会談し、円滑に政権移行を進めることで一致。
オバマ氏は外交、内政の重要事項を話し合ったと明らかにしたうえで「これから2カ月間の最優先事項は政権移行を円滑に進めることだ」と述べたとのこと。
トランプ氏の動向を見ていると、今のところ慎重な姿勢を見せています。しかしトランプ氏が1人で動き出したら、元の木阿弥になる可能性も十分あります。
どのような政権にするかが重要です。今のところ政権のメンバーとして有力な人たちというと、ジュリアーニ元ニューヨーク市長、クリス・クリスティ・ニュージャージー州知事など、率直に言って嫌われ者連合といったところです。
旧聞に属する人たちが周りを取り囲んでいて、その人達が重要閣僚になると言われています。
日本への影響として、トランプ氏の米大統領就任で、日米関係に最も影響を与えそうなのが在日米軍の駐留経費問題だと報じられています。
トランプ氏は選挙戦で、米軍駐留経費を日本政府が100%負担しない場合の米軍撤退も示唆していました。
慌てた日本政府は、在米大使館を中心にトランプ陣営と接触し、説明を重ねてきたとのことですが、現在の両国間のガイドラインによると、一方的に米国が「さようなら」というわけにはいかないのも事実です。
また米国にとっても、実は「日本からさようなら」することは決して得ではない、と私は思います。
国別の駐留米軍兵士の数を見ると、世界の中でも米軍兵士は日本に最も多く駐留していることがわかります。
日本に続いているのが、イラク、ヨルダンなどの中央軍管轄地域、そしてドイツ、韓国、イタリアです。
経費負担の割合で見ると日本75%に対してドイツは40%ほどですから、日本に米軍を駐留させるのは「得」なのです。現在のグアム駐留数は約5600人。これを4万人にするのは、米国にとっても非常に難しいと思います。
日本側から見ても、トランプ氏が言うように「全額負担」することは決して損ではないと私は思います。
日本はすでに関連費用を含めて駐留経費を約7000億円支払っています。米軍の駐留経費全額となっても、追加で約4000億円程度です。私なら全額支払うと言うでしょう。
米軍に出ていってもらって、自衛隊で置き換えればいいという意見もありますが、これはすぐに実現することは無理です。
日本の自衛隊は「専守防衛」の方針ですから、攻撃型の兵器を保有していません。ですから、例えば中国と問題を起こした場合、自ら攻撃することができないのです。これでは外交上「なめられる」のは間違いないでしょう。
今から攻撃型の兵器を作れば?と言っても一朝一夕にはできません。攻撃型兵器の代表格である空母は、4年~5年で開発できるものではありません。
中国でさえ、空母の開発にあたってはウクライナから調達したものがあった上で、さらに5年~6年の時間を要しました。
トランプ・ショックと言われますが、逆に言えばお金さえ払えばいいのですからチャンスだと思います。
日本の防衛費はGDPの1%で約5兆円。そのうちの10分の1程度の4000億円を支払えばいいだけのことです。
米国にとっても軍事力削減にならずメリットがあることを伝え、この交渉を成立させることがこれからの数ヶ月の重要課題の1つだと思います。
TPPが見送りになっても、日本にとって致命的ではない
米マコネル上院院内総務は9日「環太平洋パートナーシップ協定(TPP)が年内に議会に提出されることは確実にない」と述べました。
米大統領選でTPP脱退を掲げた共和党のトランプ氏が勝利したことを受けて、オバマ政権が目指す年内の議会承認を見送る考えを表明しています。
日本の通商政策は再びゼロから構築する必要が出てきました。とは言え、TPPがなくても去年・今年と同じ状態ですから、それほど戦々恐々とする必要もないでしょう。
TPPは日本が攻め込まれることも多い部分があるのですが、トランプ氏は完全に勘違いをしています。特にサービス産業や知的産業では米国に対して、相当の譲歩を求められていました。
トランプ氏の頭にあるのは工場のことで、中国をメインで想定しているはずです。今後、TPPの方針については修正が入るでしょうが、取り敢えず延期されたというのは、日本にとっては、ある意味、不幸中の幸いとも言えます。
悲観的なのは欧州です。欧州連合(EU)は11日、通商担当相理事会で、米大統領選でトランプ氏が勝利したことが米欧交渉に及ぼす影響を協議しています。
通商交渉を担うマルムストローム欧州委員は米欧が交渉中の自由貿易協定(FTA)は「かなり長い間、冷凍庫の中に入るだろう」と述べ、交渉再開に数年を要する可能性をにじませたとのことです。
メキシコに工場を持つ自動車メーカーは、日本よりもむしろ米国メーカー
日経新聞は11日、「トランプの壁、マツダに試練」と題する記事を掲載しました。米大統領選で勝利したトランプ氏がちらつかせる北米自由貿易協定(NAFTA)からの脱退。
これが現実になればマツダが乾坤一擲の勝負で建設したメキシコ工場が、北米開拓の要衝としての機能をそがれると紹介。
マツダの試練は多くの日本車大手にとって人ごとではないと報じています。今、日本企業は米国よりもメキシコに工場を作るのが盛んですから、確かにこれは大変な事態を招きます。
メキシコで作ったものが安い関税で入ってくれば、米国の消費者も助かるはずです。
自動車生産台数で、メキシコは世界7位。メーカー別の新車生産台数を見ると、1位の日産、GM、フィアット・クライスラー、フォルクスワーゲン、フォードと続きます。
日産は古くからメキシコに進出していますが、その他の日本メーカーはメキシコ進出が遅れており、むしろ米国メーカーが積極的にメキシコに進出しています。
米国自動車メーカーが団結して、トランプ氏に物申すべきだと私は思います。
確かに新しい工場を作ったばかりのマツダには痛手でしょうが、トヨタ、ホンダ、日産など日本メーカーは米国内でも400万台の生産体制を保有していますから、「この世の終わり」というほどではありません。関税の割合にもよりますが、大変な事態ではあるものの、それほど悲観的になりすぎる必要はないと思います。>(以上)
11/19NHKニュース<トランプ氏 安全保障政策担当の大統領補佐官にフリン氏起用
11月19日 5時00分
アメリカのトランプ次期大統領は、安全保障政策を担う大統領補佐官にフリン元国防情報局長官を、また、司法長官に強硬な不法移民対策を主張するセッションズ上院議員を、それぞれ起用すると発表し、このあと重要ポストの国務長官と国防長官に誰を起用するのか、注目されます。
トランプ次期大統領は18日、ホワイトハウスで安全保障政策を担当する大統領補佐官にマイケル・フリン元国防情報局長官を、司法長官にジェフ・セッションズ上院議員を、さらに、CIA=中央情報局長官にマイク・ポンぺイオ下院議員を起用すると発表しました。 大統領補佐官に起用されたフリン元長官は陸軍の退役中将で、大統領選挙では早くからトランプ氏を支持し、外交や安全保障の分野で助言を行ってきました。 また、司法長官に起用されたセッションズ上院議員と、CIA長官に起用されたポンペイオ下院議員も、共和党の中でいち早くトランプ氏への支持を表明し、とりわけセッションズ議員は、強硬な不法移民対策を主張して、トランプ氏の発言にも影響を与えてきたと見られています。 トランプ氏は、4年前の大統領選挙の共和党の候補者だったロムニー氏との会談を予定するなど、政財界の要人らと意見を交わしながら、新政権の人事に向けた党内の調整を進めていて、アメリカの外交と安全保障の鍵を握る国務長官と国防長官に誰を起用するのか、注目されます。
フリン氏の経歴と起用の狙い
安全保障担当の大統領補佐官に起用されたマイケル・フリン元国防情報局長官は57歳。アメリカ陸軍の退役中将で、大統領選挙でアメリカの外交・安全保障を担ってきた元政府高官ら、多くの専門家が反トランプ氏の姿勢を鮮明にする中、早くからトランプ氏への支持を表明して選挙運動でも積極的に演説を行い、外交・安全保障政策の顧問を務めた側近の1人です。 アメリカ陸軍の現役時代には、アメリカ中央軍の情報部門の責任者を務めるなど、情報分野の専門家としてイラク戦争やアフガニスタンでの対テロ作戦にも関わり、国防情報局長官に就任しましたが、上層部との確執などから任期途中で退役を迫られたとされ、以来、オバマ政権のテロ対策に批判的な立場を示してきました。 一方、選挙期間中のことし7月のNHKとのインタビューで、日米関係について、「極めて重要なパートナーで、強固な関係を持ち続ける」と述べ、日米同盟を重視する姿勢を強調しながらも、トランプ氏がアメリカの厳しい財務状況を踏まえ、同盟関係を再検証するべきだとしていることは支持していました。 フリン氏の起用について、トランプ氏は声明で、「イスラム過激派組織を打ち負かすため、側近として迎え入れることを誇りに思う。私の政権で、かけがえのない存在となるだろうと」と述べ、フリン氏への期待を示しました。 トランプ氏としては、最優先課題に掲げる過激派組織IS=イスラミックステートの壊滅に向け、フリン氏を新政権の外交・安全保障政策の要となる大統領補佐官に起用することで、この分野でのみずからの経験不足を補う狙いもあると見られます。>(以上)
大前研一氏はボーダレスエコノミーを唱えていて、考えはグローバリズムに近く、胡散臭いと思っています。結局、欧米で起こっているのは移民・難民政策の失敗ではないですか。西尾幹二氏は早くからヒトの自由な移動(外国人労働者)の危険性を指摘していました。それは少し考えれば皮膚感覚で分かるでしょう。異質なものを体内に取り込めば、免疫反応が起きるのと同じです。況してやその国に同化しようとしない人達です。日本の在日も反日活動に現を抜かし、一切同化しようとしません。在日特権まで主張、パチンコの脱税、北への送金、ヤクザの幹部等日本にとって良いことは一つもありません。反日活動に勤しむもの、反社会的組織に繋がるものは本国へ送還すべきです。またパチンコ税を作ってきちんと売上を捕捉すべきです。
高濱氏や北村氏の記事は少し、古くなっています。国防長官候補として名前の挙がっていましたセッションズ上院議員は司法長官になりました。また国務長官候補としてはミット・ロムニーの名前も挙がっています。トランプはキッシンジャーから外交について教えを乞うているようですが、中国の金塗れになっている時代遅れの人間に聞いても、中国に有利な方式を示すだけでしょう。時間の利益を中国に与えるだけです。保守派の若手にもジョージ・ケナンの弟子のような人たちは沢山います。E・ルトワックのように。中国包囲網を形成しないと、世界の平和は守れません。彼らの意見を参考にして外交を行ってほしいと考えます。
海軍長官には北村氏記事にありますように、ランディ・フォーブス議員がなって、海軍力を増強してほしいです。中国が嫌がるというのですから本物でしょう。金を貰っていないという事です。
高濱記事

ジョン・ボルトン氏(右)。トランプ政権の国務長官候補として名前が上がる(写真:AP/アフロ)
—改革者か、解体屋か。いよいよ、ドナルド・トランプ氏が第45代大統領に就任することが決まりました。
高濱:まさに「海図なき航海」の始まりです。
トランプ氏は当選から6日目、ホワイトハウスの要となる首席補佐官にラインス・プリーバス氏を起用しました。共和党全国委員長を務める若干44歳の人物です。
当初、首席補佐官の有力候補と目されたスティーブン・バノン氏(62)は首席戦略官・上級顧問に落ち着きました。同氏は保守系「ブライトバート・ニュース」(Breitbart News)の経営責任者。選挙中には親トランプ報道を流し続けました。トランプ氏とは肝胆相照らす仲と言われています。
ハーバード経営大学院卒の切れ者です。いつも長髪にノーネクタイで、一見したところ左翼活動家に見えるのですが、筋金入りの保守主義者。新興右翼「アルタ・ライト」*の有力メンバーの一人でもあります。このため、この人事を一部メディアは「人種差別主義者がホワイトハウス入りするのか」と批判しています。
*:アルタ・ライト(Alt-Right=Alternative Right)。保守本流に反発してできた極右グループ。反移民、反多文化、反PC(ポリティカル・コレクトネス)。大統領選では終始一貫してトランプ候補を支持、応援してきた。2008年に保守派の哲学者、ポール・ゴットフライド氏が命名した。
人事で早くも「トランプ経営術」適用
—首席補佐官と言えば、日本でいえば官房長官ですよね。もっとも、記者会見は米国では報道官がやりますが…。プリーバス氏はどんな経歴の人物ですか。
高濱:同氏は俳優のトム・ハンクス似。典型的な「老人キラー」です。ブッシュ一族やミット・ロムニー前共和党大統領候補など共和党主流派から可愛がれています。このため、この若さで党全国委員長を務めてきました。ところが今回の選挙では、党内主流派がトランプ阻止に躍起となっている時も洞ヶ峠を決め込んでいました。トランプ氏が勝つ、と読んでいたとすれば、先見の明のある男ですね。
—当選から1週間たって、トランプ氏はこれまで主張してきた移民対策を部分修正したり、日韓の核武装を容認する発言を否定したりするなど「変化」が見られますね。
高濱:トランプ氏は選挙中、メキシコからの不法移民を入境させないために巨大な壁を作ると公言していました。ところが13日のテレビ・インタビューでは「部分的に作る。壁じゃなくてフェンスのようなものを作る」と軟化しています。 (”President-elect Trump speaks to a divided country on 60 minutes–CBS,” 11/13/2016)
—国務長官はボルトン元国連大使?
さて関心を呼んでいる閣僚人事。国務、国防、財務各長官候補として今下馬評に上がっているのはどんな人たちですか。
高濱:実はトランプ氏自身、前述のインタビューで「閣僚名簿はすでにある」と明言しています。「無論、中身はいえないけど」と付け加えています。それを承知で、11月中旬時点で米メディアが挙げている候補たちを列挙しておきます。
■国務長官
ジョン・ボルトン元国連大使(68)。弁護士出身。現在保守系シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ研究所上級研究員。イエール大学法科大学院ではクリントン夫妻と同級生。
ボブ・コーカー上院外交委員会委員長(テネシー州選出=64) 同州チャタヌーガ市長。テネシー大学卒。 リチャード・ハース国務省元政策立案局長(ジョージ・W・ブッシュ政権=65)。大統領国家安全保障担当副補佐官(ジョージ・W・H・ブッシュ政権)。現職は外交問題評議会理事長。オックスフォード大学卒。
ニュート・ギングリッチ元下院議長(ジョージア州選出=73)。2012年の大統領戦予備選に立候補(予備選途中で脱落)。ツーレイン大学法科大学院卒。
■国防長官
ジェフ・セッションズ上院議員(アラバマ州選出=70)。元アラバマ州南部地区連邦検事。退役陸軍大佐。アラバマ大学法科大学院卒。
スティファン・ハドリー元大統領国家安全保障担当補佐官(ジョージ・W・ブッシュ政権、=69)、国防副次官(ジョージ・W・H・ブッシュ政権)。イエール大法科大学院卒。
マイク・ロジャーズ元下院情報特別委員会委員長(ミシガン州選出=53)、元FBIエージェント。同州上院議員。同州のアドリアン大学卒。
■財務長官
スティーブン・ムニューチン元ゴールドマン・サックス共同経営者(54)。トランプ選挙対策本部財政担当、イエール大学卒。
トーマス・バラック元財務副次官(レーガン政権=69)。エクエティ不動産投資会社「コロニー・キャピタル」創業者、レバノン系二世。南カリフォルニア大学.サンディエゴ大学法科大学院卒。 (”Scramble begins to fill Trump national security ranks,” Kristina Wong, The Hill, 11/13/2016)
TPP担当の通商代表部代表には超大物か
—それで対日外交はどうなるんでしょう。
高濱:まず環太平洋経済連携協定(TPP)です。
トランプ氏は選挙中、終始一貫して同協定に反対してきました。トランプ氏の通商戦略ブレーンは2人います。一人はタフト大学フレッチャー経営大学院のダン・ドゥレズナー教授。もう一人は鉄鋼大手ヌーコアの元会長、ダン・デミコ氏です。後者は政権移行チームの通商問題アドバイザーを務めています。
デミコ氏はテレビ・インタビューでこう述べています。
「TPPの問題点は米国からの輸出ばかりを重視して、輸入面を考えていないこと。同協定が実施されると、諸外国、特に中国からの輸入で米製造業は打撃を受ける。私は自由貿易賛成派だ。しかしTPPはバッド・アグリーメント(悪い協定だ)だ」
トランプ政権にとってTPPと対中通商・為替政策とは表裏一体のようです。TPPは一部を修正する構えです。日本との再交渉を求めるのは必至です。
シカゴ国際問題評議会(CCGA)のフィル・レビイ上級研究員は、TPP再交渉を見据えて、「トランプ大統領はタフで抜群の頭脳の持ち主を通商代表(USTR)に据えるだろう」と述べています。同氏は「通商政策について、世の中のことを熟知した大人(Adult)が表に出てくれば、市場も金融筋も安心するだろう」と意味深長な指摘をしています。 (”Trade Under Trump,” Phil Levy, Foreign Policy, 11/10/2016)
上記の二人のうちどちらかがUSTR代表として前面に出てくるのか、あるいは大物政治家を起用するのか、注目されます。
その前段としてトランプ氏は就任と同時に、既に発効している自由貿易協定すべてを精査するチームをスタートさせます。就任と同時に国務、国防、商務、財務など16の省庁からの代表で構成する米国外国投資委員会(Committee on Foreign Investment in the United States=CFIUS)と通商代表部に、北米自由貿易協定(NAFTA)など既存の協定の下で米企業の利益が適切に守られているかどうかを調査させる。それを受けて、協定締結国に代表を派遣して、改定を念頭に入れた再交渉を開始すると言われています。おそらくTPPにも、こうした手段を適用するものと見られます。
TPPに対してトランプ政権が具体的な動きを示すのは、NAFTAが片付いてからだろうと思われます。
日米安保で注目は日系のミズサワ退役中将
—日米安保条約の片務性や在日米軍駐留費の扱いはどうなるのでしょう。
高濱:トランプ氏の政策は、これまで日米安保問題で現状維持を唱えてきた知日派軍事専門家の人たちとは一線を画します。米軍事エスタブリッシュメントにも地殻変動が起こり始めています。これまで少数意見派だった専門家が脚光を浴び始めました。
その一人、保守系シンクタンク「ケイトー研究所」のダグ・バンドウ上級研究員はトランプ政権が取り得る対日政策をこう予見しています。
「知日派は『日本はホスト・ネーション・サポート(在日米軍駐留経費負担)として年間17億ドル拠出している』と弁護する。あたかも『米国がより多くの国を守れれば、米国の国防費はそれだけ安上がりで済む』と言っているようなものだ。まるで『ねずみ講』(Ponzi scheme)のような論理だ。(海外基地など縮小して米国内に)新たな部隊を編成したほうが安上がりなのは火を見るよりも明らかなのにだ」
バンドウ氏の論文のタイトルにある「Ripped Off」とは「法外なカネを騙されてとられる」という意味です。バンドウ氏は、同僚の研究者の試算を引用して、「同盟国が正当な分担をすれば年間1500万ドルの国防費が節約できる」と言い切っています。 (”Ripped Off,” Doug Bandow, www.cato.org., 9/12/2016)
もう一人、対日政策では重要なエキスパートがトランプ氏の側近として控えています。ハワイ生まれの日系退役陸軍中将、バート・ミズサワ氏(59)です。ウエストポイント陸軍士官学校を卒業した後、軍役に就きました。その後ハーバード法科大学院で博士号を取得したまさに「文武両道」のエリートです。
早くからトランプ陣営にはせ参じ、安全保障政策でトランプ氏のブレーンの一人になっています。在日米軍基地での勤務を経験し、日米安保体制を第一線で身近に見てきただけに防衛分担については一家言あるはずです。最近米紙に寄稿したオピニオン欄で次のように述べていました。
「商人ではなく外交官がもったいぶった商取引(the most consequential deal)をし、合意に達した文書が安全保障や通商に関する条約や協定だ。それは国と国とが取り交わす契約(コントラクト)である。外交交渉の結果作られた協定や条約は往々にして長期的に永続する。それは納税者、つまり米国民への実質的な利益とは無関係に続けられる。国際的コミットメントは当初の目的に照らして見直し、改める(de novo)するのは常識であり、理に適っている」
「欲しいものを得るには相手を脅せ」
米国は現在、160か国800か所の米軍基地に米兵を駐留させ、年間150億ドルを費やしています。ミズサワ氏は、これら基地の閉鎖・縮小を含む見直しを主張しているわけです。
米側の資料によると、この150億ドルのうち在日米軍基地には55億ドルが向けられています。日本は現在19億ドル(約1900億円)を負担しています。ピーク時には2756億円(約28億ドル)だったこともあります。米財務省は、日本が安全保障関連法を施行したのに伴って自衛隊の活動が拡大することも踏まえ、駐留費の米国分担分を減額する必要があると提言しています。
さて、トランプ次期大統領が在日米軍駐留経費問題でどのような提案をしてくるのか。
ハーバード大学国際研究センター所長のグラハム・アリソン博士はこう見ています。「トランプ氏は、交渉事は相手を脅さない限り、自分の欲しいものを手に入れることはできないと固く信じているネゴシエーターだ」。
TPPと駐留費問題は日本にとってまさに「前門の虎、後門の狼」。安倍晋三首相はトランプ次期大統領に最初に会った外国首脳などと喜んでいる場合ではありません。「トランプ襲来」が刻一刻と迫っています。 (”Q&A: How Much Do U.S. Military Bases in Japan and Korea Cost?” Yuka Koshino, The Wall Street Journal, 4/28/2016) 参考:財政制度分科会(平成27年10月26日開催)記者会見、財政制度等審議会財政制度分科会、財務省、10/26/2015)
北村記事

米軍関係者はトランプ氏の軍事力強化策に大きな期待を寄せている。バージニア州のノーフォーク海軍基地で整列する潜水艦乗組員(出所:米海軍、photo by Chief Petty Officer Darryl I. Wood/Released)
アメリカの「反トランプ」メディアが垂れ流す報道を受け売りし、トランプ候補の“暴言”を興味本位に取り上げていた日本のメディアにとって、トランプ大統領の誕生は「青天の霹靂」といったところであったようだ。
しかしながら、トランプ陣営による「350隻海軍の建設」や「フィラデルフィア海軍工廠の復活」をはじめとする海軍増強策や、その他の軍事力強化策に期待を抱いていたアメリカ軍関係者やシンクタンクの研究者たちにとって、クリントン氏の敗北は青天の霹靂でもなんでもなく、まさに期待していた通りの結果であった。
トランプ陣営が打ち出す軍事力強化策や国防政策は、88名に及ぶ現役の提督や将軍たちに公的に支持され、幅広い国防関係者たちの間でもトランプ支持が広まっていた。そうした状況を、日本の多くのメディアは把握していなかったようだ。
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トランプ次期政権の軍事力強化策
トランプ陣営が打ち出す軍事力強化策は「350隻海軍」だけではなく、より広範囲にわたっている。
選挙期間中にトランプ候補が直接公言した施策や、トランプ陣営の軍事アドバイザーたちが語った増強策などのうち、主だったものは以下の通りである。
(1)オバマ政権によって45万まで削減されることになっているアメリカ陸軍兵力を、54万のレベルにまで増強する。
(現在の兵員数はおよそ49万だが、オバマ政権の削減案が達成されると、2018年度には45万になる。)
(2)現在のところアメリカ空軍は、戦闘機を1113機しか保有していないが、それを1200機以上のレベルに増強する。
(3)アメリカ海軍と行動を共にする“アメリカの尖兵”であるアメリカ海兵隊はオバマ政権下で兵力18万まで削減されたが、それを20万まで戻す。
(4)最先端のサイバー技術への投資を加速し、サイバー防衛能力ならびにサイバー攻撃能力を飛躍的に強化する。
(5)最新の弾道ミサイル防衛能力を強化する。
(6)現在およそ250隻の主要戦闘艦艇を350隻レベルに増強する。
(7)フィラデルフィア海軍工廠を復活させ、「アメリカの鉄で、アメリカの技術者・労働者の力で、アメリカの軍艦を建造する」能力を飛躍的に増大させる。
(8)海軍関係の艦艇船舶建造費として、毎年200億ドル(およそ2兆円)の予算を計上する。
(9)タイコンデロガ級巡洋艦の近代化改修を急ぎ、すべての巡洋艦に弾道ミサイル防衛能力を付与する。
(未改修22隻の巡洋艦にこのような改装を施すには、およそ50億ドルと数年間の時間が必要となる。)
(10)オバマ政権が建造数を40隻程度に削減してしまった、21世紀型海軍戦略での活躍が期待される沿海域戦闘艦(LCS)を50隻レベルに引き戻す。
(11)財政的理由により新規建造が足踏み状態に陥ってしまっていた攻撃原子力潜水艦を毎年2隻のペースで建造し、配備数を速やかに増強する。
これらの軍事力増強策のなかで最も予算を必要とするのは、言うまでもなく、多数の新鋭軍艦を建造することになる海軍力増強策である。海兵隊も海軍とともに海軍省の一員であるため、トランプ次期政権の軍事力増強案の根幹は「海軍力増強」であると言っても過言ではない。
アメリカが地政学的には広大な疑似島国である以上、海軍力の強化を中心に据えて「強いアメリカの再興」を計る方針はごく自然なものであると言えよう。
海軍長官の筆頭候補、フォーブス議員
アメリカ海軍をはじめ、海軍関係専門家たち、それにアメリカ軍指導者たちや軍需企業関係者たちは、トランプ陣営が打ち出す海軍増強策が現実のものとなるであろうと考えている。その理由は、トランプ次期大統領の軍事政策顧問の1人にランディ・フォーブス連邦下院議員が名を連ねているからである。
バージニア州選出のフォーブス下院議員は、下院軍事委員会・海軍遠征軍小委員会委員長の重責を担ってきており、海軍政策のエキスパートとして海軍関係者や海軍戦略家・研究者などからも高い評価を受けている人物である。
かねてよりフォーブス議員は「350隻海軍」「200億ドル建艦費」を唱道してきており、トランプ陣営はフォーブス議員の提案を全面的に受け入れていることが明白だ。そして、このような海軍増強策を前面に押し出してきたランディ・フォーブス氏が、トランプ政権における海軍長官の筆頭候補と目されているのだ。
だからこそ、海軍首脳や海軍関係者たちはトランプ政権の誕生を期待し、選挙で勝利した現在、“大海軍建設”計画が始動する可能性がほぼ確実になったことに胸をなで下ろしているのである。
中国海軍にとっては“最悪の海軍長官”
アメリカ海軍関係者たちとは逆に、中国人民解放軍とりわけ中国海軍は、フォーブス議員が海軍長官に就任することに関しては大いに当惑しているはずである。
というのは、海軍戦略に造詣の深いフォーブス議員は、当然のことながら中国海軍の動向にも精通しており、アメリカならびに日本などの同盟諸国の安全保障を全うするためには中国が推し進めている覇権主義的海洋拡張戦略を食い止めなければならないと主張しているからである。
海軍戦略分野における対中強硬派の代表格であるフォーブス議員による、中国に対して封じ込め的なスタンスをとるべきであるとする主張は、以下のように本コラムにもしばしば登場しているので再確認していただきたい。
・「ホノルル沖に出現した招かれざる客、中国海軍のスパイ艦「北極星」」(2014年7月24日) http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41297
・「国産地対艦ミサイルの輸出を解禁して中国海軍を封じ込めよ」(2014年11月13日) http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42188
・「窮地に立たされ日本を利用しようとする米国」(2015年7月9日) http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44247 ・「オバマ政権も海軍も 中国と波風を立てたくない米国」(2015年9月3日) http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44673
・「中国潜水艦がフランスを見習って米空母を“撃沈”」(2015年12月24日) http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45617
・「大迷惑な中国海軍、またもリムパックに堂々参加」(2016年6月9日) http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47034
・「リムパックで海上自衛隊を露骨に侮辱した中国海軍」(2016年8月4日) http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47516
国防長官候補のさらに強力な助っ人
トランプ陣営には、フォーブス議員以上に強力な軍事政策顧問が控えている。アラバマ州選出のジェフ・セッションズ上院議員である。
上院軍事委員会委員であるセッションズ上院議員は、トランプ陣営が安全保障政策の根幹に据えている「PEACE THROUGH STRENGTH」すなわち「強力な軍事力こそが平和な国際関係を実現するための原動力となる」という平和哲学の権化であり、トランプ政権における国防長官の筆頭候補と目されている。
同議員はリアリストの立場から、アメリカの国防政策、そして軍事力の再編を推し進めようとしており、フォーブス議員が提案している海軍拡張計画を財政的に実現化させるべく、国防戦略のレベルにおける諸提言を展開している。
セッションズ“国防長官”とフォーブス“海軍長官”が誕生すれば、トランプ次期大統領の「偉大なアメリカの再現」の原動力となる「強い米軍の復活」が極めて現実的なものとなることは間違いない。
ただし日本にとっては、アメリカから大幅な防衛費の増大と自主防衛能力の強化が強力に求められることになるのは確実である。その事情については次回に述べさせていただきたい。
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『日韓軍事情報協定めぐり韓国で巻き上がる反対論 大統領スキャンダルの最中になぜ急ぐ?朴大統領に任せられないと野党反発』(11/16日経ビジネスオンライン 趙章恩)について
この期に及んでも財務省は日韓通貨スワップを再開させようと目論んでいます。日本弱体化の旗振りをしている官庁は「財務省、外務省、文科省、法務省」が四天王でしょう。日韓議員連盟会長の額賀とか日韓親善協会会長の河村とかの圧力を受けているのかもしれませんが、国民感情から乖離し過ぎです。「従軍慰安婦」は嘘であったというのが2014年8月の朝日新聞の報道で明らかにされ(朝日新聞は誤報を世界に向けては報道していない、yellow paperです)、それを知っているのにも拘らず、世界に日本を貶めるプロパガンダを続けてきました。 日本人もいい加減怒りをあらわにした方が良いでしょう。先ずは親韓派議員に圧力をかけ、次の選挙は応援しないとメールを選挙事務所に送ることです。多分解散が12月か明年1月にはあるでしょうからこれは堪えるでしょう。『非韓三原則』が正しい道です。甘やかすからつけ上がる幼稚な民族です。日本を貶めた代償は大きかったことを体で覚えさせないと。下のURLは通貨スワップで青山繁晴氏が怒ったというものです。
http://deliciousicecoffee.blog28.fc2.com/blog-entry-6447.html
官僚の失態と言えば外務省につきます。安倍首相にヒラリーとしか会談させなかった手落ちについて下の記事のように外務省が言い訳していますが、信じられません。トランプとの人脈は安倍・トランプ会談時にマイケル・フリンも同席していたと11/19日経にありましたので、官邸ルートでしょう。マイケル・フリンは菅官房長官や長島昭久議員と会っています。この記事は外務省が嘘を言っているか、記者が妄想を逞しくして書いたとしか思えません。
11/19日経<トランプ大統領と米国(5)「話が違うじゃないか」
「大変あたたかい雰囲気で会談できた」。首相の安倍晋三(62)は17日夕(日本時間18日朝)、ドナルド・トランプ(70)と笑顔で写真におさまった。

電話協議に向け必死に人脈をたどった(10日、官邸に入る安倍首相)
もともと安倍は19日からペルーで開くアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の前に米ニューヨークに立ち寄り、米次期大統領との会談を狙っていた。唯一かつ大きな誤算は、その相手をヒラリー・クリントン(69)とみていたことだ。
なぜか。「クリントン勝利の流れは変わりません」。外務省はこう報告し続けていた。9日夕の首相官邸。安倍はトランプ勝利を報告しに来た外務省幹部に「話が違うじゃないか。とにかく早く電話で話したい」といら立った。その場に外務次官の杉山晋輔(63)はいなかった。
9月の安倍の訪米時。外務省はクリントンとの会談だけを設定。安倍は「トランプ側にも仁義を切った方が良いんじゃないか」と漏らす。そこで外務省はトランプの経済顧問、ウィルバー・ロス(78)との面会も決めたが、クリントンの反応を気にして会談は秘密にした。
「クリントンが勝つと決めつけない方が良い。保険を掛けよう」。こう主張していたのは駐米大使の佐々江賢一郎(65)だ。公使の岡野正敬(52)らにトランプ人脈開拓を指示していた。投開票日の数日前には、トランプに近い関係者に外務省側から「勝利した時には安倍首相から電話したい」と打診。政府高官によると、トランプ側は「祝いたいと電話してきた国は初めてだ」と喜んだという。
安倍が9日夕に「電話協議」を指示したことを受け、外務省は佐々江らの面会記録などをもとにトランプ人脈に片っ端から当たり、どうにか10日朝の安倍・トランプの電話にこぎつけた。首相周辺は「投開票数日前の打診が効いた」とも話す。
「予想していたわけでは必ずしもない」。9日午後、財務官の浅川雅嗣(58)はトランプ優勢の報に漏らした。浅川もクリントン政権なら財務長官候補とされる人物と親交があった。だがトランプ側とのパイプはほぼゼロ。16日にニューヨーク入りし、人脈づくりを始めている。
「大統領がトランプさんなら、それはそれでいいじゃないか。やれることを考えよう」。11日夜。安倍は与党幹部を前に、自分自身に言い聞かせるような口調で語った。
(敬称略)>(以上)
韓国とのGSOMIAには反対です。機密が中国に簡単に漏れるでしょう。まあ、死に体の朴大統領が署名を許可するとは思えませんが。上述のURLのブログには「中国とのGSOMIAを結ばない条件として通貨スワップを」と韓国は言っているようですが、そんなものがなくても漏らしているのですから、条件にも何もならないはず。いい加減日本政府は韓国の嘘に騙されないでいてほしい。条約、法律、ルールを反故にしてきた連中です。協定を結んだって、どこ吹く風で破るでしょう。小中華ですので。
朴大統領は死んでも辞任しないでしょう。辞任すれば大統領としての不逮捕特権もなくなり、即逮捕、死刑となり、殺されるのが分かっているからです。権力を握ったものが、腐敗するのは大韓民国の歴史です。歴代大統領or一族が不幸な結末を迎えています。朴氏も例外ではありません。命が助かりたいなら亡命するしかありません。任期満了・弾劾でも大統領を下りた瞬間に逮捕されるでしょうから。まさか日本に亡命なんてことはないでしょうね?あれだけ日本の悪口を世界に言いふらし、告げ口外交をしてきて。でも臆面もなく掌返しができる民族だから分かりませんけど。所詮、中華、小中華と日本人は民族性が違うのですから敬して遠ざけることです。
記事

韓国史上初めて青瓦台にまで迫る集会(新華社/アフロ)
韓国の国防部は11月14日、日韓の防衛情報を共有するための韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)に仮署名したと発表した。同協定の目的は、日韓の間で軍事情報を共有して、北朝鮮の核とミサイルに対応することにある。
韓国のテレビ、新聞など全メディアは14日18時30分頃、速報として一斉に報道した。地上波放送SBSの速報によると、仮署名は韓国国防部東北アジア課長と日本防衛省調査課長が行った。これにより、軍事情報包括保護協定実務協議も終了したという。
韓国は今、朴槿恵大統領の去就を巡って、非常事態としか言いようがないほど国政が停滞し、混乱している。そんな中で国防部(韓国の「部」は日本の「省」にあたる)が、国内での十分な議論もないまま韓日軍事情報包括保護協定に仮署名した。日本との軍事協定をこのタイミングで、速戦即決で締結したのはなぜかと韓国で問題になっている。
青瓦台に至る韓国史上初の集会
11月12日、ソウル市光化門では3回目の朴槿恵大統領退陣を求める抗議集会が行われた。集まった人は年齢も職業もさまざまだった。子供を連れた家族や中高校生、全国各地の農民会や労働組合、大学の名前が書かれた旗を持ったグループなどが目に入った。ソウル市は集会に参加した中高校生らの安全を確保すべく、保健教師を現場に派遣した。
光化門から人があふれ、だいぶ離れた明洞辺りまで集会の行列が続いた。集会の参加者は、警察の推計では26万人。ただし、複数の韓国メディアがソウル市の地下鉄とバスの乗車データから推計したところ100万人を超える規模だった。
この日の集会は、韓国史上初めて、青瓦台(大統領官邸)の入口にあたる景福宮ロータリーまで行進できた。警察は当初、青瓦台周辺では集会を開催できないようにしていたが、ソウル行政裁判所が許可した。「多数の国民が自らの意思を表現するため集会に参加している以上、条件なく認めるのが(韓国が)民主主義国家であることを証明することになる」との理由だ。
12日は米国各地のコリアンタウンでも在米韓国人が集まり、朴大統領の退陣を求める集会を開いた。
集会が開かれた後の13日、朴大統領の友人であるチェ・スンシル一族の国政介入と不正腐敗を捜査する検察は、参考人として朴大統領にも取り調べを行うと発表した。チェ氏の不正を黙認したのか、不正を手助けするよう大統領府の秘書らに指示したのか、などが焦点になるという。大統領は起訴されない特権があるが、現役の大統領が検察の取り調べを受けたというだけでも政治的汚点になる。
共有情報は厳格に管理
軍事情報包括保護協定とは、国同士でお互いの軍事機密を提供し合うもの。戦術データ、暗号情報、システム統合技術などが対象になる。秘密は、第三国に流出しないよう厳格に守る。
日韓が合意した同協定の主な内容は、以下の3つである。 (1)情報提供当事者が書面で承認することなしに、第三国政府等に軍事秘密情報を公開しない。あらかじめ許可された目的以外の目的で使用しない。 (2)情報を閲覧する権限は、公務上必要で有効な国内法令によって許可を得た政府公務員に限る。 (3)情報を紛失または毀損した場合は、情報提供当時局に即時通知し、調査する。
拙速な交渉
韓国国防部は日本の防衛省と、2016年10月27日に交渉を再開した。11月9日に再度協議し、14日には仮署名をした。たった18日で協議を終えたことになる。国防部は仮署名する前の11日、同協定の内容を法制処(日本の内閣法制局に相当)で審査してもらうよう外交部に依頼し、仮署名後の手続きも準備していた。
国防部のハン・ミング長官は10月15日の記者会見で、「韓日軍事情報包括保護協定は国民の意見を反映して推進する。国民の支持、同意を待つ」との立場を表明していた。ところが、10月18~20日に行われた韓米外交国防長官会談後の10月27日に突然、同協定の交渉を再開すると発表した。もともと予定していた公聴会や世論調査を実施しないまま日本側と交渉をはじめ、仮署名を強行した。
国防部のムン・サンギュン報道官は11月11日の記者会見で、「安保・政治問題は歴史と分離すべきというのが国防部の原則。韓日軍事情報包括保護協定は安保のために必要な事項である」として説明した。これに対して韓国民の間では、仮署名が行われた14日以降も「納得がいかない」という声が大きくなっている。
「国防部は何か隠し事でもしているのか」
韓国の野党3党(共に民主党、国民の党、正義党)は、「大統領スキャンダルで国政が麻痺している最中に、軍事情報包括保護協定という大事な取り決めを国防部が即決で進めるとは何事だ」として日本との交渉を中断するよう国防部に求めていた。
韓国メディアも総じて「なぜ今でないといけないのか、なぜここまで急ぐのか」と疑問視する報道をしていた。
しかし国防部は、北朝鮮対策のためにとにかく締結しないといけないという立場を繰り返し、野党3党が反対する中で仮署名した。
一般市民の間でも、「大統領スキャンダルで国がこんな状態なのに韓日軍事情報包括保護協定を無理に急ぐのはなぜか? 国防部は何か隠し事でもしているのか」と疑問に思う声が上がっていた。「協定内容をより詳しく公開するまで締結してはならない」「交渉を中断すべきだ」と国防部を非難する向きもあった。
リアルメーター社が2016年10月に行った韓日軍事情報包括保護協定に関する世論調査では、締結賛成が15.8%、反対が47.9%という結果だった。政治的志向が保守派の人も進歩派の人も、どちらにおいても反対する意見が圧倒的に多かった。
レイムダックの朴大統領は裁可できるか
野党3党は国防部が国民の意見を無視して韓日軍事情報包括保護協定の仮署名をしたので、ハン・ミング国防長官の解任を国会で検討すると反発している。野党3党の代表は早速15日に集まり、ハン長官の辞任について話し合うことにした。
共に民主党のウ・サンホ院内代表は15日朝に党内会議を開き、「ハン長官の辞任を求めるのは特定の長官を辞めさせる目的ではなく韓日軍事情報包括保護協定を中断せよという意味である。民心を読めず一方通行で締結を強行したので国民の抵抗はもっと激しくなるという点を(国防部に)警告する」と発言した。
国民の党も15日朝に党内会議を開いた。同党のキム・ジュンロ議員は「朴槿恵政府は判断力を失った。この政府は国民と共に考えない安保は絶対成功しないということを忘れたようだ。この政府は国民と国会は眼中にないのか」と批判した。
国民の党のパク・ジウォン院内代表は、15日朝のラジオニュースに出演し、「野党3党でハン長官の弾劾を検討することにした。辞任ではすまない。大統領スキャンダルの最中に日本の自衛隊の世界進出を保証するようなことを決めてはならないからだ」。
仮署名は「仮」ではあるがその重みは本署名と変わらない。日韓両国はこれからそれぞれ国内での手続きを進める。韓国は国務会議で韓日軍事情報包括保護協定を議決。大統領の裁可を経て公式に韓日軍事情報包括保護協定締結となる。しかし退陣を求められている朴大統領による決裁に野党3党が必死で反対している。仮署名はしたものの、韓国内ではこれからさらなる反発が予想される。
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『トランプ政権下の米中関係はどうなる? 日本は国際秩序再構築のプレイヤー目指せ』(11/16日経ビジネスオンライン 福島香織)、『世界の行方を聞く 経済・軍事で米中摩擦続く 清華大学国際関係研究院長 閻学通氏』(11/18日経)について
福島氏の記事の中国人の「トランプに対する4つの期待」は、如何に中国人と言うのは自己中心にしか論理が組み立てられない民族か、と言うのが分かります。閻学通の言う方がまだ真面に見えます。ただ彼も米国をそのように誘導したいという思いからの発言であることは間違いありません。それはそうです。個人の自由な発言を認めるような国に住んでいる訳ではないので。中共の意に沿った発言しかできません。
「4つの期待」に対して小生の考えは
①・・・TPPが中国の経済的包囲網になることが分かれば、方針転換することはありうると思います。何せトランプは選挙中には「中国からの輸入品に45%の関税をかける」と言っていたくらいですから。締結国同士の貿易が増え、未締結国との貿易は減ることが予想されます。面と向かって中国に要求するより、余程良いのでは。ただ中国が封じ込めと考えた場合は、報復措置を必ず取るでしょうけど。トランプは米国のラストベルトの雇用を増やそうと考えている筈ですが、投資を増やすしかありません。法人税減税で、米国から他国に投資してきた企業を米国に戻そうと考えているようですが、税逃れを目的として海外に逃げた企業が戻るかどうか分かりません。今でもFATCAがあっても米国に戻らないので(多分コストの問題で)、減税したからと言って、新たに米国内での投資に踏み切るかどうか。中国からの投資は避けた方が良いでしょう。昨日の本ブログにも書きましたが、何を仕込まれるか分かりませんので。日本を筆頭に自由主義国からの投資と、軍事に対する財政支出を増やすべきと考えます。
http://gigazine.net/news/20161116-china-threaten-trump/
②・・・戦争で獲得した覇権を手放すことはないというのが小生の見立てです。オバマが無能だから、オバマケアなるものに金を多く支出し、財政赤字を膨らませました。今後は米国の軍事とインフラに支出(政府・民間とも)を増やすと思います。中国が大きくなる前に、手を打たないと、米国は勝てなくなります。基軸通貨は愚か戦争に勝てなくなれば、今までの超大国の威信はなくなります。軍産複合体は許さないでしょう。
③・・・トランプはビジネスマンであるがゆえに、中国の隠された野望を見抜くことも早いでしょう。米国に取って代わり、世界を制覇しようとしているのは、宇宙開発やハッキング、AIIB開設の動きを見れば分かるというもの。また金持ちだから、ヒラリーのように中国の金で転ぶことはないと思います。あるとすれば女性ですかね(笑)。ジェームズ・ウルジーは金で転んだのでしょうけど。ドゥテルテもトランプも中国に対しては猫をかぶっているだけです。利用できるものは何でも取ってやるぞと言う考えでしょう。
④・・・「トランプ現象とは米国式民主主義の敗北である。またポピュリズムとナショナリズムがグローバリズムを凌駕する時代となったことの象徴でもある。・・・世界(特にアジア太平洋地域)に権力、価値観の真空が生まれ、その真空を中国式グローバリズム、中国式秩序が埋めるチャンスとなる。」と述べています。片腹痛いというか臆面もなく良く言えるなあと感じます。中国人の面の厚さを感じさせます。ポピュリズムとナショナリズムが、グローバリズムに勝ったことは間違いないでしょうけど、中国にはポピュリズムとナショナリズム(国民主義)なんて無いでしょう。選挙もなく、人権を抑圧、賄賂社会、「騙す方が賢く騙される方が馬鹿」という騙人社会が中国式グローバリズム、中国式秩序というのであれば、世界はどの国も歓迎しないでしょう。傲岸不遜としか言いようがありません。
中華系米国人がトランプを応援したというのはやらせでしょう。本当にトランプに投票したかもわかりません。中共としては金で手なづけたヒラリーの方が絶対に良かったはずで、ニュースでヒラリーの圧勝が報道されていたので、保険の意味合いでやっただけでは。
閻学通・・・「トランプ氏の政策で米国が相対的に衰退する流れを止めることができるとは思えない。中国と米国の実力差が縮小していく冷戦後の国際秩序が変わることはない」というのは思い上がりと言うか、希望的観測でしかないでしょう。米国が国益を侵されて、黙って見ているはずがありません。強度の楽観主義、自己中の為せる業です。米国の日本への核の傘供与維持と北東アジアに重心が移る発言は中国がそうあってほしいという願望であることが分かります。南シナ海は黙っていてほしいと。中国の願望の反対をすることが大切です。
福島記事

中国がトランプ当選を後押し?(写真:AP/アフロ)
米国大統領選でトランプ氏が当選し、来年1月20日からトランプ新政権がスタートする。中国はこれを国際秩序の転換期だととらえて、G2時代への道筋をつけたい考えのようだ。トランプ新政権下での米中関係はどうなるのだろうか。目下、中国メディアが期待する青写真を見てみよう。
「協力は中米の唯一の正しい選択」
トランプ当選から5日たった14日、習近平とトランプは電話会談を行い、習近平からはトランプ当選への祝辞が述べられた。当選当日の日に祝電を打ったうえでの電話会談だから、中国がいかにトランプ政権を歓迎しているかうかがい知れる。
新華社によれば、習近平は「中米国交回復以後37年をへて、両国関係は絶えず前向きに発展し、両国人民に実際的な利益をもたらしたし、世界と地域の平和、安定、繁栄を促進した。協力は中米両国の唯一の正しい選択だということは、こうした事実が証明している。目下、中米協力には重要なチャンスと巨大なポテンシャルが潜んでいる。双方が協調を強化し、両国経済の発展とグローバル経済の成長を推進し、各領域の交流、協力を開拓し、両国人民により多くの実質的な恩恵を与えるために、中米関係の前向きな発展を推進しようではないか」とトランプに語り掛けたという。
さらに「最大の発展途上国家、最大の先進国、世界の二大経済体として、中米の協力は必要であり、非常に多くの協力ができる状況がある。私は非常に中米関係を重視して、米国側と共同の努力をして両国関係を推進し、両国人民とその他各国の人民をさらに幸せにしたいと考えている」と訴えたとか。
これに対しトランプは「習主席が私の大統領当選を祝福してくれることに感謝する。私も習主席の米中関係の見方に賛成だ。中国は偉大で重要な国家であり、中国の発展の良好な展望は人々も注目している。米中両国はウィンウィンを実現できる。私はあなたと一緒に、米中両国の協力を強化していきたい。私は米中関係が必ず更に良好な発展を得られると信じているよ」と答えたそうである。
安倍政権が2012年12月に発足したとき、カウンターパートである首相の温家宝が即日に祝電を打たなかった状況と比べれば、習近平の対トランプのアプローチの熱心さは際立つ。新華社が報じるように「習近平とトランプは密接な連絡を保ち、良好な実務関係を打ち立て、早期に面会して、両国の関係発展と双方がともに関心を寄せる問題について意見交換する」と、中国サイドが期待するのもうなずける
トランプ新政権の安全保障顧問に内定しているジェームズ・ウルジーが10日に香港英字紙サウス・チャイナ・モーニングポストのインタビューに答えて、オバマ政権が、中国主導のAIIB(アジアインフラ投資銀行)に参加しなかったことは戦略的に間違いだったと批判したうえで、習近平の経済政策の柱の一つでもあり、中華グローバリズム構想の具体化である「一帯一路構想(海のシルクロードと陸のシルクロード沿線国家における経済一体化構想)」に対して、トランプ政権が「温かい」態度を示すとしていることも、中国当局サイドの新政権への期待を高めている。
中国共産党中央にパイプをもつ消息筋や学者たちは、トランプのことを「明白人」(物分かりのよい人物)と評価する人も多い。
トランプ政権に「4つの期待」
中国人学者やメディアの論評を総合すると、中国当局がトランプ政権に強い期待を寄せる理由はおよそ4点に集約される。
①事実上の中国経済包囲網であるTPPに明確に反対している。ヒラリーもTPP反対を表明しているがそれは、選挙戦のために仕方なく妥協しただけだが、トランプは必ずTPPを破毀するだろう。TPPはオバマ政権の政治的遺産であり、トランプはオバマの遺産を絶対受け継ごうとは考えない。
②アジアリバランス政策は後退し、南シナ海における中米緊張関係は緩和する。トランプは日米同盟のありかたやNATOへの協力体制を見直すとしており、アジアや欧州における米軍のプレゼンスが縮小する可能性がある。そのぶん中国のプレゼンスが拡大するチャンスとなる。TPPと同じく、アジアリバランス政策もオバマ政権の政治的遺産であり、この二つのセットで米国は対中包囲網を形成しようとしていたが、その外交方針は調整されるだろう。
③トランプの本質はビジネスマンであり、「ディール(取り引き、中国語で打交道)」が可能な相手である。信念、イデオロギーに縛られた政治家ではなく、人権や民主といった西側の価値観を教条主義的に振りかざして、国益を損なうことはない。中国としては「話し合い可能な人物」と期待される。またヒラリーのように陰謀をめぐらすタイプでもない。フィリピン大統領のドゥテルテと同じタイプだといえる。
④トランプ現象とは米国式民主主義の敗北である。またポピュリズムとナショナリズムがグローバリズムを凌駕する時代となったことの象徴でもある。トランプの政治的暴言は、米国式の普遍的価値観、人権や自由、ポリティカルコレクトネスといったものを教条の隅に追いやり、米国の民主主義の疲弊を露呈させてしまった。この民主主義の敗北は米国国内のみならず、米国の政治学者フランシス・フクヤマがフィナンシャルタイムスで指摘したように「世界秩序の分水嶺」となる。つまり、トランプ勝利は、米国式グローバリズム、自由主義的秩序の後退期に入ったことを示す。この米国式グローバリズムの後退の結果、世界(特にアジア太平洋地域)に権力、価値観の真空が生まれ、その真空を中国式グローバリズム、中国式秩序が埋めるチャンスとなる。
以上の4つの点は、非常に中国に都合のよい解釈でトランプ新政権の性質を分析したものであり、実際にトランプ政権の対中政策はまだ不明である。
こうしたトランプ政権の中国の歓迎ぶりに、一部反トランプ陣営からは、「トランプ当選は中国の陰謀」説まで出ており、反トランプデモがチャイナタウンを襲うような事態まで起きているようだ。
トランプ応援団に中国共産党が関与?
香港親中紙・香港商報が14日に報じたところによれば、今回の大統領選で、華人団体の多くがトランプ支持を表明し、トランプ応援団を結成して、セスナ飛行機で横断幕を流すような金のかかる応援広告を打ったり、集会を開いたり、寄付を募るなど、集票行動を積極的に展開していた。こうした組織的な華人票が前回の大統領選の3倍以上、トランプに集まったとか。この華人集団によるトランプ応援に、中国当局が関与しているかどうかは目下裏を取っていないが、反トランプ派は、これを中国共産党の支持によった組織行動だとみており、中国がトランプを当選させたという見方をしている。
このため、米国籍華人たちが反トランプ派デモの攻撃対象になっているという。デモ隊がチャイナタウンでペンキなどをまき散らしたり、ガラスを打ち壊したりなどの暴力をふるい、「中国に帰れ!」といった罵倒をしたりもしているという。
トランプの方が、非白人系米国人に対し差別的であると思っていたのだが、香港報道によれば、アンチトランプ派の方が、華人に対し「ここは白人の国だ、お前らは出ていけ」といった人種差別的発言をし、嫌がらせを行っている、ということになる。
華人票は従来、民主党に投票する傾向が多く、今回のような巨額の資金を集めた大規模な応援を共和党候補に行うことは、実際珍しい。しかもトランプ候補は中国に対する批判を選挙運動の中で繰り返してきた。となると、中国共産党の戦略的な誘導があったのでは、と疑われるのも自然なことだろう。ただ、興味深いのは、私の聞く限りは、在米華人のトランプ支持は、アンチ共産党派にも多く、トランプの個性自体が比較的中国人受けするタイプ、というだけかもしれない。
陰謀論とは別に、トランプが当選するであろう、という予測は中国共産党の中にかなり早期にあったように思う。対トランプ戦略はかなり以前から研究され、周辺ブレーンへの接触もかねてから進められていたという印象は私も持っている。前述したスティーブン・ウルジーも今年2月に香港フェニックステレビの討論番組に出演しており、AIIBや一帯一路構想に対する支持姿勢は、こうした中国当局サイドの接触によって形成されたのではないだろうか。
一方、中国の輸入品に対する45%の懲罰関税や、中国を為替操作国認定をするといったトランプの中国に対する挑発的発言については、楽観論が多い。
例えば45%に関税を引き上げれば中国輸出総額が13%落ち込むというモルガン・スタンレーの試算があるが、損なう貿易黒字は5%程度であり、これは中国としては耐えうる痛み、という意見もある。
また為替操作国批判についても、中国政府が介入によって人民元の暴落を食い止めて安定させている状況の方が、米国経済にとってもプラスであると説得すれば理解を得られるという期待がある。
中国政府サイドは、トランプの資金的バックであるトーマス・バラック率いるコロニー・キャピタルの中国投資の大きさや、トランプ・ホテルチェーンの中国市場への進出計画などを考慮すれば、トランプ政権も中国経済を破綻させるようなことはすまい、という期待がある。
習近平の「日米離反」策に備えよ
その一方で、アンチ中国共産党派の在米華人や日本の一部保守派が、トランプ政権が対中貿易戦争を仕掛け、中国経済をグローバル経済から締め出そうとすることを期待し、トランプ支持を表明しているところが何とも奇妙な現象だ。
繰り返すが、こうした中国当局の期待どおりのトランプ政権になるのかどうかは、いまのところ、私には判断はつきかねる。あえて、日本にとって最悪の予測をすれば、トランプ政権下の米中関係は、米国式グローバリズムの後退を中国式グローバリズムが埋める形で中国が存在感を増し、中国が望むG2時代に一歩近づく可能性がある。少なくとも中国はそうなることを期待しているので、まずはトランプ政権に対して融和的態度で接してくるのではないだろうか。フィリピン・ドゥテルテ政権に対し、スカボロー礁埋め立てを一時延期してみせたような妥協姿勢を最初に示してくるかもしれない。
そうなったとき、習近平政権の外交戦略は、オバマ政権を親中政権とみなした初期にとった「日米離反」に立ち戻る可能性もある。日本としては東シナ海の動きに警戒しなければならなくなるだろう。トランプ政権が尖閣諸島海域における中国側の挑発にどういう態度をとるか、中国としては試してみたくなるのではないだろうか。
もちろん、中国の期待が完全に裏切られる可能性も小さくない。オバマ政権も当初は親中政権とみなされていたのだ。だが、中国の急ぎ過ぎた海洋覇権戦略がオバマ政権の危機感を目覚めさせ、アジアリバランス政策が打ち出される結果となった。トランプ政権のブレーンに接触を持つ反共産党の在米華人民主化運動家は、「トランプ自身は中国に対しても外交に対しても無知に見えるが、トランプのブレーンたちは良識も経験もある共和党員だ。中国共産党が期待を膨らませるのは、米国の民主主義政治のシステムを真に理解していないからだ。中国の思惑通りにはいかないし、そうさせないように私たちも働きかけている」という。
トランプは南シナ海問題に対し態度を明確にしていないが、「強いアメリカを取り戻す」と言っているトランプ政権が、みすみすアジアの米軍プレゼンスを後退させるとは考えにくく、むしろ南シナ海の米中軍事的緊張は高まるのではないか、という見方も一部中国軍事筋にある。
日本は国際秩序再構築のプレイヤーに
いずれにしろ、トランプ政権誕生のインパクトは、習近平政権にとっても長期独裁政権を打ち立て赤い帝国・中国を中心とする中華秩序を確立するか、あるいは経済を破たんさせ、内政を混乱させた末に権力闘争などによって体制変革期を迎えるかというきわどいタイミングと重なる。ロシア、イスラム圏の台頭、英国のEU離脱などもあわせて考えると、世界はベルリンの壁崩壊以来の大きな秩序の転換期に差し掛かっているという予感がするのである。
この秩序転換期に、日本はどのような立ち位置で臨むのか、きちんと考えた方がいい。トランプ政権に翻弄されるのでもなく、世界で起きている不確定要素の拡大に不安がるのでもなく、ずっと米国の“付属国”扱いされてきた日本が、きちんと主権国家として国際秩序の再構築に参与するプレイヤーに昇格する好機ととらえるくらいの戦略性をもってほしいと望むのである。
日経記事
――トランプ次期米大統領は米国が「世界の警察にはなれない」と主張しています。

「米国が警察としての責任を負いたくないと考えているが、警察の権利を放棄はしない。この矛盾は世界に大きな不確実性をもたらす。国際社会で衝突は増えるだろう」
「トランプ氏の政策で米国が相対的に衰退する流れを止めることができるとは思えない。中国と米国の実力差が縮小していく冷戦後の国際秩序が変わることはない」
人権で注文減る
――米中関係にはどんな変化が起きますか。
「トランプ政権が中国にプラスだとは言い切れない。人権問題での注文は減りそうだが、米国民に経済的な利益を実感させるため、経済政策では中国に強く出るだろう」
「軍事面でも米中の摩擦と競争は続く。オバマ政権の『(軍事・外交の重心をアジアに戻す)リバランス(再均衡)』という表現は使わなくても、米国が同盟国と協力し東アジアで主導権を守る動きは変わらない」
――トランプ氏は中国抜きの自由貿易圏、環太平洋経済連携協定(TPP)を否定しています。
「中国に有利だとは限らない。トランプ氏はTPPだけでなく、あらゆる地域経済協力を拒む。日中韓や東南アジア諸国連合(ASEAN)が交渉中の東アジア地域包括的経済連携(RCEP)にも絶対に参加しないばかりか、発足を阻もうと動くのではないか」
――中国は日米同盟の行方を注視しています。
「安倍晋三首相は在日米軍の駐留経費の負担増を求められて苦労するだろうが、質的な変化は起きない。トランプ政権は日米同盟を主導する権利を放棄しない。米国の国益を考えると、日本への『核の傘』の提供をやめるとは考えにくい」
北東アジア重視
――南シナ海を巡る争いはどうなりますか。
「フィリピンのドゥテルテ大統領が対中政策を調整し、南シナ海情勢は大きく変化した。米国は中国に対抗する足場を失った。トランプ政権は関心の重点を東南アジアから北東アジアに切り替えるのではないか」
――北東アジアは朝鮮半島と台湾が焦点です。
「オバマ政権ほど北朝鮮の核開発問題に積極的に取り組まず、中国に責任を押しつけるだろう。これはやっかいだ。韓国では朴槿恵(パク・クネ)大統領が力を落としており、米韓関係は米国主導が一段と強まる」
「両岸(中台)関係への影響は最も判断が難しいが、台湾当局への支持はオバマ政権を上回る可能性がある。東南アジアで優位を失いつつある米国が台湾で手を緩めれば北東アジアの主導権も揺らぎかねないからだ」
(聞き手は中国総局長 山田周平)
=随時掲載
えん・がくつう(Yan Xuetong) 黒竜江大卒、米カリフォルニア大バークレー校博士号。中国を代表する国際政治学者で、辛口の論評で知られる。63歳。
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『次期大統領を生んだ「トランピズム」の正体 「白人中間労働者層」の危機感を呼び覚ました異端者』(11/14日経ビジネスオンライン 高濱賛)、『トランプ大統領でどうなる(中)日本に役割拡大 要請も 米中の緊張高まる可能性 森聡 法政大学教授』(11/17日経朝刊)について
グローバリズムVSナショナリズムの争いで、今回の大統領選では、アメリカはナショナリズムを選んだのだと思います。ナショナリズムは左翼リベラルが悪いイメージを与えましたのでペイトリオテイズムと言い換えるようになりました。そう言えば三島由紀夫の『憂国』も英語版の書名は”Patriotism”でした。Nationには国家の意味もあれば、国民の意味もありますので、元々は悪い意味ではなかったでしょう。それでなければ松下は「ナショナル」ブランドで一世を風靡しなかったと思います。
トランプの閣僚人事が今囁かれていますが、最終的にトランプが“Yes”と言わなければ確定しません。中国包囲網を築くには、国務長官と国防長官の人選が大事だと思います。国務長官候補にボルトン(慎太郎と懇意)やジュリアーニが上がっていますし、国防長官にはジェフ・セッションズ、
大統領補佐官にはマイケル・フリンとかが上がっていますが、浮かんでは消えている人もいますので、まだまだ流動的です。ウールジーは中国寄りの発言をした(米国はAIIBに入るべきだったとか)ので、多分中国の金塗れになっていると思われます。トランプの“make America great again”に反するのでは。基軸通貨を$からRmbに移すつもりなのでしょうか。中国の言うG2世界を認めることになります。西太平洋は中国の海になります。下記の時事通信の記事は、さも日本も早くはいれと言わんばかり。本当にアホな記者しかいないという気がします。ウールジーは要職にはついてほしくありません。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161111-00000096-jij-n_ame
トランプの“make America great again”は最初に使ったのはレーガンと言われていますから、トランプは相当レーガンを意識していると思います。スタッフの意見をよく聞き、何が真の国益かを考えると思います。単なる白人至上主義者や自由貿易否定論者ではないでしょう。ビジネスマンだから行動原理は利に敏い部分が大きいと思います。金持ちだから中国の金に転ばないことを期待したい。米国の世界覇権は第二次大戦後英国から移ったもので、世界規模での軍事基地展開と基軸通貨$から成り立っています。戦争の勝利品として勝ち取った今の地位をそんなに簡単に捨てるとは思えません。ただ、米国に歯向かうことの無い程度に同盟国に自立を促し、共同防衛及びそれへの応分の負担を求めるだけと考えます。
自由貿易の制限は米国への投資も減らし、雇用にも悪影響を齎します。中国へのダンピング輸出に対する懲罰的関税は良いとしても、輸入品の代わりを国内で作るには、先ず投資を国内産業や外国から受けなければなりません。中国の投資は何を仕掛けられるか分かりませんから、控えた方が良いと思います。
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1611/16/news059.html
日本も米国に投資し、儲けた金を日本に還流し、内部留保としてため込むのではなく、自社の社員の賃金を上げるようにすれば良いでしょう。政府に言われてしぶしぶ賃上げするのでは、経営者の力量が問われます。
高濱記事

オバマ大統領と会談するトランプ氏(左)(写真:AP/アフロ)
—本命とみられたヒラリー・クリントン民主党大統領候補が、大方の予想に反して敗れてしまいました。相手は政治の門外漢、ドナルド・トランプ共和党候補。この「トランプ現象」「トランピズム」は何なのでしょうか。
高濱:米国の識者の間でも「トランピズム」の定義づけをめぐって意見が分かれています。一過性のポピュリズム(大衆迎合主義)だとか、いやもっと根の深い社会現象だ、とか。
ただ、識者の間では一つの共通認識があります。
トランプ氏は、当初、貧富の格差や移民流入に対する、一部の白人労働者層の怒りや不満を煽ることで、反体制一本やりの選挙戦を続けていました。ところが選挙戦が進む中で、その怒りや不満は白人一般大衆へと裾野を広げ、ある種の「世直し運動」になってしまいましたという認識です。
トランプ氏自身、「これは選挙キャンペーンじゃない。ムーブメント(運動)だ」とまで言い切っていました。「保守対リベラル」といった座標軸では表せない社会現象となってしまったのです。
「錦の御旗」は、Against Institution、つまり反既成体制・反既成制度、反ポリティカル・コレクトネス*でした。
*:ポリティカル・コレクトネス(Political Correctness=PC)という言葉は、社会学者アレン・ブルームが1987年に著した「The Closing of American Minds」(アメリカン・マインドの終焉)の中で最初に使った。人種的差別や宗教上の差別を全面的に否定する正義を正当化すること。例えば米国の公立学校ではキリスト教の行事であるクリスマスを公的行事にすることは禁じられている。「クリスマス休暇」も「ホリデー休暇」と呼ぶ。
選挙キャンペーンがいつの間にやら一種のムーブメント(運動)になってしまった点。つまり「トランプ現象」とは、トランプ氏個人から乳離れして一人歩きし、巨大な社会現象になってしまったのです。
反自由貿易、反移民、反大企業、反インテリ、反軍事介入
—「トランピズム」には政治理念があるのでしょうか。
高濱:ある識者によると、トランプ氏の主張は以下のように整理されます。
- 1)自由貿易は中産階級層の雇用を奪い、収入減につながる。
- 2)大企業や金融機関は信用できない。大企業の持つ影響力を極力、制限すべきだ。
- 3)(メキシコやアジアなどからの)移民及び移民政策は信用できない。移民は基本的に制限すべきだ。
- 4)自由貿易は米勤労者の雇用を奪い、賃下げにつながる。北米自由貿易協定(NAFTA)からは撤退。環太平洋経済連携協定(TPP)は破棄すべきだ。
- 5)米国は国際社会での役割を可能な限り減らし、米軍派遣や他国への介入をできるだけ避けるべきだ。米国は(中東やアジアなど)他国の戦争への介入を避けるべきだ。
- 6)北大西洋条約機構(NATO)には懐疑的である。(日本や韓国やドイツなど)同盟国を含む他国および国連などの国際機関が米国に対して抱く「真意」(Motive)には疑念がある。
- 7)米政府は米産業や雇用を保護するために関税障壁を設けるべきだ。
- 8)富裕層、既成の政治家、インテリやメディアは信用できない。
( “Is Trumpism the Future of American Politics? ” Richard Back, empresa-journal.com., 8/30/2016)
「偉大な国家」とは70年以前の白人優先国家
—ということは、トランプ氏が掲げてきた「Make America Great Again」(もう一度米国は偉大な国にする)というスローガンは、最初は現状に不満を持つ白人中産階級労働者層の「復活」を意味していたわけですね。
高濱:当初、トランプ氏が主張していた「偉大な米国」とは、1970年以前の米国を指していました。まだ黒人公民権が認められておらず、移民も法律で厳しく制限されていた時代です。人口比でも白人は87.5%を占めていました。
ところが70年以降、公民権施行とともに才能のある黒人やアジア系移民の社会進出が目立ち始めます。移民法の改正で、メキシコをはじめとする中南米や中国や韓国などアジアからの移民が大量に入ってきました。選挙では非白人票が一定の影響力を持つようになります。
人口比では、白人の比率は2010年、全体の72.4%にまで減っています。2044年には50%を切り、有色人種がマジョリティになると予測されています。 (“A Look at the 1940 Census”)
つまり、それまで人種的に「白人」(Causian)であるというだけで、たとえ低学歴、低所得のブルーカラーであっても威張って生きていた人が、そうはいかなくなってきたのです。白人優先の「Community(社会共同体)」*が解体し始めたのです。
*:米国で使われているCommunityは、利害、宗教、人種、文化慣習などを共有する社会共同体を指す。
マイノリティになり下がる白人たち
米ジョージ・メイソン大学にジャスティン・ゲスト博士という新進気鋭の学者がいます。同博士は、「トランピズム」をここまで拡散させたのは、「新しい白人マノリティ」(New Minority)が恐怖心を抱いているからだ、と指摘しています。
ゲスト博士によれば、この人たちは政治思想的に右翼・右派というのではなく、「人種的ナショナリスト」(Racial Nationalist)です。中には大衆保守の「ティーパーティ」(茶会)やエバンジェリカルズ(キリスト教保守派)と重なる人たちもいます。
ゲスト博士はこう分析しています。「異文化、異宗教の移民が自分たちの住む町に雲霞のごとく入り込み、自分たち白人は人口比で少数派(マイノリティ)になっていく。かっての白人だけの『古き良き米国社会』の基盤が非白人によってぶち壊されていく。そうした社会環境に対する恐怖心がトランプ候補により即発され、それが超党派的に白人一般大衆の間に『トランピズム』を形成していった」。
ゲスト博士は、オハイオ州など「ラストベルト」(錆びついた工業地帯)5州に住む白人ブルーカラー層を対象に行った聞き取り調査からその実態を探り当てています。 (”The New Minority: White Working Class Politics in Age of Immigration and Inequality,” Justin Gest, Oxford University, 2016 )
トランプは反体制、反インテリの旗手?
—一つ疑問に思うのは、そうした「新しい白人マイノリティ」は、一方で反富裕層、反大企業、反インテリを唱えていますよね。なのに、どうしてニューヨークを拠点に全米各地に不動産やカジノ、ゴルフ場を展開しているトランプ氏に共鳴しているのですか。それにトランプ氏も名門ペンシルベニア大学ウォートン経営大学院を出ているインテリじゃないですか。
高濱:トランプ氏の暴言や喋り方をとらえて、「あいつは本当にウォートンで勉強したのか」と疑る人もいましたけれど(笑い)。
確かにトランプ氏は億万長者に違いはありませんが、あくまでも不動産やカジノを経営する新興成金二代目。ロックフェラーやカーネギーといった由緒ある富豪と同じカテゴリーには入りません。東部エスタブリッシュメントの一角を占めているわけでもありません。それに公職経験ゼロ、ワシントンの「インサイド・ベルトウェー」(ワシントン政界やマスコミ)とは無縁です。
ジョージタウン大学の歴史学者、マイケル・ケイジン博士などは、トランプ氏は「多くの政治家に無視され、見捨てられたと感じている白人マイノリティ」を扇動するには最適の役回りだったと言い切っています。 (”Populism: Old Whine, New Botttle,” Michael Kazin, Foreign Affairs, 10/6/2016)
「トランプ死すともトランピズムは死なず」
—トランプ大統領の下で今後、「トランピズム」は米国社会にさらに浸透していくのでしょうか。
高濱:識者の中には、トランプ氏が言い出した「トランピズム」は米社会の一角にどんと腰を下ろし、分断する米社会で一定のインパクトを与えると見る人も少なくありません。
政治的にみれば、共和党内で一定の勢力として「トランプ派」として根づくのか、あるいは共和党の外で超党派的に第三勢力として生き続けるのか、予測は分かれています。
前述のゲスト博士などは、共和党は再生のために「トランピズム」から学べ、と主張しています。つまり、トランプ氏を支持した白人ブルーカラー層の「一揆」の声を政策として取り入れることが党の再生につながるというのです。
しかし人口構造が今後どんどん多様化していく米社会で、トランプ氏が火をつけた白人中心主義が数の上で、将来性があるのか。「トランピズム」は大統領選以後、どのような道筋を辿るのか。まったく予見できません。
日経記事
ドナルド・トランプ氏が率いる米国の次期政権は、どのような外交・安全保障政策を展開するのか。選挙期間中に訴えていた政策をそのまま実行しようとするのか。世界が固唾をのんで見守っている。


正式に大統領職に就き、国務・国防両省の官僚や政策専門家の助言を受ければ、対外政策は現実的になると期待する楽観論がある。一方で「同盟国フリーライダー(ただ乗り)論」や「自由貿易協定反対論」など四半世紀にわたり唱えてきた対外政策に関する持論があり、70歳の大統領が簡単にそれらを捨てることはないとの悲観論も聞かれる。
おそらく実際には新政権内で様々な政策の個別具体的な判断を巡り、トランプ氏のかねての持論に沿った政策路線を貫徹すべきだとする声と、ワシントンの国際主義主流派が唱える政策路線を織り交ぜた現実的な政策を追求すべきだとする声が、せめぎ合うことになると予想される。
そしてトランプ大統領は、その時々の国内外の複雑な政治力学にさらされながら、両者を折衷させたり、一方の意見を採用したりしながら、対外政策のかじ取りをしていくことになる。トランプ氏が対外経済政策を取り仕切り、安全保障政策についてはマイク・ペンス副大統領や国家安全保障担当の大統領補佐官に委ねる可能性も考えられる。
つまり政権発足前から過剰に悲観するのも楽観するのも適切でない。多くはこれから起きることの影響を受ける。
現時点でトランプ外交を展望するのは難しいが、多くの大統領は独自の世界観に基づく対外政策の管理方針を持っていた。トランプ氏は米国の安全保障コストを大胆に軽減し、対外経済関係を2国間交渉で直接的に改善することにより、米国を「再び偉大にする」構想を描いているようだ。
第1にトランプ氏は、米国と諸外国との交易の条件を2国間交渉で改善し、対外関係から米国が得る経済的利益を増進させるという考えを示唆してきた。米国を赤字と借金にまみれた巨大な企業に見立てて、各国との2国間関係を経済的・商業的な損得勘定に基づいて「査定」し、厳しい経済交渉を2国間アプローチで繰り広げることで、米国にとって「赤字」の2国間関係を「黒字化」するという発想を持っているようにみえる。
環太平洋経済連携協定(TPP)や北米自由貿易協定(NAFTA)に否定的なのは、それらが多国間の枠組みだからだ。2国間で米国に有利な貿易・投資関係をつくり上げようとするかもしれない。
第2に米国の安全保障上の利益をかなり狭く定義し、武力を使ってでも守るべき本来的な利益は、原則として米国の安全のみだと考えているようにみえる。従って同盟国に平時から従来以上の防衛努力を求めてくる可能性は大いにある。仮に同盟国にまつわる有事が発生すれば、同盟国の防衛について政権内で、必要なあらゆる対応をとるべきだとする意見と、控えめな最小限の対応で構わないとする意見が出るかもしれない。
政権内の政策審議などを踏まえてトランプ大統領が対応を判断するので、現実には無条件に同盟国を見捨てるといった政策をあらかじめ決めるようなことはないだろう。
こうした発想がそのまま対外政策に反映されて実行されるかどうかは、現時点で全く不明だ。しかし仮想のシナリオを立てて、頭と心の準備をしておくことは必要かもしれない。では、どのような仮想シナリオが考えられるのか。
まず大国間関係についてはトランプ政権下で米ロ関係が改善し、米中関係がきしむ可能性がある。ロシアは経済面での競争相手ではないし、安全保障上の利益を限定的に定義するならば、ウクライナやバルト3国の安全を巡ってロシアと対立する必要もない。しかしトランプ大統領がロシアとの関係改善に動けば、ホワイトハウスと国防・国務両省は北大西洋条約機構(NATO)諸国の防衛を巡って見解が対立するだろう。
一方、経済重視のトランプ政権は中国を最大の経済的ライバルとみなし、その不公正慣行やサイバー問題を取り上げて対抗措置を講じるかもしれない。あらゆる圧力手段を用いて米国に有利な条件を中国に要求すれば、米中関係はあつれきを増すことになる。トランプ政権が対外政策の推進でオバマ政権ほど中国を頼る必要がないとすれば、米中関係の緊張を覚悟した厳しい姿勢となる可能性がある。
その際、台湾への武器売却を拡大すると示唆するなど安全保障上の選択肢を圧力手段として、中国に経済交渉面での譲歩を迫ろうとするかもしれない。中国市場に進出する米企業などは、中国政府による報復措置に遭えば、圧力重視路線に反対する政治勢力を糾合しようとするだろう。
米国の優先地域ということでは、中東地域での行動を活発化させる可能性が高い。米本土の安全を直接的に脅かす過激派組織「イスラム国」(IS)に対して大規模地上軍は派遣しないまでも、軍事行動を強化してロシアとの表面的な協力も進めようとするかもしれない。米世論はテロリズムを最大の脅威とみなしているので、国内政治の面からも対IS作戦に力を入れるだろう(表参照)。
日本との関係では、トランプ政権が在日米軍の完全撤退ありきで政策を見直す可能性はほぼないとみてよいのではないか。シカゴ世界問題評議会の世論調査によれば、トランプ支持者中核層の84%、共和党支持者の88%は、米国の対外政策を実行していくうえで同盟を維持することは有効だと答えている。またトランプ支持者中核層の66%、共和党支持者の69%は、日本に長期的に米軍基地を維持すべきだと答えている。
つまり在日米軍を撤退させたところで、トランプ氏が米国内で政治的得点を上げられるわけでも再選に役立つわけでもない。また米国が在日米軍基地を放棄すれば、米軍の維持コストは上昇し、中東戦略を含む世界戦略が狂う。従って仮に在日米軍の撤退が検討課題に上れば、何よりも国防省や米軍、議会軍事委員会などがそれを阻止する動きに出るだろう。
ただし日本政府に対して、何らかの対米協力と役割拡大を求めてくる可能性は十分にあるのではないか。オバマ大統領は日米安保条約第5条が尖閣諸島にも適用される旨を言明した。トランプ氏の大統領就任後、最初の正式な日米首脳会談の際には、オバマ大統領と同じ立場を踏襲するかに注目が集まるとみられる。
トランプ政権は日米同盟を重視する姿勢を示しながらも水面下の協議では、会談後の声明や記者会見での発言に従来の対日防衛コミットメント(約束)を踏襲する文言を盛り込むので、日本政府が各種の対米協力や役割拡大を果たす文言の挿入に同意してほしいと求めるかもしれない。例えば対IS作戦に絡む財政支援や、防衛費増額と南シナ海での自衛隊のパトロールなど、米軍駐留経費の負担増とは異なる形をとる可能性もある。
トランプ氏が米国にとっての日米関係や日本の価値を経済的な物差しで測るのであれば、対米投資を増額するイニシアチブ(取り組み)などを通じて、安全保障と経済の両面で日米関係を強化していく発想がこれまで以上に重要になると考えられる。過剰な楽観も悲観も戒め、政権中枢との太いパイプを地道につくり上げていく努力が不可欠だ。
<ポイント> ○諸外国との交易条件を2国間交渉で改善 ○ロシアと関係改善し対IS作戦で協力も ○在日米軍撤退ないが対米協力要請の公算
もり・さとる 72年生まれ。京都大法卒、東京大法学博士。専門は現代米国外交、国際政治
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