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『習近平「野望人事」と米中関係を読み解く 副主席、副首相、外相人事が意味することとは』(3/7日経ビジネスオンライン 福島香織)、『習近平氏はもう後戻りできない 亜細亜大・遊川和郎教授が語る全人代後の中国』(3/6日経ビジネスオンライン 菅原透)、『「思想」飛ばした李克強、何度も映る王岐山 「習近平の新時代」を映す全人代』(3/6日経ビジネスオンライン 小平和良)について
北の独裁者が米国の攻撃を避けるため、韓国特使に甘いことを言ったようですが、南北合同で米国を騙す算段でしょう。単なる時間稼ぎに使われるだけです。対話に臨むようなふりをして、核とICBMの研究を加速化するつもりです。日米は騙されてはいけません。夏までには攻撃態勢をしっかり整えておかないと。
3/5ブルームバーグ<Kim Jong Un Hosts Seoul Envoys for First Time Since Taking Power>
に対してトランプはツイッターで“We will see what happens!”と発言しました。
さて、王岐山は国家副主席になるのは間違いないと思います。劉鶴の副首相は読めません。
3/5阿波羅新聞網<習近平破常規常委格局生變 王岐山編外常委加正國級?>王岐山は政治協商会議主席の汪洋を除いた常務委員(チャイナ7―1=6人)と同じ列に座ったとのこと。破格の扱いです。彼は8番目の常務委員と言われているとか。楊潔篪と王毅の上司に成るようですが、楊潔篪は江派で実務は王毅に牛耳られるため、窓際族になりそうとのこと。国家監察委のトップは王岐山ではなく趙樂際がなりそうとのことです。
http://tw.aboluowang.com/2018/0305/1079440.html
3/6中国禁闻网<两会惊人一幕:一将军向王岐山敬礼 原来是他?>

范 長龍が王岐山に敬礼する所。范 長龍は胡錦濤系でしたが。彼は、中国共産党中央政治局委員、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席。階級は上将。2017年10月の第19回党大会において党中央委員から外れ、引退が決まった。この全人代と政商会議が終われば引退とのこと。この挨拶は下りた後の処遇がどうなるか分からない(逮捕されるかどうか?)ためだろうと。
https://www.bannedbook.org/bnews/cbnews/20180306/910334.html
福島氏の記事で言うように、国際社会が習の独裁を認めるような論調になれば、中国は益々増長、世界制覇の野望を実現しようとシャカリキになります。いくら経済的な結び付きがあっても批判しなければ。彼らが直さなければ経済的封じ込めをすれば良いでしょう。ロシアと同じく経済制裁するのです。ロシアはその分緩めれば良い。
菅原氏記事で、遊川氏はやはり役人上りだから、現状肯定から入り、大きな絵が描けず、敗北主義者の印象です。出身の外務省当たりの考えが刷り込まれているのでしょう。長い目で見たら日本の国益になるとは思えず、人権についても目を瞑っているとしか思えません。
小平記事で、李克強は習にささやかな抵抗を示したと。所詮、そんな事しかできない、団派と言うエリート集団の限界でしょう。今後習にブレーキをかけるのがいなくなり、大躍進・文革の再来になるかも。反日中国人は日本に逃げて来ないように。
福島記事

劉鶴が副首相になるか注目が集まる(写真:ロイター/アフロ)
国家主席の任期制限を撤廃した習近平の憲法改正について、トランプ米大統領は「(習近平は)大したもんだ。いつか我々も(終身制を)やってみたいもんだ」と絶賛したそうだ。政権内部に厳しい対立があり、思うように指導力が発揮できないトランプにしてみれば、習近平のスピード集権はちょっとうらやましいらしい。米国の大統領は連続二期8年の制限があるし、なにより4年ごとの選挙で有権者の審判にさらされるので、米国大統領の独裁化はなかなか難しい。ちなみに、この発言はフロリダでの共和党スポンサーたちが主催する午餐会でのもので、そこにいた人たちはトランプのこの発言に拍手喝采した。その拍手後にトランプが続けて「彼(習近平)は中国百年来の最も権力のある国家主席である。私が中国を訪問したときは、彼らの対応は極めてよかった」と語ったとか。
昨年12月に発表した国家安全保障戦略で、中国とロシアを、「技術、宣伝および強制力を用い、米国の国益や価値観と対極にある世界を形成しようとする修正主義勢力」と名指しして、かなり挑発的な言葉で戦略的ライバルと位置づけた一方での、「習近平持ち上げ発言」が本音なのか、皮肉なのかは別として、日本として気になるのは、米国と中国の今後の関係である。5日に開幕した全人代(全国人民代表大会)では、政府人事が決定されるのだが、その人事案から中国の対米戦略、米中関係の行方を少し考えてみたい。
王岐山と劉鶴に注目
今回の全人代人事の注目点は、一つは王岐山が国家副主席になるかどうか。二つ目は劉鶴が副首相になるかどうか。この二つの人事は、習近平野望人事ともいえる。
王岐山人事から説明すると、党中央の職務を完全引退した王岐山を国家副主席に起用することで、いわゆる党中央の定年制と関係なく国家の要職について、権力を維持できる前例がつくれる。昨年秋の第19回党大会では、習近平の野望の一つであった「党主席制度復活」はかなわず、王岐山の政治局常務委員残留による「68歳定年制」の内規も崩すことができなかった。それどころか、王岐山の党中央職完全引退は、どれほど優秀であっても、68歳定年制内規は崩れないという、逆の証明になってしまった。
そういう意味では第19回党大会は、決して習近平の「完全勝利」ではなかった。この党大会で妥協を余儀なくされた部分について、全人代において習近平野望憲法と習近平野望人事を実現させて巻き返しを図ろうというところだろう。王岐山が党中央職を完全引退した上で国家副主席職につき、しかも権力、影響力を発揮できれば、習近平が総書記任期を68歳で引退したあとも、少なくとも国家主席職を継続でき、しかも終身国家主席でいることも可能となる。
ただ、国家主席職も国家副主席職も、本来はけっして強い権限をもつ職位ではない。どちらかというと主に外交任務を負う名誉職的な役割であり、国家主席が強い権限を持つようになったのは中央軍事委員会副主席であった楊尚昆が国家主席を兼務し、天安門事件において国家主席名で戒厳令を発令して以降である。国家主席が強い権限を持っていたのではなく、鄧小平の信頼を得ていた軍の実力者が国家主席職に就いたので、国家主席権限が強くなったのである。
天安門事件後、鄧小平は強い権限をもつようになった国家主席職と総書記職が対立することによる党内分裂のリスクを避けるために、江沢民に総書記職と国家主席職、そして実際に最も強い権力を有する中央軍事委員会主席を兼務させる形をとった。国家副主席も同様で、1993年から98年まで国家副主席となった栄毅仁は政治局常務委員どころか非党員の実業家である。
つまり国家主席も国家副主席もその職位自体に権限があるというよりは、誰がなるかで権限が強くなる可能性がある。王岐山の実績、実力を考えると、国家副主席職に就けば、強い権限をもつかもしれないと予測されている。
序列8位の政治局常務委員
全人代開幕前に行われた予備会で、王岐山の席順は現役政治局常務委員と同じ列であり、メディアの報じ方もすでに政治局常務委員に準じた「序列8位の政治局常務委員」扱いであった。
目下の香港メディアが報じているところによれば、王岐山国家副主席起用の最大の目的は対米外交だと見られている。王岐山が1997年のアジア金融危機と2007年のリーマンショックの被害を最小限に抑え込んだ非常に優秀な金融・経済官僚であることは周知の事実だが、特に米国の金融・財界からの評価が高い。リーマンショック当時の米中戦略経済対話でのカウンターパートであったポールソン(当時財務長官)はじめ、米金融・財界人とは現在もしばしば面会し、トランプ政権の趨勢・動向についての意見交換、情報収集にすでに奔走しているとか。
ロイターなどによれば、2月14日は王岐山と駐中国米大使テリー・ブランスタッドが米大使館内で密会していたことが確認されている。習近平の経済ブレーンの劉鶴も同席していたという。ブランスタッドは習近平と親交が厚いことで知られている親中派。ブランスタッドがアイオワ州知事時代、習近平がまだ河北省正定県書記の駆け出し時代に河北省畜産業代表団を率いてアイオワを訪問した時に意気投合し、以降も友人付き合いが続いているとか。
トランプ政権がブランスタッドを駐中国大使に派遣したのは、対中強硬姿勢を打ち出しながらも、習近平への配慮を忘れていない、というサインだといわれており、習近平サイドも、ブランスタッドを通じてトランプへの直接メッセージを送っている。米大使館における王岐山、劉鶴との密会は、米中貿易不均衡問題が主要テーマであるといわれているが、ブランスタッドが昨年9月以来計3回、中国の招待で中朝国境を視察していたことと考え併せると、米中貿易不均衡問題と中朝貿易、北朝鮮核問題もセットで交渉するということだろう。
王岐山と並んで、劉鶴の人事も注目されている。
習近平が経済ブレーンとして頼りにする劉鶴を副首相にしたいのは、一つは首相の李克強から経済政策の主導権を完全に奪うつもりだからだといわれている。すでに経済政策の主導権は習近平が奪っているものの、国務院の経済官僚たちにとっては上司は依然、李克強である。習近平は自分が主導する過去5年の経済政策の失敗は、国務院官僚たちのサボタージュや抵抗によるものと考えているフシがあり、経済通の劉鶴を使って国務院の主導権を奪いたい考えだろう。
筆頭副首相に就くと見られている韓正も、その他副首相説が流れている孫春蘭も胡春華も、経済にはさほど明るくないが、劉鶴はハーバード大学留学経験があり、かつてはゼーリック(当時世銀総裁)とともに世銀リポート「中国2030」をまとめて、注目を浴びた実力派経済官僚で、副首相になればその存在感は李克強を食ってしまうことになる。
「中国2030」を読めば、劉鶴の本来の路線は李克強に近い新自由主義傾向と思われるが、習近平の経済ブレーンとなってからは国家資本主義、新権威主義を肯定する方向に転じた。ロイターなどは、人民銀行総裁候補だと報じており、副首相との兼任説も出ている。となると、金融政策も習近平の代理人である劉鶴が操縦桿を握る。ちなみに、現人民銀行総裁で間もなく引退する周小川はもともと上海閥であり、ときおり、微妙に習近平路線に不満をにじませた発言もしていた。
対米外交のキーマンは
だが、もう一つの劉鶴の副首相起用の狙いは、やはり対米外交といえる。劉鶴は流暢な英語と洗練されたたたずまいで、米国官僚から受けがよい。2月27日から3月3日までの全人代開幕前夜までの訪米で、ムニューシン財務長官、コーンNEC委員長、ライトハイザー通商代表と会談したのも、副首相、あるいは人民銀行総裁候補とささやかれる劉鶴こそが通商問題のカウンターパートであるという印象を与えるためだろう。
対米外交のキーマンとされるもう一人は、外交担当の国務委員の楊潔篪である。第19回党大会で政治局委員となり、今度の全人代では外交担当の副首相となる可能性もある。もし楊潔篪が副首相になれば、98年以来の副首相4人体制から5人に変わるか、もしくは今副首相職候補にあがっている劉鶴、孫春蘭、胡春華のうちの誰かが副首相になれない、ということもある。
習近平が楊潔篪を重く見ているのは、国務長官のティラーソン、クシュナー・イヴァンカ夫妻との関係がいいからだ。ティラーソン自身、CNNのインタビューで「楊潔篪とは非常に親密な関係だ」と話し、楊潔篪に伝えたことは楊潔篪自身が直接、習近平に伝えられることを強調している。
楊潔篪は平昌五輪開会式の背後で、ホワイトハウスを訪問、ティラーソン、トランプ、マクマスター(安保担当補佐官)、クシュナーらと会談しているほか、ティラーソンとは頻繁に電話でやりとりしているようだ。目下は米国の対北朝鮮姿勢を探りつつ、トランプ政権の対中融和策を引き出すのが主な任務のようだ。
さらに王毅の外相続投および国務委員(外交担当)兼務説も、対米外交重視人事だという見方がある。王毅自身は米国政財界にもトランプ政権にも強いパイプがあるわけではないが、日本に対しては相当強い人脈を握っている。安倍晋三とトランプの個人的関係が相当よく、安倍の発言がトランプの外交政策に影響力を持つ可能性もあるとみて、習近平政権も、従来の日本を挑発することで日米離反を画策するやり方から、日本を懐柔するやり方に変えていく必要性も認識しはじめているということか。
王毅の外相職の後継者として、中央対外連絡部長の宋濤が就くのではないかという説もある。その外交実力はまだ不明だが、王岐山、劉鶴、楊潔篪、王毅、宋濤の中で、一番習近平に従順であるといえるのは宋濤だ。つまり完全なお友達人事といえる。主に北朝鮮労働党との交流を中心とした社会主義国との思想交流を担うのだが、逆に言えば、習近平の対北朝鮮パイプは目下、宋濤に頼るしかない状況ともいえる。
「米中新冷戦時代」突入の予感
こうした外交トップメンバーはおよそ習近平に直接指示を仰ぎ、直接報告することができるという意味で、対米外交の操縦桿を習近平が握る布陣ではある。習近平政権がかくも対トランプ政権重視で外交を考えている背景には、喫緊の問題として北朝鮮の核問題がある。が、その後に明らかに米中新冷戦時代への突入の予感があることが大きい。
それはトランプ政権の国家安全保障戦略をみても、またマティス、マクマスター、ケリーといった軍人出身官僚たちを頼りにする政権の性格からみても想像できよう。中国サイドのトランプ政権分析は、軍人出身官僚とティラーソンやムニューシンら国務省、財務省官僚の間では対中姿勢に温度差があり、またクシュナー夫妻の影響力も強い。その一方で、トランプ自身の対中観には未だ定見がないようで、むしろビジネスマンらしく目前のコストやリスク、利害を見極めて態度を頻繁に変える「ディール」ができる人物と見ている。
だからこそ、北朝鮮問題と貿易問題、人民元、その他、南シナ海や東シナ海、インド洋などの安全保障問題を同じテーブルに並べて交渉していく必要があり、対米外交、対米安全保障、対米通商の全部の操縦桿を習近平自身が握りたい、ということだろう。トランプはしばしば習近平個人に対しては歯の浮くような礼賛を送っており、習近平自身はトランプと対等に渡り合えるとの自信をもっているのかもしれない。
当面は王岐山、劉鶴、楊潔篪らの財界・金融界、国務省、財務省ルートを通じて、北朝鮮マターを材料にトランプの対中強硬姿勢を抑えつつ、同時にトランプ政権とうまく渡り合えることを見せつけることで国内での習近平独裁体制固めを加速させていきたい、というところだろう。そう考えると、トランプの冗談とも本気ともとれない、習近平“終身主席”を歓迎するような発言は、習近平にとっては大いに利用価値があるのである。
ただ、トランプは習近平に対してさも友好的な軽口を発している一方で、中国に対して警戒感、敵対姿勢を強めている。それは、国連の対北制裁決議に反して、北朝鮮の船が洋上で中国海運企業の船などと燃料などの積み荷を移し替える「瀬どり」行為が年末から次々と暴かれている中、トランプ政権が中国・香港企業を5社含む27社に対して米国との取引を禁止する措置をとったことや、FBIが一部の孔子学院に対しスパイ容疑で捜査に乗り出したことなどからも、うかがえる。「北朝鮮瀬どり容疑」の中国系5社と習近平政権との関係性は不明ながら、この5社を含む33船舶の入港禁止を国連加盟国に求める制裁リストを米国が提出しようとすることに、中国側は激しく抵抗している。米中は、北朝鮮問題と貿易問題で対等に駆け引きし、ひょっとすると北朝鮮問題については共闘関係を築き、米中融和を演出する場面もあるやもしれないが、それは次の米中対立の先鋭化ステージに移るまでの短時間のものだと私は見ている。
絶対権力は絶対腐敗する
ところで日本で、習近平独裁化が中国にとってはよいことだ、中国の強いリーダーは歓迎だ、と肯定している人がいるのは、非常に残念に思う。安倍政権の独裁化が問題、と目くじらを立てる人ほど、習近平独裁に対しては肯定的であったりするから驚くのである。中には中国大衆は強いリーダーを支持している、という人もいる。ひょっとするとトランプの軽口に同調しているのかもしれない。
だが今、中国で起きている現象は、反腐敗キャンペーンや改革の建前を使っての権力闘争であり、粛清である。これまで中国が歩んできた改革開放とそれに伴う自由化、市場化への流れに逆行するものであり、政治と経済のシステムの後退である。ほとんどの大衆は習近平を支持しているのではなく、その臆病な国民性から強い者に無批判でなびくだけだ。
経済力やツテをもつ中国人は一斉に移民を検討しはじめ、知識層の多くが内心の不満を隠している。例年に比べて異様に会期の長い今年の全人代は、党内政府内でも習近平のやり方に不満を持つ抵抗勢力が多いことの証左でもある。権力は腐敗するが、絶対権力は絶対腐敗する、というのは英国の歴史家ジョン・アクトンの名言だが、独裁権力による反腐敗社会や善政の実現などありえないのだ。
だから良識ある人や社会は冗談でも、独裁を肯定すべきではない。習近平独裁の野望は時代の方向性に合っておらずどこかで必ず挫折すると私は思うが、国際社会が習近平独裁を歓迎、あるいは肯定すれば、その野望が成就する可能性は高まるのである。それが、日本にとってどんなに脅威であるかを、今一度改めて考えてみた方がいい。
菅原記事
中国の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)が3月5日、北京の人民大会堂で開幕した。例年より長い16日間の会期中に政府人事を決めるほか、憲法改正案も採択する見通し。注目は2期10年までとしてきた国家主席の任期規定を撤廃する憲法改正だ。
独裁者、毛沢東氏による文化大革命の反省に立ち、鄧小平氏が設けたのが任期規定だ。68歳を超えたら幹部は退任するという慣習や、国家主席の任期が切れる5年前に次期最高指導者を明示する仕組みも取り入れ、独裁者の暴走を防いできた。
そうした「知恵」をないがしろにするかのような今回の任期規定の撤廃。全人代では習近平氏の盟友であり、反腐敗運動の陣頭指揮をとった王岐山氏も「定年」の慣習を破って国家副主席などの要職に就くとの見方がある。
今回の全人代で習氏の「終身主席」への道を開いた後、中国はどうなっていくのか。日本はそんな中国とどう向き合うべきか。中国の政治・経済動向に詳しい、亜細亜大学アジア研究所の遊川和郎教授に聞いた。

3月5日に開幕した全人代では、中国の将来を大きく作用する憲法改正が採択される見通しだ(写真=ロイター/アフロ)

遊川 和郎(ゆかわ・かずお)氏 亜細亜大学アジア研究所教授 東京外国語大学中国語学科卒、1981年9月から83年3月まで上海復旦大学留学。91年10月から94年3月まで、外務省専門調査員として在香港日本国総領事部調査部に所属。改革開放の先進地であった中国南部の経済発展の動向や、香港財閥系企業と中国企業のかかわりなどを研究。日興リサーチセンター上海駐在員事務所長、北京の在中国日本国大使館経済部専門調査委員、北海道大学准教授、同大学大学院教授などを経て現職。著書に「中国を知る」(日本経済新聞出版社)、「香港−返還20年の相克−」(同)など
—今年の全国人民代表大会では国家主席の任期規定の撤廃が正式に決まる予定です。
遊川和郎教授(以下、遊川):習近平氏による「終身独裁」を許していいのか、というのが今の大方の見方でしょう。それは確かに良いことではない。でも、そうせざるを得ない現状も中国にはあるのです。
—長期政権にならざるをえない理由があると。
遊川:2012年秋に中国共産党トップである総書記に就き、翌年春の全人代で国家主席に選出された習氏は反腐敗運動を強力に進め、権力基盤を一気に固めてきました。政敵を次々に撃ち落とす、過酷な政治闘争をやってきた以上、もう権力を手放すことは絶対にできません。退任した後の韓国の大統領を見ても分かるように、習氏も平和な引退生活なんてできません。生きるか死ぬかの権力闘争です。おそらく、習氏もそれを覚悟の上で中国の最高指導者になったんだと思います。もう後戻りはできません。
「創業家を守る」
—そこまでして習氏がやりたいこととは。
遊川:共産党政権の存続です。今年は中国が改革開放政策を取り入れてから40周年ですが、この40年の間に中国は確かに目覚ましい経済成長を遂げた。しかし、その裏側では貧富の格差が広がり、党内に腐敗が蔓延した。このままでは共産党の存続が危うい。習氏はそう危機感を募らせた。彼は「世直し」をしてもう一度共産党政権存続の基盤を再構築することが自分の一番の使命だと考えています。
習氏の父親である習仲勲氏は毛沢東氏らと1949年に共産党政権を樹立したメンバーの一人です。つまり、習近平氏は今の中国を作り上げた「創業家一族」。創業家を守る、という強い覚悟の下で、党総書記と国家主席のポストに就いた。
一党支配体制には欠点があります。正しいことをきちんとやろうとすれば、民主主義のような合意形成のコストをかける必要もなく、目標を達成するまでのスピードも速い。しかし、方向を修正しようとすると、なかなかできないのです。一党独裁は変えないにしても、一種の擬似政権交代を起こさないと誤りを正すことはできません。
その意味で、改革開放を進めた鄧小平氏は、文化大革命の混乱に陥れた毛沢東氏の「極左」の誤りを修正するための擬似政権交代を起こした。そして、習氏は鄧小平時代に始まった改革開放の中で生じた誤りを修正する擬似政権交代を進めようとしているのです。

習近平氏は擬似政権交代を起こしている(写真=AP/アフロ)
—創業家を守る、という強い覚悟をもって。
遊川:そうです。皇帝になることが目標でやっているわけじゃない。
ただし、先述のように死ぬまで 権力を握り続けないといけません。そのためにどうするか。一つは自分に絶対忠実な部下を選び、院政を敷く。もう一つは自分が今の地位にとどまり続ける。習近平氏は今の時点で、二つ目の方を選択したのでしょう。
信頼できる部下はいます。昨秋の党大会では側近をどんどん引き上げた。最高指導部を形成する7人の政治局常務委員だけでなく、次期指導部入りの候補者になり得る25人の政治局委員にもかつての部下を大量に送り込んだ。しかも、中央委員という要職を飛び越えて、いわば、「ヒラ」の党員から政治局委員に2回級特進させた例もある。これまででは考えられない人事です。
でも、これらの人たちは「促成栽培」です。誰もが納得できるような実績に乏しい。2期10年というこれまでの任期に従えば、習氏の退任は22年です。それまでに後を任せられるリーダーに育つかといえば、不確実性が高い。だから、習氏は憲法を改正し、任期規定を撤廃し、5年後も自分でやる道を切り開いた。
—強引とも思えるやり方に、党内で反発する声も出るのではないでしょうか。
遊川:習氏の独裁がより強化され、政権基盤は盤石になるとの見方もあります。でも、みんながこれで良いと思っているかといえば、もちろん、そうではありません。反腐敗運動で地位を追われた人たちや、既得権益を奪わられた人たちに加え、いわゆる良識派の中にも「ちょっとやりすぎじゃないか」と思っている人たちはいるでしょう。
ただ、今の状況の中では正面からの異議申立てはできない。となると、どういうことが起きるか。消極的な抵抗、面従腹背でなかなか動かない、サボタージュが起きる。
あるいは、政敵は政権の弱いところ、脆弱性を突くことを考える。例えば、株価の暴落など経済ショックも指導部に打撃を与えるために企てられるといった陰謀説がまことしやかに語られる。
また習氏は寝首を掻かれないよう常に警戒していなければならない。外部からは何が起きているのか窺い知れませんが、体制内部は常に極度の緊張状態でしょう。
—習氏を支えるのは、やはり、革命世代に連なる人たちですか。
遊川:彼らが今も習近平氏をどこまで支持しているのかは分かりません。党の存続が前提であることは分かっていても、既得権益を奪われたり反腐敗で摘発された人たちもいるし、ここまでやる必要があるのか、と思っている人たちもいるでしょう。
だから、習氏は民衆の支持も必要です。貧困の撲滅や環境対策など実績を示そうとするのもそのためです。確かに、習近平政権で格差に対する不満は緩和されたように見えます。5〜10年前の一般的な見方は格差はどんどん広がり、中国はいずれ行き詰まるというものではなかったでしょうか。今も格差問題は解決したわけではありません。ただ、今の庶民の不満は、金銭的な格差そのものというよりも、生活上の不便さに代表される社会制度の問題点に起因している。
胡錦濤総書記・温家宝首相の前指導部では最低賃金をどんどん引き上げたり、農業税を撤廃したり、と「弱者に優しい政策」をとってきた。ただ、党・政府をはじめ権益集団が好き放題にやってきたので弱者対策は焼け石に水すぎなかった。習近平政権がやっていることは「強者に厳しい政策」です。(違法所得などがなくなることで)青天井の所得が抑えられ、結果的に格差への不満は改善された。ただ、長期政権は常に求心力を維持するための政策を打ち出していかなければならない。
バチカンが握る台湾統一
—今後、習近平政権が求心力を高めるために取る方策は何でしょうか。
遊川:大きく2つあります。一つは国際社会におけるリーダーの地位を得ること。これは共産党政権の正統性をアピールする最大の材料でしょう。昨秋の党大会で2035年、2050年をその達成目標としたわけです。(広域経済圏構想である)一帯一路の推進もこの文脈で考えるべきでしょう。
もう一つは台湾統一です。習氏がこれをできれば、香港返還に道筋をつけた鄧小平氏を超える存在となり、最高の権威づけになります。逆に台湾が独立宣言でもしようものなら、メンツ丸つぶれで習近平体制に対する攻撃材料になります。
中国としては、経済面から台湾の現政権に圧力かけるとともに、台湾を国家として承認している国を世界中でなくすれば外堀を埋めることになります。昨年にはパナマが台湾と断交しました。今、台湾を承認している20カ国のうち、一番、影響力が大きいのがバチカン(ローマ法王庁)。バチカンと中国は信仰の自由を巡る対立から1951年に国交を絶っていますが、バチカンのフランシスコ法王はアジアでの信者獲得をにらみ、中国との関係改善に前向きな姿勢を見せています。もし、バチカンが中国と国交を回復すれば、キリスト教国が多い、ほかの台湾承認国も中国になびくかもしれません。
—「習一強」時代の日中関係についてはどう見ますか。
遊川:日中関係は中・長期的に不安定化せざるを得ないでしょうね。
長期政権になれば、外交的には一貫した戦略に則って進めやすくなります。今の中国外交の大きなテーマはいかにアメリカと折り合うか。先ほど、述べたように、中国の最終目標はアメリカを抜いて世界ナンバーワンになることです。理想は、日本がアメリカから離れて、中国の側についてくれるのが一番、良い。 でも、日本は中国を安全保障上の大きな脅威と捉え、安倍政権は日米同盟の強化でこれと対峙しようとしている。中国からすれば、そんな日本と仲良くすることは考えられないのです。
—日中関係は足元では改善しているようにも見えますが。
遊川:それは、今、中国が直面している外交問題(関係悪化)が、対インド、対オーストラリア、そして朝鮮半島だからです。今はわざわざ日本と関係を悪化させるのも得策じゃない。喧嘩をするタイミングではない、と考えているだけです。
—日本企業はそうした中国とどう向き合うべきでしょう。
遊川:中国企業をパートナーとして引き込むことではないでしょうか。中国は「世界の工場」から「世界の市場」に変貌を遂げました。中国に進出すれば、稼げる時代ではもうありません。日本にいながらでも、中国のお金を取り込むことはできます。インバウンドがそうでしょう。中国というアウェーに飛び込まなくても、日本というホームで戦うことはいくらでもできるのです。
小平記事

全人代の冒頭で李克強首相が政府活動報告を行ったが……(写真:新華社/アフロ)
「中国共産党第19回全国代表大会で、習近平(シー・ジンピン)『新時代の中国の特色ある社会主義』の歴史的地位が確立した」
中国の全国人民代表大会(全人代)が3月5日、開幕した。開幕直後には例年と同様、李克強(リー・クォーチャン)首相が政府活動報告を行い、過去5年の活動の振り返りと今年の政策の方向性、政府の施策について演説した。
演説が始まってから数分後、過去5年の活動の回顧が始まったばかりのところで、李首相は冒頭のように発言した。「社会主義」の後に続くはずの「思想」の2文字を李首相は発しなかったのだ。
今回の全人代で大きな話題となっているのが、憲法の改正案である。李首相の政府活動報告の直後には、憲法改正案の説明もなされた。直近では、2期以上連続して就いてはいけないとされていた国家主席の任期制限を撤廃する点に注目が集まっている。加えて、毛沢東思想や鄧小平理論と並んで習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」思想も憲法に盛り込まれる。
習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」思想は毛沢東思想や鄧小平理論と並んで憲法に盛り込まれることからも分かるように、これで1つの言葉だ。会場で配布された政府活動報告の原稿にも「思想」の2文字はしっかりと書かれている。
習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」思想は、政府活動報告の中でその後も数回登場し、李首相は冒頭以外では「思想」という言葉をきちんと発している。冒頭で「思想」を発しなかったのは、単なる読み飛ばしの可能性がもちろんある。
ただ重要な「思想」の2文字を飛ばしたのは事実である。習近平国家主席の権威が高まるにつれ、序列2位である李首相の存在感は低下してきた。革命元老の子弟である太子党の習国家主席とエリート集団の共産主義青年団(共青団)出身の李首相は同世代で、トップの座を争ったライバルだ。全人代の直前には、李首相の側近である楊晶・国務委員が重大な規律違反で解任されたばかりだ。
ここから先は推測に過ぎないが、習氏が憲法改正により終身の国家主席となる可能性が出てきたことに加え、毛沢東と並んで自らの名を冠した「思想」を憲法に入れようとしていることに対し、李首相がささやかな抵抗を試みたようにも見える。

3月5日に開幕した中国の全人代。今年は政府活動報告に続き憲法改正案の説明もあった
李首相の「思想」飛ばしの真意は分からないが、今年の全人代は例年と異なる部分が多いのは確かだろう。
政府活動報告の後に憲法改正案の説明があったこともその1つ。また既に報じられているように、今年は会期が1週間ほど長く、20日に閉幕する。政府活動報告と合わせ、憲法改正も審議する必要があるためだ。
現最高指導部メンバーの後に映し出された王岐山氏
さらに昨年秋の共産党大会で党の最高指導部である政治局常務委員から外れた王岐山氏が、現在の最高指導部メンバーに続いて何度もスクリーンに映し出された。
習国家主席の盟友とも言われる王氏は、昨秋の党大会前には党の内規である年齢制限を超えて常務委員を続投するともささやかれていた。結局、常務委員からは退いたものの、その後、湖南省の全人代代表に選出された。常務委員経験者がその後、代表に選出されるのは異例だ。
全人代では、新旧の党最高指導部メンバーが時折、一人ずつアップで映し出される。習国家主席から始まり、まずこれまでの5年間を率いてきた以前の最高指導部メンバーが映り、その後、新メンバーの顔が映し出される。王氏は新メンバーで最も序列が低い韓正氏の後に映し出されていた。
党の政治局常務委員ではないものの、現在の最高指導部と同様の位置付けであり、引き続き国の要職に就くことは確実なように見えた。
全人代の初日の光景は、中国の今後の体制がこれまでとは一線を画す「習近平の新時代」が到来したことを告げているようにも見えた。李首相は政府活動報告の中で「われわれはあくまでも平和的発展の道を歩み、新型国際関係の構築を促していく」と述べた。世界への関与をさらに強めようとしている中国を、表面的な理解で恐れるだけでなく、より深く知る努力が求められそうだ。
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『米ロの戦いがシリアで再燃、最悪シナリオは「中東大戦争勃発」』(3/5ダイヤモンドオンライン 北野幸伯)、『プーチン、【米フロリダ州を核攻撃する】ビデオを公開』(3/6北野幸伯メルマガ)について
米露とも世界大戦略を描き切れていないというか、両者とも真の敵を見誤っています。北野氏が言うように真の敵は中国です。昨日本ブログで紹介しました米国の「新国防戦略」は敵国として明確に中国の方に比重を置いていました。ロシアのミサイル防衛無力化の映像を見て、軍事的にロシア対策に走らなければ良いのですが。米露は外交的に話し合い、中国を両国の敵国として扱うのが理想です。「一帯一路」(含む北極海航路)で世界制覇を狙い、国民監視する自由の敵です。
米国では、このところ通商問題でナヴァロが復活してきました。何時も言っていますように、中国の軍拡と賄賂の原資は米国からの貿易の富です。今回の鉄鋼・アルミだけでなく他の物品も米国市場で稼がないようにしないと敵に塩を送ることになります。中国だけを標的にできない所が痛いですが。何せ中国の国防費は今年の予算で8.1%増の約18兆円とのこと。これは表の数字で、出て来ない分があり倍の36兆円ぐらいが実態では。日本の5兆円レベルでは対抗できません。日本人はもっと真剣に国防を考え、自衛隊を軍にし、同盟国を増やして対抗しなければ。
中国は日米韓の離間策を採ってきているのにどうして米国は中露の離間策を採らないのか不思議です。馬渕睦夫氏に聞けば「ユダヤ国際金融資本が米露を結び付けたくないから」と答えるかもしれませんが。
シリアではクルド人を米国が応援してISと対抗させて来ました。それにトルコが国内のクルド人の独立を活発化させるという事で反発。トルコはロシアに近づいて行きました。トルコのNATO脱退は米軍基地があるために、ないと思います。それでなければ、2015年11月にロシア軍機を撃墜出来なかったでしょうから。そうはいうものの、今はロシアのS-400防空ミサイルシステムを導入するかもしれないと言う所まで来ています。欧米がイスラム国家(でも世俗国家である)であるトルコを尊重しないためでしょう。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/11502
中東の問題として、イスラエルのネタニヤフ首相の収賄問題が浮上してきました。トランプの米国大使館をエルサレムに5月移転と関係があるのでしょうか?ユダヤ左派がユダヤ右派を追い落としにかかっているのでしょうか?サウジVSイランもレバノンやイエメンで代理戦争しています。直接対決になる可能性もあります。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2017111000770&g=int
ケント・ギルバート、 石平著『日本人だけがなぜ日本の凄さに気づかないのか』の中には、米軍の北の攻撃はあるとすれば、在韓米軍の家族が夏休みで帰る8月末まででは(P.224~225)とありました(実は昨年の夏のことと思われます)。中間選挙対策としてもその頃の方が良いのでは。
ダイヤモンドオンライン記事
昨年末、シリア内戦でプーチンが事実上の「勝利宣言」をした。プーチンは中東の覇権を米国から奪ったように見えたが、ここにきて米国が反撃に転じるなど、情勢は混沌としてきた。(国際関係アナリスト 北野幸伯)
ロシア人傭兵を米軍が殺害 混沌としてきたシリア情勢

シリアのアサド大統領を守りきったプーチンは、昨年末に「勝利宣言」をし、米国に代わって「中東の覇者」になったかに見えた。しかし、あれからたった2ヵ月で、状況は再び混沌としてきた 写真:代表撮影/AP/AFLO
2011年から内戦が続くシリア。ロシア・イランが支援する「アサド大統領派」と、欧米・サウジアラビア・トルコなどが支援する「反アサド派」、そして「イスラム国」(IS)が、三つ巴の死闘を繰り広げていた。
ロシアは15年9月、シリア空爆を開始。「反アサド派」と「IS」を容赦なく攻撃することで、大いにアサドを助けた。結果、アサドは、ほぼ全土を掌握するまでに勢力を回復。17年12月11日、プーチンは、事実上の「勝利宣言」をし、ロシア軍に撤退を命じた。
アサドは生き残り、プーチンは中東の覇権を米国から奪ったように見えた。しかし、ここに来て、米国が反撃に転じている。
先日、シリアにおける米ロ関係について、ショッキングなニュースが飛び込んできた。米軍の空爆で、ロシアの傭兵80~100人が死んだというのだ(ブルームバーグ2月20日付は、「200人強死亡」と報じた)。
毎日新聞2月19日付を引用してみよう。(太線筆者、以下同じ)
<<シリア>米主導空爆で「ロシア雇い兵300人死傷」報道 毎日新聞 2/19(月) 10:37配信 【モスクワ杉尾直哉】シリア東部デリゾール県クルシャムで今月7日、米軍主導の有志国連合がアサド政権を支援する武装勢力を空爆した事件で、ロシアの民間軍事会社の雇い兵300人が死傷していたとロイター通信が報じた。死者は80人から100人に達したという。>
これだけでは、意味が分からない。何が起こったのか、もう少し詳しく見てみよう。
<米国防総省は7日の空爆は、米国が支援するクルド人主体の武装勢力「シリア民主軍」(SDF)がアサド政権側の武装勢力に攻撃され反撃したと説明した。>(同上)
米国が支援する「シリア民主軍」(SDF)が、アサド政府軍に攻撃された。それで、米軍がアサド政府軍に反撃したところ、そこにロシア人傭兵がいたというのだ。米国防総省は、「ロシア人がいることは知らなかった」としている。
沈黙を続けるプーチン ロシア人の死に怒らない理由とは?
SDFに関する説明も、少し必要だろう。SDFは15年、クルド人民防衛隊を主体に結成された。他の「反体制派」の目標は「アサド政権打倒」だが、SDFは「ISに勝つこと」を最優先課題に掲げている。SDFは17年11月、ISが「首都」としていたラッカを制圧した。これで、シリアのIS勢力は、ほぼ消滅。現在、アサド現政権とSDFが二大勢力になっている。とはいえ、アサドが圧倒的に優勢だ。
この事件について、ロシア政府の反応は鈍い。テレビニュースでは、ほとんど報道されておらず、プーチンも沈黙している。また、奇妙なのはロシア人死者数の食い違いだ。
<露外務省のザハロワ情報局長は同日の記者会見で「5人のロシア人が死亡した可能性がある」と述べ、ロシア人雇い兵が現場にいたことを事実上認めたが、多数の死者発生は否定した。>(同上)
欧米メディアは「100人(あるいは200人)死んだ」と報道。しかし、ロシアは「5人死んだかもしれない」という。この異様な違いは何だろうか?
<プーチン政権は空爆でアサド政権を支援してきたが地上攻撃部隊は派遣せず、雇い兵など非正規部隊の投入も一切否定してきた。>(同上)
どうやらこれが答えらしい。ロシア政府は、「傭兵など非正規部隊を含め、地上部隊は派遣していない」と公言していた。しかし、実際に傭兵(地上部隊)はいて、殺されている。となると、プーチン政権が「ウソをついていた」ことが、ロシア国民や世界に知られることになる。
つまり、ロシア政府は、「怒るに怒れない」状態になっているのだ。
オバマの顔に泥を塗ったプーチン シリアでの熾烈な代理戦争
一方の米国の側は、どうなのだろう?今回の事件は、「米軍が、ロシア人傭兵の存在を知らずに空爆してしまった事故」なのだろうか。
その可能性も否定はできない。しかし常識的に考えれば、米軍や米諜報機関が「ロシア人傭兵の存在を知らない」というのは、あり得ない気がする。そして「全体の流れ」を眺めると、もっと「大きな絵」が見えてくる。ここ数年の動きを振り返ってみよう。
まず10年、「アラブの春」現象が起こった。「中東民主化運動」が盛り上がり、独裁政権が次々と倒れていった。
シリアでは11年、内戦が勃発した。ロシアとイランは、アサド現政権を支援。アサドは「反欧米」なので、欧米は「反アサド派」を支援した。さらに、サウジアラビアやトルコなども「反アサド派」に加勢した。
つまり、シリア国内での「アサド派」vs「反アサド派」の戦いというだけでなく、バックについた「ロシア」vs「欧米」という、いわゆる代理戦争の様相も呈していたのだ。
ロシアとイランに支えられたアサドは、なかなか倒れない。業を煮やしたオバマは13年8月、「シリア(=アサド)を攻撃する」と宣言した。口実は、「アサド軍が化学兵器を使ったから」。しかし、13年9月、オバマは戦争を「ドタキャン」して世界を仰天させた。
日本ではあまり知られていないが、「アサド軍が化学兵器を使った」というオバマの言い分が「大ウソだ」、ということをプーチンが暴露したのだ。
<プーチン大統領はまた、反体制派が化学兵器を使ったことを指し示す証拠があるとし、「われわれは化学兵器を持った反体制派がトルコ領内で拘束されていることを知っている」と述べた。>(ウォール・ストリート・ジャーナル2013年6月19日)
これはプーチンによる「ねつ造」ではない。当時、国連調査委員会も「アサド軍ではなく、反アサド派がサリンガスを使用した」との調査結果を出している。
こうしてオバマは、アサド攻撃を中止した。しかし、世界に向けて「オバマはウソつき」という情報を拡散したプーチンを憎悪したに違いない。
米国はウクライナ革命でプーチンに復讐した
オバマの憎悪は、プーチンのお膝元に向かった。
オバマがシリア攻撃をドタキャンした2ヵ月後の13年11月、ロシアの隣国ウクライナで、親ロシアで知られるヤヌコビッチ大統領に抵抗する「反ヤヌコビッチデモ」が起こった。このデモは長期化・大規模化し、14年2月には革命に発展。失脚したヤヌコビッチはロシアに亡命し、代わりに親欧米・反ロシア新政権が誕生した。
14年3月、ロシアはクリミアを併合。そして、ウクライナ内戦が勃発した。欧米はウクライナ新政権を、ロシアは東部の「親ロシア派」を支援。この内戦もシリア同様、欧米vsロシアの代理戦争と化したのだ。ロシアでは当初から、ウクライナ革命は米国のしわざだと信じられていた。そしてその後、オバマも「米国が介入した」ことを認めている。
こうして米ロの代理戦争がウクライナに舞台を移している間に、シリア情勢はますます泥沼化していった。それまでは、「アサド派」と「反アサド派」の戦いだったのだが、この「反アサド派」から「IS」が独立し、急速に勢力圏を拡大していったのだ。
ISは残虐行為を繰り返し、欧米でテロをした。放置できなくなった米国は14年8月、IS空爆を開始したが、米軍と有志連合の空爆には「迷い」があった。
ISは、残虐な敵ではあるが、一方で「反アサド」でもある。つまり、ISは米国にとって「敵」であると同時に「味方」でもあるという、複雑な立ち位置の存在だったのだ。結果、米軍の空爆は気合が入らず、ISが衰えることはなかった。
この拘泥状態を打ち破ったのはプーチンだった。15年9月、ロシアがIS空爆に加わったのだ。ロシアの目的は「同盟者アサドをISから守ること」。米国のような迷いがないため、ISの資金源となっている石油関連施設を遠慮なく空爆した。結果、ISは急速に衰えていった。
プーチンの中東覇権は一瞬だった 中東に再び関心を持つトランプ
アサドはその後、「反体制派」のほとんどを駆逐し、生き残ることに成功。そして、17年12月11日、プーチンは「勝利宣言」した。ロシア軍が駐留するシリア西部のヘメイミーム空軍基地を電撃訪問したプーチンは言う。
「シリア軍と共に国際テロ組織を粉砕することができた。シリア国家の主権と独立を守ることができた」
ロシアが、米国に代わって「中東の覇者」になった瞬間だった。この状況の変化を受け、イスラエル、サウジアラビア、トルコ、エジプトなど、伝統的な親米諸国が、急速にロシアに接近している。
しかし勝利宣言からわずか2ヵ月しか経っていない今、プーチンは一時も安心できない状況になっている。米国が中東に戻ってきたからだ。
そもそも、プーチンが中東の覇者になれたのは、彼の戦術が優れていたことはもちろんだが、それ以上に「米国が中東への関心を失っていった」ことが大きかった。
米国は長年、中東を最重要視してきた。この地域に「石油」があるからだ。しかし、オバマが09年大統領に就任した後、「シェール革命」が起こり、状況は劇的に変化していった。この革命のおかげで米国は、いまやサウジアラビア、ロシアに並ぶ石油大国になっている。天然ガス生産でも、ロシアとトップを争っている。
石油資源を必要としなくなったオバマは、急速に中東への関心を失っていった。そして、中東における同盟国であるイスラエル、サウジアラビアとの関係が、悪化していった。15年、彼らの神経を逆なでする決断を下したのだ。
15年7月、米ロ英仏独中とイランは、イスラエルとサウジアラビアの天敵であるイランと「核合意」を締結。16年1月、欧米はイランに対する制裁を解除した。当然、イスラエルとサウジアラビアは激怒したが、イスラエル・ネタニヤフ首相の親友トランプが米国大統領になり、また状況は変化してきている。
懸念される「イスラエル・イラン戦争」 プーチンの有能さがロシアを追いつめる
トランプは、イスラエル、サウジアラビアとの関係を改善するために動いている。昨年12月7日には、エルサレムを「イスラエルの首都」として、公式に承認した。
米軍がロシア人傭兵を殺した今回の事件も、「中東を離れていた米国が戻ってきた」、そして「イスラエルの敵アサドと、その後ろにいるロシアとの戦いを再開した」と見るほうが、「事故」と考えるより納得がいく。
そして、この事件の3日後、イスラエル軍機がシリアを空爆、その後撃墜されるという事件が起こった。
<越境空爆後のイスラエル軍機、シリア軍が撃墜 読売新聞 2/11(日) 11:01配信 【カイロ=倉茂由美子】イスラエル軍は10日、シリアを空爆したイスラエル軍機が、アサド政権軍により撃墜されたと発した。>
発表によると、この日シリアからイラン製の無人機がイスラエル領内に侵入したので、撃墜した。その後、イスラエル軍機がシリアに入り、イランが管理する施設を空爆したが、シリアの地対空ミサイルで撃墜された。
米国政府はこの件で、即座に「イスラエルを支持する」と声明を出した。イスラエルは、「有事の際は、トランプが助けてくれる」と確信したことだろう。
ロシアには、「イスラエル・イラン戦争」を懸念する専門家もいる。そうなると、欧米はイスラエルを、ロシアはイランを支援し、大戦争に発展しかねない。それを煽るかのようにネタニヤフ首相は2月18日、「ミュンヘン安全保障会議」で演説。イランは「世界の脅威」であり、「必要ならイランに対して行動を起こす」と警告した。
大戦争が起こらず、アサド政権が存続し続けたとしても、「プーチン安泰」ということにはならない。
確かにこれまでの経緯を振り返ると、ロシアは米国との代理戦争に勝利している。ウクライナでは、クリミアを併合し、東部親ロシア派のルガンスク、ドネツクを、事実上の独立状態に導いた。そして、シリアでもアサドを勝利に導いた。しかし、これらは「戦術的勝利」に過ぎない。
一方、米国は情報戦でプーチンを「悪魔化」することに成功し、経済制裁でロシア経済をボロボロにした。プーチンが「戦略的勝利」、つまり実際の戦力を使わずして勝利を収めるためには、米国を懐柔し、制裁を解除させなければならない。
だが、シリアやウクライナで米国と対立し、「戦術的」に勝ってしまう彼の優秀さが、米国の憎悪を増幅させる。3月1日、プーチンは年次教書演説を行い、「フロリダを核攻撃するシュミレーション映像」を見せていた。また、2時間の演説のうち、およそ40分が「国防について」だった。
しかし、米国の支配層を怒らせて、制裁を解除させることなどできるだろうか?逆説的だが、プーチンが「戦術的」に勝てば勝つほど、「戦略的勝利」は遠くなるのだ。
プーチンとロシアの苦難は続く。
メルマガ記事
プーチンは3月1日の年次教書演説で、アメリカを核攻撃する映像を見せました。
★プーチン、【米フロリダ州を核攻撃する】ビデオを公開
全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!北野です。
米ロがシリアでリアルに戦っています。
では、本題。
大変ショッキングなことがありました。プーチンは3月1日、年次教書演説をした。その際、アメリカを【核攻撃】するシュミレーション映像を流したのです。
え?「ウソ」じゃないです。
<「フロリダ州を核攻撃」のビデオ、プーチン大統領が演説に使用
CNN.co.jp 3/2(金) 10:40配信
(CNN) ロシアのプーチン大統領は1日に行った演説の中で、無限射程の核弾頭が、米フロリダ州と思われる場所を狙う様子をアニメーションで描写したコンセプトビデオを披露した。フロリダ州には米国のトランプ大統領の別荘がある。>
もう少し、詳しく見てみましょう。
<プーチン大統領は演説の中で、極超音速で飛行でき、対空システムも突破できる「無敵」ミサイルを誇示。「ロシアやロシア同盟国に対する核兵器の使用は、どんな攻撃であれ、ロシアに対する核攻撃とみなし、対抗措置として、どのような結果を招こうとも即座に行動に出る」と強調した。プーチン大統領が披露したビデオでは、何発もの核弾頭が、フロリダ州と思われる場所に向けて降下している。>(同上)
BBCには映像の一部がありました。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180302-53252754-bbcv-int
「ロシアやロシア同盟国に対する核兵器使用」すれば、「どのような結果を招こうとも即座に行動に出る」そうです。要は、「アメリカが核兵器を使えば、ロシアも即座に核兵器で反撃する」といっている。
「当たりまえ」といえば「当たり前」のことをいっているのですが・・・。
わざわざ言及しているのは、「当たり前ではない」ですね。そして、プーチンさんがいうと、なおさら怖い。
ところで、なぜプーチンは、わざわざこんな過激な話をしたのでしょうか?
<「だがこれで終わりではない」とプーチン大統領。「我々が開発した新型戦略兵器は、弾道軌道を一切使用しない。つまり、同兵器に対してミサイル防衛は役に立たない」>(同上)
「同兵器に対してミサイル防衛は役に立たない」 要するに、これがいいたかったのですね。
▼脅しは、国内向け?
この演説についてロシアでは、二つの意見が聞かれます。「国内向け」と「外国向け」。どういう意味でしょうか?
ロシアでは3月18日に大統領選が行われる。それで「支持率をアップさせよう」と。普通の日本人であれば、疑問がわくでしょう。「フロリダを核攻撃する映像を流せば、支持率が上がるの?」これが、上がるのですね。ロシア語ですが、以下の映像、1時間36分16秒ぐらいから見てください。
https://www.youtube.com/watch?v=6slFfemBnN8
長々と新兵器群の話をしたプーチンは、「新兵器が必要になった理由」を語ります。
「誰も、俺たちと話をしたがらなかった。
誰も、俺たちの話を聞きたがらなかった。
(こんなすごい新兵器があるのだから)
さあ、話を聞きやがれ」
こういった後のリアクションを見てください。満面の笑顔の人、目に涙を浮かべている人。とにかく、皆さん、幸せなのです。
▼プーチンは、アメリカに憤怒している
プーチン・ロシアは、アメリカの「グローバル・ミサイル防衛システム」に対抗して、新兵器を開発したのです。これは国防ですが、話はそれにとどまりません。プーチン・ロシアとアメリカは、実質「15年戦争の最中」といえます。プーチンは、2000年に大統領になりました。2002年頃から、両国関係はおかしくなってきた。
時系列に見てみましょう。
・2002年~03年、ロシアは、アメリカのイラク戦争に反対する
・03年、ユコス問題で、米ロは対立(アメリカは、ユコス買収を目指していた)
・03年、旧ソ連国ジョージア(旧グルジア)で革命が起こり、親米反ロ政権誕生
・04年、旧ソ連国ウクライナで革命。親米反ロ政権誕生
・05年、旧ソ連国キルギスで革命。
・08年、アメリカの傀儡国家ジョージアとロシアの戦争勃発
・09~11年、米ロ再起動時代。短い休戦(プーチンは首相だった。)
・2012年、プーチン、大統領に返り咲く
・2013年、プーチン、シリア内戦でアメリカと対立(プーチンはアサドを、アメリカは反アサドを支援)
・2014年3月、クリミア併合
・2014年4月、ウクライナ内戦ぼっ発(プーチン・ロシアは「東部親ロシア派」を、アメリカは、反ロ新政権を支援)
アメリカは、欧州、日本を巻き込み「対ロシア制裁」を発動。それで、ロシア経済はボロボロになってしまった。
一方、プーチンは、「軍事的勝利」を重ねている。シリアでは、プーチンが支持するアサドが政権にとどまっている。ウクライナで、ロシアはクリミアを併合し、東部ルガンスク、ドネツクは、事実上の独立状態にある。というわけで、アメリカとロシアは、お互い憎しみあっている。
もちろん、それで得をするのは中国です。
嗚呼。
中国はまたもや、「山頂に座して、二頭のトラ(米ロ)の戦いを眺める」最良のポジションにつけました。
日本も中国を見習い、米ロのケンカには関わらないでおきましょう。両国との関係を良好に保つことは、「対中国」で重要です。「アメリカが対中国で大事なのはわかるが、ロシアが対中国で大事というのは解せない!」という方。
いますぐ、こちらをご一読ください。
- 中国に勝つ日本の大戦略 http://amzn.to/2iP6bXa
アメリカが一番大事なのは当然ですが、【大戦略的】にロシア重要であることが理解できるはずです。
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『中国との対決に舵を切ったアメリカ 新「国防戦略」で示されたトランプ政権の現状認識と最大の脅威』(3/1JBプレス 北村淳)について
3/1 Independent<China bans George Orwell’s Animal Farm and letter ‘N’ as censors bolster Xi Jinping’s plan to keep power indefinitely Experts believe increased levels of suppression are sign Xi Jinping hopes to become dictator for life=中国は習の無期限の権力を持つ計画を支持するために検閲してジョージ・オーエルの動物農場とN(Noの意味か?)文字を禁止、専門家は「弾圧の程度が上ったのは、習が終身独裁者になることを望んでいる兆候」と見ている>「習沢東=習近平と毛沢東の合成語」「不同意」「個人崇拝」「終身」「不滅」「移民」「破廉恥」なども禁止。熊のプーさんは既に禁止された。
習近平(Xi Jinping)を希特勒(ヒトラー)(Xitele)になぞらえて習特勒(Xitele)と呼ぶ人もいるようでやがてこれも禁止されるでしょう。
3/4中国観察<《人民日報》談“國家主席任期” 這次是習近平授意的?——《人民日報》談“終身制” 學者:習近平的態度就藏在背後=人民日報の国家主席の任期についての記事は習の意を受けたものか?人民日報の言う終身制について、学者は「習の態度は背後に隠している」と。>3/1人民日報は「憲法改正は党や国家リーダーの退職制度の変更を意味しないし、リーダーの終身制も意味しない」と報じた。2/25新華社英語版で「国家主席の任期二期制を憲法改正して取り消す」と発表したので、国の内外で大騒ぎとなり、ネットで“称帝”、“司馬昭之心=「権力をねらう野心家の陰謀はだれでも知っている」”は検索できないようになった。情報通のメデイア人の宇明は「習は任期を延ばしたいとは思っているが、終身までとは限らない」と見ている。新華社の発表が批判を受けたので、人民日報が習の意を受けてこの記事を出した。“北京の春”編集長の胡平は「任期制撤廃と終身制は同じではない。しかし任期制撤廃は終身でいることを可能にする。毛沢東も終身制の主席であったわけではないが、会議を開き当選する形を作った」と。
陳破空は「中国経済は大きくなり、中国人の教育レベルも上がり、多くの中国人が海外に出て見聞を広め、中国社会は政治レベルも上がって民主化の準備が整っているにも拘らず、習は情勢を感知できず、誤断して政治面では後退するばかりである。今回の憲法改正は党内外のエリート層の心の底を動かし、大きな反対を呼んだことは習他が予測できなかったこと」と思っている。
程暁農は「腐敗維持派は新しい権貴階級とあらかたの官員を含み、暗黙の了解の上に共同行動を取り、打虎派に明確に反対はしないけれどもどこかに障害物を置くことをする。官員が言うには、反腐敗は政治に緊張と動揺を齎すことを意味する。中産階級にとっては、政治エリートが中国を掠め取り、将来の緊張や動揺を招くことを意味する」と。
3/1facebook記事<朱雪琴 極權國家選舉投票,點票不是公開透明下進行,存在暗箱作弊,共慘黨內定人選,假選票、假民主。
朱雪琴 専制国家の選挙投票は、公開・透明な方法で投票されることはなく、暗がりで不正行為をする。共惨党が内定した人を選ぶだけ。偽の投票、偽の民主主義である>北朝鮮と同じでしょう。共産主義は国民にとっていいことは何もありません。
https://www.facebook.com/100013649473166/videos/402486096883036/
北村氏記事はやっと米国も中国の危険性を認識して防衛戦略を固めるつもりとのこと。それは良いのですが、目先の北の脅威を見逃して核保有させることになれば、中国に対抗することは到底できないということになります。北への対応の仕方で、米国の中露に対する真剣度が問われます。まあ、日本に届く核を認めるというのであれば、日本も核保有しなければまた落とされます。ただ、日本国内には左翼の洗脳にかかったDupes(=gullible people)が多く、核保有も一筋縄で行きません。核を落とされるか、中朝の奴隷になってみて初めて自分の愚かさに気付くのでしょう。
記事

ベルギー・ブリュッセルの北大西洋条約機構(NATO)本部で記者会見するジェームズ・マティス米国防長官(2018年2月15日撮影、資料写真)。(c)AFP/JOHN THYS〔AFPBB News〕
トランプ政権は、2018年の1月下旬に公表した「国防戦略 2018(NDS-2018)」において、「大国間角逐(かくちく:互いに争うこと)」こそがアメリカ国防にとって最大の脅威であるという、国際軍事環境に対する現状認識を示した。
「大国間角逐」という現状認識
マティス国防長官は「NDS-2018」に関連して、「アメリカ軍は世界規模での対テロ戦争に打ち勝つための努力を継続していくものの、アメリカの国防が最も重視しなければならないのは『対テロ戦争』ではなく『大国間角逐』である」と明言している。
すなわち、トランプ政権下におけるアメリカ国防戦略の基本方針は、大国間角逐、つまり「軍事大国の間における強度な競合」という軍事環境に突入したという現状認識を大前提にして、そのような大国間角逐に打ち勝つことによってアメリカの国益を維持する、というのである。米国にとっての大国間角逐とは、具体的には「中国の軍事力、そしてやがてはロシアの軍事力、との熾烈な競合」を指す。
米国の安全保障関係者たちの間では、このように大転換した国防戦略の基本方針を実施するためには具体的にどうすれば良いのか? といった議論が活発になってきている。とりえわけ、これまで対テロ戦争にプライオリティーが与えられていたため、力を押さえつけられてきた「中国封じ込め派」の人々の多くは、NDS-2018で表明された軍事環境認識に賛同するとともに、国防戦略の基本方針を実施していくための戦略案や具体的方策案などを提示し始めている。
繰り返されてきた「集団安全保障的心情」
なかでも、陸軍将校退役後はCSBAという国防に関するシンクタンクを主催するなど安全保障戦略家として高名なアンドリュー・クレパインビック博士はNDS-2018を次のように高く評価している。
「マティス長官が率いるトランプ政権国防当局が、NDS-2018において『大国間角逐に打ち勝つこと』をアメリカ国防戦略の基本方針に据えたことは、第1次世界大戦以降長きにわたってアメリカの国防政策担当者たちが依拠し続けてきた『集団安全保障的心情』から目を覚まさせようとする画期的な第1歩である」
クレパインビック博士たちによると、「集団安全保障(collective security)」とは、大国(軍事大国)が既存の国際社会というシステムに組み込まれ、もしもそのシステムをひっくり返そうとする動きを見せた構成国が現れた場合は、大国が主導する国際社会が集団で“跳ねっ返り”から既存のシステムを防衛する、ということが大前提となっていた。
しかしながら、第1次世界大戦後の集団安全保障システムはドイツ、日本、イタリアによる挑戦を受け、第2次世界大戦後の集団安全保障システムはソビエト連邦が率いる共産主義勢力による挑戦を受け、冷戦後の集団安全保障システムは中国およびロシアによる挑戦を受けつつある。
クレパインビック博士によると、集団安全保障システムがそのように危険にさらされる状況が繰り返されてきたのは、「集団安全保障的心情」に突き動かされていたアメリカの指導者たちが常に誤って国際情勢を認識していたからである。マティス国防長官が率いるアメリカ国防当局は、これまで幾度となく繰り返されてきた集団安全保障的心情から脱却して、国際軍事環境を大国間角逐という視点から認識するという正しい(クレパインビック博士たちにとっては)立場にスタンスを移し替えたというわけである。
その際、トランプ政権が想定している「大国間」とは、現時点においては「アメリカ対中国」である。近い将来にはそれに「アメリカ対ロシア」も加わるが、現在のアメリカ国防当局にとって喫緊の課題は、「米中間角逐」に打ち勝ってアメリカの国益を維持しなければならない、ということになる。
しかしながらクレパインビック博士は、「米中間角逐(そして米ロ間角逐)に打ち勝つ」という基本戦略には深刻な問題が横たわっていると警鐘を鳴らす。すなわち、基本戦略を着実に実施するための具体的戦略あるいは作戦概念を、個々の米軍(海軍、陸軍、空軍、海兵隊)も米軍全体(統合軍)も持ち合わせていないということである。
本コラム「中国の海洋侵出を食い止めるために日米がすべきこと」(2018年1月5日)でも指摘したように、中国は「積極防衛戦略」という確固たる具体的な国防戦略を着々と推進している。それに対してアメリカは何ら具体的な対中国軍事戦略を策定していないのが現状である。

クレパインビック博士たちCSBAが警鐘を鳴らす日本周辺での中国の軍事的優勢 日本に必要な独自の「列島防衛戦略」
そこで具体的な対中国軍事戦略としてクレパインビック博士たちが提唱するのが、かねてよりCSBAによって機会あるごとに主張し続けてきた「列島防衛戦略(作戦概念)」である。
この戦略は、日本列島から台湾、フィリピン、インドネシアを経てマレーシアに至る、中国側のいうところの「第1列島線」と、伊豆諸島、小笠原諸島からグアム島やサイパン島などマリアナ諸島を繋ぐ「第2列島線」に、米軍(海軍、空軍、海兵隊そして陸軍)前方展開部隊を展開させ(あるいは急展開できる態勢を維持し)、中国人民解放軍海洋戦力(海上戦力、海中戦力、航空戦力、長射程ミサイル戦力、それにサイバー戦力)が、それらの列島線に接近できなくしてしまおう、というものである。
ただし、この「列島防衛戦略」の提唱に対しては慎重論も少なくない。なぜなら、現状においては、南シナ海周辺諸国や米国の同盟国、友好諸国の多くは中国との経済的結びつきが、もはや捨てがたい状況となっているからだ。「中国との経済的結びつきが強い国は、『列島防衛戦略』などアメリカ側が提唱する対中国戦略はアメリカの国益維持のための戦略だと考えている。そうした対中対抗策をアメリカが持ち込もうことに対しては、さすがに面と向かって口に出してはいないものの、“ありがた迷惑”だとして心中困っているはずだ」といった声も聞かれる。

第一列島線と第二列島線 (星印は米軍拠点)
とはいうものの、東シナ海・南西諸島の島嶼防衛の必要がある日本にとっては、「列島防衛戦略」は「アメリカの国益維持のため」というよりは「日本の国益維持のため」の国防戦略そのものである。(本コラム「効果は絶大、与那国島に配備される海洋防衛部隊」2014年5月8日、「島嶼防衛の戦略は人民解放軍に学べ」2015年7月16日など参照)
したがって日本は、アメリカの対中封じ込め派の外圧要求を待つまでもなく、自主的に日本独自の「列島防衛戦略」、すなわち中国が与那国島から利尻島に至る長大な日本列島線に接近できないようにするための具体的国防戦略を打ち立て、推進する策を講じねばならない。
もちろん、日本がこのような戦略を実施するに当たっては、「列島防衛戦略」を推し進めるアメリカとの協働が有用である。ただし、その際に日本側が心せねばならないのは、アメリカによる「列島防衛戦略」は「大国間角逐」に打ち勝つための具体的戦略であり、日本政府が拘泥している国連中心主義、すなわち集団安全保障的心情から離脱した世界観に立脚しているということである。
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『22年前に殺された母の仇討ち、その執念の源は 権力濫用で厳罰を逃れた“母の仇一家”を絶対許せない…』(3/2日経ビジネスオンライン 北村豊)について
3/2阿波羅新聞網<三中全會公報表述有變 暗示中共有大動作 一詞出現7次=三中全会の公報は変化を伝える 中共に大きな動きがあるのを暗示 一つの言葉が7回も出て来る>
2/28に三中全会は閉幕したが、新華社の公報に依れば「統一」の言葉が7回も使われた。「思想統一」と「党の核心で権威を集中させた唯一のリーダー」を認めさせる為である。各地に国家監察委が設立され、国家検察の反腐敗部門と党の規律委員会を合併するので、内部で調整中である。王岐山の国家副主席就任はこれで問題はなくなった。今後習・王体制で臨むことになる。但し反腐敗で政敵を打倒したため怨嗟の声が。スターリンや毛沢東のような個人独裁になれば、権力闘争が激しくなり、反対者は旗幟を鮮明にするかもしれない。
http://tw.aboluowang.com/2018/0301/1077642.html
3/4日経朝刊<盧溝橋に掲げられた写真

中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席が笑っているかどうかを確かめたくて、ひさしぶりに北京郊外の盧溝橋に近い抗日戦争記念館を訪ねた。
盧溝橋はいうまでもなく1937年7月に日中戦争の発端となる発砲事件が起きた場所だ。記念館の展示は旧日本軍による侵略の歴史が延々と続き、最後の部屋に習氏が安倍晋三首相と握手する写真がある。
2015年に掲げられたとき、写真のなかの習氏はむすっとした表情だった。むりもない。それまで安倍氏と会っても、笑ったためしがなかったからだ。
その習氏が17年11月の首脳会談で、はじめて安倍氏と笑顔で握手した。もしや記念館の写真も替わっているのではないか。そう思って最後の部屋に足を運んでみたが、習氏はやはりむすっとしたままだった。
12世紀に完成し、マルコ・ポーロが「世界でいちばん美しい橋」とたたえた盧溝橋と対照的に、抗日戦争記念館はひときわ斬新なデザインが目を引く。その歴史はあんがい浅く、1987年7月の開館からまだ30年しかたっていない。
日本の侵略を思い返す施設が、戦後40年をへてできたわけだ。80年代初めまで、中国は日本の歴史認識をさほど問題にしなかった。そう聞けば、意外に思う人は多いかもしれない。
興味深い記録が残っている。64年7月に建国の父である毛沢東氏が、のちに日本社会党の委員長となる佐々木更三氏と北京で会ったときのことだ。佐々木氏が旧日本軍の侵略戦争を謝罪すると、毛氏は次のように答えたという。
「何も申し訳なく思うことはありません。みなさんの皇軍なしには、われわれが権力を奪取することは不可能だったのです」(「毛沢東思想万歳〈下〉」東京大学近代中国史研究会訳)
リップサービスを含むにしても、毛氏の本音がにじむ言葉だろう。
30年代の半ば、毛氏が率いる共産党は国民党の軍に追い詰められていた。その状況は日中戦争の勃発で一変する。抗日で国民党と手を組む「国共合作」が成立し、共産党は力をため込む余裕ができた。毛氏にとって敵は日本でなく、あくまで国民党だった。
風向きはどこで変わったのか。日本貿易振興機構アジア経済研究所の江藤名保子氏は「82年の第1次教科書問題が大きな転機になった」と指摘する。日本の教科書検定に関する報道をきっかけに、中韓が「歴史の改ざんだ」と激しく反発したときだ。
当時、鄧小平氏が改革開放に踏み出し、共産党は「社会主義」の旗印だけで国を束ねるのが難しくなっていた。教科書問題はそんな共産党に思いがけない発見をもたらす。「愛国主義が国内政治の安定に役立つと気づいた」(江藤氏)のだ。抗日戦争記念館の原点が、そこにある。
もちろん、あの戦争が正しかったと言いたいわけではない。多くの日本人は過ちを認め、だからこそ、歴代首相はおわびと反省の気持ちを表してきた。
中国は国内の安定を保つために、それを拒んできた面がある。しかし、沖縄県の尖閣諸島をめぐる2012年のデモが制御不能に陥ったように、もはや「反日」が国をまとめる力になるとは思えない。
国家主席の任期をなくす憲法改正が固まり、習氏は外に敵をつくらなくても国を束ねられる強い権力を手にした。日本のおわびと反省を、そのまま受け止める環境は整ったはずだ。
盧溝橋のそばに一日も早く、習氏と安倍氏が笑顔で握手する写真が掲げられれば、と願う。
(中国総局長 高橋哲史)>(以上)
日経も毛と佐々木更三の話を載せるようになったのは進歩かと。自分の会社の行く末にしか関心がなく、左翼のプロパガンダに弱い日経読者にとっては初めて聞く話かもしれません。ネットではとっくに流通していましたが。どうせなら、日中戦争の発端は中共の劉少奇の部隊が盧溝橋に駐留する日本軍に向けて発砲して、日本軍と国民党軍を戦わせたというのも載せれば良かったのに。劉がそう発言したと言われています。
高橋氏も中国総局長を務めているくらいですから悪辣な中国人の考え方や「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という価値観については熟知していると思います。ただ、最後の結末で日中友好を願うとしたのは、報道機関の限界でしょう。彼らは一度手にした反日の蜜の味を手放すことはありません。中国で独裁体制を固める習の狙いは世界制覇にあり、目先邪魔になるのは台湾と日本です。昨日の本ブログで紹介しましたように、東南アジアの国々は中国に靡いていますので。自由主義VS左翼全体主義の闘いです。世界の人々の幸福を願うならば、日米台と中国との戦いが正念場となります。
北村氏の記事は中国が如何に正義が実現しない国かを説いています。小生が度々中国の賄賂社会に触れ、賄賂でどうにでもなる国と説明してきました。本ケースもその事例です。自分の思いを遂げるには結局自力救済するしかありません。中国では「悪い奴ほど良く眠る」のです。こんな悪徳に塗れた文化を世界に広めようとするのですから、中国の侵略を押し留めなければ。日本は覚悟を持たなければダメです。
記事

2月15日は旧暦の12月30日で、翌16日は中国の人々が1年の始まりと春の訪れを祝う“春節(旧正月)”の元旦であった。その春節前日の大みそかに、陝西省の西南部に位置する“漢中市”の“南鄭区”にある“新集鎮”の“王坪村”で、村民の“張扣扣(ちょうこうこう)”が近所に住む王家の父子3人を次々と殺害するという事件を引き起こした。この事件は張扣扣が22年前に王家の父子によって殺害された母親の仇を討ったものであった。3人目を殺し終えた張扣扣は天を仰ぎ、「苦節22年、今日でやっと俺の敵討ちは終わった」と大声で叫んだことから、中国メディアはこの殺人事件を“為母報仇案件(母の仇討ち事件)”と名付けて大きく報じた。
犯人は35歳の退役軍人、2日後に自首
殺害された王家の父子とは、当主の“王自新”(71歳)、長男の“王校軍”(47歳)、三男の“王正軍”(39歳)の3人であり、犯人の張扣扣は2日後の2月17日に自首したのだった。犯人が自首したことにより事件は怨恨(えんこん)による連続殺人事件として簡単に決着すると思われたが、張扣扣の殺人動機が母親の仇討ちであったことが報じられると、事件は新たな展開を見せたのだった。なお、犯人の張扣扣は1983年生まれの35歳で、2001年から2003年まで新疆ウイグル自治区の“武装警察部隊”に在籍した退役軍人であった。彼は農民である父親の“張福如(ちょうふくじょ)”と母親の“汪秀萍(おうしゅうへい)”の間にできた2番目の子供として大坪村に生まれた。彼にはすでに他家へ嫁いでいる姉の“張麗波”がいる。
さて、2月21日の中国メディアは取材に基づく事件の経過を以下のように報じた。
【1】王家の三男である王正軍は省都の“西安市”で工場を運営しているが、今年は例年より早く、旧暦の12月21日(新暦:2月6日)に大坪村へ帰って来ていた。王家では旧暦の12月23日(新暦:2月8日)に春節を迎えるための準備で豚を殺すので、王正軍はその作業を手伝うのを名目に例年より早く村へ戻ったが、その実は100万元(約1700万円)以上の借金を抱えて、父親の王自新にカネを無心することが目的だった。
【2】旧暦12月30日(新暦の2月15日)の早朝、王家の長男で南鄭区の中心部に住む王校軍が自家用車を運転して王坪村の実家へ戻って来た。彼は両親を連れて自宅へ戻り、春節を自宅で両親と一緒に過ごすつもりだった。次男の“王富軍”は王坪村の実家へは戻っていなかった。彼は元の妻と離婚して新たな恋人を見つけたが、春節2日目の2月17日に自宅で恋人の家族と会う約束があり、自宅の清掃と整頓に忙しく立ち働いていた。この結果、王富軍は幸運にも張扣扣による殺害から免れたのだった。
「苦節22年、やっと敵討ちは終わった」
【3】王家の兄弟がふだん王坪村の実家に集まることは滅多にない。王家の状況を探っていた張扣扣は、三男の王正軍がすでに実家に滞在していることは知っていたが、2月15日の早朝に長男の王校軍が自動車を運転して実家へ戻って来たのを見かけて、息子2人が実家にいる今こそ絶好のチャンスであり、人々が警戒を解く春節前後を逃してはならないと敵討ちの決意を固めた。同日の11時頃、王校軍と王正軍に王家の親戚を含めた十数人は、墓参りをしようと、死者を祭る時に燃やす“紙銭”やロウソクなどを入れた籠を提げて王坪村の西側にある王家の墓地へ向かった。
【4】張扣扣は王家の一族が墓参りに出かけるのを見て、彼らの後を付けた。墓参りを終えた王家の人々は、てんでんばらばらに帰途についた。王校軍と王正軍の2人は実家で待つ両親を連れて王校軍の家へ向かうべく、他の親戚より一足早く墓地を後にした。王校軍は前を歩き、それから10m程離れて王正軍が後に続いた。王家の兄弟が大坪村の中を走るコンクリート道路に差し掛かった時、張扣扣が突然姿を現した。この時の張扣扣の出で立ちは、帽子を目深にかぶり、マスクで顔を隠していたので、それが誰かは分からなかったという。
【5】最初に張扣扣は後ろを歩いていた王正軍に襲い掛かり、手にした刃物で王正軍の首を掻き切った。続いて、張扣扣は前を行く王校軍に駆け寄ると、王校軍の腰に刃物を突き刺した。王校軍は路傍の乾いた溝に転がり落ちたが、張扣扣はその後を追って溝に飛び込むと、倒れている王校軍の腹を刃物で何回も刺して絶命させた。一方、首を切られた王正軍は、よろよろと数歩進んだ後に前のめりで倒れた。王校軍の死亡を確認した張扣扣は、溝の中から飛び上がると、うつぶせに倒れている王正軍に駆け寄り、彼の背中を刃物で20回以上もめった刺しにして殺害した。
【6】王家の2兄弟を殺害した張扣扣は、彼らの父親である王自新がいる王家を目指した。張扣扣が王家に到着した時、王自新は大きな袋を持って外へ出て来たところだった。王自新を見つけた張扣扣は、すかさず走り寄ると刃物で王自新の首に切り付け、続いて腹を突き刺した。こうして王自新は自宅の軒下で刺殺されたが、王自新は刃物をつかんで抵抗しようとしたらしく、1本の指が切断されていたという。
【7】王家の父子3人を殺害し終えた張扣扣は、王家の庭に停めてあった王校軍の自家用車に近付き、ズボンのポケットから取り出した火炎瓶を車の窓から投げ込み、車を燃え上がらせた。この頃には帽子とマスクを取り外していた張扣扣は、騒ぎを聞いて駆け付けた村民たちの前で、両手を高々と掲げ(一方の手には刃物が握られていたが)、天に向かって大声で「苦節22年、今日でやっと俺の敵討ちは終わった」と叫んだという。そして、張扣扣は茫然とたたずむ王自新の老妻“楊桂英”を見付け、「あんたは女だから、今日は殺さない」と叫ぶと、その場から走り去ったが、2日後の2月17日に地元の公安局へ自首したのだった。
郷長の権力で、身代わり、偽証、無罪放免…
それでは、張扣扣が⺟親の敵討ちをする原因になった、彼の母親が殺害された事件とは、どのようなものだったのか。張扣扣の母親が殺害された事件は、彼が12歳であった1996年8月27日に起こった。張福如と張麗波が語ったところによれば、その事件の概要は以下の通り。
(1)張福如の家と王家は近所にもかかわらず、仲が悪く、いさかいが絶えなかった。事件発生当日の8月27日、農作業を終えた汪秀萍は河原で脚を洗って自宅へ帰る途中で、王家の次男である“王富軍”と出くわした。日頃から王家の家族とは犬猿の仲であるのに、その日は虫の居所が悪かった汪秀萍は、王富軍の顔を見ると彼に向って唾を吐きかけた。これに怒った王富軍は、汪秀萍を捕まえるとその顔に平手打ちを食らわした。頬を叩かれて頭に来た汪秀萍が王富軍にしがみつくと、王富軍は汪秀萍の首を締めにかかった。この状況を見て、父親の王自新と三男の王正軍も駆け付け、王家の男3人が汪秀萍を取り囲む形勢になった。
(2)張扣扣はたまたまその場に居合わせたので、汪秀萍が危ないと判断して、自宅へ駆け戻り、父親の張福如と姉の張麗波に母親の急を知らせた。その時、張福如は豚に餌を与えていたが、張扣扣が「母さんが王家の奴らに殴られている」と言うのを信じようとしなかった。しかし、張扣扣の剣幕に押された張福如が現場へ駆け付けると、息子の言葉通り汪秀萍は王家の父子3人に殴られていた。多勢に無勢で勝ち目はないと判断した張福如は、汪秀萍を引っ張って逃げるよう促した。しかし、汪秀萍は近くにあった長さ1mの鉄棒を手に取ると、王正軍の頭を2度叩いた。王正軍が頭から血を流してうずくまると、激高した王自新が「殺しちまえ。命で落とし前をつけてもらおう」と叫んだ。王富軍はこれに応じ、手にした棍棒を汪秀萍の頭へ振り下ろした。地上に倒れた汪秀萍はうめき声をあげていたが、2分も経ないうちに息絶えたのだった。
(3)母親を撲殺された張家は、加害者である王家に対して経済的な賠償金として4.2万元(約71万円)の支払いを要求すると同時に、汪秀萍を撲殺した次男の王富軍を死刑にし、汪秀萍の殺害を命じた父親の王自新に対して懲役刑を科すよう要求していた。しかし、当時の“南鄭県人民法院(下級裁判所)”がこの殺人事件に関して下した判決は、当時17歳で未成年の王正軍を“故意傷害致死罪”で懲役7年に処し、その後見人である王自新には張家に対して経済損失として葬儀代などの経費8140元(約13万8000円)を支払うよう命じただけだった。不思議なことに、汪秀萍を棍棒で殴って殺害した真の加害者である王富軍は何ら罰せられることなく、無罪放免となったのである。
(4)これには理由があった。事件当時、王坪村は“両合郷”に属していたが、王家の長男である王校軍は両合郷の郷長だったのである。王校軍はその地位と権力を利用して、南鄭県の“公安局”、“検察院”、“法院(裁判所)”などの関係者を買収して王家に有利な判決を下すよう要請すると同時に、王坪村の村民を買収して汪秀萍に不利な証言をさせたのだった。三男の王正軍は当時未成年の17歳であったので、通常なら刑は軽減される。この点に着目した王家は、王正軍が汪秀萍を誤って殺害したとして王富軍の身代わりに立て、王自新と王富軍は殺害には一切関与していないと申し立て、村民の偽証でそれを実証したのだった。
(5)懲役7年に処せられた王正軍は、わずか3年服役しただけで釈放された。一方、張家は民事訴訟で汪秀萍が殺害されたことに対する賠償金の支払いを王家に要求したが、裁判所が認めたのは1500元(約2万6000円)だけだった。これを不服とした張福如は、何回も南鄭県人民法院へ出向き、上告して王家に2人の子供の養育費の支払いを要求しようとしたが、毎回門前払いで全く相手にしてもらえなかった。
61万元の現金で裁判官を買収
さて、上述したように、張扣扣は2003年に武装警察官を辞めた後は、各地を出稼ぎして回り、2017年8月に故郷の大坪村へ帰った。彼は長年にわたり母親の敵討ちを果たすことを念願して生きて来た。彼は帰郷してからは常に王家の動向を探っていたが、今年の春節に焦点を定めて、王家の息子たちが実家に戻るのを待って敵討ちを実行したのだった。
張扣扣の敵討ちに関して、あるネットユーザーはネットの掲示板に次のように書き込んだ。すなわち、張扣扣は王自新を殺害する直前に2つの質問をした。1つ目の質問は、22年前に母を殺害した後、裁判を有利に進めるためのコネ探しにいくらカネを使ったのか。2つ目の質問は、母を殺害したのは明らかに王富軍であったが、どうして王正軍に身代わりをさせたのか。22年前の汪秀萍殺害事件の裁判に際して、王家は当時の南鄭県人民法院の裁判長“劉永生”に35万元(約595万円)の現金、判事の“王漢娉”に15万元(約255万円)の現金、判事代理の“王志鋼”に11万元(約187万円)の現金をそれぞれ贈って買収した。
後半部分の現金による裁判官の買収については、張扣扣が調べた結果を王自新に突き付けたものか、あるいは張扣扣が他の誰かに告げていたものなのか、詳細は分からないが、贈った金額には真実味を感じさせるものがある。
2月22日付の北京紙「新京報」の報道によれば、“陝西省高級人民法院(高等裁判所)”は22年前に発生した張扣扣の母親が殺害された事件を重視し、“漢中市中等人民法院(地方裁判所)”の合議法廷に再度複数の裁判官により事件の見直しを行う“合議”を行うよう委託したという。1996年に当該事件が発生した時の一審裁判は南鄭県人民法院が担当し、上告が認められなかったために一審だけで判決は確定したが、二審が行われていたのであれば、それは漢中市中級人民法院が担当したはずだった。その漢中市中級人民法院が22年も前に発生した事件の一審判決を見直すための“合議”を行うというのである。
「掃黒・除悪」特別闘争
これは前代未聞のことであり、上部機関から陝西省高級人民法院に対して明確な指示がなければ、絶対に有り得ないことと言える。それは何なのか。2018年2月9日付の本リポート『習政権の標的は「トラとハエ」から「黒と悪」へ』で述べたように、2018年1月に中国共産党中央委員会と中国政府“国務院”は、『“掃黒”・“除悪”特別闘争の展開に関する通知』を出したが、それは“黒社会(暴力団)”を一掃し、悪人を除去することを目的としたものであった。
その特別闘争で打撃を与える対象の1つは、「家族や“宗族(一族)”の勢力を利用して農村でのさばって地方の覇を唱え、庶民を抑圧し痛めつける“村覇(権勢や組織を背景として悪事を働く村の顔役)”などの黒悪勢力」であると言われている。張扣扣の母親を殺害しておきながら、郷長の地位を利用して、裁判官を買収し、村民に偽証を強いて、裁判を優位に進め、あまつさえ未成年者を真犯人の身代わりに立てて殺人の刑罰を軽減させるに及んでは、王家の父子は“村覇”であると言わざるを得ない。
2012年11月に“中国共産党中央委員会”総書記に選出された“習近平”は、翌2013年から汚職官僚を摘発する「トラ退治とハエ駆除」の活動を展開して来た。それから4年が経過して一応の成果を上げたことから、習近平政権は今年1月から活動の中心を「“掃黒”・“除悪”特別闘争」に切り替えたが、そのキャンペーンで最初の事例に選んだのが、河北省“廊坊市”にある“城南医院”院長の飛び降り自殺事件<注>であり、第2の事例に選んだのが上述した張扣扣による母親の仇討ち殺人事件であると思われる。
<注>同事件の詳細は、2018年2月9日付の本リポート『習政権の標的は「トラとハエ」から「黒と悪」へ』参照。
“掃黒”・“除悪”特別闘争において両事件の標的はいずれも“村覇”だが、村覇がはびこることにより社会の安定が脅かされ、庶民の不満が鬱積し、それが社会全体に拡散して、国家の安定が損なわれることを、習近平政権は恐れているのである。張扣扣の母親である汪秀萍が殺害された事件の一審判決に対する合議による見直し結果はどうなるのか。習近平政権による“掃黒”・“除悪”特別闘争の今後の動向を、筆者は引き続き注目して行く所存である。
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『習近平独裁を裏付ける「新憲法」を読み解く 任期制限撤廃、「粛清」の布石着々、最後の暗闘の行方は…』(2/28日経ビジネスオンライン 福島香織)について
2/28ロイター<アングル:習主席の側近、中国諜報当局のトップに=関係筋>
https://jp.reuters.com/article/china-spy-master-idJPKCN1GD49U
3/2時事<北京市トップ交代か=習氏側近、失政批判も-香港紙>
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018030201134&g=int
習は「お友達人事」をやろうとしていても、流石に大興区の火災、それに続く強制退去問題で蔡奇北京市書記を庇い切れなかったと言う所でしょう。まだ独裁者のレベルには達していないのでは。この教訓はある程度、民意で人事も動かされる可能性があると言う所でしょうか?しかし、福島氏の言う「国家監察委」で相当程度国民監視が進むでしょう。アップルの中国のi-cloudサービスも貴州ビッグデータ産業発展有限公司に移管とのこと。ステイーブ・ジョブが生きていれば何というか?やがて中国は世界のデータを渡せと要求するに決まっています。経営者はしっかり考えないと。
北野幸伯氏は「独裁者は政権を手放したら報復を受け、哀れな末路が待っているので、権力を手放すことはない」と言っています。習は主席の任期制撤廃で独裁者になる覚悟を決めたとすれば、福島氏の見方同様中国に厄災を齎すしかないのでは。今、袁世凱二世を表す『袁二』の言葉も削除されているそうです。袁世凱が中華民国大統領、一時期中華帝国皇帝として即位した時代は短かったですから。
3/2ロイター<米国で「台湾旅行法」成立すれば、戦争に発展も=中国英字紙>
3/2産経ニュース<トランプ氏の輸入制限発動意向に中国反発 中国外務省「国際貿易秩序に重大な影響」対米対抗措置を示唆 >
中国はすぐに脅しにかかります。それに屈すれば奴隷の平和になります。世界に正義を実現するためには歯を食いしばってでも戦わないとなりません。トランプは中国の軍拡の原資がどこから来ているのか分かって貿易戦争を仕掛けている気がします。標的は中国ですが、それではWTO違反になるから、高関税賦課国を増やしただけです。
http://www.sankei.com/world/news/180302/wor1803020042-n1.html
3/3日経<アジアで進む中国傾斜 インド、外交で巻き返し ベトナム重視、安保で共闘>
【ニューデリー=黒沼勇史】アジアで中国の影響力が強まるなか、インドが外交面で巻き返しを急いでいる。2日からベトナムのチャン・ダイ・クアン国家主席を招き、中国の活発な軍事活動を念頭に海洋安全保障などを討議する。東南アジアからは1月にも10カ国の首脳を招待したばかり。アジア各国の取り込みに動く中国に対抗し、東南アとの連携を深める。

クアン主席は2日にインドの首都ニューデリーに到着し、3日にモディ首相と首脳会談に臨む。南シナ海の安保や原子力協定、2国間貿易の底上げなどを話し合う見通しだ。ベトナムからは1月下旬、グエン・スアン・フック首相が東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国の他の首脳9人と共に訪印したばかりだ。
インドから東南アへの訪問も目立つ。スシュマ・スワラジ外相は1月以降の外遊で5カ国を訪れたが、このうち3カ国が東南アだ。年初早々にタイ、インドネシア、シンガポールを歴訪。声明には「航行の自由」や「法に基づく国際秩序」など、中国をけん制する意図を強くにじませる言葉をちりばめた。
東南アでもインドがベトナムに寄せる期待は特別だ。ベトナムも南シナ海の西沙(英語名パラセル)諸島の領有権を巡って中国と争い、「インド洋の東側で防衛協力を期待できる唯一の国」(インドの退役軍人)と見なしているからだ。
今回のクアン主席との会談でも「防衛関連の議題が中心になる」と、ネール大(ニューデリー)のシュリカント・コンダパリ教授は予想する。
ベトナム重視の姿勢は、政府系企業、石油天然ガス公社(ONGC)の投資にも表れる。「128鉱区」と呼ばれるベトナム沖の権益を2006年に取得したが、12年後の今も調査のみ続ける。さらに昨年はベトナム政府から採掘権の2年延長を受けた。中国の一方的な海洋進出に対し、インド自身が関与できる余地を残すため、政府系企業が採算を度外視し鉱区を保持しているのが実態だ。
インドが自国の影響圏とみなすインド洋では最近、中国の経済的、軍事的な影響力が強まる。昨年12月には中国企業がスリランカ南部の港湾の99年間の運営権を取得し、モルディブでは一部の島で「中国が展望台の建設を計画中」(インドメディア)との情報もある。
中国海軍の艦船の動きも活発化。インドは昨夏に陸軍が対峙したヒマラヤ山脈の国境に続き、インド洋でも中国への警戒を強める。インド洋の入り口にあたるマラッカ海峡や、その東側の南シナ海は今やインドの海上防衛の重点地域。今回の首脳会談で、海軍間の合同演習など既存の防衛協力関係をさらに強化する可能性もありそうだ。>(以上)
やはり『インド太平洋戦略』を『一帯一路』以上に実のあるものに早くしませんと。
3/3宮崎正弘氏メルマガ<パキスタンよ、おまえもか。「中国の借金の罠」に落ちた 夥しい囚人がCPECの道路工事に投入されている事実は大問題だ>
http://melma.com/backnumber_45206_6652963/
3/2日経<スリランカ大統領来日、12日から 対中けん制 インド太平洋戦略でも連携>
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27617830S8A300C1EA3000/
3/3NHK朝6時代のニュースで「カンボジアの民主化支援を日本に要請」というのを報道していました。フンセン首相の強権政治は、野党を解党させ、2/25行われた上院選挙では全議席を与党が占めました。カンボジアの中共化=一党独裁を真似ているのだろうと思います。習近平は世界革命を輸出し、世界を独裁政治に導き、習がその頂点に立とうとの野望を持っているのでしょう。中国人がどうなろうと知ったことではないとの考えです。共産主義国は自国民を虐殺してきた歴史がありますから。
パキスタンはスリランカ同様、中国への債務問題で領土を奪われそうになっている、その上労働者に中国の囚人を送り込んでいるとのこと。治安は極度に悪化するでしょう。パキスタン軍が中国の囚人を守るの?日本人は中国のやり方を良く見ていた方がいいです。これが左翼のやり方だと。
スリランカは「親中派のラジャパクサ前大統領が復権へ攻勢をかけている」とのこと。訪日は中国の債務問題解決の支援を日本に要請するのでは。でも中国は一旦結んだ自国に有利な契約は固守するでしょう。自国に不利な契約や国際裁判所の判決は弊履の如くうち捨てる癖に。
カンボジア、パキスタン、スリランカに共通して言えることはトップが中国の賄賂にしてやられ、自国民の幸福を願って行動していないと思われます。インドネシアのジョコも同じでしょう。中国の得意技は要人対策(賄賂orハニー)です。日本企業のトップにも同じように要人対策している筈です。まあ日本人のトップは年をとっているからハニーは少なく、そこそこ自分で金を取っているので賄賂も受けているのは少ないと思っています。中国の要人と会わせて名誉心をくすぐるやり方かと。小生は一党独裁のトップクラスと会ったのがそんなに価値のあることなのかという思いがありますが。日本社会に蔓延する「左翼シンパ」なのでしょう。江崎道朗氏『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』で、日本の明治時代からエリートは日本の独立を守るため伝統を捨て、庶民は日本の伝統を愛していたという事が書かれていました。また当時、伝統を断絶する革命を為してきた独仏の影響を受けたこともあります。法律は独仏を参考に作られましたし。それと世界的な潮流として進歩主義、社会主義が跋扈し、エリート達も西洋の思想を受け入れることが良いことと判断したようです。東大は明治の頃から赤化が進んでいたのでしょう。人種差別のウイルソンよりレーニンに共感したとのこと。でもコミンテルンが裏でいろんな工作をしていたことを日本のエリート達は気付かなかった。ナイーブとしか言いようがありません。議会制民主主義を否定せず、議席を獲得し、与党の不正やらを追及し、革命を起こさないと駄目だという気持ちにさせるとか。今の日本の野党がメデイアとグルになってやっているのが正しくそう。『戦勝革命論(永久革命を目指し戦争継続、or講和しないようにして、国民に倦む気持ちを持たせる)』や『敗戦革命論(混乱に乗じ)』とか考え出したレーニンは冷忍ですが凄いと思います。
この本は保守自由主義(吉野作造、美濃部達吉、佐々木惣一、小田村寅二郎、山本勝市)VS右翼全体主義(天皇主権説、上杉慎吉)&左翼全体主義(学界、革新官僚、軍(統制派、これに対し皇道派はソ連コミンテルンの策謀を恐れ、北進を優先と考えていた)、メデイア(特に朝日、尾崎秀実、笠信太郎)、機会主義者(宮澤俊義=美濃部の弟子でありながら大政翼賛会を支持し、戦後「八月革命説」を唱えた保身の学者、司法試験や公務員試験で憲法を学ぶ人はこう言う人の本で勉強すれば頭がおかしくなるのでは。日本に保身の人間が増えるだけ)、企画院、横田喜三郎)と言う構図で捉えています。
ケント・ギルバート・石平著『日本人だけがなぜ日本の凄さに気づかないのか』には欧米のリベラルは寛容を旨としているのに日本のリベラルは違って愛国心や国歌・国旗を憎んでいるというのがありました。日本のリベラルをピンクと称する人もいますが、小生は真っ赤と思っています。リベラル=アカと。言葉を柔らかくしたのでは本質が見えなくなります。コミンテルンの戦術のようにも思えます。
3/3NHKニュース4:44<中国高官 関係改善には日本側の対応が重要
中国で全人代=全国人民代表大会が始まるのを前に中国の高官は、日本と中国の間での首脳の相互訪問の実現に期待感を示しつつも、関係のさらなる改善には日本側の対応が重要だという考えを強調しました。
中国政府の重要な人事や政策を決める全人代が5日から北京で始まるのを前に、国政への助言機関、政治協商会議の王国慶報道官が2日、記者会見しました。 この中で王報道官は、日中関係について「最近、日本が両国関係をめぐって前向きなシグナルを発し、明るい兆しが出ている」と指摘しました。 その一方で「一部の日本の政治家は、中国を戦略的ライバルとみなす狭い考え方にとらわれている」と批判するとともに、「歴史を直視しない国は尊重されないし、隣国を常に戦略的ライバルと見なす国に未来はない」とも述べました。 そのうえで王報道官は「できるだけ早く正常な軌道に戻し、ハイレベルの交流のために適切な雰囲気が生み出されてほしい」と述べて、首脳の相互訪問の実現に期待感を示しつつも、関係のさらなる改善には日本側の対応が重要だという考えを改めて強調しました。>(以上)
今年は日中平和友好条約締結40周年だから日本は中国の言うことを聞かないと習の訪日は無いぞという脅しでしょう。別に来て貰わなくても良いので政府は誤った対応をしないように。
記事

習近平「無期限」の権力掌握へ(写真:AFP/アフロ)
中国の政治が大きく音を立てて変わろうとしているのだが、悪い予感しかない。まず、2月26日から28日までの間に突如、三中全会が招集されることになった。普通なら三中全会は秋に開かれ経済政策をはじめとする新政権の政策の方向性、改革の方向性を打ち出すものだ。こんなイレギュラーな三中全会は改革開放40年来、初めてだ。本来2月に開催される二中全会が前倒しされて1月に開かれたのも驚きだったが、二中全会で決められなかった人事と“重大政治機構改革”を決めるために三中全会が全国人民代表大会(全人代)前に開催されるということらしい。
その三中全会の招集が発表された翌日の25日に、3月に開催される全人代で可決される予定の憲法修正案が公表されたが、この修正案では第79条の国家主席任期の「連続二期を越えない」という制限が取り払われたことで、中国内外は騒然となった。習近平独裁が始まる!とおびえた中国人が一斉に「移民」のやり方をネットで検索したために、「移民」がネット検索NGワードになってしまったとか。
三中全会の行方はどうなるのか。新政府の人事と重大政治機構改革の行方は? 習近平新憲法が導く中国の未来とは? 未だ流動的要素はあるものの、一度まとめておこう。
21の修正、特筆すべき8点
新華社が公表した憲法修正案の中身を見てみよう。
修正点は21か所。その中で特筆すべきは8点。
(1)前文において、国家の指導思想として、マルクス・レーニン主義、毛沢東思想、鄧小平理論と三つの代表重要思想に続いて「習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想」を書き入れた。「健全な社会主義法制」を「健全な社会主義法治」と書き換えた。このほか、「新発展理念」「富強民主文明和諧美麗の社会主義現代化強国を建設し、中華民族の偉大なる復興を実現する」などという習近平政権のスローガンを書き入れた。
(2)前文において、中国の現状を「長期の革命と建設のプロセスにある」という認識を「長期の革命、建設、改革のプロセスにある」と改革を強調する形で修正。
(3)前文において「中国革命と建設の成就は世界人民の支持と不可分である」という部分を「中国革命と建設、改革の成就は世界人民の支持と不可分である」に。「中国が独立自主の対外政策を堅持し、主権と領土保全の相互尊重主義を堅持し、お互いに犯さず、内政干渉せず、平等互利、平和共存の五原則」という部分に加えて「平和発展の道筋を堅持し、ウィンウィンの開放戦略を堅持する」という文言を加筆。「各国との外交関係、経済、文化的交流を発展させ」を「各国の外交関係、経済、文化的交流を発展させ、人類運命共同体構築を推進する」と修正し、習近平政権のスローガンである「人類運命共同体構築」という文言を書き入れた。
(4)憲法第1条第二項の「社会主義制度は中華人民共和国の根本制度」という部分に加えて、「中国共産党の指導は中国の特色ある社会主義の最も本質的な特徴である」と書き入れ、条文中に「共産党の指導」という文言が初めて入った。
(5)第3条第三項に中国の最高権力機関とされる人民代表大会の監督責任が及ぶ機関として、「国家行政機関、審判機関、検察機関」とあるところを「国家行政機関、監察機関、審判機関、検察機関」と監察機関つまり新設される国家監察委員会の権威を国務院と併記するほど強いものとした。これに従い全人代の職権の中に国家監察委員会主任の選出、罷免などの条項が付け加えられ、国家監察委員会の条項が書き加えられた。
(6)第24条第二項において、「国家は祖国を愛し、人民を愛し、労働を愛し、科学を愛し社会主義の公徳を愛することを提唱する」の部分を「国家は社会主義の核心的価値観を提唱し、人民を愛し…以下略」と修正、「社会主義の核心的価値」という言葉を盛り込んだ。
(7)第27条に新たに第三項を付け加え、国家公務員の就任時に憲法宣誓を公開で行うことを規定。
(8)第79条第三項において、「中華人民共和国主席、副主席の一期ごとの任期は全国人民代表大会任期と同じとし、連続二期を越えない」という部分を「中華人民共和国主席、副主席の一期ごとの任期は全国人民代表大会任期と同じとする」として二期10年の任期制限を撤廃した。
「監察委独立的権限」で「移民」がNGワードに
この中で、やはり中国内外が騒然としたのが、第79条の修正、国家主席任期制限の撤廃である。これにより、国家主席任期は無期となり、習近平が国家主席を2023年以降も務め続けることが可能となった。国家指導者の任期が無期限となるということは、独裁を確立するための憲法的裏付けができたということであり、習近平の野望を反映した憲法改正である。ブルームバーグその他、欧米メディアは、習近平のプーチン化などと評した。
次に中国人民の肝胆を寒からしめたのは、国家監察委員会に、国家行政機関、司法機関と並ぶ強い独立的権限が与えられたことである。これまでの習近平の反腐敗キャンペーンは党中央規律検査委委員会が主導で行ってきた。党の内規に従って行われてきた。だからターゲットはあくまで党幹部であった。
だが今後の反腐敗キャンペーンは憲法に基づく機関が国家監察法を根拠に国家機関に及び、党外人士、一般官僚、国有企業幹部らも含めて、その汚職を摘発していくということである。反腐敗キャンペーンは事実上、習近平による反習近平派の粛清に利用されていたが、その粛清の範囲が党外にまで広がる、ということになる。
おそらく、習近平の独裁化とこの新たな監察機関に関する修正案を見て、地方のヒラ官僚や国有企業社員に至るまで一斉に移民の検討を始めたのだろう。新華社が憲法修正案を発表して後、インターネットの中国検索サーチエンジンのランキングで「移民」関連検索が一気に跳ね上がった。まもなく「移民」という言葉自体が、検索NGワードになってしまった。このほか、「袁世凱」「皇帝万歳」「戊戌の変法」など、皇帝や革命、独裁を連想させる言葉が次々とNGワードになった。
「法治唱えると独裁肯定」の矛盾
現行の1982年憲法は習近平の父親で開明派政治家で知られる習仲勲が中心になって、文革の残滓を払拭するために作った憲法であった。習仲勲は、文革憲法と根本的に違う市民の権利の根拠を示す憲法をつくろうとしたので、あえて憲法条文に「党の指導」という文言を書き入れなかった、というエピソードはすでに前々回の拙コラム欄で紹介したとおりである。
習近平は、さすがに前文に党規約と同様の「党の一切の指導」という強い文言を入れることはなかったが、条文では明確に「党の指導」を入れてきた。党規約には「習近平を核心とする党中央」という言葉が入っているので、習近平独裁はこれで憲法に裏付けされる、ということである。独裁を肯定した文革憲法から市民権利擁護の82年憲法を作った父親の思いを、息子の習近平は踏みにじったということになる。
これまで反習近平派は、習近平の独裁化路線が憲法に矛盾するとして、憲法を根拠に批判し、憲政主義を守れ、法治に戻れと主張していたのだが、憲法の方を習近平路線に変えてしまった。今後は、法治を唱えるほどに、独裁を肯定するという矛盾に民主派、新自由は人士は、苦しむことになった。
ところで、こうした憲法修正案は1月半ばに行われた二中全会ですでに可決していたはずである。だが、二中全会コミュニケでは、この内容が公表されず、異例の三中全会の招集がかかった後に公表された。このタイムラグが何を意味するのか。そもそも、二中全会開催から一カ月ほどの間しかおかずに三中全会が開かれるのはなぜか。
三中全会は改革開放以来、党大会翌年の秋から冬にかけての間に開催されてきた。党大会で新政権が発足し、その翌年の春に新政府が発足し、その新政権・新政府(党と国家)がその任期中に執り行う経済・政治・社会の政策、改革の方向性を三中全会で打ち出すのである。だが、今回の三中全会はかなりイレギュラーであり突然であり不穏である。誰もが第11期三中全会(鄧小平が、毛沢東の後継者である華国鋒を失脚させて実権を握った)と同じような、尋常ならざる政治の空気をかぎ取っている。
「李克強包囲網」が狭められている
この背後をいろいろ想像するに、習近平派と非習近平派の間で、憲法修正案と人事をめぐるかなり激しい対立があったのではないだろうか。
二中全会は普通、全人代の人事、議題がまとめられるのだが、習近平は自分の思い通りの憲法改正を実現するために、例年2月に行われる二中全会を一カ月前倒しして1月に行った。だが、習近平が提示するその修正案があまりにひどいので、非習近平派から強い反発があった。憲法修正案での議論が白熱したために二中全会では政府新人事が決められなかった。おそらくは、政府新人事も習近平の人事案にかなりの抵抗があったはずだ。
香港明報(最近の報道は習近平寄り)の報道では、副首相に習近平の経済ブレーン・劉鶴の起用が推されているという。ちなみに他の副首相は筆頭が韓正、孫春蘭、胡春華。首相の最大任務は経済政策だが、有能な経済官僚であり、しかも習近平の腹心の劉鶴が副首相になれば、李克強の仕事は事実上、劉鶴にくわれかねない。これは、習近平による「李克強つぶし作戦の第一歩」だという見方もある。その後、劉鶴が人民銀行総裁職に就く(ロイター報道)、という情報なども流れ、劉鶴人事が相当もめていることはうかがわれている。
このほかに王岐山の国家副主席職採用についてももめているようだ。憲法修正案と人事案セットで、習近平派と非習近平派の激しい駆け引きが行われたと考えれば、憲法修正案はあそこまで習近平の野望に沿ったものであるし、人事案はひょっとすると習近平サイドが多少の妥協を見せた可能性はある。憲法修正案公表を、人事案で落としどころが見つかったタイミングに合わせた、と考えれば公表が一カ月遅れたことの理屈もつく。
だが、憲法に続いて人事も習近平野望人事になる可能性が示唆される出来事が24日に起きている。突然の楊晶失脚である。国務委員で国務院秘書長の楊晶は李克強の大番頭的側近である。香港で“失踪させられた”大富豪・蕭建華との汚職関係の噂が出ているが、これは習近平サイドによる李克強包囲網が狭められている、という見方でいいだろう。
「大部制度」で官僚大粛清へ?
もう一つ不穏な話は、習近平が三中全会で大規模な政治機構改革、いわゆる大部制度(省庁統合)を行おうとしている、という香港筋情報である。国土資源部と環境保護部を統合して国土資源環境保護部にするなどして、部を減らし閣僚を減らせば、利権の拡大を防ぎ、財政の無駄を省くことができる、と言うのは建前。実際の狙いは、国務院権限(首相権限)の圧縮とアンチ習近平が多い共青団派国務院官僚の排除ではないだろうか。
習近平は自らの経済・金融政策がうまくいかなかったのは国務院官僚の抵抗のせい、と思っているふしがある。この大部制改革とセットで国家監察委員会を設立することによって、習近平のやり方に不満をもつ国務院官僚の一斉首切りがスタートするかもしれない。三中全会でひょっとすると「国務院官僚大粛清ののろし」が上がるのではないか、などと心配するのである。
とりあえず、三中全会は28日に終わり、早ければその日のうちにコミュニケが出るはずで、それを待たねば、なんともいえない。だが、中国が文革以来の政治の嵐の時代に突入しつつある、という認識は多くの人が持っているようである。そして、隣国の嵐は、おそらく日本を含む世界を巻き込むことになる。
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