『米国のパンチかわそうと抱擁してみせた南北首脳 これで韓国は完全に北朝鮮側に立った』(5/27日経ビジネスオンライン 鈴置高史)、『仕切り直しの米朝会談、完全非核化は出口に?!核を放棄させる好機は「南北統一」にあり』(5/28日経ビジネスオンライン 森 永輔)、『朝鮮人民軍に翻弄される米朝首脳会談 「トランプ方式」なら非核化に合意も』(5/28日経ビジネスオンライン 重村智計)、『トランプが米朝会談中止の大バクチを平気で打てた理由』(5/28ダイヤモンドオンライン 上久保誠人)について

紹介記事が長いのでコメントは短く。いろいろ読んで感じることは、日本も核武装しないと駄目なのではという事です。トランプがCVIDを諦め妥協するかもしれないし、武貞氏のようにいろいろ理屈を付けて朝鮮半島を核保持のまま統一しようと考え、日本にやがて投下させようと思っているのではと疑います。武貞氏の言う統一の先にある図は何かを聞きたい。何もないでしょう。騙されてはいけません。あなたの祖国はどこですかと聞きたい。統一朝鮮に日本は金を出す必要はありません。米朝戦争の戦費は勿論出しますが。それが日本の拉致被害者救出、北朝鮮国民の為になるので。

重村氏の記事を読めば、軍がそれだけ力があるのであれば、トランプはクーデターを興させるように画策した方が良いのでは。それこそ直前に会談をキャンセルして。その方が北朝鮮国民にとってハッピーでは。上久保氏の議論は、日本はどうすべきの議論が抜けていると感じました。

鈴置記事

南北会談で抱擁を交わす金委員長(左)と文大統領(写真:The Presidential Blue House/ロイター/アフロ)

前回から読む)

5月26日午後、金正恩(キム・ジョンウン)委員長と文在寅(ムン・ジェイン)大統領が板門店の北側施設で突然、会談した。トランプ(Donald Trump)大統領が軍事的な圧迫を強めるのに対抗、南北はスクラムを組んで見せたのだ。

仲介を誇った文在寅

鈴置:文在寅大統領は5月27日午前10時から青瓦台(韓国大統領府)で会見し、前日の南北首脳会談に関し説明しました。

2次南北首脳会談 結果発表文」(5月27日、韓国語)から、大統領の発言のうち、米朝首脳会談に関連する部分を引用します。

・私は先週の韓米首脳会談の結果を説明した。金委員長が完全な非核化を決断し実現した場合、トランプ大統領には北朝鮮との敵対関係の終息と、経済協力に対する確かな意思があるとの点を伝えた。
・金正恩委員長は板門店宣言に続き再度、朝鮮半島の完全な非核化の意思を明らかにされた。
・(さらに)朝米首脳会談の成功を通じ、戦争と対立の歴史を清算し、平和と繁栄のために協力したいとの意思を披歴された。

要は、自分はトランプ大統領と金正恩委員長の間を仲介し、北朝鮮の米朝首脳会談への意欲を引き出した、と誇ったのです。

米とは異なる非核化

—本当に「仲介できた」のでしょうか?

鈴置:「できなかった」と思います。金正恩氏が明らかにしたという「非核化の意思」が、米国の要求する「完全な非核化」とは全く異なるものだったからです。

北朝鮮も5月27日午前6時に朝鮮中央通信を通じ、前日の南北首脳会談を報じました。「歴史的な第4回北南首脳対面 最高指導者金正恩委員長が文在寅大統領と再開し会談を行う」(日本語版)から「米朝」関連部分を拾います。

なお、「第4回」とあるのは、2000年6月と2007年10月の南北首脳会談から通算した数字です。前者は金大中(キム・デジュン)大統領が、後者は盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が、金正日(キム・ジョンイル)総書記と平壌で会いました。

・北南の両首脳は、朝鮮半島の非核化を実現するために共同で努力するという立場を表明し、今後、随時会って対話を積極化し、知恵と力を合わせていくことについて見解を同じくした。
・金正恩委員長は、6月12日に予定されている朝米首脳会談のために多くの努力を傾けてきた文在寅大統領の労苦に謝意を表して歴史的な朝米首脳会談に対する確固たる意志を披れきした。
・金正恩委員長は、朝米関係の改善と朝鮮半島の恒久的で強固な平和体制の構築のために今後も積極的に協力していこうと述べた。

核保有を認めよ

—米朝首脳会談には意欲を示している……。

鈴置:確かに、金正恩氏は6月12日にシンガポールで予定されていた米朝首脳会談の実現に意欲を示して見せました。しかし、「非核化」に関しては「努力する」と言ったに過ぎません。

それどころか北朝鮮がこう言った場合、「核は放棄しない」と主張していると見るべきなのです。「自らを核保有国として認めろ。そのうえで米国とは核軍縮を交渉しよう」というのが北の基本的な姿勢です(「しょせんは米中の掌で踊る南北朝鮮」参照)。

「非核化に向け努力」の「努力」とは核軍縮交渉を指します。5月24日、北朝鮮は核実験場を爆破して見せました。その際も「(実験場の破壊による)核実験の中止は、世界的な核軍縮のための重要な過程である」と表明しています。あくまで「核保有国が軍縮に努力している」との立場なのです。

米朝首脳会談にいくら意欲を示して見せようが、「核保有国であることを認めろ」と主張し続ける限り、北朝鮮との首脳会談に米国は容易には応じないでしょう。

仲人口、再び

—でも、文在寅大統領は「完全な非核化の意思を明らかにした」と説明しました。

鈴置:縁談を無理にまとめようと、双方に美しい話をする「仲人口(なこうどぐち)」の典型です。

米朝会談の開催が話し合われた時から韓国には「この仲人口外交が米朝関係を、さらには韓米関係を破局に追い込みかねない」との危惧がありました(「『文在寅の仲人口』を危ぶむ韓国の保守」参照)。

5月27日の会見でも、韓国記者が「金正恩委員長の(非核化に関する具体的な)発言を明かして欲しい。北朝鮮が主張してきた段階的な非核化から進展があったのか」と追及しました。

「仲人口」を疑ったのです。朝鮮中央通信の記事を読めば、誰しもが疑います。が、文在寅大統領は答えを避けたうえ「(米朝の)非核化の意思は同じでも、どう実現するかで両国間の協議が要る」と話をずらしました。

このやりとりはNEWS1の「一問一答 文在寅大統領 第4回南北首脳会談を自身で説明」(5月27日、韓国語)で読めます。

やはり運転席に座っている!

—では、この南北首脳会談は何のために開催したのですか?

鈴置:文在寅政権は「北朝鮮の核問題で主導権を握ることができていない」「それどころか関係国から無視されている」との批判を浴びていました。

5月16日に予定されていた、北朝鮮との閣僚級会談は当日になってキャセルされてしまいました(「トランプと会うのが怖くなった金正恩」参照)。

加えて、トランプ大統領の北朝鮮への首脳会談中止通告(「米朝首脳会談中止通告、『最後通牒』で投降促す」参照)。前々日に米韓首脳会談を開いたのに、それも相談されなかった。

米朝首脳会談は平昌冬季五輪をきっかけに浮上しましたから、韓国人は「我が国が米朝を仲介した。運転席に座った」と胸を張っていた。それが突然、米朝双方から無視されるようになったので、政権は困り果てていました。

そんな中、南北首脳会談を開き再び、米朝の仲介役を演じることができました。よく見れば「演じている」に過ぎませんが、普通の人は細かいことは気にしません。

大統領が会見で「日常生活で友達同士が会うようになされた今回の会談には大きな意味がある」と言えば「そうだな」と感じる人が多いと思います。

閣僚級会談の6月1日開催が決まったので「北から無視された」と国民の不満を多少は解消できるでしょう。

会談は北朝鮮にとってこそ必要だったのです。会見で大統領が「一昨日(5月25日)午後、金正恩委員長が形式的なことはいっさい抜きにして会いたい」と伝えてきた」と明かしています。

5月24日のトランプ大統領の首脳会談中止通告に、北朝鮮は震え上がりました。金正恩委員長への書簡は、要は「首脳会談に応じなければ、どうなっても知らないぞ」というものでした。

北朝鮮のわび状

—「核戦争をも辞さない」とのくだりもありました。

鈴置:同日の崔善姫(チェ・ソニ)外務次官の談話で「米国がわれわれと会談場で会うか、でなければ核対核の対決場で会うかどうかは全的に、米国の決心と行動いかんにかかっている」なんて突っ張るから、言い返されてしまったのです。

そこで北朝鮮は、そさくさと「わび状」を書きました。5月25日朝、「会談に応じる」との金桂官(キム・ゲグァン)第1外務次官の談話を発表したのです。

実は、トランプ書簡以上に、北朝鮮を震撼させたと思われる文書があります。書簡を発表して約2時間後にトランプ大統領が会見で以下のように語ったのです。

ホワイトハウスの「Remarks by President Trump at Signing of S. 2155, Economic Growth, Regulatory Relief, and Consumer Protection Act」(5月24日、英語)から、関係する部分を引用します。

・I’ve spoken to General Mattis and the Joint Chiefs of Staff. And our military — which is by far the most powerful anywhere in the world and has been greatly enhanced recently, as you all know — is ready if necessary.
・Likewise, I have spoken to South Korea and Japan. And they are not only ready should foolish or reckless acts be taken by North Korea, but they are willing to shoulder much of the cost of any financial burden, any of the costs associated by the United States in operations, if such an unfortunate situation is forced upon us.

韓国は米国側で戦う

トランプ大統領はまず「世界でもっとも強力な米軍に必要な(戦争に向けた)準備を命じた」と脅しました。

さらに「韓国と日本にも、北朝鮮がバカなことをしでかしても対処できるよう話してある。それだけではなく韓日は『米軍の活動に伴う費用の相当部分を引き受ける』と言っている」と語ったのです。

特に後段は、北朝鮮にとって相当な衝撃を与えたでしょう。米朝が戦端を開く際、韓国は中立を宣言すると文在寅政権は示唆してきました(「ついに『中立』を宣言した文在寅」参照)。

北朝鮮にとって「韓国の中立化」こそが、米国による攻撃を予防する材料の1つだったのです。

専門家によれば、北朝鮮を空爆するのには韓国の基地は必ずしも必要ではない。海から、あるいはグアムや日本の米軍基地からの攻撃で十分だからです。ただ、政治的には同盟国が中立を宣言し反対するなか北を攻撃できるのか、との問題は残るからです。

ところがトランプ大統領は「いざとなれば韓国は米国側で戦う」と語ったのです。北朝鮮は頭を抱えこんだことでしょう。

戦争への歯止めを失えば、外交的な選択も狭まります。米国が迫る首脳会談を受けなければ、攻撃を受ける可能性がグンと増す。首脳会談に応じた際も同様です。

「米朝首脳会談、3つのシナリオ」をご覧下さい。米国からは、即刻、完全に核を放棄するリビア方式を要求されるでしょう。これを「拒否する」選択肢は極めてとりにくくなります。

  • 米朝首脳会談、3つのシナリオ
米国、リビア方式での非核化を要求
北朝鮮が受諾 北朝鮮が拒否
①米国などによる核施設への査察開始 ②米朝対話が継続 ③米国、軍事行動ないし経済・軍事的圧迫強化

軍事カードを使いやすくなった米国は、北が時間稼ぎをして②「対話継続」に持ち込むことを許さないでしょう。米国が③に進むにしろ、時間のかかる経済制裁の強化よりも、即効性の高い軍事行動に出やすくなります。

北朝鮮側に立つと約束

—そこで北朝鮮は……。

鈴置:急きょ、韓国に首脳会談を申し込んだのだと思います。文在寅大統領に直接会って「あのトランプ発言はどうなんだ。米国と一緒になって攻めてくるつもりか」と問い質したでしょう。金正恩委員長がなじったのか、あるいは哀願したのかは分かりませんが。

文在寅大統領は「安心しろ。中立は守るから」と言ったと思われます。先に引用した北朝鮮側の発表に「答」があります。

・北南の両首脳は、朝鮮半島の非核化を実現するために共同で努力するという立場を表明し、今後、随時会って対話を積極化し、知恵と力を合わせていくことについて見解を同じくした。

「朝鮮半島の非核化」が「北朝鮮の核保有を米国に認めさせる」ことを意味することはすでに述べた通りです。

その実現に向け「北南の両首脳が共同で努力する」と言い切っていることに注目下さい。要は、文在寅大統領は「核問題で韓国は北朝鮮側に立つ」と改めて約束したのです。

ひしと抱き合う写真

—北朝鮮側が勝手に言っている可能性は?

鈴置:あり得ません。南北が合意した「板門店宣言」にも同様のくだりがあるからです(「『民族の祭典』に酔いしれた韓国人」参照)。

・南と北は、完全な非核化を通じて核のない韓半島を実現するという共通の目標を確認した。
・南と北は、北側が取っている主動的な措置が韓半島の非核化のために非常に意義があり、大きい措置だという認識を共にして、今後それぞれ、自己の責任と役割を果たすことにした。
・南と北は、韓半島の非核化のための国際社会の支持と協力を得るために積極的に努力することにした。

5月26日の南北首脳会談は、4月27日の「南北」で交わした板門店宣言の中核である「核問題での共闘」を再確認するのが目的だったのです。

—その「南北共闘」はさりげなく謳われただけです。米国への有効なメッセージになるでしょうか?

鈴置:確かに。そこで南北は演出したと思います。両首脳がひしと抱き合っている写真です(1ページ目参照)。韓国は5月26日夕刻に同日午後の首脳会談開催を発表した。しかし中身に関しては翌27日の午前10時まで明かさなかった。

世界のメディアはこのニュースを報じる際、「南北抱擁」などの写真を中心に報じるしかなかった。結果、たいして中身のない会談だったけれど、「南北が運命を共にする覚悟」は世界に発信できたのです。

南北共闘で時間稼ぎ

—でも、どんな小細工をしようと北朝鮮は――南北朝鮮は、絶体絶命の窮地にあります。

鈴置:その通りです。首脳会談に応じても、応じなくても米国から軍事攻撃される可能性が高まった。少なくとも経済制裁の強化は免れない。

こうなったら、米朝首脳会談を開くか開かないか、をあやふやにすることで時間稼ぎするしかありません。南北は、口では「米朝」に前向きですが、本当に開いたら地獄が待っているのです。

—トランプ大統領が開催に前向きの発言に転じました。

鈴置:AFPの「米朝会談、6月12日開催に向け『非常に順調』トランプ氏」(5月27日、日本語版)によると5月26日、大統領は「(米朝首脳会談は)非常に順調に進んでいる」「われわれは6月12日にシンガポールでの開催を目指している。そのことに変わりはない」と語りました。

それこそ北朝鮮――南北朝鮮への圧迫でしょう。「会談に応じろ」との。

  • 北朝鮮の非核化を巡る動き(2018年)
1月1日 金正恩「平昌五輪に参加する」
1月4日 米韓、合同軍事演習の延期決定
2月8日 北朝鮮、建軍節の軍事パレード
2月9日 北朝鮮、平昌五輪に選手団派遣
3月5日 韓国、南北首脳会談開催を発表
3月8日 トランプ、米朝首脳会談を受諾
3月25―28日 金正恩訪中、習近平と会談
4月1日頃 ポンペオ訪朝、金正恩と会談
4月17―18日 日米首脳会談
4月21日 北朝鮮、核・ミサイル実験の中断と核実験場廃棄を表明
4月27日 南北首脳会談
5月4日 日中と中韓で首脳の電話協議
5月7-8日 金正恩、大連で習近平と会談
5月8日 米中首脳、電話協議
トランプ、イラン核合意から離脱を表明
5月9日 ポンペオ訪朝、抑留中の3人の米国人を連れ戻す
日中韓首脳会談
米韓首脳、電話協議
5月10日 日米首脳、電話協議
5月16日 北朝鮮、開催当日になって南北閣僚級会談の中止を通告
5月16日 北朝鮮、「一方的に核廃棄要求なら朝米首脳会談を再考」との談話を発表
5月20日 米韓首脳、電話協議(米東部時間では5月19日)
5月22日 米韓首脳会談
5月24日 北朝鮮、米韓などのメディアの前で核実験場を破壊
5月24日 トランプ、金正恩に首脳会談中止を書簡で通告
5月26日 南北首脳会談、板門店の北側施設で
6月8-9日 G7首脳会議、カナダで
6月12日 史上初の米朝首脳会談?

(次回に続く)

森記事

韓国で、米朝首脳会談を求める示威運動が行われた(AFP/アフロ)

トランプ米大統領が5月25日 、米朝首脳会談を「中止」する意向を明らかにしたと報じられた。北朝鮮の非核化の行方を注視していた世界中が驚きに包まれた。しかし、朝鮮半島問題の専門家、武貞秀士氏はトランプ氏の意図は「中止でない」とみる。

(聞き手 森 永輔)

—米ホワイトハウスが5月24日、ドナルド・トランプ大統領が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長に宛てた書簡を公表。「私は現時点ではこの長く計画してきた会談を実施するのは不適切だと感じる。よって(中略)シンガポールでの会談は実施しないと表明する」と記されていることが明らかになりました。トランプ大統領はなぜこの時期に米朝首脳会談の中止を決定したのでしょう。

武貞:トランプ大統領は「中止」ではなく「仕切り直し」を提案したのだと思います。書簡の宛名が「金正恩委員長閣下」と非常に丁寧な表現になっていることがそれを示している 。そして、その後の展開から、米国も北朝鮮も首脳会談をキャンセルしたくなかったことが分かります。

武貞 秀士(たけさだ・ひでし)氏
拓殖大学大学院特任教授
専門は朝鮮半島の軍事・国際関係論。慶應義塾大学大学院修了。韓国延世大学韓国語学堂卒業。防衛省防衛研究所に教官として36年間勤務。2011年、統括研究官を最後に防衛省退職。韓国延世大学国際学部教授を経て現職。著書に『韓国はどれほど日本が嫌いか』(PHP研究所)、『防衛庁教官の北朝鮮深層分析』(KKベトスセラーズ)、『恐るべき戦略家・金正日』(PHP研究所)など。

まず米政権が書簡の内容を公表してからわずか半日で、北朝鮮が反応しました。金桂官(キム・ゲグァン) 第1外務次官が「わが方はいつでも、いかなる方式でも対座して問題を解決していく用意があることを米国側にいま一度明らかにする」(産経新聞5月26日)と結ぶ談話を発表。この素早い反応はトランプ大統領にとってもサプライズ だったと思います。

トランプ大統領もすぐ「北朝鮮から温かく生産的な声明を受け取った」 とのメッセージをツイッターに投稿しました。「6月12日の開催もあり得る」との見通しも示しました 。

どちらもキャンセルしたくなかったのは明らかです。

「体制の保証」をめぐるすれ違い

—では、なぜトランプ大統領はこのような書簡を送ったのでしょう。

武貞:6月12日に会談を開催しても「完全で検証可能かつ不可逆的な非核化(CVID)」 に合意できないことが明らかになったからでしょう。合意できなければ、対北強硬派であるジョン・ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)などが収まりません。ならば「首脳会談は行わず、仕切り直した方がよい」とトランプ大統領は考えたのだと思います。

今日までの経緯を振り返ってみましょう。3月8日に韓国の特使、鄭義溶(チョン・ウィヨン)大統領府国家安保室長がトランプ大統領と会談し、金委員長がトランプ大統領との会談を熱望していると伝えました 。金委員長は非核化の意欲を示すとともに、核・ミサイルの実験を凍結すると約束しました。米韓合同軍事演習にも理解を示したとされます。

トランプ大統領はこれを即座に受け入れ、会談に応じる考えを示しました。ここから米朝の協議がスタートしたわけです。

この時点では、トランプ大統領は、CVIDが実現できると考えていたと思います。しかし、協議が進むにつれ「体制の保証」と「非核化」についての理解が米朝間で異なることを悟った。

「体制の保証」について、トランプ大統領は「軍事境界線の北側にある北朝鮮を存続させる」「金委員長が統治する体制を崩壊させない」と理解していました。しかし北朝鮮が求める体制の保証は、米国が韓国に提供している核の傘をたたむことまで含むものでした。また「非核化」の進め方についても、米国が6カ月程度の期間内に一括して核装備を搬出することを想定したのに対し、北朝鮮は「段階的」に進め、その都度見返りを求める「相互」方式にこだわりました。

戦略爆撃機B52は認識の差の象徴

—米国が、この溝は埋めがたいものであると認識したのはいつでしょう。

武貞:北朝鮮が5月16日 に南北閣僚級会談を中止した時だと思います。この時、北朝鮮は理由として、米韓が空軍の合同演習「マックスサンダー」を実施したことと、この演習に核兵器搭載可能な戦略爆撃機B52を参加させたことを挙げていました。

米国は、B52を参加させても問題ないと考えていました。北朝鮮が「米韓合同軍事演習に理解を示す」意向であることを鄭安保室長から聞いていたからです。それにB52は、過去の米韓演習に何度も参加しています。1953年に休戦協定を締結して以来、戦争が起きていないことを考えれば、米韓相互防衛条約と在韓米軍、B52をはじめとする戦略爆撃機こそが北朝鮮の存続を保証する装置であるわけです。こう考える米国にとって北朝鮮が語る論理は非常に奇妙 なものに聞こえました。

しかし、「体制の保証」は①米国が核の傘をつぼめることと②韓国に提供する防衛を低下させることを含むと考えている北朝鮮にとって、B52の参加は、米朝首脳会談の開催で合意した後、受け入れがたいものになっていたわけです。

実際にはB52は参加していませんでした。現行のB52は核兵器を搭載してもいません。米国とロシアが結んだ新戦略兵器削減条約(新START) が核弾頭の数を制限しているためです。しかし北朝鮮は「改造すれば、すぐに搭載が可能になる」と猜疑心を高めています。

つまり、北朝鮮がいう「体制の保証」が朝鮮半島全体を対象に米国の関与を解消することを意味しているのに対し、米国が考える「体制の保証」は北朝鮮の体制存続を想定しているわけです。米国は北朝鮮の体制を保証する、つまり現状維持なら朝飯前、「取引(ディール)できる」と考えていた。しかし北朝鮮は米国の核の傘解消という現状の変更を求めていたわけです。

この認識の違いを残したままでは、6月12日の首脳会談で合意に至ることはできないと悟り、首脳会談の中止を決断した。しかし、米朝首脳会談が流れてしまえば、金正恩体制を中国側に追いやることになるし、南北交流は進展し続けるというリスクを理解したトランプ大統領は再交渉への期待を含んだ文言を入れた。書簡にある「この最も重要な首脳会談について考え直すことがあったら、遠慮なく私に電話するか手紙を書いてほしい」 という部分です。

つまりトランプ大統領は仕切り直ししようとしたのです。そして、北朝鮮が半日後に首脳会談開催の意義に触れたサプライズの談話を発表しました。いま首脳会談実現に向けて再交渉中ですが、米国は、期限を設け北朝鮮にCVIDを迫る方針からCVIDの内容を緩和する方向に舵を切りつつあるようです。

北朝鮮は“泣きを入れた”のか?

—金次官が25日に発表した談話は、北朝鮮が米国に対して“泣きを入れた”ようにも読めます。「トランプ大統領が中止理由に挙げた『怒りや敵対心』は、一方的な核放棄を迫る米側の行き過ぎた言動が招いた反発にすぎない」 (産経新聞5月26日)という表現は言い訳のように受け取れます。
「望ましくない事態は、米朝の敵対関係がどれほど深刻で、関係改善のための首脳会談がいかに切実に必要であるかを示している」は首脳会談を懇願しているニュアンスを受けます。

武貞:果たしてそうでしょうか。「トランプ大統領がこれまでどの大統領も下すことができなかった勇断を下し、首脳対面という重要な出来事をもたらすために努力したことについて、ずっと内心は高く評価してきた」は、褒められることに弱いトランプ大統領に対する誘い水でしょう。

「わが方は常に度量が大きく開かれた心で米国側に時間と機会を与える用意がある」という表現は上から目線ですらあります。

米朝首脳会談がもたらす6つのメリット

—厳格なCVIDの合意を取り付けることができなくとも米朝首脳会談を流すことなく実施することで米国はどんなメリットが得られるのですか。

武貞:第1は米国、もしくはトランプ大統領自身が主役になれること。北朝鮮が平昌オリンピックに参加して以降、今日まで、朝鮮半島をめぐる国際関係は韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領を中心に回ってきました。この主導権をわが手に取り戻す。

5月22日に米韓首脳会談が行われた際、文大統領が「米朝首脳会談は99%行われると信じる」と発言する傍ら、トランプ大統領は「どうなるか分からない」と語り、違いを際立たせました。トランプ大統領はこうしてでも、流れを米国に持ってきたかったのでしょう。そして、トランプ大統領が首脳会談キャンセルの手紙を韓国に事前通告することなく送ったのですから、文大統領のメンツは丸つぶれでした。

第2は、合意が成立しなくとも米朝協議が続くことで、北朝鮮との全面戦争が避けられること。トランプ大統領も戦争は望んでいません。

第3は北朝鮮が中国に一層近づく事態を避けられること。中国の最近の発言は「北朝鮮が核開発をしなければならないのは、米国が核で北朝鮮を脅かすからだ」ということを暗示しています。習国家主席は、第2回中朝首脳会談が行われた直後にトランプ大統領と電話協議し、北朝鮮の非核化プロセスでは「段階的な行動を望む」と伝え、北朝鮮の意向を考慮するよう迫りました 。

第4は、北朝鮮と韓国が米国抜きで関係改善を進める事態を避けられることです。

北朝鮮と韓国は4月27日に南北首脳会談を開きました(関連記事「日本が過小評価する南北宥和が狭める米の選択肢」)。これを「米朝首脳会談の前座」と評する向きがありますが、それは誤りです。この時に両国は、南北の宥和と核の問題を切り離し、非核化協議が膠着状態に陥っても南北が統一を自主的に進めることで合意したのです 。核の問題は米国に任せて、南北でできることをしていくということです。

そして第5は、少なくとも米朝協議が継続している間、米国は核技術や核物質の拡散を防止するべく北朝鮮の核開発を直接監視しやすくなることです。

最後の第6は、北朝鮮を舞台にした資源獲得競争に米国も参加できるようになることです。

核よりも大事な、資源をめぐる先陣争い

—北朝鮮を舞台にした資源獲得競争ですか。

武貞:はい、そうです。順にお話ししましょう。まず中国。習近平政権は、これまで経済発展が遅れてきた東北部・吉林省の開発に力を入れています。その一環として開発が遅れている吉林省の発展のために長吉図開発開放先導区という特区を設けた。長吉図はこの地域の中心となる3都市の頭文字を並べたものです。「長」は長春。「吉」は吉林市。「図」は中朝国境の町、図們。既に長春から図們までを高速鉄道で結んでいます。

中国はこの特区の延長線上に、北朝鮮・茂山の鉄鉱山の採掘や、北朝鮮の天然の不凍港である羅津(ラシン)港の活用を見据えています。茂山は、国境となる豆満江 を越えてすぐのところにある東アジア最大の鉄鉱山。韓国の鉄鉱石輸入量の100倍に相当する埋蔵量があると言われています。ここの独占採掘権を中国が握っており、北朝鮮の資源獲得は中国が先行しています。利権確保のために中国は、中朝国境にあるたくさんの橋を全額負担をして作り直し、北朝鮮の羅先市に続く道路の改修をしています。

南北が統一すれば我が物となるはずの鉄鉱資源を中国に取られていることに韓国はほぞをかんでいます。この状況を改め、北朝鮮に眠る資源を韓国が開発できるようにするための国策を探っている。文大統領が南北宥和を進めているのは単なる感情論からだけではありません。こうした実利も重視しての行動なのです。

中国に続いてロシアもこの資源競争に加わっています。ご存知のように羅津港第三埠頭の49年にわたる租借権を手にしています。ロシアと北朝鮮の国境のすぐ近くにある港ですね。冬はウラジオストック港が凍結するので、ロシアはどうしても羅津港は使用したい。北朝鮮での利権を確保するためにプーチン政権は金正恩体制に対して1兆1000億円の借金の返済免除をしています。

周辺国がこうした動きをしている中で、北朝鮮との国交がない米国は同国の資源にアクセスできずにいる。

—米国が北朝鮮の資源に注目しているのはどこから分かるのでしょうか。

武貞:マイク・ポンペオ国務長官の5月13日 が示しています。同長官はCVIDに向けて北朝鮮が行動を起こしたら経済再建を支援する意向を示しました。エネルギーとインフラ、農業技術を対象に民間部門による投資を認める。この分野における米企業の技術を提供する見返りに、資源へのアクセスを得る意図が読み取れます。また、6月12日に米朝首脳会談を開催するための再調整の過程で米国は「非核化に向けて行動を起こせば経済支援を行う」と繰り返しています。

CVIDの実現は「出口」に

—米国がCVIDの実現にあきらめ、資源へのアクセスを重視する方向に進むとすると、今後の米朝関係はどう展開していくのでしょう。

武貞:米朝首脳会談はいずれ開かれます。6月12日開催に向けて米朝両国が詰めの真っ最中です。トランプ大統領は前言を撤回することをはばからないですから、6月12日に会談が開催される可能性は十分です 。既に、CVIDで合意できなくても、お互いが恥をかかないですむ発表文の作成に着手していることでしょう。

—昨日(5月26日)に行われた第2回南北首脳会談は今後の米朝協議にどんな影響を与えるでしょう。

武貞:北朝鮮が韓国の顔を立てて米朝首脳会談実現に向けての思いを語りました。同時に、米朝の協議がギクシャクしても4月27日の板門店宣言で約束した軍事当局者会談、閣僚会談、離散家族再開は粛々と実行してゆきましょうということで一致した。

金委員長は、やはり文大統領は仲介者だと持ち上げて、韓国からの経済支援の約束を確認した上で、トランプ大統領に予定した通りの首脳会談開催を呼びかけました。南北が認識を共有しながら、北朝鮮が米朝首脳会談に臨むという展開になりました。北朝鮮は孤立しているようには見えないのですから、米国は首脳会談を延期しにくくなったし、北朝鮮に対して厳格なCVID受諾を迫りにくくなっています。

—しかし、米朝首脳会談が実現しても、CVIDで合意できず会談が長引くことになれば、米本土に届くICBM(大陸間弾頭弾)が完成してしまいませんか。米国はそれを容認するのでしょうか。約束を反故にされてきたこれまでの経緯を繰り返す事態も懸念されます。

武貞:容認はしません。CVIDをにらんだ様々な要求を北朝鮮にしていくでしょう。例えば、MTCR(ミサイル技術管理レジーム)*に加盟し、このルールに則ることを求めることが考えられます。

*:大量破壊兵器の運搬手段となるミサイル及びその開発に寄与しうる関連汎用品・技術の輸出を規制すべく、輸出管理の取組を調整するための非公式・自発的な集まり

両国の信頼醸成につながる取り組みを進めることもあるでしょう。例えば米国が主導する多国間海軍演習である環太平洋合同演習(リムパック)への参加を北朝鮮に促す。以前は中国海軍も参加していました。

これまで米国はCVIDの実現を交渉の入り口に置いてきました。CVIDを実現すれば、休戦協定を平和協定に転換するとか、経済支援を実行するといった具合です。しかし、これを出口に持っていくことを考え始めているのではないでしょうか。

これは北朝鮮に核保有を認めることではありません。非核化は目指す。しかし、米中間選挙までの半年とか、次の米大統領選挙までの2年間で、という具合に時間を縛る考えは捨てる。NPT(核不拡散条約)も、核保有国に対し核を廃棄することを求めていますが、期限は設けていません。これのバリエーションと考えれば、それほどおかしな考えではないと思います。

朝鮮統一後にCVIDを求めるのが現実策

日本は核保有国であるインドやパキスタンとつき合っています。イスラエルとも同様です。北朝鮮をこれらの国と同じように考えてもよいのではないでしょうか。

北朝鮮が保有する核兵器は日本にとっての脅威です。日本全国を射程距離内に入れているノドンミサイルが200発以上の核弾頭を配備されています。しかし、北朝鮮の核兵器は日本を征服するために作ってきたのではなく、半島有事で日本が米軍への便宜供与をする決定を阻止するためのものです。

北朝鮮は、朝鮮半島を統一するために米軍の軍事介入を阻止したいのです。そのために米本土を射程に収める核搭載ICBMを完成することで、「米国第一」を最優先する米国が軍事介入を断念して、南北だけで朝鮮半島を統一する環境を作りたいというのが北朝鮮の戦略です。

つまり北朝鮮は核兵器で米国との核戦争を勝ち抜くことを考えているのでありません。

軍事境界線北側の体制の安全を確保するため、という見方も破綻しています。1953年に朝鮮戦争が休戦となって以来、戦争は起きていません。つまり北朝鮮が保有する既存の通常兵器と在韓米軍と米韓相互防衛条約の存在で戦争は抑止されてきました。

つまり、統一が実現すれば、北朝鮮は核兵器の使い道を失います。統一に向けて南北が話し合いを続けるとき、少しずつ核兵器を放棄する作業をすることが可能になるでしょう。南北和解のプロセスとリンクさせつつ、核兵器を廃棄するよう外交を展開すればよいのではないでしょうか。

北朝鮮に対して期限内にCVIDを実現するよう強要することが、いまの日米韓の公式の政策です。北朝鮮が呑まなければ、米国は軍事行動を起こすという説明が数多くあります。この方法を選べば韓国と日本で数十万人の死者が出ると言われています。このシナリオと半島統一へのプロセスの過程で段階的に核兵器の廃棄を求める方法のどちらが適切でしょうか。

日本について言えば、統一コリアができた時、国交正常化の後の経済支援を約束した日朝平壌宣言*を再交渉することになるでしょう。小泉純一郎首相が2002年に行った外交は見事なものでした。北朝鮮から賠償という名目の法外な支援要求を受ける根拠はありません。国交樹立と双方の請求権の放棄、経済支援という道筋を付けたのです。この原則は1965年に結んだ日韓基本条約の原則を踏襲しています。

*:小泉純一郎首相が2002年に訪朝し、金正日(キム・ジョンイル)総書記と署名した共同宣言 。日本は過去の植民地支配に対するお詫びの気持ちを表明。両国による請求権の放棄、国交正常化後の経済協力を盛り込んだ

その後、北朝鮮によるウラン濃縮が明らかになり、拉致問題が膠着状態に陥ったため、この宣言に基づいた国交正常化交渉はとまっています。朝鮮半島統一の時は、日朝国交正常化の後の経済支援というシナリオではないのですが、軍事境界線の北側の地域と住民に対する経済支援の問題が残るでしょう。

日本はこの時に、「経済支援には核兵器の放棄が前提となる」と交渉すればよいのです。「労働新聞をひもといたら『ノドンミサイルは日本の都市を狙っている』と書いてあります。これを撤去し、検証するまで、日本は支援としての大金を支払うわけにいかない」と主張すればよいのです。これこそが外交ではないでしょうか。国益に基づいた政策とはこういうものをいうのだと思います。

「統一コリアは核を持ったまま日本を脅かす。したがって今のうちに軍事力を行使して核兵器を除去すべき」という主張があります。これは偏った議論でしょう。核施設を確実に除去できるのかどうか。除去に至る過程で軍事衝突が起こり日本と韓国に多数の犠牲者が出るシナリオを両国民が受け入れるとは思えません。

—朝鮮半島の統一は現実に進むのでしょうか。

武貞:それは南北の交渉しだいです。4月27日に南北首脳会談が行われた後、韓国の文大統領の支持率は上がり史上最高の85%に達しました。同大統領の任期はあと4年あります。これから毎年、南北首脳会談を繰り返す。そして、任期の最終年にはなだらかな市場統合を実現するでしょう(関連記事「南北会談の主題は『非核化』ではなく『統一』」)。

南北関係が順調に進めば文大統領の弟子が次期大統領の座に就くでしょう。いま米朝関係がギクシャクしても南北交流は続いているのです。この間、米国が韓国に厳しい姿勢を見せれば見せるほど、韓国の進歩派政権への支持率は高まります。「米国の圧力に抗して、民族の宥和を進めた」と韓国国民は考えるからです。

文大統領の残り4年、プラス、次期大統領の任期5年の合計9年。こうした状況が続くならば、統一は夢物語だとは言えなくなります。

先日、韓国を訪問した時、全国紙の記者や学者と討論をしました。皆さん、南北対話と融和の先にある朝鮮半島統一を議論していました。「日本パッシング(日本を外すこと)の平和のプロセスには反対だ。北朝鮮の経済再建の過程で韓国は日本の財力を頼りにしなければならないから」という論議さえ行われていました。朝鮮半島で「まさか」は起きないと思っていてはいけません。

重村記事

朝鮮人民軍の兵士は、金正恩委員長に従順な者ばかりではない(提供:KNS/KCNA/AFP/アフロ)

北朝鮮との交渉には、秘訣がある。最悪の場合には「決裂」を辞さない――と覚悟できないと交渉は成功しない。これを知るドナルド・トランプ米大統領の「交渉術」が、米朝首脳会談を再び実現に向かわせた。同氏は、交渉術に精通した元ビジネスマンだ。

米朝首脳会談が実現し、一定の合意に達する可能性が高い。

北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長と韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が5月26日、板門店で再び会談。米朝首脳会談の再開とトランプ大統領にどう対応するかを、相談した。

父親や祖父の時代と違い、北朝鮮の若い指導者には、国際社会に友人がいない。それに近い存在は中国の習近平国家主席と文大統領だけだ。金委員長は「二人ともトランプ氏と通じており、信頼していいのか不安だが、助けが欲しい」という心境だろう。韓国の指導者も、首脳会談が中止になると国民の信頼と権威を失う。南北の指導者は、助け合わざるをえない状況にある。

軍に対して党がクーデター

トランプ大統領は24日に「米朝首脳会談中止」を発表した際、「交渉はゲームだ」と述べた。さすがに、交渉術をよく知っている。

90年代初期に米朝が核交渉を米ニューヨークで行った際、その初日に、演説に立った北朝鮮代表は同国の公式の立場を説明するとともに、長々と米国を非難した。ガルーチ米代表は初日は我慢したが、2日目も続いたので演説を中止させ「会談を打ち切る」と通告し席を立った。北朝鮮代表は、あわてて追いかけ「明日も会談を続けてくれたら、合意する」と頼んだ。北朝鮮との交渉は、打ち切りや中止の覚悟がないとうまくいかない。

交渉ゲームの基本は、相手の状況を正確に把握することだ。米国は、平壌内部の情報を相当深く手に入れており、指導者と軍部の厳しい関係を理解している。

金委員長は北朝鮮社会の近代化と経済発展を考え、父親が進めた軍を優遇する「先軍政治」をやめ、祖父の「労働党優先政治」に切り替えた。資金を経済に振り向けるため、軍の利権を減らした。権力機関である「国防委員会」も廃止した。これは、軍に対して党が行った「親政クーデター」と言っても過言ではない。

軍部が金政権に反発し、強い不満を抱くのは当然だ。金委員長がこれを抑え、「核実験中止」「核実験場廃棄」「非核化」を決めたのは、相当な指導力と胆力の持ち主であることを示している。同委員長は軍指導者の多くを処刑した。米国との国交正常化なしには、北朝鮮は生き残れない、との決意があった。

首脳会談流れれば軍によるクーデターも

こうした経緯があったため、もし「米朝首脳会談」が中止になれば、金委員長は軍部や指導層からの信頼を失いかねない。その権威も失墜する。軍部によるクーデターや混乱に直面する可能性も浮上する。だから、「米朝首脳会談」は必ず実現しないといけないのだ。

北朝鮮国内のこうした状況を理解しているから、金委員長への書簡を書くに当たってトランプ大統領は、礼を尽くした言葉を選んだ。書簡の中で金委員長への「感謝」の言葉を3度も繰り返している。「シンガポールで予定されている首脳会談に対する、あなたの忍耐強い努力に感謝している」。「あなたが(米国人)人質を解放し、家族のもとに返してくれたことに感謝したい」。「(米国人解放は)すばらしい意思表示で、謝意を表する」

そして最後に、「遠慮なく私に電話をするか、書簡を送ってほしい」と伝えた。金委員長を決して非難することなく、首脳会談再開に含みをもたす書簡だった。

トランプ大統領に「中止」を決断させたのは、北朝鮮外務次官の「談話」であった。崔善姫(チェ・ソンヒ)外務次官は24日 に発表した談話で、マイク・ペンス米副大統領が「軍事攻撃は排除しない」と述べ「核の完全廃棄」を求めたことに反発し、同副大統領を「愚鈍なまぬけ」と名指しで批判した。この品を欠く表現は、北朝鮮軍部の反発がいかに激しいかを、物語っている。米国に対し、これほど激しい「非難」を表明しなければ軍部が納得しない状態にあり、外交当局者は追い詰められていた。

一方、トランプ大統領は、ペンス副大統領への非難を、自分への攻撃と受け止めて怒った。そしてジョン・ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)のアドバイスを受け入れて「首脳会談中止」を決めた。だが、前述のように、中止を通告する書簡は丁寧で相手の立場を考慮したものだった。金委員長が、トランプ大統領が「感謝」の意を示す書簡を送ってきたと国内に説明できる内容だった。

この書簡に気になる表現があった。米朝首脳会談について「北朝鮮側が求めたものだと伝えられたが、それが見当違いだということがわかった」と述べている。

これは崔次官が談話で「(米国が)対話を請託したにもかかわらず、我々が要請したように世論をミスリードしている」と指摘したことへの返事である。仲介した韓国がなんらかの小細工をしたのではないか、と米朝双方が感じているようだ。

リビア方式は×、トランプ方式なら○

トランプ氏の「首脳会談中止」に驚愕した北朝鮮は、金桂官(キム・ゲゲァン)第1外務次官の「談話」を発表し、「首脳会談再考」を求めた。「談話」の次の表現から、北朝鮮指導部が追い詰められている状況がよく理解できる。

「トランプ大統領が、どの大統領もできなかった勇断を下し、首脳会談に努力したことを、内心高く評価してきた」。「金委員長もトランプ大統領との出会いは良い始まりになり得るとおっしゃり、準備に全ての努力を傾けられた」。「いつでもどのような方法でも、向かい合って問題を解決していく用意がある」。北朝鮮側の悲痛な思いが、伝わってくる。

加えて、この書簡は、「リビア方式」でなく「トランプ方式」なら合意できると示唆している。「『トランプ方式』は双方の懸念をすべて解消し、私たちの要求と条件にも合致し、問題の解決に実質的な作用をする賢明な方策になることを期待していた」

つまり、北朝鮮側は「リビア方式」という言葉を使わず「トランプ方式」との言葉を使えば、合意は可能だと交渉妥結の方法を教えているのだ。

リビア方式とは、リビアが核施設を完全に廃棄するのを優先し、その後に、米国が関係正常化や制裁解除などの見返りを与えたやり方だ。この道を選んだリビアはアラブの春のあと崩壊した。

一方、トランプ大統領は「完全な非核化をすれば、北朝鮮は繁栄する。経済支援や投資が可能だ。北朝鮮の体制は保証する。軍事攻撃はしない」と明言した。この米国の方針を、「トランプ方式」と言えば北朝鮮は応じる、というわけだ。

トランプ大統領の「首脳会談中止」決断は、米朝双方に「譲歩」と「合意」のムードを生んでいる。北朝鮮では、軍部の圧力を和らげる契機となった。仮に米朝首脳会談が中止されれば、米軍は軍事攻撃に至る。北朝鮮が反撃すれば、全面戦争に発展し北朝鮮は崩壊する。この現実を考えると、北朝鮮軍部は強硬な立場を続けるわけにはいかない。

これに対して米国は、完全な非核化と核廃棄を北朝鮮が約束し「廃棄作業に着手すれば」、日本、韓国、中国などが制裁を解除するのを認めるといった妥協をすることが考えられる。米国は、米朝平和協定の締結や在韓米軍の撤退を約束するだろう。

だが、北朝鮮が完全な核放棄に応じるとは、考えにくい。軍部を説得するために、核開発を再開できる可能性を少しでも残す合意にしたいと考えているだろう。一方で米国は、核開発の再開を認めない合意を目指す。「完全な核廃棄」か、核開発再開の芽を残す「非核化」か、をめぐりなお厳しい駆け引きが続く。

上久保記事

Photo:REUTERS/AFLO

ドナルド・トランプ米大統領は5月24日、シンガポールで6月12日に予定されていた、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との「米朝首脳会談」を中止する意向を明らかにした。北朝鮮が、豊渓里(プンゲリ)の核実験場を爆破し、「朝鮮半島の非核化」を目指す姿勢を示した直後の発表であった。

これに慌てた北朝鮮が、金委員長が韓国の文在寅大統領と急遽、板門店で首脳会談を行い、米朝首脳会談開催への「確固たる意志」を表明し、決裂回避に動き始めた。トランプ大統領はツイッターで、自身で表明した首脳会談の中止から一転して、今度は開催に前向きな姿勢を示した。

結局、米朝首脳会談は当初の予定通り、シンガポールで6月12日に開催されることになる見込みだ。筆者は、突如首脳会談中止を表明し、相手が慌てたところで「やっぱりやろう」と揺さぶったトランプ大統領に、「ディールの達人」の恐ろしさを見た。そして、金委員長は、完全に逃げ場を失い、「袋小路」に追い込まれた。

「アメリカファースト」のトランプ大統領は既に「ディール(取引)」を終えている

トランプ大統領にとって、「朝鮮半島の完全な非核化」や「北東アジアの紛争回避」など、実はどうでもいいことなのではないだろうか。そもそも、トランプ政権が「北朝鮮の核・ミサイル開発問題」に介入し始めたのは、北朝鮮が米国を直接核攻撃できる大陸間弾道弾(ICBM)を持つ可能性が出たからだった(本連載第155回)。

トランプ大統領は、口を開けば「朝鮮半島の完全な非核化」、「拉致問題を解決する」などといろいろ言ってはいるが、実は自国の安全保障のことしか考えていない。北朝鮮が核実験場を爆破して、核弾頭を搭載したICBMを開発できないということを確認した、まさにその日に首脳会談中止を表明したのは、そのことを象徴的に示している。

首脳会談を流すという、既存の政治家には絶対にできない「挑発」は、いかにもトランプ大統領らしい。だが、1つ言えることは、大統領にとって、「完全な非核化」など、所詮「オマケ」に過ぎないということだ。やはり、大統領の行動は、あくまで「アメリカファースト」なのだと、あらためて示したといえる(第170回)。

トランプにとって「完全な非核化」以外に会談実施の意味はない

トランプ大統領にとって、米朝首脳会談とはどういう意味を持つのか、もう少し考えてみる必要がある。まず、金委員長が「ICBMの実験中止」を表明し、「核実験場」を爆破したことの持つ意味である。

端的にいえば、北朝鮮が「米国を直接攻撃できる」懸念が消えたことを意味するだろう。つまり、米朝首脳会談の開催前にして、トランプ大統領が本当に欲しいものは、既に手に入ってしまったことになる。

その上、北朝鮮に拘束されていた米国人3人も取り戻し、米国世論にアピールできるオマケも得た。「朝鮮半島の非核化の実現」とは、それができれば「ノーベル平和賞」級の偉大な成果となり、そういう意味での関心はあるだろう。だが、「アメリカファースト」の大統領の本音としては、実現してもしなくても、どちらでもいいこととなる。

一方、この連載で指摘したように、「朝鮮半島の完全な非核化」の実現が「在韓米軍の撤退」を意味することは想定される。だが、これは米国の長期的方針としては既に決定していることであり、その実行のタイミングだけの問題である(第180回・p5)。そういう意味では、トランプ大統領が是が非でも米朝首脳会談をやりたいという動機付けにはなるものではない。

あえていえば、トランプ大統領にとって米朝首脳会談は、デメリットの方が大きいものかもしれない。大統領は「ディールの達人」として名をはせているが、そのイメージが崩れるかもしれないからだ。

例えば、米朝首脳会談の席上で、「ICBMの実験中止」「核施設爆破」を金委員長に宣言させるならば、その他が「段階的核廃絶」など曖昧な決着になったとしても、トランプ大統領が「ビッグディール」を成功させたということになるだろう。だが、金委員長は、既にそれを宣言し、実行してしまったのだ。そうなると、首脳会談で話し合うことは「朝鮮半島の完全な非核化」のみとなってしまう。

言い換えれば、トランプ大統領にとって、首脳会談での「ディール」の成功を示すものは、「朝鮮半島の完全な非核化の実現」だけになってしまった。だが、それは北朝鮮にとって簡単に飲めることではなく、実現は難しい。そうかといって、北朝鮮が望む「段階的非核化」を大統領が認めたら、それは単なる妥協ということになる。大統領のタフなイメージが壊れるだけである。

それでは、首脳会談の席上でガチンコで「完全な非核化」で揉めて決裂したら、どうなるか。あまりにその衝撃は大きすぎる。「ディールの達人」というトランプ大統領の評価が完全崩壊するだけでなく、北朝鮮がブチ切れて「最悪の事態」を招くリスクもある。

要するに、金委員長が「ICBMの実験中止」「核施設爆破」というカードを先に切ってしまったことで、トランプ大統領にとって、米朝首脳会談で「ディール」を成功させるハードルが一挙に「完全非核化」に上がってしまったのだ。しかし、大統領は既に得るものを得てしまっているので、米朝首脳会談をやる意味が希薄になっていた。

それにもかかわらず、金委員長はいささか調子に乗ったのか、首脳会談での「ディール」の「落としどころ」は「段階的核廃絶」だと、楽観的に考えていたのだろう。部下に米国を「挑発」するような、軽はずみな言動を繰り返させてしまった。

また、金委員長と米国の「仲介役」を務めてきた韓国の文大統領や、金委員長の「後ろ盾」である中国の習近平国家主席も、同じように楽観的に構えているようであった。

トランプ大統領からすれば、それは許せないということになったのだろう。そこで、「完全非核化を北朝鮮が飲まないのであれば、別に米朝首脳会談など無理にやる必要などないのだ。それで北朝鮮が逆ギレするなら、軍隊を出して簡単に叩き潰すぞ」という脅しをかけた。

トランプ大統領は、金委員長や、韓国、中国に「俺は圧倒的に強い立場にあるのだぞ。それを忘れるなよ」ということを、強く知らしめたかったのではないだろうか。

金正恩も事実上の「核保有国」となるために会談を回避したほうがいいと考えるか?

一方、金委員長の立場から見れば、事前に大統領に対してカードを切りすぎたことは大失敗だったように見える。米朝首脳会談を通じて、トランプ大統領から「体制維持の確約」を得て、「段階的核廃絶」を約束することで事実上の「核保有国」になれればよかったのに、トランプ大統領の「アメリカファースト」を読み間違えて、自ら首脳会談のハードルを「完全な非核化」に上げてしまったからだ。

金委員長は慌ててトランプ大統領の機嫌を取って、予定通り首脳会談を実施する方向に一応向かってはいる。だが、金委員長は本当にこのまま、首脳会談を行ったほうがいいのだろうか。

そもそも論だが、北朝鮮が目指してきたのは「核保有国」になることだ。それが「体制崩壊」を防ぐ唯一の道だというのは、金委員長の父・金正日氏の「遺訓」であった。金委員長が融和の姿勢を示し、韓国の文大統領との南北首脳会談で「核なき朝鮮半島の実現」を約束したが、それは本気ではないはずだ。

本音は「段階的非核化」という曖昧な着地点を勝ち得て、実質的に「核保有国」になることが目標だったはずだ。だが、既に欲しいものを手に入れてしまい、あわよくば「ノーベル平和賞」でも取れれば儲けものくらいに考えて、思い切り「ディール」のハードルを上げてきたトランプ大統領と、どう渡り合ったらいいのだろう。金委員長は、これから非常に頭を痛めるはずだ。

それならば、むしろ米朝首脳会談を流したほうがいいという判断はあり得るだろう。そうすれば、「朝鮮半島の完全な非核化」は議論する場がなくなり、中距離核ミサイルは日本に向けてズラリと並んだままとなり、北朝鮮は実質的に「核保有国」となることができる。そして、中国、ロシア、韓国も、本音では北朝鮮が核保有国となることは悪いことではないと思っている(第166回)。

米国は、「アメリカファースト」なので、ICBMさえ持たなければ、北朝鮮を攻撃することに関心は持たないだろう(第155回)。もちろん、米国はいまや「世界の暴力団」なので、トランプ大統領を怒らせたら何をされるかわからない(第181回)。ただ、たとえ首脳会談が流れても、北朝鮮は自ら「段階的核廃絶を行っていく」と宣言したりして、慎重にトランプ大統領の機嫌を取っていけばいい。

要するに、トランプ大統領が既に「ディール」で「実」を得たことで強硬姿勢に出たように、今度は金委員長があえて首脳会談を流して、事実上の「核保有国」となる「実」を得ようと、動く可能性があるかもしれない。

「ディールの達人」トランプは、金正恩を完全に「袋小路」に追い込んだ

だが、金委員長が米朝首脳会談を流して核保有国になるという「実」を得ることは、相当に難しいかもしれない。それは、トランプ大統領は強硬姿勢を示すことで、韓国の文大統領の首根っこもガッチリと掴んでしまったように思うからだ。

韓国の文大統領は、米朝首脳会談で北朝鮮が「体制維持の保証」と「段階的核廃絶」をトランプ大統領から勝ち取れば、一挙に南北首脳会談で金委員長が求めてきた経済協力を進めるつもりだった。だが、トランプ大統領が米朝首脳会談の「ディール」を、北朝鮮が簡単に飲めない「朝鮮半島の完全な非核化実現」に引き上げたことで、簡単に「ディール」が成立することはなくなり、南北の経済協力を進める思惑は棚上げせざるを得なくなるだろう。

米朝首脳会談が流れれば、北朝鮮は事実上の「核保有国」になれるが、国連の経済制裁は解除されないことになる。金委員長にとって、南北間の経済協力が非常に重要になるが、トランプ大統領を無視して、文大統領が経済協力を進めることは、難しいのではないだろうか。

北朝鮮に対する国連の経済制裁は、非常に効いているとされている。北朝鮮は米朝首脳会談を流して「核保有国」となれても、経済制裁が解除されなければ、早晩行き詰まることになる。かといって、米朝首脳会談を行えば、トランプ大統領から「完全な非核化」を強く要求されることになる。

金委員長は、結局経験不足だったのだろうか。軽率にも首脳会談の前に、トランプ大統領の欲しいものを渡してしまった。結果、米朝首脳会談は「退くも地獄、進むも地獄」となってしまった。「ディールの達人」トランプ大統領は、完全に金委員長を袋小路に追い込んだように見える。

(立命館大学政策科学部教授 上久保誠人)

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『中国で「IT革命」が劇的に進んでいる3つの理由』(5/23ダイヤモンドオンライン 藤岡久士)について

5/25ダイヤモンドオンライン ロイター<米朝首脳会談を中止、トランプ大統領が通告 「最大限の圧力継続」>

https://diamond.jp/articles/-/170995?utm_source=weekend&utm_medium=email&utm_campaign=doleditor

5/25杉浦正章氏ブログ<米朝会談中止の背景を探る>

http://thenagatachou.blog.so-net.ne.jp/2018-05-25

5/26ダイヤモンドオンライン 武藤正敏<米朝会談中止は中韓が北に幻想を抱かせたのも一因、元駐韓大使が解説>

https://diamond.jp/articles/-/170986?utm_source=weekend&utm_medium=email&utm_campaign=doleditor

5/26産経ニュース電子版<仲介役自任し諦めぬ文在寅大統領 米朝首脳会談実現へ問われる外交手腕>

https://www.sankei.com/world/news/180526/wor1805260058-n1.html

6/12米朝首脳交渉が開かれるかどうか全く先が読めません。トランプは文書を以て正式にキャンセルした後、「予定通りに開かれるかもしれない」と記者団に話したり、ツイッターで投稿したりしました。変わり身が早いというか作戦の一つでしょうけど。早速北の手先の文在寅が動いて、金正恩と2回目の会談をしました。文・金会談で、何とか米国を騙せないか知恵をめぐらしたと思われます。しかし、トランプは文の言うことは全然信用していないので、5/25米韓首脳会談で文に恥をかかせたと思われます。文が動けば動くほど空回りするのでは。金がすぐに核全廃ではなくとも、2、3年の内にはCVIDできることを約束しない限り、金王朝は打倒されるのでは。しかし武藤氏は北が核を放棄することはないと見ています。そうなれば制裁強化か戦争が待っているでしょう。また、中国が北に助け舟を出せば中国には厳しい経済制裁、金融制裁が待っているのでは。

5/23東京新聞<ローマ法王、台湾を見捨てないと 台北大司教の訴えに>中国が金の力で台湾と断交させて来た国全部を合わせた、その数百倍もの国際社会での価値があるバチカン。その法王から「台湾を見捨てない」と言質を取ったのは大きいです。台湾は中国の領土と言うのを否定したのも同然です。バチカンの金に転んだ司教が中国とバチカンとを国交を結ばせるためいろいろと工作してきましたが、これで一安心です。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018052301001814.html

5/25看中国<落马女官生活糜烂 与英俊男下属权色交易(图)=逮捕された女性官僚の生活は糜爛していた ハンサムな男性部下と権力と色とで取引この記事には3人の女性がその地位を利用して金を取るか、性行為を金の代わりとして貢がせたという内容です。中国では上下・男女関係なく賄賂を上げたり、取ったりするのは当り前のこと。生活習慣です。

藤岡氏の記事で、彼は2000年から中国在住で、今はフードコンサルタントとして活躍とのこと。中国の裏のダーテイな部分を良く知っていると思います。特に会社設立認可を迅速に行うにはいろんな部署に賄賂が付きまといます。日本のように届出だけでは済みません。会社設立後も、公安や、各役所が査察と称して賄賂をねだりに来ます。そこら辺をよく理解して日本人は進出しませんと。きれいごとだけではありません。看中国の記事のように法執行側の人間が男女を問わず賄賂(含む性行為)を取ります。人民法院の裁判官と手同じです。尤も共産党が支配する中国では三権分立はなく、司法部門も行政機構の一部です。まあ、小生は敵国・中国への進出は勧めませんが。

2016/10/17記事<【第86回】中国における外商投資企業の設立は許可制から届出制へ>

http://work-as1.com/special/?p=1843

とありましたが信用できません。事後審査するにしても役人は賄賂を要求するでしょう。彼らの収入の一部に組み込まれているというか正規の報酬を上回ることが大部分なので。

中国のスマホ決済やシエアリングの便利さは、日本の快適さとは程遠いです。まず、個人情報が国家に筒抜け、犯罪者逮捕には便利でしょうが、政治犯や冤罪での逮捕、誤認逮捕が多い中国ではいつも政府の動向を気にしなければ生きていけません。いつ落とし穴にはまるか分かりません。5/26キリスト教団体関係の日本人21人が逮捕拘留、5人釈放というニュースが流れましたが、政府の意に反する行為があればすぐ逮捕されます。彼らは脱北者の支援活動をしていたとの噂でしたが。

スマホ決済も現金だと偽札が2割も流通するから、その対策の意味もあったと思います。別にスマホ決済でなくともカード決済があれば充分では。小口は現金で払うことに違和感はありません。何を騒いでいるのという気がします。

記事

先月、中国グルメサイト大手「大衆点評(ダージョンディエンピン)」やネット宅配サービスを展開する「美団点評(メイタンディエンピン)」が、日本進出で話題となったシェアサイクル大手「Mobike(モバイク)」を買収した。

昨今、中国のIT化や中国企業の動向を伝えるニュースが増えてきているが、いったい中国で何が起こっているのか。

中国在住18年でサービス産業のコンサルタントをしている筆者が解説したいと思う。

美団点評(メイタンディエンピン)とは 急成長の「食品デリバリー市場」

美団点評は、昨年企業価値が300億ドル(約3兆2000億円)に到達した、「ユニコーン」第4位の注目企業である(「ユニコーン」とは、企業としての評価額が10億ドルを超える、非上場のベンチャー企業を指す)。

現在、グルメサイト「大衆点評(ダージョンディエンピン)」と、食品デリバリーサービス「美団(メイタン)」 を事業の軸に据え、中国市場において、この分野で圧倒的なシェアを誇っている。

その独占的なポジションを評価され、2015年には微信(WeChat)でおなじみの騰訊(テンセント)からも資金調達を果たしている。

ちなみに、競合に当たるアリババは、4月、中国食品デリバリー市場において美団と双璧をなす「餓了麼(ウーラマ;Ele.me)」を95億ドル(約1兆円超)規模で買収している。

また、企業価値500億ドルで2017年「ユニコーン」第2位で、現在中国の配車サービス市場を独占している滴滴出行(ディディチューシン)」も3月、100億元(約1700億円)規模のファイナンスを実行し、無錫で食品デリバリー市場に参入を果たしている。

美団点評が主戦場としている「食品デリバリー市場」は、昨年中国で66.2%と群を抜いた成長を遂げた、注目の市場なのである。

中国のITイノベーションは オンラインとオフラインの融合

今、中国でITイノベーションが起こっていると言っても、ピンとこないかもしれない。

筆者は決して、「キャッシュレス化」や「配車サービス」、「自転車」をはじめとする「シェアサービス」や「無人コンビニ」といった、最新のITサービスの普及を指して、イノベーションと言っているわけではない。

これまで一般的に、仮想空間とされ、現実の社会とは区別される傾向にあったオンラインの世界が、現実の社会を補完し、インフラとして広がりつつあるのだ。

中国で起こっているイノベーションの正体は、オンラインとオフラインの世界が融合したことなのだ。

日本でもスマートフォン(以下スマホ)は普及しているし、Apple Payをはじめとするキャッシュレスサービスだって、既に目新しいものではなく中国だけ進んでいるわけではないと感じる方もいるだろう。

実際日本にも、O2O(オンラインtoオフライン)を意識したマーケティングを強化している企業もあれば、「オムニチャネル」を実践している企業があることも事実である。

しかし、これら日本国内の進化と、今中国で起こっている変化はレベルが違うと言わざる得ない。

では、なぜ中国でこのようなイノベーションが実現したのだろうか。

中国でイノベーションが実現した理由 BATと政府の存在感

大きな要因の1つが、ハード(スマホ)の十分な普及である。

ここで大切なのは、単に普及したというだけでなく社会インフラとして機能するだけの、十分な普及を果たしたという点である。

もちろん細かいことを言えば、中国でも全ての人がスマホを所持しているわけではない。

ただ、中国では、物乞いをする人間ですらスマホを所持しており、それに誰も疑問を持っていないことに驚かされる。

スマホは既にぜいたく品ではなく、必需品であるということなのだろう。

また、誤解を恐れず言うと、中国人には「割り切り」「切り捨て」的な思想がある。

そのことが、結果としてさらなる普及を促していると感じる。

2つ目の要因は、全ての端末(スマホ)に基本、個人ID(身分証明書)と銀行口座がひも付いたこと。

これにより、従来匿名性の高かったオンラインの世界と、オフライン(現実)の世界との垣根が大幅に下がり、オンライン上でも十分な信用が担保される世界が広がった。

社会体制の影響からくる、個人情報保護に対する意識の甘さも、結果としてプラスに働いた。

そして3つ目の要因が、14億人の巨大市場を背景に世界中から流入する巨額の資金だ。

現在の中国には、その豊富な資金力を元手にペガサス企業や次々と生まれる新興企業がM&Aを繰り返す、ダイナミックな市場環境がある。

加えて、業界の垣根を越えプラットホームを築いていくネット業界の巨人、BAT(百度、アリババ、テンセント)と、それを後押しする政府の存在も需要な役割を果たしている。

これから成功しそうなサービスを展開してるスタートアップ企業を、次々とBATが支援・買収することにより、新しい便利なサービスが、微信(WeChat)をはじめとする、彼らのプラットホームを共有し連動していく。

また、政府は少々問題が発生してもすぐには規制に入らず、一定期間静観し、動向を見極めた上で調整に入る。

この官民連携が、「正の連鎖」をもたらしている。

ITイノベーションがもたらした社会 信用のプラットホーム

アリババの決済サービス「支付宝(アリペイ)」に登録すると、個人信用を数値化する「芝麻信用(ジーマーシンヨン)」というサービスが自動的に付随してくることを知らない日本人は多い。

「芝麻信用(ジーマーシンヨン)」スコアは、「支付宝(アリペイ)の消費履歴」だけでなく、アリババグループのさまざまなサービスと“ひも付け管理”されており、「支払履行能力」や「消費傾向」がわかる。

驚くことに、「学歴」「職歴」や「人脈」、「個人資産」といった、極めて個人的な情報も加味されるようプログラムされている。

このスコアが上がると、各種シェアサービスやホテル宿泊の際に必要なデポジット免除、特定の国のビザが取りやすくなるなど、多くの特典を享受することができるのだ。

“魅力的な特典”を与えることで、このサービスの“肝”となる個人情報を、顧客に躊躇なく入力させることに成功している。

実際、「芝麻信用(ジーマーシンヨン)」は、既に社会的に信用のおける「評価システム」のプラットホームとして機能しはじめており、さらなる発展が期待されている、シェアリングエコノミーをはじめとする個人対個人(P2P)のビジネスを底支えする役割を果たしている。

もちろん、このサービスには個人情報保護の側面で問題がある。しかし、その利便性が中国人にとって将来のリスクに勝ったことは、理解するに難しくない。

ITイノベーションによる劇的な生活の変化は、今後もさらに進んでいくと考えられる。

一方、これらIT社会の発展は、より便利な社会を実現すると同時に、危険な一面を持ち合わせていることは間違いない。

しかし、その「負」の部分を杞憂し、躊躇、足踏みすることは意味のないことである。

科学技術の進歩により、一度進んでしまった社会は後戻りできない。

筆者は長らく中国に住み、そのダイナミックな変化を目の当たりにしてきたが、今はまさに「時代の転換期」であると強く感じている。

(ゼロイチ・フード・ラボCEO 藤岡久士)

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『南シナ海界隈で中国の動きが騒がしい 人工島で爆撃機離発着訓練、軍事的プレゼンス誇示』(5/23日経ビジネスオンライン 福島香織)について

5/25東洋経済オンライン 渡邉哲也<米国は中国を一体どれだけ警戒しているのか トランプ陣営の姿勢は両国経済に影響する>米国が21世紀型COCOMを作って、自由主義国に中国との取引制限を課そうと考えているようです。

https://toyokeizai.net/articles/-/220395

5/25日経朝刊<「対中融和」象徴に終止符 米、環太平洋演習から中国排除 南シナ海でけん制強める 対北朝鮮政策に影響も>5/20本ブログでも中国のリムパック排除を訴えましたが、その通りの展開となりました。今後は中国を敵国としての扱いが露骨になるのでは。このリムパックもオバマのツケの清算です。王毅が何を言おうとも6/12首脳会談は実行されないでしょう。負け犬の遠吠えです。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30915960U8A520C1FF1000/

http://dwellerinkashiwa.net/?p=8943

5/25日経朝刊・5/10日経電子版<米制裁、中国のシリコンバレーを直撃 日米の認識に大きなズレ

多くのスタートアップ企業が集まり、最近は「中国のシリコンバレー」ともてはやされていた街に激震が走った。中国南部の広東省深圳市だ。ここに本社を置き、ハイテクの代表銘柄である中国2大通信機器大手の中興通訊(ZTE)と華為技術(ファーウェイ)が米国から制裁を受け経営が今、大きく揺れている。特にZTEは会社存亡の危機だ。

ZTEはイランや北朝鮮に、核開発やロケット開発にも通じる通信機器を長年にわたり違法に輸出した。ZTEは不正を認め、米側に1千億円以上の罰金の支払いで合意したが、米当局は4月、今後7年間に渡り、ZTEと米国企業との取引禁止を命じた。これでZTEの多くの製品は作れなくなったが、犯した罪を考えれば、言語道断だ。

さらにZTEは別件でもファーウェイとともに、両社の通信機器が米国で中国政府のスパイ活動に利用されていると2012年ごろから米議会で指摘され続けてきた。この件でも制裁が決まる見通しだ。米国だけでなく英国でも似た動きがある。

これらから学ぶべきは米中の単なる経済摩擦というだけではない。時代は今、データ戦争の時代に突入した。データを握るものが国家間の戦いをも制する時代。中国ではデータを一手に握った政府が、昨年から14億人の国民や企業の監視を一気に強められたことでも明白だ。ただ、現場に大量のデータがあっても、実はそのデータを吸い上げたり、やりとりしたりする技術が重要となる。

それが通信機器の技術で、中国ではファーウェイとZTEが2大メーカーだ。米国ならシスコシステムズとなる。残念ながら今の日本には肩を並べる企業は無くなったが、米国がそんな中国二大企業の米国内での動きに神経質になるのは、むしろ当然の話だ。

だが、日本を見ると不安だ。「深圳が今、ハイテクな企業が集まりすごいらしいぞ」。この1年間もこの「らしい」を求め、日本から大手銀行の行員、商社の社員、国会議員らが続々と深圳を訪れた。お決まりはファーウェイやZTE、ドローンで有名なDJIの見学コース。

見学を終えた参加者らは「深圳はすごかった」と手放しで喜び、「我々もこんな企業と何か連携しビジネスをしたい」と語り、帰国するのがもはや定番化した。実際、この1~2年で日本企業とZTE、ファーウェイとの連携は驚くべきスピードで進んだ。日米のあまりの認識のズレ。本当に大丈夫だろうか。(N)>(以上)

本当に日本人の判断基準はズレているとしか言いようがありません。これも国家の安全保障への無関心の為せる業でしょう。ZTEや華為はIT機器にバックドアを仕掛け、情報を盗み取ることをしています。彼らと付き合い、提携すれば、彼らの製品を使うようになります。企業の機密情報何て簡単に盗み取られるではないですか。使わなければ良いという議論は成り立ちません。提携は相手の機器を使う前提でするものです。やはり、平和ボケ、平和教育、憲法9条の刷り込みが脳を腐らせているのでしょう。自分の頭で考えたことがないのか、自分の出世のことだけで、日本国民全体のことを考えない経営者、社員が増えているという事です。ただ、今後本記事を書いた記者が懸念しているように、米国が正式にZTEや華為に経済制裁発動した時には、彼らと取引のある日本企業も米国並びに自由主義国で取引できなくなります。イラン制裁で仏・トタルがイランから撤退したのと同じことが起きるでしょう。それまでの投資がパアになります。

福島氏の記事は時間的にずれ(6/12米中首脳会談キャンセル前)があります。彼女の言うように、北の問題が解決すれば、米国と中国が南シナ海でホットウオーになるかどうか分かりませんが、今の南シナ海の状況が良い訳がありません。国際法違反の現状変更です。力による侵略は力によって抑えるしかありません。禁輸、海上封鎖、金融制裁等経済力を使うか、武力行使するかです。人権弾圧する共産主義国は無くなり、生まれ変わってほしいと願っています。

記事

南シナ海上空を監視飛行する中国の爆撃機H-6K(写真:新華社/アフロ)

米中通商協議で貿易戦争を暫定的に回避する合意が出た。この駆け引きの内幕に関する情報がそこはかとなく出てくるには、おそらくあと数日必要だろう。だが、その裏側で行われている様々な米中の駆け引きが影響を与えていることは間違いないと思われる。例えば6月に予定されている米朝首脳会談であり、もう一つ考えうるのは南シナ海情勢である。最近、南シナ海界隈で中国の動きが騒がしい。この機会に整理しておこう。

南シナ海の島嶼の中国による実効支配が進んでいることはすでに何度もこのコラム欄で紹介してきた。これはオバマ政権下での痛恨の外交ミスともいえる。このしりぬぐいを任されている米トランプ政権だが、目下の関心は、中東と朝鮮半島に集中しているように見えて、実は南シナ海情勢については4月以降、急激に温度が上昇している。

最近注目されたニュースは南シナ海の人工島に、中国解放軍初の爆撃機離発着訓練が行われたことだろう。中国国防部が5月18日に発表した。訓練を行ったのは中距離ミサイルや核搭載が可能な轟6K(H-6K)爆撃機。具体的な場所は不明だが、米軍事専門誌によればパラセル(西沙)諸島のウッディー島(永興島)だと見られている。この島はベトナムと台湾が領有権を主張している。

中国国防部の発表によれば、「この訓練によって全辺境へいかなるタイミングの、全方位的な攻撃能力を向上できた」としており、「西太平洋進出をひかえ、南シナ海をめぐる戦いに向け、研ぎ澄ませた剣を掲げ、新たな航路を常に切り開く」と南シナ海で戦争を仮定した訓練であることも隠していない。さらに、この訓練について「宇宙と一体化した攻防を兼ね備えた戦略目標に着眼し、空軍が全辺境作戦の現代化戦略性に向かって前進するもの」と位置づけている。

爆撃機の所属先は発表では南方の某基地としか記されていないが、郝建科という師団長の名前とH-6K配備の空軍師団という条件を考えると、北部戦区の西安基地を拠点とする中国空軍第36爆撃機師団(空36師団)でほぼ間違いないと見られている。空36師は原爆・水爆投下試験任務を2017年までに完遂しており、習近平政権においては重点建設部隊として注目されている。

また自主開発爆撃機H-6Kは2011年の試験飛行を経て実戦配備が始まったばかりだが、すでに100機以上が製造・配備されていると報道されており、習近平政権下の軍事戦略において非常に重視されていることがうかがえる。台湾メディアによれば、東シナ海や宮古海峡あたりにしばしば飛んでくる爆撃機も空36師のH-6Kらしい。今回は単発の訓練ではなく、事実上のH-6K配備と考えるのが普通だろう。爆撃訓練も行われた、と一部で報じられている。

この訓練発表が発信するメッセージは結構重要だ。一つは「南シナ海の実効支配は中国が握っており、すでに軍事拠点化も既成事実化している」という現実を見せつけている。環礁を埋め立てた人工島に突貫工事で作った滑走路は軍事利用に耐えられないのではないか、という多くの人たちの希望的観測を裏切って「人工島に作られた滑走路は爆撃機の離発着に利用できる強度がある」ということも示された。さらに「南シナ海を拠点にすればH-6Kは全アジアを作戦空域に入れることができる」「南シナ海の軍事拠点化の目的が西太平洋に打ってでることであり、そのための南シナ海をめぐる作戦を想定している」といった含みもある。

H-6Kの能力について、私自身は専門家ではないので正確に評価できないのだが、この爆撃機が実戦配備された当初、ロシアの軍事専門家ワシリー・カシンは「飛行距離は8000キロ、さらに射程距離2000-2500キロの巡航ミサイルCJ-10Kの搭載も可能であり、いままでグアムを含む第二列島戦までとされていた攻撃範囲がハワイより先に広がる」「10年たってH-6Kの配備が増えた場合、アジアにおけるパワーバランスが中国有利に傾く」と分析していた。

米国に対して挑発を繰り返す理由

そう考えると、この訓練は米国に対してのかなりきわどい挑発、あるいは牽制だともいえる。では、なぜ今、南シナ海で中国はこうした派手なパフォーマンスを伴って米国を刺激しているのか。単に米海軍の「航行の自由作戦」に対する牽制、というだけなのか。

この爆撃機訓練だけでない。その翌々日には、中国海警船と海軍艦艇がパラセル諸島海域で合同パトロールを行ったことも発表された。公式発表ではないが、5月上旬、南シナ海の七つの人工島のうちにファイアリークロス礁、スービ礁、ミスチーフ礁に地対艦ミサイル、地対空ミサイルを配備したと米国の情報機関をソースとしてCNNが報じている。このときは中国外務省としては事実確認を避けていた。4月12日には南シナ海で空母「遼寧」を含む48艦艇と戦闘機76機、将兵1万人を動員した建国以来最大規模の海上閲兵式が行われた。海軍迷彩軍服に身を包んだ習近平がミサイル駆逐艦「長沙」に乗船し閲兵。海軍の増強を訴えた。

トランプ政権誕生後しばらくは、中国側も南シナ海の人工島における軍事拠点化については、あまり刺激しないように気を付けていた。半島問題で中国が米国に協力的である代わりに南シナ海問題を一旦棚上げする水面下の約束があったのではないか、という説も流れた。だが中国は今年4月半ばごろから南シナ海における軍事的プレゼンスを見せつけるような動きに出ている。

背景として考えられるのは、一つは経済力と軍事的脅威を武器に、着々と囲い込んできたASEAN諸国の対中感情に4月になって変化の兆しが見えてきたことがある。たとえば、マレーシアにはアンチ中国のマハティール政権が誕生した。マレーシアは2004年以降のナジブ長期政権下でアジア最大の中国の投資先となっている。特に一帯一路戦略関連だけでもマレーシア・シンガポール高速鉄道計画や東海岸鉄道計画など40以上のプロジェクトを受け入れており、その額は1350億ドル、マレーシアのGDPが3100億ドルであると考えれば経済が乗っ取られかけているといっても過言ではない。

中国は東南アジアの国々にその国の経済規模に見合わない大規模融資を行ってインフラ建設を行い、その融資が返済不能に陥ると、現物を差し押さえるという「悪徳金融」さながらの手法で、要衝地に軍事利用可能な港や土地を獲得してきた。パキスタンのグワダル港やスリランカのハンバントタ港の借地権・運営権の取得手法がいい例だろう。マレーシアもナジブ政権下では、そうなりかねない状況だった。

そういう状況で、92歳のマハティールが選挙によって首相に返り咲いたのは、中国への経済依存脱却を公約として掲げたからだ。ナジブ政権はチャイナ・マネーまみれで腐敗しており、有権者から愛想をつかされていたのは事実だが、その巨額のチャイナ・マネーをバックにした与党を破ることは、アジア的金満選挙においてはかなり難しい。マハティール率いる野党が勝ったということは、有権者の反中感情が相当強い、ということでもある。また、中国と直接領有権問題を抱えているフィリピンもながらく大統領のドゥテルテが開き直るように中国マネーに期待し中国へのすり寄りぶりを隠さなかったが今年4月末、中国系ロビー団体が建てたマニラ市内の慰安婦像を撤去させた。これはドゥテルテがささやかながら中国への抵抗の意を示した、と言う風にもみえる。

ASEAN全体に高まる中国への抵抗姿勢

4月のシンガポールでのASEAN首脳会議では昨年11月の議長声明では盛り込めなかった南シナ海問題への「懸念」の言葉が復活した。中国を名指しすることは避けたものの、ASEANなりに頑張って中国を牽制しようとている。南シナ海問題は当事国およびASEANを丸め込むことでコントロールできるとタカをくくっていた中国だが、押さえ込んでいたはずのASEAN全体に中国への抵抗姿勢が復活しそうな気配なのだ。

そういえばベトナムも、ロシアの石油会社ロスネフチのベトナム部門が南シナ海で石油掘削を始めることを認めている。3月にこの鉱区に隣接する海域でスペインのエネルギー会社レプソルが掘削を始めようとしたときは、中国の抗議でベトナム政府は掘削の許可を取り消した。スペイン企業に石油掘削を認めず、ロシア企業に認めるのは、もちろんロシアという国自身の国力、強さがあるだろうが、やはりベトナムが3月の時点より今の方が中国に対して強気になっているのではないか。

背景に米中駆け引きでの劣勢?

もう一つの背景は、やはり米国との通商協議、半島問題、台湾問題での駆け引きで、中国がかなり劣勢に立たされているのではないか、ということだ。二回目の米中通商協議では貿易戦争の暫定的な回避を含む合意が発表されたものの、その合意の中には米国が中国に突き付けた2000億ドルの貿易黒字削減ノルマや中国通信端末大手のZTEへの7年間の米国製チップ禁輸措置など具体的な部分への言及は避けられている。

ムニューチン財務長官は「一旦保留」といっており、問題解決とはいっていない。単に米国経済への悪影響を避けるため、というものではなく、おそらくは来る6月の米朝首脳会談における中国の役割が米国にとって協力的であることを期待しての保留ではないか。そうなってくると、中国は唯一の同盟国・北朝鮮を説得するか、裏切るか、という難しい状況に直面することになる。

また、米国が台湾旅行法を可決し、米国在台協会(米大使館に相当)新庁舎の落成式にトランプ政権から誰が出席するか、という問題もある。台湾旅行法の可決自体が、中国にとっては当初は宣戦布告に相当する米国からの挑発であるうえ、新庁舎の落成式にドラゴンスレイヤーこと大統領補佐官ボルトンを派遣するとかしないとかという情報も流れた。4月の海上大閲兵式は台湾旅行法可決に対する牽制が目的だったとみられる。

ちなみに、落成式を6月12日の米朝首脳会談と同日にしたのは、ボルトンの派遣はない、というメッセージを込めた中国側への配慮ではなかったか。米朝首脳会談と同日であれば、落成式へのメディアの注目度、ニュースバリューは薄れる。もっとも中国としては年明けから一気に進んだ米台関係の深化に気が気ではないはずである。

こういう国際情勢と突き合わせて考えると、中国の南シナ海の軍事プレゼンスアピールは、ASEANに対する牽制、台湾に対する牽制、航行の自由作戦に対する牽制と同時に、多極的な米中駆け引きで劣勢に立たされている状況を、国内の人民や国際社会に悟らせないための関心の分散を狙ったものではないか、という気もする。もし、米国とのこれら駆け引きでの失点を負わされた習近平政権の求心力が揺らいだとき、南シナ海でのプチ紛争によって国内世論や軍内、党内の不満不平批判を外に向けることもできそうだ。

南シナ海がすでに中国の実効支配地域であり軍事基地群が形成されているという現状は、はっきり言って米国が軍事力を行使する以外は変えようがない段階にきている。だが、米国マッドマンのトランプも中国と直接軍事対決を選択するはずがない、と習近平は思っているだろう。だからこそ、南シナ海の戦争をちらつかせることができるのだ。だが、戦争とは、こうした危険な挑発や牽制を繰り返しているうちに、偶発的に起こることもある。半島問題、そして貿易戦争が一段落つけば、次は本当に南シナ海のホットウォーが起こりうるかもしれない。

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『米朝首脳会談中止通告、「最後通牒」で投降促す 即刻非核化か、空爆かの2択迫ったトランプ』(5/25日経ビジネスオンライン 鈴置高史)、『米朝会談ぶち壊し? 強硬派ボルトンの面目躍如 6月12日の「シンガポール会談」は無期延期か』(5/25日経ビジネスオンライン 高濱賛)について

5/24中央日報<「文大統領の言葉は通訳する必要ない」…トランプの外交非礼に青瓦台の立場は?>もうこの時には米朝首脳会談はキャンセルすることが決まっていて、北の手先の文の言うことを聞いても仕方がないとトランプは思ったのでは。普通は握手の時には相手の顔を見るものですが、トランプは横を向いています。如何に文を嫌っているかです。

http://japanese.joins.com/article/667/241667.html

5/25阿波羅網<為何破局?美媒評白宮取消“川金會”=何故破局になったか 米国メデイアはWHが米朝首脳会議を取消したことを論評>WSJは非核化の定義が両者で違い、米国は最初に核廃棄、後に制裁解除、北は段階的核廃棄で最初に制裁解除と。(NYT、WP、CNNは日本メデイアの報道通り)。

http://www.aboluowang.com/2018/0525/1119276.html

5/25ロイター<焦点:米朝は「危機モード」に逆戻りか、首脳会談中止で>

https://jp.reuters.com/article/summit-cancel-analysis-idJPKCN1IQ0C4

5/25BBCニュース<トランプ氏、いざとなれば「世界最強」米軍の準備はできている>

http://www.bbc.com/japanese/video-44248882

記事が長いのでコメントは短くします。鈴置氏の記事でトランプが言った「我々のそれはとてつもなく巨大で強力だ。私はそれが使われないことを神に祈っている」というのは、戦争になれば核を使う可能性があり、それはバンカーバスターの小型戦術核のB61-11のことと思われます。時間稼ぎは許さないというスタンスだと思います。

高濱氏の記事では、やはり北の裏には中国が関与していたかと。米国の一極覇権の打破に北を利用しているのでは。北部戦区(旧瀋陽軍区)と習が不仲と言うのはデイスインフォメーションなのでは。

総じて戦争の危険が高まったと思います。日本は在韓邦人と拉致被害者救出の手立てを考えておかないと。かつ日本にいる人はミサイル飛来とテロについても普段から考えておかないとイザと言う時に体が動きません。少なくとも脳で瞬時に判断できるよう、避難場所を探せるようにしておかないと。

鈴置記事

米朝首脳会談に向けて記念硬貨も作られたが……(写真:UPI/アフロ)

前回から読む)

トランプ(Donald Trump)大統領が金正恩(キム・ジョンウン)委員長に対し、6月12日にシンガポールで開催予定だった米朝首脳会談の中止を書簡で通告した。

核を使わないよう神に祈る

鈴置:ホワイトハウスは米東部時間5月24日午前10時前(日本時間同日午後11時前)、ツイッターで書簡を発表しました。

中止の理由についてトランプ大統領は「残念なことであるが、激しい怒りとあからさまな敵意を表明したあなた方の直近の声明により、長期間、計画されたこの会談を現時点で開くのは適切ではないと感じている」と書きました。

・Sadly, based on the tremendous anger and open hostility displayed in your most recent statement, I feel it is inappropriate, at this time, to have this long-planned meeting.

さらに「あなたは自身の核戦力に関し語るが、我々のそれはとてつもなく巨大で強力だ。私はそれが使われないことを神に祈っている」と脅しました。

・You talk about your nuclear capabilities, but ours are so massive and powerful that I pray to God they will never have to be used.

無知蒙昧なペンス

—北朝鮮の「直近の声明」とは?

鈴置:崔善姫(チェ・ソニ)外務次官の声明を指します。ポイントを朝鮮中央通信の「米副大統領の対朝鮮強迫性発言を非難 朝鮮外務次官」(5月24日、日本語版)から引用します。

・21日、米副大統領のペンスはFOXニュースとのインタビューで、北朝鮮がリビアの轍を踏みうるだの、北朝鮮に対する軍事的選択案は排除されたことがないだの、米国が求めるのは完全かつ検証可能で、不可逆的な非核化だの、何のと出まかせにしゃべってせん越に振る舞った。
・対米活動担当の私としては、米副大統領の口からこのような無知蒙昧(むちもうまい)な言葉が出たことに驚きを禁じ得ない。

北朝鮮は完全かつ即時の非核化を主張するボルトン(John Bolton)大統領補佐官(国家安全保障担当)を「政権から外せ」などと集中攻撃してきました(「トランプと会うのが怖くなった金正恩」参照)。

さらにFOXとのインタビューで完全な非核化を主張したペンス(Mike Pence)副大統領を攻撃対象に加えたのです。

FOXとのインタビュー5月17日にトランプ大統領が「2011年に殲滅した(decimate)したカダフィ大佐が率いるリビア」を例に挙げて北朝鮮を脅しました(「トランプと会うのが怖くなった金正恩」参照)。

ペンス副大統領も「2011年のリビア」に触れたのが、金正恩委員長のカンによほど触ったと思われます。崔善姫次官の談話は核戦争まで言及しています。

・ペンスは自分の相手が誰なのかをはっきり知らずに無分別な脅迫性発言をする前に、その言葉が招く恐ろしい結果について熟考すべきであった。
・米国がわれわれと会談場で会うか、でなければ核対核の対決場で会うかどうかは全的に、米国の決心と行動いかんにかかっている。

2018年のハル・ノート

—だからトランプ大統領が「核ならこちらの方が強力だぞ」と言ったのですね。

鈴置:その通りです。北朝鮮が「完全な非核化を要求するなら核戦争も辞さない」と言い出した。それに対し、米国は「核戦争だって受けて立つ」と答えたのです。

ただ、脅す一方ではありません。書簡では「心変わりしたら電話か手紙をくれ」と、対話に含みを残しています。以下です。

・If you change your mind having to do with this most important summit, please do not hesitate to call me or write.

そして「この素晴らしい機会を逃したのは、歴史的に深く悲しむべき瞬間だ」と結んでいます。結局は「お前が状況を悪化させたのだ。どうなっても知らないぞ」との最後通牒なのですが。

・The world, and North Korea in particular, has lost a great opportunity for lasting peace and great prosperity and wealth. This missed opportunity is a truly sad moment in history.

1941年11月26日に米国が日本に手渡した「ハル・ノート」を思い出します。「日本は中国やインドシナから軍と警察を全て引け。そうしたら経済制裁をやめる」と米国は通告しました。

米国は「ハル・ノート」を日本が受け入れればよし、受け入れなければ力でねじ伏せればよし、と考えたのです。

リビアの轍は踏まない

もちろん北朝鮮も米国のそうした腹は分かっている。そこで崔善姫次官の談話でも「戦争になってもやられる一方ではない。リビアと異なりこっちは核武装したのだからな」と肩を怒らせたのです。

・核保有国であるわが国家をせいぜいわずかの設備を設けていじくっていたリビアと比べることだけを見ても、彼がどんなに政治的に愚鈍な間抜けであるのかを推測して余りある。
・ホワイトハウスの国家安保補佐官ボルトンに続いて今回またもや、副大統領のペンスが、われわれがリビアの轍を踏むようになると力説したが、まさにリビアの轍を踏まないためにわれわれは高い代価を払いながらわれわれ自身を守り、朝鮮半島と地域の平和と安全を守ることのできる強力で頼もしい力を培った。

・ところが、この厳然たる現実をいまだに悟れず、われわれを悲劇的な末路を歩んだリビアと比べるのを見れば、米国の高位政客らが朝鮮を知らなくてもあまりにも知らないという思いがする。

体制維持の保証なし

—金正恩委員長はトランプ大統領に「電話する」のでしょうか?

鈴置:それは難しいと思います。「米朝首脳会談、3つのシナリオ」をご覧下さい。今の状態で首脳会談を開くことになれば、トランプ大統領は「リビア方式」――2003年のリビア方式で「完全な非核化の即刻実施」を要求します。

金正恩委員長がこれを飲めば、核の撤去に向けた査察が始まります。シナリオ①です。北朝鮮はある程度の核弾頭とその原材料を隠す作戦でしょうが、米国は徹底的に捜索し、満足するまでは経済援助などの見返りを与えない方針です。

  • 米朝首脳会談、3つのシナリオ
米国、リビア方式での非核化を要求
北朝鮮が受諾 北朝鮮が拒否
①米国などによる核施設への査察開始 ②米朝対話が継続 ③米国、軍事行動ないし経済・軍事的圧迫強化

2度も訪朝して首脳会談に道を開いたポンペオ(Mike Pompeo)国務長官も5月23日、米議会でそう証言しています。VOAの「ポンペオ『米朝会談開催は金正恩による、誤った合意は選択になし』」(5月24日、韓国語版)を引用すると以下です。

・We’re not going to provide economic relief until such time as we have an irreversible set of actions, not words, not commitments, undertaken by the North Korean regime.

それに、シナリオ①を選んでも金正恩体制が永続する保証はありません。トランプ大統領は5月17日、体制の保証を約束しました。しかし約束を守ってくれる保証はどこにもないのです。

金正恩政権は人権蹂躙で悪名をはせています。核を取り上げた後、この政権を倒しても誰からも文句は来ません。「後継政権の後見人は中国とする」と密約を結んでおけば、中国も米国による政権打倒の邪魔はしないでしょう(「トランプと会うのが怖くなった金正恩」参照)。

北の唯一の逃げ道

—では、金正恩委員長の選ぶ道は?

鈴置:もちろん、シナリオ③の空爆・制裁強化は絶対に避けたい。当然、北朝鮮は「時間を稼いで問題先送り」のシナリオ②を狙ってきました。

が、米国側の姿勢が固いことが次第に分かってきた。トランプ大統領もペンス副大統領も、ポンペオ国務長官も、もちろん強硬派のボルトン補佐官も、米国の高官が完全非核化を即刻実施しろと口をそろえているのです。

首脳会談で米国は北朝鮮に①か③――即刻の完全非核化か、空爆かの二者択一を迫ることになります。すると北朝鮮にとれる道は、米朝首脳会談の中止しか残っていないのです。

今回は米国側が首脳会談をキャンセルした。ただ、米国がそう動くよう、北朝鮮が仕向けたように見えます。首脳会談を開いて損をするのは北朝鮮の方なのですから。

それに米国の副大統領をこれだけ罵倒するのは異様です。普段から北朝鮮が外交で使う言葉は世界でも有数の汚さですが、それと比べても突出しています。米国を敢えて怒らせようとした感じがします。

中国を圧迫、制裁強化

—トランプ大統領は金正恩委員長の挑発に乗ってしまった……。

鈴置:ええ、その可能性が高い。でも、米国側も乗せられたふりをして、次の手を繰り出す手はすでしょう。経済制裁を強化したうえ、軍事的圧迫を強めるのは確実です。

事前に徹底的に脅し上げてこそ、首脳会談の場で完全に屈服させることができるのです。米国にとって、首脳会談の開催が少々遅れても、1発で屈服させた方がいいに決まっています。

ホワイトハウスのサイトによると、トランプ大統領は5月22日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領との会談前に、記者らに以下のように語っています。

https://www.whitehouse.gov/briefings-statements/remarks-president-trump-president-moon-republic-korea-bilateral-meeting-2/

・Every time I talk to China about trade, I’m thinking about the border. Because that border is a very important element in what we’re doing.
・when I think of trade with China, I’m also thinking about what they’re doing to help us with peace with North Korea. That’s a very important element. .

「中国と貿易に関し対話する時も私は(中朝の)国境を意識している」「それが北朝鮮との平和構築の助けとなる」――つまり、対北経済制裁を中国が実施し、あるいは今後強化することを念頭に置いて中国との経済交渉にあたっている、と明言したのです。

化学兵器で暗殺未遂?

—軍事的な圧迫とは?

鈴置:複数の米空母が朝鮮半島周辺に出没するかもしれません。関係者によると、4隻程度は今すぐに展開できる体制になっているそうです。

F22も、空軍演習「マックス・サンダー(Max Thunder)」を名目に8機も韓国に送り済みです。F22はステルス機で、金正恩暗殺用とも見られています。

2017年半ばまでは「金正恩委員長の居所がなかなか分からず、空爆による暗殺は難しい」との見方が専門家の間でも一般的でした。

しかし、2018年春頃から「居所は24時間捕捉している」との情報が流れています。これが本当かは分かりません。しかしご本人の耳に入れば、不安に陥るのは確実です。

北朝鮮内部からの情報によると、2017年12月に金正恩委員長の暗殺事件が発覚、6人が処刑されたそうです。

暗殺未遂事件の噂はしばしば語られます。ただこの時は化学兵器を使ったものだったそうで北朝鮮の軍、あるいは外国の軍事組織の存在を感じさせました。

暗殺論者を交渉役に

—米国が暗殺を敢行すると?

鈴置:それは分かりません。しかしポンペオ国務長官はCIA長官だった2017年7月20日に「金正恩暗殺」を公然と語った人です(「金正恩すげ替え論」を語り始めた米国)。

トランプ大統領というか、米国という国はなかなかです。「暗殺発言」の10カ月後には、その提唱者を北朝鮮に送り、金正恩委員長と交渉させたのですから。

完全な非核化から逃げ回るなら「別の手もあるぞ」との脅し――。そんな圧迫感を今、金正恩氏が感じていないはずがありません。

我々はいつでも対話する

さっそく5月25日早朝、朝鮮中央通信が金桂官(キム・ゲグァン)第1外務次官の談話を報じました。「そんなに怒らなくてもいいじゃないか。会談を開こう」と、とりあえずは白旗を掲げて見せたのです。

「朝鮮外務省第1次官が談話を発表」(5月25日、日本語版)から肝心な部分を引用します。

・歴史的な朝米首脳の対面について言うなら、われわれはトランプ大統領が過去のどの大統領も下せなかった勇断を下して首脳の対面という重大な出来事をもたらすために努力したことについて依然として心のうちで高く評価してきた。

・われわれの(金正恩)国務委員長も、トランプ大統領と会えば良いスタートを切ることができると述べて、そのための準備に努力の限りを尽くしてきた。

・朝鮮半島と人類の平和と安定のために全力を尽くそうとするわれわれの目標と意志には変わりがなく、われわれはつねにおおらかに開かれた心で米国側にタイムとチャンスを与える用意がある。

・われわれは、いつでもいかなる方式でも対座して問題を解決していく用意があるということを米国側に再び明らかにする。

  • 北朝鮮の非核化を巡る動き(2018年)
1月1日 金正恩「平昌五輪に参加する」
1月4日 米韓、合同軍事演習の延期決定
2月8日 北朝鮮、建軍節の軍事パレード
2月9日 北朝鮮、平昌五輪に選手団派遣
3月5日 韓国、南北首脳会談開催を発表
3月8日 トランプ、米朝首脳会談を受諾
3月25―28日 金正恩訪中、習近平と会談
4月1日頃 ポンペオ訪朝、金正恩と会談
4月17―18日 日米首脳会談
4月21日 北朝鮮、核・ミサイル実験の中断と核実験場廃棄を表明
4月27日 南北首脳会談
5月4日 日中と中韓で首脳の電話協議
5月7-8日 金正恩、大連で習近平と会談
5月8日 米中首脳、電話協議
トランプ、イラン核合意から離脱を表明
5月9日 ポンペオ訪朝、抑留中の3人の米国人を連れ戻す
日中韓首脳会談
米韓首脳、電話協議
5月10日 日米首脳、電話協議
5月16日 北朝鮮、開催当日になって南北閣僚級会談の中止を通告
5月16日 北朝鮮、「一方的に核廃棄要求なら朝米首脳会談を再考」との談話を発表
5月20日 米韓首脳、電話協議(米東部時間では5月19日)
5月22日 米韓首脳会談
5月24日 北朝鮮、米韓などのメディアの前で核実験場を破壊
5月24日 トランプ、金正恩に首脳会談中止を書簡で通告
6月8-9日 G7首脳会議、カナダで
6月12日 史上初の米朝首脳会談→中止

(次回に続く)

高濱記事

米韓首脳会談に臨む文在寅・韓国大統領(左)とトランプ米大統領。右後方にボルトン補佐官の姿が見える (写真:ユニフォトプレス)

—米朝首脳会談を3週間後に控えるタイミングで、米韓首脳会談が行なわれました。これを米国はどう見ていますか。

高濱:米国は「ドナルド・トランプは文在寅(ムン・ジェイン)の口車に乗せられていた。文在寅は金正恩(キム・ジョンウン)の非核化発言を過大に評価し、トランプに伝えた。金正恩は完全な核放棄など考えていなかった」と冷たい反応を示しています。

CNNの記者は「Moon oversold Pyongyang’s promises」(文在寅はピョンヤンとの約束事を針小棒大に売りつけようとした)と書きなぐっています。

“Trump casts doubt on June summit with Kim,”Kevin Liptak, CNN, 5/22/2018)
“Trump Casts Doubt on North Korea Summit in Meeting with Moon, “Jennifer Epstein, Bloomberg, 5/23/2018)

トランプは「文在寅の一人相撲」に辟易?

トランプ大統領は今、新たな動きがあったロシアゲート捜査のほか、イラン核問題、米中経済摩擦など内外で懸案だらけ。「文在寅の一人相撲」とばかり付き合っている暇はありません。

もっとも、文大統領が「米国が主張する『完全で検証可能かつ後戻りできない核の放棄」(Complete, Verifiable, Irreversible Dismantlement=CVID)』を北朝鮮が受け入れました」という「朗報」を持ってきてくれれば、飛び上がって喜んだでしょうが……。結局「朗報」はなし。

トランプ大統領は元々、「リベラル派で親北朝鮮が見え隠れする文大統領があまり好きではない」(ホワイトハウス担当の米ベテランジャーナリスト)とされている。今回の文大統領への応対も「安倍晋三首相への対応とは雲泥の差」(同)だったらしい。

—「文大統領の口車に乗せられた」と言いますけど、金委員長自身の意向はどうなのでしょう。米朝首脳会談を提案した時、「非核化」についてその気がないのにウソを言っていたのか。あるいは、それから数週間たって「心変わり」したのか。

高濱:金委員長が非核化を真剣に考えている、という話を持ってきたのは、文大統領とその周りの容北朝鮮派のブレーンたちです。

3月5日に金委員長に会った韓国大統領府の鄭義溶(チョン・ウィヨン) 国家安全保障室長らが、同委員長から聞いた話をトランプ大統領に伝えた。その後、文大統領自らトランプ大統領に電話しました。「金正恩は『米国が(金)体制(の存続)を保証すれば、我々はなぜ苦労して核を持とうとするのか(持とうとはしない)』と言っている」

金桂冠談話はボルトンを3回名指して攻撃

—ポンペオ国務長官の訪朝から1週間たった5月9日、北朝鮮に変化が出てきたのですね。

高濱:これまで対米交渉を長く担当してきた金桂冠第一外務次官が談話を発表しました。「米国が核の放棄を一方的に強要するなら、金委員長は米朝首脳会談について再考せざるをえない」

おまけにこうなった直接の原因はジョン・ボルトン国家安全保障担当大統領補佐官の発言にあると、同補佐官の名前を3回挙げて激しく攻撃したのです。

金桂冠第一外務次官はタイトルこそ準閣僚ですが、米国務省筋によれば、実際には外務大臣より上の最実力者。いわば金委員長の「懐刀」です。「金桂冠は、金委員長にとっては、トランプ大統領にとってのボルトン補佐官にも匹敵する人物」(米国務省関係者)と言われています。

それだけに金桂冠談話のインパクトは大きかったといえます。この談話の中身を聞いたトランプ大統領は激高したそうです。

北朝鮮は、この談話の公表と前後して、すでに始まっている米韓合同演習にB52戦略爆撃機*が参加していると指摘して「米朝首脳会談再考」の理由に付け加えました。返す刀で、せっかく仲良しになった韓国との間で予定していた南北朝鮮閣僚会議をドタキャンしました。

*:B52は核兵器が搭載可能な戦略爆撃機。実際には、合同演習に参加しておらず、韓国空域(韓国防空識別圏)には入っていない。

トランプ氏は会談冒頭、米朝首脳会談延期を強く示唆

—6月12日に予定されている米朝首脳会談の延期はどんな形で公表されたのですか。文大統領との会談を終えてからですか。

高濱:トランプ大統領は文大統領との会談の冒頭、写真撮影のために記者団を執務室に入れました。その席上、文大統領との会談が始まる前にこう切り出したのです。

「(6月12日に予定されている米朝首脳会談が)実現しない確たる見通しがある。6月12日に開かれないからと言って、今後、一定の期間内に開かれないという意味ではない。6月12日に開かれなくとも、そのあとに開かれるかもしれない。別の時期に開かれるかもしれない。それについて話し合いを続けている」

 “Trump casts doubt on june summit with Kim,” Kevin Liptak, CNN, 5/22/2018)

隣に座っている文大統領は苦虫を噛みつぶしたような顔をしていました。

実は、トランプ・文両首脳同士の一対一の会談に先立ち、文大統領はポンペオ国務長官やボルトン大統領補佐官らと会談しました。

感情の起伏が激しい外交音痴のトランプ大統領がいたのでは、センシティブな話はできない、といった配慮が米韓ブレーンの間にあったのではないでしょうか(笑い)。

米主要シンクタンクのある上級研究員は、推測を交えながら「前座会談」の内容を筆者にこう「再現」してくれました。

鄭国家安全保障室長は、文大統領に促されて米側にこう説明した。

「金正恩は非核化について『総論賛成』だった。各論は米朝首脳会談で詰めようと考えていた」

「米朝当局者が水面下で交渉を進める最中、ボルトン補佐官の『リビア方式』*適用発言が浮上した。これを知った金正恩は過剰に反応した」

*:ジョージ・W・ブッシュ第43代大統領が2003年、リビアのカダフィ政権に対して保有する核関連機材を即時かつ無条件に廃棄、数カ月の間にテネシー州オークリッジの施設に搬送するよう要求。カダフィ政権はこれを実行した

「金正恩はこう考えた。もしここでトランプの提案(「リビア方式」)を受け入れれば、自分もカダフィのように葬り去られるのではないだろうか。核を放棄したら米国は金王朝を崩壊させるに違いない」

「ならば、どうしたらいいか。金正恩は中国の習近平に泣きついた。習近平は、トランプが考えを変えないのであれば、米朝首脳会談をやっても何の意味もない。止めてしまえと答えた」

ボルトンは今やホワイトハウスの「ストレンジラブ博士」

—ボルトン補佐官は何と反論したのでしょうか。

高濱:ボルトン補佐官は前述の金桂冠談話で、3回も名指しされ、激しく批判されています。同補佐官は筋金入りの反共主義者です。これまでにも金王朝を崩壊させると主張していました。イラク侵攻政策を推進したネオコン(新保守主義者)です。北朝鮮の金桂冠第一外務次官とは十年来の「宿敵」です。

米朝関係を長年フォローしてきた主要シンクタンクの研究員は筆者にこう解説してくれました。「ボルトンはこの春に補佐官になって以降、国家安全保障会議のスタッフを総入れ替えしてボルトン色に塗り替え、強硬派であることを誇示してきた。対北朝鮮政策はボルトンが完全に牛耳っている。金正恩にしてみれば、文大統領をうまく使ってトランプ大統領を交渉の場に引っ張り出そうとした矢先に、天敵ボルトンが現れて米朝首脳会談をぶち壊した、と映っているはずだ」

米ワシントン・ポストのコラムニスト、リチャード・コーヘン氏はボルトン補佐官を「新しいストレンジラブ博士だ」と皮肉っぽく評してしています。「ボルトンは、1963年に公開された風刺劇映画に出てくる主人公ストレンジラブ博士*を彷彿させる。緊急事態にも動じることなく、笑みを浮かべながら持論を披露するところなどそっくりだ。ストレンジラブ博士のように偶発的に核戦争を誘発することがないように祈るだけだ」

“Bolton is the new Dr. Strangelove,” Richard Cohen, Washington Post, 5/21/2018)

*:1963年に公開された英米合作の風刺映画、「Dr. Strangelove or: How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb」(邦題『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったのか』)に登場する狂ったドイツ人科学者。無能な大統領をそそのかし、偶発核戦争を起こす

米軍、横須賀にイージス艦をすでに追加配備

—トランプ大統領は今後、北朝鮮にどう対応するつもりでしょうか。

高濱:金委員長が「リビア方式」(あるいはそれに近い方式)をのまない限り、トランプ大統領は米朝首脳会談をやらないでしょう。

また米国が、北朝鮮の背後にいる中国の動きを警戒していることは確かです。トランプ大統領は22日、記者団に対して「金正恩が変わったのは訪中してからだ」と不快感を示しました。

文大統領は帰国後、新しく設置したホットラインを使ってトランプ大統領との会談内容を金委員長に「報告」するでしょう。金委員長がどんな反応を示すのか。「金桂冠談話」第2弾が出てくるのか。

トランプ大統領の方は、対北朝鮮への経済制裁をさらに徹底するとともに、軍事的圧力も強めていく構えです。5月22日には米海軍のイージス駆逐艦「ミリアス」が横須賀基地に追加配備されました。北朝鮮からのミサイルに対抗する弾道ミサイル防衛(BMD)がより強化されることになります。「ミリアス」には低空で飛来する巡航ミサイルを迎撃できる新型ミサイル「SM6」が搭載されています。

“U.S. bolsters Asia ballistic missile defense as Trump-Kim summit nears,”Tim Kelly, Reuters, 5/22/2018)

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『中国「一人っ子政策」が招いた親と子の苛酷な現実』(5/22ダイヤモンドオンライン 王青)について

5/23Facebookから取ったもの。

https://www.facebook.com/jiluzg.2.0/videos/252292645317802/

「国家曾多次强调要文明执法.严格执法.……!但看了这段视频让人心寒.让人意冷!在广大人民群众没有一点反抗.、抵制执法人员行政执法的同时,执法人员还憑什么这样对待?是谁给你的傲慢与权利?是谁让你这样蛮横无理?又是谁让你这样肆无忌惮?

身为执法人员就应该知法.懂法.严格.文明执法,而不是这样光明正大的损害国家形象.党的形象与你们在广大人民心中的形象!

有问题就去协商.解决问题,这样的行为只能加剧事态的严重化.人民与党的隔离化.矛盾化……!

让国无颜. 让党蒙羞.让群众心寒!

—— 河南省淮阳县新站镇徐庄大队敬老院强拆记!

国家はかつて何度も文明的かつ厳格に法を執行しなければならないと強調してきた。ただこの動画を見れば人の心を寒からしめ、人の気持ちを冷たくする。膨大な数の群衆は少しも反抗せず、法執行する役人に抵抗しないが、法執行役人はなぜこのようにとりつかれた様に対処するのだろうか?誰が彼らに傲慢さと権利を与えたのか?誰が彼らにこのような専横を許すのか?また誰が彼らにこのようにほしいままにふるまわせるのか?

法執行役人は法を知り、法を理解し、厳格かつ文明的に法を執行し、この通りにしなければ公明正大な国家イメージや党のイメージ、人民の心の中のイメージを損ねる。問題があればすぐ協議して解決すべきなのに、このような行動こそ事態の重大さを激化させ、人民と党の距離を遠ざけ、矛盾化する……!

国には面子がなくなり、党に恥をかかせ、群衆の心を寒からしめる!

—— 河南省淮陽県新站鎮の徐村大隊は養老院を強制解体する!」

5/22中国禁聞網<習近平要棄俄保美? 日媒:「朝鮮牌」效力難持久=習近平はロシアを棄て、アメリカと関係を保つ 日本メデイア:「朝鮮カード」の効力をずっと維持するのは難しい>米中貿易戦争停戦は、日本メデイアによれば朝鮮カードによると。但し長くは持たんだろう、というのは、トランプは朝鮮との開戦の持ち札がある。米国は将来中国に500~600億$のエネルギーを輸出したいと考えているが不確実である。リンジーグラハム共和党議員はFOXに「トランプは1期目の任期の内に北の核の脅威をなくしたいと思っている。北は核放棄を約束したが、実際は裏で核兵器を造って来た。過去30年はこの繰り返し。2020年までどうしても終わらせなければならない。もし、金正恩が首脳会談に参加しなければ、その時点で外交は終わる。もし、参加するならトランプ大統領を騙そうとするかもしれない。この意味するところは残っているのは戦争の道だけである。トランプは、弄ばれるのは受け入れられない。もし金がトランプをおもちゃにしようとするなら、或は値切り交渉をしようとするなら、或は時間稼ぎをしようとするなら、必ずや軍事衝突が起きる。これは彼の1期目の任期内に起こる」と。中国に対し「北は少ない代価で多くを得ようと考えている。中国の考えややり方は米国と対立しているが、何の効果も齎さないだろう」と警告した。

もし中国が米国からエネルギーを買えば、建設中の中露の石油・ガス輸送管のため中国はロシアに250億$貸付しているが、廃棄となれば廃棄損は膨大になるし、ロシアとの関係も悪化する。それで習は米国との交渉を延ばそうとしている。まあ、独裁者・習は米中の間に挟まれて苦悶するのが良いでしょう。

https://www.bannedbook.org/bnews/zh-tw/topimagenews/20180522/945945.html

王青氏の記事を読んで、「騙す方が賢くて、騙される方が馬鹿」という民族が一人っ子の介護問題の解決をどう図るのか考えて見ました。一番手っ取り早いのは、日本に来て、法の網の抜け穴を利用して、いろいろ給付を受けることです。国民健保に入ったことにして、高額療養を受け、出産一時金まで中国にいる人間に払うとは。いい加減厚労省の役人と政治家は早く動けと言いたい。

相手は反日教育を長く続けて来ました。反日有理、反日無罪と思っている洗脳が解けないかぼちゃ頭の連中が大半です。「日本だったら何をしても許される」というのが誰しも心の奥底に持っています。不合理の極みですが。彼らは科学する心を持たず、共産党の命令に唯々諾々と従うだけですから。

日本の介護業者も中国へ行けば失敗すると思います。何故なら、バブル崩壊が起きる可能性があるからです。このまま米中が貿易戦争を突き進めば、米国は金融制裁に踏み込むと思います。小生の願望も大分入っていますが。ただ、普通に考えれば、米国の覇権に挑戦している中国に対し拱手傍観することはないでしょう。相手はオバマでなく、トランプですから。$決済ができなくなれば、中国の貿易は急激に減少、それが引き金になってバブル崩壊に繋がるのではとの見立てです。

米国の貿易赤字2000億$削減要求は対華21ケ条要求と同じく、中国人にとって屈辱的との思いのようですが、金融制裁の爆発力について中国人は想像ができないようです。これは経済面における核兵器です。それ以上かもしれません。イラン制裁への連座を避けるため仏・トタルは石油開発をキャンセルしました。金融覇権($基軸だけでなく、SWIFTやFATCAも)を握っている米国には逆らえないのです。中国は身の程を弁えず、虎の尾を踏んだという事です。ただ今まで米国要人に嗅がした鼻薬や貢いだ女の影響もあり、揺り戻そうとする勢力は現れるでしょうけど。

記事

「中国全国撮影コンテスト」で賞を取り、中国のメディアやSNSで話題になっている河北省の張審軍さんの作品

中国政府は長年「一人っ子」政策を続けていたが、その結果、親の介護などの問題に直面する人が増え、社会問題化している。中国の経済は発展しているが、晩婚化・非婚化、少子高齢化が進展。かつての「一人っ子」政策が原因となって生じている、さまざまな現実を解説する。(日中福祉プランニング代表 王青)

中国全土で話題となった悲劇の「一人っ子」の写真

1枚の写真が中国のSNSで拡散され大きな話題となった。

「第26回中国全国撮影コンテスト」で賞を取った写真で、作品名は「一人っ子」。

一人の若者が両脇の病床にある両親の間に、こちらに背を向けて座っている。どんな表情かは想像するしかないが、その背中からは強烈な孤独と無力感が漂ってくる。多くの人がこの写真を見て衝撃を受けて涙を流したという。

インターネット上では、写真の中の青年は「あなたであり、私であり、丸一世代である」、「胸に突き刺った」などのコメントが綴られた。それはたった一枚の写真にすぎないが、すべての「一人っ子」にとって、“明日の自分”を暗示するような光景だったからだ。

同時に「一人っ子」の親たちにとっては、たった一人の自分の子に「こんな苦労をかけたらどうしようか」と不安にさせるものであった。

一人っ子が恐れることは親が倒れること

中国は36年間「一人っ子」政策を実施した。

現在、中国で高齢者になる世代はほとんどが「一人っ子」の親だ。そして、三十余年前の「一人っ子」も親世代になって、すでに“中年”になった。夫婦の上には4人の親がいて、下には子ども1人という4・2・1の家庭構造となっている。夫婦2人が自分の子供を育てながら、双方の親の面倒を見なければならない。

世代的に中年となった多くの「一人っ子」が、一番恐れているのは親が倒れることだ。兄弟がいないため、すべて一人で背負っていかなければならない。

経済が急速に発展していると同時に社会の競争も増していく中で、職場で厳しい競争を勝ち抜いた中年世代の人々の生活基盤は、実は脆弱である。社会保障制度が整備されていない中で、親が病気になれば生活に大きく影響してしまうからだ。

あるキャリアウーマンは、母親が入院してしばらくしたら、父親も骨折。入院した母親の病院と実家の父親の間を奔走する毎日だった。仕方なく、会社の大事な会議を欠席したり、休みを取得する時期が続いたら、上司から注意を受けた。

結果的に、何年も待っていた昇進のチャンスを逃してしまった。長年、頑張ってきて出世を目指していたが、親の介護によって昇格が泡と消えてしまったことが悔やまれてならなかったという。

中国の夫婦はほとんどが共働きのため、親の介護と仕事の狭間で苦しむ。

誰にも相談できず、一人ですべてを抱え込んでしまう。もし、親だけではなく、自分の子どもにも大きなケガや病気が起きれば、家庭が崩壊しかねない事態に発展してしまうのだ。高額な医療費だけでなく、場合によっては職を失うなどさまざまなリスクが押し寄せてくる。

「わが子はアドレス帳にいる」と嘆いた遠くに暮らす親の悲しみ

先述した通り、親から離れて別の地で働いて生活する「一人っ子」が実家からの電話に出る瞬間、最も恐れることは「親の身に何かがあった」という知らせだ。

なぜなら、帰りたくてもすぐには帰れないからだ。

ある日、ベッドから落ちて立ち上がれなくなってしまった親は、子どもに知らせようと思っても、すぐには帰ってこないことを悟り、「わが子はアドレス帳にいるだけで、そばにはいない」と嘆いた。これは一時中国で流行語となった。「遠い異郷で結婚したことを後悔している」というのは、ある知人女性の言葉である。

一方、「一人っ子」の親たちもつらい思いや経験をしている。

90年代後半、春節を祝う中国版の紅白歌合戦で、「常回家看看」<時々実家に帰ろ>という歌が披露された。この歌は人々の心を動かして、何年も歌い継がれる名曲となった。

故郷にいる親がたくさんの料理を作って、異郷にいる子どもの帰りを待つ心境を表現し、「一人っ子よ、時々親の顔を見に家に帰ろうよ」と歌った。そんな親たちは「留守親」と呼ばれていた。

異郷で子どもと一緒に暮らす「都市老漂流族」の存在

2010年以降、「一人っ子」が結婚し子どもが生まれて家庭を持つようになったら、今度は親が子や孫を恋しがり、住み慣れた故郷を離れ、子どもが住む都会にやってくる。

近年、異郷で子どもと一緒に暮らす親たちを「都市老漂流族」と名付けられている。2016年末の統計では、中国全国でこのように漂流する親の数は1800万人に達している。そのうちの約4割は、子どもの家庭で孫の面倒を見たり、家事手伝いをしているというデータがある。

親たちは、昼間は食材の買い出しや掃除、晩ご飯の準備など家事全般をする上、孫の幼稚園や学校の送り迎えもする。住み慣れてない街での生活は決して楽ではない。一番つらいのは言葉の壁だ。

中国は同じ国内であっても、地域によって言葉がまったく通じないのである。例えば北の人にとっては、上海語などの都市部の言葉はまるで外国語と同じ。ゆえに漂流族の親たちは、地元の同年代の人ともコミュニケーションを取れず、社会に溶け込むことができない。言葉が違ったら、「田舎者」と揶揄されて差別されることも度々だ。

子どもや孫と一緒に暮らしても結局は孤独だ。また、最近は、難病などを患っている親が子どもに迷惑をかけなくないため、自殺するケースが増えているとの報告もある。この報告では、毎年55歳以上の自殺者数が10万人で全体の36%を占めている。

「一人っ子」は、生まれてこの方、ずっと大事に育てられてきた。孤独だが愛情をたっぷりもらう「幸せな幼少期と青年期」を過ごしている。

ところが中年となったら、自分の家族を養うと同時に、親の面倒も見なければならない。親と家族に何かがあったら、すべてを背負っていかなければならない。だから「重圧の中年」と呼ばれている。

高齢化と少子化が進む一方、昔に比べて平均寿命も伸びている。今の中年の「一人っ子」は自分が高齢者となってからも、場合によっては自分の親を介護する必要が出てくる。そうなればまさに「老々介護」の状況で、彼らは「悲惨な高齢者」となる。

「貧乏であってはだめ、病気してはだめ、遠くに嫁いだらだめ」と一人っ子たちは口を揃える。

たった1人の子どもを失った「失独家庭」の問題も

「一人っ子」の問題は、これだけではない。

事故や病気で一人の子どもを失い、新たに子どもの可能性がない夫婦は、中国語で「失独家庭」と呼ばれる。

現在、全国で100万世帯があり、毎年7万世帯のペースで増えている。当時、国の政策に応じて1人の子どもしかつくらなかった。その一方で、中国は伝統的に「養児防老」(子を養って老後の面倒を見てもらう)や、「多子多福」(子が多ければ幸福である)などの考えがある。基本的には、いずれも「親の老後は子どもが看る」という考え方を表すものだ。そして今となって、たった1人の子どもを失った親は「心の傷」を癒されることなく、齢を重ねてきた。

そこで、新たな社会問題が生じている、彼らの老後は誰が看るのだろうか……と。

政府は、この問題についてようやく動き出した。近年、経済的な支援を行うような政策が各地で広がっている。また、北京をはじめ上海などの経済が発展している地域では、介護施設への入居希望があれば、その費用の全額を政府が負担する動きが始まっている。

一人っ子の親の介護に対する支援制度も徐々に広がっている。

昨年半ばから、福建省や重慶市などでは「一人っ子の親介護有給休暇制度」を始めた。医師の証明で親の介護が必要となる場合、企業が10〜20日の有給休暇を与えなければならない制度だ。今年に入ってから全国約10の自治体がこの制度を実施し、全国へ広がりつつある。この制度は国民に歓迎されていて、専門家は「国の法律として立法すべき」と意見表明している。

「一人っ子」政策は終わっても子どもがなかなか増えない理由

少子高齢化が進み、労働人口が毎年800万人のペースで減少していく中で、3年前に中国政府は「一人っ子」政策に終止符を打った。

しかしその後、政府の思惑とは裏腹に、予想よりも新生児の人数ははるかに少ない。全国平均でも第二子の子育て適齢期の世帯全体数から、第二子を設ける世帯はわずか2割にとどまっている(筆者の過去記事「中国で一人っ子解禁後も出産しない女性が増えている理由」参照)。

一番大きな理由は、子どもを育てるコストがかかり過ぎるということである。「十分なお金がない限り、子どもを産まない」という家庭が増えているのだ。もっぱら、子どもが2人も3人もいるのは、事業が成功している富裕層や芸能人ばかり。このため、一般の人が2人目をつくろうとすると、周りから「何よ、芸能人ぶっている」と皮肉ぽっく言われるぐらいだ。

中国では、経済や社会が発展にするにつれて、晩婚や結婚しない、結婚しても子どもがいらない人も増えている。

今後も少子高齢化はさらに加速していくことが予測される。社会保障制度が整備されない限り、「一人っ子」とその親の生きる道は決して楽にはならない。

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『中国が対米貿易問題で「譲歩」を明言できない理由』(5/22ダイヤモンドオンライン 加藤嘉一)について

5/21自由時報<中美貿易談和 6大重點一次看=中米貿易交渉の6大重点>貿易交渉の結果発表された共同声明を見ると、「中国の対米黒字の減少」、「中国は米国の農産品やエネルギー輸入を増加」、「両国の貿易総額の増加」、「知財の保護」、「中国の投資制限を減らし、双方向での投資」、「政府高官の交流継続」の6点でコンセンサスを得た。

http://news.ltn.com.tw/news/business/breakingnews/2432495

自由の擁護者・米国が強くなるには、中国を経済・金融面で封じ込める必要があります。肉を切らして骨を切る覚悟が米国にあるかどうかだけです。金融制裁をかければ一発で中国は撃沈すると思います。トタルが米国の脅しに屈したように。トランプがやるかどうかだけです。中国は米国の要人に金と女で雁字搦めにしているのが、そうさせないように動くでしょうから、反対派は工作員と思って間違いないでしょう。キッシンジャーのように。日本の政治家にも親中派の怪しい、金か女に転んだのがいます。国民は見抜く目を持ち、選挙で落とさないと。

5/22NHKニュース6:34<トランプ大統領 ”北朝鮮への圧力緩めるべきでない” 中国に警告>ここには「アメリカ議会下院では、外交委員会のアジア太平洋小委員会を率いる与野党の代表が、連名でトランプ政権に書簡を送り、北朝鮮と取り引きしている中国の大手金融機関などへの制裁に踏み切るよう求めました。書簡は、「制裁を発動しなければ、北朝鮮に対して最大限の圧力を加える取り組みが損なわれる」として、トランプ政権に制裁の強化を促しています。」とあります。中国への金融制裁発動を議会がトランプに求めています。多分中国は北への制裁をキチンとしないと中国への金融制裁もありうるという事です。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180522/k10011447561000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_077

5/23日経<米財務省の制裁乱用、ドル離れに?>何となく中国が米国の金融制裁を恐れて、裏で金を払って書かせたように見えてしまう記事です。試しにやってみれば良いのに。人民元が貿易相手国に本当に喜ばれるかどうか。況してや中国の最大の貿易相手国は米国で$が使えなくなったら、中国の経済成長はお終いでしょう。中国はGDPの数字を誤魔化して来ましたけど、誤魔化しきれない事態となります。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30798100S8A520C1TCR000/

5/23 NHKニュース1:48<トランプ大統領 米朝首脳会談「6月12日に開かれない可能性」>トランプの顔を見ていると、文在寅と会いたくなかったのがありあり。文が「私は会談が予定どおりに開かれると確信している」と述べたときには、「コイツ何を言っているのか」と不機嫌そうでした。またトランプは金の態度が変わったのは、習と二度目に会ってからと中国を批判しました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180523/k10011448881000.html?utm_int=news_contents_news-main_001

5/23ロイター<米大統領、中国ZTEに罰金13億ドル・経営陣刷新求める案を提示>

https://jp.reuters.com/article/trump-zte-idJPKCN1IN2Q1

5/22ロイター<中国、7月1日から自動車・自動車部品の関税引き下げへ=財政省>

https://jp.reuters.com/article/china-autos-tariff-idJPKCN1IN0W3

5/23日経<自力より国家戦略で成長 外資電池は補助金対象外>下記URLは有料の為途中までです。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30837170S8A520C1FFJ000/

中国が貿易でどんな約束をしても守ろうとはしないでしょう。南シナ海や東シナ海の行動を見ていれば分かる筈です。「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という国ですから。自動車関税引き下げても、EVのCATLのように中国製の車載用電池に補助金を出すのでは外国産の輸入車は高くなり、売れる筈がありません。中国内で製造する外国ブランド車だって中国に技術開示を求められます。本当にやり方が汚い。人口の多さに目が眩んで進出すると痛い目に遭うという事です。ZTEは議会の反対で、罰金払えば無罪放免とはならないと思います。

加藤氏の記事では、中国人の屈辱について書かれていますが、中国を侵略したのは、日本だけでなく、欧州もで、香港・マカオの一国二制度が残っているのはその名残です。米国は中国に遅れて入って来たから「門戸開放、機会平等」を唱えただけです。ただ日本は「五族協和・八紘一宇」を唱え、民族間の融和を図ろうとしました。今の中共の少数民族対策とは全然違います。中国人は過去の屈辱に拘り、報復感情だけを募らせて、世界に復讐しようとするのでは21世紀に生きる人間にそぐわないでしょう。そもそもで言えば、本記事にありますように自由な言論を許さないため、迂回して発信・閲覧する事態や、交渉の正しい結果を中共が国民に知らしめない社会が中国人はまともであると思っているのですかと聞きたい。

米国の2000億$の貿易赤字削減要求もそれだけ見ると理不尽と見えますが、中国はそれを原資に軍拡を推し進め、中国の主張に全く論拠のない南シナ海の人工島の軍事基地化を推進しています。それがトランプは分かっているから、中国に要求していると思います。

記事

we chat上で出回った米ブルームバーグの記事

「これは新たな21ヵ条だ」

 5月18日、金曜日のお昼頃、筆者は北京の一角で対外政策に関わる共産党幹部と食事をしていた。スマートフォンに目をやり、無料インスタントメッセージアプリwe chatを覗いてみると、浮かび上がってきたのがこの文言であった。

 米ブルームバーグが報じた、「米政府関係筋によると、中国側が米国側に対して2000億ドル分の貿易黒字を削減すると提案」したというウェブ記事が写真化されたものがwe chat上で出回っていたのだ(※筆者注:昨今の中国では言論統制が徹底されており、当局が政治的に敏感だと判断したサイトや文章にはアクセスできず、we chat上でもそのような文章は一方的に削除され、友人間での転送も遮断されるようになっている。ゆえに、ユーザーたちは当局に削除される前に写真化したり、VPN<バーチャル プライベート ネットワーク>を使用して敏感な文章へのアクセスに成功したユーザーが写真化したものをwe chatで流したりという現象が広まっている)。

 配信した当人は北京の著名大学を卒業し、現在は大手IT企業で働く、いわゆるエリートというカテゴリーに属する人間である。もう一人、この人間と同様の学歴やキャリアを持つ人物も同じ写真を添付する形で、「本当に受諾してしまったのか……」とつぶやいていた。同様のコメントはwe chatユーザーの間で比較的広範かつ顕著に出回っていたものと察する。

 その頃、米ワシントンD.C.では、習近平国家主席の特使として訪米した劉鶴・国務院副総理兼米中全面経済対話中国側統括者が米国側と2日間に渡る“貿易戦争”回避のための交渉に臨んでいた。今回の劉鶴訪米に当たり、トランプ政権は中国に対して2020年末までに対米貿易黒字を2018年と比べ少なくとも2000億ドル減らすことを求めていた(2017年米国の対中貿易赤字は3750億ドルで過去最大)。

「対華21ヵ条の要求」と“対米黒字2000億ドル削減提案”の関連性

“21ヵ条”が「対華21ヵ条の要求」を指しているのは言うまでもない。第1世界大戦勃発の翌年(1915年)、日本の大隈重信内閣が中国の袁世凱政府に対して突きつけたもので、日本側が山東省の利権などドイツ権益の継承を中国側に要求する条項などが含まれる。袁世凱政府は一部を除いてこれを受諾した。民衆は外国政府に対して軟弱で“売国”的な態度・対応を示した自国政府に不満を露わにした。中国ではナショナリズムが高揚し、五四運動の発生にもつながっていった。

 冒頭の文言を発信した当事者が「21ヵ条の要求」と“対米黒字2000億ドル削減提案”の間に見出した関連性、言い換えれば、現在起こっている後者から約100年前に起きた前者を想起させた感情、それは「屈辱」であろう。中国語には“百年恥辱”(century of humiliation)という言葉がある。文字通り、「百年来の屈辱」という意味である。

 習近平総書記が就任以来一つの指導思想として掲げてきた“中国の夢”には「中華民族の偉大なる復興」という定義がなされてきた。その背後には“屈辱”の2文字が広く横たわっている。習近平は2014年9月3日に開催された「中国人民抗日戦争兼世界反ファシズム戦争勝利69周年」記念座談会の席で次のように主張している。

「中国人民抗日戦争の偉大なる勝利は、日本軍国主義が中国を植民地化・奴隷化する企みを徹底的に粉砕し、国家の主権と領土の保全を死守した。近代以来外からの侵略に抵抗しては敗北してきた民族的屈辱を徹底的に洗い流した。そして、中国の世界における大国としての地位を改めて確立し、中華民族の偉大なる復興という光明なる未来を切り開いたのである」

民族的屈辱から脱却することが台頭するための前提条件

 中国最高指導者によるこの主張には、民族的屈辱から脱却することが大国として台頭するための前提条件であり、大国として台頭することが中華民族の“偉大なる復興”を達成するための前提条件であるという政治的論理が赤裸々に貫かれている。

そして、“一帯一路”や“人類運命共同体”といった対外的戦略を掲げながら世界の大国として台頭し、“中華民族の偉大なる復興”を実現することを最大目標に据える習近平は“百年恥辱”という概念、そして論理を最大限に利用しているように見える。

 国民の米国や日本といった国家への対抗心・屈辱心・反発心を煽りながら、歴史的に中国に対して“民族的屈辱”を与えてきた“帝国主義者”や“軍国主義者”に勇敢に立ち向かう姿を自国民に向かって誇示し、その過程で中国共産党の正統性を確保・強化しようとしている。

 昨今の米中“貿易戦争”にまつわる中国国内世論を眺めながら、筆者は英国の哲学者、アイザイア・バーリンのナショナリズムに関する指摘を思い出した。

「民族的感情の強烈な支援が得られなければ、社会主義の全体的設計を実行することは不可能である。政権を奪取することは不可能だということである」

 中国共産党はすでに政権を取り、中華人民共和国を建国(1949年)して間もなく70年になる。当初の“革命党”から“執政党”への転換を図って久しい。

 しかしながら、民族的感情の強烈な支援を得ることによって社会主義の全体的設計を実行していくというやり方は今日まで続いているように見える。それどころか、習近平政権の下、対外的攻勢を強め、深める中、それはますます顕著になっているように見受けられる。そうしないと、“政権を維持することが不可能である”からということなのかもしれない。

 5月18日、中国国内で中国の強大化や大国への抵抗に喝采を送る大衆世論や保守的論客らから支持される《環球時報》は『トランプが劉鶴に会ったことは交渉にターニングポイントをもたらすか?』と題した社説を発表し、その中で次のように主張している。

「米国側が要求している2年で対米貿易黒字を2000億ドル削減するというまったく条理にかなっていない主張に中国側は決して応じないのは間違いない……中国側としても米国側同様今回の交渉で成果を残したいと考えている。しかし、中国代表団が“不平等条約”をお国に持ち帰ることは不可能なことである。中国社会はそのような“成果”を受け入れない」

米国の要求承諾は外国列強からの“不平等条約”に屈服したことを意味する

 “不平等条約”……

 上記で扱った“屈辱”という概念・論理を彷彿とさせる言葉に聞こえる。中国社会・世論、そして何より“中華民族”にとって、米国側が要求してきている2000億ドルの貿易黒字削減を習近平政権が受諾することは、約百年前に袁世凱政府が「21ヵ条の要求」を受諾したのと同じ性質・次元の“売国行為”であり、まぎれもなく外国列強からの“不平等条約”に屈服したことを意味するということなのだろう。

 冒頭で引用したwe chat上でのつぶやきには、そういう歴史的経緯や民族的屈辱が如実に滲み出ているというのが筆者の観察である。

 5月18日、中国外交部の陸慷報道局長は定例記者会見にて上記“2000億ドル”という情報は本当かという記者からの質問に対し「その噂は事実ではない。私が知る限り、関連協議は現在も続いている。交渉は建設的なものである」と答え、中国側が2000億ドルの貿易黒字削減に同意したという点を実質否定した。

 一方、米ブルームバーグは続報として、トランプ大統領の経済政策顧問であり側近であるラリー・クドロー国家経済会議委員長が金曜日(19日)にホワイトハウスで記者に対して「中国側は“少なくとも”2000億ドルの貿易黒字を削減すると提案してきた」と語ったと報じている。

 情報は依然として錯綜している。何をもって削減とするのか、どういう手段を通じて削減するのかといった詳細や技術面において米中間では小さくない隔たりがあるものと筆者は推察している。

 交渉終了後、米中は共同声明を発表し「有効な措置を取りつつ米国側の貿易赤字を実質的に削減させる」、「知的財産権保護における協力を強める」、「米国の農産物、エネルギー輸出を有意義に増加させる」といった点を盛り込んだ。そこには具体的な数字や日程表は一切記されていない。3月の訪米時とは異なり、劉鶴は今回トランプ大統領とも会見し、共同声明を出した。

米中間で情報は錯綜している

「今回の中米経済貿易交渉最大の成果は双方が、貿易戦争を闘わず、相互に関税をかけあうことを停止するという合意に至ったことである」

 劉鶴は米国側との交渉終了後、国営新華社通信の取材に応じた際にこう主張した(※筆者注:劉鶴のカウンターパートであるムニューシン米財務長官は、20日米FOXの番組に出演した際に「米国は貿易戦争を保留し、今のところ、関税措置についても保留にすることで合意した。一方で枠組みの執行は目指していく」と指摘している)。これによって、北朝鮮の核問題や台湾問題など懸案が積もる米中関係は多かれ少なかれ緩和するのかもしれない。中国社会・世論も劉鶴の帰国を「米国に屈しなかった愛国戦士」として拍手喝采で迎えるのだろう。

 しかしながら、上記のように、今回の米中経済貿易交渉の詳細や内実をめぐって、米中間で情報は錯綜している。

 仮に今後何らかの形で「実は中国側は米国側の要求を受諾し、妥協していた」という類の情報が明るみになり、広まった場合、人民たちの批判の矛先は米国から中国共産党に向かうとも限らない。約100年前の「21ヵ条の要求」当時のように。習近平が党の正統性を確保・強化するために活用してきた、“百年恥辱”に基づいたナショナリズムが自らの背中を押さないどころか、牙を剥いて襲い掛かってくる局面すら考えられる。

 それは結果的に中国共産党の正統性を脅かす事態を招きかねない。

 場面を冒頭に戻そう。

 昼食を中断し、目の前に座る党幹部にスマートフォンのスクリーンを見せ、聞いてみた。

「仮にこの情報が本当だったとして、貴党はどのように人民に説明し、納得してもらうのですか?」

 先方は間を置かずに答えた。

「そんな情報を人民に伝えるわけがないでしょう。報道させません」

(国際コラムニスト 加藤嘉一)

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『トランプと会うのが怖くなった金正恩 「所領」を安堵されても保証人がいない』(5/22日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について

5/21宮崎正弘氏メルマガ<トランプの「イラン核合意」からの離脱、次に起こることは何か? 仏トタルが撤退すれば「イランのガス油田開発利権」はCNPCが引き継ぐ>流石中国、抜け目がありません。イランも経済制裁で苦しくなれば、石油を買ってくれるところにはどこでも売るでしょうし、鉱区開発権も売るでしょう。ですから制裁を実効あらしめるためには取引する欧州だけでなく中国も制裁しないと駄目という事です。北朝鮮と同じ構図です。中国の邪魔を排除しませんと。

http://melma.com/backnumber_45206_6685722/

5/21ダイヤモンドオンライン 北野幸伯<北朝鮮も警戒、米国の「嘘つき癖」が世界を不安定にしている>確かにトランプは敵を作り過ぎています。中国だけでなく、ロシア、イラン、欧州と。でも常識的な人間には、改革は出来ません。常識人は出来るだけ敵を少なくするでしょう。しかしトランプの多数の敵づくりは真の敵・中国を攪乱するためかもしれません。キッシンジャーのような中国に思い入れがある人間と言うか金も貰っているような人間が邪魔するでしょうから。米国議会が、トランプがロシアとの関係を修復するのを認めてくれるのが理想です。

http://diamond.jp/articles/-/170456

5/21ダイヤモンドオンライン ロイター<米朝首脳会談は実現するか、失敗の歴史を振り返る>過去の交渉のおさらいです。

http://diamond.jp/articles/-/170583?utm_source=daily&utm_medium=email&utm_campaign=doleditor

5/22ZAKZAK<米韓首脳会談を前に韓国“孤立化” 世界の脱北者が文大統領を糾弾! 米当局関係者「韓国は用済みだ」>金正恩の体制保証より、本記事にあります4月末に米カリフォルニア州で設立された「北朝鮮亡命政府」が政権を握った方が北朝鮮国民にとって遙かに幸福になります。そのためには米朝戦争になり、金を排除しないと無理です。でも文在寅のような共産シンパを大統領に選ぶ韓国民も韓国民です。残酷無比の金王朝の北と統一された後のことを考えたことがあるのかと言いたい。

https://www.zakzak.co.jp/soc/news/180522/soc1805220001-n1.html

5/22ZAKZAK<北朝鮮で幹部の亡命が相次ぐ…金正恩氏の「親戚」も>幹部と雖も毎日命の危険に晒されているという事です。金正恩は実の兄や叔父を殺せる人間ですから、況してや幹部クラスなぞ虫けら以下としか思っていないのでしょう。

https://www.zakzak.co.jp/soc/news/180522/soc1805220009-n1.html

鈴置氏記事は、金正恩が米朝首脳会談をキャンセルすることもありうるとしています。でもそうなると待っているのは米軍の北への攻撃です。中国はそうなっても米中貿易戦争で身動きが取れないでしょう。中国がヘタに北を支援すれば、米国は高関税、取引禁止、金融制裁等多段階で中国経済を締め上げることができます。進退窮まっているのは金正恩でトランプではありません。トランプは司法省にトランプ政権内に司法省やFBIのスパイを潜入させたかどうか調査するよう指示しました。ステイール文書での民主党の偽装工作やオバマ・ヒラリーのベンガジ・メールサーバーの闇が白日の下に晒されるかもしれません。

記事

米朝首脳会談開催に暗雲が漂い始めてきた(写真/AP/アフロ)

前回から読む)

6月12日に予定される米朝首脳会談。本当に実施されるのか、疑問視する向きが増える。

核放棄を強要するな

—5月16日、北朝鮮が米朝首脳会談を開かない、と言い出しました。

鈴置:北朝鮮は「米国が一方的に核放棄を強要するなら、首脳会談は再検討するしかない」との金桂官(キム・ゲグァン)第1外務次官名義の談話を発表しました。

北朝鮮の対外宣伝サイト「わが民族同士」の「朝鮮外務省第1次官が談話を発表」(5月17日、日本語版)で全文を読めます。

なお同じ5月16日未明に、北朝鮮は同日に予定されていた南北閣僚級会談もキャンセルしました。5月11日から始まっていた米韓合同の空軍演習「マックス・サンダー(Max Thunder)」が自分に圧迫を加えているとの理由をあげました。

これを通告したのが朝鮮中央通信の「朝鮮中央通信社が朝鮮に反対する大規模の連合空中訓練を行った米国と南朝鮮当局を糾弾」(5月17日、日本語版)という記事です。

記事の最後には「米国も、南朝鮮当局と共に繰り広げている挑発的な軍事的騒動の局面について考えて、日程に上っている朝米首脳の対面の運命について熟考すべきである」とのくだりがあります。

「こっちは本気だ。南北閣僚級会談もドタキャンした。米朝首脳会談だってやめたっていいのだ」と、この記事を通じても米国に肩をそびやかして見せたのです。

電光石火で非核化

—「一方的に核放棄を強要」とは?

鈴置:先ほど引用した記事からその部分を拾います。

・ボルトン(John Bolton)をはじめホワイトハウスと国務省の高官らは「先核放棄、後補償」方式を流しながら、いわゆるリビア核放棄方式だの、「完全かつ検証可能で、不可逆的な非核化」だの、「核、ミサイル、生物・化学兵器の完全廃棄」だのという主張をはばかることなくしている。

2003年12月、サダム・フセインの逮捕を見てショックを受けたカダフィ大佐は米英の情報機関に核放棄を通告しました。すると両国は直ちにリビアに査察チームを送りこみ、電光石火の早業で核施設を国外に持ち出しました。ミサイルや化学兵器に関しても同様です(「米朝首脳会談は本当に開かれるのか」参照)。

ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)はこうしたやり方――リビア方式を北朝鮮でも実施させると宣言しています(「『米韓同盟破棄カード』を切ったトランプ」参照)。

一方、北朝鮮は「打開的な解決」を主張しています。譲歩するかに見せて見返りをかちとり、最後はうやむやにしてしまう、これまでの成功を再現したいのです。

  • 非核化の約束を5度も破った北朝鮮
▼1度目=韓国との約束▼
・1991年12月31日 南北非核化共同宣言に合意。南北朝鮮は核兵器の製造・保有・使用の禁止、核燃料再処理施設・ウラン濃縮施設の非保有、非核化を検証するための相互査察を約束
→・1993年3月12日 北朝鮮、核不拡散条約(NPT)からの脱退を宣言
▼2度目=米国との約束▼
・1994年10月21日 米朝枠組み合意。北朝鮮は原子炉の稼働と新設を中断し、NPTに残留すると約束。見返りは年間50万トンの重油供給と、軽水炉型原子炉2基の供与
→・2002年10月4日 ウラニウム濃縮疑惑を追及した米国に対し、北朝鮮は「我々には核開発の資格がある」と発言
→・2003年1月10日 NPTからの脱退を再度宣言
▼3度目=6カ国協議での約束▼
・2005年9月19日 6カ国協議が初の共同声明。北朝鮮は非核化、NPTと国際原子力機関(IAEA)の保証措置への早期復帰を約束。見返りは米国が朝鮮半島に核を持たず、北朝鮮を攻撃しないとの確認
→・2006年10月9日 北朝鮮、1回目の核実験実施
▼4度目=6カ国協議での約束▼
・2007年2月13日 6カ国協議、共同声明採択。北朝鮮は60日以内に核施設の停止・封印を実施しIAEAの査察を受け入れたうえ、施設を無力化すると約束。見返りは重油の供給や、米国や日本の国交正常化協議開始
・2008年6月26日 米国、北朝鮮のテロ支援国家の指定解除を決定
・2008年6月27日 北朝鮮、寧辺の原子炉の冷却塔を爆破
→・2009年4月14日 北朝鮮、核兵器開発の再開と6カ国協議からの離脱を宣言
→・2009年5月25日 北朝鮮、2回目の核実験
▼5度目=米国との約束▼
・2012年2月29日 米朝が核凍結で合意。北朝鮮は核とICBMの実験、ウラン濃縮の一時停止、IAEAの査察受け入れを約束。見返りは米国による食糧援助
→・2012年4月13日 北朝鮮、人工衛星打ち上げと称し長距離弾道弾を試射
→・2013年2月12日 北朝鮮、3回目の核実験

目の上のたんこぶ

—北朝鮮にとって、ボルトン氏は目の上のたんこぶですね。

鈴置:だから、北朝鮮はトランプ(Donald Trump)大統領に対し「ボルトンを外せ」「外さないと、対話は進展しないぞ」とも威嚇しました。金桂官次官の談話はこう続きます。

・われわれは、すでにボルトンがどんな者であるかを明白にしたことがあり、今も彼に対する拒否感を隠さない。
・トランプ行政府がこれまで朝米対話が行われるたびにボルトンのような者のため紆余曲折を経なければならなかった過去史を忘却して、リビア核放棄方式だの何のと言う、えせ「憂国の士」の言葉に従うなら今後、朝米首脳会談をはじめ全般的な朝米関係の展望がどうなるかということは火を見るより明らかである。

—トランプ大統領はどう答えましたか?

鈴置:「非核化に応じれば、体制は保証する」と頭をなでました。一方で「首脳会談に応じないと強硬策――空爆という意味でしょうが――に出るぞ」と脅しました。

5月17日のホワイトハウスでの会見で「ボルトン氏が主張するリビア方式が北朝鮮を怒らせたが」との質問が出ました。トランプ大統領は「北朝鮮にリビア方式を当てはめるつもりは全くない」と答えました。

・the Libyan model isn’t a model that we have at all, when we’re thinking of North Korea.

そして、「米国はリビアを滅ぼした」「カダフィ体制を維持するとの取引はなかった」などと付け加えたのです。

・In Libya, we decimated that country. That country was decimated. There was no deal to keep Qaddafi. The Libyan model that was mentioned was a much different deal.

2011年のリビア方式

—話が変ですね。

鈴置:その通り、話がずれているのです。2003年、米国はリビアを攻撃しなかったし、滅ぼしもしなかった。では、大統領の言及した「リビア方式」とはいったい何なのでしょうか。

CNNの「President Trump dismisses “Libyan model” on North Korea」は、トランプ大統領が語ったのは「2011年のリビア方式」のようだと解説しました。

中東で独裁打倒運動が盛り上がった「アラブの春」――。2011年にはリビアでもカダフィ政権が転覆しました。当初は内戦でしたが、途中から米英仏などが「反政府派への弾圧」を理由に、政府軍を空爆するなど軍事介入しました。

・But while Bolton was referring to the dismantling of Libya’s weapons of mass destruction program, Trump appeared to refer to the “Libyan model” as the subsequent military intervention in Libya years later that removed Moammar Gadhafi from power.

トランプ大統領は金桂官談話が「2003年のリビア方式」を持ち出したのを利用して、独裁者カダフィが殺された「2011年のリビア方式」に話を振った。そして、対話に応じず滅ぼされたカダフィになりたいか、と脅し返したのです。

単に勘違いしただけだったかもしれませんが、結果は同じことです。

「リビア」という単語を使ってトランプ大統領の真意を説明すれば「2003年のリビア方式を拒否するのなら、2011年のリビア方式を適用するぞ」ということになります。

—トランプ大統領は譲歩したわけではないのですね。

鈴置:もちろんです。譲歩したとの誤解が広まったのは、2つの「リビア方式」をごっちゃにした記事が流れたからです。

例えば、AFPの5月18日の日本語版の記事の見出しは「トランプ氏、北朝鮮非核化の『リビア方式』否定」でした。

「リビア方式否定」との見出しを付けるのなら「トランプ氏、空爆を実施した『2011年のリビア方式』を否定」とすべきだったのです。

この記事の更新された本文では、2011年のリビアの状況にも触れていますが、トランプ大統領の「リビア方式」がそれを指すとははっきり書いてない。そこで編集者は「非核化のリビア方式」との見出しを付けたままにしたのでしょう。

猫なで声と棍棒

—「一方的な核放棄には応じない」と言い出した北朝鮮に対し「だったら空爆するぞ」と言い返した……。

鈴置:ただ、トランプ大統領は棍棒を見せるだけではなく、猫なで声でささやきもしました。以下です。

・ The Libyan model that was mentioned was a much different deal. This would be with Kim Jong-un ─ something where he’d be there, he’d be in his country, he’d be running his country.
・His country would be very rich. His people are tremendously industrious.

「言及された(2011年の)リビア方式は、取引とはほど遠いものだった。一方、金正恩氏には取引を持ちかけている。それに応じれば彼は国に留まり、国を統べ続けることになる」と誘ったのです。

金正恩氏に体制存続の保証を与えた――所領を安堵したのです。加えて「国は豊かになるし、工業化も進む」とニンジンも提示しました。

—猫なで声というか、脅しと言うか……。

鈴置:猫なで声を使うからこそ、棍棒に凄味が出るのです。さらにトランプ大統領は、カダフィやイラクのサダム・フセインになりたいのかと金正恩委員長を問い詰めました。

・We never said to Qaddafi, “Oh, we’re going to give you protection. We’re going give you military strength. We’re going to give you all of these things.” We went in and decimated him. And we did the same thing with Iraq.

我々はカダフィには「保護を与えるし、軍事的な強みも渡す。何でもだ」などと言わなかった。我々は彼を滅ぼした。同じことはイラクでもやった――。これを聞いた金正恩委員長は震えあがったことでしょう。

米朝同盟はあり得るか

—核放棄の見返りとして示した「軍事的な強み」とは?

鈴置:会見に出た記者は「在韓米軍の削減」を指すと考えたようです。「Reduce U.S. troop level is a possibility in South Korea?」と聞いています。

大統領はそれに対し「今は明かせないが十分な保護だ」「かつてない取引だぞ」などと、思わせぶりな回答をしています。

・Well, I’m not going to talk about that. We’re going to say that he will have very adequate protection, and we’ll see how it all turns out. I think this: The best thing he could ever do is to make a deal.

トランプ大統領は「朝鮮半島すべての非核化」つまり「米韓同盟の廃棄」の可能性を示唆するようになりました(「『米韓同盟廃棄カード』を切ったトランプ」参照)。

「核を捨てたら、米韓同盟を廃棄してもいい」とまで持ちかけている可能性が高い。北朝鮮に対するこれ以上の保護はないのです。

もちろん、米朝が同盟を結ぶという手もありますが、それはさすがに中国が許さない。一方、米国内からも強い反対が起きるでしょう。北朝鮮は名うての人権蹂躙国家だからです。トランプ大統領自身も2017年11月8日の韓国国会演説で、金正恩政権の悪行の数々を列挙しています。

■トランプ大統領の韓国国会演説(2017年11月8日)のポイント(1)

北朝鮮の人権侵害を具体的に訴え

10万人の北朝鮮人が強制収容所で強制労働させられており、そこでは拷問、飢餓、強姦、殺人が日常だ

反逆罪とされた人の孫は9歳の時から10年間、刑務所に入れられている

金正恩の過去の事績のたった1つを思い出せなかった学生は学校で殴られた

外国人を誘拐し、北朝鮮のスパイに外国語を教えさせた

神に祈ったり、宗教書を持つクリスチャンら宗教者は拘束、拷問され、しばしば処刑されている

外国人との間の子供を妊娠した北朝鮮女性は堕胎を強要されるか、あるいは生んだ赤ん坊は殺されている。中国人男性が父親の赤ん坊を取り上げられたある女性は「民族的に不純だから生かす価値がない」と言われた

北朝鮮の国際的な無法ぶりを例示

米艦「プエブロ」の乗員を拿捕し、拷問(1968年1月)

米軍のヘリコプターを繰り返し撃墜(場所は軍事境界線付近)

米偵察機(EC121)を撃墜、31人の軍人を殺害(1969年4月)

韓国を何度も襲撃し指導者の暗殺を図った(朴正煕大統領の暗殺を狙った青瓦台襲撃未遂事件は1968年1月)

韓国の艦船を攻撃した(哨戒艦「天安」撃沈事件は2010年3月)

米国人青年、ワームビア氏を拷問(同氏は2016年1月2日、北朝鮮出国の際に逮捕。2017年6月に昏睡状態で解放されたが、オハイオに帰郷して6日後に死亡)

「金正恩カルト体制」への批判

北朝鮮は狂信的なカルト集団に支配された国である。この軍事的なカルト集団の中核には、朝鮮半島を支配し韓国人を奴隷として扱う家父長的な保護者として指導者が統治することが宿命、との狂った信念がある

「人間のくず」が語る真実

—結局、北朝鮮は取引に応じるのでしょうか。

鈴置:北は核を簡単には手放せない。金正恩委員長にとって核は権力の基盤です。手放せば権力も維持できないと考えているはずです。

2016年、北朝鮮から韓国に亡命した太永浩(テ・ヨンホ)という外交官がいます。駐英大使館公使でした。2018年5月16日、ソウルの国会議員会館で講演し、以下のように語りました。

ハンギョレ新聞の「『人間ゴミ』…北朝鮮がテ・ヨンホ元公使を猛非難した理由は?」(5月17日、日本語版)から発言を引きます。

・北朝鮮が要求する「体制安全保障」は結局、金日成(キム・イルソン)家門の世襲統治が永遠に存在できるようにすることだ。
・核廃棄の過程が北朝鮮の絶対権力構造を崩す過程につながることは絶対に受け入れられない。(真の核廃棄のような)そんな奇跡は起こらないだろう。

韓国では、南北閣僚級会談のドタキャンはこの発言も関係したとの見方があります。先ほど引用したハンギョレの記事もそう書いています。

確かに「朝鮮中央通信社が朝鮮に反対する大規模の連合空中訓練を行った米国と南朝鮮当局を糾弾」は、名前をあげませんでしたが、太永浩元公使を「人間のくず」と決めつけ、韓国政府を非難しています。

・天下にまたといない人間のくずまで「国会」に立たせてわれわれの最高の尊厳と体制を謗り、板門店宣言を誹謗、中傷する行為を公然と強行するように放置している。

「金正恩除去」で困る国はない

—図星を突かれると、狼狽して怒るものです。

鈴置:体制維持のためには核はなかなか手放せない――。それはトランプ大統領もよく分かっている。だからこそ「お前を殺すことに躊躇しないぞ。核を握りしめて死ぬつもりか」と脅すわけです。

—殺されることへの恐怖から、核放棄を受け入れませんか。

鈴置:それが一番、平和的な解決法です。ただ、「殺されない」選択を選ぶにしろ、金正恩委員長には問題が残ります。

核を放棄したら本当に、米国が「保護」してくれるのでしょうか。トランプ大統領が約束を守る保証はどこにもないのです。

イラン核合意だって、国益に反すると判断したトランプ政権は世界の反対を押し切って離脱しました。米朝首脳会談を準備する最中のことでした(「北朝鮮の非核化を巡る動き」参照)。

北朝鮮は人権蹂躙国家だし、約束を破り続けている。米国がそんな北朝鮮を攻め滅ぼしても、非難する国はないでしょう。抑圧されている北朝鮮の人々も大喜びします。

—自業自得です。

鈴置:困るのは、金正恩政権とスクラムを組んでいるつもりの――北朝鮮から見れば「使い走り」の文在寅政権だけ。あとは韓国や日本、米国の北朝鮮支持グループぐらい。

  • 北朝鮮の非核化を巡る動き(2018年)
1月1日 金正恩「平昌五輪に参加する」
1月4日 米韓、合同軍事演習の延期決定
2月8日 北朝鮮、建軍節の軍事パレード
2月9日 北朝鮮、平昌五輪に選手団派遣
3月5日 韓国、南北首脳会談開催を発表
3月8日 トランプ、米朝首脳会談を受諾
3月25―28日 金正恩訪中、習近平と会談
4月1日頃 ポンペオ訪朝、金正恩と会談
4月17―18日 日米首脳会談
4月21日 北朝鮮、核・ミサイル実験の中断と核実験場廃棄を表明
4月27日 南北首脳会談
5月4日 日中と中韓で首脳の電話協議
5月7-8日 金正恩、大連で習近平と会談
5月8日 米中首脳、電話協議
  トランプ、イラン核合意から離脱を表明
5月9日 ポンペオ訪朝、抑留中の3人の米国人を連れ戻す
  日中韓首脳会談
  米韓首脳、電話協議
5月10日 日米首脳、電話協議
5月16日 北朝鮮、開催当日になって南北閣僚級会談の中止を通告
5月16日 北朝鮮、「一方的に核廃棄要求なら朝米首脳会談を再考」との談話を発表
5月20日 米韓首脳、電話協議(米東部時間では5月19日)
5月22日 米韓首脳会談
5月23~25日 北朝鮮、米韓などのメディアの前で核実験場を破壊
6月8-9日 G7首脳会議、カナダで
6月12日 史上初の米朝首脳会談、シンガポールで
  「米朝」の後、日米中南北の間で2カ国首脳会談か
 

習近平に60度のお辞儀

—米国による所領安堵の保証人に、中国はなれないのですか?

鈴置:金正恩氏もそれに期待して、40日の間に2度も訪中したのでしょう。3月の訪中時には習近平主席の発言にメモをとって見せるなど恭順の意を示しました。

5月の訪中では、同行した妹の金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党第1副部長が習近平主席と握手した際、60度ほど腰を曲げてお辞儀をしました。4月27日の南北首脳会談の際、文在寅大統領と握手した金与正氏は頭を全く下げなかったというのに。

中央日報の「文大統領と直立で握手した金与正氏、習近平主席に腰曲げてあいさつした理由」(5月13日、日本語版)は頭の下げ方が完全に異なる2枚の写真を並べて載せました。金正恩一家はなりふり構わず、中国に保証人になってくれるよう土下座したのです。

—効果はあるでしょうか?

鈴置:ないと思います。北朝鮮は自分が困った時はヘコヘコと頼んできますが、状況が変わるとすぐに掌を返します。そんな国を信用するほど中国はお人好しではありません。

それに、中国には金正恩体制を支える積極的な理由がないのです。今は、米国が怒り出して空爆に踏み切らないよう「後ろ盾になるから米国との首脳会談に臨め」と金正恩氏の頭をなでている。

でも、北朝鮮が核を放棄した後は「金正恩体制存続」のメリットは中国にない。強権的で常に不安定さをはらむこの政権よりも、もっと自分の言うことを聞く政権を押し立てたいと願うでしょう。

もし米国が金正恩体制の打倒に乗り出せば、そのどさくさにまぎれて中国が朝鮮半島での影響力拡大に動く可能性が極めて高い(「しょせんは米中の掌で踊る南北朝鮮」)。

誰もが五里霧中

—その中国の本心を北朝鮮も分かっている?

鈴置:もちろんです。だから金正恩氏は米朝首脳会談に容易には踏み切れない。これまで北朝鮮は「核をやめる」と周辺国を騙しては、援助を取り付けてきた。

今度もそのつもりだったのでしょうが、「何をするか分からない」トランプ大統領が相手ではそうはいかないことにようやく気が付いた。下手に交渉すれば、我が身を滅ぼしかねないのです。

会談まで1カ月を切る5月16日になって「首脳会談などしなくたっていい」と言い出したことからも、北朝鮮の困惑ぶりがうかがえます。

トランプ大統領も5月17日の会見で「何が起こるか見守ろう(we’ll see what happens. )」と述べています。誰しもが五里霧中なのです。

(次回に続く)

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『無人カラオケボックスが中国で急成長する理由 日本企業のノウハウに期待集まる』(5/21日経ビジネスオンライン 西村友作)について

5/19看中国<深沉大略 成吉思汗因何横扫欧亚大陆?(图)=内に込めた大戦略 ジンギスカンは何故ヨーロッパやアジア大陸まで征服したのか>何故遠征したかの理由ははっきり書いていません。広大な帝国を作ったと結果だけです。中国人は満州族が作った清帝国の版図を引き継いだ形となり、内蒙古もウイグルもチベットも中国人=漢族の仲間と思っているようです。モンゴル人もウイグル人もチベット人も漢族と一緒になりたいとは思っていないのに。楊海英氏の『「中国」という神話 習近平「偉大なる中華民族」のウソ』の中に、王昭君や文成公主の例を挙げ、漢民族は嫁に差し出した民族も中華民族の一員と思う節があるとありました。平和的に暮らせればそれでも良いでしょうが、大体漢族はそれを許さず、搾取するだけです。
この記事ではジンギスカンも中国人と思って書いているのがありありです。日本人にはすごく違和感があります。歴史の改竄ではと。耶律楚材の例を挙げて、用兵の妙を謳い、優しい人間のような書きぶりですが、そんな優しいだけでは版図は広げられなかったでしょう。以前読んだ本で、ジンギスカンの征服した土地の統治のやり方として、逆らえば皆殺し、恭順の意を示せば少数の行政官を置くだけで、後はその土地に合ったやり方を認めたと記憶しています。多分、こちらの方が正しいかと。


ジンギスカンが死んだときの版図。中国の大部分は入っていません。万里の長城以北でしょう。
https://www.secretchina.com/news/gb/2018/05/19/857067.html
5/20阿波罗新闻网<国产航母奇怪设计曝光 4艘航母网友仍称“航母垃圾大国”=国産空母のおかしな設計が白日の下に ネット民は4隻の空母に対し「空母ゴミ大国」と>何がおかしいかというと操舵室に沢山の柱があるのは倒れないように慮かってとのことであるが、非人道的。強度が足りないから柱が多くなった。名前もおかしくて、4隻の空母の名前が、「瓦良格号=ヴァリャーグ号」、「山寨号=偽物号、もともとの意味は山賊の砦」、「明斯克号=ミンスク号」、「基辅号=キエフ号」で「ミンスク号」は南通で空母公園となり、「キエフ号」は天津でホテルになっている。もし、米軍と戦えば100%の確率で撃沈される。もし船の名前を「中南海号」とか「北京号」、「共産党号」としたら海に出られないのでは。米軍の空母と性能、装備、兵器の差が歴然としている。
http://www.aboluowang.com/2018/0520/1117016.html
5/21日経電子版<米財務長官「制裁関税は当面保留」 中国、輸入拡大>
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30745910R20C18A5MM8000/
北朝鮮問題が解決するまでは中国の協力度を見て制裁をかけるかどうか決めると言う所では。
5/21日経電子版<無人店、中国を席巻 飲食店やカラオケで続々
【杭州(浙江省)=原島大介】中国でレジなどに人を配置しない「無人」サービスが広がっている。ネット通販最大手、アリババ集団は外食企業と組みレストランやベーカリー店を展開。ホテルやカラオケボックスにも広がり、4年後に市場規模は16兆円を超えるとされる。日本では人手不足が深刻だが、中国ではスマートフォン(スマホ)決済を土台に人件費削減を狙う。


客はスマホで注文、支払いを済ませ、通知が来ると料理を取りに行く(浙江省杭州)
浙江省杭州のオフィス街。昼すぎに中華ファストフード店に入ると、周辺で働く会社員でごった返していた。だが店員の姿は見当たらない。客はスマホを操作し、5分ほどで約40のロッカーが並ぶ場所へと向かう。客が再びスマホを触ると、ロッカーの扉が開き、中から料理を取り出した。
この店は1月末にアリババ傘下で外食店向け支援サービスを手掛ける阿里口碑のシステムを導入して改装オープンした。アリババのスマホ決済アプリ「アリペイ(支付宝)」で店内のQRコードを読み取れば、注文や支払い、料理完成の通知までスマホで完結する。
もともとは従業員が13人いたが、改装を機にレジ担当などを減らして6人にし、年60万元(約1千万円)だった人件費は半分以下になる見通し。一方、効率化で客の滞在時間が短縮され、売り上げは改装前より4割伸びた。週1~2回訪れる会社員、章遠強さん(27)は「前は昼時は外まで並んでいたけど、今は待つ必要がなくなった」と歓迎する。


口碑は同店の結果を踏まえ、4月から対象を他の業態に拡大。浙江省内にある高速道路のサービスエリア内にファストフード店を2店開いたほか、北京や上海、深圳でも調理場などを除き無人のベーカリー店やデザート店、火鍋店を開く計画。口碑の担当者は「業態や立地ごとの消費者の需要を把握し、さらに広げる」という。
中国では昨年以降、「無人店」の開発競争が進む。当初はスタートアップ企業が中心だったが、ネット通販大手の京東集団や蘇寧雲商集団といった小売大手も参入。コンビニや衣料品店などの小売店が大都市で続々と無人店を開業するほか、商業施設には無人のカラオケボックスがすでに3万カ所に広がった。
無人化の対象は幅広い。浙江省杭州にはロボットがミルクティーを提供する店がオープンした。価格は1杯10元(約170円)程度と、店員のいる店の3分の1だ。また内陸の四川省成都にはフロントがないビジネスホテルが登場。予約時に身分証の画像をネットで送れば、ホテル内のカメラで顔を認証し、チェックインできる仕組みだ。


ロボットがミルクティーを作る店も登場した(浙江省杭州)
中国では経済成長に伴う家賃や人件費の高騰が続いており、実店舗の運営者は商品の販売価格にコスト上昇分を上乗せせざるを得ない。この結果、割安なネット通販にさらに客を奪われる悪循環を招いており、コスト対策は喫緊の課題だ。
このため、目に見える効果が期待できる無人化への期待は高い。中国の調査会社、中商産業研究院によると、中国の無人店市場は小売店だけでも22年に9500億元と、18年の30倍に成長する見通しだ。
■日本、なお実証実験レベル
人材不足に悩む日本でも無人店への期待は高いものの、依然として実証実験レベルにとどまる。中国が日本以上のスピードで実用化が進む背景には、スマホなどのネット決済と従業員サービスに対する両国の考え方の違いがある。
中国の調査会社によると、スマホ決済の利用者は全体の7割に達し、16年時点で決済額が39兆元(約660兆円)に上る。沿岸部の都市では露店や市場でも利用可能で、最近では会計をする際に現金を出すと、店員にしかめ面をされるほどだ。
中国ではそもそも偽造紙幣が多く流通している。事業者にとってはネット決済の方が確実に料金を回収できるメリットがある。ただ、消費者にとっては銀行口座と決済アプリをひもづけるため、不正利用などのリスクは残る。このためメイン口座とは別にネット決済用の口座を設けリスクに備える消費者も多い。
日本では「店員がいる方が安心できる」という考えが根強い。これは接客サービスへの期待値が高く、かつ従業員の水準も高いためで、ネット通販よりも近くの小売店を選ぶ遠因ともなっている。
一方、中国の小売店やレストランでは一部を除き、丁寧な接客サービスを受ける可能性は低い。そもそも中国の消費者は従業員に対して良いサービスを期待しておらず、無人の方が不快な思いをしないで済むと考える。
事業の継続性や経営リスク、消費者の安全よりも、まず行動に移す中国の国民性も大きい。こうした両国の考え方の違いが、無人サービスの普及スピードの差につながっているようだ。>(以上)
阿里巴巴は千夜一夜から取ったのかもしれませんが、漢字の「阿里」は台湾の「阿里山」から取ったのかもしれません。厭らしいです。アリペイは螞蟻金服(金融服務)(アント・フィナンシャルサービスグループ)が運営しているサービスです。螞蟻は日本語で蟻の意味です。CEOの馬雲は日本語も少しはできるのかも。
https://www.excite.co.jp/News/chn_soc/20141121/Searchina_20141121142.html
中国は人口が多く、消費市場が大きいのが売りだったのに、無人化を進めていけば、雇われない人も増えていき、今でもジニ係数が0.73(北京大学調べ)と言われているのに、格差は広がるばかりになるのでは。富の分配を公平にしないと臨界点を迎え、革命が起きることになるのではと感じます。
中国は良いことばかりではありません。先日知人からメールを貰い、そこには「日本から中国入国時に、広州空港で両手10本の指の指紋を取られた」との不満が書かれていました。大事な個人情報ですが、共産党にとって外国人と中国人留学生はスパイの可能性が高いと思っているのでしょう。経済発展に釣られて中国に仕事に行くのは避けた方が良いです。米中の行方もどうなるか分かりませんので。先ずは北の問題でしょうけど。
記事


休み時間にスマホでコーヒーを購入する対外経済貿易大学の学生。
北京市北東部の幹線道路・四環路の南に位置する対外経済貿易大学。最近コーヒーやジュースの入った紙コップを持ち歩く学生をよく見かけるようになった。
その購入先は、教室の横に設置されたコーヒーと生絞りオレンジジュースの自動販売機。私がこの大学に来てから16年経つが、キャンパス内に自動販売機が置かれたのはこれが初めてだ。
北京のオフィスビルではお弁当の自動販売機も登場。大気汚染がひどくなる冬場にはPM2.5対策用マスクの自動販売機も地下鉄駅に出現した。
近年中国では、自動販売機の設置台数が急拡大しており、今後もそのすう勢が続くと見込まれる。自動販売機大手の富士電機は、「中国における自動販売機の市場出荷台数が2015年度の約4万台から18年度には約17万台、20年度には34万台まで伸長する(16年7月28日付同社ニュースリリース)」と予測する。
中国の自動販売機は歩道で見かけることがほとんどなく、バス停や駅などの交通拠点、学校、病院、スーパー、オフィスビルなど施設内での設置が中心となっている。
消費現場を変えたモバイル決済
少し前まで北京では自動販売機を見かけること自体、ほとんどなかった。硬貨の流通量が少なく、紙幣も多くが破損しているため、自動販売機の普及に適した環境でなかったためだ。北京の地下鉄の切符販売機には今も、紙幣を硬貨に交換するために駅員が常駐している。
しかし、スマートフォン(スマホ)人口の急増に伴うモバイル決済の爆発的普及により状況が一変した。現在新しく設置されたほとんどの自動販売機はモバイル決済に対応しており、中には現金支払いができないものまである。
2010年代、インターネットアクセス手段の主役はパソコンからスマホへと大きくシフトした。中国互聯網絡信息中心の統計によると、スマホによるインターネット利用者は06年末では1701万人でネット利用者全体の12.4%にすぎなかったが、17年末には7.53億人と全体の97.5%にまで高まった。
スマホの急速な普及に伴い、これまでパソコン上でしか使用できなかったオンライン決済がスーパーやレストラン等の実店舗でできるようになった。
中国のモバイル決済市場は、インターネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)が独自のスマホ向けチャットアプリ「微信(ウィーチャット)」に決済機能をつけた「微信支付(ウィーチャットペイ)」で本格参入して以降、急拡大が続いている。中国人民銀行の統計によると、17年のモバイル決済額は前年比28.8%増となる202.9兆元に達し、5年間で21.1倍拡大した。また決済回数についても、17年は前年比46.1%増の375.5億回で、13年の22.4倍となっている。
モバイル決済状況


(出所)中国人民銀行より筆者作成
17年にはスマホで入店、決済ができる無人コンビニが話題になったが、最近では無人レストランも登場した。従業員は厨房のみで、注文から商品の受け渡し、決済まで全てがセルフサービスとなっている。
小売り以外のサービスも無人化へ
自販機やコンビニ、レストランなどの小売り以外でも、様々な無人サービスが登場している。その一つに、ミニカラオケと呼ばれる1~2人用の無人カラオケボックスがある。
私も最寄りのショッピングセンターに出向きこのミニカラオケをチャレンジしてみた。今回試したのは業界大手の「友唱」。
まずはウィーチャットで登録し、スマホ側で料金プランを選択する。今回は最も安価で時間が短い20元(約350円)/15分を選択、ウィーチャットペイを使ってその場で支払いを済ませるとサービスが始まる。中国語の曲以外にも、英語や日本語、韓国語といった海外の曲もある。歌い終えると、登録したウィーチャットに自分が歌った楽曲の履歴と録音された自分の歌声が送られてきた。これまで歌った楽曲をまとめてアルバムを作ったり、ネット上にアップして共有したりできるようだ。


最寄りのショッピングセンターに設置されているミニカラオケ「友唱」に初挑戦する筆者
このミニカラオケが多く設置されているのがショッピングセンターなどの商業施設で、ちょっとした隙間時間での利用がメインとなっている。私が試したミニカラオケも、ショッピングセンター内の映画館やレストランの横に設置されており、映画や食事の待ち時間を利用した顧客が多いようだ。
手軽に暇つぶしができる点がうけ、中国のミニカラオケ市場は急拡大している。調査会社iiMedia Researchが発表した「2017年中国ミニカラオケ産業白書」によると、17年のミニカラオケ市場は35.2億元(約600億円)に達し、19年には140億元(約2400億円)に達する見通しとなっている。
カラオケ以外でも、トレーニングジムや図書館などの無人サービスが登場しており、無人化の波は着実に押し寄せている。
期待される日本企業のノウハウ
小売りやサービス業での無人化が進んでいる中国の無人消費市場は今後更なる拡大が期待されている。中商産業研究院が発表した「2017年中国無人販売市場展望研究報告」では、中国の無人消費は17年の100億元(約1700億円)から22年には100倍の1兆元(約17兆円)に達し、ユーザーは2.4億人を超えると予想している。
中国無人消費市場に参入を始めた日本企業もでてきた。イオンの子会社であるイオンディライトは、中国のIT企業ディープブルーテクノロジー(深蘭科技)と合弁会社を設立し、無人店舗の開発に乗り出す。
これまでの無人コンビニは、無人化技術に偏重しており品揃えの悪さを指摘する声が多かったが、イオンの小売りのノウハウとディープブルーの技術力とのシナジー効果が期待できそうだ。
モバイル決済の普及や人件費の高騰を背景に急拡大する中国の無人消費市場。小売りやサービスなどの従来型ビジネスにおいては多くのノウハウを持つ日本企業と、AIや顔認証などの先端技術に長けた中国新興企業との異業種間による提携が今後増えてくるかもしれない。
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『高齢化控える中国「老人の世話は…」発言の波紋 約束した「年金による老後の生活保障」は反故か』(5/18日経ビジネスオンライン 北村豊)について

5/18希望之声<“中兴案”似难翻身 美众议院禁止取消制裁=ZTE制裁案件は引っ繰り返すのは難しいだろう 米下院は制裁取消を禁止する>17日下院は「ZTE制裁保持修正案」を提出し、商務省がZTEへの輸出禁止令を取消すのを禁じた。下院通過後、上院で可決されれば、法案成立となる。下院での投票は6月中に行われる見込み。法案提出後トランプはZTEに言及することはなくなった。マルコ・ルビオ議員はFOXニュースに「私はZTEとか華為とかいう会社に済まないという感情は持たない。中国政府が支持してきた企業が既に多くの我が国の会社を倒産させてきた。彼らはこのようにして経済的、ネポテイズム(中国企業に米国高官及びその縁者を雇用の意味?)を利用して、国家の安全を危険に晒している。我々は彼らを助けるべきではない」と。

https://www.soundofhope.org/gb/2018/05/18/n1792512.html

5/20日経朝刊<中国、米製品の購入拡大 両国合意 1日遅れで声明>共同声明は「米国が検討する対中制裁の撤回には触れておらず、両国は「高いレベルで引き続き貿易問題の解決策を探る」としている。」とあり、駆け引きが続きます。次は王岐山の出番でしょうが、ポールソン人脈がどの程度生きているかでしょう。ゴールドマンサックス繋がりで言えば、ムニューチンですが、前回北京での会合時にもムニューチンが譲歩する様子は窺えませんでした。次はラリー・クドロー辺りに焦点を充てるのかもしれませんが、トランプの思惑と外れることはできないでしょう。米中貿易摩擦は米国の対中高関税で終わるというか、次には金融制裁が待っているという気がします。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30740300Q8A520C1000000/?nf=1

5/18日経ビジネスオンライン<中国頼みだったスクラップ処理が危機に 日本資源戦略の危機、サントリーが放つ一手とは 馬場 未希>中国が環境保護を意識してスクラップの輸入を減らし、国内でのリサイクルを強化するとのこと、うまく行くかどうかです。まあ、中国人に分別回収は難しいのでは。何でも道路に捨てる公衆道徳のない人が大半なので、上の号令があるからといってすぐにできるかというとそうはならないのでは。北京市の石炭使用禁止令のようにガス供給が間に合わなくて撤回に追い込まれたように、企業の原料が調達できなくなって撤回に追い込まれることは充分考えられます。しかし日本ではもっと国内でゴミを資源として活用する方向に行かないと。中国だけでなく世界にスクラップを輸出するのはどうかと。勿論、中古の物は良いと思いますが。ゴミと中古の線引きが難しいかも。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16eco/042500006/051700009/?n_cid=nbpnbo_mlpum

5/20日経朝刊<中国の「ダム攻勢」、メコン川流域の東南ア諸国を翻弄

カンボジア北東部ストゥントレン州の稲作農家のサム・イン氏は2016年、東南アジア最長の河川であるメコン川の支流沿いにあった家から立ち退いた。今年後半に本格稼働すれば、発電能力400メガ(メガは100万)ワットと同国で最大規模のダムになる「セサン2」建設に伴い、村が水没するためだ。

メコン川でのダム開発は漁獲量の減少を招くという(支流のカンボジア・トンレサップ川で魚を捕る漁民の親子)

10年ほど前にダムの計画を聞かされた際、サム・イン氏ら村民は反対した。カンボジア政府は、ダムの発電が国全体に寄与すると説明した。代替地には、政府が約束した灌漑(かんがい)施設も農機具もなく、生産性は以前の半分以下に低下したという。メコン川流域ではほかにも、ダム建設により稲作に必要な川の堆積物が減り、魚も絶滅の危機にひんすると予想される。

カンボジアは12年、中国の支援を得て「セサン2」のプロジェクトを推進した。中国発電最大手の中国華能集団の子会社が、ダム会社の過半数の株を持つ。中国によるダム建設は、メコン川に頼る6000万人規模に上る東南アジアの流域住民の生活を、大きく変えつつある。中国は全長約4800キロメートルの川のうち、自国の上流域を制御し、下流域には摩擦や懸念を引き起こす。一部の専門家は、物流なども含むメコン川流域国のリスクの度合いを、中国による南シナ海の人工島建設と比べる。

米非政府組織(NGO)インターナショナルリバーズによると、中国以外のメコン川本流で計画するダム11カ所のうち、6カ所は中国の支援を受ける。一方、欧米や日本などの投資家は、メコン川のダム開発から撤退しつつあるようだ。日本が最大株主のアジア開発銀行(ADB)は環境への影響を考慮し、メコン川本流での水力発電プロジェクトへの融資を凍結した。

中国政府は、メコン川を使った巧みな外交攻勢を展開してきた。16年の干ばつでは下流域の水流を改善するため、上流域のダムからの放水を発表した。特に緊張が高まっていたベトナムとの関係改善に役立てたかったようだ。タイやラオス、ミャンマーも含め流域国はダムについて、巨大な貿易相手や投資国となった中国への反対は難しいと感じている。中国は15年に発足した、中国を含む流域6カ国の新たな枠組み「瀾滄江―メコン川協力(LMC)」も主導した。16年の第1回首脳会議では、流域開発に100億ドル(約1.1兆円)超の融資枠を設けると約束した。

電力の需要は高まっている。カンボジア政府は、約50%の家庭にしか電気が届かない現状を、30年までに70%まで改善したいとする。ラオスも、電力販売により「東南アジアの電源」となるのを望む。だが電力供給が増えても、環境への悪影響のほうが大きいという研究結果は少なくない。タイのメーファールアン大学の17年の報告書によれば、30年までに計画中のダムがすべて完成すると、下流域の国への悪影響は今後半世紀ほどで73億ドルにのぼる。

東南アジア最大の淡水湖、カンボジアのトンレサップ湖は同国の全漁獲量の半分以上を占める。湖水の約60%はメコン川から流れ込むが、上流のダム開発は魚の回遊を妨げ、漁獲量の減少を招く。漁業を営むオエル・ネイビー氏は「どこかの政府が発電のためダムをつくっていると聞くが、自分に関係があるとは感じられない。生きていくため、もっと魚を捕りたい」と話す。

(バンコク=小野由香子)>(以上)

中国は環境保護強化を謳っていますが、それなら下流の国々に迷惑がかかるダムの建設は止めるべきでは。中国の水源はチベットにあり、元々中国とは別の国です。漢民族お得意の歴史の改竄・捏造です。結局水を政治的に利用し、東南アジア諸国を中国に從わせようという帝国主義的振舞いなのでは。

北村氏記事で感じますのは、中国の年金や医療保険の基金は高級官僚が着服して、全員に給付することはできないのではという事です。それでなくとも低い給付なのに、それすらできないような状況になっているという事です。また、北村氏が言いたかったのは「中国の夢」なる中華帝国を作るための軍拡を止め、その財源をもっと福祉に充てたらと言うものと理解しました。大賛成です。中国の平和的台頭は歓迎しますが、軍拡には反対します。世界の平和への攪乱要素となりますので。でも中国人の性格から言って無理でしょう。自己中で周りを見ませんから。今、井波律子氏の『中国侠客列伝』を読んでいますが、非常に面白い。紀元前まで中国には自分の命を顧みず、他人の為に戦った侠(おとこ)が沢山いたという話です。秦の始皇帝の命を狙った荊軻も含まれています。長い歴史の中で、漢民族は北方民族に圧迫され(北宋時代)、南に下っていき、昔の漢族が残っているは今の広東省や福建省の客家だとも言われています。客家たちでも、昔の侠(おとこ)と言われる人は少ないでしょうが。

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一人っ子を失った両親による北京での抗議集会(写真:ロイター/アフロ、2016年4月18日撮影)

5月12日は“国際護士節(国際看護師の日)”である。この日は、1854年に勃発したクリミア戦争に看護婦として従軍し、その目覚ましい働きから「クリミアの天使」と呼ばれ、後に英国の看護教育に貢献して、「近代看護教育の母」と呼ばれたフローレンス・ナイチンゲールの誕生日であり、これにちなんでスイスのジュネーブに本部を置く国際看護師協会が1965年に「国際看護師の日」を制定した。

国際看護師の日を2日後に控えた5月10日、中国政府“国家衛生健康委員会”(以下「国家衛生委」)は記者会見を行った。それは、2008年1月に公布された『“護士条例(看護師条例)”』の実施10周年と中国が2008年5月に国際看護師の日を初めて実施してから10周年に当たることを記念して開催されたのだった。

この記者会見に出席した国家衛生委“医政医管局”副局長の“焦雅輝”(女性)は以下のように述べた。

【1】『看護師条例』の施行以来、看護事業は急速な発展を遂げ、顕著な成果を納めている。2017年末における、我が国の登録看護師の総数は380万人を超えており、衛生・家族計画専門技術者の42.3%を占めている。彼らの67%が大学卒業以上の学歴を持っている。ここ数年、我々は看護士の労働条件を絶えず改善し、看護師の待遇を保障し、労働と成績に応じた報酬を実現し、看護師の積極性を引き出している。

【2】データによれば、目下のところ、中国の60歳以上の老人は約2.4億人で、65歳以上の老人は約1.6億人であるが、その中には要介護と要支援の老人が相当数含まれている。但し、老人介護と老人看護に携わる看護師は慢性的に不足し、看護師の増員は急務であり、2020年までに全国の看護師を450万人にする目標を達成する必要がある。

【3】これら看護師による優良看護サービスはすでに全ての“三級医院(上級医院)”で実施されており、90%近い“二級医院(中級医院)”でも優良看護サービスが展開されている。しかし、今後さらに増大する老齢人口に対応するためには、これら医院の介護サービスだけに頼っている訳にはいかない。そこで、国家衛生委は人々の看護サービスに対する多様化した複合的な要求に対応すべく、看護師部隊の創設を強化し、新たな看護サービスモデルを創り、看護サービスの供給を増大させ、看護サービス業務の改革と発展を推進する。

【4】現在2.4億人に達している60歳以上の老人は、今後さらに増大するが、我々は積極的に人口の高齢化に対応し、老人介護と老人看護を発展させなければならないが、そのためには「誰が世話をする」、「誰の世話をする」、「誰がカネを出す」などの問題を解決しなければならない。我が国の国情から見て、政府機関による看護は我々の主要な方向ではない。将来、これら老人たちを看護する主体と主要なモデルは“社区(地域社会)”と家庭である。特に地域社会では、現在多くの地方で互助式の“養老(老人をいたわり養う)”が模索されており、都市には老人が集中する老人アパートや地域社会があり、農村には民政部門が推進しているものに似た“養老”のための“幸福院”、または互助の“養老”モデルがある。村の“衛生室(診療室)”付近では、村の医師が日常的に健康サービスを提供している。

【5】誰がカネを出して老人の世話をするのかという問題を解決する件に関しては、日本の経験を参考にして、医療保険の他に長期看護保険があるので、老人の長期医療看護問題は解決できる。我が国では中央政府の人力資源・社会保障部門が先頭に立ち、全国の一部の都市で長期看護保険の試験を行っており、長期医療看護の費用負担問題の解決を図っている。この他に、我が国は民間保険をさらに発展させ、民間保険会社に老人の長期介護と看護に特化した保険を開発して補充作用を発揮してもらわねばならない。

「中国の年金政策は不公平、無責任、不透明」

上述した焦雅輝副局長の発言を受けて、米国の中国語ニュースサイトである“阿波羅新聞網(アポロニュースネット)”は、5月12日付で「人を驚かす社会保障の内幕、中国は約束の履行を拒否して、“養老”を地域社会や家庭に押し付ける」と題する同ネットの記者の筆による記事を報じた。その概要は以下の通り。

(1)数日前、中国版Twitterである“微信(WeChat)”の“朋友圏(モーメンツ)”に“独生子(一人っ子)”という題名の写真が掲載され、大きな話題となった。それは1人の若い男性が2つ並んだ病院のベッドの間に座り、左右のベッドに横たわる2人の患者を見守っている写真であった。ベッドに横たわっているのは病気に倒れた彼の父母で、右のベッドには父親が、左のベッドには母親が、それぞれ憔悴しきった様子で写っていた。“朋友圏”で結ばれた人々は写真を見た後に評価を返信したが、中には涙をこらえきれない人もいた。その写真が表していたのは中国政府による一人っ子政策がもたらした高齢化問題の厳しい現実であるが、中国政府はまたしてもその責任を回避しようとしている。5月10日、中国政府の国家衛生委は、老人医療看護問題の解決を強力に推進するとして、未来の老人看護は主として地域社会と家庭が受け持つことになるだろうと言明した。

(2)最近、写真家の“張審軍”が撮影した“独生子”と題する作品がネット上に繰り返し投稿されたが、これを見たあるネットユーザーは「この写真は人を絶望させる」と述べた。3月8日午後に中国メディアのインタビューに答えた張審軍は、「写真は社会の忌諱(きき)<注1>に触れるかもしれない。それは主として一人っ子政策との時代的な関連性である。この写真を撮影したのは2013年だが、写真の中に写っている母親はすでにこの世を去った」と述べた。
<注1>「忌諱(きき)」とは、嫌って避けること。

(3)時事評論家の“李沐陽”は、「これは今の中国の現実であり、中国が30年以上にわたって推進してきた計画出産政策で生まれた第一世代の一人っ子が40歳前後の中年になった。誰もが知っているように、現在この年代は「“上有老(上に老人)”、“下有小(下に子供)”」の段階にある。一人っ子が直面している家庭構造はどのようなものだろうか。ある学者は現在の家庭構造を「4+2+1」と表現している。すなわち、上には夫婦の両親である60歳を過ぎた老人が4人いて、下には未成年の子供が1人いる。

(4)少し前にネット上に『インフルエンザ下における北京の中年』と題する文章が掲載されたことがあった。それは北京の中産階級の話で、1人の老人がインフルエンザに罹って病気になると、医療費が高いので2カ月も経たないうちに長年蓄えた家財が空っぽになるというものだったが、もしこれが他の地方だったらどうだろう。これは想像したくない問題だが、中国では実際に必ず直面しなければならない問題である。それが“養老”問題だったらどうだろうか。

(5)著名な経済学者である“郎咸平”はかつて文章の中で、中国の年金政策には不公平、無責任、不透明という重大な問題が存在していると指摘した。不公平な問題は2つある。第1は、給料の8%が年金保険料として自動的に天引きされる。第2は、低収入の人々が徴収される年金保険料が割高である。中国政府は月収の最低基準で計算して保険料の納付を要求しているが、月収が最低基準に到達していない人も同じ基準で保険料を納付しなければならず、低収入の人々はそれ以上の負担を求められているのに等しい。退職者の年金はもっと不公平である。公務員の年金は企業職員の年金より数倍も高い。

話は変わるが、年金保険に加入していて保険契約の解除を求めても、思い通りに解除して従来納入した保険料の払い戻しを受けることができた人はほとんどいない。2007年頃、広東省“深セン市”では494万人が年金保険に加入していたが、保険契約を解除した人は83万人に達した。彼らのうち、保険料の払い戻しを受けることに成功したのは9672人に過ぎず、残る82万人が納入した保険料は一銭も払い戻しされなかった。この金額は巨大である。同様に、企業が職員のために納入する年金保険料(給料の20%)は社会統一管理口座に収められるが、その口座に集められた保険料がどのように運用されているか、運用益がどうなっているかは全く知らされていない。

「政府が責任を持つのは不可能」

(6)郎咸平が述べているように中国の年金政策には不公平、無責任、不透明という重大な問題が存在しているというのに、5月10日に国家衛生委の焦雅輝副局長は将来の“養老”の主役は中国政府ではなく、地域社会や家庭だと言明したのである。この点について米国ウイスコンシン州立大学の客員教授で中国人口学者の“易富賢”は、次のように述べた。すなわち、中国の老齢人口が直面する“養老”問題は極めて深刻である。中国政府が過去に計画出産政策を実行した時には、政府は国民の“養老”に責任を負うと約束していたのに、高齢化問題がますます深刻な状況になったら、政府が“養老”に責任を持つことなど根本的に不可能と表明している。これはどう考えても政府の身勝手であると言える。

(7)2015年12月、“失独者(一人っ子を亡くした父母)”の代表が北京に集まり、当時の「国家衛生・計画出産委員会(現:国家衛生委)」に対し、一人っ子の子供が死亡したことにより自分たちの“養老”に多大な負の影響が出ている旨を訴えた<注2>。しかし、国家衛生・計画出産委員会の回答は、一人っ子が死亡した家庭に国家が行政保障を行うとの法的根拠はないというものであった。

<注2>“失独者”の詳細については、2015年12月11日付の本リポート『「一人っ子」亡くし、56歳で出産した母の挑戦』参照。

中国には1996年8月に制定され、2012年12月と2015年4月に改正された『老人権益保障法』という法律があり、以下の条文が明記されている。

【第2章 家庭扶養】
第13条:老人の“養老”は住家を基礎とし、家庭構成員は老人を尊重、重視、世話しなければならない。

第14条:扶養者は老人に対し経済上の扶養、生活上の世話と精神的上の慰めを履行すべきであり、老人の特殊な要求に対応しなければならない。扶養者とは老人の子女およびその他法に照らして扶養義務を負う人を指す。扶養者の配偶者は扶養者の扶養義務の履行に協力せねばならない。

第18条:家庭構成員は老人の精神的要求に関心を払わねばならず、老人を無視したり、冷遇してはならない。老人と別居している家庭構成員は絶えず老人を見舞ったり、ご機嫌伺いをしなければならない。雇用組織は国家の規定に基づき扶養者が帰省休暇を取る権利を保障しなければならない。

【第3章 社会保障】
第28条:国家は基本年金保険制度を通じて、老人の基本的生活を保障する。
第29条:国家は基本医療保険制度を通じて、老人の基本医用の需要を保証する。最低生活保障を受ける老人と低収入家庭の条件に符合する老人は、参加する新型農村協力医療保険と都市住民基本医療保険が必要とする個人の納入する保険料を政府が補助する。

ところで、2012年12月に改正された同法は2013年7月1日に発効したが、その発効当日に江蘇省“無錫市”の“北塘区人民法院(下級裁判所)”で公開審理が行われた親の扶養を巡る裁判は、原告である親が、家庭内紛で家を出て、親との関係を絶った娘と娘婿を被告として訴えたものだったが、判決は被告に対し親に一定の経済的保障を与えるほかに、少なくとも2カ月に1回は親を見舞うことを命じた。第18条は2012年12月の改正で修正が加えられた条文で、この判決が親を定期的に見舞うのを命じた最初の判例となった。

不足する施設や看護、介護スタッフ

話は本題に戻る。上記の条文からも分かるように、中国政府は国家が年金制度を通じて老人の基本的生活を保障すると約束したはずである。しかし、郎咸平が述べている不公平、無責任、不透明な年金政策と乱脈な年金運用による結果かどうかは分からないが、2017年4月時点で“清華大学”の報告書は国民から集めた年金資金が4.7兆元(約80兆円)も不足していると指摘しているし、2017年12月に中国政府の報告書が多数の一級行政区(省・自治区・直轄市)で年金資金の不足が急を告げていると述べている。中国政府は年金資金不足を懸命に否定し、年金財政は健全であると公言しているが、すでに中国の年金制度は破綻したと公言する学者もいるのである。

そうした状況下で国家衛生委の焦雅輝副局長が「今後、“養老”の主体は国家ではなく、地域社会と家庭である」と言明したことで、中国の年金制度が危機的状況にあり、社会保障全般に問題があるのではと、国民が危機感を募らせる結果となったのである。

中国には養老施設が2017年末時点で15.4万カ所存在しているが、正式に登録されているのは約2.9万カ所にすぎず、これら施設のベッド数は700万床しかなく、とうてい現在2.4億人いる60歳以上の老人の中で介護や看護を必要とする人々を収容できる態勢には程遠い現状である。また、国家資格を持つ介護士は2万人しかおらず、今後必要となる介護士1000万人を養成するには相当な年月を必要とする。

“養老”を地域社会や家庭が主体となって行うにしても、要介護や要看護の老人を世話するのには限度がある。限度を超えた段階では、国家が彼らを受け入れる必要があるが、それが期待できないとなれば、現在の日本で問題となっている親の介護を理由とする退職や老々介護が増大することになるだろう。中国の高齢者は2050年には4.8億人となり、予測される総人口13.6億人の35%を占めることになる。

世界第2の経済大国となった中国は、習近平が提唱する「中国の夢」を実現して世界に覇を唱えようとしているが、超高齢社会(65歳以上の人口が全人口の21%以上)が到来することを念頭に今から万全な対策を取り、地道な努力を積み重ねないと、悲惨な未来が待つことになるだろう。

中国の史書『戦国策』にある“燕策”の故事から出たとされることわざ「先ず隗(かい)より始めよ」(意味:遠大な事業や計画を始めるときには、まずは手近なところから着手するのがいい)の精神は、今の中国にとって不可欠なものではないだろうか。

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『リムパック参加の中国軍、次は何をしでかすのか?国際ルールを無視して米軍機に高出力レーザー照射』(5/17JBプレス 北村淳)について

5/17看中国<习近平到军科院发声 毛新宇再次被关注(组图)=習近平は軍事科学院で声を上げた 毛新宇はまた注目を浴びた>毛沢東の嫡孫で朝鮮での自動車事故で亡くなったと韓国で報道されていた毛新宇は生きていたようです。習はZTEの問題で焦って中国軍の科学技術力を上げるよう5回の会議を通じてはっぱをかけたとのこと。会議が終わった後の宴会で習は毛新宇を見て見ぬふりをしたと。毛新宇は軍事科学院戦争研究院副院長の肩書きを得たとも。(下記URLでは記事が出ないようなので、表題をコピペして検索ください)

https://www.secretchina.com/news/gb/2018/05/17/858895.html

5/14Share News Japan<琉球新報「レーザー照射や凧揚げは市民の抗議行動。米軍機はそれで墜落するほど脆弱なのか」>ここまで言われりゃ米軍もレーザー照射や凧揚げする人間に機銃掃射でも浴びせて見たら。被害が出たら文句は琉球新報に言えば良いでしょう。まあ、冗談ですが。沖縄は無法地帯になっています。国民の関心が行かないので、敵に付け込まれやすいという事です。翁長が膵臓癌で辞任するかも知れず、自民党は早めに沖縄県知事候補を立てた方が良いというのが小坪慎也氏の意見です。彼は安里繁信氏を応援しています。翁長も元々は自民党沖縄県連の幹事長だったのに、結局共産党に魂を売った変節漢です。前例がありますので自民党だからと言って安心はできませんが、安里氏は翁長よりは100倍以上に良いでしょう。県警本部長の交代を具申して、違法デモやストライキを厳しく取り締まらないと。福島瑞穂が出て来たら、ネットで目一杯、晒してやれば良いでしょう。国会議員の不逮捕特権は国会開会中だけです。いくらアホでも閉会中に変なことはしないと思いますが。

https://snjpn.net/archives/51254

https://samurai20.jp/2018/05/asato/

左翼の発想は似通るようで、①ルールを守らない②自己中心の人の集団です。ジブチの人民解放軍と沖縄の反基地運動をしている人間の行動の何と似ていることか。両方とも米軍パイロットに何かあれば、戦争勃発や日米同盟の崩壊に繋がりかねません。まあ、敵はそれを狙っているのでしょうけど。平和を唱え、暴力反対をスローガンに掲げる人が一番その反対の行動をするという分かり易い事例です。違法な反対運動をしている人間を日本政府が取り締まれないなら、米軍に頼んで取り締まって貰ったら。米軍が反対派を基地に引きずり込み、グアンタナモまで連れて行って、水責めにでもしたら良いでしょう。ハスペル氏は上院公聴会で拷問は再開しないと答えて、CIA長官として上院で承認されましたが。まあ、米軍が取り調べれば、簡単に裏の活動資金がどこから出ているか簡単に明らかになるでしょう。中国と朝鮮半島でしょうけど。敵はそうできないことを知悉しているので歯がゆい思いをします。

リムパックに中国を参加させる必要はないと思います。貿易摩擦とも絡めて、国際ルールを守れない国は、参加資格はないと断れば良いでしょう。時間が迫っているからというのは関係ありません。中国なんかギリギリになって態度を豹変するのを何度も見ました。そうすれば相手が代替を探すのに時間やコストがかかるだろうと踏んで、足元を見て吹っかけてくるわけです。それに負けては駄目。日本人はその点が甘すぎです。

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ジブチにある米軍基地キャンプ・レモニエで軍用機に乗り込む海兵隊や水兵ら。米国防総省提供(2013年12月24日撮影、資料写真)。(c)AFP PHOTO / US DEPARTMENT OF DEFENSE / US Marine Corps Staff Sgt. Robert L. Fisher III〔AFPBB News

紅海とアデン湾を結ぶ海上交通の要衝に位置するジブチの首都ジブチ市周辺には、かつて宗主国であったフランス軍の基地をはじめ、大規模なアメリカ軍基地、ドイツ軍、イタリア軍、スペイン軍の施設、それに自衛隊初の海外基地などが存在している。それらに加えて昨年(2017年)夏には、中国軍初の海外基地も開設された。

ちなみに、フランス、アメリカ、日本、ドイツ、イタリア、スペインの軍事施設はいずれもジブチ国際空港に位置している。その中で最大の施設はアメリカ軍のキャンプ・レモニエであり(滑走路はジブチ国際空港と共用)、それと隣接してフランス軍と自衛隊の基地が設置されている。中国軍基地はキャンプ・レモニエからジブチ市街を挟んで10キロメートルほどの海岸にある。

ジブチは紅海とアデン湾を結ぶ海上交通の要衝に位置する(出所:Googleマップ)

ジブチで、中国軍事基地の開設式に参加した中国人民解放軍の軍人ら(2017年8月1日撮影)。(c)AFP PHOTO / STR〔AFPBB News

米軍機へのレーザー照射で搭乗員が負傷

そのジブチで、4月下旬から5月上旬にかけて、キャンプ・レモニエから発着するアメリカ軍航空機に対して強力なレーザーが照射される事件が連続して発生した。そして5月2日には、米空軍C-130輸送機の搭乗員2名が、レーザーの照射を受けて負傷するという事態にまで至った。

幸いにも失明するような重傷ではなかったものの、ペンタゴン広報官によると「ジブチで頻発している米軍機に対するレーザー照射事件で用いられているレーザーは、極めて高出力であり、市販のレーザー装置から発せられたものではなく軍用レーザーと考えざるをえない・・・場合によっては失明の恐れもあり、極めて危険な行為である」ということである。

米軍機に対する一連の軍用レーザーによる“照射攻撃”は、いずれも中国軍基地付近から発せられていた。そのため、連邦航空局(FAA)は「中国軍ジブチ基地周辺750メートル付近から高出力レーザーが照射された事案が数回発生している。この地域周辺を通過する際には、最大限の注意を払うように」といった警告を航空関係者に対して発した。

各国のジブチ基地エリア

中国政府は米政府の抗議を一蹴

照射事件が起き始めてから数件に関しては、搭乗員たちに直接的被害が発生しなかったこともあり、米側が中国側に抗議することはなかった。しかし、負傷者が生ずるに至って、アメリカ政府は中国政府に対して公式な外交的抗議を申し渡した。

ところが中国側の反応は、米軍当局が予想していたとおり「米軍機に対して故意にレーザーを照射した覚えはない」「基地周辺でのレーザー照射は、鳥を追い払うためと、基地上空に接近する可能性があるドローンを撃退するためである」といった声が聞こえてくるのみであった。中国外交当局も「厳正に事態を調査したが、アメリカの主張は全く根拠のないものである」と米側の公式抗議を一蹴している。

中国によるレーザー照射に米軍が激怒しているのは、失明の恐れすらあるような危険な攻撃を受けたことに対する直接的な怒りだけではなく、中国がジブチおいても国際的取り決めを守らないことに対してである。

中国は高出力レーザーの使用に関する国際的取り決めに参加している。それにもかかわらず、数回にわたって軍用レーザーを米軍機に向けて照射し、そのうえ中国国防当局は「中国は、地域の安全保障と平和維持のために、国際ルールそして現地の法令などに厳正に従って行動している。言われなき外交的抗議は受け付けない」と米国側の抗議を無視する姿勢を崩さない。

「関与政策」のなれのはて

米軍関係者からは、「百歩譲って、米軍機に対する軍用レーザー照射事件が、上部からの命令に従ったのではなく個人が勝手に行ったものであったとしても、海外に駐屯する部隊の統制すらまともに行えない無責任な国際協力部隊の存在は、迷惑なだけでなく危険極まりない」と危惧の念も聞こえている。

そして、今回の高出力レーザー照射事件や、南シナ海での人工島建設のように、中国が国際ルールを踏みにじる行為を繰り返しているのは、アメリカ側にも責任の一端があるという指摘がある。つまり、アメリカ側が「なんとかして中国を国際社会の枠組みに組み込んでしまおう」という、いわゆる「関与政策」をとり続けて来たことの結果だというわけだ。

今年になってトランプ政権は、国際安全保障環境を「大国間の角逐」状況にあると明言するに至った。すなわち、中国との関係は、これまでの協調関係の維持を目指す「関与政策」から一転して、対決に打ち勝つことを前提とした「封じ込め」、あるいはそこまでいかなくとも「封じ込め的政策」へと大きく舵を切ったのである。

「RIMPAC-2018から中国を閉め出せ」

そこで対中強硬派の米海軍関係者たちの間に、レーザー照射事件を機に、またまた浮上してきたのが「RIMPAC-2018から中国海軍を閉め出せ」という声である。

RIMPAC(リムパック)とは、2年に一度アメリカ太平洋艦隊が主催して行われる多国籍海軍合同演習だ。各国の海軍(海兵隊を含む)が参加し、ホノルルを中心に実施される。2014年からは中国も参加するようになり、今年の夏に開催されるRIMPACにも参加することになっている。

なぜ、米海軍を中心とする同盟海軍にとって仮想敵である中国が、合同演習に参加し始めたのか? それは、中国に対する弱腰ともいえるほどの「関与政策」を取っていたオバマ政権が、多くの米海軍関係者たちの反対を押し切って招待したからであった。

しかしながら、1回目の参加(RIMPAC-2014)では、中国海軍は公式に参加した艦艇以外にも電子情報収集艦(スパイ艦)を訓練海域に派遣して情報収集活動を展開するという国際ルール違反を犯した。そして2回目のRIMPAC-2016では、参加国の“仲間”である海上自衛隊に対して公然と非礼を行うという国際的な海軍信義則を踏みにじる行為を繰り返して、主催者である米海軍を困惑させるとともに激怒させた(参考「中国海軍の参加で意味不明となりつつあるリムパック」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/50446)。

このため、今回のジブチでのレーザー照射事件を受けて、これまで何度も中国海軍をRIMPACから排除せよと主張してきた米海軍対中強硬派の人々の間から、「これまでRIMPACに参加させることによって、中国軍が国際ルールを尊重するよう促してきたものの、全く効果はない。アメリカの安全保障戦略の基本的スタンスが『大国間角逐』へと方針転換したのであるから、この際RIMPAC-2018から中国を閉め出すべきだ」との声が上がっている。

とはいっても、RIMPAC-2018への中国海軍の参加を間近に迫った現時点で拒絶するのは外交的には困難と考えざるを得ない。そのため、対中強硬派は「中国海軍は今度はなにをしでかすのか?」と身構えるしかないというのが現状である。

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