『ベトナムの英雄姉妹はどこが卑弥呼と大違いなのか 日本の「反中」を信じきれないベトナムの胸のうち』(9/12JBプレス 川島博之)について

9/14日経夕刊には「天皇・皇后両陛下訪越」の記事が出ていました。

両陛下、ベトナム訪問へ 

フォームの終わり

宮内庁は14日、天皇、皇后両陛下が来春にベトナムを訪問される方向で調整していることを明らかにした。両陛下の海外訪問は、友好親善と戦没者慰霊のために今年1月に訪れたフィリピン以来。訪問時期は3~4月となる見通し。滞在期間は3泊4日程度で検討している。首都ハノイ以外の訪問先などは未定という。

宮内庁によると、天皇陛下はこれまでも訪日したベトナムの国家主席らと面会した際に訪問要請を受けており、両国間の親善のために訪問を希望されたとみられる。皇族では1999年に秋篠宮ご夫妻が、2009年に皇太子さまが同国に親善訪問されている。

菅義偉官房長官は同日午前の記者会見で、両陛下のベトナム訪問について「ベトナムの歴代国家主席が日本を訪問しているが、両陛下のベトナムご訪問はこれまで実現しておらず、累次にわたり招待があった」と述べた。>(以上)

国家間に永遠の友好はないにしろ、少なくとも今の中国・韓国のような敵国に両陛下が訪問されることはありません。加藤紘一官房長官(当時)は天安門事件後の西側諸国の制裁で困っていた中国の銭其琛・外相の要請を受け、宮澤内閣は愚かにも両陛下の訪中を決断し、平成4年10月23日訪中を実現しました。天皇の政治利用という意味で、大きな政治的誤りです。ですから先日早世したのでしょう。心ある日本人の怨嗟の声が届いたかどうか。

日本は、ベトナム戦争時には米軍の出発基地でした。それでも日本人を悪くは思っていないのは以前の旅行時にも感じました。反日教育で洗脳され、政府の批判が許されない中国とは大きく違います。今の中国・広東省は、昔は南越と呼び、今のベトナムの中国語での呼び名は越南です。何となく民族的には混淆を繰り返してきたのかなあと感じます。でも性格は両者で全然違いますが。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%97%E8%B6%8A%E5%9B%BD

http://heartland.geocities.jp/zae06141/Nanetsu1.html

中原から離れれば離れるほど、動物扱いです。東夷西戎北荻南蛮とも言われます。福建省は闽ですし、魏や蜀も鬼や虫が入っています。日本も倭奴国ですから。倭は漢和辞典で調べますと「背が曲がって丈の低い小人の意。矮と同系。」とありました。奴は言わずもがなです。こんな風に見下されていましたのに、聖徳太子は煬帝に毅然とした国書を出しています。今の日本人に足りない部分でしょう。

ベトナムは中国・韓国と違い寛恕の精神を持っています。なかった話を捏造して、世界に嘘を撒き散らし、日本を強請ろうとする民族とは違います。長い間、中国と戦ってきて、中国人の本質を理解しているからでしょう。朝鮮半島がダメなのは、1000年属国と言われますように中国に戦争で勝てず、隷従してきたため、中国人以上にこすからく、逃げ足が速いという所でしょうか。下記のURLは如何に韓国がベトナムに非道を行ってきたかが書かれています。ご参考まで。

http://www.mercury.sannet.ne.jp/emadukawiemogosi/1112KankokuNoSensooHanzai.html

安倍首相も中国封じ込めには日米豪印比越+露で固いタッグを組みませんと。韓国の慰安婦合意のような中途半端をすれば信頼は失われます。期待している人達(含む外国人)の期待を裏切らないでほしい。

記事

vietnam-1

写真1 祠(ほこら)に祭られている徴姉妹(ハイ・バー・チュン)像、ベトナムにて。筆者撮影(以下同)

ベトナムで語り継がれる英雄姉妹

ハイ・バー・チュン(徴姉妹)。この物語はベトナム人なら誰でも知っている。小学校の教科書に書いてあるからだ。そして、学校で習う前に親や祖父母から聞く話でもある。

それは、こんな話。紀元1世紀。当時、ベトナムは中国(後漢)の支配下にあった。代官が重い税金を課す。反抗したベトナム人を殺す。やりたい放題で、民衆を大いに苦しめていた。

そんな状況に対して、果敢に反乱を起こしたのが徴姉妹。ベトナム語で「ハイ・バー・チュン」と発音する。

反乱は成功し、一時的に独立を勝ち取ったが、その後、鎮圧のために派遣された漢軍に敗れ、姉妹は禁渓の地(現在のハノイ付近)で戦死したとベトナムの教科書には書かれている。

中国の史書によると姉妹は漢軍に捕まって斬首され、その首は塩漬けにされて首都洛陽に送られたとされるが、民衆の間では姉妹は雲の中に消えて行ったと言う話が好まれているようだ。

どの国にもある英雄譚(えいゆうたん)だが、英雄が女性、それも姉妹であるところが人気の秘密だろう。

当時、ベトナムには文字がなかった。そのために、その詳細を知るには中国の史書に頼るしかない。ただ、一方的に中国の史書が語るだけでなく、ベトナムでは民衆の伝承としてこの話が伝わっている。親から子へと語り継がれている。

冒頭の写真と次の写真2は、ハノイの中心部にあるハイ・バー・チュンを祭った廟堂(びょうどう)だ。日本仏教寺院に似ているが、その形式は中国の影響を強く受けており、写真3に示すように廟堂の屋根には龍の文様が付いていた。

また、写真4に示すように、ハイ・バー・チュンはハノイの目抜き通りの名称にもなっている。首都の大通りの名称になるぐらい、ハイ・バー・チュンはベトナム人にとって身近な存在なのだ。

vietnam-2

写真2 ハイ・バー・チュン像を祭る寺の外観

vietnam-3

写真3 寺の屋根にある龍の装飾

vietnam-4

写真4 主要道路の名称が「ハイ・バー・チュン」であることを示す看板

「卑弥呼」との違いが意味すること

この話を聞いて思い出したのが卑弥呼だ。ハイ・バー・チュンと共に中国の史書に記録が残っている女性である。卑弥呼は3世紀の人であり、双方とも今から約2000年前の人間である。

ただ、その伝承が異なっている。日本人は卑弥呼のことを忘れてしまったが、魏志倭人伝に記録があるために、近世になってその存在を知ることになった。ハイ・バー・チュンと卑弥呼の違いは、ベトナムと日本の中国に対する態度の違いを象徴するものにもなっている。

陸続きであったベトナムは2000年も前から中国に支配されていた。ベトナムにとって独立とは中国の支配から脱することを意味する。だから、独立に果敢に挑んだ英雄のことは忘れない。そのために、ハイ・バー・チュンは今でも廟堂に祭られ、首都の主要道路の名前になっている。

一方、海を挟んだ隣国であった日本は中国の支配下に置かれることがなかった。魏志倭人伝は邪馬台国を訪ねた使者の伝聞を記録したものである。当時の日本では戦乱が続いており、それを鎮めるためにシャーマン的な存在である卑弥呼を擁立したようだ。

それは日本民族にとって、それほどインパクトのある出来事ではなかったようだ。だから、時間が経つと忘れ去られてしまった。神話のアマテラス大御神や神功皇后が卑弥呼だと言う説もあるが、魏志倭人伝の描くアマテラス大御神や神功皇后の話は大きく異なっている。

そして、日本において中国の史書の記述に腹を立てる人がいないことも特筆すべきことだろう。卑弥呼という名称は、当時の日本人の発音を写したものと考えられるが、よく言われているように、当時の日本人は「日巫女」もしくは「日御子」という意味で「ヒミコ」と発音していたと思われる。

それを卑弥呼などと「卑」という文字を入れて文字化したところに、中国人の悪意を感じる。邪馬台国にしても、当時の日本人は国名を「ヤマト」と発音していたのだろう。それを「邪」を入れた文字で置き換えた。人を馬鹿にするのもいい加減にしろと言いたい。

ただ、ハイ・バー・チュンのような強烈な歴史的事実がなかったから、日本では「卑弥呼」や「邪馬台国」などの言葉は違和感なく受け入れられている。昨今、「嫌中」を標榜する人びとがネット上に溢れているが、寡聞にして「卑弥呼」や「邪馬台国」に対する反感を耳にしたことがない。

日本を信じきれないベトナム

直接支配された経験のない日本では、史書で少々馬鹿にされても、それに腹を立てることはない。日本の「嫌中」感情は江沢民以来の反日教育の産物であり、その歴史はせいぜい30年ぐらいである。そのために、時間が経過すればどう変わるか分からない。

現に中国からの爆買いツアーを景気底上げ要因として大いに歓迎している。40年前は、田中角栄による日中国交回復や上野動物園へのパンダ来訪によって、国中が中国ブームに沸いたこともあった。

安倍首相はベトナム、ミャンマー、インドなどを訪問し中国包囲網を作ろうとしている。日本としては尖閣諸島問題などで対立する中国に対して、一緒に戦ってくれる国が増えるのは頼もしい限りである。その方針に異を唱えるつもりはない。

ただ、最近、何度かベトナムを訪問する機会があったが、多くのベトナム人は日本が中国に対して連帯して対抗しようと言ってくれることはありがたいと思っているが、心の底では日本を疑っている。

ベトナムは2000年も中国と戦ってきた。その反中感情は筋金入りである。骨の髄から中国が嫌い。それに対して、日本の「嫌中」は、せいぜい過去30年。ネトウヨに「嫌中」が流行ったのはここ十数年のことでしかない。だから、ちょっと状況が変われば、日本はベトナムを裏切るかもしれない。ベトナム人はそう思っている。

今は「中国が尖閣諸島に攻めて来る」「自衛隊を強化すべき」などと騒いでいるが、国際情勢が変化すると、昨今の対立を忘れて「中国はアジア最大のマーケット」などとはやし立て始めて、仲直りしてしまうかもしれない。

“本当に、これからも「嫌中」でいてくれるのでしょうね。安倍さん裏切ったりしないよね?”

ベトナム人は日本の「嫌中」を案外冷静に見ている。逆に言えば、日本が本気で中国包囲網を築こうとすれば、骨の髄から中国が嫌いなベトナムほど頼りになる存在はない。この辺り、国際情勢を考える際にも、歴史を省みて冷静な判断を下したいものである。

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『いつでも自由に尖閣に近づける状態にしたい中国 米海軍大学教授、トシ・ヨシハラ氏に聞く中国の狙い』(9/10JBプレス 古森義久)について

ヨシハラ氏は「尖閣に人員を常駐させるのは避けた方が良い」とのご託宣。いろんな考えがあるから、即断はできませんが。やはり海保の船を増やして、沖縄の漁船が漁をできるようにしないと。本末転倒でしょう。尖閣を実効支配していると政府は言いますが、世界の目から見て、中国漁船が尖閣近辺で漁をする映像を見れば、中国が実効支配していると思われるでしょう。翁長知事は中共のスパイです。こんな人間を県知事に選んだ沖縄県民の問題です。県への予算ももっと削減した方が良い。政府はマスメデイアの批判を恐れ過ぎです。対中国に対してもそう。口先だけの抗議では舐められるだけです。具体的に行動し相手に分からせないと。それが交渉と言うものでしょう。政府は中国でも沖縄でも交渉していません。沖縄での極左・朝鮮人の基地移転妨害の違法行為についてもっと厳しく取り締まらなければ。県警制度がおかしいのでは。治安維持活動は国の根幹をなすものです。地方自治体管轄でなく、国家公務員として、中央の指示で動けるようにした方が良い。具体的に問題解決の案を作り、法制化していかないと。憲法改正以前にできることは沢山あります。

またヨシハラ氏の言う「水平エスカレーション」には大賛成です。南シナ海での米軍の「航行の自由」作戦に共同参加して訓練すれば良いと思います。江崎道朗氏は、自衛隊OBの話として、「米国は尖閣を守ると言っているが、共同で訓練もしていない。それでは作戦遂行は難しいのでは」との例を挙げていました。南シナ海に参加すれば、尖閣での共同作戦展開の話も進めやすくなると思います。できれば、印・豪・比・越も交えて「航行の自由」作戦ができるように裏で話を纏めるのが外交というものでしょう。日本の外務省は式典のことしか考えられない無能集団です。

蓮舫は外省人の家系と思っていましたが、台南の内省人がルーツとのこと。祖母が政商で、バナナを日本に輸出したり、中国共産党とも取引していたとのこと。でも、小生の心の中では台湾人ではなく、中国人との思いが強いですが。日本人に悪い人間がいるのと同様、台湾人にも悪い人間がいるという見本でしょう。

三立新聞網 對自己記憶錯誤道歉 蓮舫承認仍有中華民國籍

2016/09/13 10:54:00

國際中心/綜合報導

因參選日本最大在野黨民進黨黨魁,台裔參議員蓮舫遭對手質疑擁有雙重國籍;對此,蓮舫昨(12)日表示,自己已申請放棄中華民國國籍,她還強調「台灣非國家」。不過,蓮舫今天上午表示,自己與台北駐日經濟文化代表處連繫後,確認她還有中華民國籍。(自分で既に中華民国国籍を放棄する申請をした。彼女はやはり「台湾は国家でない」と強調し、本日午前に台北駐日経済文化代表処(港区白金台にある)と連絡を取り、中華民国籍が未だ残っていることを確認した)

lianfang

▲蓮舫。(圖/路透社/達志影像)

根據《日本經濟新聞》報導,蓮舫今天上午對媒體公開承認,自己還具有中華民國國籍;蓮舫指出,她昨天接到台北駐日經濟文化代表處的通知,才得知自己仍有中華民國國籍,對於自己因記憶錯誤,近日來造成的混亂,向大家道歉。(彼女は昨日台北駐日経済文化代表処から通知を受け、まだ中華民国籍を持っているのに気づいた。自分の記憶違いでこの所混乱を生じさせ、申し訳ない=中国人と同じで平気で嘘が言えるタイプです

蓮舫日前表示,她已經向駐日代表處提出放棄中華民國籍的文件,不過因確認作業程序耗時,自己還沒取得確認。>(以上)

中華民国国籍放棄手続きには時間がかかるでしょうから、二重国籍のままで、民進党の代表選に臨みます。議員辞職に値すると思っていますが、それでも中国人らしく代表選を降りないでしょう。まあ、選ぶ方も選ぶ方ですが。

https://twitter.com/ikedanob/status/775547135781539840

http://nonstyle.biz/archives/1383

記事

asean-us%e3%80%80summit

ラオス・ビエンチャンで開催されたASEANとの首脳会議で各国首脳と記念撮影を行うオバマ米大統領。中国の南シナ海での行動に対し「7月の仲裁裁判所の裁定には拘束力がある」と語ったが、中国は反発している。(中央、2016年9月8日撮影、資料写真)。(c)AFP/SAUL LOEB〔AFPBB News

尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の水域、日本領海へ中国海警の艦艇や多数の民兵漁船団が頻繁な接近、侵入を繰り返している。中国には一体どのような狙いがあるのか。

米国で中国の海洋戦略を専門に研究する海軍大学教授、同大学「中国海洋研究所」研究員のトシ・ヨシハラ氏に見解を尋ねた。

ヨシハラ氏はその名の通り日系米国人で、ジョージタウン大学、ジョンズホプキンス大学院を経てタフツ大学で博士号を取得した戦略研究の学者である。アジア太平洋の安全保障、特に中国の軍事戦略、海洋戦略を専門対象とし、民間のランド研究所やアメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)でも活動してきた。少年時代は台湾に住んだことから中国語にも堪能で、中国人民解放軍の海洋戦略の研究では全米でも有数の権威とされている。

インタビューの中でヨシハラ氏は、中国側に尖閣諸島の日本の施政権を突き崩そうとする意図があることを強調した。主な質問とヨシハラ氏の回答は以下の通りである。

中国にシフトしていく東アジアのパワーバランス

――中国が最近、日本の尖閣諸島に対する攻勢を拡大し、強化しています。その現状をどうみますか。

toshi%e3%80%80yoshihara

トシ・ヨシハラ氏

トシ・ヨシハラ氏(以下、敬称略) 中国はそうした活動によって、日本や日中関係に影響を及ぼすだけにとどまらず、東シナ海全域で徐々にパワーシフトを進めていこうとしています。私は、東シナ海の力の均衡が少しずつにせよ着実に中国側に有利にシフトしていくことを最も懸念しています。

中国は明らかに、東アジアのパワーバランスの現状を打破しようとしています。その実現のために、中国は自国が望む時に望むような形でイニシアティブをとることができます。どのような手を打つかを、中国側が自由に選べるのです。

一方、米国も日本もこれまでの国際システムを守ろうとする現状維持派です。だから中国の動きに対していつも受け身になってしまいます。

――中国の日本に対する当面の狙いはなんでしょうか。

ヨシハラ 中国はまず尖閣海域に恒常的なプレゼンスを確立して、日本側の施政権を突き崩そうとしているのだと思います。

つまり、尖閣諸島の水域に公艦を恒常的に配備し、日本側の領海や接続水域にいつでもどのようにでも入って行ける状態をつくることです。そして、そういう状態を内外に誇示していくことです。

そうなると、日本の尖閣諸島への施政権が揺らいできます。やがてはその施政権が突き崩されるおそれがあります。

――尖閣諸島に日本側の施政権があるとされるからこそ日米安保条約が適用され、尖閣が第三国の攻撃を受ければ、米国は日本と共同して反撃に出るということも誓約している。その施政権が空洞化したら、日本にとっては尖閣を失う事態にもつながりかねませんね。

ヨシハラ はい、そういうことにもなりかねません。中国は同時に、尖閣上陸に向けた軍事能力を築きながら、日本側の出方をうかがっているのだと思います。日本がどれほど強く反撃してくるのかを探っているのです。

日本も南シナ海に艦艇を

――日本側はどう出るべきだと思いますか。

ヨシハラ 日本はいま深刻なジレンマに直面したといえます。一定以上に強く出ると、中国はそれを理由にさらに強硬な行動をとりかねません。中国は日本に『挑発行動』をとらせたがっている気配があります。だから日本側は、尖閣諸島に人員を配置するなどの新たな措置は、当面はとらないことが賢明だと思います。

しかしその一方で、日本側が何も反撃をしないでいると中国はさらに侵入や威圧的な行動を強めてくるでしょう。日本が「自国領土が侵略されても何もしない」とみなされるのは重大な問題です。尖閣防衛のためには、艦艇の力や兵員の増強を進めることが欠かせないでしょう。

――それ以外に尖閣問題で何か効果的な打ち手はあるでしょうか。

ヨシハラ 中国への対抗策として日本が『水平エスカレーション』に出ることも効果的だと思います。南シナ海での中国の膨張に対し、日本がアメリカなどと協力して積極的に安全保障行動をとるという戦略です。例えば米国の空母部隊などを支援するような形で海上自衛隊の艦艇を派遣するのです。

日本が南シナ海で米国とともに安全保障行動をとれば、中国は威圧されたように感じるでしょう。そのことが、中国の尖閣諸島に対する威圧行動の抑止につながります。

自分たちが一方的な拡張政策をとれば必ず代償を払うことになる、ということを知らしめるのは、中国の膨張を抑えるのに大きな効果があるはずです。

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『「トランプ大統領」誕生を睨んだ安倍・プーチンウラジオ会談の意義』(9/10MONEY VOICE斎藤満)について

昨日の小生のブログにも書きましたが、ヒラリーが病院に緊急搬送されたというのはもう大統領選を戦えないのではという気がします。トランプが「銃規制者に行動を」と言って、ヒラリーの暗殺を教唆したと受け止められていましたが、病気で倒れる可能性を指摘した方が良かったでしょう。

http://mainichi.jp/articles/20160810/k00/00e/030/231000c

斎藤氏もヒラリーの健康問題、ベンガジ事件、それに連なるメールサーバーの私的使用問題、クリントン財団問題とスキャンダラスな問題を多く抱えているのを情報として取っていたのでしょう。次期米国大統領にトランプがなる可能性が高くなってきたとの判断です。

プーチンとトランプは相性が良いそうで、トランプの選挙参謀が親ロシア派のウクライナ政府のコンサルタントとして、金を貰っていたので辞任した事件もありました。自由主義諸国の真の敵=共産主義大国の中国を封じ込めることができるかどうかが、一番大事なことです。日米が中国を支援して怪物を作り上げたのですから、後始末はキチンとしませんと。ロシアはルトワックの言うように封じ込めの胆です。「一帯」を潰せますので。「一路」は米・印・日で防げます。斎藤氏はヒラリーが「反ロシア、反中国路線」と述べていますが、反中ではないでしょう。多額の裏献金を貰っていますので。日本としては自主防衛(含む核武装、北・中の脅威には核保有しかない)を促し、ロシアとの領土交渉(=平和条約締結)を認めるトランプの方が、日本の真の独立に繋がって良いと思います。

http://www.huffingtonpost.jp/2016/08/20/paul-manafort-resigns_n_11625034.html

日本のエネルギー問題については、メタンハイドレートの実用化を目標に据えて考えた方が良いでしょう。ロシアからのパイプライン敷設や電力網の敷設は生殺与奪の権をロシアに与えることになるので、石油やガスについては船での輸送とし、中東との競争の中で購入するようにした方が良いでしょう。

近衛文麿が終戦間近にロシアに調停を依頼しようとしたのは、大正時代(1915年)に、ロシアと同盟を結ぼうと山縣有朋が動いたことに淵源があるような気がします。ヤルタでスターリンとFDRが手を結んでいたにも拘わらずですが。

http://ktymtskz.my.coocan.jp/meiji/yamagata.htm

https://books.google.co.jp/books?id=5bTSy4BpkFAC&pg=PA111&lpg=PA111&dq=%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%82%A2%E3%81%A8%E5%90%8C%E7%9B%9F%E3%80%80%E5%B1%B1%E7%B8%A3%E6%9C%89%E6%9C%8B&source=bl&ots=qmfFKSdCyW&sig=yiO1Rx9vqqljnK3bA-5NXuRjBrc&hl=ja&sa=X&ved=0ahUKEwiZrbmuyojPAhVFmJQKHRn2D8EQ6AEITjAI#v=onepage&q=%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%82%A2%E3%81%A8%E5%90%8C%E7%9B%9F%E3%80%80%E5%B1%B1%E7%B8%A3%E6%9C%89%E6%9C%8B&f=false

「国家間に永遠の友好はない。あるのは国益のみ」なので迂闊に相手を信じ込むのは危険です。米国と同盟を結んでいると言ったって元々は日本を監視するためですから。でなければ、日本全土にこれだけ米軍基地はないでしょう。それを分かったうえで、どう手を結んでいくかという事です。中国には「合従連衡」や「呉越同舟」と言った格言があります。国家の生存をかける訳ですから、相手が日本と同じ誠実さを持ち合わせていると思うのは間違っているでしょう。またロシアを中立条約破りの前例で危険視するのも間違っています。状況や環境の変化に併せて考えねば。ロシアと米国、インドとも日本の国益を考慮して、同盟を結び、台湾も同じく防衛同盟が結ばれれば良いと考えています。

記事

abe%e3%80%80vs%e3%80%80putin-3

Frederic Legrand – COMEO / Shutterstock.com

これまで日ロ外交が進みそうになると、大概、米国から横やりが入って、交渉がうまくいきませんでした。ところが今回は、米国から何ら圧力がかかっていないようです。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる) 1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

※本記事は、『マンさんの経済あらかると』2016年9月2日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。月初のご購読は得にお得です。

米国も密かに後押し?日ロ首脳会談に色濃く滲んだ「トランプ色」

日・米・露の関係に大変化

中国で4~5日にG20会合が開かれるのに先立ち、安倍総理は9月2日、ロシアのウラジオストックでプーチン大統領と会談し、大統領の12月訪日の予定を詰めると言われています。(注:12/15に決定)

その中で、日本によるロシアの原発施設への資金面も含めた協力など、経済面での相互協力の話し合いが進み、その先に日ロ平和条約、北方領土問題の進展が期待されています。

これだけオープンに日ロ外交が論じられること自体、大きな変化であり、新しい力の台頭を感じます。

これまで日ロ外交が進みそうになると、大概、米国から横やりが入って、交渉がうまくいきませんでした。

ところが、今回はラオスでの日米首脳会談が予定される直前の日ロ首脳会談であり、これに何ら圧力がかかっていないようです。

【関連】円高は本当に悪なのか?今、日本人に笑顔が戻りつつあるという皮肉=斎藤満

変わるパワーバランス

一体何が起きているのでしょうか。米国がオバマ政権の末期で、事実上すでにレイム・ダック化している面もありますが、次期大統領候補のトランブ氏を睨んだ動きとも取れなくありません。

クリントン候補がネオコン勢をバックに、反ロシア、反中国路線をとるのに対し、トランプ候補はロシアのプーチン大統領を評価し、親ロ路線を見せています。

さらにトランプ氏は、日本の防衛に関し、米国に2倍の金を払って米国に守ってもらうか、自力で守るかだと言い、日本の核武装さえ認める構えです。

日本がロシアの原発支援をし、必要ならロシアからウランやプルトニウムを購入し、日本が原爆を作成する道も開けます。核兵器の漸減を主張するオバマ政権の判断とは相容れないように思えます。

日本政府は「トランプ大統領」誕生を確信している?

ここにはいくつかの注目点があります。米国大統領選挙では、世情ではクリントン候補がリードと言われていますが、日本は「トランプ大統領」の情報を得ているのでしょうか。

そして日本の「核三原則」に対して、ロシア経由で核を入手するルートが開けると、日本自身の核保有の可能性が出てきますが、国民には何ら説明がなされていません。

そして北方領土問題に道が開けることは朗報ですが、ロシアは日本接近を探るプーチン大統領だけではないので、ロシアの対日戦略、アジア戦略にも十分な研究が必要です。

そして日本がロシアと接近することは、やはりロシアと近いイラン、シリア、トルコ、イスラエル戦略にも影響が出ます。

さらには、中国が包囲されることになり、中国の対日、対アジア戦略も変わってくる可能性があります。

何より、トランプ大統領になれば、これまでのような米軍依存というわけにはいきません。米国に代わる抑止力を、ロシア、インド、東南アジアとの連携の中から構築する必要がありますが、中国との緊張が高まる一方で、そちらの体制づくりは遅れています。

日本の外交は米国偏重のきらいがあり、一部親中国派からなる偏った体制にあります。今回のロシア外交も、米国の後押しもあるようで、日本が独自の外交力で動いているとも思えません。

世界のパワーバランスが変わろうとしているならば、日本の外交体制、戦略も機動的に修正する必要があります。

日本にとって大きなチャンス

一方、経済的には閉塞感の強まる今の日本を打開する大きなチャンスになります。核の問題は重要な問題であるだけに、国民の厳しいチェックが必要ですが、その他では新たなフロンティアが期待できます。

官邸もすかさず「ロシア経済分野協力担当大臣」を新設し、世耕経済産業相を兼務させる積極姿勢を見せています。

日本の成長に大きく寄与? 北方領土、そしてシベリアの可能性

まずエネルギー問題ですが、米国が支配してきた中東が、ロシアの影響力下に置かれた際に、日本は高価なシェール・ガスや中東のオイルに頼らなくとも、安価なロシアのガス、石油の輸入を増やすことができます。

エネルギー・コストはさらに低下し、日本の交易条件を良くします。

また、北方領土の使い方は様々ですが、拠点となる北海道や北方領土での開発投資は増えるはずです。

さらに、ロシアが望む東シベリア開発は、現地の資源が豊富で、それが日本の利用に供される道が開け、さらに従来永久凍土として使えなかった北シベリアから北極圏が暖冬で利用可能となり、北極海航路の利用も可能になります。

日本は人口が減り、国内市場はじり貧で投資の魅力がない一方で、ロシア、シベリアが日本の新たなフロンティアになる可能性があり、これが日本の成長にも大きく寄与する可能性があります。

米国の対ロ姿勢が緩んでいる時がまさにチャンスです。エネルギー分野だけでなく、ロシア、シベリア・ビジネスに関わりそうな企業をリスト・アップする必要がありそうです。

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『ヒラリーに降る「クリントン財団」の火の粉 国務長官当時の財団資金集めに絡む「利益相反」疑惑』(9/8日経ビジネスオンライン 高濱賛)について

ヒラリーの金の汚さもここに極まれりと言ったところでしょうか。強欲・嘘つき・傲慢の面目躍如です。

カリフォルニア大学バークレー校の政治学教授の「大使のポストをカネで買うなどということが他の国で罷り通るのだろうか。」という発言がありますが、中国では権銭交易でこれが当たり前です。勿論、大使以外の総ての職についてもですが。

本記事中の献金先に中国が出て来ないのはおかしいと感じました。非合法で貰っている可能性が高いのではと思い調べましたら、インドネシア華僑のリッポーグループから1000万$以上の裏献金(当然裏で中共が金を出している筈です)を貰っているそうです。この他にも中国のことですから、上手に賄賂を贈っていると思います。

http://www.huffingtonpost.jp/foresight/clinton-china_b_11670498.html

http://www.trendswatcher.net/03-2016/geoplitics/%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E3%81%AE%E8%84%85%E5%A8%81%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%82%8B%EF%BC%92%E3%81%A4%E3%81%AE%E6%98%A0%E7%94%BB-part1/

ザ・リアルインサイトが9/9に無料で公開した1時間20数分の動画の纏めを写真にしましたので貼り付けます。全部で6枚です。題は「既成支配層飽くなき膨張 ヒラリー勝利の場合」というもの。ここにもチャイナマネーに汚染されたヒラリーの話が出てきます。やはり日本にとってはトランプの方がマシな気がします。ヒラリーは9・11事件の式典中に倒れて緊急搬送されたとのこと。ヒラリー陣営は熱中症と言っていますが、嘘でしょう。ヒラリーは嘘つきで有名ですから。中国人のメンタリテイと一緒です。民主党は政策判断できない人間を大統領に据えて裏で操ろうとするのでしょうか?核ボタンを押す命令を出す人間です。米国人が選挙でどう判断するかです。健康でない人間をトップに選ぶなんて。日本の反日民進党(英文名は”Democratic Party of Japan”で of Japan以外は一緒です)の党首選でも本来その資格のない人間が出て優勢とのこと。反日民進党は外国人も代表選に投票できるそうで、外国人(中韓)がサポーターとして沢山入っているのでは。

http://torendosokuhou.com/archives/5043

genki-fujii-001

genki-fujii-002

genki-fujii-003

genki-fujii-005

genki-fujii-006

genki-fujii-007

記事

bills%e3%80%80speech-in-cgi

クリントン財団の会合でのスピーチするビル・クリントン元米大統領 (写真:AP/アフロ)

—ヒラリー・クリントン民主党大統領候補が本選で独走すると思っていたのですが、ここにきて、夫君ビル・クリントン元大統領と一緒に作った慈善事業団体に絡む「利益相反」(conflict of interests)疑惑が再浮上しています。疑惑は大統領選の行方に影響を与えるでしょうか。

高濱:ヒラリー氏の支持率は若干下がっています。が、「ヒラリー有利という状況に大きな変化があるとは思えない」(米大手紙政治記者)というのが専門家の大方の見方です。

クリントン財団は一族のレガシー

ご指摘のように、ここにきて、クリントン夫妻が設立した「クリントン財団」にまつわる疑惑が再燃しています。この財団は元々、ビル元大統領が「クリントン大統領記念図書館」の建設資金を集めるために設立したものでした。その後、慈善事業を行う非営利財団法人に模様替えし、現在ではスタッフ2000人を抱えるグローバルな組織になっています。

ヒラリー氏は2011年から15年まで、同財団の理事会メンバーでした。ビル氏と一人娘のチェルシーさんは今も理事をしています。会長は別にいるのですが、クリントン一族が事実上のオーナーであることに変わりはありません。

ビル大統領の下で働いたことのある元米政府高官の一人は、この財団とビル氏について筆者にこう話しています。「この財団は、ビル・クリントンとクリントン一族にとっての『リビング・レガシー」(living legacy=生きつづける遺産)だった。最初は自分の『大統領記念図書館』を作るつもりだったのが、その後、なにか<世のため、人のために活動を続けたい>と考えるようになった。これだけ世界規模でチャリティ活動をやっている米大統領経験者はほかにいない」。

「この財団をここまでの規模にしたバックにヒラリーの『内助の功』があったことは言うまでもない。その一方で、財団がいつの間にか、クリントン一族から『2人目の大統領』を送り出すためのベースキャンプ化していたことも否めない。働いている幹部たちはほとんどビル・クリントン政権やヒラリー・クリントン国務長官に仕えた側近連中ばかり。ここからヒラリー大統領選挙本部に『出向した』ものもかなりいる」

—クリントン財団疑惑が再燃した発端はなんですか。

高濱:保守系団体がとった法的措置でした。「ジュディシャル・ウォッチ」(Judicial Watch)という保守系団体が「情報公開法」に基づき、ヒラリー国務長官(当時)関連の未公開文書を開示するよう国務省に求めたのです。裁判所は国務省に開示を命じました。同団体は開示された文書を8月22日に公開しました。

その結果、ヒラリー国務長官側近とクリントン財団関係者との癒着を示す一連のメール交信が公けになったのです。 “New Abedin Emails Reveal Hillary Clinton State Department Gave Special Access to Top Clinton Foundation Donors,” Judicial Watch, 8/22/2016

トランプはFBIから独立した特別検察官を要求

トランプ氏は疑惑を解明すべく、米連邦捜査局(FBI)から独立した特別検察官を任命するよう司法省に正式要求しています。

身内である民主党の大物議員からも「クリントン夫妻はクリントン財団との関係を完全に断ち切れ」といった声が出ています。ディック・ダービン民主党上院院内幹事やベン・カーディン上院外交委員会筆頭理事らがその代表です。

「この際、米政界には『付きもの』の利益相反について、徹底的に精査すべきだ」(ニューヨークタイムズ)と主張する社説を掲げる有力紙も出ています。

果たして疑惑解明のための特別検察官が任命されるのか。「利益相反」を立証するに足る関係者証言や決定的証拠が出てくるのか。

ヒラリー氏がクリントン財団の利益のために国務長官の職権を乱用したことを立証できるのか。専門家の中には首をかしげる向きも少なくありません。「この疑惑は、法的なものというより、むしろモラル上の問題」(米主要シンクタンクの上級研究員)という指摘があります。

いずれにせよ、ヒラリー氏が何らかの手を打たない限り、9月26日から始まるクリントン、トランプ両氏の公開討論会で最大のテーマになりそうです。公開討論会の場でヒラリー氏が「クリントン財団との関係を即刻断つ」といった爆弾発言することも十分考えられます。 “Some Dems say Clinton must go much farther on foundation,” Alexander Bolton, thehill.com., 9/01/2016 “Cutting Ties to the Clinton Foundation,” The Editorial Board, New York Times, 8/30/2016

「クリントン王朝」だから起こりうる「利益相反」

—クリントン財団とヒラリー氏との関係について米国民はどう見ているのでしょう。

高濱:カリフォルニア大学バークレー校の政治学教授の一人は筆者にこう述べています。「ヒラリー氏は国務長官の時、一族の財団にこれだけこまめに国内外からカネを『誘導』していたんだから、彼女が大統領になったらどうなるのか。そんな危惧の念が米国民の間にある。

「歴代の大統領は多かれ少なかれ、大口の献金者に便宜を供与してきた。巨額の選挙資金を出した支持者を主要国の駐在大使や政府高官に任命するのは通例にすらなっている。誰も咎めたことがないが、大使のポストをカネで買うなどということが他の国で罷り通るのだろうか。

「通常、大統領職を終えた政治家はおとなしく、悠々自適な隠居生活を送る。だが、ビル氏の場合はちょっと違う。置かれた生活環境が他の大統領経験者とは違っていた。何せ、奥さんが現役バリバリの政治家で国務長官になったり、大統領になろうとしたりしていること自体、前代未聞だよ」

「だから、奥さんが公職に就けば、夫君が事実上、経営しているチャリティ団体のカネ集めを奥さんが手伝うのはむしろ当然だろう。無論、合法的な範囲内で、だ。『利益相反』疑惑が出てきても想定内の範囲だよ。ただ<ヒラリーよ、せめて大統領になったなら、そのへんのケジメだけはきちんとつけなさいよ>というのが民意だと思う」

設立以降20億ドル集める「巨大集金マシーン」

—クリントン財団は具体的にはどのような活動をしているんですか。

高濱:同財団は10の部門に分かれ、最貧国の貧者救済対策とか、地球温暖化防止とか、エイズ防止とか、で抜群の慈善活動を行ってきています。それは皆認めています。

慈善団体の活動を監視する機関「チャリティ・ウォッチ」によると、14年一年間の収入額は3億2500万ドル。そのうち88%はチャリティ活動に費やしています。スタッフ2000人の人件費は12%に抑えています。

「チャリティ・ウォッチ」はクリントン財団の活動について太鼓判を押しており、Aクラスの評価を与えています。 “Bill, Hillary & Chelsea Clinton Foundation,” Charity Watch Report, Issued April, 2016

ただ気になるのは、設立以来、これまでにざっと20億ドルを集めた「錬金術」です。なぜ、そんなにカネを集められるのか。それが「利益相反」疑惑の根っこにあるのです。

寄付・献金する外国政府は中東と西欧

—寄付や献金をする外国政府や要人はどんな人々ですか。

高濱:クリントン財団の運転資金はすべて寄付や献金で賄っているわけですから<カネを出すもの拒まず>です。寄付・献金者には外国政府はもとより世界中の富豪や大企業も含まれています。

これまでに同財団が公表したり、メディアの報道で明らかになったりした主な外国政府・企業・要人は次の通りです。

○外国政府 サウジアラビア、クウェート、カタール、オマーン、アラブ首長国連邦、アルジェリア、オーストラリア、ノルウェー、ドイツ、ドミニカ共和国、カナダ、ドイツ、オランダ、英国

○外国企業、要人 ギルバート・チャゴリー(レバノン系ナイジェリア人の富豪) ハマド・ビン・イーサ・アール・ハリーファ皇太子(バーレーン) ムハンマド・ユヌス(バングラデシュ、ノーベル平和賞受賞の経済学者・貧困層向け銀行創設) ロシア国有企業傘下のウラン採掘企業「ウラニウム・ワン」 民間軍事会社「ブラック・ウォーター・ワールドワイド」 張充聖・韓国繊維会社社長

—「利益相反」の疑いのあるケースはわかっているのですか。

高濱:メディアが断片的に報道しています。15年には、調査報道で有名なピーター・シュワイザー氏が著した「クリントン・キャッシュ」(Clinton Cash)がヒラリー氏および周辺の「利益相反」疑惑を仄めかしました。シュワイザー氏は著書の中で、(1)ロシア国営企業が米採掘会社を買収する際に当時国務長官だったヒラリー氏が便宜を図ったこと(後述)や、(2)献金の見返りとして、巨額のハイチ災害救済資金を米政府に出させたといった具体例を挙げています。そこに前述の「ジュディシャル・ウィッチ」の暴露があったわけです。 “Clinton Cash: The Untold Story of How and Why Foreign Governemnts and Business Helped Make Bill and Hillary Rich,” Peter Schweizer, Harper Collins Publishers, 2015 “New Book, ‘Clinton Cash,’ Questions Foreign Donations to Foundation,”Amy Choozick, New York Times, 4/19/2015

ビル元大統領に「開城スピーチ」を依頼した韓国企業

これまで明らかになった情報を基に検証すると、次のようなパターンがあります。外国国籍の富豪などからの要請は、ビル元大統領の側近でクリントン財団の役員だったダグラス・バンド氏経由で、ヒラリー氏の側近であるシェリル・ミルズ国務長官首席補佐官(当時)やヒューマ・アベディン同次席補佐官(同、現在はクリントン大統領選挙対策共同本部長)に伝達されています。

要請の内容は、ヒラリー国務長官(当時)との面談を求めるものから国務省高官への紹介依頼まで多方面にわたっています。いくつかのケースを以下記しておきます。

【例】レバノン系ナイジェリア人のチャゴリー氏の場合、クリントン財団に100万~500万ドルを寄付して、ヒラリー長官(当時)周辺に接近し、ナイジェリアに建てる米総領事館の建設地の選定をめぐって暗躍したとされています。

バンド氏はアベディン次席補佐官に「チャゴリーはレバノンでカギを握る人物だ」と伝え、「チャゴリーを重視せよ」というメッセージがジェフリー・フェルトマン駐ナイジェリア大使に伝達されています。

チャゴリー氏はその後、米連邦捜査局(FBI)によってヒズボラ・シンパと見なされて米入国を拒否されています。 “He was a billionaire who donated to the Foundation. Last year, he was denied entry into U.S.” Joseph Tanfani, Los Angeles Times, 8/28/2016

【例】ロシア国営企業「ロスアトム」はヒラリー氏が国務長官だった13年1月、米ウラン採掘会社「ウラニウム・ワン」(本社トロント)を買収した。ウランは国家安全保障上の戦略資源とされ、買収に際しては「外国企業対米投資委員会」の承認が必要だった。ヒラリー長官は同委員会のメンバー。同時期、「ウラニウム・ワン」のフランク・グストラ会長はクリントン財団に50万ドルの寄付をしています。たまたま時期が一致しただけとはどうも思えません。 “Cash Flowed to Clinton Foundation amid Russian Uranium Deal,” Jo Becker, New York Times, 4/23/2016

【例】韓国人の張氏は、北朝鮮開城工業団地に進出した自社の工場内に教会堂を建てた際、献堂式でビル元大統領にスピーチをしてくれるよう、トニー・ロドハム氏に要請しました。ロドハム氏はヒラリー氏の末弟で、クリントン財団に出入りしていました。ロドハム氏は再三にわたり、ミルズ補佐官に働きかけました。外交関係のない北朝鮮に行くには国務省の特別の許可が必要だったからです。この件は、ミルズ補佐官が拒否したため実現しませんでした。

張氏は1996年、ビル氏が大統領選で再選した時には10万ドルのご祝儀を出しています。ヒラリー氏が06年の上院選に再出馬した際には、韓国系米国人の知人を通じてヒラリー氏に10万ドルの政治資金を出しています。外国人からの政治献金は法律上許されていないためです。

これらの政治資金はビル氏やヒラリー氏に直接送られたものでクリントン財団とは関係のない話と思われるかもしれません。しかし、前述のように、ビル氏に対する「開城スピーチ」の依頼は当時、財団のスタッフだったヒラリー氏の末弟から国務省に出されていました。少なくとも張氏はビル、ヒラリー氏と財団は表裏一体と考えていたわけです。 “Clinton Foundation pushed State Dept. on Bill Clinton speech in North Korea,” Sarah Westwood, Washington Examiner, 8/16/2016

避けられないクリントン財団との完全断絶

—ヒラリー氏はこれから「利益相反」疑惑にどう対処するのでしょうか。

高濱:クリントン財団との関係についてヒラリー氏はこれまで節目節目で手を打ってきました。

国務長官に就任した際には、クリントン財団と自分との関係をはっきりさせるために国務省との間で「倫理協定」に合意しました。その際に同財団にカネを出す大口献金者のリストを公表しました。慈善団体ですので献金者リストを公表する義務はなかったのですけれども。いわば、「利益相反」に触れるようなことはしないという約束事です。もっともその協定があるにもかかわらず、今疑惑を呼んでいるわけですが…。

2回目は、15年4月12日に大統領選に立候補した際のこと。財団はオーストラリアやカナダ、ドイツ、オランダ、ノルウェー、英国以外の外国政府からの寄付・献金は受け取らない方針を発表しました。つまり人権抑圧だとか、独裁体制だと言って批判される可能性のある中東諸国とは縁を切るというわけです。

そして8月18日には、ビル元大統領が「ヒラリーが大統領に就任したのち、いかなる外国政府や企業からも寄付や献金は受け取らない」と明言しました。クリントン陣営は疑惑の火の粉が広がるのを抑えるのに躍起となっています。 “If Hillary Clinton Wins, Foundation Will Stop Accepting Foreign Donations ,”Amy Chozick. New York Times, 8/18/2016

ただ、これで押し寄せる疑惑をかわし切れるかどうか。

ワシントンポストの著名な黒人コラムニスト、ユージン・ロビンソン氏は、ずばりこう指摘しています。「ヒラリー氏は大統領になる資格などまったくない男(トランプ氏のこと)と、今大統領選を戦っている。この男を大統領にしてはならない。彼女はこの選挙に絶対に勝たねばならない。だからこそ、後ろ指をさされるようなことはしてはならないのだ」。

ヒラリー氏が、火の粉が広がる前に出来るだけ早く、クリントン財団との関係を断ち切ることができるかどうか。ここは正念場です。 “Hillary Clinton must learn from her mistakes,” Eugene Robinson, Washington Post, 8/29/2016

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『「中国のスワップ」を信じられなくなった韓国 それでも「海洋側」には戻らない』、『5年前、韓国は通貨スワップを「食い逃げ」した 日本は「偽装転向者」とどう付き合うのか』、『北朝鮮、5回目の核実験 韓国の「予防攻撃論」や「核武装論」に拍車』(9/8・9・10日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について

本当に日本人は愚かになったとしか印象が残りません。自分の名誉が傷けられていても知らん振りできるのですから。何をか況やでしょう。出世を考えないサラリーマンはいないでしょうけど、もっと骨があっても良いのでは。クソみたいな韓国(=敵国)の言うことを何故聞くのか理解できません。民間でも交渉事項は社益を最大限にと丁々発止するのですが、外務省にはそれが見えません。税金泥棒でしょう。まだ小生が交渉した方がうまく行くのではと思ってしまいます。外務省は「席を立つ」事を覚えなければ。交渉テクニックの一つなのに、馬鹿の一つ覚えのように「誠実」しか知りません。相手に舐められるのがオチでしょう。

バイデンはアホの骨頂でしょう。自分が一番賢いと思っている愚かな人間です。でなければ、国際法違反である「日本国憲法を我々が作った」など言える筈もありません。驕っているとしか言えません。所詮、FDRの残党の棲む民主党ですから。韓国は通貨スワップが与えられるのが当たり前と思っていたら大間違いです。もし、認めたとしたら、自民党は次の選挙を覚悟した方が良い。「こころ」か「日本一」に保守派は流れるでしょう。安倍内閣は敵を利することしかできない内閣、米国の言いなりになるしかない内閣の烙印を押されます。

韓国の核武装の話だけでなく、日本にも核武装の議論がもっとあって然るべき。それを押える勢力があって、その意のままに動いているというのにもっと気が付かないとダメでしょう。米国・ロシア・中国は日本の核保有には反対するに決まっています。当たり前で、自国の安全が脅かされるのですから。米国はインデイアン虐殺、黒人奴隷、日系人収容所、原爆投下、ロシアは欧州と同じくポグロムやスターリン粛清、中国は大躍進時の国民餓死、文化大革命時の紅衛兵の暴虐等歴史的に見て、非道な振る舞いをして来ました。敗戦国日本に罪を擦り付けようとしてきたのが、南京虐殺や従軍慰安婦の問題です。敵国から刷り込みを受けていつまでも変わらないのは、愚の骨頂です。特に今でも朝日新聞を購読している人は日本人の名誉を傷つけるのに手を貸し、尖閣の侵略を許容するものと思わなければ。購読を止めて経営者に思い知らせないと。

9/8記事

biden

米国のバイデン副大統領は日韓の“調停”に動いたが、日米に屈したと思われたくない韓国は、その労を公には認めない(写真:AP/アフロ)

前回から読む)

突然、韓国が通貨スワップの締結を日本に頼んできた。中国と結んだスワップを頼りにできるのか、疑い始めたのだ。

中韓スワップは反故に?

—8月27日、日韓両国が通貨スワップ再開で合意しました。

鈴置:厳密に言えば「再開に向け協議することで合意した」のですけれどね。

—「日本のスワップなど要らない」と韓国は言っていました。態度を急に変えたのは、やはり米利上げ観測が原因ですか。

鈴置:韓国の政府もメディアもそう言います。でも、それは「誤魔化し」です。米国がいずれ利上げに動くことは前から分かっていた。韓国が日本に頭を下げてきた本当の理由は、中国との関係悪化です。

7月8日、韓国は地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD=サード)の在韓米軍への配備を正式に認めました。中国は自分を狙う兵器として、絶対に認めるなと韓国に圧力をかけていました。

THAADは習近平主席が直接、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領に命じていた案件です。中国のメンツは大いに潰れました。

中国はありとあらゆる手段を動員し「報復するぞ」と韓国を脅し上げました(「習近平の『シカト』に朴槿恵は耐えられるか」参照)。

「環球時報が中国政府に建議した『5つの対韓制裁』」をご覧下さい。ここには「韓国が通貨危機に陥っても通貨スワップを発動しない」とは書いてありません。

■環球時報が中国政府に建議した「5つの対韓制裁」

(1)THAAD関連企業の製品の輸入禁止 (2)配備に賛成した政治家の入国禁止と、そのファミリービジネスの中国展開の禁止 (3)THAADにミサイルの照準を合わせるなどの軍事的対応 (4)対北朝鮮制裁の再検討 (5)ロシアとの共同の反撃

注)環球時報の英語版「Global Times」では「China can Counter THAAD Deployment」(7月9日)で読める。

でも、「こんなに露骨に報復を唱えるのなら、スワップの約束も反故にするのではないか」と、市場関係者なら誰もが考えます。それを一番懸念しているのは、韓国の通貨当局と思います。

ただ素直にそう言えば、日本に足元を見られると韓国は警戒しているのでしょう。一方、「米利上げ」を理由にすれば、これは日本にも影響のある話ですから「日韓双方のためのスワップ」と言い張れると考えたと思います。

「素っ裸」の韓国

—中韓スワップ協定には「韓国が反中的な行為をしたら発動しない」との条項が入っているのですか?

鈴置:細かな条文は発表されていないので、分かりません。でもそんな条項がなくとも、韓国が中国の怒りを解かない限り、スワップは発動されない可能性もある、と専門家は読むものです。

普通の国なら、他国に常識外れの報復をすれば自らの品位も傷つくと懸念します。でも、品位があると見られていない国は、そんな心配はしません。やりたい放題です。

9月3日、オバマ(Barack Obama)大統領が中国・杭州での20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に参加した時の話です。国家指導者が飛行機から降りる際に使うレッドカーペットの敷かれたタラップが提供されませんでした。

英ガーディアン(The Guardian)は「Barack Obama ‘deliberately snubbed’ by Chinese in chaotic arrival at G20」で、中国と南シナ海などで対立を深める米国への嫌がらせであると報じました。世界は児戯に等しいことをするとあきれました。

—確かに、中国ならスワップの約束も簡単に破りそうですね。

鈴置:実際に約束が破られなくとも「中韓スワップが怪しくなったな」と世間に見られるだけで、韓国にとっては大きなマイナスです。

「韓国の通貨スワップ」を見れば分かる通り、中国とのスワップは2国間スワップの70%弱を占めます。完全に「中国頼み」なのです。

韓国の通貨スワップ(2016年9月7日現在)

相手国 規模 締結・延長日 満期日
中国 3600億元/64兆ウォン(約560億ドル) 2014年 10月11日 2017年 10月10日
UAE 200億ディルハム/5.8兆ウォン(約54億ドル) 2013年 10月13日 2016年 10月12日
マレーシア 150億リンギット/5兆ウォン(約47億ドル) 2013年 10月20日 2016年 10月19日
豪州 50億豪ドル/5兆ウォン(約45億ドル) 2014年 2月23日 2017年 2月22日
インドネシア 115兆ルピア/10.7兆ウォン(約100億ドル) 2014年 3月6日 2017年 3月5日
CMI<注> 384億ドル 2014年 7月17日  

<注>CMI(チェンマイ・イニシアティブ)は多国間スワップ。IMF融資とリンクしない場合は30%まで。 資料:ソウル新聞「韓国の経済体力は十分」(2015年2月17日)

そして、中国とのスワップもそうですが、残りの30%もドル建てではなく、ローカルカレンシー同士のスワップに過ぎません。いざという時に非ドル建てスワップの効果があるのか、疑問視する向きも多い。

スワップという金融の防壁を失った韓国は今、資本逃避という嵐の前で「素っ裸」になりました。世界のどこかで金融不安が起きたら、韓国からドルが流れ出す可能性がぐんと高まったのです。

「瓢箪から駒」のTHAAD容認

—日本が韓国のスワップ要請に応じたのは「韓国が中国を離れ、米国や日本側に戻ってきた」との認識からでしょうか。

鈴置:それは完全に誤解なのですけれどね。韓国は海洋勢力側に戻ってはいません。THAAD配備を容認したのも「瓢箪から駒」の偶発的な出来事でした。

韓国の親中派が突然、「配備拒否」に動いた。焦った「配備派」が急きょ巻き返し、大統領の承認を無理やりに取り付けたのです(「『中国陣営入り』寸前で踏みとどまった韓国」参照)。

だから配備場所もまだ決められず、韓国の各地で反対運動に見舞われています。朴槿恵大統領自身が後戻りする可能性も出てきました。

9月5日に杭州で習近平主席と会談した際、朴槿恵大統領は以下のように語りました。聯合ニュースの「朴大統領 習主席に『北の核問題解決すればTHAAD不要』」(9月5日、日本語版)から引用します。

  • THAADは北の核とミサイルに対応する手段として配備するのであり、第三国の安全保障上の利益を侵害する理由も必要もない。北の核・ミサイル問題が解決すれば(THAADは)必要ない。

THAADも元の木阿弥か

—THAADは必要ない、ですか。

鈴置:韓国メディアはこの発言を「条件付き配備論」と呼び始めました。「対北制裁をもっと厳しくする」くらいの口約束を中国から貰えば、それを米国への言い訳にして「配備保留」の姿勢に戻る作戦、と見る人もいます。

「THAAD配備について再び曖昧な姿勢を取ることで、米国から怒られないようにしつつ、中国の報復を逃れる」のが狙いです。もちろんそうなれば、配備派や米国にとって「元の木阿弥」ですが。

実は、今回の中韓首脳会談の少し前から、THAAD問題も含め米中間では立場をはっきりさせない「曖昧戦術」に韓国政府が復帰するとの観測が高まっていました。

8月に入り、朝鮮日報の金大中(キム・デジュン)顧問や東亜日報のホ・ムンミョン論説委員ら有力記者が相次いで「曖昧戦術」に言及しています(「二股外交の失敗が加速する『韓国の核』」参照)。

バイデンは調停委員

—従軍慰安婦問題で、韓国政府は国民の反対を押し切って日本と合意しました。日本側に戻ったとは言えませんか?

鈴置:それも誤った認識です。そもそも韓国の要求が無理筋だったのです。日本は何度も謝っておカネも出している。

というのに、また日本を叩いて国民の楽しみに供そうとしたので、さすがに日本も怒りました。日本が韓国の思い通りにならないのは、当たり前なのです。

それに慰安婦合意で韓国は「日本」ではなく「米国に屈した」のです。離米従中の言い訳にまで「慰安婦」を使うので、米国も怒って韓国に圧力をかけました。

2015年2月には、当時のシャーマン(Wendy Sherman)国務次官が「政治指導者が過去の敵を非難し、安っぽい拍手を受けることは容易なことだ。しかし、そんな挑発は発展ではなく、マヒをもたらす」と演説するに至った(「『米大使襲撃』で進退極まった韓国」参照)。

もちろん韓国政府は「慰安婦合意は米国の圧力の結果だ」とは絶対に認めない。二股外交で米中を操っていると国民に宣伝してきたのに「米国に屈した」ら、虚構が崩れてしまいます。

でも最近、米国のバイデン(Joe Biden)副大統領が「自分が慰安婦問題で日韓をまとめた」と明かしました。米誌「アトランティック」(The Atlantic)電子版(2016年8月26日号)で以下のように語っています。

  • Or, you know, [Korean President] Park [Geun-hye] and [Japanese Prime Minister Shinzo] Abe. I go to see Abe and he says to me, “Will you help me with Park?” And I call her and say, “Will you do this?” And I don’t negotiate the agreement, but the end result was, because I had a personal relationship with both of them and they trusted me, I could be an interlocutor, that was more like a divorce counselor, putting a marriage back together.

「安倍に会ったら『朴との関係を助けて欲しい』と言われた」「そこで朴に『こうするつもりはないか』と電話した」「自分は結婚生活を元に戻す調停委員の役割を果たした」――というわけです。

相変わらず告げ口外交

—「結婚生活は元に戻った」のではないですか。

鈴置:バイデン副大統領がそう思っても、朴槿恵大統領はそうは思っていないようです。「米国と、その後ろにいる日本に屈した」のがよほど不快だったのでしょう。

2015年12月28日の「慰安婦合意」で日韓両国はこの問題に関し「最終的かつ不可逆的に決着する」と約束しました。

しかし、朴槿恵大統領はその後も世界に向かって「日本は反省していない」と告げ口外交を展開しているのです。

例えば、ブルームバーグ(Bloomberg)通信の2016年3月30日の書面インタビューで「日本が歴史を直視しないことが日韓の未来志向的な関係の発展を妨害している」と述べています。

Park says South Korea Must Rid of the World Nukes, Not Develop Them」という記事の最後のくだりが以下です。

  • “The issues related to history have continued to be a stumbling block to the development of a future-oriented bilateral relationship,” Park said of Japan, a nation that occupied the peninsula for 35 years until its surrender in 1945. Japan should “squarely face history and make efforts to properly educate future generations without forgetting past wrongdoings.”

今後、もし米国からの圧力が弱まって、もっと中国側に傾くことになったら韓国は「慰安婦合意」など、いとも簡単にひっくり返すでしょう。

(次回に続く)=9月9日(金)掲載予定

9/9記事

yi-myong-bak

2012年8月10日、李明博大統領は竹島に上陸。前年に日本のスワップ枠のお陰で通貨危機を乗り切った後の掌返しだった(写真:代表撮影/AP/アフロ)

前回から読む)

日本と韓国が通貨スワップ再開に向け協議を始める。5年前のスワップは結んだ途端、韓国が掌返し。「慰安婦」を蒸し返したうえ大統領が竹島に上陸。さらには天皇陛下に謝罪まで要求したのだが……。

日本に実利なし

—前回は中国との関係悪化に悩んだ韓国が、日本にスワップを頼んできたということでした。

鈴置:朴槿恵(パク・クンヘ)政権の二股外交が破綻、韓国は米中双方からにらまれた。そこで突然に態度を変えて、日本にすり寄って来たのです。

ウォンは弱い通貨なので、韓国からはしばしば資本が逃げ出します。韓国はいざという時に外貨を誰かから借りる仕組み――通貨スワップが必要です。

でも、関係の悪化した米国は容易には結んでくれそうにない。中国には通貨スワップを結んでもらっているけれど、発動してくれるか分からなくなった。

そこで日本にスワップ締結を頼んだのです。なお、日本が外貨不足に陥るとは当面、考えにくい。日本にとっては実利のないスワップです。

「傾中」の歯止めにならない

—韓国を海洋勢力側に引き付けておくために、日本が通貨スワップを提供する必要がある、と言う人がいます。

鈴置:確かに、そう言う人が日韓双方にいます。韓国の中央日報も「韓日通貨スワップ、話を切り出してすぐに受け入れた日本」(8月29日、日本語版)でそう主張しました。文章を整えて引用します。

  • 崇実(スンシル)大学のオン・ギウン教授(経済学)は「中国の影響力が過度に大きくなるのを牽制するために、日本も韓国との協力を強化する必要がある」と話した。

韓国が一方的に頭を下げているのではない。日本にも外交的な利益になる――との主張です。でも、韓国がこう考える以上「韓国を引き付けておく」スワップは、逆効果になる可能性が大きい。

この記事も書いている通り、韓国は「引き付けておく」意図を見透かします。すると「我が国が中国側に行くのを米国や日本は恐れている。それなら海洋勢力に対し、もっとわがままを言っても大丈夫」と強気になるからです。

THAAD騒動の発端になった、中央日報の金永煕(キム・ヨンヒ)国際問題大記者の記事を思い出して下さい。以下が肝心な部分です(「『南シナ海』が加速させる『韓国の離脱』」参照)。

・正解はTHAAD配備の放棄だ。韓米関係は若干の後退を容認するだけの余地がある。韓中関係にはそのようなマージンがない。

要は、THAADを拒否しても米国はそれほど怒らない。半面、中国は恐ろしい国だ。何をして来るか分からない。だから、中国の言うことを聞いて、米国の要請を拒否しよう――との主張でした。

「10億円」貰えるなら即、竹島へ

—韓国は「より恐ろしい国」の言うことを聞くのですね。

鈴置:その通りです。好意を見せると「弱い国」と見なされます。すると好意が踏みにじられるのです。

ソウルの日本大使館前の慰安婦像に関しても、日本は韓国に誤解を与えています。「慰安婦合意」で「韓国政府は慰安婦像の撤去に努力する」と約束していました。

だから、政府も一部メディアも韓国側は「韓国の約束不履行を理由に、日本が元慰安婦を支援するための10億円の支払いを渋るのではないか」と懸念していました。

ところが、移転するメドが一切、立たない段階で日本が10億円を支払いました。胸をなでおろした韓国側は「日本は押せば引く」と自信を持ったのです。

「『慰安婦の10億円拠出合意』直後の動き」を見て下さい。日本が10億円支払うと分かった途端、韓国の国会議員団は竹島を訪問すると発表しました。裁判所も、途端に新日鉄住金など日本企業にカネを払えと判決を下しました。

  • 「慰安婦の10億円拠出合意」直後の動き(2016年8月)
12日 日韓両外相、慰安婦合意に基づく10億円拠出で合意
15日 韓国与野党の国会議員団10人、竹島に上陸
19日 ソウル中央地裁、元徴用工裁判で新日鉄住金に1億ウォンの支払いを命令
25日 ソウル中央地裁、元徴用工裁判で三菱重工業に14人の遺族に1人当たり9000万ウォンの支払いを命令
27日 日韓財務対話で、通貨スワップ再開に向けた協議開始で合意

慰安婦像に関しても韓国政府は「食い逃げ」コースに入りました。外交部の林聖男・第1次官は9月6日、国会答弁で「政府も国民世論を把握しながら動くため、今の段階では政府が前に出てこの問題を推進する考えはない」と述べています。

もう、何をやっても「韓国のせいで慰安婦合意が壊れた」とは言われない、と考えたのでしょう。いかにも韓国らしい。

李明博の食い逃げ

—そう言えば、日本が2008年にスワップを付けた時も、韓国は「遅い」「少ない」と文句を付けてきましたね。

鈴置:それだけではありません。韓国は「食い逃げ」しました。2011年秋、欧州金融危機の再燃でウォンが急落。韓国は通貨危機に怯えました。

この時も日本に泣きつきました。30億ドルだったスワップ枠を2011年10月、一気に700億ドルに引き上げてもらいました。これは抗生物質のように劇的に効きました。ウォンも株も戻しました。

すると、当時の李明博(イ・ミョンバク)大統領は直ちに掌返ししました。同年12月の日韓首脳会談で突然、「慰安婦に補償しろ」と言い出したのです。

翌2012年8月10日には竹島に上陸。さらに同月14日には「日王(天皇)が韓国に来たければ、独立運動家に謝罪せよ」とも発言しました(「韓国の主な『卑日』」参照)。

韓国の主な「卑日」

「従軍慰安婦」像設置
2011年12月14日、韓国挺身隊問題対策協議会がソウルの日本大使館前に「従軍慰安婦」像を設置。日本政府が抗議したが、ソウル市と韓国政府は無視。その後、韓国と米国の各地に相次ぎ設置された。「像」以外に「碑」も世界中で立てられている。2014年1月には仏アングレームの国際漫画祭で、韓国政府主導の慰安婦をテーマにした企画展が開催。
大統領の竹島上陸
2012年8月10日、李明博大統領が竹島に上陸。日本政府は抗議し駐韓日本大使を一時帰国させた。同月13日これに関連、李大統領は「日本の影響力も昔ほどではない」と発言。同月17日、野田佳彦首相がこの問題に関し親書を李大統領に送るが、同月23日に韓国政府は郵便で送り返した。
天皇謝罪要求
2012年8月14日、李大統領が天皇訪韓について「独立運動をした人に心から謝罪をするのならともかく(昭和天皇が使った)『痛惜の念』だとか、こんな言葉1つなら、来る必要はない」と発言。
対馬の仏像窃盗
2012年10月8日、韓国人が対馬の仏像と教典を盗んだ。2013年1月に韓国の警察が犯人の一部を逮捕、仏像2体を回収。しかし韓国・大田地裁は「韓国から盗まれた可能性がある」と日本に返さず。2015年7月18日に1体だけ日本に返還。
中国人放火犯の本国送還
2013年1月3日、ソウル高裁が靖国神社放火犯の中国人を政治犯と認定、日本に引き渡さない決定を下した。日本政府は日韓犯罪人引渡条約をたてに抗議。犯人は2011年12月26日の靖国放火の後、2012年1月8日にソウルの日本大使館に火炎瓶4本を投げ、逮捕されていた。
朴大統領の「告げ口外交」
2013年2月の就任似来、朴槿恵大統領は世界の首脳やメディアに会うたびに、安倍晋三首相の「歴史認識」など日本を批判。
産経元支局長起訴
2014年10月8日、ソウル中央地検が産経新聞の加藤達也元ソウル支局長を在宅起訴。容疑は「大統領に関し虚偽の事実を報じ、名誉を棄損した」。報道の元となった朝鮮日報の記事に関してはおとがめなし。同年8月7日からの加藤元支局長への出国禁止措置は2015年4月14日に解除。12月17日、1審で無罪判決、5日後に確定。
安倍首相の米議会演説阻止
2015年2月に聯合ニュースが「在米韓国人、演説阻止へ」と報道以降、韓国は大統領、外相、国会議長、学者らが世界の要人を対象に、同年4月の安倍首相の米議会演説を阻止する運動を展開した。阻止できないと判明後は、演説に慰安婦への謝罪を盛り込ませるよう米国に要求した。メディアも連日、阻止キャペーンを張った。韓国の国を挙げての筋違いで執拗な要求に、米政界では「韓国疲れ」という言葉が使われた。

日本から獲れるモノを獲ったら、態度をがらりと変えるのが韓国という国です。スワップを再開したら関係が良くなるとは限りません。むしろ悪化すると考えた方がいい。朴槿恵大統領の竹島訪問を後押しするかもしれません。

5年ごとの王朝交代

—でも、そんなことをしていたら韓国は信用を失います。

鈴置:韓国社会は「信用を積む」という観念に乏しいのです。企業同士の取引でも契約は平気で無視される。びっくりした日本企業が文句を言っても「状況が変わった」と言い返されるだけ。

—目先はともかくも、長期的な韓国の国益を毀損しませんか。

鈴置:損してもいいのです、政権にとっては。自分の時だけうまくやればいい。次の政権がうまくやれない方がむしろいいのです。

2018年に江原道・平昌(ピョンチャン)で冬季五輪が開かれます。問題が噴出し、韓国では日本との共催案――要は、面倒は日本に押し付けようとのアイデアまで浮かびました。でも、現政権は問題解決に本腰を入れません。

開会式は朴槿恵大統領の任期中に開かれます。しかし、2018年2月25日の閉会式は次期大統領が仕切ります。成功しても現政権の手柄にはならないのです。

神戸大学大学院の木村幹教授は「韓国の政権交代とは小さな王朝交代である」と喝破しておられます。韓国では5年ごとに王朝が替わるのです。至言と思います。

まかり通る半可通

—通貨スワップによって日本も得する、との意見を聞いたことがあります。

鈴置:半可通の意見です。「韓国に通貨スワップを付ければ、ウォン安に歯止めをかけることができる。輸出市場で製品が競合する日本はウォン安を防いだ方が得だ」という説です。

ウォンはマーケットから攻撃されやすい通貨です。経済規模に比べ、韓国には大量のホットマネーが入り込んでいる。そのうえ、外貨準備の流動性が低い。いったん外貨が流れ出だすと歯止めがかからないという弱点があります。

韓国の金融当局が通貨安に誘導している最中に、世界的な金融危機が発生すると、ウォンのパニック売りが起こりやすい。実際、この現象は2008年に発生しました。

つまり、世界経済の雲行きが怪しくなった時、韓国は通貨安に誘導したくても、おいそれとはしにくいのです。

反対に、日本とスワップを結んでもらえれば、安心して通貨安に持っていけます。これが2009年以降の状況です。スワップがあればこそ、ウォン安にできるのです。

「反日」したらスワップ破棄

—でも、1997年の通貨危機の際にはウォンが暴落しました。

鈴置:本格的な通貨危機になれば、確かにそうなります。でもその時は金融システムそのものが破壊されます。

通貨がいくら安かろうと、輸出ドライブをかけるはずの企業がバタバタと倒産してしまうのです。1998年にこの現象が起きました。

—「日本の輸出を維持するために韓国とスワップを結ぶ」という理屈はかなり怪しいのですね。

鈴置:この理屈はマーケットを知らない役人や政治家がよく唱えます。誰かに吹き込まれたか、聞きかじりでしょう。

—では、日本はどうすればいいのでしょうか。

鈴置:どうしても韓国にスワップを付けたければ「反日的な動きをしたら、スワップは破棄する」との条項を入れたうえ、公開しておく手があります。

告げ口外交など「卑日」に韓国が動いたら、マーケットは「日韓スワップは消滅する」と読みます。世界経済の状況が悪ければ、韓国から資本逃避が起きます。これへの恐怖から、韓国は「食い逃げ」しにくくなります。

あるいは、スワップの期間を半年とか3カ月に短縮する方法があります。韓国が「反日」「卑日」をしたら更新しないわけです。

1年以上に設定するから「自分の任期中はカバーされる」などと考え「食い逃げ」する大統領が出るのです。

—スワップ協定に「卑日条項」を入れるなんて、先例はあるのですか?

鈴置:ないと思います。でも「慰安婦合意」には「韓国は蒸し返せない」との条項を入れました。これも異例のことです。

韓国相手には、普通のやり方ではうまくいかないのです。約束や契約が尊重される国ではない――法治国家ではないのです。中国と同じです。

日韓スワップは中国への裏切り

—韓国は本心から海洋勢力側に戻ってはいない。偽装転向、ということですね。

鈴置:ざっくり言えば、そういうことです。今は中国とのスワップが信じられなくなって、日本にすり寄っている。でも韓国は少なくとも金融面では完全に中国ブロックに属しています。

通貨スワップも中国頼み。米国が入るなと言ったAIIB(アジアインフラ投資銀行)にも積極的に参加した。今回の日韓スワップを報じる韓国メディアに、彼らの本音が見え隠れしています。

中央日報の「韓日財務相会談…韓中関係の亀裂で韓日通貨スワップ再開か」(日本語版)をご覧下さい。関連する部分を文章を整えて引用します。

  • 「通貨同盟」たるスワップを巡る韓日中の力学関係を勘案すると、韓国としては日本とのスワップ再開が中国との関係に及ぼす影響も考慮するほかない。

「日本とスワップを結ぶと『裏切った』と中国からにらまれるのではないか」と韓国人は恐れているのです。

聯合ニュースの「米利上げ可能性が高まり…韓日通貨スワップ電撃再開」(8月27日、韓国語版)も、その懸念を吐露しています。

  • ソン・テヨン延世大教授は、韓日通貨スワップ再開により韓中関係が影響を受けるとの一部の憂慮に対し「スワップは中国の経済的な側面に危害を与えるものではない」と述べた。

気分はもう「中国圏の一員」

韓国には「中国圏の一員」との意識がしっかりと根付いています。そこで日本とスワップを結べば「裏切り」と中国に叱責されると恐れた。それに対し、ソン・テヨン延世大教授は「実害がないから中国は怒らない。大丈夫だ」と説明しているわけです。

日本に揉み手をしながら近づいてきても韓国はもう、すっかり中国側の国なのです。中国との関係が改善すれば、またスワップを発動してもらえると安心して、日本には後ろ足で砂をかけるでしょう。

韓国に好意を示せばいい関係が生まれると期待してはいけません。次にスワップを食い逃げされたら「またも騙された」と日本人が不快になるのは確実です。それが嫌なら韓国とは間合いをとって付き合う方がいいのです。

(次回に続く)

9/10記事

nuclear-bomb-examination-in-n-korea

北朝鮮の5回目の核実験が韓国の核武装論に火をつける(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

9月9日午前9時半ごろ、北朝鮮が5回目の核実験を実施した。韓国で高まっていた予防攻撃論や核武装論に、一気に火がつくのは確実だ。

核弾頭を思いのままに必要なだけ

9月9日午後、北朝鮮は5回目の核実験に成功したと発表した。朝鮮中央テレビは「戦略弾道ミサイルに装着するための標準化、規格化された核弾頭の構造と動作、特性、性能と威力を最終的に確認した。より打撃力の高い各種核弾頭を、思いのままに必要なだけ生産できるようになった」と誇った(朝鮮日報「速報・北の朝鮮中央TV『核実験に成功、思いのままに核弾頭生産が可能に』」=9月9日、韓国語版=参照)。

韓国の国防部関係者は同日午前「核実験によると見られる地震の規模はマグニチュード5.0。核爆弾の威力は(TNT換算)10キロトン程度と推定され、これまでで最大の規模である」と記者団に説明した。

  • 北朝鮮の核実験
回数 実施日 規模
1回目 2006年10月9日 M4.2
2回目 2009年5月25日 M4.7
3回目 2013年2月12日 M5.1
4回目 2016年1月6日 M5.1
5回目 2016年9月9日 M5.3

(注)数字は実験によって起きた地震の規模。米地質研究所の発表による。

これを伝えた聯合ニュース「北、政権樹立日に5回目の核実験…軍、10キロトンの威力と推定」(韓国語版、9月9日)によると、今年1月の4回目の核実験の威力は6キロトンだったという。

この記事は科学技術研究院のイ・チュングン研究委員の「威力は10-20キロトンと推定される。この程度の威力があれば核弾頭として十分に使える」との発言も伝えた。

運搬手段も着実に確保

北朝鮮は核弾頭の運搬手段も着々と整備している。8月24日には日本海で潜水艦発射型弾道ミサイル(SLBM)を1発、試射した。

500キロほど飛行したため、専門家は一様に、北朝鮮がSLBMの実用化にメドを付けたと見なした(「韓国が目論む『2020年の核武装宣言』」参照)。

9月5日にも「ノドン」と見られる弾道ミサイル3発を東北東に向け発射。約1000キロ飛行し、日本の排他的経済水域(EEZ)内の北海道・奥尻島の西、約200―250キロに落ちた。

2016年1月の4回目の核実験以降、韓国では堂々と核武装が語られ始めている。最大手紙の朝鮮日報が先頭に立って「核保有を検討しよう」と訴えた(「やはり、韓国は核武装を言い出した」参照)。

8月24日のSLBM成功の後には、核武装論の声がさらに増した。THAAD(地上配備型ミサイル迎撃システム)などの核ミサイルを撃ち落とす兵器を導入しても、潜水艦から奇襲で核攻撃を受けたら対応できない、との判断からだ。

北は戦争を準備している

保守論壇の重鎮、朝鮮日報の金大中(キム・デジュン)顧問は8月30日に「我々はいつまで『防衛』にだけすがるのか」(韓国語版)というコラムで「我々は攻撃に転じる時だ。THAADを持ってもこの安保上の難局を突破できないのなら、核に行くしかないことを国内外に示さねばならない」と核武装宣言を呼び掛けた。

在野の保守運動指導者、趙甲済(チョ・カプチェ)氏も9月7日、北朝鮮の核施設への「予防攻撃」を検討するようソウル市内の講演で訴えた(趙甲済ドットコム「北の核を予防攻撃で処理する時間はまだ残っている」=韓国語、動画付き=参照)。

趙甲済氏は「北朝鮮の核兵器は理論的な脅威ではなく、実際の脅威になった。米国の専門家も北の核は『見せるためのもの』程度に軽く見ていたが、本気で戦争を準備していると見なす人が出始めた」と語った。

どこまで「我慢」できるか

5回目の核実験の直後、趙甲済氏は「朴槿恵大統領は『挙国核安保体制の建設』を国民投票に付せ」(9月9日、韓国語)を発表した。国民投票で核武装の決意を世界に示せ、との主張だ。

具体的には、大韓民国憲法第72条の「大統領は必要であると認める時は、外交・国防・統一、その他の国の安危に関する重要政策を国民投票に付することができる」に照らし、核爆弾を受けないためにはどうすべきか国民に聞け、と提案した。

2013年2月の3回目の核実験以降、韓国で世論調査を実施するといずれも3分の2が核武装に賛成する。もし、国民投票で賛否を問えば「我が国も核武装すべきだ」との意見が過半数に達する可能性が高い。

韓国の核武装に賛成する国はない。国民投票を通じ韓国人の核武装に向けた決意を示すことで、世界の反対を抑え込むのが狙いだ。

共和党の大統領候補、トランプ(Donald Trump)氏が一時期「日本や韓国には核兵器を持たせ、自力で国を守らせよ」と主張したことがあるが、最近は「そんな発言をしたことはない」と否定している。

朴槿恵(パク・クンヘ)政権は核保有を否定している。核武装を進める北朝鮮への制裁にブレーキをかける恐れからだ。しかし、国際社会が非難しようと、経済制裁しようと北朝鮮の核武装は進む。予防的攻撃や韓国の核武装の主張が高まれば、どこまで「我慢」できるか、疑問である。

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『日本は中国から「アフリカの支持」を奪えるか 中国式「新植民地主義」を「善意の日本」が揺らす』(9/7日経ビジネスオンライン 福島香織)、『G20、習近平氏の挫折 対米“大国外交”は幻に』(9/7日経 中沢克二)について

中国人は世界中どこへ行っても彼らの流儀を押し通します。チャイナタウンを作り、自分達で金が回るようにし、地元にはカネが落ちない仕組みを作ります。当然雇用も中国人を使うので、現地の人達にはメリットがありません。それに賄賂文化の悪習も持込み、中国国内同様、為政者のみ潤うことになります。国内同様、自分たちがやった悪事は全部他人のせいに転嫁しますし。日本は黙っているからイジメ易いと思われ、何でも日本のせいにします。戦後の日本人のだらしなさとしか言いようがありません。悪の帝国・中国の支配を世界に広げるつもりかどうか、日本を含めた自由諸国の覚悟が問われているのだと思います。

中国が嫌がることをするのが倫理的にも道徳的にも正しい道です。中国は詭道・詐道・覇道の国ですので。その意味で安倍首相がTICADを利用し、アフリカと着実に交流を深め、信頼を勝ち得ていくことは正しいことです。中国は相当嫌がるでしょう。当然です。自分たちは大きな投資をしてリスクを負っているのに、日本は少ない投資で現地の人の信頼を得る訳ですので。民族性の違いです。利他精神と中華思想の違いです。

G20での中国の米国への取り扱いは、昨年9月の習近平訪米時の冷遇の意趣返しでしょう。ローマ法王の訪米とぶつけ、シアトルでの歓迎晩さん会でワインも安物、日本料理を出したりと。でも誰にも分かるようなやり方でリベンジするのは未熟な証拠。外交プロトコルを守らない野蛮な国のイメージが出来上がるのに。中国は歴史的に見てもそうでした。満州族政権だった大清帝国の西太后も義和団を利用して攘夷を決行しようとしたりしましたし。中華思想の為せる業です。ですから彼らは平気で人種差別することができます。

http://netgeek.biz/archives/54238

スーザン・ライスは中国の金塗れのキッシンジャーの意を受けて、2013年後半には米中G2容認の論陣を張りました。それがこのような扱いを受けて悔しかったのでは。パンダハガーがドラゴンスレイヤーに変わるかどうか。少なくとも、抱きしめようとしたのはパンダではなく、シベリアトラ(東北虎)だったのに気が付いたかどうか。何せ東北虎はパンダ以上の絶滅危惧種だそうですので。まあ、彼女もクリントン同様、中国からの鼻薬が効いていて、このくらいは許容範囲かもしれませんが。

http://www.recordchina.co.jp/a32003.html

しかし、やはり杭州でG20を開いたのは失敗だったでしょう。ライスが如何に中国の言いなりになって動いてきたかをこの係官は知らなかったのでしょうけど、お粗末の一言。

「天有天堂、地有蘇杭(天には天国があり、地上には蘇州と杭州がある)」と言われるほど杭州・西湖は蘇州と並び風景の美しい地と評価されています。小生は蘇州の方が好きだったですが。龍井茶について、朱鎔基が「中国が持つ国際的ブランドは2つしかない。龍井茶と青島ビール」と言った記憶があります。でもお茶は日本の茶道が奥ゆかしいし、宋代の抹茶がまだ日本に継承されて、定式化されているのを考えますと、中国と言う国は易姓革命の国で、前の政権の良きところを引き継がなかったことが分かります。こんな国に生まれなくて良かったとつくづく思います。

福島記事

abe-ticad

日本のアフリカ支援が中国を苛立たせる(写真:AP/アフロ)

中国では杭州でG20が行われているのだが、残念ながらこの原稿の締め切り前に、そのサミットの中身について知ることはできない。とりあえず、習近平は笑顔で安倍晋三と握手を交わしたそうだ。その一方で、米大統領・オバマにだけレッドカーペットを敷いたタラップを用意しなかったり、大統領側近に空港での移動が警備当局から厳しく制限されて怒声が飛び交うような押し問答があったりした。

メンツにうるさい中国のことだから、タラップを用意しなかったのは、絶対わざとの嫌がらせだと、思われている。波乱含みの開幕のG20については、サミット後の結果をみて改めて報告するとして、今回はアフリカをめぐる日中のつばぜり合いについて考えてみたい。

「日本は中国・アフリカ関係を挑発」

とにかく、中国は先のTICAD6(第6回アフリカ開発会議)で日本が2018年までに官民300億ドル規模の対アフリカ投資を表明したことについて、非常に反感というか危機感を持っている。昨年12月にヨハネスブルクで開かれた中国・アフリカ協力フォーラムで中国は3年間で総額約600億ドルの支援を表明したから、それと比べると半分にすぎない少額であるにもかかわらず、その反応の激しさに驚く。

中国外交部は定例記者会見上で次のように発言した。

「遺憾なことは、TICADにおいて、日本は自分の意志をアフリカに押し付け、私利私欲を図り、中国・アフリカ関係を挑発しようとしている」

「日本は会議議題と成果文章に安保理改革と海上安全を盛り込もうと懸命だが、それはアフリカの発展という会議の主題とかけ離れており、アフリカ諸国の代表らの強い不満を引き起こしている。アフリカの国家はTICADの政治化に強く反対しており、アジアの問題をアフリカに持ってくること、日本が自分の意志をアフリカに押し付けることに強く反対している。日本は最終的にアフリカ国家の意見を受け入れざるを得ない。海洋に関する内容、安保理改革問題は前回のTICAD横浜宣言の原則を維持しているのであって、日本の共同通信の報道は客観的な事実を反映していない。これはアフリカ国家を尊重していないことでもある」

中国メディアも日本の対アフリカ援助を一斉に批判。

新京報(8月31日)は「日本は金をばらまいてアフリカを中国との競争の第二の戦場にしている」として、「(アフリカ支援の)目標は国連安保理常任理事会入りと、中国に対するけん制」という日本の学者の意見を引用しながら、そういう皮算用では、日本とアフリカの協力関係はおそらく順調ではないだろう、と言う。

中国メディア「日本は大損する」

また、環球時報に寄稿した社会科学院西アジア・アフリカ研究所の専門家・賀文萍は、アフリカにとって中国は重量級国家、日本は中量級国家だといい、これも日本の専門家の意見を引用し、日本の300億ドル程度の投資などおそるるにたらず、といった論調だ。

「経済が停滞に陥っている日本は経済貿易協力におけるハードパワーにおいて、中国に追いつき超えることはありえないことをよく知っている。このため、人材育成や就業、食糧危機問題解決など、日本が優勢さをもつソフトパワー領域に力を発揮するという言い方をする。…しかし、ソフトパワーで中国の優勢さに対抗するなんて聡明なやり方ではない。日本は楽勝と思っているのだが、最終的に大損をするのだ」…。

さらには、日本とケニアの共同宣言の内容が、ケニア側の外務省サイトにアップされていないうえ、改めて南シナ海については中国の立場を支持する内容をアップしたことについて「共同声明は双方で合意した文章ではなく、日本側の一方的な声明発表にすぎないことは、ケニア政府がすでに表明している。ケニアの安保理改革と海洋問題に関する立場は明確で、一貫している。すなわちアフリカ連合の立場を支持し、南シナ海においては中国を支持する立場なのだ」(中国外交部報道官)と強調した。

環球時報(9月1日)は「日本は大枚をはたいたのに、アフリカから冷遇されている」と報じ、「アフリカの友人たちから聞いたところでは、今回のTICADで日本は全くメンツを失ったそうだ。54のアフリカ諸国のうち総理、首相が出席したのはわずか25か国。…昨年末の中国アフリカフォーラム・ヨハネスブルクサミットに出席したアフリカ国家元首・首脳は42か国。日本は永遠に、これほどの人気、人の縁は得られない。…日本が安保理改革やアジアの海について中国をネガティブに宣伝することには、どの国も強烈に反対し、会議では一国として日本の立場を支持する国はなかった、という。むしろ日本のTICADの政治化についてはみな内心不快であった。今回の現実は、安倍首相にとって良い勉強になっただろう。アフリカで中国に挑戦するなんて力不足なのだ。中国のようにアフリカに対し平等に対応し、効果的にウィンウィンの方針を貫くなど、日本には永遠にできないマネである…」とこき下ろしている。

実際のところ、アフリカにおける中国の影響力は圧倒的である。アフリカ諸国も、当然、中国、日本の双方を競わせて金をひっぱってきたい思惑があろう。中国には中国にとって聞こえの良いことを言い、日本には日本の喜びそうなことを言う。日本ケニアの共同声明をケニア側が否定していることは、確かに日本にとって外交メンツを失わせたことになるので、この件については日本の外務省もきちんとプロセスを説明する責任がある。

ただ、中国がかくも、余裕のない様子で、敏感に日本の対アフリカ外交に対して反感を持ち、警戒感を示しているのは、やはり何かあると考えるのが普通である。実は中国の対アフリカ戦略が、思い描いていたほどの効果を上げなくなってきたことへの焦りがあると思われている。

難しさ5点、中国の焦り

8月下旬に出された中国社会科学院の西アジア・アフリカ研究所の「アフリカ発展報告書2015-2016」では、中国がアフリカのパートナーであり続けることの難しさをかなり具体的に指摘している。

①局部戦争、テロの脅威、政権更迭リスク、行政効率の低下、法律環境が人の意のままにならず、為替管理リスクも大きく、租税レベルが高くていい加減、マンパワーコストも必ずしも低くない。

②中国企業側に投資対象国への理解が欠如し、現地企業との間に悪性競争や現地の法律を無視した状況が起きる。

③アフリカ経済にネガティブな影響を与える。商品の価格下落、アフリカ基礎インフラ建設の遅れ、アフリカ国家市場の需要下落などが、我が国のエネルギー、基礎インフラ建設、製造企業のアフリカにおける発展に不利益をもたらしている。

④西側国家企業との競争が激化し、製造の障害となっている。エネルギー鉱物資源開発の領域において中国企業の権益取得を阻止しようと動いていることが一つ。また「中国脅威論」や「新植民地主義」といった批判でもって、中国企業の発展にネガティブな影響を与えている。

⑤中国アフリカ経済貿易協力において困難が存在する。アフリカ国家政府の政策支持が不足していること、基礎インフラ建設投資の割り当てが不十分なこと、企業への融資メカニズム、プラットフォームが欠乏していること。この結果、企業開発区の発展速度や企業の投資意欲にマイナス影響を与えている。

こうしたアフリカのリスクは実は中国だけでなく、アフリカに進出しているどの国も直面するものなのだが、あの中国ですら実はアフリカ進出は苦戦しているというのは興味深い。テロ・紛争リスク、法律の不備や無視、汚職の蔓延、労働者のモチベーション不足、金融や為替のメカニズムの不備などは、中国が国内で抱える問題にもあり、中国企業も当然、耐性があると思われているのだが、アフリカはその中国企業ですら音を上げるほどの環境のようだ。

特に、西側企業との国際競争が激しくなってきたことが、中国投資の苦戦の大きな理由に浮上してきた。西側大国と新興の大国が中国をターゲットに連動して動いている、という。「アフリカを食い物にしている中国の新植民地主義」という「宣伝」は、思った以上に中国のアフリカでの経済活動を苦しめているようだ。

もっとも、この指摘は、投資を受ける現場の住民の間では、反中意識が高まっていることの証左だといえる。『進撃の華人』(講談社)の著者の一人の元北京駐在スペイン人記者、ファン・パブロ・カルデナルから直接聞いた話だが、アフリカの多くの中国企業投資の現場では、環境破壊や住民の生活破壊、労働者への賃金未払い、搾取などの問題が必ずと言っていいほど発生し、政府や汚職官僚は中国マネーを歓迎するとしても、そこに暮らす人々の間ではむしろ反中意識が芽生えているという。詳しくは同書を読めばわかるのだが、そういった現地にはびこる反中感情のものすごさは、しばしばおきるザンビアの現地労働者と中国人マネージャーとの武装衝突事件やガーナの中国人違法金鉱採掘者の大量逮捕事件などにも表れている。

課題3点、アフリカの批判

在米華人学者の何清漣がボイス・オブ・アメリカに寄稿した「中国海外鉱山投資が資源ナショナリズムに遭遇」という記事を少し参考にして述べると、アフリカの知識人やNGOは、ここ数年一貫して、次の3つの点について中国を激しく批判している。

①中国の「新植民地主義」「経済帝国主義」がアフリカのエネルギー資源をかすめ取るだけでなく、環境生態を破壊している。

②中国のアフリカ経済開発は(中国移民を増やすばかりで)アフリカ人の就業機会増に貢献していない。

③人権を無視し、独裁政府を支持している。

一部地域で中国投資の油田や鉱山が現地武装勢力に襲われるのは、中国の投資自身が現地の政治衝突に干渉しているからだ、という。根本にはアフリカの資源ナショナリズムの台頭がある。

9・11事件以降の世界の変化として、中国の中華民族の復興、中東のイスラム原理主義の台頭、アフリカ・ラテンアメリカの資源ナショナリズムの台頭がある。いずれも行き過ぎたグローバリズムの逆流としてのナショナリズムの台頭といえるが、西側の普遍的価値観は中華民族の復興とイスラム原理主義の台頭については批判で一致し、アフリカ・ラテンアメリカの資源ナショナリズムは同情と支持を表明している。

一方、中国はこの資源ナショナリズムと普遍的価値観とは対立の姿勢を示している。中国のナショナリズム、つまり中華民族の復興を実現するには、資源の対外依存度が今以上に高くなっていくということであり、アフリカの資源ナショナリズムと対立する形にならざるをえない。投資と占有開発でアフリカの資源を奪う従来のやり方を変更することは難しい。

アフリカ諸国の政府自身は、今のところ中国との外交と援助姿勢を重視しており、中国にかなりの気の使いようだが、まがりなりにも選挙で大統領を選ぶ国家では、最終的には民意がものをいう。中国のやり方を新植民地主義と感じて抵抗感をもつ知識人や市民は増えていくだろうし、中国がやり方を変えないかぎり、対アフリカ投資はますます前途多難に陥るという見立てはだいたい間違いないのだ。

「善意の日本」が中国への有効打に

この事実を中国側は十分に認識しているのだが、発言上は、中国は「西側のライバル企業が中国脅威論や新植民地主義を喧伝して、中国企業の邪魔をしている」と言う。中国にすれば、かつてアフリカをさんざん食い物にした欧米諸国には言われたくない、という思いもあるだろう。

だがアフリカに植民地を持ったこともない「善意の日本」が、アフリカの資源ナショナリズムを尊重しつつ、きめ細かい開発や投資に乗り出せば、額は少なくとも、これは確かに現地市民の対中感情を相対的にさらに悪化させることになるだろう。中国にしてみれば脅威を感じて当然だ。経済リターンを得るという点では、かなり難しいが、日本の目的は中国への牽制であり、国連におけるアフリカ諸国の支持を得ることだとすれば、それは多少なりとも効果があるはずである。少なくとも、中国がここまで警戒心をむき出すということは、日本のこの一手に効果があるとみているということである。

アフリカは中国の一帯一路(陸のシルクロードと海のシルクロードの外交・経済一体化構想)戦略の海のシルクロードの終着点という意味で、中華秩序圏拡大(中華民族の復興)戦略の鍵となる土地。日本はこの中国の思惑に対し、インド洋から太平洋にかけて海洋安全保障にアフリカを組み込むことで中国を牽制、南シナ海からインド洋にかけての開放性を守りたい。それは尖閣諸島を含む東シナ海を中国の覇権から守ることにもつながる。

日本にしては珍しく、明確な戦略と視野をもった外交ではないか。困難はあろうが、うまくいくことを願っている。

中沢記事

20カ国・地域(G20)首脳会議が開かれた9月4、5日両日、そして閉幕後の6日。900万人の大人口を抱える中国の杭州市は薄曇り、にわか雨だった。

国家主席、習近平の晴れの舞台であるG20の成功を演出するため、周辺の工場は8月下旬から最大16日間もの全面操業停止を地元政府から言い渡されていた。それでも効果は限られていた。

■習・オバマの微妙な西湖散歩

そしてもう一つ。中国側が、G20の成功を演出するため目玉の一つにしたいイベントがあった。米大統領、オバマの大統領任期中の最後の訪中である。

習近平とオバマは9月3日夜、「人間の楽園」と称される杭州の名勝、西湖のほとりを2人で散歩した。特別待遇である。その途中で腰を下ろし、龍井茶で喉を潤した。とはいえ両人の表情は今ひとつさえない。

obama-%ef%bc%86-xi-at-the-west-lake

西湖のほとりで龍井茶を飲む習近平国家主席とオバマ大統領(中国国営テレビの映像から)

それもそのはず。これに先立つ、中国での最後の米中首脳会談と習近平・オバマの夕食会は愉快なものではなかった。

習近平にとって対米関係での最大の課題は、実は南シナ海問題ではない。2013年6月の訪米時に華々しく打ち出した米国との「新しい形の大国関係」を米国に受け入れさせるメドをつけることだった。米中両国が互いに“核心的な利益”を尊重し、事実上、世界を仕切るという野心的な試みだ。

もし、これを半分でも達成できれば、南シナ海問題などは大筋、解決したも同然である。しかし、ついにオバマの時代には実現しないことがはっきりした。習近平にとっては大きな挫折だった。

中国の国営メディアの報道は、さも米中の新しい形の大国関係の構築が進んでいるかのように報じている。だが、オバマはこれに一切、触れていない。会談では、南シナ海問題について国際法に基づく解決に言及した。先の仲裁裁判所による判決の受け入れを中国に迫っていた。

この「大国関係」という課題は、中国の内政上も大きな問題をはらむ。習近平は、来年の共産党大会の最高指導部人事を主導したい。そのためには外交上の実績も重要だ。だが、米国との関係を中心にした対外戦略は思うように動かない。これでは、自ら掲げた「中国の夢」の実現も危うい。

うかうかしていると、うるさい長老らに習近平の失点として突かれる恐れさえある。習近平としては、気候変動問題以外、目立った成果もないのに、オバマとにこやかに歓談するわけにはいかなかった。

オバマも似ていた。南シナ海問題を巡っては、スカボロー礁で中国のしゅんせつ船が動き出したとの情報をフィリピン側が明らかにしていた。笑顔で習近平と会談していれば、「アジア回帰」を宣言した米国の沽券(こけん)に関わる。

obama%e3%80%80walk-down-from-airforce-one

3日、中国・杭州の空港に到着後、赤じゅうたんの敷かれていない大統領専用機備え付けのタラップを下りるオバマ米大統領=AP

■杭州空港での米中のケンカ

この微妙な米中関係を象徴する事件があった。舞台は、9月3日、オバマが大統領専用機、「エアフォースワン」で到着した杭州空港である。

米側の随行職員らが中国側の警備担当者からいわれのない制止を受けた経緯が大きな話題になった。特に問題化したのは、国家安全保障担当の大統領補佐官、ライスが専用機から降りてきたオバマに近付いた際、中国の警備担当の公安要員が強く遮ったことだ。

「ここは我々の国だ! 我々の空港だ!」。さらに中国側の男性警備担当者は、ホワイトハウスの女性担当職員に声を荒らげた。大統領の外遊時、同行の記者団は、専用機のタラップの下で大統領を見守るのが慣例である。だが、中国側は記者らの移動を許さず、退去を求めた。米側担当者が強く抗議すると、中国の要員は怒鳴り返した。

今回、オバマが「エアフォースワン」で到着した際、中国側は赤じゅうたんを敷いたタラップを用意していなかった。オバマは専用機に付属するタラップを降ろし、そこから登場した。異例である。

出迎えの方式、警備を巡って米中双方が事前にやり取りしたが、その際に摩擦が起きたとされる。結果として中国側がタラップを用意しなかったため、多くの人々が「中国側の嫌がらせ」と受け止めた。中国側は、中国系紙などを使って「米側の要請だった」と反論している。

オバマ自身は4日の記者会見で、この問題について「深読みしなくてよいのではないか」「初めてではないし、中国だけでもない」と語り、受け流した。米国は他より航空機、ヘリ、車、警備員が多いためホスト国からすれば多過ぎるように思えるのだろう、という説明である。

真相はなお不明である。いずれにせよ、この後味の悪い一連の経緯は、今の米中の微妙な関係を表しているのは確かだ。

後話がある。ライスの制止問題である。「(中国側の)公安の現地担当者が、オバマ側近であるライスを知らなかったようだ。こんなつまらない話題にG20が乗っ取られてしまったのは残念だ。大きな失態だ」。中国側は頭を抱えている。

北京や上海といった国際都市なら、公安担当者ももう少し洗練されている。杭州だからこそ発生した問題だったかもしれない。

国際会議に慣れていない地域ならではの問題は、先に紹介した工場閉鎖も同じだ。「明日から工場を停止せよ」。ある工場への通告は、なんと操業停止日の前日だった。G20が終わるまで合計16日間も操業を止めろという命令なのに、何の補償措置もない。「中央の命令だから」。その一言だった。G20成功の演出には必要という判断だった。

休業による経済的損失は計り知れない。もしも、民主主義国家だったなら、政府を相手取った訴訟が起きるのは必至だ。

■閉幕に合わせた北朝鮮のミサイル発射

G20の期間中、風光明媚(めいび)な西湖のほとりはほぼ全てが封鎖され、一般人の立ち入りが禁止となった。ここは世界遺産に登録されており、その景観は中国の一般人民ばかりか、世界の人々も価値を認める共通の文化遺産である。

西湖の湖上を利用した大仕掛けのイルミネーションを一般市民は見ることができなかった=AP

しかし、西湖の湖上を利用した大仕掛けの舞台、花火も一般市民は見ることができなかった。巨額の資金を投入しているのに、である。そればかりか、市民は一週間の休みを言い渡されて、外地に行くように勧められた。

「全ては最高指導者のため。これはかつての中国皇帝の発想だ」。こんな恨み節も杭州市民から聞かれた。

強権姿勢はG20の会議の運営自体もそうだった。日本政府が現地のホテルに設置したプレスセンターでは日中首脳会談などの記者ブリーフなどが行われた。しかし、わざわざ世界各国から集まった記者らが入れない。

中国政府が警備上の理由を盾に、このホテルに入ることができる人数を一方的に制限したのだ。杭州空港での米中のトラブルと同種の問題だった。

この姿勢は、今回、習近平が、首相の安倍晋三との日中首脳会談に踏み切った理由とも重なる。安倍を真の意味で歓待はしない。だが、G20の成功の演出には、近隣の大国と2国間会談は必要だった。これが日中首脳会談で余り多くの成果がなかった理由の一つでもある。

習近平による、習近平のためのG20――。一大イベントは5日、「大成功」という自画自賛の中で閉幕した。

その日、習近平にとってもう一つ、いまいましい事件があった。関係改善を進めたはずの北朝鮮によるミサイル発射である。G20の閉幕日に合わせた中国への嫌がらせ。習近平はそう受け止めたに違いない。中国を取り巻く国際情勢はかくも厳しい。(敬称略)

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『行き詰まる「反グローバル主義」 英国のEU離脱は反面教師に』(9/6日経ビジネスオンライン 岡部直明)について

最初に、EUの問題ではなく、日本の蓮舫の問題についてで、日経にも中国語版があるのを初めて知りました。「日本真的有可能出現華裔首相嗎?(=日本は本当に中国人の末裔を首相にできるのだろうか?)」という記事です。繁体字ですから台湾向けと言えるかもしれませんが、当然中国大陸人も読めるでしょう。Nikkei Asian Reviewがあるのですから中国語版があってもおかしくはないのですが。でも、日本のメデイアは信用できない所があります。日本語版と外国語版では違うことを言う可能性もあります。売上を上げるためには国を売ることも厭わない連中ですから。この記事は二重国籍について触れてないようです。(長いので流し読みしかしていません)

「此後蓮舫開始涉足演藝圈,在連續劇《逮捕你的眸子》中出任角色,也出過半裸寫真集。一張用幾團肥皂沫遮蔽敏感部位的蓮舫半裸照風靡一時,使她一舉成名。(この後、蓮舫は芸能界に足を踏み入れ、連続ドラマ「君の瞳をタイホする」に出演、半裸の写真集も出した。石鹸の泡で微妙な部分を隠した半裸の写真が一世を風靡、一挙に名を挙げた)

給予永住外國人地方參政權,是民進黨的前身民主黨建黨以來幾任黨代表(鳩山由紀夫、小澤一郎、岡田克也、菅直人)的一貫主張,但黨内也有50 多個議員簽名反對,其中包括蓮舫。

蓮舫對華裔身份尤其忌諱。2004年7月15 日,她在新當選日本首位華裔民選議員後的第4 天,接受了筆者的專訪。當時針對「準備為在日華人做點什麼」的問題,她回答説:「我是日本的議員,要為整個日本服務,不會專為一部分人服務。在國際問題上,要推進日本和整個亞洲的關係。(=永住外国人に対して地方参政権を付与するのは民進党の前の民主党党首(鳩山、小沢、岡田、菅)の建党以来の一貫した主張であるが、党内には50名以上の反対署名した議員がおり、蓮舫もその一人である。蓮舫は中国人の末裔たる身分を忌避している。2004年7月15日に中国人として初めて議員になってから4日目に、筆者の単独インタビューを受けた。当時は「在日中国人の為に何をするか準備の程は?」と聞いたら、「私は日本の議員で、総て日本の為に尽くします。一部の人の為だけに尽くすことは出来ない。国際的な問題で、日本とアジアの関係を良くしていきたい。」)何か日本の報道とは真逆のようですが。お互い中国人同士なのでデッチ上げは得意でしょうけど。

http://zh.cn.nikkei.com/columnviewpoint/zhangshicolumn/21192-20160829.html?limitstart=0

ルーツが何人であろうとも日本国籍取得時にきちんと法的にクリアし(日本の法律では二重国籍は認めていない)、反日活動に勤しんだ過去がなければ総理を目指しても良いでしょう。でも、先ず二重国籍で、法的に日本人にはなれなかったのです。善意を信じて、証拠を取り寄せない、日本の法務省の落ち度でもある(帰化条件ももっと厳しくしないと)のですが、嘘をついて選良に選ばれたこと自体が問題です。半分外国人に参政権を認めたのと同じ効果を齎したのでは。「気が付かなかった」では済まされません。統治の正統性に疑問を投げかける重大なミスです。中国人に戻って貰った方が良い。これでも恥知らず(中国人ですから恥を知っている訳がないと思いますが)にも議員を続け、国民が政治家として選ぶとしたら何をか況やでしょう。「国家は国民に合った政府しか持てない」という事です。

本記事はグローバリズムが善と信じている人間が書いています。世界のメデイア人はリベラルと言われていますので刷り込みが強いのでしょう。本当にグローバリズムが良いことなのかどうか立ち止まって考えた方が良いでしょう。物の移動は国際分業と言う形で、各国を豊かにし、金や情報の移動は消費者の利便性を高めました。人の移動は文化摩擦を引き起こすだけです。また、経済格差もグローバリズム(安い労働力、資本の拡大再生産)から来ている面もあります。中国の経済格差は権銭交易によるもので、これは民族的腐敗体質の問題ですが。

それで、リベラルはトランプ現象が起きている現実には目を向けません。9/7CNN日本語版ではトランプ:ヒラリー=45:43、9/2ロイター日本語版ではトランプ:ヒラリー=40:39でした。

http://www.cnn.co.jp/usa/35088645.html

http://jp.reuters.com/article/usa-election-poll-idJPKCN11B0CN

米国民の半数近くが米国第一のトランプを支持しています。そもそもで言えば、モンロー主義で欧州の悪弊から米大陸を守ろうとしたのが米国の最初の歴史でもあり、民主党のウイルソンやFDRになって欧州戦線に米国も参戦、然る後に世界の警察官・基軸通貨国になり、オバマで世界の警察官から降りたという歴史の流れです。トランプが勝っても、ヒラリーが勝っても、米国第一を半数近くの人が支持しているとなると、米国は内向きの政策を採らざるを得ないのでは。グローバリズム(国際金融資本、ウオール街偏重)の政策は修正される可能性があります。ただ、世界の警察官を降りるとなると、人権抑圧国家・中国の世界進出を許し、暴虐の限りを尽くすようになるでしょう。

岡部氏は日経記者にありがちな経済だけでしかモノを見ない感じがします。世界の平和と安全が確保されて初めて経済活動が成り立つわけで、もっと軍事に関心を払った論評が必要かと思います。

記事

世界中に蔓延していた反グローバル主義の風潮が行き詰まり始めている。欧州連合(EU)離脱を決めた英国の国民投票は、離脱ドミノを引き起こすと懸念されたが、いまや英国は「反面教師」と受け止められている。米大統領選で排外主義を売りにする共和党のドナルド・トランプ候補は内外からの批判にさらされている。反グローバル主義や保護主義の代償がいかに大きいか人々が思い直し始めているからだろう。反グローバル主義が完全に消え去ることはないにしろ、それを封じ込める新たな挑戦が求められている。

trump-farage

英国のEU離脱キャンペーンの中心的存在だったナイジェル・ファラージ氏(左)が8月24日、米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ氏の集会で演説した。民主党候補ヒラリー・クリントン氏への投票拒否を呼びかけたが…。(写真:AP/アフロ)

ライシュの予言

グローバル化が進めば進むほど自らのアイデンティティーを求めて地域主義や地元意識が高まる。冷戦終結直後にこう喝破したのは、ロバート・ライシュだった。ビル・クリントン政権で労働長官になったこの経済学者に、取材で聞いたこの言葉には、妙に説得力があった。その後の世界を予言するものだった。しかし、グローバル化と地元主義が同時進行するというライシュの見立てを超えて、現実世界は思わぬ展開をみせる。世界中で所得格差が拡大するなかで、問題はグローバル化そのものにあるという見方が強まる。反グローバル主義の風潮である。

そうした風潮に大きな影響を与えたのは、米国のノーベル賞経済学者、ジョセフ・スティグリッツやフランスの歴史学者、エマニュエル・トッドら現代の論客である。スティグリッツは環太平洋経済連携協定(TPP)に反対し、米大統領選の反TPP機運を先導した。ソ連解体を予言したトッドは、英国のEU離脱決定でEU解体を予言する。

「英国第一」「米国第一」「日本第一」

たしかに自国本位の風潮はあちこちに広がった。問題は、それが競争力の乏しい途上国ではなく自由貿易を先導する開放的な民主主義国家で連鎖したところにある。

英国のEU離脱をめぐる国民投票で英国独立党(UKIP)が掲げたのは「英国第一」だった。旧東欧圏などEU域内からに移民の流入に不満をつのらせる英国国民の心理を刺激する作戦だった。「英国第一」は、米国の大統領選挙に連動する。激しい差別人種差別発言を繰り返すトランプ候補が主張したのは「米国第一」だった。最も豊かな先進国であり、20世紀の2大覇権国家である英米に、自国本位主義がはびこったのは深刻な事態である。

実は自国本位の風潮は日本にもあった。安倍晋三政権が掲げる「一億総活躍社会」は、形を変えた「日本第一」といえるだろう。「一億」が想定しているのは日本人だけである。移民や難民は最初から念頭にない。「一億総」に違和感を感じないとすれば、日本社会には知らず知らずのうちに「日本第一」主義が浸透していることになる。

自国本位主義の連鎖は、冷戦後のグローバル化の時代が大きな分岐点にさしかかったことを示している。

反面教師の英国EU離脱

しかし、行き過ぎた反グローバル主義は壁にぶつかることになる。英国のEU離脱決定でEU内に離脱ドミノが起きるという観測があったが、離脱をめぐる英国内の混迷をみて、EU内では離脱支持の機運が低下してきている。英国はEU離脱で先陣を切ったのではなく、反面教師になっているのだ。

国民投票でEU離脱が決まったものの、英国のテリーザ・メイ政権はEUへの離脱の正式通告を先送りしている。とりあえず年内の通告は見送るが、来年はフランスの大統領選挙やドイツの総選挙など重要な政治日程があり、さらに先送りされる可能性もある。

英国はEUへの市場アクセスの自由を維持しながら、移民の流入を規制する構えだが、EU内で英国に最も理解のあるメルケル独首相でさえ、「離脱でいいとこ取りは許さない」と言明しており、離脱交渉は難航必至である。なにより、離脱をめぐる不透明な状況が長引けば、EUメンバーであることを前提に英国に拠点を置く外資が欧州大陸に拠点を移す可能性もある。

そうなれば、外資依存の英国経済は致命的な打撃を受ける。いまのところ英国経済は小康を保っているが、ポンド急落からスタグフレーション(景気停滞下の物価高)に陥る恐れもある。

英国のEU離脱が英国の分裂につながる危険もある。スコットランドは英国から独立しEU加盟の道を探っている。北アイルランドもアイルランドへの統合をめざすだろう。金融街、シティーの地位が揺らぐようなら、ロンドンにも独立論が高まるかもしれない。

EU離脱をめぐる英国の混迷で、反EUを掲げるEU内の極右政党もEU離脱を撤回し始めた。オーストリア大統領選で極右・自由党のホーファー氏は「離脱は望まない」と姿勢を変えた。イタリアの「五つ星運動」も離脱ではなくEU改革を求めている。

こうした新たな潮流は、英国の混迷ぶりをみて、EU離脱の負の側面がいかに大きいかをEU各国が実感し始めたことを物語る。

高まるトランプ批判

米大統領選で共和党候補になったトランプ氏は、過激な差別発言を売りにしてきた。「イスラム教徒を米国から締め出す」と言ったり、「メキシコ国境に壁を建設し、その費用をメキシコに出させる」と言ったりした。

ヘイトスピーチまがいの排外主義発言で支持率は低下する。そこで差別発言の軌道修正やトーンダウンをはかっている。メキシコ大統領と会談するなど修復をめざしているが、手遅れだろう。トランプ陣営に加わろうとする有力な外交・安全保障の専門家やエコノミストはほとんどいない。

米国内でのトランプ批判だけでなく、海外からの批判も強い。大統領選が大詰めのこの時期、対抗候補にも何らかの接触を保とうという動きが水面下でみられるのが通常だが、ことトランプ候補に関する限り、そんな動きもほとんどみえてこない。各国はあからさまなトランプ批判は避けているものの、その視線は極めて冷ややかだ。

民主党のヒラリー・クリントン候補がいかに不人気でも、マイノリティ(少数民族)を敵に回して、トランプ氏に勝ち目はない。大統領選で大差をつけられるなら、米国内の反グローバル主義の風潮にも、水をかけられるだろう。

排外主義の不経済学

反グローバル主義が行き過ぎれば、いかにその代償が大きくなるかは歴史が証明している。戦前の大不況は、通貨ブロック化と保護主義で深刻化し、第2次世界大戦の導火線に火をつけることになってしまった。

ましてグローバル化が進展した現代で、保護主義の風潮が広がれば、世界経済は深刻な打撃を受ける。世界貿易の落ち込みの背景にある保護主義の風潮を国際通貨基金(IMF)は警戒している。

カギを握る日本の戦略転換

こうしたなかで、反グローバル主義の風潮をいかに封じ込めるか。カギを握るのは日本の新たなグローバル戦略である。アベノミクスの第3の矢である成長戦略が起動しないのは、グローバル戦略が欠けているからだろう。まずは「一億総活躍社会」という「日本第一」主義から脱することである。

「開放なくして成長なし」という原点に戻るしかない。日本の対内直接投資残高の国内総生産(GDP)比は3.7%と米欧諸国やアジア諸国より桁違いに低い。日本は海外からの投資に閉鎖的な国だといわざるをえない。日本企業が海外勢に買収されることに日本社会はあまりに神経質だ。インバウンド消費だけでなく海外企業の活力を取り込んで成長する姿勢に転換しない限り成長戦略は成功しないだろう。

メガFTA(自由貿易協定)の時代にあって、日本はグローバル戦略しだいで、重要な役割を担える。米大統領選で頓挫しかけているTPPをよみがえらせるため、進んで国会承認をすべきだろう。そのうえでTPPと東アジア地域包括的経済連携(RCEP)を結合するため、扇の要の役割を果たすことだ。英国抜きのEUとの経済連携協定の年内合意は、日EU双方に大きな好機をもたらす。

メガFTA時代を先導できれば、日本は反グローバル主義を封じ込める立役者になれる位置にいる。日本に求められているのはグローバル戦略の大転換である。

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『「山口会談」領土交渉を占うロ外相の意味深発言 日ソ共同宣言と、ロシア側が求める共同経済活動の”着地点”は?』(9/7日経ビジネスオンライン 池田元博)について

中国の暴発を押えるためには、ルトワックの言うようにロシアを日本の味方につける、最悪でも中国につくのではなく、中立化しないと、「一帯一路」で「一路」の海上輸送を機雷で封鎖したとしても、「一帯」の陸上、ロシア側から石油がドンドン入り込み継戦能力が飛躍的に高まります。ロシアもそれは先刻承知で、日本にロシアを高く売りつけようと思っているのに違いありません。

青山繁晴氏は「法的に日露間に残っているのはポーツマス条約で、南樺太も千島列島も日本のもの」と主張しています(下記ブログ「ぼやきくっくり」参照)。法的にも、交渉のやり方としても正しいと思いますが、71年も不法占拠を許し、今までの交渉でも日本が取り上げて来なかった経緯を考えますと、そこまでロシアに要求は出来ないのでは。二島返還(歯舞・色丹)+国後・択捉の継続交渉辺りが落としどころでは。これがプーチンの言う「引き分け」でしょう。

http://kukkuri.jpn.org/boyakikukkuri2/log/eid1768.html

http://kukkuri.jpn.org/boyakikukkuri2/log/eid1518.html

先に経済協力をして、ロシアにいいとこどりされるのではという危惧はあります。しかし、中国包囲網を完成させるには、ロシアの協力が必要です。リスクは取らねばなりません。米国と一緒になって中国を支援した結果が、今の危機に直面する日本です。SALTⅡやMADが機能した事実からすれば、中国のように「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という国柄ではないと思います。ウクライナ侵攻は「NATOの東方進出せず」の密約破りの為とも言われていますので。中国を信じて、大金を使いましたが、それならロシアに使った方が良いのでは。サハリンⅡの問題はありましたが、経済問題で、戦争問題ではありませんので。

奪われた領土は戦争するか、金で解決するかしかありません。沖縄は金で解決しました。北方領土は経済協力という「金」の別な形での解決方法です。沖縄にはまだ米軍基地も残っています。(それで、中国の西太平洋進出が抑えられています。)尖閣について、領土問題は存在しないというのが日本の立場ですが、強盗国家・中国の言い分は違います。宮崎正弘氏の『トランプ熱狂、アメリカの「反知性主義」』の中にルトワックの『自滅する中国』の引用部分がありました(P.179.)。「(中国の軍事的脅威の拡大という)逃れられない現実は、とりわけ日本にとって重大だ。中国に対する警戒を怠らず、日本の離島を守る(もしくは迅速に奪還する)ための実際的かつ現実的な準備を、誰の助けも借りずにしておかなければならないという現実である。もちろんアメリカは、日本の安全を全般的に保障する立場にあるのだが、日本はすべての小島や岩までアメリカに守って貰うことまで期待すべきでない。(奥山貞司訳)」

また、8/20JBプレス 古森 義久には「中国への対応は日本が決めること」と米専門家 エスカレートする中国の尖閣侵入、米国はどう見ているのか

8月に入って中国の尖閣諸島(沖縄県石垣市)に対する攻勢が一段とエスカレートしている。  中国はなぜこの時期に、中国海警や民兵組織を大動員して日本の領海や接続水域への侵入を繰り返すのか。目的は何なのか。前回(「尖閣に迫る中国、日本はどう対応すべきか」)に続き、米国海軍大学 中国海洋研究所のピーター・ダットン所長の見解を紹介しよう。  ダットン氏は中国の海洋戦略研究では全米でも有数の専門家である。元々は米海軍パイロットだったが、その後、法律や安全保障を学び法学博士号を取得した。中国海洋研究所の研究員となってからは、東アジアの安全保障、特に中国人民解放軍の海洋戦略を中心に研究を重ねてきた。南シナ海や東シナ海での中国の動向に関する論文の発表も多く、連邦議会の公聴会や民間シンポジウムで証言することも頻繁にある。 ■二国間協議に日本を引きずり出すのが狙い?  ダットン氏との一問一答の内容は次の通りである。 ――8月に入ってから中国海警や「漁船」と称する小舟艇が尖閣諸島周辺に頻繁に接近、侵入してくるようになりました。ここにきて中国がそうした動きに出る目的をどうみていますか。  ピーター・ダットン所長(以下、敬称略) 第1には、中国指導部が最近の国内経済の停滞や、その他の政策の行き詰まりの悪影響を懸念していることが考えられます。つまり、海洋での拡張能力の強化を誇示することで、国家意思の前向きさと強さを国民に示そうとしているのです。  第2には、南シナ海での中国の領有権の主張を不当だとした国際仲裁裁判所の裁定に反発している可能性があります。裁定に怒りをぶつけるような形で尖閣諸島に攻勢を仕掛け、国際社会全体との対決も辞さないという姿勢を見せているのです。  しかし、この動きが怒りから生じた衝動的な反応なのか、あるいは実はもっと計算された行動で、今後も続けられるのか、まだ判断は下せません。 ――中国は日本に何を求めているのでしょうか。 ダットン 8月に入ってからの中国の動きは、日本を威圧する作戦が明らかに新たな段階に入ったことを示しています。南シナ海でフィリピンなどに対してとった、いざとなれば軍事行動をも辞さないという強硬な出方です。  中国がそのように日本を威嚇する狙いは、尖閣諸島の領有権をめぐる二国間の協議に日本を引きずり出すためでしょう。中国公船や“漁船”のエスカレートする行動をやめてほしければ、中国との二国間の協議に応じろ、ということです。 ■具体的な対応は日本が決めること ――日本はどのように対応すべきだと思いますか。 ダットン 日本がどう対応すべきかについて、今はコメントを避けたいと思います。  ただし日本側も、現状のままの対応では中国の今の行動を止めさせられないことは認識しているかもしれません。では、具体的にどうするかというのは、あくまで日本自身が考えて決めることです。 ――尖閣諸島をめぐる日中の対立は、日本の同盟国である米国にとっても深刻な懸念材料のはずです。オバマ大統領は、『尖閣諸島は日米安保条約の適用範囲内だ』と言明し、尖閣が軍事攻撃を受けた場合には、条約の共同防衛の規定が適用され米軍も出動するという趣旨の政策を示しました。米国は現在の事態をどうみるのでしょうか。 ダットン 米国の当面の役割は、あくまで日本と中国との軍事衝突を抑止して、地域の安定を保つことです。 ■「軍事衝突」の危険性を憂慮  ダットン氏は以上のように中国の現在の行動の背景を分析し、尖閣諸島への攻勢がエスカレートしていることを強調しながらも、日本のとるべき対応についてはコメントを拒んだ。  それは、やはりまずは日本自身が中国とどこまで対峙するのか、あるいは譲歩するのかを決めるべきだというもっともな反応のように思えた。さらにダットン氏は、米国の出方についても控えめなコメントに終始した。  しかし、「日本と中国との軍事衝突」という表現をはっきりと述べたことは留意すべきだろう。それだけダットン氏は、軍事衝突が現実に起こり得る危険性を憂慮しているということである。」とあり、米国人には尖閣まで守る意思は薄いと見た方が良いでしょう。ただ、それは西太平洋を中国の海にしかねないリスク孕むことを米国人ももっと理解すべきです。勿論、中国が尖閣を奪いに来たら、警察・海保・自衛隊総力で阻止しないといけませんが。その後の米国の対応が局地戦で終わるかどうかの分岐点になるという事でしょう。そうなって初めて日本人の平和ボケの呪縛が解かれるのかもしれません。

竹島は「戦争」でもなく、「金」でもなく、返して貰いましょう。通貨スワップもGSOMIAも反対です。裏切りが常態の、告げ口が得意な下劣な民族は経済的に困窮、亡国になってから返して貰えば良いのでは。中国の属国になってしまえば無理ですが。中国経済は崩壊していますので、心中して貰った方が良いかも。

記事

ロシア極東のウラジオストクで行われた日ロ首脳会談で、プーチン大統領が年末に大統領として11年ぶりに来日し、12月15日に安倍晋三首相の地元・山口県で首脳会談を開くことで合意した。北方領土交渉は進展するのだろうか。

abe%e3%80%80vs%e3%80%80putin-2

ウラジオストクにおける安倍首相とプーチン大統領の会談は、合計で3時間10分に及んだ(写真:Kremlin/Sputnik/ロイター/アフロ)

広大なロシアを統治するプーチン大統領にとって、欧州部に比べて発展の遅れている極東地域の開発は長年の懸案だ。2012年にロシアが主催したアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を極東のウラジオストクで開いたのも、極東開発を促す思惑が大きかったわけだ。

そのプーチン大統領がAPEC後も「極東を忘れていない」という姿勢を誇示するため、自らの肝煎りで打ち出したのが、ウラジオストクでの「東方経済フォーラム」の定期開催だ。年1回の割合で開くこととし、第1回目の会合が昨年9月に開催された経緯がある。

今年9月2~3日、そのウラジオストクで第2回フォーラムが開催された。大統領にとって今回は、とりわけ喜ばしい会合となったようだ。昨年は記念すべき第1回フォーラムだったにもかかわらず、アジアから参加した賓客で目立ったのは、中国代表団を率いた汪洋副首相ぐらいだった。ところが今年はアジアの主要国から、日本の安倍晋三首相、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領という2人の首脳が参加したからだ。

“ゴールデンタイム”の相手に安倍首相を選ぶ

同時に、「うれしい悲鳴」ともいえる難題も浮上した。2人の首脳を迎えるプーチン大統領が期間中、どのように個別の首脳会談の日程を振り分けるかだ。大統領は3日夕には20カ国・地域(G20)首脳会談が開かれる中国・杭州へ出発するため、初日の2日午後から夕食会までを含めた時間帯が「ゴールデンタイム」とされた。日韓とロシアの外交当局者の間では、水面下で激しいせめぎ合いもあったようだが、最終的に大統領が「ゴールデンタイム」の会談相手に選んだのは、日本の安倍首相だった。

首相もこの機会を最大限に利用したようだ。2日にウラジオストクで開いた日ロ首脳会談は少人数会合、通訳だけを入れた2人の会談、さらに夕食会まで含めて合計で3時間10分に及んだ。5月に安倍首相がソチを非公式訪問したときの首脳会談の時間とほぼ同じだ。今回はしかも通訳だけを交えた2人だけのサシの会談が1時間近くに及んだという。北方領土問題を含む平和条約締結交渉について、かなり突っ込んだ意見交換をしたとみられる。

安倍首相は会談後、「新しいアプローチに基づく交渉を具体的に進めていく道筋が見えてきた。その手応えを強く感じとることができた会談だったと思う」と表明した。今回の会談では11月にペルーで開くAPEC首脳会議の際に両首脳が再会談したうえで、12月15日に首相の地元である山口県で首脳会談を開くことで合意した。

プーチン氏の大統領としての来日は2005年11月以来で、実に11年ぶりとなる。安倍首相はすでに13年4月、モスクワを公式訪問しており、大統領の年末の山口訪問は外交儀礼上の相互訪問、つまり公式訪問となる見通しだ。

山口会談は北方領土交渉の当面のヤマ場

ロシアのラブロフ外相は2日、ウラジオストクでの日ロ首脳会談の概要について記者団にブリーフした際、平和条約締結交渉の結果が「大統領の年末の訪日の際に明らかにされるだろう」と述べた。日本側はどこで結果を出すか、出さないかで合意しているわけではないとしているが、公式訪問であれば共同声明など成果文書を発表するのが通例だ。山口会談は日ロ交渉の当面のヤマ場になるとみるべきだろう。

では、山口会談で北方領土交渉にどこまで進展が見込めるのだろうか。

ソチの日ロ首脳会談で「新たな発想に基づくアプローチ」で合意して以降、停滞していた外務省高官レベルの平和条約締結交渉が頻繁に開かれるようになっている。ただし領土問題は、最終的には首相自身が語っているように「首脳同士の信頼関係のもとで解決策を見出していくしか道がない」。

首相がソチ会談で8項目の対ロ協力プランを打ち出し、今回のウラジオストク会談の直前に「ロシア経済分野協力担当相」まで新設したのも、プーチン大統領の関心が高い経済分野で信頼醸成を進め、領土問題で大統領の譲歩を引き出そうという思惑があるのだろう。

「ウラジミール」「シンゾー」と相互に呼びかけ

もちろん国内では、領土問題で進展がみられない中での対ロ経済協力の先行に懐疑的な意見も聞かれる。クリミア半島を併合するなど、ウクライナ危機を招いたロシアに対する欧米の経済制裁が続くなか、主要7カ国(G7)の一員でもある日本が対ロ接近で突出すれば、国際協調を乱しかねないと懸念する声もある。

それにもかかわらず首相が対ロ関係の改善にまい進し、大統領との個人的な信頼関係づくりを強化しようとしているのは、国内で強大な権力を握るプーチン大統領となら、長年の懸案である領土問題を解決できるチャンスがあるとみているからだろう。日本外交の基軸はもちろん日米同盟だろうが、日ロの接近に懐疑的な米国のオバマ大統領の任期切れが迫っているだけに、多少の突出も許容されるとみているのかもしれない。

いずれにせよ、ウラジオストクでは対ロ外交にかける首相の熱意が随所にうかがえた。典型例が東方経済フォーラムの3日の演説だろう。ウラジオストクを「ユーラシアと太平洋を結ぶゲートウェイにしよう」と呼びかけ、この街を育てていく営みに「日本を加えてほしい」と訴えた。8項目の対ロ協力プランの進捗状況を確認するため、プーチン大統領とウラジオストクで毎年会おうという提案までした。

そのうえで平和条約締結問題に触れ、「ウラジミール」とファーストネームで大統領に呼びかけながら、「私たちの世代が勇気を持って、責任を果たしていこうではありませんか」と首脳間での早期の決着を訴えたのだ。

安倍首相の熱意にほだされたのだろうか。プーチン大統領も首相演説後のフォーラムの質疑応答の場で、「シンゾー」とファーストネームで呼びかけながら、「我々はこの問題(北方領土問題)をそれぞれの国益に基づいてみているが、ひとつの点では完全に(意見が)一致している。すなわち、この問題は解決しなければならないということだ」と明言した。

問題解決に立ちはだかる世論の壁

とはいえ、ちゃんと予防線も張っている。大統領は続けて「我々がこの問題を解決するためには高いレベルの信頼が必要だ」と強調。解決策は「どちらの側も敗者だと感じないようにしなければならない」と述べ、「シンゾーが言うように、我々は決定的な一歩を踏み出す用意があるが、そのためには十分な準備が欠かせない」とクギも刺している。

プーチン大統領が対日関係改善に意欲を示しつつも慎重姿勢を崩さないのは、いくら国内で強い権限を握っていても、領土問題のような国民の琴線に触れる案件については世論の反応を意識せざるを得ないからだ。とくに18年の次期大統領選の再選を視野に入れれば、国民の離反を招くような譲歩はしたくないのが本音だろう。

ロシアの世論調査会社レバダ・センターが今年5月末に実施した世論調査によれば、北方領土の日本への引き渡しに「反対する」との回答が78%に上った。プーチン大統領はかねて、平和条約締結後の歯舞、色丹2島の日本への引き渡しを規定した1956年の日ソ共同宣言について、「ソ連と日本双方の議会が批准しており、ロシアとしても履行義務がある」と明言している。

ただし、同センターの調査では、この2島を日本に引き渡す妥協案ですら71%が「反対」した。仮に北方領土を日本に引き渡した場合、プーチン大統領への信頼が「多少は低下する」「かなり低下する」との回答も合計で55%に上ったという。

russian-survey-on-japanese-northern-islands

日本側は人的・人道交流も含めて話し合う用意あり?

日ロ首脳は双方に受け入れ可能な解決策を模索することで合意している。ただし、厳しいロシア国内の世論も踏まえれば、プーチン大統領が語っているように「双方の妥協」「敗者なき解決策」がなければ大統領は決して譲歩しないだろうし、結果的に交渉は進まないと判断せざるを得ない。妥協案は果たして見出せるのだろうか。

首脳間、政府間でどのような話し合いが進んでいるかは想像の域を出ないが、ラブロフ外相はウラジオストクで意味深長な発言をしている。ロシア側が以前から提案し、日本側が難色を示してきた北方領土での共同経済活動について、「日本のパートナーたちは単に共同経済活動にとどまらず、人的・人道交流も含めて話し合う用意があるような印象を受けている」と明かしたのだ(参照記事「北方領土交渉進展に向けたロシア側の“秘策”」)。

同外相は外務省高官レベル協議でも共同経済活動が「平和条約締結問題の非常に重要な部分として扱われるだろう」としている。高官レベルの平和条約締結交渉の協議内容は「極秘」で明らかにされていないが、ロシアのイズベスチヤ紙もこの交渉に「近い筋」の情報として、「日本側がロシアの提案している共同経済活動の可能性を検討する姿勢を示した」と報じている。

日本側は「具体的な話はしていない」としているが、大統領が「履行義務がある」とする日ソ共同宣言と、ロシア側が求めてきた共同経済活動の組み合わせで、北方領土問題の解決策を模索している可能性は否定できない。いずれにせよ年末の「山口会談」に向けて、日ロの首脳間、実務レベルの交渉をどこまで詰められるかが当面の焦点になりそうだ。

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『Brexitでドイツの徴兵制度が復活?英離脱で窮地に立たされているのはむしろEUだ』(9/5日経ビジネスオンライン シュヴァルツァー節子)について

ドイツの徴兵制復活の問題より、足元を良く見ないと、メルケルの属するCDUは政権維持できないのでは。AfDが州議会選挙で勝利しました。メルケルの採っている難民受け入れ政策を国民が拒否しつつあるという事です。以下はハフィントンポストの記事です。

<ドイツ北東部メクレンブルク・フォアポンメルン州で9月4日、州議会選挙が行われ、当局の暫定結果によると、難民受け入れに反対する新興右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が、メルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)の得票率を上回り、第2党に躍進した。ロイターなどが報じた。

同州はメルケル首相の地元選挙区であり、今回の敗北は政権与党にとって大きな打撃。2017年秋に予定されている連邦議会・下院選挙にも影響を及ぼす可能性がある。

公共放送ARDの予測によると、CDUの得票率が19%なのに対し、AfDは約22%。メルケル連立政権に参加する社会民主党(SPD)が30.3%で、第1党の座を維持している。>

http://www.huffingtonpost.jp/2016/09/04/merkel-dcu-afd_n_11862876.html

難民の引き起こす犯罪防止のために徴兵制復活を考えているとしたら本末転倒でしょう。難民受け入れを止めれば良い。そもそもシリアや北アフリカから逃れてくる人たちは本当に難民なのかです。経済難民で、本当に迫害を受けて逃れてくる人たちでないのが多いと思います。英語でもmigrant(=出稼ぎ労働者)の方が refugee(=難民)より多く使われています。それはそうでしょう。業者に金を払って地中海を渡り、難民認定して貰って祖国にいるよりいい暮らしをしたいと思って来ているのでしょう。中国の蛇頭に金を払い、日本に渡り、一稼ぎして帰った福建人と何ら変わらないのでは。ただ、日本と中国は一神教ではありませんから、中国人の性格の悪さは別にして、トラブルことは少なかったですが、欧州はイスラム教とキリスト教の戦いになってしまいます。難民をこのまま受け入れ続ければ、出生率の高いイスラム教徒は増え、欧州文化は様変わりしたものになるでしょう。

ドイツだけではありません。欧州、米国に反グローバリズム、反移民の嵐が吹き荒れています。トランプやマリーヌ・ルペン(仏、国民戦線党首)、オーストリア大統領選のやり直し等、メデイアが極右といって排撃する人たちの人気が上がっています。それは当然でしょう。為政者が国民を危険に晒し続けるのであれば、国民は投票によって為政者の首を挿げ替えることができますので。

http://www.sankei.com/world/news/160701/wor1607010041-n1.html

ヒラリーは認知症&脳梗塞の症状が出ているとのことです。いずれ公表する時期が来るのでは。もし、トランプに勝って米国史上初の女性大統領になったとしても、使い物にならないのでは。核ボタンを安心して任せられますか?同じく民主党だったFDRを思い出します。FDRがスターリンにしてやられたようにヒラリーは習近平にしてやられる可能性はないのか。

http://blog.goo.ne.jp/adachi4176/e/63529e06f04d95d60dfeef8b0969eea9

オバマはドウテルテとの会談を“Son of bitch”と言われただけでキャンセルしました。オバマは戦略が分かっていません。フィリピンを中国側に追いやるだけでしょう。そんなに自分の面子が大事なら、G20時の中国のエアフォースワンへの非礼にもっと怒るべき。ヘタレです。強い人間には媚び諂い、弱い人間は見下す如何ともしがたい人間です。

Obama walk down from airforce one

Obama snubbed

http://www.sankei.com/world/news/160904/wor1609040025-n1.html

蓮舫が二重国籍を追及され、嘘の上に嘘を重ねてきましたが、逃れなくなり、中華民国に再度除籍手続きを取るとのこと。父親のせいにしていますが、嘘でしょう。中国人は平気で嘘がつけますから。彼女は外省人(蒋介石と共に台湾へ逃れた中国人)の子孫です。台湾人ではありません。反日民進党は誰も蓮舫の代表選辞退について勧めませんが、面目躍如です。中韓と同じ性質を持った党です。自分の都合の悪いことは頬かむりし、相手のことは針小棒大に非難する。中国の王毅や華春瑩を見ていれば、臆面もなく嘘がつけるというのが分かるでしょう。それと同じ連中です。日本共産党と手を組む政党ですから推して知るべしですが。蓮舫は議員辞職し、政治の舞台から足を洗うことを勧めます。他にも二重国籍のものが40~50万入るとのこと。法務省はキチンと最後までチエックしてから日本国籍付与してほしい。国家の安全の問題かつ法治国家かどうかが問われる(法にヌケがあればそれを埋め合わせる省令を作ればよい)問題でしょう。他の政治家もキチンと調べるべき。在日から帰化して日本人になったというのも調べないと、外国人に参政権を渡したことになります。

http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20160906/dms1609061550004-n1.htm

記事

May & Merkel

英テリーザ・メイ首相(左)と独アンゲラ・メルケル首相(右)。英国のEU離脱の正式交渉を巡る神経戦が続いている。(写真=ロイター/アフロ)

ドイツで徴兵制度が復活するかも知れない。英国がEU(欧州連合)の離脱=Brexit(ブレクジット)を決めた国民投票から約2カ月が経ち、ドイツではこんな話題が関心を集めている。

Brexitとドイツの徴兵制度ーー。一見、何の脈略のないように見える両者だが、実は深く関係している。

欧州各国は現在、取り組むべき政治問題が山積している。頻発するテロ、難民問題、中東やウクライナの戦闘など、その多くは、長い歴史的背景に基づく宗教や民族間の抗争で、外交だけでは対処に限界がある。ドイツ国内に限ってみても、ここ数カ月でテロや難民を巡る事故・事件が多発している。

治安維持や難民対策に関わる様々な活動に、自衛・国防に基づく政策は不可欠だ。しかし、昨年以来急増している貴重品盗難や女性への危害、鶏やヤギなどの家畜盗難など、予想を超える事件が相次いでいる。既に報道されているテロの凶暴性に、ドイツ連邦および各州の対応は、追いついていないのが現実だ。

そんな矢先に、Brexitが起きた。英国のEU離脱は、EU全体の治安体制にも大きく影響する。これまで、英国が大きな役割を果たしてきたEU圏の国境警備を、今後はドイツがフランスと共にイニシアチブをとって展開してゆかなければならない。

難民の受け入れを巡るトルコとの交渉、ロシアとウクライナ抗争からEUを保護するなど、EU圏国境警備を目的としたドイツの役割は拡大せざるを得ない。こうした状況が、ドイツの徴兵制度復活の機運を高めている。

既に、国内外で相次いで起きた凶悪事件を受け、キリスト教民主同盟(CDU)の議員らが、自然災害などの自衛補強目的で徴兵制復活の意見を出している。現在ドイツ基本法は、「徴兵制度撤廃」ではなく、「徴兵制停止」状態であるため、煩雑な法的手続きなく復活可能である。

意外なことに、国民からは大きな反対意見は上がってきていない。警察官の数が不足している現在の国内治安維持のためであれば、徴兵制復活があっても、致し方ないとの考え方が広がっている。社会・婦人・家族・保健相を歴任したウルズラ・フォン・デア・ライエン防衛相は、現在のところ徴兵制復活には言及していない。

もちろん、実際に復活するかどうかは、今後の政治次第だ。しかし、EUと英国の交渉は長期化の様相を見せている。8月下旬から、夏休みを取っていた欧州各国の政治家たちも、政務に復帰している。EUの中心となる独メルケル首相、仏オランド大統領は、2017年に総選挙が迫っていることもあり、国内の治安・経済問題対策に追われ、Brexit後の欧州については、どこかまだ本腰が入っていない様子だ。英国も、総選挙までには、まだ余裕があるためか、メイ首相も、あわてた様子はない。

しかし、交渉が長期化するほど、ドイツ軍のニーズは高まるため、徴兵制復活も現実になる可能性がある。

もちろん、徴兵制はBrexitの余波の1つに過ぎない。英国でビジネスを展開するドイツ企業や、英国と連携して研究開発をしている研究機関も、見通せない先行きに不安を抱いている。

不安におののくドイツ企業

今年7月現在、英国でビジネスを展開しているドイツ企業は約2500社。約40万人のドイツ人が、英国に駐在勤務している。いずれも、英国で強固な事業基盤を築いているケースが少なくない。

例えば、シーメンスは、現在約1000人の従業員を動員して、ヨークシャーデールズ国立公園の近くハル港湾に、出資額3億1000万ポンド(約 430億円)の大規模な風力発電用のウィンドローターのプラントを展開している。水素・窒素ガス等で有名なリンデは、英国市場からの売上が、売上高の約1割を占めている。

BMWは、小型車MINIをオックスフォードで生産している。その他、エコ関係のバイオガス、弁護士、通訳事務所など、多くのドイツの中小企業が、英国内で活躍している。

多くの企業が最も懸念しているのは、Brexitによって雇用にどう影響が出るかという点だ。その行方は今後の交渉次第だが、多くの企業は従来の就労条件が変わることを恐れる。特に、積み立てた企業年金が、英国のEU離脱後も同じ条件で継続できるか否かには、大きな関心が寄せられている。

このため、ドイツ連邦海外業務振興機構は、英国駐在者がいるドイツ企業に対し、該当者年金失業積み立てなどが今後も継続的に該当者に給付されるように、最新の情報を得るよう呼びかけている。ドイツ連邦外務省によると、英独間の2重国籍取得が可能なため、自発的に同申請届出をだすケースが急増しているという。

欧州学術研究機関も影響避けられず?

これまで、英国と連携してきた学術研究機関も、Brexitの影響を懸念する。

現在、欧州全体で推進している衛星プロジェクト・ガリレオおよびコペルニクス、イーター国際熱核融合実験炉などには、英国からも優秀なスタッフが参加している。しかし、Brexitにともない、研究基金分担配分、英国研究スタッフたちの待遇が変わる可能性がある。

その行方は今後の交渉次第だが、長期に安定した環境を求める研究機関の一部では、英国側・欧州大陸側から英国研究者を外さざるを得ないのではないか、との悲観的見方が出てきている。ユンケル欧州委員会委員長によると、現在の英国からの研究者がEU公務員である場合は、EU内に留める計画である。

悲観的な見方の一方で、Brexitを前向きにとらえる動きもある。その最たるものが、ドイツの金融都市フランクフルトだろう。フランクフルトのあるヘッセン州政府は、英国の国民投票直後から、英国の金融機関をフランクフルトに誘致する使節団を送り込んだ。

ドイツの週刊誌Der Spiegelは、Brexitが決まった直後、ドイツ・英国のいずれかに本拠地を置いている555の投資家、資産運用管理会社、ファイナンシャルアドバイザーに対し、英国・ロンドンからドイツ・特にフランクフルトへのビジネス拠点移動についてアンケート調査を実施した。

その結果、すでにドイツに本社を置いているアンケート対象者の82%、現在英国に本拠地を持っている対象者の69%は、フランクフルトが今後、金融、ビジネスの中心地になると見ており、双方あわせて半数以上の57%は、今後フランクフルトの不動産物件の価格が急騰、一方、91%が、英国の不動産価格は、逆に下がると見込んでいる。

ただし、アンケート対象者の3分の1が、国民投票の結果は英国離脱となったが、実際に英国とEUの交渉が見えるまでは、具体的なアクションを即座にとらないと回答している。フランクフルトの金融ロビー団体であるマイン・ファイナンシャル協会は、今後、5年間で、約1万人の金融関係者がロンドンからフランクフルトに移転すると予測している。

専門家たちはどう見ているのか。EUの経済財務委員会は7月に、英国の国民投票後の経済を予測したリポートを発表している。これによると、BrexitによるEUのGDP成長率の低下は避けられないと見ている。レポートは今後の経済見通しについて、複数のシナリオを予測している。

誰がEUの結束を指導するのか

楽観的なシナリオの場合、EU27カ国のGDP成長率は、2017年にマイナス0.2%、悲観的なシナリオでは、マイナス0.5%と分析している。英国の経済見通しは、両シナリオともEUよりも厳しく、GDPは楽観シナリオで、マイナス0.9%。悲観シナリオでマイナス2.6%としている。

目を引くのは、通常冷静な数値分析で定評がある同リポートの文中に、「ショック」「センチメンタル」という表現が頻繁に記されていることだ。それだけ、Brexitの欧州に与える影響を警戒しているとも言える。同様に、ドイツ・バイエルンの経済金融投資アナリストも「GDP縮小は、確かだが、英国がEUから離脱するかの詳細はこれから」と述べていた。

何より不安なのは、政治面で欧州をうまくまとめられる政治リーダーがいないことだろう。これまで欧州の政治を指導してきたメルケル首相にも、人気と指導力に陰りが見え始めている。EUの結束、そしてNATO(北大西洋条約機構)の今後へ大きな変革が強く要求される現在、同首相に任せるのは心もとない。

そうした状況の中、8月22日にはイタリアのレンツィ首相が、メルケル首相とフランスのオランド大統領をナポリ沖のヴェントテーネ島に停泊中のイタリア航空母艦上に招待した。EUの政治経済双方での新規結束を強めようとイニシアチブを取り始めたと受け止められた。

もっとも、財政難にあるイタリアは、ギリシャ同様に、ブリュッセル・EUからの経済支援が不可欠であり、EU全体の指導者という点では説得力に欠ける。レンツィ首相のこの試みが、即、EUに新風をもたらすかは、非常に疑問である。

メルケル首相は、9月16日にスロヴァキアで開催されるEUサミットに備え、ポーランド、チェコ、スロヴァキア、ハンガリー、バルト3国などとの個別会談を開始している。英国が参加しないこのサミットでは、Brexitはもちろん、対トルコとの交渉など重要な議題が山積している。しかし、オランダ、オーストリアが、すでに、難民問題と対トルコ外交面でメルケル路線に反対姿勢を示している。8月25日のチェコ訪問では、プラハ市民からの抗議デモを受けており、EU加盟国が足並みをそろえることは、非常に難しい状況だ。

英国のEU離脱が決まった後も、今ひとつまとまりに欠けるEU。このまま、交渉が始まらずに時間だけ過ぎれば、そのマイナス影響はEUにとってさらに大きくなる可能性がある。Brexitで窮地に立たされているのは、英国よりもEUという見方もできる。EU本部のあるブリュッセルは、英国メイ首相の早期の離脱交渉開始を心待ちにしている。

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

『トルコに蔓延する米陰謀説』(9/5日経ビジネス The Economist)について

トルコのクーデターにCIAが関与したかどうか分かりません。しかし、アラブの春はCIAがNGOを使い裏から起こさせたと言われています。トルコ人に取って見れば、「またか」との思いがあったでしょう。またギュレン師を放置する米国に良い印象を持たないのも分かります。でもトルコはギュレン師の強制送還を言うのであれば、彼の犯罪事実を立証しなければなりません。今はトルコに死刑はないですが、終身刑は当然予想されます。そうでなければ、中国や韓国と同じく、事実認定から裁くのではなく、為政者の都合・国民情緒で裁くのと一緒になります。トルコがああいう国と同じように思われるのは心外です。小生も2009年4月家内とトルコに旅行し、トルコ人の日本人に対する目の優しさを実感しました。また食事もおいしかったです。ビールも世俗国家ですから、当然飲めまして、エフェスビールがおいしかった気がします。本HPのトップページにもトルコの写真を掲載しています。エジプトが多いですが。エジプトには2008年の8月に家内と一緒に行きました。(エジプトではステラビールを飲みました)。

米国は選民思想が鼻につきます。思い上がり、傲慢の印象が付きまといます。クーデターの後始末は大変で、再発防止のためには徹底した鎮圧が必要です。そうしなければ内乱になります。疑いがある人間の拘束も、無実であれば解放されたので、やむを得ないと思います。米国のように日本人を強制収容所に何年も閉じ込めておくような国からは言われたくないでしょう。また米国は軍産複合体に支配されていると言われていますので、クーデターは起きないでしょう。ただ、南北戦争(American Civil War)という内乱は経験しています。それでオバマが米国は分断されていないと頻りに言う訳ですが。人種間の争いが南北戦争のようにならないようにとの必死の主張です。

トルコは本記事にありますように、ロシアとの対立の歴史が長いので、NATOには継続加盟するでしょうけど、EU加盟は諦めているのでは。それでわざと死刑復活を言っているのでしょう。また難民のトルコ受入も欧州へのビザなし渡航が認められない限り、欧州へ送り返すでしょう。テロ爆弾を送り返すのと同義語です。メルケルはどう対応するのか。

記事

Erdoğan & Biden

7月のクーデター未遂事件以降の欧米の姿勢に対して、トルコが怒りをあらわにしている。トルコ国民の多くは、同クーデターは米国が糸を引いたとする陰謀説を信じている。トルコはロシア、イランとの関係を強化しているが、欧米との同盟からこの両国に軸足を移すことはないだろう。

バイデン米副大統領(左)が謝罪したものの、トルコのエルドアン大統領(右)の表情は険しい(写真=Abaca/アフロ )

トルコの首都アンカラで2015年、レジェップ・タイップ・エルドアン大統領のために新官邸が建設された。総工費は6億1500万ドル(約630億円)。石柱とガラスからなるこの近代的な“要塞”には部屋が1150もある。

同大統領の支持派にとっては、トルコのエネルギーと意思を表わす象徴だ。だが反対派にしてみれば、同大統領が持つ独裁者気質と権力への飽くなき欲望を物語る建物にすぎない。7月15日に起きたクーデター未遂事件で、クーデター派の爆撃機はこの官邸近くに爆弾を投下した。

米国のジョー・バイデン副大統領が8月24日、この建物にエルドアン大統領を訪れ、トルコとのより強い連帯を事件直後に示さなかったことを謝罪した。今回の事件を「9・11米同時多発テロ事件」になぞらえ、訪問が遅れたことをわび、犠牲者に哀悼の意を表した。バイデン副大統領はトルコとの関係を修復すべく最善を尽くした。

だがエルドアン大統領は感動したようには見えなかった。バイデン副大統領の横に座る同大統領は、旧友というよりも疎遠な親戚のように見えた。フェトフッラー・ギュレン師が依然として自由の身であることに同大統領は不満を述べた。トルコ政府は、米国在住のイスラム教指導者である同氏を、今回の事件の黒幕と見なしている。

エルドアン大統領は「トルコが米国と結んでいる身柄引き渡し協定の下、こうした人物は少なくとも収監されるべきだ」「彼はこの瞬間も、テロ組織を動かし続けている」と非難した。

米軍とCIAが仕組んだと非難

トルコ当局者は、米国がトルコに対して十分な敬意を払っていないと感じているだけではない。実際に多くの関係者が、米国の諜報機関はクーデターの動きを事前に察知していたと考えている。トルコの政府系メディアは、米軍や米中央情報局(CIA)がクーデターを仕組んだと数週間にわたって非難した。世論調査によれば、トルコ人の大部分が、米国が何らかの形でこの事件に関与したと信じている。

米国がそう見なされている最大の理由は、ペンシルベニア州の住居にいるギュレン師の身柄が拘束されていないことにある。同氏が率いる教団は学校、慈善活動、ビジネスの世界的なネットワークを束ねている。その賛同者は、トルコの官僚組織の至る所に存在する。

ギュレン教団は、かつてはエルドアン大統領および同大統領が率いる公正発展党(AKP)と連携していたが、2013年にたもとを分かった。未遂に終わったクーデターは同教団が実行したものなのか、あるいは軍の他のグループも一定の役割を果たしたものなのかを巡って、西側のアナリストの見方は分かれている。だが、トルコの人々のほとんどはギュレン教団が黒幕だと非難する。

米当局は過去数週間にわたり、トルコ政府と同国民に、ギュレン師のトルコ送還は司法判断に委ねられると説明してきた。バイデン副大統領は「我々は法にのっとって行動する。例外はない…。それが三権分立だ」とトルコの記者に語った。

だがそんな説明をしても無駄だ。駐トルコ米大使を務めたジェームズ・ジェフリー氏によれば、ほとんどのトルコ国民は「陰謀説をとっており、権力の分立など信じていない」。

軍政拒否を誇るトルコ市民

欧米諸国はクーデター未遂事件後にトルコ政府が始めた弾圧を批判している。これもトルコ・欧米間の摩擦を高める原因だ。西側政府と人権主義者は近年、エルドアン大統領が独裁主義を強めていることを懸念していた。

トルコ政府が何千人というギュレン支持者とみられる人物やその他の反政府主義者を逮捕するにつれ、「エルドアン大統領はこの事件を利用して自身の権力基盤を固めようとしている」との疑念が強まっている。事件が起きた2日後、ジョン・ケリー米国務長官とフェデリカ・モゲリーニ欧州連合(EU)外務・安全保障政策上級代表は、人権を尊重するようトルコに対して警鐘を鳴らし始めた。

これが多くのトルコ国民の感情を逆なでした。軍による攻撃から文民政府を守ったとして、トルコ全土が祝賀ムードに沸く中での出来事だったからだ。

米国の外交官の一部は、自分たちはやり方を間違ったと感じている。ある当局者は、バイデン副大統領のトルコ訪問を前に実施した会見で次のように疑問を呈した。「9・11同時多発テロの後、何週間もたってから他の国の大統領がニューヨークを訪れ、愛国者法について説教したとしたら、我々はどんな反応を示しただろうか」。

トルコを怒らせている3つ目の問題は、西側の指導者がクーデター事件直後に同盟国としてアンカラを訪問しなかったことだ。移民を巡る交渉でエルドアン大統領が3月に強硬な姿勢を見せたことを、欧州の人々はまだ根に持っており、同大統領を励ます気持ちになれないでいる。

トルコ政府に拘引されたり職を追われたりした人々は、今や8万人に膨れ上がった。欧州首脳がトルコを訪問すれば、こうした事実を是認することになりかねない。

欧州の人々が懸念するのも当然だ。トルコの野党議員で人権派の弁護士でもあるセズギン・タンリクル氏は「(粛清は)法に基づく適正な手続きや人権をほとんど無視している」と言う。

クーデター未遂事件の後に成立した法律により、訴追することなく被疑者を拘束できる期間は最長30日に延長された。弁護士との接見も限られる。当局は、クーデターではなく、ギュレン運動に関与した疑いで被疑者を取り調べようとしているように見える。

西側からのこうした批判を受けて、トルコは西側から完全に離脱すると脅しをかけている。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、トルコでクーデターが起きた後、エルドアン大統領への支持を真っ先に表明した外国首脳の一人だ。エルドアン大統領が事件後、最初に訪れたのはロシアである。

トルコは、シリアのバッシャール・アサド政権の転覆をずっと支持してきたが、最近はアサド大統領が一時的に職にとどまることを認めるとしている。ロシアとイランは、アサド大統領の後ろ盾だ。エルドアン大統領はこう発言することで「ロシアやイランと和解する選択肢があることを示し、欧米に圧力をかけている」。中東研究所のゴヌル・トル氏はこのように分析する。

だが戦略的に見て、ロシアは西側諸国との同盟関係を代替する存在にはなり得ない。ロシアとトルコは歴史的に敵対関係にあり、コーカサス、中東、黒海周辺地域への影響力をめぐって争ってきた。トルコにとっては、ロシアよりも北大西洋条約機構(NATO)の方が大切だ。

実際のところ、バイデン副大統領がアンカラに到着したのと同時期に、トルコ軍は初めて、米軍による空爆支援の下、シリアに地上軍を派遣し、過激派組織「イスラム国(IS)」への攻撃に備えた。トルコはクーデター未遂事件に対する西側諸国の反応に激怒しているが、だからといって、米国や欧州にすぐに背を向けることはないだろう。

©2016 The Economist Newspaper Limited Aug. 27-Sep. 2, 2016 All rights reserved.

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。