9/11ZAKZAK 田村秀男『中国金融市場の自壊は変えようがない 外貨準備は「張り子の虎」』について

周小川人民銀行総裁は拘束を受けているという話もありましたがG20に出席しました。単なる噂だったのか、取って代わる人材がいなかったのか分かりませんが。

短期金融市場で翌日もの金利が上がっているという事は貸す方が相手銀行を信用してないという事です。お互い傷んでいることに気が付いているからでしょう。シャドーバンキング(ノンバンク)と言われる地方融資平台の不良債権化が進んでいる証拠と見ます。

経常収支が黒字基調なのに外貨準備が減るのは違和感を覚えます。経常収支+資本収支+外貨準備増減+誤差脱漏=0ですので、資本収支が▲になっているという事でしょう。それで本記事にあるように「年間で6000億ドル(約72兆円)近い資金が外に流出している」という事でしょう。

またAIIB設立もこの外貨準備高を当てにして設立したのだとしても、「外貨準備が3兆5000億ドル(約420兆円)以上あっても、対外債務は5兆ドル(約600兆円)を超えている」のであれば金庫は空の可能性が高いという事でしょう。加盟国に拠出させ、自分の腹は傷めずに、他国のインフラ投資をすることにより、自国の過剰在庫・過剰投資である企業の救済を図ろうとしているという事です。これを詐欺と言わずしてなんと言うのでしょうか?

中国の富裕層は江沢民を中心とした上海派かそれに連なる連中です。彼らが香港市場を通じて人民元や株を売り出せば影響は大きいです。法で株の売買制限をし続けると、今度は大衆の個人株主が不満を持つでしょうから長くは制限できないのでは。でも9/3に江沢民、曽慶紅も参列したとのこと。習近平が軍権掌握したことを見せつけるパレードだったという見立てをする人がいますがそうではないでしょう。でなかったらば習の顔がもっと晴れやかになっていたはず。今回のG20に周小川が出て来たのも習がまだまだ実権を握れていないと見た方が良いのでは。

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china cash flight

八方ふさがりの中国経済だが、宣伝工作だけはさすがにたけている。先週末、トルコ・アンカラで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、不透明な中国当局の市場操作を厳しく追及する麻生太郎財務相に対し、中国人民銀行の周小川総裁は「市場は安定に向かっている」と言い抜けた。

 周発言の要点は以下の通りだ。

 ▽政府の措置により株式市場は崖から落ちるのを免れた。株式市場の調整はほぼ終わった。

 ▽8月の元切り下げ後に一時は元安圧力が高まったが、長期的に下落する根拠はない。

 いずれも現実とは遊離しており、麻生氏が周氏らの説明に納得しなかったのは当然だ。株価は、日本円換算で70兆円にも上るとみられる政府や政府系機関による株式買い支えや当局による厳しい投機の取り締まり、メディアへの締めつけにもかかわらず、乱高下が起きている。

 人民銀行は8月下旬に預金金利を追加利下げした。通常は「金融緩和策」のはずだが、結果からみると「金融引き締め」である。短期金融市場では銀行間融通金利上昇が止まらず、6月初めに1%強だった翌日もの金利は預金金利より高くなった。銀行は低い金利で集めた預金を銀行間で回せば儲かることになる。

 量のほうはどうか。中国人民銀行は一貫して発行する資金量(マネタリーベース)を増やす量的緩和を続けてきたが、この3月以降は減らし続けている。つまり、量的収縮策である。めちゃくちゃな金融政策で市場が安定するはずはない。

元相場の下落圧力は強くなるばかりだ。8月中旬、元相場を切り下げた後は元相場の押し上げにきゅうきゅうとしている。主因は資本の対外逃避である。周氏がいくら詭弁(きべん)を弄しようと、中国の金融市場の自壊に拍車がかかる現実を変えようがない。

 グラフは中国からの資金流出と外貨準備の減少の加速ぶりを示している。中国は厳しい資本の流出入規制を敷いているのだが、抜け穴だらけだ。党の特権層を中心に香港経由などで巨額の資金が持ち出される。預金金利が下がれば、あるいは人民元安になりそうだと、多くの富裕層が元を外貨に替えて持ち出す。

 貿易収支など経常収支は黒字を維持しているのに、外貨準備はこの8月、昨年6月のピークに比べ4358億ドル(約52兆円)減となった。経常収支黒字と外貨準備の増減からみて、年間で6000億ドル(約72兆円)近い資金が外に流出している。

 外貨準備はそれでもまだ3兆5000億ドル(約420兆円)以上あり、日本の3倍以上になるとの見方もあるが、中国の外準は「張り子の虎」でしかない。対外債務は5兆ドル(約600兆円)を超えている。いわば、外から借金して外準を維持しているわけで、外国の投資家や金融機関が一斉に資金を引き揚げると、外準は底を突く恐れがある。

 株式、元相場と金利・量と続く金融市場自壊はその予告なのだ。

9/11日経ビジネスオンライン 石黒千賀子『中国に欺かれ続けてきた米国 米中国交回復の驚くべき真実を著書「China 2049」で明かしたM・ピルズベリー氏に聞く』について

何を今頃気付いたのかという気がしないでもありません。「後から言うのは福助頭」でしょうと言いたいです。でも better late than never です。今からでも軌道修正した方が良いに決まっています。ダメなのは日本の経営者でしょう。中国への投資に未練を残してはダメです。敵国を経済的に助けることは利敵行為です。レーニンの言った「資本主義諸国の経済人は 自分の首を絞める縄を編んで持ってくる “ 役に立つ白痴”である」そのものでしょう。そんな大局的な判断ができる経営者は日本にはいなくなってきています。戦後教育の咎めでしょうか。自分だけ良ければいいという人や保身に固まっている人しか選ばれなくなっている気がします。東芝など最たるものでしょう。

でも経営者だけではありません。日本人全体が如何に騙されて来たのか。小生が中国から20005年に帰ってきて「騙す人が賢く、騙される方が馬鹿と言うのが中国人の基本的価値観」という話をしたら、国粋主義者だの人種差別主義者だの言われました。今小生が同じことを言っても、昔のような言われ方はしないでしょう。騙されて来たのに気付いてきたからです。中国の尖閣への対応や爆買来日中国人の実態を見るにつれ真の中国の姿に気付いたからです。

アメリカも百年経たないと気付かないほど愚かなのかという気がしましたが、アメリカは変わるときは早いです。日本のようにモッタリしていません。第二次大戦の時に太平洋艦隊司令長官をキンメルからニミッツにすぐ変えました。危機管理という点で日本は農耕社会そのものです。敵は大自然だけで他国が攻めてきても武士同士の戦いですから、百姓は関係ありません。平和な社会が続いたので騙すことを毛嫌いし、信頼をベースにした社会ができたのだと思います。中国とは全く正反対の社会です。

さて、中国が今一番考えていますのは中国系米国大統領を出すことと思います。何せ戦わずして勝つのが上策の国ですから。中国の人口の多さによる移民と賄賂、ハニトラを駆使して大統領を出し、中国に有利な世界を作ろうとするのでは。中国人にとって黒人は侮蔑の対象です。「黒人が米国大統領になれたのだから中国人が大統領になれないはずがない」というのが彼らの頭の中でしょう。中華思想に固まっていますので。何の科学的根拠もないのに自分たちは優れた民族と思いこみます。朝鮮半島も同じですが。

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Michael Pilsbury

マイケル・ピルズベリー(Michael Pillsbury)氏

1945年米カリフォルニア生まれ。米スタンフォード大学卒業(専攻は歴史学)後、米コロンビア大学にて博士課程を修了。1969~70年国連本部勤務を経て、73~77年ランド研究所社会科学部門アナリスト、78年ハーバード大学科学・国際問題センターのリサーチフェロー、81年国務省軍備管理軍縮庁のディレクター代行、84年国防総省政策企画局長補佐、86~90年議会上院アフガン問題タスクフォース・コーディネーター、92~93年国防総省総合評価局特別補佐官、98~2000年国防総省特別公務員(米国国防科学委員会)、1997~2000年米国防大額客員研究フェロー、2001~2003国防総省政策諮問グループメンバー、2003~2004年米中経済・安全保障検討委員会シニア調査アドバイザー、2004年以降、現在も国防総省顧問を続けながら、ハドソン研究所中国戦略センター所長も務める。米外交問題評議会と米シンクタンクの国際戦略研究所(CSIS)のメンバーでもある。米ワシントン在住。

著書に『Chinese Views of Future Warfare』『China Debates the Future Security Environment』などがある。(写真:大高 和康、以下同)

「米国の対中戦略は根本的に間違っている」。なぜか。「中国は再び世界の覇権を握るべく、米国や一般に世界が考えているよりはるかに長期的な視点で、戦略的に考え、動いている。そのことにあまりに多くの人が気づかず今に至っているからだ」――。

 こんなメッセージの本が米国で今年2月に出版され、米「ウォールストリート・ジャーナル」や米「ニューズウィーク」が取り上げるなど話題を集めている。英語の原題は、『The Hundred-Year Marathon:China’s Secret Strategy to Replace America as the Global Superpower』。中国が取り組んでいるのは、まさに「100年の歳月をかけて実現させようとしているマラソンのような長期的な戦略」なのだという。

 著者は、1969年以降、米ニクソン政権からカーター、レーガンと歴代の政権を通じて計約30年にわたり米国防総省や米国務省などで、中国の軍事力の分析に携わってきたマイケル・ピルズベリー氏だ。このほど日本語版『China 2049』が出版されたのに伴い、同氏が見る中国の考え方、そして、米国や日本がそうした中国にどう対応していけばいいのかを聞いた。

 インタビュー4回に分けてお届けする。ピルズベリー氏は、本を書いた目的は決して中国への敵対心をあおるためではないと強調する。米国や日本はどうすべきなのか、同氏の提案する対応策を最終回で紹介するので最後までご覧いただきたい。

 第1回は、米国と中国の国交正常化プロセスに至る驚くべき真実を含め、ピルズベリー氏がなぜ本を書くに至ったかを話してもらった。記事の末尾にピルズベリー氏へのインタビューを一部収録した動画を掲載した。(聞き手 石黒 千賀子)

—「米国の中国に対する認識の誤りは、米中の国交回復に遡る」と指摘されています。

ピルズベリー:米国ではこれまで、米中の国交を回復させたのは、リチャード・ニクソン大統領とヘンリー・キッシンジャー氏(ニクソン大統領の国家安全保障担当大統領補佐官)だったと誰もが信じてきました。実際、キッシンジャー氏は自らの回顧録の中で何度もそう書いてきた。「中国の扉をノックしたのは自分たちで、それによって我々が中国を世界の舞台へと導き出したのだ」と。米国には「Only Nixon could go to China」という諺まであるほどです。朝鮮戦争以降、あれだけ米国が敵対してきたしてきた中国への訪問を実現できたのは、米国内の反対派をも押さえ込めるほどの支持を誇っていたニクソン氏だからできた功績だという意味です。しかし、事実は違った。国交を回復すべく、米国に働きかけてきたのは中国でした。これが真実です。

「米中関係は知られていない事実があまりに多い」

 事実、キッシンジャー氏も2011年に出版した彼にとって4作めとなる回顧録『On China(邦題:キッシンジャー回想録 中国)』では、国交回復への表現を微妙に変えています。中国側からも、米国側からも双方が「並行して」働きかけた結果、実現したものである、と。それまでの3つの回顧録には、このような「並行して」という表現は出てきません。

 私が今回、本を書こうと思った理由は複数ありますが、大きな理由の一つがキッシンジャー氏のこの4作めの回顧録を読んだことでした。彼はこの回顧録を書くのに8年かかったと語っています。すべてではないものの、以前よりずっと多くのことを明かしているし、それまで彼が書いてきた本とも見方が全く異なります。「キッシンジャー氏も、中国への見方を変えつつある」と確信しました。私も、30年近く国防総省や国務省、米上院委員会、米中央情報局(CIA)など米連邦政府機関で中国の専門家として働いてきて、少し前までは「パンダハガー(親中派)」として知られてきた。しかし、近年、中国に対する認識を改めるに至りました。

 米中関係については知られていない事実があまりに多い。自分自身の経験も踏まえつつ、そうした知られていない事実を明らかにすることで、中国や米中関係の全体像をしっかりと伝えることが今こそ重要だと感じ、本を書きました。

「中国は1969年以降、同じ戦略を実行し、成果を上げている」

—米国も私たちも中国に対する理解、認識が全く間違っていると…。

ピルズベリー:中国については、多くの政治家がこれまでずっと「中国は貧しい、遅れた国だから支援してあげなければならない」と考えてきた。ニクソン大統領に至っては「我々は、怒りを抱えたまま殻に閉じこもっている中国を放っておくわけにはいかない。彼らによくしてやって、固く閉じた殻から出してやらなければならない」とまで言っていた。これが従来の見方でした、しかし、実際の中国の姿は全く異なります。

—数年前まで先進国の多くの人は、「中国も西側諸国のように経済成長すれば、自ずと市場経済も発展し、民主的で平和な国になっていくはずだ」と信じていました。しかし、特に習近平政権になって以降、「中国が進もうとしている道は全く違う」との認識が広がっています。

ピルズベリー:確かにそうした見方は広がってきています。しかし、何が起きているかと言えば、中国は1969年以降、同じ戦略を今に至るまで一貫して実行しており、着実に成果を上げている、ということなのです。少なくとも私は、そう見ています。

米国は中国から受けた国交回復の誘いを5回断った

 ただ、そうした中国の動きを理解するには、米中の国交正常化への動きがいかにして始まったのかから理解する必要があります。ですから、米中国交回復に話を戻しましょう。

 まず米国は、米国と関係を築こうとする中国からの誘いを何回断ったと思いますか――。米国は、ニクソン大統領が1972年2月に訪中するまでに、中国からの誘いを実に5回断っています。

—それほど、中国は必死だった?

ピルズベリー:はい。キッシンジャー氏が残した当時のメモなどの関連資料の「機密扱い」が解除されたのは、ほんの1年ほど前のことです。私は今回の本を書くにあたって、アメリカ国立公文書記録管理局やニクソン、カーター、レーガン大統領それぞれの図書館・博物館に足を運び、キッシンジャー氏に関連する資料を入手し、全部を時系列に並べて読み込みました。そこには、まだ知られていない情報が多くありました。

 例えばレーガン大統領は、中国に関する機密事項の文書はコピーを常に15部しかとらせなかった。つまり、その内容は15人しか知らない、ということです。その前のカーター大統領の場合も、中国の機密事項については7人しか知らない。こうした重要な事実が10年、20年、30年と時が経つ中で埋もれていくと、米中関係の全体像を知ることは難しくなる。

 キッシンジャー氏の残した文書の機密指定が解除になり、これらの資料を集めて、付き合わせた。その結果、米中国交回復への動きが実際にはどのようにして始まったのかを突き止めました。

 まず、重要な真実として、中国から米国に1970年末か71年初めに届いて、今も米国の機密文書として保管されている手紙があります。英文タイプライターで打たれたもので、署名はない。パキスタンの駐米大使からホワイトハウスに届けられた手紙です。そこには「ニクソン大統領が訪中することを歓迎します。あるいは誰か代表を北京に派遣して下さっても結構です」と書かれている。これはニクソン大統領による訪中が、中国からの働きかけで始まったことを示す重要な証拠の一つです。

 中国は、この手紙を送る前にも複数回、米国にアプローチしていました。ノルウェーの首都オスロにある米国大使館に中国大使館の人物が来て「あなた方と話がしたい」と語った事実もある。その後、アフガニスタンのカブールにある中国大使館の人たちが米国大使館を訪ねてきて、「あなた方に会いたい。本当だ」と働きかけた事実もある。

 いずれのケースにおいても、非常に驚いた現地の米大使館がワシントンに「中国大使館の人たちと会っていいか」と指示を仰いでいますが、米政府の回答は「ノー」でした。私はニクソン大統領およびキッシンジャー氏による彼らへの返信も見つけました。そこには「会ってはならない」と記されている。

毛沢東はエドガー・スノー氏にまで声をかけていた

 こうした米国の反応に怒り出した毛沢東は1970年10月、スイスに住んでいた米国人ジャーナリスト、エドガー・スノー氏(1972年2月にスイスにて死去)をわざわざパレードに招き、彼に直接「ニクソン大統領に訪中してほしい、と伝えてくれ」という旨のメッセージを託すことまでしました。しかし、これも成功しなかった。このメッセージがニクソン大統領のもとに届くことはなかった。スノー氏がニクソン大統領のことを非常に嫌っていたためです。詳しくは本を読んでほしい。

 これらの事実についてもキッシンジャー氏が書いたメモを私はリチャード・ニクソン図書館・博物館などで見つけて読みました。

—中国は、米国と何とか関係を構築しようと必死に何度も働きかけたけれども、米国は一貫して否定的なスタンスだったということですか…

ピルズベリー:そうです。ニクソン氏が強い反共産主義者だったことは有名です。大統領に就任した翌月の1969年2月には記者会見を開いて、「中国を念頭においたミサイル防衛システムを構築する」「なぜなら中国は信用できないからだ」とまで発言していたほどです。キッシンジャー氏も首席補佐官に就任した当初の2年間は、中国に近づくことには反対の立場でした。

 一方の中国の方は、ヨシフ・スターリンが1953年に死去するとソ連との関係が悪化し、60年以降、中ソの緊張は高まりつつあった。64年と65年にはソ連が100万人規模の部隊を中国との国境に移すなど、中国はソ連から軍事的圧力を感じていた。「最大の友好国が自分たちを敵視し始めた」という状況を前に、中国は自らの戦略を見直すことを余儀なくされていたわけです。

ソ連とのデタントを重視した米国

 中国が5回もアプローチしてくる中、当初は否定的だった米政権内で、中国との関係を築くことに関しては2つの見方が浮上します。一つは、中国と仲良くすれば、ソ連を怒らせることになるからまずい、という見方です。

 ニクソン氏が大統領に就任した最初の年の1969年、ニクソン大統領とキッシンジャー氏は「ソ連とはデタント(緊張緩和)が必要だ」というメモを多く書いています。米政権が、核兵器を削減し、軍備増強を控えれば、ソ連は、米国がベトナムから撤退するにあたって、それなりの協力をソ連から得られるのではないか、との期待からだ。当時、ベトナム戦争で苦戦を強いられていた米国は、ベトナムからの撤退を望んでいました。そのため「中国と友好関係を築こうものならモスクワを怒らせることになる。そうなれば、ベトナムでソ連から支援を得るどころかデタントまでキャンセルとなり、最悪の展開になる」というわけです。「中国に近づけば必ずソ連の知るところとなり、中国とは距離を置いた方がいい」と。だからオスロの誘いも、カブールでの誘いも断った。

 もう一つの見方は、中国と多少仲良くしてもソ連は中国と米国が接近することを既に想定しているのでそれほど怒らないのではないか、というものです。

—米中が接近した場合、ソ連がそれをどのように受け止めるかについて、ピルズベリーさんご自身もCIAやFBI(米連邦捜査局)に情報収集を依頼されたと本の中で明かしていますね。

ピルズベリー:はい、1969年当時、私は国連本部の35階で働いており、上司はロシア人で非常に高位の外交官でした。しかも周りの同僚もソ連の人たちばかりだった。CIAとFBIが、米中が接近した場合のソ連の反応や中ソ分裂の可能性を私に探るよう頼んできたのはそのためでした。何しろCIAやFBIは、国際組織である国連本部には足を踏み入れることすらできませんから。米政府としてはソ連側の反応を何としても知る必要があった。これが、CIAやFBIの協力者として私が働くようになったきっかけです。

 ですから今回の本を出版するに当たっては、日本語版でも目次の前に「筆者注(Author’s note)」を入れてもらったように、CIA、FBI、国防長官府、そして、国防総省のある部署に内容を査読してもらっています。内容が非常にデリケートなためです。実際、この4つの米連邦政府機関による査読を受けた結果、残念ながらそれぞれの組織から削除を命じられた部分があります。また、私は本に書いた内容以上のことは話してはならないことにもなっています。

中ソ関係は悪化

—まるで映画のような話ですね…

ピルズベリー:国連で共に働いていたソ連の上司や同僚からは、中ソ国境でソ連軍の中隊が待ち伏せをしていた中国軍に奇襲攻撃をかけられた話など、中ソ関係がかなり悪化している状況を聞き出すことができました。機密指定解除になった一連のキッシンジャー氏の資料の中に「ソ連は、米国と中国の関係がある程度近づくことを既に予想している」と書かれた国連本部発の情報があります。それには「最高機密」と書かれていました。FBIもCIAも、何人もの協力者を抱えています。そうした協力者が書いたレポートはすべてキッシンジャー補佐官の元に届けられ、彼はそれをメモにまとめていたということです。

 こうした約2年の歳月を経て、中国に近づいてもソ連の怒りを買うことはないだろうとの結論に至った米国政府は、ついに中国からの招待を受け入れ、1971年7月と10月にキッシンジャー補佐官が訪中し、翌72年2月、ニクソン大統領による訪中が実現するわけです。

—しかし、本にも書かかれていますが、当時の米国はソ連との関係に全神経を集中させていたことから、中国がいったいかなる意図で米国に接近してきたのかという点にはあまり注意を払っていなかった…

ピルズベリー:そうです。私はソ連から来ていた同僚や上司から複数回にわたり、「中国には気をつけた方がいい」というアドバイスを冗談を交えながら聞いていた。しかし、当時の私にはそれは、「ただの冗談」にしか聞こえていなかった。 本では「Only China Could Go to Nixon(アプローチしたのは中国)」と題した第2章で、かなりのページを割いて、米中の国交回復への動きがどのようにして始まったかを説明しているので、読んでほしいと思います。

 私が何より強調したいのは、今、あなたが私に質問した「なぜ中国は米国に近づいてきたのか」の答えが、単にソ連との関係が悪化したため、などという単純な話ではなかったということです。

—そこには、先ほどおっしゃった中国が1969年以降、追求してきたもっと深い戦略的な狙いがあった…

ピルズベリー:そうです。それを次にお話ししましょう。

https://youtu.be/97_SEQmJPfA

9/9日経ビジネスオンライン 福島香織『中国の大閲兵式は米国への挑発か秋波か 「力こそ正義」で共通する米中。日本の立ち位置は?』について

「力なき正義は無能(力?)なり」とは昔、漫画「空手バカ一代」の中で、大山倍達が良く言っていたことでした。力がなければ治安維持もできません。力を否定するのではなく、権力機構としての力の行使が妥当な範囲に入るかかどうかだけが問われるのです。今話題になっているSEALSは日本共産党の別働隊です。民青の力が落ちてきたのでアルファベットを使い、誤魔化そうとしているのだと思います。彼らが国会デモまでして唱えた「戦争法案反対」という主張は、日本と言う国の「言論の自由、表現の自由」に守られているからこそできるものです。隣国の中国共産党が統治する国でしたらたちどころに収監、拷問の憂き目にあうでしょう。同じ共産党がやる事です。日本が共産党に支配されたら中国と同じことをやられるでしょう。日本の左翼マスメデイアは共産党を応援していますが、狂っているとしか思えません。またそういう論調を有難がって、金を払い、経営を助け、脳内に刷り込みされる人がまだたくさんいるのを残念に思います。橋本徹はツイッターで「日本の有権者数は1億人。国会前のデモはそのうちの何パーセントなんだ?ほぼ数字にならないくらいだろう。こんな人数のデモで国家の意思が決定されるなら、サザンのコンサートで意思決定する方がよほど民主主義だ。」と言っていますが、正解でしょう。共産党シンパと言ったって首都圏で3万人くらいしかいないという事です。それで彼らの思い通りに政治を動かされたら民主主義の否定です。共産党は一党独裁・民主主義を否定する政党ですから。

アメリカも来年11月8日の大統領選に向けて、政治の季節に入っています。ここで対中融和を言おうものなら相手党を利することになりますので、中国には共和党・民主党とも強く出ざるを得ません。それでも、中国は国内向けに捏造した報道をするのが常態です。特に国際関係では「環球時報」や「国際先駆導報」などです。2005年の反日デモを煽ったのはこれらの新聞です。中国人は日本人以上に簡単に刷り込みされますから。だから「天安門事件」を知らない青年が多いとのことです。アメリカと戦争をしたことを知らない日本の青年とドッコイドッコイかもしれませんが。でも中国は政府が意図的に隠し、日本は本人の勉強が足りないだけでしょう。アメリカとのことでも中国が勝手にというか妄想を逞しくして書いているケースばかりと思います。でないと検閲に引っかかり、出世も覚束なくなりますので。

国会周辺で「戦争反対」と唱えている人は、第二次大戦でアメリカと戦わなかったらどうなったか考えてみた方が良い。歴史にifはありませんが、ハワイに続き51番目の州になった可能性もあります。それが本当に日本国民にとって喜ばしいことかどうか。(共産主義者は中国でないとダメと言うでしょう)。アメリカは徴兵制ではありませんが、米国の一州になれば自分の子孫は戦争に参加する確率が飛躍的に高まります。それこそ地球の裏側までです。

今は中国こそがclear and present dangerです。日本共産党は中国共産党と一緒になりたいものだから中国に有利になるような運動を展開します。彼らの言いなりになれば、日本はチベット・ウイグル・内モンゴルの運命を辿ります。戦うべき時には戦わないともっと過酷な運命が待っています。隷従の平和か、自存自衛の戦いどちらを選ぶかです。しかし、一国だけでは守れません。ABCD包囲網の逆を中国にすればよいのです。AAIJ(アメリカ、オーストラリア、日本、インド)+Taiwan+ASEAN包囲網です。戦わずして勝つでしょう。でもアメリカが変な動きをしないようにウオッチしてないと。中国は要人に金を送って、意見を変えさせようとしますので。

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 今、ちょうど北京に来ているのだが、中国に来るとインターネットなどで、海外の中国関連の報道に触れることがぐっと少なくなるので、また景色が変わって見える。

 例えば、日米中関係などは、日本で報じられているものと、ずいぶん印象が変わってくる。

示威の対象は米国だが、訪米も控え…

 9月3日の大閲兵式は、国内外の注目を浴びながら、無事に終わった。見どころは、見る人の専門性によって違うのだろうが、軍事・外交の専門家たちは、そのお披露目された武器の数々を見て、これは「抗日戦勝記念」と銘打ってはいるが、むしろ意識は米国に向いている示威行動だと解釈した人が多かったようだ。

 日本の報道だけでなく、英軍事専門誌ジェーンズ・ディフェンスウィークリーや米ディフェンスニュースなどは、グアムが射程距離に入る核弾頭も搭載できる中距離弾ミサイルDF-26や空母破壊を想定した対艦弾道ミサイルDF-21といった海軍兵器を披露したことを強調し、中国の軍事戦略が米国に照準を置いていることを改めて意識させていた。中国側の報道も、「米国に冷や汗をかかせてやった!」といったというニュアンスが散見され、この閲兵式および軍事パレードにおける示威行動の対象が日本ではなくて、米国であるという見方は正しいのだろう。

 だが、こうした状況から「米中関係が極めて緊張している」あるいは「対立が先鋭化している」、つまり米中関係は悪い、と単純に考えられるかというと、そういうわけでもないようだ。少なくとも、中国側の米国に対する秋波も見過ごすことができない。

 大閲兵式を終え、習近平訪米を控えて、米中関係に関する論評も増えているので、それらをさらっと見てみよう。

「米中は第二次大戦の盟友として」

 「…閲兵式では、いくつかの細かい点が、中米関係ウォッチャーの猜疑心を呼び起こした。オバマ大統領ほか西側の盟友は閲兵式に出席せず、習主席の重要講話でも、ソ連の戦争中の死傷者数に触れたにも関わらず、米国側の死傷者数には触れなかった。前日、オバマ大統領は第二次大戦終結70周年の声明において、戦後の米日関係の発展を高く評価し、”戦後の和解のモデル”とまで言った。一方で、対日作戦においてかつて肩を並べて協力した中国については一言も触れなかった。これは中米関係が今後、冷えていくことを暗示しているのだろうか?

 筆者が思うには、中米の間には始終ある種の”戦略的暗黙の了解”が存在する。北京とワシントンはともに、中米関係の安定を維持し両国関係の発展を促進する努力を保っている。両国の指導者は互いに、別のルートでもって誠意を示している。

 8月28日から29日まで中国を訪問していた米国のライス国家安全顧問が、中国の世界人民反ファシスト戦争における重大貢献について非常に高く賞賛し、中米が戦争時期に厚い友誼を育んでいたことを評価した。これはオバマ大統領の閲兵式欠席の遺憾を補うものだった。…習近平主席は米国の元フライングタイガース部隊(宋美齢の依頼で設立された米国人飛行部隊)メンバーに抗戦勝利70周年記念章を授与し、彼らの中国人民のための貢献と犠牲に感謝した。第二次大戦の盟友として、中米はかつてともに血を浴び奮戦し、巨大な犠牲を払って戦後秩序をともに再建したのである。

 …近年、中国の国力が増強し続け、米国にとっては、世界の指導者の地位に実質的に挑戦する国だと見えるだろう。同時に、西側の盟友、英国やドイツやフランス、オーストラリアがAIIBに加盟したことなどが、一層の”脅威”と感じているだろう。このため、ワシントンは他の盟友国に、中国の閲兵式に参加しないよう圧力をかけ、これの例外となったのは韓国だけであった。

 中米両国は過去30年あまり、すでに複雑な利益・運命共同体にある。中国が国際政治の舞台上で大国としての影響力を発揮するには米国との協力が必要であり、ワシントンは中国なしで国際事務をやってはいけない。例えば国際市場や為替の問題は中国の協力なしには安定させることができないのである。

 …習主席は閲兵式での講話で、こう言っている。『平和のために、我々は人類の運命共同体意識を堅固にしなくてはならない』。まさに、中米この両国の共同作業によって、信頼を高め、疑いを薄め、危機を管理し、地域の緊張情勢の緩和と地域の経済協力を促進し、ウィンウィンの関係を実現したいと願っている。中米は再び手を取り合って、国際秩序と国際体系の核心である国連憲章の宗旨と原則を維持し、新しい国際関係の核心をともに積極的に構築して、世界平和と発展という崇高な事業を共同で推進しなければならない」(フェニックスニュース・外交学院国際関係研究所研究生・劉暢)

 「オバマ大統領の招待によって、習近平主席は今月にも米国を公式訪問する。これは中米関係史上の重要なマイルストーンであり、国際社会の注目点である。

 …中米新型大国関係を構築することは、前人未到であり、これからの事業であり、そのプロセスは順風満帆とはいかないだろう。戦略的に高度で長期的な視点から出発し、具体的な協調、協力のプロジェクトによって我慢強く力を定めて、ひとつずつ積み上げていかねばならない」(新浪ニュースネット)

「日本が米中を離反させようと挑発」

 「…6日付の日経新聞が報じたところによれば、米国が中国の南シナ海の人工島の付近に軍艦と軍用機を派遣するかどうかを考えているという。ワシントンはまた中国のサイバー攻撃に対して、制裁を実行するかどうかを検討中という。”習近平主席の訪米前に、ワシントンと北京の緊張は高まっている”という。しかし、報道には米国政府関係者の名前も出てこず、匿名の情報筋すら示されていない。

 …外交学院の国際関係学者である周永生は6日、環球時報に対しこうコメントしている。”安倍内閣は、中国に対して全面対抗しようとしているようである。米国軍艦が南シナ海で挑発するように盛り上げて、戦火をG20財相会議にまで延焼させようとしている。”

 …日本のある政治外交研究者は環球時報に対してこう言っている。”米国が軍艦を南シナ海の人工島周辺に派遣する可能性は大きくない。中米首脳会談が今月行われる予定で、しかも閲兵式で中国は30万人の軍縮を発表し、平和の意志を世界に示した。こういう時に南シナ海で米国が中国を挑発することは国際世論の支持を得られない。”

 …中国の軍事専門家はこう分析する。”日本メディアは中米関係を離反させようと挑発している。過去一週間、日本メディアは、中国の閲兵式が、中国の武器が『米国本土大陸を攻撃できる能力』があることを示すものだということを強調している。”

 …香港・サウスチャイナモーニングポスト紙の5日の論評はこう指摘する。”中国閲兵式は武器をひけらかしたのではない。…国家の軍隊は高度な戦略能力を備えていて、初めて平和の安定を保証できるのである。”」(環球時報)

 閲兵式前後の米中関係に関する論評をざっと見て受け取れることは、米国と肩を並べて世界秩序を仕切ろうという新大国関係構築への呼びかけである。そして、それを邪魔しようとしているのが日本だということになる。日本は、米中離反を促す報道をあえて根拠もなくやっている、というわけだ。中国としては、強大な武器の展示や示威行動は、米国への挑発というより、中国がすでに米国のパートナーとなるに足る大国であることをアピールしている秋波だということになる。30万の兵士削減も、表向き軍縮と報じられているが、実際のところ陸軍の兵員削減は、軍の近代化・増強のための改革に必要なことであり、むしろ軍縮とは反対の方向性だ。

米中の共通点は「力こそ正義」

 私はこういう中国的なものの見方は比較的理解できる。一般に日米が自由や民主、法治といった価値観を共有していて、中国が西側的普遍的価値観と大きく違う中華的価値観に拘っていると思われるが、実は米中に共通にあり、日本にはあまり馴染まない価値感がある。それは力こそ正義である、という考え方である。

 中国も米国も実力主義の国であり、軍事力にしろ経済力にしろ、力に対する信望が強い。侮られるよりは恐れられるほうが、人同士も国同士も対等に付き合え、信頼関係も醸造できるという考え方だ。小人に大人の考えが分からないのと同様、小国に大国の理想はわからない。国家の力は主に軍事力と経済力である。経済については、すでに世界第二位のGDPを誇る中国にとって、大国・米国を直接攻撃できる軍事力があって、初めて米国と対等のパートナーシップを結べる資格を持てると考えても不思議はない。世界平和を維持するのは、軍事力であるという考えも米中の共通だろう。

 習近平の閲兵式での重要講話で、印象深い言葉があった。「中国人民抗日戦争と世界反ファシスト戦争は正義と邪悪、光明と暗黒、進歩と反動の大決戦であった」。

 戦争の歴史を正義と悪に単純に区別して論じられるのは、やはり中国的であり、同時に米国的でもある。日本の歴史観も戦争観も正義と悪をきれいに分けられない。これは、日本が第二次大戦で敗戦を喫したから、というわけでもなく、喧嘩両成敗的な発想がもともとあったり、判官贔屓といった敗者、弱きものへの同情心が強かったりすることと関係があるのだろう。

 敗者には敗者に至るプロセスがあり、悪人には悪人となる理由がある。日本にあるのは盛者必衰の理であって、勝者が敗者になり敗者が勝者になり物事は流転するという考え方だ。弱者や敗者に対して比較的同情的であるのは、自分が弱者や敗者になることを想像できるからであり、そういう想像ができるのは、弱者や敗者でも救済される余地があるからだ。厳しい国情の国では、弱者や敗者は徹底的に殲滅させられるので、自分が敗者であったならば、という仮定は、あり得ないのである。自分が弱者であったならば、敗者であったならば、と想像できる国は平和で幸せな国なのである。

日本こそ特異な国家であることの自覚を

 そう考えると、日本は第二次大戦の戦勝国によって秩序形成された国際社会において、かなり特異な国であり、米国にしてみれば日本より中国の方が理解しやすい部分もあるだろう。戦勝70周年記念で、中国は盛んに、米国とともに世界平和を導いたのが中国であり、いまこそ、かつてともに国際秩序を築いた両国が再び世界平和を導くのだと喧伝している。次世代の世界地図を考えながら、単純に力を信望する大国を敵に回すのが得か、味方にするのが得かを考えた米国が、中国と急接近するシナリオが無いとは言えまい。私は、次のリムパックに中国が参加することになっても一向に驚かない。

 力を信望する大国外交の間で、米国のパートナーという地位で、国家の二大パワーの一つである軍事力を公式には持たない日本がなんとか渡り合ってこられたのは、戦後の奇跡と言っていい。この奇跡がこれからもずっと続くと信じるのか、あるいは変化を余儀なくされるのか。これらを見定めるには、やはり米中関係の行方を、予断を持たずに見ていくことが重要なのは言うまでもない。そして、特異な国家は、彼らではなく自分たちであるという自覚もまた必要かもしれない。

9/9ZAKZAK 富坂聰『習主席「左手敬礼」と「覇権唱えず」発言の意味 日本の地位“強奪”狙いか』について

富坂聰氏はTVでも良く見かけますが、いつも奥歯にモノが挟まったような発言で、中国滞在経験者ならもっとハッキリ中国の実態を伝えた方がいいのではと感じます。「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」と中国人は考え、そのとおり行動し、騙すのが当たり前な世界です。こんなことは小生が言うまでもなく、富坂氏だったらとっくにご存じのことです。厳しく中国批判をすると、取材に支障が出るということを慮ってのことでしょう。生活がかかれば仕方のない部分もありますが。小生は会社をリタイアしたので、思い切り中国批判が出来ます。

本記事で『言い換えれば、「日本が平和国家としての価値観を捨てようとするなら、ありがたくその地位を奪ってしまおう」という意味にも読み取れる。』とありますが、違和感を覚えます。倒錯した考えでは。そんなに日本人は好戦的で、中国人は平和を愛するとでも思っているのでしょうか?逆でしょう。チベット、ウイグル、内モンゴルを見ていれば分かるでしょう。中国人から刷り込まれているとすれば、拓大に居る価値はないと思います。日本の現代史をしっかり勉強してないからでしょう。渡辺総長に教えを乞うた方が良いのでは。

友人の『「ネットで大きな話題になったのは、〈道徳経(老子の古典)〉のなかに左手は平和を意味するとあり、その手で敬礼したことは平和国家への決意だ」』というのも後付けで理屈をつけただけでしょう。習に軍事慣習を教えなかっただけと思います。故意に教えなかったのか、当然知っているものと思っていたのか分かりませんが。こういう屁理屈をスピーカー宜しく垂れ流すのは百害あって一利なしでしょう。

アメリカも今や反中で盛り上がっているようです。9/10宮崎正弘メルマガに載っています。『百年のマラソン』は共産党の建国から起算していますが、蒋介石にも騙されていたので、2049年に中国が世界制覇するというのであれば、1937年の盧溝橋事件を起点として『112年のマラソン』とした方が良いのでは。

http://melma.com/backnumber_45206_6258243/

記事

中国人民抗日戦争勝利70周年の記念行事を翌日に控えた9月2日の北京の街は、昼間から死んだように人通りが途絶えた。

 「夜8時には地下鉄が全線停止になります。9時からは外出禁止となっていますから、逆算してホテルに戻ってください」

 ホテルの従業員からこうクギを刺されたものの、そもそも動こうにもタクシーが一般客を乗せることもなく移動の手段もなければ店という店がシャッターを下ろしている。

 当初、警備が厳しいのは第2環状線の内側だけだと聞いていたが、甘かった。新聞は、ハトを放つことも禁止だと報じていた。

 街では普段はお目にかからない警備の組織もたくさんお目見えした。

 警備の中心を担う中国人民武装警察部隊(通称・武警)や公安、城管執法の文字の入ったブルーと白のパトカー、特別警察の黒い制服などは良く見かけるが、珍しいのは迷彩服姿の武警。「戦訓」のエンブレムに小銃を持った警察官。さらには「安保」(肩に執勤マーク)、「特勤」(肩に国旗)、「保勤」(肩に国旗)、「特保」と続く。これらは普段は軍に所属している兵士だが、一時的に治安組織に組み入れられている者たちだ。

 そして「東城民兵」マークの者たちは、北京市東城地区にいる退役軍人を動員した組織である。

 こうした厳戒態勢の下で行われた9月3日の式典は、中国ではおおむね好評だった。

 「ちょっと不便で困ったけど閲兵には満足した」というのが大勢の意見といえるのだろう。

 9月1日に王府井(天安門に近い繁華街)のホテルを追い出されてしまった私は、東長安街の建国門外のホテルに移動させられたが、予想通り、そこは閲兵に参加する航空機の通り道で、爆音が近づいてきたかと思うと国旗を下げた戦闘ヘリ、4色の煙を上げて飛行する編隊飛行、早期空中警戒機、海軍の戦闘機が次々に頭上を通過してゆくのが見えた。

 閲兵式が終わってすぐに会った中国人との話題は、習近平国家主席の行った「重要講話」と国産高級車「紅旗」に乗った習氏が、左手で敬礼したことだった。友人は、「ネットで大きな話題になったのは、〈道徳経(老子の古典)〉のなかに左手は平和を意味するとあり、その手で敬礼したことは平和国家への決意だ」というのだ。

 もちろん額面通りに受け取れるはずもないが、あの場面で“うっかり”左手で敬礼することは考えられないのも確かだ。

 そしてもう一つ、講和のなかで披露された「(中国は)永遠に覇権を唱えず、永遠に拡張せず、かつて自らが経験した…」の部分に引っかかった。

 日本人の多くは、「よく言うよ」と鼻で笑うことだろう。しかし、重要なことは中国が新たな価値観をここに定め、攻勢をかけようとしているしたたかさが感じられる点だ。言い換えれば、「日本が平和国家としての価値観を捨てようとするなら、ありがたくその地位を奪ってしまおう」という意味にも読み取れる。

 発言の狙いは何なのか。その真意を正しく読み取る作業が必要になってくる。

 ■富坂聰(とみさか・さとし) 拓殖大学海外事情研究所教授。1964年生まれ。北京大学中文系に留学したのち、週刊誌記者などを経てジャーナリストとして活動。中国の政・官・財界に豊富な人脈を持つ。『中国人民解放軍の内幕』(文春新書)など著書多数。近著に『中国は腹の底で日本をどう思っているのか』(PHP新書)。

9/8ZAKZAK『韓国経済を襲う「9月危機」 アジア通貨危機と重なるマイナス要素ずらり…』について

中国経済と韓国は心中するつもりでしょう。元々中国の属国が長かったのですから、元の鞘に収まるだけです。東北三省に多くいる朝鮮族と同じ扱いを受けるでしょう。スマホの一本足打法のサムズンは中国市場では小米や小小米に追い立てられています。安さでは中国製に敵わず、デザインではiPhoneに敵いません。逆張りで成功してきた韓国企業はどこを探しても成功の道が見つかりません。中国自体が過剰在庫で苦しみ、投げ売りするような状況ですから。

彼らは日韓スワップがなくなったことを後悔しているでしょう。中国元が日本円の代わりをしてくれると思いこんでいたようですが、IMFのSDRにも入らない通貨です。中国の外貨準備はカラではないかと言われているので、人民元何て当てになりません。他の国は元やウオンでの支払いを拒絶するでしょう。日本企業もウオンでの受取はないと思いますが、韓国も$が不足して来ればウオンでの支払いという事になりかねません。キチンと拒絶すべきです。$の支払いがあってから部品を輸出するキャッシュオンデリバリー方式にしないと危ないです。

問題は10月末か11月初の日中韓首脳会談です。彼らは泣きついてくるでしょうから上手にかわすことです。いくら助けてやっても飼い主の手を噛む忘恩の徒です。今までそうだったでしょう。安倍首相は心配ありませんが、役人が勝手に動くこともあるのではと心配です。官邸は高級官僚の人事権を握っているのでこういう輩は左遷すればよい。

慰安婦運動にどう響いてくるか。「金」がなくなってくれば来るほど怒り狂って恫喝して来るでしょう。暴力団と同じですから。疲れますが、その度毎にキチンと反論しないとダメです。今中国はユネスコに南京と慰安婦を記憶遺産に登録しようとしています。外務省はキチンと反論してください。いつまでも無能といわれ続けるのではプライドが許さないのでは。イ〇ポ野郎と言われっ放しでは。

記事

 韓国経済が、アジア通貨危機で事実上破綻した1997年9月以来の重大危機に直面している。問題は中国の経済危機による実体経済の悪化だけではない。米国の利上げを受けて資本逃避が加速し、対ドルでウォンが暴落する一方で、日本の追加金融緩和で対円でのウォン高というダブルショックが懸念される。外国人投資家の韓国株売りも止まらず、「恐慌の秋」となるのか。

 韓国経済が破綻状態となり、国際通貨基金(IMF)の管理下に置かれる屈辱を味わった1997年9月のアジア通貨危機。そのきっかけは94年の中国人民元の大幅な切り下げだったとされる。

 人民元安によって他のアジア新興国の通貨が割高になり、輸出が伸び悩んだ。97年の米国の利上げをきっかけにヘッジファンドが新興国通貨を売り浴びせ、大量の資本が国外に流出、韓国も例外ではなく、ウォンは暴落した。くしくも「人民元切り下げ」と「米国の利上げ」という現在の金融市場を左右するテーマが、当時の悪夢を思い出させるというわけだ。

 2008年9月のリーマン・ショックも韓国など新興国に波及し、急激な株安や資金の海外流出に見舞われ、原油など資源価格は下落した。

 リーマン・ショックは米国発だったが、今回はいうまでもなく中国が発火点だ。

 上海株は9月3日の「抗日行事」までは習近平政権のメンツを重視した「パレード相場」で小幅安でとどまったが、米経済メディアのブルームバーグは、「おそらく最悪の事態はまだ終わっていない」とする市場関係者の声を紹介した。

上海株と歩調を合わせるように暴落し、前週末にいったん反発した韓国株だが、こちらも外国人投資家の警戒心は解かれていない。

 韓国市場では8月、外国人がほぼ連日株を売り越しており、その額は約4兆1629億ウォン(約4266億円)に達した。

 聯合ニュースによると、米格付け会社ムーディーズは、韓国の2016年度の国内総生産(GDP)成長率見通しを3%から2・5%まで大幅に引き下げた。中国の景気鈍化が予想以上に深刻で、韓国製造業の輸出が打撃を受け、消費者心理も萎縮して内需も低迷するとみているという。

 米投資銀行のゴールドマン・サックスも2・8%から2・4%に下方修正した。

 さらに米国の利上げ問題がのしかかる。米連邦準備制度理事会(FRB)のゼロ金利解除は、中国ショックによって12月以降に先送りされるとの観測もある一方、「9月利上げ説」も残る。

 いずれにせよ利上げが実施されると、韓国など新興国に流入してきた緩和マネーが逆流、そして対ドルでウォンの暴落が懸念されている。

 ウォン安は製造業の輸出にとってプラスの面もあるが、ここで新たな衝撃となるのが日銀の追加緩和だ。「黒田バズーカ第3弾」が打ち出された場合、対円では逆にウォン高が進み、日本との輸出競争力がさらに低下する可能性があるのだ。

 日米中の3カ国の経済事情がいずれも韓国にマイナスに働くとみられる。週刊東洋経済元編集長の勝又壽良氏は韓国経済の抱える問題点をこう指摘した。

 「中国発の経済危機が世界に広がる過程で、中国への依存度が大きい韓国の打撃があらためて意識されるだろう。世界経済が揺れ始めるたびに韓国の経済危機説が流されるのはおなじみのことで、それだけ韓国経済の不況抵抗力が弱いことを示している」

9/7渡部亮次郎メルマガ Andy Chang『中共の軍事パレードは宣戦布告』について

小生は今回の中国の軍事パレードが「覇者、勝利宣言」とは思えません。9/7日経夕刊にも「フィリピン国防省報道官は6日の声明で、中国政府による抗日戦争勝利70年記念式典で「覇権を目指さない」などと訴えた習近平国家主席の演説について、「中国の指導者は偽りに彩られた言い回しから、さらに踏み込むべきだ」と指摘し、両国が領有権を争う南シナ海での活動中止を求めた。

 声明は「最低でも(埋め立てた岩礁での)建設などの活動を中止し、航行や飛行の自由の制限を控えることを通じ、誠実さを示すよう中国政府に求める」と主張。また、「平和のため努力すると表明したことは歓迎するが、ならばなぜ攻撃的な兵器を見せびらかすのか」と中国側の姿勢に疑念を表明した。 」とありました。

東南アジア諸国は中国に対する警戒心が一層強くなったでしょう。鄧小平だったら、今の習近平のように「韜光養晦から有所作為」に切り替えることはしなかったと思います。『百年のマラソン』にあったようにアメリカに気付かれず騙し続ける道を選んだと思います。習は軍事経験がないので(パレードで敬礼を間違えるくらいだから)、愚かにも「有所作為」に転化したのでしょう。本来「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という国柄なのに、牙を剥き出しにしてきました。多分権力闘争と言う内政問題を解決するための一手段として持ち出したのでしょうが、外交的には敵を多くしたという意味で大失敗でしょう。非民主国31ケ国の参加と言う寂しい結果にも終わりましたし。AIIBの終末をも予想される出来事でした。

ここに書かれていますように、キッシンジャーとオバマが中国を増長させた大きな原因であることは間違いありません。もっと遡ればFDRでしょう。日本が共産国と戦う姿勢を示したのに、容共政権で日本を潰しました。その咎めが今現れてきているという事でしょう。中国は賄賂社会ですから、アメリカの要人を籠絡するのは簡単でしょう。

日高義樹氏の本によれば「中国の兵器は張りぼて。政治的プロパガンダ」とのこと。中ががらんどうの可能性もありますし、精度も高くないと思われます。東風31は米大陸を狙えると言っていますが怪しいものです。A2/AD戦略も空母狙いのミサイルのスピードが遅いので米軍は容易に撃ち落せるとのこと、はったりだけは昔から得意な国です。中国海軍はアラスカ沖を無害航行したようで、さすがのオバマもこれで南シナ海に艦隊派遣がやりやすくなったと判断しているとのこと。中国の打つ手、打つ手が逆の効果を齎してきています。台湾への米軍駐留と、米軍基地の辺野古移転も早期に実現したいものです。

記事

中国の「抗日戦争勝利70周年」の軍事パレードについていろいろな報道記事や分析があった。私は中国のパレードについてではなく、中国は軍事パレードで覇権宣言をしたのだからアジア諸国はこれにどう対応すべきかを考えたい。

今回の軍事パレードは中国の覇者、勝利宣言である。米国はアジアにおける影響力を維持できなくなった、だから中国は米国をアジアから追い出す。中国は「韜光養晦」(実力を隠して相手を安心させる)必要はなくなった、米国のアジア覇権に敵対するほどの国力をつけたと宣言したのだ。中国は米国に宣戦布告をしたと言える。

中国の太平洋を東と西に二分割してアメリカと共同管理すると言った覇権を達成するのに最大の阻害は日本である。日本の次の目標は台湾、そしてアジア諸国である。私はこの宣言によってアジアは平穏でなくなり、覇権争いが激化するとみる。アジア諸国は中国の覇権宣言について新対策を研究すべきである。

  • 米国の衰退はオバマの責任

「正論」8月号に中西輝政氏の「日・米・中動乱の幕開けと中国の野望『驚愕の本質』」が掲載された。この文中で中西氏はマイケル・ピルスベリーの「100年のマラソン(The Hundred-Year Marathon: China’s Secret Strategy to Replace America As the Global Superpower)」と題した本が出版され、遅まきながらアメリカの対中認識が180度変わったと書いている。

アメリカの間違いは40数年前のキッシンジャーの中国接近から始まったと言える。つまり中国は普通の国々と同じく、中国が繁栄すれば普通の開発国となって世界の平和を守ると言う間違った認識である。アメリカはトウ小平の「韜光養晦」に騙されたのだ。

おかげでアメリカや世界諸国は中国の発展に援助し続けた。中国は経済と同時に武力発展を続け、強くなった中国は韜光養晦の隠れ蓑をかなぐり捨ててアジアの覇権を唱え、アメリカに代わってアジアの覇権国になる野心を露わにしたのである。

キッシンジャーの間違いに輪をかけた間違いはオバマの反戦哲学、つまりアメリカは戦争をしない、アメリカは世界の警察官ではないという主張である。オバマはブッシュのイラク・アフガン戦争を厳

しく批判し、軍部の反対を押し切って早急に中東から撤退したため中東に空白が生じ、ISISの拡張を許したのである。

オバマの反戦主義を見抜いた中国は南シナ海でどんどん埋め立てを行い、第一列島線から第二列島線まで進出する主張、尖閣諸島付近の進出を推し進めたのである。

アメリカが強く反対しなかった結果が今回の軍事パレード、戦力誇示となったのである。パレードで各種の最新武器を公開してアメリカは怖くないと宣言したのだ。

  • 日本はアジア平和の重鎮である

中西論文にある通り、日本は積極的にアメリカと合作して中国の覇権を抑えるべきである。中国が敵意を見せた以上、遠慮や優柔不断は更なるアジアの不穏を招く。日本は自主防衛への覚悟を明確にし、優柔不断なアメリカの政策に頼るべきでない。

自主防衛を明瞭にすることでアメリカの不決断にはっぱをかけ、アメリカに期待するよりアメリカを援助して中国を抑えるべきである。アメリカの軍事力を頼るのでなく、日本はアメリカと同等の軍事力を持つ、頼りになる同盟国となる決心を表明すべきである。

アジアの平和はアメリカではなく、アジア諸国の結束が最重要である。私が数年前から述べてきたように、アジアの平和連盟(PASEA)を結成すべきである。安倍首相が発表した「ダイアモンド構想」と同工異曲である。アジア平和連盟は日本とアメリカが主力となるから、日本の強い自主防衛緑の表現で中国を抑えることが出来る。

自衛力を持つことは戦争をすることではない。日本を他国の侵略から防ぐことは平和を維持すること、アジアの平和に貢献できるのである。強い日本が台湾やフィリッピン、ベトナムなどアジア諸国の平和に貢献する。

ところで、今回の軍事パレードを見ると、習近平の隣にプーチンと朴槿恵が立っていた。これで韓国は既に米国や日本を離れて中国の傘下に入ったと思える。韓国は数年前から日本に対して非常識な敵意を示してきた。今回のパレードのあと日本は韓国を敵国とみなして対応しなければならない。米国がいつも懸念する「アジアの平和を乱す敵意」は韓国側にある。

パレードには北朝鮮の代表が参列していなかったみたいに見えるが、中国と北朝鮮の関係は思ったより良くないと思われる。

  • 台湾はアジアの大切な拠点である

台湾は第一列島線の中央に位置する。台湾が中国に統一されたら第一列島線は突破され、中国の太平洋進出が達成される。つまり台湾はアジアの平和に最重要な役割をしているのである。しかも台湾の國民黨は統一を主張し、馬英九総統は民衆の反対を無視して統一路線を推進している。幸い独立を主張する群衆が力をつけて来年の選挙では国民党に圧勝すると言われている。

中国の軍事パレードは台湾を恫喝したのでなく、逆効果だった。第二次大戦で日本と戦ったのは国民党で共産党ではなかったのに中国が「対日抗戦70年」パレードを行ったので國民黨は大反対した。中国は台湾から連戦夫婦を招待してパレードの最前列に座らせたが、台湾では連戦を売国行為として糾弾している。中国のパレードが逆に台湾の反中国意識を激化させたのである。

アメリカと日本はこの機会に台湾関係を強化させるべきである。来年の選挙で民進党が政権を取れば国民党の勢力は衰微し台湾独立の機運が高まると思われる。米国と日本が台湾関係を強化すれば南シナ海における中国の進出を牽制する音が出来る。

中国は南シナ海の埋め立てを簡単に放棄しない。アメリカが南シナ海における中国の軍事発展に歯止めをかけるには台湾に拠点を置いて米国の中継地として空軍海軍の駐屯を考慮すべきである。

南シナ海の島嶼の領土主権問題は将来のアジア平和に大きく影響する。アジア諸国の南シナ海の島嶼の主権主張を平和裏に解決するのは将来の重要課題だが、この際アメリカと日本が協力して中国の勝手な進出を抑えなければならない。アジア諸国が平和協定で領土主権を取り決めるには、当海域における領土主張のないアメリカと日本が主役とならなければ解決できない。

  • 軍事闘争より経済と外交

結論として、中国の軍事パレードは諸国の警戒心を強くしただけだった。米国と日本がアジアの平和に貢献する重要性を高めたのは中国にとって逆効果となった。中国はアメリカには数十年の遅れているが今後はアメリカや日本の技術協力を得られなくなった。

中国はアメリカと戦争はしないだろう。戦争しないなら軍事力を誇示するより経済、外交が大切だが、中国が牙をむいたら諸国は中国を警戒し合作を拒否する。パレードはバカな行為だった。

日本は中国と韓国を敵と認め経済合作や技術援助など一切中止すべきである。中国投資はベトナムや他の国に移転すべきである。

ロシアは軍事パレードに参加したが、ロシアと中国は互いに信用していない。今度のパレードでロシアは中国の実力を分析し新たな中国策略を作るに違いない。世界を敵に回した軍事パレードは習近平最大のミステークである。

9/7日経ビジネスオンライン 鈴置高史『韓国は「帰らざる橋」を渡る 「非民主国家連合に参加」と世界から見なされた朴槿恵』について

韓国は夜郎自大な民族のため、米国が怒っていることに気付いていません。同盟の深化は日々の努力の積み重ねがモノを言います。日本もトランプ候補に攻撃されないような努力をすべきです。集団安保法案は日米同盟深化の第一歩です。これが成立できなかったら4月首相の米議会演説と8月首相談話はなんであったかという事になります。

それだけに敵も必死です。中国・韓国ばかりだけでなく、民主党や共産党・社民党の反対など分かり易いです。また、学者と日本メデイアの主張は何年経っても相変わらずです。彼らの言う通りやってきたら日本の独立はなかったでしょう。サンフランシスコ講和条約の時とか非武装中立論とか。周りは善人なんていません。肚黒民族ばかりです。今頃は共産国の属国となり、チベット、ウイグル、内蒙古同様の扱いを受けていたかもしれません。中国に関心がない人は分からないかも知れませんが、一度自分で調べれば分かります。その凄絶なエスニック・クレンジングのことを。

韓国並び潘基文の今回の対応で、今後世界の慰安婦に対する見方も変わってくることを期待したい。日中韓首脳会談で譲歩することは一切ありません。顔見世興行と思えば良いでしょう。狙いは日本の金と技術なので、こちらが言うことを聞く必要はありません。言質を与えないよう注意して話合えば良いです。非韓・非中三原則を貫けば良い。

習近平は今回の軍事パレード中ずっと浮かぬ顔をし、車上での敬礼も11回左手でやったことは軍事慣習に反するという記事をネットで読みました。流石に、江と胡を相手に権力闘争してきて疲れが出て来たのか?大紀元簡体字版を見ると、王岐山がまた大トラ退治に乗り出したとありましたが、法輪功弾圧の大本の江沢民には厳しい見方をしますので、割り引いて考えないと。

中国が考えていますのは、日米相手に戦争しても勝てないので、中国系米大統領を出す方が簡単でコストも安いし面子も立つという所でしょう。賄賂の得意な国ですから。金にモノを言わせて。(でも経済が崩壊寸前ですから、どうするのでしょう)

しかし、潘国連事務総長と国連指名手配のスーダン大統領が並んで閲兵というのは、笑劇以外の何物でもありません。如何に国連組織が理想に遠いかという事です。

記事

 朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が中国の抗日式典に参加した。韓国は米国陣営から中国側へと大きく踏み出した。この国は「帰らざる橋」を渡っている。

中国から盃

—9月3日に北京で開かれた抗日式典――抗日戦勝70周年記念式典に朴槿恵大統領が参加しました。

鈴置:これで韓国は一気に中国側に寄りました。同盟国である米国の要請を無視し、その仮想敵の言いなりになったのです。韓国人は米中等距離外交を展開しているつもりです。しかし周りからは「中国から盃(さかずき)をもらった」と見なされました。

 韓国は米国とはまだ同盟を結んでいますから、北東アジアには実に奇妙な――米中対立が深まる中、米国の同盟国が中国と行動をともにするという奇妙な構図が出現したのです。

天安門の衝撃

—天安門の壇上で習近平主席が演説しました。その真下の雛段で、朴槿恵大統領はプーチン大統領と並んで演説に聞き入りました。

鈴置:そんな3ショット映像を見た多くの人から、質問が寄せられました。海外の研究者、外交官を含みます。

 「韓国は米国から離れてやっていけるのか」「米国はどんな罰を韓国に与えると思うか」――など、韓国の「離米従中」に首を傾げる声ばかりでした。

 欧州や米国では「離米従中」はあまり知られていませんでした。これを機に世界での韓国のイメージはがらりと変わると思われます。神戸大学大学院の木村幹教授は以下のように語っています。

  • 朴槿恵大統領が習近平主席だけではなく、プーチン大統領とも天安門で並んだ映像が流れたことで米欧、ことに欧州では韓国への違和感が一気に増すだろう。ウクライナ問題により、欧州などではロシアに対する不快感が増している。
  • 国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状が出ているスーダンのバシル大統領も抗日式典に参加した。人権問題を重視する人々には、今回の式典はあたかも中露両国を中心とする「非民主主義国家連合」のイベントに映ったかもしれない。
  • そこに韓国が「主要メンバー」として参加したことは、国際社会における韓国の印象に少なからず影響を与えることになるだろう。

「冊封復活」をお披露目

—天安門の映像が韓国の立ち位置を象徴した、ということですね。

鈴置:その通りです。注目すべきは式典への参加が単なる「シンボル」に留まらず、それがまた「離米従中」を加速することです。

 韓国は米国側に戻れない「ノーリターンポイント」を超え始めたように思います。「加速」の理由は3つあります。

 まず中国が、これを機に韓国に対する各分野での要求を強めると予想されるからです。中国にすれば、朴槿恵大統領の式典参加は昔の属国――朝貢国が手元に戻ってきたことを天下に示す儀式でした。

 日清戦争で負けて以来、120年振りの出来事です。もう韓国は外国ではないのです。戻ってきた属国に遠慮は要りません。

 それどころか今後は韓国にどんどん命令し、どんどん言うことを聞かせる必要があります。でなければ、中国が再び宗主国となったことを世界に示せません。

 そもそも中国が韓国に圧力をかけ、米国の制止を振り切らせてこの式典に参加させたのは、冊封体制の復活を世界に印象付けるのも目的なのですから。

—「どんどん言うことを聞かせる」ですか……。

鈴置:すでにその兆候が出始めました。韓国は式典参加によって、米国の不興を買うことを恐れました。

 米国が怒るのは当然です。軍事パレードには米国を狙うミサイルが登場します。それを、こともあろうに同盟国の大統領が参観するのですから。そこで韓国は理屈を考え出しました。以下です。

  • 韓国は危険な北朝鮮と対峙している。また北との統一問題も抱えている。だから北朝鮮に大きな影響力を持つ中国との関係に気を使わざるを得ず、式典に参加するのだ。これは韓国と同盟を結ぶ米国の利益にもつながる。米国は韓国の式典参加に反対すべきではない。

へ理屈は不発

— 一見、それらしい理屈ですが。

 北朝鮮に中国が影響力を持っている――という大前提からして誤っています。もしそうなら、北の核開発を中国は止めていたはずです。北が中国の顔色を読む国なら、最近の「地雷事件」のような挑発も起こさなかったでしょう(「どうせ、中国の属国だったのだから……」参照)。

—なるほど。韓国らしいへ理屈ということですね。

鈴置:さすがに韓国も、自分で言いながらこの理屈の説得力の乏しさは分かっている。そこで式典前日の9月2日の中韓首脳会談で、習近平主席から北朝鮮を牽制する言葉を引き出そうとしました。成功すれば、へ理屈が少しはもっともらしくなると考えたのでしょう。

 しかしそれも空振りに終わりました。青瓦台(大統領府)が会談結果(9月2日、韓国語)を公表しています。これによると、非核化や統一問題に関し、中国の北朝鮮に対する姿勢は全く変わっていません。

 左派系紙、ハンギョレは「韓国側発表によれば、状況が進展したかのように見える部分もある。しかし、本質的な変化は見出しがたい」と手厳しい評価を下しました。

 同紙・日本語版の「[ニュース分析]  北朝鮮核など自制要求…韓国の提案受け入れる中国」(9月2日)という記事です。なお、この見出しの翻訳はおかしくて、内容と正反対です。

 原文の韓国語版の見出しを見ると「中国、北の核自制など韓国の要求を受け入れる格好に見えるが…大きな進展はなし」(9月2日)で、ちゃんと内容と合っています。

怪しい誤訳

 そうそう、韓国政府も習近平主席の発言を誤訳して発表しました。ハンギョレは「青瓦台の『習近平発言の誇張翻訳』、修正ハプニング」(9月2日、韓国語版)で以下のように指摘しました。

  • この日(9月2日)午後、青瓦台が最初に発表した資料によると、習主席は「朴槿恵大統領と私の協力により、韓中関係は現在、歴代最上の友好関係に発展した」と述べた。
  • しかし午後遅くに青瓦台が配布した訂正資料では、習主席発言は「韓中両国は友好的な隣の国」「韓中関係は現在、政治的な相互信頼、経済・文化協力、人的な交流がともに進むという喜ばしい様相を見せている」といった“低水準”の内容に留まった。

 当然、ネットメディアや放送局は「歴代最上の友好関係」と報じ続けました。後で青瓦台は「初めの資料は意訳だった」と説明しましたが普通、国家元首の発言は意訳しません。乏しい外交成果を何とか大きく見せたいと焦った、と疑われても仕方ありません。

 さて、韓国各紙によると、会談前に韓国政府高官は「米国の反対を押し切って式典に参加するのだから、中国は北朝鮮問題で何らかのプレゼントをくれるはずだ」との期待感を表明していました。

 例えば朝鮮日報は「朴大統領、中国と『統一外交』を種まき…米日とも対北協調」(9月1日、韓国語版)で、以下のように書いていました。

韓国の勘違い

  • 青瓦台関係者は「今回の首脳会談を通じ、北朝鮮問題解決の原動力を作ろうというのが大統領の考え」と述べた。特に北朝鮮の核と関連し、「両首脳が過去よりも進んだメッセージを出すことが重要だ」と語った。
  • 朴大統領が米国の「懸念」にもかかわらず中国の戦勝節行事(抗日式典)に参加するだけに、習主席も誠意を見せるだろうとの観測が多い。

—韓国の希望はなぜ空振りに終わったのでしょうか。

鈴置:中国にとって、この式典により韓国の取り込みが終了したからです。「釣った魚に餌はやらない」ではありませんが、中国は自分の属国にサービスする気はありません。

 韓国は大きな勘違いをしているようです。中国は韓国を米国から引きはがそうとしている。だから中国から大事にしてもらえるはずだ――と計算しています。

 確かに米韓同盟は未だ存在しますが、韓国は事実上、中国側に来てしまいました(「米中星取表」参照)。となるとこれ以上、韓国を大事にする必要は中国にはなくなったのです。そんな韓国を米国は引き戻そうとしませんし。韓国には帰る場所がなくなるでしょう。

米中星取表~「米中対立案件」で韓国はどちらの要求をのんだか (○は要求をのませた国、―はまだ勝負がつかない案件、△は現時点での優勢を示す。2015年9月6日現在)
案件 米国 中国 状況
日本の集団的自衛権 の行使容認 2014年7月の会談で朴大統領は習近平主席と「各国が憂慮」で意見が一致
米国主導の MDへの参加 中国の威嚇に屈し参加せず。代わりに「韓国型MD」を採用へ
在韓米軍への THAAD配備 青瓦台は2015年3月11日「要請もなく協議もしておらず、決定もしていない(3NO)」と事実上、米国との対話を拒否
日韓軍事情報保護協定 中国の圧力で署名直前に拒否。米も入り「北朝鮮の核・ミサイル」に限定したうえ覚書に格下げ
米韓合同軍事演習 の中断 中国が公式の場で中断を要求したが、予定通り実施
CICAへの 正式参加(注1) 正式会員として上海会議に参加。朴大統領は習主席に「成功をお祝い」
CICAでの 反米宣言支持 2014年の上海会議では賛同せず。米国の圧力の結果か
AIIBへの 加盟 (注2) 米国の反対で2014年7月の中韓首脳会談では表明を見送ったものの、英国などの参加を見て2015年3月に正式に参加表明
FTAAP (注3) 2014年のAPECで朴大統領「積極的に支持」
中国の 南シナ海埋め立て 米国の対中批判要請を韓国は無視
抗日戦勝 70周年記念式典 米国の反対にも関わらず韓国は参加を決定

(注1)中国はCICA(アジア信頼醸成措置会議)を、米国をアジアから締め出す組織として活用。 (注2)中国はAIIB(アジアインフラ投資銀行)設立をテコに、米国主導の戦後の国際金融体制に揺さぶりをかける。 (注3)米国が主導するTPP(環太平洋経済連携協定)を牽制するため、中国が掲げる。

朴槿恵は来賓No.2

—でも今回、中国は朴槿恵大統領を大歓待しました。天安門ではプーチン大統領に次ぐ「来賓No.2」の席を与えたり、習近平主席との単独の午餐会を開いたり。

鈴置:いずれも儀典上で大事にしたに過ぎません。式典に参加した首脳の顔触れを見て下さい。清朝当時の属国で、元首を送ってきたのは韓国ぐらいです。

 中国が韓国を大歓待したのは当然です。自らの権威を示す祭典に参加した属国の代表に対し、派手な手土産を持たせて帰すのが宗主国の仁義です。

—モンゴルやカザフスタンからも国家元首が参加しました。

鈴置:清朝は少なくとも形式的には女真族、漢族、モンゴル人によって建てられた王朝です。モンゴルを旧属国とは見なせないのでしょう。

 カザフを旧属国にカウントしたかは分かりません。ただ、もしそう判断したとしても「中央アジアの国より高麗や朝鮮の方が冊封体制の中で格上」との基準を適用したと思われます。

帰り場所はない

 一方、肝心の外交面では先ほど指摘したように、韓国があれほど北への圧力強化を願ったのに、中国は何ひとつ意味ある言質を与えなかったではないですか。属国から外交政策を指示されて「はいはい」と聞く宗主国などないのです。

—韓国は「今回、中国を説得し韓中日首脳会談の開催に同意してもらった。平和に向けた大きな貢献だ」と誇っています。

鈴置:その開催に中国が消極的だったのは、日中関係が今以上に悪かった時の話です。もう、日中の2カ国で首脳会談も開いているので、中国にすれば日本との関係改善を韓国に取り持ってもらう必要などないのです。

 韓国は“非民主国家連合への参加”により、西側から「怪しい国」と見なされました。それを何とか取り繕おうと、必死で「世界平和に貢献する韓国」を強調しているのです。

—話を戻します。先ほど、米国に嫌われた韓国には「帰り場所がない」と言われましたが。

鈴置:米国が韓国を見限り始めたと思われるからです。朴槿恵大統領の抗日式典参加に対する、米国の姿勢を見れば明らかです。

 まず米国は参加しないよう、韓国に水面下で警告を発しました。それでも韓国が聞かないので、日本と韓国のメディアまで動員し公開的に「NO!」と言ったのです(「“恩知らず”の韓国」参照)。

日本よ、余計なお世話だ

—韓国紙の日本語版は「式典参加には米国が賛成してくれた」と報じていたように思いますが……。

鈴置:それに関し面白い記事がありました。朝鮮日報の1面のコラム「八面鋒(パルミョンボン)」(8月28日、韓国語版)です。朝日新聞夕刊の「素粒子」みたいな欄です。その1節が以下です。

  • 日本メディア、朴大統領の中国・戦勝節参加に敏感な反応。他人が心配するほど韓米同盟は脆弱ではない。

 朴槿恵大統領の式典参加に対し、8月9日に共同通信が「米国が懸念を伝えた」と報じたので、韓国は大騒ぎになりました(「“恩知らず”の韓国」参照)。

 朝鮮日報は日本に対し「余計なお世話だ、韓米関係は盤石だ」と言い返したのです。朝鮮日報が胸をそらした根拠は、米国務省のコメントでした。共同通信の記事によって韓国政府は大いに困惑しました。それもあって、聯合ニュースが米国務省に朴槿恵大統領の式典参加をどう思うか聞いたのです。

 聯合ニュースの英文版「U.S. says respects S. Korea’s decision to attend Chinese military parade」(8月27日)によると、米国務省報道官は以下のように答えています。

  • “Participation in these events is the sovereign decision of each country. We respect the Republic of Korea’s decision,”

もう、泣きついて来るなよ

 韓国が胸をそらせるほどのコメントではありません。「支持」したのではなく「尊重」したに過ぎないからです。そしてその前に「参加するかはそれぞれの主権国家が決める問題だ」と、冷ややかに原則論を述べています。

 はっきり言えば「どうしても参加したいのならしろ」であり、深読みすれば「好き勝手にやれ。ただ同盟を無視した以上、今後は米国に助けてくれなんて泣きつくんじゃないぞ」ということでしょう。

 8月31日には尹炳世(ユン・ビョンセ)外交部長官がジョン・ケリー(John Kerry)米国務長官とアンカレッジで会って「朴大統領の行事出席が韓半島全体に及ぼす含意を十分に理解する」とのコメントをもらった――と韓国政府は発表しました。

 中央日報は「米国務長官、『朴大統領の戦勝節出席、十分に理解する』」(9月2日、日本語版)でそう報じています。

 でもこれも「理解」であって「支持」ではありません。朴槿恵大統領がどうしても参加する、という以上、米国はこう言うしかない。もし「絶対反対する」と言って朴槿恵大統領に参加されたら、面子を失うからです。

 ただでさえ「同盟国の米国離れ」に注目が集まっています。有名な国際政治コンサルタントのイアン・ブレマー(Ian Bremmer)氏が、2014年の米国の直面する最大の問題として掲げたほどです。

 なお、彼は2年前には「米国離れする国」の中に、韓国を入れていませんでした。今になって驚いているかもしれません(「『米国の怒り』を日本のメディアで知った韓国人」参照)。

米韓同盟は長くは持たない

—なるほど、韓国紙の「韓米関係は何の問題もない」という報道は……。

鈴置:そうです。相当に怪しいのです。今回の局面では米国が最後は「理解した」ので、韓国は米中間で板挟みにならないで済みました。短期的には、必死でへ理屈をこねた「韓国外交当局の勝利」かもしれません。

 でもよく考えて下さい。米国が韓国を止めなくなったことの方が韓国にとっては恐ろしいことなのです。もう、自分の陣営に引き止めるほどの国ではないと、米国が見なしたことを意味するからです。

 米国のアジア専門家、ことに安全保障の専門家に「いつまで米韓同盟は持つのか」と聞くと「長くは持たない」と答える人が急速に増えています。

 韓国の「離米従中」と、米国の「韓国への冷ややかな視線」は20年前に――中韓国交正常化の直後から始まっています。米国は韓国に対し次第に疑いを深めてきました。抗日式典問題はその最後の一撃となりそうです。

 冒頭で「米国は韓国にどんな罰を与えるか」と聞かれた話をしました。私はある国の外交官にこう答えました。「米国は罰を与えない可能性が高い。もう韓国を自分の陣営の国とは見なしていないからだ。代わりに、ゆっくりと韓国を見捨てていくだろう」。

 軍事的にも「韓国から静かに離れる米国」で指摘したように、在韓米軍、ことに陸軍はもぬけの殻となりつつあります。米韓関係を語り出すと長話になりますので、詳しくは別の機会にしますが。

板門店の帰らざる橋

—だんだん分かってきました。今回の式典参加で韓国の「離米従中」がノーリターンポイントを超えかけている。その理由の2つ目が、米国ということですね。

鈴置:そうです。まずは中国要因。韓国を「出戻りの属国」と見なす中国がますます自分の陣営に引き込む。それに加え、韓国との同盟に疲れてきた米国も、韓国を引き留めようとはしなくなっている。

 すると板挟みのストレスがなくなった韓国人が調子に乗ってどんどん中国の言いなりになっていく――という構図です。

 南北朝鮮の交渉の場である板門店の共同警備区域には「帰らざる橋」があります。軍事境界線上の川にかかっていまして、1953年の朝鮮戦争終了時にはここで捕虜が交換されました。

 国連軍に捕まった北朝鮮や中国の兵士の中には、送還されることを望まず韓国に留まったり、台湾行きを希望する人も多かった。共産主義への幻滅からです。

 でも母国に家族が残っているケースがほとんど。彼らの悩みは計り知れません。中には東西どちらの陣営に帰属するのも拒否し、中立国に住むことを選んだ人もいました。

 いずれにせよ、自らの将来を選べるのは一度だけ。二度と選び直す機会は与えられませんでした。捕虜たちはこの橋を渡ったら元の世界に戻るしか、道はなくなったのです。

「嫌いな中国」を選ぶ

–今、韓国は「帰らざる橋」を渡っているのですね。

鈴置:120年前に初めて、大陸国家ながら海洋勢力側に鞍替えした結果、自由と繁栄を謳歌してきたというのに。ただ、まだ今なら何とか戻れるかも……しかし、戻るつもりはなさそうに見えます。

—ほとんどの韓国人が中国よりも米国が好きでしょう。なぜ……。

鈴置:韓国人は米国の方がはるかに好きです。でも、嫌いだろうと韓国人は中国を選ばざるを得ないこともあるのです。

 韓国が「帰らざる橋」を渡り始めた理由のうち、3つ目がここに――韓国人そのものにあるのです。

(次回に続く)

川田稔『昭和陸軍全史3 太平洋戦争』について

奥山真司氏の「戦略の7階層」には次のようにあります。

①世界観(人生観、歴史観、地理感覚、心、ヴィジョン)

②政策(生き方、政治方針、意志、ポリシー)

③大戦略(人間関係、兵站・資源配分、身体、グランドストラテジー)

④軍事戦略(仕事の種類、戦争の勝ち方、ミリタリーストラテジー)

⑤作戦(仕事の仕方、会戦の勝ち方、オペレーション)

⑥戦術(ツールやテクの使い方、戦闘の勝ち方、タクティクス)

⑦技術(ツールやテクの獲得、敵兵の殺し方、テクニック&テクノロジー)

第二次大戦中の日本の戦略は①世界観(人種差別撤廃)②政策(アウタルキー、国防国家)③大戦略(日独伊三国同盟+ソ連との提携)④軍事戦略(「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」という特攻精神、白人を畏怖、人の損耗よりモノの損耗を重視)、⑤作戦(屍を乗り越えて、突撃精神。インパールに代表されるようにロジ無視)、⑥戦術(玉砕戦術)、⑦技術(ゼロ戦と空母運用の巧みさ、白人の想像を超えた技術力)

と勝手に小生が当て嵌めてみました。感じる所は、世上言われますように「何も考えないで戦争をした」訳ではなかったという事です。戦争自体の結果はついてこなかったです(それで我々は敗戦国としての悲哀を味わっていますが)が、我々の父祖はそれ程馬鹿ではなかったという事です。(但し、①の世界観(人種差別撤廃)は時間をかけて実りつつあります)。ただ、独ソで戦争したのが読めなかったのでしょう。これが勝敗の帰趨を決めました。ヒトラーの用兵の誤りです。日本も世界新秩序という壮大な夢を追いすぎました。今の中国みたいですが。言って見れば「天保水滸伝」の笹川繁蔵と飯岡助五郎みたいなもので、やはり新興勢力は駆逐されやすいという事でしょう。

そもそもで言えば、当時の日本のGDPは米国の1/12で勝ち目はないのが分かっていました。『昭和16年夏の敗戦』を読むまでもありません。武藤章ですら米国との戦争を回避しようとしたくらいですから。国家総力戦ではGDPの大きさと人口の多さが物を言います。やはり、無謀と言うしかありませんでした。

『失敗の本質』は名著ですが、「戦略の7階層」の上位概念ではなく、⑤の作戦レベルの話だったかと思います。前書きにそうわざわざ断っていたと思います。作戦レベルでも間違えなければ違った展開になった可能性があるという話でした。軍の人材登用の在り方としてハンモックナンバー重視等学校での順位がその後も幅を利かしたことや、教科書尊重で新機軸の作戦が立てられなかったことが弊害として挙げられていました。また上層部で信頼をベースにし過ぎて、確認・擦り合わせがなかったことで、目的と目標が食い違い、作戦に齟齬を来したこと(特にレイテ沖海戦)が挙げられます。

アメリカは1941年初めには日本の外務省の暗号を解読していたとのこと。今でもシギントが強く、盗聴は当り前の国です。これでは戦闘レベルで勝てても、作戦レベルでは勝てません。武道で相手がどこを攻めて来るのか分かれば「後の先」は簡単です。それと同じこと。パールハーバーはsneak attack ではありません。ましてや本内容にありますように、英国輸送船団を守るためドイツに宣戦布告なしに攻撃命令を出しています。フライングタイガーと同じです。FDRの人間の厭らしい所でしょう。中国が好きだったという人柄が滲み出ています。

内容

P.68~70

三国同盟は、対米戦のためではなく、あくまでも日米戦争を回避するためだというのである。

また、この発言の最後に武藤は、今後「ソ連との国交調整」が予想される旨の言葉を残している。東条陸相も、この武藤発言に続いて、「次に来るのはソ連との調整である」と 言葉をついでいる。

陸軍首脳部が、三国同盟締結によって、ドイツを仲介とする対ソ国交調整が進展することを期待していたことが分かる。

ちなみに、ドイツ側とは異なり、東条や武藤は、三国同盟のみではアメリカの対日行動を牽制しえず、むしろ対日態度は硬化するだろうとみていた。たとえば東条は、ニ八日の陸軍省局長会議で、「三国〔同盟〕条約は英米に対して大なる衝撃を与え、対抗手段に出づることは必至」だとして、対日禁輸の強化の可能性に言及している。また武藤も、条約締結による「米国のわれわれに対する経済圧迫は、万策を講じてこれを避けねばならぬ」と述べ、アメリカの対日経済制裁強化を警戒している。

ドイツにとっては、三国同盟それ自体が重要な意味をもっていた。ドイツはアメリカの対独参戦の危機に直面していた。したがって、日本との軍事同盟はアメリカを太平洋側から牽制する有効な手段として位置づけられていた。

だが日本は、後述するように、アメリカからの一定の輸出制限(石油・屑鉄を部分的に含む)を受けてはいたが、必ずしも対米戰争に直面する状態にあるわけではなかった。したがって日本にとって、ドイツとの軍事同盟が直接アメリカを牽制する効果をもつとはみられていなかった。

武藤ら陸軍中央は、三国同盟のみでなく、それにソ連との提携が加わることによって、はじめて対米牽制効果を期待しうると考えていたのである。

たとえば武藤は、三国同盟締結後の論考のなかで、次のように「ロシアとの提携」の必要に言及している。

吾々は・・・・ソ聯をして成べく枢軸側に協力させるように努めなければならない・・・・

吾々は飽くまでも自給自足の共存共栄圏を作らなければならない。それが為には…南方の資源を獲得することが必要である。・・・・この企図を遂行しようというならば、一時ロシアの方面との国交を調整しなければならない……南方発展の為に一時ロシアとの提携ということが起り得る」(武藤章「国防国家完成の急務」『東亜食糧政策』)

ここでの対ソ提携の必要は、南方発展の文脈で、すなわち南方武力行使のさいの北方の安全を確保する意味で主張されている。だが、先の陸軍案にみられるように、三国同盟に対ソ提携を加え、四国連合による対米牽制、南方武力行使(対英戰)時などでのアメリカの参戦阻止を意図するものでもあった。

武藤は戦後の手記で、「元来三国同盟の目的は、……日独伊の同盟に蘇聯をも加入せしめ、この一連の枢軸によって、米国の戦争加入をも阻止し、日支事変を速かに解决せんとの企図であった」としている(武藤『比島から巣鴨へ』)。

近衛首相も、

「三国同盟に伴う危険を防ぐ最大の安全弁はソ聯との提携であった。……日独伊三国だけの同盟は危険であるが、ソ聯が我々の側に立っているということになれば余程危険は緩和され得ると考えた」(近衛文麿『失はれし政治』)と後に回想している。

P.74~80

三国同盟とソ連との連携による米封じ込め

このような経過をへて、九月一四日の大本営政府連絡会議で、三国同盟は海軍側を含めて正式の承認をえた。その後、一六日の閣議、一九日の御前会議で同盟締結が正式に決定。二六日の枢密院審議での条約締結承認をへて、九月二七日、日独伊三国同盟条約が締決された。

自動参戦の回避については、攻撃を受けたかどうかは三国間の協議により決定するとの趣旨の交換公文が、オット駐日独大使の松岡外相宛書簡の形式で交わされた。

だが、オット駐日大使やスターマー特使は、この交換公文について、ドイツ本国政府に知らせかった。日本の対米自動参戦を強く望むヒトラー、リッベントロップら政府首脳の反応を恐れたためではないかとされている。

ヒトラー、リッベントロップらは、三国同盟による対米牽制(アメリカの参戦阻止)を期待していた。だが、それにもかわらずアメリ力系が対独参戦した場合には、日本がフィリピン、ハワイなどを攻撃すること、すなわち日本の同時参戦を望んでいたからである(ゲルハルト・クレーブス「日独伊三国同盟」近藤新治編『近代日本戰争史•第四編・大東亜戦争』)

整理すると、武藤ら陸軍中央にとって三国同盟の締結は次のよぅな意義をもっていた。 第一に、東南アジアを含めた「大東亜」の指導権(支配権)をドイツに承認させたこと。第二に、 対ソ国交調整へのドイツによる仲介による糸口をつかんだこと。第三に、日独伊ソ四国連合による対米牽制、アメリカの参戦阻止の可能性が現実化してきたこと。

だが、 同時にそれは独米戦突入が日米開戦へと連動する危険性をはらむものだった。またさらに、アメリカの日本への反発、対日圧力の強化をともなうものでもあった。

しかし、ドイツの仲介による対ソ国交調整が実現すれば、陸軍の戦略にとって大きなメリットがあった。それは、第一に、北方の安全確保が実現することによって、「大東亜生存権」形成のための南方武カ行使が実際に可能になることである。第二に、ソ連の対中援助(新疆ルート)を抑制させる。また、中国国内での国民党と共産党の離間、抗日勢力分断の可能性が生じる。第三に、三国同盟と相まって対米牽制力が格段に強化される。武藤らはこう考えていた。対ソ国交調整問題はそれだけ重要な意味をもっていたのである。

このあと陸軍は、「時局処理要綱」にしたがい、南方進出のための具体的な施策の策定・実施と、対ソ国交調整の実現をめざして動いていくことになる。

三国同盟成立後、武藤は、日本をとりまく国際情勢について、次のような認識を示している。

「日独伊は連携して、英米仏などに支配されていた「旧世界秩序」を転覆し、「世界の新秩序」を建設しつつある。日独伊は、「新たなる原理」によって、世界を「創成」しようとしている。日本は、このような世界史的な転換のなかで、好むと好まざるとにかかわらず「大変局」に直面している。

「日独伊等の新興国家群による勝利は、すなわち政治、経済•思想、文化等の全面にわたって、新たなる原理によって世界を創成せんとするものである。したがって、帝国また右の如き世界史的の転換の真只中に立って好むと好まざるとに拘わらず、有史以来の大変局に直面しているわけである。」(武藤「国防国家完成の急務」)

そのようななか、今や英米の反日的態度は先鋭化し、両国は緊密な連携のもと、対日攻勢を策しつつある。ソ連を英米陣営に引き込もうとし、重慶政府を援助して日本への抗戦を続けさせようとしている。またタイや蘭印をも、日本に対抗するよう使嗾している。

ソ連は、英米と日独伊の間で中立的態度をとっているが、独伊と共同で、枢軸側に協力させるよう努める必要がある。もちろん、その全世界に対する赤化宣伝への警戒は忘れてはならない。

だが、日本は、あくまでも「自給自足」の経済圏を作らねばならず、「南方の資源」の獲得が必須である。したがって、ソ連との国交を調整し、南方発展のために一時ソ連との提携を考えなければならない。また、ソ連の対中援助の影響は大きく、それを断つためにも、ソ連との国交調整が必要である。

「吾々はこのロシアの態度に対しては、独伊両国と共に、あるいは利を以て之を誘い、あるいは力を以て之を嚇かし、ソ聯をしてなるべく枢軸側に協力させるように努めなければならない・・・・ロシアの方面との国交を調整し・・・・一時ロシアとの提携ということが起り得る」(同右)

こうした三国同盟およびソ連との提携によって、なるべくアメリカを反省させるようにしなければならない。そして、「公正妥当なる態度」をもってアメリカに対処することが必要である。「自ら好んで[アメリカと〕戦さをするにはおよばない」が、最悪の場合でも、 断然これと対抗するだけの準備は整えておかなければならない、と。

武藤はまた、次のようにも述べている。

アメリカは「物資と財力の豊富な点においては世界第一」であり、現在、国防国家体制の整備を進めている。少なくとも1〇〇万の将兵一人一人に機械化装備を与え、年間五万機の航空機を製作しようとしている。その軍事費は約一四〇億円に達するもので、日本では考えられないことである(当時の日本の軍事費は約ニ○億円)。

しかも事態は決して楽観を許さないものであり、ひとたび対処を間違えれば、「日米戦争を太平洋上に始めて、世界人類の悲惨なる状態を招来する」こともありうる。

このような状況下において、国是としての「大東亜建設」を遂行していくには、国防国家体制を整え、強カに国策を遂行していかなければならない、と(同右)

すなわち、日独伊三国同盟とソ連の連携による圧カで、アメリカ参戦を阻止し、日米戦を回避しながら、大東亜生存圏の建設を実現しようと考えていたのである。先にみたように武藤は、三国同盟を、日米戦争を目的とするものではなく、あくまでもそれを回避するためのものだと位置づけていた。日中戦争、南方武力行使(対英戦)に加えて、圧倒的な国力差のある対米戦となることは、武藤も望まないことだったからである。

また、一九四一年(昭和一六年)初頭、武藤は、今後の国際情勢の大きな方向性について、次のように論じている。

世界は、日中戦争、欧州戦争、そして「新旧」両勢力の対立によって、今や「世界大動乱」へと進もうとしている。

「四周を見渡せば、客観的世界情勢はただならぬ超非常時の坩堝と燃えている。東に支那事変、西に欧州戦争が展開せられ、……世界勢力を新旧の分野に対立せしめ、今や世界大動乱への驀進は、好むと好まざるとに拘らず、不可避の観がある。」(武藤章 「新東亜建設と太平洋」『朝日新聞』昭和一六年一月一日)

近年の世界の趨勢をみるに、世界は四つのプロックに編成されようとしている。それは、アメリカを中心とする南北アメリカ大陸と、独伊の指導するヨーロッパ圏(アフリ力を含む)、欧州・アジアの北方領域を占めるソ連邦、そして日本がリードする大東亜共栄圏である。

「両三年前よりの世界大勢の趨くところを観察するに、米大陸においては、北米合衆国が中心となって西半球二十一ヶ国を連らねた大同団結を結成せんとし、欧州においては、独伊両国が指導的立場をとって所謂欧州新秩序を創成せんとし、更にソ聯邦は、欧亜北方に跨る一大ブロックを形成せんとする必然性が濃厚に看取されるのである。この世界情勢において、大東亜に生存する諸国が……大東亜共存共栄圏確立の謀を繞らすは自然の結論である。」(同右)

ここには、大英帝国圏の消失とソ連の存続の方向が示されている。そして、日独伊ソの提携による南北アメリカ大陸への米封じ込めの状態(参戟阻止)が含意されているのである。これはまた武藤自身の意図するところだった。

だが、この武藤の期待は、後述するように、日ソ中立条約締結のニ力月後、一九四一年六月の独ソ戦によって打ち破られることになる。

P.224~226

すべてはイギリス存続のため

なお、アメリカ政府は、一九四一年の初め頃には、日本外務省の最高機密暗号の解読に成功していた。そして、その暗号解読(「マジック情報」)から、七月二日御前会議決定「情勢の推移に伴う帝国国策要綱」の概要をつかんでいた。そこでの、「南進第一、状況良ければ北進、米独戦には自主的参戦」との内容を承知していたのである。

南部仏印進駐に対するアメリカの対日石油全面禁輸は、一般には日本のさらなる南方進出を抑制するためだったと理解されている。だが、それのみならず、北方での本格的な対ソ攻撃を阻止するためでもあったのである。もちろん、日本の北進抑制とともに南進抑制も対日全面禁輸の目的の一つだった。もし禁輸圧力によって南進も抑制されれば、それはそれで望ましいことだった。アメリカにとって、日本のさらなる南進は、東南アジアの英蘭植民地攻略を意味した。そのような事態になれば、日本の海軍力によって、アジア英領植民地、オーストラリアなどからのイギリスへの物資調達が遮断される可能性があった。

それはイギリスの対独継戦を困難にし、大英帝国の崩壊をももたらしかねない深刻な事態だと考えられていた。アメリカにとって、イギリスの崩壊は安全保障上絶対に阻止しなければならないことだったのである。

いずれにせよ、アメリカの対日石油全面禁輸と、その後の対日戦決意は、イギリスの存続のために行われたといえよう。

これ以後、武藤は、日米交渉による対米戦の回避に全力を傾けていく。「日米戦争は日本の自殺行為だ。あくまで外交交渉を成立させねばならぬ」、と彼は考えていた(武藤『比島から巣鴨へ」)。近い関係にあった矢次一夫も、「日米戦えば、いかに考えてみても、研究してみても、日本に勝目はない。どうしたら、戦わずに済むかと、このところ心肝を砕く思いをしている」との武藤の発言を聞いている(矢次『昭和動乱私史』下巻)。

他方、アメリカの全面禁輸によって、北方武力行使を延期せざるをえなくなった田中は、強硬に南方武力行使、対米英開戦を主張。武藤と激しく衝突することとなる。 なお、一般に、日米戦争は、中国市場の争奪をめぐる戦争だったと思われがちだが、それは正確ではない。実際は、イギリスとその植民地の帰趨をめぐって始められたのである。

事実、アメリカが中国を本格的に援助し、各種の対日制裁を実際に発動し始めるのは、 ドイツの対英攻撃が始まる一九四〇年からで、それまではある程度の借款による支援に止めていた。一九三〇年代後半までは、対日輸出額は対中輸出額の七倍前後を占め、日本との戦争を賭してまで中国市場を守ることは、アメリカ政府にとって考えられないことだったのだ。

たとえば、ジョンソン駐華米公使は、日中戦争中、「中国を武力で援助するようなことはしない」と、中国側に何度も伝えていた(福田『アメリカの対日参戰』)。

しかも当時日本の海軍力は米海軍を凌いでおり、日本に実力で対抗することは事実上困難だった。アメリカ国務省の対日強硬派ホーンベック極東部長も、アメリカは中国市場をめぐって日本と戦争する危険を冒すべきでないとのスタンスだった。

だが、その後ドイツのイギリス攻撃が本格化し、イギリス本土が危機に瀕してくると、アメリカは、日本を中国に釘付けにするため、中国の対日抗戦力を強化すべく重慶政府援助を本格化し(一億四五〇〇万ドルの借款供与)、対日経済制裁を強めていく。もし日本が中国を制覇すれば、ドイツに協力して、シンガボールをはじめ東南アジアその他の英領植民地への攻撃に向かう可能性が高く、植民地からの物資補給を断たれたイギリスは、ドイツの攻撃に耐えきれず敗北する懸念があったからである。アメリカが日独伊三国同盟の締結に神経をとがらせたのは、そのような背景があったからだった。  

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そして、九月一一日、「半球防衛計画第一号」が、ルーズベルト大統領の(当該海域枢軸国艦船に対する)「発見次第発砲」命令として発動された。「半球防衛計画第一号」とは、米海軍の哨戒領域を西経二六度線以西まで拡張し、その海域への枢軸国艦船の侵入は武力攻撃を加えても阻止するというものだった(西経ニ六度線は、グリーンランド、アイスランド西端、 ボルトガル沖のアゾレス諸島を含む)。その実施は、四月初旬に検討されていたが、日ソ中立条約締結(四月一三日)の動きによって実行が延期されていた。それが独ソ戦開始後、ソ連の対独抗戦継続のなかで、実施されることになったのである。

また、九月一三日、スターク米海軍作戦部長は、米艦隊に英国船団護送の開始を命じ、 護送中に出会う枢軸側海空部隊を壊滅させるよう指示した。

アメリカからアイスランド間の英国輸送船団による対英援助ル—トの安全が確保され、イギリスの対独抗戦体制が整うこととなる。少なくとも翌年春までのイギリスの安定的存立は確実のものとなった。あとは独ソ7戦の動向にかかっていた。

また、これらのことはアメリカ政府の対独戦への積極的意思(「宣戦はしないが戦争はする」〔ルーズヴエルト〕)表出を意味し、米独間は事実上戰争状態に入ったとみなされた。

また、九月ニ五日、「米国総合生産必要量に関する陸海軍統合会議算定書」、いわゆる「勝利計画」が大統領に提出された。

9/3宮崎正弘メルマガ『嘘に嘘を重ねて膨らませてきた結果、何が本当なのか中国自身わからない

やはり詐欺の名人、中国の言うことを信用すると痛い目に遭うという事でしょう。AIIBの参加なんて、詐欺が分かっていて加盟するという愚かなことだと分かるでしょう。結局、日米の信用がなければうまく行くはずがないのです。それで習近平も反日だけでは如何ともし難いので、日本に擦り寄ってきて日本の金を何とか得ようとしています。10/31or11/1辺りで日中韓の首脳会談を韓国で開催とかニュースで流れていますが。

会談をするのは良いですが、くれぐれも騙されないように。民主党政権と違い、安倍政権ですから変な妥協はしないと思いますが。

外貨がカラは充分あり得るでしょう。中国の財務諸表は3通りあり、株主・銀行・監督官庁用とそれぞれ違った数字で提出されます。昔から数字の改竄はお手の物。ですから大躍進時に餓死者が沢山出たのです。軍事でなく、中国国民の福利充実に予算を回せばよいのにそれもしません。GDPの数字もいい加減でしょう。天津の大爆発の死者が150人(8/30日経)ということは考えられません。温州の新幹線事故の埋め立てと同じく、埋め立てて死者を少なくしていると思っています。千人単位で亡くなっているでしょう。

中国と取引の多い企業は逃げる準備を早くしておかないと。伊藤忠なんかはどうするんでしょうね。CITICに6000億円も投資して。焦げ付いたときに誰が責任を取るのでしょうか?ビジネス・ジャッジメント ルールで株主代表訴訟は無理かも知れませんが。伊藤忠の株を持っている人は売った方が良いでしょう。丹羽宇一郎というのは正真正銘の売国奴です。こんな人物を民主党は駐中国大使にするのですから。民主党の危険性を日本国民はもっと自覚しないと。

宮崎記事

小誌が屡々指摘してきたことだが、「世界一」の外貨準備高を誇る中国の化けの皮が剥がれた。

 「ある、ある」と豪語してきた世界一のドル資産が、一夜にしてブラックホールに吸い込まれたかのように消える。おこりうるシナリオである。

 なんでもあり、の中国だから、史上空前の詐欺行為が行われているとすれば、至極可能性の高いことになる。

 かねてより、CIA筋の調査で中国から流れ出した外貨が3兆800億ドルとされ、2015年6月末の中国の外貨準備が3兆6500億ドルだから、差し引きすると、中国の外貨準備の中味は、5700億ドルでしかない。

 これは単純な引き算で、もっと複雑な要素がからむが、要するに中国は嘘に嘘を重ねて膨らませてきた結果、何が本当なのか中国自身、わからない状態、これを「新常態」と言い換えているかのようである。

 第一にもっとも重要な外貨準備指標は「経常収支」であり、この数字をみると、中国の2015年三月まで一年間の統計は2148億ドル。ところが外貨準備は同期間に2632億ドル減少している。膨大な外貨が流失しているから、こういう数字の齟齬がおこると考えられるだろう。

 そこで嘘の上塗り、つまり架空の数字をつくりかえ、粉飾のうえに粉飾をおこなう。

そもそも「GDP世界第二位」というのは真っ赤な嘘である。GDPのなかで、「投資」が締める割合が48%、こういうことはどう考えてもあり得ない。

 シルクロード構想は財源が450億ドルである。ベネズエラに投資した額は450億ドル前後、アンゴラへの海底油田への投資は焦げ付いたという情報があり、リビアでは100本のプロジェクトが灰燼に帰した。以下、スリランカ、ジンバブエ、スーダン、ブラジル等々。

 世界中で中国が展開した世紀のプロジェクトの惨状である。

 豪、カナダ、ニュージーランドなどには鉄鉱石鉱区を買収し、開発していたが、鉄鋼不況に遭遇し、開発を中断した。こおあおりで豪ドル、カナダドル、NZドルが下落した。

 にもかかわらず、たとえば中国の2013年末の海外直接投資残高は6605億ドルだったが、15年3月には9858億ドルと急激な増加が見られる。

 2015年3月末の対外債務残高は直接投資が2兆7515億ドル、証券が9676億ドル。合計3兆7191億ドル。

 さて冒頭に述べたように中国の外貨準備が3兆6500億ドルとすれば、差し引きは、マイナス691億ドルである。マイナスである。

 この実態がごまかせたのは中国へ外国からの直接投資と証券投資だった。

 それが、上海株式暴落と、人民元切り下げ、不動産バブル壊滅を目撃して、一斉に海外へ引き揚げを始めたわけだ。

 「外貨準備高」というのは貿易ならびに貿易外収支を合算しての対外経常収支の黒字の累積である。

だから日本の外貨準備は2015年七月末で1兆2700億ドル、この殆どが米国債で保有しているため、金利収入で着実に増え続ける。

 ところが中国の「外貨準備」と称するものの統計は外貨資産と海外からの借り入れを「短期外貨資産」に参入しているフシが濃厚なのである。お得意の誤魔化し、要するに借入金を「収入」蘭に記載しているのである。

 日本の対外純資産に対しての外貨準備高比率は16%だが、中国のそれは59%(数字はいずれも武者陵司氏(JBプレス、9月2日)。つまり史上空前のネズミ講のからくりが、数字から推測できる。

 どう考えても次は人民元の大暴落だろう。

田村記事

Cina central bank

 上海株は下落基調が収まらない。以前から指摘しているように、党主導で図体だけを膨張させた異形の市場経済を党が制御できなくなったのだ。

 ところが、日本のメディアでは、中国を西側の市場経済国家同然に見立て、やれ金利を下げれば景気が上向くとか、元安で輸出が増えるなどという楽観論がまかり通る。中国では経済学の教科書に書かれているような処方箋は通用しないのだ。

 金融政策を例にとろう。利下げは一般的に「金融緩和策」と呼ばれる。ところが、中国は金利を下げると量的側面で金融引き締めが進む。

 グラフは中国人民銀行が発行する資金量(マネタリーベース)をドルに換算し、米連邦準備制度理事会(FRB)のそれと対比させている。2008年9月のリーマン・ショック後、どれだけ増えてきたかを、中国の外貨準備と合わせて追っている。

 FRBは3度にわたる量的緩和策でドル資金発行量をリーマン前に比べて4倍増やしたが、人民銀行はドル増加量にぴったり合わせて元資金を増量してきたことが読み取れる。

 人民銀行はやみくもに元資金を発行するわけではない。流入する外貨を買い上げては元を市場に流し込む。元発行残高の約8割はドルを中心とする外貨の裏付けがある。2000年代初めはその比率が40%弱だったのだが、リーマン後に急上昇した。言い換えると、中国はドルの大増刷のおかげで元を米国並みの規模で刷り、不動産開発部門などに流し込んで投資主導型の高度成長を実現した。

ところが、12年から13年にかけて中国の不動産市場はバブル崩壊して不振に陥り、14年初めからは国内資金や流入していた外貨が流出し始めた。貿易黒字は続いていても、外貨準備は増えなくなった。そうなると、人民銀行は元資金を増発しにくくなる。

 そこで、習近平政権は党、政府総ぐるみで株価押し上げ政策を打ち出し、株式市場に国内や海外の資金を引きつけようとした。14年10月に米国が量的緩和政策を打ち切ると、中国を含む新興国市場から資金が米国に逆流する傾向が強まるので、習政権は上海株価引き上げにますます躍起となったが、6月中旬、暴落が始まった。

 株価下落とともに、資金流出に加速がかかる。景気悪化も止まらない。そこで人民銀行はそれまでの利下げに加えて8月11日に元を切り下げ、輸出のてこ入れを図ったが、米国は9月にも利上げする動きを見せたので、元資金の流出がますます激しくなった。

 人民銀行は外貨準備を取り崩して元を買い上げるしかない。その結果、元の資金量は急減するという具合である。8月25日には追加利下げに踏み切ったが、資金流出を助長し、株安も止まらない。金融の量的縮小圧力がますます高まる。中国の通貨・金融政策はことごとく裏目に出るのだ。党が株式や外国為替など金融市場を支配する体制のもとでは、中国経済は悪循環から抜け出られないだろう。

9/2日経ビジネスオンライン 福島香織『異例づくめの習近平的「大閲兵式」 すべては「正統性」確立のために』9/4日経『権力闘争 なお火種 江沢民氏、1年ぶり公の場に』『中国、高揚感なき国威発揚 戦勝70年軍事パレード 想定超す経済減速・日米欧首脳は不在』について

寂しいパレードだったと思います。欧米日とも参加せずでしたから。愚昧な村山元首相は体調不良で北京の病院に入院とのこと。天の怒りに触れたのでしょう。参加国も31ケ国(元首・首脳クラス)と寂しい状態。AIIBのときは57ケ国もはせ参じたというのに。5/9ロシアの対独勝利70周年の軍事パレードも20ケ国と寂しかったです。如何に人権抑圧国家は人気がないかという事です。今度の中国の場合でも、参加国は人権抑圧している国ばかりと言う感じです。仏教国のスリランカも参加を見送りました。賢明な行動です。

台湾の連戦元国民党主席が参加したことに馬総統も「遺憾」の意を表明、連戦の随行員は帰国時に台湾団結連盟の人から抗議の靴投げに合いました。郝柏村(中華民国参謀総長、元行政院院長)は国民党老兵に「参加は許さず。参加したら年金を取り上げるぞ」と脅したと宮崎正弘氏のメルマガにありましたし、中国時報には「リーダーは蒋介石だけで他にはいない。(=抗日を主導したのは共産党の毛沢東ではない)。歴史は歴史。変えることはできない」とありました。老兵がどの程度参加したかどうかは分かりません。

江&曽慶紅も胡も参加したのは手打ちが行われたのでしょうか?それとも一時休戦? 9/3香港紙『明報』は、「習近平の軍権掌握ならびに指導者として揺るぎない地位を確保したことを意味するセレモニーとなった。まさに習近平時代が到来したことを明確に告げる式典だった」と分析しました。本当に軍権が確立したかどうかは日経記事にあるようにまだ懐疑的な見方をしておく方が良いのでは。権力闘争は続いて行くでしょう。江派を潰した後は団派が待っていますので。胡は江に怨みがあるので上海派潰しには協力しますが、自派を標的にされたら死に物狂いで抵抗するでしょうから。また、令完成の2700件の米国内にあるデータがどういう形でリークされるかです。インターネット時代ですから、中国国内は遮断できても諸外国では見れるのでクチコミで中国内にも流れますので。

日経記事

xi & jiang

権力闘争 なお火種 江沢民氏、1年ぶり公の場に

軍事パレードの開始直前、天安門の楼閣上に89歳になった江沢民元国家主席が姿を現すと、階下の参観席がどよめいた。江氏が公式の場に現れたのは約1年ぶりだった。

左は記念行事に出席した習近平国家主席(左)と江沢民元国家主席(3日、北京の天安門)=共同

 反腐敗を掲げる習近平国家主席は、江氏に近い周永康・前政治局常務委員や、軍の元制服組トップ2人を次々に摘発した。この夏、北京での要人らの葬儀では、他の長老と違って江氏だけ姿を現さず、地方から花輪を送るケースが続いた。

 共産党機関紙、人民日報も、江氏の院政批判と見られる文章を堂々と掲載し、話題をさらった。中国の政界では「メンツを潰された江氏は軍事パレードを欠席しかねない」「身辺に異変があるか、体調が優れないのでは……」といった臆測が広がっていた。

 ところが、江氏は極めて元気な姿で習氏の左隣に陣取った。習氏がにこやかに江氏に語りかける場面さえあった。

 江氏、胡錦濤前国家主席らトップ経験者が軍事パレードのような重要行事に出席するのは共産党の伝統である。だが、習体制ではその常識が通用しない。聖域と見られていた最高指導部経験者でも突然、摘発される。

 習氏への権力の一極集中は、国営中央テレビの中継でも明らかだった。映像は、習主席と、隣の江氏を同じ画面で映すのをあえて避けた。

 習氏は1人だけの映像か、右隣のプーチン・ロシア大統領とのツーショットに。権力を固めた習氏を江氏と格の違うトップとして扱ったのだ。1999年、2009年の軍事パレードとの大きな違いだった。

 反腐敗を巡る習氏と長老らの暗闘には第2幕があるのか。高齢の江氏は確かに不利だが、経済界を中心にその影響力は侮れない。経済の先行き不透明、天津での大爆発……。相次ぐ大事件により、権力闘争の構図、力関係は変わりうる。

 2017年の次期最高指導部人事まで2年もある。何が起きるかわからない。

(北京=編集委員 中沢克二)」

中国、高揚感なき国威発揚 戦勝70年軍事パレード 想定超す経済減速・日米欧首脳は不在

【北京=山田周平】中国の習近平指導部は3日、2015年最大の政治イベントと位置づけてきた「抗日戦争・反ファシズム戦争勝利70年」の記念式典を開いた。北京では午前の軍事パレードの後も終日、祝賀行事が続いた。華やかな式典の裏では、力のよりどころだった経済に陰りがみえる。どこか高揚感の乏しい国威発揚の場となった。

 式典ではパレードに続き、人民大会堂で昼食会を開いた。ロシアのプーチン大統領ら約800人の出席者を前に、習主席があいさつした。

 「侵略戦争以降に生まれた人であっても、歴史の教訓を心に刻まねばならない」。安倍晋三首相が戦後70年談話で「戦争に関わりのない世代に謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」と述べたことを暗に批判した。

 夜には人民大会堂で日中戦争をテーマとした観劇会を開催。官営メディアは終日、一連のイベントの成功をたたえる報道を続けた。

 冷静に見れば習指導部の意図が空回りしている感は否めない。第2次大戦に勝って国連の常任理事国となった五大国のうち、式典に首脳を送ったのはロシアだけだった。

 安倍首相ら日米欧の首脳は、中国の軍事力への警戒感などから出席を見送り。戦争犯罪などで国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状が出ているスーダンのバシル大統領を含め、共産党一党支配の価値観に賛同する首脳ばかりが集う場となった。

 習指導部が式典の準備に専念してきたこの半年間、国力の裏付けとなる経済は想定を超す減速に見舞われた。中国株は上海総合指数が直近の6月中旬の高値から4割近く下げ、ネット上には「式典を開く金があるなら救済してくれ」との投資家の恨み節が残る。

 官製の株価対策が不発なまま、8月中旬には人民元を十分な説明なく切り下げ、世界的な連鎖株安を招いた。しかし習主席は3日の演説で、経済について何のメッセージも発しなかった。人民元切り下げの直後には、天津市の港湾部で大爆発が起きた。責任者の身柄は拘束されたものの、爆発の原因や有害物質の拡散の実情は不明なままだ。

 習指導部は一方で2日夜以降、パレードのため北京の中心部を事実上封鎖した。世界2位の経済大国が自らの意志で首都機能をマヒさせ、カップ麺を大量に買い込む市民を生み出す様子には滑稽ささえ漂う。

 在北京の金融筋は式典について「3連休になったので、株価下落や経済指標の発表に一喜一憂しなくて済んだ」と冷ややかだ。宴(うたげ)の熱が冷め、株式市場が再開する7日以降、中国経済は再び世界の厳しい視線にさらされる。」

福島記事

 9月3日は抗日戦争反ファシスト戦勝記念日で国が定めた祝日である。今年は70周年ということで、習近平政権初の大閲兵式が行われる。私は残念ながら当日東京で仕事が入っており、現地でこれを見ることはできないのだが、どうせ北京に行っても、ジャーナリストビザもない私は式典場に近づくこともできない。

 2009年の胡錦濤政権時代の大閲兵式のときは、北京で何とか潜り込もうといろいろ画策したのだが、蟻一匹入り込むスキがなく、大望路付近まで下がって、閲兵式が終わった後に、戦車がぞろぞろと引き上げる様子を、友人のマンションの敷地からちらりと見ることができただけだった。だが、そのマンションも家賃が値上がりして、友人たちは引っ越してしまった。CCTVやフェニックスの中継を見るだけなら、日本でも見ることができるので、そうすることにする。

 そこで、私と同様、日本でテレビ中継で大閲兵式を見る人たちのために、この大閲兵式の意味、意義について改めて考えてみたい。

最新型84%、規模は胡錦濤時代の5割増

 大閲兵式は9月3日午前10時(北京時間)、天安門広場での閲兵昇旗からスタート。約70分の予定。中国人民共和国建国以来15回目の大閲兵式である。CCTV1、CCTV7、北京衛星テレビおよび主流ネットメディアで中継される。現場は厳しく統制されており、基本、招待客以外は二環路以内に入ることも難しいだろう。近くのマンション、オフィスビルもカーテンを開けることすら禁止されている。また、勝手にスマートフォンなどで写真をアップすることも禁止という。テレビやネットで見るのが確実だ。

 56の民族を意味する56の礼砲のあと、戦勝記念70周年を示す70回の礼砲を行う。

 50の部隊を含む1万2000人および500台の兵器、200機の軍用機が参加する。兵器・軍用機の84%は初披露される最新型のもので、空母艦載機・殲15戦闘機や武直-10攻撃ヘリや携帯多頭型核弾頭を搭載した東風41弾道ミサイルなど7種類のミサイルも披露される。胡錦濤政権時代の大閲兵式よりも5割増しの大規模なものだと言われている。

 今回の大閲兵式で特に異例なのは、国民党老兵、外国軍の参加と海外賓客の多さである。

 これは、従来の大閲兵式と、目的が少し違うからだろう。大閲兵式は何のためにやるか。一般には国威発揚、愛国心高揚、政権・軍権掌握のアピールである。毛沢東以来、大閲兵式は国慶節・建国記念日の10月1日に行われるものだった。しかも、江沢民も胡錦濤も政権の2期目、つまり権力基盤の比較的安定した後、建国50周年、60周年という節目に行ったのだった。2期にわたる政権運営の仕上げとして行ったのだ。

 今回は共産党史上初めて抗日・反ファシスト戦勝記念日の9月3日に行われる。この抗日・反ファシスト戦勝記念日を国の祝日に制定したのは習近平である。習近平政権は政権発足後わずか3年目、権力闘争がまさしく佳境に入っており、経済上も社会治安上も決して安定期とはいえないタイミングで、焦るように急に大閲兵式計画が決定され、実行されたのである。その意味は何だろうか。

国民党老兵と外国軍、異例の参加

 例えば国営通信新華社はこう論評している。

 「今回の閲兵は中国の抗戦精神の高揚、自信の増強、そして国際社会とともに世界平和を守っていく決心を示している。また最初の戦勝記念という以外に、多くの先駆的な試みを行っている。まず、初めて外国の軍隊が参加する。次に(八路軍の)英雄模範部隊の名を冠した小隊が閲兵を受ける。また共産党と国民党の抗戦老兵たちが初めて一緒に閲兵に参加する。

 中国国家安全論壇の副秘書長の彭光謙少将によれば、今回の閲兵の意義は中国が抗戦中、風化することのない貢献があったことを示し、全民族が異なる政治パワーを認め合い、国際社会においてともに世界平和を守る決心を明らかにするものであるという。

 またこの閲兵のテーマは、抗戦の偉大な勝利を紀念し、抗戦の偉大な精神を高揚し、民族の偉大な復興を実現することである。

 この論評を普通に読み解けば、今回の閲兵式は、従来の国威発揚、愛国心高揚、軍権掌握アピールとは別に、中国が第二次大戦の戦勝国であることを国際社会に認めさせるための舞台であり、日本が第二次大戦後の国際秩序に対する挑戦者だと印象付けるための演出もあるといえる。つまり、習近平は中国共産党正史としての歴史認識を、この大閲兵式で改めて国内外に喧伝することが大きな目的、ということになる。

「当時は共産党、国民党、日本人の三つ巴」

 言う間でもなく、第二次大戦終戦当時、まだ中国人民共和国は誕生していない。日中戦争で旧日本軍が戦った相手は国民党軍であり、新華社の論評で名前が出ていた張自忠も国軍の勇将として知られている。

 在米華人歴史学者の謝幼田の著作『中共壮大的謎』によれば、毛沢東は日本軍が国民党勢力を削いでくれることを期待して抗日戦はむしろ傍観を決め込んでいた。共産党勢力拡大に7割の力を注いで「(力の)10%は日本と戦うこと」という指示を出していたという。

 百団大戦が唯一の共産党がしかけた対日戦闘だが、それですら、党中央(毛沢東)の指示を受けずに八路軍が勝手に起こした戦闘として、党中央から厳しい批判を受けていた。八路軍副司令であった彭徳懐が後に失脚する際、百団大戦が「反毛主席」の行為として罪状の一つに挙げられたという。毛沢東が廬山会議で「当時は共産党、国民党、日本人が三つ巴になっていたが、我々は国民党と日本人を戦わせることで、壮大な発展を遂げることができた」と赤裸々に語ったことは結構知られた話でもある。

 そういう面から考えても、共産党が抗日戦争で主役ぶるのは、本当ならばあまりに厚顔である。ましてや国民党老兵を招いて、北京で共産党中央総書記にして共産党中央軍事委主席が閲兵するというのは、国民党側にすれば恩給取り消しに相当する寝返り行為だろう。しかし、連戦国民党名誉主席自身がのこのこと北京の式典に参加する。これは中国共産党の歴史の政治利用のうまさと言える。

 ある歩兵戦車小隊の兵士は言う。『抗戦に関して、私が感動し尊敬する人は多い。例えば張自忠(国民党軍陸軍上将、棗宜会戦=宜昌作戦で戦死した。その勇将ぶりは日本軍も感嘆していた)。中国は劣る武器装備で、多くの犠牲者を出しながらも、当初は敵を圧倒した』。

 彭光謙によると、抗日戦争勝利における現実的な意義がある。つまり、第二次大戦後の70年、日本はずっと戦争の侵略性を否定しており、国連を主導とした国際秩序に挑戦し続けている」。

 話がそれるが、この閲兵式に合わせて封切られる歴史映画「カイロ宣言」(八一電影制作、温徳光・胡明鋼監督)のポスターや予告編で毛沢東が主役風に登場していたことに、中国国内の一般ネットユーザーから歴史の改ざんではないか、と批判が集まっていた。

カイロ会議に毛沢東??

 1943年11月にエジプト・カイロでルーズベルト米大統領とチャーチル英首相と蒋介石中国国民政府主席によって対日方針が話し合われたカイロ会談を受けての宣言である。これには毛沢東も共産党も関係ない。人民日報系タブロイド紙の環球時報までが「映画のポスターで毛沢東を突出させているのは不適切、人を困惑、心配させる」「こんなポスターでは、まるで毛沢東がカイロ会談に出席して蒋介石が出席しなかったとネットユーザーが誤解する」「宣伝は、最低、実事求是でなければならない」と懸念を示した。

 さすがに映画では、毛沢東がカイロ会談に参加するという歴史捏造シーンは無いらしく、監督の一人がフェニックステレビの記者に「(歴史を捏造するほど)そこまで恥知らずじゃないです」と弁明、十数枚のポスターの中でメディア向けに選んだ4枚の宣伝ポスターに毛沢東を含めたことについては「考えが足りなかった」と反省を述べた。

 映画の件は、ちょっとあからさますぎて、国内からも批判を浴びたが、史実以上に中国共産党の役割を誇張喧伝して、執政党としての正統性を国内外に訴える政治宣伝が習近平政権にとってことのほか重要なのである。それは中国共産党の正統性というものに陰りが出ているということをヒシヒシと感じているからではないか。

 建国者としての圧倒的カリスマを持ちえた毛沢東、中国人民を富ませた鄧小平、その鄧小平から後継者指名を受けた江沢民、胡錦濤と比べると、独裁化を急激に進めている習近平の足元は、経済が悪化、社会の不安定化でむしろ揺らいでいる。そこで切り札になるのが、抗日戦争に勝利した党という肩書きの国際社会からのエンドースなのだ。

 私が関係者周辺から聞いた限りでは、抗日戦勝記念日に閲兵式を行うというアイデアは習近平が言いだしたのだという。当初、党中央ではこれに鼻白む反応が多かった。政権発足3年目で政治成果もろくに出していないうちに、大費用をかけて大閲兵式をやるのは早すぎる、と。

 だがこの時、習近平は、ライバル視する大国、米大統領を大閲兵式に招く意義を訴えて周囲を説得したという。だが、オバマサイドは最初の打診で早々に出席しない意向を伝え、習近平は慌てて、訪米日程を9月に入れてもらったらしい。実際のところは米大統領招待工作に失敗したのだが、9月に習近平が訪米して会談する予定があるので、あえてオバマを招待しなかった、というポーズをつけるためだったという。

「正史」確立、対外アピールに全力

 以前、このコラムでも紹介したとおり、習近平政権の発足当初は「戦後国際秩序に挑戦する軍国主義が台頭する日本」というイメージを国際社会に訴えて、日米離反を画策するという青写真を描いていたとみられる。結局、中国側の米国に対する対等意識がむしろ米国の警戒感を招いて、日米関係が緊密化することになった。

 大閲兵式には米国だけでなく、日本を含め、西側先進国の現役首脳は出席しない。しかし、ロシア大統領・プーチン、韓国大統領・朴槿恵および上海協力機構加盟国、ASEAN加盟国の約半分、アフリカ諸国などの49カ国首脳が出席し、国連事務局長・潘基文が参加する。習近平政権としてはかなり面目が立ったことだったろう。このほか英国元首相のブレア、ドイツの元首相・シュレーダー、日本の元首相・村山富市が出席するそうだ。

 このように見れば、習近平政権の大閲兵式は、中国の「正史」確立のための重要イベントと位置付けられるだろう。中国では歴史・国史とは、国家の正統性、正しさを裏付けるための学問である。本来、王朝ごとに別の国と言ってよい中国だが、連綿と4000年の歴史を受け継いでいるように正史を編纂してきた。抗日戦争の真の勝者である国民党から、その勝利の果実を正統に受け継ぐものとしての共産党の歴史を国際社会に承認させることが今の正史編纂に最も必要なことなのである。そのために国家の非正統性の根拠となる事実は封印し、あるいは証拠隠滅を図り、改ざんし、それを対外的にアピールするのは当然といえよう。

 ところで、日本人の考える歴史というものは、中国とはずいぶん違う。主流、非主流はあるがあくまでアカデミズムの世界で、国家の正統性を裏付けるための正史編纂事業というものがない。

 そもそも学者たちは、歴史を政治に利用するということ自体に疚しさを感じるのではないか。特にあまりに巨大な犠牲を払った第二次大戦の歴史は、政治に利用するどころか、歴史的事実に向き合うことすら回避して、ひたすら哀悼、反省の思いに浸る人が圧倒的に多かった。そのことが、他国の「正史」に利用される隙を作ったとも言える。

歴史に客観的に向き合う意義

 だが中国の歴史の政治利用のうまさを見習えとは思わない。歴史を研究することの国家にとっての本当の意義は、国家の運営における難問や課題に直面したとき、先人たちがどういう判断をし、そしてどういう結果を招いたかを参考にできるという一点にある。

 そう考えると、8月15日の安倍晋三の歴史談話は、日本が不幸な戦争にいたるまでの客観的な流れを踏まえたうえでの不戦の誓いを言っており、説得力があったのではないか。政治利用でもなく哀悼・反省に浸るだけでもなく、客観的に歴史に向き合う姿勢が示せた。

 さて、9月3日には、習近平も重要講話を披露するそうだ。おそらく戦争に対する歴史認識が盛り込まれているだろうが、どちらが国際社会に対して訴求力を持つか、よく聴き比べたい。