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『島を奪われることを前提にする日本の論外な防衛戦略 「島嶼防衛」と「島嶼奪還」の混用は慎め』(4/12JBプレス 北村淳)について
トランプのシリア攻撃は中間選挙対策、金との会談の牽制、ロシアのミサイル防衛の精度の測定、モラー特別検察官解任の1stステップ(やると決めたらやるところを見せて。こじつけか?)とかいろんな思惑があります。
4/12JBプレス <BBC 世界は第3次世界大戦に向かっているのか? 識者の見解>ロシアの識者だけがWWⅢが起きる可能性が高いと思っています。Proxy warで止まっている分には良いですが、米露中では核戦争が起きるのではと心配になります。戦争は「人間的な営み」と言われますが、総て人間の強欲さから出て来るものです。欲を総て打ち消せば進歩はなくなるでしょうが、行き過ぎた欲望は争いを産みます。特に中国は新たな帝国主義で経済侵略・軍事侵略を現在進行中です。元々中国人は強欲ですから、力で抑えないと抑えることはできないでしょう。ナジブもドウテルテも中国の金と軍事力に転んだと言われても仕方がありません。オバマが中国の暴走を止めなかったからです。日経も今頃になって中国の危険性に警鐘を鳴らすのでは遅いでしょう。先見の明がなかったという事です。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52845
4/14日経朝刊<東南ア「親中」が助長する強権政治
マレーシア連邦議会下院選が5月9日に決まり、東南アジア諸国連合(ASEAN)は来年にかけ国政選挙が続く「政治の季節」に突入した。ただ各国は政府の強権ぶりが目立つ。背後に透けるのは圧倒的な経済力で影響を深める中国の存在だ。

ナジブ氏(左)と習近平氏は蜜月ぶりが際立つ(17年5月、北京で初開催された一帯一路の国際会議)=ロイター
「ナジブ政権らしい単刀直入な手口だ」。マレーシア当局が5日、マハティール元首相の野党に書類不備で活動停止を命じると、ASEANの外交官が感想を漏らした。
野党弾圧は徹底している。7日の下院解散の直前になり、与党に有利な選挙区変更や批判封じの「反フェイク(偽)ニュース法」を成立させた。
かつて師弟関係だったマハティール氏とナジブ首相。対立の発端は2015年にナジブ氏に浮上した、政府系ファンド「1MDB」の資金流用疑惑だ。野党は「反汚職」を訴えるが、隠れたもう一つの争点が中国だ。
「中国が工業製品やパーム油を買ってくれなくなれば経済はどうなるか」。ナジブ氏は1日の演説で野党に反論した。
マハティール氏は最近の中国優遇を「不健全」と批判。マレー半島南端のマラッカ海峡からクアラルンプールを経て、東海岸を北上する縦断鉄道の建設を丸投げしたことをやり玉に挙げ、野党が勝てば見直すと訴える。
実際、ナジブ政権は中国への肩入れが目立つ。13年10月、習近平(シー・ジンピン)国家主席の公式訪問を合図に、広域経済圏構想「一帯一路」を積極的に受け入れ始めた。進行中のプロジェクトは鉄道や電力、港湾、工業団地など約30件、総工費は9兆円を超す。
ナジブ氏の父で第2代首相だったラザク氏は1974年5月、ASEAN(当時は5カ国)で最初に中国と国交を樹立した。ただより注目すべきは1MDBとの関連だ。
肝煎りの1MDBは負債が4年で420億リンギ(約1兆1600億円)に膨らみ、資金繰りに窮した。「助け舟」を出したのが中国だ。15年11月、1MDBの傘下企業が持つ発電所を、国有電力が負債も含め158億リンギで買収。その後、一帯一路の受け入れが加速した。
マレーシアはASEANの縮図といえる。
半世紀前に「反共同盟」として発足したASEANは、改革開放で中国経済が急成長すると、今度は輸出市場や外資を奪われる脅威とみなした。
だが今は関係緊密化にひた走る。05年発効の自由貿易協定(FTA)は95%の品目で関税を撤廃。中国の他のFTAより自由化度が高い。日本総合研究所の大泉啓一郎・上席主任研究員は「世界2位の中国市場はASEANに最も開放されている」と話す。16年の中国の輸入先はASEANが12.7%を占め首位だ。
対照的に戦後、経済・軍事に介入し、民主化の伝道師も自任した米国は存在感を失いつつある。
経済発展の果実を気前よくばらまき、人権などにうるさくない中国は、ASEAN各国には都合がいい。だからこそ米中のパワーバランスの変化は強権政治を助長する。
7月に総選挙を控えるカンボジアは最大野党を解散に追い込んだ。批判する米国との定例合同軍事演習は停止し、16年に演習を始めた中国に傾斜する。カンボジアの対外債務の4割超は中国。フン・セン首相は「中国は口よりも多くのことをしてくれる」と称賛する。
来年初めに民政復帰への総選挙を行うタイは、軍の政治関与を許す規定を憲法に盛り込んだ。同盟国の米国からの非難は無視し、世論の反対を押し切って中国製の潜水艦や戦車の購入を決めた。
思い出すのは習氏がマレーシアを訪れた13年秋だ。発足直後の習指導部はアジア太平洋経済協力会議(APEC)や東アジアサミットに合わせ習氏と李克強(リー・クォーチャン)首相がASEAN5カ国を歴訪した。日本の外交筋は「2期10年は自分たちが仕切るとの顔見せ」と受け止めた。
国家主席の任期撤廃で習体制は長期化が確実。「社会主義現代化強国」を掲げ、米国を抜く野望を抱く中国には、自身と同じ強権国家がくみしやすい。“札束外交”になびくASEANも、国家発展には中国モデルが手本になると感じ始めた。民主化逆行の現実はアジアだけの問題ではない。
(アジア・エディター 高橋徹)>(以上)
4/12AFP<一帯一路、「問題ある債務増加」課す可能性 IMF専務理事>こちらにも先見の明がなかったのが一人。ラガルドが人民元のSDRの通貨バスケット入りを強力に推し進めたではないですか。決済通貨としての人民元の割合は1%強であっても、国際決済通貨に仲間入りしたことで信用は増しました。まあ、中国に騙される方が悪いのですが、腐敗した国のトップを戴く国民が可哀想です。
http://www.afpbb.com/articles/-/3170987
4/12産経ニュース<中国、南シナ海で「史上最大」観艦式 台湾海峡でも軍事演習へ>海南島の三亜には海軍の大きな基地がありました。行ったことがありますが、警備が厳重で一般人は近づけませんでした。習はボーアオで「自由貿易の大切さ」を訴える傍ら、片方で軍事力を誇示し、台湾に圧力をかけています。侵略行為以外の何物でもありません。
https://www.sankei.com/world/news/180412/wor1804120033-n1.html
2013/10/9ダイヤモンドオンライン<気がつけば尖閣に五星紅旗が翻る事態も 日本の防衛体制の矛盾と制度的欠陥――香田洋二・元自衛艦隊司令官>2013年の記事ですから、変わっていることを願います。
http://diamond.jp/articles/-/42774
北村氏の言う通り、「島嶼防御」と「島嶼奪回」では意味合いが違います。「島嶼奪回」では最初から、奪われることを前提に作戦を考えることとなり、敗北主義では。「戦略的撤退」とは意味するところが違うでしょう。勿論プランD辺りには入れても良いと思いますが、最初からそれでは中国の国際宣伝戦にやられ、且つ中国人の戦意を高揚させるだけです。香田氏記事にあるように、夜間に上陸して、旗を立て、衛星放送で流されないような対応は考えておかないと。やはり機関砲と要員を配置し、上陸を防ぐ「A2/AD」戦略が正しいのでは。与那国島にはミサイルを多数配備して中国艦船を近づけないようにしないと。
記事

水陸機動団の発足式(2018年4月7日、出所:米海兵隊)
2017年3月末に発足した陸上自衛隊・水陸機動団の編成式が、4月7日、執り行われた。水陸両用機動団は、島嶼防衛(注)を強化する努力の一環として発足された部隊であるとされている。
(注:他国と陸上で隣接していない日本のような完全な島嶼国の防衛も、規模の大きい『島嶼防衛』ということができる。ただし本稿では、自動車や鉄道といった陸上交通手段では到達することができず、船舶や航空機といった海洋交通手段でしか到達することができない島嶼、すなわち本州、九州、四国、北海道以外の日本国土とその周辺海域の防衛を「島嶼防衛」と呼称する。)
「島嶼奪還」は「島嶼防衛」ではない
本コラムではしばしば、日本のメディアでは「島嶼防衛」と「島嶼奪還」の混用が目につくと指摘してきた。水陸機動団の発足を取り上げている報道の多くも、あいかわらず島嶼防衛と島嶼奪還を混同してはばからない。
もっとも、防衛省による水陸両用機動団に関する説明(平成29年版防衛白書)自体が誤解を招く一因となっている。説明にはこう書かれている。
「平成29年度末に新編される水陸機動団は、万が一島嶼を占拠された場合、速やかに上陸・奪回・確保するための本格的な水陸両用作戦を行うことを主な任務とする陸自が初めて保有する本格的な水陸両用作戦部隊です。(中略)水陸機動団が新編されることにより、島嶼防衛に関する能力向上が図られ、わが国の抑止力が向上します」
防衛省による説明は、水陸機動団は島嶼奪還のために新設される部隊であり、それによって自衛隊の島嶼防衛能力が強化される、との印象を与えているのだ。これでは、水陸両用作戦などに精通していない日本のメディアや一般の人々が、島嶼防衛と島嶼奪還を混同してしまっても致し方ないといえよう。
そもそも島嶼防衛というのは、読んで字のごとく「島嶼を外敵の侵攻から防衛する」ことを意味している。そして、島嶼奪還とは、やはり読んで字のごとく「外敵に侵攻されて占拠あるいは占領されてしまった島嶼を奪い返す」ことを意味する。要するに、島嶼奪還とは島嶼防衛に失敗した場合にのみ必要な作戦であって、はじめから島嶼防衛を語らずして島嶼奪還の準備構築に努力を傾注するのは愚の骨頂といわざるをえない。
「取らせてから取り返す」は防衛戦略とみなせない
しばしば、日本国防当局の島嶼防衛方針とりわけ尖閣諸島防衛方針は、「取らせてから取り返す」といわれている。しかしながら、「取らせてから取り返す」方針は島嶼防衛戦略とはみなしようがない。この方針は、外敵の侵攻以前に尖閣諸島や先島諸島などの防衛するべき島嶼とその近隣島嶼に地上部隊を配置につけておき敵侵攻部隊の上陸を撃退する、すなわち「島嶼守備隊により守る」という方針に異を唱える人々により打ち出された方針である。
かつて日露戦争の時期に海軍大臣山本権兵衛の片腕として活躍した海軍戦略家、佐藤鐵太郎が繰り返し力説したように、島嶼の防衛は「敵を一歩たりとも上陸させない」ことを基本原則とすべきである。
第2次世界大戦における太平洋の島嶼での攻防戦をはじめとする古今東西の戦例は、「島嶼を守るためには、敵侵攻部隊をできるだけ島嶼沿岸より遠方の海域で撃破してしまわなければならない」という教訓を我々に与えている。
とはいってもこの教訓は、「守備隊により守る」方針が正しいことを示しているわけではない。その反対に、「守備隊により守る」方針による島嶼防衛の事例は、ほとんどが失敗していることも歴史的事実である。つまり、「取らせてから取り返す」も、「守備隊により守る」も、ともに島嶼防衛にとっては誤った方針なのだ。
「外敵を一歩も寄せ付けない」中国の接近阻止戦略
佐藤鐵太郎が唱導した基本方針を現代風に言い換えると、「島嶼防衛の基本方針は『接近阻止戦略』でなければならない」ということになる。
接近阻止戦略とは、アメリカとその仲間による中国侵攻に対抗するための中国人民解放軍の防衛戦略である(ただし、中国の場合は島嶼防衛戦略ではなく、東シナ海と南シナ海から中国に侵攻してくる外敵に対処するための国防戦略である)。この戦略は、人民解放軍では「積極防衛戦略」、アメリカでは「A2/AD戦略」と呼称されている。
中国版接近阻止戦略を一言で言うと、中国本土沿岸域に「外敵を一歩も寄せ付けない」という国防戦略である。具体的には、対艦弾道ミサイル(地上から発射される)、対艦攻撃用長距離巡航ミサイル(地上・軍艦・航空機から発射される)、各種軍艦(ミサイル駆逐艦、攻撃潜水艦など)、各種航空機(ミサイル爆撃機、戦闘攻撃機など)によって、できるだけ西太平洋上でアメリカ侵攻部隊に痛撃を加え、少なくとも南西諸島周辺の東シナ海洋上や南シナ海洋上においてはアメリカ軍艦艇や航空機を海の藻屑にしてしまうことを目標とする。
このような基本方針こそが、まさに島嶼国日本、そして離島部の島嶼防衛にとって必要な防衛戦略なのだ。
陸上自衛隊が果たす重要な役割
「日本の領域に侵攻を企てる外敵をことごとく海洋上で打ち破ること(接近阻止)こそが、島嶼防衛である」というと、あたかも海洋戦力(海上自衛隊と航空自衛隊)の独壇場のように思われるかもしれない。
だが、ミサイル戦技術が伸展した現代においては、陸上移動軍(陸上自衛隊)も「島嶼防衛=接近阻止」には重要な役割を果たす。
すなわち、中国軍の接近阻止原理の裏返しで、日本の島嶼に接近を企てる外敵侵攻軍は、海自艦艇や空自戦闘攻撃機による迎撃のみならず、地上から陸上自衛隊が発射する地対艦ミサイルによっても迎撃され、島嶼沿岸からはるか沖合(200km前後)の洋上においてことごとく撃退されることになるのである。
「外敵侵攻軍を島嶼沿岸域には寄せ付けず、一歩たりとも上陸は許さない」という接近阻止戦略を島嶼防衛の基本方針に据えずに、当初から「取らせてから取り返す」などと公言しているのは重大なる戦略ミスである。即刻「島嶼防衛=接近阻止」という島嶼防衛の鉄則に軌道修正を図らなければならない。
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『中国、バチカンと交渉決裂?司教任命権をめぐる習近平政権の宗教政策』(4/11日経ビジネスオンライン 福島香織)、『中国軍艦が尖閣に入ったら台湾に親善訪問しよう』(4/9日経ビジネスオンライン 長尾賢)について
4/12阿波羅新聞<吉尔吉斯发生大规模打砸抢劫中国工厂事件 约1000人参与!=キルギスで中国人経営の工場で大規模焼き打ち事件発生 約千人が参加>金鉱石の加工工場ですが、お決まりの環境破壊の有毒化学物質を使っていたようで、それに対する抗議行動とのこと。世界の中で中国人と言うのは迷惑をかけてばかりいます。
http://www.aboluowang.com/2018/0412/1098223.html
4/11宮崎正弘氏メルマガ<「貿易詐欺師」(ロス商務長官)=中国が「保護主義はよくない」だって「規制を更に緩和し、自由貿易体制を推進」と出来もしない空手形を乱発>何時も言っていますように中国人の基本的価値観は「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」と言うもの。騙されて来た米国が阿呆という事です。WTO加入時の約束なんかハナから守るつもりはなかったでしょう。いつも、騙してでもいいとこどりするのが中国社会です。米国は強い力を持って貿易で制裁を課さねば。それが中国の軍拡の原資になりますので。
http://melma.com/backnumber_45206_6668947/
4/12宮崎正弘氏メルマガ<中国のビッグデータは反政府分子やスパイの摘発ばかりではない 国内の金融取引の全てを掌握し、管理する邪悪ビッグブラザーの元締めだ>自国民に厳しく対応するのが共産主義の特徴です。反対派は粛清・虐殺されますから。先端技術も人権弾圧の道具として使うとなると、何のための研究開発だったのかと言うことになりかねません。所詮悪人が使えばどんな有用なものでも悪用されるという事です。
FRBの金利引き上げがあれば、外資も中国から資金を引き上げるのではと期待しているのですが、4/12日経夕刊によるとパウエルFRBも、貿易戦争と税制改革の効果を読み切れていない様子です。
http://melma.com/backnumber_45206_6669231/
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29293050S8A410C1FF2000/
福島氏記事で、バチカンも良心を持っていて良かったと安堵しました。バチカンは世界へ与える影響度が大きいです。中共の言うがままになる事は、中共に金の為に免罪符を与えることになります。レオ10世の施策が新教を生み出したことを考えれば、いくら中国内のカソリック信者を助けようと思ったとしても、正しい判断とは言えないでしょう。それこそ歴史の審判を受けることになります。
長尾氏の記事は、中国にやられたら倍返しでなく、目には目と言うか、1対1対応をすればよい、尖閣を領海侵犯するのであれば、日本も台湾へ自衛艦を寄港させれば良いという話です。大賛成です。日本はいつもやられ放しだから舐められるのです。もっと毅然とした対応を望みます。中国側は尖閣について鄧小平の言ったことなぞ守る気はありませんので。そもそも鄧は日本を騙したわけですから。
4/10AFP<台湾海軍の軍艦3隻、ニカラグアに寄港 中米諸国との関係強調>
http://www.afpbb.com/articles/-/3170706?act=all
4/9ぼやきくっくりブログ<虎ノ門ニュース 青山繁晴氏>
http://kukkuri.jpn.org/boyakikukkuri2/log/eid2169.html
台湾も世界に存在感を示せばよいと思います。中共に遠慮することはありません。青山繁晴氏の言うように、台湾に「そうりゅう」型潜水艦の技術は渡せません。中華民国軍の幹部は外省人がなっており、中国に通じて、機密を中国に売り渡しかねないからです。
福島記事

3月31日、中国・北京にある政府に認可された教会で賛美歌を歌う合唱団 (写真:AP/アフロ)
イースターを前にした3月下旬、中国の代表団がバチカンを訪れローマ法王庁サイドと司教任命権をめぐる歴史的合意に署名するのではないかという報道が、バチカン地元紙はじめ宗教紙、英米紙に駆け巡っていた。だが、その後、一週間たっても、その“歴史的合意”がなった、という報道はなかった。おそらく中国とバチカンの話し合いは物別れになったと思われる。その証拠に、中国のインターネットサイトで、聖書の販売が全面禁止になったり、バチカンに承認されているが中国共産党には承認されていない福建省の司教が嫌がらせのように一時拘束されたりした。そして4月早々、中国当局は1997年以来、二度目となる中国“宗教白書”を発表した。習近平政権はこの白書で、初めて“宗教の中国化”なる概念を強く打ち出した。“宗教の中国化”とは何なのか。その延長線上に、中国とバチカンの国交正常化はありうるのだろうか。習近平政権の宗教政策について整理してみたい。
両者妥協しがたい司教任命権問題
バチカンと中国は国交正常化を目指して、一昨年当たりから本格的な交渉が進められていた。今年3月からバチカンと中国がそれぞれの国宝級美術品を交換して相互に芸術巡回展を開催するのも、こうした“芸術外交”を通じて、国交正常化に向けた政治的空気を醸成するのが狙いだと見られていた。
中国は1951年以来、バチカンと断交状態にある。バチカンが台湾(中華民国)との国交を維持していること、そして宗教の自由が守られていない中国と宗教国家であるバチカンが国交を結ぶにあたってはいくつかの譲れない対立点があることが、両国の国交正常化交渉の妨げとなっていた。
だが、中国にしてみれば、台湾の国際社会における孤立化を進めるには、台湾との国交を維持している唯一のヨーロッパ国家であるバチカンとの断交工作が一番効果的だ。対台湾外交包囲網を完成させ、台湾統一に向けた重要な布石という意味で、中国側は習近平政権になってからにわかにバチカンとの国交正常化に意欲を見せるようになっていた。
一方、バチカンにしてみれば、中国は潜在的にもっとも多くのキリスト教信者が存在する最後の宗教フロンティアだ。公式のカトリック信者は600万人ということだが、非公認キリスト教徒となるとすでに1億人を超えるともいわれている。
だが、この両者の間には、双方にとってなかなか妥協できない問題があった。その筆頭問題が司教任命権である。世界中、カトリック教会の司教の任命権はバチカンにあるが、それを認めていないのが中国である。中国ではすべての宗教は共産党の指導に従うことになっており、党の頭越しにバチカンが司教を任命することなど容認できるわけがないのだ。具体的に言えば、中国には現在カトリック司教が77人おり、うち53人についてはバチカンと中国共産党、ともに承認している。だが17人についてはバチカンが承認するも、共産党は認めていない。一方、7人の共産党が承認した司教は、バチカンによって破門された。この7人は先月、バチカンに対して寛恕を請い、破門撤回請求中という。
かねてからこの問題は、双方が妥協案を探っており、手続き上のテクニックによって問題が解決できうる、ともいわれていた。たとえば、司教候補を共産党が絞った上で、バチカンに最終任命権を認めるといったふうに。形式上、バチカンが任命するが事実上の人選は中国共産党が行う、というわけだ。このセンで、この3月末にも双方が妥協案を承認すると思われていた。
だが、どうやら、合意には至らなかった。その背景について、興味深い報道があった。
RFI(フランスの華語メディア)によれば、4月早々にローマカトリック・グレゴリアン大学で中国とバチカンの学者・識者が参加する国交正常化のためのシンポジウムが開かれた。このシンポジウムで、四川大学に所属するある学者がこう発言したそうだ。「中国においては、カトリック教はいまだ外来宗教であり、社会に溶け込んでいない。中国当局はカトリック教が中国の社会安定を脅かす外部要因として恐れている」。
これは言外に、カトリック教が中国にとって脅威であり、中国社会に受け入れられるためには、カトリック教そのものが変わらねばならない、つまり中国化しなければならない、ということを言っている。この発言を受けて、フランス宗教紙ラクロワは、「カトリック教が“中国化”することでその魂を失うことを懸念するならば、実際、中国のカトリック教がすでに変質していることは争いがたい事実だ」と論評したとか。
白書発表会見に見る“宗教の中国化”
ここで登場する“宗教の中国化”とはどういうことなのか。例えば聖書の言葉や讃美歌が中国語に翻訳されていたり、洗礼の儀式が中国風に変更されている、というようなことなのか。
4月3日に行われた国務院新聞弁公室による「中国の宗教信仰の自由を保障する政策と実践白書」発表記者会見をみると、宗教の中国化が何を意味するのか比較的詳しく説明されている。これは、1997年に発表された「中国の宗教信仰の自由状況白書」に続く二冊目の宗教白書となる。中国はすでに五大宗教(仏教、キリスト教、イスラム教、ユダヤ教、ヒンドゥ教)人口が2億人をこえる宗教大国となり、それに伴い、共産党による宗教管理の強化が進められることになった。
例えば国家宗教事務局は4月から党中央統一戦線部傘下に組み入れられることになり、党中央が直接、宗教工作を指導するかっこうとなった。元国家宗教事務局副局長の陳宗栄はこの機構改革について「我が国の宗教の中国化方向を堅持し、統一戦線と宗教資源のパワーを統率して宗教と社会主義社会が相互に適応するように積極的に指導することを党の宗教基本工作方針として全面的に貫徹する」と説明した。
党中央統一戦線部とは共産党と非共産党員との連携、チベットや台湾に対する反党勢力への工作を含めた祖国統一工作を担う部署だ。宗教事務を祖国統一工作と一本化するということは、台湾統一問題とカトリック教、チベット問題とチベット仏教、ウイグル問題とイスラム教をセットで考えるという発想でよいだろう。つまり、それぞれ宗教へのコントロール強化によって、その信者たちの思想を祖国統一へのパワーに結びつけるのが中国共産党の任務、ということだ。逆にいえば、それらの宗教をきっちりコントロールできなければ、中国は“祖国分裂”の危機に瀕する、ということである。
“宗教の中国化”とは“宗教の中国共産党化”あるいは宗教の“社会主義化”といえるかもしれない。だが、宗教の社会主義化など、本来ありえない。宗教を否定しているのがマルクス・レーニン主義なのである。共産党の党規約によれば、共産党員は信仰をもってはいけないことになっている。宗教が社会主義化するということは、つまり宗教が宗教でなくなる、ということだ。そもそもキリスト教の人道主義と、中国の一党独裁体制の実情は相反している。この矛盾点を香港の記者が問いただすと、陳宗栄は次のように答えていた。
「宗教の中国化方針は、2015年に習近平総書記が中央統一戦線工作会議上で提案したものだが、それ以前から、キリスト教などはすでに中国化方向を堅持するためのシンポジウムなどを開き、時代の発展要求に適応しようと努力していた。…我が国の宗教が中国化することは、宗教の基本教義を変更することではなく、中国化と宗教の教義が衝突することもあり得ない。それは宗教の核心的教義・礼儀・制度には抵触せず、その核心部分の変更がないという前提のもとで、政治的社会的文化的に適応するように指導するということなのだ。……具体的に言えば、政治の上から宗教界を指導して、中国共産党の指導を擁護し、社会主義制度を擁護する。これが一つの大前提である。そうして、広大な信仰を持たない群衆と一緒に我が国を建設し、中華民族の偉大なる復興を実現することができる。」
中国共産党が宗教を指導して、中華民族の偉大なる復興を実現するパワーに変える、という。ちなみに、この会見では、中国当局から迫害をうけている非公認キリスト教である「家庭教会」「地下教会」の存在については、「そんなものは存在しない」としていた。さらに陳宗栄は「中国の宗教団体と宗教事務は外国勢力の支配を受けないし、いかなる方法でも絶対干渉は受けない。中国の宗教は自立し自主的原則を堅持するのである」。中国に言わせればバチカンの司教任命権は外国の中国のカトリック教への干渉であり、自主的原則堅持は宗教の自由を阻害するものでもない、ということである。
こうした中国の考え方は、国際社会におけるほとんどの宗教学者から見れば、異常である。RFIによれば、スウェーデンのヨーテボリ大学の宗教学者・フレデリック・フォールマンは中国政府が信者に愛国と社会への貢献を求めることは、宗教の世俗化である、と警告。また上海の復旦大学の宗教学者、つまり体制内宗教学者である魏明徳ですら、「キリスト教の中国化は可能だとしても、それは中国社会がより人間性を重視し、さらに調和的で、開放的でなければならない」と懸念を示している。
国交正常化はまだ遠い道のり
中国のより徹底した宗教管理方針をみれば、中国とバチカンの国交正常化は、まだまだ遠い道のりだということが判明した。バチカンサイドが多少の妥協をしても、中国との国交正常化を急いできたのは、中国の膨大な潜在的信者を獲得したいという狙いと同時に、中国国内で虐げられている非公認信者に救いの手をのべたい、ということもあっただろう。今年イースター前に、中国が承認していない福建省の郭希錦司教が身柄拘束されたように、中国では宗教関係者、信者の不当拘束が頻繁におきている。在米華人キリスト教支援組織の「対華援助教会」の調べによれば、2017年の一年間で、中国国内で宗教的迫害を受けた人数は22万人、これは2016年の3倍半増で、文革以来最も宗教弾圧の厳しい時代であるという。
バチカンとの国交正常化は、こうした宗教弾圧を緩和させ、ひょっとすると中国人民に民主化への希求をもたらすのでは、という見方もあった。80年代の東欧の民主化運動におけるバチカンの影響力を、21世紀の中国でもう一度、ということだ。だが、中国も当然、そこの部分を非常に警戒しており、けっして、バチカン側の思い通りにさせないぞ、という牽制もふくめて、この白書をこのタイミングで発表したのかもしれない。
そう考えると、やはりバチカンサイドは簡単に中国側への安易な妥協をしてはならない、と思う。国交正常化を実現してローマ教皇が中国を訪問して民主化への希求を呼びさますよりも、バチカンですら、“中国市場”に屈し、カトリック教の中国化を容認した、というメッセージを中国国内の弾圧を受けている非公認信者や国際社会に送ってしまう可能性の方が大きそうだ。
ただ、中華の歴史を振り返れば、王朝の最期には、宗教秘密結社の反乱が必ず伴ってきた。目下、2億人の宗教人口を抱える中国は、いまだかつてない不安要素を内包しているとも言える。宗教が中国を変えるのか、宗教が中国化するのか。そのせめぎあいに決着がつくときこそ、共産党王朝が終焉を迎えるのか、赤い帝国として世界を支配するのかが、見えてくるということだろうか。
長尾記事

台湾の蔡英文総統。中国は同政権の孤立化を図っている(写真:AFP/アフロ)
今年1月、中国の潜水艦が尖閣諸島周辺の接続水域に侵入した。海上保安庁では対応不可能な相手だ。中国は以前よりも強い態度に出ている。いずれ尖閣諸島の日本の領海に中国の潜水艦が入るだろう。どうしたらいいだろうか。
色々な案があると思うが、まず頭に浮かぶのは侵入した中国の軍艦を力ずくで追い出すことや、沈めてしまうことだ。しかし、そうした対応は死傷者を出すかもしれないし、もっとエスカレートして戦争になることが懸念されるから、かなり覚悟のいる決断になる。 もちろん本当に領土を取られてしまいそうな時は戦わなくてはならないが、戦う前にもっといいアイデアはないか。
そこで次なるアイデアが、中国の軍艦が尖閣諸島の領海に侵入した時に、日本も中国の「領海」に侵入する方法である。例えば、南シナ海で米国が行う「航行の自由作戦」に参加するのは一案だ。中国が建設を進める人工島から12海里の「領海」を航行するのである。しかし、もっと近くでできる別の案もある。台湾だ。日本の艦艇を台湾に親善訪問させてみるのはどうだろうか。
親善訪問は平和的で友好的な手段だ。台湾の許可を取って訪問し、一緒にスポーツをしたり音楽を聴いたり、友好的な交流イベントを行うのである。でも単に友好的なだけではなく政治的な手段になる。中国は台湾の領有権を主張している。今の台湾の蔡英文政権は、中国の言うことを聞かないから、中国は蔡英文政権の孤立化を図っている。だから、日本の艦艇が親善訪問したら、中国はすごく不愉快だろう。中国の軍艦が日本の領海に入るのも、日本にとっては不愉快だから、ちょうどいい。
なぜこの話が「日印『同盟』時代」なのかというと、このアイデアはインドがよく使うやり方を適応したものだからだ。一般的には「比例的な報復(proportional response)」とよばれる方法で、1発殴られたら1発だけ返す、という方法である。一時期流行った「倍返し」とは対局の概念だ。
地図には地図で対応
インドが、1965年の第2次印パ戦争で採用した方法がこれに当たる。パキスタン軍がカシミールに侵入してインドの領土を奪った時に、インドはカシミールより南のパンジャブ州でパキスタン側に侵入して領土を奪い、停戦交渉時の交換を狙い、事実上それは実現した。
2012年に起きた事例も同様のタイプである。中国は新しいパスポートに地図をつけた。インドと中国の両方が領有権を主張している地域が、中国領として書かれている地図だ。そのパスポートを持った中国人がインドに入国しようとすると、インドの入国係官は入国スタンプを押すことになる。つまり中国の主張をインドが公印で認めたことになる、というわけだ。なんともくだらない話に聞こえるから、インドとしては、本気で怒るのもバカバカしいが、無視もできない。いやらしいやり方である。そこでインドはどうしたか。
インドは新しい入国スタンプを作ったのである。そのパスポートに押すためのスタンプである。そのスタンプは地図になっており、インドと中国の両方が主張する領土の部分がインド領になっているのである。まさにインドは比例的な報復をしたのである。
このようなやり方をしても、中国が大人しくなるわけではない。インドもそれは十分承知している。しかし、何もしないで我慢ばかりし、煮えたぎる思いを溜めて、最後に爆発して戦争になってしまうより健康的な方法だ。
1947年に独立して以来、実に30回以上も実戦を経験し、中国とパキスタンという問題と長く付き合ってきたインドだからこその、駆け引きの技術なのである。日印「同盟」時代は、日印が友好国として学び合う時代でもある。日本もインドの経験に基づく知恵を参考にしてもいいのではないだろうか。
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『習近平が訪中した金正恩を破格に手厚く歓迎した理由』(4/10ダイヤモンドオンライン 加藤嘉一)について
下の写真は、加計学園デッチ上げ事件の新たに出て来た愛媛県職員の備忘録です。
毎日新聞は日付を載せていますが、朝日は載せていません。朝日は捏造がばれると思ったのでは。
4/10朝日<「本件は、首相案件」と首相秘書官 加計めぐり面会記録>
https://www.asahi.com/articles/ASL497F9QL49UCLV00S.html?iref=pc_ss_date
毎日記事の写真でメモがおかしいのは
・日付が4/13と13が手書き。4/2に会ったのに11日経ってからわざわざメモを書くかどうか?
・メモで明朝とゴシックとか使い分けはしない。役所は基本が明朝?
・内閣府藤原次長がもう一枚の紙には藤原地方創生になっている。普通、肩書きは統一すると思われる。
憲法改正阻止の為、何が何でも倒閣するというメデイアの姿勢は左翼そのものです。左翼は捏造・改竄は当り前にします。レーニンが少数派だったのにボルシェビキと言って政権を取ったように平気で嘘をつきます。目的が手段を正当化する訳です。三権分立してないので為政者の思い通りにするようになり、共産主義は構造的に欠陥を持つシステム、人類を不幸にするシステムです。

4/11現代ビジネス<「精日(精神的日本人)」が急増中…中国若者の日本愛はここまで深い>別に日本軍の軍服姿をするのが日本愛ではなくて、日本は太古の昔から「和」を尊重、相手の気持ちを思いやって来た歴史を尊重して貰い、自由・民主・人権・法治の普遍的価値観を持った国と言うのを理解して貰うのが真の日本愛と思っています。中国人が中共のプロパガンダに踊らされることなく、冷静かつ事実に基づいた歴史を学ぶことが重要だろうと考えます。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/55184
4/11ZAKZAK<朝日、中国の“覇権主義”には極めて好意的? 「世界基準が『中国化』する」>左翼同士だから助け合うのは当り前のことでしょう。でも、習が賢人とは恐れ入ります。賢人の定義を朝日に聞いてみたい。人権弾圧が白昼堂々と行われる国なのに。朝日は尾崎秀実に代表されるように国を売るスパイを雇っていた新聞社です。国を倒し共産主義に馳せ参じるよう動くのが大きな社是なのでは。国民もいい加減騙されないように。
http://www.zakzak.co.jp/soc/news/180411/soc1804110008-n1.html
4/11看中国<中美双方面临某种制度性摊牌(图)(图)=米中はそれぞれ手持ちのカードを見せ合うようになる>トランプの性格から言って目標が達成できるまで諦めない。彼の狙いは貿易均衡ではなく、国際新秩序の構築にある。筆者の見立てでは米国が勝利する確率が大きい。中国は米国市場に依存する度合いがまだまだ高い。中国はWTO加盟時の約束を履行したか?対等開放の約束は?米中はそれぞれ手持ちのカードを見せ合うようになったが、米国の通商法301条の狙いは何かと言うと経済への政府関与の問題である。中国モデルは優勢にあらず、米国の格好の攻撃目標になる。中国は米国債を売ると脅したら、米国がインターネットを切断すれば、中国はどうするのか?人口最大かつ最大の市場を持つ国は自国の運命を自分の手で握っている訳ではない。中国が勝つには更なる改革と開放しかない。
https://www.secretchina.com/news/gb/2018/04/11/855429.html
加藤氏の記事は、何が言いたいのか理解しがたいです。説明が飛ばされている気がします。何故習と金が会った時に抱擁でなくて握手だったのか?党代表として会ったのではなく、国家代表として会ったからの意味?党を国より上位に置く共産党の考えで行けば、北を二線級扱いしたと解釈されますが。でも、読み進むうちに血で固められた友誼の党と党との歴史を述べるなど、小生にとっては消化不良です。加藤氏も共産中国に染まっているから分かっているのでしょうけど、左翼にシンパシーを感じない小生としては理解不能です。
記事

Photo:KCNA/UPI/AFLO
人気ニュース番組で“破格の扱い” 習近平と金正恩の会談
3月25~28日、北朝鮮の金正恩・労働党委員長が中国を非公式訪問した。同委員長は人民大会堂や釣魚台迎賓館などで習近平国家主席をはじめとする中国側の要人・関係者と会談した。また、中国科学院を参観し、中国が科学技術やイノベーションの分野で遂げた発展や成果に「敬服」の意を表した。
北朝鮮の訪中団一行が中国を離れた後の3月28日の午前中、新華社が中国語で約3500字という長めの記事を4枚の写真と共に配信した。
その夜、中国中央電視台(CCTV)の7時のニュース《新聞連播》は、30分番組の中の約14分を金正恩訪中、習近平との会談といった関連ニュースに費やした。筆者の理解によれば、中国共産党指導部として高度に重視する、政治的に“特殊”なイシューでなければこのような扱いはしない(とりわけ内政ではなく外交においては)。
同番組は、日本のNHK紅白歌合戦に相当する「春節晩会」以外で最も視聴率が高いとされている。そこで番組の約半分の時間を割いて、中朝両国の友好の歴史や中朝関係の戦略的重要性などを国内的にプロパガンダしたのである(一方で、事前・事後における独自報道や公開議論は固く禁じられていた)。
党指導部として全国の党員や人民に、それらを知り「肝に銘じて行動すべし」と“指令”を出しているということである。
後述するように、そこには“習近平新時代”における政治体制やイデオロギーの特徴が如実ににじみ出ていた。
本稿では以下、本連載の核心的テーマである「中国民主化研究」、そしてその前提、あるいは同義語だと筆者が考える「中国共産党研究」という観点から、「金正恩訪中」というアジェンダから抽出し、検証を加えるに値すると筆者が考えるインプリケーションを議論してみたい。
具体的には、習近平・金正恩会談の動向や情景、そして2人が交わした言葉や内容から、習近平の既存の政治体制やイデオロギーに対する観念や立場、そして付き合い方の一端が垣間見えてきたという点である。
習近平と金正恩はなぜ抱擁ではなく握手だったのか
本連載でも扱ったことがあるように(過去記事参照:「習近平は対北朝鮮政策の転換を国家主席就任前から考えていた」)、習近平は北朝鮮との関係は国と国との関係、言い換えれば「正常な国家間関係」であるべきだという考え方を持ちながら党総書記・国家主席に就任している。
今回の金正恩訪中でも、それを立証するかのような一つの場面が見受けられた。前任の金正日・胡錦濤両国首脳を含めた過去の指導者とは異なり、習近平と金正恩が面会時に抱擁ではなく握手をしたことである。
一行が乗った電車が北朝鮮から遼寧省の中朝国境都市・丹東駅に到着、一時停車した際、北朝鮮側の車両に乗り込んだ宋濤・中央対外連絡部部長は握手で金正恩を出迎えた。その後、電車が北京駅に到着し、ホームで金正恩を出迎えた王滬寧・中央政治局常務委員(序列5位)も握手だった。
党指導部で事前に話し合われ、意図的に統一されていた動作であったと筆者は推察している。
金正恩率いる北朝鮮との外交において“党”ではなく“国”の要素を強調した、少なくとも入れ込んだ習近平が、金正恩との会談において“紅二代”としての素顔を色濃く滲ませたのはある意味コントラストで、興味深かった。
習近平やその周辺は、国内政治において父親世代の革命事業に敬意を払い、共産党こそが新中国を建設し、発展させたのだと忠誠を誓い、故に党の絶対的権威と党による絶対的領導を強調し、強固にしてきた。
昨秋の党大会、今春の全人代でそれが一層明白になり、“制度化”もされた。習近平による政治は“紅二代”と“党国”の関係性を随時、随所で彷彿とさせ、構築すらしてきたのである。
筆者から見て、習近平と金正恩の会談にはそういう習近平政治の特徴がにじみ出ていた。
習近平から金正恩への言葉には一種の“特殊性”が露呈されていた
習近平は会談で次のように金正恩に語りかけた。
「我々の先輩指導者らは共同の理想と信念、そして深い革命友誼を胸に、互いに信頼し、支持し、国際関係史における素晴らしい物語を書き上げた。中朝の数世代に渡る指導者は緊密な往来を保持してきた。親戚のようにしばしば往来してきたのである」
“先輩指導者”(中国語で“老一輩領導人”)、“革命友誼”、“親戚”といった文言は中国共産党が対外関係をマネージする上で安易に使用するものではない。そこにはやはり一種の“特殊性”が露呈されていると言える。
習近平は次のようにも語っている。
「私と委員長同志は共に中朝関係の発展の経験者であり、目撃者である。我々は中朝の友誼を不断に継承し、より良い発展をしていくべきだと幾度となく表明してきている。これは双方が歴史と現実、国際地域情勢と中朝関係の大局に立脚して行った戦略的選択であり、唯一正しい選択である。一時一事によって変化すべきものではなく、変化もし得ないのである」
今年、習近平は65歳になる。金正恩は34歳になるとされる。30歳もの年齢差があるが、前者は後者に自分たちが共に中朝関係の経験者であり、目撃者であると言った。
金正恩が小学校低学年時代を送っていた1992年、中国は韓国と国交を正常化した。自らと敵対する南側と国交を結んだ中国に幼い金正恩が何を感じたか。あれから25年以上が経ち、北京で習近平が自分に語りかけてきた上記の言葉を金正恩がどう思ったか。
個人的には非常に興味があるが、いずれにせよ、習近平が金正恩に対して自分たちが共に革命を起こし、“帝国主義”と闘った先輩指導者たちの後世なのだと強調したこと、そういう歴史的経緯こそが、中朝の伝統的友好関係が「一時一事によって変化するべきではない」(習)、「どのような状況でも変わることのない」(金)ものにしているのだと確認し合ったことは事実である。
筆者から見て最も重要なセンテンス
筆者から見て、今回の中朝首脳会談で最も重要なセンテンスが、習近平が金正恩に会談の冒頭で語った次のものである。
「今回の訪中は、その時期が特殊で、意義は重大である。委員長同志と北朝鮮労働党中央の中朝両党・両国関係への高度な重視を存分に体現している。私はそれを高く評価したい」
“時期が特殊”。
この言葉に習近平はどんな思いを込めたのだろうか。筆者は三つあると推察した。一つ目に、北朝鮮が韓国、米国と会談を行う意思を示唆し、準備に取り掛かっているという意味での特殊な時期。二つ目に、米中間において、経済貿易の分野で緊張が激化し、台湾問題では火種が潜み、朝鮮半島問題でも潜在的・戦略的利害関係が複雑化しているという意味での特殊な時期。三つ目に、「目下、中国の特色ある社会主義は新時代に突入し、北朝鮮の社会主義建設も新たな歴史的時期に突入している」(習近平)という意味での特殊な時期である。
そんな中、結果的に金正恩は最初の外遊先として中国を選んだ。金正恩は約5日前に閉幕した全人代で国家主席、中央軍事委員会主席に再選した習近平に対して「私は中国に来て、面と向かって貴方に祝福の言葉を伝えるべきだと考えていた」と語り、次のように続けた。
「現在、朝鮮半島情勢は急速に前進しており、少なくない重要な変化が発生している。このような状況下において、情義的、道義的に考えて、私は習近平総書記に面と向かって適宜状況を報告するべきであると考えてきた」
習近平は金正恩に謝意を示した上で、「今年に入ってから、朝鮮半島情勢には前向きな変化が生じている。北朝鮮はそれに重要な努力を果たした。我々はそれを称賛する」、「近年、委員長同志が北朝鮮の党や人民を引っ張っていく中、経済発展、民生改善といった分野で一連の積極的な措置を取り、多くの成果を挙げてきていると我々は認識している」などと金正恩に“面子”を与えている。また、習近平は金正恩に「新たな情勢下において、私は委員長同志と相互訪問、特使派遣、手紙の交換などをあらゆる形式を通じて頻繁に連絡を取り合うことを願っている…我々は金正恩委員長と李雪主女史が頻繁に中国に来て見て回ることを歓迎する」と語りかけ、寄り添った。
国連の常任理事国として、世界第2の経済大国として、中国は国際関係でますます重大な役割や存在感を発揮するようになっている。国際舞台に積極参加するだけでなく、国際会議の場を提供し、自ら国際的なコンセンサスやルールメイキングを打ち出そうとしている。
習近平率いる中国共産党は社会主義に“救済”を求める
この傾向は習近平時代に一層浮き彫りになってきている。国家の大きさや“色合い”を超越した外交関係や国際秩序の構築を随所で、広範囲で呼びかけてきた。政治体制やイデオロギーの差異を超越した外交政策を展開してきた(前述の韓国との国交正常化など)。筆者はそれらを合理的で戦略的なアプローチだと捉えてきたし、それらが中国の国益を結果的に増進させるものとも考えてきた。
しかしながら、今回の金正恩訪中、および中朝首脳会談を眺めながら、筆者は感じ、思った。
国内政治の需要に駆られたとき、国際政治で困難にぶつかったとき、習近平率いる中国共産党、中国共産党率いる中国は社会主義という政治体制あるいはイデオロギーの“誘惑”に引き込まれ、そこに一種の“救済”を求めるのだと。
たとえ同じ社会主義国であり、ともに革命を闘った“親戚”のような存在である北朝鮮が度重なる核実験やミサイル発射を行い、中国の面子をつぶしたとしても、13億以上いる中国人民の中でどれだけの人間が社会主義を信じておらず、その中身や背景を知ろうともしないとしても、である。
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『政権交代で中国の一帯一路を封印したいマレーシア 中国に身売りしかねないナジブ首相に立ち向かうマハティール元首相』(4/9JBプレス 末松恵)について
4/11facebook 記録中国<共慘黨強徵、強拆遇上釘子戶了。=共惨(産)党の強制収用、家屋解体時に鍵をかけて入れなくし、解体拒否>映像はミュートにしてご覧ください。(スピーカーの図をクリックしますと消音(ミュート)になります)。国民の権利が保護されないのが共産主義です。この映像にありますように公安局が人民抑圧の暴力装置として働いています。左翼にシンパシーを感じる人はこの映像を見てどう感じるかです。
https://www.facebook.com/jiluzg/videos/604877556530227/
4/9看中国<风水作怪?大马一楼房已有71人跳楼自杀(视频)=風水が悪い?マレーシアのマンションで既に71人が飛び降り自殺>4/2鬱病、失眠症にかかった華裔で21歳の女性が飛び降り自殺。高校時代は優秀な成績であった。このマンションは1964年完成以来71人も飛び降り自殺している。その内、華裔は67名。飛び降り自殺の聖地と言われている。
https://www.secretchina.com/news/gb/2018/04/09/855221.html
華僑の末裔が67名も自殺しているというのは呪われたマンションとしか言いようがありません。
4/10日経朝刊<〈FT特約〉フェイクニュースと報道規制 嘘と決めつけるのは誰か
幸いにも、一部の筋違いな考えはすぐに撤回されている。虚偽と見なされる情報を広めた記者に活動制限の処分を科す案を棚上げしたインド政府がそうだ。メディアから激しい抗議を受け、24時間たたないうちにモディ首相が情報・放送省に撤回を命じた。
マレーシアのジャーナリストはそれほど幸運ではない。同国政府は先週、「フェイク(偽)ニュース」の発信者に最大で6年の禁錮刑を科すとする新法の制定に動き出した。
インド政府が検討していた処罰はそれより軽く、虚偽ニュースを発信したジャーナリストの記者認定を失効または一時停止させる内容だった。それでも人権活動家やメディア関係者は検閲につながると受け止めた。
問題は嘘かどうかを誰が決めるかだ。米大統領選中にフェイクニュースという言葉をツイッターで広めたトランプ大統領は、その境界をぼかし、世界中のデマゴーグ(民衆扇動者)予備軍に手本を示しているかのようだ。トランプ氏にとっては、主流メディアで反トランプ派が発信するのがフェイクニュースだ。
この問題に対する取り組みでは、欧州連合(EU)も失態を演じている。ロシアが欧米の民主主義を弱体化させる目的でソーシャルメディアのボット(自動発言システム)やトロール(書き込み要員)を使い、欧州全域でポピュリストを支援していることを示す証拠が増える中、EUは警戒を強めるようになった。そこでインターネット上で虚偽情報に対する独自の取り組みを始めた。ところが、風刺を虚偽情報と認識したことから、オランダで批判の嵐を引き起こした。
記者が何を書き、何を書くべきでないか、その最終的判断を政府に任せるわけにはいかない。報道の自由で強い伝統がある国でも、すでに主流メディアは名誉毀損などに関する法律によって報道内容に厳しい制限をかけられている。
フェイクニュースへの対応が報道規制の隠れみのにされる危険を、幸いにも即座に指摘したインドの記者たちは正しかった。
(9日付、社説)=英フィナンシャル・タイムズ特約>(以上)
ジャーナリズムを正当化する文章で鼻につきます。しかし、「政府に何を書くかを決めさすことはできない」というのは正しいでしょう。共産主義国はそうしていますので、もっと西側のジャーナリストは中共を非難すべきです。それに、「政府に決めて貰わなくて結構」というのであれば、①事実に基づき②公平な解説が求められます。推測であれば推測、判断に至った根拠を明らかにしなければ。政府批判するのであれば、挙証責任は批判する側にあるという自覚が無ければ駄目です。何を書いても許されると思い、驕るのは間違いです。ナジブの「「フェイク(偽)ニュース」の発信者に最大で6年の禁錮刑を科すとする新法」は誤っていますが。ただ日本のメデイアはイデオロギーに偏して、倒閣・改憲阻止の狙いで策動しているのが目に余ります。今、日高義樹氏の『米朝密約』を読んでいますが、アジアの安全保障が米国の思惑により変わろうとしている中、日本がお花畑でいることは許されない、憲法改正と核保有は必至だろうとあります。大賛成です。
4/11宮崎正弘氏メルマガ<マレーシアも「中国の罠」に陥落したのか? ナジブ首相が中国主導のプロジェクトにのめり込む面妖な背景>
http://melma.com/backnumber_45206_6668774/
いつも言っていますように中国お得意の要人への賄賂で、その国を中国の思い通りに動かすやり方です。ナジブも父が2代目首相と言う良家の出身なのに金に転んで、国民を裏切り、中共の走狗になるとは。マレー国民もこういう男を首相に選んではダメでしょう。民主主義と言うのは最終的に有権者が責任を負うシステムです。国土を中国に売り渡すことになっても、その責任はナジブを選んだ国民となりますので。日本も北海道の土地を中国人に買い占められています。マレー人を笑ってはいられません。外国人土地法を適用し、キチンと取り締まることができなくては。
記事

下院解散で、事実上の選挙戦がスタートしたマレーシア。与党連合(国民戦線)は野党支持層が厚い選挙区に数週間前から早々に、ブルーの与党連合統一の旗を張り巡らせ、猛追する野党阻止を狙う(筆者撮影)
文中敬称略
60年ぶりの歴史的政権交代が期待されるマレーシアの総選挙(下院=定数222、5年に1回実施。投開票日は5月5日前後で最終調整=前回記事で独自報道)は、与党優勢が伝えられている。
一方で、2008年に与党連合(国民戦線)が歴史的に苦戦を強いられた戦い「TSUNAMI(津波)選挙」が再び起こるのか、と内外の注目を浴びている。
首相のナジブは7日に下院を解散し、津波の再来を警戒する中、「史上最悪のダーティーな選挙を展開するだろう」(元首相のマハティール)と見られ、残念ながら筆者も全く同感だ。
野党に30日間の活動停止
ナジブは、公務員の給与所得値上げなどのバラマキ公約、さらには与党に有利な「選挙区割りの改定法案」、メディア封じ込めの「反フェイクニュース法案」を下院解散直前の数日間で強行採決。
さらに、マハティールが代表を務めるマレーシア統一プリブミ党への“締めつけ”を強化。政府は解散直前の5日になって突如、プリブミ党が党登録時の書類に不備があると、書類再提出を指示し、30日間の活動停止を言い渡した。
30日間の間に再提出しなければ、同党は”永久追放”されると見られている。政府は野党連合(希望同盟)に対しても、野党連合の統一旗の使用やマハティールの顔写真を選挙活動に使用することも禁止した。
選挙戦活動に圧力がかけられる中、マハティールは「ナジブよ、逮捕したかったら、してみろ!」と自分の政党のロゴが入ったTシャツを着用し、打倒ナジブのシュプレヒコールを全開させている。
こうした事態に、米国国務省はナジブの非民主的な強権発動に異例の非難声明を発表。さらに、民主化を後押しする宗主国の英国のメディアなど欧米のメディアは、ナジブ糾弾の辛辣な報道を活発化させている。
一方、事実上の選挙戦に火蓋が切られたマレーシアでは「次期首相には誰がふさわしいか?」を聞いた最新の世論調査(政府系シンクタンク調査。3月23日から26日まで)が実施された。
その結果、過半数の61%が、野党連合を率いる92歳のマハティールに再び、国の舵取りを握ってほしい、と願っていることが6日、明らかになった。ちなみに、ナジブへの続投への期待は、39%だった。
昨年末、実施された各種世論調査では、ナジブが少なからず優位に立っていたが、ここに来て、マハティール人気が急上昇。
「独裁開発者」としての過去の首相時代のイメージから、「人民、民主(ラクヤット=マレー語)」をキーワードに、民衆の頼れるリーダーへとソフトにイメージチェンジした。首相時代より人気が出ているのは、何とも皮肉だ。
そんな国民の期待を背負う、マハティールは、22年という歴代最長の首相在任を経て、政界を勇退した。
本来ならば、悠々自適な余生を過ごしているはずが、ナジブ側による暗殺に警戒しながら、歴史的な政変を起こそうとしている。老骨に鞭打つ決意の背景には、いったい何があるのか――。
ナジブと中国の蜜月関係
誰もが納得する理由は、本人も公言している国際的なスキャンダルとなったナジブや一族が関わる政府系ファンド1MDBの巨額公的不正流用疑惑にメスを入れることだ。
しかし、本当にマハティールがメスを入れたいのは1MDBが発端となって明らかになりつつある「ナジブと中国の蜜月関係」のようだ。
その矛先は、マレーシアを重要拠点とする中国の国家主席、習近平提唱の経済構想「一帯一路」にある。マハティール率いる野党が政権交代を実現すれば、マレーシアにおける中国の一帯一路戦略は見直しされるだろう。
本来、マレーシアでは外国諸国との経済協力は経済企画庁(EPU)が直接の担当省。しかし、一帯一路プロジェクトに関しては、ナジブ直属の総理府がイニシアティブを取っている。
ナジブと習の独裁的なトップダウンな指揮の下、一帯一路プロジェクトが展開されていることが問題視されているのだ。
マレーシアでの一帯一路プロジェクトが、ナジブ設立の1MDBの巨額債務を救済するために始まったことをマハティールは決して見逃すことができないのだ。
一方、中東からの石油に依存している中国としても、マラッカ海峡を封鎖される危険性(マラッカジレンマ)に備え、マレー半島における拠点づくりは最重要課題となっている。
中国にとっても地政学的に極めて重要拠点となるマレーシアを取り込むため、借金返済を目論むナジブと習が「利害を一致」させ、一帯一路を通じてチャイナマネーが大量流入している。
最も顕著な例は、1MDB傘下のエドラ・グローバル・エナジー社が所有する発電所の全株式約99億リンギ(1リンギ=約28円)分を中国の原子力大手、中国広核集団に売却したことだ。
しかも、中国広核集団は、同資産に加え1MDBの負債の一部の60億リンギを肩代わりした。まさに、一帯一路の下での「1MDB救済プロジェクト」にほかならない。
発電所の全株式を中国に売却
国の安全保障の根幹である発電所を外資に売り渡す国家戦略にも驚かされるが、ナジブは借金返済のため、「発電所は外資上限49%」というマレーシアの外資認可規制を無視し、中国企業に100%身売りしてしまった。
そのような状況の中、マハティールは一帯一路のインフラ整備に伴い中国政府から巨額の債務を抱え、財政難にあえぐスリランカと同じ徹を踏まないと誓っている。
中国マネーの流入は国内政策に悪影響を与え、中国経済への依存は、南シナ海を含め、国や地域の安全保障にも大きな影をもたらすことにもなるからだ。
こうしたことから、マレーシアと中国との関係改善は、今回の選挙の大きな争点の1つになっている。
マレーシアでは、一帯一路の関連プロジェクトが鉄道、電力、工業団地、不動産、港湾などのインフラ整備投資を中心に約40件ほど進んでおり、IT分野を始め、製造業、教育、農林水産、観光など幅広い事業に及んでいる。
中でも、習肝いりの一帯一路の目玉プロジェクト、「東海岸鉄道プロジェクト」は、首都クアラルンプール郊外とマレーシアの北部・ワカフバルを縦断する総距離約600キロを結ぶ一大プロジェクト。2025年完成を目指している。
問題は、スリランカと同様だ。中国は“低利融資”と言うものの「年利約3.3%で550億リンギ」の総経費を、中国輸出入銀行から借入。
当然、他の諸国の一帯一路と同様、建設会社は中国交通建設などで、政府は「雇用も資材も、外国と国内の内訳は半々」と模範解答するが、他の様々な一帯一路プロジェクトと同様、「実態は資材だけでなく、労働者もほぼ100%が中国から投入されている」(建設関連企業幹部)と見られている。
しかも、その労働者は建設現場からの外出を禁じられ、彼らの消費はマレーシア経済に何の貢献もしない。
中国との「利害一致」と言うが、中国一強プロジェクトにほかならない。
中国のための東海岸鉄道
ナジブは「東海岸鉄道は開発途上の東部地域の経済成長率を底上げする」と豪語する。しかし、マハティールは「借金を抱え込み、地元の経済や企業をさらに疲弊させるだけ」と同プロジェクトの中止を公約に掲げている。
マラッカ・ジレンマを克服したい中国にとって、東海岸鉄道プロジェクトはその生命線となるが、マレーシアにはほとんど利益がもたらされないとうわけだ。
こうした反論にナジブは、「東海岸鉄道など中国との開発プロジェクト(一帯一路関連)を中止せよとは、野党は頭がおかしい!」と激怒する。
さらに、「中国は最大の貿易相手国。主要輸出品のパーム油だけでなく、ツバメの巣やムサンキング(果物の王様、ドリアン)も大量に輸入しているんだ」「中国なくして、国民の暮らしは良くならない」とまで言う。
まるで中国に憑りつかれたかのように“中国賛歌”をまくし立てている。
マレーシアの建国の父といわれるマハティールがなぜ、92歳にして現職首相に対して歴史的な政変を起こそうとしているのか。独立国家としてのマレーシアの存亡に対する危機感がある。
中でも、ナジブの“売国行動”が、彼の愛国心を傷つけ、その怒りが最高潮に達したのが、マレーシア国産車の「プロトン」の中国企業への身売りだった。
「プロトンの父」と言われたたマハティールは日本の三菱自動車と技術提携し、東南アジア初の国産車を導入させた。
この売却が、ナジブとの対決姿勢を決定的なものとした。余談だが、ナジブは「財政難」を理由に、マハティールがアジアで日本に次いでマレーシアに誘致したF1レースからも昨年、撤退。
さらに、マハティールが経済発展の成長のシンボルとして、肝いりで日本のハザマに施行させた、かつては世界最高峰のビルでマレーシアのランドマーク、ペトロナスツインタワーを超える高さのビル建設計画も進めている。
中国資本で建設が進むフォレスト・シティ
ナジブの目玉プロジェクトであるクアラルンプールの新国際金融地区 「TRX」で建設中の別の超高層タワーは、すでにペトロナスツインタワーを建設途中でその高さを抜いてしまった。
ドミノを投げ倒すかのように、”マハティール・レガシー”を次から次へと、ぶっ壊すナジブ。
そして、東海岸鉄道プロジェクトだけでなく、TRXに建築予定の超高層タワーやダイヤモンド・シティ、さらにはイスカンダル地帯に建設される大規模開発、それらすべてが一帯一路にも関連する中国の大手企業による開発だ。
中でも、 4つの人工島を建設して、約80万人が居住する大型高級住宅街、教育施設、オフィスを構える都市開発計画「フォレスト・シテイ」は、中国の大手不動産「碧桂園」が開発、 2035年の完成を目指す。
建設にあたり租税恩典も与えられ、買手の約90%が中国本土からの「大陸人」だと言われている。
マハティールは、「チャイナマネーの大量流入で、国内企業は衰退の一途を辿るだけでなく、新たな1MDBのような巨額な債務を抱えることになる。さらに、マレーシアの最も価値ある土地が外国人に専有され、外国の土地になってしまうだろう」と話す。
そこには、建国の父・20世紀最後の独裁開発指導者としてではなく、ラクヤット(民衆)のために立ち上がり、新たなレガシー(遺産)を築きたいという気持ちもあるのかもしれない。
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『トランプは今なお健在、予測が外れた日本の識者たち 日本のトランプ論の欠陥(前編)』(4/4JBプレス 古森義久)、『バカ呼ばわりにも暴露本にもビクともしないトランプ 日本のトランプ論の欠陥(後編)』(4/8JBプレス 古森義久)について
4/28には「士気の集い」主催でコンスタンチン・サルキソフ先生講演会「日露再考」が18時30分~20時45分、文京シビックセンター内 アカデミー文京 学習室(地下1階)にて開催されます。本HPのトップページに詳しいことが書いてあります。興味のある方はどうぞ。
4/9希望之声<库德洛:贸易联盟将形成 解决中国非法贸易行为=クドロー:貿易連盟が作られるだろう 中国の法に則っとらない貿易のやり方を解決する>米国国家経済委員会委員長のクドローは「今起きていることは貿易戦争ではなく、貿易の過程であり、他の国も米国と歩調を合わせるだろう。日本も我々と一緒。自発的な貿易連盟を作ることになる。」とFoxに発言。トランプはツイッターで「中国は大きな経済体なのにWTOは発展途上国扱いする。彼らは米国から巨大な富を得ている。WTOは米国に不公平である」と。クドローは「中共は法規に則った行動を拒否している。それでは自由貿易はできない。先ず、中共が法に則った行為をすべき」とも。
https://www.soundofhope.org/gb/2018/04/07/n1680909.html
4/9看中国<中共应对贸易冲突危机的“核讹诈”(图)=中共は貿易の衝突の危機に“核の脅し”で対応>歴史的に見て毛沢東は1949年にスターリンと会い、「世界の革命の勝利の為に、我々中国人は3億人死ぬ準備ができている」と言い、1955年にソ連代表と会った時には「第三次世界大戦は早くやるべきだ。大きく核戦争まで。中国でも」と。同年にソ連のクルチャトフ(核物理学者)には「 大切なのは核戦争であって、核戦争は大したことはない。世界には27億人いるが、半分死んでももう半分は生き残る。中国には6億人いるから3億人は生き残る。そうすることを恐れるとでも」と言った。毛の話は世界を唖然とさせたが、同じことをこの貿易戦争でやろうとしている。中共のメデイアは「米国債の売却は貿易戦争の最後の一歩」、「米国債の保持は貿易戦争に反撃する核ミサイル」と。また「中国の持つ米国債を減らすことは世界の投資家に大損害を与え、金利を上げ、調達コストを上げることになる」とも。ムニューチン財務長官は中国の米国債売却に関し「全然気にしていない。買う人は世界中にいる」と。環球時報は「たとえ米中貿易がゼロとなっても、中国は後退しない」、「中国は米国の輸出に対し絨毯爆撃をかける。米国の貨物を除き、サービスや利益の高い投資が爆撃目標である」と。
中国が吠え立てています。内心の恐れからでしょう。中国が売りに出しても買い手がつかない場合もあるでしょうし、買取価格より安く売却となれば中国は損します。段階的に売却しようとすると、市場はもっと安い値段で買おうとするでしょうから、中国は損をするか、含み損を抱えることになります。まあ、いざとなれば日本が買って、その米国債で米国の核ミサイルの買取予約を付けておけばよいのでは。宮崎正弘氏によれば中国の3兆$以上の外貨準備高はまやかしで、外貨の借り入れも入れているのではないかとのこと。本来準備高があれば、外貨を借りて金利を払う必要はないはずです。
http://melma.com/backnumber_45206_6255782/
4/4の記事で、トランプが1年半も持たないと予言していたのは冷泉彰彦氏です。もうすぐ1年半になりますから、予言が当たらなかった場合にはどう釈明するのでしょう。堀田佳男氏のように丸坊主にでもなる積り?
http://www.mag2.com/magspe/interview219/
公約の実現率については堀田佳男氏が公平に評価していました。
http://dwellerinkashiwa.net/?p=8540
トランプの支持率についての日本のメデイアの報道は、「報道しない自由」の行使です。自分にとって都合の悪い報道はせず、政権打倒に血道を上げることしか考えない左翼の片端な性格が出ています。連帯ユニオン関西生コンの話や大阪地検特捜部の女性部長のリーク事件についての報道はありません。まあ、日経だけの話ですが。
4/8の記事では、国防予算を増やすことができたこと、聖域都市に対し連邦政府補助金カットも大賛成です。厳格な法執行や世界の安全の為に必要な措置です。米国の左翼リベラルは、少しは反省して元に戻る動きが出ているのに、日本はそうならないで政権の足を引っ張ることだけ。未熟としか言いようがない。いい年こいて捏造に明け暮れるようでは。
4/4記事

米オハイオ州クリーブランドの南に位置するリッチフィールドで演説するドナルド・トランプ大統領(2018年3月29日撮影)。(c)AFP PHOTO / Nicholas Kamm〔AFPBB News〕
米国の第45代大統領にドナルド・トランプ氏が就任してから1年2カ月以上が過ぎた。ワシントンでみるトランプ大統領は、内外の非難の嵐にさらされながらも、なお健在である。選挙キャンペーンで表明した公約を着々と実行し、さらに多くを履行する構えをみせている。2年半後の2020年11月の大統領選挙に挑戦して、再選を目指す態勢も早くも固め始めた。
この現実は、日本の識者や米国通とされる多くの人たちが語ってきたトランプ論とは大きく異なっている。日本のトランプ論に従えば、トランプ政権はもうとっくにこの世から消滅しているはずだ。
私はこの14カ月間、トランプ大統領の実像虚像をワシントンと東京の両方で眺めてきた。そこで痛感したのは、両国におけるトランプ評の差異である。
日本側でのトランプ評には少なくとも3つの大きな特徴があった。
第1に、トランプ大統領は明日にでも辞めてしまうと予測されていた。
第2に、トランプ大統領は公約も含めて何も達成していないと評価されていた。
第3に、トランプ支持層の存在や動向に光を当てることがなかった。
これらの特徴が生み出す日本製トランプ論は、米国側の現実とも認識とも大きくかけ離れているのだ。
予測が外れた「トランプ政権の終わり」
まず第1の特徴からみていこう。
日本側ではこの1年あまり、トランプ大統領について「史上最低の支持率によって辞任」「ロシア疑惑での弾劾によって退陣」「政権人事の混乱によって崩壊」といった予測が頻繁に語られてきた。新聞、雑誌、テレビなど大手メディアでもトランプ大統領の辞任や崩壊、弾劾の予測が繰り返し伝えられた。「トランプ政権の終わりの始まり」というような表現で同大統領が近々に退任してしまうのだと予告する向きもいた。この種の予測はきわめて広範な分野の人たちから表明され、日本にはアメリカ通、米国政治に詳しい識者がこれほど数多くいたのかとびっくりさせられるほどだった。
だが、就任から1年2カ月以上経ったこの4月冒頭の時点で、トランプ氏がホワイトハウスを去る、あるいは追い出されるような気配はまったくない。トランプ退陣のご託宣を述べてきた日本側の識者たちには誤った予測の責任をとってもらいたいところだ。
トランプ大統領の資質や政策を否定的に語ることはもちろん不適切ではない。日本にとっての同盟国、世界で唯一の超大国、米国の国家元首の状況を冷徹に論評するのは、むしろ欠かせない作業だともいえよう。しかし、なんの根拠もなく、米国の国家元首がまもなく辞任するとか、消え去ってしまうと断言するのは、不見識である。そもそも米国には、民主的な選挙で選ばれた大統領が、就任して数カ月で辞める、辞めさせられるというメカニズムは存在しない。
だが日本側では、多くの識者とされる人たちが「トランプ政権の終わり」を堂々と予測してきた。根拠がなく、間違っていることがすぐ明白となる予測は無責任である。悪質であり危険だともいえよう。
60%を超える公約実現率
続いて、第2の特徴をみよう。
日本では、「トランプ大統領は行政の長としてなにもしていない」「公約を果たしていない」という批判があった。だが、この批判もいまとなっては明らかに的外れである。トランプ大統領は、選挙キャンペーン中に明言した政策公約の多くを実際に履行しているからだ。米国内でも、トランプ公約への反対は多い。だが公約を実行していないと断ずるのは現実に反している。
公約を実現した分かりやすい例は、2017年12月に法律として完成させた税制改革だろう。法人税率を35%から21%にまで削減するほか、個人所得税も幅広く下げるという画期的な内容である。
トランプ大統領はそのほかにも主要な公約としていた以下の諸政策を実行した。
「環太平洋パートナーシップ(TPP)からの離脱」
「最高裁判事への保守派法律家の任命」
「イスラム系テロ組織『イスラム国(IS)』の撲滅」
「北米自由貿易協定(NAFTA)の見直し」
「アラスカからの石油パイプライン禁止などの経済関連規制緩和」
「インフラ建設公共事業の拡大」
「地球温暖化防止のパリ協定からの離脱」
「エルサレムをイスラエルの首都として宣言」
そのほか、最近実施した中国製品に対する高関税の課徴、米韓自由貿易協定の改定なども、公約の実現である。保守系の研究機関「ヘリテージ財団」の調査によると、トランプ大統領の公約全体の実現率は就任からのちょうど1年で64%だった。その数字を見ても、「公約を実現していない」という日本での批判は的外れだと評さざるをえない。
日本のメディアが伝えない「本当の支持率」
最後に第3の特徴をみよう。日本では、トランプ支持層の動きや支持層が歓迎するトランプ政策がほぼ無視されてきた。
米国内の世論調査では確かにトランプ大統領への支持率は低い。日本の主要メディアがよく引用する最近の37%といった数字は歴代大統領のなかでも最低水準である。だが、米国の反トランプ系の主要メディアが強調する世論調査の数字は、リベラル色の強い調査機関が出した数字がほとんどである。
2016年の大統領選挙全体を通じて、各候補の支持率調査で結果的に最も正確だったのはラスムセン社による調査だった。同社はトランプ大統領が就任して1年の時点で、同大統領への全米の支持率は46%だと発表した。この数字はオバマ前大統領の同じ時期の支持率とほぼ同じだった。だが、私が知る限り、この支持率が日本で報じられることはなかった。
さらにこの4月初頭、トランプ叩きで知られるCNNが、トランプ大統領の支持率が42%だという世論調査の結果を発表した。昨年の4月以来最高の支持率だという。しかもこの調査は、トランプ大統領が人事の混乱やロシア疑惑などで苦境に追い込まれていた3月下旬に実施されたのである。
前述のラスムセン社は、就任から1年の時点でトランプ大統領の支持率は民主党員の間で約10%、共和党員の間では約80%だという世論調査の数字も発表していた。トランプ大統領の本来の支持層からの支持は相変わらず堅固である。しかも就任1年で、むしろ上昇の傾向にある。これもまた日本のメディアが報じないトランプ政権の一面である。
トランプ大統領の支持層が特に熱烈に歓迎しているのは、その経済政策である。現在の米国の経済が好調であることは否定しようがない。ニューヨーク株式市場では連日のように最高値が更新される。一般国民が最も気にする雇用もここ30年ほどの間で最高記録を達成し、失業率は歴史的な低さを示した。米国のメディアはこの経済状況を詳細に報道している。トランプ大統領の政策の成果だと認めるメディアも少なくない。
だが日本の主要メディアは、トランプ政権下の米国経済の動向をほとんど伝えない。たとえ、経済が好調だというデータを伝えても、トランプ政権の政策の成果だとする論評は目につかない。
以上のような日本のトランプ論の3つの特徴は、やはり“欠陥”と呼ぶべきだろう。現実とは異なる構図を描いていることは否定できないのだ。
(つづく)
4/8記事

米ニューヨークのトランプタワー前でトランプ大統領の移民取り締まりに抗議する人たち(2016年12月18日撮影、資料写真)。(c)AFP/KENA BETANCUR〔AFPBB News〕
米国の第45代大統領にドナルド・トランプ氏が就任してから1年2カ月以上が過ぎた。日本ではトランプ政権は長続きしないという予測が大勢を占めていたが、ワシントンでみるトランプ大統領は、内外の非難の嵐にさらされながらも、なお健在である。前回の記事「トランプは今なお健在、予測が外れた日本の識者たち」では、日本と米国におけるトランプ評の差異を説明した。
日本のトランプ論と米国の実態との違いを説明するために、ワシントンで私が取材してきたトランプ政権の動きについて、もう少し詳しく伝えよう。
重要な公約を次々に履行
トランプ氏の主要公約の1つに、オバマケア(医療保険改革案)の撤廃がある。日本ではこの公約の達成にトランプ大統領は失敗した、という見解が多い。だが、実際には決してそうとは言い切れない。
オバマケアを公式に否定する代案は、確かに連邦議会下院で可決された。だが上院がまだである。また、オバマケアの核心部分はトランプ政権が通した税制改革法のなかで明確に破棄されている。その核心とは「すべてのアメリカ国民は最低限一つの医療保険に加盟する」という義務づけである。トランプ大統領の税制改革法は、この義務づけを廃止する条項を盛り込んでいた。だから「オバマケアの撤廃」という公約はすでにここで達成されたというわけだ。
そのほかにも、目にはつきにくいが重要なトランプ公約の履行がある。
たとえばオバマ政権時代は、予算管理法の規定で、財政赤字が一定の水準を超えると自動的に予算が削減された。その大部分は国防予算が対象だった。だがトランプ大統領は、公約の「力による平和」「軍事力の強化」政策の一環として、この削減メカニズム「セクイストレーション(予算執行強制停止)」を廃止した。そして国防予算を前年比10%近く増やすという大胆な措置をとったのである。
また、オバマ政権時代には、違法入国者を保護するために地方自治体が「聖域都市(サンクチュアリーシティー)」を宣言して、その域内での入国管理法違反取り締まりを停止するという特別な制度が広がっていた。トランプ大統領は公約でこの制度への反対を表明し、聖域都市を宣言した市や町には連邦政府補助金を出さないという方針を掲げた。この方針も履行されつつある。
暴露本『炎と怒り』の影響は?
2018年1月に、米国でトランプ政権批判の暴露本『炎と怒り』が出版された。この本の内容に関しても日本側の報道の反応は過剰だった。著者はこの種の暴露本を以前から手がけてきたフリージャーナリストのマイケル・ウルフ氏である。
ウルフ氏はトランプ氏を無教養で取るに足らない人物だと断じて、「政治にも外交にも無知で、そのひどさは側近に衝撃を与えた」といった記述でこき下ろした。同書は全米でかなりの売れ行きをみせ、日本でも翻訳版が出た。米国の反トランプ側のメディアも日本のメディアや識者も、「この本の出版でトランプ政権はついに崩壊へと向かうだろう」と騒ぎ立てた。とくに日本では、この本が「トランプ政権の終わりを告げる」とまで断じる論評もあった。
ところが、この4月にいたるまで同書によるトランプ政権への悪影響はほとんどみられない。トランプ氏の大統領の座を揺るがすような効果は皆無だといってよい。米国ではこれまで、オバマ氏をはじめ他の大統領に対してもこの種の暴露本が何冊も出てきた。だが、大きな話題とはなっても、本自体が大統領の地位に影響を及ぼすことはなかったのである。
また、トランプ大統領は2018年1月、中南米の開発途上国を指して「shithole(直訳すると「クソの穴」。一般に不潔な場所などを指す)」という侮蔑的な言葉を使ったと報じられた。大統領自身はこの報道を否定したが、米国の主要メディアの多くが大きく報じ、日本のメディアも一斉に後を追った。「大統領はこれで苦しい立場に追い込まれる」という伝え方だった。反トランプ派にとっては、トランプ氏が大統領不適格であることを示す格好の例として大々的に拡散したい情報だろう。
だがトランプ支持派や中立派は「単なる揚げ足取りだ」とする冷静な反応をみせた。たとえばウォール・ストリート・ジャーナルやFOXテレビなどは大騒ぎはせず、逆に、言葉の使い方を政治問題化することに批判的な光を当てていた。実際、トランプ大統領がこの発言で苦しい立場に追い込まれることはなかった。
反トランプ陣営に依存する日本メディア
要するに、トランプ政権の動向について、日本では否定的な側面に光をあてる傾向が顕著なのだ。トランプ政権についての肯定的な報道は米国よりずっと少ない。この現象は一体なぜ生まれるのか。
まず明らかなのは、日本の主要メディアが米国の反トランプ・メディアのネガティブ報道ばかりを転電していることだろう。
たとえば朝日新聞はニューヨーク・タイムズと、読売新聞はワシントン・ポストと記事使用の協定を結んでいる。米国のこの2大新聞は年来の民主党支持である。トランプ氏に対しては選挙中からきわめて偏向した批判的な報道や論評に徹してきた。とくにワシントン・ポストは最近、社主がアマゾン創設者のジェフ・ベゾフ氏になってから、反保守、反トランプの傾向をさらに激しくしてきた。テレビでも3大ネットワークのCBS、NBC、ABCがみな民主党に傾斜している。ケーブルテレビでは日本でもなじみの深いCNNが過激ともいえるトランプ叩きキャンペーンを展開している。日本の在米特派員もメディアの本社も、これら民主党系メディアの基調に影響される傾向がある。
トランプ大統領は周知のように、民主党びいきの主要メディアに選挙中から戦いを挑んだ。民主党支持のメディアを「アメリカ国民の敵」とまで呼び、その報道を「フェイクニュース」と断じた。一方、メディア側はトランプ政権を覆そうと、躍起になってトランプ叩きの記事を発信してきた。いま、米国の国政の場で、政権と主要メディアの関係はまさに政治的な闘争の色を帯びている。その戦いの片側から発せられる「ニュース」には、どうしても強いバイアスがかかることが多い。日本の主要メディアは、ほとんどがこの反トランプ陣営からの情報に依存しているようにみえる。
民主党側もトランプ叩きを反省?
その傾向は、日本側のいわゆる識者にも当てはまる。日本の識者たちは、もともと左傾やリベラル派の人が多い。そうした人たちは大衆主義的な保守志向のトランプ氏には最初から抵抗があるようだ。これまで「愚か」「非常識」「無知」「人種差別主義者」などと、激しい非難の言葉を浴びせてきた。
この種のトランプ叩きの言辞はワシントンでも珍しくはない。トランプ氏自身の奇抜な資質や乱暴な言動、そして国政や外交での未経験は確かに目に付く。反トランプ勢力はこの1年余り、トランプ氏個人の資質や資格に焦点をしぼり、あらゆる言葉で罵倒してきた。トランプ大統領側もこれに対し正面から反論し、反撃してきた。その結果としては本来は主要政治課題を論じる国政の場でも、「stupid(馬鹿)」などという言葉が頻繁に登場する醜い争いが続いてきた。
だが、繰り返しになるが、それでもトランプ氏の大統領の座は揺らいでいない。
興味深いことに、ここに来てアメリカの反トランプ勢力の間でも、トランプ氏を馬鹿と見下し非難することへの反対意見が出てきた。東部の民主党の牙城バーモント州の同党長老政治家ジェーソン・ローバー氏は地元新聞への寄稿で、民主党の同志たちに対して次のような警告を発した。
「トランプ氏を馬鹿と呼んで切り捨てるのは気分がよいかもしれない。だが、それは不毛であり、政治的効果も少なく、結局はトランプ氏を利して、笑わせることになる」
この論文は全米レベルでも波紋を広げた。ウォール・ストリート・ジャーナルの政治コラムニストのウィリアム・マクガーン氏は、同紙への「ドナルド・トランプの『馬鹿さ』とは」と題する最新の寄稿でローバー氏の警告を紹介した。そのうえで民主党系の反トランプの識者たちに対して、以下のように挑発した。
「昨年の選挙中から、トランプ氏をずっと馬鹿だと断じてきた人たちの間で、トランプ氏の大統領当選や経済政策の成功を正確に予測した人がいたら手をあげてみよ」
トランプ氏を馬鹿扱いして叩く側への「おごるなかれ」という警告である。日本のトランプ叩きの方々にも呈したい言葉といえるだろう。
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