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『トランプのリップ・サービスで終わらせるな ニクソン、レーガン、ブッシュ共和党政権は同盟国日本を裏切り続けた』(6/11JBプレス 森清勇)、『会談に臨む北朝鮮、腹の底で何を考えているのか?核放棄の意志があるのかはまだ不明』(6/11JBプレス 黒井文太郎)について

6/10鍛冶俊樹氏メルマガ<米朝会談決裂せば>金三胖が米国の口座凍結に遭い、金欠病に陥った為、米国の言うことを聞くようになったとの見立てです。それなら6/11本ブログで紹介しましたジュリアーニが「北は土下座して首脳会談開催を懇願した」と述べたのも頷けます。
http://melma.com/backnumber_190875_6694803/
森氏が言う共和党大統領の期待を日本の首相が裏切って来たというのはその通りと思います。特にロンヤスの中曽根。彼は保守派でなく保身派でしょう。娘婿の前川もコントロールできない。レーガンを中国に近づけたのも防衛費を増やさず口だけに終わったためです。靖国参拝でも胡耀邦を助けるためとか言って公式参拝を止めました。それ以降首相の公式参拝ができなくなったのは彼のせいです。三島割腹事件の時は防衛庁長官だったにもかかわらず、「常軌を逸した行動というほかなく、せっかく日本国民が築きあげてきた民主的な秩序を崩すものだ。徹底的に糾弾しなければいけない」というコメントしか出せなかった輩です。小泉は今の反原発で野党の支援をするくらいだから、保守派ではありません。竹中を枢要な地位につけた時点で明らかでしょう。息子進次郎と同じく芯のない鵺みたいな政治家です。その点安倍氏は保守派の期待を大筋では裏切らず、トランプと真の関係を構築できていると見ます。防衛予算増額とニュークリアシエアリング、憲法改正は3選も含めた任期中に仕上げてほしい。
黒井氏の記事は「米朝関係の局面は、「北朝鮮がどこまで妥協してCVIDを受け入れるか」よりも、むしろ「CVIDに抵抗する北朝鮮を、トランプ大統領がどこまで受け入れるか」に移ってきている。」と結んでいます。まあ、WH内部でもどのくらい分かっているのか、安倍首相もトランプの思惑をどの程度伝えられているのか分からず、またトランプの気紛れな性格で、進展の仕方が全く読めない中では、ある想定で結論付けるのはやむを得ないと思います。上述の鍛冶氏やジュリアーニの話を考慮に入れれば、また違った結論になると思います。米軍が戦争をせずに、金の力で北を軍門に下すことができればそれに越したことはありません。日本にとって核・ミサイル・拉致総ての問題解決が重要ですが、現体制を維持するとなると北の国民が可哀想すぎます。簡単に独裁者の意向で殺されるのが続く訳ですから。クーデターを起こさせるのが一番良いと思いますが。金三胖以外が国のリーダーになった方が拉致被害者も還しやすくなると思います。
6/12阿波羅新聞網<川金会若成功 中共将面临两个打击=米朝首脳会談が成功したなら中国は2つ打撃を受ける>一つは中共が朝鮮との貿易で得ていたほぼ独占的な経済的な利益が失われること、二つ目は米中貿易摩擦のカードとして北を使おうとしてきたのができなくなることである。
http://www.aboluowang.com/2018/0612/1128251.html
6/12 16時からトランプ記者会見の予定ですが、空手の稽古の為出かけますので論評できません。下記のニュース解説を見れば9:30の段階でトランプは「会談は成功」と言ったとのこと。まあ、この後の実行段階が勝負になるのですが。親指を立てるトランプ。その後金が「一歩踏み出すのは容易ではなかった。過去には多くの障害があったが、我々はそれを克服して来た。それでやっと今日という日がある」と答えたとのこと。


6/10希望之声<【川金会更新报导】川普认为美朝将有“很棒”的关系=首脳会談をアップデート報道 トランプは米朝の関係は非常に良くなると思っていると>
https://www.soundofhope.org/gb/2018/06/10/n1861389.html
6/12/18 宮崎正弘氏メルマガ<歯の浮くような儀礼的言辞のやりとりから米朝首脳会談は始まった 金正恩は前夜にマーライオンを観光するなどリラックスを演出したが>によれば随行員は中国人も交じっているとのこと。金も中国から監視されているという事でしょう。
http://melma.com/backnumber_45206_6695504/
森記事


米フロリダ州パムビーチにあるドナルド・トランプ米大統領のリゾート施設「マーアーラゴ」での会談中、報道陣に応じるトランプ大統領(右)と安倍晋三首相(2018年4月17日撮影)。(c)AFP PHOTO / MANDEL NGAN〔AFPBB News
歴史に残る米朝首脳会談が明日に迫ってきた。安倍晋三首相はドナルド・トランプ米国大統領との会談、次いでG7サミットに参加するため米国に向け出発した。
「尖閣に日米安保第5条が適用される」「日米は同盟関係にある」
同趣旨のことを日本政府は米国の時の国防長官をはじめ国務長官、最終的には大統領から引き出すことに腐心してきた。
そして、「尖閣は・・・」「日米は・・・」と、期待通りの米高官の発言で日本の国民は胸をなでおろし、米国は日本と一心同体であるかのように受け取り、安堵した。
いま安倍政権の最大関心事項は、日本を射程範囲に収めるノドンやテポドンなどの中・準中・短距離弾道ミサイル(IRBM、MRBM、SRBM)と2500トン超も保有するとされる生物・化学兵器の破棄と、拉致問題の解決である。
安倍首相との親密さから拉致問題解決の必要性などを国連の場などで取り上げてきたトランプ大統領への期待はかつてなく高まっていると言っても過言ではないであろう。
果して、大統領は期待に応えてくれるだろうか。
巧言令色の「尖閣は安保条約の範囲内」か
しかし、いかに大統領の発言であろうとも、その一方には米国の国益に照らして行動する議会があり、米国憲法もある。どれだけ、米国大統領の決意が実行に移されるかは謎の謎でしかない。
ともあれ、日本人自身が国会で、核を含めた拡大抑止について、真剣に議論したことはない。すなわち、米国を本当に日本防衛に縛り付ける議論は日本の国会では行われてこなかったのであり、今もそうである。
「尖閣に日米安保が・・・」、あるいは「日米は同盟関係に・・・」の言葉による漠然とした空気で日本人が感じ取ってきただけである。
米国にとってみれば、日本防衛の義務は日米同盟の強化が基本にあるはずであり、「同盟の深化」といった言葉だけではなく、世界の平均的な水準(GDP=国内総生産の約2%程度の防衛費)に近づけ、日本も努力してくれるであろうという期待が見られる。
なお、スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が発表(2018年5月2日)した2017年の世界のGDPに占める軍事費の割合は2.2%、米国がNATO諸国に求めている軍事費は平均2%とされる。日本はGDP比では0.9%でしかない。
しかし、その期待はどの政権によっても頑として拒否されてきた。ましてや民主党政権時は削減してマイナス傾向でしかなかった。
このため、日米ガイドラインの改定では首脳同士の声明が出せず、国務長官・外務大臣と国防長官・防衛大臣の4者による声明に格下げされた。
米国は日本の国家防衛に関する意志を見抜いており、日本の強力な防衛意志がなければ、同盟の誼を毀損しない「巧言令色」の部類でしかないであろう。
トランプ大統領の本気度が試される
尖閣諸島の領有権を主張する中国を牽制する米政府要人の発言と日本の反応をみてきたが、米国が国益をしっかり意図して行動する国であることは明瞭である。北朝鮮に対しても同様に、あくまでも米国は米国の国益に照らしての発言と行動が目立つ。
北朝鮮が核実験や短・中距離弾道ミサイル発射実験を繰り返していた時期、米国の要人はICBMの試射や配備まではまだ相当の時間があると発言し、米本土への直接の脅威ではない(から目くじら立てるようなことではない)と言わんばかりのニュアンスの発言が目立っていた。
米国が北朝鮮の核実験や弾道ミサイルに真剣に向き合うようになったのは、ICBM用核弾頭の小型化と思われる第6回目の核実験(水爆類似と見た)と、火星15の試射に成功し、「米国の脅威になる」など、米国領土を直接弾道ミサイルの射程範囲に収めると思われるようになって以降である。
このことは、北朝鮮から同盟国への脅威が現に存在し、また弾道ミサイルの性能改善や生物・化学兵器の保有でいかに高まろうと、米国がさほど真剣ではなかったという裏側を覗かせる。
こうして、昨秋はトランプ政権が北朝鮮の現状を把握したこともあり、脅威認識が高まると同時に、米朝首脳の批判合戦が牽制を含め繰り返された。そして年が明け、平昌冬季オリンピックを境に首脳会談の展望が開かれたのである。
日本は、安倍首相との親密さを武器に、米朝首脳会談においては日本の要求を貫徹させたいという思いを強くしたのだ。
その中に拉致問題があることはいうまでもない。その布石は昨秋の国連総会やトランプ大統領来日などで演出され、日本人の期待も膨らんできた。
ところが、米朝首脳会談に備えた予備段階のトランプ発言からは、人道問題がすっぽり抜け落ちているようにも聞こえてくる。安倍首相の今次の会談にかかる重みは想像以上に大きいであろう。
指導者とは
トランプ大統領の人間像があれこれ評論されて久しいが、いまだに定説はない。そもそも指導者とは表面的な人物像で評価できるのだろうか。
リチャード・ニクソン元大統領が見る指導者に必要な資質とは「必ずしも子供たちが美談として記憶するようなものばかりとは限らない」という。
そして、「陰険、虚栄、権謀術数などは一般的に悪とされるが、指導者にはそれはなくてはならない。(中略)権謀術数を用いなければ、大事に当たって目的を達成できない場合が多い」とさえ述べる。
また、「はっきり言っておこう」として、「政治において理想や倫理はタテマエとして大切だが、ホンネとしては無用に近い。立派な政治家とは世論の動向、時の趨勢、敵の戦術等々の予見、妥協と譲歩による味方陣営の統一などをくまなく捉えることのできる芸術家である」という。
さらに「洞察力と先見力と大胆と、さらに計算されたリスクをあえてする意志の強さがなければならない。運も、むろん要る。だが、何よりも決断力が必要である」と。
この指導者像に照らしてトランプ大統領を見ると、どう評論すればいいだろうか。言うまでもなく、安倍首相との信頼関係、信義の遵守も大切であろう。
しかし、トランプ大統領の狙いは秋に迫った中間選挙で勝利し、大統領の職務遂行をやりやすいように多数を確保することである。
そのためには、まず最初で最小限の戦利品は核搭載のICBMの芽を摘むことでしかない。その方向性が見えた後で、同盟国にかかる危惧の種である中・短弾道ミサイルや生物・化学兵器の破棄である。
そして最後に来るのが、時間の余裕があればであろうが、日本が熱望する拉致被害者救出の端緒を開く人道問題であろう。
言葉だけの日米同盟にうんざり
ロン・ヤス、ブッシュ・小泉関係は日本人の間では膾炙していた。ということで、日本人には米国が優先的に日本優遇というか、日本に有利に事を運んでくれたのではないかと見立てるに違いない。
ところが、日本は米国が一貫して要求し続けている同盟強化・深化を、一過性の言葉で濁し、米国の期待をことごとく裏切るように見えたようだ。
同盟の強化や深化の具体的かつ端的な表現は防衛予算の増大でしかない。ところが、防衛予算がGDPの1%を超すことはほとんどなく、米国を失望させてきた。
当時の米国はソ連の増大抑制に腐心しており、日米同盟でその責を果そうと考えるが日本は一向に防衛費の増大をする気配を見せなかった。結局、米国は表向き日本と協力する仕草を続けるが、裏では中国と軍事秘密協定を結び、中国を支援し続けたのだ。
ロナルド・レーガン元大統領はソ連がアフガンに侵攻し、「SS-20」を欧州に配備すると、強い日本を希望する。
しかし、時の鈴木善幸首相は 「日米同盟に軍事的側面はない」と発言し、次の中曽根康弘首相は「日米は運命共同体」「GDP1%枠撤廃」などの勇ましい発言を繰り返し、マスコミは「日米蜜月時代」と囃し立てたが、防衛費増大はほとんどしなかった。
その結果、「米中の秘密協力はレーガン政権時にピークに達し」、「中国を戦略上の対等なパートナーとして遇」して、アフガニスタン、カンボジア、アンゴラにおける反ソ勢力への秘密支援などを行なったのである(ピルズベリー著『100年戦争』)。
ブッシュ〈息子〉大統領の時に米国はイラク戦争への参加を小泉純一郎首相に要請する。

米国は細部の情報を一切知らせなかったが、小泉首相は親密さで戦争支援を表明し、イラク特措法制定して、「自衛隊を派遣するところが非戦闘地域だ」との強弁で国民を黙らせてしまう。今日の日報問題の遠因は実にここにある。

小泉首相は郵政民営化でも理不尽な解散まで決行したが、日本の国益からというよりも米国が日本に突きつけてきた年次改革要望書の実現であったことが明らかになっている。

こうして日本の終身雇用制、年功序列といった一面では良き慣行の伝統・文化や金融安定のかけ替えのない資産が米国の国益に資するためにあっさりと自由化されていった。

郵政選挙で刺客(小池百合子氏)を送り込まれ敢えなく陥落した小林興起氏は、その顛末を『主権在米経済』で披瀝している。

おわりに

国家の指導者にとっては国益を増大し、自己の権力を確固たるものにすることが何より大切なことである。権謀術数が張り巡らされ、優先順位の劣るものは容赦なく切り落とされていく。

何度も引用するが、米国の初代大統領であったジョージ・ワシントンは「外国の純粋な行為を期待するほどの愚はない」と語っている。

MRBMやSRBMの破棄や拉致問題を取り上げるという発言は、トランプ大統領にとっては友情の証ではあっても、一義的な米国の国益とは関係ない。

トランプ大統領の目は秋の中間選挙に向いているであろうし、その勝利に邁進することが、公約でもある「アメリカ・ファースト」と「メイク・アメリカ・グレイト・アゲイン」の実現への道である。

しかし、安倍首相との約束を単なるリップ・サービスに終わらせてはらない。

黒井記事

米朝首脳会談が、予定どおり6月12日にシンガポールで開催されることが決まった。米政府の発表では、時間は同日午前9時(日本時間10時)、場所はセントーサ島のカペラホテルとのことだ。一時はトランプ大統領が中止を発表した会談だが、その後、両国政府は少なくとも首脳会談開催の利は重視しており、実現に合意したということである。

そこで注目されるのは、米朝が首脳会談でどのような内容の合意を具体的に示すのかということだ。米朝間ではその交渉が会談直前まで行われる見通しだが、その内容の詳細は両国が公表していないので不明である。

だが、内外の報道では、北朝鮮がかなり譲歩するだろうことを前提とした話が多く飛び交っている。たとえば「北朝鮮は核放棄には応じるが、その交換条件として体制保証や制裁解除などを求めている」という話だ。つまり、北朝鮮は核放棄の条件闘争を行っているとの見方だが、仮にそれが事実であれば、米朝戦争の危機はもう心配ない。いずれ北朝鮮は核放棄するわけで、めでたしめでたしということになる。

ただし、それはあくまで外部の第三者による「憶測」にすぎないことに、留意する必要がある。前述したように、米朝両国が交渉の具体的な中身を公表していないから、交渉の状況は部外者には分からない。かなり楽観的な見通しが韓国政府・メディアから発信されているが、米朝はともにブラフも使ってのギリギリの駆け引きを行っている状況にあり、交渉の攻防戦の内容は韓国政府にすべて伝えられるわけもない。

また、6月7日にはポンぺオ国務長官が「金正恩委員長は非核化の準備があることを、個人的に自分に示していた」と発言し、楽観的な見通しを語ったが、これも「非核化の準備がある」という言い回しの曖昧さから、金正恩委員長の核放棄の意志が確認されたことにはならない。

北朝鮮側の言動からは、今に至るも「何とか非核化しないで、うまいこといかないものか」と全力で知恵を絞っていることが伺える。そんな状況では、北朝鮮が「すでに核放棄するつもり」だと前提することは、まだできない。

トランプ大統領が切った会談中止のカード

客観的に判明していることを、まず確認しておく。

5月24日にトランプ大統領がいったん会談中止を発表したということは、その時点では、米朝それぞれの主張が隔たっており、合意されていなかったということにほかならない。アメリカ側が、北朝鮮に核放棄プロセスを迫っていたが、北朝鮮側は一方的な核放棄を拒否していたということだ。その隔たりはきわめて根源的なもので、両国のやりとりをみれば「北朝鮮は核放棄はするが、その条件闘争で揉めていた」というようなレベルの話ではないことが伺える。

そこでトランプ大統領は、会談中止のカードを切って、北朝鮮を「脅し」た。慌てた北朝鮮は即座に関係修復を図り、それにトランプが応じたという流れである。

その経緯からは、トランプ大統領が一時は会談中止を本気で決意していたことが分かる。それというのも、北朝鮮が会談を懇願するような態度に出てくることを、アメリカ政府は予想できるはずもないからだ。従来の北朝鮮の態度であれば、罵詈雑言で反発してくる可能性も充分にある。そうなれば、和解プロセスはそこで終了である。

この会談中止を告げたトランプ大統領の書簡の文章は、北朝鮮側の妥協をかなり期待している書き方になっており、和解プロセスの継続を望んでいた様子がみて取れる。だがトランプ大統領自身は、この時点では会談中止もやむなしと思っていたと後に語っている。つまり「トランプ大統領は最初から会談中止するつもりは全くなく、単に駆け引きで中止に言及しただけ」という認識は間違いだということである。

意味が曖昧な「朝鮮半島の非核化」という表現

そして、これに対する北朝鮮側の言動からは、北朝鮮がアメリカとの和解を強く望んでいることが分かる。ただし、かといって自分たちが、アメリカが望むような一方的核放棄を呑まないことも明確に打ち出している。

この北朝鮮側のリアクションでトランプ大統領が会談の復活を即決するなどということは、それもまた北朝鮮には予想はできないことだから、北朝鮮側も首脳会談継続を確信していたわけではない。北朝鮮側の優先順位としては、とにかく「一方的核放棄には応じない」ことが最優先だということだ。

その後、北朝鮮側の言動の特徴としては、やはり一方的な核放棄には応じない姿勢が揺らいでいない。5月31日には、金正恩委員長が、訪朝したロシアのラブロフ外相と会談したが、そこで彼は「新しい方法で、各自の利害に沿った解決法を探り、段階的に解決していくことを希望する」と語っている。その具体的内容は明言していない。

そして金正恩委員長はこの時、同時に、「朝鮮半島の非核化に関する意志は一貫したもので、確固たるものだ」とも発言している。この「朝鮮半島の非核化」という言い方は、金正恩委員長がかねてから使っている言い方で、つまりは「北朝鮮側だけが一方的に核放棄はしない」という意味だ。

この「朝鮮半島の非核化」の内容について、北朝鮮は具体的に明言していない。北朝鮮は金日成首席の時代から「核開発はアメリカの核の脅威のためにやむなくやっていることだ」と主張しており、「アメリカの核の脅威がなければ必要ない」との公式な立場をとっている。それを金正恩委員長もタテマエとして踏襲している。

現在、金正恩委員長が言う「朝鮮半島の非核化」も、北朝鮮サイドの従来の主張になぞらえれば、「北朝鮮に対する米軍の核戦力の無力化」まで含むと言い出しかねない。単に、韓国に米軍の核戦力を配備しないという意味に留まらないのだ。

ただし、前述したように、北朝鮮はこの「朝鮮半島の非核化」の内容を具体的に明言していない。アメリカとの決裂を避けるために、故意に曖昧にしているのだろう。

対米抑止力の切り札を手放すのか?

このように、北朝鮮は現時点でも、アメリカが求めている一方的な核放棄には応じない姿勢を明確にしている。では、一方的でなければ核放棄に応じるつもりなのかという話になるが、そこは不明である。

現在、アメリカが北朝鮮との和解をかなり前向きに進めていることから「北朝鮮側が条件付きで核放棄プロセスに応じる姿勢を見せているのだろう」との憶測があり、そこから「今後の核廃棄プロセスはどうなるのか」とか「北朝鮮への経済支援はどの国がやるのか」といった、かなり先走った報道まで出てきている。しかし、現在の米朝関係はとてもそんなレベルにまでは至っていない。

それどころか、もしかしたら北朝鮮は最初から核放棄するつもりなど、まったくないかもしれないのだ。

そもそもこの非核化の話は、北朝鮮が自ら希望して持ち出してきた話ではない。北朝鮮が最初に呼びかけたのは、核保有国同士としてのアメリカとの対話だ。非核化の話は、アメリカや韓国、中国など関係国が言及してきたことだ。北朝鮮はアメリカとの決裂を避けるために、嫌々ながらも話に付き合ってきただけだ。そこで言質をとられないため、あくまで従来からの北朝鮮の公式立場に近い「朝鮮半島の非核化」と言い張っているという経緯である。

つまり、北朝鮮はアメリカとの決裂は避けたいが、かといって核兵器の放棄も避けたいということになる。北朝鮮にとって核武装は対米抑止力の切り札であり、それを死守したいということは、北朝鮮側からすれば当然なことだ。

そこで言えることは、北朝鮮としては、核武装を温存しながらアメリカとの戦争に至らない状況がベストということである。そうであれば、実質的な核放棄は受け入れずに、いま北朝鮮が打ち出している「さらなる核・ミサイル実験の凍結」「核実験場の廃棄」といった軍備拡張の制限、すなわち軍備管理に留めた「核保有国同士として対等な立場での交渉」の構図をアメリカと構築することが、北朝鮮にとっては最大の安全保障上の利益となる。

北朝鮮が米朝会談で目指すこと

以上はあくまで可能性の話であり、アメリカと交渉決裂となれば成立しない話だが、トランプ政権が北朝鮮の「朝鮮半島の非核化」という内容が曖昧な言い方に食いついて、核放棄プロセスの合意がない段階で首脳会談に応じたという現状であれば、北朝鮮側がそれを期待してもおかしくはあるまい。

もちろんアメリカ側からは現在も、北朝鮮に核放棄プロセスを求める強い圧力がかけられているはずで、それを最初から拒否しては話が終わってしまうため、北朝鮮はおそらく表面上はいくらかそれに応じるようなふりはするだろう。とりあえず「朝鮮半島の非核化」の意志表明に加え、かつて行われていた寧辺の一部核施設に限定されたIAEA査察の再開や、重要性の低い核・ミサイル施設の一部限定公開などの可能性がある。さらには、まだ未完成とみられる「核ICBM」の計画放棄あたりを持ち出すのではないかという気もするが、これは筆者の憶測である。

しかし、仮に北朝鮮が全面的に核放棄するとなれば、核開発計画のデータをすべて差し出し、外部からの自由な査察を認めるということになる。文字通り丸裸にされるわけだが、世界最強の米軍に攻撃される寸前という状況でもなければ、北朝鮮にとってはリスクとデメリットが大きすぎる。北朝鮮が現在までその極端な個人独裁体制を存続してこられたのは、まるで鎖国のような徹底した閉鎖性あればこそだ。北朝鮮はまずこの時点で、いろいろと口実をつけて抵抗する可能性がきわめて高い。

6月1日にワシントンで北朝鮮の特使である金英哲・朝鮮労働党副委員長と会談したトランプ大統領は、それまで短期間で求めていた北朝鮮の非核化について「ゆっくりでいいと話した」と語ったが、それは北朝鮮側に時間稼ぎの大きなチャンスを与えることにもなる。

今後、アメリカがよほど強硬な圧力に転じないかぎり、北朝鮮としては、曖昧な「朝鮮半島の非核化」を目標に掲げ、その具体的内容をごまかして現状維持を図りつつ、アメリカと対話・交渉が続く状況を作ることができれば、念願の「核保有国と認められ、核保有国同士としてアメリカと対等の立場で交渉」する立場を手に入れることになる。

前述した6月1日の金英哲・副委員長との会談でトランプ大統領が示唆したように、12日の首脳会談では、核放棄プロセスの合意のないままに朝鮮戦争の終結と和平合意が大々的に打ち出される可能性が高まっているが、こうして和解ムードだけが既成事実化されれば、北朝鮮の勝ちだ。

ただ、一方では「北朝鮮は経済再建のために制裁解除を切望しており、そのためには核放棄も受け入れるだろう」との見立てもある。金英哲・副委員長との会談でも、トランプは制裁解除について話し合ったことを認めている。

ただし、北朝鮮側の優先順位で制裁解除がどれだけの価値があるかは、不明である。北朝鮮自身はあくまで、経済制裁解除が目的ではないと明言している。

北朝鮮側の真意は外部からは分からないが、北朝鮮側の利益は「核放棄をせずに、和解ムードの中で制裁解除を勝ち取る」ことだ。当然、それを目指すだろう。安保理決議に基づく制裁の解除はアメリカをどう説得するかという問題になるが、すでに露中韓の3カ国は北朝鮮をそれぞれ経済的にも支援したいという態度を見せている。

いずれにせよ、現在分かっているのは、史上初の米朝首脳会談が行われるということだけで、北朝鮮側が核放棄を本気で決意したかどうかは不明だ。もちろんその可能性はあるが、北朝鮮の言動は現在に至るまで、それを裏付けていない。

読みづらいのはむしろトランプ側

他方、対するトランプ大統領の側はどうか。

トランプ大統領は、北朝鮮側の好戦的な批判に反発していったんは交渉決裂まで覚悟したが、北朝鮮が「謝ってきた」ら、即座に自分の手柄にして受け入れた。しかも、もともと北朝鮮に短期間でのCVID(完全かつ検証可能で不可逆的な核廃棄)を迫っていたはずが、北朝鮮側の抵抗を受け入れてそれを後回しにし、とりあえず北朝鮮の具体的な非核化プロセスに関する合意文書の署名もなしで、今後の交渉のための最初の対話という位置づけでの首脳会談に乗った。北朝鮮側から何らかの譲歩があった可能性もあるが、それは現時点で不明だ。

トランプ大統領の利益としては、首脳会談の開催はまず「オバマ前大統領ら歴代政権ができなかった偉業を実現した」という実績アピールに繋がる。ロシア・ゲートその他のスキャンダルまみれのトランプ大統領にとって、それは魅力的だ。

ただし、トランプ大統領の今後の動きは読みづらい。

まず、交渉の達人を自任するトランプ大統領の場合、金正恩委員長が首脳会談でも合意するはずの「朝鮮半島の非核化への確固たる意志」をそのままの言葉として捉え、それを言質として突きつけて、北朝鮮の核放棄を「約束したことだ」としてこれから強く要求していく可能性がある。

前述したように、北朝鮮側は「朝鮮半島の非核化」の内容を明言しておらず、「北朝鮮に対するアメリカの核の脅威」まで拡大解釈する可能性が高いが、アメリカ側からすれば、すでに在韓米軍には核兵器は配備されていないので、「朝鮮半島の非核化」とはすなわち北朝鮮の非核化そのものだとの理屈も成立する。その論理で北朝鮮に核放棄プロセスを迫り、応じないなら圧力強化に転じることになるかもしれない。

トランプ大統領はたしかに現在、金正恩を半ばおだてるような言動までしているが、実はアメリカ政府としての態度は一貫している。CVIDの要求と、その実現以前での制裁解除の否定だ。したがって、トランプ大統領が上記の政策をとることは、筋が通っている。

しかし、別の可能性もある。トランプ大統領が何よりオバマ前政権との違いをアピールしたいなら、そのまま友好ムードを演出し、北朝鮮との決裂回避を最優先することも充分にあり得るだろう。例えば前述したように朝鮮戦争の終結と和平合意を打ち出し、米朝和解を自分の業績として喧伝するわけだ。

その後、北朝鮮がのらりくらりと非核化を先送りしてきても、自分の判断がミスだったことを認めることにもなるので、早い段階で強硬な態度に転じることは避けるかもしれない。そうなれば、北朝鮮としては万々歳だ。そして、近々の米朝戦争の脅威は遠のくものの、将来的にどうなるか分からない超個人独裁国家に、少なくとも日本を射程に収める核ミサイルが今後も温存されることになる。

いずれにせよ、米朝関係の局面は、「北朝鮮がどこまで妥協してCVIDを受け入れるか」よりも、むしろ「CVIDに抵抗する北朝鮮を、トランプ大統領がどこまで受け入れるか」に移ってきている。

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『ロシアと欧州はなぜ関係改善できないか ウクライナ問題でなお根深い溝』(6/8日経ビジネスオンライン 池田元博)について

6/7Voice of America中文版<美国国会质疑著名环保组织NRDC与中国政府的联系=米国議会は有名な環境保護団体“天然資源保護協会NRDC”と中国政府との関係を質す>下院天然資源委員会と共和党議員はNRDCに書信を送り、20年来に渡る中国政府との関係を聞き、「外国代理人登記法」に抵触しないかどうか尋ねた。米国の反中の動きが本格化してきているのでは。

https://www.voachinese.com/a/congress-ndrc-china-20180606/4427607.html

6/9看中国<中国政府黑客窃取美国海军敏感资料 FBI介入调查(组图)=中国政府は米国海軍の機密資料をハッキング FBIが調査を開始>米国の海底作戦の数字が入った資料が盗まれその中には、超音波対艦ミサイルの機密も入っていた。既にF-35ステルス戦闘機やPAC3、THAADの資料も盗まれたと。

https://www.secretchina.com/news/gb/2018/06/09/861174.html

6/8ロイター<コラム:凋落のドイツ銀が市場に生む「疑心暗鬼」>ドイツ銀行の持つ「デリバティブ残高が50兆ドル(約5500兆円)」とあります。2016年より減っていますがドイツのGDPの17倍くらいです。このうち不良資産と言われるものがどのくらいあるのか、そもそもで言えば想定元本なるものの意味が金融に疎いため分からないので、危険の大きさが理解できません。ただ、ドイツ銀行破綻が世界経済に連鎖し、世界大恐慌の引き金になりかねないと思っています。2016年のドイツ銀行のデリバテイブについての記事も紹介します。

https://jp.reuters.com/article/europe-markets-deutsche-idJPKCN1J31V9?il=0

https://note.mu/asejitsu/n/ndd85c6bab9d1

6/10阿波羅新聞網<普京访华 中俄各打算盘=プーチンの訪中 中露は各々ソロバンを弾く>プーチンは米中貿易戦争を利用し、穀物を多く輸出したいと考えているが、中国が米国からエネルギーの輸入を増やしてロシアの分を減らすのを心配している。北極開発では両国の協力が決定された。締結された文書によれば、ロシアは核技術で50億$以上の売上となるとのこと。江蘇省の田湾と遼寧省の葫芦島市に計4個の大型原発を建設する。葫芦島市の原発1、2号機は米ウェステイングハウス社が建設したもの。葫芦島市は中国原潜の製造基地でもある。中国の核技術も進歩しているが、ロシアに発注したのは政治的思惑から。

プーチンは中国が米国からの農産物に関税を賦課すれば、ロシアから輸出したいと考えている。これが今回の訪中で一番の狙いであった。北極航路の整備はロシアがしているが、中国の使用を歓迎するとともに中国の金を当てにしたものの、こちらはまだうまく行っていない。またロシアはモスクワ~カザン間の高速鉄道建設を中国に持ちかけて来たが、未だ懸案事項で決まっていない。これはロシアの役人に賄賂を贈らなければならず、高速鉄道も例外ではない。それが、工事が始まらない大きな原因であるし、賄賂の為、金額も当初1000億ルーブルだったのが4000億ルーブルにもなった。

欧米のロシア制裁で、欧米に企業も官員も入れなくなった。ロシアのアルミ業のジェリーポスカは制裁を受けているため、プーチンと共に訪中し、中国で売ろうとしている。

http://www.aboluowang.com/2018/0610/1127267.html

6/10阿波羅新聞網<普京、川普在哪会面 克宫:维也纳在考虑中=プーチンはトランプとどこで会うか クレムリンはウイーンを考えていると>プーチンは会いたいと思っているが、最終決定権は米国が握っていると。なぜウイーンか、いつかは書いていません。

http://www.aboluowang.com/2018/0610/1127287.html

6/10阿波羅新聞網<习给普京授勋抱团取暖 但俄军民强烈反华 王沪宁再添新职=習近平はプーチンに友誼勲章を与え、相互協力を図る しかしロシアの軍民は強烈な反中 王 滬寧は新たな職務が加わる>露中国境沿いにロシアは核搭載できるイスカンデルミサイルを配備とのこと。中国の富の75%は不動産からでバブル経済と認識している。ロシアの土地に中国人が野菜を植えたり、森林伐採を勝手にやったりする。バイカル湖では反中集会が開かれた。中露の相互不信は根強い。

http://www.aboluowang.com/2018/0609/1127201.html

上述の通り、ロシア国民は中国人を信用していません。やはりトランプの言うようにロシアを西側に戻し、中国を孤立化させた方が良いのでは。中露が協力し合う構図にしてしまうのが一番良くないと思います。欧州の政治家はそこが見えてないのでは。中国の見せ金に膝を屈するようではダメでしょう。

まあ、ロシアも事件を起こし過ぎであることは確かです。国民がロシアミサイルで撃墜・殺されたり、毒で殺されかかったりするのでは、怒って当然です。ただロシアも交えた立証方法はなかったのかどうかです。もし共同調査にロシアが参加を拒むのであれば、それを世界に公表すれば良いのではと思うのは外交の素人だからでしょうか?

記事

欧州首脳のロシア詣でが相次いでいる。シリア情勢やイランの核問題などに対処するには、いやがおうでもロシアの力を借りる必要があるということか。ただし双方の間にはウクライナ問題という根深い溝が横たわっており、本格的な関係改善に向かうとみるのは早計だ。

5月24日、サンクトペテルブルクでプーチン大統領はマクロン仏大統領と会談した。写真は同25日のサンクトペテルブルク国際経済フォーラム(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

セルビアのブチッチ大統領、ドイツのメルケル首相、ブルガリアのラデフ大統領やボリソフ首相、そしてフランスのマクロン大統領……。5月に実質4期目をスタートさせたばかりのプーチン大統領のもとに、欧州首脳の訪問が相次いでいる。

近年の米欧とロシアの関係は冷え込む一方で、今年も3月に英国でロシア人元情報機関員に対する神経剤を使った襲撃事件が発生。これをロシアによる犯行とみなす米欧側と、関与を否定するロシア側が真っ向から対立し、大規模な外交官追放合戦へと発展していた。

とはいえ欧州にとっては距離的に近く、エネルギー調達を含めた経済的なつながりが深いロシアとの関係を放置しておくわけにもいかない。しかも、西側の中核となるべき米国は、トランプ政権がイラン核合意から一方的に離脱したり、イスラエルの米国大使館をテルアビブからエルサレムに移転したりするなど、国際秩序を揺るがすような動きを繰り返している。

一方のロシアは、シリアに軍事介入して中東での影響力を強めてきた。イランとのパイプも深めているし、イランと敵対するサウジアラビアとも原油協調減産などを通じて良好な関係を築いている。中東からは今年5月もイスラエルのネタニヤフ首相、シリアのアサド大統領が訪ロし、プーチン大統領と会談している。

米トランプ政権の外交政策に不安を覚え、イラン核合意の維持などに腐心する欧州にとって、ロシアの存在はやはり無視できないようだ。

米国と欧州の亀裂につけ込むプーチン政権

プーチン政権も当然、米国と欧州の亀裂につけ込み、国際的な孤立の回避につなげようとしている。民間世論調査会社のレバダ・センターが今年4月後半に実施した調査では、「ロシアは国際的に孤立している」とする回答が50%を超えた。国民の間で危機意識が強まっているという事情もあるようだ。

典型例は5月末に第2の都市サンクトペテルブルクで開いた国際経済フォーラムだろう。

今回は日本の安倍晋三首相、中国の王岐山国家副主席、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事とともに、フランスのマクロン大統領が参加。日ロと同様に仏ロビジネス対話も実施し、ロシア民間ガス大手のノバテクが北極圏のギダン半島で進める液化天然ガス(LNG)開発事業「アークティックLNG2」に、仏エネルギー大手のトタルが最低10%出資するという大型契約も飛び出した。

国際経済フォーラムに合わせて開かれた仏ロ首脳会談でも、プーチン大統領は「フランスは伝統的な我々のパートナーだ」などと強調。マクロン大統領も国家主権の尊重などの面でのロシアの対応に苦言を呈しつつも、ロシアには「いくつかの国際問題の解決へ欠かせない役割」があると認めた。

ところが、そんな仏ロの融和ムードに水を差すような出来事があった。仏ロ首脳会談後の共同記者会見で、仏側記者からプーチン大統領にこんな質問が浴びせられたのだ。

「(仏大統領の)訪問はオランダの委員会がドンバス問題に関する決定を下した日と重なりました。プーチン大統領、あなたはこの(オランダの)決定にどう反応しますか。なんらかの悪影響が出て、フランスとの関係がより複雑になると考えますか?」

ドンバスとはウクライナ東部のことだが、質問の趣旨を理解できなかったプーチン大統領は「申し訳ないが、何の決定のことを話しているのですか」と思わず聞き返した。

仏記者「ウクライナのドンバスで撃ち落とされたマレーシア機のことですよ」

プーチン大統領「飛っ、飛行機だって、いったい何の飛行機のことか……。うーん。あああ~、そのことか」

最初は戸惑い、困惑の表情を浮かべていたプーチン大統領はようやく質問の趣旨を理解すると「今日は一日中忙しかったので、委員会の決定の詳細を知らない」とまずは弁明。それでも直ちに断言できることがあるとし、「我々はこの悲劇に対して、当初から共同調査を提案していたにもかかわらず、驚くべきことに我々を受け入れなかった」と反論した。

大統領はさらに、ウクライナは国際規範に違反し、当時は戦闘地域上空の空域を閉鎖しなかったにもかかわらず撃墜事件の調査委員会に加わったと指摘。調査委そのものが公平性を欠くとの認識も暗に示したのだ。

今もくすぶるマレーシア機撃墜事件

一方のマクロン大統領はオランダの調査委の発表を「客観的」と評するとともに、ロシアに対しては真相究明に協力し建設的な役割を果たすよう求めた。

では、そもそもマレーシア機撃墜事件とはどのような事件で、オランダの調査委はどのような発表をしたのか。

事件は2014年7月17日、ウクライナ政府軍と親ロシア系武装勢力による戦闘が続いていたウクライナ東部ドネツク州(ドンバス地域)で起きた。オランダのアムステルダムからマレーシアのクアラルンプールに向かっていたマレーシア航空のボーイング777型機が墜落し、乗客・乗員298人全員が死亡した。

米政府などは当初からロシア製の地対空ミサイル「ブク」によって撃墜されたと表明していた。しかしロシア側は真っ向から否定し、ウクライナ空軍による攻撃説を主張した。

犠牲者はオランダ人が200人近くに上り、英国、ドイツ、ベルギーも含めて欧州の人々が大多数を占めた。このほかマレーシア人が43人、オーストラリア人が27人などだった。このため事故調査はオランダの安全委員会が主導し、2015年10月に最終報告を発表。犯人は特定しなかったものの、親ロシア派が支配するウクライナ東部から発射されたロシア製の「ブク」ミサイルによって撃墜されたと結論づけた。

オランダやオーストラリアなどの国際合同捜査チームはその後も刑事訴追を視野に事故調査を続け、今年5月24日に新たな調査結果を公表した。まさにサンクトペテルブルクで国際経済フォーラムが開幕した当日のことだ。

その内容はマレーシア機を撃墜した地対空ミサイル「ブク」について、ロシア西部クルスクにあるロシア軍の「第53対空ロケット旅団」からウクライナ領内に持ち込まれたと断定。ロシアが関与した可能性を強く示唆したものだった。「ブク」システムは事件前の6月23日から25日に同旅団から運び出されてウクライナに持ち込まれ、7月の事件後に再び同旅団に戻されたとしている。

今回の調査報告を受け、オランダとオーストラリア政府はロシアに対し、犠牲者の金銭補償問題をめぐる話し合いに応じるよう求めた。

オランダを中心に多くの犠牲者が出た欧州にとって、マレーシア機撃墜事件はひとごとではない。墜落事件に限らず、地理的に目と鼻の先でなお続くウクライナ紛争そのものが、欧州各国の大きな懸念材料となっている。

とくに独仏首脳はウクライナ和平に向けた「ミンスク合意」を仲介。ロシアなどにその順守を求めているが、遅々として進んでいない。ミンスク合意の完全履行は、欧州連合(EU)が対ロ経済制裁を解除する条件にしていることもあり、安易にロシアとの関係を改善するわけにはいかない。ウクライナ問題をめぐるロシアとの溝が深いゆえんだ。

マレーシア機撃墜事件に話を戻せば、ロシアは当然のことながら、オランダなどの調査報告に真っ向から反論した。ロシア国防省は「ロシアの地対空ミサイルシステムがウクライナとの国境を越えたことは一度もない」と否定。ペスコフ大統領報道官も「ロシアが排除され、ウクライナが加わっている国際合同チームの調査結果に信頼性はあるのか」と疑問を呈した。

そうした折も折、当のウクライナ政府が図らずも、ロシアの主張に加担するような”失態”をした。プーチン政権に批判的なロシア人ジャーナリストが首都キエフで射殺されたと公表し、その翌日に前日の話は偽情報で、実は生きていると発表したのだ。ウクライナ治安当局は暗殺計画を阻止するためと説明したが、さすがの欧州でも、意図的に偽情報を流して国際社会を欺いたウクライナへの批判が集中した。

結果的に、「嘘つきはウクライナのほうだ」というロシアの従来からの主張を勢いづかせかねない。ウクライナ情勢の行方は一段と混沌としてきた。

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『中国で役人のうつ病と自殺者が増えているワケ 1カ月で7人が自殺を図り、6人が死亡したケースも』(6/8日経ビジネスオンライン 北村豊)について

6/9阿波羅新聞網<中共官媒呛两韩终战宣言「无效」美国际法专家打脸=中共メデイアは南北による朝鮮戦争終結宣言は無効であると 米国の国際法専門家は面子を与えず>中国が参加しない終戦宣言は無効であると中国メデイア。これに対し米国の国際法専門家は「朝鮮戦争時、中国は義勇軍の参加で、その名義で停戦に署名した。中国政府として正式に署名したものは未だない。終結宣言は政治的署名であって、法律的なものではない。中国を参加させる必要は必ずしもない」「但し南北両国のサインに米中両大国がサインすれば、ドイツ統一方式と同じで裏書きとなる」と。

http://www.aboluowang.com/2018/0609/1127008.html

6/8ニコニコ動画・CNN<ジュリアーニ: 金正恩が米朝首脳会談の再開を土下座して懇願してきたw>この動画に出て来るクラッパー元DNI長官は、あの悪名高いステイール文書に関わり、ヒラリーやオバマを助けるために、トランプのロシア疑惑をデッチ上げた人物です。CNNにリークしたのは彼です。「お前が言うな」です。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm33332199

http://lovetrumpjapan.oops.jp/2018/03/13/former-dni-james-clapper-allegedly-leaked-to-cnn/

6/9VOA中文版<美议员吁拉美国家勿信北京虚假承诺与台断交=米議員は中南米諸国に北京が台湾との断交と偽の中国との国交を信ずるなと呼びかけ>この1年で中米パナマ、ドミニカの台湾断交を受け、米国議会は中国の中南米での積極外交に注意を払うようになった。下院外交委員会名誉委員長のイリアナ・ロス・レテイーネン(キューバ移民、共和党)は6/8ワシントンで「中南米諸国は金でもって偽の中国との国交を信じてはいけない」と述べた。彼女は6/7ホンジュラス大統領のフアン・オルランド・エルナンデスに会い、「中国は台湾と断交させて中国と偽の国交を結ばせようとしているが、あまたの例が示す通り、金をばら撒いても、それに見合った現金は入って来ない。中国の言うことは信じるな」、「中国はルールを守らず、腐敗している。いつも要人に賄賂を贈り籠絡しようとする。台湾は金で中国とは対抗できないが、彼らが中南米やアフリカの要人と会った時に、金で置き換えられない価値があるものを忘れてほしくないというのを訴えている」と言った。エルナンデスは答えて曰く「ホンジュラスは貧しく、いろんな国から支援を受けなければならない。しかし米国・台湾はホンジュラスの盟友である」と。レテイーネンは「台湾は既に中南米で2ケ国失った。もう1ケ国も失えない。ドミノ効果を起こすかもしれないので」、「中国は西半球で長期的戦略目標を持ち米国の民主主義と影響力を削ごうとし、専制を世界に広めるのに都合の良い秩序を作ろうとしている。もう1ケ国でも台湾と断交し、中国と国交しさえすれば米国の影響力は益々弱まる。このため米国は台湾と中南米諸国との関係を維持し、民主主義国・台湾と共に立つ。貿易・兵器売却・外交と協力する場面は沢山ある。中国の攻撃を撃退するのにとどまらず、民主主義を世界に広めていくのに手助けとなる」と。最近レテイーネンは訪台し、蔡総統と会い、「民主・自由は台湾が強調すべき特徴で、中南米国が貧困の為、資金援助をほしがり、中国がパトロンになっているが、口だけで金は不足している」と述べた。

米国陸軍戦争学院戦略研究所のイバン・エリスは「中国が奪った中南米国は米国の近くに位置する。戦略的価値は重要だ。トランプ政権は中国に対抗して、外交せねば。2008年に両岸が外交休戦をしたが、中国は積極的外交をずっとしてきた。この15年間、中南米では中国の為すがままだったのに、台湾外交部は気に留めていなかった。既に外交休戦の実態はないのだから、台湾は相応の対応をとるべき」と。相変わらず中国は嘘をついて裏でいろいろ工作して来たという事です。

思い起こすのは、モンロードクトリンで「南米はアメリカのもの。他国、特に欧州は口を出すな」というものです。高校で習うのは後半部分だけで「欧州の悪癖から新天地を隔離する」と米国が進んだイメージで語られていたように思います。多分左翼の歴史観が埋め込まれていたのでしょう。でも米国の裏庭にも中国が手を出してきたと米国が自覚すれば、虎の尾を踏んだことになると思います。

しかし、中国を此処までのさばらせてきた米国の責任は重大です。ソ連に冷戦で勝利した時点で中国にも冷戦を仕掛けるべきでした。「豊かになれば民主主義や自由を尊重するようになる」何て中国人と付き合ったことのない人間のセリフでしょう。民族の本質を知らないのにも程があります。

今まで米国が台湾外交に足枷を嵌めて来た咎めが出たのだと思います。中南米での中国の影響力拡大の主たる原因は決して台湾だけの問題ではなく、米国の容共政策にあったと思っています。陳水扁を独立派として応援せず、売国・馬英九を放置しましたから。キッシンジャーの言うことを聞いてきたのが悪いと思います。

https://www.voachinese.com/a/taiwan-china-latin-america-20180608/4431417.html

6/8 VOA中文版<美軍南中國海行動未必有助於其它主權聲索方=米軍は南シナ海での行動で主権を主張する国の助けにはなりそうもない>B-52がスプラトリー諸島の周りを飛び、トランプ就任以降7回も航行の自由作戦をしたが、中国は「爆撃機を恐れず」と発言した。主権主張国は米軍の行動に公開で支持し、自分達の主張に生かすことがなかった。中国軍に不満はあるけれども、禁漁になるまで沿岸警備艇を出すのみ。

https://www.voacantonese.com/a/b-52s-south-china-sea-20180608/4429999.html

米国の反中姿勢がハッキリしてきました。良いことです。多国間で中国大陸に封じ込める必要があります。その為にはトランプの言うようにロシアをG8として迎入れた方が良いのでは。中国はG7と同じ日程でSCO(上海協力機構)を開催しました。ロシアを中国寄りに追いやるのでなく、西側に引き付けておいた方が中国も無茶できなくなります。

北村氏記事で、中国の役人の自殺について触れられていますが、実際はネットの発表数字より多いかもしれません。中共は不都合な数字は隠蔽しますから。1700人という数字は文革時代より酷いというニュアンスで書かれていますが、文革は自殺より殺人の方が多かったはずです。今の時代の方が未だ毛時代よりは良いかと。ただ賄賂を取っていない人がいない社会で何故彼らだけがという不条理な気持ちは残るでしょうが。譬え民主化したとしても収賄の悪癖は残るでしょう。華僑が経済を牛耳る東南アジアを見れば分かります。

記事

中国語で“官員”とは、「任命を経て一定の職務を担当する政府職員」を意味する。その官員に関するネット上の不完全な統計によれば、中国では2012年11月から2016年7月末までの間に1235件の“党(中国共産党)”“政(中国政府)”“軍(中国人民解放軍)”の官員による自殺事件が発生し、782人が死亡した。そのうち、広東省、江蘇省、北京市、遼寧省、安徽省の5省・市では自殺で死亡した官員が100人を上回った。

2012年11月とは、中国共産党第18期全国代表大会(以下「党18期全国大会」)で“習近平”が選出されて“中央委員会”総書記に就任した時期である。要するに、習近平が中国共産党の最高指導者である総書記に就任してから3年8カ月の間に782人の官員が自殺で死亡したということである。

官員の自殺は年を追うごとに増大

一方、香港の英字紙「サウスモーニングポスト」は2016年6月20日付の記事で、「習近平が2012年11月に政権を握って以来、自殺あるいは非正常に(たとえば、河で溺れる、あるいは酒に酔って)死亡した官員はすでに120人に上り、前任の“胡錦濤”が2003年から2012年11月まで政権にあった時に報じられた68人よりも倍近い数字になっている」と報じている。ネット上の統計とサウスモーニングポストの記事では、期間が同じにもかかわらず、官員の死亡者数に前者が782人に対して後者は120人と大きな違いがある。これは数字に含めた官員の階級が異なるからと考えられ、前者は階級に限定しない官員全体のうちの自殺による死亡者数であるのに対して、後者は一定の階級以上に限定した官員のうちの自殺による死亡者数なのだろう。

2017年10月、香港の“中国人権民運信息中心(China Information Center for Human Rights and Democracy)”は、党18期全国大会の開催から現在まで官員の自殺は年を追うごとに増大していると報じ、次のように述べた。すなわち、2016年だけで1700人に達する“副科級(係長クラス)”以上の官員が自殺で死亡したが、これは1966~1976年の“文化大革命”の時と比べてより一層深刻な1年だった。なぜなら、文化大革命の期間中に自殺がピークに達したのは1967年であったが、その年に自殺した官員は約1300人であったからである。多くの情報源から得た中国官員の自殺状況に関する調査によれば、2015年における“副科級”以上の官員の自殺死亡者は1500人であったが、2016年には1700人に増加した。この状況は2017年にはもっと悪化することが予想される。

2017年4月にシンガポールの華字紙「聯合早報」は「データが示す党18期全国大会以降の官員自殺者数の顕著な増大」と題する記事を掲載して下記の内容を報じた。

(1)“北京師範大学”政府管理研究院の院長“唐任伍”は、“反腐敗(腐敗反対)”と自身の能力が新しい情勢下の業務要求に追い付かないことが、官員に対する圧力を倍増する原因であると分析した。その圧力によって精神的に追い込まれた官員の多くが“抑郁症(うつ病)”を発症するのである。

(2)“中国科学院”の“心理研究所”「国家公務員心理健康応用研究センター」の研究データによれば、2009年から2016年までに自殺した官員の人数は243人だが、年毎の人数は以下の通り。

2009年:21人、2010年:25人、2011年:22人、2012年:17人、2013年:10人、2014年:59人、2015年:50人、2016年:39人 <累計:243人>

(3)自殺した官員の人数は、党18期全国大会後の最初の年(2013年)に10人まで減少したが、その翌年(2014年)には5倍に増大して59人になった。その後は減少に転じて2016年には39人になったが、それでも党18期全国大会の前年(2011年)の22人よりも明らかに数字は大きい。一方、中国政府寄りの学者による統計によれば、官員の自殺で最も一般的な方式は“跳楼(ビルからの飛び降り)”であり、その主な原因は“抑郁症(うつ病)”である。

国監察委の設立と関係あり?

さて、米国の中国語ニュースサイト「“阿波羅新聞網(アポロニュースネット)”」は2018年5月29日付で、「1カ月足らずで7人の官員が自殺、状況の異常が関心を集める」と題する記事を掲載した。その概要は以下の通り。

【1】1カ月足らずの間に、中国の官界では少なくとも7人の官員が自殺をはかり、そのうち6人が死亡した。ある人権活動家は、その原因は2018年3月に新設された“国家監察委員会”(以下「国監察委」)と関係があり、官員は国監察委に調査されるのを恐れて自殺を選択するのだと思うと述べた。また、ある憲法学者は、“中国共産党中央委員会”(以下「党中央」)による腐敗反対活動が一向に手加減されないため、一部の官員たちは疑いなく恐慌を来し、長期にわたって巨大な心理的圧力を受けている。中国共産党第19期全国代表大会で新たな腐敗反対専門部門として国監察委が設立されたことは、党中央が汚職腐敗行為に対する処罰に改めて注力することを意味する。

【2】メディアによれば、5月に相前後して少なくとも7人の官員が自殺した。自殺したのは、浙江省“寧波市”党委員会宣伝部副部長の“胡虎森”(享年47歳)、北京市政府副秘書長の“王暁明”(享年58歳)、江西省“上饒市”の“広豊区”副区長で公安局長の“鄭金車”(享年53歳)、江蘇省“建湖県”老幹部局長の“成萬東”(享年不詳)、“天津農商銀行”党委員会書記兼“董事長(頭取)”の“殷金宝”(享年54歳)、浙江省“衢州市”紀律委員会書記で監察委員会主任の“李伯来”(45歳)の7人だったが、李伯来を除く6人は全員が死亡した。

【3】王暁明、鄭金車、殷金宝、成萬東の4人は先週(5月20~26日)次々と自殺を図って死亡した。殷金宝は天津農商銀行へ転任後1年足らずで、官員として順調に昇進していたのに、突然に執務室でリストカットして亡くなった。また、成萬東は“浙江大学”で開催された建湖県主催の指導幹部に対する7日間の指導能力向上研修の期間中に自殺したため、研修で何があったのかと外部の注目を集めた。

【4】上述した人権活動家は、「わずか1カ月の間にこれほど多くの官員が自殺したのは、国監察委が設立された後に汚職腐敗の取り締まりを強化する旨の内部文書が伝達され、調査で汚職腐敗行為が判明すれば厳しい懲罰を受けねばならないので、死ねば調査が打ち切りになると考えて、自殺を遂げたのではないか」と述べた。

北京市副秘書長の王暁明は5月21日に執務するビルから飛び降り自殺して亡くなったが、彼の家族によれば、医院の診断記録が示しているように、王暁明は長期にわたって“抑郁症(うつ病)”を患っていたという。上述の中国科学院心理研究所の研究データによれば、2009年から2016年までの8年間に自殺した243人の官員の年齢は43歳から55歳の間で、その半数がうつ病であったと診断された。中国のSNSにあるネットユーザーは、「我が家には官員が3人いるが、3人とも申し合わせたようにうつ病で、そのうちの義兄はもう少しで自殺するところだった」と投稿した。

中国の官界ではうつ病はタブー

この点について北京市のある批評家は、次のように述べている。すなわち、現在の官員は昔に比べて厳しい状況にある。現在の役人は給与も非常に高い訳ではなく、“高薪養廉(給与が高いので汚職腐敗行為をせずに清廉潔白)”ではない。過去は権力を用いることで高給でなくとも役得があり、官員として収入が少なくとも、個人の利益で補うことができた。しかし、現在では習近平による官員に対する締め付けは昔に比べて厳しいものがあるだけでなく、世論やインターネットによる監視もあり、官員稼業は楽なものとは言えない。

こうした厳しい環境下で重い圧力を受け続けることで、官員の中にうつ病患者が多発することになるが、中国の官界ではうつ病はタブーなのである。それは、「うつ病を患った官員の抜擢は許されない」という組織の規定があるからで、うつ病を患った官員はうつ病であることをひた隠して健康を装っているが、ひとたび国監察委が官員の汚職腐敗行為を調査するとなると、処罰を恐れて自殺の道を選ぶことになる。

“中国人民大学”の「国家発展・戦略研究院」副院長の“聶輝華”教授は、汚職腐敗官員が自殺するのは3つの利点があるからだと述べているが、その3点は以下の通り。

(1)汚職腐敗行為の証拠を消し去り、同僚を守る。
(2)家族が持つ既得利益を守る。
(3)犯罪者となって侮辱を受けるのを免れ、自身の名声を守る。

正規の治療を受けているのはわずか4.9%

ところで、広東省“広州市”に本部を置く週刊紙「南方週末」は2018年2月1日号で『“抑郁症氷山(うつ病氷山)”』と題する記事を掲載した。その概要は以下の通り。

【1】世界保健機関(WHO)は、2020年までにうつ病が“心脳血管病(心臓・脳血管疾患)”に次ぐ人類にとって第2の重大疾病となると予測している。毎年うつ病を原因とする自殺で死亡する人は100万人に上るが、うつ病の発症率は11%だから、10人に1人がうつ病になる可能性がある。2009年に英国の医学雑誌「ランセット(The Lancet)」に掲載された論文には、中国でメンタルヘルスサービスを必要とする人は2.48億人に上っているが、そのうちで専門家の支援を求めたことのある人は8%であり、正規の治療を受けているのはわずか4.9%に過ぎないと書かれている。

【2】1カ月前(2018年1月)に中国で最大の民営精神専門医院である“温州康寧医院”が株式上場を果たして社会に波乱を引き起こしたが、その株主を呼び込むためのキャッチフレーズは「中国では精神病を患う人の数が急速に増大している」という文句だった。これより9年も早い2009年に“中国疾病予防制御中心(センター)”の「精神衛生センター」が発表したデータによれば、中国には各種の精神障害患者が1億人以上いて、そのうちの1600万人以上が重度の精神障害患者数であるという。従い、中国の総人口は13.9億人(2017年末時点)だから、国民の14人に1人は精神障害患者であるということになる。

【3】現在の中国には1億人以上の精神障害患者がいて、そのうちの1600万人以上が重度の精神障害者である一方で、うつ病の患者は約8000万人いると推定されている。しかし、2015年の“衛生統計年鑑”のデータによれば、中国には精神科の資格を持つ専門医は2万7000人、心理治療士は5000人余りで、合計3万2000人しかいないのが実情である。中国の精神衛生に携わる医師と看護師の人数は増加が緩慢で、世界の中高所得国の平均水準が人口10万人当たりの精神科医師は2.7人、精神科看護師は5.35人であるのに比べて大きな差がある。

【4】ところが、南方週末の記者の調査によれば、中国国内には精神科の専門医と心理治療士が合計3万2000人いるというデータには多大な水増し分が含まれていて、14%の精神科専門医は何らのトレーニングを受けたこともないし、29%の人は大学の教育証明書を持っているだけだという。中国では精神衛生に携わる医師と看護師の社会的地位は低く、福利厚生も劣ることから、全体の素質も低いのが実態で、精神科の医師は専門医師と言える水準には到達していないのである。

13.9億人の人口に対して精神科医と心理治療士がわずか3万2000人しかおらず、しかも精神科医は専門医の水準に到達していない実態があり、一方には8000万人と推定されるうつ病患者がいる。これではうつ病を治癒して患者を削減することは難しい。中国は急速な経済発展を遂げたが、今では中進国の罠に陥って発展が停滞し、人々は社会の厳しい現実に直面して重圧に押しつぶされ、うつ病患者が増えることはあっても減ることはないのである。

2012年11月に中国共産党中央委員会総書記に就任した習近平は、2013年1月に「トラ退治とハエ駆除」を同時に行う旨の重要演説を行い、“反腐敗(汚職腐敗反対)”闘争の開始を宣言した。この闘争を陣頭指揮したのは習近平の盟友であり、党中央政治局常務委員で、党“中央紀律委員会”書記の“王岐山”であった。王岐山が指揮した反腐敗闘争では、2013年から2017年までの5年間で120人の閣僚級の高級官員が逮捕され、そのうち105人が起訴された。また、摘発された官員は130万人に上り、25万4419人が汚職腐敗で立件された。

「王岐山に会うくらいなら、閻魔に会った方が良い」

中国の官界では“寧見閻魔、不見老王”という言葉が流行している。この意味は「老王に会うくらいなら、閻魔(えんま)に会う方が良い」だが、実は香港の文豪で中国侠客小説の大家“金庸(きんよう)”の作品「書剣王仇録」にある“寧見閻魔、莫見老王”(意味は同上)を引用したものである。後者の“老王”は輸送業者の用心棒で、人々に恐れられた剣客の“王維揚”であったが、前者の“老王”は王岐山を指す。「王岐山に会うくらいなら、閻魔に会った方が良い」とは言い得て妙だが、汚職腐敗行為を行った官員にとってはそれほどに恐ろしいのが王岐山であるということである。

中国では官員自殺の多発を“自殺潮(自殺ブーム)”と呼ぶが、その原因を作ったのは習近平であり、官員を自殺に追い込んだのは王岐山である。王岐山は2017年10月に党政治局常務委員と党中央紀律委員会書記を引退し、2018年3月からは国家主席の習近平に次ぐ国家副主席に就任しているが、その威光は依然として強いものがあり、反腐敗闘争を裏で指揮していると言われている。

筆者は常々、「中国はモグラ叩きゲームの国で、何かを取り締まるキャンペーンが始まると、人々は穴倉に潜み、嵐の過ぎるのを待ち、キャンペーンの圧力が緩むと徐々に顔を出し、何もなかったように、従来通り悪事を働く」と説明している。習近平が主導し、王岐山が陣頭指揮した反腐敗闘争は5年を経過してもなお継続している。

このため、嵐の過ぎるのを待ち望んでいたうつ病患者の官員たちは、「王岐山に会う」、すなわち「王岐山の指揮の下で行われる汚職腐敗調査を受ける」のを恐れて、次々と自殺を遂げ、上述した3つの利点を享受しているである。「すまじきものは宮仕え」と言うが、たとえ権力を持ち、汚職腐敗で懐を肥やせるとしても、自殺するくらいなら、官員にはならない方が良さそうだ。

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『米朝出直し、矛を収めた米国の「地政学」的事情 あいまいな米朝合意が導く「戦域核による抑止論」』(6/7日経ビジネスオンライン 森英輔)、『米国民は米朝首脳会談をどう見ているのか、日本人が知らない本音』(6/7ダイヤモンドオンライン 長野美穂)について

6/8看中国<中国罕见为金正恩新加坡派中国は稀なことであるがシンガポールへ向かう金正恩の為に編隊を組んで保護

法国国际广播电台报导,“川金会”于6月12日在新加坡举行,中国或在金正恩座机飞经中国领空时,派遣编队战机护航。有消息透露,金正恩专机老旧,有可能在中国福建稍停加油、技术安检后,在飞往新加坡。但也有分析认为,中方担心被边缘化,想尽方法提高对“川金会”的影响力。=仏・国際TV局は「米朝首脳会談は6/12に行われるが、中国は金の乗った飛行機が中国領空を通る時に編隊を組んで守る。情報通が明らかにするところでは「金の専用機は古く、福建省で降りて給油するだろう。技術の安全面が確認されたら、シンガポールに向けて飛び立つ。中国は朝鮮半島に関与できないのを恐れ、首脳会談への影響力を高めるためいろんな手段を尽くしたいと。>

昨日の本ブログの鈴置氏の話と繋がります。金の帰路に撃墜されないようにでしょう。

6/8看中国<蓬佩奥加入美中贸易论战 川金会后访华(图)=ポンペオは米中の貿易論戦に参加 米朝首脳会談の後に訪中>ロイターによれば、金は6/10にはシンガポールに着き、会談の準備をする。ポンペオもそれに出席するため、先に韓国で日米韓の外相会議を開く。FTによれば「米国の貿易交渉団は米国の貿易赤字削減と中国の構造改革を要求してきたが、米貿易団は方針が定まらず、中国はどう付き合ってよいか分からない。北の問題があるのでポンペオは貿易団に任せる訳にも行かなくなった。米中の体制の違いもあり、中国と協議達成しても、国内では反対の声が上がる。中国はこの数10年来言うだけで何もしてこなかったから。信用されていないので米国は中国を疑い、相手を倒す絶妙の手を放そうとはしない。中国の役人(劉鶴のこと?)は挫折感を漂わせて「引延しや絵に描いた餅等のドッグファイトは必要がない」と述べた。ポンペオは。首脳会談の準備に影響がある場合のみ、介入する」と。ブルームバーグ社は「WHは会談で、金が非核化のタイムテーブルを承認してほしいと願っている。WHは会談の成否は北の態度如何による。それはトランプが今までずっと聞いてきた意見は金に対し譲歩はしないと言うものであるからである」と報道。

https://www.secretchina.com/news/gb/2018/06/09/861133.html

6/8ビジネスジャーナル・渡邉哲也<米が中国スマホ大手に巨額罰金で制裁解除、「米国の法を守らなければ潰す」米中貿易戦争が幕開け>「今回の合意内容は、ZTEと中国政府にとって、非常に厳しいものであるといえる。罰金10億ドル(約1100億円)と供託金4億ドル(440億円)この額も巨額であるが、それ以上に厳しいといえるのは、経営陣の刷新と米国側が選任する新たなコンプライアンスチームを10年間にわたり設置するという条件である。これにより、たとえ、中国企業であっても米国と取引する以上、米国の法を守らなければ潰せることを世界に示したわけである。」とあり、経済のCVIDみたいなものを米国は作れたという事でしょうか?しかし中国人を良く知っている小生としては中国人はそれでも裏でいろいろ誤魔化しをするでしょう。共産党、政府・役人、取引先、従業員がグルとなって。まあ、米国も如何に中国人が嘘つきか、腐敗しているかをその目で見てみると良いです。大東亜戦争も違った目で見れるようになるかも。

https://news-vision.jp/intro/188420/

6/8ブルームバーグ社<FBやグーグルの公聴会目指す、中国メーカーとの関係で>国の安全の基幹となるIT産業が敵国・中国に取り込まれていたのでは話になりません。米議会は売国奴を締め上げてほしい。自分の利益だけ考えて、国の安全を危険に晒すような輩は監獄送りで良いと思います。日本もスパイ防止法を制定し、危険行為をする人間は最悪死刑に処すべきです。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-06-08/P9Z9OH6S972901

秋元氏も北の非核化を疑っています。上述の看中国の記事によれば、米国が非核化のタイムテーブルを出すようですから、金が呑むかどうかにかかります。しかしどこまで査察を許すかです。またトランプが北を中露から引き離す思惑もあるのではとの見方ですが、それができれば万万歳でしょう。でも虐殺好きな独裁者が残ってしまいます。北にクーデターが起きるのが一番良いのかと。また会談の成否とは別に、日本は米軍とのニュークリアシエアリングを進めていく必要があります。

長野氏記事は米国人の草の根民主主義の強さを感じ取りました。都会はリベラルが多いのでしょうけど、地方は健全な魂を持った人が多いという事です。それでもトランプ支持を打ち出しにくいというのは左翼・リベラルが言論弾圧しているからです。日本も全く同じ構図ですが。

金が騙そうとしたら米国はEMPを使い、軍事行動に打って出てほしい。

森記事

トランプ米大統領が6月1日、一度は中止を表明した米朝首脳会談を当初の予定通り12日に実施すると発表した。北朝鮮の“泣き”を受け入れて開催を再度決めたにもかかわらず、米国は条件面で譲歩したように見える。その背景に何があるのか。地政学的視点の重要性を説く秋元千明・英国王立防衛安全保障研究所アジア本部所長に話を聞いた。

(聞き手 森 永輔)

金正恩委員長の側近、金英哲氏(左)をクルマまで送って出たトランプ米大統領(右から2人目)(写真:AP/アフロ)

—ドナルド・トランプ米大統領が6月1日、米朝首脳会談を当初の予定通り12日に実施すると発表しました。それは良いとして、その後の展開は不思議な様相を呈しています。米国が条件を緩和しているように見えるからです。トランプ大統領は訪米した金英哲(キム・ヨンチョル)氏に非核化は「ゆっくり進めてください」と発言。「『最大の圧力』という言葉はもう使いたくない」「対話が続いている間、追加制裁はしない」と語ったことも報じられています。
トランプ大統領は5月24日に同首脳会談の中止を表明。これに対して北朝鮮はわずか8時間後に反応。金桂官(キム・ゲグァン)第1外務次官が「わが方はいつでも、いかなる方式でも対座して問題を解決していく用意があることを米国側にいま一度明らかにする」(朝鮮中央通信5月25日)とまるで泣きを入れるような談話を発表しました。ここから12日開催に向けた再調整が始まりました。

秋元:北朝鮮の核問題は2つの軸で見る必要があります。1つは非核化そのものです。

この点について、米国の姿勢に変化はないと思います。「CVID(完全で検証可能かつ不可逆的な非核化=Complete, Verifiable, and Irreversible Dismantlement)」を求める意思にブレはありません。「一括」 での実現を求めていた非核化について、最近では時間をかけて実現するような表現をしていますが、そもそも非核化は短期間でできるものではありません。たった1回の会談で非核化に関する全ての事項に合意し、その実現のための行動計画でも合意するのは困難です。

非核化の実現にかかる期間をCIA(米中央情報局)は6カ月、国務省は2年程度としています。もっとも、これは北朝鮮がもし本気で非核化に応じればの話であり、私は懐疑的です。

秋元千明(あきもと・ちあき)氏
英国王立防衛安全保障研究所アジア本部(RUSI Japan)所長。 早稲田大学卒業後、NHKに入局。30年にわたって軍事・安全保障分野の報道に携わる。1992年、RUSIの客員研究員に。2009年に同アソシエイトフェローに指名された。2012年にNHKを退職し現職に就く。大阪大学大学院で招聘教授、拓殖大学大学院で非常勤講師を務める

通常の首脳会談なら、こうした点を詰めて合意できるとの確証を得てから、首脳会談の開催を決断します。しかし、今回の場合、3月8日に韓国の特使、鄭義溶(チョン・ウィヨン)大統領府国家安保室長がトランプ大統領と会談し、金委員長がトランプ大統領との会談を熱望していると伝えると、同大統領がその場で受け入れてしまいました。つまり詰めの作業が後回しになってしまったのです。この点を考え合わせれば重要な問題が未解決のまま先送りされることになる可能性は否定できないでしょう。

「『最大の圧力』という言葉はもう使いたくない」という発言は確かに腰が引けているように聞こえますが、1週間後に首脳会談が控えているのです。この段階で交渉相手を刺激するような発言をするのは賢明ではありません。

—朝鮮戦争の終結にも米国は触れていますね 。

秋元:これも象徴的な意味しかないと考えます。朝鮮戦争の終結は、休戦協定が結ばれた時から将来の目標としてずっと掲げられてきましたし、事実上戦争はずっと前に終わっています。ただし、在韓米軍の撤退の口実として使われないよう警戒する必要があります。

依然として続く大国間の綱引き

—もう1つの軸は何ですか。

秋元:東アジアの大国が朝鮮半島をめぐって織りなす勢力争いです。これは将来の東アジアの戦略地図に重大な影響を与えます。

中国・大連で5月7~8日 、2回目の中朝首脳会談が行われた後、北朝鮮の態度が急に硬化しました。中国が何を求めたのかは推測するしかありませんが、「安易な妥協はするな」という内容だったと思います。中国にとって、西側を核で脅し続ける北朝鮮が緩衝地帯として存在するのは必ずしも悪いことではありません。だから、北朝鮮の崩壊を望まないのです。

その後、ロシアも5月31日、ラブロフ外相を北朝鮮に派遣しました。中国と似たような立場で北朝鮮に接したのだと思います。北朝鮮を抱え込んでいたかった。

こうした展開の中で、トランプ大統領はCVIDを重視しつつ、それにこだわりすぎて北朝鮮を中ロの側に追いやってはならないとも考えたのでしょう。ここで首脳会談を蹴飛ばしてしまえば、北朝鮮は完全に中ロの側に寄る可能性があります。同大統領が譲歩したように見えるのはそうした思惑が働いているからだと思います。

もし、トランプ大統領がこう考えたとしたら、分からなくもありません 。北朝鮮を米国側に取り込むことができれば、たとえ今、すぐの非核化を実現することができなくても、近い将来できるかもしれない。一方、北朝鮮との関係がさらに悪化すれば、非核化の実現には戦争しか手段がなくなります。あくまで即時の非核化に過度にこだわることが米国の安全保障に寄与するのかどうか、慎重に判断する必要があります。秋に中間選挙を控え、戦争へ進む道が支持率を上げるのか、それとも、短期的でも外交的な成果を上げる方が支持率を上げるのか、そのへんの読みだと思います。

北朝鮮に内部分裂の可能性

こうして、大国が北朝鮮を自身の側につけようと綱引きをする中でカギとなるのは北朝鮮の考えです。

—そもそも、中国が韓国と国交正常化を進めたことが、北朝鮮が核開発を進めた理由の1つと言われます。

秋元:そうですね。北朝鮮の生存を保証できるのは米国だけです。だから、トランプ大統領が首脳会談の中止を表明すると、金第1外務次官が「トランプ大統領がこれまでどの大統領も下すことができなかった勇断を下し、首脳対面という重要な出来事をもたらすために努力したことについて、ずっと内心は高く評価してきた」 との談話を出したわけです。これほど低姿勢な北朝鮮の声明に接したことがありません。

もしかすると、北朝鮮の中で意見が2つに割れているのかもしれません。中ロに寄り添うべきだと考える勢力と、米国との融和を優先すべきだと考える勢力です。この2つの勢力のバランスが変化した時に、北朝鮮が方針を突然転換したかのように見えるのではないでしょうか。

先ほど触れた、金第1外務次官の談話はこの例と言えるでしょう。金委員長と習近平(シー・ジンピン)国家主席の第2回会談を受けて親中派が勢いを得て、崔善姫(チェ・ソンヒ)外務次官が米国を挑発した。「米国がわれわれの善意を冒涜(ぼうとく)して非道に振る舞うなら、朝米首脳会談の再考を金正恩(キム・ジョンウン)委員長に提起する」 という5月24日の発言です。

トランプ大統領が同日、これに反発して会談の中止を表明すると、金第1外務次官が翌25日「ずっと内心は高く評価してきた」と言い訳にも聞こえる談話を出し、態度を一変させた。普通の北朝鮮ならあり得ないことです。政権内で「お前があんなこと言うからこんなことになったんだ」といった責任のなすり合いがあったのかもしれませんね。

このあたりのことは、金委員長がどれだけの力を持っているかによります。真の実力者としてすべてを統制しているのか。それとも、政権内に複数のグループがあり、その上で調整役を演じているのか。後者の見方はこれまであまりされたことはありませんでしたが、可能性は捨てきれません。

そして同じ過ちを繰り返す

—以上の話を踏まえて考えると、6月12日の米朝首脳会談ではどのような合意が成されるでしょう。

秋元:非核化に向けた具体的なプロセスについての明確な合意は難しいと思います。将来に向けた努力目標を列挙するあいまいな合意に留まるかもしれません。

もし、そうなら、この合意は必ず批判にさらされるでしょうね。「何の成果も生まない」と。トランプ大統領は「会談のための会談はしない」と言い続けて来ました。しかし、まさにその会談のための会談になるわけですから。

—身内である共和党からも批判されそうです。

秋元:避けられないでしょうね。

朝鮮半島をめぐる地政学的な綱引きという視点から見れば、必ずしも意味のない会談ではありません。問題は、このような曖昧な合意が北朝鮮に誤ったメッセージを送る危険があることです。もし、北朝鮮のこれまでの行動を米国が認めたなどと誤解すれば、さらに核とミサイルの開発を続けるでしょう。そもそも、現在の北朝鮮の突然の融和姿勢は、核やミサイルの開発が最後の仕上げ段階に入って、そのための時間稼ぎをする戦術に過ぎないと私は思うからです。

そうなれば、トランプ大統領の選択は第2次世界大戦前夜、英国のチェンバレン首相がドイツの軍備増強を許し、結果として戦争を招来させた宥和政策になぞらえて、“第2のチェンバレン合意”とよばれることになるでしょう。脅威との対決を避けるために解決を先に送ると、結局はさらに強大な危機に直面するということです。

ですから、6月12日の会談が単に北朝鮮の時間稼ぎに協力するだけの会談に終われば、戦争はいっきに現実味を帯びてくると思います。

中距離戦域核による抑止を考える

—優秀なディールメーカーを自称するトランプ大統領としては恥ずかしい結果になりかねないわけですね。
米朝首脳会談があいまいな合意とその反故に進むとすると、日本はいかに備えれば良いのでしょう。秋元さんは中距離戦域核による抑止に注目されていますね。

秋元:ええ。米国が最近発表した核戦略の中で指摘しているように、遅かれ早かれ米海軍の艦艇に核弾頭搭載のミサイルを配備することが検討課題となってくると考えています。

これは欧州で1980年代に起きた危機から得られる教訓です。当時のソ連は西欧を射程に収める中距離核ミサイル「SS20」を配備しました。これは西欧諸国の脅威となるものの米国の脅威とはならない。ソ連による分断策(デカップリング)を恐れた西欧諸国は米国に中距離核を配備するよう働きかけ、米国は弾道ミサイル、パーシングIIとGLCM(地上発射巡航ミサイル)を西欧に配備しました。この中距離核の配備は抑止力として機能し、東西冷戦終結のきっかけとなりました。

中距離核の配備には全面核戦争の敷居を高めるという狙いもありました。SS20に対して、米国が保有する戦略核兵器で対抗すれば、欧州の紛争が地球規模の戦争に一挙にエスカレートしかねません。

北朝鮮の核ミサイルの開発をこのまま容認すれば、近い将来、北朝鮮が保有する核に対して、欧州の中距離核と同じような地域配備の核抑止力を東アジアにも配備すべきだという意見が強まるでしょう。それは日本のいわゆる非核三原則にも影響を与えるでしょう。

だから、北朝鮮が持つ中距離核ミサイルもしくは中距離ミサイルを、米国を狙うICBM(大陸間弾道ミサイル)と並行して廃棄させることにも取り組む必要があるわけです。

中国が北朝鮮による統一を支援すれば後ろから刺される

—大国間の覇権争いについて伺います。確かに第1次世界大戦や第2次世界大戦の前は各国が覇を争っていました。現代の覇権争いはどのようなものなのでしょう。

秋元:現代の世界は第1次世界大戦前の世界と似ています。それまでの大国が力を失い始めると、その力の空白を埋めようと新興の大国が覇権を拡大する。しかし、旧覇権国はただ黙って見ているわけにはいきませんから、そこで軋轢が生じる。現代の世界と同じですね。

当時は英国やロシア、オスマン帝国など大国の力に陰りが見え始め、その機に乗じて、ドイツが台頭した。現代は20世紀の覇者、米国の影響力が下がる一方で、中国が台頭している。

国家同士の連帯にきしみが生じているのも似ています。英国のEU(欧州連合)離脱をきっかけとしたEU域内の動揺もそうだし、NATOの連帯にかげりが見えているのも事実です。2011年に起きたリビア内戦にNATO(北大西洋条約機構)が軍事介入した際には、参加国が途中からどんどん離脱しました。NATOが共通目標とする国防費の最低値(GDPの2%)を満たす国は2018年、28カ国中8カ国にとどまる見通しです。

ただ、現代では勢力争いのツールは軍事力だけではありません。戦略的な構図は変わっていないけど、それを実現するための戦術が変わってきている。経済支援やPKO(平和維持活動)の派遣によって対象国の抱き込みを図ることができます。軍事力を行使しなくても、誰がやったかわからないサイバー攻撃や対象国の世論を誘導するハイブリッド戦を仕掛けることもできます。

中国が進める一帯一路構想は経済というツールを使った世界覇権確立のための野望です。日本が取り組んでいる太平洋・島サミットやアフリカ開発会議もこれに対抗するツールの一例と言えるでしょう。

朝鮮半島をめぐる米ロ中の動きもこうした視点から見る必要があります。中国はあわよくば韓国まで手中に取り込もうとしているように見えます。ただし、韓国の外交姿勢には一貫した戦略があるようには見えません。常に場当たり的で変化しやすいので、中国が韓国を抱き込むのは容易なことではないでしょう。

—綱引きの一方の雄である中国にとって、北朝鮮がどのような状態にあることが好ましいのでしょう。

秋元:中国にとって、北朝鮮は常に西側との緩衝地帯でなくてはなりません。国境を接した北朝鮮が親米政権になるなど悪夢です。つまり、中国は北朝鮮が今のような状態でいるのが好都合と考えているでしょう。北朝鮮は中国にとって不愉快な国であるかもしれませんが、北朝鮮との一定の関係を保っていれば、西側に対する外交カードとしてこれを使うことができます。

ですから、もし、北朝鮮と韓国が将来、統一に向けて動き出したら、これは中国にとって悪いシナリオです。米国と韓国が主導して朝鮮半島を統一すれば中国の国境に接して西側の自由陣営が生まれることになります。かといって、もし、そうした動きが朝鮮半島で始まった場合、中国はそれを阻止することはできないでしょう。朝鮮半島に手を出せば背後から刺されかねません。

—後ろから刺されるのですか?

秋元:香港の民主化を求める勢力、チベット、ウイグルなどの民族の独立を目指す勢力にです。中国の軍事的能力のほとんどは海外に対してではなく、国内を掌握するために向けられています。もし、その能力を海外への進出に使おうとすれば国内を掌握する能力が相対的に弱まります。それは体制の危機を招きかねません。

—そのような国がどうして海洋進出をしたりするのでしょうか。

秋元:中国は自国の安全を維持するための緩衝地帯を自国の周囲に作りたいのです。南シナ海などの海洋進出にもそうした側面があります。

民主主義国と独裁国家とでは発想が異なります。民主主義国はその特性として、理念を共有する国同士が仲間を作り、増やし、安全保障に関わる役割分担、つまり同盟を作る習性を持っています。一方、独裁国家同士にはそれがありません。したがって、利用し合う関係はあっても、運命共同体としての真の同盟は存在しない。その結果、自分の国は常に自分で守らなくてはならず、そのために国家の周辺に緩衝地帯を置きます。これは中国やロシアのようないわゆるランドパワーの特性でもあります。

中国が南シナ海の環礁を埋め立て軍事拠点化し、緩衝地帯を築くのは、南シナ海を足場に将来、外国へ進出しようというものではなく、自国の周辺に友好国や同盟国が存在しないから、安全地帯を作っておきたいのです。北朝鮮に対してもそうです。友好国ではなくても、緩衝地帯として自らの勢力圏に置くことが中国にとっての利益なのです。

長野記事

トランプと金正恩に翻弄され、予測不能な米朝首脳会談の行方を、当の米国民はいったいどう見ているのか。現地で日本人が知らない本音に迫った Photo by Keiko Hiromi/Photo:「労働新聞」より

米国と北朝鮮の両トップが史上初めて顔を合わせる6月12日の米朝首脳会談(トランプ・キム・サミット)。世界が注目するこのイベントを前に、北朝鮮と距離が近く利害関係が強い日本人・韓国人の「期待」や「不安」の声は、日々報じられている。一方、 地理的に北の脅威を日韓ほどは身近に感じていないと思われる米国人の本音は、日本ではあまり報道されない。とはいえ、そもそも北の核開発は世界最大の核武力を持つ米国に自国の存在を示すのが主目的だった。ツイッターで金正恩を「ロケットマン」と呼んで非難したかと思えば、「北朝鮮の繁栄を強く信じている」と綴るトランプ大統領の予測がつかない外交姿勢を受け、「世紀の対談」を前に米国民たちはいったい何を思うのか。現地で彼らの本音に迫った。(取材・文・撮影/ジャーナリスト 長野美穂、文中敬称略)

世紀の首脳会談は6月12日に開催 気炎を上げるトランプ支持者たち

「私はトランプの交渉術に、大いに期待しているわよ」

そう語るのは、ミシガン州在住のジュディ・シュワルバック。ミシガン湖のほとりの人口1万2000人のエスカナバ市で、夫と共にキッチン・キャビネットを販売する店を営む63歳の女性だ。

彼女が住む北ミシガンは、大自然が広がり、狩猟やアウトドアスポーツの盛んな地域だ。地理的に半島の上部に位置することから「Upper Peninsula」の頭文字を取って「ユーピー」と呼ばれる。その住民たちは自らを「ユーパー」と呼ぶ。ジュディは2002年に同市の市長に立候補し、5年半の間、地元政治の現場も経験してきた。

「トランプには、キム(金正恩)と直接会って、北朝鮮に核ミサイル廃絶を約束させてほしい。世界平和のために。もし、一気に核兵器を手放させるのは無理でも、トランプなら何らかの取引を成立させるはず。北朝鮮で逮捕され拘束されていた3人の米国市民を、最近、釈放させたようにね」

ジュディの夫は、毎日どこへ行くにも「メイク・アメリカ・グレイト・アゲイン」というスローガンが縫い込まれた帽子を被って歩く、筋金入りのトランプ支持者だ。だが彼女本人は、大統領選挙前はトランプ支持ではなかった。

「私、トランプをクレイジーだと思っていたの。彼がヒラリーを犯罪者と呼んだのはまあいいとしても、共和党候補者のジェブ・ブッシュ(編集部注:ジョージ・W・ブッシュ元大統領の弟)を『エネルギーに乏しい男』って非難したから。あれはひどいわ。私、ジョージ・ブッシュ大統領時代にホワイトハウスのパーティーに招かれたから、ブッシュ一家には親しみを持ってるし」

そんな彼女だが、共和党大会で直接トランプのスピーチを聞き、彼の娘・イヴァンカ主催の会合に出るうちに、実業家としてのトランプの交渉力に一目置くようになったという。

「トランプが金正恩を『ロケットマン』と呼んだのは、子どもじみた喧嘩のよう。でも、あれもトランプなりのプレッシャーのかけ方ね。口は悪くても、直接交渉でいい結果を引き出せればいい。オバマは世界平和を唱えていたけど、平和をどうつくり出すかの具体策に欠けていた」

今回、一度はシンガポールでの米朝トップ会談をキャンセルすると宣言したトランプ。それと同時に、北朝鮮側は核実験場を爆破したと発表し、その映像を公開した。一連の動きをどう思うかを聞くと、ジュディは爆笑した。

「あんな核実験場爆破なんて茶番を、米国側が信じると思っているとしたら、相当おめでたいわよね。国民を飢えさせても、多額の資金を核兵器開発に注ぎ込んできた北朝鮮が、そう簡単に成果を諦めるわけがない。キムの交渉ゲームよ。当然、現地で検証すべきでしょ」

日本や韓国は米国が守る  世界最強の核兵器で

朝鮮半島から遠く離れた北ミシガンに住むジュディやその家族にとって、核ミサイルの脅威は身近なものではない。だが、日本や韓国やハワイがその脅威に晒されるとすれば、黙ってはいられないという。

「同盟国を守るのは私たち米国の役目だから。日本や韓国は何としても米軍が守るわよ。万一、キムが日本に核ミサイルを発射しようものなら、彼は自国を破壊することになる。そのためにも、米国は世界最強の核兵器を持っているんだから」

ジュディの家の周辺には野生の狼が出没し、飼い犬を襲って食べてしまうため、彼女は銃を携帯し、射撃の訓練も欠かさない。

「自分の武器を管理し自衛することは、幼い頃からハンターだった父から叩き込まれてきた。私だけじゃなく、ユーパーは皆そうよ。だから北朝鮮のキムがいくら独裁者でも、自国を自衛するための軍隊まで取り上げるつもりはない。核兵器はダメだけどね」

彼女はまた、トランプがツイッターで「北朝鮮の国民が今後、経済的に繁栄することを希望する」と綴ったことも評価した。

「北朝鮮が核兵器を諦めると約束すれば、米国には小麦やとうもろこしが余ってるんだから、北朝鮮の国民に大量に援助できる。何の罪もない国民が飢えているのはかわいそうすぎる。彼らはたまたま独裁者の支配する北朝鮮に生まれたってだけで、私と何も変わらない同じ人間なのに」

ジュディは、金正恩が核兵器廃絶を実行すれば、「キムをマー・ア・ラゴ(トランプ氏のフロリダの別荘)に招待してゴルフしてもいいかもね。ノーベル平和賞なんかより、そっちの方が写真映えするかも」と笑う。「その前に、キムはヘアスタイリストつけた方がいいと思うけど」とジョークも飛ばした。

トランプは自分が「お膳立て」をしたように振る舞っているだけ

核廃棄物問題をレクチャーするエンジニアのレイ・ルッツさん

「今回、トランプは、韓国と北朝鮮のトップ同士が歩み寄って、核兵器廃絶の方向に動き出したのに乗っかり、さも自分が『ディール』をまとめたかのように振る舞っているだけ」

そう語るのは、エンジニアで核廃棄物処理に詳しいレイ・ルッツだ。彼は、市民団体「シチズンズ・オーバーサイト」の代表者で、カリフォルニア州のサンオノフレ原子力発電所が、高濃度核廃棄物を津波の可能性のある海岸線からわずか数十メートルの距離に保管している危険性を指摘して、裁判所に訴えた。その結果、サンオノフレ原発を運営する電力会社は、核廃棄物を他所へ移すことを確約した。

ルッツは、平昌オリンピックに金正恩の妹が出席したり、北朝鮮のホッケー選手が参加したりしたこと、また北朝鮮と韓国の両トップが板門店で満面の笑顔で会談したことなどは、「あくまで2国間の関係の進展であり、特にトランプの外交手腕ではない」と断言する。

「トランプは『米国の核兵器のボタンの方が北朝鮮の核ボタンより大きい』と豪語して、金正恩と意地を張り合い、一触即発のムードをつくった。スタートレックの映画じゃあるまいし。そもそもフォックスニュースの司会者のアドバイスを真剣に聞いているトランプに、まともな平和交渉などできるのか」と懐疑的だ。

だが、クリントン、ブッシュ、オバマなど歴代大統領が誰も実現させていない米朝トップの直接会談をトランプが実現させることについては、「史上初なのは確か。交渉の方が一方的な経済封鎖よりマシだ」と認める。

北の核兵器を廃絶させたあと金正恩の身を守れるのか

彼がいちばんひっかかるという点は、次のことだ。

「トランプはいったいどうやって、北朝鮮に核兵器の縮小や廃絶を約束させるのか。キムの立場からすれば、自分が核兵器を捨てたらこれまで抑圧してきた国民に蜂起されてしまう恐れだってある。リビアのカダフィのように。そんなとき、トランプはキムの身の安全をいったいどう確約するのか?」

たとえば、今後20年ほどかけて北朝鮮が段階的に核兵器を減らすとしても、その際にはトランプはとっくに大統領ではなくなっている。

またルッツは、今後自分が生きている間は「トランプに限らず誰がアメリカ大統領になろうと、米国が自国の核兵器を廃絶することは決してないだろう」と言う。

「第二次世界大戦で広島と長崎に落とした原爆を、米国はずっと正当化してきた。私個人は、原爆を落とす必要はなかったと思っている」

米国が戦後、多くの原子力発電所の建設に政府の資金を導入したのも、「将来、新しい核ミサイルが必要になるときを見越して、核関連の科学者の仕事場を常に確保しておきたかったのも一因だ」と彼は言う。

「トランプ本人は米朝会談を成功させ、ノーベル平和賞を受賞して、大統領として再選される――というシナリオを描いているようだが、トランプ・キム会談の結果がどう転んでも、トランプが再選されることはあり得ないと思う。民主党が黙ってはいない」

米朝会談に密かにエールを贈るハリウッドの隠れトランプ支持者

ティーパーティー運動を象徴する旗を持つリンダ・カルペッパーさん(左の女性)

そんなトランプ再選の可能性を否定する意見に、「それは、アメリカ全土に生息するサイレント・トランプ支持層の幅広さを知らないだけ」と語るのは、カリフォルニア州ハリウッド在住のリンダ・カルペッパーだ。

ディズニーやワーナー・ブラザーズ関連のエンタテインメント系企業のスタッフとして35年ほど勤務する傍ら、映画やテレビ業界でフリーランスの脚本家としても働いてきた彼女は、大統領選期間中にトランプ支持者になった。

「ハリウッドのどの職場でも、トランプ支持者や保守派は実はたくさんいる。職を失うのを恐れて、みんなあえて声を上げないだけ。人事権を握るスタジオの上層部やショーのプロデューサーは反トランプ派が多く、万一バレたらキャリアを失う可能性もあるから」

ヒラリー・クリントンとほぼ同年代であるリンダは、もともとテキサスの上院議員で保守派のテッド・クルーズを支持していた。クルーズを徹底批判したトランプには懐疑的だったが、大統領選におけるヒラリーとトランプの3回のディベートを全て見て、気が変わった。

「何度見ても、ヒラリーよりトランプの主張に共感してしまった。彼が当選してからもじっくり観察してきたけど、トランプは選挙の公約を実行してきたと思う。ビジネス減税や彼のアメリカファーストの姿勢を、私は全面的に支持する」

たとえノーベル賞を受賞しても金正恩を米国に招かないでほしい

北朝鮮との交渉で、彼女がトランプに期待するのは「とことんタフな交渉姿勢」だ。

「金正恩は世界にとって危険な存在。核兵器を持ち、自国民をとことん抑圧し、飢えさせてきた。でも、キムが今回トランプとの会談を切望しているところを見ると、自分で自分を袋小路に追い詰めた感じがする。北朝鮮の核兵器に対して、国連の対応はジョークでしかない。『そもそもどうやって核廃絶させるのか』という点は私も疑問を感じるけど、ワイルドカードのトランプだからこそ、思い切った交渉が期待できるはず」

彼女のようにハリウッドで働くトランプ支持者たちは、「見た目では決してそうだとは周囲からはわからない」とリンダは言う。

「私たちは、トランプTシャツも着ないし、トランプ帽も被らない。若い世代も多いし、ウーバーで移動して映画業界で働いている。人種も皮膚の色もさまざま」

オバマ時代、アメリカが社会主義の方向に向かうのではないかと危惧していたという彼女は、2008年頃にはロサンゼルス郊外のティーパーティー(編集部注:主に「大きな政府」やその政策に反対する保守派のポピュリスト運動)の活動にも参加していた。

「オバマ派は『民主党圧勝のカリフォルニアでティーパーティー運動?』と冷笑していた。でも、あの頃のネットワークが、結局トランプの当選を後押ししたと思う」

もし北朝鮮から核兵器廃絶の確約が取れ、トランプがノーベル平和賞を受賞したとしても、「トランプには金正恩をマー・ア・ラゴに招待してほしくない。独裁者を米国に入国させるのは、やっぱり危なすぎるから」とリンダは言う。

「北が米国との会談を切望するのは窮地に陥っているから」は見当違い

北朝鮮問題の専門家、デイビッド・カング教授

ここまで立場の異なる3人のアメリカ国民の本音を紹介してきたが、北朝鮮問題を専門に研究してきた識者は、トランプの北朝鮮外交をどう見ているのだろうか。南カリフォルニア大学 コリアン・スタディーズ・インスティチュートのディレクター、デイビッド・カング教授はこう語る。

「トランプはこれまでのどの歴代米大統領とも違い、北朝鮮と直接対話しようとしている。その点は評価できる。米国はこれまで『北朝鮮と直接対話なんてとんでもない』という態度を通してきたのだから」

さらにカング教授は「『金正恩がトランプとの会談を切望するのは、キムが窮地に立たされているからだ』という意見は、全くの見当違いだ」と断言する。

「金正恩は『長年の計画だったICBM(大陸間弾道ミサイル)の完成を実行する』と2017年元旦のスピーチで宣言し、15発のミサイルテストを行った。当然、米国がパニックになり、脅しと制裁措置で対処して来ることは想定していた。激しい制裁措置に耐えられると判断したからこそ、ミサイルテストを実行したわけだ。そして2018年の元旦には、核兵器の設備が完成したことを宣言し、『これからは国の繁栄に向けて進む』と方向転換を発表した。その後、ミサイル実験の停止を宣言したり、平昌オリンピックに参加したりして、外交の下地をつくってきた」

つまり、「トランプが大統領になるずっと以前から、ヒラリーとトランプのどちらが当選しようと、核兵器のミサイル開発を2018年までに完了させることは、北朝鮮の国策として決定済みで、核兵器が完成した際にはそれをレバレッジとして使い、米国と強気の国際交渉をすると決めていたのだ」と教授は言う。

「だからこそ、金正恩は韓国の大統領と笑顔で握手する姿を見せるなど、今までと違った“外交する”姿をメディアで披露し、5月のホワイトハウスの突然の会談キャンセル宣言にも騒がずに、丁重に粘り強く対応した。世界は金正恩を確実に6ヵ月前とは違った目で見始めていることを、北朝鮮側は当然熟知している」

ただし、「トランプと会談し、核兵器廃絶への道を北朝鮮が探るからと言って、急に北朝鮮の体制が変わるわけではない」と教授は言う。

米国人の多数派は「制裁より対話」 会談を経て見えてくる未来図は?

「金正恩が独裁者として国民を抑圧する方法に、今後も変わりはないはず。中国と米国の間に過去数十年間、貿易や商取引があるからと言って、中国国内の人権問題が全て解決されたわけではないのと同じ。それでも、これまでのように北朝鮮に対して経済制裁だけで対処するより、直接対話をする方が少しでも変化を起こさせるのに有効なのは確か。これまで米国はさんざん制裁措置で対処してきて、良い結果を得られなかったわけだから」

制裁措置よりも直接対話――。これについては、今回取材したトランプ派と反トランプ派3人の米国人も全員、同意見だった。

「米国では、トランプの悪口をいくら言っても言論の自由は保証されているけど、北朝鮮ではキムの悪口を公言したら、翌朝その人の命はないはず。独裁しか統治方法を知らないキムが、トランプのニューヨーク仕込みでパンチのある交渉術を目の当たりにして、どう対抗できるか見もの」(ジュディ・シュワルバック)

「会談の場であるシンガポールの超モダンな繁栄ぶりをその目で見れば、ひょっとしたらキムも、自国を科学技術が進んだクールな場所にしたい、と刺激を受けるかもね」(レイ・ルッツ)

「トランプは、実は個人的にかなり慈善事業もやっているから、飢えて苦しむ北朝鮮国民に気前よく援助を約束すると思う」(リンダ・カルペッパー)

6月12日、今度こそ確実に行なわれることになったはずの「世紀の首脳会談」を目前に、今回話を聞いた米国民たちは、こんな風に想像力をたくましくしていた。また、20ドルで売り出された米朝会談記念コインを、北朝鮮問題の専門家であるカング教授も思わず記念に買ってしまったという。

これまで米国民が賛否両論を唱えてきたトランプ大統領の「アメリカファースト」外交の力が、核と北朝鮮をめぐってアジアで試されるときが、もうすぐやってくる。

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『「暗殺」「猫なで声」で金正恩いぶし出すトランプ シンガポールで米朝首脳会談は開かれるのか』(6/8日経ビジネスオンライン 鈴置高史)、『「1対6」だけでは見誤る、G7サミットの本質 「米国孤立」は通商問題の“本流”ではない』(6/7日経ビジネスオンライン 細川昌彦)について

6/6ビジネスジャーナル<米国、中国と経済戦争突入…「ひとつの中国」を否定、10大重点産業を叩き潰す>「今アメリカが考えているのは「中国に投資して利益をいただく」というモデルではなく、「中国を潰して、いかに儲けるか」という方向性であると思われます。」「中国はアジアインフラ投資銀行(AIIB)や「一帯一路」などで人民元の拡大を狙っていますが、米財務省にとっては基軸通貨であるドル支配体制の維持が宿願であり、その障壁となるものは徹底的に潰す姿勢です。」「中国経済は大規模な資金流出に苦しんでいるわけで、国際金融市場を流れるお金のなかでももっとも投機的で流動性が高いホットマネー(短期資金)が中国から逃げ出しているのが実情です。」

http://biz-journal.jp/2018/06/post_23600.html

6/8産経ニュース<米議員、グーグルにも疑念 中国企業との関係調査>

https://www.sankei.com/world/news/180608/wor1806080011-n1.html

米国は反中の動きが本格化してきています。良い傾向です。トランプがいくら習と約束しても三権分立している民主主義国では当然のように権限は分散されていて、議会が批准しないと履行できないケースは多々あろうかと思います。それを上手に利用すれば良いでしょう。三権分立をしたことのない中国人には理解できない話ですが、約束違反ではなく条件付きの約束と思わないと。条約のように議会の批准が無いと発効しないのと同じです。

日米首脳会談は成功したようです。トランプは金と面談するときに拉致問題も取り上げると約束してくれました。後は攪乱分子の文在寅がシンガポールに来て会談の邪魔をしないように、カペラホテルに入れないようにしませんと。朝鮮戦争終結宣言は早すぎです。CVIDの行方をじっくり確認してからでないと。

鈴置氏の記事の「北への帰り道で金の乗った飛行機をステルス機が撃墜」するのが世界の平和と朝鮮人民の為には、一番良いと思われますが、国際社会が受け入れるかどうか。今はマレーシア航空のアムステルダム発クアラルンプール行きMH17便が、ウクライナ東部のロシアとの国境付近で墜落したのはロシアの仕業(ミサイルで撃墜)と確定して騒いでいる状況ですので、簡単ではないでしょう。

金がセントーサ島でバカンスを楽しんでいる時にクーデターが起きるのが理想かと。国民にとって今より酷い状態にはならないでしょうから。拉致問題も金ファミリーと関係がなければ解決しやすくなるのでは。

細川氏記事はもっと日本のメデイアで取り上げられてしかるべきと思いますが、今のメデイアは取材能力は持っておらず、「横のものを縦にする」だけか、捏造記事を書いて左翼プロパガンダに勤しむ活動家の役割を果たすだけですから。福田財務次官を更迭させたことにより、役人から情報を取るのが益々難しくなりました。日本の記者は、自分で自分の首を絞めているのに、それに気付かない傲慢な人間なのでしょう。

鈴置記事

米朝首脳会談が開催予定のシンガポール・セントーサ島(写真:AFP/アフロ)

前回から読む)

クーデターと暗殺の恐怖に揺れる金正恩(キム・ジョンウン)委員長。米朝首脳会談の開催に向け、トランプ(Donald Trump)大統領が猫なで声であやす。

沈黙守る北朝鮮

—ようやく、予定通りに米朝首脳会談が開かることになりました。

鈴置:興味深いことがあります。開催するになったことも、日時、場所もすべて米国側が明らかにしているのです。

6月12日午前9時(現地時間)から、シンガポールのセントーサ島の高級ホテルで……。いずれもトランプ大統領か、ホワイトハウスの報道官が語った情報です。

一方、北朝鮮側は6月7日夜に至るまで、米朝首脳会談を開くことに関し公式報道を一切していません。

—なぜでしょうか。

鈴置:米国をじらしていると思われます。板門店で米朝は接触を続けていますが、非核化に関する合意が十分に煮詰まっていない。

北朝鮮は報じないことで「我々の意見が通らなければ首脳会談などやらないぞ。米国は譲歩しろ」と迫っているつもりと思われます。

もう1つの理由は国内向けです。シンガポールで会談するとなると往復の時間を含め、まる1日近くかかります。

金正恩委員長とすればその不在を狙ったクーデターが怖い。北朝鮮を離れるとの情報は、できる限り伏せておきたいでしょう。

ロケット砲の向きを変えた金正恩

—北朝鮮にクーデターを謀る勢力があるというのですか?

鈴置:あるかは分かりません。でも、独裁者というものは常にクーデターを恐れるものです。

北朝鮮内部からは時々、暗殺未遂事件の情報が伝わってきます。2017年12月に化学兵器を使った暗殺事件が発覚し、6人が処刑されたとの情報も最近、流れてきました。

こうした情報が正確かどうかは別として、金正恩氏に上がっていることは確実です。だとしたら、暗殺やクーデターに神経を尖らせるのは当然なのです。

東亜日報系の放送局、チャンネルAが「クーデターを憂慮? 多連装ロケット砲を北側に向け回した」(5月31日、韓国語による動画)で、匿名の情報当局者の話を報じています。以下です。

・金正恩委員長が2回に渡り、南北首脳会談のために板門店を訪れた際、最前線地域では南側に向いていた北朝鮮の多連装ロケット砲がすべて北側に向け回っていた。

この番組はさらに、シン・ジョンウ国防安保フォーラム先任分析官の談話を報じました。

・極端に言えばクーデターを、そうでなければ不意の事故が起こり得ると考えたために、金正恩から多連装ロケット砲の方向をそらそうとの意見具申が(北朝鮮内部で)あったのだろう。

〝暗殺機〟を沖縄に配備

—金正恩委員長はシンガポールへ行くのが怖いということですね。

鈴置:だから当初、北朝鮮は平壌開催を執拗に主張したのでしょう。米国側は「米国が北朝鮮に膝を屈した」との誤ったメッセージを与えかねないうえ、不利な相手のホームグラウンドで戦うつもりはないので拒否したと思いますが。

—ではなぜ、北朝鮮は「シンガポール」を飲んだのでしょうか。

鈴置:米国に押し切られたのです。制裁強化が効いてきて、北朝鮮の経済が急速にシュリンクし始めたようです。

軍事的な圧迫も強まり、会談に応じないと空爆されかねない。こんな先細りの状況が続けば、内側からの抵抗――クーデターの可能性も増します。

金正恩委員長は八方ふさがりです。シンガポールでの首脳会談に行けば、クーデターで国を追われるかもしれない。行かなければ、米国に殺されるかもしれない。

米空軍は5月30日以降、沖縄にF22を14機、暫定的に配備しています。ステルス機のF22は北朝鮮攻撃の際には尖兵となるほか、金正恩氏を空爆で暗殺する時は主役を務めます。

国内のクーデター勢力と米国が裏で「握っている」かもしれない。金正恩氏は精神的に相当に追い詰められていると思います。

クーデターを扇動する米国

—米国がクーデター勢力と手を握っているのですか?

鈴置:実際にそうかは分かりません。でも金正恩氏は疑っているでしょう。トランプ大統領もクーデターを煽っていると受け止められかねない発言をしています。

大統領は5月24日「首脳会談に応じないならこちらにも考えがある」との金正恩氏への書簡を公開しました。その直後の会見で以下のように語りました。

・North Korea has the opportunity to end decades of poverty and oppression by following the path of denuclearization and joining the community of nations.

非核化し国際社会に加われば、北朝鮮は長年の貧困と抑圧を脱する機会を持つ――。金正恩委員長に首脳会談に応じろと要求する文脈の中にはさみこまれた一文です。

非核化すれば経済制裁も終了し、北朝鮮への投資も援助も始まる。その結果「長年の貧困」から脱することができる――というのは分かります。

でも金正恩氏が権力を握る限り、北朝鮮の人々が「長年の抑圧」から解放されるとは考えにくい。この1文は「金正恩が存在せず、非核化した北朝鮮」を念頭に書かれたように見えます。

金正恩委員長がこのくだりを読んだら「俺の首を差し出せば、幸せになれるぞ」と北朝鮮の幹部や人民をトランプ大統領が扇動している、と考えたと思います。

「すげ替え」が一番合理的

—そもそも、米国の国務長官は「政権交代派」ですしね。

鈴置:そこです。ポンペオ(Mike Pompeo)国務長官はCIA長官だった2017年7月20日、公の場で「金正恩政権のすげ替え」に言及しました。

するとウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)やニューヨーク・タイムズ(NYT)など米主要メディアも体制変更を論じる記事を一斉に掲載しました(「『『金正恩すげ替え論』を語り始めた米国」参照)。

非核化するには金正恩政権と話し合うよりも、金正恩の首をすげ替えた方が良い、との判断が議論の盛り上がりの背景にあります。

北朝鮮が米国に非核化を約束し、査察受け入れや核の廃棄を認めたとしても完全な非核化は難しい。なぜなら金正恩委員長が一部の核弾頭やその原材料を隠ぺいする可能性が高いからです。それを探し出すのは大変です。

だとしたら金正恩氏を追い出すか殺すかして後釜に、素直にすべての核を差し出す指導者を据えるのがより合理的です。

戦争を呼ぶ3代目

—言われてみれば、そうですね。

鈴置:金正恩氏の最大の弱点は、世の中から消されても怒り出す人や国がないことです。北朝鮮の人々は快哉を叫ぶでしょう。

初代の金日成(キム・イルソン)主席に対し人々は敬慕の念を持っていました。でも、その息子の金正日(キム・ジョンイル)総書記には憎しみの方が強かった、と北朝鮮関係者は口をそろえます。

自分の不人気を知っている3代目の金正恩委員長は必死で人気取りをします。その一環として「核武装に成功し、米国の侵略を防ぐ有能な指導者」とのイメージを広めています。

ところがそれが裏目に出始めた。核武装に成功したのは事実です。が、それにより北朝鮮は米国から軍事攻撃されそうになった。「有能」どころか危険な指導者です。

5月24日、トランプ大統領は首脳会談中止の書簡を金正恩委員長に送りました。ほぼ同時に、北朝鮮は核実験場を爆破して見せました。

それを取材した韓国メディアは「会談中止の報に北朝鮮の政府関係者はショックを隠せなかった」と報じています。北朝鮮の普通の人々も若い3代目が突っ張って、戦争を起こすことを恐れているのです。

中国やロシアも緩衝地帯としての北朝鮮は必要と考えています。でも、それが「金正恩の北朝鮮」とは限らない。米国との間で面倒を起こすなら、常識があって自分の言うことを聞く指導者に差し替えたいと考えているでしょう。

金正恩氏が消えて困るのは、スクラムを組んできた文在寅(ムン・ジェイン)政権と、韓国や日本の北朝鮮追従勢力くらいだと思います。

1月1日 金正恩「平昌五輪に参加する」
1月4日 米韓、合同軍事演習の延期決定
2月8日 北朝鮮、建軍節の軍事パレード
2月9日 北朝鮮、平昌五輪に選手団派遣
3月5日 韓国、南北首脳会談開催を発表
3月8日 トランプ、米朝首脳会談を受諾
3月25―28日 金正恩訪中、習近平と会談
4月1日頃 ポンペオ訪朝、金正恩と会談
4月17―18日 日米首脳会談
4月21日 北朝鮮、核・ミサイル実験の中断と核実験場廃棄を表明
4月27日 南北首脳会談
5月4日 日中と中韓で首脳の電話協議
5月7-8日 金正恩、大連で習近平と会談
5月8日 米中首脳、電話協議
トランプ、イラン核合意から離脱を表明
5月9日 ポンペオ訪朝、抑留中の3人の米国人を連れ戻す
日中韓首脳会談
米韓首脳、電話協議
5月10日 日米首脳、電話協議
5月16日 北朝鮮、開催当日になって南北閣僚級会談の中止を通告
5月16日 北朝鮮、「一方的に核廃棄要求なら朝米首脳会談を再考」との談話を発表
5月20日 米韓首脳、電話協議(米東部時間では5月19日)
5月22日 米韓首脳会談
5月24日 北朝鮮、米韓などのメディアの前で核実験場を破壊
5月24日 トランプ、金正恩に首脳会談中止を書簡で通告
5月26日 南北首脳会談、板門店の北側施設で
5月26日 日ロ首脳会談
5月26日 トランプ「今も話し合いが持たれている」と米朝首脳会談の準備が進んでいると示唆
5月28日 日米首脳、電話協議
5月30日 金英哲、NYでポンペオと会談(翌31日も)
5月31日 ラブロフ訪朝、金正恩と会談
6月1日 南北閣僚級会談
6月1日 金英哲、トランプに金正恩の親書手渡す
6月1日 トランプ、6月12日の米朝首脳会談開催を発表
6月7日 日米首脳会談
6月8-9日 G7首脳会議、カナダで
6月12日 史上初の米朝首脳会談?

平壌への帰路が怖い

—金正恩委員長はシンガポールに姿を現わすでしょうか?

鈴置:それをトランプ大統領も心配していると思います。そこで6月1日、金英哲(キム・ヨンチョル)副委員長兼統一戦線部長と会談した後の会見で「会談は1回限りではない」と繰り返し強調したのだと思います。

・And I think it’ll be a process. It’s not ? I never said it goes in one meeting. I think it’s going to be a process. But the relationships are building, and that’s a very positive thing.
・ It will be a beginning. I don’t say and I’ve never said it happens in one meeting.

「米朝首脳会談、3つのシナリオ」で言えば、②の継続協議を受け入れると約束したのです。6月12日の会談で①か③の2択――「非核化受け入れか、軍事行動か」と迫りはしないとなだめたのです。

金正恩氏がシンガポール行きを恐れるのは、不在中のクーデターだけではありません。米朝首脳会談で非核化を拒否した場合、帰り道で暗殺――搭乗機を撃墜されるリスクもあるのです。

何せ、F22が沖縄で待機しているのです。ステルス機ですからどの国のレーダーにも映らず、なぜ墜落したかは容易には分かりません。

なお、軍事専門家の多くは「搭乗機の残骸が発見されると下手人がばれるから、米軍が撃墜するのは海上だろう。北朝鮮はそれを警戒し、陸つたいに平壌まで戻る計画ではないか」と言います。

いずれにせよトランプ大統領は「何度でも会おう」と発言することで「帰り道の安全」を保証したのです。

米国、リビア方式での非核化を要求
北朝鮮が受諾 北朝鮮が拒否
①米国などによる核施設への査察開始 ②米朝対話が継続 ③米国、軍事行動ないし経済・軍事的圧迫強化

「会談」には時間をかけていい

—トランプ大統領は北の主張していた「段階的な非核化」も受け入れました。

鈴置:日本の多くのメディアがそう報じました。それは誤報です。6月1日の会見で大統領が「時間をかけていい」と語ったのを勘違いして報じたのです。質問を含め、関連部分を引用します。

・Q Did they agree to CVID, sir?
・THE PRESIDENT: We talked about about a lot of things. We really did. But the big deal will be on June 12th.
・And again, it’s a process. It doesn’t go ? we’re not going to sign a ? we’re not going to go in and sign something on June 12th and we never were. We’re going to start a process.
・ And I told them today, “Take your time. We can go fast. We can go slowly.” But I think they’d like to see something happen. And if we can work that out, that will be good. But the process will begin on June 12th in Singapore.

ホワイトハウス担当の記者が「北朝鮮と『完全かつ検証可能で不可逆的な非核化』で合意したのですか」と聞きました。

トランプ大統領はそれに対しては「多くのことを語りあった」と答えただけで、話題を会談の内容から日程にそらしたのです。

日程に関する話の中で「Take your time(時間をかけていい)」と語ったのです。「非核化」ではなく「会談」に時間をかけていい、と言っているに過ぎません。

段階的非核化は受け入れていない

大統領はこの会見で、もう一度「Take your time(時間をかけていい)」という言い回しを使いました。「2回目、3回目の首脳会談についても議論したか」と聞かれた時です。

この、会談の日程に関する質問に答えた際に「(北朝鮮側に)私は率直に言った。『時間をかけていい。時間をかけていい。それ(制裁)は続けるが、(決断には)時間をかけていい』」と説明しました。

・Q Did you discuss dates for a second or a third meeting?
・THE PRESIDENT: I told them, I think that you’re going to have, probably, others.
・Hey, wouldn’t it be wonderful if we walked out and everything was settled all of a sudden from sitting down for a couple of hours? No, I don’t see that happening. But I see over a period of time.
・And frankly, I said, “Take your time. Take your time. It’s going to remain as is, but take your time.”

繰り返しますと「トランプ大統領が段階的な非核化を受け入れた」というのは誤った認識です。もちろん交渉事ですから将来、そうなる可能性がないとは言いません。

技術的にも非核化は一瞬にはできない。若干の時間がかかるのは事実です。でも今、米国が北朝鮮の主張を受け入れたわけではない。「北が少し譲歩したら米国も見返りを少し与える」という段階的非核化に米国は合意していないのです。

立てこもり犯は騙していい

—ただ、交渉に時間はかけることを認めた。

鈴置:その通りです。米国が時間稼ぎの余地を与えたのは事実です。

—では、北朝鮮は「しめた!」と考えている?

鈴置:そこは分かりません。外交――ことに、この米朝交渉は化かし合いです。そうやっておびき出しておいて「ズドーン」と来るのではないかと、金正恩氏は悩んでいると思います。

北朝鮮は人権無視の無法者集団です。トランプ大統領も韓国国会での演説で詳細に説明している。ならず者の頭目との約束を破って殺しても、誰も文句は言いません。

通りがかりの人を銃撃する立てこもり犯に、警察官が食糧や水を運ぶ一般人の格好をして近付き、すきを見て撃ち殺したとします。犯人を騙したと警察を非難する人はいません。

■トランプ大統領の韓国国会演説(2017年11月8日)のポイント(1)

北朝鮮の人権侵害を具体的に訴え

10万人の北朝鮮人が強制収容所で強制労働させられており、そこでは拷問、飢餓、強姦、殺人が日常だ

反逆罪とされた人の孫は9歳の時から10年間、刑務所に入れられている

金正恩の過去の事績のたった1つを思い出せなかった学生は学校で殴られた

外国人を誘拐し、北朝鮮のスパイに外国語を教えさせた

神に祈ったり、宗教書を持つクリスチャンら宗教者は拘束、拷問され、しばしば処刑されている

外国人との間の子供を妊娠した北朝鮮女性は堕胎を強要されるか、あるいは生んだ赤ん坊は殺されている。中国人男性が父親の赤ん坊を取り上げられたある女性は「民族的に不純だから生かす価値がない」と言われた

北朝鮮の国際的な無法ぶりを例示

米艦「プエブロ」の乗員を拿捕し、拷問(1968年1月)

米軍のヘリコプターを繰り返し撃墜(場所は軍事境界線付近)

米偵察機(EC121)を撃墜、31人の軍人を殺害(1969年4月)

韓国を何度も襲撃し指導者の暗殺を図った(朴正煕大統領の暗殺を狙った青瓦台襲撃未遂事件は1968年1月)

韓国の艦船を攻撃した(哨戒艦「天安」撃沈事件は2010年3月)

米国人青年、ワームビア氏を拷問(同氏は2016年1月2日、北朝鮮出国の際に逮捕。2017年6月に昏睡状態で解放されたが、オハイオに帰郷して6日後に死亡)

「金正恩カルト体制」への批判

北朝鮮は狂信的なカルト集団に支配された国である。この軍事的なカルト集団の中核には、朝鮮半島を支配し韓国人を奴隷として扱う家父長的な保護者として指導者が統治することが宿命、との狂った信念がある

アジトから首だけ出した金正恩

—確かに。

鈴置:トランプ大統領はどんな手を使ってでも金正恩委員長を話し合いに引っ張り出したいのです。会談でこんこんと諭す――はっきり言えば脅す。言うことを聞けばよし、聞かねば攻め滅ぼす。極めて明快な戦略です。

米国にとって、一番面倒なのはアジトに立てこもられることです。話し合いにも応じないし、かといって核・ミサイル実験もやらない。こうなったら、北朝鮮を脅す機会も攻撃するチャンスもつかみにくい。

金正恩政権の狙いはこれだと思います。一部の専門家の間では2017年夏頃からその可能性が指摘されてきました(日経・電子版「『いい子』を演じるという北朝鮮の妙手」参照)。

もちろん米国はそれを見抜いていた。そこでトランプ大統領は金正恩氏を「いぶし出す」ために暗殺やクーデターで脅してきました。

現状は、アジトから犯人が首を出しかけたところ。「よし」とばかりに今度は猫なで声を出して、おびき出そうとしている感じです。

(次回に続く)

細川記事

6月8~9日にカナダで開催される主要7カ国(G7)首脳会議を前に、通商問題で米国が孤立する「1対6」の構図が取り沙汰されている。だが、通商問題の“本流”はそこにはない。むしろ米欧日の協調という、別の潮流が大きくなっている。

6月1日にカナダで開催されたG7財務相・中央銀行総裁会議(写真:ロイター/アフロ)

6月1,2日に開催された主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議で、米国の関税引き上げに各国から批判が集中して紛糾した。米国が孤立して、「1対6」の構図になったことが大きく報道され、今週開催されるG7首脳による首脳会合(G7サミット)の結束力に暗雲が垂れこめている。

しかし、これだけに目を奪われていると本質を見失う。

実は同時期にパリで起こっていることの方が重要であった。日米欧三極の貿易大臣会合である。

 三極貿易大臣会合で米国は積極姿勢に

この会合で出された共同声明では、中国の不公正、不透明な産業補助金や国有企業問題、さらには外国企業に対する強制的な技術移転要求を念頭において、厳格なルール作りに取り組むことが合意された。さらに注目すべきは、そこには3つの付属文書が公表されており、具体的に今後議論を深めていく方向性が記されているのだ。

実はこの付属文書を用意してきたのがライトハイザー米国通商代表だというから驚きだ。中国に対する米中二国間での交渉や一方的制裁にばかり目が奪われているが、同時に日本、欧州と共同で構造改革を迫ろうとする意図は明確だ。

三極貿易大臣会合の直後にパリで開催された経済協力開発機構(OECD)閣僚会議でもこの流れが踏襲された。そしてこれがG7サミットの経済部分につながってくるのだ。

ところが、日本国内の報道では、パリの三極貿易大臣会合への関心は薄く、小さい、ベタ記事の扱いがほとんどだ。サミットの経済分野の中身を左右するのは、この三極会合の成果であることを日本のメディアは理解していないようである。

サミットの下ごしらえをする三極会合

ここで三極貿易大臣会合の戦略的な狙いを見てみよう。

かつて私も通産省(当時)でサミットを担当していたが、当時カナダも含めた四極貿易大臣会合があって、サミットの通商分野の下ごしらえをする重要な位置づけだった。しかし、グローバルな通商問題もしばらく凪状態であったこともあって、この四極会合もしばらく開催されてこなかった。

ところが昨年12月、日本の呼びかけで初の三極貿易大臣会合が開催された。狙いは明確だ。米欧対立が激しくなる中、米欧の橋渡しをして、米国を国際経済秩序につなぎとめること、そして最大のテーマである中国の市場歪曲的な政策に日米欧が共同で対処することにあった。

当初はライトハイザー米通商代表部(USTR)代表とマルムストローム欧州貿易担当委員は、顔を合わせるのも渋っていたほど刺々しい雰囲気からスタートした。

ところが今年3月に第2回会合を開催し、今回が第3回目だ。次第に米欧もこの会合を高く評価し、積極的に関与する姿勢に変化した。今回はライトハイザーUSTR代表が開催したがるほどになっている。

この三極貿易大臣会合の仕掛けをG7サミットで承認させるのが日米欧の目指すシナリオだ。しかしG7サミットの本番で、トランプ大統領がどう出てくるか、議長国カナダのトルドー首相がどうハンドリングするかは未知数で、大きなリスク要因があるのも否めない。ここでも「1対6」の構図になる可能性もある。

しかし少なくとも、「1対6」の構図以外の重要な動きもあり、そのことに米国自身が積極的に関与していることを見逃してはならない。それこそ価値観を共有するG7サミット本来のあるべき姿で、その存在意義そのものだ。

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