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『米中間選挙で共和党敗北ならトランプ大統領は「マイルド」になるか』(11/3ダイヤモンドオンライン 三井住友アセットマネジメント調査部)について
11/5看中国<如果我是一名老兵 让我飞越太平洋(组图)=もし私が退役兵なら太平洋を飛んで行かしてほしい>退役兵の待遇が悪く、権利主張の暴動が彼らによって各地で起こされています。何せジニ係数が0.73という共産主義にはあるまじき恐ろしい格差が存在しますので。米国では退役兵に国民は敬意を払い、生活保障されるのに対し、中国では党の命令があれば国民に銃を向け(天安門事件がそうでした)、退役してからは生活困窮を訴え警察に小突き回されるのでは、待遇が違いすぎます。

今年10月、山東省平度で起きた退役兵の権利保護を求める集会の鎮圧事件

9/21トランプは退役軍人の取り扱いを2019年予算に盛り込んだ文書にサインした。後ろに見えるのは「我々の退役兵を支える」との標語。
https://www.secretchina.com/news/gb/2018/11/05/875560.html
11/6阿波羅新聞網<中期选举在即 纽约华人挺川普 支持传统价值=中間選挙でNYの華人系米国人はトランプ支持 伝統的価値を支持>なぜかといえば下図にありますように民主党の政策はおかしいものばかり。PCに始まるフランクフルト学派の秩序批判理論そのものです。大体、不法移民の受入、身分確認なしの投票、国境開放とか完全に法を蔑ろにしているのでは。最後のオバマケアについては意見が分かれる所でしょうけど。


http://www.aboluowang.com/2018/1106/1199699.html
日本時間11/6の20時から投票とのことで、本日中には結果が分かるのでは。上院の共和党勝利は間違いないでしょうけど、下院がどうなるかです。
11/5習近平は上海での中国国際輸入博覧会で、「15年間で40兆$輸入する」と大見えを切りましたが、人民元建て?$はイランのようにSWIFTコード使用禁止になれば使えなくなります。基軸通貨の強みです(両方とも11/6日経朝刊の情報に基づく)。日本企業は450社も参加したとのことで、後で焦ってもどうしようもなくなります。そもそも世界覇権を巡る争いと言うのが分かっていないからでしょう。歴史を本当の意味で勉強して来なかったためと軍事に無関心=憲法9条のおかしさを放置してきたことに繋がるのでは。
記事

米中間選挙では、下院での民主党リードが伝えられています Photo:PIXTA
皆さん、こんにちは。三井住友アセットマネジメント調査部です。毎週土曜日に「ビジネスマン注目!来週の経済、ここがポイント」をお届けしています。
米国の中間選挙がいよいよ目前に近づいてきました。中間選挙の結果によっては今後のトランプ大統領の政策運営への影響も考えられるため、大きな注目が集まっています。トランプ大統領の言動は米国内だけではなく、通商交渉や外交などを通じて日本を含んだ多くの国々に影響を及ぼしており、今やどの国も看過できない状況です。
そこで今週は、中間選挙の見通しと、その結果によって変わり得る米国の政策の行方、それによる日本の影響などについて考えてみたいと思います。
上院は共和党が多数を維持、下院は民主党が多数奪回という見方が優勢
中間選挙は、11月6日に投開票が行われます。現時点における米議会の勢力図は、下院が共和党235議席、民主党193議席(空席7)、上院が共和党51議席、民主党49議席で、上下院共に共和党が多数を押さえています。
今回の選挙では、下院の全議席、上院の35議席(補欠選2議席を含む)が改選の対象となります。過去を振り返ると、中間選挙は多数党がどれだけ議席を失うかが焦点となります。また、大統領の任期の半ばに行われることから、現政権への信任投票という性格を帯びます。
さて、上下院の選挙の見通しですが、上院は共和党勝利の可能性が高いと見られます。上院の改選数が共和党の9議席に対し、民主党は26議席もあり、圧倒的に共和党が有利だからです。ただし、フィリバスターと言われる上院独特の議事妨害を阻止できる60議席を共和党が確保するのは、困難と見られます。また、注目される下院では、民主党優位の展開が続いています。
政治情勢の調査会社RealClearPolitics社の現地11月2日時点における議席獲得予想は、上院が民主党44議席、共和党50議席(残り6議席は接戦)、注目の下院は民主党204議席、共和党197議席(接戦が34議席)と、民主党がやや有利な展開です。ただし、下院では接戦区が34もあることを踏まえると、拮抗していると言えます。
過去の経験則によれば、選挙前の大統領支持率と議席増減との間には概ね正の相関関係が認められます。RealClearPolitics社の調査によれば、トランプ大統領の支持率は40%程度です。この水準の支持率では、共和党議席減の公算が大きいと見られます。
下院で民主党勝利の場合、今後の政策運営はどうなる?
さて、それでは、仮に下院選で民主党が勝利し、共和党が多数を失うとすると、どういった政策運営になり、また経済へどのような影響が考えられるでしょうか。
まず、議会において共和党主導の立法が困難になります。その代表的なものが予算編成です。これまでトランプ大統領は共和党議員に対して半ば強引な予算編成を行ってきましたが、野党の民主党議員にはこの手法は通用せず、議会を通過する可能性が低下します。この場合、追加減税や移民対策(国境の壁建設)、医療制度改革等が議会を通過するは可能性が低下すると見込まれます。また、2020年度の政府予算の裁量的支出の上限引き上げも困難になる可能性があります。さらには、予算を巡る停滞から、政府が一時閉鎖されるリスクも考えられます。
トランプ大統領は規制緩和を推進し、企業が事業を進めやすい環境を整えてきた点などから、企業側からは高い評価を得ているようです。この流れが逆行すると、企業経営マインドの萎縮やそれに伴う投資や採用活動の減速につながりかねないリスクがあります。
したがって下院選挙で民主党が勝利すると、米国経済や企業業績に下押し圧力がかかると見られます。
また、下院において、民主党が大統領への弾劾手続きを開始する可能性があります。弾劾の最終決定権は上院にあるため、上院を共和党が押さえている限りトランプ大統領が直ちに弾劾されるわけではありません。ただし、証言や喚問等に時間が割かれることは否定できず、政策の進みが遅くなる可能性があります。
三井住友アセットマネジメント調査部では、下院は民主党が勝ち、上院は共和党が勝つというシナリオの発生確率が最も高く、およそ50%と見込んでいます。
次に可能性が高いパターンは、上院下院ともに、共和党が多数を維持するというもので、確率的には30%程度を見込んでいます。
この場合、現在と同じく大統領と上院下院の政党は共和党のままで、トランプ大統領のこれまでの政策が国民に信任されたことを意味します。ですから、現在のトランプ路線が継続されると考えられます。
中間選挙で民主党が下院を押さえれば、トランプ大統領の通商政策はマイルドに?
中間選挙で民主党が下院を押さえれば、トランプ大統領の通商政策がマイルドになったり、外交政策がより友好的になったりするのでしょうか。これがアメリカを取り巻く国々の目下の最大の関心事でしょう。
一般的な見方は、民主党が下院で勝利した場合でも、大統領権限で遂行できる政策領域が通商政策と安全保障に限定されるため、トランプ大統領はこれらの分野で引き続き自らの意見を前面に出し続けるだろうというものです。
ただし、同じ共和党でもタカ派色が濃い下院に対して、上院は穏健派が多いとされています。もし、タカ派色が濃い下院共和党が民主党に負ければ、トランプ大統領の政策もその影響を受けてタカ派色が薄まる可能性もあります。
一方、対中国政策については、引き続き手を緩める事はなく、最終的には2670億ドルの中国からの輸入品に対して追加関税が発表されるとの見方が大勢を占めます。ただし、この点も、今以上の関税の負荷は米国自身の経済や株価にマイナスの影響を与えるため、焦点が貿易から安全保障に軸足を移すとの見方もあります。
以上から、通商政策に関しては、今よりも多少はマイルドな姿勢に転換する可能性はゼロではないと考えられます。
民主党が下院で勝利した場合の日本への影響とは?
次に日本の影響について見てみます。10月9日に国際通貨基金(IMF)は世界経済見通しを下方修正しました。その時に、IMFは米中を中心とする貿易摩擦の影響を分析し、それを見通しに反映しています。それによると、米国発の貿易摩擦を要因とした自動車の追加関税が発動されず、また追加関税の賦課が企業センチメントに大きな影響を及ぼさなければ、日本経済にはほとんど影響が出ないことが示されました。
これは例えば、米国企業が関税によって高くなった中国からの輸入を断念し、代わりに日本からの輸入を増やすと言った代替効果を織り込んでいるためと見られます。
現実の経済がこのように動くかは注意が必要ですし、実際に、現在本格化しつつある日本企業の7-9月期業績発表において、貿易摩擦の影響を受けているとコメントしている企業が見られることから、やはり影響が全くないとの楽観的な見方を取ることはやや現実的ではないと思われます。
さて、仮に下院を民主党が押さえ、上院を共和党が多数を維持したとした場合の日本への影響ですが、以下の可能性が考えられます。
タカ派色の強い下院共和党の影響力が薄まることに加え、足元の米国株の下落や経済モメンタムの鈍化を受け、追加関税の税率引き上げや対象物品の範囲拡大による経済制裁強化はややトーンダウンすると考えます。一方、中国政府による自国IT産業の優遇や軍事力の強化については、状況の改善を求める姿勢を継続すると見られます。
また、日本や欧州との関係では、自動車に対する関税や数量制限として影響が出てくる可能性はありますが、米国での多少の自動車生産能力の拡充と、農業製品輸入の拡大交渉の合わせ技で妥協に至るシナリオを描く事ができます。
このようなシナリオは、現時点ではかなり楽観的な考え方だと見られますが、裏を返すと、中間選挙を受けてトランプ大統領が通商政策や外交政策を多少なりともマイルドな方向に舵を切らない場合、日本経済を取り巻く状況は厳しさを増すと考えておいた方がよさそうです。
(三井住友アセットマネジメント 調査部長 渡辺英茂)
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『中国・追加関税がもたらした輸入大豆の供給不足 11月以降の不足予想は1500万トン』(11/2日経ビジネスオンライン 北村豊)について
11/3阿波羅新聞網<习近平豪赌美选举不再幻想?川普刚抛出一个烟雾弹?反制中共美朝野差别大?=習近平が中間選挙に賭けるのは幻想に終わる? トランプは発煙弾を投げた 中共に反対するのは米国の朝野で差が大きい?>中間選挙が終わって、民主党が勝ったとしても、議会の反中は変わらない。但し、民主党の場合、トランプと比べ、判断力と実行力で劣る。民主党が議会を制すれば、トランプは民主党とぶつかる議題は引っ込め、コンセンサスを得やすい反中共のような議題に焦点を充てるだろう。北京が「共和党が負ければ、貿易戦が終わる」というのは幻想に過ぎない。11/1のトランプ・習電話会談は、中間選挙対策で、関係悪化はしていないという発煙弾を投げただけである。中共をWTO加入させたのに、この20年近く市場を開放せず、外資を公平に扱うと言ってもやらず、米国企業と政治家も長く不満に思ってきた。米国企業は中共の外資への圧迫に対し、怒るだけで何も言ってこなかった。ロビー活動をして、「北京と交渉してくれ」とだけ。
http://www.aboluowang.com/2018/1103/1198668.html
11/3阿波羅新聞網<川普暗指习近平来求和 专家:中共进退都是伤 川习会难有大突破=トランプは習に「来て講和を求めよ」と 専門家:中共は進むも退くも傷がつく トランプ・習会談は突破するのは難しい>南カロライナ大学の謝田教授は「貿易戦で中共は進退窮まれり。それだけでなく存亡の危機に直面している。進むにしろ退くにしろ傷がつく。G20で会談できなければ、それも問題にされ、会っても進展が無ければ責められる」と述べた。11/3トランプは記者の質問に「(関税の影響で中国経済が下降するのは)非常にまずいのでは。彼らは合意に達せると思っているが、大変なことだよ」と答えた。これは「中国が早くコントロールしたいなら、習近平が来て講和を求めない限り無理。公平な貿易をしないと駄目」というのを暗示している。
評論家やアナリストは、貿易戦は長く続くと見ている。
http://www.aboluowang.com/2018/1103/1198767.html
北村氏の記事で、中共が大豆輸入をどう取り扱うか見物です。関税賦課を止めるのか、止めずに米国から輸入するのか、大豆の代替品を探すのか?いずれの場合も困難な道です。中共の権威を傷つけるのは間違いないでしょう。トランプの中間選挙対策で打ち出した政策で自縄自縛に陥りました。策士策に溺れるというものです。松岡洋右のように米国の出方を読み間違えました。
11/4阿波羅新聞網<中南海激斗 邓朴方庆亲王联手 批习近平倒退 ——暗批习近平倒退 邓朴方讲话遭封杀 庆亲王发全文 残联官网休克=中南海は激闘に 鄧撲方(鄧小平の長男、文革時に紅衛兵に襲われ、窓から飛び降り、身障者に。身障者連合会の名誉主席)は曽慶紅と手を結ぶ 9/16身障者連合会の大会で、鄧は「習は逆行している」と批判 身障者連合会のネット全体は削除・封殺された 10月下旬、習が港・珠・澳大橋開通式参加の為南巡した時に、曽慶紅管理のサウスチャイナモーニングポストにその全文を載せた>とあります。まあ、嫌がらせ程度でしょうけど。馬雲も派閥間闘争が激しくなるのを見込んでアリババを辞めたのでしょう。
まあ、このまま貿易戦が継続して行って、中国経済がガタガタになれば、少なくとも軍事費の膨張は抑えられ、海外展開している基地や尖閣に姿を現している艦艇や飛行機も維持できなくなるでしょう。それでも、軍事を維持するとしたらソ連の二の舞でしょう。その前に国民経済を圧迫し、真の革命が起きるかもしれません。中国を経済的に封じ込めて行くのが一番良いと思っています。トランプは期待を裏切らないでほしい。中国は嘘つき民族ですので、約束しても守ることはありません。「騙す方が賢い」と思っている連中ですから。変な妥協は禁物です。
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米中貿易戦争は米国の穀物業界にも不安をもたらしている。2018年4月5日撮影(写真:AP/アフロ)
中国政府の“国家糧油信息中心(国家穀物・食用油情報センター)”は、“国務院”の管理下にある“国家糧食和物資儲備局(国家食糧・物資備蓄局)”に所属する機関で、国内外の“糧油(穀物・食用油)”市場の動向を観測し、“糧油”の需要と供給の関係を分析し、市場の未来展望を予測し、政策的な意見を提出し、国家の“糧油”マクロ管理に情報を提供している。
9月11日から12日まで北京市で開催された「一帯一路世界農産品トップフォーラム」および「第14回“糧油”・飼料大会」で講演した“国家糧油信息中心”部長の“張立偉”は、中国の大豆輸入に関して次のように述べた。
【1】2017年10月から今年7月までの我が国の累計大豆輸入量は7695万トンで、前年度同期の7694万トンと同一水準であった。今年8~9月における我が国の大豆輸入量は1600~1700万トンで、昨年同期の1656万トンとほぼ同一であった。これに基づいて推計すると、2017/2018年度の我が国の大豆輸入量は9300~9400万トンで、前年度輸入量9350万トンと同水準になる。
【2】中国と米国の貿易衝突が我が国の第4四半期と来年度における大豆輸入に与える影響は大きい。2017年に我が国が輸入した米国大豆は3285万トンであったが、中国・米国の貿易戦争は米国大豆の輸入コストを他の国よりも大幅に引き上げ、米国大豆の輸入量を大幅に減少させ、今年の第4四半期と2018/2019年度の我が国の大豆輸入量に影響を与えることになろう。
【3】世界の大豆貿易の構成から見て、別の国で1000~1500万トンの米国大豆を代替することは可能だが、もしも我が国の大豆輸入量が大幅に減少しないならば、依然として1500万トン前後の米国大豆を輸入する必要がある。このため、大豆の消費需要を引き下げることを通じて大豆輸入量を減少させ、米国大豆を輸入しない、あるいは輸入削減による中国国内の影響を軽減させることが必要になる。
【4】毎年10月から翌年の3月まで、中国の輸入大豆は主として米国産であり、同一期間中に米国産大豆が占める割合は一貫して50%以上である。もし中国・米国間の貿易戦争が解決出来ぬまま推移すれば、米国大豆の輸入量は大幅に減少することになるだろう。我々は国内の“油籽(油用種子)”と“油料(搾油用植物)”の生産を奨励、支援し、国産の“蛋白粕(植物油の搾り粕)”の供給量を増加させ、ムラサキウマゴヤシ(別名;アルファルファ)などの高蛋白飼料作物の作付面積を増加させる。飼料や養殖企業に低蛋白配合を促進させ、合成アミノ酸の用量を増加させる。それによって飼料中の豆粕を代替する、あるいは豆粕の使用量を減少させる。
【5】事実上、8月26日までに米国大豆の優良生育率は65%で、昨年同期の60%よりも高く、今年の米国大豆が豊作になることはすでに確定的である。USDA(米国農務省)の8月予測では、大豆の単位収穫量は51.6ブッシェル/エーカーで、昨年の49.5ブッシェル/エーカーよりも高かったので、今年の米国大豆の収穫量は1億2480万トンで昨年の1億1950万トンよりも530万トン増大するものと予測される。
米国だけが大豆1500万トンを輸出できる
中国・米国間の貿易戦争は、6月15日に米国政府が中国による知的財産権侵害に対する制裁措置として、米国が中国から輸入している中国製品500億ドル分に対して25%の追加関税を課すと発表し、その第1弾として7月6日に340億ドル分の中国製品に制裁関税の適用を開始するとしたことにより勃発した。これに対し、中国政府は同じく6月15日に米国と同規模・同等の追加関税措置を取るとの声明を発表し、米国が7月6日に制裁関税を発動すれば、同時に340億ドル分の米国製品に追加関税を課すとして応戦する意思を表明した。
中国政府が米国政府に対する報復として7月6日に追加関税25%を適用したのは545品目の米国製品であったが、その中には主要な輸入品目である大豆が含まれていた。中国税関総署の統計によれば、2017年における米国からの“糧油”類の輸入総量は3550万トンであり、このうち大豆は3285万トンで全体の92%を占めていた。中国では大豆に対する輸入関税は従来3%であったから、25%の追加関税が適用された後の輸入関税は28%に増大した。
上記の張立偉部長の話にあったように、米国大豆は25%の関税が追加されたことで他国産大豆に比べて価格競争力を失った。しかし、今年、全世界の大豆生産量は4.85億トンであるのに対して、全世界の大豆貿易量は2.1億トンに過ぎず、そのうちに占める中国の大豆輸入量が9300~9400万トンとすれば、約45%が中国によって占められることになる。一方、上述したように2017年における中国の大豆輸入量は9350万トンであったが、その国別輸入量は【表1】の通り。
【表1】2017年中国の国別大豆輸入量

(出所)中国税関統計
2017年の米国からの大豆輸入量は3285万トンであったが、張立偉も述べているように、1000~1500万トンを別の国から輸入することで代替することは可能かもしれないが、たとえそれができたとしても、依然として1500万トンの大豆を輸入する必要がある。但し、1500万トンもの大豆を輸出できるのは米国だけで、その他の国にはそれだけの余力がない。
ましてや、張立偉が述べているように、今年の米国は大豆が豊作で収穫量は昨年よりも530万トンも増大すると見込まれているのである。
なお、中国税関総署の統計によれば、2018年1月から9月までの大豆輸入量は7001万トンで、その月別輸入量は【表2】の通り。
【表2】2018年中国の月別大豆輸入量
<万トン>

(出所)中国税関総署・月別統計
大豆に対する25%の追加関税が実施されたのは7月6日からなので、7月以降は大豆輸入量が減少してしかるべきだと思われるが、輸入量が減少した形跡はない。張立偉が述べているように「2017年10月から今年7月まで累計大豆輸入量7695万トンは、前年度同期の7694万トンと同一水準」であるということだから、影響は何もでていない。しかし、業界筋によれば、11月以降は南半球にあるブラジルやアルゼンチンでは大豆の供給が端境期に入り、本来これに代わって大豆を中国へ供給するのが米国であったという。その米国大豆が高関税のために中国へ輸入されないとなると、中国は1000万トン以上の大幅な大豆不足に陥り、中国企業は高関税に目をつぶってまでも米国大豆の輸入に踏み切る可能性が強いと海外メディアの多くが予想している。
中国の大豆自給率は20%程度と言われているが、中国国産大豆は輸入大豆に比べて価格が高く、遺伝子組み換えが行われていないことから、主として食用に使われている。これに対して輸入大豆は価格が安く、油分が多いことから、ほぼ100%が大豆油の抽出に使われる。大豆から油分を抽出した後に残る“豆粕(脱脂大豆)”は、豚、牛、羊、鶏などの家畜に良質な植物性蛋白質を供給する重要な栄養素であり、“豆粕”を混ぜた飼料で育てられた家畜は食肉に加工されて国民の食卓に供される。
中国の2017年における飼料用脱脂大豆の需要は6700万トンで、脱脂大豆総需要の98%を占め、そのうち養豚飼料に用いられる脱脂大豆は49%を占めている。中国には大豆供給不足による脱脂大豆の不足に対処するため、国産の油用種子や搾油用植物の生産を奨励し、国産の植物油搾り粕や高蛋白飼料作物の増産をはかり、飼料に含める脱脂大豆の量を削減すると、張立偉は上記の通り述べている。
ASF感染拡大に懸念の声
ところで、中国では8月3日に遼寧省“瀋陽市”で“非洲豬瘟疫(アフリカ豚コレラ)”(略称:ASF)に感染した“猪(豚)”が発見されたのを皮切りに、10月23日までの時点で黒龍江省、吉林省、内モンゴル自治区、河南省、江蘇省、安徽省、浙江省、天津市、山西省、湖南省、雲南省の計12の一級行政区(省・自治区・直轄市)の54カ所でASFに感染した豚が確認され、感染のさらなる拡大が懸念されている。
日本でも9月9日に岐阜県の養豚農場で「豚コレラ」(略称:CSF)の発生が確認されたが、これは日本で1992年以来26年振りであった。農林水産省消費・安全局動物衛生課が10月29日付で発表した内容によれば、「CSFは、豚やイノシシが感染する病気であり、強い伝染力と高い致死率が特徴で、日本では家畜伝染病予防法で家畜伝染病に指定されている」とあった。日本でCSFの発生が確認されたのを受け、中国政府は9月末に日本からの豚・イノシシの輸入を直接・間接を問わず禁止する旨の公告を出して即日実施した。
一方、中国で感染の拡大が懸念されているASFはCSFとは異なるウイルスに起因するもので、CSFと同様に豚やイノシシが感染する病気だが、専門家によれば、「感染すると出血熱を発して暴れるようになり、最終的には死に至る。人には感染しないが、有効な治療法やワクチンはいまだに開発されておらず、殺処分するしか解決方法はない」という厄介な代物である。
中国ではASFに感染して死んだ豚の肉を食肉市場へ供給する不届き者が横行しており、中国国内で大きな問題となると同時に、ASFが沈静化するまで豚肉を食べないとする人々が急増している。10月22日には中国・北京市から北海道の新千歳空港に到着した中国人観光客が、携帯品として持ち込んだ豚肉ソーセージからASFウイルスの陽性反応が出たという。当該ソーセージにはラベル表示がなく、原産地は不明だと言うが、中国製であることは間違いないだろうし、ソーセージのような肉加工品に化けると発見が難しい。日本政府はASFウイルスの侵入を恐れて検疫を強化しているが、人間がASFに感染した豚肉や加工品を食べても問題ないとはいえ、ASFウイルスは糞便に混じって排出され、そこから豚やイノシシが感染することが予想できるので防疫は重要である。
避けられない豚肉の値上がり
中国国内でASFが沈静化するまで豚肉を食べないという人々が増大し、養豚業者は苦境に陥っている。そこに大豆の供給不足による脱脂大豆の値上がりが追い打ちをかけ、養豚業者は正に泣き面に蜂という状況にある。このまま行けば、養豚業者は豚の飼育数を削減する、あるいは廃業するといった形で対応するはずで、将来的には豚の飼育数が回復するまでは豚肉の値上がりは避けられず、豚肉を好む庶民の反発は大きなものとなるだろう。
折悪しくASFの蔓延と時を同じくして大豆の供給不足問題が中国世論を賑わせているが、中国政府は米国政府に対する報復関税の対象品目に大豆を含めたために、“搬起石頭砸自己的脚(石を持ち上げて自分の脚に落とす=自業自得)”の結果になったと、中国の批評家は述べている。
10月11日、中国政府“農業部”は毎月定例で発表する『中国農産品需給形勢分析報告』10月分の発表を技術問題を理由に中止した。当該報告は主要な農作物の生産量、輸入量、消費量の月別予測を行うもので、主たる対象には大豆、トウモロコシ、綿花、食用植物油などが含まれている。海外メディアは、この発表中止は米国に代わる大豆の供給国が見つからないことに起因しており、11月以降に中国は米国大豆を輸入せざるを得ないのではないかと分析している。果たして、この結末はどうなるのか。ASFの感染がこれ以上拡大しないことを祈りつつ見守ることにしたい。
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『文在寅政権は「現状を打ち壊す」革命政府だ 「民族の核」を持つ北と組めば怖いものなし』(11/2日経ビジネスオンライン 鈴置高史)、『韓国徴用工判決、投資と観光客が激減する恐れ』(11/2日経ビジネスオンライン 向山英彦)について
10/29本ブログで「馬渕睦夫著の『2019年世界の真実』には、「ジャック・アタリは2025年までに中共の一党支配は終わると予言」(P.120)とありました。グローバル勢力が中共を見放したことになります。」と書きました。読み終わりましたので、その他の部分も紹介します。
①返還された北方領土にロシア軍の駐留を認めるのも一案。沖縄に米軍が未だに駐留していることを考えれば、何も不思議でない。(P.144~146)
②安倍政権時代にトランプ大統領が靖國神社に参拝することも大いにありうる。(P.147)
③「アメリカの伝統破壊はエスタブリッシュメントの交代に象徴的に表れています。ユダヤ系のブレジンスキーが自著『THE CHOICE』で指摘しているように、WASP (ホワイト、アングロサクソン、プロテスタント)をエスタブリッシュメントの座から弓き摺り下ろして新たにエスタブリッシュメントになったのはユダヤ系の人々です。その手法は黒人やヒスパニックなど少数派と組んだことだと、同書は種明かしをしています。つま り、移民(少数派)と組んで同じく少数派のユダヤ系がアメリカのエスタブリッシュメントに上り詰めた。移民はアメリカ社会変遷のために利用されたともいえます。
トランプ大統領はこうした事実に直接言及することは慎重に避けながら、アメリカ国民に対しアメリカを取り戻そうと訴えました。その意味で、トランプ大統領の挑戦は世界グローバル化勢力との戦いであるのです。」(P.166)
④「少数者優遇は多数者に対する差別である
では、国連による政治、思想分野での「世界統一」活動はどのように行われているのでしようか。この疑問に答える鍵はロシア革命にあります。
二〇一七年はロシア共産革命百周年でしたが、ロシア革命はまだ終わっていません。 私たちは一九九一年のソ連邦崩壊によってロシア革命は使命を終えたと無邪気に信じがちです。しかし、そうではありません。ロシア革命の思想を受け継ぐ革命家たちは、暴力的手段による共産主義革命から、文化を乗っ取ることによる内部崩壊方式に戦術を変更しました。この新しい戦術の理論的支柱になっているのが、先述のフランクフルト学派による秩序批判理論です。既存のあらゆる秩序を批判することによって社会を崩壊に導くという単純な理論ですが、この秩序破壊工作が明確に目に見える形で行われるわけではないので、私たちが社会の崩壊に気づくのが手遅れになる危険があるのです。
たとえば、昨今EUやアメリカを襲っている移民の波も、元はといえばフランクフルト学派の批判理論に基づき、先進国の社会秩序を破壊することを狙ったものです。しかし移民擁護者は自らの正体を明かさずに、移民の人権や人道問題の側面を強調することによって、人々の移民に対する疑問や不信感の表明を抑圧し、移民の受け入れが世界の理想に合致するものだとの印象操作を続けてきました。
近年、国連は移民に関する特別会合を開催し、移民は保護される権利があるとして各国に移民受け入れの促進を訴えました。この「移民の権利」擁護キャンペ—ンの尖兵となったのが各国のメディアであり、メディアに巣喰う知識人です。
彼らはポリテイカル・コレクトネス(政治的正しさ)という巧妙な口実を発明しています。これは少数者優遇であり、多数者に対する「逆差別」なのです。言うまでもなく、ポリテイカル・コレクトネスを推進しているのは世界の少数者グループです。フランクフルト学派の批判理論を言い換えれば、「既存の秩序は多数者の秩序であり、多数派から疎外されている少数者はこの秩序を破壊せよ」という革命的扇動になるのです。
移民を奨励する国連の移民条約の草案には「移民は移民した国の中で文化的にも社会的にも同化する必要はない」「移民は移民した国の国民と同等の権利を主張できる」という内容があります。あまり過激だから、誰も相手にしていませんが、国連はそういうことをやっているところです。」(P.182~183)
⑤「では、二十世紀最大の謎を解く鍵は何か。答えは前述したロシア革命です。ロシア革命は決してロシア人による帝政打倒の革命ではありません。ユダヤ系の職業革命家によるロシアにおけるユダヤ人解放のための革命だったのです。そのためにマルクスの共産主義革命理論が利用されたに過ぎません。この真実は世界の眼から隠蔽されてきました。
ソ連共産主義体制下、ニ千万人のスラブ系住民が反革命や階級の敵という口実で、問答無用に殺害されましたが、このテロの恐怖による強権的支配の革命を支援したのは米英の金融資本家たちです。彼らは融資した資金を回収し、革命家たちはロシア人労働者を弾圧し、搾取する一方でスイスの銀行口座を持ち、私的に富を蓄えた。このような共産主義独裁政権がプロレタリアートのための政権であるはずがありません。革命から七十四年でソ連という人工国家は崩壊しましたが、この事実が共産主義体制の矛盾を如実に証明しています。
共産主義の悪行がこれほど明確に示されているにもかかわらず、なぜかロシア革命の実態について、私たちは知ることを阻まれています。それはロシア革命をプロレタリアート革命と持て囃した勢力によってです。彼らはプロレタリアート革命のロ実で行われた大量虐殺の協力者であり、人類史上最悪の虐殺行為が暴露されるのを隠蔽しなければならない人たちです。
結論を言えば、ロシア革命を支援した人々がアメリカやイギリスのメディアを握り、ロシア革命の虐殺の実態が明るみに出ないよう、ヒトラーという極悪人を糾弾することによって隠蔽してきたのです。「ロシア革命でユダヤ人が□シア人を大虐殺した」「ユダヤ人がロシア人を強制収容所で働かせた」。それを隠さなければいけないから、ユダヤ人を強制収容所に入れ、虐殺したヒトラーを極悪人として糾弾しつづけるのです。もちろんヒトラーは悪い奴でしよう。しかし、それ以上の大虐殺を無視するのはニ枚舌というしかありません。
今、アメリカの歴史学者の大御所は、だいたいユダヤ人です。そういう人が、自分たちに都合のいい歴史をつくっていて、ユダヤ系が多いメディアはそれに加担する。 安倍首相も「歴史修正主義者」というレッテルをそういう人たちから貼られましたが、本当のことがわかったら困るから、本当のことを言いそうな人を、「歴史修正主義者」といって抑えているわけです。」」(P.186~188)
⑥「また、外国人のベビーシッターになると、日本の子どもたちが日本語を覚えられなくなります。言うまでもなく、赤ん坊はまず耳から日本語を覚えるからです。子育てのような子どもの人生を左右する重要なことを外国人にやらせてはいけません。それどころか、「子どもをむやみに保育園に入れてはいけない」と私は主張しています。子育ては親がやるべきです。「待機児童」問題が大きな行政課題になっていますが、児童が保育園を待機しているのではありません。待機しているのは会社で働きたい母親です。今、そういう正論が通じない社会になっています。
「少なくとも生まれてまもない子どもは、また、できれば三歳ごろまでの子どもは、お母さんが自分で育てたほうがいい」というと、フエミニストから批判されたりする。しかし、そのフェミニストもかつてはお母さんに育てられたのでしょう。自分は母親に育てられておきながら、周りの人たちに「母親が育てるな」とどうして言えるのか。そういう反論をできない今の政治家、あるいは保守系の知識人はだらしないと言わざるを得ません。これでは日本の社会がだんだん劣化していくのを止められません。
昔は一人の働き手で家族を支えましたが、今は夫婦二人で働かないと経済的にも支えられなくなっています。簡単に言えば、一人頭の収入が半分に減っているのです。しかし、両親がともに働かなければならないから子どもを保育園に入れるというのは、本末転倒です。母親が働かなくてもいいと言ったら極論だから、百歩譲って、少なくても三年間は育児に専念できるような社会システムにすればいいのです。そうしないと、日本人がだめになっていきます。日本の小学校が荒れているのは、母親が育児をしないからです。母親がご飯をつくらないからです。教育心理学の難しい理論は必要ないのです。」(P.206~207)
11/2ZAKZAK<「徴用工判決」で韓国致命傷 ヒト、モノ、カネ…もはや関わることがリスクに>
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/181102/soc1811020004-n1.html
11/3ZAKZAK<韓国「徴用工判決」に米国、台湾の識者も異常性指摘 エルドリッヂ氏「約束守れない国」 黄氏「追い詰められているのでは」>
http://www.zakzak.co.jp/soc/news/181103/soc1811030001-n1.html?ownedref=not%20set_main_newsTop
まあ、韓国を甘やかしてきた勢力が悪いのでしょうね。「共産主義の防波堤」の論理は既に破綻しています。朝鮮民族は事大主義者です。強きに媚び諂い、弱きを虐めるとんでもない民族です。中国のように動物をしつけるようなやり方でしか付き合うことはできません。何せ忘恩の徒ですから。日本人とは余りにかけ離れています。日本も国際司法裁判所提訴何て悠長に構えず、できる制裁はやっていくべきです。鈴置氏の言う「韓国は米国から断交を言わせる」作戦のように、日本も早く韓国から日本への断交を言わせるように持って行きませんと。国際社会に説明できる原稿を今の内から作って置けばよい。外務省は能力があるのか?中国人・朝鮮人は嘘つき民族ですから、捏造したアピールを出される可能性がありますので、事実でキチンと反論できるようにしておきませんと。
この期に及んでも、日本企業は韓国で商売やりたいor世界のサプライチエーンを利用したいと考えているとしたら、愚かでしょう。韓国は法治国家でないことを示しました。法的安定性が望めない国でビジネスするなら、自己責任でしょう。まあ、経営者は株主総会で糾弾されればよいでしょう。
鈴置記事

文在寅大統領は「徴用工判決」翌々日の11月1日、国会で施政方針を演説したが、「判決」に言及はなかった(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
(前回から読む)
文在寅(ムン・ジェイン)政権は革命政府だ。「現状」は全て打ち壊す。核を持つ北朝鮮と一体になるのだから、怖いものはない。
「歴史カード」を奪回した
—韓国はいったい、何を考えているのでしょうか。日韓国交正常化の際の合意をいとも簡単に踏みにじりました。
鈴置:驚くことでもありません。文在寅政権は革命政権なのです。国内外を問わず、気にくわないものは全て破壊します。この政権を生んだ2016年から2017年にかけての朴槿恵(パク・クネ)打倒劇を、大統領自身がフランス革命に例えています。
10月30日の韓国の大法院――最高裁の「徴用工判決」は「日本の上に君臨する」ことを宣言する“革命的”なものでした(「新日鉄住金が敗訴、韓国で戦時中の徴用工裁判」参照)。
政権に近いハンギョレの社説「『裁判取引』で遅らされた正義…徴用被害者もあの世で笑うだろうか」(10月31日、日本語版)は「法的にも日本を下に置いた」と勝利をうたい上げました。
(最高裁)全員合議体の多数意見は「強制動員被害者の損害賠償請求権は『朝鮮半島に対する不法な植民支配および侵略戦争の遂行と直結した日本企業の反人道的不法行為を前提とする慰謝料請求権』であり、請求権協定の適用対象ではない」と宣言した。
「反人道的不法行為」による個人請求権は消滅していないとする最高裁の判断は、強制動員はもちろん、韓国人原爆被害者や日本軍慰安婦被害者など他の「人道に反する不法行為」にも適用されるものとみられ、注目される。
この判決さえあれば、慰安婦合意で失いかけた「歴史カード」を取り戻し、これまで以上に日本を思う存分に叩ける――との喜びがひしひしと伝わってきます。
韓国はICJで勝てない
—では、次は個人請求権の発動ですね。
鈴置:ただ、それは現実には難しい。元・徴用工ら原告団が差し押さえようにも、今回の裁判で被告となった新日鉄住金の韓国における資産はほとんどありません。
それに差し押さえに入れば、日本政府が国際司法裁判所(ICJ)に提訴するでしょうが、そこで韓国側が敗訴する可能性が高い。
文在寅政権含め、韓国の歴代政権は日本政府と同様「元・徴用工の請求権は1965年の日韓請求権協定で完全に消滅した」との立場をとってきたからです。
中央日報の「強制徴用問題で国際訴訟に向かう日本…ICJは独の軍配を上げた」(10月31日、日本語版)はドイツの先例を引いて「韓国敗訴」の可能性を指摘しました。日本語を整えて引用します。
イタリア最高裁は2004年、戦争中に強制労働に動員されたイタリア人がドイツ政府を相手取って起こした損害賠償訴訟で原告勝訴判決を確定した。
これを不服とするドイツ政府はICJに提訴。ICJは2012年2月「イタリア裁判所はドイツの自主権を侵害した」としてドイツに軍配を上げた。平和条約で問題はすでに解決済みとの意味だ。ICJの判事15人中12人が主権免除原則により判決に賛成した。
なお、この記事の見出しに「強制」とあるのは、韓国側の用語です。日本側は「当時の朝鮮人――いわゆる半島出身の日本人は法的に日本国民だったのだから、戦争中の国民の義務として徴用された」との立場です。一方韓国は「韓日併合自体が違法だったから、徴用は『強制労働』だったのだ」と主張しています。
さらになお、今回の裁判の原告4人は徴用ではなく日本製鉄(当時)の募集に応じた人たちです。判決にもそう書いてあります。強制的に連れて行かれたわけではありません。そもそも裁判を「徴用工裁判」と呼ぶこと自体が間違っています。
中央日報は別の記事「韓国政府『歴史・未来ツートラック』慎重…日本がICJ提訴すれば外交的負担に」(10月31日、日本語版)でもICJへの提訴を取り上げ、韓国政府が苦境に陥ったと指摘しました。
ICJでの裁判は拒否できるが、国際世論戦を仕掛けられたら韓国が不利になる――との解説です。
日本のカネで財団を作れ
—韓国政府はどうやって苦境を脱出するつもりでしょうか。
鈴置:日本の政府や企業がカネを出して「徴用工財団」を作れと要求して来ると思われます。韓国紙には早くもそれを示唆する記事が載り始めています。
例えば、東亜日報の「ドイツ政府―企業、財団を作って個人被害を補償」(10月31日、日本語版)です。書き出しを引用します。
ドイツは第2次世界大戦でナチス政権が行った強制労働に対する賠償問題を解決するために、政府と企業による共同の財団を作った。170万人にのぼる被害者が補償金として計44億ユーロ(約5兆7千億ウォン)を受け取った。
なお、ドイツと比べるのは無理があります。ドイツ――厳密に言えば西ドイツは日本とは異なり、関係国との国交正常化の際に政府として補償金を支払っていないからです。
そこでドイツの例には触れず、「現実的な案」として「徴用工財団」の設立を主張する人もいます。中央日報の「強制徴用問題で国際訴訟に向かう日本…ICJは独の軍配を上げた」(10月31日、日本語版)は結論部分で、そうした専門家の意見を紹介しました。
建国大法学専門大学院のパク・イヌァン元教授は「強制徴用被害者が概略25万人と推算される」として「25万人の訴訟を司法府が行政力で処理することもできず、数十兆ウォンに達する賠償額も企業が負担するには現実的に難しい」と指摘した。
同時に、「両国が妥協できる接点を探して財団を通じて被害者の痛みを癒すのが正しい方向」と話した。
日本企業に加え、POSCOなど韓国企業が一緒になって救済のための財団を作り元・徴用工におカネを支給する――とのアイデアはかなり前からありました。
韓国企業も負担するのは本来、元・徴用工らに支払われるべきおカネを韓国政府が代わりに受け取って、浦項総合製鉄(現・POSCO)などを設立したからです。
朝日新聞は財団派?
—日本は支払い済みなのだから、韓国企業だけが財団に出資すべきでは?
鈴置:正論です。ただ、韓国側は「それでは面子が潰れるから日本企業もカネを出してくれ」と泣きついてくるわけです。韓国との融和を重視する日本人はそうした意見に耳を傾けがちです。外務省にも「日韓共同で出資する財団」を作ろうとの意見がありました。
朝日新聞では、未だにそちらに話を持って行きたいようです。社説「徴用工裁判 蓄積を無にせぬ対応を」(10月31日)の最後のくだりをご覧下さい。
日本政府は小泉純一郎政権のとき、元徴用工らに「耐え難い苦しみと悲しみを与えた」と認め、その後も引き継がれた。
政府が協定をめぐる見解を維持するのは当然としても、多くの人々に暴力的な動員や過酷な労働を強いた史実を認めることに及び腰であってはならない。
負の歴史に由来する試練をどう乗り切り、未来志向の流れをつくりだすか。政治の力量が問われている。
はっきりと書いてはいませんが、見出しと合わせると「日韓共同財団の設立により解決すべきだ」との声が、喉まで出かかっている感じです。
韓国への配慮は逆効果
—日本政府は?
鈴置:もう、相手にしない可能性が高い。「韓国の顔を立てる」などという甘い姿勢をとってきたからこそ関係が悪化した、と安倍晋三首相が考えているからです。
安倍氏は2012年夏、産経新聞のインタビューに答え、以下のように語っています。「単刀直言 多数派維持より政策重視」(2012年8月28日)から引用します。
自民党が再び政権の座に就けば東アジア外交を立て直す必要がある。過去に自民党政権時代にやってきたことも含め、周辺国への過度の配慮は結局、真の友好にはつながらなかった。
この思いは多くの日本人に共通するでしょう。私に対し「韓国に甘い顔をしたのがいけなかったですね」と言って来る日本人が相次いでいます。
その多くが昔は「日本は韓国に悪いことをしたから……」と言っていた人たちです。リベラルを気取っていた人こそが韓国を憎むようになった。
そもそも、財団を作っても根本的な解決策にはなりません。韓国人にとって「歴史カード」は「自分たちが日本人よりも上に立つ」ための切り札です。
「徴用工財団」を作れば文在寅政権の間は、問題は収まるかもしれません。が、次の政権が「この財団では不十分だった」と言い出しかねない。
21世紀に入ってから韓国は日本を下に見下すことに全力を挙げているのです(『米韓同盟消滅』第3章第2節「『反日』ではない、『卑日』なのだ」参照)。
「日韓」を無法状態に
—「慰安婦財団」は消滅しかかっています。
鈴置:その通りです。朴槿恵政権当時に日韓合意の下で設立した「慰安婦財団」が、現政権の気にくわないとの理由で事実上、消滅したのがいい例です。
「徴用工財団」を作れば、冒頭に引用したハンギョレの社説が小躍りしたように「原爆被害者財団」とか「新・慰安婦財団」を作れ、ということになるでしょう。韓国人に「歴史カード」を手放す気はないのです。
それに今回の最高裁判決は状況を根本から変えました。日韓国交正常化の際の合意の中核部分、日韓請求権協定を全否定したのです。日韓関係を定める協定が否定され、無法状態に陥ったのです。この問題を放っておいて「財団」でもないでしょう。
1965年に結んだ日韓請求権協定では国家と個人は、協定の締結後は請求権を行使できないと繰り返し明記しました。以下です。
両締結国及びその国民の間の請求権に関する問題が(中略)完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する。
締結国及びその国民の(中略)すべての請求権であって、同日(署名日)以前に生じた事由に基づくものに関しては、いかなる主張もできないものとする。
日本政府が韓国の個人に支払おうとした補償金を韓国政府は「すべて政府に渡して欲しい」と懇願。日本は韓国政府の意を汲んで受け入れました。
しかし将来、韓国人から「自分は貰っていない」と訴えられると懸念し、協定で「すべての請求権は消滅した」と2度も念押ししたのです。このため文在寅政権を含め、歴代政権も「元・徴用工の請求権は消滅した」との立場をとってきました。
この鉄壁の文言をすり抜けるため、韓国最高裁は詭弁を弄しました。判決は49ページに及ぶので、その要旨を翻訳しながら解説します。
「慰謝料」にすり替え
最高裁は判決で「原告(元・徴用工)の損害賠償請求権は請求権協定の適用対象か」を問題にしました。「適用対象でない」ことにすれば、被告の新日鉄住金に賠償を請求できるからです。そのうえで「適用対象ではない」理由を展開しました。以下です。
原告が求めているのは未支払い賃金や補償金ではなく、日本政府の朝鮮半島に対する不当な植民地支配や侵略戦争の遂行に直結した日本企業の反人道的な不法行為を前提とした強制動員被害者の慰謝料要求である。
請求権協定は日本の不当な植民地支配に対する賠償のためのものではなく、サンフランシスコ条約第4条に基づく韓日両国の財政的、民事的な債権、債務関係を政治的な合意により解決するものと見える。
請求権協定の第1条により日本政府が大韓民国政府に支給した経済協力基金と、第2条による権利問題の解決とが、法的に対価の関係にあるとは明らかではない。
請求権協定の交渉過程で日本政府が植民地支配の不法性を認めず、強制動員の被害の法的な賠償を原則的に否認したため、認めなかったため、韓日両政府は日帝の朝鮮半島支配の性格に関し、合意できなかった。この状況から強制動員の慰謝料請求権は請求権協定の適用対象に含まれると見るのは難しい。
要は、元・徴用工が求めているのは植民地支配に対する精神的な慰謝料であり、請求権協定の締結時に日本政府が植民地支配を謝罪していない以上、慰謝料もまだ支払われていないことになる。今、それを支払え――との理屈です。
ちなみに、ここでも職の募集に応じた人たちを「強制動員被害者」に仕立て上げてしまっています。事実認定からしておかしいのです。
韓国は法治国家ではない
—「慰謝料」問題と規定し直したのがミソですね。
鈴置:でも、そこが判決の弱点でもあるのです。それなら1965年の請求権協定の締結時に韓国政府は「精神的な慰謝料」を求めるべきだった。しかし、現政権に至るまで要求してこなかった。
そして今になって「慰謝料」を持ち出すことにより、日韓関係の法的な基盤をひっくり返したわけでもあります。
当然のことながら、河野太郎外相もここを批判しました。「河野外務大臣臨時会見記録(平成30年10月30日16時22分)」から引用します。
日本と韓国は1965年に日韓基本条約並びに関連協定を結び、日本が韓国に資金協力をすると同時に請求権に関しては完全かつ最終的に終わらせたわけであります。
これが国交樹立以来の日韓両国のいわば関係の法律的な基盤となっていたわけでありまして、今日の韓国の大法院の判決はこの法的基盤を韓国側が一方的かつかなり根本的に毀損するものとなりました。
差し押さえの危機に直面する新日鉄住金はもちろん、無法状態の韓国に進出した日本企業や日本人が今後、どんな目にあうか分かりません。河野外相はその点もクギを刺しました。
日本の企業あるいは国民がこの判決によって不当な不利益を被ることがないように韓国政府において毅然とした必要な措置をとっていただきたいというふうに思っております。
さらに、2国間の取り決めを平気で破るのなら、韓国は法治国家ではないと難詰しました。
法の支配が貫徹されている国際社会の中ではおよそ常識で考えられないような判決でありますので、韓国側には韓国政府にはしっかりとした対応を取っていただきたいと思いますし、日本としてはまず韓国政府のしっかりとした対応が行われるということを確認をしたいというふうに思っております。
政権に近い人を最高裁長官に
—文在寅政権は重荷を背負い込んだ?
鈴置:日本との間に立つ外交部は困惑していると思います。最高裁の判決を実行しないよう要求されたのですから。もし原告が差し押さえに動けば、世界から「法治国家ではない」と認定されてしまう。
ただ文在寅政権の中枢は、日韓摩擦は織り込み済みと思われます。この政権が発足した2017年、大統領は人権派として有名で、自身の考え方と近い金命洙(キム・ミョンス)氏を大法院長(最高裁長官)に任命しました。
春川(チュンチョン)地裁裁判長からの就任という異例の人事異動でした。当時から「徴用工裁判で日本企業の責任を問うための最高裁長官人事」と見られていました(日経「韓国最高裁長官に人権派の金命洙氏 徴用工裁判へ影響も」参照)。
—しかし、これでは日韓関係が完全におかしくなってしまいます。
鈴置:むしろ、それを望んでいると思います、政権の中枢部は。この政権は北朝鮮との融和を最優先しています(「北朝鮮と心中する韓国」)参照)。
すると、北朝鮮を共通の仮想敵としてきた米国との同盟が邪魔になります。米韓同盟を何とか廃棄に持って行きたい、というのが文在寅政権の本音でしょう。
そして米韓同盟は、良好な日韓関係があってこそ十分に機能します。つまり、日本との関係を悪化させることが米韓同盟廃棄の伏線となるのです。
ただ、こうした手口は韓国の保守派の一部からは見ぬかれている。政権としては自分の手を汚さず、最高裁をして日本との関係を破壊させるのがベストの解決策なのです。
本性を現わした文政権
韓国が露骨に北朝鮮の非核化の邪魔をするようになったので、米国メディアは「文在寅は金正恩(キム・ジョンウン)の首席報道官」と書き始めました(「『北朝鮮の使い走り』と米国で見切られた文在寅」参照)。
でも、この政権はそんな“雑音”は無視し、北朝鮮との共闘にオールインしています。北朝鮮の非核化を阻止したうえ、南北が一体化を進めれば「民族の核」を持つ強国として米国から独立できるのです。
文在寅政権はすっかり、その革命政権としての本性を現わしたのです。ただ、怖いのは保守派の「反革命」でしょう。
もし今、文在寅政権が「米国との同盟を打ち切る」と宣言すれば、青瓦台(大統領官邸)は大群衆に包囲され、弾劾されかねない。しかし、米国にまず「同盟を打ち切る」と言わせれば、保守派も文句は言えなくなります。
日韓関係の破壊はその一里塚です。革命政権の米国からの独立作戦は着々と進んでいるのです。
(次回に続く)
向山記事

元徴用工が新日本製鉄(現・新日鉄住金)を相手に起こした損害賠償請求訴訟で、同社に賠償を命じる判決を韓国大法院が確定した(写真:Lee Jae-Won/アフロ)
韓国大法院(最高裁)は10月30日、韓国の元徴用工4人が新日本製鉄(現・新日鉄住金)を相手に起こした損害賠償請求訴訟の再上告審で、4人にそれぞれ1億ウォン(約1000万円)を賠償するように命じる判決を確定した。
判決後、新日鉄住金と日本政府はこの問題は65年の「日韓請求権ならびに経済協力協定」(略称)で解決済みであり、本判決は極めて遺憾であるとのコメントを表明した。今後の韓国政府の対応次第では、日韓関係に深刻な影響を及ぼす可能性がある。
盧武鉉政権の見解を覆す
日本政府・企業にとって衝撃的な判決となった。というのは、「日韓請求権並びに経済協力協定」の規定に反するだけでなく、従来の韓国政府の見解とも異なるからである。
65年に、日本と韓国との間で「日韓基本条約」(略称)、「日韓請求権並びに経済協力協定」などが締結され、国交が正常化した。正常化のネックとなっていた請求権問題については、日本が韓国に経済協力することで「政治的決着」が図られた。この背景に、当時の朴正煕(パク・チョンヒ)政権側に、日本から資金供与を受けて経済建設を推進したかったことがある。
具体的な内容をみると、同協定の第1条で、日本が韓国に対して、3億ドルの無償供与、2億ドルの低利融資、3億ドルの商業借款を供与すること、第2条で、「両締約国は、両締約国及びその国民(法人を含む)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、…(中略)…完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する」と規定された。
日本政府はこの規定を拠り所に、個人の請求権問題は「解決済み」との立場をとっている。同様に、韓国政府もこの協定で解決ずみとの見解を示してきた。盧武鉉政権(ノ・ムヒョン、文在寅=ムン・ジェイン=大統領は当時秘書室長)も、日本政府が同協定に基づき供与した無償3億ドルのなかに請求権問題を解決する資金が含まれているとの見解を示した。
今回の裁判でも、一審、二審は基本的に政府と同様の見解を示したが、12年5月に大法院が個人の請求権は消滅していないとの判断を示して、二審判決を破棄した。13年7月の差し戻し控訴審で高裁は、新日鉄住金に対して1人当たり1億ウォンの支払いを命じる判決を下した。新日鉄住金はこれを不服として上告。この後、5年間審理が行われなかった。
そして10月30日、大法院が新日鉄住金の上告を棄却し、判決が確定した。
大法院の見解の変化と5年間の空白の理由
今回の一連の動きには、二つの疑問が浮かぶ。一つは、大法院の見解が12年になぜ変わったのか、もう一つは、上告審で5年間審理が行われなかった理由は何かである。
大法院の見解が変わった背景に、国民による過去の問題に対する問い直しがあったと考えられる。韓国では80年代後半に民主化が進み、情報公開を求める動きが広がるなかで、過去の日韓会談関連の外交文書が公開されるようになった。これを機に、過去の政府が不問にした問題に対する問い直しが始まり、いわゆる慰安婦問題や徴用工問題が再浮上した。こうした世論に押されるかのように、65年に形づくられた日韓の法的枠組みそのものを司法が問題にしたと考えられる。日本からすれば、「ちゃぶ台返し」である。
他方、5年間審理が行われなかったのは、おそらく朴槿恵(パク・クネ)政権下で改善し始めた日韓関係への影響に配慮(政府から求められた可能性も)したものと推測される。しかし、その後の「ろうそく革命」による朴大統領の弾劾、文在寅政権の誕生(17年5月)によって状況が変わった。とくに歴史問題に対して原則的な立場を採る文在寅政権下で、慰安婦問題に関する日韓合意を再検証する作業が進められたことにより、大法院は日韓関係への影響に配慮する必要がなくなったと考えられる。
日韓経済関係に及ぶ3つの影響
今回の判決を受けて、今後相次いで同様の訴訟が起こされることが予想される。日本企業が賠償に応じなければ、韓国内の資産を差し押さえられる可能性がある(その場合、日本企業が国際的な仲裁措置を求める可能性も)。
他方、韓国政府も難しい対応を迫られる。判決後、韓国政府は司法の判断を尊重しつつも、日韓関係に否定的な影響を及ぼすことがないように取り組むと表明したが、どのような具体策を出してくるかは現時点では不明である。日本政府はそれをみて、今後の対応を決定することになる。国際司法裁判所への提訴を含めて厳しい姿勢で臨むことも予想される。
今回の判決は今後の日韓関係、とくに経済関係にどのような影響を及ぼすのであろうか。この点に関しては、以下の3点を指摘したい。
第1は、日韓の企業間関係への影響は限定的にとどまることである。
日本と韓国の企業がサプライチェーンで結びついている。日本企業は韓国企業に対して、高品質な素材、基幹部品、製造装置を供給している。東レが韓国で炭素繊維を生産しているのは、生産コストの低さもあるが、グローバルな事業活動を行っている韓国企業が顧客として存在していることが大きい。
また韓国企業も、半導体や鉄鋼製品、自動車部品を日本企業に供給している。こうしたサプライチェーンは日韓の枠を超えて、世界に広がっている。日韓企業は長年の取引を通じて信頼関係を築いているため、今回の判決がこの点でマイナスの影響を及ぼすことはないだろう。
第2は、韓国経済にマイナスの影響が及ぶことである。
まず、日本企業による投資が減少する。訴訟対象になる企業を中心に、韓国での投資計画の先送りや新規投資の見送りが生じるほか、韓国の法的安定性への信頼低下により、日本から韓国への新規投資が減少する可能性がある。
日本からの投資は近年、素材、部品、研究開発分野に広がっており、韓国の産業高度化に寄与しているため、日本企業による投資減少の影響は大きい。
つぎに、観光への影響である。判決後、日本企業の韓国からの撤退、韓国との断交を求める投稿がネット上で増え始めた。日本国内で「嫌韓ムード」が広がれば、日本から韓国への観光客数が減少する可能性がある。中国からの観光客が本格的に回復していない状況下で、日本人観光客が減少すれば、韓国の観光業界には大きな痛手となる。ちなみに、日本の訪韓者数は今年に入り増加基調で推移し、1~9月は前年比21.9%増であった。
韓国ツートラック戦略に危機
第3は、日韓の政府間協力の動きが停滞することである。
文在寅政権発足後、慰安婦問題に関する日韓合意(15年12月)が「白紙化」されたのに続き、今回の判決が出たことにより、日本政府の韓国政府に対する信頼は著しく低下したと考えられる。今後関係が悪化すれば、各分野における政府間協力の動きが停滞するのは避けられないだろう。米国の保護主義の強まりや利上げなどを背景に、新興国では資金流出が始まった。韓国でも、日本との間で通貨スワップ協定を再締結して、セーフティネットを強化すべきとの意見が出ているが、その実現が遠のくことになる。
さらに、政府間関係の悪化は民間レベルの交流にも少なからぬ影響を及ぼすであろう。文在寅政権は歴史認識問題に関して原則的な立場を採る一方、「ツートラック戦略」に基づいて、日本との間で経済協力(第4次産業革命での連携や人材交流など)を進める方針であるが、それが難しくなる。
韓国経済に及ぶマイナスの影響は、おそらく韓国政府が想定している以上のものとなる。このような事態に陥ることを避けるためにも、韓国政府には従来の政府見解に基づいて、政府が事実上個人の賠償に応じるなど、日本企業に実害が及ばない策を講じることが求められる。
向山 英彦(むこうやま・ひでひこ)
日本総研 調査部 上席主任研究員
中央大学法学研究課博士後期過程中退。 ニューヨーク大学で修士号取得。 専門は、韓国経済分析、アジアのマクロ経済動向分析、アジアの経済統合、アジアの中小企業振興。
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『7年ぶりの日中首脳会談で得したのは誰?日本と中国、双方に成果はあったのか』(10/31日経ビジネスオンライン 福島香織)、『日本は対中「注文外交」をできるのか?中国の対日微笑み外交は「米中関係の従属変数」』(10/31日経ビジネスオンライン 細川昌彦)について
10/31ダイヤモンドオンライン<米中新冷戦は「中国近代史」を押さえればより深く理解できる>
https://diamond.jp/articles/-/183890?utm_campaign=doleditor
「アヘン戦争の屈辱以降、太平天国の乱や義和団事件などが起き、最終的に共産党革命につながるが、その一連の努力にもかかわらず、中国は香港から英国を追い出せただけ。自らの勢力圏だと思っていた韓国、台湾、沖縄などから西洋を追い出せなかった。」と沖縄を入れているのは意図的としか思えません。
11/1希望之声<习近平与川普到底谈了啥?李克强大敲边鼓做暗示=11/1習近平とトランプは一体何を話したのだろうか?李克強はそれを暗示している>新華社は両人の談話の内容を報道した。「トランプは首脳会談に期待を示しただけでなく、中国への輸出が増えるよう上海での国際輸入博覧会に米国企業が参加するのを支持すると述べた。国営メデイアの報道は、海外の中国語メデイアに「電話会談は貿易戦が緩和されることを示している」と結論付けさせている。但し、中共メデイアの報道は真実性or正確性に疑いの目を向ける人もいる。
つまり、数日前に海外メデイアは駐中国米国大使館の広報官の発言を引用して、「トランプ政権は今回の博覧会に高級幹部の派遣を拒絶した」と。これはトランプが中共に強硬に対抗している態度を表していると読み取れる。もし、その数日後にトランプが電話で態度を変えたとしたら、外交辞令の可能性が高い。しかし、国営メデイアの報道の仕方は却ってトランプに博覧会という基礎を造ってあげたことになる。
親中共の海外中国語メデイアの報道は米中の相互の譲歩に重点を置いている。これはもしかしたら李克強の功績によるものかもしれない。李克強は昨日北京で米国議員団と面談中に、「米中は貿易、安全及びその他の問題で争っているが、両者ともに譲るべき」と述べたと。
ある評論には「李克強はトランプ・習会談の前に、救いの手を差し伸べ、習と一致して米国に向け譲歩の用意があると説明したのでは。これは10/30崔天凱駐米大使がワシントンでリンカーン大統領の「良き天使」(われわれは敵同士ではなく、友であります。われわれは敵であってはなりません。神秘なる思い出の絃(いと)(mystic chords of memory)が、わが国のあらゆる戦場と愛国者の墓とを、この広大な国土に住むすべての人の心と家庭とに結びつけているのでありまして、(この絃が)必ずや時いたって、われわれの本性に潜むよりよい天使(the better angels of our nature)の手により、再び触れ(奏で)られる時、その時には連邦の合唱が重ねて今後においても高鳴ることでありましょう(yet swell the chorus of the Union)。— リンカーンの第一次大統領就任演説、1861年3月4日のことと思われます)の話を引用し、古き譬えを以て今の米中に和解を促したのに一致する」と指摘した。
譲歩の内容は今の所皆目見当がつかず、憶測だけである。ある評論家は「トランプが主動的に電話をして米国が全部下りたのでは。中国の面子文化を熟知しているトランプだから、鍵となるときに自ら動いて、習にもこの機会に降りるよう勧め、承諾を得た」と。(“wishful thinking”としか思えませんが)
マテイスにしろ、ポンペオにしろ、中国は米国の国家安全に対する最大の脅威と認識している。勿論、大統領も、米国のエリート層もである。
トランプが電話で友好的な態度を示したのは「もし北京が不公平な貿易行為を是正しようとし、口先でない実質的な譲歩をすれば、米国議会も受入、ある範囲では協力できる部分も出て来る。クドロー顧問は最近も、北京をこういう方向で纏め上げようとした。彼は「トランプはあるTVで、もし北京と合意に至れば、部分的に関税を取消すことはありうる」と述べた」と。
但し、軽く見ることができないのはマテイスもポンペオも北京への批判は貿易問題の範疇を超えた所にあるからである。マテイスは「中共は世界に権威主義体制を広めようとし、朝貢体制をも打ち立てようとして周辺国家の抵抗を引き起こしている」と指摘した。ポンペオは「中共は国内では宗教の自由を剥奪し、投資を使ってアフリカ、中央アジア、ラテンアメリカの国々を債務の罠に陥れている。中国にはビジネス上、正常な国家になってほしいし、国際法も遵守してほしい」と批判した。
ある見方では「習近平が、貿易戦に名を借りて経済と政治改革をしなければ、米中関係で貿易戦は緩和できない。今の所習の体制や社会変革の決心の跡は見られない」と。この報道を発表した時点ではWHはトランプの電話の内容をまだ発表していない。
中国人に善意を期待しても無理というもの。元々の発端は中国が汚い手を使って、世界制覇(=米国に替わって覇権を握る)を目指すのを阻止するために貿易戦争を始めた訳でしょう。中途半端では米国の覇権維持は難しくなります。そんなことは、WHはとうに知っているでしょうけど。崔天凱駐米大使のリンカーンの話もそれは米国内の話であって、外国の侵入の場合には敵国認定されるという事です。もう既に国防上は中露とも修正主義国として敵国認定されているではないですか。リンカーンは共和党大統領でしたが、トランプは共和党の異端ですから。歓心を買おうとしても無駄でしょう。中国人は「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」と言う民族であることをゆめ忘れないように。彼らは口先だけで恭順の意を示すかもしれません。でも裏では舌を出すに決まっています。一たび世界制覇の野心を明らかにしたのですから、今の内に徹底的に叩き潰しませんと。
https://www.soundofhope.org/gb/2018/11/01/n2335587.html
11/1希望之声<中国留学生“台湾一统就完了”爆红后 后果竟然这么严重=中国の米国留学生が「台湾統一は既にない話」と youtubeは爆発的人気に しかし結果は酷いものに>ロサンゼルスに留学中の江蘇省出身の留学生がyoutubeに「台湾は何故中国と一緒にならないといけないのか?」と述べ、すぐに人気を博した。それは28万もの視聴を受け、昨日(10/31)再びyoutubeにアップし、「この数日は多くの体験をした」と。
彼は「統一派、独立派、大中国主義、分裂主義、いろんな立場の人がいると思うけど、国際社会で中国と台湾は独立した政治実体を持つことは否定できない。両者は完全に別な政府である。誰かがすることをもう一人は止められない。これは客観的な事実である。台湾統一は終わった話。Youtubeやfacebookを見るのにファイアウォールがあり、Googleは使えず、使えるのは百度のみ。選挙での投票もできず、蔡英文を罵ることもできず、公務員の財産についての質問もできず、更には地溝油(廃棄した油をさらってもう一度使う)をも食べさせられる。中国人は草莽の民であり、賎民、奴隷で党の為に働かされる。台湾人が統一したいと思わないのは当り前、統一してどうなるの?」と。
このYoutubeは注目を浴び、多くのネチズンは賛意を示したが、28日からいろんな圧力を受けた。「派出所や公安局が実家や父母、先生方を使い、私に削除させようとしたが、無駄と言うもの。発した以上、転載される。覆水は盆に返らずである。どうすることもできない」と述べた。ある教師は彼に言った。「売国の言論だ」と。彼は反論し、「先に言うが私は売国奴でないし、国を売ることはできない。皇帝のみが売国できる」と。
また「実家の住所、電話番号、学校、教師等全部調べ上げられた。この監視能力は大変なものがある。先生が「中国の自分の足跡は全部残る。顔識別のせいである」と教えてくれた」と。
あるネチズンは「見た所、2000人強はあなたを支持し、60人強があなたを踏みにじっている。あなたの発言は正義の挙である」と。

https://www.soundofhope.org/gb/2018/11/01/n2334021.html
福島氏の記事にしろ、細川氏の記事にしろ、日本の外交はなっていない気がします。何を交渉しているのか、その跡が窺えません。まあ、11/1トランプ・習会談の中味が分かりませんので一方的に米国側に立つのも危険とは思いますが。それでも、ウイグル人の人権問題について言及したと言いますが、日本は世界から「口先だけ」の国で、何もできないからと舐められています。抗議したって、ペナルテイなしでは、自己満足だけでしょう。こんな外交は止めませんと。
大体中国人が約束を守るという前提がおかしい。習はオバマの前で、公開で「南シナ海の人工島は軍事基地化しない」と言った男ですよ。また、南京や慰安婦で世界に向けて反日活動に勤しんでいる国です。何故それを止めさせない。何故それなのに協力するのか分かりません。米国との同盟との理由以外でも、日本は中国に協力し、助けてやる必要はサラサラありません。聖徳太子以降の中国との付き合い方を忘れてしまったのかと言いたい。
世界に残っている共産主義の恐怖を取り除くために、インド太平洋戦略を掲げたのではないのか?安倍内閣はこのところ、口先だけで実が伴わないのが多すぎです。ウイグル人・チベット人・モンゴル人を助けてほしい。それには中共を潰さないと駄目でしょう。戦後、先人がインドネシアやベトナムに残り、独立運動に身を捧げ、「五族協和」や「王道楽土の建設」の理想に殉じたことを考えますと何をしているのかと言いたくなります。
福島記事

10月26日に開催された日中首脳会談(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
7年ぶりの安倍晋三・日本首相の公式中国訪問が無事に終わった。中国の公式メディアとしてはそれなりに手厚く報じていたが、26日のCCTVの夜のニュース(新聞聯播)のトップニュースは、習近平・中央軍事委員会主席が南部戦区(南シナ海や台湾をカバーする)を視察して戦争準備を呼びかけた、という前日の出来事の報道であり、安倍晋三と習近平の会談は二番手であった。とりあえず、どうしても日中首脳会談をトップ記事にしたくない中国の意地みたいなものを感じた。また習近平の表情もCCTVカメラに対しては意地でも笑顔を見せまい、という印象だった。
日本に頼らざるを得ないのは中国にとってはやはり屈辱なのだろうか。
ただ、知識人や中間層以上の中国庶民の反応はおおむね好意的だったように見受けられる。安倍の“おっかけ”をしていた知り合いの話では、わざわざリアル安倍晋三を見たいがために、長富宮ホテルのロビーに待機していた中国人も結構いたらしい。「天皇訪中はいつ実現するのか」といった期待を私に聞く知識人もいた。SNSでは「日本が米国の支配から抜け出し、中国とパートナーになることを選んでくれた」といった評価のコメントが並んだ。それだけ中国社会には米国にイジメられているという自覚と、経済的に相当追い込まれているという危機感が漂っているといえる。米国が完全に敵に回った今、日本まで敵に回すわけにはいかないのだ。
さて今回の日中首脳会談の中身である。先週の拙コラム「意外に安倍政権好きな中国知識人」で報じた予測内容がほぼアタリであったので、いまさら繰り返す必要もないかもしれない。日中関係の新時代が強調され、通貨スワップ再開、一帯一路戦略に対する第三市場での日中協力表明、北朝鮮問題で拉致問題の中国からの協力、福島事故以来の東北地域の日本食品輸入規制の撤回、RCEP加盟に向けた交渉加速、海空連絡メカニズムの運用など予定されていたテーマはきちんと消化された。「反保護貿易」といった米国の神経を逆なでしそうな表現は避けることになったが、自由貿易擁護の立場を表明した。
また訪中に合わせて、北京で行われた初の日中第三国市場協力フォーラム(“一帯一路”日中官民協力協議会)では、日中企業、金融関係者ら1400人が参加し、52のプロジェクト(180億ドル)について調印された。さすがにAIIB(アジアインフラ投資銀行)への参与は避けたが、5月の李克強訪日の際に、日本の金融機関によるRQFII(人民元適格国外機関投資家)の枠組みを使っての投資を可能にしており、また中国・財経誌などによれば、野村ホールディングスや中国の投資機関が合資基金を作って、第三市場に進出する日中企業を支援する仕組みなどを準備しているという。こうしてみると、中国にとっては間違いなく大変ありがたい大盤振る舞いであった。
会談における両首脳の発言
一方、日本が中国に手を差し伸べる、という珍しく日本が優位に立ったように見える外交であった。今回の日中首脳会談で謳われた日中新三原則「競争から協調へ」「パートナーとなって、脅威にならない」「自由で公正な貿易体制を発展させていく」は安倍から提示されて、習近平が承諾するという形になった。習近平主催の晩さん会で安倍は丁寧にもてなされ、米中関係について不安そうな表情を見せる習近平に、安倍が「トランプ大統領はあなたのことを信頼している」と慰める場面まであった。
では、今回の日中首脳会談では日中どちらがより多くのものを得たのだろう。外交に勝ち負けをつけるのも変かもしれないが、勝者とよべるのは日中どちらなのだろうか。
新華社によれば、会談における習近平の発言はこんな感じだ。
「……今年は中日平和友好条約締結40周年だ。1978年、両国の先輩指導者たちは平和友好条約を結び、法律形式をもって両国の長期的和平友好の大方針を確定した。双方がこれに協力して互いの利益を発展させるために、共同発展および歴史、台湾などの敏感問題の妥協をはかり、堅実に従い保障する。双方の共同の努力のもと、中日関係は目下、正常な軌道を回復し、再び積極的な情勢となっている。これは双方にとって得難いものである。双方とも四つの政治文書が確立した原則に従い、平和と友好の大方針を堅持し、互恵互利の協力の深化を持続し、中日が回復した正常軌道の基礎の上で新たな発展を推進していくであろう」
「新情勢のもと、中日両国はお互いの依存を日増しに深め、多面的により広範な共同利益および共同の関心において、より深い戦略的コミュニケーションと多層的な次元で、多くのチャンネルによる対話メカニズムを通じて、相手の戦略的意図を正確に把握し“相互に協力パートナー”であること、“お互いを脅威としない”とする政治的共通認識を切実に徹底して実践し、ポジティブな相互作用を強化し政治的相互信頼を増進させよう。さらにハイレベルの実務的協力を展開し、十分な協力の潜在力を開放しよう。中国の改革はたゆまず深化しており、開放の大門はますます大きく開かれている。これは、中国同胞および日本を含む世界各国が協力を展開するために、より多くのチャンスを提供するであろう。ともに“一帯一路”を打ち建て、中日の相互利益協力のために新たなプラットフォームとテストケースを提供しよう。
中国としては日本が新時代の中国発展プロセスにさらに積極的に参与し、両国のさらなるハイレベルなウィンウィン関係を実現することを歓迎する。さらに広範な人文交流を展開し、相互理解を増進し、両国の各階層、特に若者世代の活発な中日友好事業への参加を応援しよう。さらに積極的な相互安全のための行動を展開し、建設的な相互安全関係を構築し、ともに平和発展の道を行き、地域の平和安定を維持しよう。さらに国際協力を緊密にし、共同利益を開拓し、地域経済の一体化を推進し、ともにグローバル的な挑戦に応対し、多極主義を守り、自由貿易を堅持し、世界経済の建設開放を推進しよう……」
新華社によれば、これに対し安倍晋三の発言は以下の通り。
「中日平和友好条約締結40周年のこの重要な時期に正式に訪中できたことを非常にうれしく思う。この訪問を通じて、双方が競争から協調に変わった日中関係新時代を始めていきたい。日中はお互い隣国であり、お互いの利益協力、お互いが脅威にならない精神に照らして、両国の四つの政治文書を根拠に両国関係を推進していく共通認識を確認し、同時に国際社会及び地域の平和のために自由貿易を擁護していくために貢献していくべきだ。
これは国際社会とこの地域の国家の普遍的期待である。日本は中国がさらに一歩対外開放を拡大することを歓迎、支持し、継続して積極的に中国発展のプロセスに参与していきたい。日本は中国側と道を同じにし、ハイレベルおよび各レベルでの交流を密接にし、両国の友好的な民意を基礎に双方の意見対立をうまくコントロールし、日中の戦略的互恵関係の深化発展を推進し、地域の安定と繁栄に力をあわせていきたい。“一帯一路”はポテンシャルのある構想であり、日本側は中国側と、第三市場の共同開拓を含めて広範な領域で協力を強化していきたい」
安倍晋三・李克強の首相会談の文言も見てみよう。
李克強の発言は以下の通り。
「双方が両国関係を積極的な流れにもっていき、さらに一歩良好な相互作用を強化し、歴史、台湾、東シナ海などの敏感な問題をうまく処理し、両国関係をたゆまず前進させ続けるよう望む」
「中国側は日本側と政治、経済領域の対話を行い、政策上のコミュニケーションと協調を強化し、科学技術とイノベーション、省エネ環境保護、医療老人介護、財政金融、防災と農業などの領域での協力を深め、開放、透明化、市場化の原則に従って、第三国市場における中日の実務協力の新たな支柱として打ち建てたい」
「海空連絡メカニズムのホットラインをできるだけ早く設置し、海上執法部門の対話を強化し、東シナ海を平和と協力、友好の海にしたい」
「両国の青年、体育、地方などの領域でお互いを鑑に交流し、双方の人的往来の利便をはかる友好的措置をとりたい」
「目下の国際情勢のもと、中日は世界主要経済体として、多極主義と自由貿易を共に庇護し、開放型世界経済を推進していくべきだ。中日韓自由貿易区と地域経済のパートナーシップ協定(RCEP)、の交渉を加速推進させ、地域貿易投資の利便化を促進したい。東アジア経済共同体をともに建設し、アジア太平区域の一体化プロセスの助けとしよう」
これに対し安倍晋三の発言。
「李克強首相の5月の訪日で日中関係は正常な軌道を回復した。これを契機に、競争を協調に変える日中関係新時代が始まった。日中は重要な隣国であり、双方が戦略的パートナーで、お互い脅威とならない。中国の発展は日本にとって重要なチャンスであり、日本はハイレベルの交流を強化し、四つの政治的文書を基礎に戦略的コミュニケーションを強化し、両国の経済貿易、投資、金融、イノベーション、第三市場での協力、青少年、スポーツ、地方の各領域での協力交流強化を望む。日中が手を取り合い時代の潮流に順応することは世界が直面する共同の課題解決の助けとなろう。双方は共同の努力をしてRCEP交渉の実質的な進展を推進し、自由で公正な国際経済秩序の建設を推進し、自由貿易と世界経済の発展に貢献していくべきだ」
中国は一帯一路、日本は拉致問題で成果
中国にとっての成果の一つは、安倍に一帯一路を評価させたことだろう。一帯一路戦略は中国人専門家ですら挫折説を囁く人がいたのだが、日本が関わることで息を吹き返す可能性がでてきた。党規約にまで書き入れられた一帯一路戦略が失敗となってはそれこそ政権の存続が危ぶまれかねないので、習近平としては胸をなでおろしたことだろう。ただし、日本企業が一帯一路で利益を見込めるかというと、そう簡単な話ではかろう。しかも安全保障的な観点でみると、一帯一路戦略は失敗した方が、むしろ日本の国益にかなうのではないかと、私は思っているので、この点に関しては、安倍政権の本当の狙いがよくわからないでいる。
日本にとっての成果は、まず習近平の口から北朝鮮の拉致問題に対して「理解と支持」発言を引き出したことで、この部分は新華社記事発表の公式発言には出ていない。中国の北朝鮮に対する影響力がどれほど残っているかはわからないが、行き詰まっている拉致問題に新しいアプローチを提供してくれる可能性はあるかもしれない。
避けられた歴史認識や領土問題への言及
次に安倍が提案した日中新三原則の一つである「お互いが脅威とならない」と言う表現。中国はこれまで自分たちは脅威でないと主張してきたが、相手が脅威に感じているという前提は認めたわけだ。その上で戦略的コミュニケーションが重要という共通認識に至った。さらに双方とも歴史認識問題や領土問題についての言及は避けるという配慮をみせた。
外相の河野太郎が26日に王毅と会談した際に、尖閣周辺に設置されたブイを撤去するよう要請したとき、王毅はいつものように青筋たてて反論するようなことはなく、「意見の対立は妥当に処理する」と答えるのみだった。一部で、日本を味方につけるために、尖閣問題の対立を当面棚上げにする意見も党内で出ているという噂があり、本当にそうであれば日本にとってはありがたいことかもしれない。
もっとも25日に習近平は南部戦区視察をしているし、尖閣周辺に海警船を連日派遣している。発言と行動はまた違う。安倍は習近平に“スパイ容疑”で中国に拘束されている日本人の解放を直接求めたが、習近平は「法律に照らして適切に処理する」としか答えていない。「中国の脅威」は口で言うほど簡単には解消されまい。
李克強との会談はかなり実務的な話が出ていたが、今の市場管理強化姿勢を打ち出している習近平政権に開放、透明化、市場化原則を言わせたことは重要だ。自由貿易とセットで自由で公正な国際経済秩序の建設が語られた。もっとも中国側のいう市場化、自由貿易という言葉と、日本がイメージしている市場化、自由貿易はかけ離れていると思われ、共通認識をもっているようで、同床異夢という気がしないでもない。
中国の報道にはないが、安倍が李克強との会談でウイグルの人権問題に言及した。これは日本が国際社会の普遍的価値観を共有している国家であることの表明でもある。ウイグル問題は一帯一路地域が現場でもあり、日本が一帯一路に参与する以上は口を出す立場にある。
こうして総じてみると、実入りは中国の方が大きい。だがメンツを重んじる中国にしてみれば、日本に対して屈辱的なまでに下手に出た、という感覚だろう。日本人は相手が下手に出てくると、ついついお人よしの優しい性格がでてくるが、中国は日本に助けてもらったとしても、心から感謝するどころか、いつか立場を逆転してこの屈辱を晴らそうと思うタイプの人が多い。中国は徹底した強者主義の国だ。
現在の安倍政権の対中外交方針の真の狙いはわからないが、もし今の中国が米国からの圧力によってしおらしくなって日本にすり寄ってくるというなら、こういう時は簡単に手を差し伸べるよりも、むしろ圧力を上乗せしてかけるくらいのほうが、日本の国益に合致するのではないか、と思う。とはいえ、外交のプロたちが考えぬいた今回の対中外交方針のシナリオだ。中国がしおらしい顔を見せている間に、日中間の核心的利益を争う領土、歴史、台湾の問題を日本の有利に導くよう、総じて日本の外交勝利が導ける事を期待して今しばらく冷静に観察したいと思う。
細川記事
10月26日に北京で開かれた日中首脳会談。米中の「貿易戦争」を背景に「微笑み外交」で日本に迫る中国に対し、日本の対応はどうだったのか。安易な「日中関係改善」では不十分で、知財問題や一帯一路に関して「注文外交」を展開する必要がある。

(写真=新華社/アフロ)
これほど思惑がわかりやすい首脳会談もない。10月26日、安倍総理が北京を訪問し、習近平国家主席との日中首脳会談が開催された。この首脳会談に対する中国側の意気込みはやはり米中対立の裏返しであった。
2017年半ばから習主席は日本との関係改善に動き始め、昨秋の共産党大会を終えて以降、対日外交は「微笑み外交」に明確に転じた。習近平体制の権力基盤の強化もあるが、基本的には米中関係の悪化が大きく影響している。
米中関係が厳しさを増してくると、日本との関係は改善しておき、日米の対中共闘を揺さぶる、といういつもながらの思考パターンだ。
これまでの歴史を振り返ってもそうだが、「日中関係は米中関係の従属変数」という要素が大きい。
もちろん日中の関係改善は歓迎すべきことで、これを機に建設的な対話をするチャンスだろう。しかし、これを永続的なものと楽観視すると中国の思うつぼだ。あくまでも中国側の事情、打算による関係改善である。将来、仮に米中融和に向かえば、どうなるかわからない脆い基盤だ。残念ながらそれが日中関係の現実だ。日本政府も「従属変数としての日中関係」を頭に置いた対応が求められる。
日本企業にとっても注意を要する。
米中間の関税合戦もあって、外国企業の対中投資が見直しの機運で、現に中国での生産拠点を他国に移転する動きも出てきた。これに中国は強い危機感を持ちだした。そこで、日本企業を引き留めるだけでなく、更には対中投資に向けさせたいとの思惑が働いている。
最近、中国は共産党指導部の意向を受けて、各地の地方政府が熱心に日本企業に対する投資誘致に奔走しているのは、そうした背景による急接近だ。これは中国側の状況次第でいつでも風向きが変わるリスクがあることを忘れてはならない。
知的財産権での注文外交とは
こうした中国の「微笑み外交」に対して、日本は中国に対して「注文外交」ができるかが問われている。
具体的に日中首脳会談の経済面での成果を見てみよう。
その一つが、先端技術分野での連携のための新たな枠組みとして「イノベーション協力対話」を作ったことだ。これも米国との技術覇権争いを背景として、中国がハイテク技術で日本に接近する思惑が見え隠れする。
5月、李克強首相が訪日した際、安倍総理に投げたボールが、イノベーション分野での対話・協力であった。日本は中国の思惑にそのまま乗るわけにもいかない。中国の知的財産権の扱いについては欧米とともに日本企業も懸念を有している。そこで、これを知的財産権問題とパッケージにして扱う場に仕立て上げた。
米国は中国への技術流出を止めようとしている矢先に日本が抜け穴になることは看過できない。日本政府も米国政府に懸念払拭のために事前説明したようだ。
今後、この対話の場をどう動かしていくか、まだ決まっていない。だが、日本としては中国にお付き合いしている姿勢を示しつつも、具体的な案件ごとに安全保障上の懸念がないか慎重にチェックすることが必要だ。
日本企業も恐る恐る対応することになる。協力案件が米国から問題にされることがないよう、企業にとって保険になるような、政府ベースでの仕掛けづくりが大事だ。
習主席訪日を「人質」に取られ、日本はWTOに提訴できず
またこの対話を進める前提として、中国の知的財産権のあり方に注文をつけることが不可欠だ。中国の不公正な知的財産権のあり方については、欧米が歩調を合わせて世界貿易機関(WTO)への提訴を行っている。ところが日本は今回の安倍総理の北京訪問、来年の習主席の訪日を人質に取られて、中国へのWTO提訴をしていない。
先月の日米首脳会談での共同声明にあるように、中国の知的財産の収奪、強制的な技術移転などの不公正さには日米欧で共同対処するとなっている。にもかかわらず、日本が中国に対してWTO提訴できないでいるのだ。これには欧米からは冷ややかな目で見られていることは重大だ。
特に日本政府はルール重視と口では言っていても、中国のルール違反に対しては甘い姿勢でいることに、言行不一致との指摘もささやかれている。これではこれからの国際秩序作りに日本が主導して日米欧が共同歩調を取ることを期待できないだろう。
日本も中国に対してWTO提訴を行ったうえで、こうした対話の場を活用して、中国に対して民間企業が直面している懸念をぶつけて、改善のための協議をすることが、イノベーションの協力を進めるための政府の役割だろう。日本企業もこれまで知財での不公正な扱いに対して、中国政府に睨まれないよう、目をつぶっていた体質を変える必要があるが、それも日本政府の対応がしっかりしていることが前提だ。
一帯一路への「注文外交」を
そしてもう一つの柱が、日中の「第三国市場でのインフラ協力」だ。
中国の思惑は、日本をいかにして一帯一路への協力に引き込むかにあるのは明白だ。一帯一路も相手国を「借金漬け」にする手法に、欧米だけでなくアジア諸国からも警戒感が高まり、一時の勢いが見られない。パキスタン、ミャンマー、マレーシアなど事業の縮小、見直しが相次いでいる。そうした中で、日本の協力を得ることは、一帯一路の信頼性を高めるうえで大きい。
他方、日本は「量より質」で勝負しようと、相手国のニーズと案件を精査して「質の高いインフラ整備」で対抗しようとしている。米国とともに提唱している「インド太平洋戦略」がそれだ。
しかし単に対抗するだけではなく、圧倒的な資金量を誇る中国とは協調も必要ではないかとのスタンスに徐々に舵を切り始めたのだ。もちろん民間企業のビジネスチャンスへの要望もあるだろう。
むしろ日本に優位性のあるプロジェクト・マネジメントやリスク管理のノウハウを活用して、一帯一路を軌道修正させていこうとの思惑だ。日本のメガバンクはこうした面での強みを特にアジアにおいては有している。中国企業の安価な製品、サービスと結びつけば補完関係にある。
ただし、一帯一路への協力となると、米国も黙ってはいない。神経をとがらせて当然だ。日本もそれを意識して、「一帯一路への協力」とは一言も言っていないのだ。しかし当然のことながら、中国側は早速、「一帯一路に日本の協力を取り付けた」と宣伝している。
日本は本来、米国とともに主導している「インド太平洋戦略」でインフラ整備を進めていることになっているはずだ。日本も中国同様、「インド太平洋戦略に中国の協力を取り付けた」と宣伝するぐらいの厚かましさがあってもよい。
日中首脳会談直後に来日したインドのモディ首相にもその協力で合意している。今回の中国との第三国市場でのインフラ協力は、こうしたインド太平洋戦略との関係をどう整理して国際的に説明するのか不透明なのが問題だ。それはそもそも、インド太平洋戦略の中身が明確になっていないことにも起因している。
「危険な案件」の見極めが必要
言葉がどうであれ、今後、大事なことは具体的なプロジェクトの進め方で中国に注文をつけていくことができるかどうかだ。日本も米国政府に事前にそう説明して、米国の批判、誤解を招かないように手を打ったようだ。そうでなければ、中国の思うつぼであり、米国からも厳しい目で見られるだろう。2018年4月には欧州もハンガリーを除くEU大使が連名で一帯一路への警戒感から中国に改善を申し入れている。日本も安易な対応は国際的に許されない状況にある。
問題はこれからだ。
今回の首脳会談の際には、民間ベースでも52件の案件を合意して、成果に仕立て上げた。日中間の協力と言っても、具体的なビジネスは様々なパターンがある。
例えば、日中企業が共同で太陽光発電事業を受注して運営するケース。日本企業が発電所建設を受注して、中国企業から安価な機器を調達するケース。日中の合弁企業が中国で発電機器を製造して第三国の発電所に納入するケース。日本企業が基幹部品を供給して中国企業が組み立てた機械を輸出するケース。日本企業が中国と欧州を結ぶ鉄道を活用して物流事業を展開するケース。日中企業が協力してヘルスケアなどのサービス市場の展開をするケースなど、さまざまな形態が含まれている。
政府は高速鉄道案件のような象徴的な大プロジェクトに飛びつきがちだが、最近の中国側のずさんな対応を見ると、それはリスクが高い。むしろ地道なプロジェクトを積み上げていくべきだろう。
日本企業の中にはビジネスチャンスと捉える向きもあるが、事はそう単純ではない。今後、協力案件を慎重に見定めなければ、中国の影響力拡大の戦略を利することにもなりかねない。また、民間企業にとっても中国側の国有企業特有の甘いリスク判断は受け入れがたい。そうした“危険な”案件の見極めも必要だ。
今後、日中間では官民合同の委員会で議論して進めることになっているが、官民ともに甘い見通しを持つことは禁物だ。今回、日中間で開放性、透明性、経済性、対象国の財政健全性といった国際スタンダードに沿ってプロジェクトを進めていくことが合意されたと言うが、こうした原則の合意だけで安心していてはいけない。原則の美辞麗句だけでなく、これらが具体的にどう適用されるかを注意深く見ていく必要がある。
今回の安倍総理の北京訪問を受けて、来年には習近平主席の来日を求めて、日中首脳の相互訪問を実現したいというシナリオだ。しかし、だからと言って、友好だけを謳っていればいい時代ではない。知的財産権にしろ、インフラ整備にしろ、中国に対して注文すべきことは注文するのが重要だ。前述したように、中国に対するWTO提訴を躊躇しているようではいけない。それでは国際秩序を担う資格はない。
米中関係が長期的な経済冷戦の様相を呈している中、中国に対して、かつての冷戦モードのような「封じ込め政策」でもなく、「関与政策」でもない第3のアプローチを模索する時期に来ているのだろう。日本も米国の中国に対するアプローチとは違って、「注文外交」をきちっとすることによって、時間をかけて中国の変化を促すような、腰を据えた中国との間合いの取り方が必要になっている。
良ければ下にあります
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『なぜトランプ人気は衰えないのか、中間選挙を前に考えてみた』(11/2ダイヤモンドオンライン 塚崎公義)、『中国から尖閣など離島奪還するのは愚の骨頂 3倍の兵力がいる奪還より防衛を優先すべし、そのための法整備を』(10/30JBプレス 森清勇)について

トランプのツイッターです。習近平と電話会談し、特に貿易問題と北朝鮮について話合ったとのこと。G20で継続協議するようです。11/2日経朝刊には上海の国際輸入博覧会に日系企業が一番多く出展、450にも上ると。いじましい商人根性としか感じませんが。そう言う立場で言うのは何ですが、トランプは米中冷戦を妥協することなく戦ってほしい。ウイグル人の強制収用や臓器摘出問題を見れば分かるように、中共は悪の帝国です。これが世界を牛耳る前に叩き潰しませんと。
11/1阿波羅新聞網<中南海路线斗争公开化 川普政府表态 中共高层军心大乱=中南海の路線闘争がオープンに トランプ政権の貿易戦争で中共の高層は大乱に>台湾メデイアの評論は、「毛沢東から鄧小平を経て今の習近平の時代に至るが、中共内部にはずっと経済で二方面での路線闘争があった。目下、習派(輸出モデル)と鄧派(市場経済)が争っている。鄧派が習派に妥協しているのは、トランプのボトムラインが読めず、代わりになるのがいないため」と。阿波羅新聞網のコメンテーターの王篤然は「トランプ政権で中共への要求のバーは高くはないが、ペンス演説は習に態度を改め、鄧の路線に戻るよう希望すると明言した。反習勢力は中共が鄧路線に戻って政権を維持することを希望している。但し、鄧の開放政策は国民の価値観を表したものでなく、実際は米国に取って代わるだけの力量を蓄積するためのものである」と。
ある分析によれば、「中国のBSを見れば、全債務を返済すれば、国の保有する企業の株式は全部失われる」と。
塚崎氏の記事は、中間選挙での共和党の勝利を予言したものと小生には映ります。米国メデイアも日本のメデイア(民主党支持の米国左翼メデイアの記事を翻訳・転電しているだけですから)も当てになりません。下院での勝利も願っています。
森氏の記事では、日本の役人のサラリーマン化、志の無さが浮き彫りになっているのでは。自衛隊や海保の現場が動きやすい環境を政治家を動かしてキャリア組は作らなければいけないのに、できていません。まさに「省益あって国益なし、局益あって省益なし」の状態では。タコツボにドップリ嵌まっている感じです。新人時代に国益の為に働くことを教えても、先輩や事務次官の姿(前川事務次官の買春等に対する自己弁護の酷さ)を見ると初心を忘れてしまうのでしょう。悲しいことです。日本は「法治国家」ならぬ「放置国家」になり果ててしまっています。
中国漁船に乗っている民兵は南京での便衣兵を思い起こさせます。国際法にうまく抵触しないように立ち回る訳です。南京虐殺は架空で、便衣兵が殺されただけでしょう。何せどんな汚い手を使ってでも勝てば良いという民族です。蒋介石が黄河花園口を決壊させ、日本軍の進軍を阻もうとしたときに、日本軍は溺れる中国人を救出しました。こういう事実を鑑みれば南京虐殺何てするかと思いませんか?日本人はもっと歴史を勉強して、常識を働かせて判断すべきです。民族性の違いを見たら分かりそうなもの。
「戦争を防ぐには抑止力が必要」というのが、GHQによって洗脳されたままの日本人の頭には理解できないようです。「戦争反対」を叫ぶ人は戦争を呼び込む人か、イザと言う時に戦わず奴隷への道を歩むと見て良いでしょう。中共に侵略を許せば、今のウイグル、チベット、モンゴルのようになります。強制収容所送りになって、闇の中で生きたまま臓器を取られる、こんな奴隷になりたいと思いますか?憲法改正しないで戦うことになれば、憲法は停止、超法規的に戦うしかありません。政治家はいつでもその覚悟をもって政治をしてほしい。憲法より国民の生存権の方が上位にあるはずです。
塚崎記事

photo:The New York Times/Redux/AFLO
米中間選挙の劣勢が伝えられても依然人気の高いトランプ大統領
米国の中間選挙が迫っている。今回は、トランプ大統領の信任投票という性格を持った中間選挙だ。与党は若干の苦戦が予想されているようだが、米国の中間選挙で与党が不利なのは珍しいことではない。国民が、政権の暴走をけん制する役割を野党に求めるからだろう。
2年前の大統領選挙では、「史上最悪の大統領が選ばれてしまった」と嘆いた読者も多いかもしれないし、今でもトランプ大統領の問題点を挙げ始めればいくらでも原稿が書けそうだ。筆者も批判したいことは多い。
しかし米国では、依然としてトランプ大統領の支持者は多い。なぜ、数多くの問題点にもかかわらず、人気があるのか。
そこで本稿ではあえて発想を転換し、「米国の大統領として、優れたところが数多くあるはずだ。それを米国民が支持しているのだろう」と考えて、あえて米国民の視点からトランプ大統領を絶賛してみよう。
どこの国でも、景気がよければ政府は褒められる。トランプ大統領についても、まさに景気が好調である点が最大の絶賛ポイントだろう。
景気を誰にでも一目で理解してもらうためには、失業率の数字を引用するのが普通だ。そこで失業率を見てみると、直近はこの49年間で最低となる3.7%となっている。大統領就任時点で4.8%であったことを考えると、2年で1ポイント以上の低下をもたらしているのだ。
経済成長率については、大統領就任前年が1.6%だったのに対し、2018年は2%台後半が見込まれている。インフレ率も、エネルギー価格の変動などの影響はあるものの、おおむねFRB(米連邦準備制度理事会)が目標としている2%近辺で推移している。
株価についても、NYダウは選挙前に1万8000ドル近辺であったものが、最近では2万5000ドル近辺で推移している。株価が上がって悲しむ人はいないから、大統領として米国民に巨額の“プレゼント”をしていることになる。
経済の好調は大統領だけのおかげではないが、政府の最重要任務の1つがインフレなき経済成長であることを考えれば、実によくやっている政権だといえるだろう。
アメリカファーストは国民にとって悪いことではない
トランプ大統領の特徴は、国際協調よりも米国の利益を優先していることだ。これは一般論として、世界の利益に反する。米国に利益をもたらす一方で、他国には大きな不利益をもたらす場合が多いからだ。
例えばトランプ大統領は、世界各国が地球温暖化を阻止するために協力しようという「パリ協定」を離脱する意向を表明している。米国が離脱すれば、米国企業は温暖化ガスを自由に排出しながら利益を追求することができるが、それによって地球の温暖化が加速することになる。米国だけが利益を得て、他国が損失を被るわけだ。
仮に、米国の離脱を契機としてパリ協定が崩壊し、地球温暖化が進むようなことになれば、「結局、アメリカファーストは、米国の得にもならないからやめておこう」ということになりかねないが、トランプ大統領はそう考えない。
米国の視点に立てば、米国以外の国々は引き続き温暖化防止に努めるわけだから、米国にとっては最高の結果が得られると考えているのだ。これは、他国に何と言われようと米国民にとって悪い話ではない。
しかも、興味深い点もある。トランプ大統領は「パリ協定の内容が米国に著しく不利なので、内容の修正を求め、修正されなければ離脱する」と言っている。つまり、離脱を決めているのではなく、条件交渉をして、各国の負担割合が変更されれば復帰するというのだ。もしも交渉が成立すれば、温暖化は防止されることになる。米国と他国の負担割合が変わるだけの“ゼロサムゲーム”なのだ。
もう1つ興味深いのは、米国が実際に離脱するのは、次の大統領選挙の翌日だということだ。つまり、「トランプ大統領が次の大統領選挙で負ければ離脱しない」という可能性も米国には残っているのだ。
ハードネゴシエイトで有利な条件を引き出す商売人
筆者は、トランプ大統領の本質は“商売人”だと理解している。契約が成立しなければ双方の損なので最終的に契約は成立させるが、その条件をできるだけ自身に有利になるようハードネゴシエイトをするからだ。
その過程で「交渉決裂をほのめかす」というのは、1つの優れた戦略である。交渉を決裂させるつもりがないので、これは「ハッタリ戦略」と呼んでもいいだろう。
これは、ガキ大将が「オモチャをよこさないと殴るぞ」と弱虫を脅すようなもの。本当に殴ると自分の手も痛いので、殴らずにオモチャを奪うことが本当の目的なのだ。
また、トランプ大統領は日欧などからの自動車輸入に高率関税を課すと宣言した。これには世界中から「世界の貿易を縮小させる愚策だ」という批判が浴びせられたが、ふたを開けてみれば高率関税は課されていない。
日欧各国と、「関税ゼロなどを目指した大がかりな貿易交渉を行なう」ことで合意したというのが現状で、当然ながら「米国は少し輸入を増やし、日欧は大量に輸入を増やす」ことで決着するのだろう。
それにより、世界貿易は縮小ではなく拡大することになる。日欧にとっては不満は残るが、世界経済は発展し、その果実を主に得るのが米国だという結果が待っているわけだ。
これは、メキシコやカナダ、韓国などとの交渉も、本質は同じだと考えていいだろう。だとすると、トランプ大統領の通商政策は、米国に大きな利益をもたら素晴らしい政策だということになり、「トランプ大統領万歳」となるのだ。
米中冷戦は米国勝利の可能性大 歴史に名を残すかも
一方、米中貿易戦争は激しさを増しているが、これは日欧との関係などとは全く異なる。相手からオモチャを奪うのが目的ではなく、相手をたたきつぶすのが目的だからだ。
米国は、中国が安全保障上の脅威であると位置づけ、「中国をたたいておかないと米国が覇権争いに敗れてしまう」との危機感を抱いている。しかも、「中国の急速な成長が、米国などから技術を盗むといった不公正な行為によってもたらされている」との認識も広まっている。
米国は、敵が不正をしていると考えると、国内が一致団結して戦える国だ。しかも、自らの覇権がかかっているとなれば、真剣さが格段に違ってくる。つまり、米中は単なる貿易戦争ではなく冷戦なのであり、米国としては「肉を切らせて骨を断つ」戦いなのだ。
これは、トランプ大統領が単独で行っているのではなく、米国議会の多数の支持を受けてやっていることだから、仮に中間選挙で負けても大統領選で負けても、米中冷戦の大枠は変わらないと考えておいた方がよさそうだ。
そう考えるとトランプ大統領は、対中政策において弱腰だったこれまでの米国を、強気に転換させる原動力になったといえる。議会の姿勢が変化したとしても、やはり大統領がそれを推進するとすれば、それは大きなパワーとなる。
しかも、こうした米中冷戦は、米国の勝利に終わる可能性が高い。それを主導し、米国の覇権を守った功労者がトランプ大統領だったということになれば、彼は歴史に名を残す大統領だったといえる時代がくるのかもしれない。
冒頭でお伝えしたように、本稿はあえて米国民の視点に立って、トランプ大統領を礼賛するとどうなるかという“頭の体操”を試みたものだ。誤解のなきようにお願いしたい。
(久留米大学商学部教授 塚崎公義)
森記事

中国海軍の海上演習で、空母「遼寧」に駐機されたJ15戦闘機(2018年4月撮影)。(c)AFP PHOTO〔AFPBB News〕
国土交通省の分類では本州・北海道・四国・九州・沖縄本島の5島を除くすべてが離島である。日本には離島が6847あり、このうち有人は421で、ほとんど(6426)が無人離島である。
少子化の影響もあって、対馬に見るように有人離島でも人口減少が続いている。しかも振興策の不備などから外国勢力によって占拠されるかもしれないという不安に晒されている。
領土・領海・領空を守るために海上保安庁や自衛隊は日夜努力しているが、不毛な論戦に明け暮れる政治の不作為から、領域保全に必要な議論が行われず、各種法制の不備が指摘されている。
そうした結果、現場に関わる海上保安庁や自衛隊の努力だけではいかんともし難い状況が現出する。
離島防衛に関わる自衛隊の専門部隊として、平成30(2018)年3月27日に水陸機動団(約2100人)が編成された。
10月14日に朝霞駐屯地で行われた「自衛隊観閲式」では、最新鋭のステルス戦闘機「F-35A」のデモフライトとともに、特に注目を浴びたのが水陸機動団に関わる「V-22オスプレイ」や水陸両用車「AAV7」などであった。
最高指揮官の訓示
観閲式に参加した自衛隊員約4000人を前に、最高指揮官の安倍晋三首相は「24時間、365日。国民の命と平和を守るため、極度の緊張感の中、最前線で警戒監視にあたり、スクランブル発進を行う隊員たちが、今、この瞬間も日本の広大な海と空を守っています」と訓示して、任務を称えた。
「領土・領海・領空、そして国民の生命・財産を守り抜く。政府の最も重要な責務です。安全保障政策の根幹は、自らが行う継続的な努力であり、立ち止まることは許されません」
これは「国を守る大切さ」の国民へのメッセージであり、同時に「国民の協力が不可欠」という要請でもある。
「この冬に策定する新たな防衛大綱では、これまでの延長線上ではない、数十年先の未来の礎となる、防衛力の在るべき姿を示します」
「日々刻々と変化する、国際情勢や技術の動向に目を凝らし、これまでのやり方や考え方に安住せず、それぞれの持ち場で、在るべき姿に向かって、不断の努力を重ねていってください」と述べた。
首相が節目ごとに強調してきた日本を〝真ん中″に据えて共生する国際社会の建設に尽力するという意思表明であり、その中での自衛隊への期待を示したものと理解できる。
最後は不甲斐ない政治によって「厳しい目で見られ」てきた自衛隊(隊員)が「強い誇りを持って任務を全うできる環境を整える」と述べ、「これは、今を生きる政治家の責任であります。私はその責任をしっかり果たしていく」と、自衛隊の違憲性を解消する決意を示した。
国民の9割以上が自衛隊の存在を認めているとされながらも、違憲とする学者もいる。また、「軍隊」でないことから国際法や慣習上の権利に疑義が挟まれ、PKO活動や外国軍隊との共同訓練・演習などにおいて共同歩調が取れない現実も散見されてきたからである。
以下では、水陸機動団とグレーゾーン事態対処などについて言及する。
なぜ「離島奪還」なのか
最近のマスコミ報道では、「離島奪還」という用語が多用されている。
「離島奪還 初の訓練場」「離島奪還を想定した訓練」「離島奪還 陸海空の連携急務」「離島奪還へ万全」などである。
離島防衛の専門部隊である「水陸機動団」の任務も、「島嶼侵攻を許した場合、奪還作戦の先陣を切る役割を担う」とされ、ここでも侵攻を許した場合の「奪還」である。
オスプレイや輸送ヘリが運んでくる機動団の隊員が予定地に降着できるように、航空攻撃や艦砲射撃で進攻者に砲撃を加えて援護する。
同時に、輸送艦(本来は強襲揚陸艦であるが自衛隊は装備していない)で運ばれて来た隊員が水陸両用車やボート、エアー・クッション・ヴィークルなどで上陸し、侵攻者を掃討するというものである。
北海道では多くの山林やレジャー施設が主として中国系資本に買収されている。買収地の多くがアンタッチャブルな状態に置かれ、しかも水源なども豊富なところから衣食住を賄え、自己完結型の生活ができる。
他方で、留学や技能実習で来日した外国人のうち5万人超が不法滞在の状況で、その中の8割は中国人が占めているとされる。
無人離島では国民の目がほとんど届かず、場合によっては上記のような不法滞在の外国人も含めた勢力に占拠されて、陣地化や要塞化しているかもしれない。
占拠ではなかったが、昨年11月、北海道の無人島、松前小島には北朝鮮の漁船員が漂着し仮住まいをしていた。
相手が武力をもって占拠した場合、当然のことながら、奪還が必要となる。近年の「奪還」は尖閣諸島を対象にした”隠語″のように聞こえなくもない。
尖閣諸島は本来日本の領土であるが、1970年代から中国が自国領と主張し、90年代に入り領海法を制定して自国領に組み込み、習近平政権になると台湾などと同様に「核心的利益」を有するとした。
爾來、中国は同島を係争地として、日本を協議の場に引き摺り込もうと画策し、公船や軍用艦艇などを接続水域に侵入させ、時には領海を侵犯してきた。
ちなみに、有人島の対馬も過疎化の進行で「島が危ない」と叫ばれてから久しく、その後も韓国系資本による土地などの買収が進んでいる。
こうした経緯を踏まえ、本来日本の領土であり島であるが、何らかの事情によって普段の警戒・監視や防衛が思うに任せず、占拠を許す結果をもたらしかねない。
そこで、訓練や演習では「占拠された離島を奪還する」という名目で訓練などが行われることになる。
グレーゾーン事態とは何か
そもそも、「奪還作戦」をせざるを得ない状況に追い込まれるのは、偏に海保や管轄する地方自治体で対応できないにもかかわらず、海自を含めた防衛力が十分に機能しないからである。
いや機能できない法体制になっていると言った方が適切であろう。そうした状況をもたらす最大の事案がグレーゾーン事態である。
英国では沿岸警備隊は不法侵入船に対して、監視・通報の権限のみを有し、実際の取り締まりは通報を受けた海軍が担当している。
東シナ海でのEEZ(排他的経済水域)の中間線をめぐる日中間の摩擦や、尖閣諸島を核心的利益とする中国は、警備にあたる海警局の公船を大型化し、また倍増するなどしてきた。
それでも係争は海保と中国国家海警局が管轄する警察権に基づく水準にとどまっていた。
ところが、「海洋強国」を目指す中国は、フリゲート艦や情報収集艦などの軍艦による違反も稀ではなくなってきた。
同時に領海警備等を担当する海警局が中国軍を指揮する中央軍事委員会の指揮下にある中国人民武装警察部隊(武警)に編入され、「(武警)海警総隊」(対外呼称は中国海警局)となった。
「軍隊の一部に変貌し、人民解放軍や民兵と一体化して戦う組織に変わった」(「産経新聞」10月24日付、山田吉彦「防衛力持つ『海洋警備隊』創設を」)のである。
また尖閣諸島に最も近い浙江省温州には、海警局艦船の係留のための大型基地が建設されているという。
尖閣諸島に多数押し寄せる漁船には、民兵が同乗することも多く、彼らの拠点は東シナ海及び南シナ海に面した浙江省、福建省、広東省、海南省の海岸沿いに点在し、10万人以上とみられている。
軍事的訓練を受けた民兵と特殊GPS搭載の漁船による海上ゲリラ行動などに加え、海警局の公船の武装強化、さらには組織改編によって、日本側は警察機能としての海保だけではとても対応できない状況になっている。
こうして自衛隊が防衛出動する有事には当たらないが、警察や海上保安庁だけでは対処が難しい「隙間」の事態があり得るし、昨今の状況からは、生起の可能性が高いケースとさえみられている。
過去にも幾つかの事例が起きている。
(1)1997年2月、下甑島(鹿児島県)に中国人密航者が漂着し、山中に逃亡した。住民は緊張に包まれ、島内所在のレーダーサイトで勤務する自衛隊員も捜索に加わった。
しかし、密航者の捜索は防衛出動でも治安出動などの対象でもない。そのため、隊員は「調査・研究」の名目で出ている。早速「自衛隊法違反ではないか」という指摘がなされて政治問題化した。
(2)2012年7月、五島列島(長崎県)の荒川漁港に「台風からの避難」の理由で中国漁船100隻以上が押し寄せた。
中国は民兵としての教育を受けた乗組員の乗った漁船をまず送り込み、その保護を口実に漁船監視船や海軍艦艇が出動し実効支配を確立していくとみられていることから、「中国による尖閣諸島攻撃の予行演習ではないか」と疑問視された。
ざっくり言って、尖閣諸島が現在のような状況になっているのは、日本が自国を守る軍隊を有せず、「国有化」はしたが、住民を住まわせ、事業を起こし、自衛隊を堂々と派遣できないできたからである。
「自分の国は自分で守る」ということを言う人が多くなっているが、「守る」力の実在としての「軍隊」が日本にはない。解釈改憲でやってきたが、無理を重ねた矛盾が今日のグレーゾーン事案となっている。
グレーゾーン事態に対処するために
(1)平時において最も重要な活動である「警戒・監視」を自衛隊法の自衛隊の行動として規定
(2)グレーゾ-ン事態における新たな権限を自衛隊に付与する法制の検討
などが民間の防衛関係団体からも提議されている。しかし、法的整備や運用面での改善には時間がかかるとみられる。
問題点があると分かっていながらも、国民の理解が進まなければ法の制定や改定は進まない。
そうこうしているうちに、相手が尖閣に上陸し施政権を主張しないとも限らない。日本は「日本の施政権下にある」としながらも、上陸を許す最悪の状況しか想定できないのだ。
そのために、本来であれば事前に準備できる「離島防衛」のはずが、無人で放置して置かざるを得ない。上陸を許す結果は「奪還」しかあり得ない。マスコミなどで報道される「離島〝奪還″」は、こうした考えからである。
国家の安全に関わる重要事で、生起する事案によって過不足なく円滑かつ段階的に対応できる仕組みが必要であるが、省庁の権限をめぐる縦割り意識が根底にある。
縦割り行政が国益を毀損する
2018年1月6日、上海沖合300キロの東シナ海でパナマ籍タンカー・サンチ号(8万5000トン)が香港籍のバラ積み船CFクリスタル号(4万トン)に衝突され、炎上した。
衝突場所は、日中中間線の西方の中国側であったが、サンチ号は中国が開発を進めている油ガス田の近くを炎上したまま漂流し、14日に中間線東方の日本側の海底に沈没した。
事故対処にあたっては外交的配慮が必要であることは言うまでもないが、この事故は人命救助、海洋環境、海運・海上交通、漁業資源、EEZ・大陸棚の境界画定など様々な問題と関連しており、海上保安庁・環境省・運輸省・農林水産省・外務省などの官庁が絡んでくる。
日本は、かねて日中間の大陸棚の境界を中間線であると主張してきた。サンチ号の沈没場所は、日本の大陸棚上でもあるので、排他的管轄権を行使できたはずであるが、日本はそのように行動しなかった。
髙井晋氏は「日中間で大陸棚の範囲や境界を争っているのであれば、日本は積極的にサンチ号事件に対する関心を表明し、同号のサルベージを積極的に推進し、沈没場所が日本の大陸棚であることを国際的にアピールするべき」(JBpress2018.9.18「中国にまたしてもやられた日本政府 日中境界線付近でのタンカー『サンチ』沈没事件で問われる日本外交」)であったと述べる。
また、サンチ号の海難事故を報道したのは、第10管区海上保安本部と地方紙主体で、政府が官邸の危機管理センターに情報連絡室を設置したのは、ようやく2月2日のことであったという。
サンチ号事件における日本政府の対応は当初から消極的で、事故の経過に関する発信は透明性に欠け限定的であったともいう。
こうしたことから高井氏は「縦割り行政の弊害以外の何者でもなく、各行政機関も専ら海上保安庁の対応に任せてきた印象を受ける。サンチ号事件などの海洋問題は、主権や国益が直接絡む多くの問題を含んでいることに留意しなければならない」と述べている。
さらに、次のように危惧する。
「中国が日本の了解を得ずしてサルベージを行ったのであれば、そして日本が何も抗議していなければ、国際社会は、沈没場所が中国の大陸棚であると認識することになるのではないか」
「今後、日本が中間線以東の大陸棚を自国の大陸棚であるといくら主張しても、サンチ号事件に対する日本の消極的な対応と中国の積極的な対処活動の印象から、国際社会が中国に軍配を上げる可能性は否めない」
日本は「尖閣諸島の領有権とそれに伴う日中中間線以東の周辺海域のEEZおよび大陸棚を自国のものと主張しているので、このことを諸外国に発信し賛同の輪を広げるためには、一つひとつの行動が常に外交の一貫性に沿ったものでなければならない」と注文する。
自衛艦の活用は?
北方領土が占領される以前の話である。日本の管轄下にあった海域にロシアの漁民が侵入して密漁し、また日本の漁民を脅して獲物や金品を略奪することがあった。
ロシアの漁民ともめ事を起こしているまさにその時、日本の軍艦がはるか向こうに姿を見せるだけで、件のロシア人たちは何事もなかったかのように、「さーっ」と消えていったそうである。
中国は節目ごとに市民や漁民を動員してくることが知られている。
昭和47(1972)年に日中が国交を回復し、条約の締結交渉を重ねていた。交渉が山場に差しかかっていた昭和53(1978)年、尖閣諸島の日本領海に200隻を超える中国漁船が殺到し、数日後に一隻残らず姿を消した。
中国側は「漁船が魚を追っているうちに潮に流された」と説明したそうである。
平成26(2014)年には小笠原諸島や伊豆諸島周辺に200隻を超す中国のサンゴ密漁船が集結した。台風で一時去ったが、再度結集してきた。
時あたかも日中首脳会談の実現をめぐって虚々実々の駆け引きが展開されているさなかであった。
小笠原の赤サンゴが荒らされ、漁民に莫大な損失をもたらしたことから政府は重い腰を上げ、違法操業の取り締まり強化や罰金引き上げなどを検討するが、日本の対応が甘いことに変わりはない。
「産経抄」(平成26年11月8日付)が提案したのは、尖閣沖で奮闘している海保が小笠原沖などで200隻以上の漁船を相手にする余力はないだろうから、自衛艦が悠悠と漁船の脇を通るのは如何だろかという歴史の教訓であった。
平成28(2016)年8月5日以降、中国は海警局の公船を尖閣諸島海域に派遣し、漁船400隻、公船15隻を動員した。漁船には民兵が乗船していたことも判明した。
日本の漁船が他国の領海で違法操業したら拿捕されるばかりでなく、いきなり銃撃されることも頻繁であった。
しかし、日本は、自衛艦を遊弋させるというような「軍事的圧力」と思わせる行動をとることはなかった。もっと活用してもいいのではないだろうか。
攻撃に要する兵力は防御の3倍
軍事の常識として、防御は地形などを利用することができるために、攻撃(離島奪還もその一つ)の3分の1の兵力で済む。従って、可能な範囲で攻撃ではなく、防衛(戦術的には防御)で地域を守ることが大切である。
もっとも、敵の攻撃できる経路がいくつもある場合は、防御兵力が各径路に分散されるために、各々の経路に分散配置が必要となり、全体的には防御兵力が多く必要となりかねない。
そこで偵察・監視により主力が接近してくる経路を判断し、配備の重点を絞ることが重要になってくる。
いくつもの攻撃ルートがあるような場合は、1つに集約させるために、他のルートには兵力に代わる接近阻止(または拒否)装置などが必要となる。
以前は地雷などがそうした役割を担い、敵の行動を制約していた。しかし、今は人道上から国際条約で破棄することになっており、現実に日本はすでに破棄して装備していない(条約無視をする近隣国は定かでないが、多分保有しているに違いない)。
ともあれ、離島の奪還は攻撃の一種で、相手の3倍の兵力が最小限必要というのが戦術の原則である。
この原則に照らしても、基本的に「奪還」ではなく、占拠されるのを阻止する「防衛(または防御)」に注力すべきである。あるいは、上陸戦闘を許さないための接近拒否戦略が望ましい。
防衛白書(29年版)は水陸機動団について、「(敵の」攻撃に対応するためには、安全保障環境に即した部隊の配置とともに、自衛隊による平素からの常時継続的な情報収集、警戒監視などにより、兆候を早期に察知し、海上優勢・航空優勢を獲得・維持することが重要」と強調している。
そして、「(敵の侵攻の)兆候を得たならば、侵攻が予想される地域に、陸・海・空自が一体となった統合運用により、敵に先んじて部隊を展開・集中し、敵の侵攻を阻止・排除する」としている。先述の接近阻止であり、または「防御」ありきである。
続けて、こうした対応が取れず万一「島嶼への侵攻があった場合には、航空機や艦艇による対地射撃により敵を制圧した後、陸自部隊を着上陸させるなど島嶼奪回の作戦を行う」と白書は述べている。
このように、「奪回」は起死回生の手段である。
水陸機動団が「離島奪還」作戦を練り、訓練し、演習しているからと言って、日本が離島などの防衛を疎かにしてはならない。
最も厳しい状況下の訓練(すなわち奪還訓練)を行うことで、部隊の練度を最高に高めることにより、低烈度の状況対応は容易となるからである。
おわりに
尖閣諸島が国有化されたのは野田佳彦政権の2012年9月のことであった。その2年前の2010年9月には、尖閣諸島を巡視している海保の巡視船が中国の漁船に追突される事件が起きた。
国有化される前は島の近傍まで行き清掃し、時には上陸して国旗を持ち込むなどの行為も見られたが、今では海保の警備が厳しく、海保の警戒線より内側に近づくことはできないとのことである。
他方、海保の統制を受けない中国の漁船は海保の警告を無視して悠然と島の近傍を遊弋する逆転現象が起きていると仄聞した。これでは国有化が仇になっているとしか言いようがない。
実のところ、国家主席になりたての習近平は権力固めに、就任直後の2012年末から2013年初めにかけて、尖閣諸島の奪取を本気で考えていたという(矢板明夫著『習近平の悲劇』)。
この時期の事象を振り返ってみると、公船の領海侵犯は頻繁に起きていたが、2012年12月13日、国家海洋局所属のプロペラ機が初めて尖閣諸島上空で領空侵犯した(なお、この日は日本が南京で大虐殺をしたとする南京攻略の75周年記念日でもあった)。
2013年1月になると、19日と30日の2度にわたり、東シナ海で中国海軍のフリゲート艦が海上自衛隊の護衛艦に火器管制レーダーを照射する。戦闘準備完了さえ示唆する行動で、何時戦闘開始になってもおかしくない態勢を意味する。
いずれにしても、安倍政権が過激に反応しなかったため、中国は口実を見つけることができなかったようだ。
当時はホットラインもできていなかったが、政権の冷静沈着な行動が、大事を防いだということができよう。
法律がなければ行動できない自衛隊である。グレーゾーンなどと称して放置できない認識が必要だ。
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