『北方領土は戻ってくるのか?日ロの主張、ともに弱点あり』(12/28日経ビジネスオンライン 池田元博)について

12/30希望之声<拍摄新疆拘禁营 几十名境外网站记者被中共抓捕=新疆の強制収容所の映像を撮る 数十名の外国ネット記者が中共に逮捕される>欧州の「中国の宗教と人権」に関心を寄せているネットマガジン(イタリア“寒冬”)が27日発表したのは、「本組織に属する数十名が記事を送った廉で、中共がスパイ罪と国家転覆罪で逮捕拘留し、その中の1名は新疆の秘密強制収容所に潜入して映像を撮った為、逮捕後失踪した」と。

「世界ウイグル会議」のデイリシャー広報官は、「彼らも記者の逮捕情報には注意している。事態の発展を注目して見ている。ある記者は強制拘留、ある者は拘留後本人の情報提供を拒絶される。メデイアにはハッカー攻撃をして、中国に不利な情報を操作する。当局の目的は現地で行われている政府の極端な政策、特に100万人も強制収用している事実に触れられないように防ぐことである」と述べた。

今年8月中共は“寒冬”を外国の敵対ネットと指定した。“寒冬”は「中共は相手に恥をかかせるようなハッカー攻撃をしてくる」と述べた。

NYTは「新疆の強制収容所はかつての労働改造所を変えたものである。この制度は裁判せずに国民を数年間強制労働させるもの。中国はこれを5年前に廃止したが新疆で行われていることは新しいやり方を創造している」と報道。

言論の自由の無い国ほど怖いものはありません。簡単に人権が侵害されますので。米国のリベラルメデイアはまだ良心的ですが、日本の左翼メデイアは中共を非難することはありません。性根が中共に似ているというか、共産主義を実行している憧れの国と思っているのでしょう。日本の左翼新聞を読んでいる人は経営を助けていることになります。早く目覚めてほしい。中共が世界を牛耳ることになったら恐ろしいことになります。日本人は左翼の言説に惑わされず、中共を打倒することを真剣に考えないと。

https://www.soundofhope.org/gb/2018/12/30/n2522747.html

12/30阿波羅新聞網<美军重大打击共军北斗系统 川普已开始“精准打击”中共高层=米軍は中共軍部の北斗システムに重大打撃を トランプは中共上層部を既に狙い撃ち>最近、米国の通商代表部事務室は「最初の関税賦課340億$分の免除リスト」を発表したが、中共メデイアは口を閉ざしたまま。逆に米国はトランプが「チベット旅行対等法」にサインし、チベットの中共高官の入国を禁じた。分析によれば「米国は中共官員に狙いを定め、汚いことをすれば罰を受けるようにした」と。中共に宥和的であった国防長官を換えた事に、北京は、表面上は「両軍関係が健康に発展することを期待する」とか言っているが、内心は非常に不安に思っている。

過去3倍の精度を誇る米軍史上最強のGPSロケットの打ち上げに成功。23日フロリダのCape CanaveralよりSpaceX社のFalcon9ロケット。中共はずっと「北斗システム」を強化して米国を追い抜こうとしてきたが、この米軍のGPSロケットの出現で、中共軍には大打撃になる。

https://www.aboluowang.com/2018/1230/1225375.html

12/31阿波羅新聞網<中国逢「9」必大变?2019年中国10大难关…=中国は9=苦は必ず大変な目に 2019年の中国の10大難関>最新の《亜洲週刊》は、2019年中国は10大難題に直面すると報道。①米中貿易戦悪化②経済下降③北朝鮮の核のコントロールできず④新疆問題⑤地下教会問題⑥退役兵の抗議活動⑦労働争議⑧一帯一路挫折⑨ワクチン・食品安全問題⑩政治改革問題。これらは中国にとって鍵となる問題である。

観察によれば、1949年から2019年まで70年、末尾が9の年は例外なく異変が起きている。

49年中国共産党建国:59年チベット暴動、ダライラマのインド亡命、中国大飢饉:69年中ソ珍宝島(ダマンスキー島)国境紛争、劉少奇死亡に追い込まれる:79年中越戦争、米中国交回復:89年天安門事件で死傷者は数百人から万単位までの報道、チベット動乱:99年法輪功が中南海で座り込み、駐ユーゴ中国大使館米軍機誤爆事件:09年新疆で衝突事件=中国ジャスミン革命、公式発表で死者195人、負傷者1080人。海外の数字は、死者は1500人を超し、4~5の村は虐殺現場となった。

まあ、末尾が9の年でなくとも中国では毎年何かが起きているのでしょうけど。問題山積みの国であることは間違いありません。

https://www.aboluowang.com/2018/1231/1225396.html

12/31日経朝刊<安倍外交「総決算」へ山場 北方領土・トランプ氏・北朝鮮…参院選控え交渉余地狭く

安倍晋三首相が掲げる「戦後外交の総決算」が2019年に山場を迎える。ロシアのプーチン大統領との北方領土交渉やトランプ米大統領が問題視する貿易赤字問題などいくつものハードルをどう乗り越えるかが問われる。6月には大阪で20カ国・地域(G20)首脳会議を開き首相が議長を務める。来年夏の参院選をにらみながら、得意の外交分野で成果をめざす。

最大の焦点は北方領土交渉だ。首相は1月21日にモスクワでプーチン氏との首脳会談に臨む。両首脳は平和条約の締結後に歯舞群島、色丹島の引き渡しを明記した日ソ共同宣言を基礎に交渉を進める方針で一致しており、前進を探る。

日ロ首脳会談に先立ち、河野太郎外相も訪ロし、来年1月14日にラブロフ外相と会談する予定。日ロ首脳が両外相を責任者とする新たな交渉の枠組みを決めてから顔を合わせるのは初めて。

ロシア側からはすでにけん制球が飛んできている。プーチン氏は歯舞群島、色丹島の主権問題も今後の交渉対象と主張。ラブロフ外相も日本が第2次世界大戦の結果を受け入れてロシアの実効支配は合法的だと認めることが「不可欠な一歩だ」と強調している。

プーチン氏は大阪G20に合わせて来日する予定で安倍首相とも会談する。日本政府内にはこの場で北方領土問題で大枠合意し、安倍政権の遺産(政治的功績)にしたいとの思惑がある。ただプーチン氏は北方領土に米軍基地を置かないように保証を求めるなど狙い通りに進むかは不透明だ。

トランプ氏との関係でも苦労しそうだ。1月以降、日本車や農産品を含む物品貿易協定(TAG)を巡る交渉が始まる見通し。トランプ氏は米貿易赤字の削減に向け日本車の輸入制限や米国の農畜産物の輸入を日本に迫っている。与党内には参院選を前に譲歩すべきではないとの声が大勢で、交渉の余地は限られる。

日本政府内では5月にトランプ氏に国賓待遇での来日を要請し、新天皇と会見する案が浮上。6月のG20でも再来日して日米首脳会談を立て続けに開く案がある。

これに先立ち1月にスイスで開く世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)でも首脳会談を実施する予定で、安倍・トランプの蜜月関係をてこに乗り切る戦術だ。

首相は中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席の来日も要請している。G20前の来日が有力で、首脳の相互訪問に弾みをつける。米中貿易戦争の行方をにらみつつ、関係改善を探る。

北朝鮮の非核化や拉致問題の解決も米国にらみになりそうだ。トランプ政権は米朝首脳会談を1~2月にかけて開く構えで、非核化問題などの行方は大きく左右される。首相はG20など国際会議の場で国連安全保障理事会の決議に基づく経済制裁の継続を各国に呼びかける。

徴用工問題や従軍慰安婦財団の解散問題などを巡り関係が冷え込む韓国の動向も対北朝鮮政策に影響を与える可能性がある。文在寅(ムン・ジェイン)政権は3.1運動(日本統治下の1919年の独立運動)100周年を南北が共同で記念する計画で安倍政権との関係修復には動きにくいとの見方がある。日米韓の足並みが乱れれば北朝鮮の問題解決はますます遠のきそうだ。>(以上)

12/31日経朝刊<衆参同日選、首相が否定 「頭の片隅にもない」

安倍晋三首相は30日のラジオ日本の番組で、来夏の参院選にあわせて衆院を解散し同日選挙をすることは「頭の片隅にもない」と否定した。「来年は皇位の継承や20カ国・地域(G20)首脳会議、ラグビーワールドカップがある。政府としても十二分の対策をしていく。こういうことで頭がいっぱいだ」と述べた。>(以上)

12/31日経朝刊<2019 私の注文 改憲、新たな国家像提示を 慶応義塾大学教授 細谷雄一氏

これからの一年は安倍政権の歴史的評価を定める一年になるだろう。安倍政権に対して支持勢力と批判勢力が二極化しているが、歴史的にどのように記憶されることになるのか。第1の可能性は戦後の保守的イデオロギーの指導者として長期政権を維持したとの評価だ。第2は伊藤博文や吉田茂のように、新しい時代の基礎を作った国父に近い存在となることだ。

新しい時代の基礎を創った指導者として記憶されるためには、幅広い国民の支持の上に憲法改正を実現する必要がある。問題点の修繕だけではなく、国際社会や国民に向けてどのような国家像を描くかが問われる。憲法改正は保守の主張とみなされるが、国民投票では一部のリベラルの支持が不可欠となるだろう。

改正をめざす上ではリベラルと護憲派の区別が重要だ。現行憲法は70年以上前の価値観に基づいたものだ。護憲派が古いものを守ろうとする一方で、新しい価値を包摂するリベラル勢力は改憲のアジェンダに合流する可能性がある。

2019年の参院選では生活に結びつく政策の優先順位をどれほど高めていけるかがカギを握る。消費増税で消費者は負担を強いられ貧困層の拡大につながる懸念がある。そうした問題をケアできるかが焦点だ。

外交における今後の最大の課題は日韓関係と日ロ関係だ。地政学的に重要な朝鮮半島が日本の安全に影響を及ぼす以上、日韓関係を避けては通れない。日ロは平和条約締結に向けた歩みの歯車が動き出してしまった。一方でどのような形で日ロ関係を発展させていくのかビジョンは見えない。

平和条約は日ロ双方の世論に大きな不満をもたらす。不満を相殺する前向きなシナリオを示さなければ、一定の譲歩をして条約を作るインセンティブは生まれない。平和条約と領土問題が切り離され、締結して終わりになる可能性がある。難しいかじ取りを迫られることになる。

19年、日本は激動する世界情勢にどう向き合うべきなのか。日本の政治や外交への注文を聞いた。(随時掲載)>(以上)

12/31NHKニュース4:40<プーチン大統領が安倍首相に新年のメッセージ “対話継続を”>

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181231/k10011764101000.html?utm_int=news_contents_news-main_001

北方領土問題は、池田氏の記事にありますように、米国の了解のもとに進めなければひっくり返される可能性があります。多分日米露3ケ国で根回しされているのではと思います。それが証拠にわざわざプーチンが9月に安倍首相に向けて「前提条件なしで日ロ平和条約の年内締結」を呼びかけなかったのでは。①色丹、歯舞両島の返還②両島には米軍施設は置かない(日米安保の適用除外)③シベリアを含む経済協力④オホーツク海から北極海に抜ける海路の共同パトロール、を打ち上げるのでは。

https://www.sankei.com/politics/news/161124/plt1611240006-n1.html

https://www.sankei.com/west/news/180706/wst1807060013-n1.html

ただプーチンが年金問題で支持率を下げているので、どこまでやれるかですが。対話だけになり、経済発展だけ喰われてしまう可能性もあります。1/21の日露首脳会談でどこまで詰められるかです。

2019年の日本の政治課題は

①日露領土交渉・平和条約締結の進展

②衆参同日選挙(消費税凍結、憲法改正国会発議を掲げて)

③韓国への制裁(米国と共にやる部分もあり)

④中国の封じ込め(欧米と共に)

と言ったところでしょうか。

記事

「戦後外交の総決算」を掲げる安倍晋三首相が、北方領土問題の解決に意欲を示している。平和条約締結後の色丹、歯舞両島の日本への引き渡しを明記した1956年の日ソ共同宣言を基礎に協議を加速するという。過去の経緯も踏まえながら交渉の行方を見守っていく必要がある。

12月1日、ブエノスアイレスで会談した安倍晋三首相とプーチン大統領(写真:代表撮影/ZUMA Press/アフロ)

2018年を表す漢字に「災」が選ばれたが、安倍首相自らは起承転結の「転」がふさわしいと表明した。「日ロ関係の大きな転機が訪れてきたと感じる1年だった」というのが、ひとつの理由だ。来年は「日本は大きな転換点を迎える」とも語った。北方領土問題を含む日ロの平和条約締結交渉で大きな進展を見込んでいるような発言だ。

確かに日ロ交渉は11月以降、新たな局面を迎えた。安倍首相とプーチン大統領が11月14日にシンガポールで開いた首脳会談で、1956年の日ソ共同宣言を基礎に平和条約交渉を加速させることで合意したからだ。

同宣言はプーチン大統領がかねて「法的拘束力がある」と認めていた。日ロ両政府はここ数年、いつ実現するかも分からない北方4島での共同経済活動の準備協議にほとんどの時間を割いてきたが、北方領土の帰属を含めた本筋の平和条約締結問題に再び交渉の焦点が移ったわけだ。

両首脳は12月1日にアルゼンチンでも会談し、河野太郎、ラブロフ両外相を責任者とする交渉の枠組みで合意。その下で実務協議を進める外務省の交渉担当者を首相特別代表、大統領特別代表とした。首相は2019年1月後半に訪ロして交渉に弾みをつけ、同年6月末、大阪で開く20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせたプーチン大統領の来日までに一定の成果を上げたい意向とされる。

封印された「東京宣言」

大事な交渉に悪影響を与えたくないのだろう。北方領土問題を巡る安倍首相ら政権幹部の発言はここにきて極端に慎重になった。「日本固有の領土」「不法占拠」といったロシアを刺激するような主張が消えた。河野外相にいたっては記者会見で、日ロの平和条約交渉に関する質問を無視して「次の質問どうぞ」と繰り返し、世間のひんしゅくを買った。

領土問題に関する過去の合意文書や常とう句で、安倍政権が封印したものの中に「東京宣言」がある。

1993年10月、来日したエリツィン大統領と細川護熙首相(いずれも当時)が署名した宣言で、択捉、国後、色丹島と歯舞群島の帰属問題を歴史的・法的事実に立脚し、法と正義の原則を基礎に解決し、早期の平和条約締結をめざすとした。つまり「4島の帰属問題」の解決を明記した、日本にとって極めて重要な文書だ。

ところがプーチン政権下で東京宣言を明記したのは、2003年1月、小泉純一郎首相(当時)の訪ロ時に発表した共同声明が最後だ。プーチン大統領は2005年11月に来日して小泉首相(同)と会談したが、この時は領土問題について「第2次世界大戦の結果」と主張し、東京宣言を文書に明記することを拒否した。このため共同声明の採択を見送った経緯がある。

以来、日ロ首脳の相互訪問がほぼ非公式の形で、かつ共同声明のような公式基本文書がほとんど出ないのは、こうした背景がある。

ちなみに安倍首相は2013年4月にロシアを公式訪問し、プーチン大統領と共同声明を発表している。その際には「2003年の共同声明」を含む「これまでに採択された全ての諸文書及び諸合意」に基づいて、平和条約締結交渉を進めることで合意したと表記した。一応、東京宣言の有効性をロシアも認めたと日本側が主張できるような内容だが、東京宣言そのものは明記していない。

過去のいきさつを踏まえれば、プーチン大統領が認める1956年宣言を基礎に交渉を進める以上、東京宣言はひとまず封印するという安倍政権の意図はわからなくもない。ただし、1956年宣言は択捉、国後の2島には全く触れていない。

プーチン政権は同宣言に明記された色丹、歯舞両島の日本への引き渡しですら「十分な検討が必要」としている。実際の交渉では、第2次大戦の結果、北方領土がロシア領になったと日本側が認める、現地に米軍が永久に駐留しないと文書で確約する、米国製の陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の日本配備を撤回する、といった日本側が受け入れにくい条件を次々と掲げ、実質的にゼロ回答を貫く公算が大きい。

仮にそれでも色丹、歯舞両島の返還にこぎ着けたとしても、プーチン大統領が択捉、国後2島の引き渡しに応じるとは到底考えられない。日本の各種世論調査では1956年宣言を交渉の柱とする安倍政権の路線について、「2島先行返還」という前提で支持する声が多いが、ロシア側が最大限譲ったとしても択捉、国後両島はロシアの主権下で、日ロが共同経済活動をする「2+α」方式での決着がせいぜいだろう。

その場合、「日本固有の領土」として北方4島の返還を掲げてきた従来の日本政府の主張との整合性が問われることになる。ただし、日本政府が第2次大戦後、一貫して4島返還を求めてきたかというと、そうとは言い切れない面もある。

歴史の針を少し戻そう。日本は1951年署名、翌1952年発効のサンフランシスコ平和条約で「千島列島」を放棄した。同会議の演説で吉田茂首相は、日本開国当時にロシア帝国は択捉、国後両島が日本領であることに異論をさしはさまなかったと主張した。ただし、択捉、国後の2島は「千島南部」、色丹、歯舞の2島は日本の本土たる「北海道の一部」と述べていた。

サンフランシスコ平和条約で放棄した「千島列島」はどこ?

では、サンフランシスコ平和条約で日本が放棄した「千島列島」の範囲はどこなのか。同会議直後の1951年10月、当時の西村熊雄・外務省条約局長は国会の特別委員会で「北千島と南千島を含む」と明言。択捉、国後の2島は放棄対象に含まれるとの立場を暗に示す一方で、色丹、歯舞両島は「千島に含まれない」とした。これが当時の政府見解だった。

ところが、政府見解は1956年に修正される。同年2月、衆院外務委員会で当時の森下國雄・外務政務次官は「南千島、すなわち国後、択捉両島は常に日本の領土」であり「返還は当然」と主張。サンフランシスコ平和条約で放棄した「千島列島にも両島は含まれていないというのが政府見解」だと強調した。

当時は日本とソ連が平和条約締結交渉を本格化していた時期だ。政府見解の修正はいわば、色丹、歯舞2島の返還で決着させようとした交渉を頓挫させる狙いがあったのだろう。日ソ交渉は結局、米国の圧力と日本国内の親米・反ソ勢力の抵抗などにより、平和条約ではなく共同宣言の形で決着した。

ここに来て再び脚光を浴びる1956年宣言には、こうした歴史的な背景がある。同宣言は平和条約締結後の歯舞、色丹両島の日本への引き渡しを規定した条項にばかり焦点が当てられるが、日ソ間の戦争状態の終結、外交関係の復活など様々な条項を盛り込んでいる。実質的な平和条約の役割を担ってきたわけだ。

北方領土をめぐる主張については、当然のことながらロシア側にも弱点がある。プーチン政権は北方4島が「ロシア領となったのは、第2次大戦の結果だ」と主張する。その主要な根拠としているのは1945年2月のヤルタ協定だ。米英とソ連の3首脳が結んだ同協定は、ソ連が連合国に味方して対日参戦する条件として、千島列島のソ連への引き渡しなどを明記している。ただし、同協定は秘密協定で、公式的には日本は戦後まで知らされていなかった。

ソ連はヤルタ会談を受け、相互不可侵などを定めた日ソ中立条約を一方的に破棄し、法的には同条約が有効だった1945年8月に対日参戦した。ソ連軍は北方領土の択捉島を8月28日、国後、色丹両島を9月1日、歯舞群島を9月5日までに占領した。いずれも日本がポツダム宣言を受諾し降伏の意思を示した後だ。歯舞群島の占領は日本が降伏文書に署名した9月2日以降。ロシアにはさらに、ソ連がサンフランシスコ平和条約に署名していないという弱みもある。

今後、日ロの平和条約締結交渉が本格化すれば、こうした過去の経緯を双方が駆け引きの材料として使う場面があるかもしれない。

ただし、領土交渉は実効支配する側が圧倒的に有利というのが冷徹な現実だ。しかも、プーチン大統領がいくら強権的でフリーハンドを持った指導者だとはいえ、国内の世論を無視するわけにはいかない。

ロシアの民間世論調査会社レバダ・センターは11月後半、日本との間で平和条約を締結して日ロ経済協力を発展させるため、幾つかの島を日本に引き渡すことに賛成か反対かを問う世論調査を実施した。賛成はわずか17%で、反対が74%と圧倒的多数を占めた。

同センターはこれまでも、北方領土の引き渡しに単純に賛成か反対かを問う調査は継続的に実施しており、70~90%が反対と回答していた。引き渡しの対象を「幾つかの島」に絞っても「反対」が7割を超えたことは、たとえわずかな領土であっても割譲に否定的なロシアの世論を映したといえる。プーチン大統領が有効性を認める1956年宣言を軸にしても、先行き極めて厳しい交渉が予想されることは論をまたない。

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