A『なぜトランプはロシアとの交渉を急ぐのか…ウクライナ・中東に、これ以上足を取られていられない「本音と理由」 米ロ・ウクライナ停戦交渉の深層・1』B『プーチンはトランプを待ち望んでいた~アメリカが譲歩しようとしている停戦条件の「大きな隔たり」–2』C『プーチンの「これだけは絶対に譲れない」一線は領土ではなくこの条件~そしてウクライナ・ヨーロッパは取り残される-3』D『トランプに乗るか、それとも「国際秩序」にしがみつくか~ウクライナ新事態に逡巡する日本・石破政権-4』(3/7現代ビジネス 畔蒜 泰助)について

3/7Rasmussen Reports<Two-Thirds Agree: ‘Drain the Swamp!’= 3分の2が同意:「泥沼を干拓せよ!」>

腐敗した役人は放逐されるべき。

ドナルド・トランプ大統領が繰り返し首都の官僚機構の「泥沼を一掃する」よう呼びかけたことは、有権者の共感を呼び続けている。

ラスムセン・リポートの最新の全国電話およびオンライン調査によると、米国の有権者の66%がトランプ氏の発言「ワシントンDCの泥沼を一掃すべき時が来た」に賛同している。そのうち44%は強く賛同している。25%は賛同せず、そのうち14%は強く賛同していない。

https://www.rasmussenreports.com/public_content/politics/trump_administration_second_term/two_thirds_agree_drain_the_swamp?utm_campaign=RR03072025DN&utm_source=criticalimpact&utm_medium=email

3/7看中国<习脸色黄带黑 两会上强撑病体?!“统一脚本”吹捧 为习送别(图)=習の顔色が黄黒く見える、両会中も病気の体に鞭打っているのか? !習の告別として宣伝される「統一シナリオ」(写真)>最近、中共両会における報告や、党首である習近平の表情や挙動を含む中共高官が外部の注目を集めている。映像からは習の顔色は極めて悪く、病気にもかかわらず無理やり会議に出席していたことが分かる。ある分析では、今年の両会で出現した「おかしな」場面は、「擦り合わせたシナリオ」を以て習近平を称賛し、告別するという内部の合意によるものだと指摘した。

習近平は病気の体に鞭打っているが、顔色は非常に悪い

張又侠は座り方を調整し、リラックスしている

習近平は目を閉じたまま、誰かがあくびをした。

習近平を称賛する「擦り合わせたシナリオ」で内部合意

習近平に別れを告げるか?

習は、中共トップの座を早く下りた方が世界平和のためになる。

https://www.secretchina.com/news/gb/2025/03/07/1078748.html

3/7阿波羅新聞網<美国敦促盟友对中国相关船只征收停靠费 倘拒跟风面临报复=米国は同盟国に対し、中国船舶に入港料を課すよう要請、従わない国は報復措置に直面する>外国メディアは、トランプ政権の大統領令草案を見たとして、米国は中国製または中共国旗を掲げた船団が米国の港に停泊する際に料金を課す計画であり、同盟国にも同様の措置を取るよう促すと報じた。さもなければ報復を受ける可能性があるという。

本気で中国経済とデカップリングしろと。日本はしないと安保条約破棄?

https://www.aboluowang.com/2025/0307/2186310.html

何清漣 @HeQinglian 5 時間

翻訳: トランプは、肌の色を理由に攻撃の標的にされている南アフリカの農場主とその家族を米国に招待した。

引用

@amuse @amuse 10時間

ジェノサイド:トランプは、肌の色を理由に標的にされている南アフリカの農民とその家族を米国に招待している。

https://x.com/i/status/1897922027983429870

何清漣 @HeQinglian 1 時間

翻訳:【戦争 – EU副大統領が沈黙していた部分を大声で語る:

「ロシアの敗北は悪いことではない。そうすれば、ロシアは小国に分割される。レアアース、ガス、石油…戦利品だ。】

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引用

バーニー @Artemisfornow 16 時間

戦争 – EU副大統領が静かな部分を大声で語る。

ロシアの敗北は悪いことではない。そうすれば、ロシアは小国に分割されるだろう。希土類元素、ガス、石油…戦争の戦利品だ。

ただし、彼らは妄想に陥った狂人である。

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何清漣 @HeQinglian 54 分

この人は、欧州委員会の外務大臣であり、当然の地位として欧州連合の副議長であるエストニア人のカヤ・カラス(1977年生まれ)である。

畔蒜氏の記事の最後に、「石破首相の逡巡は、まだまだ続きそうである」とありますが、夏の参院選前後には石破首相は辞任するのでは。岸田がバイデンベッタリの政治をやったのが良くなかった。LGBTQ法案まで作らされて。日本のウクライナ支援もキチンと監査すべき。米国支援の兵器は闇市場で売却され、テロリストの手に渡っているとの話もある。

トランプに付くか、欧州に付くかとの二者択一を迫られたら、米国のトランプに従うしかない。防衛同盟を結んでいるのは米国だけで、核の傘がなくなることは問題である。欧州とは防衛条約がないので、米国優先となる。トランプ後の大統領は、不正選挙ができない民主党は勝てないので、共和党が続くと予想される。MAGAが長期間続くと思われる。

何度も言っている通り、日本はトランプの間に核共有から核保有の秘密協議をすべき。

A記事

米国がウクライナへの武器支援を一時停止

2025年3月3日、米トランプ政権がウクライナへの全ての軍事支援を一時停止したと発表した。2月28日のドナルド・トランプ大統領とボロディミル・ゼレンスキー大統領の首脳会談において両者が衝突し、予定されていたウクライナ国内での鉱物資源開発に関する合意文書への調印が行われなかったことを受けた決定だった。 

ゼレンスキー大統領はこの合意のその先に、停戦実現後のアメリカによるウクライナへの安全保障供与に関する文書での確かなコミットメントを得たいと考えていたが、トランプ大統領は合意の結果、アメリカ企業がウクライナで鉱物資源開発に従事すること自体が、アメリカによるウクライナへの安全保障供与を約束するものだ、との立場を譲らず、両者の間の溝が埋まらないまま、この首脳会談が行われたことに衝突の原因があった。

また、ゼレンスキー大統領には、アメリカによるウクライナへの安全保障供与の確かなコミットメントをどうしても得たいと焦るに足る十分は理由があった。2月12日、ドナルド・トランプ、ウラジーミル・プーチンの両首脳が電話会談を行い、18日には、サウジアラビアのリヤドで米ロ高官会議が開催されるなど、米ロがウクライナの頭越しに接触を開始したからである。

筆者は2024年末の時点で、トランプ政権のウクライナ・ロシア担当特使に任命されたキース・ケロッグが米大統領選中に発表したペーパーの内容と、2024年6月にプーチン大統領が提示したウクライナ問題解決の諸条件には埋めがたい大きな隔たりがあり、仮に交渉が開始されたとしても、年内に最終合意に達することは極めて難しいと考えていた。

しかし、現実には、その見立てを大きく覆すかのように、ここに来て米ロが急速に接近し始めている。事態を動かしているのはトランプのイニシアティブである。

米ロが合意した地政学的な協力が意味するところ

その端緒となったのは、今年2025年2月11日のロシアにおけるアメリカ人人質の解放である。この時、トランプがロシアに派遣したのはケロッグではなく、中東担当特使のスティーブン・ウィトコフだった。これは2022年2月のロシア・ウクライナ戦争勃発後、この時、プーチンはウィトコフと3時間半も会談を行っている。

12日のトランプ-プーチンの電話会談についてのロシア側の発表によると、「ウクライナ問題解決の可能性について、トランプは対立をできるだけ早くやめるべきだ。危機を平和裏に解決すべきだと言った。一方、プーチンは、この対立の根っこにある原因を根絶する必要性を強調した。そして、平和的な交渉のみにおいて最終的な合意が達成できるとトランプと合意した」とある。

プーチンの主張する「根っこにある問題」には、ウクライナのNATO加盟の問題やウクライナ東部のロシア系住民の問題である。詳しくは後述するが、ロシアにとってはウクライナを中立化し、ロシアに脅威を与えない友好国家にするというのが、2022年2月に同国への軍事侵攻を開始したそもそもの戦略目標なのである。

前述の通り、筆者は、トランプ政権においてウクライナ・ロシア担当特使に任命されたケロッグの停戦案と上述したプーチンの戦略目標の間には大きなギャップがあることから2025年内の停戦実現は非常に困難であると見ていたが、トランプ政権はウクライナにおける早期の停戦を志向し、ロシアの立場に大きく歩み寄る形での交渉開始となった。

それではトランプはなぜこのウクライナでの早期停戦を実現したいのか。

この問いを読み解く鍵は、アメリカ側からマルコ・ルビオ国務長官、マイケル・ウォルツ国家安全保障問題担当大統領補佐官、ウィトコフ中東担当特使、ロシア側からセルゲイ・ラブロフ外相、ユーリ・ウシャコフ外交政策顧問が出席した2月18日の米ロ高官会議における合意内容にある。米国務省の発表によると、合意したのは次の3つである。

・双方の公館の機能を正常化させる

・ウクライナ問題の具体的な交渉チームを立ち上げる

・ウクライナ問題の解決後の地政学的、経済的な米ロの協力関係を話し合う

アメリカ側がウクライナ停戦の早期実現を目指す最大の理由は、ここでいう地政学的協力にあると見る。それは具体的には何か。

ロシア大統領府の発表によると、18日の米ロ高官会議に先立って行われた12日の米ロ首脳電話会談の中で、両者はウクライナ問題の解決以外に、イスラエル・パレスチナ問題、イラン核問題、両国の経済関係の問題が議論されたという。

また、18日の高官対話のあと、プーチンは記者の取材に対し、「我々はお互いに利害関係がある様々な分野の問題について協力を復活させるための第一歩を踏み出した」とし、具体的には、ウクライナ情勢がロシアにとっての優先課題だが、パレスチナ・イスラエル問題に加え、アサド政権崩壊後のシリアにおけるロシアのプレゼンスの問題(=ロシアの軍事基地の維持問題)など、中東には米ロ両国を巻き込む多くの問題が存在していると述べている。また、両国によるエネルギー分野での協力についても議論されたという。

なぜ、リヤドで

さて、ロシア側からの一連の発信から判断して、ここでいう地政学的問題とは、一義的に中東における米ロの協力と理解するのが自然だろう。一連の米ロ接近の仲介役を果たしているのが、サウジのサルマン皇太子であり、18日の高官会議が開催されたのもリヤドであったことは偶然ではないと見る。

ところで、今回の米国人人質の解放、米露首脳電話会談、そしてサウジアラビアでの高官協議の窓口を開いたのは、ロシア直接投資基金(RDIF)総裁のキリル・ドミトリエフである。トランプ第1次政権の時から米露関係のバックチャンネルの創設に動いていた人物である。その時、このドミトリエフと、トランプの娘婿であるジャレッド・クシュナーをつないだのが、アブダビの皇太子だった。ドミトリエフのRDIFは、ムバタラというアブダビの国営ファンドとも、サウジのファンドとも共同事業をしている。

とすれば、今後、中東問題、そして米ロのエネルギー分野での協力などが話し合われる可能性がある。場合によれば、そこにサウジなどの中東湾岸諸国も参画するのかもしれない。因みにドミトリエフは、サウジの高官会議の後、ロシア・メディアのインタビューに答えて、北極海での米露エネルギー協力が議論されたと述べている。

トランプとしてみれば、ロシアに大きく譲歩してでもウクライナでの停戦を実現し、ヨーロッパはヨーロッパにまかせ、ロシアの協力を得ることで中東を安定化させる。自らは中国に集中したい。これがアメリカの大きな戦略目標なのである。

アメリカ側からすると、ウクライナの問題というのは、将来的なロシアとの協力関係を進めるために、一日も早く取り除かなければならない障害という位置づけになっている。

ロシアにしてみたら、まずウクライナの問題を根本から解決して貰わないと困る。この問題が取り除かれない限り、他の分野での協力はなかなか難しい。制裁は解除されて貰わなければこまる。経済協力を議論するということは、制裁解除は大前提である。

影の主役、「対中国」

だが、一連のロシア側からの発言に一切出てこない地政学的な問題が当然ある。それはアジアの問題だ。これこそが、トランプ政権が一番求めているポイントである。もちろん、トランプ政権でも中ロの分断は不可能である。プーチンとしてみたら、あれほど長大な国境線を接している以上、中国と喧嘩するという選択肢はない。しかし、西側との対立状況が続けば続くほど、ロシアの中国に対するポジションが日に日に悪くなる、ということも十分に理解している。

ロシア側も、エネルギー分野での協力、中東での協力などで西側との協力関係が出来てくれば、中国と対立する気はないけれども、圧倒的にアンバランスになった中国との関係を回復するチャンスが生まれる。それ自体が、今後、アジアで何か起きたときに、中国に対して自立した行動をとれる余地を生むことになる。

18日の高官協議に出席していた、アメリカの国家安全保障担当大統領補佐官マイク・ウォルツは、大統領選挙直前に英エコノミスト誌に掲載された共著記事の中で「次期大統領は、ウクライナと中東の紛争を速やかに終結させるために緊急に行動し、最終的に戦略的な注意をしかるべきこと、即ち、中国共産党のより大きな脅威に対抗することに集中させるべきである」と書いた。対中国、これがアメリカにとって、現在の最大の戦略課題であり、ウクライナ問題、中東問題の解決すらこれにリンクしているのである。

プーチンにとって、中東の問題は語りやすい。米オバマ政権時代の2015年にイランの核問題に関する包括的共同作業計画(JCPOA)が締結されたとき、ロシアは深く関わっており、オバマ大統領自身がロシアの協力なしにはこの合意はなかったと、当時、ニューヨーク・タイムズ紙のインタビューに答えている。イランの核問題をもう一度、俎上に上げようとしたら、当然、ロシアが加わる形でしか出来ないのである。

トランプ第1期政権のときに、アメリカは戦略的な基軸を対中国に置くと国家戦略を変更したが、バイデン政権の時に、ウクライナ問題、中東問題が勃発し、足を取られる結果になってしまった。それが、現在まで続けているのである。そこにこれらの問題を早く除去するというアメリカ側の要請があるのだ。

これはトランプとっての直感なのだと思う。

トランプ政権によるロシアとの早期の交渉開始は、大統領選挙期間中からトランプが公言していたとはいえ、ロシア側とトランプ政権側の停戦条件案がかけ離れたものだからだった。両者の主張の差は何か。

B記事

プーチンのトランプ礼賛

アメリカ大統領選でのトランプ当選の直後、2024年11月7日に開催され、筆者も参加していたロシアの国際戦略シンポジウム「ヴァルダイ・クラブ」の年次総会で、プーチン大統領は自らのセッションで、トランプ評を語った。

「彼をどう見るかは自由だ。結局のところ、最初の大統領任期中は、彼は主にビジネスマンであり、政治についてあまり理解しておらず、間違いを犯す可能性があると誰もが言っていた。暗殺未遂に直面したときの彼の行動は本当に感銘を受けた。彼は勇敢な男だった。それはただ手を挙げ、共通の理想のために戦おうと呼びかけただけではない。もちろん、これは反射的なものではあったが、男は非日常的な状況下でこそ、その真価を発揮するものだ。そして、彼は正しい方法で、男としての勇気を示したのだと私は思う。就任1期目の政治については、私の言うことが彼に届くかどうかわからないが、それでも今言っておく。本当に心から言っている……彼は四方八方から追い回され、何もさせてもらえなかったという印象がある。左へ一歩、右へ一歩、余計なことを言うのを恐れていた。

結局のところ、これが彼の最後の任期なのだから、彼の選択次第だ。しかし、これまで公の場で語られてきたことは、ほとんど……大統領選挙中に語られたことについては、今はコメントしたくない。そして、ロシアとの関係を回復させ、ウクライナ危機を終わらせる手助けをしようという観点から発言されたことは、少なくとも注目に値すると私は思う。

この機会を利用し、合衆国大統領に選出されたことに祝意を評したい。私はすでに、米国民の信頼を得られるいかなる国家元首とも協力すると申し上げてきた。私たちはこの公約を守っていく。」

そして、司会者の「トランプ大統領と話し合う用意があるということか」という質問に対し、「もちろん準備はできている」と答えた。ある種の期待感を表明したことになる。

ロシアが要求するのは「ウクライナ無害化」

ただ一方で、トランプ周辺から出てくる和平案については、ロシアにとって受け入れがいたいものだった。

2024年9月12日にJ・D・ヴァンス副大統領候補(当時)がメディア・インタビューに答えて示したウクライナ停戦・和平案は、

・ロシアは現在占領している領土を保持する

・現在の戦闘ラインに沿って非武装地帯を設ける

・ウクライナ側はロシアからの新たな侵略を阻止すべく厳重に要塞化される

・ウクライナに残った領土は独立した主権国家として残る

・ロシアはウクライナがNATOその他の同盟組織には加盟しない中立の保証を得る

だった。

また、トランプ新政権でウクライナ特使に任命された、キース・ケロッグ元陸軍中将は、

・和平合意後、ロシアにそれ以上の侵攻をさせない

・和平協議参加をウクライナへの防衛強化の条件とする

・ロシアを協議に参加させるため、ウクライナが求めるNATO加盟を長期間延期する

と、両方とも、基本的に、停戦と、その時点での戦線を元にした休戦ラインでの兵力分離という内容にすぎない。

これに対し、2024年6月14日、プーチン大統領は、

・ドネツク人民共和国、ルガンスク人民共和国、ザポロージェ、ケルソン地域からの軍隊の完全撤退

・ウクライナの中立・非同盟の立場、非核化、非武装化、非ナチ化

・2022年のイスタンブール交渉での非武装化に対する具体的内容も含めた、大筋の合意の履行

・ウクライナでのロシア語を話す市民の権利、自由、利益の完全な保護

・クリミア、セヴァストポリ、ドネツク・ルガンスク人民共和国、ヘルソン、ザポロージェ地域がロシア連邦の一部である事を含む、新たな領土の現実の承認

・これらの基本原則を将来的に基本的な国際協定によって正式に定められる

・欧米の対ロ制裁の撤廃

という7項目を挙げ、ウクライナがこのプロセスを真剣に開始すれば、ロシアは遅滞なく速やかに和平交渉を開始する用意があると発言していた。

領土、占領地の問題はともかく、ロシア側にとって、最も重要なのは、2番目の「ウクライナの中立・非同盟の立場、非核化、非武装化、非ナチ化」、つまり、ロシアの安全保障にとってのウクライナの「無害化」である。

両者の隔たりは非常に大きい。一般的には合意に達するのは難しいだろうと思われる。交渉そのものは始まるだろうし、プーチンはそれを断らないだろうが、交渉で詰めていく中で、この隔たりが明らかになり、最終的には合意に到らず、この戦争は続くであろうというのが、昨年末の私の予測だった。

ロシア側が譲歩するか、アメリカ側が譲歩するかしなければ進展はないはずである。ロシア側について言えば、戦況は今、ロシアが有利であり、国内情勢も経済は労働者不足に伴うインフレの問題はあるものの、少なくともこの先一年は、それが劇的に大きな問題になるというということはないと見られている。ロシア側にはこの段階で譲歩する可能性は少ないのである。

となると、アメリカ側、つまりトランプ大統領が譲歩するしか、停戦に向けて大きく動き出すことはなかったのである。

そしてトランプは「譲歩」をしたのか

プーチンは、トランプに対する期待感を述べたが、この当時、ロシア側の有識者の間でも厳しい見方が有力だった。ロシアの著名なアメリカ専門家でロシア国立高等経済学院ヨーロッパ・国際関係総合研究センター副所長のドミトリー・スースロフは、トランプがウクライナ紛争を迅速に解決しようとするだろうが、成功はしないしないだろうとした上で、

「トランプ次期政権は、ウクライナの中立的地位とNATO不加盟を提案するかもしれないが、同時にウクライナの軍事的強化、軍事化の進展、NATOからウクライナへの武器供与、欧米の教官によるウクライナへの武器供与、欧米の教官によるウクライナ軍の訓練、NATO諸国とウクライナの軍事協力の強度を制限なしに主張する。つまり、彼らはウクライナの軍事か政策を継続すべきだと主張するだろう。

ロシアはもちろん、そのような条件には断固として同意しない。ロシアにとって、ウクライナの非軍事化と非武装化を達成し、ウクライナが我々にとって脅威とならない状況の実現が極めて重要なのだ。NATOと緊密な安全保障協力を維持するウクライナは、たとえば正式加盟国でなくとも、軍事化されたままでは、われわれにとって脅威であり続ける。ロシアはこのシナリオを拒否するだろう」

と解説。これが当時のロシアの外交・安全保障サークルの支配的な考えだった。トランプに期待するが、それでも彼我の距離は遠い、という見方だ。

しかし、プーチンに近い人物の中には、トランプ政権に対する異なった見方を示すものがいる。ヴァルダイ討論クラブ発展基金研究ディレクターのヒョードル・ルキヤノフは、トランプを頭ごなしに否定するべきではないと指摘した上で、

「トランプは位置づけの変更を主張している。世界支配の代わりに、特定の米国の利益を精力的に守ることになる。(長期的ではなく、今の)明確な利益をもたらすものが優先される。外交政策よりも国内政策が優先されるという信念はトランプ支持者を常に特徴づけてきたものであり、今や共和党全体に広がっている。米国の道徳的・政治的覇権を維持することは、それ自体が目的ではなく道具である。このような優先順位のシステムでは、ウクライナ・プロジェクトは自由主義秩序の信奉者の目に映る運命を失う。ウクライナ・プロジェクトは、より大きなゲームの駒と化すのだ」

と、主張。加えてプーチンが状況次第では戦術的に停戦に応ずる可能性にも言及した。

スースロスは、トランプは所詮アメリカのシステムの中の一人なので限界があるとしているが、ルキヤノフは、そのシステムを壊す人間なのかもしれないと見ているわけである。

最終的にどういう展開になるかは、まだわからない。だがともかく蓋を開けてみたら、アメリカ側が大きく譲歩する可能性を掲げて、アメリカのイニシアティブでロシアとの対話の窓を開けたのである。

ロシア側にしてみると、アメリカとの関係を回復させるということに、今後がかかっている。しかし、その上で最大の障害となるのがウクライナ問題なのである。ロシア側が拘るのは、この問題の根本の原因の解消ということを、このプロセスの中で出来るのか。それも完全な解消になるのか、ある程度の解消なのか、それはまだ見通せない。

ロシアは頑なに「自国の安全保障問題の解決が根底」と主張する。しかし、具体的には、何を導することがその条件を満たすことになるのか。

C記事

ロシアの関心は実は「領土」ではない

2月12日の米ロ首脳電話会談、18日のサウジアラビア・リヤドでの米ロ高官協議、そして喧嘩別れという形に終わった28日のトランプ-ゼレンスキー会談。先行きは全く不透明ながら、ウクライナ問題の着地点を探る交渉が、いきなり動き出している。そこで、もしここで和平をしたときに、二度と戦争にならないためにはどのような条件が必要なのか。

一つは、アメリカがウクライナの安全保障に完全にコミットすることだ。しかし、アメリカは、それをやる気はない。

次善の策としては、ヨーロッパが独自の軍隊を創設してウクライナの安全保障にコミットする。ヨーロッパがこの道を選ぶ可能性はゼロではない。トランプ-ゼレンスキー会談の喧嘩別れを受けて、ヨーロッパは結束の姿勢を取り始めている。時間がかかるだろうが。英仏首脳とも安全保障維持軍について言及をしている。

しかし、これはウクライナ国内に展開させるのか、NATOの境界であるポーランド国境までなのかでも全く異なってくるが、そのことも含めて、ヨーロッパ自身の覚悟が問われることになる。

実はもう一つのシナリオがある。それは、あからさまな言い方とすれば、ウクライナがロシアと喧嘩をしない、つまり親ロ派のウクライナになるということだ。これはウクライナの国内政治の問題もあるので、相当難しいだろう。米ロのウクライナ大統領選挙の実施要求などは、この線に沿ったものだろう。

アメリカはウクライナの安全保障にコミットしない、ヨーロッパも形ばかりのコミットに止まる、ということだとしたら、ウクライナとしたら、もはやロシアと対立することは不可能である。その中で、ウクライナがどのような選択を行うことになるか。ロシアの脅威にならないウクライナになるのであれば、ロシアにとって納得できる線だ。アメリカがコミットしないのであれば、このことはヨーロッパとの関係で決まってくる、というシナリオだ。最終的には、そういうシナリオも視野に入れて、ロシアは考えている。

一方、ロシアにとってみれば、国境を越えてウクライナにヨーロッパ軍が駐留することは、受け入れられない。そこで、軍事協力、兵器供与がどうなるかがポイントになる。

2月中旬に筆者がロシアを訪れた際、ロシア国立高等経済学院ヨーロッパ・国際関係総合研究センター副所長のスースロフなどロシア側の専門家と、どこがロシアにとってレッドラインなのかと話を聞いた。その答えは意外にシンプルなものだった。「長射程のミサイルの供与」なのである。「それでいいのか」と聞き返したぐらいだ。

ウクライナが長射程のミサイルを保有しない、あるいは西側が配備しない、供与しない、という一線が守られるのであれば、あとは交渉次第だ、という回答だった。長距離ミサイルについては、すでに結構な数が供与されているが、もちろんそれはすべて除去することになる。

トランプの関心が続いているうちに

占領地、領土については、ロシアにしてもドネツク、ルハンシク、ザポリージャ、ヘルソン4州の全地域を占領しきることは不可能だとわかっている。だから、4州すべてについては「憲法上は我々の領土」と主張を続けるが実効支配できない領土が残ることになる。

ウクライナも同じく占領された国土の放棄はしない。ロシア、ウクライナのお互いが、そこは現実を受け入れ、武力では主張を通さないという形でまとまるのであれば、それは理想だが、この辺は交渉次第という感触だ。

ともかく、ロシアにとって根底の問題は領土ではない。自分たちにとっての軍事的脅威の除去できるか否かである。ロシアにとって領土はウクライナに対する、ある種のパニッシュメントなのである。ミンスク合意も遵守しなかったし、イスタンブール・コミュニケも途中で席を蹴ったことへのだ。

ただ、ヴァルダイ討論クラブ発展基金研究ディレクターのルキヤノフが言っているのは、「トランプとの交渉というのは難しいのだ。なぜならば、同じイシューに対して10分以上、集中力が続かない。これは第1次政権の時の経験から、我々は学んだ」。

トランプは戦闘を「直ぐやめろ」という。しかし、ロシアからすると問題の根深さを歴史的経緯から説明する必要があるが、これは10分では無理だ。この難しさがある。トランプは当然スピードを求めるし、ロシア側は、出来るだけ自国にとっての安全保障を追及する。

ただしロシア側もこのチャンスは逃したくないと考えている。この点が、今後のスピード感に関わってくる。トランプは2月末には首脳会談といっているが、ロシア側にとってはとてもそんなスピードでは無理で、準備が必要と主張している。2月末という首脳会談の期限は現実には無理だった。5、6月に行われたらいい方ではないだろうか。それであればトランプが公言した半年以内の決着ともなる。

ウクライナ、ヨーロッパは米ロに抵抗できるか

もし、そこで決着がつかなかったら、戦争は継続となる。ロシア側の官僚達が恐れているのはそこである。ともかくトランプが関心を失ったら、そうなってしまう。プーチンもロシア側のスタッフも、この時間的制約が一方で存在しているということは十分に理解している。

米ロで行っている交渉では、アメリカの交渉意欲が続く間に、ロシアがどこで呑むかが焦点となっている。ここにはウクライナにとっての安全保障という観点は入り込む余地がない。これは2月28日のトランプ-ゼレンスキー会談でも露呈した。そして米ロで話を決めたとして、ウクライナやヨーロッパをどこかの段階で、交渉のプロセスに組み込まなければならないが、彼らは、それで納得するのか。

ウクライナについては拒否するのは難しい。アメリカが支援を止めれば、半年は戦争を継続出来るが、それ以上は無理だろう。ヨーロッパに関しては、仮に長射程ミサイル問題が重要なイシューなのだとすると、ドイツには供与する能力がある。

2月23日に行われたドイツの総選挙で、ショルツの社会民主党が敗北し、メルツのキリスト教民主同盟が第一党に、「ドイツのための選択肢」(AfD)が第二党となった。メルツ首班でどういう形かの連立政権が誕生することになるが、対ロ強硬ということで、フランスのマクロン政権、イギリスのスターマー政権と共闘するとなれば、この3国が核となって、ある種のヨーロッパ軍を創設し、アメリカから独立するような動きが出てくる可能性もある。そうなれば米ロが合意したとして、その動きをブロックする要素にはなる。

トランプのウクライナ問題への対処姿勢は、第二次大戦後の世界を支えていた西側世界共同での「国際秩序」維持ではなく、それ以前のバランス・オブ・パワーの世界観と言ってよい。これは良い、悪いの問題ではなく、アメリカに昔日の力も、国民の意思も失せた状態で、トランプが登場した以上、もはや、留めようのない流れなのである。その中で、「国際秩序」やアメリカとの「同盟」に依拠して国を保ってきた日本はどのような選択を迫られるのか。

D記事

日本の2つの対ロシア方針

トランプ主導でウクライナ問題の着地点を探る交渉が動き出した、そしてそれは、バイデン前政権時のものとは、全く方向性が異なるものである。

それでは、日本はどうするのか。

2月中旬に行われた、ミュンヘン安全保障会議で日本の岩屋毅・外務大臣は、ウクライナの安全保障が重要だ、という発言を行った。これはこれまでのウクライナ問題に対する日本政府の方針に沿ったものだ。

しかし、トランプ政権下で米ロ交渉が開始されるという事態の急変を受けて、この立場を、修正するのか、それとも、そのまま続けるのか、我が国も早晩、問われることになる。

現状、ヨーロッパはトランプの方針に反発している。アメリカ国内にも、そんなトランプのやり方に対して、まずいと思っている人たちもいる。もし、彼らがトランプを引き戻せるというのであれば、日本は、これまでの方針を続けることになるだろう。

しかし、トランプを押さえ込めないのであれば、トランプに乗るしかない。その時に、ロシアとの関係をどうするのかという問題が当然、出てくる。

by Gettyimages

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安倍政権の対ロ政策、岸田政権の対ロ政策、実は、いずれも根底にあるのは対中政策である。

安倍政権下の第1次ウクライナ危機の際の方針は、ロシアを孤立させると中国の方に追いやってしまうという判断での、ロシアに積極関与するという政策だった。

一方で、岸田政権の対ロ政策は、ロシアに罰を与えないと、中国が間違ったメッセージとして受け取ることになるというもの。これが台湾問題を念頭に置いた「今日のウクライナは、明日の東アジアかも知れない」という言葉につながっているのである。

安倍政権の対ロ政策はバランス・オブ・パワーを念頭に置いたもの。一方、岸田政権の対ロ政策は、国際秩序や価値を念頭に置いたもので、秩序を守ることが中国を抑制することにつながることになるのだ、という戦略観だ。バイデン政権の対ロシア政策は後者だが、トランプ政権のそれは前者に近い。とすれば、我が国は最終的にどちらかを選ぶという選択を迫られることになる。

プーチンのラブ・コール

2024年10月4日の石破首相の最初の施政方針演説で、「領土問題を解決し、平和条約を締結するべく、引き続き努力する」といった決まり文句が語られたが、その直近に「ロシアへの制裁を強め、ウクライナへの支援を続ける」という優等生的な文言があった。

ところが11月29日の施政方針演説では、なんとその優等生の発言がすっぽり抜けている。

この反応に影響を与えた要因は二つあると思う。一つはトランプの登場だ。そしてもう一つ、いみじくもトランプ当選が確定した11月7日に開催されたヴァルダイ会議での、筆者の質問に対するプーチンの対日発言だ。

「……我々は日本との関係を悪化させてはいない。最近、私たちが日本に対して何か悪いことをしただろうか。私たちは交渉し、平和条約という非常に難しい問題に対する答えを見つけようとしてきた。……すると突然、日本は私たちに対して制裁を課し、ロシアを脅威のリストに加えた。何が脅威なのか?……ワシントンから命令があったからか? まあ、パートナーや同盟国を怒らせることなく、『やあ、みんな、考えておくよ』ということも出来ただろう。何の疑いもなく命令に従わなければならなかったのか? なぜそんなことをしたのか? 私には理解できない。

日本にはまだ頭のいい人たちがいる。特にエネルギー分野では協力を続けてくれるし、私たちの合弁会社から離脱していない。日本が制裁を課しているにもかかわらず、私たちは何もしていない、日本企業は我々と協力してきたし、現在も協力している。

……私たちは、今後5年間、そして今後50年間、日本との関係を築いていく用意がある。日本は隣国であり、私たちにとって自然なパートナーです。私たちの関係の歴史にはさまざまな時期があり、悲劇的なページもありましたが、誇りに思えることもありました。

我々は日本を愛し、日本文化を愛し、日本食を愛している。私たちは何も破壊していない。自分たちで結論を出してください。私たちはここでふざけたり、ごまかしたり、突き返したり、何か責任を押しつけるようなことはしません。準備は出来ています、戻ってきてください、それだけです」

トランプが登場してきた以上、もはや……

プーチンはこうやって日本にもシグナルを送った。

しかし、なぜかわからないが、石破首相の今年1月24日の施政方針演説では、また優等生的な発言の部分が復活している。だから日本政府はまだまだ揺れているといえる。

ただ、このフレーズが、演説に入って、無くなって、また入るという現象は、意味を持っている可能性が高い。

トランプの動きが明確になっている中で、西側の価値観に基づいた国際秩序堅持というこれまでの方針は揺らいでいる。が、しかし、4年後、従来のアメリカの外交エスタブリッシュメントが復権する可能性はまだ否定できない。

石破首相の逡巡は、まだまだ続きそうである。

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