『大物・王岐山の進退、決めるのは習近平か米国か 指導部リスト漏れの特報、米国による海航の謎暴き…思惑は?』(8/30日経ビジネスオンライン 福島香織)について

8/29看中国<港媒:十九大重新斷代 頂層人數有變(圖)=香港メデイア:19回共産党大会では古き時代とは変わってトップ層の人数も変更>。これによれば習近平への権力集中と政治局常務委員の数を5人にすると。人大委員長、政協主席は常務委員にならず、総ての人事は習が決めるとも。

https://www.secretchina.com/news/b5/2017/08/29/833703.html

8/28ZAKZAK 河添恵子氏記事<習政権、朝日新聞見捨てたか 「新チャイナセブン」読売スクープ報道の深層 河添恵子氏が緊急リポート>。記事にありますように朝日は中国からも見限られたとすれば、読者が減って利用価値がなくなったと思われているからでしょう。今後も押紙訴訟でダメージを受け、潰れた方が良いと思っています。ただ、代わりに読売と言うのも。ナベツネの方が使いやすいとの判断でしょうか?でもそんなに長くは生きてはいられないでしょうけど。新聞よりTVの影響力のほうが大きいですが、外国政府の人事に関心を持っている人は少ないので、文字媒体を使うことになります。

http://www.zakzak.co.jp/soc/news/170828/soc1708280007-n1.html

8/31ロイター<アングル:中国の外資系企業、共産党の「内部介入」を懸念>。何時も言っていますように、中国の合弁企業には「董事(取締役)全員一致の原則」があり、少なくとも一人は中国人を董事にしないといけませんので、重大決議事項は中国人の意向を無視しては経営できません。ただ、今までは合弁企業内にも党書記がいても、目立った動きはしていなかったと思います。これも習の強権政治、監視強化の流れの一環でしょう。やがて習は国内の抑圧政治の目をそらすため戦争に打って出るかもしれません。そのためには兵站部隊となる企業が指揮に随う必要があります。国防動員法だけでは実際運用する場合、機敏に動けず、不断から企業を飼いならしておくつもりでしょう。

http://jp.reuters.com/article/china-congress-companies-idJPKCN1BA07R?il=0

共産党の19回大会後の人事がどうなるかは分かりません。常務委員も5人になるのか7人のままか、はたまた習が党主席になり絶対権力を保持し、常務委員会も人代と同じく追認機関になるだけかどうか。10月18日に大会は開かれますので、それまで待つしかありません。福島氏の言うように王岐山がどうなるかは楽しみです。米国も郭文貴や令完成をもっと利用すれば良いのに。ドンドン令完成から得た情報をリークして共産党の統治の問題を明らかにした方が良いでしょう。

記事

大物政治家・王岐山の進退は習近平政権の今後に大きな影響を与える(写真:ロイター/アフロ)

王岐山が久々に公の場に姿を現した。8月24日午前、北京の八宝山で行われた党中央高官の安志文(98歳)の葬儀に参列したのだ。6月22日以降、王岐山の動静は絶えていた。王岐山はこれまで神隠しのように姿を消すことが六度ほどあったが、その直後は必ず大物政治家が失脚した。7月14日に孫政才失脚、その後も姿を消していたので、もう一人くらい失脚するかもしれないとささやかれていた。その一方で、ちょうど読売新聞が世界に先駆けて、次期政治局常務委員リストなるものを入手して、それに王岐山が入っていなかった、という特ダネを報じた。はっきりいって今の時期に、人事がすべて確定しているとは到底思えないのだが、王岐山をめぐる権力闘争が最終段階に入っているもようなので、一度整理しておこうと思う。

習近平は欠席、江沢民は不明

王岐山が久々に姿を現したという安志文の葬式で、もう一つ興味深いことは、習近平が出席していなかったということである。花輪は送っているので、単に忙しかったからかもしれないが、安志文と習仲勲(習近平の父親とは抗日戦争時、西北局綏徳地区での部下と上司、戦友関係)の関係を思えば、当然出席してもおかしくはなかった。王岐山と顔を合わせたくなかったから?などという憶測も飛んだ。

葬儀に出席したのは政治局常務委員会の中では王岐山と兪声正、張徳江、その他の政治局常務委員および胡錦涛、温家宝は花輪を送った。宋平夫妻、李鵬夫妻は「挽聯」(哀悼の聯)を送った。江沢民についての報道はなかった。革命英雄の大告別式であり、参列者は千人以上であったようだ。

8月13日に行われた水稲研究で知られる農学者の朱英国の葬式には王岐山はちょうど“神隠し中”で政治局常務委員七人の中で唯一花輪すら送らず、葬儀報道に名前が出なかった。ちなみにこのとき、江沢民も動静が途絶えていた。江沢民がこうした党中央の高官や学者に花輪すら送らなくなったのは今に始まったことではないが、13日はまだ北戴河会議が行われていたと思われるので、もし江沢民がこの会議に出席しているのなら、当然、他の長老らともに花輪を送るか哀悼の聯ぐらいは送ってもよかっただろう。

王岐山の“神隠し”と江沢民の動静不明が重なって、王岐山がいよいよ、江沢民の政治生命にトドメをさす準備に入っているのではないか、などともささやかれた。

そういうタイミングで日本の読売新聞(8月24日付)が特ダネとして、「中国次期指導部リスト判明、王岐山の名前なし」と報じたので、一部外国メディアも驚いて転電した。読売新聞は複数の関係筋の話として、北戴河会議で作成された次期指導部リストには定年通りに引退するかあるいは残留するかが注目されていた王岐山の名前はなく、習近平、李克強、汪洋、胡春華、韓正、栗戦書、陳敏爾の七人の名前があった、と報じた。いくつかの海外メディア関係者は、この情報について、「薄熙来失脚を最初に報じたのも日本メディア(産経新聞)だったから、日本の報道は無視できない」と注目している。

どこの筋から流れたのか

このリストが信頼できるかどうかは別として、いったいどこの筋から流れた話かは興味深い。習近平は、総書記三期目を実現するために、王岐山という誰もがその優秀さを認めるスーパー実務家を、定年を超えて留任させ、定年制度を打破する先例にしようとしている、というのが一般的な見方だ。これは王岐山が習近平と盟友関係、あるいは政治的に同盟関係にあるという前提がある。これが共青団筋や上海閥筋から流れてきた情報ならば、共青団派は習近平との人事駆け引きに勝利して、実力不足の陳敏爾を政治局常務委員会に入れることを認めるかわりに有能な王岐山を引退させ、定年制の壁を崩そうとする習近平の目論見を防いだ、というふうな解釈になる。

一方、親習近平筋から出てきた話なら、共青団エースの胡春華の対抗馬になりうる陳敏爾を政治局常務委員会入りさせた習近平派の勝利人事だ、という見方になる。陳敏爾が宣伝イデオロギー担当として指導部(政治局常務委員会)入りするというのは、これは従来のルールではありえなかった。陳敏爾のように地方行政トップ経験が三年にも満たない者が、政治局委員も経ず、いきなり政治局常務委員会入りが許されたとするならば、政治局常務委員会の権威が相対的に軽くなる。それを強引に習近平ができたというならば、すでに習近平の独裁基盤は固められつつある、ということになるやもしれない。そして、二度の金融危機を乗り越え、反腐敗キャンペーンでも次々と大物政治家を倒していった実務能力の高い王岐山に対しては、コンプレックスの強い習近平は実は疎んでいた、という説に信憑性が出てくるわけである。

読売新聞は記事中で、リストが固まったものではなく、人事駆け引きの途中経過にすぎないということわりを入れている。が、その数日後に、毎日新聞は陳敏爾の政治局常務委員会入りは「固まった」と断定的に報じた。他のメディア関係者も、確定で打つ、打たないは別にして、陳敏爾については「ほぼ内定」との見方を示すところが多い。話はそれるが、陳敏爾は胡海峰(胡錦涛の息子)が浙江省清華大学長江デルタ研究院党支部書記に就任するとき、かなり便宜を図ったので、胡錦涛は恩義を感じているらしい。陳敏爾が実力に見合わないまま貴州省書記に昇進できたのは、貴州省に依然影響力を持つ胡錦涛の後押しもあったから、とか。とすると、王岐山の進退はともかく、胡春華と陳敏爾ふたりともを政治局常務委員会に入れるのであれば、共青団派にとってはぎりぎり譲歩可能ということになる。

ちなみに今ゴシップメディアに飛び交っている次期指導部リストには、政治局常務委員席が7人から5人に減らされ、王岐山、李克強とも引退するという説から、王岐山が政治局常務委員会に残留し、全人代常務委員長のポストにつきながら首相の李克強を補佐するという説、7人中、習近平、李克強、陳敏爾、胡春華、汪洋、栗戦書を含めた6人までの内定が固まっており、最後の一席を王岐山、韓正、趙楽際が争っている、という説などがある。

いずれにしろ、王岐山の進退が今、山場に入っていることは間違いない。しかも、王岐山が引退すれば、王岐山失脚につながる可能性が全くないとは言えないかもしれない。以前、このコラムでも紹介した闇の政商・郭文貴は、今なお王岐山の腐敗ネタを次から次へとインターネットメディアを通じて拡散中だ。特に海南航空集団(海航、HNA)の株主に王岐山の甥がいて王岐山ファミリーに巨額の富を移転し、王岐山自身が海航からプライベートジェットはじめ多額の賄賂を受け取っているという疑惑は、新華社が完全否定しているにもかかわらずまだくすぶっており、それに加えて王岐山の私生児が海航の大株主だ、という新しいネタも飛び出している。王岐山自身はノーコメントだが、郭文貴の言い分を積極的に流す米国に拠点を置く華字メディア・明鏡ニュースに対して、郭文貴自身のスキャンダルやうさんくささを報道して、その影響力を打ち消そうとしている親王岐山メディアの財新が、代理闘争を請け負っている。

米メディアが「海航の謎暴き」に本腰

ここで、気になるのは米国の動きだ。最近の3年間だけでも450億ドルを海外資産購入に投じた海航に関しては所有権や株主構成、債務水準や資金調達ルートに対する疑惑を米大手メディアが盛んに報じるようになってきた。

8月25日付けニューヨーク・タイムズ(NYT)は、海航集団とパシフィックアメリカンコーポレーション(ボーイングなどにも航空機部品などを提供するサプライヤー企業、PAC在ニューヨーク)の謎めいた関係について、新たな証拠を入手したと報じている。海航は中国最大級の非上場コングロマリットの一つで海外資産の積極買収で知られ、現在、ドイツ銀行の最大株主でもある。その在米本部が置かれているPACとの親密な関係については、いろいろと謎が多かった。海航側は、もともと別の独立した会社で、海航集団参加の海南航空に必要なエンジン部品などを購入するなどの取り引き関係しかなく、PACの株などももっていないとしていた。だがNYTが入手した資料によれば、PACの経営者は海航のCEO陳峰の実の息子と弟であり、香港とケイマン諸島のオフショア企業を通じて、海航とPCAのオーナーシップ関係を隠蔽していたという。これは中国の証券法に違反している可能性がある、という。

PACは陳峰の弟が90年代初頭に米国に移住してきた後に、ほぼ同時期に中国で設立された海南航空のサプライヤー企業として設立。このとき契約書類には、PACは独立採算企業として海南航空から1.5%の手数料を受け取って部品などを代理購入することになっている。やがてPACはボーイングやハネウェルとも契約を結び、海航を物流、不動産、ホテルサービスなどを包括する大航空コングロマリット企業に成長させる一方で、自社も米軍事部門へと食い込もうとしていた。

海航の追及と王岐山の進退はリンク

海航集団が最近明らかにした自社株の所有構造では、52%をニューヨークと海南省に設立された慈善団体が保有し、47.5%を陳峰ら役員個人が所有、残りを海南航空が所有という。慈善団体が株主というのもいかにも怪しげで、この辺を丁寧にあらっていけば、王岐山かどうかは別として、大物政治家ファミリーの名前ぐらいは出てきそうな気配だ。

海航集団の所有構造についてはずっと謎であったが、海航が、ホワイトハウスのスカラムッチ元広報部長が創業したヘッジファンド運営会社の買収を目指していることなどから、その所有構造や資金ルートを明らかにするよう圧力がかけられていた。バンクオブアメリカ・メリルリンチは自社の関連投資部門に海航との取引を全面停止するよう通達を出している。

また、ブルームバーグも25日、海航が銀行以外からも非上場株を担保に指標金利を上回る高利で巨額の融資を受けていることを指摘、投資採算性に疑問の声も、と報じた。

この米国の海航の謎暴きと王岐山の進退は、おそらくリンクしている。今年に入って、飛ぶ鳥を落とす勢いであった海航集団の背後を米国が真剣に洗いはじめたのは、私は郭文貴あたりから提供された情報が元になっているのではないかと疑っている。郭文貴の告発は、王岐山が有名女優とどんな破廉恥なことをしているとか、私生児疑惑だとか、まるで昼のワイドショーネタで、単なる放言と日本のメディアもほとんどとりあっていない。だが、米国にしてみれば、ドイツ銀行やヒルトンホテルを傘下に収め、ボーイングやハネウェルを通じて軍事産業に近づきつつある謎の多い海航の正体をこの際、徹底的に暴きたいところだろう。万が一、その過程で王岐山の政治生命にかかわるようなネタが出てくれば、習近平政権の屋台骨も揺らぐような事態になるかもしれない。

郭文貴の放言の中で、すこしひっかかるのは、一貫して主張している王岐山と習近平の対立説である。盟友あるいは政治的同盟関係とずっと信じられてきた二人の関係が、かなり当初から対立関係にあったとすれば、王岐山を追い落とそうとしているのは、実は習近平という可能性も出てくるわけだ。もちろん習近平と王岐山の間に疑心暗鬼を起こし、二人を分断しようという郭文貴の作戦説もあるのだが、スーパー実務家として高い能力が実証済みの王岐山をずっと傍らに立たせておくことが、コンプレックスの強いらしい習近平に耐えられるか、という気もする。あるいは米国側が海航の背後を洗い出していく過程で、王岐山の腐敗の証拠が出てくる前に王岐山に消えてもらった方が習近平政権にとって安全と考え今、王岐山を切ろうとしているのかもしれない。

「反汚職の反動」に耐えられるか

もっとも王岐山にすれば、権力の座から降りた後の方が危険であろう。なにせ、もう元政治局常務委員が刑事責任を問われないという不文律「刑不上常委」は、周永康の起訴で消失している。権力の座から降りたとたん、王岐山の腐敗が、次の中央規律検査委員会書記によって暴かれる可能性がないとはいえないのだ。ちなみに次の中央規律検査委員会書記の筆頭候補と目されているのは習近平の大番頭こと栗戦書である。

なので、孫政才失脚直後、サウスチャイナ・モーニングポスト(7月19日)に栗戦書の不正蓄財疑惑を報じさせたのは王岐山だ、という噂が流れてしまうのかもしれない。サウスチャイナ・モーニングポストは結局、栗戦書疑惑の記事を事実確認ができないのに報じたと謝罪し取り消し、しかもその一か月後にそれを報じた記者を辞職させた。サウスチャイナ・モーニングポストは、習近平の政商と呼ばれている馬雲(ジャック・マー)率いるアリババが所有するメディアで、そのようなメディアが栗戦書スキャンダル記事を掲載した背景がいろいろと取りざたされた。馬雲の裏切り説もあるが、王岐山黒幕説もまことしやかにささやかれた。

郭文貴の暴露も、習近平と王岐山の権力闘争説もゴシップレベルの話であるが、「海航の謎」については、米国サイドが本気で暴くかもしれない。もし、その過程で、その汚職の確実な証拠が出てきて、王岐山が失脚したら、習近平政権はどうなるだろうか。王岐山によって汚職の罪で失脚させられた官僚政治家たちは一斉に名誉復活を求め、裁判のやり直し騒動が起きるかもしれない。習近平政権が旗印に掲げてきた反汚職キャンペーンの説得力が一気に失われることだろう。そうなったとき、習近平政権の権威は維持できるのか。いや共産党の執政党としての権威自体が維持できるのか。

王岐山の進退は、単なる一官僚政治家の進退以上に大きな影響力を持ち得る可能性がある。

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