5/6JBプレス 藤和彦『パイプラインは日ロの架け橋となるか? 両国にメリットがあるサハリンからの天然ガス輸送』について

日露はルトワックの言うように、反中国と言う面で手を握ることは可能と思います。ロシアは、シベリアに進出して来る中国人を防ぐため、日本企業に進出して貰い、合理的管理の下、産業を発展させ、石油・ガスに依存したGDPの構成比を変えたいと思っているはずです。日本にとって最大の敵国は中国です。GDPの大きさから言っても、ロシアはシリアでの継戦能力を見ても、日本の敵となるのは考えにくいです。しかし、中国も高橋洋一氏によれば「中国GDPは公表数字の1/3」と言っていますから、400兆円くらいしかない計算となりますが。中国の社会主義市場経済は国際ルールに沿ったやり方でないので、バブルの延命策がどの程度持つか分かりません。バブルの間は予算措置して軍事拡張していくでしょう。

「サハリン2」の権益変更問題や日ソ中立条約を破棄したロシアをどこまで信用できるかという問題もあります。これが北方領土問題に繋がっている訳で、日本の国民感情としては、おいそれと経済協力に踏み込めないのは分かります。

http://www.knak.jp/livedoor/oil/sakhalin.htm

パイプラインを日本に敷くことは長期に購入するのが前提となります。メタンハイドレートや核融合等の代替エネルギーの実現をも踏まえるとその方法が正しいのかどうか。LNGで輸入した方が良くはないのかと思います。

5/6プーチンは安倍首相との会談を1時間遅らしたとのこと(5/7日経)。理由が書いていませんでしたのでどう判断したら良いのか分かりませんが、戦略的にそうしたというなら、武蔵でもあるまいし、失礼な話です。国内世論対策の面があるのかも知れませんが。

記事

Cape Soya

宗谷岬から樺太(サハリン)を望む。(出所:Wikimedia Commons

「パイプラインは日ロの架け橋となる可能性を秘めた重要な事業であると考えている」 

 ロシアとのエネルギー協力拡大をテコに日ロ関係の早期改善を願う自民党の議員たちが、3月末に来日した露ガスプロムバンクの最高幹部と会談した。上記発言は日本側の異例のもてなしに感激したロシア側からなされたものである。

 ガスプロムバンクは世界最大の天然ガス生産企業であるガスプロムの子会社であり、ロシア三大銀行の1つである。主な融資先はガス・化学・機械産業などのロシア製造業であり、日本では言えばかつての日本興業銀行のような産業金融の雄である。

日本の国内資源と言ってもよいサハリンの天然ガス

 ロシア側が述べた「パイプライン」とは、ロシアのサハリン州から日本へ天然ガスを供給するパイプラインのことである。

 北海道の稚内から南端まで最短43キロメートルのサハリン島、その約600キロメートルの海岸沿いの浅い海底下に膨大な量の天然ガスが眠っている。津軽・宋谷の2つの海峡を挟んでいるが、ほとんど地続きと言ってよく、東京からの直線距離は沖縄より近い。

国境を考えなければ、日本の国内資源と言っても過言ではないサハリンの天然ガスは、1980年代から日本とロシアの共同事業によって発見された。天然ガスの可採埋蔵量は約2.4兆立法メートル。日本全体の天然ガス消費量の約24年分である。

 サハリン2鉱区の天然ガスは2009年3月からLNG(液化天然ガス)という形で日本をはじめ中国・韓国などにも供給されているが、その他のサハリンの天然ガス資源の大部分は手つかずのままである。

 サハリン1鉱区の事業者は2000年頃、北海道を経由して首都圏を結ぶパイプラインによる輸送を日本政府に要請したが、買い手側の中心である電力業界が難色を示したため実現に至らなかった。

 国際的には天然ガス輸出の9割以上がパイプラインによる輸送であるが、日本の天然ガス輸入は100%がLNGである。液化・海上輸送・気化に多額の費用を要するLNGは長距離の輸送には利用されているものの、パイプラインによる生ガス輸送に比べるとコストが高い。日本から近距離にあるサハリンの天然ガス輸入は、国際的な常識からすればパイプラインによる輸送が適している

日露のエネルギー協力はLNG事業一色

 ガスプロムも最近日本向けパイプラインを提案したことがある。

 2012年5月民主党の前原誠司政調会長(当時)はモスクワ市内でガスプロムのメドヴェージェフ副社長と会談した。その際、ロシア側は日本向けガスパイプラインの敷設を提案した(2012年5月3日付日本経済新聞)。

 日本を含むアジアをガス輸出の有望市場と位置づけるガスプロムの提案に対し、前原氏は「政府・与党として可能性を検討する用意がある」と前向きな発言をした。だが、帰国後「ロシア・ウラジオストクのLNG輸出基地の建設計画が優先する」としてパイプラインについて消極的な態度を示した。

 日本側に袖にされたガスプロムのミレル社長は、翌6月末、サハリンから日本に天然ガスを輸出するためのパイプラインを敷設する構想について「検討課題ではなくなった」とし、「日本への輸出はLNGに専念する」考えを示した(2012年6月30日付日本経済新聞)。その後、状況は変化することなく現在に至っている。

 前原氏が発言を変更した背景には、ウラジオストクのLNG基地建設に丸紅や伊藤忠商事が事業参加していることがあったと考えられる。前述のサハリン2のLNG事業に三菱商事や三井物産が参画しているように、日本の経済界のロシアとのエネルギー協力はこのところLNG事業一色である。

 民間側の取り組みを後押しする立場の経済産業省も「ロシア側からのオファーはLNGのみである」との見解を有している。

ロシアの本音は「対中偏重を見直したい」?

 このような日本側の意向に対して、ロシア側が再びパイプラインに関心を持ち始めた。そこに「中国ファクター」が作用していることは確実である。

 ウクライナ紛争による欧米の経済制裁で窮地に陥ったロシアは中国との関係を強化してきたが、「すきま風」も吹き始めている(4月10日付日本経済新聞)。

 ロシア原油の最大の輸出先は昨年ドイツから中国へと変わった。資金繰りに苦しむロシア最大の石油生産企業であるロスネフチは株式公開による資金調達を検討しているが、中国石油天然ガス集団(CNPC)が株式の約2割を購入する意向を示している。

 このように石油分野で中国のプレゼンスが飛躍的に増大しているが、天然ガスでも同様の事態が生じようとしている。

 2014年5月にプーチン大統領が訪中した際に締結したロシアから中国への天然ガスパイプラインの東ルートに関するフィージビリティスタデイが4月に終了し、いよいよパイプラインの建設が秒読み段階に入った。

 天然ガスの分野でこれまでのところ中国のプレゼンスはないに等しかったが、パイプラインが完成すれば中国はロシア産天然ガスの大輸入国となる。

 ロシアから欧州に輸出されている天然ガス価格が下落している状況下で、タフな交渉相手である中国が2014年段階で決まったとされる価格でガスを購入するとは思えない。

 4月29日に訪中したロシアのラブロフ外相は「6月にプーチン大統領が訪中する」ことを明らかにした。ロシアは再び中国との蜜月関係を誇示するだろうが、ロシアの本音は対中偏重を見直し、日本に接近してバランスを取りたいということではないだろうか。

パイプラインの「相互確証抑制効果」とは

 パイプラインを結ぶと「ロシアに首根っこを押さえられるのでは」との懸念が日本では根強い。しかし、エネルギー専門家の間では「ガスの禁輸は使えない『武器』である」(本村真澄・石油天然ガス・金属鉱物資源機構主席研究員)というのは常識である。

 現在、各種資源間の競争が激化している中で、資源国が天然ガスの供給を一方的に停止すれば、消費国からの信頼を失い、以降天然ガスを一切購入してもらえなくなるからである。

 その証左が、2015年11月に戦闘機をトルコに撃墜されたロシア政府の対応である。ロシアのトルコに対する経済制裁のリストに「天然ガスの輸出停止」という項目はなかった(トルコ・ストリームという新規の天然ガスパイプラインの建設は棚上げになった)。天然ガス輸入の約半分をロシアに依存しているトルコが窮地に陥いることは火を見るより明らかであったにもかかわらず、である。

 エネルギー専門家たちは、むしろパイプラインが敷設されることにより当該地域の安全保障が向上する効果に注目している。冷戦時代の核の「相互確証破壊効果」をもじってパイプラインによる「相互確証抑制効果」と呼ばれているものだ。

 安全保障が向上する理由は、資源国がパイプライン建設という先行投資を着実に回収するために消費国に天然ガスを安定的に供給するという発想が強くなるため、消費国はもちろん資源国も敵対的な行動をすることができなくなるからである(冷戦時代にロシアと西欧間に敷設された天然ガスパイプラインは、ロシアと欧州の間の安全保障を支える基盤となった)。

 しかしLNGでの供給ではこうはいかない。点と点のつながりであるため、「協調」という要素が薄いからである。

 このような学習効果があったからだろう、ロシアへの経済制裁にもかかわらず2015年9月欧州企業はガスプロムとの間で「ノルドストリーム(バルト海を経由してロシア・ドイツ間をつなぐ天然ガスパイプライン)」の拡張に関する契約を締結した。

日露首脳会談で議題に上るか?

 しかし日本では経済制裁以降、ロシアとの経済協力は停滞したままである。

 5月6日のソチでの日ロ首脳会談も、開催までに紆余曲折があったようだ。

4月20日、モスクワのクレムリンで昨年12月に着任した上月駐露日本大使の信任状奉呈式の際に、プーチン大統領は「安倍首相が5月6日にロシア南部ソチを訪問する」との異例の発言を行った。

 これは、4月16日にロシア外務省の報道官が「米国の執拗な勧告を受けた日本は我々との連絡を狭め、二国間の仕事を中断した」と述べたことをロシアの一部メデイアが曲解して、「来月に予定されていた安倍首相のロシア訪問が米国の圧力により中止となった」と報じたことへの対応であろう。安倍首相との対談をなんとしてでも実現したいとするプーチン大統領の意向の表れでもある。

 プーチン大統領との会談に望む安倍首相は「両国の主張で深い溝がある領土問題に固執せず、経済分野や安全保障分野での連携強化など幅広い協力関係を築くことで、領土問題解決に向けた環境整備を図る」(5月2日付毎日新聞)意向である。

 統一直後にドイツに滞在した筆者は、多くのドイツ人が「旧ソ連がドイツ再統一を認めさせた影の功労者はパイプラインである」と述べていたことを今でも鮮明に覚えている。これにならえば、パイプラインの敷設は長期的には日本にとってプラスであろう。

 今回の首脳会談でパイプラインが議題になるかどうかは定かではないが、パイプラインは一度敷設すれば100年保つと言われている。この「国家百年の計」を実現するためには、ノルドストリーム実現に尽力したドイツのシュレーダー首相(当時)が指摘するように、安倍首相とプーチン大統領がトップ同士で合意することが不可欠であることは言うまでもない。

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