『怒る中国、惑う米国、揺れる「南シナ海」情勢 ハーグ裁定“無視”から約1年、改めて中国包囲網の強化を』(5/31日経ビジネスオンライン 福島香織)について

5/30ブロゴス<トランプ政権、初の「航行の自由作戦」 なぜ今実施しなければならなかったのか?>にありますように、「航行の自由作戦」(Freedom Of Navigation OPeration:FONOP)で米国は中国に対し北朝鮮問題とは切り離して、南シナ海を中国の海とは認めない姿勢を示したという事です。オバマの8年間は中国に好きにやらせて来ました。この1点だけでもトランプが大統領になって良かったと思います。オバマ時代の無害通航ではなく、人工島の12海里内を通航したとのことです。

http://blogos.com/article/225974/

福島氏の言うように、トランプが中国に騙されず、中国包囲網形成に戻ってほしいと願っています。今後経済発展が続くと思われるアジアを米国が取り込むか中国が取り込むかの争いになります。北の問題で譲歩を重ねれば、中国は米国の足元を見て侵略を益々進めるでしょう。北は中国の侵略制止の一里塚と思った方が良い。中国は北を利用して様子見しています。

自由を尊重する体制が良いか、共産主義という人権弾圧する体制が良いか選択の問題でしょう。人命を鴻毛の如く考える共産主義体制にシンパシーを感じている人は信用できません。日本社会に左翼・リベラルが跋扈するのは糊口を凌ぐためと、戦前戦中の軍部の独走で抑圧されていた知識人が戦後獲得した地位を保全する利権を手放さないように奮闘努力するためです。中国に行って1年もすれば如何に貧しき人々に厳しい社会かと言うのが分かるはずです。結果の平等を目指す社会システムなのに、格差は米国以上にあります。普通の日本人が左翼・リベラルに親和性を持つというのは、余りに現実を見なさ過ぎです。或は偏向メデイアに騙されているのでしょう。情弱こそが問題です。

6/2宮崎正弘氏ブログ<ことしのシャングリラ対話、米国が熱心。中国は手抜き   重要閣僚出席のワシントンとは対極的。軽量級で応じる北京>の記事の感想として、中国は6ケ国協議と同じく、会議を隠れ蓑にして、自国の軍事力拡大、勢力拡大に利用してきただけでは。米国は容易に騙されてしまうという事でしょう。特に、オバマや民主党は酷かったです。シャングリラ対話自体は2002年に始まりましたので子ブッシュの時代ですが。中国を甘やかして来たツケが今回っているという事です。

http://melma.com/backnumber_45206_6537303/

記事

イタリア G7サミットの後、米軍基地で演説するトランプ大統領。対中政策はぶれずに進むのか(写真:AP/アフロ)

トランプ政権が初めて南シナ海で「航行の自由」作戦を実施した。これに中国は大激怒である。続いてイタリア・タオルミナで開催されたG7サミットで採択された首脳コミュニケで、中国を念頭においた東シナ海・南シナ海の非軍事化を再確認する文言が盛り込まれた。

南シナ海の領有権をめぐる問題では、2016年7月、ハーグ国際仲裁裁判所で中国が全面的に敗北した裁定が出たものの、中国はこれを完全に無視。親中派のフィリピンのドゥテルテ大統領の登場やトランプ政権の北朝鮮問題解決優先姿勢もあって、中国が国際法を無視していることに対しては、国際社会としてさして大きな圧力をかけることはなかった。だが、5月になって、少し情勢が変わってきた。今回のコラムでは、ハーグ裁定から約1年近く経った南シナ海をめぐる国際情勢の変化について、整理しておこうと思う。

中国を念頭に「非軍事化」を要求

G7の首脳コミュニケでは「我々は、海洋法に関する国際連合条約(UNCLOS)に反映されたものを含む国際法の諸原則に基づく、ルールを基礎とした海洋における秩序を維持すること、並びに仲裁を含む外交的及び法的手段を通じた海洋に関する紛争の平和的解決に対するコミットメントを再確認する。我々は、東シナ海及び南シナ海における状況を引き続き懸念し、緊張を高め得るあらゆる一方的な行動に対し強く反対する。我々は、全ての当事者に対し、係争のある地形の非軍事化を追求するよう要求する」との文言が盛り込まれた。中国の名前は入っていないが、中国が念頭にあるのは間違いない。シリア問題や北朝鮮問題、ウクライナ問題に対する部分と比べるとあっさりした表現だが、中国が怒りだすには十分な内容だったとみえる。

これに対し中国外国部報道官は定例会見でこうコメントした。

「G7サミットで、国際法の名義を騙って、東シナ海および南シナ海問題に対し、あれこれあらさがしすることに強烈な不満を示す。中国側の東シナ海、南シナ海問題における立場は明確で一貫している。中国側は終始、当事国と直接対話・交渉を通じて妥当なコントロール管理を行い、関連する争議の解決に尽力している。各領域での協力を推進し、東シナ海と南シナ海の平和安定を維持し、航行と飛行の自由及び海上航行の安全を維持することに尽力している。  G7および域外国家には情勢をはっきり認識してもらい、関連の争議問題において何ら立場を持たないようにし、該当地域当事国が争いをコントロールしようとする努力を尊重し、無責任な言論を発表することをやめていただき、該当地域の平和安定のために建設的な影響を発揮するよう希望する」

部外者はだまっとけ、と言わんばかりの横柄な批判をぶつけてきた。

解放軍パイロットは「安全である」

その直前の5月24日、南シナ海上空の国際空域で飛行中の米海軍P3偵察機に中国海軍J-10戦闘機2機が180メートルまでに接近し、複数回にわたり米偵察機の飛行能力を制限してきた。これに対し、米国防総省が「危険でプロらしくない行為」と控えめに懸念を表明。だがこれに、中国外交部はかみついた。

「米国側の言い分は事実と違う。米軍の偵察機が香港の東南空域で偵察活動を行っていたので、中国軍機は法に従って、米国機の識別査証を行っただけだ。プロの操作であり安全である」

中国の領土である香港近くを偵察に来やがったから、当然の権利として識別査証を行っただけ、という開き直りである。解放軍パイロットは優秀だから、この程度の異常接近は技術的に問題ない、というのは、2001年4月に米軍偵察機に異常接近した末、接触事故を起こしたころより、解放軍パイロットの技術は向上している、といいたいのだろうか。

さらにほぼ時を同じくして25日、トランプ政権としては初めての米海軍の「航行の自由」作戦を実施した。中国が兵器格納庫を建設しているというミスチーフ礁12カイリ海域に、駆逐艦デューイが航行。5月初めのCNN報道によれば、米海軍からの「航行の自由」作戦実施の要請をトランプ政権は却下したことがあり、北朝鮮問題で中国の協力を要請したいトランプ政権は南シナ海問題において、中国に配慮していると思われていた。米海軍からの「航行の自由」作戦実施要請をトランプ政権が拒否したのは三度、という報道もある。

おそらく、こうした中国への配慮のし過ぎに対し、軍部はもちろん共和党内からも民主党内からも批判が出始めたので、トランプ政権もしぶしぶ「航行の自由」作戦にGOサインを出したのではないか。

中国は「争うことのない主権を保持」

だが、中国側はこれにも、激しくかみついた。外交部報道官は、「米軍が中国の許可なく勝手に海域を航行した」として、こう発言した。

「我々は米国がすぐさま過ちを正し、中国の主権と安全の利益を損なう挑発的行為をやめ、地域の平和と安定と中米協力の大局に悪影響を与えないように、強烈に促す。…目下、中国とASEAN諸国は共同の努力のもと、南シナ海情勢を鎮静化させるとともに、絶えず積極的に状況を発展させている。米国側のこのような行動は、南シナ海をめぐる対話協議のプロセスに深刻な妨害を与え、誰の得にもならない」

国防部報道官もこう牽制した。

「中国は、南沙諸島および近海に対し、争う余地のない主権を保持している。米軍がこのように武力を誇示して、地域の軍事化を推進し、海域空域において予想外の事件を引き起こしかねない行動をとるならば、中国軍は、断固として反対を表明する。米国サイドには厳正な交渉をすでに提出している。  …米国側の誤った行動は、南シナ海の好転していた局面を破壊し、南シナ海の平和と安定に不利益をもたらすだろう。中米両軍の軍事関係は重要な発展時期を迎えている。健全で安定的な中米ウィンウィン関係のために、我々は双方の共同的努力が必要だ。…米軍が誤った行動を行うことは、中国軍にさらに建設能力を高めさせ、国家主権と安全の防衛を強固にさせるだけである」

中国海軍はミサイル護衛艦二隻によって、デューイ号に対し識別査証を行い、現場海域から離脱するよう警告したという。

全体的な流れをみると、南シナ海問題は確実に中国の有利に動いていた。まず、フィリピンのドゥテルテ大統領は、「信頼できるのはロシアと中国だけ」と発言し、米国と距離をおき、中ロから武器購入するなど、軍事同盟の軸足を変えようというそぶりまで見せていた。4月から5月にかけてマニラで行われた、フィリピンが議長国となったASEAN首脳会議では中国批判は完全に封印した。

ドゥテルテはその後、フィリピンの南シナ海の島々の資源採掘を行うとその領有権を習近平に対して主張したところ、「戦争になる」と脅されたことを明らかにした。ドゥテルテの姿勢は一貫していて「戦争は絶対しない」だ。つまり、戦争を盾に脅された時点で、主張を引っ込めたということだろう。

そもそも3月の段階で、中国に武力で実効支配を奪われたスカボロー礁に中国が建造物(環境モニタリング基地?)を造ることは止められない、中国に宣戦布告でもしろというのか、と発言しており、国際社会ではこれをフィリピンの事実上の敗北宣言と見ていた。フィリピン世論には、ドゥテルテの対中弱腰を批判する声もあるのだが、それに阿るように強気の発言をしたとたん、中国から恫喝されて、前言を撤回するということを何度か繰り返している。

トランプは、容易に路線変更するタイプ

中国はスカボロー礁の実効支配については、すでに米国に干渉の余地を与えないレベルにまで固めていたのだから、「航行の自由」作戦やG7も、もう少し忍耐をもって対応してもよかっただろう。だが、中国サイドの反応は、かなり焦った感じで、激しい反論をしてきた。なぜだろうか。

一つには、中国側がトランプ政権の対中政策が再び転換するかもしれない、と見ているからかもしれない。環球時報の解説をみるに、5月下旬の米国の動きは、米国内部のタカ派の圧力によって、トランプ政権のこれまでの「北朝鮮問題で米中が協力していくために、南シナ海の問題は妥協していく」という対中路線を変更せざるを得なくなっている、という分析が党内にあるようだ。もし、トランプ政権がこの圧力に対して抵抗するだけの意思があるなら、中国としてもトランプのメンツを立てるという意味で、忍耐を示したかもしれないが、中国側は、トランプが容易に路線変更するタイプだと見定めているようである。

国防大学戦略研究所の元所長の楊毅(海軍少将)は、こう説明している。

「ペンタゴン、国務総省、財務省、商務省など米国各省庁がそれぞれ別の方向を向いている。南シナ海を緊張させればペンタゴンは予算を多く取れるが、財務、商務は中国との衝突を願わない。問題はトランプが誰の意見に耳をかたむけるか、だ。…米国がシビリアンコントロールの国である一方で、軍部がホワイトハウスに無理な決断を迫る芝居を何度も上演している」

あるいは、トランプが「航行の自由」作戦をしないと信じていたのに、裏切られたという思いがあり、激しい反応が出たのかもしれない。つまり、米中の間で、南シナ海については当面は双方、表立った挑発行為はしない、中国は北朝鮮問題について真剣に制裁に参加する代わりに、南シナ海問題は保留される、という水面下の合意があったのではないか。中国側からすれば、それを米国から突然反故にしてきた、というならば、その条件反射的怒りもよくわかる。

しかしながら、もしトランプが中国との水面下の合意や、暗黙の了解を裏切って対中強硬路線に切り替えるのだとしたら、これは日本など、同盟国の立場から言わせてもらえば、ようやく正しい東アジア政策の軌道に戻る、とほっとさせられる。

4月上旬の米中首脳会議以降、トランプの対中政策は明らかにまともではなかった。北朝鮮問題解決のために中国側の協力を得ようと、トランプは習近平に譲歩を重ねてきたが、経済問題はともかく、南シナ海における譲歩は米国の安全保障問題の基礎を揺るがしかねない話だ。

その一方で、中国が米国と協力して武力で北朝鮮を叩くということも、普通なら考えにくい。明らかに、トランプに対しての中国の”協力約束”は口先だけの、秋の党大会までの時間稼ぎである。しかも、韓国に文在寅政権という親北親中政権ができたとなると、ますます中国が北朝鮮に対し武力を背景にした圧力を行使するのは得策ではない。いずれこの協力体制は破たんする。

ASEANを巻き込んだ中国包囲網の復活を

ならば、中国に南シナ海の実効支配強化と軍事拠点化の猶予を与えるだけの”米中協力関係”はさっさと見切る方がよかろう。香港の一部のメディアは、南シナ海で中国に圧力を少しかけて見せて、緩みかけている中国の北朝鮮制裁のねじを巻き上げるつもりである、という見方も報じていたが、それよりは、これまでの対東アジア政策が過ちであったことに気づいたトランプ政権がようやく修正しはじめたのだ、と期待したい。

米国が中国に南シナ海問題で配慮を示すようになると中国の脅威に直接脅かされている東南アジアの近隣国は、本音を偽りながらも中国に恭順的な姿勢をとらざるを得ない。その中国と東南アジア諸国との”柵封体制”が完成してしまえば、南シナ海から米軍のプレゼンスは排除され、米国のアジア政策は大きく後退する。それは北朝鮮の核兵器保有よりも、米国の安全を脅かす事態ではないだろうか。

もう一度、ASEANを巻き込んだ中国包囲網の復活を、日本の安全保障のためにも、願う。だが、トランプの本音がどこにあるのかは、中国当局ですら予測できないのだから、私の期待も裏切られるかもしれない。もっとも、そうなる前にトランプ自身が弾劾される可能性もそれなりに高いのだが。

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