『中国人民と香港市民が互いに分かり合うのは不可能である』(7/16ダイヤモンドオンライン 加藤嘉一)、『中国経済が明らかに「成長の限界」を迎えているといえる理由』(7/16ダイヤモンドオンライン 真壁昭夫)について

7/16希望之声<3250亿关税危机未解!川普警告:只要他想 仍可征税=3250億の関税危機は未解決! トランプは警告:彼が思えばいつでも関税賦課できる>WH経済顧問のラリー・クドローは7/15(月)、北京にできるだけ早く米国の農産物の購入を開始するよう呼びかけ、翌日、トランプが再び3250億の関税の話を持ち出した。業界は、米中間貿易の緊張が高まったと考えている。

トランプの関税の話の後、米国株は火曜日の記録的な高値から急激に下落した、原稿の締め切りまでで、ダウは0.08%下がり、S&Pは0.36%下がり、ナスダックは0.47%下がった。

株価と7月末FRBの金利下げとを睨みながら関税賦課するのでは。

https://www.soundofhope.org/gb/2019/07/16/n3036068.html

7/16希望之声<被指勾结中共军方 谷歌或因“叛国罪”被调查=中共軍と結託していると指摘される Googleは「反逆罪」で捜査中かも>Paypalの共同創始者でFacebookの取締役であるPeter Thielは最近、「Googleは中共軍と協力して人工知能プロジェクトを開発している」と述べた。このため、FBIとCIAは、中共が既に浸透しているのかどうか、彼らが「反逆罪」を犯したのかどうかを調査している。

グーグルだけでなくフェイスブックも調査対象にしたら。下のトランプのツイッターに出て来るカリフォルニア選出のファインスタインも。左翼とグローバリストは悪い奴が多い。

Peter Thiel

https://www.soundofhope.org/gb/2019/07/16/n3035903.html

7/16阿波羅新聞網<中共重申制裁美国惨踢铁板 反使自身衔接困难甚至停摆 川普反奥巴马之道 造福两岸=中共の更なる米国への制裁は鉄板を蹴ったように惨めになる 自分自身に跳ね返り、連携するのは困難で甚だしきは閉鎖 トランプは反オバマの道を歩む 両岸に福を為す>中共は7/15(月)、台湾へ武器売却した米国企業を制裁し、「彼らと協力して取引を行う」ことはしないと公式に発表した。 米上院外交委員会委員長は「これは愚かな動きだ」と批判した。米メディアは、ゼネラルダイナミクスなど4社がいわゆる中共の制裁の最初の目標になるだろうと述べたが、北京からの制裁は米国の防衛産業の武器ビジネスに影響を及ぼさない。また必然的に中国の都市開発と建設における「協力の難しさ」や「閉鎖」を招くことになる。 米国の専門家は、「オバマ政権の8年間の間、米国は台湾への大規模な武器売却を承認しなかった。トランプは今後台湾に武器を売却し、台湾海峡での戦争を防ぎ、実際に台湾海峡の両岸の人々に利益をもたらす」と述べた。

https://www.aboluowang.com/2019/0716/1316259.html

7/17阿波羅新聞網<凶兆?韩国瑜胜初选“风水池”龙鱼竟跳池亡=不吉な兆候? 韓国瑜は予備選に勝利 アロワナは「風水池」からなんと飛び出し死んだ>天下でこんなうまいことがあるのか! 国民党は予備選の結果が発表されたばかりで、2020年の総統選挙では高雄市長の韓国瑜が選出され、韓国瑜のフアンにとって「当選の声」が絶えず聴けるとは思わなかったが、国民党の建物の地下1階後方にある「風水池」に入っていた9匹のアロワナの内、1匹が飛び出して死んで8匹になった。韓国“瑜”と“魚”は“yu2”で同音。 このためネチズンは議論百出、どんな不吉な兆候なのか予測するのは難しい?

「霊感を持った魚だ。君の犠牲は価値がある」という意見も。

https://www.aboluowang.com/2019/0717/1316435.html

加藤氏の記事では、香港と中国本土では価値観や考え方が違い、理解不能という事です。当たり前で、香港人は共産主義が嫌いで逃げて来た人やその子孫で、植民地であっても英国統治の方が良かったと考えているからです。三権分立や普通選挙等日本人は当り前に思っていますが、それを失うことが如何に大きなダメージになるかという事です。香港は中共に日本並の自由と民主主義を要求し続け、どこかで臨界を迎える気がします。そこが中共崩壊の第一歩になるのでは。

前にも書きましたが2005年7月にカシュガルに泊った時、部屋の鍵が閉まらず、ホテルが放置しようとしたので、クレームをつけ、「北京に帰ったら旅行社に文句を言う」と言ったら、ホテル側が慌ててその地域の党書記(女性)と通訳(ウイグル人女性・若くて美人)が来て、「部屋をグレードアップし、お土産も渡すから、北京には言わないで」と懇願、こちらは怒っていたので「部屋は変えなくて良い。北京に帰ってから文句は言う」と言うと通訳が「こんな偉い人があんたたちの為に話してくれているのだから有難く言うことを聞きなさい」と命令調。これを聞いた家内が今度は烈火の如く怒ったという事件がありました。共産党に洗脳されるこうなるという典型です。自由を知っている人間が、自由を知らない人間と一緒の価値観になることはありません。

真壁氏の記事では、韓国評論より中国評論の方がまともに見えます。まあ、韓国も徴用工問題の仲裁委員会第三国選定のデッドラインは18日ですが動く気配はありませんから、制裁の応酬となります。日本の次の一手は何か期待したいところです。真綿で首を絞めずに一気に奈落の底に落とした方が良いいのでは。消費税で財務省に貸しがあるので、財務省・金融庁に命令して日本の銀行に韓国銀行のLC発行の保証を止めさすようにすれば良いでしょう。頭の悪い民族だから体で気付かせないと。

中国の灰色の犀はいつ爆発するのか。香港が引き金になれば嬉しい。

加藤記事

香港では今も街の至るところで6月12日の発砲事件を独立的に調査することを求めたり、逃亡犯条例の改正に反対する横断幕が掲げられている。上の写真は香港島西環 Photo by Yoshikazu Kato

 7月7日午後3時16分。筆者は中国本土からの出張帰りで、高速鉄道「香港西九龍」(Hong Kong West Kowloon)駅に到着した。いつものように、まずは中国本土側から出国し、国境線を越え、続けて香港側へと入国した。

 鉄道のチケットを持って改札口を抜けると、駅の係員や警察など多くの関係者が駅構内を埋め尽くしていた。不審者と思われる中年の男性が、駅の片隅で男性警察官5人くらいに取り囲まれていた。複数ある出口は封鎖され、K口からしか駅を出ることができないという標識が、至るところに掲げられていた。

「今日の午後、これからデモ(中国語で「遊行」)があるからこのような措置を取っているのですね?」

 普通語(マンダリン)で女性の駅係員にそう問うと、特に何かを隠そうとか、ちゅうちょするとかいう様相も見せずに、「そうです」という答えが返ってきた。「ご迷惑をおかけして申し訳ございません」という態度がこちらに伝わってきたのが印象深かった。

西九龍駅で見られた香港が試みる情報戦

 香港情勢は予断を許さない状況が続いている。中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正をめぐって、毎週末、大規模な抗議デモが発生してきた(参照記事:香港デモ現場ルポ、習近平が「香港200万人抗議」を恐れる理由)。香港の中国返還記念日である7月1日には、一部抗議者が議会に突入し、占拠するという事態にまで発展した。香港政府、そしてその背後に君臨する中国中央政府は、それらを香港の法治主義を脅かす「暴動」として厳しく非難した。

 この日の午後は、香港で有数の観光スポットである尖沙咀から西九龍駅にかけてデモ行進が予定されていた。いずれも香港島から海を挟んだ中国大陸側に位置する。デモ主催者や参加者は、中国本土からの観光客でにぎわう尖沙咀、中国本土から観光客を乗せてくる終点である西九龍駅で、広東語ではなく普通語、繁体字ではなく簡体字(筆者注:香港では繁体字が、中国本土では簡体字が使用されている)を使用することで、中国人に対して香港人の欲求や主張を伝えようとしていた。

 この期間、デモの主催者や参加者が香港政府に対して求めてきたことは明確で、(1)「逃亡犯条例」改正案の完全撤回、(2)林鄭月娥(キャリーラム)行政長官の辞任、(3)“発砲”責任の独立的究明と公開である。

「この3つの要求が満たされない限り、抗議デモ・集会が延々と続いていくのは必至だ」(香港NOWテレビ、陳偉利記者)という。そして、林鄭月娥率いる香港政府がこれらの要求に応えるか否かに関していえば、相当程度は中央政府の意向や指示に左右される。だからこそ、中国人観光客の目に焼き付けることで、中国本土でネットや口コミを通じて香港人の欲求や主張が知れ渡るようにもくろんだのであろう(筆者注:2018年、中国本土から香港を訪れた観光客の数は初めてのべ5000万人を突破した)。中国人からの理解や同情心を買うことで、少しでも中央政府が香港社会に対して宥和的な措置を取るための世論を形成しようとしたのだろう。

香港市民・社会が抱く習近平政権への不信感

 この動向は、「外圧」を1つの軸とする本連載「中国民主化研究」にとっても極めて重要な意味を持つ。香港で起こっていること、しかも中国本土の体制、イデオロギー、政権、政策などと直接関係のある問題や現象が、いかにして中国共産党の政治、そして政治改革に影響を与えるか――。

Photo by Y.K.

 本件に関していえば、2014年の「雨傘革命」以来最大規模の「反送中」デモが継続的に発生している。民衆が抗議する直接的対象は香港政府とそれを率いる林鄭月娥であるが、抗議の根っこにある動機は疑いなく香港市民・社会の「社会主義中国」、「共産党一党支配下にある中国」、そして現在そんな中国を率いる習近平政権への不信感である。近年、習近平総書記は「党がすべてを領導する」という掛け声の下、市民社会、言論、教育、市場などあらゆる分野での政治的引き締めを強化し、“習近平思想”を掲げて個人崇拝を横行させている。国家主席の任期まで撤廃してしまった。

 これらの現象や動向を、香港市民は「明日は我が身」という思いで見つめてきた。実際に、中国共産党が嫌がる書籍を売っていた銅鑼湾の書店店長が“失踪”したり、香港の書店が次々に中国本土の支配下に入っていくなかで、中国共産党に批判的な書籍が出版されなくなるなど、近年、習近平政治の抑圧と拡張は香港の市民社会にまで浸透するようになっている。香港市民はそれらが、香港が制度的に、価値観として守ってきた司法の独立や言論の自由を侵食してしまうのではないかと懸念しているのである。

中国人民が身につけているお上に対する「対策」

 筆者が西九龍駅に到着した頃、デモ隊は尖沙咀を出発したばかりであり、視界に捉えることはなかった。駅の係員やこの日のために配置されたボランティア要員が道案内をしたり、乗客を誘導したりしていた。筆者の周りにいたほとんどが中国本土からの乗客であった。初めて香港に来た人も、リピーターの人も含まれていただろう。

 筆者の中で不可解で、衝撃的にすら映ったのは、これらの乗客が目の前に起こっている情景、そしてそれがなぜ起こっているのかに関して全く関心を示していなかった点である。

 終始筆者の周辺を歩いていた2人組の若い女性は、スーツケースを引きながらホテルの場所やどこに買い物に行くのかなどをスマートフォンで確認しながら笑顔で話していた。子ども連れの中年夫婦も同様であった。交通規制が行われているという事実を察した乗客も、特に気にする様子はなく、その背後にある事情など全く無関心という感じであった。

 中国国内では往々にして政治的な理由で交通規制が行われるが、人民は政府に対して説明責任や政策の透明性を求めたりはしない。そんなものを求めても無駄であり、意味がない。下手に説明を求めるのは自らの立場を悪くするリスクもあるから費用対効果が悪い。それなら無関心でただ従うほうが得策。それが、絶対多数の中国人民の「お上」の政策に対する“対策”である。

 駅内の通路を中国人民らと歩きながら、筆者はそんなことを考えていた。そもそも、中国本土では7月1日の「暴動」への非難を含め、官製メディアが政府機関の声明を垂れ流しする以外に、一切の情報が封鎖されている。絶対多数の中国人民は香港で起こっていること、それがなぜ起こっているのか、香港市民は何に憤り、何に不満を感じているのかを知らない。

香港を侮辱的、敵対的に眺める中国本土

 知る術もなければ、知る意思もない。

 筆者が香港大学で学ぶ中国人留学生や、中国本土で暮らす知識人、学生、その両親らと話をした限りでは、彼らはほぼ例外なく香港人の言動に批判的である。

「香港人は愛国的ではない」

「また意味もない暴動を起こして、中国政府に迷惑をかけている」

「香港人は物価高や格差拡大など、自らの社会の問題が原因でたまった不満を抗議デモという形で発散させている。幼稚である」

 こういったコメントが代表的である。そこからは、習近平総書記率いる共産党政権の体制や政策が根本的な引き金となって香港情勢が混乱していること、香港市民が真に警戒しているのは中国本土の体制、政治、イデオロギーであることへの考慮や、香港市民が将来を不安視していることへの同情心、その原因を中国本土が引き起こしている現状への罪悪感などはみじんも持っていないようだ。むしろ、中国人民の多くはこれまで以上に香港社会や市民を侮辱的、敵対的に眺めるようになっている。

 これらの状況を見る限り、香港で持続的に発生している“反中”デモが、中国の政治体制を開放的、包容的、民主的に促す兆候は全く見いだせない。それどころか、行政長官の普通選挙を含めた民主化を香港社会・市民が求めれば求めるほど、中国人民は香港を侮辱、敵対視し、そんな人民に“支持”された、党員が9000万人を超える中国共産党は、ますます専制的で抑圧的な政治を展開するようになるという「負の連鎖」が現実のようである。

 通常業務を超えて国際問題に関心を持ち、自らのチャネルを通じて、通常中国本土ではブロックされる情報にもアクセスしている中国人民解放軍女性幹部は、昨今の香港情勢をめぐる所感を筆者に次のように語った。

「香港と中国本土の間の情報・認識ギャップはますます拡大するばかりで、両者が相互に、正常に交流する土壌は皆無に近い。相互理解も不可能だ」

真壁記事

中国経済の先行き不安が高まっている…(写真はイメージです) Photo:PIXTA

中国経済の先行き不安が高まる

 足元で、中国の経済が「成長の限界」を迎えている。2018年のGDP成長率は28年ぶりの低水準に落ち込んだ。同年の新車販売台数も28年ぶりに前年を下回った。これまで高い経済成長を実現してきた中国経済は「曲がり角」に差し掛かりつつあるようだ。

 リーマンショック後、中国は主に投資によって景気を支えてきた。

 その結果、大規模な公共事業が続き、経済全体の成長率を高めるような案件はかなり少なくなっているようだ。一方で中国企業が抱える借り入れは着実に増えている。BIS(国際決済銀行)のデータによると、2018年末、中国の非金融民間部門の債務残高はGDP比204%だった。これは、バブルの絶頂期の1989年末、同じ基準で見たわが国の債務残高の水準とほぼ同じだ。

 今後、成長率の低下などで不良債権が増加し、金融システム不安につながることも懸念される。中国の「債務リスク」は、世界経済にとって無視できないリスク要因といえるだろう。

 本来であれば、中国は生産性の低い在来型の産業から、より効率的に付加価値を生み出すAI(人工知能)やIoTなどの先端分野へと、産業構造を変えることが必要になるはずだ。しかし足元では共産党内の保守派の勢力が増しており、改革を進めるのは容易でないようだ。“灰色のサイ(債務リスク)”は一段と大きな問題になるだろう。

 それに加え、米中摩擦の激化から、サプライチェーンがかつてのように機能していない。米中摩擦は「覇権国争い」であり、短期間で終息することは考え難い。

 中国経済の先行き不安は高まるだろう。

中国を圧迫する債務膨張と生産年齢人口の減少

 中国は経済成長率を高めることが難しくなっている。その状況を端的に言い表せば、「成長の限界」だ。

 まず、債務問題が深刻化している。できるだけ早めに不良債権処理を進めない限り、わが国が経験したような大きな“痛み”を伴う対応は不可避だろう。

 投資を中心に経済を運営する中国の発想は限界も迎えている。

 昨年、30以上の都市で地下鉄開発が行われた。その多くで収支のバランスが取れていない。中国ではインフラ投資を行ったとしても、利払いなどのコストを上回る付加価値を獲得することが困難になっている。また中小の銀行では、資金の乱用などから財務内容が急速に悪化している。政府は中小銀行向けに流動性を供給し、何とか金融システムの安定を維持しているのが実情だ。

 次に、人口動態面からも成長が難しくなっている。1970年代後半、鄧小平が進めた“改革・開放”により、農村部の豊富かつ安価な労働力が都市部に移動し、工業化の進展を支えた。中国が“世界の工場”としての地位を確立したのは、人口の増加が経済成長を支えるという“人口ボーナス”を使うことができたからだ。

 しかし、2012年に中国の生産年齢人口(一般的には15~64歳、中国の定義では15~59歳)は減少に転じた。

 これは、中国経済が人口の増加に支えられて高成長を謳歌(おうか)した時代が終焉(しゅうえん)を迎え、生産年齢人口の減少とともに労働コストの増加に直面しつつあることを意味していた。2016年1月、中国政府は“一人っ子政策”を撤廃したが、36年間も続いた人口抑制策が人々の生き方に与えた影響は甚大だ。少子高齢化が続く中で、経済の支え手である生産年齢人口の減少は避けられないだろう。

 生産年齢人口の減少を反映し、中国では人件費の上昇が顕著だ。中国が繊維など軽工業を中心に、“世界の工場”としての産業競争力を維持することは限界を迎えた。その上、米中摩擦を理由に世界の企業が“脱・中国”の取り組みを進めている。世界経済における中国の地位は低下している。

必要な構造改革の推進は困難

 経済の成長が限界を迎えた中で金融の緩和や財政支出を増やしたとしても、経済の効率性は高まらない。それは、1990年代初頭にバブルが崩壊した後のわが国を振り返るとよくわかる。1997年度までわが国の政府はすでに整備が一巡した上に公共事業を積み増し、雇用の保護を重視した。この間、社会心理の悪化への配慮から改革は遅れ、不良債権は雪だるま式に増えてしまった。

 ここから得られる教訓は、経済が低迷し金融・財政政策の効果が見込めなくなった状況では、構造改革が必要だということだ。

 中国は、バブル崩壊後の日本経済をよく研究している。ただ、実際に中国政府が構造改革を進め、鉄鋼分野などの過剰生産能力を淘汰(とうた)し、不動産バブルの鎮静化などを図りつつ債務の圧縮を進めることは難しい。

 改革を進めれば、中国の雇用環境は一時的に悪化する。

 それは、民衆の憤怒を増大させ、共産党による一党独裁体制の不安定化につながるだろう。今春の全人代などでは習国家主席に対する不満や批判が増えた。習氏が悠久の独裁体制を整備していくためには、どうしても目先の不満に配慮せざるを得ない。

 5月初め、中国は米国と5ヵ月間にわたって協議を重ねてきた150ページに上る合意文書案を、一方的に105ページに修正して圧縮し、米国に送り付けた。習氏は共産党保守派に配慮して、米国への譲歩を取り下げなければならないほどの状況に直面していたのである。

 保守派が求めていることは、“国家資本主義(党主導による経済運営)”の強化だ。国有企業を中心に業績が悪化する中、地方の共産党幹部は企業への補助金支給を通して自らの権力を維持しつつ、地元の経済を支えたい。米国の求めに応じて、中国が補助金政策を手放すことはないだろう。

 中国が目先の景気を支えるために、補助金政策は重要だ。補助金政策の強化は、収益性が低下している“ゾンビ企業”の延命措置でもある。結果的に中国の債務問題は深刻化に向かい、改革を目指すことはさらに難しくなるだろう。

中・長期的には中国経済の先行きに不安

 このように考えると、中国は米国から第4弾の制裁関税を適用されることは、何としても避けなければならなかった。もし、第4弾の制裁関税が適用されていたなら中国経済は急速に減速し、債務懸念が追加的に高まった可能性は否定できない。

 6月29日の米中首脳会談で、中国が米国からの大豆輸入拡大など譲歩を示し、ファーウェイへの制裁緩和と追加関税の回避を実現できたことは非常に大きい。首脳会談を挟んで通商摩擦が“停戦”できたことは中国経済にとって大きなサポートだ。

 同時に、米中の摩擦は“覇権国争い”という長期の変化でもある。

 米民主党内には共和党以上に対中強硬派がいる。安全保障を理由に米国は対中強硬姿勢を強める可能性がある。停戦協定が結ばれたからといって通商摩擦が片付いたとはいえない。摩擦が再激化するとともに企業のサプライチェーン再編成は加速し、生産拠点としての中国の存在感が低下する展開も考えられる。中国がこれまでの産業基盤を基にして成長を目指すことは難しい。

 理論的に考えると、中国には産業の変革が必要だ。

 カギは、中国企業家の“アニマルスピリット”を発揮することだ。ファーウェイの独自OS「ホンメン」実用化に向けた取り組みには、他国には見られないスピードと勢いがある。政府が市場原理を導入しつつ、ヒト・モノ・カネがAIなど成長期待の高い分野に再配分されやすい状況を整備し、不良債権処理を進めるか否かが問われる。

 現実的に考えると、国家資本主義体制の維持と強化を目指す保守派の勢いが勝る中、中国が新しい産業基盤の整備を目指すことは難しい。当面、中国は公共投資の積み増しや補助金政策の強化などによって目先の景気浮揚を目指すことになるだろう。同時に、金融緩和を通してシャドーバンキングや中小銀行の資金繰り支援も実施されるはずだ。

 成長の限界を迎えた中で行き場を失った資金は、再度、信用リスクを反映して利回りの高い金融商品に流れ、追加的に債務が膨張する恐れがある。中国の“灰色のサイ”がさらに巨大化する展開は軽視できない

(法政大学大学院教授 真壁昭夫)

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