『米国から「同盟国」と呼ばれなくなった韓国 「食事会なし」で韓国を離れた米国務長官』(3/23日経ビジネスオンライン 鈴置高史)、『韓国の米ミサイル配備に中国の不満(社説)』(3/23日経FT)について

テイラーソンの食事接待の問題は、嘘つき韓国の面目躍如たるものがあります。韓国は「所謂従軍慰安婦」と同じく、嘘をついてもその場が凌げれば良いという発想でしょう。米国は日本と違い、事実関係を追及して発表します。翻って我が国はすぐに謝ります。事実関係を無視してまでも。GHQの占領期間、彼らに媚び諂ってきたメデイアが未だ自虐史観によって立つ報道を続けますので、ネット情報を取れない人は、洗脳されたままその情報を安易に信じてしまいます。戦後の呪縛がまだまだ解けていません。

米国人もやっと韓国人が嘘をつく民族だというのに気付いてきているのでは。“Korean fatigue”と言う言葉が囁かれ出した頃から、日本人と朝鮮半島人は違うと気付いたはずです。「金三胖(=金王朝三代目のデブ)」の瀬戸際政策も米国にとっては許し難く、今迄問題解決してこなかった中国(というか米国攪乱の道具として放置してきた)にも怒りを覚え、従北に揺れる韓国にも呆れ返り、今回の接待問題で、同盟破棄の手前まで来ているのを分からせようとしたのでは。

同盟を破棄したとしても、米軍基地を置くこととは別問題です。THAADは配備したままにすると思います。“tripwire”の役目を果たすのでは。しかし、同盟破棄すれば間違いなく戦時作戦統帥権は韓国に返還されると思います。同盟破棄後、もし朝鮮半島で戦争が起きれば、米軍基地が襲われない限り、米国としては自動参戦せず、北と南で戦争するのを暫し眺めるという可能性もあります。核を北が使わない限り、放置するでしょう。米国が出なければ、中国も傍観するでしょう。その前に、米軍基地はかなり、縮小するのでは。その分を台湾に回せば良いでしょう。

FTの記事は、白人は中国人のことを殆ど理解していないと思います。歴史的に中国は外国製品ボイコットや暴力的デモを多用してきました。そもそも個人の基本的人権や民主主義について中共が国民に教えているとは思えません。個人が自由に生きる権利を制限していますので、中共の命令は絶対です。個人で動くにしても、中共の了解のもとに動かなければ、逮捕抑留されます。所詮共産主義国家、一党独裁国家です。自由主義諸国と社会構造の基本が全く違うという事を必ず思い起こして判断しないと間違います。習近平がダボスで「自由貿易を擁護」する発言をしたとのことですが、先ずは自国民に「言論の自由」を与えてから言ってほしいと思います。

日経ビジネスオンライン記事

尹炳世外相と臨んだ会見で、ティラーソン国務長官は厳しい表情を見せた(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

前回から読む)

米韓の間の外交的な亀裂が、傍目にも分かるほどに広がった。

岸田外相とは飯を食べたのに

鈴置:米国のティラーソン(Rex Tillerson)国務長官の訪韓で騒ぎが起きました。国務長官は3月15日からの訪日の後、17日にソウル入りしました。

米国は現在、THAAD(=サード、地上配備型ミサイル迎撃システム)の在韓米軍への配備を進めています。それを韓国が邪魔しないよう督励に来たのです。

マティス(James Mattis)国防長官らの訪韓と同様、対韓圧力の一環です(「米国のTHAADを巡る対韓圧力」参照)。

米国のTHAADを巡る対韓圧力

2016年
12月20日 安全保障補佐官に内定のフリン元陸軍中将、訪米した韓国政府高官に「THAAD配備は米韓同盟の強固さの象徴」
2017年
1月31日 訪韓を前にしたマティス国防長官、韓民求国防長官に電話し、THAAD配備を確認
2月2日 マティス国防長官、訪韓し「北朝鮮の核の脅威が最優先課題」と表明、THAAD配備も再確認
3月1日 マクスター安全保障補佐官と金寛鎮・国家安保室長、電話会談し「THAAD配備を再確認」
3月1日 マティス、韓民求の米韓両国防長官、電話で会談しTHAAD配備を再確認
3月6日 米軍、THAADの一部機材を烏山空軍基地に搬入
3月17日 訪韓したティラーソン国務長官、会見で「韓国の次期政権もTHAADを支持することを期待する」

ティラーソン国務長官は翌18日に北京に向かいましたが、韓国政府の誰とも食事をしませんでした。これが騒ぎの発端です。

韓国各紙は「尹炳世(ユン・ビョンセ)外交部長官が夕食に誘ったのに断られた」と一斉に書きました。

中央日報の「米国務長官、日本外相と1時間の夕食会、韓国では会談だけ」(3月18日、日本語版)から引用します。

  • 予想されていた尹長官との夕食会がなかった。韓国側は今回の訪韓を契機に両国外相間のスキンシップ強化を内心望んでいた。
  • このため外交部は当初、夕食会の日程を構想していたが、ティラーソン長官は個人の日程を消化するという立場だった。外交部は招待を断られる格好となった。
  • ティラーソン長官は岸田外相とは3月16日午後5時40分から1時間ほど業務協議を兼ねて夕食会をした。
  • 同長官は3月17日の晩、ナッパー(Marc Knapper)駐韓米国大使代理と食事をし、韓国の動向などについて報告を受けたという。

国務長官の「疲れ」のせいだ

—「差別された」と怒っているのですね。

鈴置:韓国人はどんなことでも「日本並み」の待遇を受けないと怒り出します。当然、この怒りを英語でも発信しました。

コリア・ヘラルド(The Korea Herald)はティラーソン訪韓のまとめ記事「US says ‘strategic patience’ on NK is over」(3月17日、英語)の最後でそれを訴えました。

  • Tillerson spent almost 2 1/2 hours with Japanese Foreign Minister Kishida including a dinner, and another hour with Prime Minister Abe. But his meetings with Yun and Hwang were each confined to about an hour, without a lunch or dinner gathering. Seoul officials said the US side opted not to have a meal together, citing the secretary’s “fatigue.”

岸田外相とは夕食付きで2時間半も話したのに、尹外相とはたったの1時間。ランチも夕食もなかった――という恨み節です。

これだけなら「また韓国人がひがんでいるな」という話で終わったと思います。が、韓国の役人が言ったとされる「余計な一言」が問題に火を付けました。「食事なしはティラーソン長官の疲労のせい」との部分です。

米国の外交界には「韓国疲れ」(Korea Fatigue)という言葉があります。日本の足を引っ張ろうと韓国政府が「日本の首相を米議会で演説させるな」などと無理難題を言うようになったからです(「米国の『うんざり』が『嫌韓』に変わる時」参照)。

米国の外交担当者は一時は韓国人に会うのも嫌がるようになりました(「『アベの米議会演説阻止』で自爆した韓国」参照)。でも、今回の「疲れ」は肉体的な「疲労」です。

この記事を読んだ誰もが「それぐらいの体力がなくて米国の国務長官が務まるものか」と考えたことでしょう。さっそく、世界のメディアがこの記事を引用しました。

ワシントン政界に大きな影響力を持つ政治サイト「ザ・ヒル(The Hill)」は「Report: Tillerson cuts short South Korean Visit, citing ‘fatigue’」(3月17日、英語)と「疲労」を見出しにとりました。

訪韓のまとめ記事ですが「疲労のために訪韓日程をはしょった話」から書き起こしています。

韓国政府は嘘八百

—なぜ、韓国の役人は「疲れのせい」にしたのでしょうか。

鈴置:米国側の、それも不可抗力の理由にしておかないと「日本と比べ軽んじられた」との怒りが、自分たちに向くと思ったからでしょう。韓国の役人が本当にそう言ったとしての話ですが。

国務長官としての資質に疑問を付けられたティラーソン長官は、直ちに反論しました。3月18日、ソウルから北京に向かう機中で、ただ1社だけ長官搭乗機への同乗を許されたウェブメディア「インデペンデント・ジャーナル・レビュー」(IJR)の記者に以下のように語ったのです。

Transcript: Independent Journal Review’s Sit-Down Interview with Secretary of State Rex Tillerson」(英語)から引用します。記者の初めの質問が「韓国紙は疲労から夕食会を断ったと報じているが、何があったのか?」で、それへの答えです。

  • They never invited us for dinner, then at the last minute they realized that optically it wasn’t playing very well in public for them, so they put out a statement that we didn’t have dinner because I was tired.

ティラーソン長官は「私が夕食会を断ったのではない。韓国政府が招いてくれなかったのだ」と明言しました。さらには「それが明らかになると世論に悪い影響が出ると気がついた韓国政府が、私の疲労のせいにしたのだ」と言い切りました。

すると記者がすかさず「韓国側が嘘を言っているのですね?」と確認しました。それに対してティラーソン長官は「いや、状況を説明しただけだ」と答えました。

中国の顔色を見た韓国

—「状況を説明しただけ」ですか……。

鈴置:「韓国人が嘘つきと大声で言うつもりはないが、彼らの言っていることは嘘だ」ということです。

長官は自らの主張を補強するためでしょう、「政府高官の日程はホスト国が組むものだ」と付け加えています。

—どちらの言っていることが本当なのでしょうか。

鈴置:それに関しては「ヴァンダービルド」のペンネームで外交・安保に精力的に筆をふるう韓国の識者が考察を加えています。

崔甲済(チェ・カプチェ)ドットコムの「朴槿恵の最悪の失策は尹炳世の起用」(3月20日、韓国語)の一部を翻訳します。

  • ティラーソン長官の主張が事実なら「尹炳世の外交部」の態度(思惑)を以下のように推定(仮定)しても無理筋ではない。
  • 「中国はTHAAD配備に反対している。ティラーソン長官は配備を督励(強調)するために韓国に来た。その長官を我々(韓国外交部)が手厚くもてなせば、中国が不快に思うことだろう」

「ズボンが破れた」と言い訳

—「飯なし」は中国の顔色を見てのことだった、というのですね。

鈴置:十二分にあり得る話です。中国の反対を懸念して韓国外交部はTHAAD配備に消極的でした。朴槿恵政権内部でも、配備派の国防部と厳しく対立していました。

2016年7月8日、国防部は在韓米軍司令部と突然、「2017年末までの配備に合意した」と発表したのです。この時「尹炳世の外交部」は決定に「すねて見せる」パフォーマンスを敢行しました。

国防部の記者会見と同時刻に尹炳世長官は「ズボンが破れた」と称し、ソウル市内の百貨店の紳士服売り場でショッピングをして見せたのです(「『中国入り陣営寸前』で踏みとどまった」参照)。

外相として顔を出してもいい会見には出ず、敢えて衆目の中で買い物をする――。韓国では「私は配備に反対しました」との中国に対する言い訳だったと見なされました。

中国に気に入られるためなら、せこいパフォーマンスを平気でやる外相ということです。である以上は今回の「飯なし事件」の犯人も韓国側と見なされてもおかしくはありません。

安倍首相にも「飯なし」

—そう言えば、訪韓した安倍晋三首相に対しても「飯なし」でしたね。

鈴置:2015年11月、日中韓首脳会談に出席するため訪韓した安倍首相は朴槿恵(パク・クンヘ)大統領と2国間でも会談しました。が、食事には招待されませんでした。朴槿恵大統領は李克強首相に対しては晩さん会で歓迎しましたから、露骨な嫌がらせです。

どの国でもそうですが、ことに韓国では客に飯を出さないというのは異常なこと。当時、韓国では「いくら日本との関係が悪いからと言って、これは恥ずかしい」との声も上がりました。

ヴァンダービルド氏も先ほど引用した記事で、安倍首相とティラーソン長官がそれぞれ経験した「飯なし事件」を並べて書いています。以下です。

  • 「尹炳世の外交部」にはすでに「反日に迎合する昼食不提供(対安倍)」という前科がある。先の推定が正しければ、今回は「親中に迎合する夕食不提供(対米国)」である。
  • 中国の顔色を見、反日勢力の顔色を見るためなら、友好国(米日)との外交に悪影響を及ぼす非礼も辞さないアマチュア(国益毀損)外交を「尹炳世の外交部」は展開してきたのだ。

「文在寅の門前」に市

—韓国人はよほど中国が怖いのですね。

鈴置:元・朝貢国とはそういうものなのでしょう。もっとも「尹炳世の外交部」が顔色を見るのは中国だけではありません。

5月9日の大統領選挙で本命と見られるのが文在寅(ムン・ジェイン)「共に民主党」前代表です。

朴槿恵前大統領の「国政壟断事件」が起きる直前には、北朝鮮との関係を疑われて支持率が低迷していました。というのに大統領の弾劾事件を主導した形となって、他を大きく引き離す人気No.1候補に躍り出たのです。

文在寅・前代表は反米左派の盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権で秘書室長を務めました。今も「大統領になったら、THAAD配備の見直しや開城工業団地の再開を検討する」と明言しています。

そして「共に民主党」は大統領権限代行の黄教安(ファン・ギョアン)首相に対し「THAAD配備は国会の批准を得てからにせよ」と米国との約束をひっくり返すよう要求し始めました。

朝鮮日報が「事前に約束もなしに突然、黄代行を訪れTHAADを抗議した民主党」(3月21日、韓国語版)で報じています。

政権をとったかのような「共に民主党」の一連の振る舞いに、同紙は社説「いくら支持率1位とは言え、やり過ぎの民主党人士」(3月17日、韓国語版)で厳しく批判しています。

一方、役人も次期政権で登用してもらおうと、文在寅氏の周辺に群がっています。朝鮮日報の「文の前に列を成す官僚たち」(3月17日、韓国語版)が詳しく報じました。

韓国はただのパートナー

—それを聞くと今回の「飯なし事件」の犯人は「尹炳世の外交部」という気がしてきました。

鈴置:確たる証拠はありませんが、状況証拠では真黒です。ティラーソン長官も、そうしたレクチャーを受けたと思います。ちゃんと「お返し」しています。

先に引用した「インデペンデント・ジャーナル・レビュー」(IJR)の「Transcript: Independent Journal Review’s Sit-Down Interview with Secretary of State Rex Tillerson」で、「尹炳世の外交部」を真っ青にさせる発言をしました。

「韓国人の嘘」に関する会話の次に「日本に何を求めるか」と聞かれた長官は以下のように答えました。

  • Japan is ― because of the size of their economy ― they are our most important ally in the region, because of the standpoint of both security issues, economic issues, stability issues. So that’s not anything new. That’s been the situation now, for decades. South Korea, similarly, is an important partner relative to stability of northeast Asia.

「日本は最も重要な同盟国」と語った後に、聞かれてもいない韓国に触れ「北東アジアを安定させるための重要な1つのパートナー」と述べたのです。

韓国では「日本が最も重要な同盟国と位置付けられた半面、我が国は同盟国と呼んでもらえなかった」「米国にとって、我が国は『1つのパートナー』に過ぎない」と問題になりました。

聯合ニュースのシム・インソン・ワシントン特派員の「ティラーソン『日本は同盟、韓国はパートナー』で論議、日本優先の本音が露呈?」(3月20日、韓国語版)は、必死で火を消そうとする韓国の外交関係者の発言を紹介しています。

  • ティラーソン長官はインタビューで米日と韓米関係に不均衡はないと言っている。全体の文脈を見れば「同盟」か「重要なパートナー」かに意味を与える必要はない。

しかし、この記事はそれを否定する次のような「反証」も載せています。

  • 米国の当局者は通常、友好国に言及する時には戦略的な重要度に応じて、同盟―友人―パートナーの順で言及する。

お灸を据えた米国

—「同盟国事件」は、ひがみがちな韓国人の思い過ごしでしょうか。

鈴置:いいえ、ティラーソン長官は意図的に韓国を「同盟国」扱いしなかったのだと思います。

この「たった1人の同行記者」との一問一答は実によく練られていて、米国政府の意向の微妙なヒダまで伝えています。

例えば「日韓の核武装」というテーマにも触れていますが、日本で大騒ぎにならないよう言葉を選ぶ半面、「北の核武装を許すのなら日韓にもさせるぞ」と、ちゃんと中国を脅しています。

米国政府の意向をとにかく正確に伝えることを狙ったこの記事で、不要な誤解を招く発言をするはずはありません。明らかに韓国にお灸を据えるために「同盟国から外した」のだと思います。

身から出たサビ

—そもそも韓国は米国から離れ始めていますしね。

鈴置:そこです。韓国人は「米国が大事にしてくれない」と文句を言いますが、韓国自身が米中二股外交に邁進して来て今、一気に「離米」に動くところなのです。「軽んじられる」のは当然です。身から出たサビなのです。

ことに第2次朝鮮戦争が始まるかもしれないという時です。米国にすれば、在韓米軍を守るTHAADの配備を韓国政府に邪魔されてはかなわない。

ティラーソン長官の訪韓の最大の目的は、韓国が中国側に寝返ってTHAAD配備を拒否することを防ぐことでした。

しかし5月中旬にスタートする次期政権は配備拒否に動く可能性が高い。現政権でさえ、中国の顔色を見るのに必死であることが現地に来てよく分かったことでしょう。

となれば、ここで一発、韓国を脅しておく必要があります。「THAAD配備を拒否したら同盟を打ち切るぞ」――とです。

同盟を直ちに打ち切るかはともかく、配備を拒否したら米国は在韓米軍の撤収に動くと見るのが日米の専門家の常識となっています。

「パートナー」という言葉にも意味があるのかもしれません。米軍は北朝鮮の核武装を防ぐために韓国の基地を使う可能性が大です。

「パートナー」からは「とにかく基地は使うからな。その後、同盟がどうなろうと気にしない。もう、お前は一時的な協力者に過ぎないのだ」との米国の気分が嗅ぎ取れます。

「米韓」は「日米」の下受け

—ティラーソン長官の脅しは効きましたか?

鈴置:大いに効きました。韓国経済新聞の社説「『日本は核心同盟、韓国はパートナー』と述べた米国務長官」(3月21日、日本語版)は「同盟国事件」と「飯なし事件」に関し、強い懸念を表明しました。

  • 韓米同盟は我々にとって死活的な利害関係だ。繁栄を可能にした原動力でもある。「隷属だ」と騒ぐ一部の声は民族主義的な安っぽい感傷論にすぎない。
  • 米国は「アメリカファースト」のスローガンの下、外交安保葛藤を覚悟して原点から見直している。世界は動いているが、韓国外交部はどういう考えなのか心配だ。

朝鮮日報は3月21日の社説「米国務長官の言葉通り、朝鮮半島の未来は予測できない」(韓国語版)で以下のように書きました。

  • トランプ政権は韓米同盟を米日同盟の下部システムと認識している感もある。米国の朝鮮半島政策と韓米関係が、これまでは想像もできなかった方向にも行くかもしれないという事実をまずは受け入れねばならぬようだ。

「米韓同盟」は「日米」の下請けに過ぎなくなった。それに気づかず今まで通りに行動していると、米国から見捨てられるかもしれない、との焦りの表明です。

陳謝のためワシントンへ?

中央日報の金玄基(キム・ヒョンギ)ワシントン総局長も同じ日に「あきれる韓国外交」(日本語版)を書きました。この記事は「飯なし事件」を主題にしていますが、興味深いくだりがあります。

  • 怒ったティラーソン長官に陳謝でもするかのように、尹炳世外交部長官は会談4日後の21日、我々には特に急ぎでもない米国務省主催の「反イスラム国(IS)外相会議」に出席するためワシントンへ行く。

確かに、尹外相のこの会議への参加発表には唐突感がありました。「陳謝」のための可能性が大です。記事は以下のように結ばれています。

  • 朝米間、米中間の衝突より韓米間の衝突が先に発生するしかない構造だ。その場合、「コリアパッシング」どころか、韓米同盟64年の最大の危機を迎えることもある。大統領候補らはそのような覚悟ができているのか。

「名誉革命」が呼ぶ米韓同盟の危機

ほとんどの保守系紙を含め、韓国メディアは「世界に誇る名誉革命」と、朴槿恵弾劾劇を誇って来ました(「『名誉革命』と韓国紙は自賛するのだが」参照)。

でも、その結果「反米左派政権」が誕生しそうです。「革命」を煽っているうちに、国を滅ぼしかねない危険な穴に自らを落とし込んでしまったと保守系紙もようやく気がついたのです。今となってはもう、手遅れの気もしますが。

(次回に続く)

FT記事

他国を攻撃させるために自国のナショナリスト(国家主義者)を解き放ち、逆に同じナショナリストに倒された政権の事例は歴史上いくつもある。中国共産党はこのことを知っている。にもかかわらず、その時々にたまたま中国を刺激した国がどこであれ、中国はその標的に対する攻撃をあおり、ボイコットを促さないと気が済まない。

今回は韓国にその順番が回ってきた。韓国は、北朝鮮による核武装の脅威にさらされるなか、国内に米軍の地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)を配備すると決断した。これを受けて中国は、そのレーダーの監視範囲が中国の奥深くにまで届くことから、この配備は地域の戦略的バランスを崩し、中国自身の軍事力を弱体化させると主張している。

米ミサイルの韓国配備に反発して韓国製品のボイコットが広がっている(北京のロッテマートの店舗)=AP

これこそが、米国政府によるTHAAD配備計画の理由の一部であることに間違いはない。米国は、中国に依存する北朝鮮を制する中国の行動は不十分で、そのことに業を煮やしているのだと中国政府に告げている。もし中国がTHAAD配備を望まないのであれば、北朝鮮による挑発的攻撃を抑え込むようさらに手を打つべきだ。

■子どもにも韓国ボイコット教え込む

だが、中国共産党はそうする代わりに、反韓国の辛辣な批判や、韓国ビジネスに対する攻撃、中国人観光客の訪韓阻止を国営メディアで展開した。さらには、学校の子どもたちに対してさえも、韓国製品に対する大規模集会やボイコットを教え込んでいる。

中国による攻撃の矢面に立ったのは、THAAD配備に土地の一部を提供した韓国のスーパー、ロッテだ。中国で展開する99店舗の実に87店舗は一時的、もしくは恒久的に閉店させられた。なかには、偽りの「防火安全対策」違反の標的になった店舗も多かった。こうした行為は世界貿易機関(WTO)の規則に抵触する可能性があり、韓国政府は既に、WTOに中国の行為を調査するよう求めている。

中国は現在、米国のトランプ大統領が持つ保護主義への強い衝動に対抗しようとしているが、そのなかで、中国自身がとったこの行為は自滅的だ。中国がグローバル化を嫌っていると非難する西側諸国に、攻撃の手段を与えるようなものだ。

中国は、単に国民の意見を反映したものだとして、対韓国の抗議行動から距離を置こうとした。だが、中国では、党の指導者がいら立ちを募らせる最新の的(韓国)に対して不満を募らせる人たちを除いて、公の場でのあらゆる形の抗議は実質的に禁止されているのだが。

■ナショナリズム利用は慎重に

中国が、韓国の次期大統領にTHAAD配備を撤回させることを期待して、ボイコットを促し、反韓感情をあおっているのは明かだ。韓国の大統領を罷免された朴槿恵(パク・クネ)氏の後任を選ぶ選挙は5月上旬に実施される。後任の最有力候補は、最大野党「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)前代表で、配備を見直すこと既に表明し、米国に対して「ノー」と言うことを学ばなければならないと語っている。どの候補が大統領になっても、北朝鮮との緊張緩和の道を探らなければならない。また、最大の貿易相手国である中国とも協力しなければならないだろう。だが、中国の経済的圧力に屈したり、一方的にTHAAD配備を撤回するのは過ちだ。

中国は、圧力をかけるのは効果的だと考えており、他国との対立に経済的ナショナリズムを利用し続ける。これまで圧力で他国を引き下がらせることに成功してきた。良識のある指導者なら、自国でナショナリズムをあおる一方で、そうした戦略的要請と商業的強要を混同して他国に対することには慎重になるだろう。この混同は貿易関係をこじらせるだけでなく、同じナショナリストが、結局は自分にとっても手に負えない勢力であると証明しかねない。

(2017年3月23日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)

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