A『なぜプーチンはウクライナ戦争を激化しようとしているのか…変化を読み解くために知っておくべきトランプ政権「6月の政変」』、B『日本とロシアは水面下でいままで何を模索していたのか プーチンの択捉訪問で両国の関係は「残念なもの」になっているが…』(9/3現代ビジネス 畔蒜 泰助)について

9/3The Gateway Pundit<Come See Rudy Giuliani, General Michael Flynn, Lara Logan, and Many Others – at the “American Martyrs” Premiere in West Palm Beach on Sept. 26=ルディ・ジュリアーニ、マイケル・フリン将軍、ララ・ローガン、その他多数の著名人が出演する「米国の殉教者」プレミア上映会が、9月26日にウェストパームビーチで開催されます>

米国での左翼民主党による保守派の抑圧を世界の人に知ってほしい。

ザ・ゲートウェイ・パンディット(TGP)は長年にわたり、ワシントンDCのディープステートによって不当に迫害された米国の英雄たち、すなわちトランプ政権の元高官、1月6日の政治犯、トランプ氏の側近、プロライフ活動家、敬虔なカトリック教徒などを支援することを使命としてきました。

TGPは、マイケル・フリン将軍、米国の市長 ルディ・ジュリアーニ、 ララ・ローガン、シモーネ・ゴールド博士、J-6部隊員、 ドナルド・トランプ大統領 など、米国の英雄たちが受けた恐ろしい迫害について頻繁に報道し てきた。

私たちは彼らが無実であることを常に知っていました。私たちゲートウェイ・パンディットが受けてきたように、彼らも標的にされていることを知っていました。

今月下旬、ザ・ゲートウェイ・パンディットは初の映画プロジェクト「米国の殉教者」を初公開します。

皆様のご参加を心よりお待ちしております。

この映画は、ディープステートが5人の罪のない米国人を破滅させるために行った犯罪行為を描いている。

以前、The Gateway Punditで取り上げた記事が、ついに映画化されました!

映画「米国の殉教者」のプレミア上映は、9月26日にフロリダ州ウェストパームビーチのコーエン・パビリオンで開催される。

そして、ルディ・ジュリアーニ氏、ララ・ローガン氏、マイケル・フリン将軍をはじめとする数々の特別ゲストが出席されることを大変嬉しく思います。他にも数名の方が出席予定です!

午後7時から8時まではオープンバー、オードブル、そして映画のプレミア上映が行われます。

** チケットはAmericanMartyrs.comでご購入ください。

https://www.thegatewaypundit.com/2026/09/come-see-rudy-giuliani-general-michael-flynn-lara/

9/3Rasmussen Reports<Dolly Parton, R.I.P.: 72% Approve National Mourning for Music Star=ドリー・パートン死去:国民的追悼に72%が賛成>

先週、伝説的なカントリー歌手ドリー・パートンが亡くなったことを受け、ドナルド・トランプ大統領は彼女を追悼するため、国旗を半旗にするよう命じた。この追悼の意は、米国民の圧倒的多数から支持されている。

ラスムセン・レポートが実施した最新の全国電話・オンライン調査によると、パートン氏を追悼するため全米で1週間国旗を半旗にするという大統領令を、米国の成人の72%が支持しており、そのうち48%が強く支持している。反対はわずか18%で、10%はどちらとも言えないとしている。

https://www.rasmussenreports.com/public_content/lifestyle/general_lifestyle/september_2026/dolly_parton_r_i_p_72_approve_national_mourning_for_music_star?utm_campaign=RR09032026DN&utm_medium=email&utm_source=criticalimpact

https://x.com/RCPolitics/status/2095592196179157093/video/1

9/4阿波羅新聞網<背刺美国?这国正在玩一场非常危险的游戏—专家:北京拉拢埃及 美国可四招应变=米国への背信行為か?ある国が極めて危険なゲームを繰り広げている―専門家の分析:北京がエジプトを丸め込む、米国には4つの対抗策あり>

米国とイランの緊張が高まる中、中共指導者の習近平は9/2、カイロでエジプトのアブドルファッターフ・アッ=シーシー大統領と会談した。習は「中東の新たな安全保障の枠組み」の構築を提案した一方、シーシー氏は訪問に先立ち発表した寄稿文の中で、エジプトの「戦略的バランス」政策を強調した。エジプトは中東における米国の重要な同盟国である。専門家は、エジプトが中共と完全に足並みを揃える可能性は低いものの、経済的利益に突き動かされ、危険なバランス取りを行っていると見ている。しかし、こうした情勢の変化に対し、米国には少なくとも4つの対応策が存在する。

沈明室は、エジプトがBRICSに加盟し経済的に北京へ傾斜しているものの、この状況に対処するために米国が行動を起こせる分野がいくつかあると指摘する。

第一に、エジプトは軍事安全面で依然として米国に依存している。台湾海峡やその他の地域で米中間の紛争が勃発した場合、米国は同盟国に対してどちらの側につくか選択を迫る可能性が高く、エジプトが中立を維持することは困難になるだろう。

第二に、もしエジプトが債務問題によりスエズ運河や港湾施設などの重要インフラを中国への担保として差し出すようなことがあれば、米国の世界的な兵力展開能力が脅かされることになる。さらに、エジプトが大規模な決済に人民元を採用すれば、米国はエジプトと中国の間の深い金融連携を制限する措置を講じる可能性がある。

第三に、対エジプト軍事援助を、経済的要因や中国を抑制する政策(例えば華為への制限や中共軍艦の寄港拒否など)と結びつけ、援助を米国の国家安全保障上の利益に直接連動させることが考えられる。

最後に、米国はペルシャ湾岸地域の同盟国を動員してエジプトへの投資を行わせることで、同国の経済的圧力を緩和し、中国による影響力を薄めることができるだろう。

一方だけに賭けるのは危険だから中共に擦り寄っていくのでしょう。ただ中共の現状を正しく知っていれば米国から離れることはない。

https://www.aboluowang.com/2026/0904/2429135.html

9/3阿波羅新聞網<朱镕基家族如何兑现权力=朱鎔基一家はいかにして権力を利用し巨利を得たか>

朱鎔基は2026年8月12日に死去した。多くの中国人が、あの「鉄腕首相」の姿を改めて思い起こしたことだろう。彼は机を叩いて汚職官僚を叱責し、「自分の棺桶を用意している」と公言したことで知られる人物である。生前、彼は退任後に人民からただ一つの評価を得たいと語っていた。それは、汚職に手を染めた役人ではなく、清廉な役人であったという評価である。

しかし、『FT』紙の報道により、19年前の2007年、朱鎔基の息子である朱雲来が中国国際金融公司(CICC)で1,700万ドルの年収を得ていたことが明らかになった。当時の為替レートで換算すると、これは1億2,926万8,000元に相当し、中国人労働者5,185人分の年間賃金を合わせた額に匹敵する。

中国国際金融公司とは、あの有名な中金公司CICCのことである。朱雲来はどのようにしてCICCに入社したのか? なぜ国営の投資銀行が、首相の息子にこれほど天文学的な給与を支払ったのか? 本稿では、この1億2,926万元という資金の流れをたどり、「清廉な役人」としての朱鎔基の功績を再検証する。

第1章:バンコクでの取締役会

第2章:天文学的な給与

第3章:CICCを創設したのは誰か?

第4章:大気物理学の博士号

第5章:100以上の企業と2000億ドル

第6章:20%では不十分

第7章:モルガン・スタンレーも利益を得た

第8章:朱家における朱雲来の事例は氷山の一角

第9章:4000万のロイヤリティ

第10章:100の棺

朱鎔基は、ただ人々が自分を清廉潔白な官僚と呼んでくれることを願うだけだと述べた。今日、より明確な答えが得られた:彼は中共官僚機構の中では比較的自己規律のある官僚かもしれないが、家族の利益を断ち切る清廉潔白な官僚ではない。彼の息子、娘、そして婿はそれぞれ、国有投資銀行、国有銀行、中央国有企業で要職に就いている。

朱鎔基も、いわゆる「紅い家族」によく見られる論理から逃れることはできなかった。すなわち、父が国を支配し、子供たちは市場に出る。国がリスクを負い、家族が富を得る。そして最後に、彼らは質素な生活ぶりや慈善活動によって、家族の潔白を証明するのだ。

本ブログで何度も言ってきましたが、朱鎔基は典型的な中国人。本当に開明的だったのは胡耀邦だけと思う。

https://www.aboluowang.com/2026/0903/2428960.html

9/3阿波羅新聞網<普京偏偏提了这三件事!北京痛彻心扉=プーチンが特に挙げた3つの問題!北京は内心悲痛>

アポロネット鄭浩中の報道:キルギスのビシュケクで開催された最近の上海協力機構(SCO)首脳会議の際、中露二国間会談が行われた。クレムリンが公表した記録やRFIなどのメディア報道によると、ロシアのプーチン大統領は即座に3つの点を提起した。第一に、チベットで発生した土砂崩れの犠牲者の遺族への哀悼の意を表したこと。第二に、中露間のビザ免除措置を恒久化することを提案したこと。そして第三に、ロシアへの領土割譲を行った江沢民氏に対し、改めて公の場で感謝の意を示したことである。その後、中共の国営メディアである新華社が発表した公式報道では、これら3つの内容がすべて削除され、「包括的な戦略的協調」や「世界の多極化」といった定型句のみが残された。

BRICSやSCOの内部は一枚岩でないということ。日本の北方領土だけでなく、江沢民と妥結した領土は返さないと世界に示した。

https://www.aboluowang.com/2026/0903/2428857.html

畔蒜氏の記事では、日ロ関係で北方領土返還交渉は、2020年ロシア憲法に領土割譲は違反と盛り込まれたので、益々難しくなっている。確かに、ロシアを中国から離すのは日本の国益ではあるが、ここまで依存が深くなった今、そう簡単に引き離すことは出来ないと思う。中露北の核保有・暴虐国家に囲まれた日本は、経済的にはデカップリングを目指し、安全保障面では日米同盟深化・核共有、憲法改正、NATO加盟、将来の核保有と段階を追っていきたい。

A記事

トランプ政権の静かな政変

アメリカ国内では、ベネズエラ攻撃、イラン攻撃へと進む中で、トランプ政権内のバランス・オブ・パワーが変わった。国内重視で、あまり対外的な関与を望まず、ロシアとの関係を前に進めるべきだという考え方をもつヴァンス副大統領に近い人たちの影響力が落ちて、むしろ積極的に関与すべきだという、ルビオ国務長官や彼を後ろで支えている伝統的な共和党の外交・安全保障も関係者で対外関与を重視する人々の発言力が増した。

バンス副大統領(手前)とルビオ国務長官 by Gettyimages

その原因となったのが、イラン攻撃とその長期化であった。攻撃開始当時のギャバード国家情報長官はベネゼエラ攻撃にも反対していたが、イランの場合も当初から一貫して「我々は、イランが核兵器を製造しているという情報は持っていない」と公に発言していた。結局、彼女は5月末に辞任に追い込まれる。表向きは夫のガン治療の看病が理由ということになっているが。

イラン情勢の泥沼化は、政権への批判が強まる中、内向きのMAGA派から、強い対外関与を志向するメンバーへ、トランプ政権の重心が大きくシフトしていく契機となった。

このバランス変化の延長線上で、ウクライナのロシア深部へのドローン攻撃の活発化があった。アメリカは情報面で積極的にサポートしている。主導したのはラトクリフCIA長官で、彼はギャバードとはロシアに対する考え方が違っている。

こうして、イラン戦争の余波で、アメリカの政権内ではロシアとの関係を重視するグループ、あるいはアンカレッジ合意を押していたグループが影響力を落とし、対外関与を重視する従来の共和党の姿勢を代表するルビオ国務長官の発言力が逆に強まっていく。

7月になってルビオが「もうアンカレッジ合意は終わった。新しいアイデアが必要だ」と議会で発言するまでになる。

ラトクリフCIA長官の訪ロの意味

果たしてトランプ政権は、完全にロシアとの関係を絶ち切ろうとしているのか。それはそうではない。その前にNASAとロスコスモスが、国際宇宙ステーション関連の協力を再確認するという話が出ている。10月ぐらいにFBIの長官が訪露するのではないかという話が7月あたりに持ち上がっている。

さらに、ゼレンスキーがトランプにスターリンクのネットワークをウクライナ国内だけではなくロシア国内でも利用させてくれという要求を出したのに対して、トランプは明確にその立場を取ってない。また、イーロン・マスク自身もゼレンスキーに会うつもりはない。

トランプ政権自身が、完全にはロシアとの関係を切って、全面的にウクライナを支援するというほどの変化ではない。だから、トランプは早晩、ロシアとの関係正常化のその先にビジネスも含めた協力を進めるという考えは、もちろん捨てていない。

ウクライナとヨーロッパは、ベネズエラ攻撃からイラン問題までのトランプ政権内の変化に乗じてロシア深部への攻撃を成功させたというように、トランプの立場を、うまくウクライナ寄りにさせることには成功した。ただし決定的に、引きつけたわけではないが。

ラトクリフCIA長官 by Gettyimages

この8月25日にはトランプ政権内で対ロシア強硬派のラトクリフCIA長官が急遽、モスクワを訪問した。ナリシュキン対外関係庁(SVR)長官並びにボルトノコフ連邦保安庁(FSB)長官と会談したと言われている。

当初、複数の西側のメディアはロシアがNATO諸国への攻撃を準備していることへの警告を与えに来たと報じたが、最も信憑性の高いのは8月27日のニューヨーク・タイムズ紙が掲載したものだろう。

これによると、ラトクリフ長官はプーチン大統領に正しい戦況の情報が入っていない可能性が高いとして、戦況は必ずしもロシアに有利な状況ではないので、それを前提とした停戦和平交渉を再開すべきとのトランプ大統領の助言を、同大統領への直接のアクセスを有する情報機関ルートを通じて伝えたというものだ。

同じタイミングで、ウクライナのブダノフ大統領府長官が9月にも米国を仲介とした停戦和平交渉が再開される可能性があると述べており整合性がある。

再び持久戦路線へ

ただ、筆者はプーチン大統領が戦況はロシアの有利な状況にあるとの見方を変えることは無いと見ている。ロシアはトランプ政権の限界を理解し始めている。トランプと握れば全てが解決するというような想定でいたけれども、結局、トランプ自身が本気でウクライナを見放すつもりはないと。

ロシア石油施設へのウクライナのドローン攻撃 by Gettyimages

それはなぜかというと、要するにトランプの本音は、ウクライナ戦争を通じてヨーロッパへのアメリカの防衛負担を、基本的にヨーロッパへ投げてしまいたいということだ。今、このことにほぼ成功している。一方、ウクライナを停戦させることが11月の中間選挙に有利になるということは、今やほぼあり得ない。だからウクライナ停戦に関して積極的に、今、何かをしなければならないという動機が無い。

ロシアにしてみたら、もうトランプに頼れないので、ウクライナ問題に関しては、自分自身で何とか解決するしかない。

この5月、6月からの流れで、ウクライナはロシア深部へのドローン攻撃というエスカレーションを仕掛けている。しかしそれは今のところ逆効果で、むしろロシア側からの更なるエスカレーションを呼び込んでしまっている。ロシアは被害がどんなに増えても、まだ北朝鮮から兵員も含めて兵力増員もミサイル攻勢もやめない。被害に関わらず、ドンバスの占領地拡大を続けている。

一方、ウクライナ側のエスカレーションは何のためか。昨冬、ロシアのエネルギー施設へのミサイル攻撃で深刻なエネルギー不足に見舞われた。ウクライナには独自のミサイル迎撃能力がなく、そのためのアメリカへのパトリオット支援要求であった。もう冬の無茶苦茶な持久戦に耐えられないという前提がある。冬前までに戦闘のアクティブなフェーズを終えられるようにという指示をゼレンスキーは出している。しかし、パトリオットをほぼ撃ち尽くしてしまったと見られ、このことが最大の懸念になっている。

継戦能力ということでは、ロシア側の方がむしろ懸念が少ない。当面、戦争をやめる積極的な理由は無いし、2027年の夏が終わるぐらいまでには、ドンバス地域の完全占領ができるかも知れないと思っているかもしれない。

これだけを見たら、トランプ大統領が派遣したラトクリフCIA長官は手ぶらでの帰国を余儀なくされたように思われるが、実は8月27日付けウォールストリート・ジャーナル紙によると、ラトクリフCIA長官の訪露時にロシアに拘束されたアメリカ人の解放が行われている。このことは依然としてトランプ大統領とプーチン大統領は一定の関係を維持していることが見て取れる。また、ウクライナ問題解決のその先に米ロのエネルギー分野での協力の準備も水面下で進めていると見る。

【もっと読む】日本とロシアは水面下でいままで何を模索していたのか プーチンの択捉訪問で両国の関係は「残念なもの」になっているが…

B記事

ハードルはいつも北方領土

8月13日、ロシアのプーチン大統領が、北方領土の択捉島を初めて訪問した。

択捉 by Gettyimages

このことは日本政府にとっては少なからぬ困惑を招いた。今年に入ってから進めてきたロシアとの対話路線、関係構築路線が、逆にロシア側によって否定されたと受け取られかねないからだ。実際、日本国内から「宥和的」な対ロ政策が、むしろロシア側がつけ込めると思わせたのではないかという批判が出るハメになった。

日本の対ロ政策は破綻したのだろうか。

対ロ政策は第二次大戦後の対ソ連交渉から様々な変遷を経てきた。直近では第二次安倍政権が対ロ積極関与路線を採った。現在のロシアとの対話路線は第二次安倍政権のそれを継承するものなので、その総括から始めないと現在の対ロ政策の評価はできないのではないか。

振り返ってみると、第二次安倍政権が目指した対ロ外交は、大きく分けて2つのことを同時に目指した。

1つは、領土問題の解決によって平和条約を締結する。もう1つは、その延長線上でロシアとの関係を改善して、中国とロシアの関係性に、楔を打つとまではいかないまでも、距離を取らせる。日本とロシアの関係が強化されることによって、ロシアが中国に過度に依存しないようにする。要するに、領土問題の解決と戦略的・地政学的問題の、ある種、二兎を追った。

安倍総理も、後日、インタビューで明確に「中国を意識して我々は対露関係改善をやっていたんだ」と話している。中国の方にロシアを追いやってはいけないと。

だが結果的には、この最初の領土問題のところで、スタックしてしまった。その最大の原因が日米同盟だった。

ロシア側としては、2018年11月のシンガポール合意(1956年の日ソ共同宣言に基づき平和条約交渉を加速化させることで合意)に基づき色丹・歯舞の2島を引き渡した場合、そこにアメリカの軍事施設が置かれることが最大の懸念点だった。そうならない保証を日本が行うだけではなく、アメリカからも取ることを日本に要求してきた。実はこの領土問題交渉と戦略問題は密接にリンクしていた。ロシアにとっては対米の戦略問題であり、日本にとっては日米同盟の問題であった。そして日本はこの点についての立場を最終的に明確にできなかった。

第一期トランプ政権時だったので安倍総理(当時)はトランプ大統領との間であればこの問題も解決可能と考えていたという。だが仮に首脳間で何らかの合意が出来たとしてもロシア側が日本との間のみならず、米国との間でも不可逆的な法的担保を求めたとしたら、恐らくその時点で交渉は行き詰まっていたであろう。

結局、その後の日本の対ロ政策は、何をゴールにするべきなのかという、そもそもの問いに対して、明確な答えが見つからないまま、コロナウイルスのパンデミックとなり、そして、ウクライナ戦争が始まってしまった。

ウクライナ戦争が始まった時のアメリカのバイデン政権は、「民主主義と専制主義の対立」という枠組みを持ち出した。ロシアに対して戦略的な敗北を受け入れさせるためにウクライナ支援を行った。もちろん、核戦争はやりたくないので、そこには一定の制限があったが、基本的にはアメリカ自身がウクライナに武器も供与したし、資金も支援したし、ヨーロッパを主導する形で、ウクライナでのロシア軍との対峙を主導した。

アメリカが対露強硬路線に大きく舵を切ったことに、日本政府は大いに悩んだ。が、結局、方向性を同じにした。岸田総理の「今日のウクライナは明日の東アジアだ」という発言も、バイデンの戦略観と同じ向きを向いたものだった。

トランプ再登場の日のプーチンのメッセージ

ところがトランプの第二期政権が始まって、もう一度、アメリカ自身が内向きになっていくという方向が顕在化してきた。基本的には、ウクライナに過度に関与することは、もう行わず、できるだけ早くこの戦争をやめさせる方針に転換した。そうすることで、ロシアとの関係も改善できるし、そうすればビジネスもできるし、場合によったら中国との関係においても、ロシアと中国の間も、ある程度距離をとらせることができるという戦略観の下、トランプは再登場してきた。

実は日本政府のロシアとの対話路線の復活が本格化するのは2024年11月7日のまさにトランプが当選したその日であった。このとき、プーチンは日本に対して、対話の可能性を感じさせる、ある種のシグナルを送った。

サハリン沖のガス田 by Gettyimages

日ロの交渉について「日本には頭のいい人たちがいる。それはエネルギー関係者だ」と。そして「我々は関係を維持している」と。さらにそのスピーチの中でわざわざ「アメリカのエネルギー企業も」とも話している。これがトランプ当選の日の発言であるということが重要だった。このスピーチでは「ちなみにアメリカからも、そういうシグナルが来ている」とも。わざわざあの場で言及したのは、これはもう間違いなく「エネルギーでトランプと握りますよ」というメッセージだった。要するに「これからアメリカとの関係も変わっていく。だから日本もそろそろギア・チェンジする準備をしたらどうですか?」という、多分そういうシグナルだった。

当時、石破政権だったが、これに呼応する形で、日本側は、少なくとも文化学術交流は積極的に進めていくということを含めて、徐々にロシアとの関係を正常化していくという方向に、「微妙に」方向転換した。

ただこれは根本的な転換ではなくて、ただ、チャネルは閉ざさないという姿勢だ。要するにプーチンのシグナルに対して日本も応じる形で「イエス」と言ったのではなくて、「ノーとは言いません」というニュアンスだが。

その直後に、日本が主導する形で水面下のやり取りがあり、その延長線上に、2025年の1月に、ロシアのラヴロフ外相が、わざわざ1925年の日ソ国交樹立に言及があった。このように、お互いにシグナルを送り合いながら、徐々に距離を、ちょっとずつ縮めていった。

目的は何か、もちろん最終的には平和条約交渉の妥結だが、今、ウクライナ戦争でここまで日ロ関係が悪化している中で、それを最終的にゴールにしても相当長い時間がかかる。まずは日ロ関係の正常化が当面のリーズナブルな目標だ。

もちろん、そこには戦略的な判断もある。安倍政権時のロシアと中国の関係に加え、ここに来てロシアと北朝鮮も急激に関係を深めている中で、日ロ政府間で戦略対話や議論ができるような枠組みを復活できるならしたい。

また日本の国内政治的に、墓参の問題は喫緊に解決しなければならない。元島民は80歳を超えてしまっている。元島民の方々の墓参再開への望みは待ったなしの切実なものがある。

だから、日本側からすれば、日ロ関係の正常化への動機があった。

米ロが動けば日ロも動く

昨年2025年8月に、プーチンとトランプが、アラスカのアンカレッジで会談をし、アンカレッジ合意という形で、ウクライナ問題解決のその枠組みが米ロの間では一旦合意された。

2025年8月、アンカレッジでの米ロ首脳会談 by Gettyimages

ロシアが2022年9月に併合した4州のうち、ドンバスの2州(ドネツク、ルハンシク)については、ウクライナはまだロシアが占領していない地域から撤退しロシアに渡す。残りのザポリージャ、ヘルソンの2州に関しては現在の戦闘ラインを境界とする。さらにウクライナはNATOに加盟しないとし、そうすればロシアは停戦に応ずるという内容だ。

当然、ウクライナとヨーロッパは拒否し、その後、二転三転して、今年に入ってアメリカ、ウクライナ、ロシア3者の和平協議も始まった。そして日本にとっては今年の1月、2月くらいまでは、ある種、前向きな流れになっていた。

米ロが前向きに動けば、当然、日ロも動くという前提で、いろいろな仕掛けを双方が模索していた。

その1つが5月の日本からロシアへの経済訪問団計画だった。対露制裁がかけられている状況下で、米ロが動いてない中で、それを超えた何かをやるというつもりは、日本にはもちろん無かった。

また、4月に武藤駐露大使が、ロシアのルデンコ外務次官と会った時に、日ロ外相会談の話が持ち上がった。北海道新聞の報道によると、茂木-ラブロフ電話会談が検討されたようだが、まず6月に次官会談、7月に外相会談が見えてくるか、という空気だった。(6月11日公開の拙論「実はいま、ロシアで『ウクライナ戦争終戦』に向けたシナリオ作りが始まっている…日本人が知らない具体的な中身」参照)

日本からしたら、当然、次官級をやったら、経済制裁の解除、あるいは少なくとも直行便の復活が当然条件として持ち上がることまで見通せた。5月の日本の大企業が参加しての経済訪問団派遣計画は、それはこのような流れの中でのことだった。

だが結局、次官級協議も民間企業も参加しての経済訪問団も行われなかった。

むしろ米ロの関係が6月以降、逆方向に向かいつつある中で、結局その流れが止まってしまった。日本のロシアとの距離を徐々に詰めていくという対露政策の前提は、アメリカとロシアの関係緊密化だった。だから、ある時期まで検討を行うかやらないかというところまで進んだが、6月に入って、結局その流れが失速して行った。

プーチンが択捉で発したメッセージ

今回のプーチンの択捉訪問は、9月のロシア下院選挙に合わせた全国訪問の一環ということだった。シベリアにも行ったし、サハリンにも行った。

そしてこのタイミングでロシア太平洋艦隊が演習を行った。ロシアは今、ウクライナの戦争で、あらゆるリソースを西側に割いているけれども、「やはり我々はアジアを忘れてはいない」というメッセージがこめられている。近い将来、ヨーロッパではなく、アジア側に世界の重心が大きく移ってくることは分かっているので、ロシア側が改めて、この地域への関与を忘れてないということを示すための演習だ。

ロシア太平洋艦隊 by Gettyimages

実は、プーチンはサハリンで太平洋軍の将兵を前にスピーチを行っている。

「アジア太平洋地域には非常に大きな戦略環境のコンテクストがある。我々が直面していく、いくつかのチャレンジがある。その一環として、日本の立場をクリアにしたい。日本は我々の隣国だ。だが、ウクライナでの出来事を使って、我々に制裁をかけてる。この紛争がなぜ起きたのかということを理解する努力もせずに。しかも、最新の軍事ドクトリン(防衛白書)の中でロシアを主要な脅威の1つと位置づけた。

私は言いたい。我々は日本に脅威を与えてないし、何も要求していない。領土的な要求をしているのは日本だ。クリル諸島(千島列島)の問題については、第二次世界大戦の現実を踏まえた国際的な諸文書において、ロシアの領土と決まっている。それでもなお、ロシアは日本との間で平和条約を締結する形での解決を見出すつもりだった。一時期我々は、安倍前総理を含む日本の何人かのハイレベルの人たちと建設的な関係を構築した。

安倍氏は、悲劇的に亡くなってしまったけれども、彼はロシアと日本の関係を、つなげるために非常に大きな努力をした。しかし、今や残念ながら隣国の立場には変化が見られる。私は強調したいのは、この変化というのは我々が仕掛けたものじゃない」と。

その上で「しかし、私は強調したい。ロシアは日本も含めた、あらゆる隣国との協力をする用意はある。ロシアは、諸地域で安全保障を強化している。だが、我々は常にすべての隣国やパートナーたちに受け入れ可能なコンプロマイズ(妥協点)を探すことにはオープンである」。

このスピーチした上で、プーチンは翌日に択捉に行っているのである。

実はプーチンの基本姿勢は変わっていない

ここから読み取れることは何か?

ロシアの国内政治として、プーチンが択捉に訪問しないということは、やはりおかしなことなのだ。2010年11月には当時のメドベージェフ大統領が、ソ連時代も含めて元首として初めて、北方領土(国後)に訪問している。プーチンは2024年にも一回行くという話があったが、天候がよくないなど日本とは関係ない事情で行かなかった。

そして今回、行く前にこのメッセージを出した。おそらくプーチンの立場は、2024年11月7日に発したメッセージと基本的に変わらないと思われる。要するに一度日本が接触しようとして来たにもかかわらず、なんとなく止めてしまったことに対する、なんとも言えない怒りがあるのではないかと。

2010年11月、メドベージェフ大統領の国後訪問 by Gettyimages

ただ、ロシア側もアメリカが動かない中で日本にだけ言ってもしょうがないことは分かっているとは思う。けれども、カチンと来たので、もう一度サインを送り直そうとしたということだろう。

択捉訪問後、日ロ双方の非難応酬があったが、これは基本的に相互の国内のオーディエンスに向けてのものだ。日本は北方領土問題では国内の反応が強いし、ロシアはロシアで、領土問題で弱腰であることは国内政治的に示すことはできない。弱腰でいいのだったら、そもそもウクライナ侵攻は起きなかった。

なぜ日本はロシアと交渉するのか

このようなロシアを巡る情勢の変化が、今回のプーチンのサハリンでのスピーチとエトロフ訪問の背景にある。もともとロシア側のシグナルがきっかけで始まった日ロの関係改善の動きは、これで一頓挫した形になった。

2016年12月、プーチン来日 by Gettyimages

ここで考えて見なければならないのは、日本の対ロ政策の目標、特に中長期的な目標は何なのかということだ。

先に紹介した安倍政権の対ロ政策にあるように、ロシアを中国に完全に依存させないことが日本の国益である事は現在でも変わらない。

第二に、特にエネルギー問題を考えた時、これほど好立地な資源国は他に存在しないということだ。

ウクライナ問題を理由にロシアへの制裁強化を主張する立場と、北方領土問題を重視する国内政治の立場の両方から、今回の択捉訪問をもって、政府の対ロシア政策を非難する声が強くなっているようだ。しかし、プーチンが択捉に行ったからと言って、日本にとっての対ロシア関係のファンダメンタルズが変わるわけではない。

ただ北方領土問題は常に最初の関門ではあるが、それだけに目を奪われていては、全体像が見えない。今回の日ロ関係から読み取れるように、日本のあり方は、アメリカ、ロシア、そして中国という超大国の相克に左右される。

その中で、どのように安定的な基盤を確保するか。領土問題だけではなく地域情勢をにらんだ上での目標追求が必要であるという教訓を、今回の迷走は示しているのではないだろうか。

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です