『大物・王岐山の進退、決めるのは習近平か米国か 指導部リスト漏れの特報、米国による海航の謎暴き…思惑は?』(8/30日経ビジネスオンライン 福島香織)について

8/29看中国<港媒:十九大重新斷代 頂層人數有變(圖)=香港メデイア:19回共産党大会では古き時代とは変わってトップ層の人数も変更>。これによれば習近平への権力集中と政治局常務委員の数を5人にすると。人大委員長、政協主席は常務委員にならず、総ての人事は習が決めるとも。

https://www.secretchina.com/news/b5/2017/08/29/833703.html

8/28ZAKZAK 河添恵子氏記事<習政権、朝日新聞見捨てたか 「新チャイナセブン」読売スクープ報道の深層 河添恵子氏が緊急リポート>。記事にありますように朝日は中国からも見限られたとすれば、読者が減って利用価値がなくなったと思われているからでしょう。今後も押紙訴訟でダメージを受け、潰れた方が良いと思っています。ただ、代わりに読売と言うのも。ナベツネの方が使いやすいとの判断でしょうか?でもそんなに長くは生きてはいられないでしょうけど。新聞よりTVの影響力のほうが大きいですが、外国政府の人事に関心を持っている人は少ないので、文字媒体を使うことになります。

http://www.zakzak.co.jp/soc/news/170828/soc1708280007-n1.html

8/31ロイター<アングル:中国の外資系企業、共産党の「内部介入」を懸念>。何時も言っていますように、中国の合弁企業には「董事(取締役)全員一致の原則」があり、少なくとも一人は中国人を董事にしないといけませんので、重大決議事項は中国人の意向を無視しては経営できません。ただ、今までは合弁企業内にも党書記がいても、目立った動きはしていなかったと思います。これも習の強権政治、監視強化の流れの一環でしょう。やがて習は国内の抑圧政治の目をそらすため戦争に打って出るかもしれません。そのためには兵站部隊となる企業が指揮に随う必要があります。国防動員法だけでは実際運用する場合、機敏に動けず、不断から企業を飼いならしておくつもりでしょう。

http://jp.reuters.com/article/china-congress-companies-idJPKCN1BA07R?il=0

共産党の19回大会後の人事がどうなるかは分かりません。常務委員も5人になるのか7人のままか、はたまた習が党主席になり絶対権力を保持し、常務委員会も人代と同じく追認機関になるだけかどうか。10月18日に大会は開かれますので、それまで待つしかありません。福島氏の言うように王岐山がどうなるかは楽しみです。米国も郭文貴や令完成をもっと利用すれば良いのに。ドンドン令完成から得た情報をリークして共産党の統治の問題を明らかにした方が良いでしょう。

記事

大物政治家・王岐山の進退は習近平政権の今後に大きな影響を与える(写真:ロイター/アフロ)

王岐山が久々に公の場に姿を現した。8月24日午前、北京の八宝山で行われた党中央高官の安志文(98歳)の葬儀に参列したのだ。6月22日以降、王岐山の動静は絶えていた。王岐山はこれまで神隠しのように姿を消すことが六度ほどあったが、その直後は必ず大物政治家が失脚した。7月14日に孫政才失脚、その後も姿を消していたので、もう一人くらい失脚するかもしれないとささやかれていた。その一方で、ちょうど読売新聞が世界に先駆けて、次期政治局常務委員リストなるものを入手して、それに王岐山が入っていなかった、という特ダネを報じた。はっきりいって今の時期に、人事がすべて確定しているとは到底思えないのだが、王岐山をめぐる権力闘争が最終段階に入っているもようなので、一度整理しておこうと思う。

習近平は欠席、江沢民は不明

王岐山が久々に姿を現したという安志文の葬式で、もう一つ興味深いことは、習近平が出席していなかったということである。花輪は送っているので、単に忙しかったからかもしれないが、安志文と習仲勲(習近平の父親とは抗日戦争時、西北局綏徳地区での部下と上司、戦友関係)の関係を思えば、当然出席してもおかしくはなかった。王岐山と顔を合わせたくなかったから?などという憶測も飛んだ。

葬儀に出席したのは政治局常務委員会の中では王岐山と兪声正、張徳江、その他の政治局常務委員および胡錦涛、温家宝は花輪を送った。宋平夫妻、李鵬夫妻は「挽聯」(哀悼の聯)を送った。江沢民についての報道はなかった。革命英雄の大告別式であり、参列者は千人以上であったようだ。

8月13日に行われた水稲研究で知られる農学者の朱英国の葬式には王岐山はちょうど“神隠し中”で政治局常務委員七人の中で唯一花輪すら送らず、葬儀報道に名前が出なかった。ちなみにこのとき、江沢民も動静が途絶えていた。江沢民がこうした党中央の高官や学者に花輪すら送らなくなったのは今に始まったことではないが、13日はまだ北戴河会議が行われていたと思われるので、もし江沢民がこの会議に出席しているのなら、当然、他の長老らともに花輪を送るか哀悼の聯ぐらいは送ってもよかっただろう。

王岐山の“神隠し”と江沢民の動静不明が重なって、王岐山がいよいよ、江沢民の政治生命にトドメをさす準備に入っているのではないか、などともささやかれた。

そういうタイミングで日本の読売新聞(8月24日付)が特ダネとして、「中国次期指導部リスト判明、王岐山の名前なし」と報じたので、一部外国メディアも驚いて転電した。読売新聞は複数の関係筋の話として、北戴河会議で作成された次期指導部リストには定年通りに引退するかあるいは残留するかが注目されていた王岐山の名前はなく、習近平、李克強、汪洋、胡春華、韓正、栗戦書、陳敏爾の七人の名前があった、と報じた。いくつかの海外メディア関係者は、この情報について、「薄熙来失脚を最初に報じたのも日本メディア(産経新聞)だったから、日本の報道は無視できない」と注目している。

どこの筋から流れたのか

このリストが信頼できるかどうかは別として、いったいどこの筋から流れた話かは興味深い。習近平は、総書記三期目を実現するために、王岐山という誰もがその優秀さを認めるスーパー実務家を、定年を超えて留任させ、定年制度を打破する先例にしようとしている、というのが一般的な見方だ。これは王岐山が習近平と盟友関係、あるいは政治的に同盟関係にあるという前提がある。これが共青団筋や上海閥筋から流れてきた情報ならば、共青団派は習近平との人事駆け引きに勝利して、実力不足の陳敏爾を政治局常務委員会に入れることを認めるかわりに有能な王岐山を引退させ、定年制の壁を崩そうとする習近平の目論見を防いだ、というふうな解釈になる。

一方、親習近平筋から出てきた話なら、共青団エースの胡春華の対抗馬になりうる陳敏爾を政治局常務委員会入りさせた習近平派の勝利人事だ、という見方になる。陳敏爾が宣伝イデオロギー担当として指導部(政治局常務委員会)入りするというのは、これは従来のルールではありえなかった。陳敏爾のように地方行政トップ経験が三年にも満たない者が、政治局委員も経ず、いきなり政治局常務委員会入りが許されたとするならば、政治局常務委員会の権威が相対的に軽くなる。それを強引に習近平ができたというならば、すでに習近平の独裁基盤は固められつつある、ということになるやもしれない。そして、二度の金融危機を乗り越え、反腐敗キャンペーンでも次々と大物政治家を倒していった実務能力の高い王岐山に対しては、コンプレックスの強い習近平は実は疎んでいた、という説に信憑性が出てくるわけである。

読売新聞は記事中で、リストが固まったものではなく、人事駆け引きの途中経過にすぎないということわりを入れている。が、その数日後に、毎日新聞は陳敏爾の政治局常務委員会入りは「固まった」と断定的に報じた。他のメディア関係者も、確定で打つ、打たないは別にして、陳敏爾については「ほぼ内定」との見方を示すところが多い。話はそれるが、陳敏爾は胡海峰(胡錦涛の息子)が浙江省清華大学長江デルタ研究院党支部書記に就任するとき、かなり便宜を図ったので、胡錦涛は恩義を感じているらしい。陳敏爾が実力に見合わないまま貴州省書記に昇進できたのは、貴州省に依然影響力を持つ胡錦涛の後押しもあったから、とか。とすると、王岐山の進退はともかく、胡春華と陳敏爾ふたりともを政治局常務委員会に入れるのであれば、共青団派にとってはぎりぎり譲歩可能ということになる。

ちなみに今ゴシップメディアに飛び交っている次期指導部リストには、政治局常務委員席が7人から5人に減らされ、王岐山、李克強とも引退するという説から、王岐山が政治局常務委員会に残留し、全人代常務委員長のポストにつきながら首相の李克強を補佐するという説、7人中、習近平、李克強、陳敏爾、胡春華、汪洋、栗戦書を含めた6人までの内定が固まっており、最後の一席を王岐山、韓正、趙楽際が争っている、という説などがある。

いずれにしろ、王岐山の進退が今、山場に入っていることは間違いない。しかも、王岐山が引退すれば、王岐山失脚につながる可能性が全くないとは言えないかもしれない。以前、このコラムでも紹介した闇の政商・郭文貴は、今なお王岐山の腐敗ネタを次から次へとインターネットメディアを通じて拡散中だ。特に海南航空集団(海航、HNA)の株主に王岐山の甥がいて王岐山ファミリーに巨額の富を移転し、王岐山自身が海航からプライベートジェットはじめ多額の賄賂を受け取っているという疑惑は、新華社が完全否定しているにもかかわらずまだくすぶっており、それに加えて王岐山の私生児が海航の大株主だ、という新しいネタも飛び出している。王岐山自身はノーコメントだが、郭文貴の言い分を積極的に流す米国に拠点を置く華字メディア・明鏡ニュースに対して、郭文貴自身のスキャンダルやうさんくささを報道して、その影響力を打ち消そうとしている親王岐山メディアの財新が、代理闘争を請け負っている。

米メディアが「海航の謎暴き」に本腰

ここで、気になるのは米国の動きだ。最近の3年間だけでも450億ドルを海外資産購入に投じた海航に関しては所有権や株主構成、債務水準や資金調達ルートに対する疑惑を米大手メディアが盛んに報じるようになってきた。

8月25日付けニューヨーク・タイムズ(NYT)は、海航集団とパシフィックアメリカンコーポレーション(ボーイングなどにも航空機部品などを提供するサプライヤー企業、PAC在ニューヨーク)の謎めいた関係について、新たな証拠を入手したと報じている。海航は中国最大級の非上場コングロマリットの一つで海外資産の積極買収で知られ、現在、ドイツ銀行の最大株主でもある。その在米本部が置かれているPACとの親密な関係については、いろいろと謎が多かった。海航側は、もともと別の独立した会社で、海航集団参加の海南航空に必要なエンジン部品などを購入するなどの取り引き関係しかなく、PACの株などももっていないとしていた。だがNYTが入手した資料によれば、PACの経営者は海航のCEO陳峰の実の息子と弟であり、香港とケイマン諸島のオフショア企業を通じて、海航とPCAのオーナーシップ関係を隠蔽していたという。これは中国の証券法に違反している可能性がある、という。

PACは陳峰の弟が90年代初頭に米国に移住してきた後に、ほぼ同時期に中国で設立された海南航空のサプライヤー企業として設立。このとき契約書類には、PACは独立採算企業として海南航空から1.5%の手数料を受け取って部品などを代理購入することになっている。やがてPACはボーイングやハネウェルとも契約を結び、海航を物流、不動産、ホテルサービスなどを包括する大航空コングロマリット企業に成長させる一方で、自社も米軍事部門へと食い込もうとしていた。

海航の追及と王岐山の進退はリンク

海航集団が最近明らかにした自社株の所有構造では、52%をニューヨークと海南省に設立された慈善団体が保有し、47.5%を陳峰ら役員個人が所有、残りを海南航空が所有という。慈善団体が株主というのもいかにも怪しげで、この辺を丁寧にあらっていけば、王岐山かどうかは別として、大物政治家ファミリーの名前ぐらいは出てきそうな気配だ。

海航集団の所有構造についてはずっと謎であったが、海航が、ホワイトハウスのスカラムッチ元広報部長が創業したヘッジファンド運営会社の買収を目指していることなどから、その所有構造や資金ルートを明らかにするよう圧力がかけられていた。バンクオブアメリカ・メリルリンチは自社の関連投資部門に海航との取引を全面停止するよう通達を出している。

また、ブルームバーグも25日、海航が銀行以外からも非上場株を担保に指標金利を上回る高利で巨額の融資を受けていることを指摘、投資採算性に疑問の声も、と報じた。

この米国の海航の謎暴きと王岐山の進退は、おそらくリンクしている。今年に入って、飛ぶ鳥を落とす勢いであった海航集団の背後を米国が真剣に洗いはじめたのは、私は郭文貴あたりから提供された情報が元になっているのではないかと疑っている。郭文貴の告発は、王岐山が有名女優とどんな破廉恥なことをしているとか、私生児疑惑だとか、まるで昼のワイドショーネタで、単なる放言と日本のメディアもほとんどとりあっていない。だが、米国にしてみれば、ドイツ銀行やヒルトンホテルを傘下に収め、ボーイングやハネウェルを通じて軍事産業に近づきつつある謎の多い海航の正体をこの際、徹底的に暴きたいところだろう。万が一、その過程で王岐山の政治生命にかかわるようなネタが出てくれば、習近平政権の屋台骨も揺らぐような事態になるかもしれない。

郭文貴の放言の中で、すこしひっかかるのは、一貫して主張している王岐山と習近平の対立説である。盟友あるいは政治的同盟関係とずっと信じられてきた二人の関係が、かなり当初から対立関係にあったとすれば、王岐山を追い落とそうとしているのは、実は習近平という可能性も出てくるわけだ。もちろん習近平と王岐山の間に疑心暗鬼を起こし、二人を分断しようという郭文貴の作戦説もあるのだが、スーパー実務家として高い能力が実証済みの王岐山をずっと傍らに立たせておくことが、コンプレックスの強いらしい習近平に耐えられるか、という気もする。あるいは米国側が海航の背後を洗い出していく過程で、王岐山の腐敗の証拠が出てくる前に王岐山に消えてもらった方が習近平政権にとって安全と考え今、王岐山を切ろうとしているのかもしれない。

「反汚職の反動」に耐えられるか

もっとも王岐山にすれば、権力の座から降りた後の方が危険であろう。なにせ、もう元政治局常務委員が刑事責任を問われないという不文律「刑不上常委」は、周永康の起訴で消失している。権力の座から降りたとたん、王岐山の腐敗が、次の中央規律検査委員会書記によって暴かれる可能性がないとはいえないのだ。ちなみに次の中央規律検査委員会書記の筆頭候補と目されているのは習近平の大番頭こと栗戦書である。

なので、孫政才失脚直後、サウスチャイナ・モーニングポスト(7月19日)に栗戦書の不正蓄財疑惑を報じさせたのは王岐山だ、という噂が流れてしまうのかもしれない。サウスチャイナ・モーニングポストは結局、栗戦書疑惑の記事を事実確認ができないのに報じたと謝罪し取り消し、しかもその一か月後にそれを報じた記者を辞職させた。サウスチャイナ・モーニングポストは、習近平の政商と呼ばれている馬雲(ジャック・マー)率いるアリババが所有するメディアで、そのようなメディアが栗戦書スキャンダル記事を掲載した背景がいろいろと取りざたされた。馬雲の裏切り説もあるが、王岐山黒幕説もまことしやかにささやかれた。

郭文貴の暴露も、習近平と王岐山の権力闘争説もゴシップレベルの話であるが、「海航の謎」については、米国サイドが本気で暴くかもしれない。もし、その過程で、その汚職の確実な証拠が出てきて、王岐山が失脚したら、習近平政権はどうなるだろうか。王岐山によって汚職の罪で失脚させられた官僚政治家たちは一斉に名誉復活を求め、裁判のやり直し騒動が起きるかもしれない。習近平政権が旗印に掲げてきた反汚職キャンペーンの説得力が一気に失われることだろう。そうなったとき、習近平政権の権威は維持できるのか。いや共産党の執政党としての権威自体が維持できるのか。

王岐山の進退は、単なる一官僚政治家の進退以上に大きな影響力を持ち得る可能性がある。

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『韓国の無神経な「中立宣言」に米軍が怒った 弾道弾が飛ぶ中、「墓穴」を掘る文在寅』(8/31日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について

8/31ダイヤモンドオンライン 窪田順正氏記事<呑気にJアラート批判の日本人は日米開戦前夜にそっくりだ>。左翼が跋扈していて、それに乗せられる人がまだいるという事です。自分が攻撃を受けて死ぬ自由はありますが、他人の行動を制約する自由はありません。ノイジー・マイノリテイ、声が大きいだけのイカレポンチです。大衆はメデイアの言っていることに反対の行動を取ると周りから白眼視されると言う思いがありますので、すぐ付和雷同します。覚悟が足りないといえば足りないのですが。「それでも地球は回っている」という勇気が必要です。況してや自分の命にかかわることですから。室井佑月は「北のミサイルを日本がミサイル防衛で撃ち落とすと破片が日本に落ちて来て危ない」とか言っているそうです。この人の頭の中を見てみたい。直撃した場合の人的・物的損害がいかほどのものになるかを計算すれば分かるでしょう。室井は小沢シンパですからさもありなん。そもそも他国をミサイルで威嚇する方が悪いに決まっています。対抗措置を自国が取るのは当然。北は何度も国連決議違反を繰り返しています。その国の行動に対して、自衛権を行使するだけです。

http://diamond.jp/articles/-/140441?utm_source=daily&utm_medium=email&utm_campaign=doleditor

杉浦正章氏ブログ8/31<米有力紙WSJが日本の核武装に言及>、8/30<敵基地攻撃能力が不可欠となった>WSJは「日本に核は持たせたくないが、北に核保有を認めれば、日本国内でそういう声が大きくなっていく。核拡散への道だ」と主張しているように見えます。それなら米国は自国への脅威でもあり、北のミサイル・核を根絶しなければなりません。

http://thenagatachou.blog.so-net.ne.jp/

8/28ブログ「ぼやきくっくり」<8/28放送 DHCシアター「真相深入り!虎ノ門ニュース」>によれば、青山繁晴氏は「朝鮮戦争は、年内はない」と言っています。8/29に北がミサイルを発射したので変わることがあるかどうかですが。また、米軍情報が韓国軍からダダモレとも。これでは、在韓米軍を使って攻撃は出来ないでしょう。また、青山氏は「米国が北の核保有を認めれば日本も核保有する」とハリス長官に伝えたそうです。日本人が似非平和主義者(共産党シンパ)に騙されて、命を落とすことより、核自衛した方が良いと合理的判断ができれば、そうなるでしょう。

http://kukkuri.jpn.org/boyakikukkuri2/log/eid2096.html

鈴置氏の記事で、米軍の北朝鮮攻撃の際の日本の参加は、拉致被害者救出の場面に限ってでしょう。憲法上の制約と敵基地攻撃能力の保有についてまだ議論が進んでいませんので。日本も早く目覚めないと、多くの人が死ぬことになります。北の問題の次は本命の中国が控えますので。いい加減、左翼のプロパガンダに騙されないようにしてほしい。民主主義と言うのは自分の頭で判断できる人間を前提とした制度です。

記事

サーマン元司令官はVOAのインタビューで「米国は自分を守るのに、いかなる承認も必要としない」と答えた(写真:ロイター/アフロ 撮影は2013年、板門店で開かれた朝鮮戦争休戦60周年記念式典)

前回から読む)

文在寅(ムン・ジェイン)大統領の「中立発言」が波紋を呼ぶ。その無神経さには米国も怒った。

韓国には拒否権がある

鈴置:8月26、29日、北朝鮮が相次いで弾道ミサイルを発射しました。そんな中、文在寅大統領の不用意な発言が注目を集めています。「なぜ、墓穴を自ら掘るのか」と、韓国ウォッチャーは首を傾げています。

—「中立宣言」のことですね(「ついに『中立』を宣言した文在寅」参照)。

鈴置:その通りです。日本からの独立を祝う光復節の祝辞で、以下のように語りました。青瓦台(韓国大統領府)の「第72周年光復節祝辞」(8月15日)から引用します。

朝鮮半島で再び戦争を繰り返してはなりません。朝鮮半島での軍事活動は大韓民国だけが決めることができ、誰も大韓民国の同意なくして軍事活動はできません。

政府は何があっても戦争だけは止めることでしょう。

北朝鮮の核武装を阻止するため米国がいつ先制攻撃するか、と緊張感が高まっています。そんな時に文在寅大統領が事実上「米国の北朝鮮攻撃に関しては韓国に拒否権がある」と主張したのです。

そのうえで「米国の攻撃は体を張っても止める」とも語りました。それは「有事の際の中立宣言」でもあります。

米国務省の定例ブリーフで、この発言に質問が集中しました。報道官は「拒否権」に関し答えを避けましたが、北朝鮮の人権状況を非難したため「異様な国の側に立つ韓国」とのイメージが世界に向け発信されました(「『世界の敵』とスクラムを組む韓国」参照)。

完全なミスリード

—「中立宣言」は国民に対し「戦争は起きない」と安心させる狙いだった、と説明する韓国人もいます。

鈴置:韓国の左派系紙も「平和への意思を明らかにした」と賞賛しました(「ついに『中立』を宣言した文在寅」参照)。確かに、先ほど引用した演説では以下が続きます。

どんな紆余曲折があろうと、北の核問題は平和的に解決せねばなりません。この点で我々と米国政府の立場に違いはありません。

「米国も韓国と同様、戦争するつもりはない」と強調することで国民により大きな安心感を与えるつもりだったのでしょう。

でも、米政府は「戦争も辞さない」構えです。文在寅大統領の発言は完全なミスリードです。

8月13日、マティス(Jim Mattis)国防長官とティラーソン(Rex Tillerson)国務長官は連名でWSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)に「We’re Holding Pyongyang to Account」を寄稿しました。もちろん米政府の公式見解で、ホワイトハウスのサイトに一部が転載されています。

両長官は「平和的な圧力をかけている」と言いつつも「外交は北朝鮮の行いの方向を変える望ましい方法だが、それは軍事的な選択肢に支えられている」と威嚇しています。この部分の原文は以下です。

While diplomacy is our preferred means of changing North Korea’s course of action, it is backed by military options.

「北に教える」と文在寅

—そもそも、韓国に「拒否権」はあるのですか?

鈴置:「ホラ」です。米国が北朝鮮を攻撃する際、少なくとも初めの第1撃は洋上の空母やグアムの基地から攻撃機が発進し、ミサイルが放たれると見込まれています。韓国外からの攻撃ですから、韓国の許可を得る必要はない、というのが常識です。

なお、多くの専門家は在韓米軍基地から第1撃をかける可能性はまずないと言います。攻撃前に韓国政府にばれてしまい、北朝鮮に通報される危険があるからです。

文在寅氏は大統領選挙の期間中「米国から攻撃を通告されたら北朝鮮に知らせ、その挑発をやめさせる」と語っています(「米国に捨てられ、日本に八つ当たりの韓国」参照)。

米国がそんな指導者に戦争を事前通告するわけがありません。「仮に通告しても開戦数分前。形式的なものになるだろう」と専門家は口を揃えます。

朴槿恵政権にも通報せず

—「反米親北」政権でなければ、状況は異なりますか?

鈴置:朴槿恵(パク・クネ)政権も米国は信用しておらず、当時から「韓国には事前に教えない」というのが一般的な見方でした。朴槿恵政権は北朝鮮には通報しないだろうが「離米従中」だけに、中国には確実にたれ込むと見られていました。

このあたりは米国や日本の安全保障専門家の間では常識なのですが、文在寅大統領はそれを認めません。「自分が米国から信用されていない」と思われたくないのでしょう。

韓国の「中立宣言」にはWSJがすかさず反応しました。「Seoul Warns U.S. Against Unilateral Military Action Against North Korea」(8月15日)で以下のように書いたのです。

Experts disagree on whether the U.S. would be legally obliged to seek Seoul’s approval before launching a military strike, particularly if the U.S. believed that its national security was at stake.

「軍事攻撃の前に韓国に許諾を得る法的な義務があるかに関し、専門家の間で定説はない」です。在韓米軍基地からの攻撃か、それ以外からの攻撃かは区分していませんが、いずれにせよ「韓国に相談するとは限らない」ということです。

疑う韓国の記者たち

—韓国メディアはどう反応しましたか。

鈴置:「中立宣言」の2日後の8月17日に、文在寅大統領の記者会見がありました。ここでWSJの指摘した「拒否権」の有無に関する質問が出ました。

中央日報系のテレビ局、JTBCの「文在寅大統領就任100日記者会見」(8月17日、韓国語)で質疑を視聴できます。

初めに質問に立った聯合ニュースの記者は「何があっても戦争は止める」との大統領の発言に関し「米国との協調はできているのか」と聞きました(開始14分36秒から)。

これに対し大統領は「トランプ大統領はどんな選択をするにしろ、韓国と事前に十分に協議し、同意を得ると約束した」と答えました。

しかしその答えは素直に受け止められませんでした。会見が終わりかけた頃、韓国のMBCのプロデューサーが再度、この点を突っ込みました。

「北朝鮮のICBM(大陸間弾道弾)が米本土に届く可能性が出てきた。米国は韓国との協議なしで攻撃する権利がある。これをどう考えるか?」と聞いたのです(開始53分30秒から)。文在寅大統領は考えつつ、次のように答えました。

北朝鮮の挑発に対し、米国が適切な措置をとることもあり得る。しかし、朝鮮半島での軍事活動に関しては韓国が決めることであり、韓国の同意が必要だ。

米国が朝鮮半島の外から軍事活動する時も、南北関係を緊張させる憂慮がある時は、事前に韓国と協議すると確信している。それが韓米同盟の精神である。

「米兵の命が大事」と言うなら

—「拒否権」を主張したうえ「韓国以外から攻撃する時も韓国の承認が要る」と言い出したのですね。

鈴置:ええ、主張をさらに強化しました。文在寅大統領の強気は止まりません。8月21日に訪韓した米上下両院の議員団には「米国の制限的な軍事行動でさえも、南北の衝突につながる。これは韓国人だけでなく韓国内の多くの外国人と在韓米軍人の生命も危険にさらす」と語りました。

ハンギョレの「文大統領、『軍事衝突時は、在韓米軍人の生命も危険に』」(8月22日、日本語版)は以下のように解説しました。

文大統領のこの発言は「大韓民国の同意なしで朝鮮半島での軍事行動を決めることは誰にもできない」という既存の立場を繰り返し確認し、米政界に北朝鮮に対する平和的・外交的解決法を強調したものと見られる。

いずれにせよ、実に恩着せがましい発言です。在韓米軍の将兵がこれを聞いたら「そんなに我々の命を心配してくれるのなら、THAAD(地上配備型ミサイル迎撃システム)の増強を一刻も早く許可してくれ」と怒り出すと思います。

「裏切りは許さない」

—米国は黙っているのですか?

鈴置:即座に反撃しました。米政府が運営するVOA(アメリカの声)の韓国語版は翌8月23日「<深層取材>『米軍、北朝鮮から攻撃された場合は韓国の承認なしで武力対応可能』」を載せました。

VOAは歴代の在韓米軍司令官3人を含む専門家に意見を聞きました。ベル(Burwell Bell)元司令官の答えは以下でした。韓国語版ですが、将軍たちの発言の一部は英語でも引用されています。

米本土が北朝鮮の攻撃の脅威にさらされ、北朝鮮に軍事的に対応する場合、在韓米軍の運用は米国と韓国双方の承認を得なければならない。そんな状況で韓国がこれに同意することを確信している。

文在寅大統領と同じ「確信している」という言葉を使い「法的にはともかく、在韓米軍による攻撃を拒否したら承知しないぞ」と言っているわけです。法的な問題に関しては、次のようにも述べています。

北朝鮮が米本土への核攻撃の能力を持った状況は、これを直接的に明示していない米韓相互防衛条約の枠外で扱うしかない。こうした仮定の状況下で、文在寅大統領の支援と米韓同盟の確実性は揺れないと確信している。

—「肝心な時だ。裏切りは許さない」ということですね。

鈴置:その通りです。なお、この記事の見出しには「北朝鮮から攻撃された場合」とありますが、ベル元司令官は「反撃」だけではなく「先制攻撃」も念頭に置いていると思われます。

「攻撃された場合」ではなく「攻撃の脅威にさらされた場合」と言っているからです。北朝鮮が「グアムを攻撃するぞ」と言っただけで「脅威」となるわけですから。ベル司令官は言葉を続けます。

韓国がこれ(在韓米軍基地からの攻撃)を拒否する場合、米国は国際法に従い、在韓米軍以外の米軍の資産により北朝鮮を攻撃し得る。これに対する韓国の承認や協力の必要はない。

日豪も作戦に参加可能

—きっぱりと言い切りましたね。

鈴置:当然の話だからです。ベル元司令官は、日本も韓国の許可なくして北朝鮮を攻撃できると述べました。これまた当たり前の話ですが。

韓国の領土外の日本、豪州などその他の米国の同盟国も、韓国の承認を受けずに米国の軍事作戦に参加できる。

サーマン(James D. Thurman)元司令官もVOAの質問に対し、次のように答えました。

すべての主権国家は自分を守る権利がある。韓国と同様に米国は北朝鮮の脅威から自分の国を防衛する権利がある。

米国は自分を守るのに、いかなる承認も必要としない。戦争に巻き込まれた際、我々が自衛するのは固有の権利である。それは韓国と同様だ。

ベル元司令官と異なり、場合分けはせずに「自分の国を守るのは当たり前だ」と本質論で答えました。「韓国には拒否権がある」と主張する文在寅大統領に対し「寝ぼけたことを言うな」とたしなめたのです。

ティレリー(John H.Tilelli jr.)元司令官の答えは短いもので「北朝鮮の核問題の最善の解決策は平和的な方法によるものだが、大統領にとって最優先すべきは自国民の安全だ」でした。交渉は重要だが、軍事的な手段を放棄するつもりはない、という意味です。

我が国の大統領が恥ずかしい

—米政府はVOAを通じ韓国に対し「対北朝鮮攻撃に口を出すな」と通告したのですね。

鈴置:その通りです。文在寅大統領の勝手な言い草には耳を貸さないと宣言したのです。3人の元司令官の発言からは「韓国の裏切り」への怒りも感じ取れます。

保守系紙の朝鮮日報がさっそくVOAのこの記事を長々と引用しました。「ベル元駐韓米軍司令官『米国は韓国の承認なくして北朝鮮を攻撃できる』」(8月23日、韓国語版)です。

朝鮮日報は最大手紙。多くの韓国人がこれを読んで「韓国の大統領が何と言おうと、米国は戦争が必要な時はさっさと始めるのだな」と考えたことでしょう。

掲載後1週間で、287人もの読者がこの記事にコメントを書き込みました。ほとんどが「元・在韓米軍司令官の言う通りだ。自分の国の安全保障を他国の判断にゆだねるなんてあり得ない」「我々の同意なしに戦争はないだって? そんな純粋無垢な主張をするなんて恥ずかしい」など、文在寅大統領への批判でした。

石器時代に戻すぞ

—大統領の演説は逆効果になりましたね。

鈴置:完全な藪蛇です。国民を安心させるどころか不安にさせました。記事への書き込みには「米国に向け飛んでいくミサイルは韓国が落として当然なのに。5年後には韓国という国はなくなっているかもしれない」と米韓同盟消滅を憂慮する声もありました。

韓国の外交専門家からも大統領の「不用意な発言」を懸念する声があがりました。外交官出身の魏聖洛(ウィ・ソンラク)ソウル大学客員教授が中央日報に「類を見ない危機の中で対米外交を考える」(8月23日、日本語版)を寄稿しました。要点をまとめます。

米国が(北朝鮮の威嚇に)激怒する今、米国が受ける脅威に無神経だったり(「米朝双方が悪い」という)両非論を取れば、同盟の信頼性の問題は思った以上に深刻になる。

歴史的に米国は自ら危機が差し迫っていると認識すれば、行き過ぎた反応を見せた。米国優先を前面に出すトランプ(Donald Trump)政権下で、その可能性はさらに大きくなった。

「行き過ぎた反応」で思い出すのは「9・11」(米同時テロ)の直後「米国に逆らって(対テロ戦争に協力しなければ)空爆で石器時代に戻すぞ」とパキスタンを脅したアーミテージ(Richard L. Armitage)米国務副長官(当時)の言葉です。

HUFF POSTの「Exclusive: CIA phone tap of Armitage’s “Stone Age” threat to Pakistan!」で読めます。

同盟国らしい対応を

—「石器時代」ですか。

鈴置:「9・11」の時ほどではありませんが、米国はいらだちを強めています。北朝鮮は「米国が核と制裁を振り回せば、本土が想像もつかぬ火海になる」(8月6日)、「グアムを包囲射撃する作戦計画を慎重に検討」(8月9日)などと威嚇しました。

「その直後に韓国が中立を宣言すれば、米国はどう思うか」と魏聖洛教授は国民に問いかけたのです。韓国はTHAADの追加配備も渋りました。そんな無神経さが米国の「韓国切り捨て」につながりかねないと魏聖洛教授は警告したうえ、とるべき道を説きます。

相互防衛条約に従って韓国の対米支援の義務が発動される可能性がある。米国内で対韓防衛の見直しや、半島をめぐる新たな安保構図の議論をあおる可能性もある。

米国が直面した脅威に積極的に共感し、同盟らしい対応を取る準備を継続する必要がある。

これは決定的な瞬間に米国を説得する資産になる。その後、静かな外交で米国に節制された対応を呼びかけるのが現実的だ。

—説得力がありますね。

鈴置:そう思います。今、韓国が何と言おうと米国の強腰を制止するのは難しい。それどころか「中立宣言」は戦争を呼びかねません。

それにより北朝鮮に対する外交的な圧力が弱まれば、米国が軍事的な手段を選ぶ可能性が増すからです(「『世界の敵』とスクラムを組む韓国」参照)。

米韓関係も悪化し、同盟打ち切りもあり得ます。文在寅大統領の中立宣言は韓国の国益を大きく損ないかねません。

北朝鮮の顔色を見た?

—なぜ、そんな演説をしたのでしょう。

鈴置:この謎を解くカギがあります。北朝鮮の顔色を見ながら「中立」を宣言したとすると、すべてつじつまが合うのです。

(次回に続く)

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