『ミサイル防衛を偏重しすぎている日本 「国産よりアメリカ製品を優先」の不思議』(9/14JBプレス 北村淳)について

9/8~11に時事通信が実施した9月の世論調査の結果です。9/15発表。「核・ミサイル開発を進める北朝鮮は現実の脅威と感じるかを聞いたところ、「感じている」が81.3%で、「脅しの域を出ておらず感じない」の15.4%を大幅に上回った。一方、北朝鮮対応を踏まえ、防衛省の来年度予算概算要求が過去最大となったことについては、「賛成」51.1%、「反対」32.4%、「どちらとも言えない・分からない」16.5%となった。」とのこと。北の脅威を感じている人が多いのに、防衛予算を増やすのに反対する人が1/3近くいるというのは驚きです。どうしたら脅威を除去できるのか真面に考えたことがないのでしょう。憲法9条が守ってくれると思っているのでしょう。頭上にミサイルが飛んできて初めて悟るタイプです。

本記事の一番下に添付しました樋口譲次氏の9/7<核施設のみならず一瞬で北朝鮮の全焦土化狙う米国 中露の支援断ち切るには不可欠、求められる日韓の覚悟>にありますように、中ロは裏で北を支援しています。

杉浦正章氏の9/15ブログには①中露の北への制裁の抜け穴・密輸について②ムニューシンの金融制裁について触れています。

http://thenagatachou.blog.so-net.ne.jp/

小生も北の核の脅威を除去するには①IEEPA法に基づく金融制裁②樋口氏の言う米軍による北への全面攻撃(「金正恩の斬首作戦による体制転覆はもちろんのこと、韓国の首都ソウルを火の海にすると豪語する軍事境界線沿いに配備された1万3600両といわれる大砲や多連装ロケット砲の一挙制圧、陸海空軍基地や地下に造られた攻撃拠点・兵器弾薬庫の破壊など、国土が消滅するくらいの全面攻撃になることは避けられないのではなかろうか。」)。B61-11と「あらゆる爆弾の母」を使って北の兵器を無力化するの2つだろうと思います。

北村氏の「ミサイル防衛システムに頼りすぎるのは危険」という考えには賛成です。敵の飽和攻撃にはミサイル防衛システムは無力ですので。それでも無いよりはあった方が良いと思います。ただ数の問題は防衛予算との兼ね合いであり、自衛隊の通常兵力向上とどう絡ませるかが問題です。早く防衛予算をGDPの2%である10兆円にすれば良いと考えますが、前述の時事の世論調査にありますように、防衛予算を増やさなくて良いというのが1/3もまだいる訳ですから。所詮、危機は他人ごとなのでしょう。日本の未来に対して無責任すぎます。

日本もインドの核を秘密裡に購入して、インドから中国と北を狙えるようにしておいてほしい。サウジがパキスタンの核を持っているのと同じように。ただ、秘密裡と言うことは抑止力にならないこととその2国はMADが通用しない国であることが難点です。しかし、米国が北に核保有を認めるのであれば日本も堂々と核保有を主張しなくては。原爆投下で被害を受けた日本の核報復を防ぐ狙いで定められたNPT体制の崩壊です。核兵器だけの問題ではなく、P5を中心とした国連の在り方に疑問を呈し、戦後レジュームを変える力になる可能性を秘めていると思います。

記事

北朝鮮平壌近郊で発射台から離れる北朝鮮の中距離弾道ミサイル「火星12」とされる写真。朝鮮中央通信提供(2017年8月29日撮影、30日公開、資料写真)。(c)AFP/KCNA VIA KNS〔AFPBB News

北朝鮮が核搭載大陸間弾道ミサイル(ICBM)を手にすることが確実になったため、アメリカでは、ミサイル防衛局(弾道ミサイル防衛システム開発の元締め)はもちろんのこと、連邦議会の議員も多くの人々も、弾道ミサイル防衛システムの強化を唱え始めている。具体的には、北朝鮮から飛来するICBMを迎撃するために、アラスカ州とカリフォルニア州に配備されている「GMD」(米本土防衛用弾道ミサイル防衛システム)から発射するインターセプター(迎撃用ミサイル)の数を増やすべきだという主張である。

日本でも、「イージス・アショア」(地上配備型の弾道ミサイル防衛システム)導入の声が急激に力を得ているようである。

既存のBMD態勢で十分という声も

アメリカで弾道ミサイル防衛(BMD)の強化が叫ばれているのは、北朝鮮のICBMがアメリカ本土に到達するかもしれないという新たな脅威が誕生してしまったからである。これまでも、ロシアと中国のICBM攻撃に対処するためのBMD態勢は、完璧ではないものの充実させる努力を続けてきてはいた。

しかし、長年にわたって互いに「核攻撃~報復核攻撃」という恐怖の均衡でバランスを取りつつ共存してきたロシアや中国と違って、北朝鮮の出方はアメリカにとっては読み切れない。そのため、北朝鮮の核戦力は、ロシアや中国の核戦力とは比べようがないほど貧弱とはいうものの、まさに新たな脅威としてアメリカ(それもグアムやハワイだけではなくアメリカ本土)に降りかかっているのである。

そうした北朝鮮の脅威に対応して、弾道ミサイル迎撃用インターセプターの数を増強せよ、という声が上がるのは無理もない流れといえる。

しかしながら、GMDやTHAAD(米陸軍が保有する地上移動式弾道ミサイル防衛システム)を増強する、といった考えに対して、「これまでロシアや中国からの脅威に備えていたBMD態勢で北朝鮮のICBMに対処できないわけではない」という声も上がっている。

つまり、北朝鮮のICBMはたとえ完成してもロシアや中国のICBMより性能が数段劣るし、数も極めて少ない。また、北朝鮮から発射されたICBMがアメリカ本土へ飛来する飛翔コースと、中国(満州エリア)からの飛翔コースは近接している。したがって、ロシアや中国からのICBM攻撃に対処する既存のBMD態勢をもってすれば、北朝鮮のICBMは十分対処可能ということになるのである。

BMDに頼り切ってはならない

それだけではない。多くの弾道ミサイル専門家たちは、そもそも慌ててGMDやTHAAD、SM3(イージス艦から発射される)などのインターセプターを大増強したところで、「北朝鮮のICBMを必ず撃破できるわけではない」と警告している。なぜならば「現在、調達可能なBMDの迎撃信頼性は、増強に熱心な政治家たちが考えているほど高くはない」からである。

例えば「BMDに頼り切ってはいけない」といったスタンスの人々は、「最も数多くの迎撃実験を行っているSM-3の迎撃成功率ですら85%であり、その数字も“成功するように設定された実験”によって得られた確率である」と注意を喚起している。

彼らはBMDそのものを否定しているわけではない。「迎撃率が100%にはほど遠い」という現在のレベルではBMDを「過度に信頼してはならない」と言っているのだ。

そのうえで、「インターセプターの迎撃性能を飛躍的にアップさせない限り、BMDのシステム本体やインターセプターの購入に大金を投じても、迎撃効果、そして抑止効果は向上しない」として、北朝鮮による“新たな脅威”に乗じてBMD関連予算を増強しようとする動きを強く牽制している。

気前よくBMDを購入する日本

日本でも、北朝鮮のICBM騒ぎに乗じてBMDを強化しようという動きが露骨に強まっている。

しかしながら、日本にとって北朝鮮の弾道ミサイルによる脅威は、アメリカ攻撃用のICBMやグアム攻撃用のIRBMが完成するはるか以前から存在し続けている。また、弾道ミサイルの脅威は、北朝鮮からだけでなく中国からもロシアからも受け続けており、中国やロシアの弾道ミサイルによる軍事的脅威は北朝鮮の比ではない。

それにもかかわらず、北朝鮮がアメリカ攻撃用のICBM(米本土攻撃用)やIRBM(グアム攻撃用)を完成させると、ちょうど来年度の防衛予算概算要求の時期とダブっていたことも相俟って、日本国防当局はイージス・アショアの導入といった極めて高価なBMDシステムをアメリカから購入する方向に踏み出した。

弾道ミサイル防衛システムの本家本元のアメリカでは、「十二分に信頼が置けるレベルに達するまでは頼り切ってはならない」という声も上がっており、過度の調達にブレーキをかけようという動きも見られる。しかし、日本ではそのような議論が戦わされることもなく、再びアメリカから超高額兵器を購入しようとしているのだ。

「通常戦力」の飛躍的強化が必要

繰り返しになるが、日本が直面している軍事的脅威は北朝鮮の弾道ミサイルだけではない。上述したように中国やロシアの弾道ミサイルはさらに強力だ。

中国人民解放軍は弾道ミサイルに加えて、大量の長距離巡航ミサイルを日本に撃ち込む能力を持っている。また、中国海洋戦力によって、南シナ海を縦貫している海上航路帯が寸断されかねないし、南西諸島も大きな軍事的脅威を受けている。

このような様々な脅威に対処するには、弾道ミサイル防衛以外の防衛力、すなわち海上自衛隊、航空自衛隊、そして陸上自衛隊の通常の戦力を充実させること、それも飛躍的に強化させることが必要である。なけなしの防衛予算を超高額弾道ミサイル防衛用の装備に振り向けてしまうと、各自衛隊の通常の戦力を充実させることができなくなってしまう。

国産よりもアメリカ製品を優先?

防衛省はイージス・アショアのような超高額兵器をアメリカから購入する方向性を打ち出す一方で、陸上自衛隊が調達しようとしていた国産の装甲車両などは半分に減らしてしまう方針のようだ。

不思議なことに、国産兵器の調達は減らしても、アメリカから購入するMV-22オスプレイ(メンテナンス費用も超巨額)やAAV-7水陸両用強襲車(技術的には国産が可能)などの輸入は減らさない。これでは、「どこか国民の知り得ないところで、アメリカからの超高額兵器の購入を促進しようというキャンペーンが推し進められているのではないか?」と疑われても仕方がない。

いずれにせよ、弾道ミサイル防衛システムを生産して日本に売り込もうとしているアメリカ自身で議論になっているように、現状の弾道ミサイル防衛システムは「頼り切ってはいけない」レベルなのだ。そのようなレベルにある超高額兵器に大金を投入する前に、自衛隊の通常の戦力レベルを高めないと、日本の防衛レベルは降りかかっている脅威を跳ねのけることができない。中国からはもちろん北朝鮮からも軍事弱国としてますます侮られることになってしまうであろう。

[もっと知りたい!続きをお読みください] <核施設のみならず一瞬で北朝鮮の全焦土化狙う米国 中露の支援断ち切るには不可欠、求められる日韓の覚悟>

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/50989

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