『台湾を武力で呑む「国家統一法」制定急ぐ中国 トランプの揺さぶりと蔡英文の現状維持路線…その行方は?』(3/15日経ビジネスオンライン 福島香織)について

中国の傍若無人ぶりと習の権力奪取への焦りが窺われる話です。勝手に国内法を定め他国に強制しようというのは尖閣も同じ構図です。そもそも中国は人民民主で北朝鮮と同じです。違うのは、北朝鮮より荒っぽくなく、金やハニーを使って籠絡する所です。クシュナーとイバンカ夫婦に対し中国の安邦保険が投資して、儲けさせているという話もあります。また、ラバースタンプアセンプリーと言われる全人代は共産党の意向には反対できません。独裁政治は、効率は良いでしょうけど、民意は反映されず、為政者が誤っても軌道修正ができにくいシステムです。習派VS江派+団派の権力闘争が習派の勝利で終わるかどうかも見物です。習の暗殺も充分あり得ます。

習近平が鄧小平越えを狙っているのは何となく分かります。国民を大量虐殺した毛沢東を礼賛し(鄧小平より先代で共産党統治の道を拓いた)、『中華民族の偉大な復興の夢』を唱えたり(鄧小平は中国の総設計士と言われ、主な業績は改革開放により経済発展させたことと香港返還と経済中心)、鄧小平の唱えた「韜光養晦」を止め、米国に直接対峙してきたことを見ればそう思います。ただ、米中直接対決となれば、習は中共のラストエンペラーになるでしょう。

3/17日経によれば、テイラーソン国務長官は北朝鮮に対し「あらゆる選択肢は(=軍事力行使)テーブルの上にある」と明言しました。また、「過去20年間努力してきたが、北朝鮮の非核化は失敗した。脅威は増大しており、違うアプローチが必要だ」とも。これに対し、同じく日経によれば、8日、習に相手にされていない王毅が記者会見で「米韓と北朝鮮の双方に自制を求めたが、米国は即座に拒否」とのこと。今まで中国に任せたのが誤りだったという事にやっと米国も気づいたのでしょう。中国と朝鮮半島は嘘をついて人を騙す方が賢いという文化ですので。3/18には中国で、テイラーソン国務長官と王毅外相の話し合いが行われるようですが、力を持たない王毅とでは話は進まないでしょう。5/9韓国大統領選前にも米国は金正恩の「斬首作戦」を実行するかも知れません。「森友問題」を長々と議論するようなことではないでしょう。籠池氏は嘘つきです。保守の立場を利用して、有名人の名前を使い、生徒集めして金儲けしようという、教育者と言うよりは商売人です。彼が言う「安倍首相からの100万円寄付」の話は、名前がなく金額だけが記録されているとのこと。小学校に「安倍晋三記念小学校」とまで名付けている人が、もし寄付を受けたら名前を書いておいてPRするでしょう。隠すことはないと思います。また、役所への届け出も、届出先で契約書の数字が違うというのは中国企業の財務諸表の数字が届出先で違うのと同じ。中国を批判する教育をできる立場にはありません。そもそも困ったら左翼政党を利用するという姿勢が総てを物語っています。共産主義にシンパシーを持つ人間は平気で嘘がつけますし、捏造も得意です。

蔡英文総統について、 アンデイ・チャン氏が3/15「AC通信」で触れています。<アジアはキナ臭くなった。北朝鮮のミサイル発射、金正男暗殺、アメリカの先制攻撃、韓国の朴槿恵大統領罷免とTHAADミサイルの設置など、現状は刻々と変わっている。戦争になれば日本も台湾も巻き込まれる。台湾の蔡英文総統は情勢変化に対応できていない。 1964年に「台湾人民自救宣言」を発表して逮捕されたあと国民党の監視をかいくぐって台湾を脱出した彭明敏教授が「台湾に与える備忘録」と言う新書を発表し、11日の新書発表会には多くの政治家が参加し、台湾の将来について活発な討論が行われた。 発表会で新憲法を制定するか、現憲法を修正するかと聞かれた彭教授は、「制憲も修憲も似たような問題を抱えているが、大切なことは台湾の領土は台湾澎湖のみと確定すること。領土範囲を確定しなければいくら討論しても一切無駄だ」と述べた。「中華民国憲法では、中華民国の領土を台湾、中国大陸のほかにチベットも外蒙古も入れている。こんな憲法は世界では通用しない。領土を確定しなければ民主国家として世界が認めるはずがない」とも述べた。いろいろな正名制憲論がある台湾で彭教授の意見は核心をついたと言える。 台湾の領土は中国大陸やチベットを含まない。更に、蔡英文は尖閣諸島と南沙群島の太平島(Itu Abn Island)を台湾(中華民国)の領土と主張するのをやめるべきだ。 ●国の基本は領土と国民 中華民国憲法は統治していない領土まで自国の領土としているが、こんな憲法は通用しない。領土の範囲と同時に台湾国民は台湾をわが国と認識すべきである。私は「国家の基本」は領土の外に国民も入れるべきと思う。国民とは祖国を認め、他国の国民ではないと認識する事である。 台湾には自分が台湾人だと言う者が85%、台湾人だが中国人でもあると言う者が12%、自分は中国人だと言う者が3%いる。おのれは中国人と認めれば台湾独立を認めるはずがない。台湾人であり中国人でもあると言うのは蝙蝠のようなものだ。台湾の憲法は領土の範囲を台湾澎湖とする。国民投票は台湾を祖国と認めるものが投票する。当然のことながら今の台湾では曖昧になっている。 政党も国民と同じである。台湾國の政党なら台湾と中国は違う国だから中台統一を主張すべきではない。現在の台湾は領土も国民も曖昧になっている。台湾国民党なら中台統一を主張すべきではない、中国国民党なら追放すべきだ。蔡英文は「台湾=中華民国」を主張すべきではない。国民党も民進党も国の立場が曖昧だから独立できないのだ。 ●中国の恫喝 中国は台湾が独立を主張すれば武力で統一すると恫す。台湾は武力では勝てないが中国も勝てない。米国の態度は曖昧で台湾問題に介入するか台湾を放棄するか態度を明らかにしない。確かなのは中国が武力行使すれば台湾も中国も大損害を受けることだ。 中国は経済断交で台湾を脅すかもしれない。台湾の経済は40%ぐらい中国に頼っている。しかし経済断交も双方が損害を受けるだけでなく、アメリカや日本、欧州が介入すれば中国の受ける打撃の方が大きくなる。つまり経済断交も武力行使も台湾側が一方的に不利で中国側に有利ということではない。台湾が独立主張をしても中国は何もできないのだ。 ●被動的対応から主動的対応へ 彭明敏が述べたように台湾独立は最初に領土範囲と国民資格を明確にすべきである。蔡英文政権は現状維持にこだわりすぎる。中国や国民党の圧力に対応できない。正名制憲は論外、92共識は沈黙、中国の恫喝に怯え、メディアにも対処できない。アメリカは台湾の現状維持を望んでいるが、北朝鮮や韓国の情勢が大きく変わっているのに台湾が被動的な現状を維持できるのか。台湾はアジア諸国の情勢に主導的に対応すべきである。 領土を台湾澎湖に限定すれば中華民国憲法に固執する国民党が反対する。反対できないようにする方法はある。第一に228事件の真相発表で蒋介石の責任を明らかにし、中国人と台湾人の民族の違いを明らかにすることだ。中国人は台湾人ではないとわかれば中国人の影響はなくなる。第二に国民党が違法に取得した日本時代の資産を取り返して国民党を破産させ消滅する。そのあとで新憲法の制定に入る。台湾独立を認めない中国国民党や外省人は国外追放する。一つづつやれば中国人は反対できないはずだ。 蔡英文・民進党は情勢変化に主導的対応ができない。台湾人民は蔡英文・民進黨に失望したので次の選挙は独立系政党に期待している。国外の評論家は台湾の情勢に詳しくないので国民党が政権を取り返すと言う論文が多く、中国の情勢判断もあてにならない。だがだが台湾人のアイデンティティが明らかになれば国民党が再び政権を取ることはないだろう。民主主義は後退せず徐々に前進するものである。台湾が再び中国人に統治されることはないだろう。>(以上)

蔡英文総統の現状維持の姿勢は中国に時間の利益を与えるだけかも知れません。トランプ大統領になって米中対決が囁かれる中、これを利用しなければ、台湾はずっと中国の恫喝に遭い、やがて武力統一の場面が出て来るかも知れません。「国民党」or「外省人」との国民の分断を恐れているのかも知れませんが。

福島氏の言うように、世界の激変期に主動的に動くべきは日本でしょう。米国を中心として、共産党独裁を潰すよう、自由主義国の日本、台湾、インド、豪州が連携して動けるよう日本が音頭を取るべきです。黙って見ていても、中国は日本を取りに来ようと動いています。沖縄だけでなく、北海道も独立させようとしています。裏で動いているのは中国です。反中で動き、日本もモンゴル、ウイグル、チベット独立を支援すれば良い。世界の為になります。台湾は独立国の実態を持っていますので。

記事

「鄧小平越え」を目論む習近平は、その“実績”として“統一”に動く(写真:AP/アフロ)

一部日本メディアによると、中国の全人代(全国人民代表大会=国会のようなもの)で、国家統一法制定に向けた議論が進んでいるそうだ。代表の一人、北京大学台湾研究院の李義虎が一部海外メディアの取材を受けて、そう答えたそうだ。すでに反国家分裂法が2005年に制定されており、これが事実上の武力による台湾統一の選択肢を認めた“国家統一法”だといわれてきたが、それ以上に効力のある法律を制定したいということだろうか。おそらくは台湾に対する一層の牽制が目的であり、本当に成立するかどうかは未定というが、福建や浙江など、台湾海峡を眺める地方のトップを歴任した習近平政権が台湾統一に並々ならぬ意欲を持っているのは事実で、台湾海峡、東シナ海情勢が国家安全に直結する日本人としては少々気になる情報である。

独立派に警戒、武力統一に言及

今年の全人代の開幕式で読み上げられた政府活動報告の中で、耳目を集めたのは、香港の独立派と台湾の独立派に対する厳しい牽制の表現だった。香港独立派という従来使わなかった言葉を政府活動報告に入れたことと、両岸一家親といった従来使う台湾同胞への親しみを込めた表現が入らなかったことが、習近平政権の“独立派”への警戒感がにじみ出ている。

今回の全人代、政治協商会議の両会期間、台湾問題、香港問題についての議論もさかんに行われた。

全人代には台湾“省”出身の代表による台湾“省”代表団が存在する。3月10日は、その台湾“省”代表団全体会議が行われたのだが、その会議後に国務院台湾事務弁公室主任の張志軍が記者たちに対して「台湾独立派が最終的にたどり着く先は統一しかない。台湾独立派のもたらす統一ルートは台湾社会、台湾の民衆に巨大な損害をもたらす」と厳しいコメントを吐いた。つまり台湾が独立国家としての地位を目指したとしても、最終的には中国に併呑されるのだが、その併呑のされ方は武力統一になるので、台湾に与える損害は巨大になるだろう、ということである。

いわゆる対台湾政策の窓口となる弁公室主任がここまで恫喝めいて武力統一論に言及するのは、なかなか緊迫した空気を感じさせる。

また、全人代期間中に開催された王毅外相の記者会見でも台湾問題について、「世界に中国はただ一つ。台湾は中国の一部分であり、台湾地区といかなる国家も、いわゆる“外交関係”を建立、維持することに全く正当性をもたず、前途がないのは必然である。台湾当局は、この大勢をはっきり認識すべきで、いかなる人、いかなる国も中国の最終的な国家完全統一の実現を阻むことは不可能なのである」とかなり厳しい口調で強調した。

李義虎は昨年秋ごろから国家統一法制定について喧伝していた。2016年10月に親中派台湾紙・旺報などのインタビューに答えて語ったところによると、このころからすでに全人代で、反国家分裂法とはまた別に国家統一法の制定を急ぐ動きがあるという。

李義虎に言わせれば、反国家分裂法は、わずか1000字程度のもので、実際運用するとなると、台湾独立分子とはどのような罪に当たるのか、量刑はいかほどか、あわせて従来の刑法や国家安全法をどのように併用するかということも含めて、ガイドラインを制定しなくてはならない。

「鄧小平越え」の野望のために

反国家分裂法は2005年に制定されたものだが、当時は非平和手段による統一、つまり武力統一の条件が盛り込まれたことが衝撃をもって報じられた。このとき、非平和手段を用いる三条件としてあげられたのは、“台湾独立”が画策されたという事実、“台湾独立”事変が発生したという事実、平和統一の可能性が完全に喪失したこと、だ。李義虎は、このような抽象的なふわっとした表現では、かりにガイドラインを制定するにしても、もとの法律をもっと具体的にする必要があるという。つまり、もっと武力統一の可能性を考えた具体的な法律が必要だということであり、それが国家統一法ということである。

しかし、習近平政権はなぜ、ここまで焦るように、武力統一を急ごうとするのだろうか。

実のところ、胡錦濤政権下に作られた反国家分裂法は、武力統一の条件が盛り込まれたものの、法律としての照準は平和統一に置かれていた。反国家分裂法は陳水扁政権に的を絞ってつくられたもので、現在とは情勢も違うので、法律に求められるものも変わってきた。陳水扁政権は憲法改正など台湾の現状を大きく変えるアクションを起こしかねない政権であり、中国としてはむしろ台湾側から仕掛けられる現状変更をけん制するためにこの法律を制定したのだ。

現に胡錦濤政権は反国家分裂法を制定してのち、両岸統一(中台統一)といったスローガンを封印し、中台統一の野望などおくびにも出さず、ひたすら経済関係の緊密化政策を進めた。その結果、台湾経済の中国依存が進み、台湾が中国に経済面から併呑されて結果的に中台統一に至るというシナリオが、非常に説得力をもってささやかれるようになった。おそらく中台統一の可能性が最も高かったのは胡錦濤政権末期である。

だが、習近平政権になって、急に中台統一のスローガンを再び叫び出し、中台首脳会談の実現をあからさまに急ぎ始めた。中国の方から現状変化を仕掛けてきた。しかも、習近平政権が極めて独裁志向が強く、文革の再来といわれるような人権・自由・民主の弾圧を行っていることも明らかになり、台湾人がついに危機感に目覚めるに至った。その流れの中で起きたのが、台湾ひまわり学生運動であり、地方・立法院・総統選挙における国民党の惨敗であり、蔡英文民進党政権の誕生といえる。

つまり、一度は平和統一の可能性が高まった台湾に、再び民進党政権を誕生させ、反中世論を引き起こしたのは、習近平の対台湾政策の失敗といえる。だからこそ、習近平としては、その失敗をないことにするためにも一層、中台統一に執念を燃やすようになったのだろう。もともと、台湾海峡を挟んで台湾と向き合う位置にある福建省や、台湾ビジネスマンを多く受け入れている浙江省のトップを務めてきた習近平は、これまでの指導者の中で、自分が最も台湾通であり、中台統一を実現するにふさわしい人間であると考えているフシがある。

しかも、習近平が目指すのは長期独裁政権の確立であり、香港返還を実現させた鄧小平以上の指導者としての地位である。全党員、全人民が鄧小平よりも習近平が上だと納得するほどの、香港返還をしのぐ偉業といえば、中台統一か釣魚島(尖閣)“奪還”ぐらいではないか。

トランプ再攻勢の前に

さらに習近平を焦らせているのは、台湾で蔡英文民進党政権が発足したこと以上に、トランプ政権が「一中政策」放棄をカードに中国を揺さぶろうという姿勢を見せたことが関係している。トランプは、結局、習近平との直接電話会談で、一中政策の現状維持を確認したが、これはIS問題や朝鮮半島問題への対応を優先させるために、一時保留にしただけであって、IS問題と半島問題が落ち着けば、トランプが再び一中政策放棄の可能性を持ち出さないとは限らないのである。

中国としては、その前に台湾統一を確実なものにしておきたいはずだ。そして、中台統一は習近平自身が自らの手で行いたいはずだ。そう考えると、習近平二期目が終わる2022年前、2020~21年までに武力統一という、もっぱら中国世論が昨年秋ごろから喧伝している可能性は、まんざらはったりというわけでもなさそうなのだ。

ではこの習近平の中台統一姿勢について、台湾サイドはどのような態度なのだろう。

台湾の大陸委員会主任委員の張小月は、張志軍の恫喝発言を受けて、「非常に不適当な発言。なんら両岸関係に益しない。言葉の恫喝と武力の威嚇は、ただ台湾人の反感を招くだけ」と嫌悪感を示した。行政院長の林全は「望むのは善意の蓄積であって、このような非理性的な方法の討論は望まない」と批判した。

蔡英文はなぜ、呼応しないのか

ただ、こうした中国の台湾武力統一論への嫌悪ははっきりしている台湾・蔡英文政権ではあるが、台湾の今後のビジョン、中台関係のビジョンについては、あまりはっきりしていない。例えば中台関係をどうしていきたいのか、台湾の国際的地位をどうしていきたいのか。おそらく蔡英文は歴代の台湾総統の中で、最も自分の考えをはっきり言わない指導者だといえる。そういうあまりビジョンを語らない蔡英文の姿勢に対しては、一部有権者の間で、特に台湾アイデンティティを強く持ち、反中的な有権者の間で、不満が出始めている。

ある民進党支持者はこのように憤慨していた。「蔡英文はトランプが一中放棄の揺さぶりを中国に対して起こしたとき、なぜもっと、台湾の存在感をアピールしなかったのか。トランプが早々に、一中政策放棄のカードを引っこめたのは、蔡英文の反応が鈍かったからではないか」。

たしかに、トランプが蔡英文と電話会談をして、蔡英文をプレジデント呼びしたときに、蔡英文として、台湾の国際的地位について何等かのメッセージを発信することは可能であっただろう。それをあえてせず、沈黙を守ったのは、なぜか。トランプが一中政策放棄をほのめかしたときに、なぜそれに呼応して台湾の立場をアピールしなかったのか。

ある台北特派員は、蔡英文は極めて慎重な現状維持派であると分析し、むしろトランプの一中放棄発言を迷惑がっていたのではないか、と見る。米国の一中政策とは、中国との間の三つのコミュニケと台湾関係法を包括した対中国・台湾政策を指す。これを放棄するということは、現状の米中台関係を根底から変えるということであり、そうなれば、台湾を中国の武力・脅威から守ることを規定した台湾関係法も変わり、台湾は自分で安全保障を担えといわれるやもしれない、とおびえたのではないか、と。

もちろん、米国のアジア・太平洋戦略における台湾の地政学的重要性から考えれば、米国が台湾防衛を放棄するという可能性は非常に低いのだが、従来の米中台関係の基礎がひっくり返るということになれば、“慎重な現状維持派”の蔡英文にとってはありがたくないだろう。

トランプが一中政策継続を習近平に電話会談で伝える前に、蔡英文サイドには説明があったというが、蔡英文として、一中政策維持の知らせにむしろホッとしたのではないだろうか、という。

だが、いくら台湾サイドが現状維持を望んだとしても、おそらく習近平政権にその考えはない。現状変化は今後、むしろ中国から仕掛けられてくると考えるべきだろう。なぜなら、中国の内政も大変に微妙な時期にきており、現状維持では“党中央の権威”が維持でいないところまで追いつめられていると考えられるからだ。

今年の全人代の政府活動報告にもあった「習近平を核心とした党中央の権威の維持」という表現は、習近平が核心、つまり鄧小平並みの指導者にならなければ党中央の権威が維持できない、ということでもある。

鄧小平が行った一番の偉業は、改革開放による中国経済の成長だが、そのほかを挙げれば、ベトナムとの戦争“勝利”、香港返還(失地回復)、そして天安門事件の鎮圧である。天安門事件は“偉業”ではないが、あのとき武力鎮圧をしなければ、共産党体制は今頃存在していないかもしれない。もし習近平が鄧小平以上の核心になろうとするならば、望ましいのは改革や経済成長の実現だが、そのハードルは高すぎる。選択肢として可能なのは、戦争か失地回復か。これまでの習近平政権の動きを眺めていれば、その恐れは、ありえないと一蹴していいものではない。

変化が起きるなら、主導できるようにすべきだ

凡庸な私たちにとって劇的な変化というのは、恐ろしいもので、そうならないようにと願うし、現状維持という無難な選択肢を選びがちだ。だが、どうしよもなく変化が起きそうな潮目というものがあり、私は、今がそのときだと見ている。変化が起きそうなときに現状維持にしがみついていては、振り落とされてしまうだけではないか。変化が起きそうなときは、その変化を主導できるように考え動くべきではないか。

ちなみに最後の一言は、蔡英文政権に言いたいわけではない。日本の政権と日本人に言いたいことだ。

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