『中国に飲み込まれる香港、強まる解放軍の存在感 徐々に消滅する「一国二制度」の壁』(11/7日経ビジネスオンライン 福島香織)について

11/6RFA 自由亞洲粵語<維吾爾人聯合國會場外抗議 促中國如實反映「再教育營」=ウイグル人は国連前で抗議 中国に再教育キャンプをありのままに報告するよう促す>

11/10阿波羅新聞網<美国官员:一旦此事汇报给特朗普总统 他一定会震怒=米国官僚:一旦これがトランプに報告されれば必ずや激怒する>テルアビブ・ハアレツ紙は11/9(金)に「米国が、中共の“一帯一路”の政治的・経済的な影響力の拡大に対し、日増しに警戒を強めている時に、イスラエルは中共との間で経済面を拡大して行くのはトランプの目を引くことになり、米・イ間の関係に影響を与える。

米国国防省・財務省・ペンスは聞いて怒っている。イスラエルが中国と多くの経済協力にサインしたのを聞けばトランプが爆発するのは時間の問題である。イスラエルは重要な港の一つであるハイファ港の建設を中国に請け負わせようとしている。米国の第六艦隊は中国スパイの跳梁跋扈を防ぐため、ハイファ基地から撤退すべきと言う人もいる。

日本の政治家、特に安倍首相にはこの記事を読んでほしい。トランプと意思疎通がうまく行っていると思って増長すれば、仕返しはもの凄いものになって返ってくるでしょう。アホな経営者では想像もつかないでしょうから、政治家がしっかりして、経営者に正しい道を歩ませないと。日米安保がなくなったらどうなるか少しは考えて見た方が良い。

http://www.aboluowang.com/2018/1110/1201893.html

11/9希望之声<(视频)马凯被拒入境 各界斥港府配合中共箝制新闻言论自由=ビクター・マレットの香港入りは叶わず 各界は香港政府が中共の意を受け言論の自由や報道の自由を奪ったことを非難>これは一国両制を破ることで、国際金融センターの名を汚すものである。

24名の民主派立法会議員は金曜日に共同声明を発表し、ビクター・マレットの香港入りを拒絶した政府に強烈に抗議と非難を浴びせた。https://www.soundofhope.org/gb/2018/11/09/n2365050.html

香港の一国二制度というのもそもそもで言えば鄧小平のペテンでしょう。あの当時、中国の力は弱かったから、少しでも西洋の反発、中国への投資減を防ぐために考えられたスキームです。遅かれ早かれ50年の命でしたので、こうなる(自由への抑圧)ことは見えていました。

共産主義はその根本に暴力革命是認と拡張主義があります。これは単に香港だけの問題ではありません。モンゴル、ウイグル、チベットも領土を奪われ、台湾も強奪しようとしています。もしそれが完成すれば、次は日本です。誰もそう思っていない所に日本の危機があります。

自由主義諸国が力を合わせ、共産主義国を封じ込め、体制転換できるようにして行きませんと未来は暗いものになります。自由は抑圧され、監視社会となり、大部分が奴隷の生活を送ることになります。臭いものは元から断たねば駄目です。声を上げなければ。

記事

先月、所用があって北京から香港を訪れた。そのとき9月23日に開通したばかりの北京―香港直通高速鉄道「広深港高速鉄道」に乗ってみた。香港から北京に戻るときは、やはり10月23日に開通したばかりの香港・珠海・マカオ大橋を通って、香港から珠海入りし、珠海からマカオ入りしてみた。実際、この直通ルートを通じて、香港に出入りしてみると、もはや香港は中国の一地方都市にすぎないことが実感されてしまう。かつて法治と自治を守り、中国よりも経済と金融の自由が約束されていたはずの香港の一国二制度は今や完全に昔話。中国に飲み込まれつつある香港の現状と未来について、最近の出来事から考えてみたい。

乗降客で混雑する高速鉄道「広深港高速鉄道」のホーム

北京―香港直通高速鉄道だが、便利かどうかという点でいえば、なかなか便利である。
北京西駅から香港西九龍駅まで所用時間約9時間。飛行機であれば4時間弱だが、国際便扱いなので2時間前のチェックインにかかる時間や空港までの移動時間、そして飛行機にありがちな天候による遅れなどのロスを考えると、比較的時間通り運行される高速鉄道の方が合理的であったりする。しかも料金は一等席でも1724元、二等席は1077元と飛行機よりはかなり安い。一等車では、飲み物は女性キャビンアテンダントがワゴンを押して無料でついでくれるなどのサービスもあり、席も左右二列ずつで広め、一席につき一つはコンセントもあるので、スマホやパソコンを使って仕事も可能。中国の駅弁(盒飯)はいまいちだが、自分でコンビニのおにぎりやサンドイッチなど持ち込めばいい。

この高速鉄道の特徴はパスポートコントロールが中国側・香港側とも西九龍駅内にある「一地両検」式であることだ。待ち時間ほぼなし。10分もあれば、出境入境が完了する。香港のど真ん中の九龍で中国公安による出入境検査が行われるということ、これはまさに香港と中国が一体化しつつあることの象徴ともいえる仕組みだろう。

最もこの便利さは中国人の立場から見たもので、生粋の香港人たちはこの高速鉄道に抵抗感を持つ人は少なくない。私の香港での友人には民主派、独立派に近い人たちが多いのだが、彼らに言わせれば、「一地両検」方式は、中国公安が香港域内で執法することを認めることであり、香港の核心的価値観である「法治」を蔑ろにしている、香港基本法に反する、という。香港域内で、中国公安の執法行為を公式に認めることになれば、やがてなし崩し的に香港域内で中国公安が逮捕権を行使したりできるようになるのではないか。

そもそも、大富豪・蕭建華失踪事件のように、中国公安が香港で隠密裏に「執法」したと疑われる例は起きている。香港のど真ん中に中国公安が常駐し、高速鉄道さえ使えば30分で誰にも邪魔されずに広州に身柄を移送できるのだから、今後は香港から、中国当局に目をつけられた人が“失踪”しやすくなるのではないか、とおびえるわけだ。

さらに言えば、この高速鉄道は衛星写真地図でみると、そのまま解放軍香港駐留軍基地近くにまで延びている。この高速鉄道が軍事戦略上の意図をもって建設されていることの証左だと、この高速鉄道計画に反対してきた香港の若者たちは主張する。実際、中国の高速鉄道が“快速運兵”を目的とした軍事インフラ建設の一環であることは周知の事実。解放軍報でも「高速鉄道戦術訓練」についてそれなりに詳細に報じられている。

中国の高速鉄道は現在すでに2万5000キロ、近い将来3万キロに延びるが、北京―上海路線以外はほぼ赤字路線。それでも高速鉄道インフラ建設を推進し続けるのは軍事利用目的だからだ。この北京から続く広州―深圳―香港路線の開通式のときは解放軍香港駐留部隊司令・譚本宏も列席していた。抗議者が解放軍服コスプレをしているのも、この高鉄路線開通の目的が香港に対する軍事介入を想定したものだと受け止めているからだ。

もう一つの香港・中国一体化の象徴である港珠澳大橋も実際に通ってみた。総工費200億ドル、全長55キロ、世界一長い海上大橋は、三つの人工島築造と世界一長くて深いところに埋設された6・7キロに及ぶ海底トンネル工事を含めて計画から14年をかけた中国の大国家プロジェクトだ。重さ8万トンの180メートルのパイプを海底40メートルに埋設する技術や、巨大口径パイプを差し込んで100日余りで人工島を建設する築島技術は、もともと南シナ海に人工島や海底トンネルを建設するために研究されていた国産技術だという説もある。

香港・中国一体化の象徴である港珠澳大橋

2017年3月までの7年におよぶ工事期間に死者10人以上、600人以上の負傷者を出した難工事でも知られ、香港人たちからは血涙大橋などという不吉なあだ名もつけられている。また国家一級保護動物の中華白海豚(シナウスイロイルカ)がこの工事により三分の一ほどに激減したと愛護家たちは主張している。ちなみに人民日報などは、工事によって死んだ中華白海豚はゼロだと報道しているが、一部香港メディアは2016年1月から9月までの間に、少なくとも6頭の中華白海豚が工事船のプロペラに巻き込まれるなどの事故で死亡していると報じている。

習近平自ら臨んだ開会式

10月23日、習近平自らが開通式に臨んだ。それほど、習近平はこの大橋の開通を重視していた。話が少しずれるが、このときの習近平の南方視察は、鄧小平の南巡講話を上書きするためのものだとささやかれ、この開通式で改革開放40年目にちなんだ重要講話でも発表されるのかと世界が注目していた。だが、蓋をあけてみると重要講話は出なかった。鄧小平路線を逆走中といわれる習近平路線に、党内で抵抗感が強いことや、折しもマカオ中聯弁公室主任・鄭暁松の謎多き突然の自殺が直前に起きたことなどが、習近平の口をつぐませたのではないか、こうした党内の軋轢がいまだ秋の中央委員会総会が開かれていない原因ではないか、と噂された。

10月23日の開会式には習近平も出席した

さて、空港から出ている港珠澳大橋乗り合いタクシー(200元)に乗って私もこの大橋を通過していた。開通3日後であったので、さぞ“おのぼりさん”で混んでいるだろうと思いきや、ガラガラだ。およそ45分ですんなりマカオと珠海の両方につながる人工島の通関センターに到着。通関センターもほとんど人気がなく、出会うのは公安部幹部の視察ツアーぐらいだった。通関センターでは香港、マカオ、珠海の「一地三検」式の出入境手続きが行われており、香港からマカオにいくのも、珠海にいくのも、珠海から香港やマカオにいくのも同センター内で手続きができる。

それぞれに非常にスピーディで、その移動時間の短縮と利便性に香港、マカオ、広東省の一体化は否が応でも実感させられた。この大橋工事が投資規模や環境的人的犠牲の大きさに見合うような通行量や経済効果があるかというと、とてもそうは思えないし、耐用年数120年と喧伝されていながら、じつは「おから工事(手抜き工事)」であるといった噂もあって、その安全性にも懸念は残るのだが、一国二制度三地の概念を一本の橋によって超えてみせよう、という象徴的な効果、政治的意義は大きいかもしれない。

すでに存在しない「香港の主権」

こうした交通インフラの利便性の面から一国二制度の壁は徐々に消滅しつつある。そもそも一国二制度で守られていたのは何であったか。かつては「港人港治」(香港人が香港を統治する)のフレーズで表現された「香港の主権」というものが存在していた。だが、その「香港の主権」はすでにないことになっている。

実際、「主権」「自決」といった言葉はメディアなどで使われなくなってきた。「香港主権」を声高にいえば、それは中国の主権を否定すると批判され、香港自決と言えば、中国の香港統治を否定しているのか、と難癖をつけられるようになってきたので、メディアや公式の場で発言する人は中国当局から目を付けられないように、そうした言葉を自粛するようになってきたのだという。立法委員に当選したのちその資格をはく奪され、今秋に九龍西区の補選に民主派工党から出馬するも立候補資格をはく奪された劉小麗も政治信条に香港主権、主権在民と語ったことが資格はく奪理由になっている。

香港大学学生会の刊行物「学苑」が高速鉄道の「一地両検」が中国による「香港主権」の侵略の先例となった、と書いたことを、親中派の香港文匯報が「大学は独立派と手を結んで、学生に『起義』を扇動している」と猛攻撃している例などもあり、言論の自由の範囲は急速に狭められている。

言論の自由といえば、外国メディアに対する言論統制が香港で行われるようになったのもショックなことである。英フィナンシャル・タイムズの香港駐在記者のビクター・マレットのジャーナリスト・ビザの更新を香港政府が拒否したことは、香港で中国並みの外国人記者に対するコントロールや取材介入が始まったことを意味する。マレットはFCC(外国人記者協会)の会長で、8月にFCCが主催する講演会講師に香港独立を主張する政治団体「香港民族党」の創設者、陳浩天を招いたことが、原因だと言われている。

香港民族党は7月に活動禁止を言い渡されていたが、FCCとしてこうした人物を講演会のゲストに招いて、会員記者たちに取材機会を提供すること自体は、これまでの香港ならばなんら問題がなかったはずだ。そもそも香港民族党の活動禁止措置は、香港が一国二制度で保障していたはずの「結社の自由」に反するという見方もあり、香港社会の利益を考えるなら、自由な論議を呼ぶ必要があるテーマだ。

もう一つ、懸念が深まっているのは、解放軍香港駐留部隊やマカオ駐留部隊の存在感の急速な拡大だ。激しい台風が相次いだ今年、香港の被害も甚大だったが、10月13日、香港駐留部隊400人が、台風22号で倒れた樹木などの撤去作業を「ボランティア」で行った。ありがたいと手放しで称賛できないのは、香港政府からの要請なしで、解放軍自身が判断して動いたからだ。こんなことは1997年の中国への返還後初めてのことだ。香港駐軍法の規定では、解放軍駐留部隊は香港の地方事務に干渉してはならないことになっている。香港政府の要請に応じての行動ならばいいのだが、今回はそうではなく、しかも軍服着用での活動であったから任務となる。

解放軍の動きから見る中国側の魂胆

つまり香港政府を経由せずに解放軍が(おそらく北京の指示に従って)出動したわけで、香港人にしてみれば、これは軍が香港政府を無視してよいという前例になりかねない、と心配だ。中国にすれば、軍事主権を握っているのは自分たちであるということを、このさいはっきり示そうという魂胆なのかもしれない。

また10月20日から29日にマレーシアで行われた中国、マレーシア、タイの三国合同軍事演習「和平友誼2018」に解放軍香港駐留部隊、マカオ駐留部隊が参加したことも興味深い。香港駐留部隊が外国との軍事演習に参加するのは2016年に続く二回目、マカオ駐留部隊は初めてだ。解放軍の公式説明によれば、香港・マカオの両駐留部隊は外国軍との連絡窓口に最適である、という。

注目すべきは、今回、この演習参加を名目に香港国際空港からの解放軍空軍機を利用した国外に向けて大量兵力輸送が返還後初めて行われたことだ。香港国際空港には軍事運輸センターはあるのだが、米軍機が領事館向けの物資輸送にたまに利用していたぐらいだった。それは、もともと啓徳国際空港にあった連合軍軍事運輸センター(旧英軍軍事運輸センター)が置き換わったという経緯と関係する。解放軍空軍はこれを利用したことすらなかったのだ。2016年に香港駐留部隊が三国軍事演習に参加するときは深圳国際空港を利用していた。

こうした一連の解放軍の行動を、高速鉄道、大橋の開通とセットで考えると嫌な予想が自然と頭に浮かぶ。中国側は香港での軍事行動が今後ありうる、と考えているのではないか。香港が独立分子や反体制派の抵抗運動の拠点となったとき、アンチテロを名目にした軍事行動がとられることを想定しているのではないか。2015年に制作された香港の10年後を描いた映画「十年」には確か、そんな悲観的な未来予想図もあった。あるいは東南アジアなどへの対外派兵の可能性も想定して最前線として香港を活用したいと考えているのかもしれない。

となると、香港が直面している問題は、一国二制度が揺らいでいるとか、地盤沈下して一地方都市に落ちぶれつつあるとか、そういう段階をすでに超えている。もっときな臭く、危うい空気を感じ始めているのは私だけではあるまい。

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『安倍訪中後の日中関係「4つの留意点」、依然油断はできない』(11/6ダイヤモンドオンライン 加藤嘉一)について

11/8阿波羅新聞網<习近平做出重大让步?川普语出惊人 ——美中期选举结果对习近平是坏消息?川普暗示这事 美商务部发重磅消息=習近平は重大な譲歩をする?トランプの話には吃驚 米・中間選挙の結果は習に悪い知らせ?トランプはこのことを暗示している 米・商務省は重大な情報を発した>トランプは11/7WHでの記者会見時、「北京と貿易協議で合意できるかも。北京は中国製造2025を放棄する。中共は2025年までに技術面で世界を主導するつもりであったが、これは米国にとって侮辱であるし、実現はできないだろう」と暗示した。当日ボルトンと楊潔篪がWHで会談し、11/30~12/1のG20サミットでのトランプ・習会談について打ち合わせた。また、この日に商務省は中国からの輸入アルミ地金にアンチダンピングとアンチ補助金の関税を課すことを決めた。習は下院が民主党に押えられたことで、トランプとの貿易協議を阻止されるのではと恐れている。

まあ、中国が譲歩することを言って来ても信用しない方が良いでしょう。今までもそうだったではないですか。「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」と言う民族ですので。

http://www.aboluowang.com/2018/1108/1201176.html

11/8希望之声<川普:共产主义是人类精神和繁荣的毁灭者=トランプ:共産主義は人類の精神と繁栄の毀損者であると>11/7(水)は米国の共産主義受難者の日である。これに合わせトランプは声明を出した。「共産主義は生まれながらにして持つ人権を剥奪し、共産主義とそのシンパは永遠に人類の精神と繁栄の毀損者である。共産主義に殺害や迫害を受けた人は1億人にも上る。米国は世界の各地で平和、繁栄、自由の為に戦っている人を堅く支持する」と指摘した。

http://www.soundofhope.org/gb/2018/11/08/n2361330.html

11/7WH<Presidential Message on the National Day for the Victims of Communism>

https://www.whitehouse.gov/briefings-statements/presidential-message-national-day-victims-communism/

日本のメデイアは大事なことを報道しません。毎年声明を出しているのかもしれませんが、これを素直に読めば、中国と近づき、利することは考えにくいのでは。

日本は米国と協力して、中共の大陸支配を終わらす、これが日本政府の使命と考えれば良い。流石に表立っては言えませんが、人権弾圧、言論や宗教の自由のない共産主義システムを終わりにするように持って行きませんと。

憲法9条改正はおろか米国とのニュークリアシエアリングまで行きませんと。文句を言って来たら、日本に核ミサイルの照準を合わしているのはどの国かを尋ねれば良い。相互主義の観点から言って、当然の権利でしょう。

習近平に味方するようなことは、少数民族弾圧に手を貸すことと同義です。日本の政治家や経営者はヒットラーのユダヤ人の虐殺と同じようなことをしている人間に金儲けの為に協力するのですかと問いたい。もっと自覚しなければダメでしょう。

記事

今回の安倍首相の訪中後、日中関係の行方は… 写真:新華社/アフロ

安倍首相の中国公式訪問が終了

安倍晋三首相の日本首脳による約7年ぶりとなる中国公式訪問が終了した。

安倍首相は習近平国家主席、李克強首相、栗戦書全国人民代表大会常務委員会委員長と会談を重ね、日中平和友好条約発効40周年記念レセプションに参加した。

安倍首相・李克強両首脳がイノベーション、海上における捜索および救済、通貨スワップなど12本の国際約束・覚書の署名に立ち会った。

両首脳は日中第三国市場協力に関するフォーラムにも出席し、1000人以上の両国市場関係者と共に日中経済協力の新しい形を模索した。約40年に渡って続いた政府開発援助(ODA)はその歴史的使命を終えた。安倍首相は、この節目を背景に、日中関係を“新たな段階”へと押し上げるという主張をした。

安倍首相訪中の詳細や両国間での合意事項等に関しては日本国内でも広範に報道されているためこれ以上は触れない(参照:外務省https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/c_m1/cn/page4_004452.html)。

本稿では、安倍訪中を経た上での今後の情勢について考えてみたい。

この訪中を無駄にせず、日中関係・交流を安定的かつ健全に管理するという観点から、筆者が現段階で留意すべきだと考える問題を4点提起し、若干の検証作業を行いたい。

「新たな時代」という言葉に習近平は内心ほくそ笑んだであろう

1つ目に、「第5の政治文書」についてである。日中両国政府はこれまで国交正常化を実現した1972年、平和友好条約を締結した1978年、その後1998年の江沢民訪日時、2008年の胡錦濤訪日時に政治文書に署名し、両国間系の礎としてきた。

この流れ、および昨今の情勢や世論を考慮するとき、来年6月に予定されている習近平国家主席の訪日時に「第5の政治文書」の署名に向けて検討と調整がなされる可能性はある。

それ自体は前向きな動きであり、日中間の政治的関係を安定させ、多角的な民間交流、そして斬新的な日中共同の国際貢献に向けての礎となるものと筆者は考える。

一方で留意したいのが同文書をどういう立場で、どういう論調のものに仕上げるかという点である。今回安倍首相は随所で日中関係の“新しさ”を強調した。

例えば、習近平主席との会談で、安倍首相は日中両国・関係が(1)競争から協調に、(2)互いに脅威とならず、(3)自由で公正な貿易体制の進化発展を推し進めるという“3原則”を示した上で「新たな時代を習主席と共に切り開いていきたい」と主張した。

筆者が想像するに、この言葉を聞いた習近平は内心ほくそ笑み、「してやったり」という思いを抱いたであろう。“新時代”とは、自身が国内政治において提唱し、党規約や憲法にまで書き込んだ概念にほかならないからだ。

“習近平新時代中国特色社会主義思想”――。

習近平政権の指導思想である。中国の軍事や役人、学者たちは毎回口にするには長すぎるこの言葉を省略して“習近平思想”と呼ぶ。

習近平からすれば、仮に“新時代”という言葉を「日中第5政治文書」に組み込むことができれば、それを自らの外交成果とみなし、宣伝し、国内のあらゆる勢力に対してアピールすることができる。

日本の安倍首相が“新時代”に同調してきた、内政が新時代に入った中、外交も新時代に入っていくのだと。“一帯一路”や“人類運命共同体”といった習近平政権を象徴する概念も盛り込もうとするだろう。

筆者はここでそういう状況の良しあしについて価値判断するつもりは毛頭ない。ただ、内政に忠実で、他国以上に外交を内政の延長だとみなし行動する傾向のある中国側は、おそらくそういう立場で、そういう論調で日本側との交渉に当たってくるであろうこと、日本側もそれを前提に中国側と向き合い、日本の長期的かつ開かれた国益に符合する、アジア太平洋地域の安定と繁栄に資する日中関係のあり方を模索すべきだということを指摘したいだけである。

依然として油断はできない日中の関係

2つ目に、「中日関係は再び正常な発展の軌道に戻った」(李克強首相、日中共同記者会見にて)とはいうものの、依然として油断はできないという点である。

2014年11月の会談では、記念撮影でも両首脳の表情は非常に硬かった Photo:REUTERS/AFLO

ここでは一つひとつ挙げないが、改善した日中関係が何らかの突発的事件を通じて悪化した例は枚挙にいとまがない。歴史的、構造的な背景からいって、日中関係はまだまだもろいのだという現実を自覚する必要がある。

筆者が特に警戒しているのが、中国側の日本の内政、および日本側の中国の外交に対する反応である。

「今後安倍政権が憲法9条改正に本格的に乗り出したとき、中国としてどう対応するか、世論をいかにして管理するかという問題を今から考えている」

王滬寧政治局常務委員(序列5位)が主任を兼任する中央政策研究室国際局の中堅幹部は、筆者にこう語る。

中国当局は官製メディアを中心に日本の憲法改正アジェンダを、平和路線の変更、場合によっては“軍国主義の復活”という観点から警戒心をあらわにしてきた。そういうこれまでのプロパガンダとの整合性をどう取るのか。仮に安倍政権が9条を含めた憲法改正のための手続きに本格的に乗り出したとして、中国側は日中関係の安定と発展という観点からどのように反応し、特に世論に対して説明していくのか。

今後、中国の公船が尖閣諸島の接続水域内に入ってきたり、南シナ海での拡張的行動を一層本格化させた場合、日本政府としてどう対応していくのだろうか。

もちろん、東シナ海問題に関しては、事態を緊張・悪化させないために、今回の訪中を通じても防衛当局間の海空連絡メカニズムの強化やホットラインの創設を巡って前向きな協議が行われた。

昨今の情勢下において、中国側としても安易に領海侵犯するような真似はしない可能性が高い。ただ南シナ海問題に関して言えば、中国側はこれまでも安倍首相の南シナ海問題への“積極介入”に反発してきている。

「日本が南シナ海問題に軍事介入した場合、中国はしかるべき措置を取り、断固として対応する」(中国外交部華春瑩報道官、2017年3月16日)。

仮に今後、米国や日本が、南シナ海を“軍事化”する行為だとして批判してきた事態が中国側によって再びもたらされた場合、安倍首相はこれまでの立場や反応との整合性をどう取っていくつもりなのか。一つの不安要素である。

米中関係が改善したら日中関係への影響は

3つ目に、仮に米中関係が改善した場合、日中関係がそこからどのような影響を受けるかという点である。

前回コラム(「中国が安倍首相訪中を機に日本に接近する4つの理由」で指摘したように、中国側が安倍首相の訪中を機に日本に“接近”する理由の一つが米国要因、一歩踏み込んで言えば、この機会に中国として「米国の同盟国である日本を取り込んでおきたい」と考えているというのが筆者の見立てである。

貿易戦争は構造的要因によるものであり、米国は中国を“戦略的競争相手”とみなし、中国は米国が貿易戦争を発動する動機は中国の台頭そのものを封じ込めようとしているからだとみなしている今、米中関係が根本から改善する可能性は高くないだろう。

筆者自身、間もなく行われる中間選挙の結果いかん、トランプ大統領の今後の進退いかんによって米中関係そのものが質的に変化するか否かに関しては懐疑的な立場を取っている。

とはいうものの、日本としては準備を進めておく必要がある。

米中関係が改善、あるいは緩和し、中国としてそこまで日本に接近する切迫性に見舞われなくなったとき何が起き、それにどう対応していくか。

「歴史、領土、台湾。日中間で最も敏感な問題は何一つ解決していない。火種はいつ爆発してもおかしくない」(前出の中央政策研究室国際局幹部)。そのとき、日本国内で再び“米中再接近”を不安視し、“ジャパン・パッシング”を懸念する内向きの議論が広がるのではないか。そうならないために、日本として、日米中関係を長期的にどう管理していくのかという戦略を今のうちから練り、固めておかなければならない。

保守的になる中国の内政事情

4つ目に、安倍首相が最長で2021年9月まで首相を務めるこれからの数年、習近平新時代の真っただ中にある中国側でも「政治の季節」が続くという点である。

2019年は中華人民共和国建国70周年、2020年は全面的に小康社会(少しゆとりのある社会)を実現する1年(筆者注:中国政府は2010年と比べて、2020年にGDPおよび1人あたりGDPを倍増させるという計画を立ててきた)、2021年は中国共産党結党100周年に当たる。

筆者の観察と理解によれば、政治の季節を迎える中国共産党はまず内政的に保守的になる傾向が強い。

政治的なプロパガンダが四六時中横行し、中国共産党がいかに偉大であるかが強調され、ナショナリズムが蔓延する。そのプロセスは安定第一という絶対原則の中で推進される。

故に、政治的な引き締めが強化され、多元的、開放的な報道や言論が規制される。例えば、2008年の北京五輪前、中国ではツイッター、フェイスブック、ユーチューブの閲覧が禁止され、今に至っている。

世論環境が共産党のプロパガンダ一色と化し、自由で多様な報道や言論が制限される環境は、日中関係の安定と発展にとっても不安要素であろう。

中国政府が対日世論を上から締め付け“一本化”したほうが日中関係の安定には有利に働くという類いの主張も一部あるが、筆者はこの考えには全くくみしない。両国間で多様な意見が自由に往来し、ダイナミックな民間世論が形成される環境こそが長期的に両国間系の発展を担保するものだと考える。

そして、“国家大事”が続き、内政が保守化し、引き締め策が横行する状況下で、対外政策が拡張的・強硬的になる傾向もまた歴史的に見いだせる。

中国で“核心的利益”(筆者注:2011年9月国務院が発表した《中国平和的発展》白書によれば、中国の核心的利益は〈1〉国家主権、〈2〉国家安全、〈3〉領土保全、〈4〉国家統一、〈5〉中国の憲法が確立した国家政治制度と社会大局の安定、〈6〉経済社会の持続可能な発展の基本的保障から成る)が主張され、国際社会がそれを警戒し始めたとき、中国はまさに政治の季節にあった。

2008年北京五輪、2009年建国60周年、2010年上海万博の頃のことである。

(国際コラムニスト 加藤嘉一)

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『民主が下院奪還、弾劾とロシア疑惑追及をにらむ 米有権者は「傲慢な米国第一主義」に辟易』(11/8日経ビジネスオンライン 高濱賛)、『中国が米中覇権戦争に絶対勝てない3つの理由』(11/8ダイヤモンドオンライン 北野幸伯)について

11/7サンケイビズ<日本のハイテクが存在感 中国国際輸入博覧会、次世代ロボットを披露>北野氏の言うように日本は勝つ側にいないといけないのに、敗ける側に擦り寄って行っているように見えます。松下は2012年の反日デモの時に工場を焼き打ちされたというのに出展し、かつモバイクと日本でシエア電動自転車で提携とは。自社で十分対応できるでしょうに。日本侵略への野望を隠さない中国に対して考えがなさ過ぎです。

また「在上海の欧州連合(EU)商工会議所のカルロ・ディエゴ・ダンドレア会頭は「声明も表題も好ましくみえるが、われわれが望んでいるのは具体的な行動と具体的な改革の日程だ。改革が実現するとの希望に基づいて、欧州企業の最高経営責任者(CEO)らに中国で事業を立ち上げさせるわけにはいかない」と冷ややかな声も出ている。」と言う見方が正解でしょう。日本の経済団体はアホばかり。

https://www.sankeibiz.jp/macro/news/181107/mcb1811070613012-n1.htm

11/7中国観察 法輪功真相投稿<〝活摘〞阿拉巴馬州大學放映 觀眾要為法輪功發聲=生きたままの臓器摘出をアラバマ大学で上映 観衆は法輪功の為に声を上げる>

紀錄片《活摘》(Human Harvest),記錄了兩位諾貝爾和平獎提名人調查在中國發生的活摘器官及非法交易的故事。10月25日,該片在阿拉巴馬州莫比爾市(Mobile)春山學院學生中心進行了放映。觀眾們感到震驚,也意識到需要做些什麼來制止。

ドキュメンタリー [生きたままの臓器摘出] (人間からの収穫)は、2名のノーベル平和賞候補者が、中国で発生した生きたままの臓器摘出や違法な取引を調査して記録したものです。10月25日, アラバマ州モービル市のスプリングヒルカレッジで学生が中心となり、映画が上映された。観客はショックを受け、どうにかしてそれらを止めさすことを考えるようになった。

https://www.facebook.com/falungong.truth99/videos/192603418282296/

11/8阿波羅新聞網<中期选举 川普输了?反而赚到了!=中間選挙でトランプは負けたか?却って良かったのでは>下院と比べ上院はもっと重要である。重要なのは上院の人事の決定である。もし、上院で負けていれば非常に面倒が起きた。当初オバマは上院の共和党多数を阻止し、最高裁判事の任命の機会を潰そうとしていた。行政府の任用も上院の承認が要る。今のこの段階で、民主党は極悪非道で、もし上院が民主党に取られたら、トランプの政権メンバー指名が困難になり、力量を持った人材の登用もままならなくなる。下院を握った民主党は非難を受けるようになるかもしれない。行政が滞れば矛先は下院に向かう。これは責任をうやむやにし、トランプの政治家としての生命線を濃密にするものである。2年後の大統領選には大きな利益が転がり込む。

ビル・クリントンは中間選挙で負けたが、次の大統領選では高得点で再任された。オバマもそうであった。

http://www.aboluowang.com/2018/1108/1200881.html

11/8阿波羅新聞網<中共妄想民主党相救?美国新众议院议长被爆也反中共=中共は民主党が救ってくれると妄想たくましくする? 新下院議長のペロシも反共なのが明らかに>ペロシは過去に「北京は党の管理障壁、強制要求、過剰労働、反競争政策、その他の不公平貿易には、全面的に反撃する」と述べたことがある。

http://www.aboluowang.com/2018/1108/1200740.html

渡辺惣樹氏著『第二次世界大戦アメリカの敗北 米国を操ったソビエトスパイ』を読了しましたので、紹介します。ユダヤ人迫害を憎む二人のユダヤ系米国人(モーゲンソーとホワイト)に日本は戦争に誘導されたとしか思えません。

①「FDRは一九一三年には前年の大統領選挙の応援で功を挙げたことから、ウッドロー・ウイルソン新政権の海軍次官に抜擢された。FDRはその後ニユーヨーク州知事を経て一九三二年の大統領選挙では民主党候補となり、現職候補ハーバート•フーバーを破って当選した。彼の出世には三つの要因があった。一つはT •ル—ズベルト大統領の (義理の) 甥という毛並みの良さであり、二つ目は演説の巧みさだった。ただ現代の日本の政治家の言動からも類推できるように、弁舌の爽やかさと政治能力には何の関係もない。三つ目は労働組合を中心としたいわゆる左翼系団体の支援であった。FDRは政治の澱みを掃除するよりもそれを利用する側に立場を次第に変えていたのである。彼の属する民主党自体が組合組織や移民団体に_媚びを売って勢力を伸ばした政党であったから、党の色(体質) に染まったたけかもしれなかった。アリス(注:T •ル—ズベルトの娘)は、FDRのその変質に気付いていた。

FDRが大統領就任後すぐに実施したニューデイール政策は、経済の国家統制を進めながら大型公共投資でとにかく「金をばらまく」手法だった。国家予算をふんだんに得た組織が民主党支持を強めた。FDRはニューデイール政策の失敗に気付くと、今度は戦争経済で景気回復を目論んだ。ヨーロッパやアジアの騒乱に積極的に介入することで、ついには三選を果たした。

幼いころからFDRを知っていたアリスは、彼の政治手法に否定的だった。親友であったエレノアが、大統領夫人になって「進歩主義」のファーストレデイを気取ったことにも批判的だった。FDRは自身の秘書との不倫が「ばれた」ことでエレノアとは仮面夫婦となった(一九一八年)。彼は多くの愛人を持つ一方で、エレノアの自己顕示欲を満たすためにリベラル系団体の幹部に据え、進歩派女性のリーダーの立場を満喫させた。内気だったエレノアの危なっかしい変貌を、アリスははらはらしながら見ていたのである。

戦後になると、アリスはFDRの指導した先の大戦の結果に幻滅した。ヨーロッパでもアジアでも、共産主義国家ソビエトを民主主義国家の一員として連合国に組み人れたFD Rとウインストン・チャーチルの外交の過ちが現実のものになっていた。

ソビエトが「解放」したポーランドは共産化し、東部ドイツ(ソビエト占領地域)からはありとあらゆる工業機械がソビエトに搬出された。共産主義者の支配地域からは多くのドイツ系住民が西に逃げた。ベルリンでは、女性は老いも若きも身体を売らなくては生きていけなかった。中国では日本軍が撤退したことで共産党勢力が勢いづいた。ソビエト赤軍が日本軍から接収した大量の武器を共産党軍に流した。その結果、共産党軍は国民党軍との戦いを有利に進めていた。」(P.24~25)

②「モーゲンソーの越権行為にいらだちを隠せなかったハル国務長官の回想録に以下のような記述がある。

(モーゲンソーは)ヒトラーの台頭とナチスドイツによるユダヤ人迫害に対して感情的な反発を見せていた。大統領に、国務省が(反ドイツの)方向で政策決定するような期待をさせたり、(そうならない場合は)その方針を変えてしまうようにFDRに教唆した」

「モーゲンソーはドイツの戦後の取り扱い方針についてとんでもない許画(catastrophic plan)を立てていた。それを国務省の了承なしに大統領に承認させようとした。これは彼の越権行為の最たるものであった.

上記にある「とんでもない計画」こそが後にモーゲンソープランと呼ばれるものであった」」(P.39~40)

③「敗戦前のドイツは、工業製品を周辺諸国に販売し不足する農作物輸入に充てた。機械を奪われたドイツはそれが出来なくなった。JCS一〇六七号の「効果」であった。敗戦国ドイツは飢饉に襲われた。この時期にどれほどのドイツ人が食糧不足で死んでいったか正確なところはわからない。カナダ人研究家ジエイムズ・バツクの著した『罪と情け (crimes and Mercies)』によればドイツ国内の民間人五七〇万人、東部ヨーロッパから排除されドイツ本土に戻ったドイツ系ニ五〇万人、戦争捕虜一一〇万人、つまりおよそ九〇〇万人が死んだとされている。この時期の米国が引き起こした悲劇について語られることはほとんどない」(P.51~52)

④「第二節 下院非米委員会と「ハリウッド•テン」

高校の歴史教科書などではアプリオリにファシズムを悪として歴史を語るが、注意が必要である。同じ全体主義である共産主義との比較の上でファシズムを解釈しなくてはならない。アメリカではFDR政権となるまでは、ファシズムより共産主義の方が危険であると考えられていた。そのことはハーバート・フーパー元大統領の『裏切られた自由』の次の一節からわかる。

「(ウイルソン大統領に続いた)ハーデイング大統領、クーリッジ大統領は、ロシアを断固として承認しなかった。私(フーバー)自身も、ソビエトの国家承認に反対した。 自由人を抑圧する陰謀に、我が国のドアをわざわざ開けてやるようなことがあってはならなかった。四代の大統領(ウイルソン、ハーデイング、クーリッジ、フーバー)と、ドイツとの国交はヒトラー政権成立後も維持している(注:FDR政権は、クリスタルナハト事件〔ユダヤ人居住区やシナゴーグが襲われた事件、一九三八年.一一月〕に抗議して駐独大使〔ヒュー・ウィルソン〕を召還したが、国交は維持したままだった)。

ナチズムと共産主義はどちらも全体主義思想であり、個人の自由を束縛し国家利益を優先する。ただ両者には二つの大きな違いがあった。第一点は、共産主義思想は労働者独裁を目指した階級闘争を煽ったが、ナチズムは階級間の闘争を煽らず全階級の底上げを目指した。第二点は、ナチズムはその思想を全世界に伝播させようとするエネルギーを持たないが、共産主義には世界革命思想があった。だからこそ、アメリカに対しても国内秩序の混乱を狙った工作を仕掛けたのである。偽札をばら撒いたり、復員兵 (第一次世界大戦従軍兵)を扇動してワシントンで騒動(一九三ニ年のボーナス行進)を起こした。これがF DR以前の政権が頑としてソビエトを国家として承認しなかった理由だった。

FDRは政権に就くとたちまちソビエトを承認した(一九三三年一一月)。国務省東欧部はこれに反対したが、FDRが押し切った。FDR政権はソビエトの国家承認にあたってアメリカの秩序の混乱を狙う活動の停止を約束させた。それがマクシム•リトヴィノフ外相(外務人民委員)の以下の約束だった。

「アメリカ合衆国の内政には一切関与しない。アメリカ合衆国の平穏、繁栄、秩序、安全を傷つける行為やアジテーシヨン、プロパガンダを一切しない、そしてさせない。アメリカ合衆同の領土および所有する権利を侵したり、政治的変化をもたらし社会秩序を乱すような行為はしないし、させない。アメリカ政府を転覆させたり、社会秩序を混乱させる目的を持つ団体や組織を作るようなことはしない」

ソビエトはこれを守らなかった。」(P.228~230)

⑤「アメリカ世論は、チャーチルとトルーマンが練り上げたフルトン演説に冷ややかだった。VEディ(対独戦勝利ー九四五年五月八日)、VJディ(対日戦勝利同年八月一四日[米国時間〕)から、まだ一年も経っていない時期に、今度は「ソビエトを敵と見做せ」というチャーチルのロジックにはついていけなかった。「ウォールストリートジヤーナル」紙は、 「我が国とロシアの関係に毒を盛る演説である」、評論家のウォルター•リップマンは、 「政治的なおバカ発言である(almost catastrophic blunder)」と批判した。

演説草稿は二人で練ったものだけに、トルーマンは世論の反発に驚き怯んだ。「鉄の力―テン」演説はあくまでチヤーチルの発言であると逃げをうった。それでも、アメリカ国民も次第にソビエトの「悪行」を知っていくことになる。トルーマンは、世論の変化を見ながら対ソ強硬外交に切り替えると国民に説明する機会を窺っていた。そしてようやく一九四七年三月一二日、「トルーマンドクトリン」(ワシントン上下院に対する特別教書演説) を発表したのである。これは、トルーマンの「対ソ敗北宣言」であった。

「鉄の力―テン演説」や「トルーマンドクトリン」をス夕―リンへの敗北宣言だったと書く書はどこにもない。しかし、FDR政権は容共政権であったのではないかという視点(歴史修正主義史観)をもって歴史を読み解けば、それが合理的な結論とならざるを得ない。

筆者は前書きで、「ソビエトの諜報組織の暗躍」を横糸にした歴史描写が本書の狙いであると書いた。ソビエト諜報網は大きな広がりを見せていたが、本害ではもっとも太い二本の横糸(ハリー•デキス夕―・.ホワイトとアルジャー •ヒス)だけを使った歴史描写にとどめた。経済担当大統領顯問であったラフリン•カリー、容共派高官の筆頭とも思われるデイーン•アチソン(彼はスパイではない)、あるいはマンハッタン計画の核爆弾開発機密を流したユダヤ人夫妻(ジュリアス・ローゼンバーグとエセル・グリーングラス・ローゼンバーグ)といった「横糸」は使えなかった。手ャーチル政権やその後に続いた英政権内に潜伏し続けたスパイ網という「横糸」についても扱えなかった。彼らソビエトスパイたちは冷戦期に入っても「活躍」した。

ホワイトとヒスという太い横糸だけの歴史物語でも、あの戦争は何だったのかを考える重要なヒントになると思っている。使い残した「横糸」を使った歴史描写については機会をあらためて挑戦したいと考えている。」(P.322~323)

チエンバレンの宥和政策は誤りだったと語られる時が多いですが、渡辺氏はチャーチルの戦争驀進論が誤りだったと見ているようです。チャーチルは所詮FDRと同じく人種差別主義者です。

今回の中間選挙での下院の民主党勝利は、ユダヤ・グローバリストの影があるのではと疑っています。グローバリズムと共産主義は国境を無くすという点で親和性を持っていますし、法を蔑ろにする点でも似ています。

高濱氏の記事は、下院で民主党が勝って大喜びしている感じを受けます。所詮はグローバリストの考えから脱却できないのでしょう。米中が覇権をかけて戦争しているのが見えていません。トランプの弾劾はあり得ないと思っています。トランプはすぐにジェフ・セッションズ司法長官を解任しました。ロシアゲートは民主党のデッチ上げというのを明らかにしていくつもりでしょう。少なくとも民主党との駆け引き材料になるのでは。また、ヒラリーのクリントン財団への寄付・私的サーバー問題やベンガジ事件の再調査を働きかけて、これも取引材料とするのでは。

北野氏の言う通りに、米中覇権戦争は米国が勝つでしょう。武器使用の無い経済戦争でも、基軸通貨を持たない国が勝てるとは思えません。中国をその内、SWIFTから締め出し、権貴の隠し資産を公開すれば自ずと勝敗は見えて来るでしょう。

高濱記事

当選を決めた、民主党のオカシオコルテス氏。最年少の女性下院議員となる(写真:ロイター/アフロ)

—米国の中間選挙が終わりました。結果をどうみますか。

高濱:2016年に行われた大統領選と異なり、各種メディアの予想が今回は的中しました(笑)。上院は辛うじて共和党が死守。下院は民主党が過半数を制しました。

今回の中間選挙は、各候補者への投票というよりも、ドナルド・トランプ大統領が推し進めた2年にわたる「傲慢な米国第一主義」に対する米国民の審判といった色合いが濃かったのです。

米有権者の声は、「経済が好調」なのはいいけど、傲慢で独りよがりの「米国第一主義」にはやはりついていけない、というものした。

そして有権者は、トランプ大統領が“独占”していた三権(司法、行政、立法)のうち立法の一部を取り上げたのです。上院で、共和党を多数派のままにしておいたのは「弾劾決議案がそう簡単に通らない状況を(上院に)作ることで、トランプに首の皮一枚残しておいた」(米主要紙論説担当記者)と言えそうです。

—これで、米議会は上院と下院で多数党が異なる「ねじれ議会」になったということですね。

高濱:その通りです。「ねじれ議会」になると、今後2年、両党の意見が対立する法案を通すのが困難となります。さらに弾劾発議権を持つ下院が「民主党の天下」となったわけですからトランプ大統領を弾劾すべく訴求する動きが強まるのは必至です。それだけでなく、トランプ政権の政権運営に不透明感が出てきました。

ナドラー新司法委員長とトランプ氏は旧知の「大敵」

—弾劾手続きはまず、下院司法委員会が弾劾決議案を審議するところから始まります。委員長は共和党から民主党に替わって、弾劾の動きが現実味を帯びますね。

高濱:新委員長には、これまで民主党の筆頭理事(ranking member)だったジェリー・ナドラー議員(民主、ニューヨーク州第10区=71歳)が就任します。

ナドラー氏は同州下院議員を経て92年に連邦下院議員に当選して以来、連続して再選している超ベテラン議員です。州下院議員の時にフォーダム法科大学院の夜間コースに通って弁護士資格を取った苦労人です。

選挙区はニューヨーク・マンハッタンのど真ん中。不動産業を営んでいたトランプ氏と、ウエストサイド・ハイウェーの経路変更をめぐって90年代から激しく争った経緯があります。地元紙はかつて、両氏の関係を「大敵同士」を書き立てました。

同議員はその後、ロシア情報工作員13人がスパイ容疑で国外追放になった際にこう述べています。「ロシア人が米大統領選に介入したのは国家の根本問題だ。トランプ大統領がロシアに報復しないのは、日本軍が真珠湾を攻撃した時に当時の大統領が何もしなかったのと同じこと」

—ということは、ナドラー議員が司法委員長に就任すれば、トランプ大統領に対する弾劾発議の動きが一気に加速するということですか。

高濱:加速はするでしょうが、「一気に加速する」とは言えないかもしれません。

司法委員会の委員は40人。弾劾決議案は単純過半数(21以上)で可決でき、本会議に送付されます。下院本会議も単純過半数で可決でき、上院に送付されます。

上院で可決するには3分の2(67)の賛成が必要です。下院が弾劾決議案を可決しても、共和党が過半数を占める上院で3分の2の賛成を得るのは困難です。
(”How Many congress people it takes to impeach a President,” Joseph Milord, Elite Daily, 5/25/2017)

逆説的な言い方をしますと、ナドラー議員は大統領弾劾について、ある意味で慎重なのです。「弾劾を発議するなら本当に弾劾しなければ意味がない」という考え。下院で弾劾決議案を発議しても、それだけでは意味がないと考えているのです。

今年2月に『ニューヨーカー』の記者とのインタビューでこう述べています。「大統領を弾劾するというのは単純なアリスマティック(算術)だ。下院で弾劾決議案を可決しても上院で3分の2を取らなければ弾劾は成立しない。トランプ大統領を弾劾するには共和党の中から賛成派が出てこなければだめだ」

「それにはどうするか。<大統領を弾劾し、辞めさせなければ、国家は大変なことになる。米国憲法の精神が崩壊してしまう>という確固たる証拠を見つけ出し、共和党議員に同意させる。弾劾を発議するにはそれだけの準備と覚悟が不可欠だ」
(”The New York Congressman who could lead an impeachment charge against Trump,” Susan B. Glasser, The New Yorker, 2/16/2018)

やはり弾劾のカギを握るモラー特別検察官

—となると、注目されるのはロバート・モラー特別検察官の捜査がどんな結果になるかですね。

高濱:それがまさにナドラー新司法委員長が狙っている点です。トランプ大統領自身とロシアゲート疑惑の関係を立証する決定的な証拠が捜査で出てくれば、共和党上院議員の中にもトランプ大統領弾劾に賛成する者が出てくるでしょう。

ナドラー議員が弾劾にそこまで慎重になるには理由があるのです。ビル・クリントン大統領(当時)*1がホワイトハウス研修生と不倫関係にあったことが1998年発覚。下院は弾劾決議案を可決したものの、上院が辛うじて否決しました。

その時ナドラー議員は司法委員会の委員としてクリントン大統領の弁護に当たったことがあるのです。ですから大統領を弾劾することの重みと難しさを十分にわかっているのでしょうね。国民が選挙で選んだ大統領を議会がそう簡単に斬首するものではない、という信念なのでしょう。その信念がクリントン大統領を弾劾から守ったのです。

*1:上院は1999年2月12日、クリントン大統領の①司法妨害容疑②偽証罪容疑それぞれに対する弾劾決議案を採決し、前者は50対50、後者は55対45で否決した(可決には3分の2=67の賛成票が必要)。当時の上院は共和党55、民主党45、下院は共和党227、民主党207、無所属1だった。

シフ新委員長はロシア疑惑を徹底追及へ

—民主党が下院の過半数を占めたことでほかに注目される動きは出てきますか。

高濱:ロシア疑惑解明を続けている下院情報特別委員会の委員長に就任するアダム・シフ議員(カリフォルニア州第28区選出、58歳)の動きも目が離せません。

同議員は、スタンフォード大学を経て、ハーバード法科大学院で法学博士号を取得。米司法省の検事になり、その後政界入りした「民主党の新星」です。これまでもトランプ大統領のロシア・コネクションを厳しく追及してきました。

下院情報特別委員会(これまで委員長はダビン・ヌーネス共和党議員*2=カリフォルニア州第22区選出)は今年4月、「トランプ大統領とロシア政府関係者との接触及び共謀はなかった」との結論を出しました。

*2:ヌーネス氏はトランプ大統領と近い関係にある。同委員会が入手した極秘情報を外部に流したとの疑惑が取りざたされた経緯がある。このため下院倫理委員会が同議員を調査。同議員はその間、委員長を休職していた。

シフ議員はロシア疑惑究明をめぐってヌーネス議員と真っ向から対立しました。8月には保守系『ワシントン・エグザミナー』とのインタビューで、こう述べていました。「情報特別委員会の結論には賛成しかねる。16年の大統領選の際にトランプ大統領とロシアとが接触したり、共謀したりした証拠がたくさんある(plenty of evidence)ことは丸見え(in plain sight)だ。目下のところ、モラー特別検察官が鋭意調査中だ」
(”Adam Schiff ‘Plenty of evidence’ of Trump-Russia collusion or conspiracy ‘in plain sight.’” Daniel Chaitin, Washington Examiner, 8/5/2018)

シフ新委員長がどのような形でロシア疑惑を徹底究明するか。トランプ大統領は「眠れぬ夜」が続くかもしれません。(もしトランプ大統領が本当にロシアとの共謀を命じたり、許可したりしていたら、の話ですが)

トランプ大統領は外交では既定路線を突っ走る?

—民主党が下院の過半数をとったことで外交、軍事、財政、歳出、歳入といった主要委員会の委員長にはどんな議員が就任しますか。

高濱:以下列挙してみます。

  • 外交委員長=エリオット・エンゲル議員(ニューヨーク第16区選出)
  • 軍事委員長=アダム・スミス議員(ワシントン州第9区選出)
  • 財政委員長=マクシン・ウォーターズ議員(カリフォルニア州第43区選出)
  • 歳出委員長=ニタ・ロウィ議員(ニューヨーク第17選挙区選出)
  • 歳入委員長=リチャード・ニール議員(マサチューセッツ州第1区選出)

エンゲル新外交委員長はウクライナ系ユダヤ人で88年から連続当選しているベテラン議員です。外交委員会では中南米、カリブ海諸国を主に担当してきました。イランとの核合意については当初から反対。このため、トランプ大統領がイラン合意を破棄したことには賛成です。

スミス新軍事委員長は民主党中道派の議員です。北朝鮮の核・ミサイル廃棄について強硬な立場をとっており、北朝鮮の核から日本や韓国を守るべきだと強調してきました。「北朝鮮が核開発を続けるのは中国が物心両面で支援しているからだ」と厳しく中国を批判しています。「強固な抑止力」こそ国防政策の基軸だというゆるぎない信念を持っています。

—最後に、今回の選挙結果はトランプ大統領の外交にどんな影響を与えそうですか。

高濱:直ちに影響が出てくるとは思えません。北朝鮮問題では、8日に米朝高官協議が予定されていました(急遽延期された)。対中国では、9日に米中の閣僚級による外交・安保対話があります。対日ではマイク・ペンス副大統領が13日に訪日し、安倍晋三首相らと日米間の諸問題を協議します。

イランとの核合意破棄について、民主党のユダヤ系議員の大半は反イランです。したがって、対イラン政策では、民主党からも反論する声はそれほど出てこないのではないでしょうか。

いずれにせよ、トランプ大統領としては当面、民主党に下院を奪取されても今まで通り突き進む以外に手はないようです。トランプ氏の辞書には「妥協」という字はないのでしょうから(笑)

北野記事

前回の『トランプの「中国潰し」に世界が巻き添え、貿易戦争は覇権争奪戦だ』では、米中貿易戦争が覇権争奪戦に転化していることを指摘した。米国は、中国のウイグル人迫害を非難し始め、人民解放軍を制裁し、台湾への軍事支援を強化している。中国は、GDPでも軍事費でも世界2位の大国だ。しかし、この「戦争」で米国には勝てないだろう。その理由を3つ挙げる。(国際関係アナリスト 北野幸伯)

<第1の理由>
中国経済が悪化し続けるのは必然だ

米中貿易戦争は、覇権争奪戦争そのもの。しかし、中国はこの戦いで米国に勝利することはないだろう Photo:Reuters/AFLO

まず第1に、中国経済が悪化していくのは必然であることが挙げられる。これは、米中貿易戦争が始まらなくても、そうなる方向だった。どういうことか。

中国のGDP成長率を見てみよう。2008年9.6%、2009年9.2%、2010年10.61%、2011年9.5%。この国は、2008年に起きたリーマンショックの影響が皆無であるかのような成長を続けていた。

ところがその後を見ると、2012年7.9%、2013年7.8%、2014年7.3%、2015年6.9%、2016年6.72%、2017年6.86%、2018年6.6%(IMF予測)と、着実に鈍化している。
実をいうと、2010年代末に向けて中国経済の成長が鈍化していくことは、大昔から予測できた。たとえば、筆者は2005年に出版した『ボロボロになった覇権国家』127ページに、こう書いた。

<中国は2008・2010年の危機を乗り越え、初めは安くてよい製品を供給する「世界の工場」として、その後は1億3000万人の富裕層を抱える巨大市場として、2020年ぐらいまで成長を続けるでしょう>

2005年の時点で、中国は2008~2010年の危機を乗り越え、成長を続けるが、それも2020年までと予想していた。なぜこのような予測になるのか?

筆者の根拠は、「国家ライフサイクル論」だ。「国家ライフサイクル論」では、国のある体制にも人間の「生老病死」のようなサイクルがあると見る。具体的には、大きく「移行期=混乱期」「成長期」「成熟期」「衰退期」に分けることができる。

まず、前の体制からの「移行期」は、混乱が続いている。しかし、有能なリーダーが出て政治の混乱を終わらせ、かつ正しい経済政策を行うと、「成長期」に突入する。
中国は、安い人件費を武器に「安かろう悪かろう」と批判されながらも急成長。しかし、人件費が高くなるにつれて成長率は鈍化する。やがて企業は、より労働力の安い外国に生産拠点を移すようになる。こうして成長期は終わり、低成長の成熟期がやってくるのだ。

中国のライフサイクルは日本の「30年遅れ」である

日本と中国の国家ライフサイクルを比較すると、中国は、日本から約30年遅れていることがわかる。

1950年代、日本、成長期に突入。
1980年代、中国、鄧小平改革で成長期に突入。

1960年代、日本、「安かろう悪かろう」と揶揄されながらも急成長。
1990年代、中国、「安かろう悪かろう」と揶揄されながらも急成長。

1970年代、日本、「世界の工場」になる。
2000年代、中国、「世界の工場」になる。

1980年代、「日本が米国を追い越す」と多くの人が確信。
2010年代、「中国が米国を追い越す」と多くの人が確信。

この「パラレル状態」が続くと仮定すると、2020年代からの中国は以下のようになる。

1990年代、日本、「バブル崩壊」から「暗黒の20年」に突入。
 2020年代、中国、「暗黒の20年」に突入?

日本政府が尖閣を国有化した2012年、日中関係は「戦後最悪」になった。それで日本では、生産拠点を中国の他にもつくる「チャイナプラスワン」という考えが一般化した。日中関係の悪化が直接的原因だったが、中国の人件費が高騰し、利益が出にくくなったことが長期的理由だった。
外国企業が逃げ出す。これは、国家ライフサイクル論では、まさに「成長期後期」の典型的現象だ。つまり、米中貿易戦争が始まらなくても、中国経済の栄華は終わりつつあったのだ。

結論を書くとこうなる。

国家ライフサイクル通り、中国の経済的繁栄は終わりつつあった。米中貿易戦争は、この繁栄終了のプロセスを加速させるだろう。

<第2の理由>
中国の政治体制の脆弱性

第2の理由は、中国の政治体制が脆弱であることだ。ご存じの通り、中国の政治体制は、共産党の一党独裁だ。つまり、民主主義国家にあるような、「選挙による政権交代システム」がない。これは、非常に重大な欠陥だ。

理解しやすいように、米国と比較してみよう。黒人と白人のハーフ・オバマ前大統領の誕生は、まさに「革命」だった。ケニア人を父に持つ男性が、WASP(白人、アングロサクソン、プロテスタント)が支配する国のトップになったのだから。しかも、このプロセスは、選挙を通してあっさり実現した。これが米国の強さであり、安定性である。

日本でも、自民党が増長し悪政を行うようになると、時々政権交代が起こる。しかし、交代は選挙によって行われ、流血の事態は起こらない。これが日本の強さと安定性だ。実際の革命なしで、平和裏に「革命的」なことを起こせる。これが、民主主義国家の強さなのだ。

ところが中国では、そうはいかない。中国人が「政権交代」を望むなら、革命を起こすしか方法がない。

選挙で選ばれたことがない共産党は、これまで2つの「正統性」を確保してきた。1つは、国民党を駆逐して、「中華人民共和国」を建国したこと。2つ目は、奇跡的経済成長を実現したこと。ところが既述のように、中国の経済成長は終わりつつある。それで、共産党が勝手に中国を支配できる「正統性」はなくなりつつあるのだ。

今後、中国経済は必然的に悪化していく。そして、その責任は共産党、特に独裁者・習近平にあると認識されるだろう(中国政府は「貿易戦争を始めた米国が悪い」と国民に説明するだろうが)。

1990年代初めのバブル崩壊後、日本の政界は混乱した。そして1993年、日本新党の細川護熙氏が総理大臣に就任。38年間続いた自民党時代は終焉した。
2020年代になると中国の政界も、景気悪化で混乱することになるだろう。選挙による政権交代システムがない中国は、1990年代の日本以上の大混乱に陥る可能性が高い。

<第3の理由>
戦闘なしの戦争で、中国は勝てない

核兵器の登場と拡散で、戦争の形態は変わった。
米国と中国は、共に両国を破壊し尽くせる核兵器を保有している。それで両国は、大規模な戦闘が起こせない。結果、戦争の形は大きく変化した。戦闘よりも、情報戦、外交戦、経済戦などが重視されるようになったのだ。
情報戦で、中国は米国に勝てない。中国は、民主主義のない一党独裁国家だ。

言論の自由も、信教の自由も、結社の自由もない。ウイグル人を100万人強制収容しているといわれる、人権侵害大国である。こういう国なので、米国が望めば、容易に中国を「悪の帝国」にすることができるだろう。
外交戦は、自国の味方を増やし、敵国を孤立させるために行われる。「アメリカファースト」のトランプは、お世辞にも「外交上手」とはいえない。彼の要求が厳しすぎるので、欧州、ロシア、中国がお互いに接近している。
トランプの外交は、米国にとっては大きな懸念要因だろう。しかし、中国の景気がますます悪化すれば、人権問題がフォーカスされるようになる。
金のある人権侵害国家と付き合いたい国は、たくさんある。中国は、いつでも人権侵害国家だったが、1990年から2000年代の間、日欧米企業は、競ってこの国に進出してきた。
しかし、金のない人権侵害国家は「ただの人権侵害国家」だ。結局、世界の国々の大半は、再び米国側につくことになるだろう。

最後に経済戦。現代の戦争では、これがメインだ。ここでも、米国が勝つ可能性が高い。

米国は、年間5000億ドル強を、中国から輸入している。一方、中国は、米国から年間1300億ドルしか輸入していない。貿易戦争によって、お互いの全製品に関税をかけたとすると、中国が受ける打撃は、米国が受ける被害の3.8倍になる。

以上を簡潔にまとめてみよう。

・中国経済は、米中貿易戦争がなくても悪化していくトレンドである
・中国経済は、米中貿易戦争で悪化のスピードが加速する
・不況で、中国の政治は不安定化する
・民主的政権交代システムがない中国では、クーデター、革命が起こりやすくなる
・核大国である米中の「戦争」は、情報戦、外交戦、経済戦がメインになるが、中国は米国に勝てない

日本が注意すべき2つのこと

米中貿易戦争が、覇権争奪戦に転化する中、日本はどう動くべきなのだろうか?注意すべき点は2つだ。

まずは、「孤立しないこと」。1937年に日中戦争が始まったとき、中国は、米国、英国、ソ連から支援を受けていた。この戦争は事実上、日本vs米英中ソの戦いだった。日本が負けるのは当然だ。

あれから80年の時が過ぎ、日本は現状、孤立していない。しかし、中国は常に日本を孤立させようとしているので、決して安心はできない(証拠はこちらの記事を参照のこと)。

日本は、中国の罠にはまって孤立しないよう、常に慎重に行動しなければならない。
もう1つは、軍事同盟国・米国との関係を最優先にし、中国に接近しすぎないこと。第2次大戦時、日本最大の失敗は、ナチスドイツと軍事同盟を結んだことだった。「負ける国の同盟国になったこと」が致命的ミスだったのだ。

今の日本政府はそんなバカなことはしないと思う人が多いかもしれない。しかし、米中覇権争奪戦が始まった途端に、日中関係が大きく改善された。日本は、第2次大戦時のようにフラフラし、米中の間を揺れているようにも見えるのだ(安倍首相は、習近平との会談後、すぐにインドのモディ首相を別荘に招くなどして、バランスをとっているようだが)。
日本政府は、愚かにも「負ける国の側についた」第2次大戦から教訓を得て、今度は「勝つ国」の側にいなければならない。

そして、「勝つ国」は、またもや米国なのだ。

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『日韓「友好幻想」の終焉 元徴用工判決の狙いは「65年日韓基本条約」のちゃぶ台返し』(11/5日経ビジネスオンライン 重村 智計)、『韓国内で非難炸裂!文大統領に“退陣”危機 『従北』傾斜に外交官OBら異例の緊急声明「文政権の国家安保蹂躙を弾劾する」』(11/5ZAKZAK)について

米国中間選挙は、上院は共和党、下院は民主党が過半数を押えました。下院が勝てなかったのは残念です。でも、これで議会の共通認識である対中制裁に力を入れると思えばそれもまた佳きことかなと。

11/7阿波羅新聞網<彭斯和党媒同声:川普将拿下两院 中美关系展望大局已定=ペンスとFOXは同じ声を上げる トランプは上下両院を押えるだろう 米中関係の大局は既に決まっている>中間選挙は既に始まっている。ペンスが昨日FOXのインタビューを受け、「共和党は中間選挙で大勝し、上下両院の多数を占めるだろう。米国の一般大衆はトランプへの支持が熱い。左翼メデイアは報道しないけれども。外の人間は錯覚する。中華系米国人学者は「中間選挙の結果がどうなろうとも、中共にとって楽観はできないだろう。米国の政界は、対中強硬派が政治の正しい道と既になってしまったから」と。また「中国は米国を罰することはできないし、経済システムをすぐに変えることもできない。トランプは今までの所、商人よろしくわざと着地点を見せず、中国に最大の譲歩を引き出そうとしてきた。次には中国にリストを見せて、両者で交渉が始まるだろう」と。

なお、下院で民主党が多数を取ってもトランプの弾劾は上院で否決されるからあり得ない。

http://www.aboluowang.com/2018/1107/1200454.html

11/7阿波羅新聞網<美国共和党掌参院 民主党掌众院 佩洛西发言人:川普来电祝贺=共和党が上院を押え、民主党が下院を押えた ペロシの広報官:トランプからお祝いの電話が来た>広報官のハミールが言うには「トランプは両党の協力を呼び掛けた」と。

http://www.aboluowang.com/2018/1107/1200688.html

まあねじれ議会と言うのは米国でしょっちゅうあって、自民党がねじれに苦しんだ時(福田康夫内閣)に当時の谷垣政調会長達が米国にアドバイスを貰いに行ったくらいですから。まあ、慣れたものでしょう。

11/7ZAKZAK<米財務省からの「恐怖の電話」に韓国銀行は白旗! “徴用工”で日本も敵に回した韓国に援軍なし>イラン制裁は中露北韓への見せ付けでは。彼らもいざとなればSWIFTコードを使わせなくなるよと。アホな文は気が付いていないのでしょうけど。

https://www.zakzak.co.jp/soc/news/181107/soc1811070003-n1.html?ownedref=feature_not%20set_newsList

11/7ZAKZAK<韓国政府、徴用工判決めぐり日本に不快感 「わが国民感情を刺激する発言、非常に憂慮」>

https://www.zakzak.co.jp/soc/news/181107/soc1811070015-n1.html?ownedref=feature_not%20set_newsList

117ZAKZAK<「徴用工」判決にはこう対処せよ! 個人請求権の対象は韓国政府、手順を踏んで毅然たる措置を>「重要なのは、個人の請求権はあるとしても、対象になるべきなのは韓国政府だという点だ。それが、日韓請求権・経済協力協定の趣旨であり、そのために日本政府は韓国政府に巨額の経済協力を行った。もし、韓国国内の訴訟対象にならないのであれば、やらずぶったくりである。いずれにしても日本企業を相手方にするのは不合理だ。韓国政府を相手方とするためには、韓国側が国内法を整備すればいい。少なくともそれが韓国政府の責任だ。同時に日韓関係に影響を及ぼさないための「大人の知恵」にもなる。」と。韓国は併合であって植民地ではない。米国はハワイを植民地化したと言いいますか?50番目の州にしたではないですか。日本も朝鮮半島を順次日本と同等の扱いにして行ったのでは。それを今では強請りのネタにしています。百歩譲って植民地化したとしても、世界にそれで謝罪して金を払った国はないでしょう。日本が甘すぎた訳です。放置しておけば良かったのです。韓国はヤクザと一緒。最初に金を渡すと、何度でもせびれると思って理由なぞなしに請求し続けます。ここでもう日本は何もしないと最後通牒を突き付けなくては子々孫々が迷惑します。ヘタな妥協は禁物です。

https://www.zakzak.co.jp/soc/news/181107/soc1811070011-n1.html?ownedref=feature_not%20set_newsList

10/30アゴラに書かれた八幡和郎氏の提案する韓国への制裁措置(実害が出たら順次とのこと)には

「①日本人が半島に残した個人財産への補償を要求

②対北朝鮮経済協力の拒否(統一時も含む)

③三代目以降に特別永住者の地位を認めない事

④歴史教科書における近隣国条項を韓国に限って撤回

⑤韓国大衆文化の流入制限」

が挙げられていました。別に実害が出なくとも、通知しておけば良いでしょう。経済的に助ける(通貨スワップ)のを禁止するだけでなく、韓国へのスマホ部品等の輸出も止めれば良いでしょう。

http://agora-web.jp/archives/2035454.html

今度の中間選挙の結果で、韓国は民主党にロビー工作して、最高裁判決の正しさを主張しようとするかもしれません。日本政府は議会対策もしっかりしておかないと。喧嘩するならキッチリ勝てる喧嘩の仕方をしませんと。状況の変化に合わせた対策が必要です。外務省はしっかり仕事をしているかな?

重村氏の記事で分かるように、文は最高裁判事の任命を通じて、新日鉄訴訟で賠償判決を出すように仕向けた確信犯です。左翼頭では「日本の経済支援なし→韓国経済貧窮→共産革命勃発」ぐらいに考えているのでしょう。日本の支援は本音でほしくないと。でもその前に文がロウソクデモで打倒されることは想像していないのでは。

ZAKZAKの記事では、如何に軍人OBや外交官OBが騒いでも時すでに遅しです。流石に自民党の親韓派議員も動けないでしょう。これで韓国を助ける動きをしたら次の選挙で自民党がどうなるか分かりませんもの。日本国民は左翼メデイアの報道に踊らされず、堂々と韓国を追い詰めていけば良いです。

重村記事

日韓基本条約は「日米韓の軍事同盟だ」との強い批判を日本国内でも受けつつ批准された(写真:AP/アフロ)

在日韓国人の友人は、次のことを父親にきつく口止めされていた。「太平洋戦争の時、八幡製鉄(現新日鉄住金)で働いた。日本が敗戦し帰国する際は退職金が出た。送別会で餞別ももらった。強制労働はなかった。日本人には話すな」。父親は、「募集」か「官斡旋」で八幡製鉄に来た。帰国したが職がなく、密航して再び日本に来た。

韓国の大法院(最高裁)は10月30日、韓国人の元工員に対し、1人当たり1億ウォン(約980万円)を支払うよう新日鉄住金に命じた。判決は「原告は未払い賃金や補償金を求めているのではない」と述べ、「慰謝料請求権」を認めた。

これは、奇妙な判決だ。メディアは「徴用工訴訟」と報じたが、原告は「徴用工」ではなかった。判決は「強制動員の被害者」と述べた。「徴用工」とは、1944年9月以降「徴用令」に基づいて来日した朝鮮人だ。原告はそれ以前の「募集」か「官斡旋」に応じて新日鉄住金で働いた人たちだ。

さらに奇妙なのは、判決は「損害賠償」ではなく、「慰謝料の支払い」を命じた。慰謝料とは、一般的に精神的苦痛に対する支払いとされる。

つまり、原告は「未払い賃金」と「補償金」が訴因では、勝訴できないと考え「慰謝料」を請求した。これを韓国最高裁は認めた。なかなか巧妙な訴訟戦術だ。慰謝料なら、その後の精神的苦痛や差別、病気などを理由に請求できる。賃金の支払いや補償金と違い、慰謝料なら労働の実態などの事実関係が争点になりにくい。

最高裁判事の過半を文大統領が任命

この判決に対し、韓国の李洛淵(イ・ナギョン)首相は「司法府の判断を尊重する」と述べた。「司法の独立」と、なぜ言わなかったのか。韓国のメディアも「司法の独立」とは報じなかった。韓国語で「司法の独立」を言うと、多くの韓国人は白けるか、鼻で笑う。司法が独立していると、決して思っていないからだ。筆者もソウル特派員時代に、大統領府に判決内容を相談に来た裁判所長を目撃した。

韓国では、長い間「司法は権力の僕(しもべ)」と揶揄された。それでも今回の判決に、韓国民の多数が「胸がスッキリした」思いを抱いているのは事実だろう。国民は「強制労働」「不法な植民地支配」「反人道的な不法行為」の認定に、満足する。判決に権力(行政)の意向が反映されたと、一般庶民は思うだろう。

司法が独立していないと断じる根拠は、最高裁長官の経歴だ。金命洙長官の前職は、春川地方裁判所長であった。地方の裁判所長が、最高裁長官に抜擢された。ありえない人事だ。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が、同じ考えの裁判官を抜擢したと考えるのが、常識だろう。加えて、最高裁判事13人のうち7人が文大統領に任命された。

日韓併合を無効と「確定」する

とすれば、判決の背後に文大統領をはじめ革新(左翼)勢力の思いと戦略があった、と考えても間違いではないだろう。この判決が日韓関係に衝撃を与えることを当初から予想していたはずで、大統領府、政府と司法部はその対応を練ったはずだ。そうでなければ、韓国の官僚は無能だ。

判決はどんな効果を狙ったのだろうか。それは①大統領の支持率アップ②日韓併合無効の確定③日朝正常化の遅延④日韓基本条約再交渉⑤大統領再選――である。一言で言うと、「65年日韓基本条約」の「ちゃぶ台返し」だ。

判決は「不法な植民地支配」「植民地支配の不法性」を強調した。日韓併合を「国際法違反で無効」とする韓国内の主張を、最高裁が公式に認めたことになる。韓国では「韓国を日本の保護国とした1905年の第二次日韓協約は、日本軍の脅迫で成立したから無効である」との主張が支配的だった。判決は、これを確定した効果がある。

日朝国交正常化交渉の遅延を図る

文在寅政権は、この判決が日本と北朝鮮の国交正常化交渉に大きな影響を与える、と期待している。日朝国交正常化交渉で、「徴用工への慰謝料請求」を北朝鮮に要求させる計算だ。そうなれば、日朝交渉は紛糾する。韓国は、日本が先に北朝鮮に進出するのを、望まない。また、日本が北朝鮮の要求を受け入れ「不法な植民地支配」と「慰謝料請求」を認めれば、日韓基本条約再交渉の糸口になる。

ところが北朝鮮は、判決に沈黙を続けた。「歓迎」の立場を直ちに表明することはなかった。韓国の意図を見極めるのに時間がかかったのだ。北朝鮮は、金日成(キム・イルソン)主席が日本帝国主義に勝利した歴史を「正統性」の根拠にしており、韓国のように「歴史の立て直し」を必要としていない。また、日本帝国主義と一般国民を区別しており、日本国民全員を日本帝国主義者とはしない。

韓国は、日本と戦争し勝利したわけではないので、「国家の正統性」にコンプレックスを抱いている。この心理克服のために「歴史立て直し」や「日本への勝利」を必要とする。最近の「慰安婦財団解散」や自衛隊艦船の旭日旗掲揚拒否は、革新勢力が目指した「歴史立て直し」の一環で、「対日勝利」のシンボルだ。

文在寅政権の「歴史見直し」戦略は、今後も続くと見るべきだろう。日本政府や企業の対応にも問題はあっただろう。だが、植民地支配への反省から日韓友好のために経済協力や韓国支援を進めた日本の好意は、理解されなかった。

隣国との関係悪化は、望ましくはない。歴史を振り返ると、およそ1300年前の白村江の戦い以来、日本は朝鮮半島に関与して、敗北の連続だった。韓国最高裁の判決は、日本は朝鮮半島に深く関わると裏切られる、との歴史の教訓を再確認させたのかもしれない。

ZAKZAK記事

韓国国内で、文在寅(ムン・ジェイン)大統領への「反旗」の動きが起きている。独裁国家・北朝鮮への傾斜を強める文氏に対し、外交官OBや退役軍人らが緊急声明を出し、文政権を痛烈に批判したのだ。「北朝鮮の非核化」をめぐる文政権の暴走には、ドナルド・トランプ米政権も不信感を強めている。元徴用工をめぐる最高裁の異常判決を受け、日本には韓国への怒りが沸騰している。対日関係の悪化は韓国経済を直撃しかねない。識者は「文氏の退陣に発展する可能性もある」と指摘する。

日本ではほとんど報じられていないが、韓国で先月、注目すべき2つのニュースがあった。外交官OBの有志団体と、韓国軍の退役将官で構成される「星友会」が、それぞれ緊急声明を出したのだ。

いずれも文政権の北朝鮮政策を非難する内容だが、外交官OBの声明には、タイトルに「弾劾」(=不正や罪科をあばき、責任を追及する)という苛烈な言葉が盛り込まれていた。

朝鮮半島情勢に詳しい、麗澤大学の西岡力客員教授が解説する。

「元大使クラス47人の声明は『文在寅政権の国家安保蹂躙(じゅうりん)行為を弾劾する』というタイトルだった。南北首脳会談の『板門店(パンムンジョム)宣言』と『平壌(ピョンヤン)共同宣言』を破棄し、韓米同盟を傷つける行為の中断-などを求めていた」

9月の南北首脳会談で、文氏と金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が署名した平壌共同宣言では、軍事分野の合意文書が採択された。この文書に従い、韓国と北朝鮮は今月1日、南北の陸海空の境界区域で一切の敵対行為を禁止している。

退役将官の声明は、この合意文書に反対し、さまざまな問題点を指摘したうえで、改善を求める内容だった。

これまでも保守派からは文政権を批判する動きが起きていたが、外交官OBや退役将官たちが行動を起こしたのは尋常ではない。

西岡氏は「文政権が、北朝鮮に軍事問題で譲歩しているので、在野の保守勢力だけでなく、退役将官の集まりや元外交官が立ち上がった。文氏を批判する運動の質が変わってきている」と語る。

韓国の同盟国である米国も、「北朝鮮の代理人」と化している文政権への不信感を強めている。

米国中心の国際社会が「北朝鮮の非核化」のため、対北朝鮮制裁を維持するなか、9月の平壌共同宣言では、北朝鮮の開城(ケソン)工業団地と、金剛山(クムガンサン)観光事業の正常化や、東西の沿海地域での経済共同特区・観光共同特区の造成協議の合意など、経済的に北朝鮮を利するような内容が盛り込まれた。

トランプ政権は、文氏自らが、各国首脳に「対北朝鮮制裁解除」の必要性を説いて回っていることに、クギを刺している。米財務省は、9月の南北首脳会談直後、韓国の金融機関に「制裁の順守」を要請してきた。

米国政治に詳しい福井県立大学の島田洋一教授は「トランプ政権は、北朝鮮への締め付けを強める方針で、制裁の抜け穴をふさごうとしている。こうしたなか、韓国は抜け穴を拡大するような動きを見せている。考えられないことだ。米国内では、文氏の『対北宥和』姿勢に対し、日米で連携して圧力をかけていこうという声が高まっている」と話す。

突出した「従北」姿勢を続ける文氏だが、人気も下落傾向にある。

世論調査会社「リアルメーター」が1日に発表した調査によると、文氏の支持率は55・5%で、5週連続のマイナスとなった。同社は原因として、株価の急落や長期失業者の増加など、経済指標の悪化を挙げた。

その韓国経済を直撃しそうなのが、日本国民を激怒させた、韓国最高裁による、元徴用工をめぐる異常判決だ。

日韓の法的基盤である日韓請求権・経済協力協定(1965年)を一方的に反古(ほご)にしたもので、「戦犯」と名指しされた企業を中心に韓国撤退や、投資引き上げが加速しそうだ。日韓ハイレベル経済協議や、通貨スワップ協定の再開協議中止だけでなく、識者の中には「韓国製造業を支えてきた、日本のハイテク部品や、素材、工作機械の供給制限」という強硬策を促す声もある。

前出の西岡氏は「日韓関係が悪くなれば、韓国経済にも悪影響が出てくる。経済が破滅的事態になり、自分たちの生活が危うくなってきたら、韓国国民の怒りは文政権に向かうだろう。文政権はデモによって前政権を倒してつくられたが、デモによって倒されるかもしれない」と語った。

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『米中間選挙で共和党敗北ならトランプ大統領は「マイルド」になるか』(11/3ダイヤモンドオンライン 三井住友アセットマネジメント調査部)について

11/5看中国<如果我是一名老兵 让我飞越太平洋(组图)=もし私が退役兵なら太平洋を飛んで行かしてほしい>退役兵の待遇が悪く、権利主張の暴動が彼らによって各地で起こされています。何せジニ係数が0.73という共産主義にはあるまじき恐ろしい格差が存在しますので。米国では退役兵に国民は敬意を払い、生活保障されるのに対し、中国では党の命令があれば国民に銃を向け(天安門事件がそうでした)、退役してからは生活困窮を訴え警察に小突き回されるのでは、待遇が違いすぎます。

今年10月、山東省平度で起きた退役兵の権利保護を求める集会の鎮圧事件

9/21トランプは退役軍人の取り扱いを2019年予算に盛り込んだ文書にサインした。後ろに見えるのは「我々の退役兵を支える」との標語。

https://www.secretchina.com/news/gb/2018/11/05/875560.html

11/6阿波羅新聞網<中期选举在即 纽约华人挺川普 支持传统价值=中間選挙でNYの華人系米国人はトランプ支持 伝統的価値を支持>なぜかといえば下図にありますように民主党の政策はおかしいものばかり。PCに始まるフランクフルト学派の秩序批判理論そのものです。大体、不法移民の受入、身分確認なしの投票、国境開放とか完全に法を蔑ろにしているのでは。最後のオバマケアについては意見が分かれる所でしょうけど。

http://www.aboluowang.com/2018/1106/1199699.html

日本時間11/6の20時から投票とのことで、本日中には結果が分かるのでは。上院の共和党勝利は間違いないでしょうけど、下院がどうなるかです。

11/5習近平は上海での中国国際輸入博覧会で、「15年間で40兆$輸入する」と大見えを切りましたが、人民元建て?$はイランのようにSWIFTコード使用禁止になれば使えなくなります。基軸通貨の強みです(両方とも11/6日経朝刊の情報に基づく)。日本企業は450社も参加したとのことで、後で焦ってもどうしようもなくなります。そもそも世界覇権を巡る争いと言うのが分かっていないからでしょう。歴史を本当の意味で勉強して来なかったためと軍事に無関心=憲法9条のおかしさを放置してきたことに繋がるのでは。

記事

米中間選挙では、下院での民主党リードが伝えられています Photo:PIXTA

皆さん、こんにちは。三井住友アセットマネジメント調査部です。毎週土曜日に「ビジネスマン注目!来週の経済、ここがポイント」をお届けしています。

米国の中間選挙がいよいよ目前に近づいてきました。中間選挙の結果によっては今後のトランプ大統領の政策運営への影響も考えられるため、大きな注目が集まっています。トランプ大統領の言動は米国内だけではなく、通商交渉や外交などを通じて日本を含んだ多くの国々に影響を及ぼしており、今やどの国も看過できない状況です。

そこで今週は、中間選挙の見通しと、その結果によって変わり得る米国の政策の行方、それによる日本の影響などについて考えてみたいと思います。

上院は共和党が多数を維持、下院は民主党が多数奪回という見方が優勢

中間選挙は、11月6日に投開票が行われます。現時点における米議会の勢力図は、下院が共和党235議席、民主党193議席(空席7)、上院が共和党51議席、民主党49議席で、上下院共に共和党が多数を押さえています。

今回の選挙では、下院の全議席、上院の35議席(補欠選2議席を含む)が改選の対象となります。過去を振り返ると、中間選挙は多数党がどれだけ議席を失うかが焦点となります。また、大統領の任期の半ばに行われることから、現政権への信任投票という性格を帯びます。

さて、上下院の選挙の見通しですが、上院は共和党勝利の可能性が高いと見られます。上院の改選数が共和党の9議席に対し、民主党は26議席もあり、圧倒的に共和党が有利だからです。ただし、フィリバスターと言われる上院独特の議事妨害を阻止できる60議席を共和党が確保するのは、困難と見られます。また、注目される下院では、民主党優位の展開が続いています。

政治情勢の調査会社RealClearPolitics社の現地11月2日時点における議席獲得予想は、上院が民主党44議席、共和党50議席(残り6議席は接戦)、注目の下院は民主党204議席、共和党197議席(接戦が34議席)と、民主党がやや有利な展開です。ただし、下院では接戦区が34もあることを踏まえると、拮抗していると言えます。

過去の経験則によれば、選挙前の大統領支持率と議席増減との間には概ね正の相関関係が認められます。RealClearPolitics社の調査によれば、トランプ大統領の支持率は40%程度です。この水準の支持率では、共和党議席減の公算が大きいと見られます。

下院で民主党勝利の場合、今後の政策運営はどうなる?

さて、それでは、仮に下院選で民主党が勝利し、共和党が多数を失うとすると、どういった政策運営になり、また経済へどのような影響が考えられるでしょうか。

まず、議会において共和党主導の立法が困難になります。その代表的なものが予算編成です。これまでトランプ大統領は共和党議員に対して半ば強引な予算編成を行ってきましたが、野党の民主党議員にはこの手法は通用せず、議会を通過する可能性が低下します。この場合、追加減税や移民対策(国境の壁建設)、医療制度改革等が議会を通過するは可能性が低下すると見込まれます。また、2020年度の政府予算の裁量的支出の上限引き上げも困難になる可能性があります。さらには、予算を巡る停滞から、政府が一時閉鎖されるリスクも考えられます。

トランプ大統領は規制緩和を推進し、企業が事業を進めやすい環境を整えてきた点などから、企業側からは高い評価を得ているようです。この流れが逆行すると、企業経営マインドの萎縮やそれに伴う投資や採用活動の減速につながりかねないリスクがあります。

したがって下院選挙で民主党が勝利すると、米国経済や企業業績に下押し圧力がかかると見られます。

また、下院において、民主党が大統領への弾劾手続きを開始する可能性があります。弾劾の最終決定権は上院にあるため、上院を共和党が押さえている限りトランプ大統領が直ちに弾劾されるわけではありません。ただし、証言や喚問等に時間が割かれることは否定できず、政策の進みが遅くなる可能性があります。

三井住友アセットマネジメント調査部では、下院は民主党が勝ち、上院は共和党が勝つというシナリオの発生確率が最も高く、およそ50%と見込んでいます。

次に可能性が高いパターンは、上院下院ともに、共和党が多数を維持するというもので、確率的には30%程度を見込んでいます。

この場合、現在と同じく大統領と上院下院の政党は共和党のままで、トランプ大統領のこれまでの政策が国民に信任されたことを意味します。ですから、現在のトランプ路線が継続されると考えられます。

中間選挙で民主党が下院を押さえれば、トランプ大統領の通商政策はマイルドに?

中間選挙で民主党が下院を押さえれば、トランプ大統領の通商政策がマイルドになったり、外交政策がより友好的になったりするのでしょうか。これがアメリカを取り巻く国々の目下の最大の関心事でしょう。

一般的な見方は、民主党が下院で勝利した場合でも、大統領権限で遂行できる政策領域が通商政策と安全保障に限定されるため、トランプ大統領はこれらの分野で引き続き自らの意見を前面に出し続けるだろうというものです。

ただし、同じ共和党でもタカ派色が濃い下院に対して、上院は穏健派が多いとされています。もし、タカ派色が濃い下院共和党が民主党に負ければ、トランプ大統領の政策もその影響を受けてタカ派色が薄まる可能性もあります。

一方、対中国政策については、引き続き手を緩める事はなく、最終的には2670億ドルの中国からの輸入品に対して追加関税が発表されるとの見方が大勢を占めます。ただし、この点も、今以上の関税の負荷は米国自身の経済や株価にマイナスの影響を与えるため、焦点が貿易から安全保障に軸足を移すとの見方もあります。
以上から、通商政策に関しては、今よりも多少はマイルドな姿勢に転換する可能性はゼロではないと考えられます。

民主党が下院で勝利した場合の日本への影響とは?

次に日本の影響について見てみます。10月9日に国際通貨基金(IMF)は世界経済見通しを下方修正しました。その時に、IMFは米中を中心とする貿易摩擦の影響を分析し、それを見通しに反映しています。それによると、米国発の貿易摩擦を要因とした自動車の追加関税が発動されず、また追加関税の賦課が企業センチメントに大きな影響を及ぼさなければ、日本経済にはほとんど影響が出ないことが示されました。

これは例えば、米国企業が関税によって高くなった中国からの輸入を断念し、代わりに日本からの輸入を増やすと言った代替効果を織り込んでいるためと見られます。

現実の経済がこのように動くかは注意が必要ですし、実際に、現在本格化しつつある日本企業の7-9月期業績発表において、貿易摩擦の影響を受けているとコメントしている企業が見られることから、やはり影響が全くないとの楽観的な見方を取ることはやや現実的ではないと思われます。

さて、仮に下院を民主党が押さえ、上院を共和党が多数を維持したとした場合の日本への影響ですが、以下の可能性が考えられます。

タカ派色の強い下院共和党の影響力が薄まることに加え、足元の米国株の下落や経済モメンタムの鈍化を受け、追加関税の税率引き上げや対象物品の範囲拡大による経済制裁強化はややトーンダウンすると考えます。一方、中国政府による自国IT産業の優遇や軍事力の強化については、状況の改善を求める姿勢を継続すると見られます。

また、日本や欧州との関係では、自動車に対する関税や数量制限として影響が出てくる可能性はありますが、米国での多少の自動車生産能力の拡充と、農業製品輸入の拡大交渉の合わせ技で妥協に至るシナリオを描く事ができます。

このようなシナリオは、現時点ではかなり楽観的な考え方だと見られますが、裏を返すと、中間選挙を受けてトランプ大統領が通商政策や外交政策を多少なりともマイルドな方向に舵を切らない場合、日本経済を取り巻く状況は厳しさを増すと考えておいた方がよさそうです。

(三井住友アセットマネジメント 調査部長 渡辺英茂)

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『中国・追加関税がもたらした輸入大豆の供給不足 11月以降の不足予想は1500万トン』(11/2日経ビジネスオンライン 北村豊)について

11/3阿波羅新聞網<习近平豪赌美选举不再幻想?川普刚抛出一个烟雾弹?反制中共美朝野差别大?=習近平が中間選挙に賭けるのは幻想に終わる? トランプは発煙弾を投げた 中共に反対するのは米国の朝野で差が大きい?>中間選挙が終わって、民主党が勝ったとしても、議会の反中は変わらない。但し、民主党の場合、トランプと比べ、判断力と実行力で劣る。民主党が議会を制すれば、トランプは民主党とぶつかる議題は引っ込め、コンセンサスを得やすい反中共のような議題に焦点を充てるだろう。北京が「共和党が負ければ、貿易戦が終わる」というのは幻想に過ぎない。11/1のトランプ・習電話会談は、中間選挙対策で、関係悪化はしていないという発煙弾を投げただけである。中共をWTO加入させたのに、この20年近く市場を開放せず、外資を公平に扱うと言ってもやらず、米国企業と政治家も長く不満に思ってきた。米国企業は中共の外資への圧迫に対し、怒るだけで何も言ってこなかった。ロビー活動をして、「北京と交渉してくれ」とだけ。

http://www.aboluowang.com/2018/1103/1198668.html

11/3阿波羅新聞網<川普暗指习近平来求和 专家:中共进退都是伤 川习会难有大突破=トランプは習に「来て講和を求めよ」と 専門家:中共は進むも退くも傷がつく トランプ・習会談は突破するのは難しい>南カロライナ大学の謝田教授は「貿易戦で中共は進退窮まれり。それだけでなく存亡の危機に直面している。進むにしろ退くにしろ傷がつく。G20で会談できなければ、それも問題にされ、会っても進展が無ければ責められる」と述べた。11/3トランプは記者の質問に「(関税の影響で中国経済が下降するのは)非常にまずいのでは。彼らは合意に達せると思っているが、大変なことだよ」と答えた。これは「中国が早くコントロールしたいなら、習近平が来て講和を求めない限り無理。公平な貿易をしないと駄目」というのを暗示している。

評論家やアナリストは、貿易戦は長く続くと見ている。

http://www.aboluowang.com/2018/1103/1198767.html

北村氏の記事で、中共が大豆輸入をどう取り扱うか見物です。関税賦課を止めるのか、止めずに米国から輸入するのか、大豆の代替品を探すのか?いずれの場合も困難な道です。中共の権威を傷つけるのは間違いないでしょう。トランプの中間選挙対策で打ち出した政策で自縄自縛に陥りました。策士策に溺れるというものです。松岡洋右のように米国の出方を読み間違えました。

11/4阿波羅新聞網<中南海激斗 邓朴方庆亲王联手 批习近平倒退 ——暗批习近平倒退 邓朴方讲话遭封杀 庆亲王发全文 残联官网休克=中南海は激闘に 鄧撲方(鄧小平の長男、文革時に紅衛兵に襲われ、窓から飛び降り、身障者に。身障者連合会の名誉主席)は曽慶紅と手を結ぶ 9/16身障者連合会の大会で、鄧は「習は逆行している」と批判 身障者連合会のネット全体は削除・封殺された 10月下旬、習が港・珠・澳大橋開通式参加の為南巡した時に、曽慶紅管理のサウスチャイナモーニングポストにその全文を載せたとあります。まあ、嫌がらせ程度でしょうけど。馬雲も派閥間闘争が激しくなるのを見込んでアリババを辞めたのでしょう。

まあ、このまま貿易戦が継続して行って、中国経済がガタガタになれば、少なくとも軍事費の膨張は抑えられ、海外展開している基地や尖閣に姿を現している艦艇や飛行機も維持できなくなるでしょう。それでも、軍事を維持するとしたらソ連の二の舞でしょう。その前に国民経済を圧迫し、真の革命が起きるかもしれません。中国を経済的に封じ込めて行くのが一番良いと思っています。トランプは期待を裏切らないでほしい。中国は嘘つき民族ですので、約束しても守ることはありません。「騙す方が賢い」と思っている連中ですから。変な妥協は禁物です。

記事

米中貿易戦争は米国の穀物業界にも不安をもたらしている。2018年4月5日撮影(写真:AP/アフロ)

中国政府の“国家糧油信息中心(国家穀物・食用油情報センター)”は、“国務院”の管理下にある“国家糧食和物資儲備局(国家食糧・物資備蓄局)”に所属する機関で、国内外の“糧油(穀物・食用油)”市場の動向を観測し、“糧油”の需要と供給の関係を分析し、市場の未来展望を予測し、政策的な意見を提出し、国家の“糧油”マクロ管理に情報を提供している。

9月11日から12日まで北京市で開催された「一帯一路世界農産品トップフォーラム」および「第14回“糧油”・飼料大会」で講演した“国家糧油信息中心”部長の“張立偉”は、中国の大豆輸入に関して次のように述べた。

【1】2017年10月から今年7月までの我が国の累計大豆輸入量は7695万トンで、前年度同期の7694万トンと同一水準であった。今年8~9月における我が国の大豆輸入量は1600~1700万トンで、昨年同期の1656万トンとほぼ同一であった。これに基づいて推計すると、2017/2018年度の我が国の大豆輸入量は9300~9400万トンで、前年度輸入量9350万トンと同水準になる。

【2】中国と米国の貿易衝突が我が国の第4四半期と来年度における大豆輸入に与える影響は大きい。2017年に我が国が輸入した米国大豆は3285万トンであったが、中国・米国の貿易戦争は米国大豆の輸入コストを他の国よりも大幅に引き上げ、米国大豆の輸入量を大幅に減少させ、今年の第4四半期と2018/2019年度の我が国の大豆輸入量に影響を与えることになろう。

【3】世界の大豆貿易の構成から見て、別の国で1000~1500万トンの米国大豆を代替することは可能だが、もしも我が国の大豆輸入量が大幅に減少しないならば、依然として1500万トン前後の米国大豆を輸入する必要がある。このため、大豆の消費需要を引き下げることを通じて大豆輸入量を減少させ、米国大豆を輸入しない、あるいは輸入削減による中国国内の影響を軽減させることが必要になる。

【4】毎年10月から翌年の3月まで、中国の輸入大豆は主として米国産であり、同一期間中に米国産大豆が占める割合は一貫して50%以上である。もし中国・米国間の貿易戦争が解決出来ぬまま推移すれば、米国大豆の輸入量は大幅に減少することになるだろう。我々は国内の“油籽(油用種子)”と“油料(搾油用植物)”の生産を奨励、支援し、国産の“蛋白粕(植物油の搾り粕)”の供給量を増加させ、ムラサキウマゴヤシ(別名;アルファルファ)などの高蛋白飼料作物の作付面積を増加させる。飼料や養殖企業に低蛋白配合を促進させ、合成アミノ酸の用量を増加させる。それによって飼料中の豆粕を代替する、あるいは豆粕の使用量を減少させる。

【5】事実上、8月26日までに米国大豆の優良生育率は65%で、昨年同期の60%よりも高く、今年の米国大豆が豊作になることはすでに確定的である。USDA(米国農務省)の8月予測では、大豆の単位収穫量は51.6ブッシェル/エーカーで、昨年の49.5ブッシェル/エーカーよりも高かったので、今年の米国大豆の収穫量は1億2480万トンで昨年の1億1950万トンよりも530万トン増大するものと予測される。

米国だけが大豆1500万トンを輸出できる

中国・米国間の貿易戦争は、6月15日に米国政府が中国による知的財産権侵害に対する制裁措置として、米国が中国から輸入している中国製品500億ドル分に対して25%の追加関税を課すと発表し、その第1弾として7月6日に340億ドル分の中国製品に制裁関税の適用を開始するとしたことにより勃発した。これに対し、中国政府は同じく6月15日に米国と同規模・同等の追加関税措置を取るとの声明を発表し、米国が7月6日に制裁関税を発動すれば、同時に340億ドル分の米国製品に追加関税を課すとして応戦する意思を表明した。

中国政府が米国政府に対する報復として7月6日に追加関税25%を適用したのは545品目の米国製品であったが、その中には主要な輸入品目である大豆が含まれていた。中国税関総署の統計によれば、2017年における米国からの“糧油”類の輸入総量は3550万トンであり、このうち大豆は3285万トンで全体の92%を占めていた。中国では大豆に対する輸入関税は従来3%であったから、25%の追加関税が適用された後の輸入関税は28%に増大した。

上記の張立偉部長の話にあったように、米国大豆は25%の関税が追加されたことで他国産大豆に比べて価格競争力を失った。しかし、今年、全世界の大豆生産量は4.85億トンであるのに対して、全世界の大豆貿易量は2.1億トンに過ぎず、そのうちに占める中国の大豆輸入量が9300~9400万トンとすれば、約45%が中国によって占められることになる。一方、上述したように2017年における中国の大豆輸入量は9350万トンであったが、その国別輸入量は【表1】の通り。

【表1】2017年中国の国別大豆輸入量

(出所)中国税関統計

2017年の米国からの大豆輸入量は3285万トンであったが、張立偉も述べているように、1000~1500万トンを別の国から輸入することで代替することは可能かもしれないが、たとえそれができたとしても、依然として1500万トンの大豆を輸入する必要がある。但し、1500万トンもの大豆を輸出できるのは米国だけで、その他の国にはそれだけの余力がない。
ましてや、張立偉が述べているように、今年の米国は大豆が豊作で収穫量は昨年よりも530万トンも増大すると見込まれているのである。

なお、中国税関総署の統計によれば、2018年1月から9月までの大豆輸入量は7001万トンで、その月別輸入量は【表2】の通り。

【表2】2018年中国の月別大豆輸入量

<万トン>

(出所)中国税関総署・月別統計

大豆に対する25%の追加関税が実施されたのは7月6日からなので、7月以降は大豆輸入量が減少してしかるべきだと思われるが、輸入量が減少した形跡はない。張立偉が述べているように「2017年10月から今年7月まで累計大豆輸入量7695万トンは、前年度同期の7694万トンと同一水準」であるということだから、影響は何もでていない。しかし、業界筋によれば、11月以降は南半球にあるブラジルやアルゼンチンでは大豆の供給が端境期に入り、本来これに代わって大豆を中国へ供給するのが米国であったという。その米国大豆が高関税のために中国へ輸入されないとなると、中国は1000万トン以上の大幅な大豆不足に陥り、中国企業は高関税に目をつぶってまでも米国大豆の輸入に踏み切る可能性が強いと海外メディアの多くが予想している。

中国の大豆自給率は20%程度と言われているが、中国国産大豆は輸入大豆に比べて価格が高く、遺伝子組み換えが行われていないことから、主として食用に使われている。これに対して輸入大豆は価格が安く、油分が多いことから、ほぼ100%が大豆油の抽出に使われる。大豆から油分を抽出した後に残る“豆粕(脱脂大豆)”は、豚、牛、羊、鶏などの家畜に良質な植物性蛋白質を供給する重要な栄養素であり、“豆粕”を混ぜた飼料で育てられた家畜は食肉に加工されて国民の食卓に供される。

中国の2017年における飼料用脱脂大豆の需要は6700万トンで、脱脂大豆総需要の98%を占め、そのうち養豚飼料に用いられる脱脂大豆は49%を占めている。中国には大豆供給不足による脱脂大豆の不足に対処するため、国産の油用種子や搾油用植物の生産を奨励し、国産の植物油搾り粕や高蛋白飼料作物の増産をはかり、飼料に含める脱脂大豆の量を削減すると、張立偉は上記の通り述べている。

ASF感染拡大に懸念の声

ところで、中国では8月3日に遼寧省“瀋陽市”で“非洲豬瘟疫(アフリカ豚コレラ)”(略称:ASF)に感染した“猪(豚)”が発見されたのを皮切りに、10月23日までの時点で黒龍江省、吉林省、内モンゴル自治区、河南省、江蘇省、安徽省、浙江省、天津市、山西省、湖南省、雲南省の計12の一級行政区(省・自治区・直轄市)の54カ所でASFに感染した豚が確認され、感染のさらなる拡大が懸念されている。

日本でも9月9日に岐阜県の養豚農場で「豚コレラ」(略称:CSF)の発生が確認されたが、これは日本で1992年以来26年振りであった。農林水産省消費・安全局動物衛生課が10月29日付で発表した内容によれば、「CSFは、豚やイノシシが感染する病気であり、強い伝染力と高い致死率が特徴で、日本では家畜伝染病予防法で家畜伝染病に指定されている」とあった。日本でCSFの発生が確認されたのを受け、中国政府は9月末に日本からの豚・イノシシの輸入を直接・間接を問わず禁止する旨の公告を出して即日実施した。

一方、中国で感染の拡大が懸念されているASFはCSFとは異なるウイルスに起因するもので、CSFと同様に豚やイノシシが感染する病気だが、専門家によれば、「感染すると出血熱を発して暴れるようになり、最終的には死に至る。人には感染しないが、有効な治療法やワクチンはいまだに開発されておらず、殺処分するしか解決方法はない」という厄介な代物である。

中国ではASFに感染して死んだ豚の肉を食肉市場へ供給する不届き者が横行しており、中国国内で大きな問題となると同時に、ASFが沈静化するまで豚肉を食べないとする人々が急増している。10月22日には中国・北京市から北海道の新千歳空港に到着した中国人観光客が、携帯品として持ち込んだ豚肉ソーセージからASFウイルスの陽性反応が出たという。当該ソーセージにはラベル表示がなく、原産地は不明だと言うが、中国製であることは間違いないだろうし、ソーセージのような肉加工品に化けると発見が難しい。日本政府はASFウイルスの侵入を恐れて検疫を強化しているが、人間がASFに感染した豚肉や加工品を食べても問題ないとはいえ、ASFウイルスは糞便に混じって排出され、そこから豚やイノシシが感染することが予想できるので防疫は重要である。

避けられない豚肉の値上がり

中国国内でASFが沈静化するまで豚肉を食べないという人々が増大し、養豚業者は苦境に陥っている。そこに大豆の供給不足による脱脂大豆の値上がりが追い打ちをかけ、養豚業者は正に泣き面に蜂という状況にある。このまま行けば、養豚業者は豚の飼育数を削減する、あるいは廃業するといった形で対応するはずで、将来的には豚の飼育数が回復するまでは豚肉の値上がりは避けられず、豚肉を好む庶民の反発は大きなものとなるだろう。

折悪しくASFの蔓延と時を同じくして大豆の供給不足問題が中国世論を賑わせているが、中国政府は米国政府に対する報復関税の対象品目に大豆を含めたために、“搬起石頭砸自己的脚(石を持ち上げて自分の脚に落とす=自業自得)”の結果になったと、中国の批評家は述べている。

10月11日、中国政府“農業部”は毎月定例で発表する『中国農産品需給形勢分析報告』10月分の発表を技術問題を理由に中止した。当該報告は主要な農作物の生産量、輸入量、消費量の月別予測を行うもので、主たる対象には大豆、トウモロコシ、綿花、食用植物油などが含まれている。海外メディアは、この発表中止は米国に代わる大豆の供給国が見つからないことに起因しており、11月以降に中国は米国大豆を輸入せざるを得ないのではないかと分析している。果たして、この結末はどうなるのか。ASFの感染がこれ以上拡大しないことを祈りつつ見守ることにしたい。

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『文在寅政権は「現状を打ち壊す」革命政府だ 「民族の核」を持つ北と組めば怖いものなし』(11/2日経ビジネスオンライン 鈴置高史)、『韓国徴用工判決、投資と観光客が激減する恐れ』(11/2日経ビジネスオンライン 向山英彦)について

10/29本ブログで「馬渕睦夫著の『2019年世界の真実』には、「ジャック・アタリは2025年までに中共の一党支配は終わると予言」(P.120)とありました。グローバル勢力が中共を見放したことになります。」と書きました。読み終わりましたので、その他の部分も紹介します。

①返還された北方領土にロシア軍の駐留を認めるのも一案。沖縄に米軍が未だに駐留していることを考えれば、何も不思議でない。(P.144~146)

②安倍政権時代にトランプ大統領が靖國神社に参拝することも大いにありうる。(P.147)

③「アメリカの伝統破壊はエスタブリッシュメントの交代に象徴的に表れています。ユダヤ系のブレジンスキーが自著『THE CHOICE』で指摘しているように、WASP (ホワイト、アングロサクソン、プロテスタント)をエスタブリッシュメントの座から弓き摺り下ろして新たにエスタブリッシュメントになったのはユダヤ系の人々です。その手法は黒人やヒスパニックなど少数派と組んだことだと、同書は種明かしをしています。つま り、移民(少数派)と組んで同じく少数派のユダヤ系がアメリカのエスタブリッシュメントに上り詰めた。移民はアメリカ社会変遷のために利用されたともいえます。

トランプ大統領はこうした事実に直接言及することは慎重に避けながら、アメリカ国民に対しアメリカを取り戻そうと訴えました。その意味で、トランプ大統領の挑戦は世界グローバル化勢力との戦いであるのです。」(P.166)

④「少数者優遇は多数者に対する差別である

では、国連による政治、思想分野での「世界統一」活動はどのように行われているのでしようか。この疑問に答える鍵はロシア革命にあります。

二〇一七年はロシア共産革命百周年でしたが、ロシア革命はまだ終わっていません。 私たちは一九九一年のソ連邦崩壊によってロシア革命は使命を終えたと無邪気に信じがちです。しかし、そうではありません。ロシア革命の思想を受け継ぐ革命家たちは、暴力的手段による共産主義革命から、文化を乗っ取ることによる内部崩壊方式に戦術を変更しました。この新しい戦術の理論的支柱になっているのが、先述のフランクフルト学派による秩序批判理論です。既存のあらゆる秩序を批判することによって社会を崩壊に導くという単純な理論ですが、この秩序破壊工作が明確に目に見える形で行われるわけではないので、私たちが社会の崩壊に気づくのが手遅れになる危険があるのです。

たとえば、昨今EUやアメリカを襲っている移民の波も、元はといえばフランクフルト学派の批判理論に基づき、先進国の社会秩序を破壊することを狙ったものです。しかし移民擁護者は自らの正体を明かさずに、移民の人権や人道問題の側面を強調することによって、人々の移民に対する疑問や不信感の表明を抑圧し、移民の受け入れが世界の理想に合致するものだとの印象操作を続けてきました。

近年、国連は移民に関する特別会合を開催し、移民は保護される権利があるとして各国に移民受け入れの促進を訴えました。この「移民の権利」擁護キャンペ—ンの尖兵となったのが各国のメディアであり、メディアに巣喰う知識人です。

彼らはポリテイカル・コレクトネス(政治的正しさ)という巧妙な口実を発明しています。これは少数者優遇であり、多数者に対する「逆差別」なのです。言うまでもなく、ポリテイカル・コレクトネスを推進しているのは世界の少数者グループです。フランクフルト学派の批判理論を言い換えれば、「既存の秩序は多数者の秩序であり、多数派から疎外されている少数者はこの秩序を破壊せよ」という革命的扇動になるのです。

移民を奨励する国連の移民条約の草案には「移民は移民した国の中で文化的にも社会的にも同化する必要はない」「移民は移民した国の国民と同等の権利を主張できる」という内容があります。あまり過激だから、誰も相手にしていませんが、国連はそういうことをやっているところです。」(P.182~183)

⑤「では、二十世紀最大の謎を解く鍵は何か。答えは前述したロシア革命です。ロシア革命は決してロシア人による帝政打倒の革命ではありません。ユダヤ系の職業革命家によるロシアにおけるユダヤ人解放のための革命だったのです。そのためにマルクスの共産主義革命理論が利用されたに過ぎません。この真実は世界の眼から隠蔽されてきました。

ソ連共産主義体制下、ニ千万人のスラブ系住民が反革命や階級の敵という口実で、問答無用に殺害されましたが、このテロの恐怖による強権的支配の革命を支援したのは米英の金融資本家たちです。彼らは融資した資金を回収し、革命家たちはロシア人労働者を弾圧し、搾取する一方でスイスの銀行口座を持ち、私的に富を蓄えた。このような共産主義独裁政権がプロレタリアートのための政権であるはずがありません。革命から七十四年でソ連という人工国家は崩壊しましたが、この事実が共産主義体制の矛盾を如実に証明しています。

共産主義の悪行がこれほど明確に示されているにもかかわらず、なぜかロシア革命の実態について、私たちは知ることを阻まれています。それはロシア革命をプロレタリアート革命と持て囃した勢力によってです。彼らはプロレタリアート革命のロ実で行われた大量虐殺の協力者であり、人類史上最悪の虐殺行為が暴露されるのを隠蔽しなければならない人たちです。

結論を言えば、ロシア革命を支援した人々がアメリカやイギリスのメディアを握り、ロシア革命の虐殺の実態が明るみに出ないよう、ヒトラーという極悪人を糾弾することによって隠蔽してきたのです。「ロシア革命でユダヤ人が□シア人を大虐殺した」「ユダヤ人がロシア人を強制収容所で働かせた」。それを隠さなければいけないから、ユダヤ人を強制収容所に入れ、虐殺したヒトラーを極悪人として糾弾しつづけるのです。もちろんヒトラーは悪い奴でしよう。しかし、それ以上の大虐殺を無視するのはニ枚舌というしかありません。

今、アメリカの歴史学者の大御所は、だいたいユダヤ人です。そういう人が、自分たちに都合のいい歴史をつくっていて、ユダヤ系が多いメディアはそれに加担する。 安倍首相も「歴史修正主義者」というレッテルをそういう人たちから貼られましたが、本当のことがわかったら困るから、本当のことを言いそうな人を、「歴史修正主義者」といって抑えているわけです。」」(P.186~188)

⑥「また、外国人のベビーシッターになると、日本の子どもたちが日本語を覚えられなくなります。言うまでもなく、赤ん坊はまず耳から日本語を覚えるからです。子育てのような子どもの人生を左右する重要なことを外国人にやらせてはいけません。それどころか、「子どもをむやみに保育園に入れてはいけない」と私は主張しています。子育ては親がやるべきです。「待機児童」問題が大きな行政課題になっていますが、児童が保育園を待機しているのではありません。待機しているのは会社で働きたい母親です。今、そういう正論が通じない社会になっています。

「少なくとも生まれてまもない子どもは、また、できれば三歳ごろまでの子どもは、お母さんが自分で育てたほうがいい」というと、フエミニストから批判されたりする。しかし、そのフェミニストもかつてはお母さんに育てられたのでしょう。自分は母親に育てられておきながら、周りの人たちに「母親が育てるな」とどうして言えるのか。そういう反論をできない今の政治家、あるいは保守系の知識人はだらしないと言わざるを得ません。これでは日本の社会がだんだん劣化していくのを止められません。

昔は一人の働き手で家族を支えましたが、今は夫婦二人で働かないと経済的にも支えられなくなっています。簡単に言えば、一人頭の収入が半分に減っているのです。しかし、両親がともに働かなければならないから子どもを保育園に入れるというのは、本末転倒です。母親が働かなくてもいいと言ったら極論だから、百歩譲って、少なくても三年間は育児に専念できるような社会システムにすればいいのです。そうしないと、日本人がだめになっていきます。日本の小学校が荒れているのは、母親が育児をしないからです。母親がご飯をつくらないからです。教育心理学の難しい理論は必要ないのです。」(P.206~207)

11/2ZAKZAK<「徴用工判決」で韓国致命傷 ヒト、モノ、カネ…もはや関わることがリスクに>

https://www.zakzak.co.jp/soc/news/181102/soc1811020004-n1.html

11/3ZAKZAK<韓国「徴用工判決」に米国、台湾の識者も異常性指摘 エルドリッヂ氏「約束守れない国」 黄氏「追い詰められているのでは」>

http://www.zakzak.co.jp/soc/news/181103/soc1811030001-n1.html?ownedref=not%20set_main_newsTop

まあ、韓国を甘やかしてきた勢力が悪いのでしょうね。「共産主義の防波堤」の論理は既に破綻しています。朝鮮民族は事大主義者です。強きに媚び諂い、弱きを虐めるとんでもない民族です。中国のように動物をしつけるようなやり方でしか付き合うことはできません。何せ忘恩の徒ですから。日本人とは余りにかけ離れています。日本も国際司法裁判所提訴何て悠長に構えず、できる制裁はやっていくべきです。鈴置氏の言う「韓国は米国から断交を言わせる」作戦のように、日本も早く韓国から日本への断交を言わせるように持って行きませんと。国際社会に説明できる原稿を今の内から作って置けばよい。外務省は能力があるのか?中国人・朝鮮人は嘘つき民族ですから、捏造したアピールを出される可能性がありますので、事実でキチンと反論できるようにしておきませんと。

この期に及んでも、日本企業は韓国で商売やりたいor世界のサプライチエーンを利用したいと考えているとしたら、愚かでしょう。韓国は法治国家でないことを示しました。法的安定性が望めない国でビジネスするなら、自己責任でしょう。まあ、経営者は株主総会で糾弾されればよいでしょう。

鈴置記事

文在寅大統領は「徴用工判決」翌々日の11月1日、国会で施政方針を演説したが、「判決」に言及はなかった(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

前回から読む)

文在寅(ムン・ジェイン)政権は革命政府だ。「現状」は全て打ち壊す。核を持つ北朝鮮と一体になるのだから、怖いものはない。

「歴史カード」を奪回した

—韓国はいったい、何を考えているのでしょうか。日韓国交正常化の際の合意をいとも簡単に踏みにじりました。

鈴置:驚くことでもありません。文在寅政権は革命政権なのです。国内外を問わず、気にくわないものは全て破壊します。この政権を生んだ2016年から2017年にかけての朴槿恵(パク・クネ)打倒劇を、大統領自身がフランス革命に例えています。

10月30日の韓国の大法院――最高裁の「徴用工判決」は「日本の上に君臨する」ことを宣言する“革命的”なものでした(「新日鉄住金が敗訴、韓国で戦時中の徴用工裁判」参照)。

政権に近いハンギョレの社説「『裁判取引』で遅らされた正義…徴用被害者もあの世で笑うだろうか」(10月31日、日本語版)は「法的にも日本を下に置いた」と勝利をうたい上げました。

(最高裁)全員合議体の多数意見は「強制動員被害者の損害賠償請求権は『朝鮮半島に対する不法な植民支配および侵略戦争の遂行と直結した日本企業の反人道的不法行為を前提とする慰謝料請求権』であり、請求権協定の適用対象ではない」と宣言した。

「反人道的不法行為」による個人請求権は消滅していないとする最高裁の判断は、強制動員はもちろん、韓国人原爆被害者や日本軍慰安婦被害者など他の「人道に反する不法行為」にも適用されるものとみられ、注目される。

この判決さえあれば、慰安婦合意で失いかけた「歴史カード」を取り戻し、これまで以上に日本を思う存分に叩ける――との喜びがひしひしと伝わってきます。

韓国はICJで勝てない

—では、次は個人請求権の発動ですね。

鈴置:ただ、それは現実には難しい。元・徴用工ら原告団が差し押さえようにも、今回の裁判で被告となった新日鉄住金の韓国における資産はほとんどありません。

それに差し押さえに入れば、日本政府が国際司法裁判所(ICJ)に提訴するでしょうが、そこで韓国側が敗訴する可能性が高い。

文在寅政権含め、韓国の歴代政権は日本政府と同様「元・徴用工の請求権は1965年の日韓請求権協定で完全に消滅した」との立場をとってきたからです。

中央日報の「強制徴用問題で国際訴訟に向かう日本…ICJは独の軍配を上げた」(10月31日、日本語版)はドイツの先例を引いて「韓国敗訴」の可能性を指摘しました。日本語を整えて引用します。

イタリア最高裁は2004年、戦争中に強制労働に動員されたイタリア人がドイツ政府を相手取って起こした損害賠償訴訟で原告勝訴判決を確定した。

これを不服とするドイツ政府はICJに提訴。ICJは2012年2月「イタリア裁判所はドイツの自主権を侵害した」としてドイツに軍配を上げた。平和条約で問題はすでに解決済みとの意味だ。ICJの判事15人中12人が主権免除原則により判決に賛成した。

なお、この記事の見出しに「強制」とあるのは、韓国側の用語です。日本側は「当時の朝鮮人――いわゆる半島出身の日本人は法的に日本国民だったのだから、戦争中の国民の義務として徴用された」との立場です。一方韓国は「韓日併合自体が違法だったから、徴用は『強制労働』だったのだ」と主張しています。

さらになお、今回の裁判の原告4人は徴用ではなく日本製鉄(当時)の募集に応じた人たちです。判決にもそう書いてあります。強制的に連れて行かれたわけではありません。そもそも裁判を「徴用工裁判」と呼ぶこと自体が間違っています。

中央日報は別の記事「韓国政府『歴史・未来ツートラック』慎重…日本がICJ提訴すれば外交的負担に」(10月31日、日本語版)でもICJへの提訴を取り上げ、韓国政府が苦境に陥ったと指摘しました。

ICJでの裁判は拒否できるが、国際世論戦を仕掛けられたら韓国が不利になる――との解説です。

日本のカネで財団を作れ

—韓国政府はどうやって苦境を脱出するつもりでしょうか。

鈴置:日本の政府や企業がカネを出して「徴用工財団」を作れと要求して来ると思われます。韓国紙には早くもそれを示唆する記事が載り始めています。

例えば、東亜日報の「ドイツ政府―企業、財団を作って個人被害を補償」(10月31日、日本語版)です。書き出しを引用します。

ドイツは第2次世界大戦でナチス政権が行った強制労働に対する賠償問題を解決するために、政府と企業による共同の財団を作った。170万人にのぼる被害者が補償金として計44億ユーロ(約5兆7千億ウォン)を受け取った。

なお、ドイツと比べるのは無理があります。ドイツ――厳密に言えば西ドイツは日本とは異なり、関係国との国交正常化の際に政府として補償金を支払っていないからです。

そこでドイツの例には触れず、「現実的な案」として「徴用工財団」の設立を主張する人もいます。中央日報の「強制徴用問題で国際訴訟に向かう日本…ICJは独の軍配を上げた」(10月31日、日本語版)は結論部分で、そうした専門家の意見を紹介しました。

建国大法学専門大学院のパク・イヌァン元教授は「強制徴用被害者が概略25万人と推算される」として「25万人の訴訟を司法府が行政力で処理することもできず、数十兆ウォンに達する賠償額も企業が負担するには現実的に難しい」と指摘した。

同時に、「両国が妥協できる接点を探して財団を通じて被害者の痛みを癒すのが正しい方向」と話した。

日本企業に加え、POSCOなど韓国企業が一緒になって救済のための財団を作り元・徴用工におカネを支給する――とのアイデアはかなり前からありました。

韓国企業も負担するのは本来、元・徴用工らに支払われるべきおカネを韓国政府が代わりに受け取って、浦項総合製鉄(現・POSCO)などを設立したからです。

朝日新聞は財団派?

—日本は支払い済みなのだから、韓国企業だけが財団に出資すべきでは?

鈴置:正論です。ただ、韓国側は「それでは面子が潰れるから日本企業もカネを出してくれ」と泣きついてくるわけです。韓国との融和を重視する日本人はそうした意見に耳を傾けがちです。外務省にも「日韓共同で出資する財団」を作ろうとの意見がありました。

朝日新聞では、未だにそちらに話を持って行きたいようです。社説「徴用工裁判 蓄積を無にせぬ対応を」(10月31日)の最後のくだりをご覧下さい。

日本政府は小泉純一郎政権のとき、元徴用工らに「耐え難い苦しみと悲しみを与えた」と認め、その後も引き継がれた。

政府が協定をめぐる見解を維持するのは当然としても、多くの人々に暴力的な動員や過酷な労働を強いた史実を認めることに及び腰であってはならない。

負の歴史に由来する試練をどう乗り切り、未来志向の流れをつくりだすか。政治の力量が問われている。

はっきりと書いてはいませんが、見出しと合わせると「日韓共同財団の設立により解決すべきだ」との声が、喉まで出かかっている感じです。

韓国への配慮は逆効果

—日本政府は?

鈴置:もう、相手にしない可能性が高い。「韓国の顔を立てる」などという甘い姿勢をとってきたからこそ関係が悪化した、と安倍晋三首相が考えているからです。

安倍氏は2012年夏、産経新聞のインタビューに答え、以下のように語っています。「単刀直言 多数派維持より政策重視」(2012年8月28日)から引用します。

自民党が再び政権の座に就けば東アジア外交を立て直す必要がある。過去に自民党政権時代にやってきたことも含め、周辺国への過度の配慮は結局、真の友好にはつながらなかった。

この思いは多くの日本人に共通するでしょう。私に対し「韓国に甘い顔をしたのがいけなかったですね」と言って来る日本人が相次いでいます。

その多くが昔は「日本は韓国に悪いことをしたから……」と言っていた人たちです。リベラルを気取っていた人こそが韓国を憎むようになった。

そもそも、財団を作っても根本的な解決策にはなりません。韓国人にとって「歴史カード」は「自分たちが日本人よりも上に立つ」ための切り札です。

「徴用工財団」を作れば文在寅政権の間は、問題は収まるかもしれません。が、次の政権が「この財団では不十分だった」と言い出しかねない。

21世紀に入ってから韓国は日本を下に見下すことに全力を挙げているのです(『米韓同盟消滅』第3章第2節「『反日』ではない、『卑日』なのだ」参照)。

「日韓」を無法状態に

—「慰安婦財団」は消滅しかかっています。

鈴置:その通りです。朴槿恵政権当時に日韓合意の下で設立した「慰安婦財団」が、現政権の気にくわないとの理由で事実上、消滅したのがいい例です。

「徴用工財団」を作れば、冒頭に引用したハンギョレの社説が小躍りしたように「原爆被害者財団」とか「新・慰安婦財団」を作れ、ということになるでしょう。韓国人に「歴史カード」を手放す気はないのです。

それに今回の最高裁判決は状況を根本から変えました。日韓国交正常化の際の合意の中核部分、日韓請求権協定を全否定したのです。日韓関係を定める協定が否定され、無法状態に陥ったのです。この問題を放っておいて「財団」でもないでしょう。

1965年に結んだ日韓請求権協定では国家と個人は、協定の締結後は請求権を行使できないと繰り返し明記しました。以下です。

両締結国及びその国民の間の請求権に関する問題が(中略)完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する。

締結国及びその国民の(中略)すべての請求権であって、同日(署名日)以前に生じた事由に基づくものに関しては、いかなる主張もできないものとする。

日本政府が韓国の個人に支払おうとした補償金を韓国政府は「すべて政府に渡して欲しい」と懇願。日本は韓国政府の意を汲んで受け入れました。

しかし将来、韓国人から「自分は貰っていない」と訴えられると懸念し、協定で「すべての請求権は消滅した」と2度も念押ししたのです。このため文在寅政権を含め、歴代政権も「元・徴用工の請求権は消滅した」との立場をとってきました。

この鉄壁の文言をすり抜けるため、韓国最高裁は詭弁を弄しました。判決は49ページに及ぶので、その要旨を翻訳しながら解説します。

「慰謝料」にすり替え

最高裁は判決で「原告(元・徴用工)の損害賠償請求権は請求権協定の適用対象か」を問題にしました。「適用対象でない」ことにすれば、被告の新日鉄住金に賠償を請求できるからです。そのうえで「適用対象ではない」理由を展開しました。以下です。

原告が求めているのは未支払い賃金や補償金ではなく、日本政府の朝鮮半島に対する不当な植民地支配や侵略戦争の遂行に直結した日本企業の反人道的な不法行為を前提とした強制動員被害者の慰謝料要求である。

請求権協定は日本の不当な植民地支配に対する賠償のためのものではなく、サンフランシスコ条約第4条に基づく韓日両国の財政的、民事的な債権、債務関係を政治的な合意により解決するものと見える。

請求権協定の第1条により日本政府が大韓民国政府に支給した経済協力基金と、第2条による権利問題の解決とが、法的に対価の関係にあるとは明らかではない。

請求権協定の交渉過程で日本政府が植民地支配の不法性を認めず、強制動員の被害の法的な賠償を原則的に否認したため、認めなかったため、韓日両政府は日帝の朝鮮半島支配の性格に関し、合意できなかった。この状況から強制動員の慰謝料請求権は請求権協定の適用対象に含まれると見るのは難しい。

要は、元・徴用工が求めているのは植民地支配に対する精神的な慰謝料であり、請求権協定の締結時に日本政府が植民地支配を謝罪していない以上、慰謝料もまだ支払われていないことになる。今、それを支払え――との理屈です。

ちなみに、ここでも職の募集に応じた人たちを「強制動員被害者」に仕立て上げてしまっています。事実認定からしておかしいのです。

韓国は法治国家ではない

—「慰謝料」問題と規定し直したのがミソですね。

鈴置:でも、そこが判決の弱点でもあるのです。それなら1965年の請求権協定の締結時に韓国政府は「精神的な慰謝料」を求めるべきだった。しかし、現政権に至るまで要求してこなかった。

そして今になって「慰謝料」を持ち出すことにより、日韓関係の法的な基盤をひっくり返したわけでもあります。

当然のことながら、河野太郎外相もここを批判しました。「河野外務大臣臨時会見記録(平成30年10月30日16時22分)」から引用します。

日本と韓国は1965年に日韓基本条約並びに関連協定を結び、日本が韓国に資金協力をすると同時に請求権に関しては完全かつ最終的に終わらせたわけであります。

これが国交樹立以来の日韓両国のいわば関係の法律的な基盤となっていたわけでありまして、今日の韓国の大法院の判決はこの法的基盤を韓国側が一方的かつかなり根本的に毀損するものとなりました。

差し押さえの危機に直面する新日鉄住金はもちろん、無法状態の韓国に進出した日本企業や日本人が今後、どんな目にあうか分かりません。河野外相はその点もクギを刺しました。

日本の企業あるいは国民がこの判決によって不当な不利益を被ることがないように韓国政府において毅然とした必要な措置をとっていただきたいというふうに思っております。

さらに、2国間の取り決めを平気で破るのなら、韓国は法治国家ではないと難詰しました。

法の支配が貫徹されている国際社会の中ではおよそ常識で考えられないような判決でありますので、韓国側には韓国政府にはしっかりとした対応を取っていただきたいと思いますし、日本としてはまず韓国政府のしっかりとした対応が行われるということを確認をしたいというふうに思っております。

政権に近い人を最高裁長官に

—文在寅政権は重荷を背負い込んだ?

鈴置:日本との間に立つ外交部は困惑していると思います。最高裁の判決を実行しないよう要求されたのですから。もし原告が差し押さえに動けば、世界から「法治国家ではない」と認定されてしまう。

ただ文在寅政権の中枢は、日韓摩擦は織り込み済みと思われます。この政権が発足した2017年、大統領は人権派として有名で、自身の考え方と近い金命洙(キム・ミョンス)氏を大法院長(最高裁長官)に任命しました。

春川(チュンチョン)地裁裁判長からの就任という異例の人事異動でした。当時から「徴用工裁判で日本企業の責任を問うための最高裁長官人事」と見られていました(日経「韓国最高裁長官に人権派の金命洙氏 徴用工裁判へ影響も」参照)。

—しかし、これでは日韓関係が完全におかしくなってしまいます。

鈴置:むしろ、それを望んでいると思います、政権の中枢部は。この政権は北朝鮮との融和を最優先しています(「北朝鮮と心中する韓国」)参照)。

すると、北朝鮮を共通の仮想敵としてきた米国との同盟が邪魔になります。米韓同盟を何とか廃棄に持って行きたい、というのが文在寅政権の本音でしょう。

そして米韓同盟は、良好な日韓関係があってこそ十分に機能します。つまり、日本との関係を悪化させることが米韓同盟廃棄の伏線となるのです。

ただ、こうした手口は韓国の保守派の一部からは見ぬかれている。政権としては自分の手を汚さず、最高裁をして日本との関係を破壊させるのがベストの解決策なのです。

本性を現わした文政権

韓国が露骨に北朝鮮の非核化の邪魔をするようになったので、米国メディアは「文在寅は金正恩(キム・ジョンウン)の首席報道官」と書き始めました(「『北朝鮮の使い走り』と米国で見切られた文在寅」参照)。

でも、この政権はそんな“雑音”は無視し、北朝鮮との共闘にオールインしています。北朝鮮の非核化を阻止したうえ、南北が一体化を進めれば「民族の核」を持つ強国として米国から独立できるのです。

文在寅政権はすっかり、その革命政権としての本性を現わしたのです。ただ、怖いのは保守派の「反革命」でしょう。

もし今、文在寅政権が「米国との同盟を打ち切る」と宣言すれば、青瓦台(大統領官邸)は大群衆に包囲され、弾劾されかねない。しかし、米国にまず「同盟を打ち切る」と言わせれば、保守派も文句は言えなくなります。

日韓関係の破壊はその一里塚です。革命政権の米国からの独立作戦は着々と進んでいるのです。

(次回に続く)

向山記事

元徴用工が新日本製鉄(現・新日鉄住金)を相手に起こした損害賠償請求訴訟で、同社に賠償を命じる判決を韓国大法院が確定した(写真:Lee Jae-Won/アフロ)

韓国大法院(最高裁)は10月30日、韓国の元徴用工4人が新日本製鉄(現・新日鉄住金)を相手に起こした損害賠償請求訴訟の再上告審で、4人にそれぞれ1億ウォン(約1000万円)を賠償するように命じる判決を確定した。

判決後、新日鉄住金と日本政府はこの問題は65年の「日韓請求権ならびに経済協力協定」(略称)で解決済みであり、本判決は極めて遺憾であるとのコメントを表明した。今後の韓国政府の対応次第では、日韓関係に深刻な影響を及ぼす可能性がある。

盧武鉉政権の見解を覆す

日本政府・企業にとって衝撃的な判決となった。というのは、「日韓請求権並びに経済協力協定」の規定に反するだけでなく、従来の韓国政府の見解とも異なるからである。

65年に、日本と韓国との間で「日韓基本条約」(略称)、「日韓請求権並びに経済協力協定」などが締結され、国交が正常化した。正常化のネックとなっていた請求権問題については、日本が韓国に経済協力することで「政治的決着」が図られた。この背景に、当時の朴正煕(パク・チョンヒ)政権側に、日本から資金供与を受けて経済建設を推進したかったことがある。

具体的な内容をみると、同協定の第1条で、日本が韓国に対して、3億ドルの無償供与、2億ドルの低利融資、3億ドルの商業借款を供与すること、第2条で、「両締約国は、両締約国及びその国民(法人を含む)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、…(中略)…完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する」と規定された。

日本政府はこの規定を拠り所に、個人の請求権問題は「解決済み」との立場をとっている。同様に、韓国政府もこの協定で解決ずみとの見解を示してきた。盧武鉉政権(ノ・ムヒョン、文在寅=ムン・ジェイン=大統領は当時秘書室長)も、日本政府が同協定に基づき供与した無償3億ドルのなかに請求権問題を解決する資金が含まれているとの見解を示した。

今回の裁判でも、一審、二審は基本的に政府と同様の見解を示したが、12年5月に大法院が個人の請求権は消滅していないとの判断を示して、二審判決を破棄した。13年7月の差し戻し控訴審で高裁は、新日鉄住金に対して1人当たり1億ウォンの支払いを命じる判決を下した。新日鉄住金はこれを不服として上告。この後、5年間審理が行われなかった。

そして10月30日、大法院が新日鉄住金の上告を棄却し、判決が確定した。

大法院の見解の変化と5年間の空白の理由

今回の一連の動きには、二つの疑問が浮かぶ。一つは、大法院の見解が12年になぜ変わったのか、もう一つは、上告審で5年間審理が行われなかった理由は何かである。

大法院の見解が変わった背景に、国民による過去の問題に対する問い直しがあったと考えられる。韓国では80年代後半に民主化が進み、情報公開を求める動きが広がるなかで、過去の日韓会談関連の外交文書が公開されるようになった。これを機に、過去の政府が不問にした問題に対する問い直しが始まり、いわゆる慰安婦問題や徴用工問題が再浮上した。こうした世論に押されるかのように、65年に形づくられた日韓の法的枠組みそのものを司法が問題にしたと考えられる。日本からすれば、「ちゃぶ台返し」である。

他方、5年間審理が行われなかったのは、おそらく朴槿恵(パク・クネ)政権下で改善し始めた日韓関係への影響に配慮(政府から求められた可能性も)したものと推測される。しかし、その後の「ろうそく革命」による朴大統領の弾劾、文在寅政権の誕生(17年5月)によって状況が変わった。とくに歴史問題に対して原則的な立場を採る文在寅政権下で、慰安婦問題に関する日韓合意を再検証する作業が進められたことにより、大法院は日韓関係への影響に配慮する必要がなくなったと考えられる。

日韓経済関係に及ぶ3つの影響

今回の判決を受けて、今後相次いで同様の訴訟が起こされることが予想される。日本企業が賠償に応じなければ、韓国内の資産を差し押さえられる可能性がある(その場合、日本企業が国際的な仲裁措置を求める可能性も)。

他方、韓国政府も難しい対応を迫られる。判決後、韓国政府は司法の判断を尊重しつつも、日韓関係に否定的な影響を及ぼすことがないように取り組むと表明したが、どのような具体策を出してくるかは現時点では不明である。日本政府はそれをみて、今後の対応を決定することになる。国際司法裁判所への提訴を含めて厳しい姿勢で臨むことも予想される。

今回の判決は今後の日韓関係、とくに経済関係にどのような影響を及ぼすのであろうか。この点に関しては、以下の3点を指摘したい。

第1は、日韓の企業間関係への影響は限定的にとどまることである。

日本と韓国の企業がサプライチェーンで結びついている。日本企業は韓国企業に対して、高品質な素材、基幹部品、製造装置を供給している。東レが韓国で炭素繊維を生産しているのは、生産コストの低さもあるが、グローバルな事業活動を行っている韓国企業が顧客として存在していることが大きい。

また韓国企業も、半導体や鉄鋼製品、自動車部品を日本企業に供給している。こうしたサプライチェーンは日韓の枠を超えて、世界に広がっている。日韓企業は長年の取引を通じて信頼関係を築いているため、今回の判決がこの点でマイナスの影響を及ぼすことはないだろう。

第2は、韓国経済にマイナスの影響が及ぶことである。

まず、日本企業による投資が減少する。訴訟対象になる企業を中心に、韓国での投資計画の先送りや新規投資の見送りが生じるほか、韓国の法的安定性への信頼低下により、日本から韓国への新規投資が減少する可能性がある。

日本からの投資は近年、素材、部品、研究開発分野に広がっており、韓国の産業高度化に寄与しているため、日本企業による投資減少の影響は大きい。

つぎに、観光への影響である。判決後、日本企業の韓国からの撤退、韓国との断交を求める投稿がネット上で増え始めた。日本国内で「嫌韓ムード」が広がれば、日本から韓国への観光客数が減少する可能性がある。中国からの観光客が本格的に回復していない状況下で、日本人観光客が減少すれば、韓国の観光業界には大きな痛手となる。ちなみに、日本の訪韓者数は今年に入り増加基調で推移し、1~9月は前年比21.9%増であった。

韓国ツートラック戦略に危機

第3は、日韓の政府間協力の動きが停滞することである。

文在寅政権発足後、慰安婦問題に関する日韓合意(15年12月)が「白紙化」されたのに続き、今回の判決が出たことにより、日本政府の韓国政府に対する信頼は著しく低下したと考えられる。今後関係が悪化すれば、各分野における政府間協力の動きが停滞するのは避けられないだろう。米国の保護主義の強まりや利上げなどを背景に、新興国では資金流出が始まった。韓国でも、日本との間で通貨スワップ協定を再締結して、セーフティネットを強化すべきとの意見が出ているが、その実現が遠のくことになる。

さらに、政府間関係の悪化は民間レベルの交流にも少なからぬ影響を及ぼすであろう。文在寅政権は歴史認識問題に関して原則的な立場を採る一方、「ツートラック戦略」に基づいて、日本との間で経済協力(第4次産業革命での連携や人材交流など)を進める方針であるが、それが難しくなる。

韓国経済に及ぶマイナスの影響は、おそらく韓国政府が想定している以上のものとなる。このような事態に陥ることを避けるためにも、韓国政府には従来の政府見解に基づいて、政府が事実上個人の賠償に応じるなど、日本企業に実害が及ばない策を講じることが求められる。

向山 英彦(むこうやま・ひでひこ)

日本総研 調査部 上席主任研究員
中央大学法学研究課博士後期過程中退。 ニューヨーク大学で修士号取得。 専門は、韓国経済分析、アジアのマクロ経済動向分析、アジアの経済統合、アジアの中小企業振興。

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『7年ぶりの日中首脳会談で得したのは誰?日本と中国、双方に成果はあったのか』(10/31日経ビジネスオンライン 福島香織)、『日本は対中「注文外交」をできるのか?中国の対日微笑み外交は「米中関係の従属変数」』(10/31日経ビジネスオンライン 細川昌彦)について

10/31ダイヤモンドオンライン<米中新冷戦は「中国近代史」を押さえればより深く理解できる>

https://diamond.jp/articles/-/183890?utm_campaign=doleditor

「アヘン戦争の屈辱以降、太平天国の乱や義和団事件などが起き、最終的に共産党革命につながるが、その一連の努力にもかかわらず、中国は香港から英国を追い出せただけ。自らの勢力圏だと思っていた韓国、台湾、沖縄などから西洋を追い出せなかった。」と沖縄を入れているのは意図的としか思えません。

11/1希望之声<习近平与川普到底谈了啥?李克强大敲边鼓做暗示=11/1習近平とトランプは一体何を話したのだろうか?李克強はそれを暗示している>新華社は両人の談話の内容を報道した。「トランプは首脳会談に期待を示しただけでなく、中国への輸出が増えるよう上海での国際輸入博覧会に米国企業が参加するのを支持すると述べた。国営メデイアの報道は、海外の中国語メデイアに「電話会談は貿易戦が緩和されることを示している」と結論付けさせている。但し、中共メデイアの報道は真実性or正確性に疑いの目を向ける人もいる。

つまり、数日前に海外メデイアは駐中国米国大使館の広報官の発言を引用して、「トランプ政権は今回の博覧会に高級幹部の派遣を拒絶した」と。これはトランプが中共に強硬に対抗している態度を表していると読み取れる。もし、その数日後にトランプが電話で態度を変えたとしたら、外交辞令の可能性が高い。しかし、国営メデイアの報道の仕方は却ってトランプに博覧会という基礎を造ってあげたことになる。

親中共の海外中国語メデイアの報道は米中の相互の譲歩に重点を置いている。これはもしかしたら李克強の功績によるものかもしれない。李克強は昨日北京で米国議員団と面談中に、「米中は貿易、安全及びその他の問題で争っているが、両者ともに譲るべき」と述べたと。

ある評論には「李克強はトランプ・習会談の前に、救いの手を差し伸べ、習と一致して米国に向け譲歩の用意があると説明したのでは。これは10/30崔天凱駐米大使がワシントンでリンカーン大統領の「良き天使」(われわれは敵同士ではなく、友であります。われわれは敵であってはなりません。神秘なる思い出の絃(いと)(mystic chords of memory)が、わが国のあらゆる戦場と愛国者の墓とを、この広大な国土に住むすべての人の心と家庭とに結びつけているのでありまして、(この絃が)必ずや時いたって、われわれの本性に潜むよりよい天使(the better angels of our nature)の手により、再び触れ(奏で)られる時、その時には連邦の合唱が重ねて今後においても高鳴ることでありましょう(yet swell the chorus of the Union)。— リンカーンの第一次大統領就任演説、1861年3月4日のことと思われます)の話を引用し、古き譬えを以て今の米中に和解を促したのに一致する」と指摘した。

譲歩の内容は今の所皆目見当がつかず、憶測だけである。ある評論家は「トランプが主動的に電話をして米国が全部下りたのでは。中国の面子文化を熟知しているトランプだから、鍵となるときに自ら動いて、習にもこの機会に降りるよう勧め、承諾を得た」と。(“wishful thinking”としか思えませんが)

マテイスにしろ、ポンペオにしろ、中国は米国の国家安全に対する最大の脅威と認識している。勿論、大統領も、米国のエリート層もである。

トランプが電話で友好的な態度を示したのは「もし北京が不公平な貿易行為を是正しようとし、口先でない実質的な譲歩をすれば、米国議会も受入、ある範囲では協力できる部分も出て来る。クドロー顧問は最近も、北京をこういう方向で纏め上げようとした。彼は「トランプはあるTVで、もし北京と合意に至れば、部分的に関税を取消すことはありうる」と述べた」と。

但し、軽く見ることができないのはマテイスもポンペオも北京への批判は貿易問題の範疇を超えた所にあるからである。マテイスは「中共は世界に権威主義体制を広めようとし、朝貢体制をも打ち立てようとして周辺国家の抵抗を引き起こしている」と指摘した。ポンペオは「中共は国内では宗教の自由を剥奪し、投資を使ってアフリカ、中央アジア、ラテンアメリカの国々を債務の罠に陥れている。中国にはビジネス上、正常な国家になってほしいし、国際法も遵守してほしい」と批判した。

ある見方では「習近平が、貿易戦に名を借りて経済と政治改革をしなければ、米中関係で貿易戦は緩和できない。今の所習の体制や社会変革の決心の跡は見られない」と。この報道を発表した時点ではWHはトランプの電話の内容をまだ発表していない。

中国人に善意を期待しても無理というもの。元々の発端は中国が汚い手を使って、世界制覇(=米国に替わって覇権を握る)を目指すのを阻止するために貿易戦争を始めた訳でしょう。中途半端では米国の覇権維持は難しくなります。そんなことは、WHはとうに知っているでしょうけど。崔天凱駐米大使のリンカーンの話もそれは米国内の話であって、外国の侵入の場合には敵国認定されるという事です。もう既に国防上は中露とも修正主義国として敵国認定されているではないですか。リンカーンは共和党大統領でしたが、トランプは共和党の異端ですから。歓心を買おうとしても無駄でしょう。中国人は「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」と言う民族であることをゆめ忘れないように。彼らは口先だけで恭順の意を示すかもしれません。でも裏では舌を出すに決まっています。一たび世界制覇の野心を明らかにしたのですから、今の内に徹底的に叩き潰しませんと。

https://www.soundofhope.org/gb/2018/11/01/n2335587.html

11/1希望之声<中国留学生“台湾一统就完了”爆红后 后果竟然这么严重=中国の米国留学生が「台湾統一は既にない話」と youtubeは爆発的人気に しかし結果は酷いものに>ロサンゼルスに留学中の江蘇省出身の留学生がyoutubeに「台湾は何故中国と一緒にならないといけないのか?」と述べ、すぐに人気を博した。それは28万もの視聴を受け、昨日(10/31)再びyoutubeにアップし、「この数日は多くの体験をした」と。

彼は「統一派、独立派、大中国主義、分裂主義、いろんな立場の人がいると思うけど、国際社会で中国と台湾は独立した政治実体を持つことは否定できない。両者は完全に別な政府である。誰かがすることをもう一人は止められない。これは客観的な事実である。台湾統一は終わった話。Youtubeやfacebookを見るのにファイアウォールがあり、Googleは使えず、使えるのは百度のみ。選挙での投票もできず、蔡英文を罵ることもできず、公務員の財産についての質問もできず、更には地溝油(廃棄した油をさらってもう一度使う)をも食べさせられる。中国人は草莽の民であり、賎民、奴隷で党の為に働かされる。台湾人が統一したいと思わないのは当り前、統一してどうなるの?」と。

このYoutubeは注目を浴び、多くのネチズンは賛意を示したが、28日からいろんな圧力を受けた。「派出所や公安局が実家や父母、先生方を使い、私に削除させようとしたが、無駄と言うもの。発した以上、転載される。覆水は盆に返らずである。どうすることもできない」と述べた。ある教師は彼に言った。「売国の言論だ」と。彼は反論し、「先に言うが私は売国奴でないし、国を売ることはできない。皇帝のみが売国できる」と。

また「実家の住所、電話番号、学校、教師等全部調べ上げられた。この監視能力は大変なものがある。先生が「中国の自分の足跡は全部残る。顔識別のせいである」と教えてくれた」と。

あるネチズンは「見た所、2000人強はあなたを支持し、60人強があなたを踏みにじっている。あなたの発言は正義の挙である」と。

https://www.soundofhope.org/gb/2018/11/01/n2334021.html

福島氏の記事にしろ、細川氏の記事にしろ、日本の外交はなっていない気がします。何を交渉しているのか、その跡が窺えません。まあ、11/1トランプ・習会談の中味が分かりませんので一方的に米国側に立つのも危険とは思いますが。それでも、ウイグル人の人権問題について言及したと言いますが、日本は世界から「口先だけ」の国で、何もできないからと舐められています。抗議したって、ペナルテイなしでは、自己満足だけでしょう。こんな外交は止めませんと。

大体中国人が約束を守るという前提がおかしい。習はオバマの前で、公開で「南シナ海の人工島は軍事基地化しない」と言った男ですよ。また、南京や慰安婦で世界に向けて反日活動に勤しんでいる国です。何故それを止めさせない。何故それなのに協力するのか分かりません。米国との同盟との理由以外でも、日本は中国に協力し、助けてやる必要はサラサラありません。聖徳太子以降の中国との付き合い方を忘れてしまったのかと言いたい。

世界に残っている共産主義の恐怖を取り除くために、インド太平洋戦略を掲げたのではないのか?安倍内閣はこのところ、口先だけで実が伴わないのが多すぎです。ウイグル人・チベット人・モンゴル人を助けてほしい。それには中共を潰さないと駄目でしょう。戦後、先人がインドネシアやベトナムに残り、独立運動に身を捧げ、「五族協和」や「王道楽土の建設」の理想に殉じたことを考えますと何をしているのかと言いたくなります。

福島記事

10月26日に開催された日中首脳会談(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

7年ぶりの安倍晋三・日本首相の公式中国訪問が無事に終わった。中国の公式メディアとしてはそれなりに手厚く報じていたが、26日のCCTVの夜のニュース(新聞聯播)のトップニュースは、習近平・中央軍事委員会主席が南部戦区(南シナ海や台湾をカバーする)を視察して戦争準備を呼びかけた、という前日の出来事の報道であり、安倍晋三と習近平の会談は二番手であった。とりあえず、どうしても日中首脳会談をトップ記事にしたくない中国の意地みたいなものを感じた。また習近平の表情もCCTVカメラに対しては意地でも笑顔を見せまい、という印象だった。

日本に頼らざるを得ないのは中国にとってはやはり屈辱なのだろうか。

ただ、知識人や中間層以上の中国庶民の反応はおおむね好意的だったように見受けられる。安倍の“おっかけ”をしていた知り合いの話では、わざわざリアル安倍晋三を見たいがために、長富宮ホテルのロビーに待機していた中国人も結構いたらしい。「天皇訪中はいつ実現するのか」といった期待を私に聞く知識人もいた。SNSでは「日本が米国の支配から抜け出し、中国とパートナーになることを選んでくれた」といった評価のコメントが並んだ。それだけ中国社会には米国にイジメられているという自覚と、経済的に相当追い込まれているという危機感が漂っているといえる。米国が完全に敵に回った今、日本まで敵に回すわけにはいかないのだ。

さて今回の日中首脳会談の中身である。先週の拙コラム「意外に安倍政権好きな中国知識人」で報じた予測内容がほぼアタリであったので、いまさら繰り返す必要もないかもしれない。日中関係の新時代が強調され、通貨スワップ再開、一帯一路戦略に対する第三市場での日中協力表明、北朝鮮問題で拉致問題の中国からの協力、福島事故以来の東北地域の日本食品輸入規制の撤回、RCEP加盟に向けた交渉加速、海空連絡メカニズムの運用など予定されていたテーマはきちんと消化された。「反保護貿易」といった米国の神経を逆なでしそうな表現は避けることになったが、自由貿易擁護の立場を表明した。

また訪中に合わせて、北京で行われた初の日中第三国市場協力フォーラム(“一帯一路”日中官民協力協議会)では、日中企業、金融関係者ら1400人が参加し、52のプロジェクト(180億ドル)について調印された。さすがにAIIB(アジアインフラ投資銀行)への参与は避けたが、5月の李克強訪日の際に、日本の金融機関によるRQFII(人民元適格国外機関投資家)の枠組みを使っての投資を可能にしており、また中国・財経誌などによれば、野村ホールディングスや中国の投資機関が合資基金を作って、第三市場に進出する日中企業を支援する仕組みなどを準備しているという。こうしてみると、中国にとっては間違いなく大変ありがたい大盤振る舞いであった。

会談における両首脳の発言

一方、日本が中国に手を差し伸べる、という珍しく日本が優位に立ったように見える外交であった。今回の日中首脳会談で謳われた日中新三原則「競争から協調へ」「パートナーとなって、脅威にならない」「自由で公正な貿易体制を発展させていく」は安倍から提示されて、習近平が承諾するという形になった。習近平主催の晩さん会で安倍は丁寧にもてなされ、米中関係について不安そうな表情を見せる習近平に、安倍が「トランプ大統領はあなたのことを信頼している」と慰める場面まであった。

では、今回の日中首脳会談では日中どちらがより多くのものを得たのだろう。外交に勝ち負けをつけるのも変かもしれないが、勝者とよべるのは日中どちらなのだろうか。

新華社によれば、会談における習近平の発言はこんな感じだ。

「……今年は中日平和友好条約締結40周年だ。1978年、両国の先輩指導者たちは平和友好条約を結び、法律形式をもって両国の長期的和平友好の大方針を確定した。双方がこれに協力して互いの利益を発展させるために、共同発展および歴史、台湾などの敏感問題の妥協をはかり、堅実に従い保障する。双方の共同の努力のもと、中日関係は目下、正常な軌道を回復し、再び積極的な情勢となっている。これは双方にとって得難いものである。双方とも四つの政治文書が確立した原則に従い、平和と友好の大方針を堅持し、互恵互利の協力の深化を持続し、中日が回復した正常軌道の基礎の上で新たな発展を推進していくであろう」

「新情勢のもと、中日両国はお互いの依存を日増しに深め、多面的により広範な共同利益および共同の関心において、より深い戦略的コミュニケーションと多層的な次元で、多くのチャンネルによる対話メカニズムを通じて、相手の戦略的意図を正確に把握し“相互に協力パートナー”であること、“お互いを脅威としない”とする政治的共通認識を切実に徹底して実践し、ポジティブな相互作用を強化し政治的相互信頼を増進させよう。さらにハイレベルの実務的協力を展開し、十分な協力の潜在力を開放しよう。中国の改革はたゆまず深化しており、開放の大門はますます大きく開かれている。これは、中国同胞および日本を含む世界各国が協力を展開するために、より多くのチャンスを提供するであろう。ともに“一帯一路”を打ち建て、中日の相互利益協力のために新たなプラットフォームとテストケースを提供しよう。

中国としては日本が新時代の中国発展プロセスにさらに積極的に参与し、両国のさらなるハイレベルなウィンウィン関係を実現することを歓迎する。さらに広範な人文交流を展開し、相互理解を増進し、両国の各階層、特に若者世代の活発な中日友好事業への参加を応援しよう。さらに積極的な相互安全のための行動を展開し、建設的な相互安全関係を構築し、ともに平和発展の道を行き、地域の平和安定を維持しよう。さらに国際協力を緊密にし、共同利益を開拓し、地域経済の一体化を推進し、ともにグローバル的な挑戦に応対し、多極主義を守り、自由貿易を堅持し、世界経済の建設開放を推進しよう……」

新華社によれば、これに対し安倍晋三の発言は以下の通り。

「中日平和友好条約締結40周年のこの重要な時期に正式に訪中できたことを非常にうれしく思う。この訪問を通じて、双方が競争から協調に変わった日中関係新時代を始めていきたい。日中はお互い隣国であり、お互いの利益協力、お互いが脅威にならない精神に照らして、両国の四つの政治文書を根拠に両国関係を推進していく共通認識を確認し、同時に国際社会及び地域の平和のために自由貿易を擁護していくために貢献していくべきだ。

これは国際社会とこの地域の国家の普遍的期待である。日本は中国がさらに一歩対外開放を拡大することを歓迎、支持し、継続して積極的に中国発展のプロセスに参与していきたい。日本は中国側と道を同じにし、ハイレベルおよび各レベルでの交流を密接にし、両国の友好的な民意を基礎に双方の意見対立をうまくコントロールし、日中の戦略的互恵関係の深化発展を推進し、地域の安定と繁栄に力をあわせていきたい。“一帯一路”はポテンシャルのある構想であり、日本側は中国側と、第三市場の共同開拓を含めて広範な領域で協力を強化していきたい」

安倍晋三・李克強の首相会談の文言も見てみよう。

李克強の発言は以下の通り。

「双方が両国関係を積極的な流れにもっていき、さらに一歩良好な相互作用を強化し、歴史、台湾、東シナ海などの敏感な問題をうまく処理し、両国関係をたゆまず前進させ続けるよう望む」

「中国側は日本側と政治、経済領域の対話を行い、政策上のコミュニケーションと協調を強化し、科学技術とイノベーション、省エネ環境保護、医療老人介護、財政金融、防災と農業などの領域での協力を深め、開放、透明化、市場化の原則に従って、第三国市場における中日の実務協力の新たな支柱として打ち建てたい」

「海空連絡メカニズムのホットラインをできるだけ早く設置し、海上執法部門の対話を強化し、東シナ海を平和と協力、友好の海にしたい」

「両国の青年、体育、地方などの領域でお互いを鑑に交流し、双方の人的往来の利便をはかる友好的措置をとりたい」

「目下の国際情勢のもと、中日は世界主要経済体として、多極主義と自由貿易を共に庇護し、開放型世界経済を推進していくべきだ。中日韓自由貿易区と地域経済のパートナーシップ協定(RCEP)、の交渉を加速推進させ、地域貿易投資の利便化を促進したい。東アジア経済共同体をともに建設し、アジア太平区域の一体化プロセスの助けとしよう」

これに対し安倍晋三の発言。

「李克強首相の5月の訪日で日中関係は正常な軌道を回復した。これを契機に、競争を協調に変える日中関係新時代が始まった。日中は重要な隣国であり、双方が戦略的パートナーで、お互い脅威とならない。中国の発展は日本にとって重要なチャンスであり、日本はハイレベルの交流を強化し、四つの政治的文書を基礎に戦略的コミュニケーションを強化し、両国の経済貿易、投資、金融、イノベーション、第三市場での協力、青少年、スポーツ、地方の各領域での協力交流強化を望む。日中が手を取り合い時代の潮流に順応することは世界が直面する共同の課題解決の助けとなろう。双方は共同の努力をしてRCEP交渉の実質的な進展を推進し、自由で公正な国際経済秩序の建設を推進し、自由貿易と世界経済の発展に貢献していくべきだ」

中国は一帯一路、日本は拉致問題で成果

中国にとっての成果の一つは、安倍に一帯一路を評価させたことだろう。一帯一路戦略は中国人専門家ですら挫折説を囁く人がいたのだが、日本が関わることで息を吹き返す可能性がでてきた。党規約にまで書き入れられた一帯一路戦略が失敗となってはそれこそ政権の存続が危ぶまれかねないので、習近平としては胸をなでおろしたことだろう。ただし、日本企業が一帯一路で利益を見込めるかというと、そう簡単な話ではかろう。しかも安全保障的な観点でみると、一帯一路戦略は失敗した方が、むしろ日本の国益にかなうのではないかと、私は思っているので、この点に関しては、安倍政権の本当の狙いがよくわからないでいる。

日本にとっての成果は、まず習近平の口から北朝鮮の拉致問題に対して「理解と支持」発言を引き出したことで、この部分は新華社記事発表の公式発言には出ていない。中国の北朝鮮に対する影響力がどれほど残っているかはわからないが、行き詰まっている拉致問題に新しいアプローチを提供してくれる可能性はあるかもしれない。

避けられた歴史認識や領土問題への言及

次に安倍が提案した日中新三原則の一つである「お互いが脅威とならない」と言う表現。中国はこれまで自分たちは脅威でないと主張してきたが、相手が脅威に感じているという前提は認めたわけだ。その上で戦略的コミュニケーションが重要という共通認識に至った。さらに双方とも歴史認識問題や領土問題についての言及は避けるという配慮をみせた。

外相の河野太郎が26日に王毅と会談した際に、尖閣周辺に設置されたブイを撤去するよう要請したとき、王毅はいつものように青筋たてて反論するようなことはなく、「意見の対立は妥当に処理する」と答えるのみだった。一部で、日本を味方につけるために、尖閣問題の対立を当面棚上げにする意見も党内で出ているという噂があり、本当にそうであれば日本にとってはありがたいことかもしれない。

もっとも25日に習近平は南部戦区視察をしているし、尖閣周辺に海警船を連日派遣している。発言と行動はまた違う。安倍は習近平に“スパイ容疑”で中国に拘束されている日本人の解放を直接求めたが、習近平は「法律に照らして適切に処理する」としか答えていない。「中国の脅威」は口で言うほど簡単には解消されまい。

李克強との会談はかなり実務的な話が出ていたが、今の市場管理強化姿勢を打ち出している習近平政権に開放、透明化、市場化原則を言わせたことは重要だ。自由貿易とセットで自由で公正な国際経済秩序の建設が語られた。もっとも中国側のいう市場化、自由貿易という言葉と、日本がイメージしている市場化、自由貿易はかけ離れていると思われ、共通認識をもっているようで、同床異夢という気がしないでもない。

中国の報道にはないが、安倍が李克強との会談でウイグルの人権問題に言及した。これは日本が国際社会の普遍的価値観を共有している国家であることの表明でもある。ウイグル問題は一帯一路地域が現場でもあり、日本が一帯一路に参与する以上は口を出す立場にある。

こうして総じてみると、実入りは中国の方が大きい。だがメンツを重んじる中国にしてみれば、日本に対して屈辱的なまでに下手に出た、という感覚だろう。日本人は相手が下手に出てくると、ついついお人よしの優しい性格がでてくるが、中国は日本に助けてもらったとしても、心から感謝するどころか、いつか立場を逆転してこの屈辱を晴らそうと思うタイプの人が多い。中国は徹底した強者主義の国だ。

現在の安倍政権の対中外交方針の真の狙いはわからないが、もし今の中国が米国からの圧力によってしおらしくなって日本にすり寄ってくるというなら、こういう時は簡単に手を差し伸べるよりも、むしろ圧力を上乗せしてかけるくらいのほうが、日本の国益に合致するのではないか、と思う。とはいえ、外交のプロたちが考えぬいた今回の対中外交方針のシナリオだ。中国がしおらしい顔を見せている間に、日中間の核心的利益を争う領土、歴史、台湾の問題を日本の有利に導くよう、総じて日本の外交勝利が導ける事を期待して今しばらく冷静に観察したいと思う。

細川記事

10月26日に北京で開かれた日中首脳会談。米中の「貿易戦争」を背景に「微笑み外交」で日本に迫る中国に対し、日本の対応はどうだったのか。安易な「日中関係改善」では不十分で、知財問題や一帯一路に関して「注文外交」を展開する必要がある。

(写真=新華社/アフロ)

これほど思惑がわかりやすい首脳会談もない。10月26日、安倍総理が北京を訪問し、習近平国家主席との日中首脳会談が開催された。この首脳会談に対する中国側の意気込みはやはり米中対立の裏返しであった。

2017年半ばから習主席は日本との関係改善に動き始め、昨秋の共産党大会を終えて以降、対日外交は「微笑み外交」に明確に転じた。習近平体制の権力基盤の強化もあるが、基本的には米中関係の悪化が大きく影響している。

米中関係が厳しさを増してくると、日本との関係は改善しておき、日米の対中共闘を揺さぶる、といういつもながらの思考パターンだ。

これまでの歴史を振り返ってもそうだが、「日中関係は米中関係の従属変数」という要素が大きい。

もちろん日中の関係改善は歓迎すべきことで、これを機に建設的な対話をするチャンスだろう。しかし、これを永続的なものと楽観視すると中国の思うつぼだ。あくまでも中国側の事情、打算による関係改善である。将来、仮に米中融和に向かえば、どうなるかわからない脆い基盤だ。残念ながらそれが日中関係の現実だ。日本政府も「従属変数としての日中関係」を頭に置いた対応が求められる。

日本企業にとっても注意を要する。

米中間の関税合戦もあって、外国企業の対中投資が見直しの機運で、現に中国での生産拠点を他国に移転する動きも出てきた。これに中国は強い危機感を持ちだした。そこで、日本企業を引き留めるだけでなく、更には対中投資に向けさせたいとの思惑が働いている。

最近、中国は共産党指導部の意向を受けて、各地の地方政府が熱心に日本企業に対する投資誘致に奔走しているのは、そうした背景による急接近だ。これは中国側の状況次第でいつでも風向きが変わるリスクがあることを忘れてはならない。

知的財産権での注文外交とは

こうした中国の「微笑み外交」に対して、日本は中国に対して「注文外交」ができるかが問われている。

具体的に日中首脳会談の経済面での成果を見てみよう。

その一つが、先端技術分野での連携のための新たな枠組みとして「イノベーション協力対話」を作ったことだ。これも米国との技術覇権争いを背景として、中国がハイテク技術で日本に接近する思惑が見え隠れする。

5月、李克強首相が訪日した際、安倍総理に投げたボールが、イノベーション分野での対話・協力であった。日本は中国の思惑にそのまま乗るわけにもいかない。中国の知的財産権の扱いについては欧米とともに日本企業も懸念を有している。そこで、これを知的財産権問題とパッケージにして扱う場に仕立て上げた。

米国は中国への技術流出を止めようとしている矢先に日本が抜け穴になることは看過できない。日本政府も米国政府に懸念払拭のために事前説明したようだ。

今後、この対話の場をどう動かしていくか、まだ決まっていない。だが、日本としては中国にお付き合いしている姿勢を示しつつも、具体的な案件ごとに安全保障上の懸念がないか慎重にチェックすることが必要だ。

日本企業も恐る恐る対応することになる。協力案件が米国から問題にされることがないよう、企業にとって保険になるような、政府ベースでの仕掛けづくりが大事だ。

習主席訪日を「人質」に取られ、日本はWTOに提訴できず

またこの対話を進める前提として、中国の知的財産権のあり方に注文をつけることが不可欠だ。中国の不公正な知的財産権のあり方については、欧米が歩調を合わせて世界貿易機関(WTO)への提訴を行っている。ところが日本は今回の安倍総理の北京訪問、来年の習主席の訪日を人質に取られて、中国へのWTO提訴をしていない。

先月の日米首脳会談での共同声明にあるように、中国の知的財産の収奪、強制的な技術移転などの不公正さには日米欧で共同対処するとなっている。にもかかわらず、日本が中国に対してWTO提訴できないでいるのだ。これには欧米からは冷ややかな目で見られていることは重大だ。

特に日本政府はルール重視と口では言っていても、中国のルール違反に対しては甘い姿勢でいることに、言行不一致との指摘もささやかれている。これではこれからの国際秩序作りに日本が主導して日米欧が共同歩調を取ることを期待できないだろう。

日本も中国に対してWTO提訴を行ったうえで、こうした対話の場を活用して、中国に対して民間企業が直面している懸念をぶつけて、改善のための協議をすることが、イノベーションの協力を進めるための政府の役割だろう。日本企業もこれまで知財での不公正な扱いに対して、中国政府に睨まれないよう、目をつぶっていた体質を変える必要があるが、それも日本政府の対応がしっかりしていることが前提だ。

一帯一路への「注文外交」を

そしてもう一つの柱が、日中の「第三国市場でのインフラ協力」だ。

中国の思惑は、日本をいかにして一帯一路への協力に引き込むかにあるのは明白だ。一帯一路も相手国を「借金漬け」にする手法に、欧米だけでなくアジア諸国からも警戒感が高まり、一時の勢いが見られない。パキスタン、ミャンマー、マレーシアなど事業の縮小、見直しが相次いでいる。そうした中で、日本の協力を得ることは、一帯一路の信頼性を高めるうえで大きい。

他方、日本は「量より質」で勝負しようと、相手国のニーズと案件を精査して「質の高いインフラ整備」で対抗しようとしている。米国とともに提唱している「インド太平洋戦略」がそれだ。

しかし単に対抗するだけではなく、圧倒的な資金量を誇る中国とは協調も必要ではないかとのスタンスに徐々に舵を切り始めたのだ。もちろん民間企業のビジネスチャンスへの要望もあるだろう。

むしろ日本に優位性のあるプロジェクト・マネジメントやリスク管理のノウハウを活用して、一帯一路を軌道修正させていこうとの思惑だ。日本のメガバンクはこうした面での強みを特にアジアにおいては有している。中国企業の安価な製品、サービスと結びつけば補完関係にある。

ただし、一帯一路への協力となると、米国も黙ってはいない。神経をとがらせて当然だ。日本もそれを意識して、「一帯一路への協力」とは一言も言っていないのだ。しかし当然のことながら、中国側は早速、「一帯一路に日本の協力を取り付けた」と宣伝している。

日本は本来、米国とともに主導している「インド太平洋戦略」でインフラ整備を進めていることになっているはずだ。日本も中国同様、「インド太平洋戦略に中国の協力を取り付けた」と宣伝するぐらいの厚かましさがあってもよい。

日中首脳会談直後に来日したインドのモディ首相にもその協力で合意している。今回の中国との第三国市場でのインフラ協力は、こうしたインド太平洋戦略との関係をどう整理して国際的に説明するのか不透明なのが問題だ。それはそもそも、インド太平洋戦略の中身が明確になっていないことにも起因している。

「危険な案件」の見極めが必要

言葉がどうであれ、今後、大事なことは具体的なプロジェクトの進め方で中国に注文をつけていくことができるかどうかだ。日本も米国政府に事前にそう説明して、米国の批判、誤解を招かないように手を打ったようだ。そうでなければ、中国の思うつぼであり、米国からも厳しい目で見られるだろう。2018年4月には欧州もハンガリーを除くEU大使が連名で一帯一路への警戒感から中国に改善を申し入れている。日本も安易な対応は国際的に許されない状況にある。

問題はこれからだ。

今回の首脳会談の際には、民間ベースでも52件の案件を合意して、成果に仕立て上げた。日中間の協力と言っても、具体的なビジネスは様々なパターンがある。

例えば、日中企業が共同で太陽光発電事業を受注して運営するケース。日本企業が発電所建設を受注して、中国企業から安価な機器を調達するケース。日中の合弁企業が中国で発電機器を製造して第三国の発電所に納入するケース。日本企業が基幹部品を供給して中国企業が組み立てた機械を輸出するケース。日本企業が中国と欧州を結ぶ鉄道を活用して物流事業を展開するケース。日中企業が協力してヘルスケアなどのサービス市場の展開をするケースなど、さまざまな形態が含まれている。

政府は高速鉄道案件のような象徴的な大プロジェクトに飛びつきがちだが、最近の中国側のずさんな対応を見ると、それはリスクが高い。むしろ地道なプロジェクトを積み上げていくべきだろう。

日本企業の中にはビジネスチャンスと捉える向きもあるが、事はそう単純ではない。今後、協力案件を慎重に見定めなければ、中国の影響力拡大の戦略を利することにもなりかねない。また、民間企業にとっても中国側の国有企業特有の甘いリスク判断は受け入れがたい。そうした“危険な”案件の見極めも必要だ。

今後、日中間では官民合同の委員会で議論して進めることになっているが、官民ともに甘い見通しを持つことは禁物だ。今回、日中間で開放性、透明性、経済性、対象国の財政健全性といった国際スタンダードに沿ってプロジェクトを進めていくことが合意されたと言うが、こうした原則の合意だけで安心していてはいけない。原則の美辞麗句だけでなく、これらが具体的にどう適用されるかを注意深く見ていく必要がある。

今回の安倍総理の北京訪問を受けて、来年には習近平主席の来日を求めて、日中首脳の相互訪問を実現したいというシナリオだ。しかし、だからと言って、友好だけを謳っていればいい時代ではない。知的財産権にしろ、インフラ整備にしろ、中国に対して注文すべきことは注文するのが重要だ。前述したように、中国に対するWTO提訴を躊躇しているようではいけない。それでは国際秩序を担う資格はない。

米中関係が長期的な経済冷戦の様相を呈している中、中国に対して、かつての冷戦モードのような「封じ込め政策」でもなく、「関与政策」でもない第3のアプローチを模索する時期に来ているのだろう。日本も米国の中国に対するアプローチとは違って、「注文外交」をきちっとすることによって、時間をかけて中国の変化を促すような、腰を据えた中国との間合いの取り方が必要になっている。

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『なぜトランプ人気は衰えないのか、中間選挙を前に考えてみた』(11/2ダイヤモンドオンライン 塚崎公義)、『中国から尖閣など離島奪還するのは愚の骨頂 3倍の兵力がいる奪還より防衛を優先すべし、そのための法整備を』(10/30JBプレス 森清勇)について

トランプのツイッターです。習近平と電話会談し、特に貿易問題と北朝鮮について話合ったとのこと。G20で継続協議するようです。11/2日経朝刊には上海の国際輸入博覧会に日系企業が一番多く出展、450にも上ると。いじましい商人根性としか感じませんが。そう言う立場で言うのは何ですが、トランプは米中冷戦を妥協することなく戦ってほしい。ウイグル人の強制収用や臓器摘出問題を見れば分かるように、中共は悪の帝国です。これが世界を牛耳る前に叩き潰しませんと。

11/1阿波羅新聞網<中南海路线斗争公开化 川普政府表态 中共高层军心大乱=中南海の路線闘争がオープンに トランプ政権の貿易戦争で中共の高層は大乱に>台湾メデイアの評論は、「毛沢東から鄧小平を経て今の習近平の時代に至るが、中共内部にはずっと経済で二方面での路線闘争があった。目下、習派(輸出モデル)と鄧派(市場経済)が争っている。鄧派が習派に妥協しているのは、トランプのボトムラインが読めず、代わりになるのがいないため」と。阿波羅新聞網のコメンテーターの王篤然は「トランプ政権で中共への要求のバーは高くはないが、ペンス演説は習に態度を改め、鄧の路線に戻るよう希望すると明言した。反習勢力は中共が鄧路線に戻って政権を維持することを希望している。但し、鄧の開放政策は国民の価値観を表したものでなく、実際は米国に取って代わるだけの力量を蓄積するためのものである」と。

ある分析によれば、「中国のBSを見れば、全債務を返済すれば、国の保有する企業の株式は全部失われる」と。

塚崎氏の記事は、中間選挙での共和党の勝利を予言したものと小生には映ります。米国メデイアも日本のメデイア(民主党支持の米国左翼メデイアの記事を翻訳・転電しているだけですから)も当てになりません。下院での勝利も願っています。

森氏の記事では、日本の役人のサラリーマン化、志の無さが浮き彫りになっているのでは。自衛隊や海保の現場が動きやすい環境を政治家を動かしてキャリア組は作らなければいけないのに、できていません。まさに「省益あって国益なし、局益あって省益なし」の状態では。タコツボにドップリ嵌まっている感じです。新人時代に国益の為に働くことを教えても、先輩や事務次官の姿(前川事務次官の買春等に対する自己弁護の酷さ)を見ると初心を忘れてしまうのでしょう。悲しいことです。日本は「法治国家」ならぬ「放置国家」になり果ててしまっています。

中国漁船に乗っている民兵は南京での便衣兵を思い起こさせます。国際法にうまく抵触しないように立ち回る訳です。南京虐殺は架空で、便衣兵が殺されただけでしょう。何せどんな汚い手を使ってでも勝てば良いという民族です。蒋介石が黄河花園口を決壊させ、日本軍の進軍を阻もうとしたときに、日本軍は溺れる中国人を救出しました。こういう事実を鑑みれば南京虐殺何てするかと思いませんか?日本人はもっと歴史を勉強して、常識を働かせて判断すべきです。民族性の違いを見たら分かりそうなもの。

「戦争を防ぐには抑止力が必要」というのが、GHQによって洗脳されたままの日本人の頭には理解できないようです。「戦争反対」を叫ぶ人は戦争を呼び込む人か、イザと言う時に戦わず奴隷への道を歩むと見て良いでしょう。中共に侵略を許せば、今のウイグル、チベット、モンゴルのようになります。強制収容所送りになって、闇の中で生きたまま臓器を取られる、こんな奴隷になりたいと思いますか?憲法改正しないで戦うことになれば、憲法は停止、超法規的に戦うしかありません。政治家はいつでもその覚悟をもって政治をしてほしい。憲法より国民の生存権の方が上位にあるはずです。

塚崎記事

photo:The New York Times/Redux/AFLO

米中間選挙の劣勢が伝えられても依然人気の高いトランプ大統領

米国の中間選挙が迫っている。今回は、トランプ大統領の信任投票という性格を持った中間選挙だ。与党は若干の苦戦が予想されているようだが、米国の中間選挙で与党が不利なのは珍しいことではない。国民が、政権の暴走をけん制する役割を野党に求めるからだろう。

2年前の大統領選挙では、「史上最悪の大統領が選ばれてしまった」と嘆いた読者も多いかもしれないし、今でもトランプ大統領の問題点を挙げ始めればいくらでも原稿が書けそうだ。筆者も批判したいことは多い。

しかし米国では、依然としてトランプ大統領の支持者は多い。なぜ、数多くの問題点にもかかわらず、人気があるのか。

そこで本稿ではあえて発想を転換し、「米国の大統領として、優れたところが数多くあるはずだ。それを米国民が支持しているのだろう」と考えて、あえて米国民の視点からトランプ大統領を絶賛してみよう。

どこの国でも、景気がよければ政府は褒められる。トランプ大統領についても、まさに景気が好調である点が最大の絶賛ポイントだろう。

景気を誰にでも一目で理解してもらうためには、失業率の数字を引用するのが普通だ。そこで失業率を見てみると、直近はこの49年間で最低となる3.7%となっている。大統領就任時点で4.8%であったことを考えると、2年で1ポイント以上の低下をもたらしているのだ。

経済成長率については、大統領就任前年が1.6%だったのに対し、2018年は2%台後半が見込まれている。インフレ率も、エネルギー価格の変動などの影響はあるものの、おおむねFRB(米連邦準備制度理事会)が目標としている2%近辺で推移している。

株価についても、NYダウは選挙前に1万8000ドル近辺であったものが、最近では2万5000ドル近辺で推移している。株価が上がって悲しむ人はいないから、大統領として米国民に巨額の“プレゼント”をしていることになる。

経済の好調は大統領だけのおかげではないが、政府の最重要任務の1つがインフレなき経済成長であることを考えれば、実によくやっている政権だといえるだろう。

アメリカファーストは国民にとって悪いことではない

トランプ大統領の特徴は、国際協調よりも米国の利益を優先していることだ。これは一般論として、世界の利益に反する。米国に利益をもたらす一方で、他国には大きな不利益をもたらす場合が多いからだ。

例えばトランプ大統領は、世界各国が地球温暖化を阻止するために協力しようという「パリ協定」を離脱する意向を表明している。米国が離脱すれば、米国企業は温暖化ガスを自由に排出しながら利益を追求することができるが、それによって地球の温暖化が加速することになる。米国だけが利益を得て、他国が損失を被るわけだ。

仮に、米国の離脱を契機としてパリ協定が崩壊し、地球温暖化が進むようなことになれば、「結局、アメリカファーストは、米国の得にもならないからやめておこう」ということになりかねないが、トランプ大統領はそう考えない。

米国の視点に立てば、米国以外の国々は引き続き温暖化防止に努めるわけだから、米国にとっては最高の結果が得られると考えているのだ。これは、他国に何と言われようと米国民にとって悪い話ではない。

しかも、興味深い点もある。トランプ大統領は「パリ協定の内容が米国に著しく不利なので、内容の修正を求め、修正されなければ離脱する」と言っている。つまり、離脱を決めているのではなく、条件交渉をして、各国の負担割合が変更されれば復帰するというのだ。もしも交渉が成立すれば、温暖化は防止されることになる。米国と他国の負担割合が変わるだけの“ゼロサムゲーム”なのだ。

もう1つ興味深いのは、米国が実際に離脱するのは、次の大統領選挙の翌日だということだ。つまり、「トランプ大統領が次の大統領選挙で負ければ離脱しない」という可能性も米国には残っているのだ。

ハードネゴシエイトで有利な条件を引き出す商売人

筆者は、トランプ大統領の本質は“商売人”だと理解している。契約が成立しなければ双方の損なので最終的に契約は成立させるが、その条件をできるだけ自身に有利になるようハードネゴシエイトをするからだ。

その過程で「交渉決裂をほのめかす」というのは、1つの優れた戦略である。交渉を決裂させるつもりがないので、これは「ハッタリ戦略」と呼んでもいいだろう。

これは、ガキ大将が「オモチャをよこさないと殴るぞ」と弱虫を脅すようなもの。本当に殴ると自分の手も痛いので、殴らずにオモチャを奪うことが本当の目的なのだ。

また、トランプ大統領は日欧などからの自動車輸入に高率関税を課すと宣言した。これには世界中から「世界の貿易を縮小させる愚策だ」という批判が浴びせられたが、ふたを開けてみれば高率関税は課されていない。

日欧各国と、「関税ゼロなどを目指した大がかりな貿易交渉を行なう」ことで合意したというのが現状で、当然ながら「米国は少し輸入を増やし、日欧は大量に輸入を増やす」ことで決着するのだろう。

それにより、世界貿易は縮小ではなく拡大することになる。日欧にとっては不満は残るが、世界経済は発展し、その果実を主に得るのが米国だという結果が待っているわけだ。

これは、メキシコやカナダ、韓国などとの交渉も、本質は同じだと考えていいだろう。だとすると、トランプ大統領の通商政策は、米国に大きな利益をもたら素晴らしい政策だということになり、「トランプ大統領万歳」となるのだ。

米中冷戦は米国勝利の可能性大 歴史に名を残すかも

一方、米中貿易戦争は激しさを増しているが、これは日欧との関係などとは全く異なる。相手からオモチャを奪うのが目的ではなく、相手をたたきつぶすのが目的だからだ。

米国は、中国が安全保障上の脅威であると位置づけ、「中国をたたいておかないと米国が覇権争いに敗れてしまう」との危機感を抱いている。しかも、「中国の急速な成長が、米国などから技術を盗むといった不公正な行為によってもたらされている」との認識も広まっている。

米国は、敵が不正をしていると考えると、国内が一致団結して戦える国だ。しかも、自らの覇権がかかっているとなれば、真剣さが格段に違ってくる。つまり、米中は単なる貿易戦争ではなく冷戦なのであり、米国としては「肉を切らせて骨を断つ」戦いなのだ。

これは、トランプ大統領が単独で行っているのではなく、米国議会の多数の支持を受けてやっていることだから、仮に中間選挙で負けても大統領選で負けても、米中冷戦の大枠は変わらないと考えておいた方がよさそうだ。

そう考えるとトランプ大統領は、対中政策において弱腰だったこれまでの米国を、強気に転換させる原動力になったといえる。議会の姿勢が変化したとしても、やはり大統領がそれを推進するとすれば、それは大きなパワーとなる。

しかも、こうした米中冷戦は、米国の勝利に終わる可能性が高い。それを主導し、米国の覇権を守った功労者がトランプ大統領だったということになれば、彼は歴史に名を残す大統領だったといえる時代がくるのかもしれない。

冒頭でお伝えしたように、本稿はあえて米国民の視点に立って、トランプ大統領を礼賛するとどうなるかという“頭の体操”を試みたものだ。誤解のなきようにお願いしたい。

(久留米大学商学部教授 塚崎公義)

森記事

中国海軍の海上演習で、空母「遼寧」に駐機されたJ15戦闘機(2018年4月撮影)。(c)AFP PHOTO〔AFPBB News

国土交通省の分類では本州・北海道・四国・九州・沖縄本島の5島を除くすべてが離島である。日本には離島が6847あり、このうち有人は421で、ほとんど(6426)が無人離島である。

少子化の影響もあって、対馬に見るように有人離島でも人口減少が続いている。しかも振興策の不備などから外国勢力によって占拠されるかもしれないという不安に晒されている。

領土・領海・領空を守るために海上保安庁や自衛隊は日夜努力しているが、不毛な論戦に明け暮れる政治の不作為から、領域保全に必要な議論が行われず、各種法制の不備が指摘されている。

そうした結果、現場に関わる海上保安庁や自衛隊の努力だけではいかんともし難い状況が現出する。

離島防衛に関わる自衛隊の専門部隊として、平成30(2018)年3月27日に水陸機動団(約2100人)が編成された。

10月14日に朝霞駐屯地で行われた「自衛隊観閲式」では、最新鋭のステルス戦闘機「F-35A」のデモフライトとともに、特に注目を浴びたのが水陸機動団に関わる「V-22オスプレイ」や水陸両用車「AAV7」などであった。

最高指揮官の訓示

観閲式に参加した自衛隊員約4000人を前に、最高指揮官の安倍晋三首相は「24時間、365日。国民の命と平和を守るため、極度の緊張感の中、最前線で警戒監視にあたり、スクランブル発進を行う隊員たちが、今、この瞬間も日本の広大な海と空を守っています」と訓示して、任務を称えた。

「領土・領海・領空、そして国民の生命・財産を守り抜く。政府の最も重要な責務です。安全保障政策の根幹は、自らが行う継続的な努力であり、立ち止まることは許されません」

これは「国を守る大切さ」の国民へのメッセージであり、同時に「国民の協力が不可欠」という要請でもある。

「この冬に策定する新たな防衛大綱では、これまでの延長線上ではない、数十年先の未来の礎となる、防衛力の在るべき姿を示します」

「日々刻々と変化する、国際情勢や技術の動向に目を凝らし、これまでのやり方や考え方に安住せず、それぞれの持ち場で、在るべき姿に向かって、不断の努力を重ねていってください」と述べた。

首相が節目ごとに強調してきた日本を〝真ん中″に据えて共生する国際社会の建設に尽力するという意思表明であり、その中での自衛隊への期待を示したものと理解できる。

最後は不甲斐ない政治によって「厳しい目で見られ」てきた自衛隊(隊員)が「強い誇りを持って任務を全うできる環境を整える」と述べ、「これは、今を生きる政治家の責任であります。私はその責任をしっかり果たしていく」と、自衛隊の違憲性を解消する決意を示した。

国民の9割以上が自衛隊の存在を認めているとされながらも、違憲とする学者もいる。また、「軍隊」でないことから国際法や慣習上の権利に疑義が挟まれ、PKO活動や外国軍隊との共同訓練・演習などにおいて共同歩調が取れない現実も散見されてきたからである。

以下では、水陸機動団とグレーゾーン事態対処などについて言及する。

なぜ「離島奪還」なのか

最近のマスコミ報道では、「離島奪還」という用語が多用されている。

「離島奪還 初の訓練場」「離島奪還を想定した訓練」「離島奪還 陸海空の連携急務」「離島奪還へ万全」などである。

離島防衛の専門部隊である「水陸機動団」の任務も、「島嶼侵攻を許した場合、奪還作戦の先陣を切る役割を担う」とされ、ここでも侵攻を許した場合の「奪還」である。

オスプレイや輸送ヘリが運んでくる機動団の隊員が予定地に降着できるように、航空攻撃や艦砲射撃で進攻者に砲撃を加えて援護する。

同時に、輸送艦(本来は強襲揚陸艦であるが自衛隊は装備していない)で運ばれて来た隊員が水陸両用車やボート、エアー・クッション・ヴィークルなどで上陸し、侵攻者を掃討するというものである。

北海道では多くの山林やレジャー施設が主として中国系資本に買収されている。買収地の多くがアンタッチャブルな状態に置かれ、しかも水源なども豊富なところから衣食住を賄え、自己完結型の生活ができる。

他方で、留学や技能実習で来日した外国人のうち5万人超が不法滞在の状況で、その中の8割は中国人が占めているとされる。

無人離島では国民の目がほとんど届かず、場合によっては上記のような不法滞在の外国人も含めた勢力に占拠されて、陣地化や要塞化しているかもしれない。

占拠ではなかったが、昨年11月、北海道の無人島、松前小島には北朝鮮の漁船員が漂着し仮住まいをしていた。

相手が武力をもって占拠した場合、当然のことながら、奪還が必要となる。近年の「奪還」は尖閣諸島を対象にした”隠語″のように聞こえなくもない。

尖閣諸島は本来日本の領土であるが、1970年代から中国が自国領と主張し、90年代に入り領海法を制定して自国領に組み込み、習近平政権になると台湾などと同様に「核心的利益」を有するとした。

爾來、中国は同島を係争地として、日本を協議の場に引き摺り込もうと画策し、公船や軍用艦艇などを接続水域に侵入させ、時には領海を侵犯してきた。

ちなみに、有人島の対馬も過疎化の進行で「島が危ない」と叫ばれてから久しく、その後も韓国系資本による土地などの買収が進んでいる。

こうした経緯を踏まえ、本来日本の領土であり島であるが、何らかの事情によって普段の警戒・監視や防衛が思うに任せず、占拠を許す結果をもたらしかねない。

そこで、訓練や演習では「占拠された離島を奪還する」という名目で訓練などが行われることになる。

グレーゾーン事態とは何か

そもそも、「奪還作戦」をせざるを得ない状況に追い込まれるのは、偏に海保や管轄する地方自治体で対応できないにもかかわらず、海自を含めた防衛力が十分に機能しないからである。

いや機能できない法体制になっていると言った方が適切であろう。そうした状況をもたらす最大の事案がグレーゾーン事態である。

英国では沿岸警備隊は不法侵入船に対して、監視・通報の権限のみを有し、実際の取り締まりは通報を受けた海軍が担当している。

東シナ海でのEEZ(排他的経済水域)の中間線をめぐる日中間の摩擦や、尖閣諸島を核心的利益とする中国は、警備にあたる海警局の公船を大型化し、また倍増するなどしてきた。

それでも係争は海保と中国国家海警局が管轄する警察権に基づく水準にとどまっていた。

ところが、「海洋強国」を目指す中国は、フリゲート艦や情報収集艦などの軍艦による違反も稀ではなくなってきた。

同時に領海警備等を担当する海警局が中国軍を指揮する中央軍事委員会の指揮下にある中国人民武装警察部隊(武警)に編入され、「(武警)海警総隊」(対外呼称は中国海警局)となった。

「軍隊の一部に変貌し、人民解放軍や民兵と一体化して戦う組織に変わった」(「産経新聞」10月24日付、山田吉彦「防衛力持つ『海洋警備隊』創設を」)のである。

また尖閣諸島に最も近い浙江省温州には、海警局艦船の係留のための大型基地が建設されているという。

尖閣諸島に多数押し寄せる漁船には、民兵が同乗することも多く、彼らの拠点は東シナ海及び南シナ海に面した浙江省、福建省、広東省、海南省の海岸沿いに点在し、10万人以上とみられている。

軍事的訓練を受けた民兵と特殊GPS搭載の漁船による海上ゲリラ行動などに加え、海警局の公船の武装強化、さらには組織改編によって、日本側は警察機能としての海保だけではとても対応できない状況になっている。

こうして自衛隊が防衛出動する有事には当たらないが、警察や海上保安庁だけでは対処が難しい「隙間」の事態があり得るし、昨今の状況からは、生起の可能性が高いケースとさえみられている。

過去にも幾つかの事例が起きている。

(1)1997年2月、下甑島(鹿児島県)に中国人密航者が漂着し、山中に逃亡した。住民は緊張に包まれ、島内所在のレーダーサイトで勤務する自衛隊員も捜索に加わった。

しかし、密航者の捜索は防衛出動でも治安出動などの対象でもない。そのため、隊員は「調査・研究」の名目で出ている。早速「自衛隊法違反ではないか」という指摘がなされて政治問題化した。

(2)2012年7月、五島列島(長崎県)の荒川漁港に「台風からの避難」の理由で中国漁船100隻以上が押し寄せた。

中国は民兵としての教育を受けた乗組員の乗った漁船をまず送り込み、その保護を口実に漁船監視船や海軍艦艇が出動し実効支配を確立していくとみられていることから、「中国による尖閣諸島攻撃の予行演習ではないか」と疑問視された。

ざっくり言って、尖閣諸島が現在のような状況になっているのは、日本が自国を守る軍隊を有せず、「国有化」はしたが、住民を住まわせ、事業を起こし、自衛隊を堂々と派遣できないできたからである。

「自分の国は自分で守る」ということを言う人が多くなっているが、「守る」力の実在としての「軍隊」が日本にはない。解釈改憲でやってきたが、無理を重ねた矛盾が今日のグレーゾーン事案となっている。

グレーゾーン事態に対処するために

(1)平時において最も重要な活動である「警戒・監視」を自衛隊法の自衛隊の行動として規定

(2)グレーゾ-ン事態における新たな権限を自衛隊に付与する法制の検討

などが民間の防衛関係団体からも提議されている。しかし、法的整備や運用面での改善には時間がかかるとみられる。

問題点があると分かっていながらも、国民の理解が進まなければ法の制定や改定は進まない。

そうこうしているうちに、相手が尖閣に上陸し施政権を主張しないとも限らない。日本は「日本の施政権下にある」としながらも、上陸を許す最悪の状況しか想定できないのだ。

そのために、本来であれば事前に準備できる「離島防衛」のはずが、無人で放置して置かざるを得ない。上陸を許す結果は「奪還」しかあり得ない。マスコミなどで報道される「離島〝奪還″」は、こうした考えからである。

国家の安全に関わる重要事で、生起する事案によって過不足なく円滑かつ段階的に対応できる仕組みが必要であるが、省庁の権限をめぐる縦割り意識が根底にある。

縦割り行政が国益を毀損する

2018年1月6日、上海沖合300キロの東シナ海でパナマ籍タンカー・サンチ号(8万5000トン)が香港籍のバラ積み船CFクリスタル号(4万トン)に衝突され、炎上した。

衝突場所は、日中中間線の西方の中国側であったが、サンチ号は中国が開発を進めている油ガス田の近くを炎上したまま漂流し、14日に中間線東方の日本側の海底に沈没した。

事故対処にあたっては外交的配慮が必要であることは言うまでもないが、この事故は人命救助、海洋環境、海運・海上交通、漁業資源、EEZ・大陸棚の境界画定など様々な問題と関連しており、海上保安庁・環境省・運輸省・農林水産省・外務省などの官庁が絡んでくる。

日本は、かねて日中間の大陸棚の境界を中間線であると主張してきた。サンチ号の沈没場所は、日本の大陸棚上でもあるので、排他的管轄権を行使できたはずであるが、日本はそのように行動しなかった。

髙井晋氏は「日中間で大陸棚の範囲や境界を争っているのであれば、日本は積極的にサンチ号事件に対する関心を表明し、同号のサルベージを積極的に推進し、沈没場所が日本の大陸棚であることを国際的にアピールするべき」(JBpress2018.9.18「中国にまたしてもやられた日本政府 日中境界線付近でのタンカー『サンチ』沈没事件で問われる日本外交」)であったと述べる。

また、サンチ号の海難事故を報道したのは、第10管区海上保安本部と地方紙主体で、政府が官邸の危機管理センターに情報連絡室を設置したのは、ようやく2月2日のことであったという。

サンチ号事件における日本政府の対応は当初から消極的で、事故の経過に関する発信は透明性に欠け限定的であったともいう。

こうしたことから高井氏は「縦割り行政の弊害以外の何者でもなく、各行政機関も専ら海上保安庁の対応に任せてきた印象を受ける。サンチ号事件などの海洋問題は、主権や国益が直接絡む多くの問題を含んでいることに留意しなければならない」と述べている。

さらに、次のように危惧する。

「中国が日本の了解を得ずしてサルベージを行ったのであれば、そして日本が何も抗議していなければ、国際社会は、沈没場所が中国の大陸棚であると認識することになるのではないか」

「今後、日本が中間線以東の大陸棚を自国の大陸棚であるといくら主張しても、サンチ号事件に対する日本の消極的な対応と中国の積極的な対処活動の印象から、国際社会が中国に軍配を上げる可能性は否めない」

日本は「尖閣諸島の領有権とそれに伴う日中中間線以東の周辺海域のEEZおよび大陸棚を自国のものと主張しているので、このことを諸外国に発信し賛同の輪を広げるためには、一つひとつの行動が常に外交の一貫性に沿ったものでなければならない」と注文する。

自衛艦の活用は?

北方領土が占領される以前の話である。日本の管轄下にあった海域にロシアの漁民が侵入して密漁し、また日本の漁民を脅して獲物や金品を略奪することがあった。

ロシアの漁民ともめ事を起こしているまさにその時、日本の軍艦がはるか向こうに姿を見せるだけで、件のロシア人たちは何事もなかったかのように、「さーっ」と消えていったそうである。

中国は節目ごとに市民や漁民を動員してくることが知られている。

昭和47(1972)年に日中が国交を回復し、条約の締結交渉を重ねていた。交渉が山場に差しかかっていた昭和53(1978)年、尖閣諸島の日本領海に200隻を超える中国漁船が殺到し、数日後に一隻残らず姿を消した。

中国側は「漁船が魚を追っているうちに潮に流された」と説明したそうである。

平成26(2014)年には小笠原諸島や伊豆諸島周辺に200隻を超す中国のサンゴ密漁船が集結した。台風で一時去ったが、再度結集してきた。

時あたかも日中首脳会談の実現をめぐって虚々実々の駆け引きが展開されているさなかであった。

小笠原の赤サンゴが荒らされ、漁民に莫大な損失をもたらしたことから政府は重い腰を上げ、違法操業の取り締まり強化や罰金引き上げなどを検討するが、日本の対応が甘いことに変わりはない。

「産経抄」(平成26年11月8日付)が提案したのは、尖閣沖で奮闘している海保が小笠原沖などで200隻以上の漁船を相手にする余力はないだろうから、自衛艦が悠悠と漁船の脇を通るのは如何だろかという歴史の教訓であった。

平成28(2016)年8月5日以降、中国は海警局の公船を尖閣諸島海域に派遣し、漁船400隻、公船15隻を動員した。漁船には民兵が乗船していたことも判明した。

日本の漁船が他国の領海で違法操業したら拿捕されるばかりでなく、いきなり銃撃されることも頻繁であった。

しかし、日本は、自衛艦を遊弋させるというような「軍事的圧力」と思わせる行動をとることはなかった。もっと活用してもいいのではないだろうか。

攻撃に要する兵力は防御の3倍

軍事の常識として、防御は地形などを利用することができるために、攻撃(離島奪還もその一つ)の3分の1の兵力で済む。従って、可能な範囲で攻撃ではなく、防衛(戦術的には防御)で地域を守ることが大切である。

もっとも、敵の攻撃できる経路がいくつもある場合は、防御兵力が各径路に分散されるために、各々の経路に分散配置が必要となり、全体的には防御兵力が多く必要となりかねない。

そこで偵察・監視により主力が接近してくる経路を判断し、配備の重点を絞ることが重要になってくる。

いくつもの攻撃ルートがあるような場合は、1つに集約させるために、他のルートには兵力に代わる接近阻止(または拒否)装置などが必要となる。

以前は地雷などがそうした役割を担い、敵の行動を制約していた。しかし、今は人道上から国際条約で破棄することになっており、現実に日本はすでに破棄して装備していない(条約無視をする近隣国は定かでないが、多分保有しているに違いない)。

ともあれ、離島の奪還は攻撃の一種で、相手の3倍の兵力が最小限必要というのが戦術の原則である。

この原則に照らしても、基本的に「奪還」ではなく、占拠されるのを阻止する「防衛(または防御)」に注力すべきである。あるいは、上陸戦闘を許さないための接近拒否戦略が望ましい。

防衛白書(29年版)は水陸機動団について、「(敵の」攻撃に対応するためには、安全保障環境に即した部隊の配置とともに、自衛隊による平素からの常時継続的な情報収集、警戒監視などにより、兆候を早期に察知し、海上優勢・航空優勢を獲得・維持することが重要」と強調している。

そして、「(敵の侵攻の)兆候を得たならば、侵攻が予想される地域に、陸・海・空自が一体となった統合運用により、敵に先んじて部隊を展開・集中し、敵の侵攻を阻止・排除する」としている。先述の接近阻止であり、または「防御」ありきである。

続けて、こうした対応が取れず万一「島嶼への侵攻があった場合には、航空機や艦艇による対地射撃により敵を制圧した後、陸自部隊を着上陸させるなど島嶼奪回の作戦を行う」と白書は述べている。

このように、「奪回」は起死回生の手段である。

水陸機動団が「離島奪還」作戦を練り、訓練し、演習しているからと言って、日本が離島などの防衛を疎かにしてはならない。

最も厳しい状況下の訓練(すなわち奪還訓練)を行うことで、部隊の練度を最高に高めることにより、低烈度の状況対応は容易となるからである。

おわりに

尖閣諸島が国有化されたのは野田佳彦政権の2012年9月のことであった。その2年前の2010年9月には、尖閣諸島を巡視している海保の巡視船が中国の漁船に追突される事件が起きた。

国有化される前は島の近傍まで行き清掃し、時には上陸して国旗を持ち込むなどの行為も見られたが、今では海保の警備が厳しく、海保の警戒線より内側に近づくことはできないとのことである。

他方、海保の統制を受けない中国の漁船は海保の警告を無視して悠然と島の近傍を遊弋する逆転現象が起きていると仄聞した。これでは国有化が仇になっているとしか言いようがない。

実のところ、国家主席になりたての習近平は権力固めに、就任直後の2012年末から2013年初めにかけて、尖閣諸島の奪取を本気で考えていたという(矢板明夫著『習近平の悲劇』)。

この時期の事象を振り返ってみると、公船の領海侵犯は頻繁に起きていたが、2012年12月13日、国家海洋局所属のプロペラ機が初めて尖閣諸島上空で領空侵犯した(なお、この日は日本が南京で大虐殺をしたとする南京攻略の75周年記念日でもあった)。

2013年1月になると、19日と30日の2度にわたり、東シナ海で中国海軍のフリゲート艦が海上自衛隊の護衛艦に火器管制レーダーを照射する。戦闘準備完了さえ示唆する行動で、何時戦闘開始になってもおかしくない態勢を意味する。

いずれにしても、安倍政権が過激に反応しなかったため、中国は口実を見つけることができなかったようだ。

当時はホットラインもできていなかったが、政権の冷静沈着な行動が、大事を防いだということができよう。

法律がなければ行動できない自衛隊である。グレーゾーンなどと称して放置できない認識が必要だ。

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『新日鉄住金が敗訴、韓国で戦時中の徴用工裁判 日韓関係は「無法」状態に』(10/30日経ビジネスオンライン 鈴置高史)、『徴用工判決も、韓国で日本の国民感情を逆なでする行為が相次ぐ理由』(11/1ダイヤモンドオンライン 武藤正敏)について

10/31ZAKZAK<日本政府に“韓国疲れ”蔓延 外務省幹部「戦略的に無視していく」 徴用工判決問題>

https://www.zakzak.co.jp/soc/news/181031/soc1810310012-n1.html

11/1ZAKZAK<「国家としての体をなしていない」徴用工判決で実質“日韓断交”も 政府高官「韓国は前近代的な情治国家」>

https://www.zakzak.co.jp/soc/news/181101/soc1811010006-n1.html?ownedref=feature_not%20set_newsTop

ブログ「日本と韓国は敵か?味方か?」から11/1のブログ主の意見を2つ紹介します。

「これ、昨晩の質問ね。

『俺も日本を許せないのに、俺は賠償金貰えないのか?』という韓国人の問いは、たまに見る。

多くはないが、少なくもない。新日鉄の敗訴を受け、今後の三菱2審も敗訴すると思う。

この質問者も賠償されると聞いて、俺も貰える、貰いたいと思ったタイプ。

今後、この手の韓国人を騙す『あなたも憎い日本から賠償金を取って懲らしめよう』詐欺、韓国で流行ると思う。

前もあったんですよ。『親族に被害者いなくても賠償金貰えます。日本を訴えよう』って。

本気で言ってるのもあったし、詐欺のもあった。

賠償金に関しては韓国は相続できるとしてますからね、徴用工に子供3人孫6人いて亡くなったら、9人全員が『賠償金よこせ』と言い出す。

しかも慰安婦財団が『全員が納得しないと解決と認めない』と前例作ったから、200万人では終わらないでしょう。

韓国人のメンタルでは、万が一日本が支払ったとしても『2019年は子供だった。生まれてなかった。だが貰う権利がある。第5次賠償金支払いを求める』って後で言い出すでしょ。

最終的には、韓国人全員が言い出しますよ。

『韓国が植民地になったのは、俺が生まれる100年前だがプライドが傷ついた。賠償して謝罪しろ』って。

そんなの通らないと感じるのは、日本人だから。彼らには通用する。そういう国民性です。

本丸は三菱判決。新日鉄もニューヨーク市場で買った株式だから、韓国が差し押さえられるかは疑問。

アメリカに執行を求めても拒否される可能性は高い。

そうなると売り上げを押さえなくてはならず、労組のような人間に取り囲まれる事になる。

まぁ日韓関係は、経済に関してはほぼ終わると思いますね。」

「日本政府も対抗策を打つと思いますけど、対応策にも打ち方というものがあると思います。

安倍ちゃんや河野さんの『受け入れられない』という事は、別に牽制にもなってない事は判決で分かりますからね。

要は韓国に実害を与える手段と、心理的なインパクトですよ。

大使召還ったって、普通の韓国人に関係ないですからね。

一番は『韓国国内の日本企業に資本引き揚げ勧告』を出す事と思います。

今後、韓国政府による日本資本の差し押さえが実行できる目途が立ちましたからね。

次に、中間資材の輸出停止処置と、韓国製品に対する100パーの関税。完全な経済制裁としてね。

更に韓国人に対するビザ復活、更に竹島上陸経験のある韓国人の入国禁止(政治家含む)。

そして最後に韓国に対する技術提供・通貨スワップなどの無期限凍結。

この順が、韓国人に与える心理的なインパクトとして良いかと思います。

韓国は激怒するでしょうが、ならば韓国も同様の処置を日本に対して行えばいい。

殆どの日本人は、韓国が日本に制裁しても生活に影響は出ず、気が付かないままで終わるはず。

大使館は残して、韓国が日韓断交と言い出すのは待てばいい。こっちから言うべきじゃない。

なに、ほっておいても韓国はそのうち、北朝鮮とともに『独島防衛南北共同訓練』でも始めてくれますから。

大使召還なんて軽いジャブではなく、資本引き揚げと100パー関税と中間財の輸出停止という強烈なレバー打ちを最初に打つべき。

初手はインパクトの強いもので、韓国経済に直結するものでないと、韓国人の批判を韓国政府に向けられない。

試合は出だしで先手を打って、試合のペースを作り、心理的にプレッシャーを与えた方がいい。

韓国人の心理特性を考えると、基本『自分は悪くない』に帰結しますから、全部人のせい。

パク・クネの親中路線に『誇らしい、大当たり』と称賛していたのに、手のひら返したように、今は『ムン・ジェイン誇らしい』と言ってても、実害が出れば『ムン・ジェインが考えなしにやったから、ムン・ジェインの責任、私たちは悪くない』と手のひら返す。

ムン・ジェインの狙い自体は、日韓の離間・米韓の離間ですから、それと同時に韓国人だけが理解できるレベルの方法で、韓国の反日を煽るように仕向ける。

来年夏の安倍総理の靖国訪問とかね。中国も不快と言っても、元安で外貨失いつつある中で小泉政権時のような反日暴動は起こしづらく、起こされても日本として損はない。

北朝鮮の非核化問題で、対立してますからね。

韓国に対しての判決への制裁も、非核化の国際合意に違反してるからと転嫁してもいい。

とにかく韓国経済に実害を与え、インパクトの強いものを最初に放つべき。

どの道、最高裁が判例作った以上、これは覆らない訳ですから、これを口実として韓国からの総撤退と、韓国との断交ではなく経済的な断絶までのきっかけとすればいい。

それで韓国が開き直って反日暴動や、対馬に対する軍事的圧力を見せてきたら、初めて日本側から日韓断交を口に出せるようになる。

まずボディ打ちで弱らせて、相手が窮して反則を使って来たら、これ幸いと無効試合にして絶縁すればいいと思いますよ。」

http://blog.livedoor.jp/japan_and_korea/

昨日、ブログ「日本と韓国は敵か?味方か?」を引用させて戴き、官邸と自民党にコメントを送りました。やはり、庶民目線で長く韓国を見て来た人の話は説得力があります。(ご本人の了解は取らずに送っていますが)

「韓国の新日鉄の強制徴用問題に対する最高裁判決への対応について

韓国の新日鉄の強制徴用問題に対する最高裁判決が出ましたが、それに対し日本としてどういう手を打つのが良いのか、ブログ「日本と韓国は敵か?味方か?」のブログ主の考えに賛同しておりますのでそれを紹介します。是非実行して戴きたい。先ず、大使召還は生ぬるいし、韓国人全体に痛みを感じさせないと駄目です。

1.『韓国国内の日本企業に資本引き揚げ勧告』を出す。

2.中間資材の輸出停止処置と、韓国製品に対する100パーセントの関税。

3.韓国人に対するビザ復活、更に竹島上陸経験のある韓国人の入国禁止(政治家含む)。

4.韓国に対する技術提供・通貨スワップなどの無期限凍結。

これを順繰りに発動していく。

なお、ブログ「日本と韓国は敵か?味方か?」のURLは http://blog.livedoor.jp/japan_and_korea/

です」と。

韓国民は蛮族で近代法の原理が分かっていません。事後法の禁止とか、除斥期間や消滅時効の概念、条約遵守義務(こんなのは法律以前の問題で、約束をまもるかどうかという所。日本は不平等条約改正に57年もかけて是正しました)が理解できない民族です。

日本が韓国統合後にしてやった近代化のプロセスを逆恨みし、いつまでも悪態をつき続ける忘恩の徒ですから、畜生にも劣るとしか言いようがありません。

ロウソクデモで民主的に選ばれた代表を政権の座から引き摺り下ろし、得意になっているのですから。これは血を流さない革命でしょう。普通ならクーデターが起きる筈ですが、国民情緒に汚染された軍も当てになりません。自衛艦の旭日旗問題でも韓国海軍は掲揚を認めないとしました。如何に大統領府が言って来ても断れたはずです。彼らも世論を気にしているのでしょう。所詮は反日国家の軍隊です。

韓国には中国がしているのと同様、厳しい調教が必要です。体で痛みを感じさせないと理解できない蛮族です。政府は国際司法裁判所に提訴したとしても、韓国政府が裁判に同意しないでしょう。それでは駄目で、二の矢、三の矢、次々と繰り出す手を今から用意しておかないと。ブログ「日本と韓国は敵か?味方か?」のように打つ手を前もって決めておいてほしい。外務省の言う「戦略的無視」は「放置国家」になるという事です。真の「法治国家」になるためには、法(約束)を破ったものにはペナルテイが課せられて当然でしょう。外務省は幣原以降軟弱外交ばかり。真面な人材育成できるような仕組みを考えてほしい。

まあ、今の段階では中国も韓国に味方する訳にも行かないでしょう。THAADの件だけでなく、日中首脳会談をしたばかりで、「競争から協調」と確認しましたので。米中貿易戦争の真っただ中にあって、朝鮮半島にかまけている暇はありません。

鈴置記事

仁川市に建てられた日本植民地時代に徴用された朝鮮人労働者を称える像。2017年8月12日撮影(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

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10月30日、韓国の大法院(最高裁判所)は新日鉄住金に戦時中の韓国人徴用工4人に対する賠償金を支払うよう言い渡した。国交正常化の際の基本的な合意を覆すもので、日韓関係は「無法」状態に突入した。

日本は国際司法裁判所に提訴も

韓国・最高裁は新日鉄住金に対し、元・徴用工に1人当たり1億ウォン(約990万円)を支払うよう命じた。

原告側弁護士は資産差し押さえに動くと見られるが、新日鉄住金の韓国内での資産では不足する可能性が高い。そこで日本などで差し押さえを提訴する模様だ。

この判決の及ぼす影響は極めて大きい。新日鉄住金以外にも三菱重工、不二越、横浜ゴムなどの日本企業を1000人近い元・徴用工が訴えている(日経「賠償なら日韓企業のビジネスに影響も 徴用工裁判」参照)。それらの裁判でも日本企業が敗訴する可能性が高まった。

外交的な衝撃も計り知れない。この判決は1965年の国交正常化にあたり、日韓基本条約とともに結んだ日韓請求権協定を完全に踏みにじった。

日本政府は今回の判決を国際司法裁判所(ICJ)に提訴する方向だ。一方、韓国では正常化交渉が不平等な状況下での間違った交渉だったとの見方が増えており、これを機に日韓基本条約そのものを破棄せよとの声が出よう。

請求権協定を踏みにじった

日韓請求権協定では日本が韓国に有償・無償合わせて5億ドルの経済支援を与える見返りに「両締結国及びその国民の間の請求権に関する問題が(中略)完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する」と明記した。

そのうえ「締結国及びその国民の(中略)すべての請求権であって、同日(署名日)以前に生じた事由に基づくものに関しては、いかなる主張もできないものとする」と念を押してある。

当時の外務省幹部によると当初、日本側は個人に対する賠償方式を提案した。だが開発資金への転用を狙った韓国側が、政府が一括して受け取りたいと希望。

日本は韓国の事情を汲んで受け入れたが、韓国の個人が「自分は貰っていない」と蒸し返すことが十分に考えられたため、個人の請求権は消滅すると明記した。

このため韓国の官民委員会も2005年8月、「徴用工問題で日本企業に賠償を求めるのは困難である」との見解を表明。だが、2012年5月に韓国最高裁が三菱重工と新日鉄が被告の上告審で「個人の請求権は消滅していない」と判断した。

2013年7月には、この判断を受けた差し戻し審でソウル高裁が新日鉄に、釜山高裁が三菱重工にそれぞれ賠償命令を出した。10月30日の最高裁判決は新日鉄の上告を受けたものだ。

約束を破ってこそ「日本より上」

最高裁での審理は2018年8月まで約5年間止まっていた。日韓関係の悪化を懸念する朴槿恵(パク・クネ)政権の意向を受けたとされる。

風向きが変わったのは、2017年5月に左派の文在寅(ムン・ジェイン)政権がスタートしてからだ。前政権の積弊追及運動の中で、審理遅延も問題となり、2018年8月に最高裁は審理を再開した。

10月27日には審理遅延の犯人として、最高裁の付属機関、法院行政庁の判事・林鍾憲(イム・ジョンホン)前次長が逮捕されている。

この意味では今回の判決も左派政権ならではのものに見える。しかし、ソウル高裁などが日本企業に賠償命令を出したのは保守の朴槿恵政権下の出来事だった。

21世紀に入る頃から韓国では「日本を超えた」との意識が高まった(『米韓同盟消滅』第3章「中二病にかかった韓国人」参照)。

自分たちに力がない時に結んだ日韓国交正常化に関する合意を踏みにじって見せる――。これこそが保守、左派を問わず韓国人の夢である。韓国では「約束を破ってこそ強者」との意識が根強い。

始まった資本逃避

もっとも韓国人の自画像のように、韓国が強者かは疑わしい。韓国の株式指数、KOSPI(韓国総合株価指数)は年初来、20%も下がっている。10月29日には心理的抵抗線とされる2000ポイントを割り込んだ。22か月ぶりのことだ。

世界的な株安だけが原因ではない。中央日報は「韓国株価、10月は世界最大の下落・・・アルゼンチンより大きく」(10月29日、日本語版)で以下のように分析した。なお、翻訳の誤りは韓国語版を基に修正した。

・10月26日のKOSDAQは663.07で取引を終え、先月の最終営業日だった9月28日の終値(822.27)に比べ19.36%も下落した。同じ期間、世界の主要指数のうち最高の下落率だ。
・KOSPIも同じ期間に13.48%下落し、台湾加権指数(-13.78%)に続く世界3番目の下落率となった。
・米国・中国株式市場が少しでも下がれば急落し、これら株式市場が反騰してもそれほど上昇しない。 外国人の売りに歯止めがかからないのが一次的な原因だ。
・外国人は10月に入って26日までに4兆5012億ウォン(約4500億円)の記録的な売り越しとなっている。3年前の2015年8月(4兆2950億ウォン)以来最も大きい。

ホットマネーが韓国から逃げ出すのは当然だ。米国の利上げに伴い、米韓の金利差は開くばかり。韓国は利上げしようにも、景気と家計負債の悪化懸念から動きにくい。

中長期的には、少子高齢化による成長力の減退が次第に明確になった。そのうえ政治的にも米国と関係が極度に悪化した(「北朝鮮と心中する韓国」参照)。

米国は韓国の反米政権に対しては必ずと言っていいほど、金融を使って「お仕置き」してきた。米国の格付け会社が韓国の評価を下げるだけで、左派政権は動きが取れなくなった(『米韓同盟消滅』第2章第4節「『韓国の裏切り』に警告し続けた米国」参照)。

スワップを蹴り飛ばした韓国

資本逃避への特効薬は通貨スワップ協定の締結だ。10月22日、韓国銀行の李柱烈(イ・ジュヨル)総裁が日本との通貨スワップ締結に言及した。

中央日報の「韓銀総裁『日本との通貨スワップ、いくらでも再開できる・・・条件はまだ整わず』」(10月23日、日本語版)によると国会の国政監査の席で以下のように語った。

・韓米・韓日通貨スワップがあれば外国為替の健全性の次元で良い装置となる。米国の場合、基軸通貨国以外の国と通貨スワップを締結していないため難しい。が、日本の場合いくらでも再開できる可能性があるが、まだ条件は整っていない。

日韓関係が悪いため、スワップは結んで貰えないと告白したのだ。そのうえ10月30日の最高裁判決。市場は「日韓スワップの可能性はゼロ」と踏んだだろう。

現在、韓国が結んでいる通貨スワップでは急激な資本逃避に対応できるか、市場は疑っている。すぐに米ドルに替えられる、国際通貨建ては豪州とスイスとのスワップぐらい。それも合わせて170億ドル前後に過ぎない。

中国とのスワップは500億ドル強相当であるものの、2017年10月10日に協定が切れている。韓国銀行は「延長した」と口頭で発表したが、中国の金融当局は「韓国側に聞け」と言うだけで、延長に関し肯定も否定もしていない。

韓国が米国のTHAAD(=サード、地上配備型ミサイル迎撃システム)の配備を容認するなど中国に逆らったため「お仕置き」していると見られる。

仮に中国が突然に広い心を持ったとしても、韓国とのスワップに応じられるかは怪しい。中国自体が資本逃避に直面しているからだ。中韓スワップは人民元と韓国ウォンを交換する。発動すれば、大量の人民元売りが一気に発生してしまう。

通貨スワップという傘がもっとも必要な時に、韓国は日本の傘を蹴り飛ばしてみせたのだ。

韓国の通貨スワップ(2018年10月29日現在)

相手国 規模 締結・延長日 満期日
中国 3600億元/64兆ウォン(約518億ドル)終了→再開? 2014年
10月11日
2017年
10月10日
豪州 100億豪ドル/9兆ウォン(約71億ドル) 2017年
2月8日
2020年
2月7日
インドネシア 115兆ルピア/10.7兆ウォン(約76億ドル) 2017年
3月6日
2020年
3月5日
マレーシア 150億リンギット/5兆ウォン(約36億ドル) 2017年
1月25日
2020年
1月24日
スイス 100億スイスフラン/11.2兆億ウォン(約100億ドル) 2018年
2月20日
2021年
2月19日
CMI<注1> 384億ドル 2014年
7月17日
カナダ<注2><注3> 定めず。通貨はカナダドルとウォン 2017年
11月15日
定めず

<注1>CMI(チェンマイ・イニシアティブ)は多国間スワップ。IMF融資とリンクしない場合は30%まで。

<注2>カナダと結んだのは「為替スワップ(bilateral liquidity swap)」で市中銀行に外貨を貸すのが目的。中央銀行に対し市場介入用の外貨を貸す「通貨スワップ(bilateral swap)」ではない。

<注3>カナダとは「規模も満期日も定めない常設協定」と韓銀は発表。英文の発表文では、発動は「市場の状況が許せば」「必要に応じて」としているところから、規模などはその都度協議して決めるものと見られる。

<注4>カッコ内は最近の為替レートによる米ドル換算額
資料:韓国各紙

(次回に続く)

武藤記事

韓国の最高裁で元徴用工4人に計4000万円の支払い命じる判決

10月30日、第2次世界大戦中に強制労働をさせられたとして韓国人4人が新日鉄住金(旧新日本製鉄)を相手取り、損害賠償を求めた訴訟の差し戻し上告審で、韓国の最高裁に当たる大法院は、同社の上告を退ける判決を言い渡した。これにより、4人に合わせて4億ウォン(約4000万円)の支払いを命じたソウル高裁の判決が確定した。

日本政府は、元徴用工への請求権問題は1965年の日韓請求権協定で解決済みとの立場で、同社も同様の主張をしたが、認められなかった形だ。

元徴用工やその遺族は、2005年に旧新日鉄を相手取りソウル中央地裁に提訴した。しかし当時の盧武鉉政権が、日韓請求権協定や関連の外交文書を検証した結果、個人が企業に賠償を求めるのは事実上困難との見解を表明。1、2審は原告が敗訴した。

しかし大法院は、韓国政府には賠償請求権はないものの「個人請求権は消滅していない」との判断を示し、審理をソウル高裁に差し戻した。これを受け同高裁は2013年、計4億ウォンの賠償を命じた。

だが、大法院は控訴審判決が出てから5年以上、判断を保留してきた。背景には、後述するが、韓国政府が日本政府同様、日韓請求権協定によって両国民の間の請求権は「完全かつ最終的に解決」したとの解釈を示してきたことがある。

ところが最近、大法院の担当次長が判決を遅らせたとして逮捕された。これは、文在寅政権として「早く判決を出すように」との意思表示であり、今回の判決も文政権の意向に沿ったものと見ることができる。

個人補償は韓国政府が拒んできた経緯 判決を受けて訴訟乱発の恐れ

そもそも65年の日韓国交正常化交渉の過程において、日本政府は個人補償も検討したが、当時の朴正熙政権が一括して韓国政府との間で解決するように求め、無償3億ドル、有償2億ドルで決着した経緯がある。

盧武鉉政権も2005年に、日本による無償3億ドル協力には「強制動員被害補償の問題解決という性格の資金が包括的に勘案されている」として、責任は韓国政府が持つべきだとの認識を示している。文大統領は、このときの高官だった。しかし、文大統領は昨年の光復節直後の記者会見で、「個人請求権は消滅しない」「司法判断を尊重する」と述べた。

韓国政府が、長年にわたり「個人の請求権は消滅した」との立場を取っていたのだから、外交交渉の経緯を最高裁に説明、説得するのが行政府の責任ではないか。文大統領が国内的に歴史の見直しに力を入れるとするのは構わないが、外交的には相手方の強い反発を理解すべきで、日本の反応を過小評価したとしか思えない。

今回の判決を受け、これから各地で訴訟が活発化することが予想される。既に70社を相手取り、15件の裁判が進行中であり、約1000人が原告となっている。そして、“訴訟予備軍”も20万人以上いるといわれる。この全員が日本企業に1000万円を求めたら、その総額は2兆円に上る。新日鉄住金が賠償を支払わない場合、原告の弁護士は差し押さえを求めることを検討中ともいわれ、そうなれば日韓経済関係には甚大な影響を与える。

しかし、より根本的な問題として、日韓政府間合意から50年以上経った今、政権が変わったからといって一方的に約束を反故にされては、安定した国家関係は望めない。韓国政府は裁判所の意向と言うのだろうが、これまでの韓国政府は合意内容を擁護してきたし、これは韓国政府の責任であると言ってきた。

日韓請求権協定で相互に争いがある場合には紛争解決の手続きが決められており、まず2国間協議、それで解決しない場合には第三国の委員を加えた仲裁委員会での話し合いを求めることができることになっている。韓国の裁判所もこうした手続きを尊重し、一方的に判断するのではなく、こうした国際的なルールに従って解決するよう勧告するのが妥当ではないか。

文大統領は昨年、大統領就任後の光復節(終戦記念日)演説で、「過去の歴史が未来志向的な発展の足を引っ張るのは好ましくない」と述べていたが、この発言は何だったのかと疑いたくなる。

今の韓国政府内には、日韓関係について造詣の深い人はほとんどいない。李洛淵(イ・ナギョン)国務総理は東亜日報の東京支局長を務めており、韓日議員連盟の野党側の責任者をしていた人物。だが、そもそも外交にはあまり縁のない職責であり、彼をサポートする人間が政府内にいないとなれば影響力はないと考えていい。韓国外交部において日本通は常に要職にいたが、今は日本擁護をすると排斥される恐れがあり、勇気を持って発言できる人はいない。こうしたことも影響したのではないだろうか。

文政権になってから相次ぐ日本の国民感情を逆なでする行為

文政権は、日本の国民感情を逆なでするような行為を繰り返してきた。

例えば、慰安婦問題に関する日韓合意に基づいて設立された慰安婦財団の解体の示唆を始め、日本の海上自衛隊による旭日旗掲揚の自粛要請、そして国会教育委員会の超党派議員による竹島上陸などである。

そうした流れの中、今回の判決が出たことにより、歴代政権下で日本に対して取り上げてきた歴史問題をほぼ網羅することになった。しかも、文大統領の訪日も先延ばしにされており、日本との関係を重視しているようには見えない。

このうち、まずは慰安婦財団の解体示唆について見ていこう。

文大統領は、常に元慰安婦に寄り添ってきた。ただ、文大統領が言っている「当事者の意思が反映されておらず、真の解決にならない」という理屈には納得がいかない。アジア女性基金が運用されていた際、韓国内で批判があったのは、元慰安婦に支給される見舞金が、日本政府からの直接の資金ではなく国民募金によるもので、これでは日本政府の責任を認めたことにならないという点だった。

しかし、今回の財団への拠出は、全て日本政府の財政から支出されたものだ。しかも、「被害者の名誉・尊厳回復への努力、自発的な真の謝罪を要求する」という点に関しては、アジア女性基金の際にすでに反省と謝罪を記した総理の書簡を添付している。

文大統領の主張が妥当性を欠くのは、朴槿恵政権当時の財団理事長が全ての元慰安婦の下を訪れて説得に努めた結果、7割の元慰安婦が納得していたということだ。要するに、反対しているのは文大統領に近い慰安婦財団に属する元慰安婦などであり、この人々は自分たちの主張が120%満足されなければ納得しないことである。

もっと言えば、日本と対立していることに“存在意義”を感じている人々だ。文大統領は、こうした元慰安婦団体と手を組んでいるのだ。仮にそういう人々が反対しても、大多数の元慰安婦が納得していれば、この日韓合意は十分正当性があるものといえるにもかかわらずだ。

慰安婦財団の解体は、日韓の政府合意の根幹をなすもの。韓国政府は、公式合意があったことは否定できず再交渉は求めないとしているが、日本政府として当然のことながら、再交渉する気など毛頭ないだろう。

慰安婦合意を事実上反故にするこの措置は、徴用工の扱いと同じで政府間の合意を一方的に放棄するに等しい。

海上自衛隊による旭日旗掲揚の自粛要請

続いて、韓国済州島で行われた国際観艦式に、日本の海上自衛隊の艦船が参加するに当たり、旭日旗掲揚の自粛を求められた問題。海軍の艦船が海軍旗を掲揚して航行するのは国際慣例になっているにもかかわらずだ。

旭日旗については、1998年と2008年の観艦式の際には掲揚して参加している。それ以降、旭日旗に対する韓国の国内世論が敏感になっている点はあろうが、韓国政府としては国際慣例に則るものであることを指摘し、国内世論を静めるのが筋だろう。ちなみに韓国も李舜臣将軍が使った亀甲の旗を掲げたようだ。李舜臣は豊臣秀吉の水軍を破った英雄であり、韓国の誇り。こうした韓国の行動は、日本に対する当てつけだといえる。

日本だけに国際慣例は適用されないのか。旭日旗は、日本の法律で掲揚が義務づけられているものだ。これを拒否されると、北朝鮮の核問題でより日米韓の協力を深めなければならないときに、日本は韓国との安保協力がやりにくくなる。韓国の海軍は日本との防衛協力に前向きだが、韓国の大統領府が足を引っ張っている形だ。

今回、韓国は全ての参加国に対し、自国と韓国の国旗の両方を掲揚するように求めたもようだが、多くの国は海軍旗も合わせて掲揚して参加した。これは韓国の対応が、国際慣例に反するものであることへの抗議とも考えられよう。

そして、韓国国会教育委員会の竹島上陸訪問。韓国では、日韓に歴史問題が持ち上がると、必ずといっていいほど竹島を訪問する政治家などが現れる。慰安婦問題で窮地に陥っていた李明博元大統領が竹島に上陸したのがそのいい例だ。

今回も、一連の問題が持ち上がったタイミングで、国会教育委員会の超党派議員団が竹島に上陸している。ポイントは教育委員会の議員だったという点で、韓国の若者に竹島に関する教育をより徹底しようという意図が垣間見えるのがより深刻だ。

韓国は、日本と交渉する際、世論を刺激して世論を味方につけて交渉するが、今回も同じ構図といえる。竹島問題は、これまでもたびたび日韓関係悪化のきっかけを作ってきたが、こうした傾向は今後も続くだろう。

「日韓パートナーシップ宣言」20周年は日韓の困難な時代の始まりか

今年は、日韓の友好促進と協力拡大をうたった小渕恵三・金大中両首脳による「日韓パートナーシップ宣言」の20周年。これを機に、改めて日韓関係の促進ムードを盛り上げようというタイミングだった。

この宣言の趣旨は、日本が文書で謝罪と反省を述べる代わりに、韓国政府はこれ以上、歴史問題を提起しないようにしようというもの。韓国政府としても勇気のいる決断だったが、宣言できたのは、日本が戦後、多大な努力を重ねて民主国家になったことを韓国側が認めたということが前提にある。

日本人にとって、日本が民主国家であるというのは当たり前のこと。だが、韓国人はそう捉えていない。日本には、折に触れ軍国主義の亡霊が現れるかのように言われているからだ。そうした誤解を晴らし、当たり前の事実を素直に受け入れることが日韓関係ではいかに重要かが分かる。

韓国の国益を考えれば、日本との関係を強化することが望ましいはずだ。文大統領が「過去の問題が未来志向的な日韓関係の足を引っ張るのは望ましくない」と述べたのは、まさに的を射た発言だ。また、日本にとっても韓国との関係は国際政治上も、安全保障上も、切っても切れない関係だ。さらに、経済や文化の面においても関係の強化に多くのメリットがある。

日韓両国は今一度、小渕・金大中の日韓パートナーシップ宣言の精神に立ち返るべきではないだろうか。そのためにも韓国には、安定した日韓関係の構築に何が必要なのかいま一度考えてもらいたい。

民間レベルでは順調に発展 戦後の日本の協力に関する教育必要

日韓関係は、民間レベルでは順調に発展している。昨年、韓国から日本を訪問した人は700万人を超え、1位の中国に迫る勢いだ。日本から韓国への訪問客も、ピョンチャンオリンピック以降回復の兆しを見せている。また韓国では、日本の小説は常にランキング上位に登場しているし、日本食もブームだ。こうしたことにより、日本を知る韓国人は増加しており、日本の本当の姿を伝える環境は整っている。

しかし韓国には、あえて歴史問題や政治関係を取り上げ批判する人が一部にいる。しかも、そうした人々の声は大きい。それに反対すれば親日と批判されるため、声を潜める傾向にある。したがって、反日が主流かのような印象を与えてしまう。

そうした声を抑え、正しく日本の姿を伝えるには、韓国政府、特に文大統領のリーダーシップが不可欠である。文政権にこうした能力が欠けていることが、日韓関係に暗い影を落とす結果になっているのだ。

日本は、戦後の韓国の復興のため誠意をもって協力してきた。だが、韓国ではそうした事実はほとんど語られていない。むしろ意識的に隠ぺいされてきた。筆者は韓国に感謝してほしいから言うのではない。戦後の日本の協力を理解すれば、韓国は日本と関係について直視できるようになると思うから言っているのだ。韓国の人々は、戦後の日本の協力の歴史について、もっと学んでほしいと思う。

(元・在韓国特命全権大使 武藤正敏)

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