『トランプ氏の危うい対ロ外交』(2/14日経 The Economist)、『トランプ氏のロシアとの危険な関係』(2/13 日経ビジネス 石黒千賀子)について

欧米メデイアがおかしいと感じますのは、ロシアのハッキングがあったことが分かっていたのに、どうしてその時に暴露しなかったのか?トランプが大統領選で勝ちそうになってからor大統領になってまでも、多分CIA辺りからマスメデイアに意図的に漏らしたものと思われます。国家情報長官と統合参謀本部議長がNSCメンバーに入っていないのも頷けます。

本来であれば、米国のメデイアはヒラリーのメールサーバー事件やベンガジ事件を大々的に報道し、売国奴として追及しないといけないはずです。ヒラリーはユダヤ金融資本の手先となり、グローバリズムの推進の役割を担い、中国からもたくさん金を受け取った人物です。殺人教唆も噂される人物です。それが追及もされずのうのうとセレブとして暮らしていけるのですから、米国はおかしくなったとしか言えません。中国を笑えないでしょう。

エコノミストの記事の言うように、プーチンに全幅の信頼を寄せるのは危険でしょう。ただ、中国包囲網を完成するにはロシアの中立化が必要です。中国よりロシアは軍事力が大きくないと述べていますが、それは通常戦力の数だけで捉えているからでしょう。核戦力と通常戦力の質で言ったら中国なんて足元にも及びません。ロシアは中国(公称)と比べてGDPは12%くらいしかありませんが、石油とガスが自前で調達できます。それに引き換え中国の石油は軍事用では2週間分しか備蓄がありません。継戦能力が無いのは中国の方です。この記者は国境を長きに亘り接し、シベリアに中国人が入植してきている恐怖を感じ取ることができていないのでしょう。トランプの得意なデイールでプーチンとうまくやることができるかもしれません。アジアにとってはロシアより中国の方が遙かに大きな脅威です。

日経ビジネスの記事は欧米メデイアの受け売りでしょう。分からないのはMI6出身の元工作員クリストファー・スティール氏が何故わざわざ米国の機密(捏造の可能性も高い)を暴露するのか?職務上知り得た秘密を洩らせば、どんな国でも罪に問われます。退職した後でも。日本でも公務員は秘密漏洩罪で訴えられます。況してやスパイ道にも悖る裏切り行為でしょう。スノーデンと一緒です。職務上知り得た秘密は墓場まで持って行かねば。

国家公務員法 第100条

第1項 「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。」と定めている。違反者は最高1年の懲役又は最高50万円の罰金に処せられる。

地方公務員法 第34条

第1項 「職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。」と定められている。違反者は最高1年の懲役又は最高50万円の罰金に処せられる。

日本より罪が重いと思われる英米で、英国で免責を受けて?このようなメモが発表できるのか。相手は米国の大統領ですよ。大きな力が働いているとしか思えません。

The Economist記事

米国のブッシュ元大統領はロシアのプーチン大統領の目をのぞき込み、プーチン氏の人間性がわかったと思った。それは思い違いだった。オバマ前大統領は冷え込んだ米ロ関係を「リセット」しようとしたが、ロシアはクリミアを編入したばかりか、ウクライナ東部などで紛争を引き起こし、シリアでは米国が中東への関与を減らそうとして生じた力の空白を埋めた。トランプ新大統領はブッシュ、オバマ両氏より踏み込み、戦略的にロシアと全く新しい協力関係を築こうとしているように見える。成功するだろうか。それとも両氏のように、プーチン氏に出し抜かれてしまうのか。

■プーチン氏へくすぶる親愛の情

トランプ氏が考える協力関係はまだ詳細がわからず、どのようなものにも変わり得る。これは側近の間で意見が割れているためでもある。ヘイリー米国連大使はウクライナでの「ロシアの攻撃的行動に対する明確で強い非難」を表明したが、トランプ氏のプーチン氏への親愛の情はくすぶり続けている。今月初め、米フォックス・ニュースの番組で、司会者がトランプ氏にプーチン氏は「人殺しだ」と言うと、トランプ氏は「人殺しはたくさんいる。我々の国がそんなに潔白だと思っているのか」と切り返した。

 

プーチン氏と重要な取引をしようというのはまさに妄想だ=ロイター

米大統領が自国をロシアと同じくらい残忍だと示唆するのは前代未聞で、ロシア政府の情報工作員を喜ばせるだけだ。トランプ氏がプーチン氏は米国のためになることを色々してくれると考えるのはロシアの力と国益だけでなく、米国が代わりに失うかもしれないものの価値をも読み違えている。

トランプ氏周辺から聞こえてくる話からすると、ロシアに対するシナリオは次のようなものだ。米国は「イスラム過激派によるテロ」、とりわけ過激派組織「イスラム国」(IS)の撲滅のためにロシアと手を組む。するとロシアは、中東での米国の宿敵で、バーレーンやサウジアラビアなど米国の同盟国にとっても脅威であるイランとの協力関係を断つことに応じる。欧州では、ウクライナでの紛争をあおるのをやめ、近隣の北大西洋条約機構(NATO)加盟国を威嚇しないことに同意し、ことによると核軍縮交渉にも入る。

■対イラン・中国、全く異なる国益

長期的には、米ロ関係が緊密になれば、中国の勢力拡大を抑えられる可能性もある。トランプ氏の顧問の中で最も警戒すべきバノン首席戦略官・上級顧問は昨年、「5年か10年のうちに我々は間違いなく南シナ海で戦争することになる」と述べた。そうなれば米国には同盟国が必要で、ロシアは中国と4200キロにわたって国境を接する核大国だ。米国にとって、ロシアほど組むのにいい相手はいないというわけだ。

しかし、この理屈は間違っている。ロシアによるハッキングは米大統領選でトランプ氏に有利に働いたかもしれないが、だからといってプーチン氏を信頼していいことにはならない。ロシアと米国では国益が全く異なるからだ。

一例を挙げれば、プーチン氏はシリアでISのテロリストと戦っていると言い立てているが、実際は真剣に戦おうとはしていない。プーチン氏は米国に協力する見返りとして、シリアのアサド大統領を支えることでロシア軍が中東に恒久的に駐留できるようになることを望んでいるのかもしれない。

こうした状況はシリア、中東地域の安定、米国のいずれにとっても全く好ましくない。たとえプーチン氏とトランプ氏が共通の目標を持ち、米国人がロシアの残虐行為に加担するのをいとわなかったとしても、米ロ両軍が一緒に戦うのは容易ではない。両軍の体制が異なるため、協力を実現するには米国防総省が莫大な予算を使って守っている軍事機密を共有する必要がある。さらに、ロシア空軍が加わっても、すでにISを攻撃している連合軍の空軍力は、さほど増強されない。地上部隊なら話は別だが、プーチン氏が地上軍を配備する可能性は極めて低い。

ロシアはイランと対峙するつもりも全くない。イラン軍はロシアの空軍力を補完している。イランはロシア製品の有望な輸出先だ。何より両国は、中東を管理するためいつでも協力し合おうとする隣国同士なのだ。

対中国でロシアと同盟を結ぶという考えはさらに非現実的だ。ロシアは経済も人口も縮小しており、軍事力も中国より小さい。中国にけんかを売るどころか、プーチン氏は対中貿易を重視し、中国の軍事力を恐れている。少なくとも近隣諸国を脅し、民主主義や人権に関する欧米諸国の説教を拒否したがるという点で、中国の指導者らとも共通点が多い。たとえ米国にとって、中国との対立激化が得策だったとしても、プーチン氏は全く何の頼りにもならない。

トランプ氏が計算を誤る最大のリスクは、実は欧州にある。プーチン氏が抱く欧州への願望は3つある。一つは欧米の制裁解除のようなプーチン氏が態度を改めなければ手に入らないもの、もう一つはロシアのウクライナ編入の承認など、どんな状況でも許されるはずがないもの、そして米国のNATO弱体化の黙認など、これまでの世界秩序を損なうものだ。

プーチン氏はロシアが近隣地域でもっと自由に振る舞ってもいいとトランプ氏が認めてくれれば、申し分ないだろう。例えば、トランプ氏が欧州域内の米国のミサイル防衛システムを廃止し、今年予定されるモンテネグロのNATOへの加盟を止めてくれればいい。

■取引や決裂より折り合いの道探れ

トランプ氏は先月、NATOを「時代遅れ」と評したが、今月には支持すると述べるなど、一貫していない。トランプ氏の顧問の中には、EUがバラバラになっても構わないと思う人がいるようだ。彼らはプーチン氏と同様、EU解体を何より望んでいるフランスの極右政党「国民戦線」のルペン党首のような指導者を認めている。バノン氏は、国家主義者と伝統主義者がリベラル派エリートに対して起こした世界的「反乱」をプーチン氏が支持しているため、プーチン氏はトランプ氏にはうってつけの同盟相手だと見ている。

プーチン氏と重要な取引をしようというのは、まさに妄想だ。トランプ氏がどれほど交渉にたけていようと、良い取引などできるはずがない。そもそも怒りっぽいトランプ氏は裏切られれば結局、プーチン氏とたもとを分かつだろう。そうすれば、世界は危険で何が起こるかわからなくなる。

取引や決裂より望ましいのは、米ロ関係改善のために2国間で折り合えることに取り組むことだ。軍縮や米ロ両軍の偶発的衝突の防止などが挙げられそうだ。共和党議員のほかティラーソン国務長官、マティス国防長官などの良識ある側近らは懸命にトランプ氏を説得しなければならない。さもなければ、本当にひどいことになる。

(c)2017 The Economist Newspaper Limited Feb. 11th, 2017 All rights reserved.

英エコノミスト誌の記事は、日経ビジネスがライセンス契約に基づき翻訳したものです。英語の原文記事はwww.economist.comで読むことができます。

日経ビジネス記事

トランプ政権とロシアとの“危険な関係”が注目されている。米大統領選挙中から指摘されてきたことだが、1月10日に発表されたある文書によってその驚くべき内容が明るみに出た。

その文書とは、英国の秘密情報部(通称、MI6)の元工作員クリストファー・スティール氏が2016年6~12月にトランプ氏とロシア政府の関係について調査を重ね、書いた35ページのメモだ。米CNNがその存在を1月10日に報道し、米ネットメディアのバズフィードが同日、全文を公開した。

メモは、ロシア政府がトランプ氏のロシア訪問時に彼の弱みとして押さえたという下半身問題以上に、深刻な事態を多く伝えている。まず「ロシアは西側同盟国分断のためトランプ氏を5年以上支援してきた」との記述で始まる。

そして「米民主党全国委員会(DNC)へのロシア政府によるサイバー攻撃やそのメールのウィキリークスへの暴露」は、「トランプ氏およびトランプ選挙陣営幹部すべての認識の下に行われた。その見返りにトランプ陣営はプーチン氏が最も気にしているロシアのウクライナ侵攻問題を大統領選の争点にしないことで合意した」とある。ほかにもロシア政府とトランプ陣営の誰がどう関係があるのか、具体的なエピソードを多く挙げて説明している。

このメモは、米民主党関係者にトランプ氏の調査を依頼された米調査会社が、スティール氏にトランプ氏とロシア政府の関係を調べるよう依頼し、作成された。

ことの重大性からスティール氏は、書いたメモ35ページを昨年夏から秋に米連邦捜査局(FBI)の知り合いや英米のメディアに渡したという。そのため同メモの存在は米ワシントンでは有名だった。英フィナンシャル・タイムズも米ニューヨーク・タイムズ(NYT)もメモに書かれた内容の裏を取るべく相当取材したようだが、記事にできずにいたと1月に報じている。

そうした中、FBIなどの米情報機関がロシア政府による米大統領選関連のサイバー攻撃はプーチン大統領の指示によるものだったとの報告書をまとめた。その内容を1月上旬に米国家情報長官を含むFBI、中央情報局などのトップ4人がオバマ大統領(当時)とトランプ氏に伝えた際、このメモの存在と内容も説明した事実をCNNがスクープし、一般の知るところとなった。

フォームの始まり

フォームの終わり

米議会も調査に乗り出すが…

翌1月11日に会見を開いたトランプ氏はメモに関する質問を「すべてでたらめだ」と強く否定し、CNNを「嘘ニュースを流す」とまで非難した。だがNYTや英BBCの記事によれば、スティール氏は各国の諜報関係者の間ではロシア関係の諜報活動の経験が深く、評価が高いことで知られる。メモの内容の信憑性は外交関係者たちの間では高いとされているようだ。

NYTは1月10日付の記事で、「メモの事実確認がとれていない一部は(トランプ氏の)性的行為に関するものにすぎないが、残りは極めて深刻な内容で、(国家への)背任行為にも該当し得る」と指摘している。

FBIはメモに登場するロシアと接点を持っていたトランプ陣営の幹部2人を昨年から捜査している。今回の事態を受け、米上院は1月13日に上院情報問題特別調査委員会が、米下院は1月25日に下院情報問題常設特別調査委員会がトランプ氏とロシア政府の関係について調査を始めると発表した。

トランプ政権発足後もFBIの捜査が継続されているのか、議会の調査も含め今後の展開がどうなるかは不明だ。

大統領選挙中からトランプ氏はロシアのプーチン大統領を絶賛し続けてきた。ウクライナ侵攻などに伴うロシアへの制裁の解除にも前向きとされ、なぜそこまで親ロシアなのかとの疑念は米国だけでなく世界で広まっている。

テロ対策を理由にイスラム圏7カ国の市民の入国を一時禁止するなどトランプ氏は大統領就任以降、大統領令を連発し、物議を醸している。それは選挙公約の実施とも言えるが、自分のロシアとの関係への関心を少しでもそらしたいとの思いもあるのではないか。

いずれにせよ、トランプ氏とロシア政府の関係が今後、日本を含め世界に影響していくことは間違いない。

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。