12/23日経『朝日新聞の慰安婦報道 第三者委「危機管理に失敗」』等の記事について

朝日新聞の本件第三者委員会はメンバーが身内に近い人たちなのでアリバイ作りで大した報告は出ないだろうと思っていましたが、意外にも厳しい内容が出たと思っています。まあ、それなりに頭は回る人たちなので、甘い報告を出せば「身びいき」とのバッシングを受けるのが分かっていますため、どの程度の内容を出せば許されるか見極めて出してきたのがこの報告だと思います。

良かった点

  1. 「吉田証言への疑問点を示す記事が他紙に掲載されたのに、裏付け調査を怠った」と指摘したこと。秦郁彦の調査を指すものと思われます。
  2. 「木村伊量社長(当時)ら経営幹部が反対し、謝罪はしないという方針が決まった」と明らかにしたこと。まあ、これは社長を断罪することで「朝日新聞」という組織を守ったと見えなくもないですが。

悪い点

  1. 「同社記事が国際社会に与えた影響は限定的だったと認定した」こと。この記事が基で、左翼の跳梁跋扈もありましたがクマラスワミ報告が出され、アメリカの政治上層部に影響を与えたこと。民主党のオバマも相当影響されている様子。これは多分岡本行夫(外務省出身)がメンバーにいるため、事実を確認することなく「ずっと謝罪してきている」と外国に向けて主張してきた外務省に累が及ばないようにしたのでは。秦郁彦が調査結果を発表しましたのは1992年3月で、当時の外務次官を調べましたところ、やはりというか「小和田恒」です。駐米大使は前外務次官の「栗山尚一」で両者とも「日本はハンデイキャップ国家で良い」という論者です。官房長官は加藤紘一(外務省出身)でグルになって国を売った連中です。ハニーか賄賂工作という外国の謀略に引っかかった可能性もあります。
  2. 今後の対応、少なくとも英独仏露中、スペイン、ポルトガルの言語で謝罪・訂正記事を発信すること。「広義の強制性」なんて論理は事後法で裁くのと同じなのだから、主張を止めるべき。

記事

朝日新聞が従軍慰安婦をめぐる証言報道を取り消した問題で、報道内容を検証していた第三者委員会(中込秀樹委員長)は22日、報告書をまとめた。日本軍が朝鮮人女性を強制連行したとする証言など慰安婦報道の一部は裏付けが不十分だったうえ、記事取り消しや謝罪も遅きに失したことを挙げ「読者の信頼を裏切り、ジャーナリズムのあり方として非難されるべきだ」と総括した。軍が朝鮮人女性を強制連行したとする元山口県労務報国会下関支部動員部長、吉田清治氏(故人)の証言を1980年代から90年代に複数回取りあげたが、「吉田証言への疑問点を示す記事が他紙に掲載されたのに、裏付け調査を怠った」と指摘。97年の慰安婦問題に関する特集記事で吉田証言に関する記事を訂正・取り消し、謝罪をすべきだったのにこれを怠ったと批判した。今年8月の検証記事で一部記事を取り消したが、経営幹部が経営上の危機管理を優先し「記事の取り消しはするが謝罪はしない」との方針が決まったと指摘。これについて「『社を守る』という大義によって、編集現場の決定が翻された。そのため慰安婦問題の伝え方が読者や社会が納得する内容にならず、危機管理そのものに失敗した」と厳しく非難した。今後の提言として、記者が先入観や思い込みをただして取材にあたることや、経営が編集に介入することは最小限にし、経営と編集の分離をいっそう進める必要があるとしている。

『朝日新聞の慰安婦報道 第三者委「読者の信頼裏切った」』記事

朝日新聞の従軍慰安婦報道を検証する第三者委員会は22日、報告書をまとめた。日本軍が朝鮮人女性を強制連行したとする証言など慰安婦報道の一部は裏付けが不十分で、記事の取り消しや謝罪も遅きに失したとして「読者の信頼を裏切り、ジャーナリズムのあり方として非難されるべきだ」とした。同日、記者会見した第三者委委員長の中込秀樹弁護士は「新聞記事が社会にいかに大きな影響を与えるかを自覚すべきだ」と述べた。朝日新聞は、元山口県労務報国会下関支部動員部長、吉田清治氏(故人)が「済州島(現・韓国)で朝鮮人女性を強制連行した」などとした証言を1980年代から90年代に複数回取り上げた。報告書は「吉田証言について十分な裏付けがされた事実がうかがえない」と指摘。他紙に同証言への疑問が掲載された後も「証言の取り扱いを減らすなど消極的対応に終始し、読者の信頼を裏切った」と批判した。同社は97年と2014年の2回、慰安婦問題の検証記事を掲載した。97年は吉田証言について「真偽は確認できない」と説明するにとどまった。報告書は吉田証言に基づく軍による強制連行を前提とした記事は、この段階で訂正か取り消して謝罪すべきだったと指摘した。14年8月の検証記事では16本の記事を取り消したが謝罪はしなかった。編集幹部を含む検証チームは訂正とおわびを載せる紙面案を作成したが、木村伊量社長(当時)ら経営幹部が反対し、謝罪はしないという方針が決まったと明らかにした。この点について「経営による危機管理が先行しすぎた。『社を守る』という大義によって、編集現場の決定が翻された。このため読者や社会の納得のいく内容にならず、危機管理そのものも失敗した」と総括した。一方、同社記事が国際社会に与えた影響は限定的だったと認定した。検証記事を批判的に取り上げようとしたジャーナリスト、池上彰氏のコラム掲載見送りも「木村社長が掲載に難色を示し、編集部門が抗しきれなかった」とした。朝日新聞への提言として、記者が先入観や思い込みをただして取材にあたることや、誤報への対応策を明確にすること、経営と編集の分離をいっそう進める必要があることなどを挙げた。