西表島について-2

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リゾナーレ星野の朝食          レンタカー                由布島の水牛車

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由布島のパイナップル          星砂の浜                ホテルでハブ酒

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寿司 初枝 の刺身            ふぐの唐揚げ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

西表島にいます-1

昨日より西表島に家族4人で来ております。1日がかりでした。宿泊先は星野リゾート リゾナーレ西表島です。

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上原港欠航のため大原港へ。そのハイビスカス  昨日夜の「巴里のごはんや」さんの酒の肴

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星野リゾート

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室谷克美著『デイスイズコリア』を読んで

この民族の「声闘」文化というものが如実に分かる本です。でも北朝鮮が「ザ・インタビュー」で最高尊厳の名誉が汚されたとか言って怒っていますが、南はよくも平気でよその国の元首を悪しざまに言うことができるもの思います。兎に角、「声のデカイ方が勝つ」と言うやり方です。中華と全く同じ。よくよく文化的には似ています。強いものには媚び諂い、弱いものには強く出るところはそっくりですね。こういう国に日本が舐められているのですから。国民がもっとしっかりしないと。韓国は平気で内政干渉するようになりました。慰安婦問題と教科書問題で味をしめたからです。日本人の善意、誠意など理解できる民族ではありません。日本の憲法に口を出してくるとは。村山富市とか小沢一郎が売国奴と言うのは分かるでしょう。どうして岩手県民は彼を選ぶのでしょうか?鄭夢準は慶応へ留学したにも拘らず、徹底した反日とのこと、福沢の「脱亜論」を活かせない慶應と言う大学はどうしようもない。それを言えば孔子学院を後生大事にしている早稲田も。中国人留学生を多く受け入れ、先端技術を取られている東大も。所詮何も考えていないのが象牙の塔というところでしょう。

http://www.u-tokyo.ac.jp/res03/pdf/H26.5.1.pdf#search=’%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E4%BA%BA%E7%95%99%E5%AD%A6%E7%94%9F+%E5%8F%97%E5%85%A5%E4%BA%BA%E6%95%B0+%E6%9D%B1%E5%A4%A7

労働争議での「出棺遅延」も中国が良く使う手です。小中華だけあってやる事は同じです。ローマ法王が「韓国民が、この事故を契機に、倫理的にも“霊的”にも生まれ変わるよう望む」と述べたのは全くその通りです。カソリックも信者にもっと厳しく指導したほうが良いと思いますが、100年河清を待つことになるかも。

 http://oboega-01.blog.jp/lite/archives/1005095156/comments/1762622/?p=4より

韓国大統領李明博の発言

「たった60万人の在日韓国朝鮮人に支配された1億人の日本人奴隷!」(8月31日、韓国SBSテレビ番組)李明博韓国大統領が、「北朝鮮の復興は心配ない、日本にやらせるのだ。私が日本にすべてのカネを出させる、我々はすでに日本を征服しているからだ。奴らのカネは我々が自由にできる、日本は何も知らない、フジテレビが証拠、日本人はよだれを垂らして見ている、私にまかせろ、日本にいるのは私の命令に忠実な高度に訓練された私の兵隊だ!」と、いわゆる日本征服宣言を行った。そして決定的な韓国大統領李明博の天皇陛下侮辱発言だ。

韓国大統領の言葉の直訳

日王は韓国民に心から土下座したいのなら来い、重罪人にふさわしく手足を縛って頭を踏んで地面に擦り付けて謝らせてやる。重罪人が土下座もしない、言葉で謝るだけならふざけた話だ。そんな馬鹿な話は通用しない。それなら入国は許さない。

韓国の各界50人「日本の平和憲法、ノーベル平和賞候補に推薦」

2014年12月19日10時01分

[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版] comment221 hatena3   .

韓国の各界50人余りが18日、日本平和憲法9条をノーベル平和賞に推薦するための署名運動に参加することにした。   日本平和憲法9条ノーベル平和賞推薦韓国委員会が18日ソウル、中区(チュング)プレスセンターで記者会見を行い、「与野党はもちろん宗教・法曹・労働・文化芸術界など各分野で日本平和憲法9条をノーベル平和賞に推薦するための署名運動を始める」と明らかにした。この署名運動は2013年、2児母であり専業主婦である鷹巣直美さんの提案で始まった。鷹巣さんは「子供たちを戦争の犠牲にさせる国を作ることはできない」として交戦権と戦力保有を禁止した憲法第9条にノーベル平和賞を授けてほしいというインターネット署名運動を行い、現在まで日本で40万人余りが署名した。韓国内での署名運動には保守・中道・進歩を合わせた元老50人余りが参加することにした。政官界からは李洪九(イ・ホング)、高建(コ・ゴン)、鄭雲燦(チョン・ウンチャン)元国務首相、イ・マンソプ、金元基(キム・ウォンギ)、朴寛用(パク・クァンヨン)、林采正(イム・チェジョン)、金炯オ(キム・ヒョンオ)元国会議長、イ・ヨンフン元最高裁判所長、韓勝憲(ハン・スンホン)元監査院長、李鍾賛(イ・ジョンチャン)元国家情報院長をはじめとして李御寧(イ・オリョン)、キム・ジンヒョン、キム・ヨンホ、キム・ソンフン元長官などが署名者名簿に名前を上げた。学界ではキム・チョルス、ペク・ナクチョン、イ・テジン、チャン・フェイクソウル大名誉教授、カン・マンギル、キム・ウチャン高麗(コリョ)大学名誉教授、シン・インリョン元梨花(イファ)女子大学総長、イ・ヒョジェ梨花女子大学名誉教授などが参加した。宗教界参加者はキム・ヒジュン天主教主教会の議長およびカン・ウイル済州(チェジュ)教区長、キム・チョルボン大韓キリスト教長老会高神総会長、ファン・ヨンデ韓国キリスト教長老会総会長、アン・ジェウン牧師、ハン・ヤンウォン韓国民族宗教協議会長、イ・ソンジョン元円仏教ソウル教区長、トボプ曹渓宗(チョゲチョン)和諍議員長、ソルジョン修徳寺(スドクサ)方丈、パク・ナムス天道教領などだ。また、詩人シン・ギョンニム、小説家イ・ムンニョル、チョ・ジョンネ、ファン・ソギョン、俳優のパク・ジョンジャ、チェ・ブラム、国楽家のイ・チュンヒ氏、パク・メンホ民音社代表、キム・ビョンイク元文学と知性社発行人、イ・ソンニム韓国芸術家総連合会長など文化芸術界人々も含まれた。イ・セジュン元大韓弁協会長、労働界出身のクォン・ヨンギル、パク・インサン元議員、イ・ヒジャ太平洋戦争被害補償推進協議会常任代表、チョン・ソンホンDMZ平和生命動産理事長、カン・デイン対話文化アカデミー院長などが署名した。韓国内で署名運動を推進してきたイ・ブヨン元開かれたウリ党議長は「村山富市元首相や小沢一郎生活党代表などが今年9月に「韓国で推進すればどうか」と提案してきて推進することになった」と説明した。

署名運動はホームページ(www.nobelpeace9.kr)やフェイスブックなどでも行う。

本より

P.40より

まことについでながら、朴槿恵氏の次の与党大統領候補は、潘基文氏に落ち着く可能性が高いと私は見ている(年齢が最大の問題だが)。そして、潘基文政権が誕生したら、韓国の対中傾斜は一層鮮明になるだろう。韓国のメディアは、「セウォル号惨事」で紙面がいくらあっても足りないほど(状況の中でも、反日報道は忘れなかった。 「宮城県産タラの芽の輪入を停止」(「朝鮮日報」14年4月28日、「聯合ニュース」配信)の記事は、その典型だ。理由は放射能汚染の恐れだが、そもそも韓国は日本産のタラの芽を輸入したことがない。日本ではタラの芽は高級食材だが、韓国では普通の山菜だ。値段が全然違う。これからも輸入することはないだろう。読者が全く必要としない記事だ。これはもう“弛まざる反日報道”の実績づくりみたいなものなのだろうか。

p.146~148まで

19歳の洞察「国民が未開だと国家も未開」

韓国の人口の5分の1を占めるソウル市長選挙は、現職で市民運動家出身の朴元淳氏と与党の鄭夢準氏の対決だったが、現職の圧勝に終わった。鄭夢準氏は、現代重工業グループの総帥であり、国際サツカー連盟(FIFA)の元副会長だ。日本の慶應義塾大学を卒業したが、強固な反日派だ。李明博氏が現代建設社長からソウル市長を経て大統領になったように彼も、ソウル市長を大統領への踏み台と考えていたのだろう。 しかし、現代重工業も第2章で述べた通り、海洋プラントの安値受注で四苦八苦している。さらに度重なる労災死亡事故により、セウオル号事故で「安全」が重大課題となる前の段階で、当局から警告やら一部操業停止命令を受けている。大統領への道はもはや完全に消えかかっているが、彼の市長選惨敗にもセウオル号事件が思わぬ形で影を落としていた。19歳の次男(大学浪人中)が事故に関して、余りにも正直な感想をフェイスブックに書いたからだ。「聯合ニユース」(14年4月21日)の報道から、その内容を拾うと、こうなる。 「似た事件が起きても理性的に対応する他の国家の例もあるが、我が国民は大統領が行って最大限の捜索努力をすると言ったのに大声を出して罵り、首相に水の洗礼を沿びせる」「国民感情自体がとても未開だが、大統領だけが神のような存在にされて国民のすべてのニーズを満たすと期待するのは話にもならないことだ」 「国民が集まって国家になるが、国民が未開だと国家も未開になるのではないか」 。19歳の浪人生にして、何と鋭い観察眼なのかと私は感心するが、犠牲者の家族は猛反発した。犠牲者の家族の一人は、名誉棄損で告訴に踏み切った。鄭夢準氏は平謝りを続けたが、野党は「息子の教育もできていない父親だ」と総攻撃をかけた。教育監(日本で言うと教育長)の選挙は野党圧勝だった。広域市(政令指定都市)と道のうち13を取った。しかも、このうち6人が全教組出身だ。残りのうち6人も全教組の影響下にあるとされる。これは与党•保守陣営が候補者乱立だったのに対し、野党•左翼陣営が全教組の主導により統一候補で臨んだことが大きい。全教組は明確な従北派勢力であり、かつ「左翼陣営の反日」を代表する勢力でもある。地方首長選の振り分け結果より、教育監選挙の結果の方が、朴槿恵政権にとっても、日本の国民にとっても厄介なことだ。

P.150~153

「謝罪しろ」の人が「謝罪しろ」と言われて

韓国とは「葛藤大国」だ。「葛藤」とは、簡単に言えばケンカのことだ。ロゲン力 は〈声闘の文化〉として咲き乱れているが暴力沙汰も多い。「2010年基準で韓国の人ロ10万人当たりの暴力発生件数は609.2件で、米国の 252 .3件の2倍、日本の50.4件の12倍(「中央日報」12年7月12日)と報告しているのは、韓国治安行政学会の会長だ。職場はライバルを追い落とすための中傷と、上司による鉄拳制裁で荒廃している。家計債務、つまり家庭の借金が急増している。そ してアジアでトップの「飲酒大国」 とくれば、暴力沙汰が多発するめも無理からぬ。それにしても、日本の12倍とは凄い。個人のケン力ではなく、社会葛藤の多さでも、韓国は世界トップクラスだ。 社会葛籐指数とは、所得不均衡の程度を表す「ジニ係数」を、民主主義の成熟度を表す「民主主義指数」と世界銀行が測定する「政府効果性指数」の算術平均値で割る方法で算出する指数で、三星経済研究所が米ハーバード大のデニー・ロドリック教授(経済学)の「葛藤の経済モデル」に基づいて開発したそうだ。その指数は、09年には経済協力開発機構(OECD)加盟国のうち4番目(「中央日報」09年6月29日)と報じられたが、13年には「OECD27力国で、宗教紛争が起きているトルコに次いで高い」(「中央日報」13年11月4日)と分析されたという。 沈没後の遺体収容過程でも、様々な葛藤が噴き出した。日本には馴染みのない「義死者」の認定も、その一つだった。義死者とは、職務以外のことで人命救助に当たり犠牲になった人を指し、その遺族には補償金、年金、教育補助、就職斡旋などが施される。セウォル号のサービス系乗務員3人が早々と義死者に認定された。すると、潜水作業中に体調不良をきたし死亡したダイバーの遺族が認定を要求した。ボランティアで はなく潜水作業会社の契約ダイバーだ。労災であることは確かだが、これが義死者に当たるのか。認定されないと、遺族は 「出棺遅延」で抗議した。きっと、日本人には思いつかない抗議の方法だ。最大の争点となったのは、統一地方選挙を控えているからこその「朴槿恵大統領の謝罪」だった。まず「大統領は謝罪すべきだ」の声。次いで「あれは謝罪になっていない」「誠意を感じられない」の声。日本に対して「謝罪しろ」「誠意が見られない」とばかり言ってきた大統領にとっては因果応報だ。そして、ついに涙の謝罪。今度は「あれでも謝罪でないという連中は、人間ではない」と保守派の総反撃。

P.165~167

ローマ法王の“ヘイトスピーチ”

韓国の社会葛藤が熱く高潮している時だった。「韓国民が、この事故を契機に、倫理的にも“霊的”にも生まれ変わるよう望む」と 述べた人物がいた。“霊的”とはスピリチュアル、精神的の意味なのだろうか。ともかく「倫理的にも“霊的”にも生まれ変わるよう望む」とは、すごい言葉だ。 私には今日の韓国人の人格を全否定する言葉のように思える。この発言の主は、口ーマ法王だ。法王が4月24日(バチカン時間)、韓国カトリック教会の大田教区長と会見した席で、事故の犠牲者に哀悼の意を表しつつ、そう述べたという。韓国のメディアは、「韓国経済」「京郷新聞」そして国営KB Sも素早く伝えた。しかし、日本語サイトを運用しているメジャーな新聞では、「中央日報」が4月26日に伝えただけだった。その字数は僅か187字。 「朝鮮日報」「東亜日報」「ハンギョレ新聞」とも、なぜかスルーした。念のため、これらの新聞の韓国語サイトも調べたが、記事はなかった。よほどショックだったのだろうか。日本の大手新聞もどうやらそろってスルーしたようだ。どこかの新聞が「ローマ法王がヘイトスピーチ」との大見出しを立てるのではないかと思っていたのだが……。

12/25日経ビジネスオンライン『中国の掌の上で踊り出した韓国 「分水嶺の韓国」を木村幹教授と読む(3)』について

本シリーズは3回目。朝鮮半島は北を含め他人の褌で生きていくしかない民族としか思えませんね。事大主義でなければ、強国の圧迫で国として存続できなかった長い歴史があるからでしょう。北はすぐに弱者の恫喝に走るし、南は強者の顔色を窺う。自国の運命を「米中に決めて貰う」ですって。「朝日新聞も頼りにならない」とのこと。如何に他者に依存し、自分の都合しか考えない民族と言うことか。米韓同盟がありながら、軍事的には米国の敵国である中国に擦り寄ってTHHADの配備についても韓国が反対するというのでは何をかいわんや。「信義に悖る」行為です。ペンタゴンは怒りに打ち震えているでしょう。2012年の日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)締結時、韓国の直前のキャンセルで流れました。アメリカの圧力があったにも拘わらず。結局、日米、韓米でGSOMIAを結び、アメリカ経由で情報を両国に流すようになるようです。情報入手の時間のズレが生じる可能性もあります。アメリカ経由で得た情報は特定秘密保護法によって保護され、両国とも情報流出の場合は国内法によって処罰されることになります。でも裏切り者、蝙蝠外交の韓国とまともに付き合うことはできません。所詮、小中華ですから。日本を仮想敵国としている国を日本が守る必要はありません。アメリカも良く考えた方が良い。アチソン声明のように朝鮮半島をアメリカの防衛線からはずして中国に渡し、日本に核武装させた方が良いのでは。

記事

中国は韓国を思うままに操り始めた――と木村幹・神戸大学大学院教授は言う(司会は坂巻正伸・日経ビジネス副編集長)。

外交巧者の中国

木村:中国の対韓外交が凄みを増しています。もう韓国は、その意のままに操られているかのようです。11月に北京で開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)で、それが鮮明になりました。「中国中心の国際秩序の形成に、韓国は積極的な役割を果たそうとしている」との印象を周辺国は深めました。この場での韓国政府のパフォーマンスといいますか、動きを見てのことです。韓国の動きの背景には、韓国人の心を巧みに揺さぶる中国外交がありました。さすが、外交巧者の国だと思います。以下、時系列に沿って「心理ゲーム」を読みます。11月7日、中国と日本は「関係改善について」と題する合意文書を発表しました。2年半ぶりの日中首脳会談を、APECの場で開くためでした。それを見た韓国は大いに焦りました。歴史認識問題などで中国と対日共同戦線を張っていたはずなのに、梯子を外されたと考えたのです。韓国は「日本の首相が反省しない限り首脳会談は行わない」と言い続けていた。中国も日本との首脳会談は拒否していましたから、強力な後ろ盾と頼んでいた。しかし突然、習近平主席が安倍晋三首相と会うことを決めた。さあ大変だ、というわけです。

「屋根を見上げる犬」の韓国

鈴置:韓国の「見捨てられ感」は大きかった。毎日経済新聞のテレビチャンネル、MBNはニュースで「信じていた中国が……朴大統領の外交解法に注目」(韓国語、11月8日)という見出しを立てました。左派系紙のハンギョレも「四面楚歌に追い込まれた韓国外交」(日本語版、11月9日)という見出しの社説で、日中首脳会談の開催決定に関し、以下のように書きました。・我が国の立場から見れば、日本問題で必ずしも中国と異口同音に協調してきたものではないものの、中国の対日批判の戦線離脱によって「鶏追った犬が屋根を見上げる」(意気込んでした仕事が頓挫してしまうこと)になってしまった。「韓国は中国と協調しているわけではない」とハンギョレは書いていますが。

朝日新聞も頼りにならない

鈴置:言い訳です。2014年春ごろから韓国人は一斉にそう言い始めました(「ルビコン河で溺れる韓国」参照)。米国から「中国にすり寄っているじゃないか」と叱られたからです。そして、韓国が期待するほどには米国は「慰安婦」など歴史問題で日本に圧力をかけてくれない。韓国の思い通りに内側から日本政府を揺さぶってくれてきた朝日新聞も「済州島での強制連行」を誤報と認めてしまった。こうなると、あとは中国に「日本叩き」をやってもらうしかない――と中国依存を強めているのが今の韓国です。だから「中国とは共闘していない」とは米国向けの言い訳に過ぎません。本音では、日中首脳会談の開催決定を「屋根を見上げる犬」のように唖然として聞いたのです。

木村:韓流ドラマのヒロインに例えれば、こうなります。街で買い物をしていると、最近親しくなったボーイフレンドを見かけた。声をかけようとしたら、その横には他の女性が歩いている。しかもよりによって、それは自分と犬猿の仲の因縁の女性。「あの人には絶対に裏切られないと思っていたのに、こんなことがあって良いはずがない」――。ジングルベルが鳴り響く街に、呆然と立ち尽くす主人公。冷たい雪もちらつき始めた……。ちょっとオーバーかもしれませんが、韓国の政府や世論は一時、こんな心境に陥りました。

吹雪の中のマフラー

–中国を信じていたがゆえの傷心ですね。

木村:でも、天は――いや習近平は、朴槿恵を見捨てませんでした。韓流ドラマが「主人公が雪の中で立ち尽くすシーン」では絶対に終わらないように、APECを舞台とするドラマにも、どんでん返しの第2幕があったのです。11月10日の中韓首脳会談で、中国は両国の自由貿易協定(FTA)に関し「実質的な妥結」をしてくれました。これを発表することにより朴槿恵政権は、中国と極めて深く良好な関係にあると、世界と国民に示すことができました。ハンギョレには「四面楚歌などと妙な言いがかりを付けるな」と言い返せます。

鈴置:日本は中国とFTAを結んでいません。だから韓国が先に結ぶとなれば「中国が日本よりも韓国を大事にしている証拠」となるのです。

木村:以下は、第2幕です。次第に吹雪が激しくなる中、ヒロインの肩を叩く人がいる。振り向くとボーイフレンドがニコニコと笑いながら立っていて、買ったばかりのマフラーをさっと差し出す。そして一言「君のこと、忘れるわけがないじゃないか」……。なかなかのプレイボーイですよね、中国は。見捨てられた、とショックを受けた直後だっただけに「マフラー」の効き目は絶大でした。重要なのは順番です。もし、マフラーを貰った後に「因縁の相手」と歩くボーイフレンド見たら、彼女はせっかくのクリスマス・プレゼントを叩きつけて家に帰ったかもしれません。

FTAと顔芸

鈴置:中国は11月7日に突然に態度を軟化し、韓国とのFTA妥結に動いたようです。中央日報が「『韓中首脳会談前に妥結を』……農産物開放幅めぐり徹夜で調整」(日本語版、11月10日)という記事でそう書いています。同日は「日中首脳会談」を両国が発表した日です。この記事を読んで私は、傷心の韓国をなだめるには「中韓首脳会談の場でFTA妥結を発表」というプレゼントを与えるしかない、と中国指導部が判断し、交渉にあたる通商当局に軟化を指示したのかな、と想像しました。中国の通商当局は韓国の譲歩をもっと勝ち取れると踏んでいたでしょうけれど。韓国は首脳会談のお土産として「妥結」を持ち帰りたかったからです。

木村:韓国世論に対してはFTAに加え、習近平主席の「顔芸」も有効でした。11月10日の安倍晋三首相との会談で、習近平主席は目も合わさず、終始硬い表情のまま。これを見た韓国メディアは一斉に「安倍には苦虫顔だったが、朴槿恵大統領には満面の笑みを浮かべていた。やはり中国は日本よりも韓国を重視しているのだ」と書きました。

「日本は廊下の片隅」

–習近平主席の「苦虫をかみつぶした顔」は、中国国内向けと思っていました。

木村:主目的はそうだったかもしれません。でも結果的ではあったにせよ、あの「顔芸」は韓国に対しても絶大な効果を発揮したのです。

鈴置:「顔芸」に加え「中日首脳会談は廊下の片隅のようなところで開かれた。本当の会談とは言えない」とも、韓国各紙は報じました。青瓦台(大統領府)か外交部が「廊下会談だった」とレクチャーしたと思われます。もちろん「日中会談」を貶め「韓中会談」をうたいあげるためです。それに、ハンギョレなどが「首脳会談の開催など日中関係の改善でほごにされるかもしれない」と心配した「慰安婦共闘」も中国は忘れてはいませんでした。7月の中韓首脳会談で中国が約束してくれた通り、両国の政府系機関の研究が始まります。12月17日に聯合ニュースが「韓中政府系機関 慰安婦問題共同研究へ=MOU締結」(日本語版)と報じています。

「米国牽制の小道具」を支持

–FTAに顔芸、そして慰安婦と盛りだくさん。相当に派手で豪華なマフラーですね。

木村:だからこそ朴槿恵(パク・クンヘ)大統領は中韓首脳会談の直後の11月11日に、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)を「積極的に支持」する発言を行うことになります。中国が押し始めたFTAAPに米国は必ずしも肯定的ではありませんから、同盟国の韓国としてはかなり思い切った発言でした。中韓FTAの発表でヒートアップした、中国への期待が作用したのは明らかです。

鈴置:米国は中国を排除する方向で、環太平洋経済連携協定(TPP)を推進中です。それを牽制するために、中国はFTAAPをAPECの場に持ち出したのです。つまり、朴槿恵大統領は「米国牽制の小道具」に使われるFTAAPに賛成したのです。一方、韓国はTPP交渉にまだ正式には参加していません。だから「積極支持発言」により、韓国は米国主導のTPPよりも、中国が唱えるFTAAPを優先する意向を表明したとも見なされました。木村先生ご指摘の通り、中国のくれたマフラー「中韓FTAの早期妥結」へのお返しが、朴槿恵大統領の「積極支持発言」だった可能性が大きいと思います。

元カレのオバマには冷たくして

–APECには米国も参加しています。その目の前で韓国が「中国支持」を表明してもいいのですか。

鈴置:米国はもう、元カレ扱いでしょう。キャンパスまでの送り迎え――ボディーガードはまだ、米国にやってもらっている。しかしそれぐらいは、いつでも中国が代わってやってくれます。

木村:ことに、このAPEC首脳会議は米中間選挙で民主党が負けた直後に開かれたこともあって、オバマ大統領の影は薄かった。半面、習近平主席はアジア太平洋からリーダーを集め、大いに存在感を誇示しました。こうした状況は朴槿恵大統領に、やはりこれからは中国との関係こそが重要なのだ、との印象を強めさせたと思います。そして米国は「FTAAP積極支持」などの韓国の動きに、表立った反応は見せなかった。韓国の目にはそれが「世界で指導力を失った米国が、対中接近を韓国に許容する印」と映ったことでしょう。

鈴置:韓国の中国傾斜に拍車がかかりますね。

木村:韓国では米中の2大国が世界を仕切る、という「G2論」が主流です。当然、その世界観が韓国の行動の根にあります。米国もG2の一方の雄である中国の存在を尊重し、中国の「地域覇権」を承認する過程にある、と韓国人は見ているのです。

「米韓」こそ廊下会談だった

鈴置:「離米従中をやめろ」と米国から叱られることを、韓国はもう恐れなくなった――という木村先生の分析には同感です。米国から不興を買うであろう朴槿恵大統領の「FTAAP支持発言」を韓国メディアはさほど批判的に書きませんでした。載せても小さな扱いでした。朴槿恵大統領は北京でオバマ大統領にも会ったのですが、この米韓首脳会談は直前まで開催が流動的でした。米国側が「日程調整が難しい」としたためです。結局、開いたのですが米国が選んだ会談場所は、文字通り「廊下の片隅」でした。少し前までなら韓国紙は「米国から軽く扱われた。こんなことでいいのか」と大騒ぎしたはずです。でも、そうはなりませんでした。「いざとなれば、中国の懐に飛び込めばいいのだ」という空気が韓国に広がっているのがよく分かります。

木村:そんな韓国の雰囲気を象徴するのが、在韓米軍基地への終末高高度防衛ミサイル(THAAD)の配備を巡る議論です。最近、主要紙の1つに「配備問題は米中ロに話し合って決めてもらおう」との記事が載りました。さすがにこれには驚きました。

「もう、大国が決めて」

鈴置:私も驚きました。ついにここまできたか、と思いました。中国専門家のキム・フンギュ亜洲大学教授が筆者です。中央日報の日曜版「中央SUNDAY」(韓国語版、11月16日)への寄稿でした。日本語版には11月18日に「THAADの韓国配備は国際イシュー、米中露の妥結誘導が先」との見出しで載りました。今、韓国は米中双方から踏み絵を突きつけられています。最大のものがTHAADです。米国は北朝鮮の弾道ミサイルから在韓米軍基地を守るために、これを配備すると言い出しています。これに対し中国は「北のミサイル用というのは誤魔化しだ。中国の弾道ミサイルを監視・撃墜するのが目的だ」と主張、韓国に配備を拒否するよう要求しています(「『核攻撃の対象』と中国に脅される朴槿恵」参照)。最近はロシアまでが中国と声をそろえて、韓国に配備拒否を求めるようになりました。海洋勢力と大陸勢力の間で板挟みに陥った半島国家の韓国――。 そこで「この問題で我が国を責めないでほしい。米国、中国、ロシアの問題なのだから、あなたたち大国で話し合って決めてくれ」と、韓国人は叫び始めたのです。この寄稿のポイントは以下です。

  • THAAD配備はすでに韓国の問題を越えて域内主要国の戦略的利害の中で議論されなければならない事案となっている。これを韓国が立ち上がって整理する必要はない。

•強大国の間の折衝と妥協が必要であり、この過程で韓国の安保利益が反映される妥協案が出てくるようにしなければならない。

「沖縄」を米中に決めてもらう?

木村:韓国ではすでに、安全保障分野でさえ「米中等距離外交」的な論調が当たり前になっているのです。ここに注目せねばなりません。そもそもTHAAD配備を巡る問題は米韓同盟、つまり米国と韓国の2国間の問題。それを他の大国に入って決めてもらうというのは、すでに同盟の体をなしていない。例えば、沖縄の海兵隊の基地問題について中国を入れて議論しよう、と日本人が言い出すのと同じです。

鈴置:私も韓国人に「周辺国が決めてくれればいいと言うのはまずくないですか」と聞いてみたのです。多くの人が「自分で決めたら、米中どちらからか殴られる。だから米中双方に決めてもらうのが一番いいのだ」と答えました。「独立国なら、他国から殴られるコストを甘受すべきではないのかなあ」とも言ってみたのですが、韓国人はそう思わないようです。ブッシュ大統領が打ち出した東欧ミサイル防衛構想というものがありました。ロシアが強く反対し、結局、オバマ大統領はあきらめました。この前例を見て、韓国は「大国間で決めて」と言い出したのかもしれませんけど。

東欧で「悪しき前例」作ったオバマ

木村:イランの弾道ミサイルを防ぐために、チェコに早期警戒レーダーを、ポーランドに迎撃基地計画を作るという計画でした。この計画を放棄したことで、オバマ大統領は「ミサイル防衛構想で押されれば引く」前例を作ってしまったといえます。中国はこの「実績」を念頭に置いて反対しているのでしょう。韓国もまた、それを手がかりに「米中ロ間での手打ち」を期待したくなるのかもしれません。ただ、それはあくまで「東欧」という極めて微妙な地域での話です。チェコもポーランドもかつてはソ連圏で、北大西洋条約機構(NATO)では冷戦後の新規加盟国です。それに対し、韓国は米国の古い同盟国です。米国との親密度も、依存度も全く異なるはずなのに……。

鈴置:それに、北朝鮮とイランの脅威は比べものになりません。

木村:その通りです。米国がこの計画を取り下げた理由の1つは、イランのミサイルの脅威がさほどではないとの判断でした。一方、北朝鮮は韓国全土を射程に収めたミサイルを大量に保有しています。そもそもTHAADの韓国配備は、少なくとも公式的には、在韓米軍基地を守るのが目的です。北朝鮮の明らかな脅威から在韓米軍を守る武器の配備についてさえ、米国は中国やロシアと協議すべきだ――と韓国人は言い出したのです。

いつの間にか変容した米韓同盟

鈴置:米国にすれば、無茶苦茶な議論です。米韓同盟が消滅するとしたら、THAAD配備問題が引き金になるのかもしれないと思います。「米中等距離外交」に関連、もう1つ興味深いことがあります。それは、韓国が米韓同盟の仮想敵から中国を完全に外してしまっていることです。中国はTHAAD配備を拒否させるために「配備したら在韓米軍基地は核攻撃の対象にする」と韓国を脅し始めました(「『核攻撃の対象』と中国に脅される朴槿恵」参照)。韓国はその脅しを前提に「米国に認めるべきかどうか」悩んでいます。つまり、韓国人は「THAADが配備されなければ、韓国は中国の核攻撃の対象ではない」と思い込んでいるのです。ほんの10年前まで、韓国人は現実を見ていました。「米中が戦争に突入すれば、米国の忠実な同盟国である韓国はどうあがいても中国の核攻撃を受ける」と考えていました。でも今や韓国は「米韓同盟の仮想敵は北朝鮮だけで、中国は敵ではない。だから、中国も韓国を敵と見なさない」と信じています。米国には北朝鮮の脅威を防いでもらうけれど、中国封じ込めに加わるつもりは全くないのです。中国を最大の仮想的に据える米国としては、そんな虫のいい韓国を守ろうという気は起きなくなってしまいます。ことにTHAAD配備に韓国が反対すれば。在韓米軍だけではなく、在日米軍やグアムの基地も中朝の弾道ミサイルから守る、米国の安全保障にとって必須のものだからです。

(次回に続く)

12/24宮崎正弘氏メルマガ 『中国・パキスタン経済回廊にインドは不信感拡大 陸のシルクロードもカザフスタンは賛意を表明したが。。。』記事について

中国のGDPの発表数字はまやかしがあると言われています。2013年で9.5兆$(ジェトロ発表数字)と言っても、下記の記事のように、ケインズの「穴を掘ってまた埋め戻す」ような失対事業ばかりでは、政府債務が山のように膨れ上がるだけです。3/5のブルームバーグの記事では政府、企業、家計の債務合計が21兆$とありました。これではAがBから借金してビジネスし、BはCから借金、CはAから借金するようなもので、信用創造と言えば聞こえは良いですが、花見酒経済で、何の裏付けもなく通貨発行しているような気がします。2014年3月で日本の政府債務は1158兆円ありますが、個人金融資産が1630兆円あります。政府債務が毎年増えていってますが、個人の金融資産もそれに連れて伸びていっています。一説によれば「政府の国債発行を民間が引き受け、家計の預金として持つだけでは生産性向上に役立つ事業に金が回らないことを意味し、これはこれで問題である」という意見もあります。でも少なくとも政府の借金は民間の支払い能力に裏付けられています。産経の田村秀男記者によれば「中国は4兆$に上る外貨準備を担保に人民元資金を発行し、金融機関に資金を流す。あるいは、緊急事態には党指令で、問題金融機関にドルを資本注入できる。日本のバブル崩壊期の「飛ばし」が国家的規模で行われる可能性が高い。これまでにも、飛ばされた巨額の不良債権は経済膨張のプロセスの中で、もみ消されてきた。」とのこと。「飛ばし」とは「決算対策のために、企業が保有する評価損(含み損)を抱えた有価証券(株式・債券等)を一時的に第三者(他社)に転売することをいう。これは、企業が保有している株式や債券などが値下がりして、含み損がバランスシートに載ることを避けるために、含み損の出ているものについて買い戻し条件付きで時価とかけ離れた価格で第三者に転売することである。そのスキームとしては、証券会社に間に入ってもらい、決算期の異なる企業を相手に、後日の金利付き引き取りを条件として、時価より高い価格で売却するなどして損失を決算書上において見えなくする(隠す)。一般に飛ばしは、1980年代までは証券会社の損失補填の手段として利用されていたが、その後(1990年代)の証券不祥事で社会問題化し、現在では粉飾決算の一つとして金融商品取引法で禁じられている(その背景には、バブル時代の財テクの失敗などがあった)。なお、飛ばしで転売を繰り返しても、時価が回復しない場合は含み損がさらに膨らんでいくことになる。」とあります。中国の不動産の実需は、一般個人の所得が多くない現在、出て来るとは思えません。バブルが破裂した時にどうなるか。中国国内だけで治まれば良いですが、戦争で解決しようとする可能性もあり、心配です。

記事

 中国はパキスタンの南北を縦断する「経済回廊」の建築に全面協力すると打ち上げた。イランとパキスタンの国境グァイダールの浚渫、港湾整備、波止場建設は中国企業が請け負い、一本のバースは完成した。これは将来の原潜寄港地でもあり、グァイダールからカラチ、ラホール、イスラマバードからさらに北上して中国カシュガルへと至る全長4000キロの「経済回廊」に総計450億ドル(5兆3000億円)を投下するという。その内の350億ドルは沿線部のインフラ建設、鉄道改良、光ファイバー併設。付近に発電所も建設する。グァイダール港には貯炭、原油備蓄基地ならびに精油所を建設し、原油を中国まで輸送するという複合的計画で、パキスタンのインフラ整備に寄与してくれるうえ、パイプラインの通過料でうるおう。シャリフ首相は2014年11月に北京を訪問し、北京との間に20の合意文書にサインした。ともかく大風呂敷を広げるのが大好きな中国。天津の北、唐山に建設した大工業区は胡錦涛政権が鳴り物入りで熱中したプロジェクトだった。十兆円を投下してハイウェイ、港湾、発電所、複合ビル、高層住宅に貯炭場、政庁ビルなどを建設し、世界最大のエコシティだと胸を張った。90%ほど仕上がった時点で突如このプロジェクトは失速した。人工島の地盤が沈下し始め、ビルの一階は満潮時に海水に沈み、蟹が捕れる。十兆円で廃墟を造った。南水北調という大プロジェクトは水量の多い長江の水を運河を三本も造成し、北京、天津に水を運ぶという世紀の試みだった。すでに沿岸部ルート、中央ルートは完成したが、せっかく運ばれる水は病原菌だらけで飲み水には使えないことが分かった。西ルートは峻険な山岳地帯を通過するため、まだ着工されてもおらず、実際に工事のメドは立っていない。中国全土に225の飛行場を作った。週に一便しか飛んでこないへんぴな場所や冬の間はまったく使えない極寒地の飛行場が出現し、つぎの廃墟候補となる。風力発電は40万基。その三割が送電線に繋がっていない。同様に遠くトルクメニスタンから新彊ウィグル自治区を経由した上海までの6500キロのパイプラインは完成したが、キャパを満たせず、同様にミャンマーを南北に縦断し、雲南省から広西チワン自治区南寧に運ぶ4000キロ弱のパイプラインはミャンマーから昆明までの790キロが繋がったが、輸送量は計画の二割前後しかない。大風呂敷がすきな中国、世界で廃墟を量産するらしい。

12/25日経 『中国、地方債務抑制に動く 隠れ借金の膨張防ぐ』

【上海=土居倫之】中国が地方債務問題の改善に動き出した。江蘇省と新疆ウイグル自治区の地方政府は、傘下のインフラ投資会社の新規発行の債券を「保証しない」と明確にした。中国ではこうした投資会社が地方政府からの支援を前提に安易に資金を集め、野放図にインフラを開発してきた。新方針でこうした債券を発行しにくくすることで、地方政府の過剰債務・投資を解消する。

 地方政府が出資して設立するインフラ投資会社は中国で「融資平台」と呼ばれる。地方政府はこれまで多くの場合、明示的に保証しないまま傘下の投資会社に資金を調達させ、道路や公共住宅の建設を代行させてきた。 「投資家の利益を保護するため、債券発行を中止する」。17日、新疆ウイグル自治区ウルムチ市政府が100%出資する投資会社、ウルムチ国有資産投資は10億元(約190億円)の債券の新規発行中止を宣言した。

 中止に追い込まれたのは、ウルムチ市政府が15日「政府債務に組み入れる」との通知を「撤回する」と発表したためだ。集めた10億元で経済開発区の道路を建設するはずだったが、道路を建設しても収益は見込めず、政府の支援がなければ債務の返済はおぼつかない。既に買い手が決まり、発行手続きも終わっていたが、急きょ中止した。

 12日には、江蘇省常州市政府傘下の投資会社、常州天寧建設発展も、政府の「償還責任を負わない」との発表を受けて債券発行の延期を決めた。

 中国では、地方政府による地方債の発行が原則禁止されてきたため、こうした投資会社がインフラ開発の抜け穴となってきた。中央政府も全貌を把握しきれないまま、こうした隠れ借金が膨張。国際的に中国の地方財政に対する不信感が高まる要因となってきた。

 地方政府の不透明な財政慣行にメスを入れるため、財政省は地方政府に対し2015年1月5日までに「14年末時点の返済すべき債務を分別し、その金額を報告する」よう求めている。両市の決定はこれに沿った措置だ。両市が「保証しない」ことを明確にしたことで、地方債務としてカウントする必要がなくなる。

 焦点は既存債務の取り扱いだ。地方政府が財政省に報告する金額を圧縮するため、既存債務についても「保証しない」と明確にした場合、金融機関の反発は必至で市場が動揺する可能性が高い。金融機関は政府の支援を前提に、こうした投資会社に資金を提供しているからだ。24日時点で既存債務について対応を明確にした地方政府はない。

 国務院(政府)は、16年をめどに地方政府傘下の投資会社による資金調達を禁止する方針だ。代わりに地方債の発行を条件付きで解禁し、今後は地方政府が直接、地方債発行で財源をまかなう。

 市場規律の導入により、資金面の制約から地方のインフラ投資会社は従来のような採算を度外視した大規模な投資は難しくなりそうだ。民間住宅投資と並ぶ成長のけん引役だった地方のインフラ投資は来年以降、一段の減速が必至で、中国の成長率の下押し圧力となる。

china debt 20141225

12/24 ダイヤモンドオンライン 北野幸伯『2015年、「世界の孤児」プーチンはどうやって米国に「逆襲」するのか?』記事について

原油価格の下落は①米とサウジが組んでロシア経済をガタガタにしようとする陰謀説②ロシアがアメリカのシエールオイル掘削を止めさせようという説③サウジがアメリカのシエールオイル掘削を止めさせ、イランの核開発をする力を削ぎ、引いてはシーア派に牛耳られるイラクの力を削ぐ説、と3つほど考えられていますが、③が一番近いのでは。11月に石油化学メーカーでサウジ駐在の友人が帰国した時にもそう言っていました。オバマのアメリカは同盟国であるサウジを怒らせ、イスラエルを怒らせ、日本をも怒らせています。プーチンと比べオバマの言動の軽いこと。役者が違います。リベラルとか左翼と言われる人種に共通な特徴です。何の覚悟もなく、建前だけで簡単に「正義」を主張します。民主主義ですから選んでる方が悪いのですが。トルコもEU加盟をイスラム教と言うことでずっと拒否され、エルドアンも堪忍袋の緒が切れ、クリミア戦争で戦った相手国とも手を結ぼうとしています。欧米諸国の判断の誤りです。ルトワックが言ってますように中国はロシアと手を組ませないようにしないといけないのに、ロシアをそちらに追いやっています。インドのモデイだって首相に当選して慌ててオバマは会うようにしました。BJPのモデイはグジャラート州の州長のときにモスリムの虐殺に加担したという噂があったためです。北朝鮮の元首を暗殺する映画を世界に配信することが「表現の自由」ですか?自由の概念をはき違えているのでは。慈愛に満ちた天皇と独裁者を比べるのは不遜以外の何物でもありませんが、天皇を侮辱した発言をした李明博のような非常識な国家元首もいます。何でも許される訳ではありません。アメリカは強欲、横柄の度が過ぎて来ています。同盟国の信頼を失いつつありますが、台頭する中国の封じ込めにはアメリカの力がどうしても必要なのが痛し痒しです。北野氏は「米ロは今、「戦争中」といっても過言ではない状態にある。日本政府は、このことをはっきり自覚し、軽薄な「プチ独自外交」に走らないことが大切である。」と言っていますが、意味するところは優先順位でいけば①日米同盟の深化②ロシア、インド、豪等中国封じ込めの準軍事同盟関係、そのため①靖国参拝は控える②領土問題、拉致問題で安易に妥協しないことかと思われます。近藤氏も北野氏と同じく、米ロで新冷戦が始まっているとの見方です。オバマの大統領が終わる2017年に新しく生まれる大統領に「ロシアを取り込み、中国を封じ込める」ように政策転換することを期待したい。ジェブ・ブッシュが大統領になることを望んでいます。

記事

3月のロシアによるクリミア併合以来、米国とロシアの対立は、実質的に戦争状態と言っていい状態になっている。欧州と日本からも経済制裁を加えられた上、原油価格下落によってルーブルの価値が半分以下になってしまい、「世界の孤児」とまで呼ばれるようになったプーチンだが、実は中国やインド、トルコなどと原油や天然ガスを手みやげに独自外交を繰り広げている。2015年、米ロの対立によって世界の分裂がさらに進むことは必至だ。「2015年に何が起こりますか?」――。答えは、誰にもわからない。しかし、「2つの視点」から見ることで、「世界がどっちに向かっているか?」を、ある程度知ることはできる。「2つの視点」の1つ目は「世界的に見る」ことだ。日本国内の政局だけではなく、視野を「全世界」まで広げて考える。もう1つの視点は、「歴史的に見る」こと。「過去」に原因があり、その結果「現在」がある。そして、「現在」が原因となり、「未来」が形作られる。歴史を追ってみると、「ある流れ」が存在していることが明らかになる。今回は、この「2つの視点」を使って、15年の米ロ関係を予測してみよう。

戦争と平和の繰り返しで頂点に立った米国  世界情勢の「主人公」たちの栄枯盛衰

世界の歴史を見ると、「平和」と「戦争」が繰り返されている。そして、「戦争」には、「主人公」といえる国々が必ず存在している。たとえば、第1次大戦の主人公は、大英帝国とドイツ帝国だった。英国は、大国ロシア帝国と米国の支援を受け戦い、ドイツ帝国に勝利した。第2次大戦時、欧州戦線の主人公は、またもや大英帝国と(ナチス)ドイツだった。英国は、大国米国とソ連を味方につけ戦い、強敵ドイツに勝利した。戦後の主人公は、いうまでもなく米国と共産ソ連である。次に世界は「冷戦時代」、別の言葉で「米ソ二極時代」に突入した。その後も世界では多くの紛争、戦争が起こっている。中国内戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争、アフガン戦争(1978~89年)などなど。これらは、いずれも米ソによる「代理戦争」だった。「米ソ二極時代」は、91年末のソ連崩壊によって終結。そして、世界に超大国が一国しかいない、「米国一極時代」が到来した。ライバルだったソ連は崩壊。経済のライバル日本は、バブル崩壊により「暗黒の20年」に突入。欧州は、冷戦終結により、豊かな西欧が、貧しい東欧を抱え込むことになり苦しい。中国はまだまだ弱く、米国の地位を脅かす存在ではなかった。ただ一国、米国だけが、「ITバブル」による「空前絶後」と呼ばれる経済的繁栄を謳歌していたのである。

「主人公」が米国とロシアに移り 世界各地で繰り広げられた”代理戦争”

ところが、米国の一極世界は長くつづかなかった。反逆の狼煙をあげたのは、意外にも「欧州」、特にドイツとフランスだった。冷戦時代、ドイツ(当時は西ドイツ)、フランスはソ連を恐れ、米国の言いなりになるしかなかった。しかし、ソ連崩壊によって、「東の脅威」が消えた。それで、「もはや米国の保護は必要ない」と考えたのだ。ドイツ、フランスは、「EUを東に拡大すること」「ユーロをドルにかわる世界通貨にすること」によって、「欧州に再び覇権を取り戻そう」と画策した。米欧対立の犠牲者になったのが、イラクのサダム・フセインである。フランスにそそのかされたフセインは2000年9月、「原油の決済通貨をドルからユーロにかえる!」と宣言し、米国の指導者たちを卒倒させた。2003年、米国はイラクを攻撃し、フセイン政権を打倒。イラク原油の決済通貨をユーロからドルに戻すことに成功した。さて、03年頃から、世界情勢の主人公は米国とロシアに移っている(もちろん、米中という見方もあるだろうが)。有能な独裁者プーチンによって急速に復活してきたロシアは、米国と対立するようになっていく。米ロは、「イラク戦争」「ユコス問題」「グルジア・バラ革命」(いずれも03年)、「ウクライナ・オレンジ革命」(04年)、「キルギス・チューリップ革命」(05年)などで、米ソ時代と同様に代理戦争を繰り広げた。米ロの対立は08年8月に起こった「ロシア-グルジア戦争」で一つのピークを迎える。当時グルジアの大統領は、03年の革命で政権についた超親米男・サアカシビリ。つまり、この戦争は、ざっくりいえば「米国傀儡政権」グルジア対ロシアの戦争だったのだ。しかし、この戦争後、米ロ関係は改善されていく。理由は、グルジア戦争の翌月(08年9月)、「リーマンショック」から「世界的経済危機」が起こったこと。米国にもロシアにも、戦いを継続する余裕はなく、いわゆる「米ロ再起動」(平たく言えば仲直り)の時代に突入する。仲直りは長くは続かなかった… プーチン復帰で、再開された米ロ「新冷戦」

2000~08年まで、4年2期大統領をつとめたプーチンは、その座をメドベージェフに譲った。理由は、憲法の規定で、「大統領は連続2期まで」と決められているからだ。米国大好き男・メドベージェフが大統領だった4年間、(グルジア戦争を除けば)米ロ関係は比較的良好だった。しかし、12年5月、プーチンは大統領に復帰し、米国との新たな戦いを開始する。13年8月、オバマはシリア軍が反体制派に「化学兵器を使ったこと」を理由に、「シリアを攻撃する」と発表した。しかし翌9月には、戦争開始の決定を「ドタキャン」して、世界を驚愕させた。これはいったいなんだったのか?実をいうと、オバマのいう、「シリア軍が化学兵器を使った」という大義名分は「ウソ」だったのだ。こちらを見てほしい(太字筆者)。

<シリア反体制派がサリン使用か、国連調査官  AFP=時事5月5日(月)配信

[AFP=時事]シリア問題に関する国連(UN)調査委員会のカーラ・デルポンテ調査官は5日夜、シリアの反体制派が致死性の神経ガス「サリン」を使った可能性があると述べた。スイスのラジオ番組のインタビューでデルポンテ氏は、「われわれが収集した証言によると、反体制派が化学兵器を、サリンガスを使用した」とし、「新たな目撃証言を通じて調査をさらに掘り下げ、検証し、確証をえる必要があるが、これまでに確立されたところによれば、サリンガスを使っているのは反体制派だ」と述べた。>

要するに、米国は、イラク戦争に続き、「ウソの理由」でシリアを攻撃しようとしていた。それを積極的に暴露したのが、プーチン・ロシアだったのだ。13年6月、北アイルランド・エニスキレンでG8サミットが開かれた。オバマは、このサミットで「シリア攻撃のお墨つき」を得ようとした。しかし、プーチンが「戦争計画」に反対し、オバマは困ってしまう。しかも、プーチンの挙げた根拠は、誰にも否定できないものだった。

<プーチン大統領はまた、反体制派が化学兵器を使ったことを指し示す証拠があるとし、「われわれは化学兵器を持った反体制派がトルコ領内で拘束されていることを知っている」と述べた。 さらに、「反体制派が化学兵器を製造している施設がイラクで発見されたという同国からの情報もえている。これら全ての証拠は最大限真剣に調査される必要がある」と強調した。>(ウォール・ストリート・ジャーナル2013年6月19日、太字筆者)

要するにプーチンは、オバマに面とむかって、「おまえはウソをいっている!」といったのだ。さらにロシアは、「反体制派(=反アサド派)に、『9.11』を起こしたアルカイダが含まれている」ことも暴露し、米国を追いつめていった。結局、オバマは、(ウソを後に暴露された)「イラク戦争」の失敗を繰り返さないために、戦争を中止せざるを得なくなった。一人で戦争を阻止したプーチンの名声は高まり、オバマ・米国の権威は地に落ちた。ウクライナで、(親ロシア)ヤヌコビッチ大統領を非難する大規模デモが起こったのは、そのわずか2ヵ月後のことである。これは、偶然だろうか?そうかもしれないし、そうではないのかもしれない。

引くに引けないオバマとプーチン 2015年、米ロの和解は期待薄

14年、米ロの対立は、誰の目にも明らかになった。時系列で見てみよう。2月、ウクライナで革命が起こり、親ロシア・ヤヌコビッチ政権が崩壊した。3月、ロシアは、ウクライナ領「クリミア共和国」と「セヴァストポリ市」を併合。4月、ロシア系住民が多いウクライナ東部ルガンスク州、ドネツク州が「独立宣言」。親欧米ウクライナ新政府は、もちろんこれを容認せず、軍隊を派遣、内戦が勃発した。現在も米国は、欧州および日本と共に、「対ロシア制裁」を強化しつづけている。モスクワ在住の筆者にはよくわかるが、ロシア制裁の効果は、かなりあがっている。ルーブルは、年初の1ドル32ルーブルから、12月半ばにはなんと79ルーブルまで大暴落。ルーブルの価値は、この1年で約2.5分の1になってしまった。ルーブル下落で輸入品の価格は上がり、インフレが庶民を苦しめている。さらに、原油価格の暴落(WTIは6月のバレル107ドルから、12月には53ドルまで下げた)が、輸出の3分の2を石油、ガスに頼るロシア経済を直撃している。ロシア国内でも、「来年は、09年以来のマイナス成長。しかも相当なマイナス成長になりそうだ」と予想されている(09年、ロシアのGDPは、マイナス7.8%だった)。 しかし、プーチンが「クリミアを返す」ことは「あり得ない」と断言できる。プーチンの高い支持率は、「クリミア併合」によって維持されているのだから(支持率は、年初60%だったが、併合後は80%台を保っている)。なぜ、ロシア国民は、「クリミア併合」を支持するのか?クリミアは、1783年から1954年までロシアに属していた。要するに、ロシア人は、「クリミアはロシアのもの」と確信しているのだ。プーチンは、これを「無血」でウクライナから取り戻した。いってみれば、日本が無血で、ロシアから北方領土を、韓国から竹島を取り戻した感覚である。だから、プーチンは、クリミア併合によって「ロシアの歴史的英雄」になった。それをいまさら、「やっぱりウクライナに返す」といえば、国民は激怒し、いくらプーチンでも政権を維持できなくなるだろう。要するにロシアは、変わらない(変われない)。一方、米国オバマ政権も、「対ロシア制裁」を解除し、ロシアと和解することはできそうもない。オバマは、「シリア攻撃をやめたこと」「クリミア併合を阻止できなかったこと」などで、「決断力のない」「弱腰の」大統領と非難されている。こういう批判をかわすために対ロ制裁を強化しているのだから、これを途中でやめるわけにはいかないのだ。ロシアと和解するどころか、米国は、ウクライナ政府の軍備増強を積極的に支援している。

<米議会が13日に可決した法案は、ロシアの防衛・エネルギー産業や金融企業などを対象に追加制裁を行うよう大統領に求めている。また、対戦車兵器など致死的兵器を含む3億5000万ドル(約409億円)の軍事支援をウクライナに供与することを2015会計年度に認めている。>(毎日新聞12月17日、太字筆者)

一方で、ロシアは「親ロシア派」への支援を増やしている。ウクライナ政府軍と親ロシア派の内戦は、9月から「休戦状態」にあるが、米ロ共「内戦再開」にむけた準備を急いでいる。つまり15年、「ウクライナ内戦」が再び始まる可能性は高い。そうなると、米国は、ますますロシアへの制裁を強化せざるを得なくなるだろう。

中国、インド、トルコはロシアの味方!? 「世界二分化」を目指すプーチン

日本から見ると「やられっぱなし」で、「世界の孤児」ともいわれるプーチン。実際、かなり苦しい立場にあることは間違いない。しかし、「世界の孤児」というのは少々大げさだろう。世界2位の経済大国中国は、「ロシア支持」を明確にしている。また、プーチンは12月1日、ロシア-欧州を結ぶ「サウスストリーム」(=ガスパイプライン)の建設中止を発表。かわりのガスパイプラインを、トルコまで建設することを明らかにした。ここで重要なのは、トルコが欧州を裏切ってロシアについたこと。さらに、プーチンは12月11日、インドを訪問し、モディ首相と会談。「ロシアはインドに、毎年1000万トンの原油を供給する」「ロシアは、インドに20基の原発を新設する」ことなどで合意した。インドも、米国のいうことを聞かず、ロシアとの友好を深めている大国である。15年、プーチンは、経済制裁に苦しみながらも、「反米の同志づくり」に精を出すことだろう。「同志」「同志候補」は、中国、「上海協力機構」(中ロ+中央アジア4カ国)、「BRICS」(中ロ+ブラジル、インド、南アフリカ)、南米諸国などである。ロシアに制裁を課している、米国、EU、日本を合わせると、世界GDPの約半分になる。それでロシアは苦しいのだが、プーチンは来年、残り半分の大国を自陣営に引きずり込むために奮闘するだろう。いずれにしても、米ロは今、「戦争中」といっても過言ではない状態にある。日本政府は、このことをはっきり自覚し、軽薄な「プチ独自外交」に走らないことが大切である。

近藤大介氏「米中はすでに、何らかの『密約』を交わしている!? 2015年、北朝鮮を巡る外交が大きく展開していく予感」(現代ビジネス12/12)記事

北朝鮮を久方ぶりに訪れたというある実業家は、私に次のように述べた。「華やかなのは市中心部の蒼光通りや栄光通りだけで、東平壌には巨大な貧民窟が広がっていた。真冬だというのに、通りには腐臭が立ちこめている。そして、地区の役場の職員たちが総出で、のたれ死にした遺体の処理をしていた。朝晩氷点下20度にもなる極寒の中、暖房もなく、食糧もなく、ついに首都・平壌まで、廃墟が広がり始めた。そもそも金正恩が指導した2009年末の通貨改革の失敗で平壌市民への配給が不可能になり、平壌市の面積を4割削減して、人口を220万から180万に減らした。それでも配給できなくなったため、今年4月に、さらに市の面積を縮小し、人口を150万に減らした。今回さらにピンチになって、つい

に100万まで減らそうとしているという噂が立っていた。12月12日に、ナンバー2だった叔父の張成沢・党行政部長を処刑して丸1年が経ったが、金正恩はいまだに、張成沢に関係のあった幹部の粛清を続けている。その数は2000人とも3000人とも聞いた。張成沢の姉の夫である全英鎮・駐キューバ大使一家、兄の息子である張勇哲・駐マレーシア大使一家も、このほど処刑されたそうだ。朝鮮人民軍の幹部に対しても、相変わらず粛清が続いていると聞いた」。このように、いよいよ窮乏してきた北朝鮮は、来る1月8日の金正恩32歳の誕生日にも、国民への「特別配給」ができない有り様だという。このまま経済困窮が続けば、朝鮮人民軍の「離反」も考えられる。(北とロシアは接近していくが)ここへ来て、ロシア経済に黄信号が灯り始めた。それによって、にわかに「ロシアが北朝鮮経済を救う」というシナリオも崩れてきた。「(露北間の)3500kmの鉄道建設はいいが、一体誰が資金を出すのか?」というわけだ。

では、結局どの国が北朝鮮を救うのか?

私は、2015年にアメリカが名乗りを上げるのではないかと見ている。北朝鮮を巡って米中はすでに、何らかの「密約」を交わしているのではないか。11月11日~12日、北京APEC(アジア太平洋経済協力会議)終了後に、オバマ大統領が2日間の中国国賓訪問をおこなった。オバマ大統領と習近平主席は、計8時間にわたる首脳会談の中で、北朝鮮問題についても時間をかけて話し合っている。この時、オバマは、北朝鮮外交を進めることを習近平に告げたのではなかったか。なぜなら、アメリカにとって北朝鮮が再び「ロシアの植民地化」するのは困るからだ。もし羅先がロシア軍の「軍港」と化せば、北東アジア情勢は大きく様変わりすることになる。それは中国とて望まない。中国は、「2018年から30年間、計40兆円の天然ガスをロシアから輸入する」という過去最大規模の契約を5月に結んだばかりだ。これはロシアからすれば、長期的なエネルギー輸出による安定した財政収入を確保したことになる。一方の中国からすれば、中ロ関係が悪化した場合、いつでも契約を打ち切るという選択肢を持ったことで、ロシアの生殺与奪を握ったに等しい。その後、ロシアが北朝鮮に急接近したのは、中国の背後に回ることで、中国が身動きを取れないようにする意図があったのだろう。そのような状況下で、北朝鮮に冷たかったアメリカと中国が、北朝鮮戦略の転換を始めたのである。12月17日にオバマが緊急会見して発表した、アメリカとキューバとの電撃的な国交正常化である。なぜ半世紀も敵対視していた両国の関係が急展開したかと言えば、二つの理由が考えられる。

一つは、オバマが「任期中の外交的成果」が欲しかったからだ。もう一つは、「ロシアの味方」を減らしたかったからだろう。つまり「新冷戦」が始まっているのである。こうした一連のできごとの延長線上に、2015年の米朝接近がある。すでに中国も手を打ち始めた。12月17日、北京の北朝鮮大使館で開かれた金正日総書記死去3周年の追悼行事に、劉雲山・中国共産党中央政治局常務委員(序列5位)が参列したのである。いまからちょうど1年前に、金正恩第一書記が張成沢を粛清して以降、中朝関係は冷え込み、両国の高官の往来はストップしていた。今回の劉雲山常務委員の参列は、その雪解けを示す中国政府の「シグナル」だった可能性がある。ともあれ2015年、北朝鮮を巡る外交が大きく展開していく予感がする。日本はこれを好機と捉え、拉致問題解決に活かしていくべきである。

12/23日経『朝日新聞の慰安婦報道 第三者委「危機管理に失敗」』等の記事について

朝日新聞の本件第三者委員会はメンバーが身内に近い人たちなのでアリバイ作りで大した報告は出ないだろうと思っていましたが、意外にも厳しい内容が出たと思っています。まあ、それなりに頭は回る人たちなので、甘い報告を出せば「身びいき」とのバッシングを受けるのが分かっていますため、どの程度の内容を出せば許されるか見極めて出してきたのがこの報告だと思います。

良かった点

  1. 「吉田証言への疑問点を示す記事が他紙に掲載されたのに、裏付け調査を怠った」と指摘したこと。秦郁彦の調査を指すものと思われます。
  2. 「木村伊量社長(当時)ら経営幹部が反対し、謝罪はしないという方針が決まった」と明らかにしたこと。まあ、これは社長を断罪することで「朝日新聞」という組織を守ったと見えなくもないですが。

悪い点

  1. 「同社記事が国際社会に与えた影響は限定的だったと認定した」こと。この記事が基で、左翼の跳梁跋扈もありましたがクマラスワミ報告が出され、アメリカの政治上層部に影響を与えたこと。民主党のオバマも相当影響されている様子。これは多分岡本行夫(外務省出身)がメンバーにいるため、事実を確認することなく「ずっと謝罪してきている」と外国に向けて主張してきた外務省に累が及ばないようにしたのでは。秦郁彦が調査結果を発表しましたのは1992年3月で、当時の外務次官を調べましたところ、やはりというか「小和田恒」です。駐米大使は前外務次官の「栗山尚一」で両者とも「日本はハンデイキャップ国家で良い」という論者です。官房長官は加藤紘一(外務省出身)でグルになって国を売った連中です。ハニーか賄賂工作という外国の謀略に引っかかった可能性もあります。
  2. 今後の対応、少なくとも英独仏露中、スペイン、ポルトガルの言語で謝罪・訂正記事を発信すること。「広義の強制性」なんて論理は事後法で裁くのと同じなのだから、主張を止めるべき。

記事

朝日新聞が従軍慰安婦をめぐる証言報道を取り消した問題で、報道内容を検証していた第三者委員会(中込秀樹委員長)は22日、報告書をまとめた。日本軍が朝鮮人女性を強制連行したとする証言など慰安婦報道の一部は裏付けが不十分だったうえ、記事取り消しや謝罪も遅きに失したことを挙げ「読者の信頼を裏切り、ジャーナリズムのあり方として非難されるべきだ」と総括した。軍が朝鮮人女性を強制連行したとする元山口県労務報国会下関支部動員部長、吉田清治氏(故人)の証言を1980年代から90年代に複数回取りあげたが、「吉田証言への疑問点を示す記事が他紙に掲載されたのに、裏付け調査を怠った」と指摘。97年の慰安婦問題に関する特集記事で吉田証言に関する記事を訂正・取り消し、謝罪をすべきだったのにこれを怠ったと批判した。今年8月の検証記事で一部記事を取り消したが、経営幹部が経営上の危機管理を優先し「記事の取り消しはするが謝罪はしない」との方針が決まったと指摘。これについて「『社を守る』という大義によって、編集現場の決定が翻された。そのため慰安婦問題の伝え方が読者や社会が納得する内容にならず、危機管理そのものに失敗した」と厳しく非難した。今後の提言として、記者が先入観や思い込みをただして取材にあたることや、経営が編集に介入することは最小限にし、経営と編集の分離をいっそう進める必要があるとしている。

『朝日新聞の慰安婦報道 第三者委「読者の信頼裏切った」』記事

朝日新聞の従軍慰安婦報道を検証する第三者委員会は22日、報告書をまとめた。日本軍が朝鮮人女性を強制連行したとする証言など慰安婦報道の一部は裏付けが不十分で、記事の取り消しや謝罪も遅きに失したとして「読者の信頼を裏切り、ジャーナリズムのあり方として非難されるべきだ」とした。同日、記者会見した第三者委委員長の中込秀樹弁護士は「新聞記事が社会にいかに大きな影響を与えるかを自覚すべきだ」と述べた。朝日新聞は、元山口県労務報国会下関支部動員部長、吉田清治氏(故人)が「済州島(現・韓国)で朝鮮人女性を強制連行した」などとした証言を1980年代から90年代に複数回取り上げた。報告書は「吉田証言について十分な裏付けがされた事実がうかがえない」と指摘。他紙に同証言への疑問が掲載された後も「証言の取り扱いを減らすなど消極的対応に終始し、読者の信頼を裏切った」と批判した。同社は97年と2014年の2回、慰安婦問題の検証記事を掲載した。97年は吉田証言について「真偽は確認できない」と説明するにとどまった。報告書は吉田証言に基づく軍による強制連行を前提とした記事は、この段階で訂正か取り消して謝罪すべきだったと指摘した。14年8月の検証記事では16本の記事を取り消したが謝罪はしなかった。編集幹部を含む検証チームは訂正とおわびを載せる紙面案を作成したが、木村伊量社長(当時)ら経営幹部が反対し、謝罪はしないという方針が決まったと明らかにした。この点について「経営による危機管理が先行しすぎた。『社を守る』という大義によって、編集現場の決定が翻された。このため読者や社会の納得のいく内容にならず、危機管理そのものも失敗した」と総括した。一方、同社記事が国際社会に与えた影響は限定的だったと認定した。検証記事を批判的に取り上げようとしたジャーナリスト、池上彰氏のコラム掲載見送りも「木村社長が掲載に難色を示し、編集部門が抗しきれなかった」とした。朝日新聞への提言として、記者が先入観や思い込みをただして取材にあたることや、誤報への対応策を明確にすること、経営と編集の分離をいっそう進める必要があることなどを挙げた。

12/21日経 『地球回覧 日系米国人の苦難に光』記事について

日系人の強制収容所について書いたのは山崎豊子の小説『二つの祖国』が有名です。主人公は日本人らしく戦争中の二つの国にあってどちらの立場を取るかを悩みに悩んだ末、アメリカ側に立つことにしました。極東軍事裁判の通訳モニターを務めた後に自殺しますが、心の葛藤があったのでは。しかし、中華、小中華の民族は国を平気で捨てるにも拘わらず、国籍変更した国で捨てた国のための工作活動をします。日本人の心の潔さ、真面目さがないから、迷わずに捨ててきた国のために動くのでは。所詮は金のために動く人達でしょう。そうでなければスパイです。日本の政治家にもたくさんいますが。中華、小中華の人達には『二つの祖国』の主人公についての心情は理解できないでしょう。今クリスマスに公開されるアンジェリーナー・ジョリー初監督の映画「アンブレイカブル」で、戦争中に日本軍人は「食人」した民族というふうに描かれているそうです。日本の歴史を余りに知らなさすぎです。日本人は明治維新後になって、明治天皇が初めて牛肉を食し、庶民も動物の肉を食べるようになった歴史があります。仏教の「無益な殺生はしない」教えが長い間守られて来たのだと思います。況や人間をや。中国が裏で動いている気がします。また、アメリカは人口の多い中国にこの映画を持込み、儲けるつもりでしょう。第二次大戦前、新聞王ハーストは何の根拠もない日本脅威論を書き立てました。彼は「新聞の売上げを増やすためなら、国を戦争に追い込むことも辞さない」と言われた人物で、総人口の〇・一%しかいない日本人があたかもアメリカを征服するかのように書き、世論をあおりました。また、ヘンリー・ルースは雑誌「タイム」や「ライフ」で親中・反日報道をしてアメリカ国民世論を誤った方向に導きました。プロパガンダです。放置していては世界の日本への見る目が変わっていくでしょう。本当に食人の習慣がある(現在も胎児を食うそうです)のは中国人です。黄文雄、林健良が言っています。自分たちがやってきたことを他人に転嫁するのは得意な民族ですから。慰安婦、南京虐殺と同じ構図です。外務省は何をしているのかと言いたい。頭でっかちの公家集団では何もできません。解体して、新組織を作るべきと思います。

記事

米西部ワイオミング州。日本人旅行者にも人気が高いイエローストン国立公園から東へ約100キロの場所に、窓が割れ、外壁はがれ落ちた一群の廃虚がある。「ハートマウンテン転住センター」。第 2次世界大戦中に1万人以上の日系米国人が送り込まれた強制収容所の跡地だ。

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12月上旬、現地を訪ねると、 かつて500棟近いバラック が立ち並んでいた平原には雪が舞っていた。近くにそびえるハートマウンテン(標高2476メートル)から吹き下ろす風が冷たく肌を突き刺す。

72年前、行き先も告げられずに列車に乗せられ、3日以上かけて連れてこられた日系人の多くは温暖なカリフォルニア州の住民だった。「持てるだけ」しか携行を許されなかった手荷物の中に、氷点下20度まで下がる冬の寒さをしのぐコートはなかった。「安全保障の脅威になる」 とい口実のもと、太平洋沿岸部からハートマウンテンを含む全米11カ所の強制収容所に連行された日系人は12万人 あまり。大半は米国で生まれ、市民権を持ちながらも、戦争によって「敵」と色分けされた二世たちだった。「何人も正当な法の手続きによらないで、生命、自由または財産を奪われることはない」。跡地にオープンした資料館の入り口には、合衆国憲法修正5条が大きく刻まれている。88年8月、レー ガン大統領は日系人強制収容の過ちを認め、米政府として初めて公式に謝罪。生存者に補償するとともに、強制収容の歴史を学校で教えるための基金も設立した。だが、現実には強制収容の歴史を知る米国人は「驚くほど少ない」と、資料館を運営するハートマウンテン•ワイオミング財団のシャーリー• ヒグチ理事長は嘆く。多くの学校は米国史の暗部にあえて触れず、ヒグチ氏の両親を含む収容者自身も、つらい過去を封印し、多くを語ってこなかったためだという。01年9月11日の米同時テロでは、国際テロ組織アルカイダ対する憎悪が米国内のイスラム系住民に向けられ、最近もミズーリ州で丸腰の黒人 青年が白人警官に射殺された。人種間の不信に根ざした悲劇は後を絶たない。そんな中、「日系人」と言うだけで住み慣れた土地を追われ、自由を奪われた強制収容の歴史に光を当て、そこから学ぼうという草の根の取り組みが広がっている。

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11月22日、カリフォルニア州サンノゼ市で、ドキュメンタリー映画「ハートマウンテンの遺産」の上映会が開かれた。「テレビ界のア力デミ— 賞」と呼ばれエミ—賞を今年受賞した同作品は、収容者とその親族の証言などを基に、収容所での生活や終戦後に待ち受けていた人種差別の実態を記録。厳しい環境の中でも尊厳を失わず、ひた向きに生きた人々の様子を鮮やかに描写している。「人種に基づいて人を判断し、差別するのは正しいことだという考え方は今も根強い。残念だが、それがこの国の現実だ」。プロデューザーの一人で、自らも日系人のデイビッド・オノ氏はいう。「だからこそ、この史実をもっと 広めなければならない」。戦後70年の節目となる来年 2月19日には、首都ワシントンで上映会を開く。2月19日 は日系人強制収容への道を開いた大統領令に、ルーズベルト大統領が署名した日でもある。「米国人はもちろん、日本の人々にも強制収容の歴史を知ってほしい。日本にとっても縁のない話ではないのだから」。ヒグチ氏の言葉が、ドスンと腹に響いた。 (シリコンパレー=小川義也)

12/21日経文化欄 芳賀徹氏『渡辺崋山を想う』について

芳賀氏は本記事で言いたかったのは『今の日本は「平和ボケ」しているが真のエリートが出て、日本海・東支那海波高しの状況を変えてほしい。明治維新の達成の源流が徳川の教育にあったように、平成以後の危機も昭和の教育(戦後民主主義教育のことではない)こそが解決できるのでは』と言うことでは。「戦争反対」と念仏を唱えていても、遅れてきた帝国主義者・中国の欲望は果てしなく、日本を韓国同様属国にするまで侵略し続けるでしょう。真のエリートが出てほしいと願っています。目先の金儲けしか考えない財界人はいくら財界・会社で地位が高くても、エリートとは言いません。老後のことを考え、天下り先を増やすことしか考えないような東大卒に代表される官僚も真のエリートとは言いません。崋山のように、国のために命を賭けて戦う人こそ真のエリートです。松陰の言った「草莽崛起」こそ、我々が目指す道です。

記事

はが•とおる 比較文学研究者。1931年山形県生まれ。東大教養卒。著書に「渡辺崋山」 「平資源内」「絵画の領分」「詩歌の森へ」など。静岡県立美術館長。

徳川家康(一五四三〜一六一六)が没して再来年は四百年。それを記念してさまざまな行事がすでに動き始めている。私 たちの美術館でも、ニ○一六年秋には「徳川文明展」を催すべく準備を始めたところだ。家康一人の顕賞ではなく、徳川体制の下に工夫され、築かれ、維持されて享受された「徳川の平和(パクス•トクガワーナ)」二百五十年(一六○三~一八五三)の意味を問い直そうという試みである。

□ □ □その文明展に入れられるかどうかはまだ不明だが、いま私が思い浮かべるのは、むしろ「徳川の平和」の終焉を予感して苦悩した一人の武士知識人、渡辺崋山(一七九三 〜一八四一)のなつかしい姿である。崋山が三宅藩の年寄役に任じられ、海防事務掛をも兼ねることになって、久しぶりに三河の田原に帰った天保四年(一八三三)のことだった。 四月半ば、彼は領内検分の小旅行に出て、渥美半島の突端の伊良湖岬に立った。沖合一里ほどに神島が見える。まるで外洋に向かう巡洋艦のように颯爽たる姿の、いまも美しい小島である。三島由紀夫が小説『潮騒』の舞台に選んだことでも有名になった。領外ではあっても、崋山は海防掛としてこの島に渡ってみた。強い潮流に難儀しやっとの思いで島に上ると、そこはまるで別天地だった。彼は部下二人とともに網元の家の世話になったが、珍客到来というので村の漁民男女が次々に集まってくるのだ。崋山はこの時の旅日記『参海雑志』に「かの桃源に入りし漁夫もかくやと思い出しなり」と書いた。そして翌日早朝、海岸散策に出たときの記録—-「およそ此の島の人、男は素朴にて偽な<、女はいとこころやさしくて ……なかなかめで度ぞ見えし。やがてたばこくゆらしつつ海の朝日の出るを見んと、東の磯に立ち出づ。とく起きて磯草乾せる女に案内させて、しろき巌の家よりも大きやかなるが波打際に從えでたるによぢのぼりてながむる。はてしなき海原の大空につらなりて、横雲の赤く紫にたなびきたるさま、波のみどり深く黒みたる、四人の称る大東洋にして、かの亜墨利加とかいへるわたりもこの海原よりつらなれりと思ふに、まことに世の外の思ひを生じ……」

十九世紀日本のもっともすぐれた武士知識人にして武人画家であった人、渡辺崋山の面目躍如たる一節ではないか。こ の人のなかに宿されていた感受性のゆたかさ、心の優しさ、そして思想のひろがりが、おのずからここにあらわれている。崋山ほど、名もなき民衆の健気な日々の営みとその表情にこまやかな親愛の情を寄せていた武人は、他にめったにいなかった(彼の若き日の素描集『一掃百態』は『北斎漫画』にも立ちまさる)。 その一方で崋山はまた、たばこをくゆらしながらでも、太平洋を眺めればその遠いかなたのアメリ力に思いを馳せずにはいられない人だったのである。

□ □ □

彼はこの藩領巡察の前の年から、小関一英、高野長英の二人を相手にして本格的に西洋研究を始めていた。二人とも長崎でシーボルトに学んだ当時最優秀の洋学者であった。江戸の三宅藩邸内でつづけたこの研究会は、尚歯会と呼ばれ、やがて幕臣の川路聖謨や江川英龍(太郎左衛門)ら開明派の俊秀たちもこれに加わってくる。尚歯会で蘭書を読み内外の情報を集めて研究すればするほど、西洋列強の露骨なアジア進出の形跡は明らかになり、日本国の内憂外患の現状への彼らの焦慮はつのっていた。崋山はその点でことのほか鋭敏だった。彼が神島のみならず江戸で日々に接する民衆は、みな今なお「徳川の平和」の永続を信じて、つつましくも懸命に立ち働いている。「四海波静か」の世界が「波高し」に急変しつつあることを彼らはまだよく知らずにいる。それならば彼ら名もなき民の平穏と小さな幸福を守りつづけてやることこそ、エリートとして武士知識人の現今最大の責務ではないか。「徳川の平和」はついに終章に入りつつあることを崋山はすでに明らかに自覚 していた。

□ □ □

彼が「慎機論」を書き「西洋事情御答書」を書いて、激越な言葉で徳川幕政下の為政者たちの平和ボケ批判を敢行するのは、あの神島渡海からわずか五、六年後のことだ った。その言動が蛮社の獄に直結して、死刑は免れたが田原蟄居に処せられるのが天保十一年(一八四〇)の正月。その翌年十月十一日の夜、崋山は満四十八歳で自刃する。 太平洋の波音の遠く聞こえるなかで、愛弟子の画人椿椿山にあてて書かれた遺書は、あまりにも悲痛である。「数年の後一変も仕り候はば、悲しむ人もこれあるべきや。極秘永訣此の如くに候。」—– 中国大陸にアへン戦争はすでに始まっていた。ぺリーの黒船来航の十二年前のことだった。しかし考えてみれば、この崋山らのような卓越した武士知識人、藩をこ えて新しい公への責務を強く自覚する武士エリ—卜たちを生み、教育し、 活躍させたのも、徳川の日本にほかならなかった。そのことを私たちは 忘れるわけにいかない。徳川日本の文明は、みずから蓄えた智恵と勇気をもって、新しい国際関係の圧力に対抗し、開国し、自己変革のための近代化策を次々に講じて、明治維新のなかに摂取されていった。その御一新の当の実行者たちも、実はみな「徳川の平和」の充溢のなかで学び、能えられて、崋山の遺託した「数年の後(の)一変」に身を艇しようとしたエリー卜たちだったのである。

12/18日経ビジネスオンライン『見事に空回りする朴槿恵政権 「分水嶺の韓国」を木村幹教授と読む(2)』記事について

本日(12/21)日経のコラム「春秋」に韓国のナッツ姫を揶揄する記事が載っていました。彼らマスコミは権力者と戦うフリをしながら「弱いもの」を叩くことしかできない卑怯者の集団です。世界で「慰安婦像」を建立する運動が展開しようとしているのに彼らは何も言いません。朝日新聞が誤りを認めたのに、それを日本人として世界に伝道していくのが彼らの使命だと思います。「広義の強制性」なんて事後法で裁くようなもの。分かっているのにやらない。「慰安婦」報道がされた時点で、秦郁彦教授が済州島で実地に調査したのは1992年3月です。その時点で吉田清治の話は嘘と気づいたはずです。「不作為」の罪たるや大きなものがあります。これによる国益毀損は計り知れません。石川久遠氏によればマスコミは在日に牛耳られているようです。数の上で圧倒的に多い日本人が上に行けない会社というのはおかしくありませんか?不買運動、TVは見ない運動をしないとダメかも。でも読売が朝日新聞の誤報を英文で伝えたことをBBCのglobal newsで事実を淡々と伝えていました。6割くらいの理解ですが、おかしなことは言っていなかったと思います。こういう地道な取り組みが重要。国民はもっと国際問題、国内政治に関心をもたないと、世界で嘘を吹きまくられるし、騙されます。何せ「騙す人が賢く、騙される人が馬鹿」という民族を相手にしているのですから。

石川久遠氏 在日の恐ろしいマスコミ支配 在日枠について

 1)1960年代~

テレビ放送が始まってまもなくの頃、放送中のちょっとした言葉づかいの問題 に対して、 朝鮮総連からテレビ局及び経営幹部の自宅に対して脅迫に近い抗議行動が繰り返された。(例えば「朝鮮民主人民共和国」を「北朝鮮」と言うと猛抗議を受けた)どのテレビ局も「北朝鮮…朝鮮民主人民共和国」という不自然な言い方をしていた。抗議行動に対する「手打ち」として、採用枠に「在日枠」が密かに設けられた。総連幹部の子弟を中心に入社は無試験、形式的な面接だけでの採用が毎年続いた。在日枠の密約を所轄官庁に対して内密にしてもらうよう局側から総連に「お願い」をして、更に弱みを握られるなど、素人のような甘い対応で身動きがとれなくなっていった。

 2)1970年代~

政府を叩きさえすれば世論が喝采する狂った時代。在日社員の「反日番組」を「権力に対するペンの戦い」「調査報道」と勘違いした経営幹部が、社内で在日を積極登用するようになる。「日本人社員と在日社員に昇進の差別があってはならない」 などと理想論を述べたのは良かったが、結果を見れば、課長、部長と昇進してきた社員は、帰化した在日二世ばかりで、理不尽なまでに在日を優遇する逆差別人事が徹底された。 異を唱えた日本人社員は徹底的にマークされ、営業や総務など番組制作の第一線から退けられる。

 3)1980年代~90年代

昇進した在日社員が主要な報道番組のプロデューサーや報道局長など、決定的なポストを占めるようになる。サヨク週刊誌「週刊金曜日」の在日編集長(故 筑紫哲也)をキャスターに迎えた「ニュース23」の番組が学生時代に学生運動に没頭した団塊の世代の視聴者の支持により高い視聴率を得る。1989年の参議院議員選挙では「土井社会党」の「マドンナブーム」を演出し「消費税反対キャンペーン」で徹底的に援護した。宇野総理のスキャンダルを連日報道し、社会党党首を徹底して「おたかさん」と呼ぶなど、あからさまな社会党支持を打ち出し。社会党を地すべり的勝利に導いた。「山が動いた」などと扇情的な報道もした。

 4)1990年代~2000年代

偏向報道、捏造報道、取材情報を特定の勢力に提供するなど、報道機関としての存在を否定されかねない不祥事が続発した。TBSと同様に「左翼的」と呼ばれる朝日新聞、系列のテレビ朝日が、どちらかといえば「北京の意」を汲んだ報道が多く、その手法が良くも悪くも緻密で計算高いのに対して、TBSの場合、この時期に発生した数多くのトラブルは、殆んど全てが朝鮮半島絡みであった。不祥事の内容も、テロを実行した朝鮮カルトの手伝いをしたオウム事件を筆頭に、粗雑で行き当たりばったりの取材と報道振りであった。バブル崩壊以降の景気低迷で、ただでさえ厳しい広告収入が、「サラ金」と「パチンコ」に大きく依存。正に、在日朝鮮人の資金で、在日朝鮮人が運営しているのがTBSテレビであった。2005年以降は、もっと露骨なカタチで在日のスターを「作り上げる」ような番組制作が為される。「在日は武器」= 在日である事自体が入社試験の強力な強みとなった。独島は韓国の領土だと言わんばかりに竹島の韓国名の独島と面接で発言し入社できる日本企業が在日企業である。TBSは違法入社した在日が幹部になり、コネで在日を入社させている。(毎日新聞も同様)公正と中立。その社会的立場を遵守すべきメディアがおかしい。その中でも、TBS(毎日系)の報道が際立って偏向している。まるで、中韓の出張メディアのようだ。偏向放送が増える理由は、その制作に携わる人物に偏向した輩が増えているからだ。その中に、創価学会の隠れ信者や、日本国籍を持たない恨みの民族が増殖する。まともな放送が出来なくなるはずだ。TBSの人気アナウンサー安住紳一郎は生放送中「うちはハングルが読めないと出世できません。僕は読めませんから…」と自嘲気味に不満を漏らした。作為的な放送をもって刻々と社会に逆貢献する。メディアに携わる者が持つべき基本姿勢は無い。ひたすら自らが所属する組織の権益、利害を守る為の「要員」でしかない。かねてより、TBSに「在日採用枠」がある、との情報が漏れ聞こえていた。それは、表向きの社内人事制度の中の「採用枠」というよりは、「コネ」「縁故採用」に近い「同志、同胞の増殖」の為の見えざる流れである。つまり「枠」ならば人数制限があるが、「見えざる流れ」には制限がない。こうした流れを放置し続ければ、この先、臨界点を超えた時点で、危険な宗教の信者や国籍を持たない「社員」によって、TBSが占拠されてしまいかねない。採用側の人物も彼らの同胞であろう。TBSと同様の傾向は、他のメディアにも見られる。忌むべき事態である。ここは日本国である。企業経営者や責任者がこの流れを容認すること自体、真正の日本人学生の就職活動の妨げであり、日本国籍を持つ日本人に対する明らかな「差別」である。

各界に広がる在日民による侵蝕

半島勢力を日本国内へと誘導する。この流れの背景には、あの公明党らが制定に躍起になった「個人情報保護法」がある。この個人情報保護法の制定により、企業の採用活動には暗幕が降ろされる事になった。出自や宗教、思想信条など、それらの事項を採用判断に取り込めなくなったのである。マスコミへの脅迫や嫌がらせ、在日のパチンコ、ロッテ、サラ金などのスポンサーの圧力、朝鮮系カルト創価学会のNHK、民放支配による恐ろしい情報操作、これだけの「在日、韓国、北朝鮮勢力」が捏造した歴史が、テレビでも、新聞でも、学校の教科書でも、普通に掲載されるという恐ろしい朝鮮人の邪悪な権力が蔓延っている。在日スポンサーの圧力と朝鮮総連の脅迫、嫌がらせの事実は全く報道されない。 在日枠が事実だと実感させ、唖然としたのはNHKのEテレのバラエティである。「自己主張できない日本の草食系男子はモテず、自己主張できる中国、韓国人の肉食系男子が持てる」と言う日本人を侮辱するバラエティ番組内容だ。もう在日朝鮮人によりNHKが乗っ取られているのである。

記事

「朴槿恵(パク・クンヘ)政権はなぜ、空回りするのか」――。木村幹・神戸大学大学院教授が「指導力」から解き明かす(司会は坂巻正伸・日経ビジネス副編集長)。

鈴置:総選挙で自民党が勝ちました。韓国メディアは露骨に不快感を表明しています。いろいろ理屈をつけていますが、要は「極右のアベが首相を続ける。『慰安婦』で日本に頭を下げさせるなんて当分、不可能になった」との不満からでしょう。

日本がうらやましい

木村:もう1つ、この総選挙に関しては興味深い反応がありました。韓国人、ことに何らかの形で政治に関わっている一部の人たちから「必要な時に国会解散・総選挙によって民意を問える日本がうらやましい」との声が聞こえてきたことです。 こういった発言の背景にあるのは、政治や社会の閉塞感が高まっているのに、自らの政治的意思を示すことで打破できない、とのいら立ちだと思います。韓国の大統領は法律違反などの理由で弾劾されない限り、5年間の任期を全うします。また、大統領には任期4年の国会を解散する権利はありません。

87年体制の崩壊

鈴置:閉塞感が高まってきた2014年秋には、憲法改正論が韓国紙に登場しました。「87年体制の終焉」という言葉も登場しました。日本の政治用語「55年体制」をもじったものかもしれません。日本から独立した韓国は、1948年に米国の指導の下、民主主義国家の形をとって出発しました。でも、2度にわたる軍人のクーデターで権威主義的な体制――いわゆる軍事独裁が30年近くも続きました。言論の自由は大きく制限されました。拷問も当たり前のように行われるなど、民主主義とはほど遠い状況でした。ちなみに1961年に1回目のクーデターを主導したのは、朴槿恵大統領の父親である朴正煕(パク・チョンヒ)少将です。朴正煕政権時代の1972年以降、大統領は与党に有利な間接選挙で選ばれるようになりました。大統領がちゃんとした直接選挙で選ばれるようになったのは、1987年の民主化からです。そもそも、民主化運動を進めた側の最大の要求が「直選制」だったのです。民主化後、初の選挙では保守が政権を維持しました。しかし、10年後の1997年の選挙で初めて革新が勝ち、いわゆる政権交代も実現しました。韓国人は第2次大戦後に独立した国の中で、経済成長だけではなく民主化にも成功したまれな例、と自らを誇るようになりました。しかし最近、閉塞感が社会に広がると、憲法を改正して今の政治システムを変えねばならぬ、との主張が出始めたのです。

憲法への八つ当たり

木村:確かに最近、改憲論が盛んに語られています。でも、注意しなければならないのは、彼らがそれを実現すべき目標として真剣に語っているようには見えないことです。本気で憲法を変える気はない。しかし、現状への不満が高まる中、その矛先をとりあえず憲法に向けているように思えます。韓国人の多くは、民主化以降27年間も続いている「87年体制」に愛着もあるし、誇りもある。今の改憲論は、閉塞感や不安感のはけ口――現憲法への言わば「八つ当たり」に過ぎない気がします。

鈴置:韓国の保守運動の指導者、趙甲済(チョ・カプチェ)氏が面白い指摘をしています。木村先生と同様に、改憲論を「八つ当たり」と見ています。TV朝鮮で語ったもので、趙甲済ドットコムの「憲法否定勢力が改憲を語ることができるのか」(10月22日、韓国語)で読めます。関連する部分は以下です。

父よりも権威主義的

•改憲論議の核心は「大統領の1回限りの5年の任期に問題がある」ということだろうが、私は現憲法は成功したと見る。大韓民国の政治に問題があるとするなら、制度の問題ではなく運用する人々の問題だ。

•朴正煕元大統領はポピュリストではなかった。一方、朴槿恵大統領はポピュリスト的な側面が強い。だから、父親の朴正煕元大統領よりもはるかに選挙に強く「選挙の女王」と呼ばれるのだ。

•朴正煕元大統領は強く権威主義的に見えたが、内面は柔軟な人だった。これに対し朴槿恵大統領は表は柔らかいが、内は相当に権威主義的だ。

趙甲済氏も今の改憲論は、形を変えた朴槿恵批判と見ています。なお、趙甲済氏自身も大統領を「ポピュリスト」と批判的に見ている部分があることを隠していません。確かに、多くの改憲論者が「1回限り5年間の任期」を「4年間で再選可」にしようと主張します。その理由は「『5年で1回』は有能な人には短すぎる。無能な人には長すぎる」です。ここで、朴槿恵大統領が前者と見なされていないのは確実です。議院内閣制への改憲論も語られます。機動的に指導者を交代させられることと、強すぎる大統領を阻止できることへの期待です。朴槿恵大統領の統治能力への不信と、権威主義的なやり方に反発が高まっていることが背景にあります。

保守派に危機感

–朴槿恵大統領が父親よりも権威主義的、とは厳しい評価ですね。

鈴置:趙甲済氏は必ずしも権威主義を否定していません。ただ、やるならやり方がある、と言っています。以下は彼の意見の続きです。

•朴正煕元大統領は意思決定の過程で実務者の意見を重視した。権威主義的な政府が効率的であるためには、正確な情報を持たねばならないからだ。

•朴槿恵大統領は実務者に会いもしないようだ。それでは本当の情報は得られない。権威主義的な統治で情報判断が乱れれば、事故を起こす。

木村:現在の韓国の閉塞状況を理解するための、最も重要なポイントがここにあります。保守的な韓国人でさえも、というか保守派こそが、かつては自らが期待した朴槿恵大統領のリーダーシップに懸念を抱くようになっているのです。

–「保守派こそが懸念を抱く」のですか?

「原則固守」でこじれる

木村:まず、一部の保守派には、朴槿恵大統領が失敗すれば次の選挙で進歩派の野党に政権をとられる、との心配があります。 だからこそ「もうちょっと上手にやってほしい」とハラハラして大統領を見守っている感じです。実際、この政権の運営はかなり危くなっています。現在の状況をもたらしたのは、朴槿恵大統領の柔軟さを欠いた政治手法です。分かりやすく言えば、大統領の手法は1つしかない。それは「当初に立てた原理原則を最後まで貫く」です。相手には決して妥協せず徹頭徹尾、自らの要求を押し通す。これは一見、格好いいのですが、政治には相手がありますから成功する保証はありません。むしろ、原理原則を貫くため、相手に拒否されてしまうことの方が多い。すると朴槿恵大統領は、さらに相手に対する攻撃を強めることで原理原則をのませようとします。この結果、時に問題はますますこじれてしまう。

韓国こそが孤立

鈴置:対日外交がその典型ですね。「慰安婦で日本が譲歩しない限り、日本の首相とは会わない」と強気に出た。安倍晋三首相は「そこまで卑屈になってまで首脳会談に応じるつもりはない」と放っておいた。すると朴槿恵大統領は世界中で日本の悪口を言って歩いた。こうなると、少し前までなら「韓国の言い分も聞くべきだ」と言い出したであろう日本の“リベラル”も声を出せない。結果的に日韓関係はどんどん悪化しました。朴槿恵大統領にとって、日本と首脳会談をしなくても別段困りません。むしろ、中国の習近平主席が安倍首相と会う前に日韓首脳会談はしにくかったので――中国から睨まれますから――日本との関係悪化は好都合でした。ただ、日本が米国との良好な関係を維持する一方、中国や北朝鮮との関係改善に動いたので「日本を孤立させて国民の喝采を得る」作戦に齟齬が出ました。朴槿恵政権の「離米従中外交」に米国が不快感を示すと、韓国紙は「日本ではなく、我が国が孤立してしまったのではないか」と批判するに至りました。

「ギロチンにかける」

木村:内政も同じです。旅客船「セウォル号」の沈没事件でも、初めから原理原則を立てて強い姿勢に出ました。この場合、攻撃対象は身内とも言える官僚でした。朴槿恵大統領は「悪いのは救護活動の責を負った海洋警察だ」と最初から決めつけ、事実関係の解明の前にその解体を宣言してしまった。また、捜査前から関係者の処罰まで約束してしまいました。

鈴置:海洋警察庁は日本の海上保安庁に相当します。事件発生直後は世論も、300人以上の救助に失敗した海洋警察に非難を浴びせました。ただ韓国人が冷静さを取り戻すと、海洋警察も可能な限り努力はしていたし、そもそも事件の“主犯”ではないことに気づいたのです。でも、大統領の「懲罰宣言」により、海洋警察の組織は改編されました。これにより、海の安全性は低下するとの危惧が高まっています。朴槿恵政権の経済政策の柱である規制緩和問題でも、大統領はたびたび「規制をギロチンにかける」などの強い表現を使って官僚を脅します。しかし、大統領が期待するほどの規制緩和策は役所から出てこない。

木村:ある段階以降の朴槿恵政権は、多くの問題で「きれいに空回り」しています。少し変な表現ですけれど。

鈴置:まさに、その感じですね。「見事なほどの空回り」です。

号令政治の限界

木村:規制緩和だけではありません。韓国の浮沈を左右する、少子高齢化問題への備えもほぼ手つかずの状態です。短期の景気対策も空回りしているように見えます。国民が一番関心を寄せる経済面で効果的な策を打ち出せていない、と言わざるを得ません。こういった状況がもたらされる原因の1つは、問題を指摘しては激しい言葉で号令をかけるだけ、という大統領のリーダーシップにあります。大統領からの指示の多くは、関係者に対する厳しい糾弾の響きを持つ一方で、常に抽象的なものにとどまっています。そこには具体的にどう問題を解決すべきか、との指示は含まれていない。つまり、官僚は「何とかしろ」と難問を押し付けられただけになります。そして、うまく対処できなければ責任を問われ、長官や多くの官僚の首が飛ぶ……。

–上司にはしたくないタイプですね。

鈴置:韓国の役人だってそう思っています。最近は、景気低迷の責任も「規制にしがみつく役人のせい」と官僚に押し付けられつつあります。大統領に本気で協力する気にはならないでしょう。官僚は「目立たないよう、頭を下げて動かないのが得策。あと、3年の我慢だ」と考えているのです。

木村:それを見た大統領はますます苛立ち「見事なほどの空回り」に拍車がかかっているのが現状です。そしてこの特異さは、政権発足時からのものでした。官僚たちが大統領批判を――もちろん小さな声で、ですが――口にしていたのです。 官僚は政治的指導者を守る立場にありますから、普通、私のような外国人の前でむやみに大統領の悪口などは言わないものですが……。

朱子学に生きる韓国人

–でも、朴槿恵大統領への国民の支持率は高いと聞いています。

木村:政権発足から2年近く経ったつい最近まで、40%以上の支持率を維持してきました。過去の政権と比べても異例に高い数字です。この支持率については、実に興味深いデータがあります。韓国ギャロップの12月第1週の調査によると、支持する理由の1位は何と「大統領は熱心に努力しているから」なのです。「何かを具体的にうまくやっているから」ではないのです。

–しかし、結果が出なければいくら一生懸命やっても意味がない、と韓国人は考えないのでしょうか。

木村:韓国人独特の朱子学的な発想が影響しているように思えます。彼らからすれば「正しいことを行えば、必ず良い結果が付いてくるもの」です。また「もしそうならないのなら、誰か悪い人が邪魔しているのだ」ということになります。いずれにしても、支持者は「朴槿恵大統領は悪くない」と考えるのです。そして朴槿恵大統領こそが、このような信念の持ち主だということが重要です。それ故に「正しい原則」――あくまで大統領が信じる「正しさ」なのですが――を強力に主張し、日本や北朝鮮、官僚の“誤った考え”を正し続けるのです。このように「正義」を全面に掲げる朴槿恵大統領は、韓国人の心性を凝縮した存在と言えます。

司馬遼太郎もうんざり

鈴置:朱子学は正邪――正しいことと間違ったこと――を峻別することが基本です。司馬遼太郎は『街道をゆく〈28〉耽羅紀行』で、その危うさを看破しています。以下は同書・文庫版の91ページからの引用です。

•朱子学がお得意とする大義名分論というのは、何が正で何が邪かということを論議することだが、こういう神学論争は年代を経てゆくと、正の幅がせまく鋭くなり、ついには針の先端の面積ほどもなくなってしまう。その面積以外は、邪なのである。 要は朱子学を奉じる人は、自分だけが正しく他人は絶対に間違っていると確信してしまうのです。朝鮮朝は朱子学を統治理念としました。21世紀のこの政権も再び国教に採用した感があります。

–しかし、いくら主観的に正しかろうが、現実の政治がうまくいっていないのに、国民が大統領を支持するものでしょうか。

正しく生きる運動

木村:内心、朴槿恵大統領を困ったものだと考えている韓国人も多いだろうと思います。ただ、大統領は「間違ったこと」を言っているわけではない。となると、大統領を表だって批判しにくいわけです、朱子学的には。最近、韓国の街角のあちこちで「正しく生きよう(パルゲ・サルジャ)」という標語を見かけます。「正しく生きる運動」というのがあって、そこが掲げているのでしょう。 以前からもあった運動のようですが今、広がりつつあるのはそれなりに理由があるのだと思います。社会で「閉塞感」が高まる。でも、解決策が見当たらない。そこで、韓国の人々はせめて「正しく生きよう」と言い合い始めたように思われます。「正しく生きれば、きっと良いことがあるに違いない」というわけです。でも、「正しく生きる」方法が提示されない以上、この標語を見た人は困ってしまうのではないでしょうか。日本でも「交通安全都市宣言」などのスローガンが掲げられます。もう少し具体的な呼びかけをしないと、効果がないのではと首を傾げたくなります。ただ、それと比べても韓国の「正しく生きよう」は抽象論といいますか、観念論の究極を行っています。だって「何が正しい生き方か」を明確に説明できる人などいませんからね。

–なるほど、韓国がいまだに観念論的な――朱子学国家であることがよく分かりました。

鈴置:韓国紙の日本関連のコラムで、しばしば「日本人を変えねばならない」という主張を見かけます。もちろん日本人は「正しくない存在である」という前提があっての話です。「正しく生きる運動」に韓国が本腰を入れたとなると、日本人は今後ますます「悪い存在」として韓国人から叱られることを覚悟せねばなりません。

十常侍事件

–大統領側近の国政介入疑惑なるものが韓国を揺さぶっています。

鈴置:ええ。韓国紙が「側近の専横」を一斉に批判しました。事件の名称は新聞によってまちまちです。仮に「十常侍事件」と呼んでおきます。朴槿恵大統領の昔からの側近が権勢を振るい、権限外の政策と人事を思うがまま仕切っている。政権No.2の大統領秘書室長の追放まで計画した――という話を、世界日報という新聞が11月28日に報じたのです。側近ら――議員時代からの秘書軍団ですが――のうち3人は、儀典担当者などの肩書で青瓦台(大統領府)に入っています。一番の大物秘書は政権には入りませんでしたが、この人が裏で3人に指示を出している、とも同紙は報じました。 単なる噂話ではありません。青瓦台で公務員の規律を監察する警察出身の職員が、上部に報告した公式文書を基に書いた記事だったのです。韓国は大騒ぎになりました。さらに文化体育観光部の前長官が「朴槿恵大統領の指示で部下の局長と課長を更迭した。大統領の元大物秘書の私怨からだった」とメディアに暴露しました。「(自分に対し)朴槿恵大統領が手帳を見ながら『悪い人たちだそうですね』と局長らの名前を挙げた」との、極めて具体的な証言でした。取り巻きが好き勝手にやっているだけでなく、大統領まで操っている――と元長官は示唆したのです。前の長官が、少し前まで仕えていた現職の大統領に真っ向から歯向かうのも前代未聞です。韓国社会はこれにも大きなショックを受けました。

大統領の目をふさぐ側近

–「十常侍」とは?

鈴置:後漢の末期に、最後の皇帝となった幼い霊帝を操った10人の宦官のことです。青瓦台の監察担当者が書いた報告書の中で、朴槿恵大統領の側近を指してこの言葉が使われました。「大統領は幼い霊帝」と見なされたわけでもあります。左派系紙はもちろん保守系紙も「側近3人組」の排除を大統領に求めました。与党内部にもそれを求める声が強まっていると各紙は報じています。保守も左派もメディアは「3人組」に加え、秘書室長の更迭も主張しました。「政権No.2として混乱の責任をとれ」との理由です。しかし本当は「3人組」と対立しているとされるこの秘書室長こそが大統領の目と耳をふさぐ問題の人物であると、メディアから見なされていたからです。

–政権はどう対応しているのですか。

記者を相次ぎ起訴

鈴置:大統領自らが「専横疑惑」を全面的に否定しました。問題となった青瓦台の報告書は、街の噂を基にしたいいかげんなものだったとも語りました。検察は、その報告書を外部に漏らした疑いで警察官を相次いで逮捕しました。うち1人は冤罪を主張し、自殺しました。さらに検察は大統領の実弟の朴志晩(パク・ジマン)氏を出国停止処分としました。この報告書の作成と流出に関わっていたとの見方が浮上したからです。それに加え、政権側は事件をすっぱ抜いた世界日報や、続報を書いた東亜日報の記者らを起訴しました。朴槿恵大統領は正面突破の道を選んだのです。メディアは声を揃えて「政権2年目で早くもレイムダック(死に体)だ」と総攻撃に出ました。もう、全面戦争です。趙甲済氏が懸念していた「事故」が、まさに起こったのです。

頭痛の種の実弟

木村:ポイントは大統領の親族に飛び火するか否かです。事件の背後には大統領の実弟の朴志晩氏と、大統領の元大物秘書氏の間の権力闘争があるとの観測が韓国のメディアに流れています。自らの大統領への接近を実力者である元大物秘書氏が阻んでいる、と朴志晩氏が抗議の声を挙げた結果、この事件が起きたというのです。

–宮廷内で陰謀をめぐらせ、暗闘する王族と家臣団――。李朝ドラマみたいですね。

鈴置:韓国で大統領のレイムダック化は、親族問題から始まることが多い。

木村:その通りです。麻薬中毒問題で世間を騒がせたことのある朴志晩氏は悪い意味で有名人。朴槿恵大統領にとっても頭痛の種でした。そんな彼が今回の事件を巡り検察の聴取に応じました。場合によっては、公衆の面前に立って大統領の元大物秘書を糾弾するかもしれない……。そうなれば韓国のメディアにとってこれほど「面白い」ニュースはないでしょう。

–真相は?

鈴置:関係者の主張は大きく食い違います。現時点では誰の言い分が本当なのか、分かりません。

手帳で人事

木村:1つ言えるのはこの事件で、朴槿恵大統領のリーダーシップの特徴というか、弱点が一気に露呈したように見えることです。自分と近い人しか信用せず、彼らだけを重用するという大統領の手法への不満が噴出した形です。ここで言う大統領に「近い人」とは、モノの考え方が近いという意味もありますが、大統領が実際に会ったことのある人、という意味でもあります。 朴槿恵大統領がいつも手帳を持ち歩き、細かくメモを取る――という話は韓国では有名です。「近い人」は、大統領が実際に面談し、好意的な評価を下してメモした人です。でも当然、大統領が直接会える人の数は限られます。この結果、政権の意思決定は極めて狭い、それも大統領と同じ価値観を有する、同質のサークルの中で行われるようになりました。また、大統領は執務の際に実務担当者には直接会わず、下から上がってくるレポートだけ読んで判断を下すことも多いようです。これでは青瓦台のスタッフが、大統領の機嫌を損ねるようなレポートを上げることは難しい。結果として大統領が喜びそうなレポートだけが執務室に並び、それを書く人が要職に就くことになります。

鈴置:趙甲済氏も「“事故”は大統領に正確な情報が上がらないことから起こるだろう」と懸念していました。

修正効かず、猪突猛進

木村:日本でも知られ始めた話ですが、会議では大統領が語る。長官以下はそれをメモするだけ。メモを取らなかった人は大統領から叱責を受ける……。

鈴置:北朝鮮の高官も、最高指導者の前でメモを取らないと生きていけません。

木村:最近では、大学の講義でもこうした一方的なやり方は「よろしくない」とされます。ましてや、一国の政治がこうした大統領の「講義」だけで動かされてよいはずがない。与党の代表ともほとんど会わない。記者会見もほとんどしない。しても質問には応じない。軌道修正すべき時に、それを教えて貰える機会がないのです。この結果、対日政策でも対北朝鮮政策も当初の方針を変更できず、いたずらに突っ走るだけになっています。今回の事件でも、大統領はメディアや野党との全面対決を選びました。朴槿恵大統領は「原理原則を重視する」発想の持ち主ですから、軌道修正がしにくい。それに加え、この「率直な意見具申が上がらない」仕組みもあって、事態が悪化したように思えます。

大統領への諫言

鈴置:確かに「否定声明を出すだけにしておけばよかった。検察への捜査指示や、新聞記者の告訴によって却って問題を大きくしてしまった」と語る韓国の識者が多いのです。 今回の朴槿恵政権に対する批判は「側近の専横」から始まりました。しかし韓国指導層の本心は、これを機に「大統領の独走体質」を諌めたいということでしょう。各紙の社説からその思いが伝わってきます。以下は朝鮮日報の社説「大統領と前長官の衝突 “国政乱脈”どこまで」(韓国版、12月6日)のポイントです。

•この政権になって、人事で濡れ衣を着せられた高官たちが相次ぐ。「取り巻きにやられた」という人が多い。政権発足2年にもならないのに、人事の不満が噴き出すのは初めてのことだ。

•濡れ衣との主張のすべてが本当かは分からない。しかし、政府の中核にいた人々が声を同じくして指摘する問題が、人事の不満と大統領側近の国政介入である。

•これを見ると、朴槿恵政権の最も深刻な病がどこにあるか、推し量ることができるのだ。

急落した支持率

木村:「十常侍事件」により、大統領の人気にも影響が出始めました。世論調査機関「リアルメーター」によると、12月第2週の大統領の支持率は39.7%。わずか2週間で10%以上低下しました。初の30%台への落ち込みです。ちなみに、過去の最低値は43.4%でした。不支持率もついに50%台に乗せて52.1%に達しました。ただ先ほど申し上げたように、この数字でも歴代政権と比べれば、まだ高水準です。そして今後の支持率は、大統領が事件をどう収拾するかにかかっていると思います。失敗すれば「コンクリート支持層」と言われた大統領の熱烈な支援者が、一気に離れる可能性があります。逆に元秘書や実弟を切り捨てて「私情にとらわれない」「ぶれない」イメージをさらに打ち出し、支持層固めに成功するかもしれません。

–朴槿恵政権は分岐点に立っているのですね。

木村:この政権だけではなく韓国という国もまた、分水嶺にあると言えそうです。韓国の仕組みだと、国論が分裂しても解散・総選挙によって民意を聞くという手が打てません。大統領がいったん支持を失うと、任期が終わるまでレイムダックのまま、国政が一切動かないという恐ろしいことになってしまうのです。

(次回に続く)