『ドラッグの運び屋を捕捉せよ!アリヴァカ、灼熱の「国境自警団」』(10/9日経ビジネスオンライン 篠原匡、長野光)について

10/10日経<南北共演、極まる核危機   本社コメンテーター 秋田浩之

北朝鮮の金正恩委員長は7日、訪朝したポンペオ米国務長官に、非核化の道筋を話し合う実務協議に応じると約束した。一見すると、対話が続き、核危機は最悪期を脱したように映る。

しかし、冷静に状況をながめれば、現実は逆だと思う。北朝鮮による核武装という最悪のシナリオが、瀬戸際に近づいているとみるべきだ。

そう考える理由は2つある。ひとつは韓国が南北の融和を一気に先行させ、北朝鮮の包囲網が風前の灯になっている。第2にトランプ米大統領が功を焦り、交渉に一段と前のめりになっていることだ。このままでは外交の圧力は大きく弱まり、正恩氏は核を手放さなくても大丈夫だと結論づけてしまうだろう。

このうち前者について、先週、耳を疑うような発言が、韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相から飛び出した。

核施設や核兵器のリストの提示は当面、求めない。北朝鮮が寧辺(ニョンビョン)の核施設などを解体すれば、見返りに終戦宣言に応じる――。

彼女は10月3日、米ワシントン・ポスト紙の取材でこんな提案を唱えた。北朝鮮の意にほぼ、沿った案だ。これは、すべての核施設・兵器をまず申告させるという、日米の基本路線に逆行する。

米研究機関などの分析によれば、北朝鮮は20~60個の核爆弾を持ち、核施設は40~100カ所にわたる。北朝鮮はこれらリストの提示を拒み、一部施設の解体で逃げ切ろうとしている。

韓国もそんなことは百も承知のはずだ。ところが、ワシントン・ポスト紙に示した妥協案をひそかに米国に打診し、受け入れを働きかけている。

舞台裏では最近、南北融和に走る韓国に、ポンペオ国務長官が激怒する騒ぎもあった。「いったい、何を考えているのか」。彼は9月下旬の電話で、康外相をこう難詰したという。

原因は、先月18~19日の南北首脳会談で交わされた軍事分野合意文書にあった。米軍として到底、受け入れられない内容であるばかりか、韓国側から事前に詳しい説明や協議がなかったのだという。

とりわけ米側が怒っているのが、南北境界線の上空を飛行禁止区域にしてしまったことだ。米韓両軍はこの上空に頻繁に偵察機などを飛ばし、北朝鮮軍を見張っている。それが封じられたら、目隠しされたにひとしい。

さらに軍事分野合意文書は、米韓軍事演習を大きく制限する項目も含まれている。米議会関係者からも「韓国はもはや、在韓米軍はいなくなってもよいと思っているのでは」との声が聞かれる。

米国との対立を深める中国とロシアは、すでに北朝鮮をかばう態度を鮮明にしている。9月の国連安全保障理事会でも、中ロは制裁の緩和を公然と求めた。

そこにきて韓国までもが日米側から離脱すれば、核危機をめぐる構図は「日米vs中朝韓ロ」になってしまう。北朝鮮が強気になり、制裁緩和を迫るなど要求をエスカレートしているのも、包囲網の緩みを受けてのことだ。

では、韓国はなぜ、まるで北朝鮮と共演するような動きに出ているのか。韓国専門家らによると、文在寅(ムン・ジェイン)大統領はただの人気取りではなく、本当に正しい道だと確信し、南北の先行融和路線を走っている。韓国にとって最優先は非核化よりも、朝鮮半島での戦争を防ぐことにあるからだ。

韓国の立場になれば、分からない話ではない。戦争になれば、韓国側にも数万~数十万人の死傷者が出るという試算がある。さらには、北朝鮮が核を温存しても、将来、統一すれば問題ないという発想もあるのだろうか。

それでも長い目でみれば、融和先行路線は韓国にも危険な道だ。このままなら北朝鮮は核兵器をため込み、在韓米軍の機能も下がる。日米の安全保障専門家は将来、北朝鮮が武力統一に動く余地を与えてしまうと心配する。

本来なら日米が韓国の融和路線にブレーキをかけ、結束を締め直すときだが、見通しは明るくない。すでに触れたように、外交の手柄に飢えたトランプ氏も、終戦宣言に前のめりだからである。

トランプ氏はむろん、非核化をないがしろにするつもりはないが、米外交ブレーンによると、目に見える成果を早く出すよう、側近を急かしている。非核化の進展が不十分のまま、終戦宣言に乗ってしまう危険がある。

文大統領からすれば、ポンペオ国務長官や強硬派のボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)がいくら抵抗しても、トランプ氏を取り込みさえすれば、終戦宣言に持ち込めると映るようだ。そうなれば、構図は「日米vs中朝韓ロ」よりも厳しくなる。

正恩氏が年内にソウルを訪れ、トランプ氏が合流する。北朝鮮から核リストが提示されないまま、米国と南北が終戦宣言に署名する……。外交関係者の間で、こんな筋書きがささやかれる。

北朝鮮に核が残れば、日本も深刻な脅威にさらされる。そうならないよう、安倍晋三首相は電話も含めると、三十数回にわたりトランプ氏と話し、非核化を説いてきた。尋常ではない頻度だ。

それでもトランプ氏を制御できないなら、40回でも、50回でも働きかける価値がある。あきらめるには、あまりにも代償が大きいからである。>(以上)

10/10JBプレス古森義久<トランプ大統領が「天敵」CNNから褒められた CNNが認めた「2つの政治的な足跡」とは>には①保守派のカバノー最高裁判事の任命②49年ぶりの経済好転をクリントン・ニュース・ネットワークと揶揄されるCNNが褒めたくらいですから。北朝鮮のニュースに米国民が関心を持っているとは思えません。「核搭載のICBMを米国にブっ放す」とでも脅せば別でしょうけど。北との融和は中間選挙対策にはならないでしょう。それより、ヘイリーが国連大使を辞めて、2020年の大統領選に出るという噂の方が国民の関心事では。残念ながら民主党の候補はいませんが。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54342

10/10NHKニュース5:42<福島などからの食品輸入規制 継続の是非問う住民投票へ 台湾

台湾では、来月24日に行われる統一地方選挙に合わせて、東京電力福島第1原子力発電所事故のあとから続く福島県など5つの県からの食品の輸入規制を継続するかどうかをめぐって住民投票が行われる見通しとなりました。

この住民投票は、野党・国民党が署名を集めて実施を求めていたもので、台湾の中央選挙委員会は9日、署名が必要な数を超えたとして実施を決定しました。
与党・民進党は規制の緩和を検討していますが、野党・国民党は規制を継続すべきだとしており、住民投票の結果、規制の継続が支持されれば、日本が求めている規制の解除が当面難しくなるおそれがあります。
これについて、台北にある日本の窓口機関「日本台湾交流協会」の沼田幹夫代表は、日本国内で流通している食材は安全だと指摘したうえで「食品の輸入規制の是非は、本来、科学的・専門的な見地から冷静に判断されるべきものが政争の具にされている。良識ある台湾の皆様の冷静な判断をせつに希望する」というコメントを発表しました。>(以上)

10/10NHKニュース5:42<五輪に「台湾」で参加求め住民投票へ 中国は反発か

台湾で、スポーツの国際大会での呼び方を「チャイニーズ・タイペイ」から「台湾」に変更して、東京オリンピックなどの参加申請を行うべきかを問う住民投票が来月行われることになりました。今後、中国の反発も予想されます。

この住民投票は、台湾の市民団体が実施を求めていたもので、台湾の中央選挙委員会は9日、有効な署名が必要な数を超えたとして、住民投票を実施することになったと発表しました。投票は、台湾で来月24日に控えた統一地方選挙に合わせて行われる見通しです。
「チャイニーズ・タイペイ」という呼び方は、1981年にIOC=国際オリンピック委員会との合意で決まり、台湾を中国の一部とする中国政府もこれを受け入れてきました。
しかし、これを変えようとする台湾での動きは、これまでの合意に反するとして中国側から問題視され、来年、台湾で開催される予定だった国際的なユース大会も中止に追い込まれました。
今回、住民投票の実施が決まったことで、中国のさらなる反発も予想されます。>(以上)

蔡・頼コンビはうまいことを考えました。台湾正名運動の一つであるスポーツ大会での呼称と福島産食品の輸入をセットで国民投票にかけるとは。(NHKは「住民投票」と言っていますが、正しくは国民投票です、中共に気兼ねしているのがありあり)。国民党(≒外省人=中国人)提案の福島産食品輸入の国民投票と刺し違える形で正名運動を投票にかけるのでは中国も少しは文句をつけにくくなったでしょう。後は投票で福島産の輸入が認められ、東京オリンピックの呼称も台湾と言う結果が出るのを願っています。何せ外省人より本省人が多いので、それが結果に反映されればと。

http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-3341.html

篠原、長野氏の記事は長いので、簡単にコメントします。ジェイソン・モーガン先生の授業で米国の保守派の定義は「憲法を守る人達」と習いました。でも日本の護憲派と違い、憲法修正したものも含め、かつ法執行を厳格にと考える人達です。この逆がリベラルと言われ、この記事に出てきますようにBorder Angelsのエンリケ・モロネスのような人物を指し、彼らは法を蔑ろにします。聖域都市を作っているのはリベラル民主党の政治家でしょう。彼らは犯罪を幇助しているのに気が付いていないか、気付いても無視します。法治国家が効いて呆れます。こういう人たちは牢に入れてやった方が良い。オバマやヒラリーを含めて。

記事

太平洋岸のサンディエゴからメキシコ湾岸のブラウンズビルまで、米国とメキシコを分かつ3000キロ長の国境線。その国境が米国の政治や経済、社会の最重要課題に浮上したのは、あの男がホワイトハウスを奪取してからと言っていい。第45代アメリカ合衆国大統領、ドナルド・トランプである。

不法移民の締め出しやビザ発給の厳格化によって米国で働くハードルは確実に上がった。関税の導入や自由貿易に対する嫌悪感は、米国への輸出を前提にした国境沿いの企業を不安に陥れている。壁の建設こそ実現していないが、人とモノの流れを妨げる障壁は既に構築されつつある。米国と世界を揺るがしているイシューの震源地は紛れもなく国境だ。

米国の国境では何が起きているのか。それを取材すべく、取材班は国境沿いのコミュニティを訪ね歩いた。国境に生きる人々の悲喜劇と、国境を舞台に繰り広げられる人間模様--。

1回目はアリゾナ州アリヴァカを拠点に活動する自警団を取り上げる。アメリカはエクストリームな国だが、ここに登場する男もまた、常軌を逸している。

(ニューヨーク支局 篠原匡、長野光)

「こっから先は揺れるぞ。しっかりつかまっていろよ」

迷彩帽とカーキのTシャツを着た男は、そう言うとジープのアクセルを踏み込んだ。首の後ろに彫られたタトゥーは“DILLIGAF(Does It Look Like I Give A Fuck:知るか、ボケ!)”。59歳にはとても見えないほど深く刻み込まれた顔の皺、それはアリゾナの強い日差しと乾いた大地に肌をさらし続けたからだろう。長年、体一つで身を立ててきた男の顔である。それも彼にとっては勲章だ。

男の名前はティム・フォーリー。アリゾナ州ノガレス郊外のアリヴァカに拠点を置く自警団、“Arizona Border Recon”のリーダーである。

自警団のリーダー、ティム・フォーリー

乾いた泥がこびりついたフロントガラス、その向こうには米国とメキシコを隔てる国境の山々が見える。道らしき道はない。あるのは、年老いたような赤茶けた大地とむき出しの岩、ところどころに茂る灌木ぐらいのものだ。そして、お構いなしにジープは国境に向けて突き進む。

「きれいだろ。オレはこの風景が大好きなんだ」

活動内容はドラッグカルテルの監視である

「国境の壁」は既に建設されている

トランプ政権になって以来、「国境」が米国の政治や経済、社会の主要な争点に浮上している。

NAFTA(北米自由貿易協定)によって、米国、カナダ、メキシコの3カ国の関税はほとんどすべてが撤廃された。メキシコで製造された工業製品も一定の原産性を満たせば関税ゼロで米国に輸出できる。米商工会議所によれば、1994年のNAFTA発効以来、カナダやメキシコとの貿易金額は4倍になり、1400万件の雇用創出につながったという。NAFTAが最も成功した自由貿易協定といわれたゆえんだ。

だが、アメリカ・ファーストを唱えるトランプ政権はNAFTAの再交渉に着手、原産地比率の引き上げや酪農市場の開放など米国に有利な条件をカナダやメキシコに飲ませた。NAFTA離脱や完成車に対する関税をちらつかせながら渋るカナダとメキシコを個別撃破した結果である。さらに、外資による米企業の買収審査は厳格化された。対中関税や鉄鋼・アルミ関税は相変わらず世界経済の重石になっている。

米国とメキシコの国境に立てられたフェンス(写真はアリゾナ州ノガレス)

アリゾナの山岳地帯にあるフェンス(写真はトホノ・オーダム・ネーション)

社会的に見ても、国境の壁は日に日に高く積み上げられている。不法移民の親子を引き離して収容するゼロトレランス(不寛容)政策は米国社会に激しい賛否を巻き起こした。高度な技術を持つ外国人向けのビザ「H1B」の枠も実際に減らされている。日本人駐在員でも、ビザ更新がうまくいかなかった人がいる。実際に物理的な壁ができるかどうかはともかく、トランプ政権は人やモノの流入を制限し始めている。いわば仮想バリアの構築だ。

グローバル企業やリベラルなメディアの多くは貿易障壁の撤廃や開かれた国境を望んでいるが、1990年代に端を発する自由貿易の拡大プロセスで米国の労働者や中間層が打撃を被ったのは紛れもない事実。不法移民やドラッグの流入など国境管理にまつわる問題にも直面している。トランプ大統領の強硬路線を支持する人は根雪のように存在する。

それでは、国境で暮らしている人々はトランプ政権についてどう考えているのか。それを聞こうと調べる中で、ふとArizona Border Reconの存在を思い出した。メキシコの麻薬カルテルと戦う自警団を描いた『カルテル・ランド』に、フォーリーが登場していたことを思い出したのだ。すぐに彼にメールを送ったところ二つ返事でOK。そして取材班はアリゾナの荒野をジープで爆走している。

空を見上げると、まだ昼だというのに、どす黒い雲があたりを覆い始めている。7月下旬、アリゾナの国境付近では毎日のように雷が発生する。この辺りは乾燥したソノラ砂漠の一部だが、カリフォルニア湾から来る湿った空気が雷雨を伴った熱帯性低気圧を作り出すのだ。この後の国境探索で雨に降られるのは間違いない。国境のオフロードを走り回るという得がたい経験に興奮しつつも、後々のことを考えると少し憂鬱な気分になる。

フォーリーの愛車で道なき道を突き進む

30分ほど道なき道を走ると、フォーリーはジープを止めた。彼が言う「給水ポイント」をチェックしに行くためだ。

Arizona Border Reconの活動地域はアリゾナ州ノガレスとササベの間にある幅50マイル(80km)ほどの山岳地帯だ。ノガレスやササベの国境にはゲートがあり、出入国管理事務所の担当官がメキシコから入国する人々を厳しくチェックしている。その周辺にも高さ10メートル近くはありそうな鉄製フェンスが屹立しており、国境警備隊の目をかいくぐってフェンスを乗り越えるのは至難の業だ。だが、その間の山岳地帯は警備も緩く、麻薬カルテルの運び屋や不法移民の格好の抜け道になっている。

運び屋の足跡をトラッキング

もっとも、国境から近隣の集落まで軽く10キロはある。気候は厳しく、真夏には40度を超えるため脱水症状で死ぬ人間も出る。そのため、人道的な見地からリベラル団体が水や缶詰などの救援物資を山の中に置いているが、国境を越える人間は不法移民の親子だけでなく、麻薬カルテルが組織した運び屋ももちろん交じっている。

フォーリーの具体的な活動は、そういった運び屋のトラッキング(追跡)だ。

ハンターが野生動物の足跡や糞を調べて追い詰めていくように、給水ポイント周辺の足跡を調べ、運び屋のルートを特定する。通常、ドラッグの運び屋は隊列を組み、重量のある“商品”を担いでいることが多い。運び屋かどうかは足跡の人数や足跡の深さなどで見極める。実際に運び屋を発見した場合は直ちに国境警備隊に突き出す。

「国境警備隊は四六時中ここにいるわけではないし、彼らの基地から国境まで片道2時間はかかる。でもオレはここに毎日24時間住んでいるし、国境まで30分しかかからない。だから、オレがここを守っているんだ。背後の広大な土地はカルテルのゲームの舞台。オレたちはやつらのゲームで遊んでいるんだよ」

あの山を越えればそこはメキシコ

灌木や涸れ川を避けてしばらく歩くと、ある給水ポイントにたどり着いた。周囲には空の水ボトルやゴミが散乱している。まだ開けていない豆の缶詰も10個以上置いてあった。フォーリーはしきりに地面の足跡を探している。

「これを見ろ。メキシカン・レインコートだ」

フォーリーは黒いポリ袋をつまみ上げると、取材班に見せた。

「メキシカン・レインコート?」

「やつらは穴を開けたゴミ袋を頭からかぶるんだよ。オレたちはメキシカン・レインコートと呼んでいる。こういうものや空のボトルを見つけた場合、やつらがどちらの方向に行ったのかを確認する」

「それから、君らの横に青いふたの水ボトルがあるだろ。そこに連中は“Good Luck”と書くんだよ」

「連中って不法移民?」

「違う。人道主義者だよ、リベラルの。あいつらはゴミの片付けもしねえ」

「ここに水を置いたのはいつ頃だと思う?」

メキシカン・レインコート。正体は頭を出す穴を開けたゴミ袋

「この状況を見るに、恐らく火曜日(3日前)だろう。見てみな、わざわざケースで囲ってやがる。この辺の動物がかじるのが分かっているんだよ」

「しかし、人道的な見地から水を置くという行動は理解できる」

「オレたちだって、あやしいやつを見つけた時は食べ物や水、薬を渡してから国境警備隊に引き渡す。ここは40度を超える過酷な環境だ。だが、子供を連れた不法移民がどれだけいると思っている? ここを通る85%はドラッグで、人間は15%にすぎない」

「それに、子供が自分の子供かも怪しいもんだ。あとでオレが撮った映像を見せるが、大半は組織的な運び屋だ。あいつらは途中でただ飲み食いしていく。人道主義者はカルテルに協力しているようなもんだ」

リベラルグループが置いた救援物資

山の上にドラッグカルテルの監視ポイント

そこまで言うと、フォーリーはおもむろにスマホの地図アプリを開いた。周辺の水置き場とカルテルの監視ポイントがプロットされている。2キロ圏内に10を超える水置き場があるという。

「あの山を見ろ。あそこにはカルテルの監視ポイントがある。この黄色のプロットはやつらの監視ポイントだ。オレはすべての山に登って確認した。監視ポイントの双眼鏡をのぞいたら、オレの家が見えたよ。くそったれ」

フォーリーによれば、カルテルの運び屋は10〜20人の集団で山を越える。アリヴァカの自宅でフォーリーが仕掛けたビデオ映像を見たが、大きなリュックを背負った男たちが列になって進む様子が映っている。ある男は手に受信機と双眼鏡を持っていた。この人物が道案内役だという。

「1回の往復は10日ほど。前に聞いた話では、運び屋の報酬は1回で650~1000ドルだそうだ」

「密輸の報酬としては大したことがない気がするが……」

「1000ドルは1万8000ペソだぜ。メキシコではデカいよ。1日のハイキングで100ドル。悪くない報酬だ」

これまで見つけた最大の獲物は560パウンド(約250キロ)のドラッグだ。ある時、自宅の前をキャンピングカーが走り去った。「怪しい」と直感したフォーリーは愛犬を連れて後を追った。そのまま監視していると、キャンプの準備をするわけでもない。そのうち大きなバッグを背負った男が木陰から走ってきては何かを下ろし始めた。最後に麻袋を燃やし始めたのを見て国境警備隊に通報した。

「捕まった連中は米国の市民権を持っていたよ」

実際に山の上からカルテルが監視しているかどうかは確認できなかったが、山や小高い丘に囲まれており、そう言われると、誰かに見られているような気分になる。われわれの他に誰もおらず、いつどこで運び屋と鉢合わせするかも分からない。向こうにこちらを襲うメリットはほとんどないというのは理解しているが、フォーリーが腰に吊り下げている拳銃だけではいささか心許ない。

カルテルの監視所がある山

ちなみに、フォーリーに話を聞いた2週間後、取材班がティフアナの国境で取材していると、Border Angelsの創設者、エンリケ・モロネスに偶然会った。フォーリーが人道主義者と言って批判している団体だ。彼らは30年以上、国境の砂漠に水を置く活動を続けている。世界中で移民や難民を支援しており、その活動に賛同したボランティアは5000人を超える。この日はティフアナ事務所の記念イベントがあり、ティフアナに来たという。

「Arizona Border Reconはあなた方の活動がカルテルを利するだけだと批判しているが……」

「彼らのことは知っている。ヘイトグループの民兵だ。ヘイトグループはわれわれが置いた水を隠したり、移民を撃ったり、嫌がらせをしたりする。KKK(クー・クラックス・クラン)みたいなものだ。トランプ以上の差別主義者はいないがね」

「合法的に米国に入国すべきだという意見もある」

「彼らは合法的に来る術のない人々だ。ビザが取れないから命のリスクを抱えて国境を渡る。実際、彼らが並ぶ列なんてどこにもないよ。不法移民が国境を渡るのは、仕事が必要だったり、家族と一緒にいたかったり、危険な環境から逃げ出すためだ。壁を作ったり、自警団を組織したり、親と子を引き離したり、そんなことは非人道的だ」

「ドラッグの問題はどう思う?」

「薬物は問題だ、だが、それは需要側、つまり米国の問題だ。越境する移民は問題ではない」

「トランプは?」

「邪悪だ。ヘイトを促進している。しかも、彼は(大統領選の)一般投票で負けていた。彼は米国の大統領でいるべきじゃない」

「われわれはかつてないほど忙しい。壁の建設を主張したり、移民の親子を引き離したり、非人道的なことをしているからだ。われわれは愛に国境はないと信じている」

右派と左派。両者の主張が交わることはないが、いずれの主張も理解できるだけに、この問題は一筋縄にはいかない。

「彼らはヘイトグループの民兵だ」と語る移民支援団体の創設者

メンバーは元軍人から心臓外科医まで

Arizona Border Reconのメンバーは80人ほど。消防団員や警察官から元軍人、トラックドライバー、心臓外科医まで様々だ。みんなフォーリーの活動に賛同した無給のボランティアで、休みなどを利用してアリヴァカの拠点に集まる。通常は4~5日、長い時は7日間、国境の山の中にベースキャンプを作り、パトロールに従事している。この日のように、他の仲間が来ていない時は給水ポイントの偵察がメインだ。

「ここにはいろんな人間が来る。ウルグアイ、エルサルバドル、ガーナ、スペインなど、他の国から来て市民権を得た人間も多い。彼らは何年もかけて、正しい方法でこの国に入ってきた。そういう人間にとって、不法に入国してうまみをむさぼるような連中は許せないんだよ」

「元軍人もいると言っていたが……」

「ああ。ちょっと前までPTSD(心的外傷後ストレス障害)の男が来ていた。確か35歳だったな。これまでに5回、戦場に行っている男だ」

「なぜPTSDの人がここに?」

「普通の生活が送れないんだよ。なぜなら、そういうふうにトレーニングされているから。彼らはここで一緒に外に出て、山に登り、つらい生活を送る。それで気分が楽になる」

「どういうこと?」

「つまりこういうことだ。軍隊に入ると市民的な思考や感覚は剥ぎ取られ、軍が望む形に作り替えられる。それは何ごとに対しても恐れない人間であり、戦場のあらゆるストレスに対処できる人間だ。そんな時間が長く続くとそれが人生になっちまう。脳みそがそういうふうに機能するようになるんだよ。だが、任務が終わり、社会に放り出されると、今度は何を考えればいいのか分からなくなる」

「兵隊は何も考えない」

「それと、戦場では自分の周りにいる人間はみんな敵に見える。そうだろ? だからいつも警戒していなきゃいけない。だが、町では大勢の人間やクルマが動き回っている。騒音だらけだ。それが彼らを動揺させるのさ」

「ここだと、大自然の中で昔の軍隊生活を思い出すことができる?」

「そうだ。この半年に4人の退役軍人が来た。命を助けてくれてありがとうと感謝していたよ」

地面の足跡をしきりに探している

落下傘、アルコール依存、そして国境監視

イラク戦争後、米国ではホームレスになる退役軍人が続出して社会問題になった。退役軍人は社会保障など様々な面で優遇されているが、軍隊と市民生活のギャップに順応できず、苦しむ例は枚挙にいとまがない。

冷戦後、世界の警察官としてグローバルに軍隊を派兵した米国。そのピークが2003年からのイラク戦争だったと言っていいだろう。トランプ大統領が語るように、米国は今なお世界最強の軍事力を誇る。だが、その背後には心が壊れた無数の屍がいる。

実のところ、フォーリー自身が退役軍人である。

フォーリーはレーガン政権の1982年に米軍に入隊、AA(All American)の愛称で知られる第82空挺師団に所属した。航空機からパラシュートで飛び降りる命知らずの落下傘部隊である。もっとも、フォーリーが入隊したのはベトナム戦争後であり、実際の戦場は減っていた。1年半後に除隊したこともあって、実際に戦場に出たことはない。

彼が除隊した理由は、本人いわくアルコールへの依存だ。

戦場に立てないフラストレーションか、幼少期の虐待経験が影響しているのかは定かではないが、当時のフォーリーは毎晩のように酒を飲み、ケンカに明け暮れていた。そのうち軍の中でフォーリーの相手をする人間も減り、街のバーで一般人とトラブルを起こし始める。1982年に基地内の刑務所にいたという記録も残っており、おおかた酒と暴力のトラブルで除隊処分になったのだろう。

その後は覚醒剤にハマった時期もあったが、20年ほど前にアルコールやドラッグをすべて絶ち、建設現場で働き始めた。現在は年金と寄付で国境監視活動を続けている。

「人間には何かしらの使命がある。だからオレはここにいる」

ドラッグの密輸が国境で暮らす人々にとって深刻なイシューになっているのは確かだが、自警団を組織し、野営しながら運び屋を追跡するというのは個人の活動としては常軌を逸している。彼は使命感が原動力だと言うが、アルコールとドラッグから抜け出す中で国境監視活動に自身のレゾンデートルを見いだしたのではないか。

「そこは気をつけた方がいい。Fire ant(ヒアリ)だ。噛まれるとクソみたいに痛いぞ」

過酷なアリゾナの自然環境。その中に身を置いていると、全身にエネルギーがあふれてくるのを感じる。

アリゾナの国境地帯。アフガニスタンといわれても違和感がない

給水ポイントに30分ほど滞在していると、予想通り、大粒の雨がポツポツと落ち始めた。乾いた大地がみるみる赤く染まり始める。

「カメラが濡れると一大事だろ。早くクルマに戻って次のポイントを見てしまおう」

そう語ると、早足でジープに戻り、再びオフロードを走り始めた。ジープに窓はなく、後輪が跳ね上げた泥が容赦なく降りかかる。それまで道だった窪地が川に変わっていく。

「あれ、水置き場がないぞ? モンスーンの時期になるとまわりの植物が雨で育っちまうんだ。風景が変わるんだよ。あれ、やっぱりないな。ちくしょう、あいつら場所を動かしたな」

ブツブツ言いながらフォーリーが給水ポイントを探している間に雨脚はさらに強くなった。雷鳴もどんどん近づいている。正直、カルテルの運び屋と遭遇するよりも雷の方がはるかに恐ろしい。

「雨の日ほど運び屋が増える。雨の時ほど仕事の時間だ。国境警備隊は雨の日には出てこないからな。こんな時にここにいるのはオレみたいに狂っているやつだけだよ」

そこまで言うと、フォーリーはきびすを返した。

「よし戻ろう。今日はここまでだ」

大雨でできた川など何のその

不法移民の原因としてのNAFTA

フォーリーがArizona Border Reconを設立したのは2010年に遡る。その理由の一つは国境で起きている事実を世間に知らしめることにある。

麻薬カルテルの運び屋が国境を越えるのは米国にドラッグの根強い需要があるため。処方箋薬の鎮痛剤、オピオイド(ヘロインの一種)の依存症からヘロインや覚醒剤などの依存症に移る人間も多く、違法ドラッグだけの問題ではないが、理屈の上では米国人がヘロインやメス(覚醒剤)などの使用をやめればドラッグの流入も減る。だが、国境に住むフォーリーにすれば、犯罪者が土足で庭に入り込んでいるに等しい。

「メディアは不法移民の親子が引き離された話ばかりを報じて、国境のリスクについては語ろうとしない。だが、それは真実の半分だ。メディアで語られることとは違う」

もう一つは不法移民に対する単純な憤りだ。

米国の労働者の平均時給は右肩上がりで増えているが、インフレを加味した実質賃金で見ると、1970年代とほとんど変わらない。労働分配率の長期的な低下やグローバリゼーションの影響に加えて、安価な移民労働力の増加によって賃金上昇が抑えられた面もあるに違いない。除隊後、建設現場で働いていたフォーリーはその影響をもろに受けた。

さらに、10年前の苦い記憶もある。

米国人を奈落の底に突き落とした金融危機。フォーリーも金融危機で仕事と自宅を失った。ところが、行く先々で不法移民が建設の仕事に就いている。不法滞在がばれても強制送還されることもなく、数カ月後には別のIDを作って現場にいる。税金を払わず、社会システムだけを利用する。

「3カ月の夏休みだと言っていた。ふざけるなって話だ」

そこで、有り金をはたいてArizona Border Reconを設立した。当初の目的は不法移民の密入国を防ぐことだったが、カルテルが人間とドラッグの密輸を取り仕切っていることを知り、カルテルの排除に目標を変えた。彼もまた、金融危機の被害者である。

ドラッグの運び屋が使っていた麻袋

メキシコ移民の歴史をひもとけば、もともとはカリフォルニアやアリゾナの農家の収穫を手伝う季節労働者である。1942年から1964年まで続いたブラセロ・プログラムでは、約450万人のメキシコ人がゲストワーカーとして米国に渡った。1964年のプログラム打ち切り後、そのまま米国に居着いたメキシコ人は数多い。

その後も農業や建設業、飲食業など安価な労働力を求める需要は強く、国境の南から北に向かう流れは続いた。ピューリサーチセンターによれば、1990年に350万人ほどだった不法移民はピークの2007年に1220万人に達している。その半分がメキシコである。

「リベラルがやっているのは犯罪者に市民権という利益を与えることだ。子供が悪さをした時に怒らないで、おもちゃを買うカネをやるようなもんだよ。刑務所を見てみろよ。中にいる犯罪者の多くは不法移民だぞ。この国にはもう十分悪いやつらが入り込んだ。これ以上、輸入する必要はない」

不法移民が増加した背景にはNAFTAの影響もある。

北米3カ国の関税が撤廃されたことで、トランプ大統領とその支持者が主張するように米国の製造業はメキシコや中国に流れた。だが、同様に安価な米国産トウモロコシが流入したことで、メキシコの農業も大打撃を受けた。とりわけ貧しい南部の小規模農家に与えた影響は深刻だった。そして、彼らは故郷を捨て、国境沿いの工場や米国を目指した。

1845年のテキサス併合以降、メキシコは地続きの最強国に蹂躙されてきた。米墨戦争の敗北によって、現在のカリフォルニアやアリゾナ、ニューメキシコ、コロラドなど当時の国土の半分を失った。その後のアメリカ資本による鉄道網の構築やプランテーションの経営は搾取と貧富の差の拡大を産み落としている。さらに、第2次大戦に伴う労働力不足を解消するため、ブラセロ・プログラムを導入したが、米政府によって一方的に終止符が打たれた。そして、NAFTAである。

隣国の悲哀と言ってしまえばそれまでだが、メキシコから見れば、米国の都合によって国境の壁の高さが変わっているようなものだろう。

フォーリーが言う「刑務所の中の多くは不法移民という話」は正直よく分からない。リバタリアン系のシンクタンク、米ケイトー研究所によれば、不法移民の収監率は0.8%と米国生まれの半分以下に過ぎない。右派は当然のように主張しているが、不法移民に犯罪者が多いというのはバイアスである可能性も高い。

「君らの国の移民政策を見てみろよ。最高に厳しいじゃないか。そういう政策によって文化やアイデンティティ、主権が守られる。だから、オレはここにいるんだ。この国を愛しているから」

彼の主張していることは、Brexit(英国のEU離脱)に一票を投じたイギリス人やアメリカ・ファーストの理論的支柱のスティーブン・バノンに近い。

国境を徒歩で越えるドラッグの運び屋

「トランプ大統領についてはどう思う?」

「今のところは支持している。反対サイド(リベラル)を支持するわけにはいかないからな。彼はこの国を本当に愛していると思う」

「壁はどう? 意味ある?」

「ある程度は効果的だろう。庭にフェンスがあって、キッチンから誰かが覗いていれば誰も庭に入ってこない。では、買い物に行っている間はどうか。ここも同じだ。見張りは必要だ」

「じゃあ、トランプ大統領を信用している?」

「信用は自ら手に入れるもので、与えられるものではない。今のところ、彼は自分の言ったことをちゃんと実行している。だから信用を集めるんだ」

「改めて不法移民については?」

「この国は世界に多くを与えている。多くの人を助けている。それは誇るべきことだ。だが、誰でもいいから入っておいでというのは違う。長年、建設関係の仕事についてきたが、不法移民が入ってきたことで賃金は下がった。賃金は下がったが税金は下がらない。アメリカ人の生活水準は豊かだったが、政治家がスタンダードを下げたんだ」

「それが、トランプ大統領が誕生した原動力だった」

この国のすべてをぶちこわしたのはポリティカル・コレクトネスだよ。オレたちはいい大人だ。オレが言ったことが君を傷つけることもあるだろう。ムカついた君はオレを殴るか、中指を立てて去っていくかだ。ところが、今は『そんなことを言っちゃダメだ。人の心を傷つけちゃう』だ。オレが首に入れているタトゥーの意味が分かるか? オレが君の気分を害するように、君もオレの気分を害するだろう。それが人生ってもんだ。受け入れるべきだろう?」

「なぜそこまでポリコレが進んだ?」

「リベラルの泣き声が大きいからだ。保守の連中が怖くて口をきけなくなった。アレを言っちゃダメ、コレを言っちゃダメ。言えばレイシスト(差別主義者)のレッテルを貼られる。その人間が何をしているかなんて何の問題にもならない」

「トランスジェンダーのトイレ問題があるだろう? 女性の格好をして女子便所に行くがペニスはついている。まだついているんだぜ。男だろ、それは。それを口にすれば瞬殺でレイシストだ。オレは切り落とすまで女だとは認めない」

「オバマ前大統領はどう評価する?」

「正直、何とも言えないが、彼の8年間に間違ったことはなかったか? ストリートで抗議は一度も起きなかったか? だが、トランプになれば、あいつのやっていることはすべて間違っている、だ」

「先日、フェイスブックでリベラルの活動家がアップした写真を見た。フェンスの中にいる子供の写真で、トランプ政権のゼロトレランス政策を批判したものだ。ところが、だ。写真の日付を見るとオバマ大統領の任期中だ。やったのはお前んとこの野郎じゃねえか。いずれにせよ、この問題は難しい。政治イデオロギーの問題なんだ。みんな右か左。真ん中はない」

Arizona Border Reconの拠点(フォーリーの自宅)

カリフォルニア大学ヘイスティングス法科大学院で法律学の教授を務めるジョアン・C・ウィリアムズがウォールストリート・ジャーナルへの寄稿で語ったように、リベラル政治家やビジネスエリートは世界市民を自認している。若きエリートの中には国境という概念そのものを否定する人間すらいる。

一方で、フォーリーのような労働者階級の白人はアメリカ人であることに誇りを感じている。その源流が「白人がマジョリティのアメリカ」だったとしても。トランプ大統領の一つの功績は白人に鬱積していた不満を表に出したことだ。今後、アジア系を含め非白人の比率は増加する。その過程で、国境の壁を求める声はさらに強くなっていくに違いない。

「問題は人種ではなく持続可能性だ。学校、病院、刑務所。どこも満杯だが、その費用は払うのはオレたち納税者だ。毎年、不法移民対策に130ビリオン(1300億ドル)を使っているんだぞ。ダメだろ、そんなの」

米Federation for American Immigration Reformによれば、連邦政府や州政府、地元自治体が負担している不法移民の対策コストは1349億ドルに達する。不法移民の納税額は189億ドルと見積もっており、差し引き1160億ドルの負担だ(いずれも2017年の数字)。この金額が多いか少ないかは意見が分かれるかもしれないが、納税者として腹が立つ気持ちは理解できる。

国境のドン・キホーテ

国境の監視ポイントを出て30分ほど。フォーリーの自宅に戻り、温かいお湯で顔と手を洗う。ワイシャツは無残にも泥だらけだが、国境の非日常から現実社会に戻った気分になる。ふと見ると、壁に12ゲージのショットガンが立てかけてある。聞けば、自衛のためだという。

「運び屋を見つけた場合、どういう対応を取る? ライフルで威嚇する?」

「しないしない。運び屋を見つけた時は4人ずつに分けて北と南から挟み込む。こちらも武装しているが、銃は決して向けない。実際、武装した8人の男に囲まれれば、向こうも『やっちまった』となるだろう。逃げれば逃げたで構わない。案内役とはぐれてバラバラになれば、道に迷って座り込むか、オレたちのキャンプに投降してくる」

「国境警備隊に引き渡した後は?」

「強制送還されるが、すぐにまた戻ってくるよ」

「これまで戦闘になったことは?」

「ない。オレたちの表現で言えば、今のところは『ソフト・ウォー』だ。カルテルは損得で判断する。オレたちがドラッグを見つけても今のところは利益の方が大きい。だが、状況は変わりつつある」

「銃を持つ運び屋の姿が多くなっているのを確認している。先月、4マイル向こうで国境警備隊が4発撃たれた。テレビは30秒報じただけで、すぐに引き離された移民の親子の話になったけどな。それは真実の半分だ。やつらとバトルになるのは時間の問題だろう」

「向こうは当然、あなたのことを知っているよね」

「面白いことがあったよ。ブッシュに隠れている二人組を見つけた時、オレを指さして『映画か?』だって。『カルテル・ランド』を見ていたんだな。カルテルはオレのことを知っている。年2回くらい脅迫が来るよ。『バラバラに刻むぞ』とか」

「いつまで続けるつもり?」

「2つのことが起きない限りやめない。一つは国境が十分に警備されるようになったと感じた時、もう一つはオレが死ぬ時だ。ただ、明日からしばらくは留守にする。カリフォルニアに行くんだ。娘の結婚式なんだ」

フォーリーが警備しているのは10マイル四方の国境の山岳地帯。3000キロを超える国境の中では点に過ぎない。その姿は風車に立ち向かうドン・キホーテに等しいが、これが彼の国境の日常、これが彼の生き様である。

愛用のショットガン

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『異例のプーチン発言に見る日露領土問題の光明 領土問題を解決できるのは、プーチン大統領と安倍首相しかいない』(10/5日経ビジネスオンライン 菅野沙織・泰夫)について

10/7阿波羅新聞網<习近平语录“我在必不成功” 爆“高级黑” ?大反转!—— 习语录“我在必不成功”有深意?是“高级黑”还是马屁拍过了?=習近平語録に「私はどうしても成功しない」 黒幕の陰謀か 大反転(意味が逆) 「私はどうしても成功しない」はどういう深い意味が 黒幕の陰謀かおべんちゃらか>

写真は貴州省の道路管理局が立てた看板。習語録は「成功不必在我」とある。原典は1932年、胡適が大学卒業生に送った言葉、「成功不必在我,而功力必不唐捐=成功を望むなら、必ずや努力が必要。努力すれば必ずや報われる。しかし、自分に対して報われるだけでなく、他の人にも良い影響を齎す」から。

それが何故「我在必不成功」となったのか?あるネット民は「PS=フォトショップを使って変えられたのでは」と言う。米国在住の王篤然は「PSで改造したものではない。おべんちゃらの為だろう」と。

習語録の元は左からの横書き、それを右からの横書きに直す時に間違えたのでは。

台湾メデイアの自由時報に依れば、ネチズン達は「失敗は必ず彼のせい」「中国人の中には中国語を学ぶのが永遠にダメなのがいる」「裏には謀反を企てる奸臣がいるのでは」「左から読むべきか、右から読むべきか?」。また、笑って「現地の当局は穴を掘って習に入れと言ったようなもの」と。

https://www.aboluowang.com/2018/1007/1185368.html

10/8希望之声<评论:希拉里一直在破坏民主 不承认败选=評論:ヒラリーはずっと民主主義を破壊して来た 選挙に負けたことを認めず>10/8ニューヨーク・ポストのコラムニストのMichael Goodwinは「ヒラリーはリベラルメデイアの支援を受けてずっと民主主義を壊す方法を探してきた。彼らの破壊行為は昔からである。米国だけでなく国民をも大きく傷つけた。ヒラリーには大統領選に負けたという気持ちが欠けている」と。

Goodwinは「民主党と共和党の争いは許容できる範囲をすでに超えている。第二次内戦(1次は南北戦争)が勃発することを恐れる。和解の呼びかけは聞くが、臭いものに蓋にならないことを希望する」とも。

また、「カバナー事件は、公権力を濫用し、選挙で選ばれた大統領を辞めさそうとしているのを表している。現在米国の真の敵は、何としてでもトランプ大統領の正当性を壊す目論見を以て外国の利益と合わせる輩である。米国は今まさにこの売国行為の代価を払っている所だ。オバマが任命したケリー元国務長官がイラン外相に「次の大統領まで待て」と言うのは売国の一例である。カバナーのセックススキャンダルを仕組んだファインスタイン上院議員(20年も中国人スパイを運転手として使っていたくせに)に誰がその情報を教え、どのようにリークしていったのか。このリークは36年前に発生した証拠のない事件なのに攻撃できる武器となっただけでなく、非難する者も非難される者も戦いの中で傷つき、両者とも負けた形である」とも。

まあ、ヒラリーが抵抗するのも分かりますけど。抵抗しなければ一生ブタ箱で暮らさねばならないほど悪いことをして来ましたので。

https://www.soundofhope.org/gb/2018/10/08/n2247753.html

10/6 Russia Insight<WOW: US Could Launch Preemptive Strike Against Russia – Trump’s Ambassador to NATO>駐NATO米国大使は「米国がロシアに先制攻撃できたら」と発言。音声はロシア語で字幕が英語。字幕の消えるのが早く、見る気が起きませんでした。やはり中国語は表意文字で見てすぐ意味が取れますが、表音文字ですと難しいです。10/3産経に依れば<米NATO大使、露中距離巡航ミサイル破壊示唆 「先制攻撃についてでない」と軌道修正>とありました。

https://www.sankei.com/world/news/181003/wor1810030008-n1.html

10/9阿波羅新聞網<普京民意大幅下滑=世論調査でプーチンの支持率は大幅に下がる>10/8の世論調査でプーチンの支持率は39%まで下がった。6月時点より9ポイントも下げた。2014年2月の36%以来の低さである。原因はやはり年金受給年齢の引き上げにある。

https://www.aboluowang.com/2018/1009/1186060.html

米国人は真の敵をよく間違えます。第二次大戦でも日本を敵に回した結果、あれほど望んでいた中国大陸を共産党に奪われました。ソ連を打倒したのは正しかったとしても、同じ共産主義の中共に入れ上げ過ぎたのは判断の誤りでしょう。「騙す方が賢く、騙される方が賢い」と言う価値観、賄賂が当り前の民族です。やはり、トランプがやろうとしているロシアと協力して中国を封じ込めるのが戦略的に正しいのかと思います。ロシアを中国側に追いやることはないでしょう。

まあ、4島一括返還は無理で、どこかで旗を降ろさないと駄目なのでは。今や正面の敵は中共ですので。残り2島は継続協議で良いのでは。それでも人気の落ちたプーチンに実効支配している領土を割譲することはできないでしょう。2島と大型経済協力のバーターの形がせいぜいと思われます。

記事

16年12月のプーチン大統領の訪日以降は日露関係、とりわけ領土問題解決と平和条約締結に向けての外交に大きな進展が見られていなかった。すでに恒例となった安倍首相のロシア東方経済フォーラムへの参加にも大きな期待はなかった。このように後退も前進もしない停滞気味の状態がしばらく続くと思いきや、プーチン大統領の「平和条約を先に……」というサプライズ発言は、領土問題解決に双方を近づけたとは思えないまでも、膠着した状況に目を向かせ、日露関係のこれからについてもう一度考えさせてくれたのは間違いなさそうである。

アジア太平洋地域の地政学的な状況は20世紀後半と比べて、着実にかつ大幅に変化している。米中間の経済関係は貿易戦争が勃発するほど悪化しているが、そうした中で現役の米国大統領が北朝鮮のトップと首脳会談を行うことなどは以前では考えられなかったであろう。

では、日露関係はどうかと言うと、安倍首相がロシア側に対する新アプローチを提案した16年以降、日露貿易に弾みがついた。ただ肝心の領土問題解決と平和条約締結は依然として進展がない。

ウラジオストクで開催された東方経済フォーラムで、ロシアのプーチン大統領が日露の平和条約に言及した(写真=代表撮影/AP/アフロ)

9月にウラジオストクで開かれた東方経済フォーラムでプーチン大統領は、日露貿易総額は17年に前年比14%増加し、18年上半期には同20%伸びたと述べた。日露間で、極東地域を中心に三桁に上るプロジェクトが進められている実績もある。今年で4回目となる当該フォーラムには、プーチン大統領と安倍首相のほか、中国の習近平国家主席、モンゴルや韓国の首脳が参加するなど、年々、注目度が高まっている。

当該フォーラムの開催に先立ち、9月10日には安倍首相とプーチン大統領による首脳会談が実施された。同会談のアジェンダは、日露経済関係から北朝鮮問題に至るまで幅広い議論に及んだ。また日露平和条約についても議論されたが、その時点では領土問題解決および平和条約締結に向けて進捗があったのか判断可能な材料が少なく、メディアの注目度も低かった。

日露関係が世界の新聞紙面の一面を飾ったのは、12日の東方経済フォーラムの山場となった全体会合の後の出来事であった。代表国の首脳が参加する大きな会場とテレビカメラを相手にプーチン大統領は、「……私たちは70年間交渉してきました。シンゾウ(安倍首相)はアプローチを変えようと提案しました。そこで私はひらめきました。今ではなくても年末までに、前提条件なしで平和条約を締結するという案を。そして、その平和条約に基づき、友人として、私たちは引き続き論争の的となっている問題を解決します。これ(平和条約締結)によりすべての問題をより容易に解決できるようになります」と発言した。

プーチン発言は「ひらめき」ではない

安倍首相はこのような「ひらめき提案」が日本側では受け入れられないことを誰よりも承知していると思われる。しかし、会場ではポーカーフェースを崩さず、この場面を上手く切り抜けた。このような冷静な判断がなぜできたのだろうか?

人の行動や言動を鵜呑みにせずその背後にどのような思惑があるかを判断するには、その人の性格や理念を把握していなければ不可能である。安倍首相はプーチン大統領と個人的な関係を築き上げたことによって、プーチン大統領ではなくウラジミール・プーチンと言う人間の本音を読み取ることができるようになった、と考える以外に、安倍首相の対応を説明することは難しい。

実際、領土返還より先に平和条約を締結する案は目新しいものではなく、プーチン大統領の「ひらめき」などではない。それは旧ソ連時代のロシア政府の正式なスタンスであった。それを考えると、プーチン大統領がいまさらながら「ひらめき案」を敢えて発表した理由は、実は提案の内容よりも「解決したい」という強い意思を公に広くアピールしたかったためと読み取ることができる。

帰国した安倍首相は日本のメディアに対し、領土問題解決の後に平和条約を締結するという日本政府の基本路線に変わりがないことを再確認したが、プーチン大統領の言動は、両国間の問題解決への意欲の表れと受け止めている、と述べている。

さらに、この発言の翌13日、ペスコフ大統領報道官は、日本側の基本方針に変更がないことについて記者から質問を受けた際、「それぞれのスタンスが違うことは承知している。しかし、周知のとおり、プーチン大統領はこの問題を解決したい意思がある。また、良好な関係構築への安倍首相の努力を高く評価しており、(解決を目指して)建設的かつ好意的な共同作業を実施していく」と述べ、大きな歩みよりをみせた。

ロシアでは年金改革に反対する大規模なデモ

さて、なぜ今になってプーチン大統領はこのような奇抜な形で日露関係の根本的な問題解決への意欲を示さなければならなかったのか。その理由はロシアを取り巻く厳しい地政学的環境にある。ロシアは米国との関係改善に期待を寄せていたものの、その思いはかなわなかったどころか、米露関係は冷戦時代に例えられるほど悪化し、改善の兆しすら見えていない。

米国による制裁はロシア経済、特にルーブル相場に圧力をかけ、海外からの投資のハードルを高くしているばかりではない。ロシア中銀の最新の報告書によれば、制裁に関連する要因が同中銀のリスクシナリオに含まれている。つまり、制裁がより厳格化し、かつ幅広く適用された場合、ロシアは再び景気後退に陥る可能性があるというものである。

国内要因としては、政府が実施を目指している年金改革(定年年齢の引き上げ)に反対し大規模なデモが行われるなど、不安定な内政が続いていることが挙げられている。これはソ連崩壊時に比べるほどではないにしろ、近年でもっとも厳しい環境であることをロシア政府は認識している。

こうした中で、プーチン政権の動きからは、安倍首相の良好な関係構築への努力に応え、インパクトの強い平和条約を締結し、国際舞台におけるロシアの評判を高めようという強い意思が読み取れる。さらにこれは、欧米との関係悪化により我慢を強いられている国民に対してアピールする機会でもある。もちろん、アジアのみならず世界規模で力が増している中国を牽制しようとの思惑があることも否定できない。

もちろん、領土問題の解決がないまま平和条約を結ぼうという呼びかけに対する日本側の答えはノーである。だが、ロシア側には日露間の領土問題解決について実行力のある人物は、事実上プーチン大統領をおいてほかにはない。

プーチン大統領自身が年内に解決するという強い意思を示したことや、「ひらめき案」を公の外交の場で発表したことで一種の解決に向けての意欲表明となった。日本政府にとっては今や、長年の交渉が実を結ぶ可能性が出てきたと言えよう。

ロシア側が考えている解決策とはどのようなものだろうか。プーチン大統領が2000年の就任以来訴え続けている「1956年日ソ共同宣言」への回帰、つまり二島(色丹・歯舞)返還の後、平和条約を締結し、その後残りの二島(択捉・国後)を返還するスキームが可能性の一つと判断される。無論、日本政府は、四島一括返還後の平和条約締結が基本方針となっているため、受け入れることはできない。

ただ、早期解決したいという点では双方の考えは近い。実際、安倍首相はロシアから帰国後、9月14日の日本記者クラブの討論会でも、平和条約締結は、従来の基本方針と変わらないという立場を示したうえで、「今年の11月、12月の首脳会談は重要なものになる。私が意欲を見せなければ動かない」とも述べている。

領土問題は非常に難しい議題であるものの、両政府は双方の国民が納得できる解決策に向けて努力と話し合いを前進させる可能性が高まったともいえるだろう。年内に行われる首脳会談への注目度が高まっている。

図表1 北方領土交渉の歴史

(出所)内閣府および外務省より大和総研作成

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『中国・スウェーデンの外交問題で正しいのは?頻発する中国人海外旅行者の「不文明的行為」』(10/5日経ビジネスオンライン 北村豊)について

10/7阿波羅新聞網<好友曝范冰冰已缴纳完近9亿罚款 公布范冰冰近照=親友が範氷氷の9億元の罰金は既に納めたと明かす 最近の写真をアップ>10/5親友の魔術師・鄭龍風が本人から罰金は払ったと聞いた。

誰が払ったかは記載なし。払ったことにしたのでは。罰金の額が大き過ぎです。

http://www.aboluowang.com/2018/1007/1185442.html

10/7阿波羅新聞網<孟宏伟被计划请君入瓮 范冰冰模式失败酿变局 北京恐出第二个王立军=孟宏偉は「請君入甕」(=自分の出した案で懲らしめられる。この場合人を陥れて逮捕して来たのと同様に逮捕される、因果応報の意)の計にかかる 範氷氷モデル(秘密裡に拘束して取り調べ、数か月後に情報を出す)は失敗して変化を醸し出す 北京は第二の王立軍となることを恐れる孟宏偉の妻のGrace孟が仏警察に届け出したため、北京の計画が狂ったと。下の写真は孟宏偉と妻のスマホの遣り取り。包丁の図は身に危険が迫っていることの意味でしょう。その7分後には繋がらなくなったと。でもこれで中国は法治国家ではないことを示しました。詳しい情報は分かりませんが、ある情報では「留置はされているが、双規(国家でなく共産党の尋問)は未だ」とのこと。

http://www.aboluowang.com/2018/1008/1185716.html

10/7希望之声<过千名老兵聚山东维权 用灭火器回击中共特警=千名を超える退役兵が山東省に集まり権利保護を訴える 消火器を使って特務警察に反撃>中共の10/1の国慶節(国の為に戦死した兵を悼む日)の間に、山東省平度の38名から成る退役兵が北京に訴えに行こうとしたが省当局の妨害に遭い、殴られた。10/5~6数百名の退役兵が全国から平度に向かい、殴られた兵を励ましに行ったところ、当局は特務警察を出動させ鎮圧した。一部の退役兵は怪我したり、逮捕されたりした。10/7再度退役兵が平度に集まり、権利保護活動をした。

退役兵と雖も、軍の一部が政府に反する行動をとりだしていることは中共の命脈も長くはないという事だろうと思われます。

https://twitter.com/twitter/statuses/1048508984079110144

https://www.soundofhope.org/gb/2018/10/07/n2243583.html

2017年1月1日の本ブログで中国人の非文明行為を揶揄した記事を掲載しました。北村氏が言いますように、中国人の自己中は死ぬまで治らないでしょう。反日教育する前にキチンと道徳教育をすべきです。それにつけても、2005年に中国駐在から帰って来て、実態を話した時の日本人の反応は「国粋主義者」とか「人種差別主義者」と罵ることでした。13年経って少しは分かって来たのかも。やはり、現実を見るべきで、見てない人間に人を批判する資格はないという事です。左翼は建前の綺麗事で、自分を棚にあげ乍ら他人を非難します。今の日本の老人も左翼メデイアに洗脳されていて、そういう行動を取る人が多いです。その代り、中共のモンゴル、ウイグル、チベット人への人権侵害については無関心です。

http://dwellerinkashiwa.net/?m=20170101

記事

スウェーデンと中国の関係は予断を許さない状況が続いている(写真:PIXTA)

 9月2日早朝にスウェーデンの首都・ストックホルムで発生した中国人親子3人による宿泊騒動は、親子が駐スウェーデン中国大使館へスウェーデン警察に粗暴な扱いを受けたと訴えて出たことで事件になり、中国とスウェーデンの外交問題に発展した。外交問題に発展するまでの経緯は、9月28日付の本リポート「宿泊騒動が中国とスウェーデンの外交問題に」を参照願いたい。

 中国人親子に非があることは明白なのに、駐スウェーデン中国大使館だけでなく、本国の中国政府“外交部”までが、スウェーデン政府に拳を振り上げて謝罪を要求するその態度に、スウェーデン国民は中国の傲慢さに憤りを禁じ得なかった。そうした中、スウェーデン国民の気持ちを代弁して、スウェーデンテレビ(SVT)の娯楽番組「スウェーデン・ニュース(Svenska nyheter)」で、コメディアンで作家の司会者ジェスパー・ロンダール(Jesper Ronndahl)が、9月21日の同番組で皮肉を込めて中国に対する強烈な一発を見舞ったのだった。

 それはテレビ画面に映しだされた「尊敬する中国人観光客を歓迎する」という題名の映像であった。映像の中で女性アナウンサーが「文化の衝突を避けるために提案する」と前置きした上で、「歴史的建造物に小便をするな」と言うと、画面には中国語で書かれた「大便禁止」の標識を映し出され、これに続いて画面に食卓の映像が映し出され、アナウンサーが「スウェーデン人はトイレの後には必ず手を洗う」と述べると、又しても例の「大便禁止」の標識が映し出された。さらに、画面に犬に散歩をさせている映像が流れ、アナウンサーが「これは昼食を取る目的ではありません」と説明し、犬肉を食べる風習を持つ中国人に当て付けた。

 続いてアナウンサーは、「中国人は人種主義者だ」と言明し、「スウェーデンは人々の権利が守られた多人種国家であり、人々がどこから来ようとも問題ないが、中国から来る人たちはその限りではない」と述べた。そして、最後にアナウンサーは子供に言い聞かせる口調で「中国人観光客のスウェーデン訪問を歓迎しますが、もしも貴方たちの態度が良くなければ、我々は貴方たちのお尻をペンペンしますよ」と述べたが、この時画面には宿泊騒動の当事者である中国人親子が路上で泣きわめく映像が流された。

この「スェーデン・ニュース」の映像は、SVTから中国国内の動画サイト“優酷(YOUKU)”へ投稿されたので、同番組の内容は広く中国国民に知れ渡った。しかし、中国国内で放映が許されたのは、中国側に都合良く編集された映像に、都合よく翻訳した字幕を付けたものだった。

 SVTはスウェーデンの国営テレビである。そのSVTがその番組「スウェーデン・ニュース」の中で、中国および中国人を揶揄(やゆ)したことを知った中国政府はすかさずスウェーデン政府に噛みつき、SVTに謝罪させるよう強く要求した。また、当該番組で映しだされた中国の地図に、台湾とチベットの一部が含まれていなかったのは故意としか思えず、極めて遺憾であると表明した。しかし、「言論の自由」を国是とするスウェーデンは中国と異なる。たとえ大国の中国が脅そうとも、これに屈して国是を曲げることはしない。恐らく、スウェーデン政府はSVTに中国政府の意向を伝えただけで、謝罪要求にどう対応するかはSVTの判断に任せたものと思われる。

 SVTの公式サイトは、9月23日付で、事件は誤解であり、中国側が見た「スウェーデン・ニュース」の内容は、字幕の翻訳が中国側に都合の良い部分だけが使われたものと思われると反論した。また、9月25日に「スウェーデン・ニュース」のプロデューサーであるトーマス・ホール(Thomas Hall)は、SVT公式サイトに声明を発表し、番組が当初表現したかった意図が失われたことを認め、同時に「我々はスウェーデンの問題を浮き彫りにしようと考えていた」と述べ、「番組を動画サイト“優酷”に投稿した目的は、中国国民の注意を促すためだったが、我々の表現方法に欠陥があったことはお詫びする」と表明した。

「謝罪」に激怒した中国政府

 9月28日に放映された「スウェーデン・ニュース」の中で、司会者のロンダールは、先ず自分が中国からのネット暴力に悩まされていると自嘲気味に述べた上で、先週の番組で心に傷を負った数多くの中国国民に謝罪すると表明した。但し、彼はこの謝罪は中国国民に向けたものであって、中国政府に向けたものではないと強調した。そして、香港“銅鑼湾書店事件”注)の被害者でスウェーデン国籍の“桂民海”が逮捕後にテレビ画面を通じて懺悔させられたことを例に取り、中国政府が言論の自由を認めていないことを非難した。

注:2015年10~12月に香港で反中国関連の書籍を販売していた“銅鑼湾書店”の関係者5人が中国政府によって拉致され、後に逮捕された事件。5人のうち4人はすでに釈放されて香港へ戻っているが、書店の株主でスウェーデン国籍の桂民海(現在53歳)は未だに釈放されていない。

 さらにロンダールは、先週の番組で中国の地図に台湾とチベットの一部が含まれていなかったことは謝罪せず、当日の番組では中国国旗の“五星紅旗”で世界地図を覆(おお)って、中国政府に反抗する姿勢を見せていた。

 ロンダールの謝罪は改めて中国政府を激怒させた。翌29日、ロンダールの挑発に応じる形で記者会見した駐スウェーデン中国大使館のスポークスマンは、「スウェーデン・ニュース」の謝罪は、極めて不真面目かつ不誠実であり、中国政府に悪態をつき、その魂胆は腹黒いと高飛車に言い放った。

今後のスウェーデンと中国の関係がどうなるのかは予断を許さないが、少なくともスウェーデン政府が国是である言論の自由を曲げてまでも中国の言いなりに謝罪することはないのではないだろうか。「スウェーデン・ニュース」が番組の中で中国人旅行者に対し侮蔑的な対応を示したのは、非常識極まりない中国人親子3人が引き起こした宿泊騒動に起因するものであり、彼ら親子が自分たちの所業を棚に上げ、スウェーデン警察に粗暴な扱いを受けたと駐スウェーデン大使館に訴え、それを鵜呑みにした駐スウェーデン中国大使ならびに中国外交部がスウェーデン政府に抗議したことに起因する。

 誰が考えても、これは言いがかりであり、今や世界第2の経済大国になった中国としては余りにも大人気ない対応と言える。スウェーデンがチベット仏教の最高指導者であるダライ・ラマ14世を受け入れる国であり、上述した香港・銅鑼湾書店事件で不当逮捕されて、未だ捕らわれの身である桂民海の早期釈放を要求している国であっても、中国は大国としての矜持を示すべきだった。しかも、「スウェーデン・ニュース」が、中国人観光客を揶揄した内容は、世界各国から指摘され、中国政府自身が十分認識している民度の低さに起因するものなのである。

海外旅行客向けのマナー指南

 2006年10月1日、中国共産党中央委員会傘下の“中央精神文明建設委員会辦公室(略称:「中央文明弁公室」)”と中国政府“国家旅游局(国家観光局)”は、『中国公民海外旅行文明行為指南』と『中国公民国内旅行文明行為公約』を発表した。これは中国人観光客のマナーが余りにも悪く、海外のみならず国内からも非難の声が上がるので、対応に苦慮して取りまとめたものだった。このうち、海外旅行客向けの『中国公民海外旅行文明行為指南』を見ると、以下の内容が記載されている。

中国公民は、海外旅行では、礼儀を重んじ、尊厳を保つ。

衛生に注意し、環境を守り、身分や場所に相応しい衣服を身に付け、ケンカをしない。

老人を敬い、子供を愛(いつく)しみ、女性を優先し、礼儀正しく譲り合う。

出かけて事をするなら、時間厳守。列を作って秩序を守り、立ち入り禁止の線を越えない。

宿泊は礼節をわきまえ、備品を壊さない。食事は静かに、浪費はしない。

健康な娯楽は心身に有益。賭博や風俗は断固拒否する。

観光をするなら、規則を厳守。習俗のタブーは犯さない。

判断がつかないことに出会ったら、大使館や領事館に問い合わせる。

公衆道徳を守って海外旅行に行けば、道中は安全。

 なお、同時期に発行された『“文明旅游出行指南(文明観光旅行案内)”』には、イラスト付きで細かい説明が書かれている。たとえば、「痰(たん)やガムを所かまわず吐くな、ゴミを捨てるな、大小便をどこにでもするな。他人の前で鼻をほじる、歯をせせる、咳(せき)をする、くしゃみをするなどの失礼はするな」とあり、別の項には「果物の皮、紙屑、雑物などの廃棄物はゴミ箱に入れ、そこらに捨てるな。ゴミの分別投棄には注意を払え」と書かれている。まさに手取り足取りであるが、それほどに2006年当時の庶民は民度が低かったと言える。

“不文明的行為”の10項目

 上述の『中国公民海外旅行文明行為指南』は、2015年6月4日付で駐日本中国大使館の公式サイトに掲載されているから、10年間が経過した後も依然として有効な指南なのであろう。2016年5月7日付の「人民日報」海外版には、“中国旅游研究院”院長の“戴斌”が「我が国の海外旅行は過去10年間に急増し、昨年(2015年)の出国旅客は延べ1.2億人に達したが、これだけ海外旅行客がいれば、確率から言っても、一部の旅行客による“不文明的行為(公衆道徳をわきまえない行為)”の発生を防ぐことは困難である」と述べている。

 最近、中国国内で実施された「中国人の海外旅行で“不文明的行為”と考えられるのは何か」というネット調査では、1)文化財や文化遺産への落書き、2)所かまわぬゴミ捨て、3)芝生の踏み荒らしおよび草花の乱採、4)大声でのケンカや電話、5)秩序を守らず行列への割り込み、6)どこにでも痰を吐く、7)所かまわず大小便、8)団体旅行で時間の観念なし、9)ホテルのタオルで靴を拭く、10)地元の風俗習慣を尊重しない、などが上位にランクされたという。

これらは常識ある中国人が恥ずかしいと考える、中国人の海外旅行客による“不文明的行為”であり、『中国公民海外旅行文明行為指南』の発表から12年が経過した現在も大きな改善がなされていないことを意味している。

 中国語のニュースサイトで「大便」、「小便」を検索すると、多数の記事が見つかるが、2016年以降の例を挙げると以下の通り。

2016年8月:

ロシアのサンクトペテルブルグにあるエカテリーナ宮殿で、歴史的価値のある貴重な床板に中国人の母親が子供に小便をさせた。これは歴史上初めての出来事だった。

2016年11月:

オーストラリアのシドニーにある王室植物園で、2人の中国人男性が小便をして警官に見つかり、逃げようとして抵抗した末に逮捕された。2人は66歳と41歳で、浙江省“義烏市(ぎうし)から団体旅行でオーストラリアを訪れていた。

2018年3月:

マレーシアのクアラルンプール市内のPhileo Damansara駅に附属するイスラム教の祈祷室内にある足洗場で、中国人男性2人が小便をして問題になった。2人は「ここはトイレではない」という地元民の説明を無視して小便をしたのだという。

2018年7月:

香港の尖沙咀(チムサーチョイ)にある地下鉄駅のホールで、中国から来た10~12歳の少年5人と引率者の男性1人の団体のうちの少年1人が人目もはばからず大便をした。周囲の人が文句を言うと、「彼は急な下痢でどうしようもなかった」と引率者は答えたが、彼らは誰一人も大便の後始末をしようとしなかった。そこで引率者に大便を処理するよう言うと、「地下鉄の清掃係にやらせれば良く、我々が処理すると、彼らが失業する」と真顔で答えた。

2018年9月:

ロシアのモスクワにあるクレムリン宮殿内の「生神女福音大聖堂」で中国人観光客が小便をした。ガイドがトイレの場所を教えなかったことが原因とされるが、前代未聞の出来事にクレムリン宮殿はガイドに対する規制を強化するという。

2018年9月:

ガーナ共和国の花園で中国人の男が大便をして現地人に見つかり、ショベルで処理するよう要求を受けた。「お前の国では所かまわず大便をするのか」と尋ねられた中国人は、言葉に詰まり、ひたすら謝るだけだった。

ブラックリストで見せしめ

 中国政府は旅行中に“不文明的行為”を行った人物を罰則としてブラックリストに載せ、一定期間その旅行を制限する『観光客不文明行為記録管理暫定弁法』を2015年5月に施行した。これは見せしめを示すことで、中国国民に自覚を促そうとするものである。現在までに何人がブラックリストに載っているかは分からないが、2017年6月の時点で29人という報道があった。2018年9月末にも3人がブラックリストに新規登録されたが、このうちの2人は、マレーシアのボルネオ島に所在するサバ州の州都コタキナバルにあるイスラム教のモスク前でセクシーダンスを踊った不届き者で、37歳と25歳の中国人女性であった。

 こうして見てくると、「スウェーデン・ニュース」が中国人観光客を揶揄した内容は決して間違っておらず、中国政府がそれを十分認識していることは明白である。「スウェーデン・ニュース」が中国政府の痛い所を鋭く突いたので、国家の面子を守るために、逆切れするしか方策が無かったというのが真相かと思える。

 上述した10項目の「不文明的行為」が中国人の海外旅行者から無くなるのはいつの日だろうか。中国人の「自分さえ良ければ、他人が何と言おうと、我関せず」という性質から考えて、中国人の海外旅行者から「不文明的行為」を消滅させるのは困難と思える。義務教育を通じて子供たちに世界に共通する常識と道徳を学ばせ、国民全体の民度を引き上げることが先決ではなかろうか。

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『トランプの「中国潰し」に世界が巻き添え、貿易戦争は覇権争奪戦だ』(10/3ダイヤモンドオンライン 北野幸伯)、『日本に巣くう、強烈な「FTAアレルギー」 深層解説:日米首脳会談の知られざる内幕』(10/3日経ビジネスオンライン 細川昌彦)について

10/7阿波羅新聞網<惊传孟宏伟或涉北戴河政变 国际刑警正式向北京要解释=驚くべきことにICPO(国際刑事警察機構)のトップの孟宏偉は北戴河の政変にひっかかったのかも ICPOは正式に北京に説明を求める>アップルデイリーは「孟宏偉は中国政治のタブー、北戴河の政変に触れた嫌疑で勾留されたのかも。事件は重大且つ緊急を要するため、当局は与える影響も顧みず孟宏偉から話を聞くこととした」と報道。但し詳細は分からず。

香港の東方日報に依れば、中共はICPOにまだ正式に回答していないとのこと。

ある情報によれば、中共の役人が言うには「孟宏偉は貪欲にも法に違反して不動産を購入、それなのに一所懸命人々を拘留し、世界を驚かせた。論理矛盾である」と。

AFPとロイターは「仏警察は孟宏偉の在仏の妻の安全保護の命令を出した。妻は夫の失踪届を仏警察に出し、その時に生命の危険に関する脅しを受けたとも指摘した。仏警察は既に調査に入った。

中国では上から下に至るまで賄賂漬けですので孟宏偉に限ったことではありません。ただ上に行けば行くほど賄賂額が大きくなるだけです。腐敗で捕まるのは政敵打倒と、額や配るべき人を間違えたときだけです。産経によれば、14年間公安省次官を14年務め、周永康派とのことです。習近平の暗殺計画でも起こそうとしていれば別ですが、国際組織のトップを呼びつけて逮捕拘留するのは異常です。前に周永康と組んで習を狙ったとしても済んだことであり、緊急性はないでしょう。習の判断が狂ってきているのでは。安倍首相も訪中した時には、彼らの権力闘争に巻き添えを食わないように発言には充分注意しませんと。

http://www.sankei.com/world/news/181006/wor1810060017-n1.html

http://www.aboluowang.com/2018/1007/1185223.html

10/7看中国<一幅中国地图隐藏的秘密(组图) 我的中土情怀=中国の地図の隠された秘密私の国土への思い>毛沢東がソ連を助けるために、外蒙古を売ってしまった。蒋介石は同意せず、それで中華民国の地図には外蒙古が入っている。

中華民国地図

中華人民共和国地図

釣魚島の歴史については大陸人だから台湾の歴史については詳しくない。台湾と付属島嶼(含む釣魚島)は日清戦争で日本に割譲・帰属した。第二次大戦で日本は負けたのだから還すべきなのにまだ返していない。

この中国人は歴史を知らない。中共の主張を鸚鵡返ししているだけでしょう。別に尖閣は日清戦争前から日本が統治していたのを、国民党政権が、68年の国連の石油埋蔵調査を知り、70年に台湾のものと言いだしたのが始まり。そうでなければ米国が射爆場として使用することは無かった筈。尖閣問題は長崎純心大学の「いしゐのぞむ」教授が詳しいです。歴史的に日本の領有の正当さを主張しています。日本政府がもっと「いしゐ」氏を活用すべきと思いますが。

https://www.secretchina.com/news/gb/2018/10/07/869839.html

10/4日経 FT<対中冷戦へと進む中国

米国が9月24日、対中制裁関税第3弾として2000億ドル(約22兆円)相当の中国製品に追加関税を課したことを、トランプ米大統領によるいつもの挑発行為の一つとみるのはたやすい。トランプ氏の首にかけられた法的な縄がここへきて締まり始めているように思えるなか、米国民の目を海外に向けさせる必要があるのだろう、と。

しかし、それは間違った見方だ。実際、今回のあまり賢明とはいえない追加関税は、ホワイトハウス内だけで拙速に決めた政治判断ではない。今回の措置は、もっと危険で永続的なものを表している。米国と中国の経済的、政治的関係は完全にリセットされ、これからは貿易戦争というより冷戦に近い状態が始まるということだ。

■米中関係のリセットは企業に根本的変化もたらす

イラスト Matt Kenyon/Financial Times

中国との関係を根本的に見直すというのは、トランプ氏の考えだけでなく、右派と左派双方の幅広い支持も得ている。それだけに事態は深刻だ。トランプ氏は確かに対中貿易赤字の削減に固執しているものの、同時に自分の利益になると思えば取引をする人間だし、中国がトランプ氏の態度を軟化させる策を何かひねり出せないはずがない。

しかし、トランプ政権の経済的タカ派であるナバロ大統領補佐官(通商担当)や通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は、トランプ氏とは異なり、まったく別のゲームを戦っている。彼らは、中国との経済関係を断ち切ることが長期的には米国の国益にかなうと信じている。

こうした考え方に同意する向きは、米国防総省にも多くいるし、労働運動を手掛ける進歩的な左派にもいる。彼らの中には、トランプ氏が大統領職を去った後もずっと権力のある地位に就く人も多くいるはずだ。それぞれに目指すものは異なるが、米中は長期的に戦略的対立関係にあり、従って米国の貿易政策と安全保障政策を別々に考えていてはいけないという見方でほぼ一致している。

米中関係をこのように根本から見直すことは、グローバルに事業を展開する企業にとって根本的な変化を意味する。

国際的な企業の経営者たちは、今回の追加関税はあまりに広範囲にわたり、かつ高率なため、米国にインフレ圧力をもたらすことから、製品価格を引き上げざるを得なくなると不満を表明している。しかし、政権内の経済的タカ派たちには、こうした経営者に同情する向きは全くない。それどころか、こうした企業を米国の裏切り者だとさえ考えている。中国という西側の根本的な価値観を共有することもなく、いろいろ条件をつけて最終的には自国の市場への平等なアクセスも認めない国に、自社の短期的な利益を優先して米国の事業を移してきたとんでもない存在だとみている。

今の経済的、政治的環境で政策の方向性や世論を牛耳っているのは、タカ派だ。彼らには、中国による知的財産権や人権の侵害、南シナ海での中国の攻撃的な行動など、自分たちの主張を正当化する材料は多くある。

中国を専門とする調査会社ガベカル・ドラゴノミクスの責任者アーサー・クローバー氏は、「中国をかつてのソ連のような『修正主義』勢力だとみなす意見をよく聞く。従来とは全く異なる体制を世界に広めようとしているという意味だ」と話す。この見方は大げさすぎるかもしれないが、中国やロボット(中国製ロボット)に仕事を奪われるのではないかとの懸念を強めている一般の米国民には、今の経済のグローバル化を擁護する意見より、こうした大げさな意見の方が心に響きやすい。

■米企業にサプライチェーンの見直し迫る

タカ派はこれまでのところ非常に巧妙に、消費者物価への影響を最小限に抑えるよう関税対象を選別する一方で、最も重要と考えられるサプライチェーンを中国に移してきた企業を罰している。米半導体大手クアルコム(米中両国のナショナリズムの犠牲になった面もある)や米IT(情報技術)機器大手シスコシステムズをみれば分かる。シスコのルーターやスイッチは、欧米だけでなく中国でも都市のIT化に利用されており、同社はこれらの製品を今回の関税対象から外すようロビー活動を展開したが、そうはならなかった。

ホワイトハウスは、国防総省がこのほどまとめた白書を近く発表するようだが、同白書は米企業に一部の部品調達については米国内に移すよう提言している。このように同白書が、トランプ政権の今後の産業政策をどういう方向に持っていくかを示すことになるかもしれない。ただ、米中が冷戦に突入すれば、企業によってその被る影響に差が出ることは間違いない。

従来型の消費者向け事業を展開する米スターバックスや米ウォルマートなどは、様々なデリケートなデータを吸い上げるIT企業や、マッピングや自動運転車など戦略的分野に取り組む企業よりも、中国市場での立場を維持しやすい。米中の貿易戦争が冷戦に発展したら、米アップル、米フェイスブック、米マイクロソフト、米グーグルおよびその他中国で事業をする多くの米国の多国籍企業は、難しい選択を迫られるだろう。米国の中国に対する国家的な懸念に対して、見て見ぬふりを続けられなくなるからだ。

■政治をもはや無視できなくなる米企業

短期的には輸出依存が大きい中国の方が苦労するかもしれない。だが、中長期的には米企業の方が米国内にサプライチェーンを再構築しなければならないという意味で、苦労しそうだ。

ゲームの「フォートレス・アメリカ」のように、すべてを米国内で調達することは政治的にも現実的にも不可能だ。従ってトランプ政権は、米国としての産業政策を進めたいのであれば、欧州を含む貿易パートナーと同盟関係を確立する必要がある。だがこれは、決してトランプ氏が得意とすることではない。

企業が進む先には、事業の存亡に関わる本質的難題が立ちはだかる。例えばグーグル。同社の親会社、米アルファベットのラリー・ペイジ最高経営責任者(CEO)は、ロシアが米IT企業のプラットフォームに干渉したかどうかについての上院の公聴会での証言を拒否した。だが、一方で同社が、中国当局の検閲を容認する形で同国向け検索サービスを始めるとしたら、それはこの企業にとって、どんな意味を持つことになるのか。

経営者らは、政治は自社の事業には関係がないとの立場を貫けるだろうか。これまで経営者は好んでそう考えてきたが、それは今、希望的観測にすぎないように思える。

By Rana Foroohar

(2018年9月24日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)>(以上)

FTも気づくのが遅いとしか思えません。トランプ大統領が誕生したのは、敵の中共を倒し、産業を米国に回帰させ、雇用を拡大するためです。儲かれば何をしても良いと言うような経営者は淘汰されるでしょう。中国側に立つ経営者は自由社会でビジネスできなくなるでしょう。今はそこまで行きませんがやがて来ると思っておいた方が良い。日本の経営者も同じようにしなければ排除されるようになります。今の日本の経営者でそこまで読めている人は殆どいないでしょうが。政府もきっちり指導して国益を守るように動かねば。第二次大戦の誤りは組む相手を間違えたことです。今中国に近づくことは同じ過ちを繰り返すことです。

北野氏の記事は、まさしくその通りで、今米国は米国が作って来た国際組織を壊そうとしています。何故そんなことをするのかと言うと、狡猾な国が善意を利用し、悪をはびこらしてきたからです。悪を罰することもできない組織はガラガラポンして作り替えるしかないでしょう。

細川氏の記事では、交渉の場面でトランプと部下とで役割分担しているのではという気になりました。「俺たちは合意したけれど、上がNoだから」「上と相談して」と言い訳して、相手を幻惑するのでは。中国に米国は何年も騙されて来ましたので、ちゃぶ台返しするのも良いでしょう。やはり、自由貿易の論理を主張できるは自由を認める国でないと。一党独裁・言論の自由のない国に「自由貿易を守る」と言われても。

北野記事

エスカレートする一方の米中貿易戦争。これは、もはや「米国の貿易赤字解消」といった次元を超えている。米国は覇権を維持するために、中国つぶしに動き始めたと見るべきだろう。そう、米中貿易戦争は、「米中覇権争奪戦争」でもあるのだ。(国際関係アナリスト 北野幸伯)

米中が経済制裁の応酬!戦争には「戦闘」以外の形態もある

中国を本気でたたきつぶし、覇権を維持しようと目論むトランプ。中国には勝っても、世界経済を道連れにする恐れがある Photo:Reuters/AFLO

トランプ政権は9月24日、対中国制裁第3弾を発動した。中国からの輸入品2000億ドル相当に、10%の関税をかけることになる。これに対して中国は、米国製品600億ドル相当に報復関税をかける意向を示している。

これを受けてトランプは、対米報復制裁が発動されれば、さらに2670億ドル相当の中国製品に関税を課すと警告した。現実にそうなれば、米国は、中国からの全輸入品に関税をかけることになる。

筆者はこれを、「米国の貿易赤字解消」という次元を超えた、米中の覇権争奪戦と見ている。そう、実際に武器を使用していなくても、立派な戦争である。

「大げさだな」と感じる人は多いだろう。日本人は「戦争」と聞くと、「ミサイルをぶっ放した」「空爆した」「戦闘機が戦った」「戦車で進軍してきた」など、「戦闘行為」を思い浮かべる。しかし世界的に見ると、「戦争」という言葉の意味は、もっと広い。

考えてみよう。戦争はまず、ある国の「指導者の頭の中」で始まる。彼は敵国を設定し、「たたきつぶそう」と決意するが、翌日早速軍隊を送るだろうか?敵国が弱く、間違いなく圧勝できる場合ですら、いきなりそんなことはしない。

国際社会から非難されて経済制裁を科され、かえって自国の方が苦しくなる可能性があるからだ。

では、どうするのか?

普通、戦争は「情報戦」から始まる。これは、敵国を「悪魔化」する目的で行われる。理由は2つ。第1に「国際社会を味方につける」ためである。戦闘して勝ったはいいが、結果国連から制裁を受けては意味がない。第2に、自国民に「戦争やむなし」と信じさせるためである。戦争中に「反戦派」がうるさくては困るのだ。

第2次世界大戦前に行われた情報戦、外交戦、経済戦

情報戦の例を挙げよう。1932年、日本は満州国を建国した。中国は当然これに不満で、国際連盟に訴えた。そして、情報戦を開始。「田中メモリアル」という「日本の世界征服計画書」を全世界に拡散した。もちろん、実際は日本の「世界征服計画」など存在せず、「田中メモリアル」は「偽書」である。
しかし、中国は情報戦を有利に進め、世界の国々に、「田中メモリアル」=「本物」と信じさせることに成功した。その結果、日本は「世界支配を企む悪の帝国」となり、「国際連盟脱退」に追いこまれてしまった。1930年代の例を挙げたが、もちろん現在も情報戦は行われている。

「外交戦」も重要だ。これは、自国の仲間を増やすことで、敵国を孤立させるために行われる。たとえば、1937年から始まった日中戦争で、中国は、米国、英国、ソ連から支援を受けていた。日本は、外交戦でも負け、孤立していた。

そして、「経済戦」。経済制裁によって、敵国に大打撃を与えることができる。一番わかりやすい例は、米国が、英国、中国、オランダを巻き込んで、日本に対して実行した「ABCD包囲網」だろう。

米国は、1937年から日本への経済制裁を開始。1941年8月には「対日石油全面禁輸」措置が発動されている。この4ヵ月後、追い詰められた日本は真珠湾を攻撃し、「戦闘」という意味での「日米戦争」が始まった。

トランプ政権誕生前から米国内は「対中戦争モード」だった

最後に「代理戦争」。これは、大国が特定の勢力を支援することで行われる。たとえば、シリアで欧米は、「反アサド派」を支援している。一方、ロシア、イランなどは「アサド政権」を助けている。これは、欧米vsロシアの「代理戦争」である。
ほかにもある。ウクライナだ。欧米は、ポロシェンコ政権を支持している。ロシアは、ウクライナ東部ドネツク、ルガンスクのいわゆる「親ロシア派」を支援している。ウクライナ内戦は、欧米とロシアの「代理戦争」なのである。

こうして歴史を振り返ると明らかなように、リアルの「戦闘」は、武器を使わないさまざまな戦争を経て勃発する。では、米中の現状は、どう考えるべきなのだろうか?

筆者が「米中貿易戦争」を「覇権争奪戦争」と見る理由はいくつかある。

まず、トランプが大統領になる前、すでに米国内では、「中国と戦って勝たなければならない」と主張するベストセラー本が出ていた。

1冊目は、国防総省顧問マイケル・ピルズベリーの『China 2049』。「中国は、建国100年目にあたる2049年までに、世界覇権を握ろうとしている」という内容だ。ピルズベリーは、「アメリカはこのマラソンの敗者になろうとしている」(P.28)、つまり、覇権争奪戦で中国に負けると警告している。

2冊目は、トランプ大統領の補佐官で国家通商会議議長ピーター・ナヴァロの『米中もし戦わば~戦争の地政学』だ。この本は、「米中戦争が起こる確率」は、「非常に高い」という話から始まる。そして、第6部のタイトルは、「力による平和への道」である。中国に強硬な姿勢で対抗することを主張している。
この2冊は共に、米国での出版は2015年である。つまり、トランプが大統領になる2年前に出されている。

そして、この年の3月、「AIIB事件」が起こっている。イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スイス、イスラエル、オーストラリア、韓国など親米国家群が、米国の制止を無視し、中国が主導する「AIIB」への参加を決めたのだ。

反中→仲直り→やっぱり反中…目まぐるしく変わるトランプの胸中は?

この事件は、米国の支配力低下と、中国の影響力増大を世界に示した。つまり、米国には「中国を打倒しなければ、わが国の時代は終わる」という強い危機感が、トランプ政権誕生前からあったのだ。

このような機運の中、トランプは「反中大統領」として登場した。選挙戦中も、一貫して反中だった。選挙に勝つと早速、台湾の蔡総統と電話会談し、中国と世界を仰天させた。

しかし、2017年4月、初めて習近平に会ったトランプは、以後「私は彼のことが大好きだ!」と公言するようになる。米中関係は、一気に改善された。
なぜ、そうなったのか?トランプは、北朝鮮問題で習近平の助けを必要としていたからだ。そして習近平も、トランプを助けることを約束した。

ところが、それから1年たって、トランプは中国との貿易戦争を開始した。唐突に見えるかもしれないが、以下のような流れだったのだろう。
(1)トランプは、もともと「米国の覇権を維持するために、中国をたたこう」と考えていた
(2)しかし、習が北朝鮮問題で協力する意向を示したので、様子を見ていた
(3)ところが、1年たっても何も変わらないので、元の路線に戻った

ご存じのように、中国はロシアと共に、北朝鮮を守り続けている。

さらに、報道されているように、「米国の貿易赤字を減らすため」とか「知的所有権を守るため」だけの「貿易戦争」ではない理由はほかにもある。

トランプ政権の動きを見ていると、もっと「トータルな戦争」を開始しているからだ。

人権問題批判に中国軍への制裁 台湾への武器輸出も再開した米国

たとえば、トランプ政権は突然、中国が「100万人のウイグル人を拘束している!」と批判し始めた(太線筆者、以下同じ)。

<米国務長官、ウイグル人拘束めぐり異例の中国批判
【AFP=時事】9/22(土) 17:38配信  マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)米国務長官が21日、中国政府に対し、イスラム教徒の少数民族ウイグル人を多数拘束していると異例の強い論調で批判し、不穏さを増す米中関係に新たな火種が浮上している。>

これは、「中国悪魔化」のための「情報戦」を開始したと見ることもできる。なぜそう言えるのかというと、米国は、自国に都合のいい時しか「人権カード」を切らないからだ。

たとえば、米国の同盟国サウジアラビアは、民主主義のカケラもない、絶対君主制の人権侵害国家である。しかし、米国がサウジの人権問題を批判することはない。

実際、米国は長い間、中国の人権問題を批判してこなかった。これが再開されたことには、大きな意味があると見るべきだ。

また、トランプ政権は、なんと「中国軍」にも制裁を科している。

<米国>中国人民軍を制裁 露から戦闘機など購入
毎日新聞 9/21(金) 19:15配信  
 【ワシントン鈴木一生】トランプ米政権は20日、中国人民解放軍の兵器や装備品を管理する部門とその責任者に制裁を科すと発表した。米国の対ロシア制裁に違反して2017~18年、ロシア国営武器輸出企業「ロスオボロンエクスポルト」と取引し、戦闘機10機と最新鋭の地対空ミサイルS400関連部品を購入したことが理由という。制裁は、米金融機関との取引や米国人とのビジネスを禁じる内容。>

さらにトランプは、中国が「自国の一部」と主張する台湾に武器輸出することを決め、中国を激怒させた。

<中国外務省の耿爽(こう・そう)報道官は25日、トランプ米政権が台湾への武器売却を議会に通知したことに関し、「中国の主権と安全保障の国益を損なうものだ」と述べて「強烈な不満」を表明した。中国は米台の軍事交流の停止を求めているが、米中間では貿易分野だけでなく軍事部門でも関係が悪化しているのが現状だ>(産経新聞 9月25日)

戦闘しにくい核時代は「経済戦争」がメインに

米中関係は、過去の戦争のように、情報戦、外交戦、経済戦、代理戦争などを経て、必要があれば「戦闘」をして敵国をたたきつぶすところまで行ってしまうのだろうか?

1930年代と現代では、実は大きく異なる1つの事情がある。「核兵器」の存在である。これが、戦争の形態を変えた。

米中ロにはそれぞれ、敵国を壊滅させるのに十分な核兵器がある。それどころか、地球を「人の住めない星」に変えることすらできる。結果、大国間の戦闘は、起こりにくくなっている(既述のように代理戦争は起こっているが)。

現在では、「経済戦争」が「主戦場」になっているのだ。たとえば、ロシアは2014年3月、クリミアを併合した。さらに、ウクライナ東部ルガンスク、ドネツクを支援して、事実上の独立状態に導いた。そして、ロシアは、シリア・アサド政権支援を続け、ここでも勝利している。
しかし、米国は、ロシアと直接戦闘することはない。では、米国はロシアに負けっぱなしなのだろうか?

そうではない。何かあるたびに、米国はロシアへの経済制裁を強化している。それで、ロシア経済はボロボロになってしまい、プーチン政権は、大打撃を受けている。

トランプが、「米中貿易戦争で、中国に勝とう」と考える理由もわかる。米国は、年間5000億ドル強を、中国から輸入している。一方、中国は、米国から年間1300億ドルしか輸入していない。貿易戦争によって、お互いの全製品に関税をかけたとすると、中国が受ける打撃は、米国が受ける被害の3.8倍になる。

それでトランプは、「貿易戦争で、米国は中国に勝てる」と確信しているのだろう。

中国に勝ちたい米国が世界経済をも破壊する

果たして、米国は中国に勝てるのだろうか?

その可能性は、高い。というか、成長期の最末期にある中国の栄華は、米中貿易戦争がなくても、終わりつつあった。トランプが何もしなくても、中国の成長率は鈍化し続けていたのだ。今回の貿易戦争は、中国の没落を加速させる結果になるだろう。

ところが、それで米国の繁栄とはなりそうもない。世界中の研究者が懸念しているのは、「中国を倒したいトランプが、世界経済を道連れにすること」である。

ノーベル賞学者のクルーグマン教授は、6月にこうツイートした。

「トランプ大統領が貿易戦争に向かって行進する中、私は市場の慢心に驚いている」
「トランプ氏が行くところまで行って、世界経済を壊すのかはわからない。しかし、相当な可能性があるのは確かだ。50%?30%?」

対中制裁第3弾発動で、「トランプが行くところまで行って、世界経済を壊す可能性」は、さらに高まった。

細川記事

日米首脳会談で「物品貿易協定」(TAG)の交渉に合意したといわれるが、実態は自由貿易協定(FTA)にほかならない――。通商交渉の舞台裏を知り尽くした細川昌彦氏が、日米首脳会談におけるパワーゲームの深層を徹底解説する。

日米首脳会談 国連総会に合わせて実施 貿易交渉開始で合意(写真:AFP/アフロ)

まず、今回の首脳会談について素直に評価する点から始めよう。

9月26日に開催された日米首脳会談における日本側の最大の焦点は、トランプ大統領が打ち出した自動車への25%の追加関税という脅しを避けるために、新たな貿易交渉をスタートすることだった。

米国は追加関税で脅しながら、交渉入りを迫った。これに対し日本が最優先としたのは、自動車の追加関税を発動しない確約を得ることだった。とりあえず今後交渉している間は発動しない確約を得たようだ。これは7月の米欧首脳会談での欧州連合(EU)も同様の交渉をしており、日本はEUのやり方を参考にした。

ただし、その拳は「挙げたまま」、ということも認識しておくべきだろう。米国はまだ脅しのカードを手放したわけではない。EUも日本も「交渉が続く限りは自動車への追加関税はない」と説明するが、米国から言えば、「脅しのカードを持ち続けて交渉する」というものである。

日本はこれまで長年、米国からの圧力で譲歩を迫られることを懸念して、米国との2国間交渉を避けてきた。他方、今のトランプ政権は2国間協定にこだわって、米韓自由貿易協定(FTA)の見直し交渉、北米自由貿易協定(NAFTA)の見直し交渉、EUとの貿易交渉など、次々と2国間交渉を進めている。いつまでも日本だけが交渉に入ることを拒否し続けられないと、日本も現実を見据えた対応をしたのだろう。

日米首脳が合意した交渉は「物品貿易協定」(TAG)という名のFTAの交渉だ。日本政府の発表では、これから日米でスタートするのは「物品貿易協定(TAG)」だとして、あえてFTAという名称を避けたようだ。それはなぜか。

日本が「FTA」の名称を避けたいわけ

確かに、モノの貿易の関税の交渉を始めることにしたのだから、TAGと呼ぶこと自体は間違いではない。しかし世界貿易機関(WTO)という国際ルールでは、特定国に対して関税を引き下げるにはFTAという手段しかないということを忘れてはならない。TAGという名称を付けようが、付けまいが、それはFTAなのだ。

安倍総理は「これはFTAか」との記者の質問に、「日本がこれまで締結してきた包括的なFTAではない」とすれ違い答弁をわざわざしている。これがその後、日本の報道に混乱と誤解を招いたのだ。これは「包括的でないFTA」であっても、当然FTAである。

では何故FTAと呼ぶのを避けたのか。

日本には伝統的にFTAに対して強烈なアレルギーがある。FTAになれば、米国からの圧力で日本は農産物の市場開放をさせられるとの被害者意識が根強くある。だから、国会答弁でも「今の協議はFTA交渉ではない」と言い続けてきた。

実は同じように日本がFTAという名称を避ける動きは16年前にもあった。日本が編み出した「経済連携協定」(EPA)という言葉がそうだ。この言葉も日本の造語だと言うことはあまり知られていない。

かつて1990年代後半ごろから世界はFTA締結へと動いていたが、日本はこうしたこともあって、この潮流に乗り遅れていた。そこで日本もついに2002年にシンガポールとの間で初めてFTAを締結した。その際もやはり、FTAと聞くと強く反発する農業関係者にどう説得するかが最大の問題であった。相手国にシンガポールを選んだのは、農産物の市場開放にはおよそ無縁な国だからだ。しかも名称をFTAではなく、関税引き下げよりもルールの策定を重視したFTAとして「経済連携協定(EPA)」という名称を編み出して、FTA色を薄めることに腐心した。実は名前がEPAであっても、実態はFTAなのだ。

15年以上経った今も、日本の“FTAアレルギー”は変わらない。今回、「TAG」という名称を考え出したのもFTA色を薄めるためで、歴史は繰り返される。EPAと言おうが、TAGと言おうが、WTOのルール上はFTAという概念しかない。現に米国では日米のFTA交渉として認識され、「日本とFTA交渉をする」と報道されている。

いつまでも言葉で逃げるのではなく、むしろFTAであることを正面から認めて、その中身の是非について議論する成熟さが日本には必要だ。

むしろ問題は交渉の内容だ。恐らく中間選挙後の年明けからスタートするであろうFTA交渉で後述する点で日本はどこまで頑張れるかが大事だ。

トランプ氏の中間選挙対策として「牛肉の手付金」

自動車の追加関税の回避のために2国間交渉に入った日本が懸念するのは、「農産物の市場開放において環太平洋経済連携協定(TPP)で合意した以上の譲歩を迫られるのではないか」という点であった。これが日本の農業関係者の最大の懸念で、この懸念を払拭することが、日本にとっての次の優先事項だった。首脳会談では、「TPP水準が最大限である」ことを留意させたことは成果であった。

ただしそれは裏返せば、「TPPで約束した水準までは引き下げる」と言ったのも同然だ。これからの交渉で関税引き下げが決まるのではあるが、今回、既に “手付金”を払ったと言える。トランプ大統領にとってはありがたいことに違いない。

トランプ大統領の狙いは中間選挙に向けての得点稼ぎだ。ターゲットは牛肉である。

TPPを離脱した結果、TPPに参加している豪州産牛肉に比べて、相対的に不利になる。さらに米中間の関税合戦の結果、中国の報復関税によって、米国の牛肉、大豆が打撃を被っている。中西部の農業州の農畜産業者の不満は爆発寸前だ。11月の中間選挙に向けて、この不満解消はトランプ大統領にとって至上命題となっている。

そこで7月の米欧首脳会談では欧州から大豆の輸入増を勝ち取り、今度は日本から牛肉の輸入拡大を勝ち取って支持層にアピールする。わかりやすい構図だ。

日本も欧州同様、コミットではないが、トランプ大統領が支持者に成果とアピールできるような「仕立て方」をEUのやり方を参考にして考えたのだ。

今後の焦点は自動車の数量規制

今回の首脳会談の共同宣言文に気になる文言が盛り込まれてしまった。

今後の交渉において日米双方が目指すものとして、「米国の自動車産業の製造及び雇用の増加を目指すものであること」と書かれているのだ。これは要注意だ。日本が農産物について既に述べたような「TPPでの水準が関税引き下げの最大限だ」とする文言を入れること主張したために、「それならば」と米国がその引き換えに持ち出したものだ。

今回の首脳会談の結果に対して、日本の中には「自動車の追加関税を免れるために、農業が犠牲になった」という人もいるが、逆に「農業はTPP止まりという条件を米国に飲ませるために、日本は自動車で譲歩させられた」とも言える。

これは何を狙っているのか。

米国の交渉責任者であるライトハイザー米通商代表部(USTR)代表の目指すのが自動車の数量規制だ。追加関税の脅しで数量規制に追い込もうとしている。米韓FTAの見直し交渉で韓国に、NAFTA見直し交渉でメキシコ、カナダに数量制限を飲ませた手法だ。G7(先進7カ国)の一角であるカナダまでこの“毒まんじゅう”を食べさせられたのは衝撃だ。

そして今、ライトハイザー代表は同様の手法で、EU、そして日本と交渉をしようとしている。

米国の自動車販売台数は年間およそ1700万台で成熟市場になって、今後大きな伸びは期待できない。そういう中で、日系メーカーが米国で生産するのは377万台、米国内で生む雇用(間接も含めて)は150万人だ。これをさらに増加させるには、対米投資を増加させ、現在174万台である対米輸出台数を減らすことになる。その結果、日本での国内生産969万台は減らさざるを得なく、国内雇用にも影響する大問題なのだ。

そしてそれを実現するために、今後の交渉で、米国がこの文言を盾に「対米輸出の数量規制」や「対米投資の数値目標」を強く要求してくると考えるのが自然だ。まさにこれこそ日本が断固拒否すべき管理貿易なのだ。

これが、これから始まる交渉の最大の焦点であろう。

日本政府はこの文言を受け入れたことで、もちろん今後厳しい交渉が予想される。日本政府は平静を装い、メディアも大本営発表のせいか、意味不明の解説をしているものまである。本当にこの文言が日本にとって大きな失点でないならば、それを今後の交渉の結果で示すことを日本政府には期待したい。

新交渉で注目すべきは「米国の自動車関税」への攻めだ

今回の首脳合意を受けて、新たな日米交渉が年明けにも始まるが、そこで注意しなければならないのが、日本は受け身一辺倒にならないことだ。日本はメディアも含めて、伝統的に「米国から攻められるのをどう守るか」にばかりに関心がいく悪い癖がある。しかし交渉は相手を攻めることも大事なのだ。

具体的に米国を攻めるべきポイントは「米国の自動車関税」だ。米国は乗用車で2.5%、ライトトラックで25%の関税をかけて、これを死守しようとしている。

かつてTPPにおける米国との関税交渉では、日本の農産物の市場開放と米国の自動車の関税撤廃がパッケージで合意されたことを忘れてはならない。

新交渉でも当然、日米双方向でなければならない。かつてのTPP合意と同様に、日本の農産物の関税引き下げだけでなく、日本が米国の自動車関税の引き下げを要求するのは当然の主張だ。米国にかつてのTPP合意の“いいとこ取り”をさせてはならない。

注目すべき、対中国を睨んだ日米欧協力

日米共同声明に盛り込まれた注目点は、こうした日米2国間の問題だけではない。中国の知的財産権の収奪・強制的な技術移転など中国の不公正な貿易慣行が日米共通の今後の大きなテーマだ。その問題に欧州も含めた日米欧が協力して対処することが盛り込まれた。これは大いに評価すべき点だ。メディアの目が余りこの点に向いていないのは問題だ。

これがトランプ大統領の首脳会談の共同声明だからこそ意味がある。

こうした中国の経済体制に起因する根深い問題にはトランプ流の関税合戦は手段として問題解決にはつながらない。むしろ中国が徐々に改善せざるを得ない国際的状況を作り出すことこそ大事なのだ。しかしトランプ大統領自身は恐らく全く関心がない。中国とは2国間の関税合戦での駆け引きにしか関心がない。

そのことを理解しているのはライトハイザー代表だ。2017年12月から日米欧三極での貿易大臣会合を4回と頻繁に繰り返しながら、中国問題への対処を進めてきた。

問題はそうした取り組みがトランプ大統領のお気に召すかである。トランプ政権の通商戦略はトランプ大統領の独断で仕切られていることから、いかにうまくトランプ大統領の頭に刷り込むかがポイントになる。

それはライトハイザー代表の手腕にかかっている。

7月の米欧首脳会談の共同宣言にも同趣旨の文言が盛り込まれている。これはまさしく日米欧が連携した「トランプ対策」なのだ。これはこの政権が独特の構造であることを物語っている。

会談直前の夕食会が持つ大きな意味

同じく「トランプ対策」という意味では、会談直前での日米首脳2人きりの夕食会が大きな意味を持った。日米首脳会談の前に茂木大臣-ライトハイザー代表による閣僚レベルの交渉があったが、それに先立って、まず安倍総理とトランプ大統領との間で2人だけの夕食会がトランプ大統領の発案で開かれた。そこで安倍総理はトランプ大統領との直接の会話で、繰り返し刷り込んでいくことが可能になった。

トランプ政権ではトランプ大統領だけがポイントだ。それで失敗したのが中国で、閣僚レベルで折角合意できても、トランプ大統領にちゃぶ台返しにあってしまった。逆にEUは直前の閣僚折衝では物別れに終わっても、翌日の首脳会談でトランプ大統領のお気に召せば、丸く収まった。失敗した中国と成功したEUの例をみれば、どう対処すればよいか明らかだ。

そういう意味では安倍総理がトランプ大統領の頭を事前に作っていく機会があったことは効果的だったようだ。

これがトランプ政権との付き合い方なのだ

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『中国とバチカン接近であおりを食う台湾 中台双方と正式な“国交”樹立に期待の声も』(10/3日経ビジネスオンライン 福島香織)について

10/4NHKニュース5:32<バチカンの会議に中国司教が初参加 関係改善を反映 台湾は警戒

ローマ・カトリック教会の中心地、バチカンと中国が関係を改善させているのを反映して、世界各国の司教が集まるバチカンの会議に、初めて中国の司教が参加しました。

バチカンでは3日、世界各国からカトリック教会の司教や教会関係者およそ300人が集まる、恒例の「司教会議」が始まりました。
会議の開幕にあたってミサを行ったフランシスコ法王は、この会議に中国から2人の司教が初めて参加したことを明らかにし、「2人を温かく歓迎したい」と述べました。
バチカンと中国は、中国政府が内政干渉を理由にローマ法王による司教の任命を拒否してきたことで対立が続いてきましたが、先月、司教の任命方法で双方が暫定合意したことで、関係改善に向かっています。
今回の会議に中国から参加した2人の司教のうち1人は、中国政府に任命されていた司教で、暫定合意とともにフランシスコ法王から新たに正式な司教として承認されていました。
中国側としては、カトリック教会をなるべく中国共産党の管理下に置くとともに、将来、バチカンが台湾との間で維持する外交関係を解消させたい狙いがあるとみられます。
バチカン内では中国との暫定合意に批判的な声もあり、今後、どこまで関係が改善するのか注目されます。

警戒強める台湾

バチカンと中国が関係の改善に向かっていることについて台湾は、70年以上にわたって維持してきたバチカンとの外交関係が将来、解消される事態になるのではないかと警戒感を強めています。
このため台湾は、今月14日、バチカンで開かれる大規模な式典に蔡英文総統の特使としてカトリック教徒でもある陳建仁副総統を派遣し、関係のつなぎとめを図ることにしています。
中国は、蔡政権が「1つの中国」という考え方を受け入れていないと批判し、台湾と外交関係のある国々の切り崩しを図っています。
とくにことしに入って3か国が台湾との外交関係を断っていて、関係を維持している国は過去最も少ない17か国にまで減り、ヨーロッパではバチカンのみとなっています。>(以上)

10/3阿波羅新聞網<对圣座的侮辱 中共的胜利=教皇に対する侮辱 中共の勝利>バチカンが中国とサインしたことについて独メデイア(南ドイツ新聞)は「最大の侮辱」と評した。川の名前を変えるのと同じように考えた歴史的なこの合意は、独メデイアにとって宗教の自由に関心を寄せ続けさせる。「中国は国内ではイスラム教の影響を制限する仕組みを作り、国外ではバチカンに恥辱を与える合意を為した。寧夏ムスリム自治区の「艾依河=アイイ川」の名前を「典農川」と変えたのと同じ。北京は宗教の影響を減じることを益々システム的に行い、中共の幹部は川の名前までムスリム色が匂うという事で変えてしまった。アイイはマホメットの第三夫人のアーイシャを連想させるのとアイの発音が「愛」に繋がるのを嫌ったため。漢化宗教をうち出したのは習近平本人である」と報道。

オーストリアの「ニュース新聞」は「バチカンの為した中国との合意は教皇に対する侮辱である。何年にも亘り、力比べをしてきたが、これで中共の勝利となった。この合意は北京の指名したキリスト教愛国党の主教をバチカンが認めることになり、何らの報いもない。この理由は中国の教会の分裂を克服するため。でも世界のカソリック教会では聖職者の児童猥褻行為が問題になり、分裂の危機にある。信徒は心を痛めるばかりである。徹底して目を閉じ、中国の信徒や他の宗教が弾圧されているというのに、合意するとは。中国には第二のシンガポールになってほしい。今でも民主国家でないが、宗教の自由や少数民族を保護する国である。だが、この希望は打ち破られた。この合意は北京が原因でなく、バチカンの態度変更によるもので、迷妄なのはムソリーニ時代と同じである」と報道。

http://www.aboluowang.com/2018/1003/1183192.html

10/4阿波羅新聞網<特朗普发布讨伐中共檄文 彭斯全方位警告北京 还指明台湾民主为所有中国人展示更好道路 =トランプは中共討伐の檄文(国連での中共の中間選挙介入の件の発表)を発す ペンスはあらゆる方面で北京に警告 そして台湾の民主主義こそが中国人が進むべき道を示していると >ペンスは10/4ハドソン研究所で演説し、中共を非難した。航行の自由と、南米3ケ国の台湾断交は中共の差し金、また債務の罠を仕掛けていると。航行の自由作戦ではUSS Decatur駆逐艦が南沙諸島(Gaven Reef、Johnson Reef)の12海里内に入った時に、中国軍艦が接近、非常に危険な行為と非難。だが米国は国際法を守り、中国が何をしようが退くことはないと発言。

http://www.aboluowang.com/2018/1004/1184023.html

10/5阿波羅新聞網<教宗落泪迎「红色主教」引起强烈反弹 被批与魔鬼同流合污与狼共舞=教皇は涙を流して迎えた 2名の「桃色(アカに近い)主教」は強烈な反発を受ける 悪魔と同じく汚れ、狼と一緒に踊ると批判を受ける>

2018年10月3日、世界カソリック大会が開かれ、バチカン報道官のスパダロはツイッターに2名の中国の「桃色主教」を載せ、「中国の主教が参加するのは今回が初めて、場は共にできたことに喜んでいる」と。写真で二列目左が郭金才、二列目右から二人目が楊暁亭。

ある牧師が言うには、「中共のどこが教会にとって良いのか?キリスト教やカソリックを弾圧、教会解体だけでなく、十字架まで壊し、そこに国旗掲揚する。教皇は今の中国の状況を知るべきで、何故関係を作るためといってこんなことをするのか」と。

http://www.aboluowang.com/2018/1005/1184232.html

福島氏の言うバチカンが台湾と中国との国交を認める可能性は薄いと思います。「台湾は独立国家」という形となり、中共は絶対認めないでしょう。またフランシスコ法王は桃色ではなく赤色法王なのでは。中共派遣の主教を涙を流して迎えるくらいですから。金に転んだとしか言いようがない。ゴッドファーザーパートⅢと同じです。世界が中共に警戒心を持ち出し始めたこの時にです。

まあ、米中が覇権争いをし、米国が台湾を国家と認めれば西側諸国は右倣えするでしょう。日米は尖閣だけでなく、台湾を共同防衛すべきです。台湾軍上層部が国民党系(=中国人)でしめられているのが気になりますが。少なくとも韓国は防衛する価値はありません。

記事

「カトリック教」を意味する「天主教」の十字架。台北で2018年9月23日撮影(写真:AP/アフロ)

バチカンと中国が、カトリックの司教任命問題について9月22日に北京で行われた会談で暫定合意書に署名したというニュースが世界を駆け巡っている。司教任命権に関する合意の可能性は3月下旬にも報道され、その背景については拙コラム「中国、バチカンと交渉決裂?」で解説したとおり。結局、この時点から半年経って暫定合意にこぎつけた。

あくまで“暫定”であり、任命権のプロセスの問題や、また反共産党的な中国の地下教会に対しての対応も不明だ。私が気になるのは、バチカンと台湾の関係がどうなるか。以前の拙コラムでは、中国とバチカンの関係を主に取り上げたことがあるが、今回は台湾サイドからの見方を中心に考えたい。おりしも9月末、東京で「世界台湾同郷会連合会第45期年会」が開催されていた。台湾出身の評論家・文筆家の黄文雄さんから世界中の台湾人が集まるから、いろんな人の話を聞いてみるといい、と誘われたので私も行ってきて、バチカン問題に関する見方、そして台湾の未来に関する予測についていろいろ聞いてきた。「チャイナ・ゴシップス」のタイトルのコラムで台湾のことを取り上げると、中国の欄で台湾を取り上げるな、と怒る方もいるのだが、今回は大目に見ていただいて、台湾から見た、バチカン問題について紹介したい。

この世界台湾同郷連合会の特徴は、タイトルに台湾とあることからもわかるように、思想的にはアンチ国民党の台湾派の人が主流だ。そういう政治的カテゴリーとしてまとまっている台湾人の間だけでも、多様な見方が混在する。たとえば、米中貿易戦争が台湾に与える影響にしても、中国に進出した台湾企業が受けるマイナス影響を大きく見る人もいれば、逆に中国向けの投資が台湾に向かうプラス効果を期待する声もある。米中対立が世界の不安定化を招き、台湾がカードに扱われるということへの不安を言う人もいれば、米国が台湾との関係を強化しようとしていることが台湾にとって好機だととらえる人もいる。では、バチカン問題についてはどうだろうか。

まずバチカン問題について現在の状況を整理しておこう。

9月22日、北京でバチカン外務局次長および北京外交部次長レベルの会合で、司教の任命をめぐる暫定合意書に署名。この合意書の全文は今のところ公開されていない。だがその後のバチカン側の報道を総合すると、署名がすぐさま、バチカンと中国の国交樹立で台湾の国交断交につながるというわけではなく、あくまで司教任命権についての暫定合意という。司教任命プロセスについても、公式に解説されてはいないが、最終任命権はバチカンの法王にある、と言う点で合意に至りそうだ。はっきりしていることは中国が任命し、バチカンが認めてこなかった7人の司教を、バチカンが今回改めて認めるということ。この先例をもって、中国側が選んだ司教をバチカンが任命するというプロセスが合意の落としどころであるということを示したのではないか。この7人の司教は、バチカンに対して破門取り消しの陳情を行っていた。

だが、文革後最悪といわれる宗教弾圧が今現在起きている中国習近平政権が選んだ司教たちを、バチカンサイドが受け入れるということは、バチカンが中国の宗教弾圧について容認したことになるのではないか、という一部西側人権国家の懸念がある。中国の宗教政策において、「宗教の中国化」が打ち出されているのは以前に拙コラムで取り上げたとおり。中国側は宗教の教義に変化はない、というが、信仰の前提に愛国的であることを強くもとめている。「宗教の中国化」の解釈についてはいろいろ言われているが、多くの宗教学者は中国による宗教のコントロール強化を意味すると理解している。

中国、バチカンそれぞれの思惑

一方で、バチカンサイドにはそれなりの思惑もある。この暫定合意を梃に年末までに地下教会として迫害を受けている少なくとも十数人の司教たちを中国当局に認定させる交渉を水面下で続けているらしい。報道ベースでは、中国でカトリック信者は1200万人で、愛国派500万人とその他・地下教会に大きく分かれている。地下教会は、ローマ教皇には忠誠を尽くすが、共産党には反抗的とされ、RFI(フランス国際放送中国版)によれば、この地下教会の神職として迫害されている人物は40人前後はいる。

このうち2割は90歳以上の高齢で、健康上の問題からも、このまま迫害に耐え続けることが困難ではないかとも危ぶまれている。バチカンが中国との妥協に急ぐのは、彼らを一刻も早く救いたいからだという。最も、当の迫害を受けている地下教会の司教の一人、魏静怡(洗礼名ヨセフ)は「私は中国当局の認可など必要としていない。だが認可を得られれば、バチカンが中国との調和と安寧を得られる助けになるだろう」(RFI)と、比較的冷静な受け止め方だ。

ちなみにプロテスタント、その他新興宗派を含めれば中国でキリスト教系信者は6000万人から1億人に上ると推計されている。中国としては、バチカン側に譲歩しすぎると、共産党員よりも多いかもしれないキリスト教信者に対するコントロール力を失い、これが中国の歴史で何度も繰り返されてきた“農民起義”の動力になる可能性を心配している。この交渉は中国側も慎重だ。

中国、バチカンのそれぞれの思惑はあれど、これに翻弄されることになるのが、台湾である。

中国のバチカン接近の目的はバチカンに中国の存在感を認めさせ、国内カトリックへの共産党の指導とコントロール強化をバチカンに容認させることもあろうが、それ以上に、台湾を国際的に孤立させるという意味がかなり大きい。台湾が国交を結ぶ国は現在17カ国にまで減っている。習近平政権になってから台湾は5カ国の友好国を失ったのだ。とりわけ今年はドミニカ、ブルキナファソ、エルサルバドルと3カ国がドミノ式にチャイナマネーになびく形で台湾との国交を断った。残りの台湾友好国の中で唯一ヨーロッパ国家であり、国際的にも影響力の大きいバチカンがこの上、中国と国交を結び台湾と断交すれば、台湾の国際的立場は極めて脆弱になってしまう。

「第三の選択」の可能性

16世紀からローマ・カトリックの版図に組み入れられてきた台湾には17世紀から本格的に宣教が開始された。仏教や道教、土俗信仰が根強い台湾で、キリスト教は決して多数派の宗教にはならず、現在もプロテスタントを含めてもキリスト教信者は58万人ほどだが、1951年にバチカン公使が中国から追い出されて以降は、台北がバチカンの公館所在地であり、1966年に台北のバチカン(ローマ教皇庁)公使館は大使館に昇格した。1971年に中華民国が国連から脱退したのち、教皇庁大使は召還されるも撤収、いわゆるchargé dʼaffaires(代理⼤使、代理公使)によって事実上の国交を維持している。台湾の在バチカン公館は土地の狭さの関係でバチカン市国外に置かれているが、運営は正常におこなわれている。なぜ、台北においての大使名称が避けられたかは、やはり国際政治的理由があるが、すくなくとも中華圏のカトリック信者とバチカンをつなぐ窓口は台湾にあった。

さて、バチカンは果たして台湾と断交するのかしないのか。信者の数という点においては、中国との国交を結ぶ方がバチカンにとっては意味のあることだろう。

世界台湾同郷連合会年会に参加していた台湾人たちに、この質問をぶつけてみた。トロント、シアトル、ベルリン、東京そういった先進国の都市に暮らす台湾知識人たち10人前後から話を聞いたが、意外に答えは大きく三つほどにばらけた。「バチカンが台湾を放棄する流れには歯止めはかけられない。年内にはバチカン中国の国交が樹立し、台湾は断交されるだろう」「バチカンと中国との国交樹立はそう簡単ではない。台湾側もバチカンに働きかけているところだし、数年内に決着の出る問題ではない」。そして三つ目が「バチカンは中国と台湾の両方とも国交を維持する最初の国になるのではないか」というものだ。

答えとして興味深いのは三つ目だ。そう考える根拠を聞くと、バチカンは普通の国ではなく、国交といっても、経済・安全保障の問題にはほとんど関係ない、あくまで宗教分野の交流に限定される特殊な関係であり、普通の国交とは別格に考えていいだろう、ということだ。

バチカンの在外公館として現在台北に置かれているのがchargé d’affairesであれば、もし北京に大使館が置かれても、一国に二人の大使を派遣しているという矛盾はうまく言い訳できるのではないか。台湾としては何としても、バチカンとの絆を断たれるわけにはいかないから、そういう論法で、なんとかバチカンを説得したいのかもしれない。

バチカンでは10月、「世界宗教会議」が開催され、初めて中国から郭金才、楊暁亭両司教が参加することが発表されている。二人とも共産党統戦部が公認する愛国司教である。ちなみにバチカンは1998年と2005年も中国の司教をこの会議に招待していたが、中国は外国から宗教的干渉を受けないという理由で断っていた。この会議には台湾からも司教団が派遣されるので、おそらくこの場でも、バチカン、台湾、中国の関係について議論がなされるのではないか。

個人的な期待をいえば、私もバチカンに第三の選択、つまり中国と台湾のどちらかを選ぶ、ではなく両方とも“国交”を維持するという先例を作ってほしい。中国に経済的あるいは軍事的圧力を受けることのないバチカン市国という特殊な国であれば、そういう条件で中国と話しあえる可能性は残っているのではないか。ちなみに香港教区は、1952年の中国による宗教弾圧下で、教皇庁直轄統治となっており、1997年の香港の“中国返還”後も、特例としてその体制が続いている。台湾も特例扱いで従来どおりの体制を維持できるはず、という主張はあながち無茶でもない。

バチカンは突破口を開けるか

中国経済、チャイナマネーに大きく依存している国や、その軍事的脅威にさらされている国にとっては、中国からの圧力を無視して台湾を“国”扱いできない。だが、バチカンは、中国からの経済的、軍事的圧力の影響をほとんど受けることがない。バチカンの外交とは宗教外交であり、いわゆる経済や安全保障の利害を交渉する通常の外交ではないのだから、中国と台湾ともに在外公館があっても、その利害が相反することもなかろう。

今回のバチカンの中国への歩み寄りは、西側社会の一部ではバチカンの敗北と批判的に報道されていたりもする。バチカンの中国接近の目的は、第一に中国の司教任命権を少なくとも建前上でも取り戻すという政治権威上のもの。第二に迫害に苦しむ地下教会神職・信者の救済という人道的目的。第三に新たな宗教フロンティアとしての中国への取り組み。第一の目的では、今回は妥協点が見いだせたとしても第二の点は果たして習近平政権としてどこまで妥協できるか。かりにカトリック地下教会に対してだけ迫害を緩和しても、ウイグル・ムスリムやチベット仏教に対する迫害、あるいはその他の民族や宗教に対する迫害、差別が継続することを黙認してよいのか。

そもそも、博愛、平等を説く神の愛が、不平等で非人道的な中国の宗教政策に対して寛容であることは大いなる矛盾を生むのではないか。その上で、バチカンが台湾と断交すれば、バチカンの国際的評価は、バチカン自身が思う以上に下がるのではないか。たとえ14億人人口の中国という新たな布教フロンティアを獲得したとしても、中国共産党の指導を優先させた愛国カトリック信者を増やしても、決してバチカンの権威にプラスにはならないのではないか。

だがバチカンが、もし中台双方と正式な“国交”をもつ最初の国として存在できれば、それこそバチカンにしかできない突破口を開いたといえるはずだ。「一つの中国」というフィクションにこだわって、有権者によって選ばれた独自の政権と軍隊と通貨と憲法をもつ人口2300万人の台湾を国家と呼べない不自然さを是正するきっかけになるやもしれない。もしそういうことをバチカンがやれるならば、近年のセックススキャンダルで傷ついた権威と国際的影響力を回復できると思うのだが、どうだろう。

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『「北朝鮮の使い走り」と米国で見切られた文在寅 「金正恩は信頼できる」と詭弁を連発したあげくに……』(10/2日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について

10/4看中国<韩国民调显示:威胁最大的竟然不是朝鲜(图)=韓国の世論調査は「最大の脅威は何と北朝鮮ではなく・・・・」と>ソウル大学の研究所の調査で、脅威の一位は、46.4%の人が答えた中国政府。サード問題での経済報復がマイナスイメージとなった。北朝鮮は32.8%。最も緊密な関係の国はとの問いに3.7%の人しか中国を挙げていない。また、2017年の調査では63.7%の人が北を脅威としていたのが様変わりした。

日本が入っていませんが、高いのでは。朝鮮半島人は朝鮮半島から出ず自給自足経済で生きれば良いでしょう。少なくとも日本と交流はしないでほしい。

https://www.secretchina.com/news/gb/2018/10/04/872616.html

10/5ZAKZAK<韓国「旭日旗」禁止法案提出にネットも騒然 社旗が似ている朝日新聞、ソウル支局では掲揚せず!?>朝日新聞は敵の手先の新聞です。「南京」も「慰安婦」も彼らの手に依る創作です。こんな誠実さと程遠い新聞を読んでいる人の気が知れません。日本人はもう気付いても良いのでは。

http://www.zakzak.co.jp/soc/news/181005/soc1810050008-n1.html

10/4ZAKZAK<日本は観艦式「参加拒否」を通告せよ 「旭日旗=戦犯旗」に笑いが止まらぬ韓国の“反日屋”たち>今までの日本の対応が韓国人を増長させたのです。自衛隊も韓国海軍何て信頼するに足りないことは分かっていた筈です。観艦式には参加拒否すれば良い。米軍も国際ルールを無視するやり方では不参加となるかも、というか米軍も不参加にするか、米軍を動かし韓国海軍を黙らせるかしたらどうか?何もしないのでは舐められるだけ。敵の韓国はあらゆる機会を見つけて世界で日本を貶めようとしているのですから。

http://www.zakzak.co.jp/soc/news/181004/soc1810040001-n1.html

10/7ポンペオが金正恩と会うようですが、どうなることやら。米国は北の非核化ができないのであれば、日本の核武装も認めるべきです。憲法問題は生じませんので。敵(中国・朝鮮半島)の手先である左翼が騒ごうが関係ありません。日本の歴史を永続させたいなら無視するに限ります。後から振り返ってみて良かったと歴史に刻まれる筈です。しかし、大衆の無関心というか、洗脳されたままの心のありようでは、北の核問題だけでなく、日本は何度も危機に直面するでしょう。滅びることになるかもしれません。子々孫々のために、もっと真剣に国の安全保障について考えませんと。

鈴置氏は、朝鮮半島は南北統一して核保有国となり、中国の束縛から逃れようと考えているのではと。韓国は核を入手次第、日本に投下するかもしれません。不断から言っていることですので。何せキチガイ民族ですから、合理的判断ができません。中国同様恐ろしい国です。米国は韓国を切り捨て北にくっつけるとしたら、北の核の代わりに米国の傘を北に差しだすつもりでしょうか?或は中・短距離核ミサイルの保有を認めることになるのでしょうか?

10/4朝日新聞<アーミテージ氏ら、日米同盟に提言 基地の共同使用など>アーミテージもナイも日本抑え込み派だったのに宗旨替えしたようです。でも今回ここに書かれていることは当り前のことばかり。日本の自主防衛に賛成ですが、単独で中国と戦争は出来ません。中国を封じ込めるには米国の手を借りませんと。共同で訓練をすれば中国も侵略の矛先が鈍るでしょう。

http://www.asyura2.com/18/senkyo251/msg/703.html

在日米軍基地は米軍が守るべき存在です。日本に米軍基地がある以上、敵はそう簡単に手出しはできないはずです。ですから中国は沖縄から米軍基地を追い出すため、まず沖縄を独立させ、基地をなくし、然る後沖縄併呑するつもりです。沖縄県民には中共と日本の左翼の意図が見えないらしい。

記事

9月27日、国連総会で演説し北朝鮮の非核化への意思は本物と強調する文在寅大統領(写真:AP/アフロ)

前回から読む)

米メディアが文在寅(ムン・ジェイン)大統領を「金正恩(キム・ジョンウン)の首席報道官」と報じた。訪米中に北朝鮮の核武装を擁護する詭弁を繰り返したため「北の使い走り」と見切られたのだ。

金正恩を称賛する報道官

鈴置:9月下旬に文在寅大統領がニューヨークを訪問、トランプ(Donald Trump)大統領と会談したほか、国連総会で演説しました。さらにテレビの取材や、外交専門家の会合で質問に答えました。

今回の訪米は9月18―20日に開いた平壌での南北首脳会談の結果を踏まえ、米国と北朝鮮の間を取り持つのが狙いでした。でも、完全な裏目に出ました。米国での質疑応答のたびに「文在寅は金正恩の代弁人だ」との印象を深めてしまったのです。

ブルームバーグ(Bloomberg)は「文在寅は金正恩の首席報道官」との見出しで報じました。「South Korean’s Moon Becomes Kim Jong Un’s Top Spokesman at UN」(9月26日=JST)です。以下のように書き出しています。

・While Kim Jong Un isn’t attending the United Nations General Assembly in New York this week, he had what amounted to a de facto spokesman singing his praises: South Korean President Moon Jae-in.

金正恩は国連総会に出席しなかったが、彼を称賛する事実上のスポークスマンを得た。韓国の文在寅大統領である――と言い切ったのです。

テレビで見れば誠実さが分かる

ブルームバーグが指摘したのは、米外交問題評議会(CFR)などが9月25日に主催した「文在寅氏との対話」での大統領の発言です。その1つが以下です。

・So the Chairman Kim that I experienced, as you may have the same views as well, he is young, but he is also candid, and he respects elders.
・I believe that Chairman Kim is very much prepared to abandon his nuclear program in exchange for economic development.

文在寅大統領は「金正恩委員長は若いが率直で先輩を立てる人だ。(だから、彼は発言通りに)経済発展のために核を放棄する」と言ったのです。思わずうなる発言です。

これまで、北朝鮮は非核化で嘘をつき続けてきた(「非核化の約束を5度も破った北朝鮮」参照)。金正恩委員長を信じる人はあまりいないでしょう。

それは文在寅大統領もよく分かっている。そこで「文在寅氏との対話」の席でさらに弁解しました。引用します。

・And also, we made a point of making efforts to broadcast live all these dialogue and the summits through live TV so that the footage of me meeting Chairman Kim could be seen by the whole world, so that the people can decide for themselves what kind of personality Chairman Kim is.

(平壌共同声明の発表など)すべての首脳会談の状況を世界に向けテレビで生中継した。それを見れば金委員長が信頼できる人と分かるはずだ――と言ったのです。何ともはや、子供だましの説明です。

ブルームバーグはこの発言を記事の「落ち」として使いました。この詭弁を見れば「首席報道官」と揶揄するのも当たり前でしょ、と最後に念押ししたのです。

  • 非核化の約束を5度も破った北朝鮮
▼1度目=韓国との約束▼
・1991年12月31日 南北非核化共同宣言に合意。南北朝鮮は核兵器の製造・保有・使用の禁止,核燃料再処理施設・ウラン濃縮施設の非保有、非核化を検証するための相互査察を約束
→・1993年3月12日 北朝鮮、核不拡散条約(NPT)からの脱退を宣言
▼2度目=米国との約束▼
・1994年10月21日 米朝枠組み合意。北朝鮮は原子炉の稼働と新設を中断し、NPTに残留すると約束。見返りは年間50万トンの重油供給と、軽水炉型原子炉2基の供与
→・2002年10月4日 ウラニウム濃縮疑惑を追及した米国に対し、北朝鮮は「我々には核開発の資格がある」と発言
→・2003年1月10日 NPTからの脱退を再度宣言
▼3度目=6カ国協議での約束▼
・2005年9月19日 6カ国協議が初の共同声明。北朝鮮は非核化、NPTと国際原子力機関(IAEA)の保証措置への早期復帰を約束。見返りは米国が朝鮮半島に核を持たず、北朝鮮を攻撃しないとの確認
→・2006年10月9日 北朝鮮、1回目の核実験実施
▼4度目=6カ国協議での約束▼
・2007年2月13日 6カ国協議、共同声明採択。北朝鮮は60日以内に核施設の停止・封印を実施しIAEAの査察を受け入れたうえ、施設を無力化すると約束。見返りは重油の供給や、米国や日本の国交正常化協議開始
・2008年6月26日 米国、北朝鮮のテロ支援国家の指定解除を決定
・2008年6月27日 北朝鮮、寧辺の原子炉の冷却塔を爆破
→・2009年4月14日 北朝鮮、核兵器開発の再開と6カ国協議からの離脱を宣言
→・2009年5月25日 北朝鮮、2回目の核実験
▼5度目=米国との約束▼
・2012年2月29日 米朝が核凍結で合意。北朝鮮は核とICBMの実験、ウラン濃縮の一時停止、IAEAの査察受け入れを約束。見返りは米国による食糧援助
→・2012年4月13日 北朝鮮、人工衛星打ち上げと称し長距離弾道弾を試射
→・2013年2月12日 北朝鮮、3回目の核実験

慰安婦合意でも背信

韓国政府はこんな子供だましが通ると考えているのですか?

鈴置:韓国では、大声で強く言った者が勝ちなのです。事実や常識は関係ありません。

9月25日、ニューヨークで日韓首脳会談が開かれました。安倍晋三首相に文在寅大統領は、日韓慰安婦合意に基づき韓国政府が設置した従軍慰安婦関連の財団を解散するかもしれないと通告しました(日経「慰安婦問題、宙に浮く日本の拠出金」=9月27日=参照)。

慰安婦合意を破棄する手掛かりとしたいのです。ただ、破棄と言えば外交上問題化する。そこで大統領は首相に「合意の破棄や再交渉は求めない」とも語りました。

しかし、文在寅大統領は9月27日、国連総会で演説する中で日本軍の従軍慰安婦問題にも言及しました(文大統領『終戦宣言に期待』=9月27日=」参照)。

「我が国は『日本軍の慰安婦』被害を直接体験しました」と語ったのです。演説全文(韓国語)は聯合ニュースで読めます。

慰安婦合意は「最終的で不可逆的な合意」と規定したうえ「今後、国連等国際社会において、本問題について互いに非難・批判することは控える」と明確に約束しているのです。

韓国政府は「言及しただけ」と言い逃れるつもりでしょうが、「女性に対する全ての差別と暴力にさらに断固として対応しています」とその前段で述べていますので、非難したも同然です。

文在寅大統領は2日後に破ることが分かっていることでも、堂々と“約束”したのです。そんな人が「金正恩氏を信じて欲しい」と言ったのですから、ますます信用できません。

「挑発はもうない」と断言

—文在寅発言を信じる専門家はいないでしょうね。

鈴置:もちろんです。ブルームバーグだけではありません。「文在寅氏との対話」の司会者――CFRのハース(Richard Haass)会長は、大統領の発言を頭から疑ってかかっています。

ハース会長の質問は「韓国に向けた核・通常兵器での脅威を北朝鮮が削減すると考えているのか」「北朝鮮が言っていることを万が一にも実行した場合は、政策の根本的な変化になるが……」「本日、大統領が米国人に語った米韓同盟に関する説明は懐疑的に受け止められている――私もその1人なのだが……」などでした。

北朝鮮だけではなく韓国の大統領も信じていないことを露わにしたのです。それも当然で詭弁は「金委員長はいい人だ」だけではなかったのです。例えば以下の発言です。

・North Korea also promised to permanently dismantle the missile engine test site, as well as the launch platform, under inspection from American experts.
・So if these measures are taken and implemented, I believe that this means that North Korea will no longer be able to engage in nuclear and missile provocations that threaten the United States and the international community.

9月19日の平壌共同宣言で、北朝鮮は「東倉里(トンチャンリ)のミサイルエンジン試験場と発射台の廃棄」と「米国が相応の措置を取れば」との条件付きで「寧辺(ニョンビョン)の核実験場の廃棄」を約束しました。

大統領はこれを根拠に「米国と国際社会を脅かす核とミサイルの挑発はもはやない」と断じたのです。全く実態とかけ離れた主張です。

エンジンの実験はどこでも可能です。発射台の廃棄にも意味はありません。北朝鮮は移動式の発射台を多数導入済みです。

場所も判明している東倉里の固定式の発射台は米国の偵察衛星の監視対象で、実用的な代物ではない。核弾頭にしても、北朝鮮は寧辺以外にも製造拠点を持っている。

米韓に亀裂が走る

—もう1度聞きます。文在寅政権はこんな子供だましが通ると考えているのですか?

鈴置:今度は別の角度から答えます。「すぐに露見する嘘でも、つくしかなかった」のでしょう。米国の外交関係者はどうせ文在寅大統領を「北朝鮮の使い走り」と見切っている。

でも、トランプ大統領は11月6日の中間選挙を控え、米朝対話が成功したことにしたい。それなら、トランプ大統領だけは嘘に付き合ってくれるかもしれない――と南北は計算しているのでしょう。

もちろん中間選挙の結果次第では、トランプ大統領も大嘘に怒り出すかもしれません。でも、南北朝鮮が北の開発した民族の核を温存するにはこの手――大嘘をつき続けるしかないのです。

—米国に見切られたことを韓国政府は分かっているのでしょうか。

鈴置:分かっていなければ無能の極みです。大統領の訪米以前から、米メディアは「米国を裏切ると承知しないぞ」と警告を発していました。

例えばワシントン・ポスト(WP)。9月22日の社説「Trump sees ‘tremendous progress’ on the Koreas where none exists」は平壌での南北首脳会談を取り上げました。

「米国の最も重要な事項――北朝鮮の核弾頭と米国を打撃する大陸間弾道弾との廃棄に関し、何の実質的な進展をもたらさなかった」と酷評したのです。

さらに「金正恩体制が意味ある行動に出たわけでもないのに米国に大きな譲歩を迫るハト派の文在寅政権と、トランプ政権の間に亀裂をもたらすかもしれない」と韓国に警告したのです。

・But it offered no real progress in the matter of most import to the United States: the dismantlement of North Korea’s arsenal of nuclear weapons and intercontinental missiles capable of striking the United States.
・Instead, it appeared to raise the risk of a breach between the Trump administration and the dovish South Korean government of Moon Jae-in, which is pushing for significant U.S. concessions even without meaningful action by the Kim Jong Un regime.

文在寅委員長?

—「米国に譲歩を迫る」文在寅政権はすっかり挙動不審者扱いされているのですね。

鈴置:北朝鮮の経済制裁破りを幇助するなど、韓国のやり口が露骨になっているからです。WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)は9月13日「North Korean Coal Slipped Into South Despite Warning From U.S.」を掲載しました。

見出しを見れば分かりますが「北朝鮮の制裁破りの石炭輸出を韓国企業が助けていると米政府が韓国政府に警告していたのに、韓国はそれを無視した」という内容です。米政府がこの話をWSJにリークすること自体が韓国に対する警告です。

そうそう、国務省のナウアート(Heather Nauert)報道官が文在寅大統領を「文委員長」と呼び間違える事件も発生しました。9月20日のブリーフィング(動画付き)の開始11分8秒後からです。

ナウアート報道官は「疲れているので」と弁解しましたが、「委員長」(chairman)という肩書は社会主義国のトップに使います。「文在寅=金正恩」とのイメージが頭にこびりついているのかもしれません。

文在寅大統領の訪米以前から、米国では韓国を「北朝鮮側」と見なす空気が広まっていた。そこにのこのこやってきて強弁・詭弁を繰り返したので炎上した構図です。

保守系紙の朝鮮日報は「そら見たことか」とのノリで文在寅政権を批判しました。社説「外国メディア『文大統領が金正恩の首席報道官になった』」(9月28日、韓国語版)です。ブルームバーグの報道も引用しています。ポイントは以下です。

・文大統領は米朝間で北朝鮮の核廃棄を仲介する役割から、北側の立場を説明する場合もあり得る。(中略)だが、それも過ぎれば信頼を失う。その時は仲介の役割も難しくなる。

取り消し可能な終戦宣言

—微温的ですね。

鈴置:朝鮮日報も「文在寅政権は北の核武装を幇助している」とまで書く覚悟はない。そこで「仲介役だから仕方ない部分もあるが」と筆先が鈍ってしまうのです。

でも、他の保守系紙が大統領の発言に何の批判もしないのと比べれば、必死の抵抗を続けています。

朝鮮日報のユ・ヨンウォン軍事専門記者も9月28日に「文大統領は『北が東倉里を閉鎖すれば核ミサイルは撃てない』と言うのだが」(韓国語版)を書き「東倉里や寧辺をいくら閉鎖しても非核化には何の関係もない」と説明しました。

朝鮮日報は9月27日にも社説で、南北朝鮮が声をそろえて主張する「終戦宣言」についても批判しています。「終戦宣言、やって見てダメならやめればいいと言うが」(韓国語版)です。

文在寅大統領が米国でFOXのインタビューを受けました。その中で「終戦宣言を出して見て、問題が起こればやめればいい」と語りました。聯合ニュースの「Moon says N. Korean leader will keep denuclearization promise」(9月26日、英語版)から引用します。

・A declaration of end of war can be called off at any time because it is a political declaration.

文在寅大統領はしきりに「終戦宣言は政治的な宣言に過ぎない。米韓同盟や在韓国連軍の地位には影響しない」と説明します。朝鮮日報はこの社説で「単なる政治宣言でいつでも取り消せるものなら、なぜそんなに早期の実現にこだわるのか」と突っ込んだのです。

筆先が鈍る保守系紙

—米国での文在寅大統領の説明は突っ込みどころ満載だったのですね。

鈴置:ただ、朝鮮日報以外のメディアは保守系紙を含め、突っ込んでいません。

—なぜでしょうか?

鈴置:理由は2つあると思います。この問題を掘り下げて行くと結局「文在寅政権が北の核武装を幇助している」と指摘せざるを得なくなる。政権との全面戦争になるのは避けられません。

先ほど見たように、最も厳しい朝鮮日報さえも「仲介役をしている」との政府の上に乗る形での批判に留めている。

朝鮮日報のシニアの記者が「北朝鮮の核を民族の核として活用したいと左派は考えている」と書いたことがあります(「北朝鮮の核武装を望む韓国」参照)。

この際も「万が一にも青瓦台(大統領府)の補佐陣までがこんな夢を見ているとすると危険である」と逃げを打った書き方をしました。

「現政権が民族の核を望んでいる」とはっきりと指摘すれば、「どこに証拠があるのか」と言論弾圧の材料にされかねないからでしょう。

「民族の和解」を謳歌

もう1つの理由は、韓国人の多くが政権の宣伝に乗って「非核化よりも民族の和解が重要だ」と考え始めたからです。

平壌市民の前での韓国大統領の演説や、南北首脳の白頭山登山――。今回の南北首脳会談では数々の和解ショーが繰り広げられました。それらを素材に韓国のテレビや左派系紙は「新たな和解の歴史が始まった」と盛り上げたのです。

左派系紙、ハンギョレは南北の政権の意向に極めて忠実でした。社説「15万の平壌市民の前で非核化を説いた文大統領」(9月21日、日本語版)は以下のように書きだしました。

・北朝鮮訪問の最終日、文在寅大統領と金正恩・国務委員長が一緒に白頭山に登った。(中略)南北首脳が民族の精気が宿る白頭山頂に共に登ったのは、南北和解の歴史を画したものというに値する。

世論調査会社、リアルメーターによると、9月20日の時点で71.6%の韓国人が平壌首脳会談を肯定的にとらえました。半面、否定的に見たのは22.1%に留まりました。

そもそも韓国には「米国は大陸の一角である韓国に軍を置きたがっている。そのために我が民族を分裂させ、対立させているのだ」との発想が広まっています。

今、「文在寅大統領は北朝鮮の使い走りだ」などと書けば、読者から「民族の和解を望まないのか」「お前こそ米国の使い走りだ」と反発を食らいかねない。

朝鮮日報も米国メディアが「首席報道官」と書いたから、ようやくそれを引用する形で「使い走り」を指摘できた感じです。

トランプは満足するのか

—韓国を使って核武装を狙う北朝鮮に対し、米国はどう出るのでしょうか。

鈴置:トランプ政権は11月の中間選挙後に2回目の米朝首脳会談を開く方針のようです。ただ、その結果がどうなるかは予測困難です。

トランプ大統領がどの程度の「非核化」で満足するか、誰にも分からないからです。金正恩委員長が提示するであろう実のない「非核化」で満足するのか、あるいは逆に怒り出すのか――。それはトランプ大統領自身も決めかねているのかもしれません。

ただ1つ、はっきりしていることがあります。南北朝鮮が手を組んで「民族の核」を温存しようとしていることです。細かなファクトを観察するに、それがどんどん明確になってきました。

—では、それは次回に。

(次回に続く)

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『民主国家アメリカの頽廃』(10/3AC通信 アンデイチャン)、『セクハラ疑惑一色に染まった米最高裁判事の人事 36年前の性的暴行を告発し一矢を報いた被害者』(10/2日経ビジネスオンライン 高濱賛)について

10/4facebook  記錄中國™ 投稿

違背社會道德的事情還是盡量少做

社会道徳に反することはやはりできるだけ少なくすべき。

若い男が老婦人を突き倒し、仲間の男が2元を投げ渡したが、老人は病院へ行ったら骨折とのこと。

https://www.facebook.com/jiluzg.5.0/videos/235218527174948/

10/4facebook 吴怀云 投稿

前国务院总理李鹏女儿李小琳诈骗洗钱亿邦续,大批民众集体上访维权,声讨李小琳!真正害中国及中国人的就是赵家那500个家族和他们的子孙!

元首相・李鵬の娘の李小琳が詐欺(株の上市)・資金洗浄した億邦会社に多くの人が集まり、李小琳を糾弾、彼らの権利を主張した。中国と中国人にとり、真に有害なのは趙家の500家やその子孫である。

億邦会社は夜逃げして、事務所は急遽「万思」と名前を変えましたが、壁に「億邦」の字の消された跡が残っています。是非共産党打倒に立上ってほしい。趙家というのは魯迅の『阿Q正伝』から。矢板明夫氏が産経に解説を書いています。

https://www.sankei.com/premium/news/160214/prm1602140014-n1.html

https://www.facebook.com/100027503860318/videos/167287844198010/

10/3阿波羅新聞網<习近平全球战略曝光 中共元老集体缺席十一招待会 中南海面临三大危机=習近平の世界戦略が明らかに 中共の元老たちは国慶節祝賀会に欠席 中南海は3つの重大危機に直面>元老で欠席したのは江沢民、李鵬、朱鎔基、胡錦濤、温家宝等、集団で欠席。習近平におべっかを使うのを嫌うか重病の為。習の世界戦略は、米国と貿易できないため、ロシア、中央アジア、アフリカ、南米に目を向けたもの。但し、貿易量は全体を合わせても米国には及ばない。EU、日本、豪州、カナダ、スウエーデン等は中国と敵対関係になっている。

三大危機とは①経済危機②権力闘争③外交困難である。①については、NYTは「消費者心理景気指数は低下し、悪性インフレの見通しは悪化、地方政府の債務リスクは隠され、低い予測の数字は景気が悪化しているのを表し、議論のある敏感な事件を大きく取り上げ、困窮する民衆を目くらまししている」と報道。米中貿易戦は中共の命運を閉ざすだろう。経済問題は個人の身を切った利益に関係する。政治スローガンは心に響かない。経済的利益が絡むから、人は勇気を奮い街にデモに出る。公安・武装警察・軍人は職場放棄するだろう。共産王朝の末日ではないのか。

②については9/21政治局会議になんと5名が欠席、内3名は常務委員、半数近く珍しいこと。欠席した常務委は政治協商主席の汪洋、規律委の趙楽際、副総理の韓正。趙と韓は外国訪問だが汪は何故?2名の欠席した政治局員は副総理の孫春蘭と軍の第一副主席の許其亮である。孫は外国へ、許はどんな問題が?習が東北視察時には軍第二副主席の張又侠を帯同した。許其亮は落馬したのか?

③については、北京の膨張の野心は米国だけでなく西側全体に見抜かれた。アジアの隣国やアフリカの国々は不満や不安を感じている。現在は鄧小平の韜光養晦を持ち出さざるを得なくなっている。王毅外相は国連で「米国にとって代わる気もなく、米国を指して攻撃するつもりもない」と述べたが、王毅こそ膨張外交主義者である。現在や過去において、中国に半分支配された国際組織も少しずつ中国の影響を脱して来た。最も重要なのは国連もポルトガル出身の事務総長になり、中国の人権問題を指摘し、ウイグル人は中共から迫害されていることを初めて国連で非難した。WTOもやり方を変え或は組織改編しようとしている。中国はまもなく外交的に孤立するだろう。来年は中共建国70周年だがその1年の間に重大な変化が起きるだろう。

10/1は中国共産党が政権を取って25199日になる。ソ連は25197日であるから超えたことになる。これをネットにアップしたところすぐに削除された(多分中共の命も長くないと思わせないようにでしょう)

削除された記事

http://www.aboluowang.com/2018/1003/1183513.html

10/3阿波羅新聞網<范冰冰不用坐牢「还有人背黑锅」 中国网民怒:身处富人天堂=範氷氷は入獄せず 後ろに黒幕がいる 中国ネット民は怒って「金持ちの天国」と>彼女は8.83億元の税金、滞納金、罰金を払い、刑事責任を免れ、入獄せずに済んだ。これを聞いたネット民は、「別な国なら、とっくに牢屋行き」「日がな大衆は法定納税を気にかけていて、数千元の給料でも税を納めているというのに。時間があればスターを調べてみよう。脱税は一人だけではない」「金持ちは本当に良い。熱心に捜査されず、牢にも入らずに済むのは背後に誰かがいる」「ああ、8億元払えば入獄せずに済む。この黒幕は凄い」「法律は児戯に等しい。8億元払えば、犯罪は構成されず」「くそ!何て言ってよいか分からない。劉暁慶(同じく脱税で逮捕)は濡れ衣だ!」「中国は本当に金持ちの天国」と。

多分王岐山の力が働いたのでしょう。

http://www.aboluowang.com/2018/1004/1183565.html

アンデイ氏と高濱氏ではこうも見方が違うのかと。以前にも書きましたが、高濱氏のニュースソースはリベラル民主党支持の左翼メデイアでしょう。彼らの見方の受け売りをしていると思われます。民主党はメデイアとグルになり、政略で行政をストップさせようという意図が働いているのは、日本でも立憲民主党や国民民主党がモリカケで国会審議を遅らせて来たのと同じ構図です。本当に民主党と名の付く政党は碌でもない。カケで問題なのは獣医師会から献金貰った国民の玉木、立憲の福山、自民の石破でしょう。しかし、臨時国会でもまだ野党はモリカケをやって憲法改正論議を進めないようにするようです。国民のレベルが問われます。10/4日経朝刊に改造後のの調査で内閣支持率が5%下がり50%とありました。「人柄が信頼できない」のが不支持の理由で一番多いとか。本庶先生の「総てを疑え」を国民はもっと踏まえて、メデイアの言うことを評価すべきです。なお、アンデイ氏は小生と違い、トランプを全面支持している訳ではありません。彼の言動は「礼儀知らずで、野卑」と思っています。

柴山昌彦新文科大臣についても、左翼メデイアの記者が、教育勅語について質問。大臣が「教育勅語の中には普遍的な価値を持った部分もある」と答弁したのを揚げ足取ろうとしています。これで罷免して内閣を弱体化しようというのが見え見え。トランプへの脱税問題も民主党の策略でしょう。柴山氏は別に教育勅語を復活させようと言ったわけでもないし、全体を肯定したわけでもありません。質問した記者は我々の祖先が作ったものを全否定しているとしか思えません。我々の歴史を否定するなら、左翼の祖国である中国か北朝鮮に行き帰化すべきです。まあ、最悪はスパイ容疑で処刑されるでしょうけど。左翼の考えることは理解できません。

アンデイ記事

この一か月というもの毎日が不愉快だった。私は政治家ではないけれど民主党がでっち上げたセクハラ騒動で最高裁判事の任命投票を一か月も遅らせ、テレビや新聞の嘘八百を見るのは不愉快この上ないことだった。
政権奪取のため証拠のないセクハラ告発で清廉潔白な人とその家族の将来を滅茶苦茶にした民主党の悪辣な策謀は民主主義国家アメリカを無法な国としたのである。
10月1日からアメリカ政府は新年度が発足したが、民主党の時間稼ぎが成功したおかげで最高裁のケネディ判事が引退してカバノー氏の任命投票が行われず、最高裁判事は8人のみとなった。なぜカバノー氏の任命を遅らせたのかというと、民主党は中間選挙まで判事任命を遅らせ、上院で過半数を取ればトランプ大統領の推薦する人事をすべて否決して政権を麻痺させ、続いてトランプ大統領を罷免するという、サヨクがアメリカ民主国を乗っ取る国家転覆の陰謀である。
上院議員とは国家の政治を司る政治家のことである。そんな政治家がウソを指摘されても顔色一つ変えず白々とウソを繰り返す。国家の最高議会を制覇する、そのあとでトランプ大統領を罷免する。そのために一人の立派な司法官とその家族の将来を踏みにじる策謀はまったく唾棄すべきだが、議会における奸智陰謀のやり取りを見ながらどうすることのできない国民の焦燥と失望が一月も続いたのだ。
セクハラは女性にとって大問題である。女性だけではなく無実の告発を受けた男性にとっても大問題である。告発が真実か誹謗かを調査するのは細心の注意が必要だ。セクハラ告発はNYタイムスのたった一度の記事だけなのに、民主党と左翼メディアはセクハラがあったように報道し、告発した女性の談話も顔写真もないのにカバノー氏を犯罪者扱いで宣伝したのである。
無実の告発をされたカバノー氏は即日これを断固否定して、上院の司法委員会で公聴会を開くことを要求した。これに反して告発者のクリスティーン・フォードと民主党の議員はあれこれ理由をつけて公聴会を遅らせた。新聞の記事一つだけで民主党議員は争ってセクハラを受けた女性を「信じる」と発表したのである。この女性の談話も説明もない、たった一度の新聞記事でカバノー氏を犯罪者と断定したのだ。彼らに判断力がないのではない。判断を避けてウソの告発を支持したのである。国家の最高議会の民主党議員が正義、真実、倫理や道義などを一切無視して断罪を下した、恐るべきことである。
NYタイムスの記事だけで、告発した女性はセクハラが起きたと称する年月日も不明だし、パーティに参加した証人もいない。しかも新聞が報道した後も本人は沈黙したままだった。共和党の委員会議長は双方を公聴会に招致したが、告発者フォード女史は公聴会は嫌だ、秘密会議でなければダメだ、飛行機に乗るのが怖いから行かない、カリフォルニアで質問を受けるのも拒否するなどあれこれ条件を上げて、最終的に公聴会に来ると同意しても月曜日はダメ、木曜日にするなど理屈をつけて公聴会を三週間も遅らせたのである。
呆れたことにこの三週間の間に第二、第三の女性がセクハラを受けたと言い出した。しかし二人ともカバノー氏とのかかわりを証明するものは一つもなかった。それでも民主党側はこの三人の言いがかり、でっち上げを取り上げて、FBIの調査を要求して判事の任命投票を遅らせようとしたのだ。FBIはこれまで6回もカバノー氏の身元調査を行ったことがあるが、民主党はFBIが7回目の調査をすれば任命投票を中間選挙まで遅らせることが出来るという策略に出たのである。
公聴会を開くことが決まったあと民主党側は、委員会の共和党議員はみんな男性だから(民主党側には女性が三人)ダメと言い出したのである。それで議長はやむなくアリゾナ州のセクハラ事件調査に詳しいRachel・Mitchell 検察官を招聘してフォード女史の質問にあたらせたのだった。
公聴会が終わった翌日、議長は上院総会でカバノー判事を最高裁判事に任命投票することの票決を取ろうとしたが民主党側の10人は反対、そしてFBIのセクハラ告発事件の調査を要求した。司法委員会議長は両党委員の同意のもとに、FBIが一週間を限ってカバノー判事のセクハラ調査をすることに同意し、総会における任命投票はマッコーネル上院議長の決定に任せると決定した。これで司法委員会のカバノー判事の最高裁判事任命の任務は終わったのである。
10月1日、公聴会でフォード女史に事情質問をしたRacehl・Mitchell 検察官が5ページの結果報告書を公表した。結論として9点からなる理由を挙げてフォード女史のセクハラ告発はあまりにも証拠薄弱で検察官としてカバノー氏を起訴はできない、「彼がどうした彼女がどうしたと言った悪魔の証明」ではなく彼女の陳述は記憶不十分、証人不在、経過が曖昧などで、少しも信憑性がないと言う報告書を提出した。
Mitchell検察官の報告によるとフォード女史はセクハラがあった日付も場所も覚えていない、誰が彼女を車を運転したか、セクハラを受けたあとで誰の運転で家に戻ったかも記憶がない。彼女がパーティに参加したとして挙げた男三人と女一人はパーティはなかったと証言した。しかも名を挙げた女性は、パーティなどなかったしカバノーという人も知らないと弁護士を通じて証言した。
これは司法委員会の公聴会の結果報告、つまり公聴会の公式発表である。ところが今日10月2日のサヨク新聞、ロスアンジェルス・タイムス、NYタイムス、ワシントンポスト、すべてMitchell検察官の報告書を報道していない。
FBIの調査報告は両党側委員の同意により今週金曜日に公表すると決まっている。これ以上カバノー氏の任命投票を遅らせる理由はない。マッコーネル上院議長は今週中に総会で任命投票すると発表した。
以上が今日までの国中を騒がせた判事任命の経過である。女性にとってセクハラは大事件だが、共和党側がこの事件を処理した態度は公正、公平だったにも拘わらず民主党側の態度は呆れるほど悪辣だった。リベラルがホシュを倒す陰謀と言えども正義が通らない、平気でウソを吐く、政党のために無実の人を罪に陥れる政治家は唾棄すべきである。
オバマが大統領になって以来アメリカは分裂が酷くなった。オバマが黒人の犯罪を弁護したため人種分裂が起き、続いて民主党と共和党の分裂、男女の人権分裂、同性愛者と性転換者の権利主張などが起きた。オバマ民主党はヒラリー当選のためヒラリーの犯罪を無視し、クリントン一家の巨悪を増長させ、FBI/DOJの高官が選挙に介入し、トランプのロシア疑惑をでっち上げた。アメリカは民主が頽廃し、正義の通らぬ言論暴力国家になってしまった。民主党に正義感や反省はない。この国が更に堕落するか、立ち直ることが出来るかは不明である。

高濱記事

(写真:ユニフォトプレス)

—ドナルド・トランプ米大統領が指名した連邦最高裁判事候補のブレット・カバノー氏(53)を承認するか否かで上院司法委員会が大混乱したようですね。結局、米連邦捜査局(FBI)が同氏のセクハラ疑惑を調査することになり、本会議での承認は1週間持ち越されることになりました。

高濱:国を挙げての大騒動になってしまいました。なぜここまで大騒ぎになったのか。これには二つの要因があります。

一つは、今回の最高裁判事人事において、トランプ大統領がこれまでの中道派に代えて、保守派を指名したことです。中道派のアンソニー・ケネディ判事が6月に退任。トランプ大統領はその後任に保守派のカバノー首都ワシントン連邦控訴裁判所判事を指名しました。

しかも中間選挙が1か月後に迫っているため、同大統領は議会の承認を急いでいます。万が一、中間選挙で民主党が上院を制することがあれば、カバノー氏は承認を得られなくなる可能性があるからです。

もう一つは、共和党にとって“やばい”事態が急浮上したことです。36年前、カバノー氏から性的暴行を受けたという女性が名乗りを上げたのです。これが、トランプ政権が発足して以来、勢いを増している「セクハラ告発」の火に油を注いでしまったのです。

告発者は心理学博士でパロアルト大学やスタンフォード大学で教鞭をとるクリスティン・ブラジー・フォード氏(51)です*1

*1:同氏はノースカロライナ大学を卒業した後、スタンフォード大学医学部を経て南カリフォルニア大学で心理学博士号を取得。現在パロアルト大学(スタンフォード大学医学部とは単位互換制度契約を結んでいる心理学専門大学)やスタンフォード大学医学部で教鞭をとっている。夫と二人の息子がいる

両者が「異なる真相」を明かす「羅生門」     

上院司法委員会(チャック・グラスリー委員長=アイオワ州選出)は9月27日午前、フォード氏を召喚して事実関係を聴取。午後にはカバノー氏を呼び、同じように事実関係を確かめました。2人が直接対決したわけではありません。

もっとも同委の共和党メンバーは全員が白人男性。テーマが微妙なだけに議員らがフォード氏に直接尋問することはせず、「代理人」を指名しました。民主党の委員は全員自分で持ち時間内でフォード氏にもカバノー氏にも質問しています。

ベテラン記者の一人はその辺の事情について筆者に次のように解説しています。「男が寄ってたかってフォード氏にレイプ未遂があったかなかったかを問いただすのはさすがに気が引けたのだろう。それにそんなことをしたら中間選挙に向けて共和党のイメージを悪くするし、女性票が逃げてしまう。それは避けたかったのだろう」

しかし天下の司法委員会のメンバーなら正々堂々とフォード氏を尋問すればいいと思います。民主党からはそうした批判が後から出てきました。裏を返せば、中間選挙を控えて、与党・共和党は「セクハラ告発」を遮るような言動は一切取れないほど、「セクハラは罪悪だ」というコンセンサスが出来上がっている現実が見え隠れします。

共和党が選んだ「代理人」は、アリゾナ州マリコパ郡検事局のレイチェル・ミッチェル 特別被害者対策部長という女性。同氏は性的暴行を受けた被害女性や加害者から事情を聴く専門の郡検事です。同氏が、共和党各議員の質問を事前に取りまとめ、それをフォード氏にぶつける形式でした。

一方、カバノー氏に対する質疑において共和党議員は、同氏を弁護しようとするあまり、民主党議員を激しく面罵するなど党派対決をむき出しにする場面が何度かありました。リンゼー・グラハム議員(サウスカロライナ州選出)は性的暴行容疑が人事承認審議の最終段階に出されたことを取り上げて「中間選挙を前に民主党が図った謀議だ」と激しく罵りました。同議員は、16年に行われた大統領選で一時、大統領候補になった人物です。

—果たしてカバノー氏による性的暴行はあったのか、なかったのか。聴聞会では明らかになりませんでしたね。その意味で聴聞会はテレビのリアリティーショーみたいなものでしたね(笑)。

高濱:カバノー氏とフォード氏の主張は真っ向から対立しました。

まさに黒澤明監督の映画「羅生門」*2を彷彿させるものでした。

カバノー氏は愛妻家ぶりを見せつけるかのように夫人と手をつないで委員会室に入ってきて、終始、フォード氏をなじることは避けました。さらに、カバノー氏は10歳になる娘さんが同氏に「フォードさんのために神様にお祈りしているわ」と言ったことまで披露してきめの細かい演技(?)をみせていました。

*2:1950年に公開された映画。芥川龍之介の『藪の中』と『羅生門』が原作。一人の男が殺され、現場にあった高価な短刀が失われる。犯人は誰か、事件に関わった人間(殺された者も含め)がそれぞれ異なる“真相”を語る。

カバノー氏はかつてクリントン弾劾調査を担当していた

—二人の証言はどんな感じでしたか。

高濱:フォード氏は涙ながらに36年前の夜の出来事を詳細*3に証言しました。これに対して、午後の証言に立ったカバノー氏は激怒したり、涙ぐんだりして、事実関係を全面否定しました。

*3:フォード氏は1983年頃の某日、「パーティに招かれた家で、カバノー氏ともう一人の男子生徒(カバノー氏の親友、マーク・ジャッジ氏とされる)によって寝室に連れ込まれた。カバノー氏は自分をベッドに押し倒し、服を脱がそうとした。必死に逃れる際に二人が浮かべた淫猥な笑いを今も覚えている」と証言しました。

ちょっとわかりづらいかもしれませんが、27日の聴聞会は、午前中はフォード氏、午後はカバノー氏が証言。二人が直接対決したわけではありません。

聴聞会の模様は24時間ニュース専用ケーブルテレビ各局が実況中継しました。視聴者は1110万人に上ったと言われています。

フォード氏は長身の金髪の女性。黒っぽいスーツを着て、大きな黒縁の眼鏡をかけた、まさに女性教授然といった感じでした。緊張をほぐすためか、コカ・コーラの瓶が横に置かれていました。用意されたステートメントを、声を荒らげることもなく淡々と読み上げました。

「忌まわしい出来事」について、共和党委員を代弁して、微に入り細に入り質問するミッチェル氏に対して、きちんと答えていました。そして「暴行しようとした相手は間違いなくカバノー氏です。100%確信しています」ときっぱりと言い切りました。このタイミングで委員会傍聴席で涙を流す女性の姿がテレビ画面に映し出されました。性的暴行を受けた被害者かもしれません。

一方のカバノー氏の方はダークスーツにブルーのネクタイ。いかにも功成り名遂げた法律家といった雰囲気で、輝かしい学歴と、検事および判事としてこれまで国家に貢献してきた業績を自画自賛しました。

そして核心の容疑については「私がそんなことをするわけがない。その女性(フォード氏)には会ったこともない」と全面否定しました。

証言の中で同氏は、指名承認を求める判事候補として異例ともいえる批判を展開しました。自分の人事承認案件がこんなにこじれたのは「ビル・クリントン第42代大統領の弾劾手続き*4の際に自分が司法省でその案件に携わったことに対する民主党の仕返しであり、醜い謀議かもしれない」と語ったのです。

*4:1994年、セックススキャンダルを理由にクリントン大統領の弾劾手続きが進められた。担当したのは司法省のケン・スター特別検察官。カバノー氏はスター特別検察官のスタッフの一人として参加した。

「カバノー氏は信用できる」は35%

—両者の言い分を聞いた米国民の反応は、どうでしたか。

高濱:カリフォルニア州民1100人を対象にした世論調査(Survey USA)の結果ではフォード氏の言い分が「信用できる」と答えた人は60%(「信用できない」と答えた人は23%、「わからない」は17%)。カバノー氏の言い分を「信用できる」と答えた人は35%(「信用できない」は46%、「わからない」は19%)でした。

カリフォルニア州は民主党支持が強い「ブルーステート」(大統領選で民主党候補の票田になっている州の通称。共和党支持は「レッドステート」)ですからフォード贔屓にならざるを得ないのでしょうが……(笑)。(”Poll: 60% of California finds Brett Kavanaugh accuser Christine Blasey Ford’s story believable,” ABC7.com. staff, 9/28/2018)

—世論は世論として、実際に最高裁判事人事を決める司法委員会は、二人の証言のあとどういった動きを見せましたか。

高濱:上院司法委員会は共和党11人、民主党10人で構成されています。

翌28日に開いた審議では、カバノー氏の承認を賛成多数で可決し、本会議への送付を決めました。

ところが、その直後、「態度留保」を表明していた共和党のジェフ・フレーク議員(テキサス州選出) が承認に賛成すると同時に、容疑事実を米連邦捜査局(FBI)に調査させるよう提案したのです。

民主党は当初からFBIの調査を要求してきました。フレーク氏は民主党に譲歩したことになります。米議会には日本のように厳格な党議拘束はありませんが、それでも党が決めた方針に反旗を翻す行動は異例です。

フレーク氏は19年1月3日に任期を終えますが、今回の中間選挙に立候補しないことを決めています。ですから党や地元選挙民に気を遣う必要がないのでしょう。

同氏がFBIによる調査を主張した背景には、いくつかの理由があったようです。その一つに議会内のエレベータで出くわした二人の女性(ともに性的暴力を受けた被害者だったそうです)から涙ながらの「陳情」を受けたことがありました(その模様はCNNが全米に流した)。加えて、テレビ中継を見た地元選挙民、特に女性たちから「カバノー氏の人事承認反対」のメールや電話が殺到したことなどが影響したとされています。(”Flake confronted by two female protesters after announcing he’ll back Kavanaugh,” Suzanne Malveaux and Veronica Stracqualursi, CNN, 9/28/2018)

最高裁判事は大統領の「政治理念」の代弁者

—最高裁判事候補に対する上院の承認審議は、これまでも党派色をむき出しにした論争の場になることが少なくありませんでした。自分の党の大統領が指名した候補を与党議員はできるだけ承認しようとするし、野党はその候補の弱点を見つけ出し、承認を阻止しようとしますね。

高濱:オバマ政権の時に極端な例がありました。同大統領が指名したリベラル派の判事候補、メリック・ガーランド連邦控訴裁判事 の承認審議そのものを、野党・共和党が拒否したのです。

大統領が指名した閣僚や大使、連邦裁判所の判事の候補は上院の承認を得なければなりません。本来はそれぞれ所轄の上院各委員会がそれぞれの候補を呼んで「首実検」(job interview)」して承認します。ところが司法委員会がつかさどる連邦裁判所判事の人事、特に最高裁人事は共和、民主両党の政治闘争の場になるのですね。

というのも最高裁判事は終身ポスト、病気で業務に支障をきたすケースを除き、その判事は死ぬまで判事を続けられます。大統領は自分が任期を終えた後も、自らの政治哲学や理念を継承するよう、指名した最高裁判事に託すわけです。このため、共和党大統領は保守派の判事を指名し、民主党大統領はリベラル派の人物を指名する。

—政治的色分けの基準は何ですか。

高濱:通常、6つの分野で色分けされています。①刑事訴訟②公民権③憲法修正第一条(言論・報道、信仰の自由など)④組織・団体(労働組合問題など)⑤経済理念(連邦政府による規制権限、民間企業間の競争、大企業優遇、中小企業保護など)⑥連邦主義(連邦政府による課税権限、各州の権限など)です。こうした分野における基本姿勢が、今日的アジェンダである人種差別、同性愛合法化、人工妊娠中絶、移民難民をめぐる判断に反映されます。

セクハラ容疑で揺れた27年前のケースとの比較

—上院司法委員会の様子を伺っていると、27年前の1991年のケースを思い出しますね。ジョージ・ブッシュ第41代大統領(父)が、黒人のクラレスン・トーマス連邦控訴裁判事を最高裁判事に指名。同氏が、教育省と雇用平等機会委員会で部下だったアニタ・ヒル氏(現在ブランダイス大学教授)に対してセクハラをした容疑が問題になりました。

高濱:上院司法委員会(ジョー・バイデン委員長。のちに副大統領)は91年9月10日、ヒル氏によるセクハラ告発を踏まえて非公式な尋問を行い、FBIに調査を要請しました。FBIは3日間調査をしたのち、その結果をホワイトハウスと司法委員会に報告。

報告内容は一切公表されていません。司法委員会はFBI報告を踏まえて人事承認案件を採決しましたが、7対7で結論が出ず。同委は結局、一切の「勧告」を付けずに本会議に送付。

本会議は賛成52、反対48の僅差で可決し、トーマス氏は判事に就任しました。当時の聴聞会のビデオをみると、委員会のメンバーは民主党も共和党も全員白人男性。質問もどこか高圧的なところが目立ちました。

現在の司法委員会の顔触れを見ると、民主党には女性が4人います。白人が2人。後は日系人、黒人とインド人の混血です。

トーマス氏に対するセクハラ容疑は、ヒル氏を何度も食事に誘ったり、ポルノ写真をみせたり、セックスの話をしたり、といったもの。「カバノー氏に対する性的暴行容疑に比べると若干弱い」(米主要紙記者)気もします。それに91年当時のセクハラ基準では、特に問題視されなかったのでしょう。今だったら、トーマス氏は判事になれなかったかもしれません。(”Flashback: Anita Hill’s Explosive Opening Statement.” CNN. 4/13/2016 )

セクハラ告発の発端は女性教育官僚が出した一通の通達

—米国ではいったい何が転機になってこれほどセクハラ追及が激しくなったのでしょう。

高濱:米主要紙の教育問題担当記者の一人は筆者にこう説明しています。「オバマ政権に教育省で公民を担当したロズリン・アリ副長官が11年4月に通達を出し、小中高校および大学でのセクハラや性的暴力に対する措置(学校当局は①被害を受けた生徒学生からの訴えを誠実に聞く、②学校内で事実関係を調査する、③その事案について公民権をつかさどる機関に即刻報告する、などを義務付けた)を徹底するよう指示したからではないか」

「これにより、それまで泣き寝入りしてきた学生や、大学に勤務する女性たちが当局に被害を届け始めた。関係当局も動かざるを得なくなった。告発の動きはキャンパスから外の社会へと広がった。そして社会現象となっていった」(”Archived Information: United States Department of Education,” Office for Civil Rights, 4/4/2011)

セクハラの告発は、それまで地位と権力をほしいままにしてきた社会の「大物」に向かったのです。ハリウッドの超大物プロデューサーのハーベイ・ワインスタイン 氏や黒人俳優のビル・コスビー 氏らが告発されています。コスビー氏は9月、禁固3年から10年の量刑判決を受けました。

「今まで怖くて告発できなかったけど、みんなで一致団結すれば声を上げられる」として、被害を受けた女性たちが立ち上がっているのです。いわゆる「#MeToo」運動です。

ハリウッド、政財界、マスコミ界を直撃するセクハラ告発運動の波はなんと最高裁にまで押し寄せたのです。トランプ大統領もいくつもの告発や訴訟を受けています。カネと大統領の肩書のおかげで今のところ無事なようですが、いったん大統領を辞めたらどうなることかわかりません(笑)。

#MeToo運動は「セクハラ文化」を粉砕できるか

—最後に、上院本会議は司法委員会の人事承認案を受けてどのような結論を出すのでしょうか。

高濱:本会議への送付について、グラスリー委員長とファィンスタイン筆頭理事との間で「紳士・淑女協定」を結んでいます。この協定は27日に「司法委員会が多数決でカバノー氏の人事案件を承認した」事実を尊重するというものです。

ただ、カバノー氏の容疑について、FBIがそれを立証するような新事実をみつければ話は別です。FBIはカバノー氏のセクハラ容疑について関係者に聞き取り調査をして、その結果を纏めます。FBIは生の情報を司法委員会に報告するだけで、判断や結論を出すことはありません。ただし、カバノー氏、あるいはフォード氏が偽証したことが明らかになれば、議会侮辱罪で訴追されます。宣誓して証言しているわけですから。となれば、カバノー氏が偽証していた場合、最高裁判事に就任するなど問題外です。

FBIは、「カバノー氏にセクハラ行為をされた」と告発している、フォード氏以外の二人の女性にも尋問しているようです。

一人は、カバノー氏がエール大学が通っていた時にクラスメートだったというデボラ・ラミレス 氏(53)。もう一人は高校時代にカバノー氏らに集団暴行されたと訴えているジュリー・スウェイニック氏(55)です。同氏の弁護を担当しているのはマイケル・アベナッチ氏。トランプ大統領から不倫をめぐって口止め料を受け取ったとされるポルノ女優のストーミー・ダニエルズさんの弁護も担当しています。

カバノー氏に対するセクハラ疑惑が本当なのかどうか。最高裁判事に無事になれるかどうか、目が離せません。しかし、それ以上に注目すべきは、米国で吹き荒れる「セクハラ告発」運動が今後どこへ向かうのか、です。

米国社会は法的には、もしくは表面的には「男尊女卑」を撲滅したかに見えます。ですが、「セクハラ文化」は社会に根強く残っている。それを#MeToo運動がどこまで突き崩せるか。日本にとって「他山の石」となりうるか、注目されます。

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『自衛官まで誤解しているイージス・アショア 今までの指揮官選定では失敗する、心臓部品も国産化が不可欠』(10/1JBプレス 森清勇)について

10/3阿波羅新聞網<各地抗议!P2P倒闭风暴 上海闹区爆警民冲突=各地で抗議活動! P2Pの倒産は荒れ狂う 上海の繁華街では民衆と警察が衝突>中国の浙江省、上海等にはこの1年で1000強のP2Pが倒産、上半期には700ものP2Pが夜逃げか返還困難に陥り、今に至るまで数百万の血と汗の結晶である元本すら返って来ない。被害者は誰に求償して良いか分からず、P2P難民と呼ばれる。10/1(国慶節の日)には中国各地で被害者の抗議活動が起き、上海の繁華街では民衆と警察が衝突し、群衆は警察に連行され、調べられた。

まあ、P2Pはねずみ講か高利を謳ったものだから、騙されても自業自得としか言いようがありませんけど、これが中共打倒の糸口となる事を願っています。


http://www.aboluowang.com/2018/1003/1183067.html

10/2看中国<秘密转移20万人 新疆铁路禁运内幕曝光(图)=秘密裡にウイグル人20万人を移す 新疆の鉄道利用ストップの内幕を明らかに>新疆の鉄道は突然切符を売るのを止めたのは、疑いを深めた。最近の情報では、これは、新疆当局が鉄道を利用してウイグル人を労働改造キャンプに収容するためとのこと、移送人員は20万人にも上るとのこと。

「自由アジアTV」によれば、26日から新疆当局は列車にて、ウイグル族、カザフ族、キルギス族等の少数民族を移送し出した。南に住むウイグル人は北へ移送され、新疆の北に住むカザフ人は甘粛省に移された。カシュガルの疏附県の警察は少数民族を大規模に移送させたことを実証した。報道は匿名の多くの新疆人の言葉を引用、今回の移送人員は2~30万人、新疆南部のカシュガル、ホータン等のウイグル人、北部のイリのカザフスタン自治区のカザフ人にまで及ぶと。

事情通は、「当局のウイグル人の大量移送は人の耳目を塞ぐためである。第一に新疆各地の監獄は満杯、第二に機密保持である。逮捕された人間が多すぎて、監獄の要員の直系親族も入れられている。これは監獄内の情報が外部に漏れないようにするためである。

労働改造キャンプの情報が漏れないよう、イリ政府は近頃、文書を出し、労働改造キャンプの管理を強化し、外に情報が漏れないようにした。文書は「拘束されている人と、監獄の管理員との間に、親戚・友達・かつての同僚の関係がないように要求している。それで、カシュガル、アクス等のウイグル人はイリの新疆生産建設兵団に移された。当局は拘束されているものと看守等が通じるのを防ぐため甘粛省等では看守や管理要員を教導員として高給で迎えている。

WSJは「労働改造キャンプをブラックホールのようで、入ったら出て来れない」と報道した。

まあ、米国は衛星で監視していますから、ドンドン国際社会に流していくと思います。貿易戦だけでなく、情報戦もありますので。

ウルムチ駅

https://www.secretchina.com/news/gb/2018/10/03/872557.html

日本人はもっと中国人に警戒心を持たねば。尖閣を取りに来ている国と友好関係を結べる訳がありません。本庶佑先生は「あらゆるものを疑え」とおっしゃっていました。別に科学の世界だけでなく現実社会の世界でも当てはまります。特に日本のメデイアは偏っていて日本を赤化するのに余念がありません。上記の記事から読み取れるのは共産主義と言うのは人権弾圧、暴力肯定社会です。こういう社会に日本をしたいのかと。もっと真剣に考えて選挙に臨みませんと。

森氏の記事にありますように、日本の最大の敵は中国です。中国が世界を牛耳ることのないように自由主義国は協力し、封じ込めしていきませんと。また、国民も戦争が起きるかもしれないと真剣に考えるべきです。安倍首相は秋の臨時国会に憲法改正案を提出したいとのこと。早く進めてほしい。

記事

ルーマニア・デベセルの軍基地で行われたイージス・アショアの配備式典に出席する米軍兵士ら(2016年5月12日撮影、資料写真)。(c)AFP PHOTO / DANIEL MIHAILESCU〔AFPBB News

真実を見極めることの大切さ

防衛省は平成31年度予算でイージス・アショアの導入に着手する。北朝鮮や中国の弾道ミサイルなどへの対処の必要性からである。

北朝鮮が核実験や弾道ミサイル発射試験などを繰り返し、いまにも日本が弾道ミサイルの攻撃に曝されるのではないかという緊迫した状況の中で導入決定(2017年12月末の閣議)が行われた。

そうしたことからイージス・アショアの防衛対象は北朝鮮の核弾道ミサイルだけであるかのような錯覚を国民に抱かせた。

半年後の2018年6月12日に米朝首脳会談が実現し、北朝鮮が核実験やミサイル発射をしていないことなどから、一部のマスメディアなどは「脅威はなくなった」と喧伝し、導入に疑問を呈し始めた。

また、配備先とされる山口県や秋田県からは、しっかり説明をしてほしいという要望も聞こえてくる。

このようは報道に接して国民の心が揺れるのも致し方ない。政府は十分説明してこなかったが、実際は北朝鮮よりも中国の配備済みの核・弾道ミサイルの脅威の方が何十倍も何百倍も大である。また極東ロシア軍の脅威も潜在的に存在する。

しかし、日中・日露間に多くの問題を抱えており、問題を複雑にしないことや外交的配慮などから、ほとんど中露の「弾道ミサイル」の脅威を語ってこなかったのだ。

従って、北朝鮮が実験などを差し控えているから、イージス・アショア導入の必要性はないという提議は近視眼的な見方であり、全く的外れである。

そもそも米朝首脳会談後の北朝鮮の動きを見ていても、用廃となった施設などしか破棄リストに挙げていない。

現実は核兵器と弾道ミサイルの開発を継続しているという情報もあるくらいだから、イージス・アショア配備の必要性は軽減していない。

また、新装備の導入・配備から訓練習熟には時間を要し、事案が持ち上がってから導入だ、訓練だといっても間に合わない。それよりも何よりも、先述したように脅威の対象は北朝鮮ばかりではない。

日本周辺には脅威を与える核兵器や弾道ミサイルが既に実戦配備されているが、憲法9条を信奉してやまない野党などが安全保障問題を忌避し、「さわらぬ神に祟りなし」とでもいうような心境で誤導してきた結果、国民は余りにも能天気すぎたのだ。

睡眠不足は任務を阻害する

現在の弾道ミサイル対処は第1段が海上自衛隊のイージス艦であり、第2段が航空自衛隊のパトリオットの2段構えになっている。

しかし、パトリオットは拠点防御兵器で射程は短く迎撃に成功したとしても国土上空で破壊することとなり、当然のことながら国土・国民への被害が懸念される。

そこで、イージス艦で打ち洩らさないようにしなければならない。当然のことながら、数少ないイージス艦が昼夜を分かたぬ迎撃態勢で重責を担うことになる。

指揮官が率先垂範することは言うまでもなく大切であるが、指揮官に最も必要なことは適切な判断力である。その判断力を鈍らせる最大の敵が睡眠不足とされる。

作戦が長期になればなるほど、また状況が錯綜するほど適切な判断が求められる。このようなことから、困難な状況に立ち向かうほど、指揮官は十分に睡眠をとることが大切である。

イージス艦は3隻で全土をカバーすることになっているが、そもそも隻数が少ないために、艦員たちが過労を重ね、場合に行っては任務達成に支障をきたさないとも限らない。

弾道ミサイルの脅威のような状況下では日本全域、さらにはシーレーンなどが防衛対象であろうし、海自の主力艦は弾道ミサイル対処だけでなく本来の任務である艦隊防護などに運用されるであろう。

そこで、弾道ミサイル迎撃の任務を海・空自衛隊に皺寄せすることなく、全自衛隊が分担することは賢明な方法である。陸上固定式のイージス・アショアは2基で全土をカバーする能力を有する。

海自の運用にリダンダンシーを持たせるばかりでなく、3段階の迎撃態勢で多種多弾頭による「飽和攻撃」への対処能力も向上が期待される。

エレクトロニクス戦争の様相下で

ところで、最新式で高価な装備が導入されても、肝心のパーツやブラックボックスの補給整備が滞り、いざという時に機能しないでは一文の価値もない。

旧軍では兵器も不足していたが、輸送船の撃沈が増大して糧食などの補給が続かず、現地で調達するような事態に追いこまれた。

これは国家の総力戦に対する認識が足りなかったことが大きいが、伝統的に輜重(しちょう、今日の兵站)を軽視した結果以外の何ものでもなかった。

その端的な表れを「輜重輸卒が兵隊ならば、蝶々トンボも鳥のうち、電信柱に花が咲く」という戯れ歌から読み取ることができる。

このような意識は、大東亜戦争敗因の反省の上に創設された自衛隊にも見られた。「戦い」となると、戦国時代の第一線での華々しい様相から想像される通り、正面で戦う部隊を指揮するものが重視された。

戦後の自衛隊でも敵と相まみえる普通科(旧軍の歩兵)、特科(同砲兵)、機甲科(同戦車)などの戦闘職種の人物が重要視され、これらの職種から師団長などが指名されてきた。

ところが、21世紀になり軍事改革が急速に進展した。

従来の兵員主体の戦闘部隊は機械化部隊に改編され、今ではエレクトニクス化された部隊となり、一時は「デジタル師団」の呼称さえあった。

こうした時代に旧態依然の人事は部隊の機能を阻害する。

戦闘職種で師団長待ちの人物を、数か月間のつなぎとして後方職種の補給処の処長に配置した。ところが、補給処運営はものの見事に失敗した。

以下、間違った人事がいかなる結果をもたらすか、2、3の事例をもって示したい。

補給処には制服自衛官でない事務官や技官が半分以上在籍している。戦車などの兵器・装備の部品を発注したり、航空機エンジンなどの整備をする補給整備が任務であるため、自衛官に要求される隊列を組んで歩くことは基本的に要求されていない。

ところが、戦闘職種出身の処長として新機軸を打ち出したい先の御仁は、着任3か月後の創立記念日に、師団並みのパレードを見せたいらしく、事務官・技官までも隊列行進に駆り出したのだ。

記念日当日の来場者からは思ってもいない展開に「おおっ!」と驚きの声も聞かれたが、準備期間中の本業である補給整備率は半分くらいに低下してしまった。

適材適所とはよく言ったもので、戦闘職種の指揮官は兵站などを考慮する姿勢に欠け、近代化された自衛隊では十分に機能しないことを示した一例である。

兵站職種出身の指揮官が相応しい

また、何万、何十万点の部品などの在庫管理にはABC分析が適用される。

全品目のうち重要度の高い上位20%程度(Aクラス)の品目群を重点的に管理強化すれば、80%の改善効果が得られるという一般的な傾向(パレートの法則)に基づいている。

補給率と予算の関係も類似の傾向を示す。補給率80%位までの予算は妥当な範囲内にあるが、残り10%を充足しようとすると予算が急上昇し、100%ともなると無限大の予算を必要とするというものである。

やはり戦闘職種育ちの別の処長の話である。

新しい処長が着任すると、関係部課の長は新任の処長に担当部署の現況や問題点などを把握してもらうために「状況報告」を行う。

補給部長が補給率「80%」を目標に掲げることを説明した時のことである。やみ雲に「80%でなく100%を目指せ」との指導がきた。

「あの目標を奪取せよ」の一言で部下を動かしてきた戦闘職種出身の新処長には80%の達成目標は失敗と映ったに違いなく、100%で初めて目標達成であろう。

しかし、何十万点の部品を取り扱う補給処においては、予算の急増を許しても85%止まりで、90%ともなると補給部だけで処の全予算を使ってしまいかねない。

ましてや、割り当てられた予算では100%は不可能であることは火を見るよりも明らかで、部長がABC分析を用いて丁寧に説明しても理解が得られることはなかった。

陸自はホーク・ミサイルを装備している。

時折故障が発生するが、中に組み込まれた自動点検システムを使って、「この部位」に故障があると分かっても最終的な「このパーツ」は整備員の能力によることになる。

関わる隊員の技能も関係するが、小指の先より小さなコンデンサーや抵抗などであることも多い。

土日返上で故障探求に当り、件のパーツを見つけたときの隊員の喜びは格別である。

月曜登頂の指揮官に「機能回復」の報告を行うと、指揮官曰く「何だそれくらい(小さなパーツ)の故障発見に2日もかかったのか」と。

これでは隊員の士気が低下するのは目に見えているし、どんなに小さかろうと、ホーク・ミサイルの機能を阻害していたという認識が零であったのだ。

兵器や装備品の多くがエレクトロニクス化され、また指揮中枢も情報網によってエレクトロニクス化される状況下にあって、師団長などの各級指揮官にも科学技術の理解が不可欠となってきた。

ましてやイージス・アショアは12人の3交代、計36人で運用されるエレクトロニクスの集合体のようなシステムである。

周辺の警備要員などもいるであろうが、兵站職種の指揮官が望ましいように思えてならない。

重要パーツは国産が不可欠

新聞報道で「イージス・アショア2基で6000億円」などと報道され、多くの人が驚いたに違いない。センセーショナルな報道は効果的であるが、国民に誤解を与えかねない。

兵器・装備は30年間くらい運用されるので、その間に必要な整備(また、このための補給)なども含めたライフ・サイクル・コスト(LCC)と呼ばれるもので評価される。

イージス・アショアのLCCは現在運用しているイージス艦と対比して論じるべきであろう。

渡部悦和氏のJBpress論文『中国やロシアも恐れるイージス・アショア 日本に配備される最高性能装備は高いか安いか』(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53796)を参照すると、イージス・アショア(2基、30年間運用)のLCCは約4664億円、他方、最新イージス艦「まや」型(2隻、同運用)は約7000億円となり、イージス・アショアが費用対効果上は優位にあるとしている。

ちなみに、日本全体をカバーするという視点からはイージス艦3隻との比較が妥当であり、一段と優位性が明確になろう。いずれの場合にも、消耗品であるミサイルの取得経費は含まれていない。

かつてホーク・ミサイルの補給整備に関わっていた折、最重要のマグネトロン(その後クライストロン)が入手できずに困惑したことがある。

全国に8個部隊が展開していたがどこにも余剰がなく、2基のうち1基が不稼働となり、上級部隊から示された稼働率を充足できなくなってしまったのだ。

しかも、米国での実射訓練用資材として近々発送することになっていた。当時は韓国も警戒態勢にあり、米国は日本よりも韓国への補給を優先していた。

普段はさほど困難でもない入手が、国際情勢次第で緊要時に手に入らないということは、大きな問題である。

これが、国産であれば容易に補充できるわけで、米国生まれの装備品でも心臓部に当る緊要なものは国産の取り付けが不可欠である。

最近は装備品そのものが箇所ごとにブラックボックス化されることも多い。供給元の米国が補給するから、一切触ることまかりならぬというものであるが、こうした縛りで本当に機能するか、十分な検証と対策が欠かせない。

おわりに

核兵器の分散が止まらない。北朝鮮が盛んに発射実験を行っていた時には、多くのメディアなどで核シェルターを推奨する記事も散見された。まして電磁パルス(EMP)攻撃に言及した時は、日本中がパニック状態になった感があった。

脅威は依然として存在するので、今こそ冷静な議論と分析で準備が必要ではないだろうか。そうした一つに防空壕の再利用を提案したい。

大東亜戦争中に掘削された防空壕が日本のあちこちにある。それらは山間部を切り拓いて作られており、頑丈この上もない。

今は蝙蝠などの巣になっているであろうが、整備して活用するのは国民保護法に基づく安全確保の近道にも思える。

国家的にイージス・アショアを配備する一方で、地域は「安全都市宣言」などの空文で市民を惑わすことなく、身近にシェルターなどを準備することが大切であると思考するがいかがであろうか。

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『「裏切り者」スパイの命を狙う暗黒国家ロシア 英国のウェブサイトがスクープ、またもや暴かれたロシアの欺瞞』(9/30JBプレス 黒井文太郎)、『ソ連時代に逆戻り? 政治将校を復活させるロシア インターネットによる軍の規律乱れを恐れるプーチン大統領』(9/27JBプレス 小泉 悠)について

10/2阿波羅新聞網<中共运输机出口哈萨克斯坦 蚕食俄势力范围=中共は輸送機をカザフに輸出 ロシア勢力圏を蚕食>ロシアが主導するCIS(独立国家共同体)会議で、中国の造った軍用輸送機が輸出され、カザフに着き、注目を集めた。これは中国が中央アジアに影響力を拡大し、ロシアの勢力圏を蚕食していることを意味する。

9/28CISはタジキの首都ドゥシャンベで開かれ、ロシア、タジキスタン、アゼルバイジャン、ベラルーシ、キルギス、カザフスタン、モルドバ、ウズベキスタンの8大統領とアルメニア首相が出席した。 トルクメニスタンは、CISの連携国として、副首相を派遣し会議に参加した。

ロシアメデイアは、「中国の運8輸送機は値段が安いことを除き、ロシアの装備品が充実したソ連の安-12輸送機のパクリで、それでカザフのパイロットは新しいことを学ばずとも済む」と報道。

ある評論には「北京はわざと運-8を選び、これは既にモスクワでは生産してない安-12の模倣品なので、それを中央アジアに輸出し、モスクワの怒りを抑え、露中の衝突を軽減するのを期待してのこと。これはモスクワが北京の思いを顧みず、ベトナムとインドに最新鋭の武器と装備を輸出するのとは完全に違う。

ロシアも中国のパクリにしてやられています。日本の新幹線と同じ構図です。外国へ輸出しない契約であっても、彼らは中国産という事で外国に売り込みを図ります。「騙される方が馬鹿」というもの。中国人を信用する方が悪い。知財の窃取はあらゆるところで、国家ぐるみで行われています。「泥棒国家」と呼ぶのが相応しい。米国が怒って当り前、日本ももっと怒らねば。

中国はサラミスライス戦術が得意です。尖閣で少しずつやり方を前進させて、やがては世界にその領有権を認めさせようと言うもの。このカザフへの売り込みは、中央アジアでロシアを追い出す第一歩として記憶されるでしょう。ロシアが何もしなければですが。プーチンも習に舐められていても何もできないのでは、KGB出身者としての名折れでは。

http://www.aboluowang.com/2018/1002/1182665.html

10/1希望之声<朝鲜驻华使馆罕见撤习近平照片 韩媒:必有大事发生=駐華北朝鮮大使館で習近平の写真が取り下げられたのは珍しい 韓国メデイア:必ず大事件が起きる>中共とロシアは国連で連携して北朝鮮を助ける声を上げている。経済制裁を暫く停止するよう要求したりして、中共と金正恩の関係はこのところ暖かくなってきた。意外や、9/30の情報では、駐華北朝鮮大使館の習近平の写真が取り下げられ、文在寅と金正恩が一緒に映った写真に取り換えられた。

大使館の正門の傍にある掲示板に、中朝首脳会談の写真も米朝首脳会談の写真もなく、25枚とも9/18~20の南北首脳会談の一緒に映っている写真だけ。そこには文が平壌空港に着いたときの歓迎ぶりやその赤絨毯、文と金の「平壌宣言」で大笑いしている写真、二人で白頭山の天池に登った写真等が掲げられていた。その中で最も目を引いたのは、文の着陸時に取った写真の中に韓国国旗が映っていることである。これは駐華北朝鮮大使館の掲示板に現れた初めての太極旗である。また、その写真の中に、ICBMや兵器の写真はなく、北の街並みや建物、水上遊園地等があるだけ。

北に関して言えば、政権にとって非常に重要なことが起きない限り、駐華北朝鮮大使館の掲示板は換えられない。思われるのは韓国と関係改善して、米朝合意の難関を突破しようとしているのでは。

ある人は「米中間の貿易・軍事・外交で矛盾が増幅する中、中共は北を利用して米国を牽制しようと願っている」と分析。かつては北京が北の非核化を邪魔しようとしたと疑われているし、中朝でこの件について未だ何も発表されていない。

写真の件については違った見方がある。ある人は「習は米国に対抗するためとしては、真剣に北を支持はしていない」という。またある人は「金が北京とソウルを同時に利用している。硬軟両様、ワシントンが経済制裁を諦めるように」と疑っている

中朝関係は藪の中です。

https://www.soundofhope.org/gb/2018/10/01/n2223225.html

黒井氏の記事は、英国でのロシア元スパイの暗殺事件はロシアの国家ぐるみの犯罪というのが明らかになったというものです。高度な政治判断を要したとのこと、プーチンの関与を暗示しています。ロシアのスパイは荒っぽく、中国はハニーや賄賂で要人を取り込むソフト路線を採ると佐々淳行が言っていたように思います。ソチオリンピックでのドーピング検査の検体のすり替え等、余りスマートには見えません。中国ほどではありませんがアンフェアです。やはり、ほどほどに付き合うしかないのかと。

小泉氏の記事は、ロシアも先祖返りして、軍に共産主義時代のやり方を踏襲すると言うもの。それだけ見ると、軍はプーチンの意向を無視した動きをしているので監視が必要としか思えません。中国と違い、そこまで社会が動揺しているとは思えませんが。年金問題でミソを付けたプーチンですがまだまだ支持率も高く、焦って軍の監視をするほどではないと思うのですが。プーチン引退後に軍に睨みを効かせ、後任の統治者から脅されないようにするためでしょうか?

黒井記事

イギリスでロシアの元スパイが毒殺未遂の目に遭った。事件の真相を巡ってイギリスとロシアの間で一悶着が起きていたが、このたびイギリスのウェブサイトが容疑者の実名をすっぱ抜いた。ついに明らかになった容疑者の正体とは? 軍事ジャーナリスト、黒井文太郎氏がレポートする。(JBpress)

ロシアの主張が崩れた

9月26日、イギリスの公開情報検証サイト「べリングキャット」(Bellingcat)が、英国で起きた元ロシア情報部員の毒殺未遂事件の容疑者2人のうち1人の身元を確認するレポートを発表した。ロシア軍情報機関「参謀本部情報総局」(GRU)の大佐だということだった。

この事件に関しては、「GRUの犯行だ」と発表したイギリス当局に対し、ロシア側が「事実無根」と真っ向否定していたが、そのロシア側の主張が崩れたことになる。

じつはべリングキャットはこの事件の真相解明を早くから続けており、それに対してロシア当局が否定する攻防戦が続いていたのだが、今回、1人の実名を突き止めたことで、ついに勝負がついたといえるだろう。

当初から濃厚だったロシア情報機関犯行説

事件は今年(2018年)3月4日に、イギリス南部ソールズベリーで発生した。元GRU大佐のセルゲイ・スクリパリが、実娘とともに毒物を盛られ、重体となったのだ。

スクリパリはかつて、ロシア情報部員でありながらイギリス情報部の協力者として活動していたところをロシアで摘発され、収監されていたが、米露の情報部員交換で釈放され、イギリスに亡命した人物だった。ロシア情報機関からすれば、まさに「裏切り者」といえる。

そして、この事件が大きく注目されたのは、使用された毒物が、軍事用の化学兵器だったからだ。「ノビチョク」というその化学兵器は、旧ソ連が開発したきわめて珍しいもので、そうしたことから、事件当初からロシア情報機関犯行説が濃厚だった。

イギリスのメイ首相も直後からロシアの関与の可能性に言及していたが、同12日にはさまざまなインテリジェンスからそれを事実上断定し、同14日にはロシア情報部員と思われる外交官23人の国外追放を発表。対するロシアはあくまで事実無根を主張し、逆にイギリス外交官を追放するなど、泥沼の対立関係になっていた。

ロシア国営テレビに登場した容疑者

ウクライナやシリアなどでのロシアの軍事介入の場合もそうだが、ロシアの悪辣な秘密活動に関して、彼らがフェイク情報を駆使して欺瞞を堂々と通すことは、もはや国際政治の常識となっている。この件でもロシアの犯行であることは明らかだったが、犯人は当然、本国に帰還しているだろうこともあり、イギリスとロシアの主張は平行線のまま経過した。

しかし、実はイギリス当局はこの被害者であるスクリパリ元大佐の周辺や、イギリスで活動するロシア情報部員の活動などをかねてから監視しており、そんな調査からついにこの9月5日、犯人2人を特定する。それは「ルスラン・バシロフ」と「アレクサンドル・ペトロフ」という名義のロシア旅券を持つ2人組だ。イギリス捜査当局は2人のイギリス入国からの行動を監視カメラ映像などから確認して犯人と断定。顔写真も公表するとともに、欧州逮捕状を発行して国際手配した。

ソールズベリーを歩く、英当局がロシア人元二重スパイ暗殺未遂事件への関与を断定したアレクサンドル・ペトロフ(右)とルスラン・バシロフとされるロシア人2人の姿。ロンドン警視庁提供(2018年3月4日撮影、同9月5日公開)。(c)AFP PHOTO / Metropolitan Police Service〔AFPBB News

それによると、2人は3月2日にモスクワからロンドンに到着。翌3日に短時間ソールズベリーを訪問。いったんロンドンに戻って、翌4日に再びソールズベリーに向かい、その4日当日のうちにロンドンからモスクワに向かった。まさにソールズベリーで短時間過ごすためだけにイギリスを訪問していたわけだ。なお、2人が宿泊したロンドン東部のホテルからもノビチョクの痕跡が検出されている。

それまでロシアは、この事件への関与を否定してきたが、このように具体的に犯人の旅券名義や顔写真まで公表されたことで、その否定工作を行った。まず同12日にプーチン大統領が「彼らは誰か分かっている。情報部員ではなく、民間人」と発言。翌13日には、なんとこの2人をロシア国営テレビ「RT」が出演させた。

そこで本人たちが語ったところによると、旅券名義は彼らの本名であり、職業は軍人ではなくフィットネス業界とサプリメント業界の企業家とのこと。ソールズベリーを訪れたのは、同地の大聖堂を見るためで、純粋に観光旅行ということだった。ロシア側はこれをもって、2人を犯人とするのはイギリス側の陰謀だと指摘した。

だが、2人のこの証言だけでシロとするのは、あまりにも無理があった。たとえば、彼らはなぜか自分たちの身分証明書を番組では提示せず、仕事内容や私生活にも触れなかった。また、ロシアの独立系経済紙「RBK」の取材によれば、この2人の名義で登録された会社は存在しなかったという。なによりRTはプーチン政権の完全な宣伝機関であり、そこに出てくるだけでクロと自白しているようなものでもあった。

ロシアの欺瞞を暴いた情報検証サイト

しかし、その後、情報戦の主役は、2人の犯人を無関係と主張するロシア当局と、その矛盾を証明する独立系の民間サイトに移る。そのサイトこそ、イギリスの公開情報検証サイト「べリングキャット」である。

べリングキャットは、エリオット・ヒギンズという39歳のイギリス人ブロガーが2012年に始めたブログを母体とするサイトで、ネット上で入手できる公開情報を使ってフェイク情報を検証する非常にマニアックでユニークな活動を展開している。調査対象がフェイク情報なので、当然、主な相手は現在、世界で最もフェイク情報を拡散しているロシアとなっている。

べリングキャットはもともとは研究機関でも報道機関でもないサイトだが、特にウクライナでロシア軍がマレーシア航空機撃墜に関与していたことや、シリアで化学兵器がアサド政権によって使用されたことなどを、現場で撮影された写真などを元に証明してきたことで、大手の国際メディアにもたびたび引用される情報源として注目される存在になっている。

この元ロシア情報部員毒殺未遂事件に関しても、ロシア側の否定の欺瞞を暴く調査をいち早くしてきていた。今回、イギリス当局が2人の犯人を特定した際も、その直後にロシア側が、イギリスが発表した監視カメラ映像について疑問を呈したことに対し、そのロシア側の過ちを指摘する調査報告を9月6日に発表。さらに同14日にはロシアの独立系サイト「ジ・インサイダー」との共同調査として、2人の犯人の旅券情報などから、彼らがGRUと関係している可能性がきわめて高いことを証明した。

それによると、この2人の名義でのロシア中部での住民登録と旅券発給の記録は2009年に作成されており、それ以前には存在しないという。また、2人の旅券はほぼ同時期に発給されているが、通常のロシア国民とは違うきわめて特例的な発給が行われており、うち少なくともペトロフ名義の旅券情報には、情報機関員に使われる最高機密扱いの特殊なマーキングが複数見られるという。

また、彼らが搭乗した航空便の記録からは、前々からイギリス旅行を計画していたとの2人の証言とは食い違い、3月1日に予約されていた。帰国便も2日連続で重複予約するなど、まるで「脱出」を想定したかのような準備ぶりだったとのことだ。

ロシアの反発が検証の信ぴょう性を高める結果に

こうしたべリングキャットの調査に対し、ロシア側は「ハッキングで違法に入手した旅券情報を悪用している」などと批判した。ただ、それは逆にその旅券情報が本物であることを白状したようなものだった。べリングキャットはもともと、一般に入手可能な公開情報から検証する活動を行っているが、今回はロシア側の調査パートナーがいることで、旅券情報などの公機関の内部情報を入手している。

なお、こうした内部情報はロシア国内では闇市場で入手可能だが、今回、ロシア当局はその情報漏洩ルートの調査に乗り出しているという。これも裏返せば、旅券情報らが本物であることを示している。

ところで、このべリングキャットの発表を受けて、ロシアでは独立系メディア「ノーバヤ・ガゼータ」も調査報道を開始。彼らの旅券情報に含まれる番号が、ロシア国防省の電話番号であることを確認した。ちなみにこの「ノーバヤ・ガゼータ」はプーチン政権の暗部を暴き続けている勇気ある露メディアで、記者が暗殺されたこともあるメディアである。

偽装旅券の持ち主は「ロシア連邦英雄」だった

べリングキャットはさらに9月20日、第2弾の調査報告を発表。バシロフ名義の旅券の記録情報でも、ペトロフ名義旅券と同じ特殊なマーキングが確認されたという。

また、他のGRU工作員の旅券情報を照合し、この2人の旅券が同じ特別な手順で発給されていたことも証明された。それに2人の名前で各出入国データを照合すると、とても民間の起業家とは思えないレベルのスケジュールでの移動ぶりで、西欧各国や中国、イスラエルと目まぐるしく飛び回っていることも判明した。もう2人がGRUの所属であることは明らかだった。

そして9月26日、べリングキャットはジ・インサイダーとの第3弾の共同調査を発表。さまざまな仮説からデータを照合し、写真の確認なども入念に行った末に、ついに今回、バシロフ名義旅券の保有者の実名を突き止めた。「アナトリー・チェピーガ」というGRUの大佐である。

バシロフ名義旅券の保有者がアナトリー・チェピーガであることを突き止めたべリングキャットの記事

べリングキャットの調査によると、彼は1979年、アムール州生まれ。18歳で特殊部隊員を養成する軍学校に入り、2001年の卒業後、ハバロフスクにあるGRU指揮下の特殊作戦旅団に入隊。チェチェン紛争、ウクライナ紛争にも派遣されている。

2003年にスルラン・バシロフという偽名を割り当てられていたことも判明した。偽名での活動歴は15年にも及んでいたことになる。

なお、チェピーガ大佐は2014年12月、プーチン大統領から直接授与される「ロシア連邦英雄」称号を授与されている。この時期のこうした授与であれば、おそらく東ウクライナでの秘密活動に対する評価である可能性が高い。

高度な政治判断だった暗殺作戦

今回のべリングキャットの調査報告に対し、イギリス当局は本稿執筆時点で特に情報を裏付けるような声明は出していないが、欧米主要メディアは大きく報じている。また、露紙「コメルサント」がチェピーガ大佐の地元を取材し、バシロフと名乗っていた人物がチェピーガ大佐本人であることを確認した。

今回、ジ・インサイダーというロシア側の協力者がいたことは大きかっただろうが、国際的な大手研究機関や報道機関ではない独立系の公開情報検証サイトが、地道な検証作業でロシアの欺瞞をまたひとつ暴いた。快挙と言っていいだろう。

ちなみに、べリングキャットは今回、別の元ロシア情報部員にもコンタクトをとってこの情報を伝えたところ、通常、「ロシア連邦英雄」称号を持つ大佐クラスが直接、この種の工作を自ら実行することは特別なことだという。それだけ今回の暗殺作戦は高度な政治判断によるきわめて重要な作戦だったということだろう。

小泉記事

ロシア軍が11日から17日まで実施した軍事演習「ボストーク18」の様子をまとめた。写真は日本海沿岸スリャビャンカ郊外にあるクレルク演習場で行われた訓練の様子(2018年9月13日撮影)。(c)AFP PHOTO / Mladen ANTONOV〔AFPBB News

今年9月はじめ、ロシアの有力紙『イズヴェスチヤ』が、ロシア軍の各部隊に政治担当補佐官(ザムポリト)が復活する予定であると報じた。

ザムポリトと言われても、多くの読者には何のことだか分からないだろう。しかし、その通称である「政治将校」という言葉なら聞いたことのある方も多いのではないだろうか。

ソ連軍を舞台にした映画や小説には必ず(大体は好ましくない姿で)登場する、共産党のお目付役である。

軍のお目付け役で嫌われ者

例えばトム・クランシー原作の傑作映画『レッド・オクトーバーを追え』では、ショーン・コネリー扮するソ連の原潜艦長とその部下たちが潜水艦ごと米国に亡命を企てた。

その際、邪魔者として真っ先に消されたのは政治将校であった。ちなみに全くの偶然ながら、この時の気の毒な政治将校の名は(イワン・)プーチン氏だった。

政治将校については、かなり以前に小欄でも触れたことがある(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35471)。

政治将校の役割はソ連共産党によるソ連軍の統制(言うなれば「赤いシビリアン・コントロール」)を確保することであり、それゆえに軍内部の嫌われ者というイメージを持たれてきた。

しかし、実際の政治将校が西側のフィクションのような扱いを受けていたという証拠は乏しい。

どちらかいうと部隊内の規律維持や司令官の補佐、さらにはレクリエーション活動のロジに至るまで、軍隊生活の運営に関して不可欠の役割を果たす特殊な軍人という方が公平な政治将校像ではないかと思われる。

ただ、政治将校とは共産党による一党独裁体制を軍事面で支えるための制度であったから、ソ連が崩壊すると、共産党の出先機関であるソ連軍政治総局(GPU)とともに姿を消した。

旧ソ連軍に近い組織として復活

これに代わって設置されたのが規律業務総局(GUVR。名称やステータスは度々変化している)であり、部隊内の規律維持、愛国教育、士気向上などを任務とする点では軍政治総局のそれを一部引き継ぐものであったと言える。

また、麻薬の流通をはじめとする部隊内の犯罪に目を光らせ、事前に防止することも規律将校の重要な役割であった。

しかし、GUVRの規律将校は政治将校のように全軍の隅々に配置されているわけではなく、特定のイデオロギーを掲げるわけでもないという点で政治将校とは異なる存在であっと言える。

ところが『イズヴェスチヤ』が報じた匿名情報によると、新たに設置される政治担当補佐官はどうもかつての政治将校により近い存在を目指しているようだ。

まず、この政治担当補佐官は連隊、大隊、さらには中隊レベルにまで設置されるとのことであるから、ロシア軍の隅々にまで配属されることになろう。

その任務も部隊内の規律維持だけにとどまらず、レクリエーションの企画、兵士やその家族に対する窓口業務、さらには将校や兵士の間に「国防政策に関する「深い理解と支持」を育む」ことまで含むという。

特定政党の出先機関ではない、という点を除けば、たしかにその任務上の性格は政治将校と極めてよく似ている。

ソ連崩壊後初となる「政治」看板の復活

組織の名称も前述のGUVRから軍事政治総局(GVPUR)となり、ソ連崩壊後初めて「政治」の看板が復活するという。

ロシア軍が今になって「政治将校」を復活させようとしているのは、軍内部におけるさらなる規律強化の必要性が認識されているためであろう。

昨今、西側社会ではロシアによるプロパガンダ戦が問題視されているが、ロシア自身は自国こそが西側による情報工作の対象になっていると認識しており、このことは大統領の演説や各種政策文書でも度々強調されてきた。

特に最近のロシア政府が神経を尖らせているのは軍人によるインターネット利用である。

ウクライナ問題やシリア問題に関して西側の見解(ロシア政府に言わせればプロパガンダ)に軍人たちが感化されたり、SNSを通じて作戦の実態が流出することが懸念されている。

 このため、ロシア政府は軍人のSNS利用を登録制にしたり軍事情報をインターネットで暴露した場合に罰則を科すなどして情報漏洩対策を進めている。

インターネットの情報解釈が新任務

 しかし、インターネット上にあふれる膨大な情報(例えばその中にはBBCロシア語版など、ロシア政府の立場に否定的な西側発の情報も含まれている)をどう解釈するかは軍人たちの判断に委ねられている。

 政治担当補佐官の当面の任務は、こうした情報をどのように解釈すべきかをロシア政府の立場に従って示し、「国防政策に関する『深い理解と支持』を育む」ことであると思われる。

 また、ウラジーミル・プーチン政権が社会不安の拡大や政権以降に伴う混乱に備え、軍への統制強化の必要性を認識すれば、政治担当補佐官の役割はさらに拡大していく可能性が高い。

 21世紀版政治将校の去就は、ロシアにおける政治と社会、そして軍との関係を図る指標となるだろう。

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『プーチン大統領は「日ロの領土交渉に疲れた」 日本に提案された平和条約の意味、ルキヤノフ氏に聞く』(9/28日経ビジネスオンライン 池田元博)、『日ロの北方領土交渉 波高し』(9/27日経 池田元博)について

9/30希望之声<川普:中国要么开放市场、公平交易,要么我们不跟他们做生意=トランプ:中国が市場を開放し公平な貿易をするか、我々が彼らとビジネスしないかどちらかである>米国時間9/29夜にトランプは西バージニアでの集会で「中国が市場を開放し公平な貿易をするか、我々が彼らとビジネスしないかどちらかである。簡単なこと。(中間選挙で)もし民主党が勝てばどうなるか、史上最悪のオバマケアが復活し、米国を社会主義化し、軍を弱体化して役にも立たない所に金を使い、犯罪を野放しにするだろう」と述べた。

中国はWTOの改革は支持するが、「WTOの基本原則は変えることはできず、新しく作り変えたり、ひっくり返すのもダメ」と主張。

中国は今までの途上国扱いの地位の儘、知財の窃取、強制技術移転もそのままにして貿易したいという事でしょう。中国をWTOから放逐するか、日米欧が脱退して新たな組織を作った方が良いでしょう。

https://www.soundofhope.org/gb/2018/09/30/n2221791.html

10/1阿波羅新聞網<中共在美报纸买广告批川普 美驻京大使投书反击 ——美驻华大使:中共利用美新闻自由 霸凌美国农工商=中共は米国の新聞にトランプ批判の広告を載せた 駐華米国大使が投書で反撃 駐華米国大使:中共は米国の報道の自由を利用し、米国の農工商を虐める>前アイオワ州知事のブランスタッド駐華大使は「中共は、米国が大切な価値と思っている言論の自由、報道の自由を利用し、彼らの政治プロパガンダを撒き散らしている。翻って中国内では、メデイアは中共に厳格に管理され、街のブックスタンドでも異なった情報を探すのは限られている。中国経済の発展軌道を憂える中国人民のいろんな意見を反映させた報道も見たことがない。私の意見を書いた投書は中国で最も有名な新聞社からやんわりと拒絶された」と述べた。

9/23アイオワ州最大の新聞“Des Moines Register”の4頁目に中共が全面広告。大豆輸出農家のトランプ批判を掲載。China Dailyが金を払い、制作もした。

中国のやり方は分かり易い。日本でもペイドパブで姿を見えにくくして、新聞の読者を誑かしていると思われます。左翼新聞と日経(日本企業の中国進出を煽る)には要注意です。

http://www.aboluowang.com/2018/1001/1182092.html

10/1阿波羅新聞網<中共十一节日 习近平强调备战=中共は10/1国慶節で 習近平は戦争に備えよと強調>9/29、中共建国69周年を迎えるに当たり(10/1がその日)、CCTV所属のネットはニュースのヘッドラインに「(中国共産党総書記、国家主席=党の方が先、英語でPresident Xi Jinpingというのはおかしい。General Secretary Xi Jinpingでは)習近平は79軍団を視察時に、“兵の訓練を強化し、戦に備え、戦えば勝つ能力を引き上げよ”と強調した」と載せた。

今の中国では、人民解放軍が依然として中共という党の軍である。中共は1949年以前に国民党と奪権争いをしていた時には、国の軍としての地位を要求していたにも拘わらず。習が主席になってから、「人民解放軍は党に忠誠を尽くせ」と再度宣伝し出した。

中国のネット民はこの種の中共の宣伝スローガンに不満を持ち、似たようなスローガンで「張三の妻は李四に忠義を尽す(誰でも嫁に行けば舅に尽す)」とからかう。あるネット民は「依然として中国の軍隊は党の軍隊である。なぜ中共は自分で金を出さず、納税者の金を使って、党の軍隊を養うのか?多くの中国人は病気をなおざりにし、高等教育も受けず、住むところもなく、老いても養って貰えずと言うのに」と不満を持っている。

http://www.aboluowang.com/2018/1001/1182089.html

10/1阿波羅新聞網<曾庆红放风美中贸易战中共会输很惨 习王拿下庆亲王出师不利=曽慶紅は米中貿易戦で中共は惨めに負けるだろうと言い放つ 習は曽の出陣を不利と見て奪権工作>9/30江沢民系の香港メデイア『南華早報』の主筆は、「米中貿易戦のレベルは徐々に上がって来て、中共は最大の敗者になるだろう」と報道。この主筆は2016年に海外メデイアのインタビューを受けて、「習近平は毛沢東のやり方を真似ているが、これは駄目だ」と述べた。政治経済学者の程暁農氏がボイスオブアメリカのインタビュー時に、「『南華早報』の経営権と支配権は未だ中共香港・マカオ工作委員会の手中にある。ここを実質支配しているのが、曽慶紅である。習が主席になってから、何度も曽慶紅を攻撃、いろいろ脅したが、未だ曽慶紅とその家族は無傷である」と述べた。

http://www.aboluowang.com/2018/1001/1182421.html

池田氏の記事では、ロシアは①領土問題を解決する意思はなくなった。タイミングが重要と言うのに、日本は活かしてこなかった。次の大統領、次の日本の首相に誰がなっても難しい②米中の覇権争いの場面で、ロシアは中国側に、日本は米国側に付くだろう、と思っているという事です。まあ、日本としては北方領土の解決よりは尖閣奪取されない方が大事かと。ロシアを中国寄りにしないくらいの付き合いで良いのでは。

日経ビジネスオンライン記事

一切の前提条件なしに、年末までに平和条約を締結しよう――。ロシアのプーチン大統領が今月中旬、ウラジオストクでの東方経済フォーラムの全体会合で意表を突く提案を日本に投げかけた。その意図はなにか。ロシアの著名な国際政治学者フョードル・ルキヤノフ氏にモスクワで話を聞いた。

東方経済フォーラムでパネルディスカッションに出席する安倍晋三首相(左)、ロシアのプーチン大統領(中央)、中国の習近平国家主席(右)(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

—プーチン大統領はフォーラムの場でなぜ、あんな発言をしたのか。

フョードル・ルキヤノフ氏(国際政治学者):発言の場所は、ロシアにとって最も重要な東アジアのフォーラムだからだ。では大統領は何を言いたかったのか。(北方)領土問題をめぐる慎重でのらりくらりとした交渉に皆が疲れた、少なくともロシアが疲れた。このような交渉を続けても成果は見込めず、これ以上続ける意味がないと考えたようだ。

ここ数年間は日ロ間で領土問題が真剣に取り上げられ、関係進展の雰囲気が芽生えていた。プーチン大統領と安倍晋三首相の関係が良いというのは1つの要因だが、決定的なものではない。より客観的に見て主な要因は3つあった。

第1にプーチン大統領の個人的な要因だ。彼は日本に関心を持ち、2002年ごろは明らかに領土問題を解決したいと考えていた。しかも、前任者と違って解決する能力も持っていた。領土の譲歩はどの国でも最も不人気な政策で、かなり強硬で愛国主義的なイメージを持つ指導者でなければ解決できない。

例えば過去の米中関係を振り返ると、中華人民共和国を認めて対中政策を180度転換させることができたのは、極右で強硬な反共産主義者のイメージを持ったニクソン大統領だったからだ。プーチン氏の政策はクリミア半島の編入もそうだが、国家の利益をしっかりと守り、誰にも譲らない指導者の印象が強い。

第2の理由は中国の台頭だ。もちろん日中と中ロの関係は非常に異なっており、ロシアは中国を脅威だと感じていない。ただし、中国の台頭にはロシアも一定の警戒を抱かざるを得ない。そこでロシアはアジアで強まる中国の影響力を考慮に入れ、(日本という)中国のカウンターバランスを探そうとした。

第3の理由は日本の経済協力。ロシアの東方シフトは非常にゆっくりで、ぎこちなく非効率的だが、それを確実に進めるにはロシアのアジア地域の発展を成し遂げる必要があった。日本は欠かせないパートナーで、経済協力の主要な相手とみなされた。

日本への期待が裏切られつつある

では現在、日本とロシアの間で何が起きているか。


フョードル・ルキヤノフ氏
ロシア有数の国際政治学者で、外交専門誌「世界政治の中のロシア」編集長。プーチン大統領の外交ブレーンとしても知られる。モスクワ大学卒。1967年2月生まれ、51歳。

ルキヤノフ氏:日本との経済協力からみてみると、ロシアでは日本への期待が裏切られつつある。そんな印象が強い。日本は実は大規模な経済協力には関心がない、または関心があっても領土問題の解決に結びつけようとしていると解釈している。実際に投資総額をみてもそれほど伸びておらず、期待が裏切られたことは明白だ。

次に中国のカウンターバランス。米国にトランプ大統領が登場したことで、世界情勢は直近2年間で一変した。中国は自らの地位と役割、対米関係の軸足を見直しつつある。中国は最近まで、グローバル化に伴う相互依存が大国間の政治問題解決につながると本気で信じていた。今になって突然、そうでないことがわかった。トランプの対中政策は非常に強固で、なんら妥協を許さない。

こうした状況で、ロシアもカウンターバランス論の意義が薄れた。中ロはともに米国の厳しい圧力を受けており、米国に対して中ロの連帯を示す意義の方がより重要になっている。安倍晋三首相はトランプ氏と良い関係を築いた数少ない世界の指導者だ。単純化すれば、中ロと日米という新たな対立の構図が浮かび上がりつつある。米国が強い対ロ制裁圧力をかける中、米国の同盟国である日本が大規模な対ロ投資をすることも考えられない。

最後にプーチン氏の日本への関心だが、これも変化がある。プーチン氏は相変わらず人気が高く、強い指導者のイメージも維持しているが、大統領の任期は最終段階にきている。後任者への権力移譲をどう円滑に、利害を伴わない形で進めていくかという非常に困難な課題に直面している。スムーズに進めるには何より社会の結束が必要で、社会の分裂はどうあっても避けねばならない。領土問題が逆に社会の分裂を助長するのは、ロシアに限らず世界の常だ。

プーチン氏は妥協も取引もできる指導者だが、具体的な対話、具体的な成果を望む。話は全く違うが、シリア問題では突然、トルコのエルドアン大統領との間で北西部イドリブ県への軍事攻撃をしないことで妥協して柔軟性を示した。エルドアン氏との関係は複雑で信頼関係も薄いが、それでも具体的な課題や目標があれば、プーチン氏は困難で複雑な決定を下す。

ところが日本との(領土)交渉は異なる。終わりのないプロセスが続き、誰もが率直に何をしたいか、核心の話をせずに互いに強い制約の下で交渉する。結果として、そういう状況に皆が疲れてしまった。プーチン氏も残された時間が少なくなり、もう時間を無駄にしたくないのだろう。

領土問題解決のベストな時期はもう過ぎた

—プーチン発言の趣旨は結局、このままダラダラ交渉を進めても領土問題は永久に解決しないと伝えることだったのか。

ルキヤノフ氏:そうだろう。

—北方領土交渉を前進させる余地はないのか。

ルキヤノフ氏:解決の道は閉ざされたわけではない。プーチン氏は本当に日本との領土問題を解決したかったと思う。ただし、ベストな時期はもう過ぎた。3~4年前はプーチン氏が権力の頂点にあり、中国の影響力もさほど大きくなく理想的な時期だった。今もチャンスは残っているが、非常に困難になってきた。国内の抵抗を押し切るには相当な努力が互いに必要で、具体的な行動も不可欠だ。

世界の趨勢をみてみると、妥協を容認しない時代が到来してきている。とても想像しにくいが、プーチン氏の後任者が誰であれ、この問題に立ち戻るのは難しい。それには多大の時間と、強硬な国家主義者として力を持つための政治家としての潜在力が必要になる。

日本も安倍首相の後継者が誰であっても、彼ですらできない問題を自分で解決しようとする政治家が出るには相当な時間がかかる。一般論として理論上は、世界で大きなグローバルな衝突があると、複雑な問題の解決が一気に進むことがある。どの国でも優先順位が急に変わるからだ。ただ、大規模な紛争や衝突は想像しにくい。もし仮に米中の緊張が極度に高まって軍事衝突する事態になったとしても、ロシアと日本はそれぞれ対立する陣営に入るだろう。

米国はグローバルリーダーという野心を放棄した

—会合には安倍首相だけでなく、中国の習近平国家主席も出席していた。日ロの接近を誇示して中国をけん制したとの見方もあるが。

ルキヤノフ氏:そうではない。中ロの首脳は親密な関係で、プーチン氏が中国にけん制のメッセージを送るとは考えにくい。何か必要なら直接話すはずだ。プーチン氏の発言は領土問題が妨げになって日ロの平和条約を締結できないという趣旨なので、習主席も文字通り受け止めただろう。

—日本は今後、どのような対応を取るべきか。

ルキヤノフ氏:様々な選択肢がある。第1は何もせず、国際情勢が大きく変化するのを待つことだ。第2は真剣な取引を始めること。大きな政治的成果を手にするには、相応の犠牲とかなりの譲歩が欠かせない。これは単なる投資ではなく、両国関係そのものの次元を高める用意があるかどうかにかかってくる。

第3の選択肢は日本に限らず、欧州連合(EU)にも言えることだが、世界の政治、外交に対する認識を一変させ、(米国に従属しない)独立した立場を打ち出すことだ。トランプ政権が今のように中ロ接近を不可避にする政策を続けるなら、地域の政治的な構図が大きく変わり、中国の周辺国にとっては大きな挑戦となる。仮に紛争が起きた時にどちらが勝者になり、どちらが敗者になるかわからないからだ。

もちろん、総合力で米国が優っているのは明白だ。そういう状況はまだ長く続くだろう。だが、米国が直面しているのは内的で先鋭化した世界観の危機だ。トランプ氏はその原因ではなく、結果だ。米国がもはや20世紀後半の状況に戻ることはないし、必要だとする者もいない。米国と同盟関係を組んでいる国にとっては非常に神経質にならざるを得ない。繰り返すがトランプ氏の登場で危機が起きているのではないので、さらに将来への不安は強まる。

韓国、ベトナム、シンガポール、マレーシアのようにさほど大国でなければ(米中の)どちらかにつくしかないが、日本のような大国は複雑で、理論上は独立した立場を打ち出す可能性が生じる。つまりどちらにも付かず、独立した立場で紛争の影響を避ける外交政策を取ることもできるはずだ。

総括すると、日ロの領土問題は20世紀に生まれた問題だ。20世紀は終わったのに、我々は20世紀型の論理、認識、手法によって領土問題を解決しようとする努力を傾け、交渉を続けてきた。しかし、20世紀は終わった。

20世紀型の論理が終わったのはロシアがそう望んだからでも、中国の野心が高まったからでもない。米国がそう決めたからだ。米国がグローバルリーダーになると宣言したのは1917年、ウィルソンが第1次世界大戦への参戦を表明した時だ。それからちょうど100年たって、米国はグローバルリーダーという野心を放棄した。トランプ氏が大統領となり、就任式で米国第一と打ち上げたからだ。なぜなら米国第一は、米国でウィルソンに反対して我々には何もいらないと主張した孤立主義者のスローガンだったからだ。

ただし米国が孤立主義を打ち出し、米国が弱体化する事を意味するわけではない。米国は引き続き世界最大の国力を持つプレーヤーの立場を保つ。とはいえ、米国にとって自ら志向する優先順位が全く変わってくる。そのため米国の同盟国である日本も、米国の敵対国であるロシアもいずれ変わらざるを得なくなる時がやってくるはずだ。

日経記事

「信じてもらえないだろうが、正直に話そう。まさにたった今、私の頭の中に浮かんだ考えがある」――。

9月中旬、ロシア極東ウラジオストクで開いた東方経済フォーラムの全体会合。プーチン大統領はこう前置きし、日ロの平和条約を一切の前提条件なしに、年末までに結ぼうと提案した。会場からは大きな拍手がわき起こった。

会合には安倍晋三首相のほか、中国の習近平国家主席らも同席していた。提案は本当に思いつきか、それとも事前に準備していたのか。日ロ首脳会談の場でなく、全体会合で表明した意図は何か。そもそも、どこまで本気なのか。大統領の発言をめぐり、様々な臆測が飛び交っている。

平和条約を結んだ後に「友人」として協議を続ければ、過去70年間も調整できなかった全ての問題解決を容易にするのではないか、と大統領は続けて述べている。要は北方領土問題を棚上げして平和条約を結ぼうと唱えたわけだ。

大統領は会合後、善隣友好協力条約の調印後に国境を画定した中ロのケースを思い起こして提案したと安倍首相に説明したという。とはいえ、日本にとって平和条約交渉は領土交渉とほぼ等しい。

日本が「領土問題を解決して平和条約を締結する」(首相)原則を曲げないことは、大統領も想定済みとみられる。それでも提案した意図は何なのか。モスクワでロシアの有識者に見解を聞いた。

カーネギー財団モスクワセンターのドミトリー・トレーニン所長はまず、「大統領の偶発的な発案で、事前に準備していたとは考えにくい」と語る。会合では安倍首相が直前の演説で平和条約締結に向かう強い歩みを強調し、聴衆の拍手を求めていた。「あの場で大統領が何の反応もしなければ弱みをみせたことになる。そこでアドリブで反応して拍手を誘った」とみる。

そのうえで「現状では、日本に領土を引き渡すのは不可能」とのメッセージを伝えるのが、プーチン発言の主要な意図だと推察する。ロシアは日本の同盟国である米国と情報戦を含めた“ハイブリッド戦争”の真っ最中の状態にある。仮に日本に領土を割譲しても「日本の次の政権がロシアと良好な関係を続ける保証はない。さらに(北方)領土に米軍基地が建設される恐れもあるからだ」という。

一方、著名な国際政治学者のフョードル・ルキヤノフ氏は「率直に何をしたいのか、誰も核心の話をせずに、領土問題で果てしなくだらだらと続く交渉に少なくともロシア側が疲れた。プーチン大統領は今までのような交渉を続けても成果は出ず、続ける意味がないと考えているのではないか」と予測する。

ロシアでは日本の関心が領土問題に集中し、他の相互協力の意思はないとみなす傾向が強い。だがルキヤノフ氏によれば、ここ数年間は領土問題を真剣に取り上げる雰囲気が芽生えていた。背景にはプーチン大統領の日本への個人的な関心、中国の台頭、ロシア極東での日本の経済協力への期待があったと断じる。

しかし、プーチン氏の任期は最終段階に入り、「権力移譲を円滑に進めるには社会の結束が不可欠」。社会の分裂につながりかねない領土問題は取り上げにくくなった。

次に中国の台頭。アジアで強まる影響力を警戒し、ロシアでは中ロと日ロの関係を均衡化させようとする動きがあった。だが「米国にトランプ政権が登場し、中ロに激しい圧力をかけ始めた。今は米国に対して中ロの連帯を示す意義がより重要になった」。一方、日本の経済協力は「実際には投資もそれほど伸びず、期待は裏切られた」。大統領発言の裏には、こうした一連の環境変化があるとみる。

では、日本はどうすればよいのか。モスクワ国際関係大学のドミトリー・ストレリツォフ教授は「大統領は安倍首相の国内での立場を弱めることはしない」と指摘。プーチン提案を全く無視しても影響はなく、従来通り北方領土での共同経済活動を軸に交渉を続けることは可能という。

ただし「領土問題解決の展望は全くない」と言い切る。日ロの領土交渉の前途は一段と厳しくなってきた。

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