『トランプの「中国潰し」に世界が巻き添え、貿易戦争は覇権争奪戦だ』(10/3ダイヤモンドオンライン 北野幸伯)、『日本に巣くう、強烈な「FTAアレルギー」 深層解説:日米首脳会談の知られざる内幕』(10/3日経ビジネスオンライン 細川昌彦)について

10/7阿波羅新聞網<惊传孟宏伟或涉北戴河政变 国际刑警正式向北京要解释=驚くべきことにICPO(国際刑事警察機構)のトップの孟宏偉は北戴河の政変にひっかかったのかも ICPOは正式に北京に説明を求める>アップルデイリーは「孟宏偉は中国政治のタブー、北戴河の政変に触れた嫌疑で勾留されたのかも。事件は重大且つ緊急を要するため、当局は与える影響も顧みず孟宏偉から話を聞くこととした」と報道。但し詳細は分からず。

香港の東方日報に依れば、中共はICPOにまだ正式に回答していないとのこと。

ある情報によれば、中共の役人が言うには「孟宏偉は貪欲にも法に違反して不動産を購入、それなのに一所懸命人々を拘留し、世界を驚かせた。論理矛盾である」と。

AFPとロイターは「仏警察は孟宏偉の在仏の妻の安全保護の命令を出した。妻は夫の失踪届を仏警察に出し、その時に生命の危険に関する脅しを受けたとも指摘した。仏警察は既に調査に入った。

中国では上から下に至るまで賄賂漬けですので孟宏偉に限ったことではありません。ただ上に行けば行くほど賄賂額が大きくなるだけです。腐敗で捕まるのは政敵打倒と、額や配るべき人を間違えたときだけです。産経によれば、14年間公安省次官を14年務め、周永康派とのことです。習近平の暗殺計画でも起こそうとしていれば別ですが、国際組織のトップを呼びつけて逮捕拘留するのは異常です。前に周永康と組んで習を狙ったとしても済んだことであり、緊急性はないでしょう。習の判断が狂ってきているのでは。安倍首相も訪中した時には、彼らの権力闘争に巻き添えを食わないように発言には充分注意しませんと。

http://www.sankei.com/world/news/181006/wor1810060017-n1.html

http://www.aboluowang.com/2018/1007/1185223.html

10/7看中国<一幅中国地图隐藏的秘密(组图) 我的中土情怀=中国の地図の隠された秘密私の国土への思い>毛沢東がソ連を助けるために、外蒙古を売ってしまった。蒋介石は同意せず、それで中華民国の地図には外蒙古が入っている。

中華民国地図

中華人民共和国地図

釣魚島の歴史については大陸人だから台湾の歴史については詳しくない。台湾と付属島嶼(含む釣魚島)は日清戦争で日本に割譲・帰属した。第二次大戦で日本は負けたのだから還すべきなのにまだ返していない。

この中国人は歴史を知らない。中共の主張を鸚鵡返ししているだけでしょう。別に尖閣は日清戦争前から日本が統治していたのを、国民党政権が、68年の国連の石油埋蔵調査を知り、70年に台湾のものと言いだしたのが始まり。そうでなければ米国が射爆場として使用することは無かった筈。尖閣問題は長崎純心大学の「いしゐのぞむ」教授が詳しいです。歴史的に日本の領有の正当さを主張しています。日本政府がもっと「いしゐ」氏を活用すべきと思いますが。

https://www.secretchina.com/news/gb/2018/10/07/869839.html

10/4日経 FT<対中冷戦へと進む中国

米国が9月24日、対中制裁関税第3弾として2000億ドル(約22兆円)相当の中国製品に追加関税を課したことを、トランプ米大統領によるいつもの挑発行為の一つとみるのはたやすい。トランプ氏の首にかけられた法的な縄がここへきて締まり始めているように思えるなか、米国民の目を海外に向けさせる必要があるのだろう、と。

しかし、それは間違った見方だ。実際、今回のあまり賢明とはいえない追加関税は、ホワイトハウス内だけで拙速に決めた政治判断ではない。今回の措置は、もっと危険で永続的なものを表している。米国と中国の経済的、政治的関係は完全にリセットされ、これからは貿易戦争というより冷戦に近い状態が始まるということだ。

■米中関係のリセットは企業に根本的変化もたらす

イラスト Matt Kenyon/Financial Times

中国との関係を根本的に見直すというのは、トランプ氏の考えだけでなく、右派と左派双方の幅広い支持も得ている。それだけに事態は深刻だ。トランプ氏は確かに対中貿易赤字の削減に固執しているものの、同時に自分の利益になると思えば取引をする人間だし、中国がトランプ氏の態度を軟化させる策を何かひねり出せないはずがない。

しかし、トランプ政権の経済的タカ派であるナバロ大統領補佐官(通商担当)や通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は、トランプ氏とは異なり、まったく別のゲームを戦っている。彼らは、中国との経済関係を断ち切ることが長期的には米国の国益にかなうと信じている。

こうした考え方に同意する向きは、米国防総省にも多くいるし、労働運動を手掛ける進歩的な左派にもいる。彼らの中には、トランプ氏が大統領職を去った後もずっと権力のある地位に就く人も多くいるはずだ。それぞれに目指すものは異なるが、米中は長期的に戦略的対立関係にあり、従って米国の貿易政策と安全保障政策を別々に考えていてはいけないという見方でほぼ一致している。

米中関係をこのように根本から見直すことは、グローバルに事業を展開する企業にとって根本的な変化を意味する。

国際的な企業の経営者たちは、今回の追加関税はあまりに広範囲にわたり、かつ高率なため、米国にインフレ圧力をもたらすことから、製品価格を引き上げざるを得なくなると不満を表明している。しかし、政権内の経済的タカ派たちには、こうした経営者に同情する向きは全くない。それどころか、こうした企業を米国の裏切り者だとさえ考えている。中国という西側の根本的な価値観を共有することもなく、いろいろ条件をつけて最終的には自国の市場への平等なアクセスも認めない国に、自社の短期的な利益を優先して米国の事業を移してきたとんでもない存在だとみている。

今の経済的、政治的環境で政策の方向性や世論を牛耳っているのは、タカ派だ。彼らには、中国による知的財産権や人権の侵害、南シナ海での中国の攻撃的な行動など、自分たちの主張を正当化する材料は多くある。

中国を専門とする調査会社ガベカル・ドラゴノミクスの責任者アーサー・クローバー氏は、「中国をかつてのソ連のような『修正主義』勢力だとみなす意見をよく聞く。従来とは全く異なる体制を世界に広めようとしているという意味だ」と話す。この見方は大げさすぎるかもしれないが、中国やロボット(中国製ロボット)に仕事を奪われるのではないかとの懸念を強めている一般の米国民には、今の経済のグローバル化を擁護する意見より、こうした大げさな意見の方が心に響きやすい。

■米企業にサプライチェーンの見直し迫る

タカ派はこれまでのところ非常に巧妙に、消費者物価への影響を最小限に抑えるよう関税対象を選別する一方で、最も重要と考えられるサプライチェーンを中国に移してきた企業を罰している。米半導体大手クアルコム(米中両国のナショナリズムの犠牲になった面もある)や米IT(情報技術)機器大手シスコシステムズをみれば分かる。シスコのルーターやスイッチは、欧米だけでなく中国でも都市のIT化に利用されており、同社はこれらの製品を今回の関税対象から外すようロビー活動を展開したが、そうはならなかった。

ホワイトハウスは、国防総省がこのほどまとめた白書を近く発表するようだが、同白書は米企業に一部の部品調達については米国内に移すよう提言している。このように同白書が、トランプ政権の今後の産業政策をどういう方向に持っていくかを示すことになるかもしれない。ただ、米中が冷戦に突入すれば、企業によってその被る影響に差が出ることは間違いない。

従来型の消費者向け事業を展開する米スターバックスや米ウォルマートなどは、様々なデリケートなデータを吸い上げるIT企業や、マッピングや自動運転車など戦略的分野に取り組む企業よりも、中国市場での立場を維持しやすい。米中の貿易戦争が冷戦に発展したら、米アップル、米フェイスブック、米マイクロソフト、米グーグルおよびその他中国で事業をする多くの米国の多国籍企業は、難しい選択を迫られるだろう。米国の中国に対する国家的な懸念に対して、見て見ぬふりを続けられなくなるからだ。

■政治をもはや無視できなくなる米企業

短期的には輸出依存が大きい中国の方が苦労するかもしれない。だが、中長期的には米企業の方が米国内にサプライチェーンを再構築しなければならないという意味で、苦労しそうだ。

ゲームの「フォートレス・アメリカ」のように、すべてを米国内で調達することは政治的にも現実的にも不可能だ。従ってトランプ政権は、米国としての産業政策を進めたいのであれば、欧州を含む貿易パートナーと同盟関係を確立する必要がある。だがこれは、決してトランプ氏が得意とすることではない。

企業が進む先には、事業の存亡に関わる本質的難題が立ちはだかる。例えばグーグル。同社の親会社、米アルファベットのラリー・ペイジ最高経営責任者(CEO)は、ロシアが米IT企業のプラットフォームに干渉したかどうかについての上院の公聴会での証言を拒否した。だが、一方で同社が、中国当局の検閲を容認する形で同国向け検索サービスを始めるとしたら、それはこの企業にとって、どんな意味を持つことになるのか。

経営者らは、政治は自社の事業には関係がないとの立場を貫けるだろうか。これまで経営者は好んでそう考えてきたが、それは今、希望的観測にすぎないように思える。

By Rana Foroohar

(2018年9月24日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)>(以上)

FTも気づくのが遅いとしか思えません。トランプ大統領が誕生したのは、敵の中共を倒し、産業を米国に回帰させ、雇用を拡大するためです。儲かれば何をしても良いと言うような経営者は淘汰されるでしょう。中国側に立つ経営者は自由社会でビジネスできなくなるでしょう。今はそこまで行きませんがやがて来ると思っておいた方が良い。日本の経営者も同じようにしなければ排除されるようになります。今の日本の経営者でそこまで読めている人は殆どいないでしょうが。政府もきっちり指導して国益を守るように動かねば。第二次大戦の誤りは組む相手を間違えたことです。今中国に近づくことは同じ過ちを繰り返すことです。

北野氏の記事は、まさしくその通りで、今米国は米国が作って来た国際組織を壊そうとしています。何故そんなことをするのかと言うと、狡猾な国が善意を利用し、悪をはびこらしてきたからです。悪を罰することもできない組織はガラガラポンして作り替えるしかないでしょう。

細川氏の記事では、交渉の場面でトランプと部下とで役割分担しているのではという気になりました。「俺たちは合意したけれど、上がNoだから」「上と相談して」と言い訳して、相手を幻惑するのでは。中国に米国は何年も騙されて来ましたので、ちゃぶ台返しするのも良いでしょう。やはり、自由貿易の論理を主張できるは自由を認める国でないと。一党独裁・言論の自由のない国に「自由貿易を守る」と言われても。

北野記事

エスカレートする一方の米中貿易戦争。これは、もはや「米国の貿易赤字解消」といった次元を超えている。米国は覇権を維持するために、中国つぶしに動き始めたと見るべきだろう。そう、米中貿易戦争は、「米中覇権争奪戦争」でもあるのだ。(国際関係アナリスト 北野幸伯)

米中が経済制裁の応酬!戦争には「戦闘」以外の形態もある

中国を本気でたたきつぶし、覇権を維持しようと目論むトランプ。中国には勝っても、世界経済を道連れにする恐れがある Photo:Reuters/AFLO

トランプ政権は9月24日、対中国制裁第3弾を発動した。中国からの輸入品2000億ドル相当に、10%の関税をかけることになる。これに対して中国は、米国製品600億ドル相当に報復関税をかける意向を示している。

これを受けてトランプは、対米報復制裁が発動されれば、さらに2670億ドル相当の中国製品に関税を課すと警告した。現実にそうなれば、米国は、中国からの全輸入品に関税をかけることになる。

筆者はこれを、「米国の貿易赤字解消」という次元を超えた、米中の覇権争奪戦と見ている。そう、実際に武器を使用していなくても、立派な戦争である。

「大げさだな」と感じる人は多いだろう。日本人は「戦争」と聞くと、「ミサイルをぶっ放した」「空爆した」「戦闘機が戦った」「戦車で進軍してきた」など、「戦闘行為」を思い浮かべる。しかし世界的に見ると、「戦争」という言葉の意味は、もっと広い。

考えてみよう。戦争はまず、ある国の「指導者の頭の中」で始まる。彼は敵国を設定し、「たたきつぶそう」と決意するが、翌日早速軍隊を送るだろうか?敵国が弱く、間違いなく圧勝できる場合ですら、いきなりそんなことはしない。

国際社会から非難されて経済制裁を科され、かえって自国の方が苦しくなる可能性があるからだ。

では、どうするのか?

普通、戦争は「情報戦」から始まる。これは、敵国を「悪魔化」する目的で行われる。理由は2つ。第1に「国際社会を味方につける」ためである。戦闘して勝ったはいいが、結果国連から制裁を受けては意味がない。第2に、自国民に「戦争やむなし」と信じさせるためである。戦争中に「反戦派」がうるさくては困るのだ。

第2次世界大戦前に行われた情報戦、外交戦、経済戦

情報戦の例を挙げよう。1932年、日本は満州国を建国した。中国は当然これに不満で、国際連盟に訴えた。そして、情報戦を開始。「田中メモリアル」という「日本の世界征服計画書」を全世界に拡散した。もちろん、実際は日本の「世界征服計画」など存在せず、「田中メモリアル」は「偽書」である。
しかし、中国は情報戦を有利に進め、世界の国々に、「田中メモリアル」=「本物」と信じさせることに成功した。その結果、日本は「世界支配を企む悪の帝国」となり、「国際連盟脱退」に追いこまれてしまった。1930年代の例を挙げたが、もちろん現在も情報戦は行われている。

「外交戦」も重要だ。これは、自国の仲間を増やすことで、敵国を孤立させるために行われる。たとえば、1937年から始まった日中戦争で、中国は、米国、英国、ソ連から支援を受けていた。日本は、外交戦でも負け、孤立していた。

そして、「経済戦」。経済制裁によって、敵国に大打撃を与えることができる。一番わかりやすい例は、米国が、英国、中国、オランダを巻き込んで、日本に対して実行した「ABCD包囲網」だろう。

米国は、1937年から日本への経済制裁を開始。1941年8月には「対日石油全面禁輸」措置が発動されている。この4ヵ月後、追い詰められた日本は真珠湾を攻撃し、「戦闘」という意味での「日米戦争」が始まった。

トランプ政権誕生前から米国内は「対中戦争モード」だった

最後に「代理戦争」。これは、大国が特定の勢力を支援することで行われる。たとえば、シリアで欧米は、「反アサド派」を支援している。一方、ロシア、イランなどは「アサド政権」を助けている。これは、欧米vsロシアの「代理戦争」である。
ほかにもある。ウクライナだ。欧米は、ポロシェンコ政権を支持している。ロシアは、ウクライナ東部ドネツク、ルガンスクのいわゆる「親ロシア派」を支援している。ウクライナ内戦は、欧米とロシアの「代理戦争」なのである。

こうして歴史を振り返ると明らかなように、リアルの「戦闘」は、武器を使わないさまざまな戦争を経て勃発する。では、米中の現状は、どう考えるべきなのだろうか?

筆者が「米中貿易戦争」を「覇権争奪戦争」と見る理由はいくつかある。

まず、トランプが大統領になる前、すでに米国内では、「中国と戦って勝たなければならない」と主張するベストセラー本が出ていた。

1冊目は、国防総省顧問マイケル・ピルズベリーの『China 2049』。「中国は、建国100年目にあたる2049年までに、世界覇権を握ろうとしている」という内容だ。ピルズベリーは、「アメリカはこのマラソンの敗者になろうとしている」(P.28)、つまり、覇権争奪戦で中国に負けると警告している。

2冊目は、トランプ大統領の補佐官で国家通商会議議長ピーター・ナヴァロの『米中もし戦わば~戦争の地政学』だ。この本は、「米中戦争が起こる確率」は、「非常に高い」という話から始まる。そして、第6部のタイトルは、「力による平和への道」である。中国に強硬な姿勢で対抗することを主張している。
この2冊は共に、米国での出版は2015年である。つまり、トランプが大統領になる2年前に出されている。

そして、この年の3月、「AIIB事件」が起こっている。イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スイス、イスラエル、オーストラリア、韓国など親米国家群が、米国の制止を無視し、中国が主導する「AIIB」への参加を決めたのだ。

反中→仲直り→やっぱり反中…目まぐるしく変わるトランプの胸中は?

この事件は、米国の支配力低下と、中国の影響力増大を世界に示した。つまり、米国には「中国を打倒しなければ、わが国の時代は終わる」という強い危機感が、トランプ政権誕生前からあったのだ。

このような機運の中、トランプは「反中大統領」として登場した。選挙戦中も、一貫して反中だった。選挙に勝つと早速、台湾の蔡総統と電話会談し、中国と世界を仰天させた。

しかし、2017年4月、初めて習近平に会ったトランプは、以後「私は彼のことが大好きだ!」と公言するようになる。米中関係は、一気に改善された。
なぜ、そうなったのか?トランプは、北朝鮮問題で習近平の助けを必要としていたからだ。そして習近平も、トランプを助けることを約束した。

ところが、それから1年たって、トランプは中国との貿易戦争を開始した。唐突に見えるかもしれないが、以下のような流れだったのだろう。
(1)トランプは、もともと「米国の覇権を維持するために、中国をたたこう」と考えていた
(2)しかし、習が北朝鮮問題で協力する意向を示したので、様子を見ていた
(3)ところが、1年たっても何も変わらないので、元の路線に戻った

ご存じのように、中国はロシアと共に、北朝鮮を守り続けている。

さらに、報道されているように、「米国の貿易赤字を減らすため」とか「知的所有権を守るため」だけの「貿易戦争」ではない理由はほかにもある。

トランプ政権の動きを見ていると、もっと「トータルな戦争」を開始しているからだ。

人権問題批判に中国軍への制裁 台湾への武器輸出も再開した米国

たとえば、トランプ政権は突然、中国が「100万人のウイグル人を拘束している!」と批判し始めた(太線筆者、以下同じ)。

<米国務長官、ウイグル人拘束めぐり異例の中国批判
【AFP=時事】9/22(土) 17:38配信  マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)米国務長官が21日、中国政府に対し、イスラム教徒の少数民族ウイグル人を多数拘束していると異例の強い論調で批判し、不穏さを増す米中関係に新たな火種が浮上している。>

これは、「中国悪魔化」のための「情報戦」を開始したと見ることもできる。なぜそう言えるのかというと、米国は、自国に都合のいい時しか「人権カード」を切らないからだ。

たとえば、米国の同盟国サウジアラビアは、民主主義のカケラもない、絶対君主制の人権侵害国家である。しかし、米国がサウジの人権問題を批判することはない。

実際、米国は長い間、中国の人権問題を批判してこなかった。これが再開されたことには、大きな意味があると見るべきだ。

また、トランプ政権は、なんと「中国軍」にも制裁を科している。

<米国>中国人民軍を制裁 露から戦闘機など購入
毎日新聞 9/21(金) 19:15配信  
 【ワシントン鈴木一生】トランプ米政権は20日、中国人民解放軍の兵器や装備品を管理する部門とその責任者に制裁を科すと発表した。米国の対ロシア制裁に違反して2017~18年、ロシア国営武器輸出企業「ロスオボロンエクスポルト」と取引し、戦闘機10機と最新鋭の地対空ミサイルS400関連部品を購入したことが理由という。制裁は、米金融機関との取引や米国人とのビジネスを禁じる内容。>

さらにトランプは、中国が「自国の一部」と主張する台湾に武器輸出することを決め、中国を激怒させた。

<中国外務省の耿爽(こう・そう)報道官は25日、トランプ米政権が台湾への武器売却を議会に通知したことに関し、「中国の主権と安全保障の国益を損なうものだ」と述べて「強烈な不満」を表明した。中国は米台の軍事交流の停止を求めているが、米中間では貿易分野だけでなく軍事部門でも関係が悪化しているのが現状だ>(産経新聞 9月25日)

戦闘しにくい核時代は「経済戦争」がメインに

米中関係は、過去の戦争のように、情報戦、外交戦、経済戦、代理戦争などを経て、必要があれば「戦闘」をして敵国をたたきつぶすところまで行ってしまうのだろうか?

1930年代と現代では、実は大きく異なる1つの事情がある。「核兵器」の存在である。これが、戦争の形態を変えた。

米中ロにはそれぞれ、敵国を壊滅させるのに十分な核兵器がある。それどころか、地球を「人の住めない星」に変えることすらできる。結果、大国間の戦闘は、起こりにくくなっている(既述のように代理戦争は起こっているが)。

現在では、「経済戦争」が「主戦場」になっているのだ。たとえば、ロシアは2014年3月、クリミアを併合した。さらに、ウクライナ東部ルガンスク、ドネツクを支援して、事実上の独立状態に導いた。そして、ロシアは、シリア・アサド政権支援を続け、ここでも勝利している。
しかし、米国は、ロシアと直接戦闘することはない。では、米国はロシアに負けっぱなしなのだろうか?

そうではない。何かあるたびに、米国はロシアへの経済制裁を強化している。それで、ロシア経済はボロボロになってしまい、プーチン政権は、大打撃を受けている。

トランプが、「米中貿易戦争で、中国に勝とう」と考える理由もわかる。米国は、年間5000億ドル強を、中国から輸入している。一方、中国は、米国から年間1300億ドルしか輸入していない。貿易戦争によって、お互いの全製品に関税をかけたとすると、中国が受ける打撃は、米国が受ける被害の3.8倍になる。

それでトランプは、「貿易戦争で、米国は中国に勝てる」と確信しているのだろう。

中国に勝ちたい米国が世界経済をも破壊する

果たして、米国は中国に勝てるのだろうか?

その可能性は、高い。というか、成長期の最末期にある中国の栄華は、米中貿易戦争がなくても、終わりつつあった。トランプが何もしなくても、中国の成長率は鈍化し続けていたのだ。今回の貿易戦争は、中国の没落を加速させる結果になるだろう。

ところが、それで米国の繁栄とはなりそうもない。世界中の研究者が懸念しているのは、「中国を倒したいトランプが、世界経済を道連れにすること」である。

ノーベル賞学者のクルーグマン教授は、6月にこうツイートした。

「トランプ大統領が貿易戦争に向かって行進する中、私は市場の慢心に驚いている」
「トランプ氏が行くところまで行って、世界経済を壊すのかはわからない。しかし、相当な可能性があるのは確かだ。50%?30%?」

対中制裁第3弾発動で、「トランプが行くところまで行って、世界経済を壊す可能性」は、さらに高まった。

細川記事

日米首脳会談で「物品貿易協定」(TAG)の交渉に合意したといわれるが、実態は自由貿易協定(FTA)にほかならない――。通商交渉の舞台裏を知り尽くした細川昌彦氏が、日米首脳会談におけるパワーゲームの深層を徹底解説する。

日米首脳会談 国連総会に合わせて実施 貿易交渉開始で合意(写真:AFP/アフロ)

まず、今回の首脳会談について素直に評価する点から始めよう。

9月26日に開催された日米首脳会談における日本側の最大の焦点は、トランプ大統領が打ち出した自動車への25%の追加関税という脅しを避けるために、新たな貿易交渉をスタートすることだった。

米国は追加関税で脅しながら、交渉入りを迫った。これに対し日本が最優先としたのは、自動車の追加関税を発動しない確約を得ることだった。とりあえず今後交渉している間は発動しない確約を得たようだ。これは7月の米欧首脳会談での欧州連合(EU)も同様の交渉をしており、日本はEUのやり方を参考にした。

ただし、その拳は「挙げたまま」、ということも認識しておくべきだろう。米国はまだ脅しのカードを手放したわけではない。EUも日本も「交渉が続く限りは自動車への追加関税はない」と説明するが、米国から言えば、「脅しのカードを持ち続けて交渉する」というものである。

日本はこれまで長年、米国からの圧力で譲歩を迫られることを懸念して、米国との2国間交渉を避けてきた。他方、今のトランプ政権は2国間協定にこだわって、米韓自由貿易協定(FTA)の見直し交渉、北米自由貿易協定(NAFTA)の見直し交渉、EUとの貿易交渉など、次々と2国間交渉を進めている。いつまでも日本だけが交渉に入ることを拒否し続けられないと、日本も現実を見据えた対応をしたのだろう。

日米首脳が合意した交渉は「物品貿易協定」(TAG)という名のFTAの交渉だ。日本政府の発表では、これから日米でスタートするのは「物品貿易協定(TAG)」だとして、あえてFTAという名称を避けたようだ。それはなぜか。

日本が「FTA」の名称を避けたいわけ

確かに、モノの貿易の関税の交渉を始めることにしたのだから、TAGと呼ぶこと自体は間違いではない。しかし世界貿易機関(WTO)という国際ルールでは、特定国に対して関税を引き下げるにはFTAという手段しかないということを忘れてはならない。TAGという名称を付けようが、付けまいが、それはFTAなのだ。

安倍総理は「これはFTAか」との記者の質問に、「日本がこれまで締結してきた包括的なFTAではない」とすれ違い答弁をわざわざしている。これがその後、日本の報道に混乱と誤解を招いたのだ。これは「包括的でないFTA」であっても、当然FTAである。

では何故FTAと呼ぶのを避けたのか。

日本には伝統的にFTAに対して強烈なアレルギーがある。FTAになれば、米国からの圧力で日本は農産物の市場開放をさせられるとの被害者意識が根強くある。だから、国会答弁でも「今の協議はFTA交渉ではない」と言い続けてきた。

実は同じように日本がFTAという名称を避ける動きは16年前にもあった。日本が編み出した「経済連携協定」(EPA)という言葉がそうだ。この言葉も日本の造語だと言うことはあまり知られていない。

かつて1990年代後半ごろから世界はFTA締結へと動いていたが、日本はこうしたこともあって、この潮流に乗り遅れていた。そこで日本もついに2002年にシンガポールとの間で初めてFTAを締結した。その際もやはり、FTAと聞くと強く反発する農業関係者にどう説得するかが最大の問題であった。相手国にシンガポールを選んだのは、農産物の市場開放にはおよそ無縁な国だからだ。しかも名称をFTAではなく、関税引き下げよりもルールの策定を重視したFTAとして「経済連携協定(EPA)」という名称を編み出して、FTA色を薄めることに腐心した。実は名前がEPAであっても、実態はFTAなのだ。

15年以上経った今も、日本の“FTAアレルギー”は変わらない。今回、「TAG」という名称を考え出したのもFTA色を薄めるためで、歴史は繰り返される。EPAと言おうが、TAGと言おうが、WTOのルール上はFTAという概念しかない。現に米国では日米のFTA交渉として認識され、「日本とFTA交渉をする」と報道されている。

いつまでも言葉で逃げるのではなく、むしろFTAであることを正面から認めて、その中身の是非について議論する成熟さが日本には必要だ。

むしろ問題は交渉の内容だ。恐らく中間選挙後の年明けからスタートするであろうFTA交渉で後述する点で日本はどこまで頑張れるかが大事だ。

トランプ氏の中間選挙対策として「牛肉の手付金」

自動車の追加関税の回避のために2国間交渉に入った日本が懸念するのは、「農産物の市場開放において環太平洋経済連携協定(TPP)で合意した以上の譲歩を迫られるのではないか」という点であった。これが日本の農業関係者の最大の懸念で、この懸念を払拭することが、日本にとっての次の優先事項だった。首脳会談では、「TPP水準が最大限である」ことを留意させたことは成果であった。

ただしそれは裏返せば、「TPPで約束した水準までは引き下げる」と言ったのも同然だ。これからの交渉で関税引き下げが決まるのではあるが、今回、既に “手付金”を払ったと言える。トランプ大統領にとってはありがたいことに違いない。

トランプ大統領の狙いは中間選挙に向けての得点稼ぎだ。ターゲットは牛肉である。

TPPを離脱した結果、TPPに参加している豪州産牛肉に比べて、相対的に不利になる。さらに米中間の関税合戦の結果、中国の報復関税によって、米国の牛肉、大豆が打撃を被っている。中西部の農業州の農畜産業者の不満は爆発寸前だ。11月の中間選挙に向けて、この不満解消はトランプ大統領にとって至上命題となっている。

そこで7月の米欧首脳会談では欧州から大豆の輸入増を勝ち取り、今度は日本から牛肉の輸入拡大を勝ち取って支持層にアピールする。わかりやすい構図だ。

日本も欧州同様、コミットではないが、トランプ大統領が支持者に成果とアピールできるような「仕立て方」をEUのやり方を参考にして考えたのだ。

今後の焦点は自動車の数量規制

今回の首脳会談の共同宣言文に気になる文言が盛り込まれてしまった。

今後の交渉において日米双方が目指すものとして、「米国の自動車産業の製造及び雇用の増加を目指すものであること」と書かれているのだ。これは要注意だ。日本が農産物について既に述べたような「TPPでの水準が関税引き下げの最大限だ」とする文言を入れること主張したために、「それならば」と米国がその引き換えに持ち出したものだ。

今回の首脳会談の結果に対して、日本の中には「自動車の追加関税を免れるために、農業が犠牲になった」という人もいるが、逆に「農業はTPP止まりという条件を米国に飲ませるために、日本は自動車で譲歩させられた」とも言える。

これは何を狙っているのか。

米国の交渉責任者であるライトハイザー米通商代表部(USTR)代表の目指すのが自動車の数量規制だ。追加関税の脅しで数量規制に追い込もうとしている。米韓FTAの見直し交渉で韓国に、NAFTA見直し交渉でメキシコ、カナダに数量制限を飲ませた手法だ。G7(先進7カ国)の一角であるカナダまでこの“毒まんじゅう”を食べさせられたのは衝撃だ。

そして今、ライトハイザー代表は同様の手法で、EU、そして日本と交渉をしようとしている。

米国の自動車販売台数は年間およそ1700万台で成熟市場になって、今後大きな伸びは期待できない。そういう中で、日系メーカーが米国で生産するのは377万台、米国内で生む雇用(間接も含めて)は150万人だ。これをさらに増加させるには、対米投資を増加させ、現在174万台である対米輸出台数を減らすことになる。その結果、日本での国内生産969万台は減らさざるを得なく、国内雇用にも影響する大問題なのだ。

そしてそれを実現するために、今後の交渉で、米国がこの文言を盾に「対米輸出の数量規制」や「対米投資の数値目標」を強く要求してくると考えるのが自然だ。まさにこれこそ日本が断固拒否すべき管理貿易なのだ。

これが、これから始まる交渉の最大の焦点であろう。

日本政府はこの文言を受け入れたことで、もちろん今後厳しい交渉が予想される。日本政府は平静を装い、メディアも大本営発表のせいか、意味不明の解説をしているものまである。本当にこの文言が日本にとって大きな失点でないならば、それを今後の交渉の結果で示すことを日本政府には期待したい。

新交渉で注目すべきは「米国の自動車関税」への攻めだ

今回の首脳合意を受けて、新たな日米交渉が年明けにも始まるが、そこで注意しなければならないのが、日本は受け身一辺倒にならないことだ。日本はメディアも含めて、伝統的に「米国から攻められるのをどう守るか」にばかりに関心がいく悪い癖がある。しかし交渉は相手を攻めることも大事なのだ。

具体的に米国を攻めるべきポイントは「米国の自動車関税」だ。米国は乗用車で2.5%、ライトトラックで25%の関税をかけて、これを死守しようとしている。

かつてTPPにおける米国との関税交渉では、日本の農産物の市場開放と米国の自動車の関税撤廃がパッケージで合意されたことを忘れてはならない。

新交渉でも当然、日米双方向でなければならない。かつてのTPP合意と同様に、日本の農産物の関税引き下げだけでなく、日本が米国の自動車関税の引き下げを要求するのは当然の主張だ。米国にかつてのTPP合意の“いいとこ取り”をさせてはならない。

注目すべき、対中国を睨んだ日米欧協力

日米共同声明に盛り込まれた注目点は、こうした日米2国間の問題だけではない。中国の知的財産権の収奪・強制的な技術移転など中国の不公正な貿易慣行が日米共通の今後の大きなテーマだ。その問題に欧州も含めた日米欧が協力して対処することが盛り込まれた。これは大いに評価すべき点だ。メディアの目が余りこの点に向いていないのは問題だ。

これがトランプ大統領の首脳会談の共同声明だからこそ意味がある。

こうした中国の経済体制に起因する根深い問題にはトランプ流の関税合戦は手段として問題解決にはつながらない。むしろ中国が徐々に改善せざるを得ない国際的状況を作り出すことこそ大事なのだ。しかしトランプ大統領自身は恐らく全く関心がない。中国とは2国間の関税合戦での駆け引きにしか関心がない。

そのことを理解しているのはライトハイザー代表だ。2017年12月から日米欧三極での貿易大臣会合を4回と頻繁に繰り返しながら、中国問題への対処を進めてきた。

問題はそうした取り組みがトランプ大統領のお気に召すかである。トランプ政権の通商戦略はトランプ大統領の独断で仕切られていることから、いかにうまくトランプ大統領の頭に刷り込むかがポイントになる。

それはライトハイザー代表の手腕にかかっている。

7月の米欧首脳会談の共同宣言にも同趣旨の文言が盛り込まれている。これはまさしく日米欧が連携した「トランプ対策」なのだ。これはこの政権が独特の構造であることを物語っている。

会談直前の夕食会が持つ大きな意味

同じく「トランプ対策」という意味では、会談直前での日米首脳2人きりの夕食会が大きな意味を持った。日米首脳会談の前に茂木大臣-ライトハイザー代表による閣僚レベルの交渉があったが、それに先立って、まず安倍総理とトランプ大統領との間で2人だけの夕食会がトランプ大統領の発案で開かれた。そこで安倍総理はトランプ大統領との直接の会話で、繰り返し刷り込んでいくことが可能になった。

トランプ政権ではトランプ大統領だけがポイントだ。それで失敗したのが中国で、閣僚レベルで折角合意できても、トランプ大統領にちゃぶ台返しにあってしまった。逆にEUは直前の閣僚折衝では物別れに終わっても、翌日の首脳会談でトランプ大統領のお気に召せば、丸く収まった。失敗した中国と成功したEUの例をみれば、どう対処すればよいか明らかだ。

そういう意味では安倍総理がトランプ大統領の頭を事前に作っていく機会があったことは効果的だったようだ。

これがトランプ政権との付き合い方なのだ

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