11/29日経『文革期に似てきた中国 習夫人、革命精神宣伝に一役 カギ握るのは経済』について

毛沢東が大躍進(2000万~8000万の餓死者を出したと言われる。データがないから正確な数字が割り出せない)の失敗から権力の座から滑り落ち、文革を利用して実務派を走資派と呼んで追い落としを図り、劉少奇に取って代わったのは有名な話です。習近平がそれを反腐敗運動と結びつけてやろうとしているのはその通りでしょう。ただ、妻の彭麗媛が江青と同じと言うのであれば、不幸な結末を迎えることになりますが。

反腐敗運動が文革と違うのは、大量の人民大衆を毛の狂信者にして政敵を暴力的に追い詰め、自己批判や自殺させるようなことはないということです。共産党が情報統制していても、流石に壁新聞時代と違い、スマホ時代にあって総てを知らせないわけには行かないという事です。

習の取り組みも経済次第と言うのはその通りでしょう。ただ、行き詰まれば、習は戦争に打って出る可能性があるという事です。日本はそうなる前に宣伝戦に勝利するため、遠藤誉の『毛沢東―日本軍と共謀した男』を中国語と英語で発刊する(出版社がなければ、政府が支援して出すようにすれば)ようにしていけば良い。天安門に肖像画が掲げられている毛沢東が「南京虐殺」なんて言ってなかったことを強調すれば良い。ユネスコも真っ青になるでしょう。先手先手で武器なき戦争に勝つようにしていきましょう。

http://bylines.news.yahoo.co.jp/endohomare/20151013-00050373/

http://bylines.news.yahoo.co.jp/endohomare/20151124-00051731/

http://bylines.news.yahoo.co.jp/endohomare/20151116-00051441/

記事

Xi & Mao

中国が1960~70年代の文化大革命当時にそっくりになってきた。文革時に毛沢東が反革命を理由に政敵をつぶしたように、習近平国家主席は反腐敗運動を利用し政敵を追い落としている。かたや習主席夫人の彭麗媛さんは、文革時に毛夫人の江青がプロデュースしたことでも知られる革命劇「白毛女」の公演にかかわり、革命精神の宣伝に一役買っている。

「白毛女」を上演

 42年、毛沢東は「延安文芸講話」を発表し、文化・芸術は労働者、農民、兵士など労働者階級のためにあるとの方針を発表した。これを受けて創作されたのが歌劇「白毛女」だ。

 悪い地主が貧しい農民の娘を婚約者から奪い去る。娘は山に逃げたが、毛髪が真っ白になり、化け物のようになってしまう。婚約者は八路軍(共産党の軍隊)を率いて地主を倒す。白毛女を救うと髪も黒く戻るというのがストーリーだ。

 地主など旧社会は人間を幽霊(白毛女)にするが、労働者階級の新社会は幽霊を人間に変える――。共産党の宣伝が劇のテーマであり、劇を見た毛沢東は涙を流したといわれる。今年は初演から70周年にあたり、共産党の根拠地だった陳西省延安での11月6日の公演を皮切りに、12月17日まで主要都市で上演される。

 今回の白毛女の芸術指導をしているのが習主席夫人の彭麗媛さんだ。彭さんは、国民的な人気歌手であり、白毛女でヒロインを務めたこともある。ファーストレディーが革命模範劇に関わるという点では年配の中国人に毛沢東夫人の江青を思い起こさせるだろう。

 江青は女優出身で60年代に文化活動を通じて毛沢東の階級闘争路線を実践に移した人物だ。江青は夫の毛沢東の意向をくんで白毛女を改変し、文革が発動された翌年の67年からバレエとして公演を繰り返した。江青が演出した白毛女は階級闘争を主眼としており、迫害されたヒロインが果敢に地主に抵抗するシーンを加えるなど闘争色を前面に打ち出した。江青の目的は、劉少奇、鄧小平など階級闘争に距離を置く指導者を文化面から批判し、追い落とすことにあった。

 今回の白毛女が腐敗した共産党幹部と悪い地主をダブらせていると解釈できないことはない。習主席は石油閥の親分だった周永康前政治局常務委員を汚職を理由に逮捕に追い込み、同じ手法で軍長老や国有大企業幹部から権力を奪ってきた。その姿は、政敵を資本主義の道を歩む修正主義者として大衆運動で批判し、権力の座からひきずり降ろした毛沢東の文革に重なる。

 最近の広範にわたる幹部の逮捕鋸拘束、取り調べを見ると、この見方が説得力を帯びてくる。11月に上海市の艾宝俊副市長、北京市の呂錫文・党委員会副書記が規律違反で取り調べを受け、中国のすべての省・直轄市で有力指導者が腐敗を理由に失脚した。

相次ぐ不審死

 文革との類似で見過ごせない事象が起きている。有力紙、光明日報のネット版の光明網は11月12日、光明網評論員の名前で「役人の異常な死をうやむやにするな」とする文章を載せた。

 文章は役人の不可解な死亡が続いていると指摘。10月末からだけで少なくとも7人が不審死したと伝えた。典型例として、9日に吉林省鮫河市の警察局長が執務室の窓を拭いていて転落し、死亡した事件を挙げた。文章には「警察局長が自分で窓を拭くのか」といったネット上で流れた疑問の声も紹介されている。文章では直接に触れていないが、不審死した人物は腐敗で調査を受け、自殺に追い込まれた可能性がある。

 文革時代にも修正主義者として各地の指導者や知識人が毛思想を信奉する若い紅衛兵から糾弾され、死に追い込まれた。魯迅と並ぶ現代中国の文豪の老舎も紅衛兵から暴行を受けて自殺したとされるが、真相はわかっていない。最近の役人の不審死も強引な取り調べが背景にあることをうかがわせる。腐敗行為を取り締まるのは当然だが、法的な手続きを踏まねばならない。だが、文革時代さながらに人権を無視した取り調べがまかり通っているのかもしれない。

 最後に今の中国と文革との最大の類似点を挙げたい。毛沢東が政治経済の主導権を握った50年代後半、60年代後半~70年代中盤の経済成長は低調に終わり、毛路線を転換するきっかけになった。毛沢東に熱狂した人々も、経済が振るわないなかで次第に離れていった。この意味で、中国の足元で起きている成長鈍化は気になるところだ。「新たな文革」の行方も経済が握っているのは間違いない。

(アジア総局編集委員 村山宏)

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