『中国不動産バブルで日本に押し寄せる失業者 過熱でも崩壊でも行き場のない農民が彷徨い出す』(1/1日経ビジネスオンライン 山田泰司)について

バブルの渦中にある人間には「これがバブル」と意識するのは難しいのかも。日本のバブル時代には、不動産も株も未来永劫上がると信じて、個人も企業も投資しましたから。バブル崩壊後、その反動で投資には慎重になり、リーマンショック時には大きな痛手は被らないで済みました。日本人の性格は自省的で、「羹に懲りて膾を吹く」ような行動を取り、それが20年以上続いたデフレを齎しました。またそれが戦前の反省とやらで、軍を持たないGHQの押付け憲法を受入、GHQの検閲・思想統制による洗脳を其の儘受け入れて早70年以上も経っても、何も変えようとはしません。三島由紀夫も草葉の陰であきれ返っているでしょう。自衛隊の決起を促しても、自衛隊も国民も彼を狂人としか評価して来なかったのですから、諦めているのかも知れませんが。中国の脅威が迫っていても大多数の日本人は無関心です。沖縄県民は翁長知事を筆頭に中国の侵略に手を貸している始末です。

今Henry Scott Stokes の“Fallacies in the Allied Nations’ Historical Perception As Observed by a British Journalist”を読んでいますが、日本人が戦後金を儲けることや享楽についてのみしか考えなくなり、国体の在り方や伝統文化に思いを馳せなくなったことに対して、三島由紀夫の怒りと言うよりは諦念が感じられます。市ヶ谷での割腹は日本国民に対する諌死でしょう。2013年には日本語版が先行発売されて読んだ記憶がありましたが、やはり英語で読んだ方が意味を考え乍ら読みますので、深く頭の中に入ってきます。

豊饒の海の4部作の内、『暁の寺』、『天人五衰』を英語で読みました。それぞれ“The temple of dawn”、“The Decay Of The Angel”と訳されていました。4部に共通するテーマは「輪廻転生」ですが、最終章の『天人五衰』は虚無感が漂い、当時の三島の気持ちが表れていたのではと推察しています。

中国人の宗教意識は薄いと思っています。一応道教や仏教と言われていますが、「拝金教」で現世来世とも利益(実利)追求です。だから、「冥銭」や「陰婚」が風習として残っていると思います。

http://daily.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1456657212/

日本人は多神教“polytheism”と言うよりは汎神論“pantheism”でアニミズムに近いのでは。中国人のすぐに「金」という発想になるのとは違います。

本記事にありますように、こういう人たちがバブルのお蔭で、貧者が生活できなくなり、日本に来るのは御免蒙りたいです。治安は悪化し、刑務所は中国人で一杯、日本人の税金で彼らを喰わしてやらないと行けなくなります。反日国家の面倒を何故日本人が見なくてはいけないのか?中共の棄民政策=入植による侵略と思った方が良いでしょう。戦後日本人は平和ボケして敵がどう発想するか思いが至りません。知識は増えたとしても知恵が足りなくなっています。欧米のマスコミに倣って日本のメデイアも左翼リベラルが主流で、人物金情報の自由な移動を認めるグローバリズムを尊重していますが、人の自由な移動を認めれば却って戦争が起きやすくなると思っています。少なくとも治安が悪くなるでしょう。今の難民受け入れをしている欧州のように。テロリストが沢山紛れ込んでいると考えられます。日本も事実誤認の反日教育で育った人たちが日本に来てテロリストにならないという保証はないというか、可能性は高いと思います。更に言えば韓国人の方がもっと高いというのは、日本に来て事件を起こしているから感じるでしょう。親北大統領が今年韓国に誕生するでしょうから、彼らは日本に逃げ出してこないとも限りません。入れないことです。世界に反日活動を展開してきたのですから、日本も世界に治安の問題で受け入れないことを前もってアピールしておくことです。彼らは恥を知らない連中ですから、今までさんざん反日活動してきても自分の命が危なくなると日本に亡命しに来るでしょう。それで今の忘恩の徒である在日韓国人のように日本にいて反日するようになります。日本政府と国民一人ひとりが我が事のように考えておかなければダメです。民間の自警団を作る必要が出て来るかも知れません。

記事

2017年を占うというお題で何か書かないか、しかも大吉、大凶などの吉凶もつけて、という依頼に、上海を生活のベースに置いている私は恐れおののいた。「科学的なものの見方」を是とする共産党支配下の中国では、占いもおみくじも邪教につながりかねない迷信として禁止しているためである。中国政府のシンクタンクである中国社会科学院が出している『宗教政策法律知識答問』という本では「宗教と迷信の違いは何か」との問いに、風水、厄払い、人相見などとともに占いもおみくじも、民衆を惑わせ財物をだまし取るもので法律の保護を受けられない活動だとして迷信のカテゴリーに入れられている。

ただ、そうして迷信を禁じている官の方こそ、占いやおみくじが実は大好きで信用もしている節がある。上海を東西に貫く延安高架という高速道路と、南北に貫く南北高架という高速道路が交差するジャンクションにある龍の装飾を施した柱にまつわる話は、禁止されているはずの風水を中国人が実際にはいかに気にしているかを表すいい事例だ。

風水で危機を脱した高速道路

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風水のアドバイスで龍の装飾を施したと言われる高速ジャンクションの支柱(上海市内)

1990年代半ばにこの2本の高速道路を建設していた時のこと。工事は「神速」と皆が賞賛するほどのスピードで順調に進み、いよいよクライマックスとも言える2本の道路をつなげるジャンクションの建設に入った。ところが、ジャンクションを支えるのに絶対に必要な中心の柱を地面に打ち込むことができない。土木や設計の精鋭が集められ手を変え品を変え打杭を試みたがビクとも進んでいかない。工期の遅れで面子がつぶれることを避けたい当局は、上海一の高僧と呼び声の高い玉佛寺の僧を訪ね教えを請うた。するとこの僧は、「高速道路に沿って風水で言うところの龍脈が通っている。中でも柱を立てようとしているあのジャンクションの場所は、上海の真の中心で、そこに住む龍が怒っているのだ。経を唱え、柱に龍の装飾を施せば、龍は鎮まり、たちどころに柱は地面に入っていくことであろう」。高僧の言いつけ通りにしてみるとあら不思議、いままで押しても引いても煮ても焼いてもビクともしなかった地面に、スルスルと杭が打ち込まれていきましたとさ、という話である。

この話にはいくつかのバージョンがあり、高僧は静安寺の僧だというものや、僧でなく風水師だというものもある。いずれにせよ、中国当局は、宗教活動は認めているが、先述したように、聖職者が風水を見ることは禁止している。当然、当局は、この話を否定しており真相は分からないが、仮に都市伝説だとしても、いかにもありそうな話だから成り立っているのだろう。

政府要人も占いに夢中

さらに私の個人的な体験もある。中国の最高意思決定機関は、中国共産党の中央政治局常務委員会という組織。1990年代以降の改選では委員が7人か9人で推移していることから、近年、チャイナ7だとかチャイナ9等の言い方が流行っているようだが、1998年当時は7人だった。私はその年香港に住んでいたのだが、さる中国人の友人から、「この7人のうちの1人のお抱え占い師が香港に来ていて、ホテルの1室を借りて、親しい人やその友人だけを集めて運命を鑑定している。私も彼が来る度に見てもらうのだが、あなたも見て欲しいのなら紹介してあげる」と言われた。

この占い師、普段は青海省蘭州に住み修行に励んでいるとのこと。見料は、中国や香港で縁起のいい数字とされる8を並べた888香港ドル(1万5000円)だという。私にとっては十分に高いが、中国のトップ中のトップが信頼するほどの占い師の見料としてはずいぶん安い気もする。それに、さぞ豪華なホテルに泊まっているのかと思いきや、雑居ビルのワンフロアで営業している、今風に言えば民泊のようなゲストハウスだというからいよいよ怪しい。ただ、その占い師を紹介してくれた友人が、中国にまったく関心のない日本人でも、名前を出せばほぼ全員が聞いたことはあると答えるだろう中国共産党の機関紙で副社長を務めた人物の子女で、人柄も知っていたので、この人の勧めなら、少なくともその占い師がまったくのニセモノということもないだろうと思い、話の種にと見てもらうことにした。

ゲストハウスに着き、教えられていた1室をノックすると、ドアの向こうから気のよさそうな50代と思しき男が出てきた。出で立ちもいたって普通で、キョンシーが着るような袖が長くてカラフルないかにもな装束をまとうわけでもなく、紺色のスラックスに、ブルゾンというよりはジャンパー、グレーというよりはねずみ色と形容したい上着を着、かなりくたびれた黒の革靴を履いていた。私が日本人だと知ると、話が聞き取れないだろう、聞き漏らしたらもったいないぞ、書いてやるからノートを出せと言う。言われるままにノートを渡し、聞かれるままに生年月日と生まれた時間を伝えると、大学ノート2ページにわたって細かい文字でビッシリと、当時33歳だった私のそれまでの人生を振り返り、その後の人生についてを書き付けてくれた。

中国要人のお抱え占い師に見てもらうんだということについては周囲に話していた。後日、どうだった? と皆から聞かれる度に、「いやあ、怖いほど当たるらしいから、これからが楽しみだねえ」と答えたのだが、そういう言い方をしたのには理由がある。それまでの私の人生についての占い師の見立てが、当たったと解釈すればそう思えないこともないけれども、外れたと言えばそうとも言える、つまりは、よくある星座占いや干支占いと大枠では大差ないものでしかなかったからだ。

当時香港で在籍していた新聞社で連載していた占いコーナーで私が編集を担当していた大連出身の人相見の先生は、「人相見は、どのような骨格をした人がどのような人生を送ってきたかを顔のパーツ毎に細かく分類して答えを弾き出す統計学。他の占いよりも当たる確率は高いと思うが、それでもせいぜい6割だな」と話しているのを知っていた。それに当てはめれば、私の過去についてのこのお抱え占い師の見立てが、ガッカリするほど的外れだったということはなかった。ただ、人口12億人の国で序列が上から数えて1ケタ台というとてつもない要人が信用するほどの占い師にしては拍子抜けだったというのが正直なところだった。そして、中国のある部分を確実に動かしている人物が、この占い師の見立てを参考にしているのかと思うと、恐ろしくもあり、しかし一方で、それでも日々はつつがなく過ぎていくってことだなと、妙に安心したりもしたのである。

年男年女は赤いパンツで厄除け

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中国では厄除けの赤いパンツの洗濯物が翩翻と翻る光景をよく見る(上海市内)

迷信と言えばこれも迷信になるのだろうが、該当する中国人の限りなく100%近くが信じている迷信がある。それは、厄除けに赤いパンツを履くこと。日本では年男年女というとその1年は勢いに乗り飛躍を図るには絶好の年というような感覚がある。ところが中国ではその年の干支が吉の方角を犯してしまうと見なすことから、年男・年女の年を「本命年」と呼び厄年とするのだが、赤い下着を身に着けることで厄払いになると考える。聞いてみると、年男年女は律儀に厄年を前に赤い下着を購入し、しかも1日、2日ではなく、年を通じてほぼ毎日、赤いパンツを履いているのだ。

去年数えで36の年男だった上海人の友人、シャオワンももちろん、赤いパンツを履いて厄払いに余念が無かったのだが、12月半ばに会うと、「なんとか厄年を乗り切ったと思ったのに、最後の最後になって大厄が来た」と暗い顔をしている。まさか身内に何かあったのかと胸騒ぎを覚えながら尋ねると、「2軒目のマンションを買おうとしていた矢先に新しい規制が発表されて、買えなくなった。儲け話をみすみす逃したんですよ」と言う。さすがは狂ったような不動産バブルの渦中にある上海人の言うことは違うと、思わず苦笑してしまった。

「家は住むものじゃない」とうそぶく庶民

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上海では異常な不動産バブルが続いている

中国では全国の都市部を中心に不動産の高騰に歯止めのかかる気配が見られないことから2016年9月以降、上海や北京など20以上の都市で購入に相次ぎ制限をかけた。上海では11月末、1つの家族が住宅ローンで不動産を購入するにあたり、1軒目については頭金を最低35%、2軒目については価格や面積によって50~70%の頭金を支払わなければ購入できないとする新たな取り決めを発表した。シャオワンが狙っていたのは頭金70%の対象になった物件だとのことで、「買えば確実に上がって儲かったのに、7割だとさすがに無理だ。今年は大凶だ」と嘆く。

3年前、上海郊外に100平米のマンションを150万元(2550万円)で手に入れたときには、「ようやく念願のマイホームを手に入れました。頑張って働いてローンを返していきますよ」としおらしく、それでも嬉しそうに話していた。ところが昨年末当たりから、言うことが変わってきた。「日本人は家って、『住むもの』だと思っているでしょう? 中国人は違いますよ。家は、転売して儲けるための『商品』でしかないんですよ」。

2008年のリーマン・ショックや2011年の東日本大震災と原発事故を体験し、さらに移民問題や民族問題で激動する昨今の世界情勢を受け、日本人は、確実なものなどないという危機感を、程度の差こそあれ誰もが抱えて生きるようになったのではないかと思う。こうした感覚からすると、家を「転売して儲けるための商品だ」と言い切るシャオワンの考え方はいかにも傲岸不遜に映るが、そういう錯覚を持つのも無理がないと思わせるほどの勢いで上海の不動産価格は急激に上昇している。

狂乱の上海不動産バブル

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不動産にマネーが集中したことで、理財商品を扱う業者が店をたたむケースが増えている(上海市内)

例えば彼の住む都心部から35キロの距離にある青浦区では、新築マンションの平均価格が2016年1月の1平米当たり1万8400元(約31万3000円。Fang.com調べ。以下同)から、12月には3万2722元(55万6000円)と、この1年で77%上昇の上昇を見せた。これが単価の高い都心部になると、静安区では年初の6万6329元(113万円)から直近で8万2475元(140万円)と上昇幅は25%程度になるが、100平米なら824万元で、日本円なら1億4000万円。そしてこれはあくまで平均価格。上海をぐるりと囲む「外環」と呼ばれる高速外郭環状線の内側のエリア、面積にして東京23区の面積619平方キロメートルより幾分広い680平方キロメートルのエリアで100平米の新築マンションを買おうとすれば「600万元ないとまず無理」(上海の不動産業者)、すなわち1億円が最低ラインというところにまで不動産の高騰が進んでいる。

利殖に熱心な中国人のご多分に漏れず、シャオワンも株、不動産、投資信託と一通りのことはやっている。そして、シャオワンが一番熱心にお金を注ぎ込んでいる利殖の手段を見れば、中国でいま、何にお金が集まり、何から逃げているのかが分かって興味深い。6~10%の高利回りをうたう個人向けの金融商品「理財商品」がデフォルト(債務不履行)の危機が取りざたされながらもなお過熱していた2014年ごろには、彼も当然のことのように理財商品をいくつか買っていると話していた。それが2015年後半から2016年にかけて、理財商品を扱うノンバンクや投資信託運用会社の路面店で閉店が目につくようになってきたなと感じていたのだが、シャオワンに聞くと、「2015年夏に上海株が暴落してから、理財商品はダメになった。ボクは持っていた理財商品を今年に入って全部処分しました。いくら儲けたって? 最後に処分したのは5万元(85万円)だったかな」。そして処分した理財商品を今度は不動産に注ぎ込もうとしていた矢先、頭金70%の新たな購入規制が出来、「間一髪で儲け損ねた、大厄だ」と、まったく損をしていないのにこの世の終わりのような顔をして嘆いている、というわけである。

格差の一層の拡大生む購入抑制策

上海サラリーマンの平均像のようなシャオワンのケースを見ると、上海の新たな購入規制は不動産バブルの抑制に一定の効果は生んでいるように思える。ただ、新規制の導入前に転売を繰り返し日本円で千万単位、億単位の売却益を得たという人たちも、庶民層の中にいくらでもいる。

さらに懸念されるのは、頭金の比率を引き上げるという形の購入規制で、複数の不動産を所有できるのはますます富裕層や既得権益層に集中し、格差がとりかえしのつかないほど拡大するだろうということだ。実際、気になる動きも出てきている。それは、過去10年、上海に定着して仕事をしてきた地方の農村出身の低所得者層が、仕事と住む場所を求めて中国国内を彷徨い始めたことである。

私はこの連載で昨年来、中国が2008年の北京五輪や2010年の上海万博の開催に向かって国の建設を進めていたころ、農村からやって来た比較的教育程度の低い出稼ぎの人たちが上海の肉体労働や単純労働を支えてきたこと、その彼らが不動産バブルに伴う家賃の高騰や、経済成長の鈍化に伴う賃金の頭打ちに直面し上海での生活が苦しくなり、その中の一部には、新幹線が開通するなどインフラの整備が進んだ地方の発展に期待を寄せて上海を離れ故郷に戻る人たちが増えていること、しかし、食料など生活必需品の物価は都会と遜色ないにもかかわらず、稼ぎが1500~2000元(4万2000~5万4000円)程度にしかならないのを嫌気し、物価の高騰と就職難で生活して行けなくなった状況が変わらないのを知りつつ、1年程度で上海に戻って来る人たちが出始めていることなどを書いてきた。

給料が頭打ちになった農村出身者

これらの人たちは上海でいま、いくら稼いでいるのか。私の友人の例のみを紹介すると、物流倉庫の電話営業をやっている中卒25歳の男性は基本給が3000元(5万1000円)、廃品回収をしている中卒42歳の男性は先月の稼ぎが3000元、月~土曜に複数の家の家政婦を掛け持ちしている高卒36歳の女性が3750元(6万3000円)、火鍋レストランに住み込みで働いている中卒16歳の少年が3000元、四川特産の麺料理店で週休半日で働く中卒45歳の女性が3000元だ。

中国政府の国家衛生・計画生育委員会が2016年10月19日に発表した「中国流動人口発展報告2016」によると、2015年の流動人口、すなわち農村からの出稼ぎの人たちは2億4700万人で、人口の18%を占め、平均月収は4598元(7万8000円)で前年比34%増だとしている。確かに、先に紹介した中卒25歳3000元の彼は2年前、今とは別の会社だが同じ物流の仕事をして月給は4500元(7万6000円)で、政府統計の示す平均像だった。その彼らがいま、上海で何をやっても3000元台の壁を破れないでいる。中国政府が2016年のものとしてどのような統計を出してくるか分からないが、彼らの収入は減少しているというのが現実だ。

一方で、例えば上海都心部で20平米のワンルームを借りようと思えば、築80年のボロアパートでも4000元(6万8000円)はする。彼らが上海で働きながら1人暮らしをするのはもはや不可能な状況になりつつある。

居場所失う農民たち

先の廃品回収をしている友人、リュウさんは、息子を高校に進ませず、妻と家族3人で最近、上海に戻ってきた。どうして息子を進学させなかったのと聞くと、「上海なら中卒でも不動産屋のビラ配りをすれば1日100元(1700円)、毎日やれば3000元にはなるから、田舎より現金が稼げる。家族全員で働けば月に9000元(15万3000円)。家族で一緒に住めばなんとかなるから」との答え。廃品価格が暴落する前の2014年当時、9000元という金額はリュウさん1人で稼げた額だ。何より、不動産会社のビラ配り、学生がアルバイトでするにはいいが、高校進学を諦めさせ、さあこれからどうしようという16歳の少年がやる仕事としては展望も希望もなさ過ぎる。

狂乱の不動産バブルで彼らは上海で居場所をなくした。一方で、不動産バブルが弾ければ、ビラ配りの仕事もなくなるだろう。

2017年の春節(旧正月)は今月末に来る。先に月の稼ぎを書いた彼ら彼女らは全員、春節を過ごすために帰省する。彼らに、春節明けはいつ上海に戻ってくるのと尋ねた。全員が、「戻るかどうか分からない。故郷で様子を見て考える」と口を揃えた。しかし彼らとて、故郷に彼らが満足できる仕事も収入もないのは、既に分かっている。それでも、そう言わざるを得ない状況に彼らはある。2005年前後に上海にやって来て約10年間、上海に落ち着き生活してきた彼らが、居場所を探して中国を当て所なく彷徨い始めている。その数は、私の友人だけに限ってみても、昨年より確実に、そして急速に増えている。

日本を目指す中国の農民たち

中国政府で華僑政策を管轄する僑務事務室のウェブサイトが2016年12月8日、「日本で毎年消える数千人の中国人はどこに行ったのか?」と題する文章を掲載している。日本の法務省の統計を引用する形で、技能実習生として日本に滞在する外国人が同年6月の時点で21万人おり、うち6割を中国人が占めること、失踪した実習生の数が2014年の4847人から2015年には5803人と過去最多となり、うち3116人が中国人だったと伝え、失踪者の大半がより待遇のいい仕事を求めて日本で不法就労しているようだとしている。

また『日本経済新聞』(2016年6月15日付)は法務省の話として、日本の農家が高齢化と人口減少で深刻な人手不足にあることを背景に、農業分野で外国人の不法就労が急増していると指摘。2015年に強制退去になった不法就労者のうち農業従事者は前年から3倍増の1744人で、全体の3割を占めた他、国籍別では中国、タイ、ベトナムが多いと報じている。さらに最近は、クルーズ船で日本に寄港し失踪する中国人客が増えているとの報道も目につくようになった。

技能実習生を劣悪な環境で働かせる雇用主や、失踪した実習生と知りながら不法に雇用し暴利をむさぼる日本人がいる話は中国でも広く報じられている。よって、日本で実習生として働いたり不法就労したりしても、さして稼げないことも知れ渡っている。ただ、日本で中国の失踪や不法滞在が増加傾向にあることと、中国国内では都会でも故郷でも稼げなくなり彷徨い出す農村出身者が増えていることがまったく無関係には思えない。

先に月収を紹介した友人らの出身地は安徽省と河南省だ。彼らの故郷で日本での技能実習生や不法就労を持ちかける誘いやうわさに遭遇したことはないかを尋ねたところ、全員が聞いたことがないと答えた。成長減速の打撃を大きく受けている鉄鋼や石炭などの産業が多く、しかも気候が厳しい東北地方や、海外移民の気質が根付いている福建省などの出身者が、現時点での実習生や失踪者の主力なのか。

いずれにせよ、不動産バブルが過熱しても弾けても、行き場をなくし彷徨う農村出身者が増えるという状況は、中国にとっては間違いなく大凶。そして日本にとっても2017年は、日本での就労に視線が向かう中国の農村出身者の流入増大という問題に直面する1年になるかもしれない。

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(写真:Imaginechina/アフロ)

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