『中国人クレーマーはなぜ集団で国歌を歌い出すのか 空港での斉唱に中国国内では冷ややかな反応』(2/5JBプレス 安田峰敏)について

2/7日経朝刊<米中 ぶつかり合うDNA 本社コメンテーター 秋田浩之

一見すると、米国と中国の関係はひとまず、落ち着いているように映る。

中国との巨額の貿易赤字に不満を抱きながらも、トランプ米大統領はあからさまな中国たたきは控えている。

ツイッターでは、習近平(シー・ジンピン)国家主席を「信頼できる偉大なリーダーだ」と持ち上げることも忘れない。いずれも、北朝鮮問題での協力を優先してのことだろう。

しかし、ホワイトハウスや国防総省、米軍中枢の動きを探ると、ちがった構図が浮かぶ。地下からあふれるマグマのように、強大になる中国への警戒感が着実に広がっているようなのだ。

1月上旬、ワシントンのハドソン研究所で、インド太平洋情勢をめぐる討論会に参加する機会があった。顔をそろえたのは同研究所の安全保障、経済の専門家や元米政府高官ら。彼らとの議論で印象に残ったのが、中国が進める「一帯一路」構想への警戒心だ。

一帯一路とは、アジアから欧州にいたる海と陸のインフラを中国主導で築こうというものだ。中国はすでに莫大な資金を注ぎ、陸路や港の建設にまい進している。

この構想が完成すれば、経済だけでなく、外交面でもインド太平洋は中国の勢力圏に覆われ、自由と民主主義の秩序が塗り替えられてしまうかもしれない――。ハドソン研究所の会議ではこんな認識から、米国と同盟国はどう対応すべきか、意見が交わされた。

実は、トランプ政権の「奥の院」でも同じような議論が静かに熱を帯びつつある。内情に通じた米安全保障専門家らによると最近、こんな動きがあった。

トランプ大統領がアジア歴訪から戻った昨年11月下旬から年末にかけて、ホワイトハウスは国家安全保障会議(NSC)を数回にわたって招集し、ひそかに重要会議を開いた。

テーマは一帯一路構想などを通じ、影響力を広げる中国にどう対抗するか。その解として「自由で開かれたインド太平洋戦略」を進めることを正式に決め、具体策をまとめた文書を承認したのだという。

この戦略は本来、安倍政権が唱えていたもので、トランプ政権が乗ってきた。ホワイトハウスがまとめた文書は秘密扱いだが、その大枠は次の3つだ。

▼同盟国や友好国と組み、東・南シナ海からインド洋、アラビア海で、法にもとづく自由な秩序が崩されないよう行動する。

▼そのために、日米豪やインドが手分けして海上のパトロールを強めるほか、他の沿岸国が自前の海域をきちんと守れるよう、彼らの海上警備組織を支援する。

▼アジアから中東へのシーレーン(海上交通路)を押さえるため、日米豪印などが支援し、要所に当たる東南アジアやスリランカ、ベンガル湾に港湾を整備する。

米政権の屋台骨を支えるマティス国防長官とマクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)が、この戦略を主導している。国防総省の有力ブレーンは、彼らの懸念をこう代弁する。

「中国は昨秋の共産党大会で、2049年までに世界の超大国になると宣言した。一帯一路構想はその手段であり、米国優位の秩序への真剣な挑戦だ」

厳しい対中観は、インド太平洋戦略にとどまらず、米国の世界戦略にも反映されつつある。昨年末から、トランプ政権は国家安全保障、国防、核の3戦略を相次いで公表した。

この中で、ロシアと並び、中国を「現状変更勢力」と呼び、いまの秩序を脅かそうとする存在に位置づけた。戦略上、敵対国とみなしたに等しい。

米政府内外の戦略家と話して感じるのは、政策上の理屈というより、自国をしのぐライバルの出現は許せないという、超大国の生存本能である。

人間と同じように、国家にも長年の歴史や文化に根ざしたDNAがあるように思う。米国のそれは主に西へと勢力圏を広げようとする本能だろう。祖先は1620年、メイフラワー号に乗り、欧州から米東海岸にたどりついた。

そこから米西海岸まで「開拓」し、さらに太平洋に進出。19世紀にはハワイを併合し、やがてフィリピンも支配した。1941年には日本とぶつかり、日米戦争となった。そんな本能が今度は膨張する中国によって目覚めつつある。

一方の中国にも、独自のDNAがある。それは周辺に自前の影響圏(朝貢圏)を広げ、囲い込もうとする性質だ。その証しが万里の長城である。中国が一帯一路構想の実現に向けて疾走するのも、国力が増すにつれ、再び、遺伝子の働きが活発になってきたことの表れといえるだろう。

だからといって、米中がただちに全面対決し、紛争の危険を冒すとは考えづらい。双方は経済で固く結ばれ、北朝鮮問題などでも協力しなければならないからだ。

それでも長期でみれば、DNAの衝突が強まり、米中関係は次第に冷め、緊張をはらんでいくだろう。米中攻防の風波は、アジアの国々にも押し寄せることになる。日本も例外ではない。

安倍政権は昨年来、中国の一帯一路構想に協力する姿勢をにじませている。日中関係の改善につなげるためだが、注意深く進めなければ、日米にきしみが生じ、アジアが不安定になる危険もある。対中政策をめぐる日米の調整が、極めて大切な局面に入った。>(以上)

秋田氏記事にありますように、米国は軍事的にも、経済的にも中国を締め上げて行くはずです。それが昨年12月の国家安全保障戦略、本年1/19の国家防衛戦略、1/30一般教書演説、2/2新たな核戦略と繋がる訳です。今までのオバマのように中露に甘い顔は見せないという事です。

1/2本ブログで渡部悦和氏の『トゥキュディデスの罠』と『キンドルバーガーの罠』について説明を紹介しました。米国に替わって中国は国際公共財を提供できないのではとの見立てです。それはそうです。南シナ海での国際仲裁裁判の判決を「紙屑」と称して国際ルールに従わないのですから。スリランカやモルデイブでやっていることは要人に賄賂を贈り、中国の軍事基地に繋がる施設を中国からの借金で建たせ、払えないとなれば租借するという阿漕なサラ金紛いのことを平気でします。賄賂は中国4000年の文化ですから一朝一夕には治らないでしょう。

中国が“status quo=現状維持”を変えるのであれば国際世論は、モンゴル・ウイグル・チベットの独立を叶えるべきです。台湾は既に独立しています。軍も通貨もパスポートも別ではないですか。それで良く中国の一部なんて言えると思います。

http://dwellerinkashiwa.net/?p=7947

奥山真司氏の地政学について12/29本ブログでも紹介しました。米国人のスパイクマンが予言したものを中国が「一帯一路」としてパクったものという見立てです。中国人に独創性を求めても無理と言うもの。

http://dwellerinkashiwa.net/?p=7904

2/7biglove<THEアジア大学ランキング2018、東大8位…上位350内は日本最多> 2/7日経朝刊にも同じ記事が出ましたが表題は<東大、順位下げ8位 アジアの大学ランキング 首位はシンガポール国立大>でした。左翼の厭らしさが滲み出ていると思いませんか?そもそもで言えば大学で一番要求されるインフラは「学問の自由」です。それを度外視した大学ランキングなぞあり得ないはずです。中国の清華大学や北京大学が上位に入るというのはおかしく感じます。賄賂でも贈ったのかと疑います。英国の“Times Higher Education”の見方はなっていません。日本の大学や学生・受験生はこんなランキングを気にせず、勉学に励んで貰いたいと思います。

https://news.biglobe.ne.jp/trend/0207/res_180207_5627297172.html

安田氏の記事では、2017/1/1の本ブログで中国人の洗練されていない10大マナー違反について書いています。社会階層の違いはあまりないのではという気がします。何せ中国は成金ですので、やってはいけないことも分からないのでしょうし、また其の儘放置すれば為政者の思うが儘となりますので。何せ退役軍人ですらデモをする国ですから。

http://dwellerinkashiwa.net/?m=20170101

記事

成田発・上海行きのジェットスター航空機に搭乗予定だった中国人客が航空会社職員や空港警察と衝突した。写真はジェットスター航空の旅客機(2014年5月4日撮影、資料写真)。(c)AFP/ROSLAN RAHMAN〔AFPBB News

今年(2018年)1月24日夜、上海行きのジェットスター航空GK35便の欠航(正確には24時間の遅延)をきっかけに、同便に搭乗予定だった中国人客100人以上が成田空港内で騒ぎ、航空会社職員や空港警察と衝突。1人が逮捕される事件が起きた。

一部の中国人客らはもみ合いになるなかで、なぜか中国国歌を合唱。現場の動画が残されていたこともあり、この奇妙な光景は日本国内のテレビのニュースでも報じられたので、ご存じの方もいるのではないだろうか。

在米華人メディア『多維新聞』公式Youtubeチャンネルで紹介された、中国人客の国歌斉唱の様子を撮影した動画。なだめにかかった千葉県警も大変である

実のところ、こうした事件は今回が初めてではない。2015年9月5日にも、タイのドンムアン空港で飛行機の出発が10時間近く遅延した際に、同便に搭乗予定だった約260人の中国人団体旅行客のうち一部が激しく抗議。やはりみんなで国歌を斉唱したのである。

台湾大手テレビ局『三立新聞』公式Youtubeチャンネルで紹介された、バンコクでも国歌を斉唱する中国人客たちの姿

なお、中国人客が搭乗を予定していたのはバンコク発重慶行きのオリエント・タイ航空。彼らは「自分たちが尊重されていない」ことに怒っており、タイ側(誰?)の謝罪や1000元相当の金銭補償、航空機の変更なども求めていたとされる。

ほかにも国歌こそ歌わなかったが、2016年12月にも日本の新千歳空港で中国人客100人あまりが、搭乗予定の中国国際航空が大雪で欠航となり空港内で2日以上も待たされた結果、航空会社や空港側のケアが不十分だったとして大規模な抗議をおこない、一部が警察に連行される事件が起きている。

各事件はそれぞれ背景が異なる。航空会社・空港・中国人客の3者のいずれに最も責任があるかも、事件ごとに議論があるようだ。今回の原稿では、個別の事件の責任追及ではなく、なぜ海外で飛行機が遅れた「中国人客」は国歌を斉唱したり、集団で騒いで警察沙汰になったりしやすいのかについて私なりに解説してみたい。主な要因は以下の4点である。

【1】出身地域や社会階層

現場動画などからまず指摘できるのは、当事者には非常に申し訳ないが、空港でこうしたトラブルを起こす中国人客は、服装や言動が基本的に垢抜けない人々が多いという点だ。「社会階層」という表現には少し抵抗感もあるものの、中国社会は日本よりもずっと巨大な格差のもとで、貧富・地域・年齢などさまざまなレイヤーで人々が分断されており、社会階層もまた現実のものとして存在している。

実は中国人客の国歌斉唱事件は、中国国内でもネット世論などでは冷ややかに評されることが多い。都会的でそこそこの学歴や国際感覚を持つ人の目には、海外でクレームを入れる際に集団で国歌を斉唱するような行為は、野暮ったく恥ずかしい振る舞いに映っている。彼らは経済力より文化資本の面での格差が大きく、海外や異文化にあまり慣れておらず、外国語もまずできない、ローカルな価値観やライフスタイルのなかで暮らしている人たちだ。

なお、成田とドンムアンでの国歌斉唱事件の際、中国人客らの利用した航空会社はいずれもLCC(格安航空会社)だった。自国の経済発展にともない、従来は生活が国内で完結していた層の人たちも海外旅行を楽しむようになったのだが、彼らが選ぶ格安ツアーの航空会社はLCCになることも多い。

LCCは本来、サービスの水準を落とすことで大手航空会社よりも安い運賃を実現しており、利用者側も一定の不自由はある意味で織り込み済みとして、それに対処できることが求められている。だが、結果的に価格の安さゆえにパックツアーの移動手段として組み込まれ、そうした能力があまり高くない人が利用しがちになっているのだ。

ちなみに2016年12月の新千歳空港のトラブルでは、航空会社はLCCではなかったが、騒ぎの当事者になったのは帰国を控えた中国人の技能実習生たちだったとされる。技能実習生には貧しい農村部出身の人たちが多く、上記の観光客たちよりもさらにローカルな社会階層の出身者だ(詳しくは西本紫乃「『新千歳空港で暴れた中国人乗客』騒動の真相」に詳しい)。

国際線の航空機への搭乗経験や言葉が異なる海外での交渉事に慣れていないなかで、搭乗予定機の欠航や航空会社・空港側とのコミュニケーションを充分に取れなかったことのストレスが事件の要因になったと思われる。

【2】クレーム方法の違い

日本におけるいわゆるクレーマーは、基本的に1人でゴネる。これは日本の客商売が、不必要なほど個々人の顧客を大事にするため、個人が1人で突っ込んで無理難題を持ちかけても真面目に相手をしてもらえる(少なくとも話だけは最後まで聞いてもらえる)ことも大きな要因かと思われる。

いっぽうで中国の場合、クレーマーどころか消費者として正当な要求をする顧客ですらも、個人が1人で掛け合った場合は担当者に面倒がられて門前払いされる例が少なくない。特にお役所や交通・運輸関係(駅など)の窓口ではその傾向が顕著だ。

1人で意見を表明しても誰も聞く耳を持たないことが当然だった社会で、大組織を相手に自分の要望を通す一番いい方法は、相手方にコネが利く人間を探して話を付けてもらうこと・・・なのだが、それが無理ならとにかく徒党を組んで数の力でプレッシャーをかけるしかない。【1】で述べたようなローカル系の中国人ほど、こうした方法での問題解決策を取る傾向は強い。

ローカル系の中国人客が海外の空港で集団でトラブルを起こす例が多いのは、たとえ国外でもこの中国的方法で問題解決を図ろうとするためである。ちなみに中国国内では、飛行機の遅延などでこの手の問題の発生が予見された場合には、なにはともあれ飲食物を供給しておとなしくしてもらうことが多い。人間、ものを食べている間は徒党を組んでまで怒ろうとは思わないし、心理的な不満自体も緩和されるからだ。

【3】「自分だけが損をする」ことを嫌う

先に中国は階層社会だと書いた。多くの中国人はこうした階層の存在をある程度は諦観しており、自分よりも経済力や政治的資源が明らかに「上」の人が、より恵まれた環境を享受していてもそれほど激しい怒りは示さない(不満がないわけではないが、日常的にそうした例がありすぎるからである)。

ただ、だからこそと言うべきか、多くの人が同じような階層や境遇に置かれている場合には、自分以外の誰かが得をして自分が損をする側に回ることは容認できない。特に外国人だけが優遇されて自分たちが放っておかれた(ように見える)事態は、被害者意識が刺激されるためいっそうトラブルが起きやすくなる。

今回の成田空港の事件でも、搭乗予定客のうち日本人客だけが制限エリアを出ていったことで「日本人はよい待遇を受けているに違いない」というイメージがひとり歩きし、フラストレーションを貯める要因になったとされる(なお、実際は日本人であれば簡単に制限エリアを出て再入国できるため、彼らは自力で外部の宿泊先に向かったと見られる)。

また、新千歳空港のトラブルは悪天候で出発が遅延して2日以上も空港内に留め置かれ、不満が爆発したことが直接の理由だが、その前に他社の便が続々と出発するなかで自分の搭乗予定便だけが出発せず、事情説明も充分に得られなかったことが、いっそうストレスを貯める結果を生んだと見られている。

【4】中国国歌が持つ意味

中国人客の国歌斉唱は、近年の中国国内で強まっている愛国主義的なプロパガンダの影響や、中国の国力や国際影響力が強まったことに対する自信ゆえの、鼻持ちならない愛国アピールであるとする説明は多い。事実、そうした側面は皆無ではないだろう。ただ、より泥臭い理由が関係している可能性もある。

中国国歌『義勇軍進行曲』は歌詞の内容(後述)さえ気にしなければ、メロディが勇壮でテンションが上がるなかなかの名曲だ。ゆえに、中国人の間ではちょっと泥臭いノリでみんなの団結を確認したいときにひとまず歌っておくと盛り上がる歌、という性質も持っている。日本でいえば『君が代』よりも、一昔前の軍艦マーチや宇宙戦艦ヤマトのテーマ、地元密着型球団を持つ地方都市における『いざゆけ若鷹軍団』や『それ行けカープ』などにやや近い雰囲気もあるのだ。

また、『義勇軍進行曲』はもともと抗日戦争中の映画楽曲がオリジナルであり、「立ち上がれ、奴隷となることを望まぬ人々よ」「中華民族は最大の危機に至っている」という歌詞からもわかるように、中国人をいじめる外国人(=日本人)への抵抗を雄々しく歌い上げた歌だ。海外におけるトラブルは、中国人客の主観ではまさに「外国人にいじめられている」事態に他ならず、抵抗ソングとしてはうってつけの曲なのである。

動画を見る限り、現場で笑いながら歌い始めたドンムアンのケースは前者、空港警察ともみ合いになるなかで歌い始めた成田のケースは後者の要素がより強いように見える。それぞれ、上記に書いた「徒党を組む」という中国的な抗議方法や、自分たちだけが損をして同じ便に搭乗する日本人が得をしていることが気に入らないといった心情とも組み合わさって、中国人客らはトラブルが起きると国歌斉唱を始めるわけなのだ。

中国政府は「不適切」と非難

ちなみに、意外にも中国政府はこうした自国のツーリストによる行為に渋い顔をしている。例えば成田の事件について中国外交部は「集団で国歌を歌うことで問題を解決するのは明らかに不適切であり、かえって(日本との)民族的な対立を容易に引き起こし、ひどくは矛盾を激化させる」と、ずいぶん厳しい表現で非難している。

ローカル中国人たち自身は自分たちの泥臭いノリで国歌を歌っているだけでも、国際的に報道されると明らかにナショナリスティックな匂いをまとってしまい、中国の国益を害するというわけだろう。そもそも中国当局は、社会問題に対して人民が徒党を組んで抗議を示すような従来型の抗議それ自体をかなり嫌がっている。

中国の経済発展や国際化とは、従来は中国国内で生活が完結していた泥臭い人たちが海外を闊歩する現象でもある。中国政府ですらやや持て余し気味のこの問題について、各国の空港や航空会社が対処していくのはなかなか大変そうだ。

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