『米大統領選、「当選可能性」で浮上したブティジェッジとクロブシャー』(2/14 日経ビジネス 酒井吉廣)、『有力政治家に指南した米大統領選を展望するための7カ条』(2/14 日経ビジネス 宮家邦彦)について

2/14希望之声<白宫顾问库德洛怀疑中共疫情报告并表失望=WH顧問クドローは、中共の疫病発生報告を疑い、失望を表明>2/13(木)、WH首席経済顧問であるラリー・クドローは、新型コロナウイルスの流行に関する中共の対応を批判し、中共によって発表された新症例と死亡の正確性についてずっと疑念を持っていることを表明した。トランプも、中共の疫病報告について疑念を表明した。米国の大手メディアの一部は政府当局の言葉を引用して、米国政府は中共の提供している新型コロナウイルスに感染している患者数に疑問を呈していると。

VOAの報道によれば、クドロー米国経済委員会委員長はWHで記者団に語り、「我々は(元々は)中国(中共)は透明性が高いと思っていたが、事実はそうではないようだ」と。

クドローは、公衆衛生の専門家が疫病研究のために中国に行くことをまだ許可されないことに米国は失望していると述べ、木曜日に中国で13,000件を超える新症例が増えた背景に疑問を投げかけた。 「中国で疫病が抑止されているかどうかはわからない。その数は減少していると思っていたが、事実はそうではない」、「この問題について、中国の対応に非常に失望している 」と。

彼は木曜日に放送されたラジオインタビューで、中国の新型コロナウイルス流行について語ったとき、トランプ米大統領は、コロナウイルスの発生に対処した中国の説明に同意し、米国は北京と緊密に協力していると述べた。しかし、中国が疫病についての真実を発表したかどうかの質問に答えて、トランプは「あなたは決して知ることはない」と述べた。また、トランプは「彼ら(中国)は外面で最高のイメージを与えたいと思っている」と言った。

中国人が本当のことを言うはずはない。日本政府も中共の言うことや中共の手先のWHOの言うことを信じて対策を打つから間違った手となります。今からでも遅くないから(症例が公表10倍になったのだから)中国人の全面一時入国禁止をしないと、回復期になって中国人がワンサカ来て、日本で疫病が流行し、オリンピックが開けなくなる可能性があります。

https://twitter.com/i/status/1228072395593961474

https://www.soundofhope.org/post/343216

2/14阿波羅新聞網<武汉确诊为何1天爆增10倍? 台专家:武汉病例至少50万 到底是什么?爆惊天巨响=武漢で確定症例が1日で10倍になったのはなぜ?台湾の専門家:武漢肺炎で少なくとも500,000件の症例になったのは一体何故?大声に驚く>湖北省は13日、企業の再開を再び遅らせると発表した。同省のさまざまな企業は、2月20日より前に仕事を再開するのはできない。但し疫病予防管理に必要な日用品を除く、例えば薬品の販売とスーパーマーケットなど。

SARS時代に台湾の衛生部の疾病管理局長だった蘇益仁は、13日Radio Free Asiaのインタビューを受け、現在日本に停泊しているクルーズ船のダイアモンドプリンセスは「船の封鎖」で、武漢の「都市の封鎖」と比較できると指摘した。船は5%の感染率と推定される場合、武漢の感染患者の数は少なくとも500,000例である。

英国の疫学者によると、たとえそうであっても、中共の統計の確認された症例はコロナウイルスの実際の患者の一部にすぎない。

フィナンシャル・タイムズは、ロンドンのインペリアル・カレッジの疫学者ニール・ファーガソンを引用し、中国は現在、最も深刻な感染症例のみを診断数としており、症例の約10%だけが数字として表れているだけと述べた。

報道は、匿名の中国人コロナウイルス研究員の話を引いて、現在テストキットなどの疑似患者の診断器材は効果が不正確であるため、数回テストする必要があると述べた。

報道は、政府に助言した医療専門家の童超輝を引用し、コロナウイルスの陽性結果を正しく検出できる可能性は一般に10%から20%であり、良い病院の場合は50%に達する可能性があり、ダメな病院の場合、検出確率はわずか10%であると。

蘇益仁は、武漢コロナウイルス肺炎の流行には3つの進展可能性があると分析した。より楽観的なのは、中共の専門家である鐘南山が、武漢、湖北、他の数十の郡や都市の「半封鎖」が効力を持っているという憶測である。しかし完全な収束は見えず、できるのはコントロールして流行を緩和するだけである。

もし流行が抑止されない場合、香港やその他の地域で地域感染を引き起こす可能性がある。私は、さらに1、2ヶ月かかると思う。

最悪の事態は第三の状況であり、武漢で疫病を制御する方法はなく、最終的には慢性的な流行またはインフルエンザのようなものになる。

武漢肺炎の発生後、中共当局は真実を隠し、流行を制御不能にさせた後、安定を維持するために都市を封鎖し、その過程であらゆる種類の暴力的な隔離を試みた。

中共というか共産主義者に人権の考えはない。あるのは強権のみ。逆らう人間は闇の内に殺されます。武漢の弁護士で市民記者の陳秋實氏は杳として行方知れずです。上海で習近平の肖像画に墨をぶちまけた女性の董瑶琼のように精神病院送りになり、薬漬けとなって精神を破壊されてから娑婆に帰されると思います。日本人は何故左翼の人権侵害に怒らないのか。習近平の国賓待遇に全国民が怒ってよいはず。

写真:2020年1月25日、武漢市の武漢赤十字病院の発熱外来は過密状態であった。

https://www.aboluowang.com/2020/0214/1409389.html

2/14阿波羅新聞網<中国封城致经济凋敝 果农弃果养殖户放生=中国の都市封鎖により、経済は萎縮 果物農家は果実を捨て、養殖農家は何もできず>武漢肺炎の流行は深刻で、中国の多くの省や都市は封鎖し、経済は衰退している。 インターネットのビデオによると、養殖農家は飼料がないために何万匹ものアヒルを放し飼いし、野菜、果物、さらには花さえも輸送できないために捨てられた。 工場を再開しても、疫病と診断された症例が出て、工場労働者全員は隔離された。

都市の封鎖は商業の停滞と農業の惨憺をもたらし、一部の農家はキュウリや他の野菜を捨て、一部の果物農家は泣きながらオレンジとリンゴを捨て、ある農家は花を捨てた。

蘇州のある職場で作業を再開した後、確認された症例が見つかり、その結果、職場内の200人以上が隔離されなければならなくなった。 このビデオでは、労働者が自分たちの布団を持ってきて、隔離の準備をしている。

ネットビデオは、女性がマスクを着用しなかったため、警官に手錠をかけられ、鉄の鎖で繋がれ、犬のように引っ張られて行ったことを示した。

この時期にマスクをしないのは本人にとって危険と思います。でも民主国家でここまでしますか?戦前の日本でもこんなことはあり得なかった。左翼極権(全体)主義がいかに酷いか。

https://www.aboluowang.com/2020/0214/1409202.html

2/14阿波羅新聞網<撑不住!中国超3成企业因疫情而裁员缩编=支えられない!中国企業の3割以上が、肺炎のためにスタッフを解雇した>武漢肺炎の流行は蔓延している。中共政府は2/10に仕事の完全な再開を命じたが、大都市での封鎖管理のために経済活動は停滞しており、多くの産業は深刻な損失のために普通に賃金を支払うことができず、スタッフの解雇さえ余儀なくされている。最新の調査によると、中国企業の3割以上が従業員を削減すると述べており、中国では大きな失業ブームが起きるかもしれない。

実際、一部の企業は、10日に作業を再開するずっと前に、人員削減を発表した。有名な北京のナイトクラブ「K歌の王」は9日、200人の従業員全員を削減すると発表したが、従業員が同意しなければ破産すると。 北京新潮メデイアは、10日、再開当日に500人のレイオフを発表した。これは、総従業員数の10%を占め、上級管理職は20%の賃金カットである。

清華大学と北京大学の共同研究調査では、武漢肺炎の流行により、調査した995の中小企業の85%が3か月間で支えきれなくなり、その内の34%はキャッシュフローは1ケ月しか持たず、33.1%は2か月間維持できるが、3か月間支えられるのは17.91%のみで、半年以上維持できるのは9.96%のみである。

「第一財経日報」の報道によると、中国の各地の政府の人の出入り制限と区域を分けた隔離の実施は、仕事の再開の遅延の要因となり、多くの中国企業は旧正月の休暇後に生死の境目に直面している。会社の倒産またはレイオフのニュースが次々と報道されている。調査は、武漢肺炎の流行の影響を受け、30.4%の企業が従業員を減らす計画で、29.68%は従業員の給与を期限内に支払うことができなかったと。

世界は「肉を切らして骨を断つ」覚悟が必要です。今こそ中共の力を削ぐべき時です。金儲けに目が眩んでいる時ではありません。後で臍をかまないためには、今中共を徹底的にデカップリングするときです。

https://www.aboluowang.com/2020/0214/1409176.html

2/12Washington Examiner<Politico ignores attack on Florida Republicans but laments GOP ‘revenge’>

“An anti-Trump activist intentionally drove his van into a Republican voter-registration tent in Florida this weekend, nearly killing a half-dozen GOP volunteers. Yet amazingly, Politico did not touch the story of this near-fatal, politically motivated attack on Republicans until the state GOP promised to retaliate — at the polls.

“Republicans vow ‘revenge’ at ballot box after volunteers nearly hit by van,” reads the headline to a report published on Feb 10.

The report’s opening paragraphs read:

“Florida and Duval County Republican leaders on Monday vowed ‘revenge’ at the ballot box after a man drove his van into a tent of GOP volunteers who were registering voters over the weekend.
“Party officials said Gregory Timm targeted the group because of their support for President Donald Trump. During a press conference in Jacksonville, they described how Timm nearly hit people, made an obscene gesture, and started recording the incident on his phone. They used the event to make a plea for donations to the party.””

https://www.washingtonexaminer.com/opinion/politico-ignores-attack-on-florida-republicans-but-laments-gop-revenge

酒井氏の記事では、クロブシャーをだいぶ買っていますが、全国的にはどうなんでしょう?やはり、金持ちブルームバーグの方がトランプにとって脅威と思われますが。

宮家氏の言う①トランプは成功してないというのはどこを見ての話か、経済と福祉が大事と言っておきながら、50年ぶりの失業率低下(3.5%)とか勤労世帯の年収を2200$上げたことに触れていません。ダメな解説でしょう。②共和党のダークサイドとは何を指す?ネオコン?ネオコンなんて今共和党内で力を持っているとは思えません。逆にヒラリー夫妻に代表される“treason”、“Drain the swamp”の民主党の方が問題なのでは。下院の弾劾手続きもとても公平な裁判とは言えない指揮の仕方をしていました。それに触れないということは、彼は民主党にしか人脈がないのでは。所詮は外務省上がりだから。

酒井記事

バイデンの敗因はどこにあったのか?

 米大統領選の民主党候補選びで、バイデン候補は、2月3日のアイオワ(IA)州党員集会、11日のニューハンプシャー(NH)州予備選の2つで敗北した。特にニューハンプシャー州の開票の際、1つ目の地区結果が出たところで突如サウスカロライナ州に移動。開票率62%の段階で「両州は全米ではなく、50%どころか10%もない。たった2つの小さな州だ」と語ったが、厳しい印象は否めなかった。

 ウォーレン候補とともに、当初からこの両州に注目していないと言われてきたバイデン候補だが、IA州で得票率15.8%の4位だったものがNH州で8.4%の5位に低下したのが大きな痛手であったことは間違いない。

 両州の人口動態は、白人の比率がIA州で90.9%、NH州で92.6%と高く、しかも比較的高学歴という特徴がある。もちろん、これは直接の理由ではないものの、トランプ弾劾裁判のために下院民主党がHouse Judiciary Committee とIntelligence Committeeで作った2つのリポートの中で、同候補と息子のハンター氏への疑念が取り上げられたことが影響した。それぞれ300ページ、600ページと長文だが、それに両州の人々は注目したのだ。

 特に、NH州予備選の前日にトランプ大統領が同州で講演会を行った前後に、ジュリアーニ氏(元ニューヨーク市長)の「ハンター氏のウクライナ企業からの報酬は年間100万ドル以上らしい。実際の金額を知りたい」との発言が流れたことは、バイデン候補も副大統領時に「権力の乱用」があったとして有権者に問題視された。

 つまり、同候補は、ペロシ下院議長がトランプ攻撃のために行った弾劾裁判のブーメラン効果にやられたのである。

ブティジェッジ候補が思惑通り勝利したIA州の予備選結果

 さて、2月3日のアイオワ党員集会の結果を、当日最初の予測、速報、確報と並べて振り返ってみると、党員集会が終わって集計作業に入った直後、CNNが「有権者がどの候補のイデオロギーを支持しているか」というアンケート結果を報道した。結果はバイデン34%、ブティジェッジ22%、クロブシャー22%、サンダース12%、ウォーレン7%だった。

 次に「有権者自身のイデオロギーは何か」では、非常にリベラル26%、ある程度リベラル42%、モデレート30%、保守2%という結果を発表し、報道の流れも、コメンテーターの口調も「バイデン強し」を演出したい雰囲気だった。

 ところが、しばらくすると、「今回初めて党員集会に参加した人」の割合が32%、「投票時に最優先するのはトランプ大統領に勝てるかどうか」とする割合が61%(「政策で選ぶ」は37%)と、バイデン勝利の図式に疑問を投げかけるようなデータが報道され始めた。

 これは、2019年11月の州別人気投票でトップとなって以降、その1カ月ほど前からIA州での勝利に向けて全力を挙げていると言われてきたブティジェッジ候補の強さが表面化したタイミングとほぼ同じだった。

 同候補は、62%開票の速報段階で26.9%を獲得して、2位のサンダース候補(25.1%)を抑えて首位に立つ。ウォーレン候補(20.3%)、バイデン候補(15.6%)には大差をつけていた。

 ところが、同州の開票では新規に導入したアプリが正しく作動せず、開票100%の最終結果はNH州予備選前日の10日まで持ち越された。結果は、同26.2%、26.1%、18.1%、15.8%とトップ2人の差は縮まったが、下の2人の結果は振るわないままだった。

 IA州に的を絞ったブティジェッジ候補の戦略の勝利で、バイデン候補は3日から10日までの集計作業遅延問題の話題が出るたびに4位に沈んだ敗北結果を露呈することとなってしまったのである。

 なお、サンダース候補から再集計の依頼が出て、IA州は2月末に確認作業を行うという前代未聞の結果に至り、2月7日の段階で民主党全国委員会のペレス委員長も「これ以上アイオワに時間をかけられない」とさじを投げてしまった。

クロブシャー候補を浮上させた2月7日の候補者ディベート

 一方、NH州予備選結果の注目点は、ブティジェッジ候補ではなくクロブシャー候補だった。その理由は2つだ。

 1つは、2月3日のIA州党員集会の集計が遅れる中、同日深夜に発表したコメントの的確さ。繰り返すが、両州は高学歴の白人が多い州である。自分の将来を託す大統領候補の知的な一言は受ける。

 彼女は、「(今の米国の大統領は)ベルギー国王のようだ」と語った。これは、そこに同席したIA州の支持者だけでなく、ゲーム理論を応用する米国の政治を理解するNH州のインテリ層に受けた。ここでのベルギー国王とは、1865年から1909年に王位にあったレオポルド2世のことで、大国フランスを上回る高い経済成長率、国民皆教育の開始、全国民の生活と治安の保障などを実現した名君である。しかし、同時に彼はコンゴを私領地として利益を貪るための極悪非道を行った独裁者でもあった。

 つまり、彼女は、トランプ大統領は自国民に良い顔をして外国を犠牲にしたレオポルド2世と同じだがそれでいいのか、と投げかけたのである。

ニューハンプシャー州の予備選で躍進したクロブシャー氏(写真:AP/アフロ)

 その余韻は、4日にCNNが行った候補別タウンホールミーティングに続き、彼女は7日にNH州で行われた第8回民主党大統領候補ディベートで一段と注目を浴びた。

 3日のIA州党員集会で勢いづいたブティジェッジ候補は、この日のディベートでも注目され、彼の発言の切れ味はかつてのクリントン氏(1992年)、オバマ氏(2008年)を彷彿(ほうふつ)させるとトランプ、ウォーレン両陣営のストラテジストが漏らしたほどだ。それを聞いた筆者の反応は、外見も含めてJ.F.ケネディの雰囲気ではないかと感じたのだが。

 彼は、バイデン候補が立法に関与した対女性暴力対策法を取り上げ、それは正しかったとしつつも、現実に即するものにすべきだと主張し、次の大統領は過去を振り返るのではなく将来に向けてページをめくる時だ、と総括した。これはとても聴衆に受けた。

 しかし、そこに切り込んだのがクロブシャー候補である。

 彼女は「自分も59歳とまだ若く、今回初めて世間の注目を集める新参者だ。一方、従来通りにワシントンを批判するのは簡単だが、そのワシントンで苦労している人々もいることを知るべきだ」とした。

 次に、ブティジェッジ候補が「疲れただけだ」と批判したトランプ弾劾裁判に対して、3人(サンダース、ウォーレン、クロブシャー)の上院議員は、ブティジェッジ候補がIA州で選挙活動をしている間、陪審員(弾劾裁判では、上院議員が陪審員役を務める)として同裁判に集中し、慎重かつ勇気ある行動をしてきた、と発言した。だからこそ、現在の米国の問題が分かるのだと。

 これも、19年7月のトランプ大統領の電話記録リークから始まって約半年、弾劾手続きの開始からでも4カ月を使ったことに対して疲れと不満を持っていた聴衆、特にNH州のインテリ層に受けた。

 超リベラルのサンダース、ウォーレン両候補と中道のバイデン候補という図式に染まっていた民主党は、このディベートで、「分断ではなく統合が重要で、過去の批判ではなく将来を見据えて、ワシントンを批判するのではなくどう改革するかを考えるべきだ」とする新たな2人の候補を浮上させたのである。

両州のいずれかの勝利者が高確率で大統領候補に

 2月11日のNH州予備選の結果は、サンダース25.7%、ブティジェッジ24.4%、クロブシャー19.8%、ウォーレン9.2%だった。クロブシャー候補はIA州の12.3%から大躍進だ。

 しかし、より重要なことは、若者(NH州の学生の8割以上は学生ローンを組んでいるとの調査結果がある)、リベラルに人気の高いサンダース候補の勝利は予想通りとしても、イデオロギーがモデレートな人達の間ではブティジェッジ29%、クロブシャー22%とバイデン10%の2倍以上となったことだ。投票直前に候補者を決めた人の支持率ではブティジェッジとクロブシャーの両候補は24%と同じ、シニア層ではクロブシャー23%、ブティジェッジ20%となったことである。

 しかも、同州を選挙区別にみると、ほぼ上位3人だけで地区別トップを獲得した点も、今後の選挙戦に大きく影響するだろう。この地区別結果は、人数の小さいところから発表されたが、これが5地区まで発表されたところで、バイデン候補はNH州を捨てサウスカロライナ(SC)州に旅立ってしまった(関係者が弁明を繰り返したがNH州を捨てたと思われたのは事実だ)。

 しかも、全体で1990人の投票人を獲得しなければならない民主党予備選の最初の2州の合計では、ブティジェッジ23、サンダース21、ウォーレン8、クロブシャー7、バイデン6と、ブティジェッジ候補がトップに立ち、IA州では獲得ゼロだったクロブシャ―候補が4位に踊り出た。

 カーター大統領が勝利した1976年の大統領選挙以降、92年のクリントン大統領を除き、この両州のどちらかで勝った候補が民主党では大統領候補の指名を受けると言われている。クリントン大統領もNH州ではスピーチの切れ味が注目されて2位につけ、IA州で2%しか取れなかった低迷ぶりを挽回してThe Comeback Kidと呼ばれ、その後の選挙戦に勢いをつけた。

 その意味では、既に米国のメジャーな新聞各紙が取り沙汰し始めたバイデン候補の敗北宣言が近づいてくるのか、それともこれから復活するのかが注目されるところだ。なお、NH州予備選が終わったところで、これまでのディベートに出てきていたヤング候補、ベネット候補(直近は出演基準を満たさず出場できず)の両氏が選挙戦から離脱した。

ネバダ州とサウスカロライナ州の行方

 この後は、2月19日に10回目のディベート(場所はネバダ州)、22日にネバダ(NV)州党員集会、25日に11回目のディベート(場所はSC州)、29日にSC州予備選挙、そして予備選投票人全体の約40%を決める3月3日のスーパーチューズデーと続く。

 NV、SC両州の人口動態は、NV州では白人が58.1%で、ヒスパニック19.9%、黒人9.7%と続く。SC州では白人が67.7%、黒人が26.5%、ヒスパニックが3%で、バイデン候補が期待する黒人票が多いという特徴がある。また、NH州ほど高学歴でもないため、同州での結果は参考にならないとして、各陣営は初心に帰った気持ちで選挙戦を本格化するとしている。

 NV、SC両州の人気投票は1月上旬までのものしかないものの、バイデン氏がそれぞれ21%、31%とトップで、特にSCでは断トツだ。2位はNVではサンダース候補の17.5%、SCではステイヤー候補の18.5%となっている。

 しかし、ブティジェッジ、クロブシャー両候補の勢いは当面続きそうであるうえ、19日のディベートいかんでは再び旋風を巻き起こす可能性もないとは言えない。

スーパーチューズデーを目指すブルームバーグ

 NH州予備選の投票日、ブティジェッジ、クロブシャ―両候補への注目と同時に、もう1人注目された人がいた。ブルームバーグ前ニューヨーク市長である。

 1月末までの選挙資金投入額が3億5000万ドルと、2位のステイヤー候補(1億7000万ドル)を2倍近く上回り、3位のサンダース候補(3600万ドル)以下とは一桁違う。

 銃規制の強化など、米国民が平均的に求めることを選挙公約とし、銃規制問題ではオバマ大統領とも連携したことを強調(同大統領の支持があるのは自分だと示唆するTVコマーシャルを流している)しており、他の民主党候補には脅威だ。

 当然、トランプ大統領も、彼とゴルフをした時の写真とともにツイッターで「ミニ・マイク(ブルームバーグ候補のファーストネーム)」と呼ぶなど早速ジャブを打った。また、ニューヨーク市長時代に前任のジュリアーニ時代がつくり上げた「安全なニューヨーク市」を一段と進化させたと称賛されてきたStop and Frisk(疑わしき人々に声をかけて調査する)政策の犯罪取り締まりが、実は防止効果以上に、(特に黒人などが)無実にもかからず迷惑をかけ、また微罪で逮捕するなど問題があったと批判した。

 2月11日に、ブルームバーグ候補はこれに謝罪したが、いずれにせよ、彼が参戦すると言われているスーパーチューズデー(3月3日)は注目である。

 このように、民主党の予備選は、新風を巻き起こしつつあるブティジェッジ、クロブシャー両候補が出てきたことで、本命だったバイデン候補、超リベラルの2人(サンダース、ウォーレン両候補)にブルームバーグ候補も加わって、もうしばらくは一段と混戦となるのは間違いない。同時に、候補者が人口動態(つまり人種)で勝ち負けを予想するという「米国の分断」を象徴するような動きは今後も続くだろう。

 SC州に逃避して負け惜しみを言ったバイデン候補に対して、真摯に結果を受け止めてサンダース、ブティジェッジ両候補をたたえたウォーレン候補、勝利宣言で「分断ではなく全候補の協力が大事だ」と言ったサンダース候補、「これからは国民統合の時代だ」と主張したブティジェッジ候補──。彼らの発言で、民主党内の分断を食い止めることはできるのだろうか。

宮家記事

アイオワ州で4位、ニューハンプシャーで5位に甘んじたバイデン前副大統領。頼みの黒人票が多いサウスカロライナ州で再起を図る(写真:ロイター/アフロ)

 2月3日に行われた米民主党のアイオワ州党員集会では、インディアナ州サウスベンドで市長を務めたピート・ブティジェッジが、左派の上院議員バーニー・サンダースに勝利した。得票率は26.2%対26.1%。11日のニューハンプシャー州予備選挙では逆に、サンダースがブティジェッジを1.3%の僅差で破った。

 新星の登場と左バネの強さに注目が集まるが、米大統領選はまだ序盤戦、現時点で各州の勝者・次点の得票率や獲得代議員数の詳細を論じてみてもほとんど意味はない。これが過去44年間、米大統領選を見てきた筆者の経験則だ。

 しかし、それでは身もふたもないので、今回は2020年2月13日現在の筆者の見立てを書くことにする。大統領選挙の予測について、実は今から12年前の08年2月13日、ある有力政治家に請われて、数ページの個人的メモを作成した。当時も、具体的な候補者名にはあまり言及せず、11月の本選投票日までの9カ月間に注目すベき「経験則」を7つ箇条書きにした。まずはそのメモの一部をご紹介する。12年もたったから、もう時効としてよいだろう。

【1】ワシントン政治産業の空騒ぎ
 大統領選挙の関係者(メディア>民主党>共和党>一般国民)の間には温度差がある。メディアがいかに騒ごうと、多くの無党派層が投票の意思を決定するのは大統領選挙直前の9月以降となる。

【2】失敗した大統領の後は反対党に投票する
 典型例は1976年のカーター(前任のニクソンがウォーターゲート事件で退陣した後)、80年のレーガン、92年のクリントン。

【3】分裂した政党は敗れる
 典型例は76年、92年の共和党。80年、88年の民主党(例外は2000年の共和党)。

【4】最重要関心事は常に経済、福祉
 外交は票にならない。ただし、イラクでの状況悪化、米国内大規模テロ、候補者暗殺があれば状況は急変。

【5】世代交代が進む民主党
 民主党支持層にはクリントン・マシン(編集部注:ビル・クリントン氏が打ち立て、ヒラリーが引き継いだ集金力)への反発がある一方、オバマ陣営の若さ、理想主義的外交政策に関心が高い。

【6】保守合同が崩れる共和党
 ネオコンの退潮。エヴァンジェリカル(宗教保守)票はどこへ行くのか。

【7】モメンタムのスピードが速まる
ジュリアーニの失敗。インターネットの利用と素人の参入。

経験則から見た2020年選挙の現状

 以上は当時、筆者が作成したメモをほぼ原文のまま掲載した。読者の皆さんはどう思われるだろうか。2008年、米国の有権者はイラク戦争で泥沼にはまった共和党政権を見限り、民主党アフリカ系でワシントン経験のほとんどない新星オバマの理想主義に米国の将来を託した。求心力を失った共和党は分裂し、世代交代が進んだ民主党は一致団結した。16年のトランプ勝利はその反作用だと考えればよい。

それでは過去44年間で培った筆者の経験則は今も有効だろうか。ここではあえて、12年前と同じ7カ条に基づき筆者の見立てを書こう。

【1】ワシントン政治産業の空騒ぎ
 今アイオワとニューハンプシャーの結果で騒いでいるのはメディアと政治産業だけだ。規模が小さくマイノリティーも少ない両州は、申し訳ないが、決して「重要」とは言えない。

 両州が緒戦となるのには米国の内政上の事情がある。候補者選びが全米をまたにかけたビッグイベントである以上、これら小州にも出番を与える必要があるのだろう。もっとも、今回の修正トラブルという不手際でアイオワが「全米最初の党員集会」の名誉を失う可能性はあるが……。

 今、重要なのは勝者・次点が誰かではなく、敗者、特に誰が脱落するかだ。各党の大統領候補者選びは党員集会、予備選挙ごとに椅子の数が減っていく「大人の椅子取りゲーム」。その意味で気になるのはジョー・バイデン前副大統領だ。少数派、特にアフリカ系とラティーノ系の支持が強いバイデンは22日に予定されるネバダ州、29日のサウスカロライナ州に起死回生をかけるだろう。ここで勝てなければ、笑うのはバイデンを最も恐れるトランプとなる。

【2】失敗した大統領の後は反対党に投票する
 トランプが成功したとは思えないので、本来であれば民主党に票が集まる、はずだ。しかし、トランプ候補は4年前の選挙でも、総得票数でヒラリー候補に280万票も負けている。トランプ氏の「失敗」を失敗と思わない岩盤の支持層は今も健在どころか、「隠れトランプ支持者」が顕在化する可能性すらある。2020年にこの経験則は通用しないかもしれない。

【3】分裂した政党は敗れる
 米国には50の民主党と50の共和党がある。各州にそれぞれ独立した民主党と共和党があり、これら100の政党が4年に1度「マジンガーZ」のように「合体ロボ合戦」をやるのが米国の大統領選挙だ。2020年、良くも悪くも、共和党ロボは既に合体している。問題は民主党ロボの合体状況だ。これまで合体に失敗した政党は例外なく敗れている。今年、問われるのは誰が民主党を団結させることができるかだろう。

【4】最重要関心事は常に経済、福祉
 伝統的に外交は票にならない。今年、その例外は中国とイランかもしれない。トランプは、両国をたたくことで彼の岩盤支持層にアピールできるからだ。逆に、北朝鮮は日本人が期待するほど大統領選挙で大きな争点にはならない。古今東西、有権者の関心事は自分の、家族の、友人の、そしてコミュニティーの生活であり、選挙の主要争点はいつも経済的収入、医療、年金、犯罪などである。

【5】世代交代が進む民主党
 20年も民主党では世代交代がカギになるのではないか。問題は、民主党に40~50代の中道系白人男性政治家で、大統領選に出馬可能な有力政治家が見当たらないことだ。筆者が尊敬するある友人は「彼らのほとんどは4年前、ヒラリーに潰されたのではないか」と言っていた。当たらずといえども遠からずだろう。今や、世代交代が最も必要なのは民主党の側である。

【6】保守合同が崩れる共和党
 12年前に筆者が書いた「ネオコンの退潮。エヴァンジェリカル(宗教保守)票はどこへ行くのか」の答えがトランプ現象だ。されば、仮にトランプがいなくなっても、共和党内の不健全で醜い「ダークサイド」が残る可能性は高い。これが共和党だけでなく、米国政治全体の劣化を助長することだけは間違いない。レーガン時代は「反ソ連」で保守合同が実現した。今やその役割を果たせるのは「反中国」だけであるが……。

【7】モメンタムのスピードが速まる
 大統領が大統領令をツイートする時代が来た。政治のスピードは12年前よりさらに加速した。トランプが得意とするSNS(交流サイト)戦術を打ち破る新しいデジタル戦略を民主党は生み出せるだろうか。アイオワ州党員集会の集計作業の実態を知れば知るほど、民主党には難しそうだ、と言わざるを得ない。我々も、米大統領選の観客として、このスピードに付いていく必要がある。年は取りたくないものだ。

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