『「THAAD封鎖」でいよいよ米国を怒らせた韓国 文在寅の「反米」にトランプは即刻、反応した』、『「米韓合同演習」を北に差し出した韓国 文在寅は中朝と組んでトランプに対抗』(6/22・23日経ビジネスオンライン 鈴置高史)について

6/23日経米中安保対話すれ違い 北朝鮮など懸案進展せず 

【ワシントン=永井央紀、永沢毅】米中両政府は21日、初の外交・安全保障対話を開いた。双方が主張を譲らず、すれ違いで終わった。北朝鮮の核・ミサイル問題などの懸案で進展を示せず、共同文書もまとめられなかった。「結果重視」を掲げるトランプ米政権は7月、ドイツでの20カ国・地域(G20)首脳会議にあわせた米中首脳会談で中国の協力を引き出したいが、溝の深さが改めて鮮明になっている。

 「協力関係を深め、双方の立場の違いを埋めるためには不十分だった」。ティラーソン国務長官は21日の記者会見で今回の対話について率直に認めた。従来の米中戦略・経済対話では通例だった両政府の閣僚による共同記者会見は開かず、共同文書の発表も見送った。その事実が両国の隔たりを如実に示している。

 トランプ大統領は対話前日の20日、北朝鮮問題への中国の取り組みについて「うまくいっていない」と不満を表明した。「中国は経済的、外交的圧力をさらに強める責任がある」。ティラーソン氏も会見でこう強調し、中国に1段階上の対応を迫った。

 中国の反応は冷ややかだった。中国外務省の報道官は22日の記者会見で「解決の鍵は中国にはない」と指摘。米国側が合意したと発表した「国連決議で制裁対象になっている北朝鮮企業との取引中止」も、中国側の発表には具体的な言及がない。米中が明確に一致したのは朝鮮半島の非核化や国連決議の履行などだけで、従来と変わらない。南シナ海問題の議論も平行線のままだった。

 ただ、米中両国ともに協調関係には配慮を見せた。トランプ氏は北朝鮮問題の解決には中国の協力が必要と考えている。今秋に5年に一度の共産党大会を控える中国も、米国との摩擦は顕在化させたくない。双方はトランプ氏による年後半の公式訪中を再確認し、軍同士の信頼醸成やテロ対策での協力などに触れることで関係を取り繕った。

 今後は7月の首脳会談が焦点になる。米中は4月の首脳会談で、貿易不均衡を是正するために「100日計画」をつくることで合意した。米政府高官は経済と北朝鮮の問題には一定の関係があるとする。中国の協力によって北朝鮮問題で満足できる進展があれば、米国は経済問題で中国に厳しい対応を求めない。100日目にあたる7月中旬までに成果を出すよう中国に迫っている。

 米国は北朝鮮と取引する中国企業への独自制裁をちらつかせて中国の協力を引き出す構え。中国は、国連制裁の厳格な履行や北朝鮮労働者の雇用制限など事実上の独自制裁で一定の協力を示し、米国をかわしたい。

 米国には「北朝鮮問題で成果が出なければ、今の米中協調は壊れる」との見方も根強い。習近平国家主席は北朝鮮問題の溝を米中関係全体に波及させたくない。米中はどこまで歩み寄るか難しいかじ取りを迫られる。>(以上)

トランプも中国に騙されているのにいい加減気が付かないと。中韓北の特亜3国は「騙す方が賢い」という基本的価値観で動いています。北の核開発に米国は騙され続けてきました。その動きをサポートしてきたのは紛れもなく中国です。アメリカは中国にも騙され続けてきたという事です。暴れん坊の役を北にやらせ、中国は宥め役or抑え役を演じてきました。文在寅が考えている「いい警官・悪い警官」の構図そのものです。この地域に住む者は発想が似るという事でしょう。

7月中旬には100日目を迎えますから、それまでに中国が北を押さえつけない限り、米国は中国にも経済的な締め付けをするよう、ライトハイザーのUSTRは待っているのでは。しかし、北は何もしなくても開発は続けられます。時間の利益を与えないように、中国にも厳しい締め付けをした方が良いでしょう。北はワームビアさんの件もあり、テロリスト支援国家に再指定されるでしょうから、金融制裁、北と取引のある中国企業の決済は$ではできなくするようにすれば良いと思います。そうすれば人民元以外の通貨での取引もできなくなります。

http://www.huffingtonpost.jp/2017/06/21/north-korea_n_17250144.html

韓国は大統領が日本から金を引き出すのが当然というか、能力のある大統領の評価を受けることができると呉善花氏は言っていました。日本が今まで甘やかしてきたからつけ上がって世界にないことないこと触れ回ってきたのです。米国にも所謂慰安婦像なるものを建ててきました。やっと米国も韓国の言う事が嘘と分かってくるのでは。日本に少しでも関心がある米国人なら、2014年の朝日新聞の謝罪で韓国の言ってきたことは嘘と分かるはずです。朝日は日本でだけしか発信していませんが。米国は気づいていても、日本に力を持たせないorFDRや原爆投下の正当性の否定や朝鮮戦争時の基地村の存在に繋がることを恐れて像の建立を放置してきたきらいがあります。まあ、中国と韓国はハニトラと賄賂の得意な国ですから引っかかっているのが米国内に沢山いるのかも知れませんが。

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THAAD配備に反対する住民が配備エリア入口付近で座り込み。後方には警察官が居並ぶ(写真:ロイター/アフロ )

前回から読む)

 文在寅(ムン・ジェイン)政権が米国を裏切る。それも北朝鮮の核問題という、トランプ(Donald Trump)政権が今、もっとも神経を尖らす問題で。

「韓国」でトランプが緊急会議

鈴置:米国が韓国に対し怒り出しました。6月8日の会見で、国務省のナウアート(Heather Nauert)報道官が「(同日)トランプ大統領とティラーソン(Rex Tillerson)国務長官、マチス(James Mattis)国防長官が大統領執務室で朝鮮半島と湾岸で進行中の事態に関し話し合った」と語りました(「Department Press Briefing-June 8, 2017」)。

 「湾岸」とは、サウジアラビアなどによるカタール断交を指します。米国も巻き込む中東の大混乱が懸念される事件です。トランプ大統領は「朝鮮半島」を「中東」と並ぶ、あるいはそれ以上の緊急事態として扱ったのです。

THAAD配備には2年かかる

—「朝鮮半島」の危機は続いています。なぜこの日、大統領が会議を招集したのですか?

鈴置:6月8日朝(米国東部時間7日夕)、北朝鮮が地対艦ミサイル数発を発射しました。というのに、韓国ではその前日の6月7日に青瓦台(大統領府)関係者が、環境影響評価を理由にTHAAD(地上配備型ミサイル迎撃システム)配備には2年間ほどかかるとの見通しを明かしました。

 中央日報の「青瓦台がTHAADは至急ではないと言った翌日、北が巡航ミサイル発射」(6月9日、日本語版)によると、具体的な発言は以下です。

北朝鮮の核実験とミサイル発射はかなり以前から行われてきた。環境影響評価を省略するほど緊急を要する事案ではない。

 米朝の軍事的対立が深まっている時に、在韓米軍と韓国を守るためのTHAAD配備を遅らせようと韓国が画策していることが明らかになったのです。もちろん米国でも重大ニュースとして速報されました。

汚い言葉で罵る

 6月8日の会見で「配備を遅らす韓国に対し米国は失望したか?」との質問に対し、ナウアート報道官は「そこまではっきり言うつもりはないが、米国にとって極めて重要な問題だ。この配備は同盟国同士が決めたのだ」と答えました。「それでも同盟国か」と韓国をなじったのです。

 原文を先の「Department Press Briefing-June 8, 2017」から引用します。

I don’t want to characterize it as that, but that’s something that is incredibly important to the U.S. Government. This is a conversation that’s taken place at the highest level.

we would continue to say that THAAD was an alliance decision at the time, and we continue to work closely with the ROK throughout the process.

 中央日報の金玄基(キム・ヒョンギ)ワシントン総局長は「青瓦台の『THAAD搬入は知らなかった』との主張を嘘と疑うホワイトハウス」(6月19日、韓国語版)で「トランプの激怒」を報じています。

8日昼、ホワイトハウスの執務室で「THAAD配置遅延」を報告するティラーソン国務長官、マチス国防長官、マクマスター(Herbert MacMaster)大統領補佐官(国家安全保障担当)にトランプ大統領は火のように怒った。消息筋によると「汚い言葉も多く使った」という。

WSJ「韓国の大失態」

—米メディアはどう反応しましたか?

鈴置:韓国の裏切りを厳しく批判しました。WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)は6月12日「South Korea’s Defense Blunder」――「韓国の防衛上の大失態」という見出しの社説を掲げました。

 ワキ見出しは「THAADに関し新大統領は中国の圧力に屈した」(The new President bows to Chinese pressure o missile defense )です。以下が前文とその邦訳です。

Moon Jae-in’s decision to suspend deployment of a missile-defense system last week signals how the new South Korean President will approach the threat from North Korea as well as relations with the U.S., China and Japan. Like his center-left predecessors, Mr. Moon wants to play a balancing role between the regional powers and convince North Korea to negotiate an entente. This naivete puts South Korea’s security in peril.

文在寅大統領のTHAAD配備延期は韓国の新政権が北朝鮮の脅威にどう対するのか、米中日との関係をどうするのかを示した。

文氏は彼の中道左派の前任者と同様、地域の大国の間を「バランス外交」で立ち回り、北朝鮮とは協商を図るつもりだ。この鈍感さは韓国を安全保障上の危機に追いやるだろう。

—中道左派の前任者」とは?

鈴置:盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領のことです。盧武鉉政権(2003―2008年)は北朝鮮との融和を第1に掲げる民族主義的な路線を打ち出し、ことあるごとに米国と衝突しました。

 当時、駐米大使だった国際政治学者の韓昇洲(ハン・スンジュ)氏によると、民族主義的で反米的な大統領の参謀たちを米政界は「韓国のタリバン」と呼んでいたそうです(「文在寅は『五面楚歌』から脱出できるか」参照)。

 文在寅氏は盧武鉉氏の親友で、政治的な盟友でもありました。盧武鉉政権では秘書室長など要職を務めましたから、米国は新政権を「盧武鉉 シーズン2」と警戒していました。そこに「配備延期」。米国とすれば「やはりそう来たか」といった感じでしょう。

  • 米国が神経を尖らす文在寅の「離米従中親北」公約 ・早期の南北首脳会談 ・在韓米軍へのTHAAD配備の見直し ・開城工業団地と金剛山観光の再開 ・戦時作戦統制権の返還 ・日韓慰安婦合意の破棄または再交渉

在韓米軍撤収の名分に

—「韓国が追いやられる安保上の危機」とは?

鈴置:「在韓米軍撤収」を指すのは間違いありません。WSJの社説は結論部分でもう一度、韓国に警告を発しました。

Mr. Moon still has time to fix his mistake before he meets President Trump in Washington later this month. Environmental assessments can and should be waived when national security is at stake. If Thaad doesn’t satisfy that requirement, it’s hard to imagine what does.

 6月末の米韓首脳会談までに文在寅は誤りを正せ。環境影響評価などというものは国の安全がかかる時には辞めることもできるし、そうすべきだ。もし、THAADが機能しないのなら、どんな結果となるか、想像するのは難しくない――です。

—確かに、米軍兵士を後ろから撃つような国に軍は置いておけませんね。

鈴置:米国の朝鮮半島専門家であるスナイダー(Scott Snyder)外交問題評議会(CFR)シニア・フェローは「The Holt of South Korea’s THAAD Deployment」で明確に在韓米軍撤収に言及しました。

もし、韓国政府が米軍を守る手段を妨害するとの認識が広がれば、米軍が韓国に関与することへの米国の世論の支持は急速に消え失せる。それはトランプ大統領に対し在韓米軍撤収の名分を与えることになりかねない。

左派が米軍基地を「封鎖」

鈴置:韓国の保守系メディアは「トランプの怒り」に震え上がり、「米韓同盟を壊すつもりか」と文在寅政権を非難しました。朝鮮日報はさらなる「不都合な真実」も暴露しました。

 6月8日付の「最近、北朝鮮が弾道ミサイルを撃った時、THAADは油がなくて動かせなかった」(韓国語版)で、THAADが配備されている慶尚北道・星州(ソンジュ)の米軍基地を左派の運動団体が封鎖し、米軍車両による石油の搬入を阻止していると報じたのです。

 星州には強力なレーダーと射撃管制装置、それに2本の発射筒が配備済みです。本来、THAADは6本の発射筒を備えるものですが、残り4本は韓国には持ち込まれたものの星州の基地には運び込まれていません。

 左派が物理的に阻止しているうえ、先ほど説明したように韓国政府が環境影響評価を理由に配備拒否の構えを見せているからです。

 ただ、星州基地のTHAADは発射筒が2本という不完全な形ながら機能していると見られていましたが、そうではなかったというのです。

 THAADの強力なレーダーには大量の電力が要ります。米軍は韓国の民間会社から購入する計画ですが、左派の反対運動で高圧線工事ができず、非常用の自家発電装置でまかなっていた。

 しかし基地が「封鎖」されたため、陸路ではレーダーを動かす石油を運び込めず、ヘリコプターで空輸していた。

 でも、運べる量は知れていてフル稼働できない。何と、北が弾道ミサイルを撃った5月21日も動かせなかった――と朝鮮日報は報じたのです。これではTHAAD配備の意味がありません。

 米国の大物議員が「韓国がTHAAD配備を望まないなら、他の場所で使う」と文在寅大統領に抗議したのも当然です(「『第2次朝鮮戦争』を前に日米を裏切る韓国」参照)。

怒りに油注ぐ文在寅政権

—韓国の警察は左派の石油搬入阻止を許しているのですか?

鈴置:その通りです。朝鮮日報の社説「星州と議政府で繰り広げられるとんでもない光景」(6月13日、韓国語版)は「韓国を守るTHAADへの妄動を政府と警察が放置する」と嘆きました。

—それでは米国の大統領や議員が怒ります。

鈴置:というのに、文在寅大統領は米国の怒りに油を注ぎました。

(次回に続く)=6月23日掲載予定

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韓国政府筋が「米韓合同軍事演習の縮小」に言及する中、米国は戦略爆撃機「B-1B」を韓国に派遣。文在寅政権への怒りを示したと韓国では見られている(写真:YONHAP NEWS/アフロ 2016年9月撮影)

前回から読む)

 米韓の対立は深まるばかりだ。同盟がいつまで持つのか分からない。

「挑発中断なら無条件で対話」

前回は文在寅(ムン・ジェイン)大統領がトランプ(Donald Trump)大統領の怒りに油を注いだという話で終わりました。

鈴置:在韓米軍に配備されたTHAAD(地上配備型ミサイル迎撃システム)を韓国は「封鎖」しています。当然、米国は怒り心頭に発しました。

 それに加え、文在寅大統領は6月15日にソウル市内で開かれた南北首脳会談の開催17周年を記念する式典で演説し、北朝鮮に次のように呼び掛けたのです。

北が核とミサイルの追加挑発を中断すれば、北と条件なく対話に臨めることを明確にする。

膝を突き合わせ、どのように従来の南北合意を履行するか協議する意思がある。核の完全な放棄や朝鮮半島平和体制の構築、朝米関係の正常化まで包括的に議論できる。

条件切り下げて抜け駆け

 北朝鮮のミサイル実験の直後に、文在寅大統領が「核・ミサイル実験を中断すれば対話できる」との趣旨で発言したことはありました(「北朝鮮のミサイル発射が増幅する米韓の不協和音」参照)。しかし、北朝鮮に「実験を停止すれば対話する」と正式に呼び掛けたのは初めてです。

 米国は驚きました。トランプ政権は北朝鮮との対話を始める条件として「核・ミサイル開発の完全で検証可能な停止」つまり「廃棄」を要求してきました。

 文在寅大統領が言うように「核・ミサイル実験の中断」だけ、つまり「凍結」を交換条件にすると、北朝鮮に核開発の時間を稼がれてしまう可能性が大きいからです。実験を「凍結」しても、開発は続けられますからね。

 そもそも「凍結」を交渉条件に掲げていたのは北朝鮮。これに中国も賛同し、米国にも乗るよう勧めています(「韓国を無視して『パンドラの箱』を開ける米国」参照)。今回、それに韓国が加わったのです。

 交渉事ですから今後、米朝が「凍結」で手を打つ可能性が全くないわけではありません。しかし今現在は、米国は「廃棄」を条件に掲げ、全力で北朝鮮に圧力をかけているのです。その米国を韓国は裏切ったのです。抜け駆けです。

「火に油」第2弾

—韓国が中朝側に回り、米国を孤立させる……。

鈴置:その通りです。米政府が運営するVOA(Voice of America)はさっそく翌6月16日「米国務省は『北が非核化してこそ対話』」(韓国語版)という記事で韓国にクギを刺しました。

 ナウアート(Heather Nauert)報道官の6月15日の定例ブリーフでの発言を引用しています。以下が前文です。

米国務省は北朝鮮の非核化を対話の前提条件とすると重ねて提示した。「挑発を中断すれば、条件なしに対話する」との文在寅大統領との発言とは異なると示唆した。

—韓国政府は軌道修正したのですか?

鈴置:いいえ。それどころか文在寅政権は、米国の怒りにもう一段の油を注ぐ挙に出ました。大統領の統一外交安保特別補佐官である文正仁(ムン・ジョンイン)延世大学特認名誉教授が米国を訪れ、具体的な「凍結案」を主張したのです。それも、現在北朝鮮にかけている軍事的圧力を弱める融和策です。

 6月16日にワシントンDCで開かれたセミナーと、それに続く韓国メディアの特派員懇談会で語りました。朝鮮日報の「文正仁『THAADのために韓米同盟が壊れるなら、それが同盟か』」(6月17日、韓国語版)から、同氏の発言を引用します。

北朝鮮が核・ミサイル活動を中断すれば、米国との協議を通じて韓米合同軍事演習を縮小できる。朝鮮半島に展開する米国の戦略的資産の配置も縮小できる。

「米韓の差」が鮮明に

—「戦略的資産」とは?

鈴置:米国の空母や戦略爆撃機を指します。それらを「縮小」すれば、北朝鮮は米国から受ける軍事的な圧迫を大いに減らすことができます。

 その戦略爆撃機「B-1B」2機が6月20日、グアムから韓国に飛来し、韓国空軍機と合同訓練を実施しました。異例だったのは米軍が飛来と同時に、その事実を公開したことです。20日の訓練の写真付きです。

 朝鮮日報は「文正仁発言受けたのか……在韓米軍司令官が『B-1Bの出撃を積極的に知らしめよ』」(6月21日、韓国語版)で「文正仁発言に対する米軍の怒り」を次のように報じました。

軍事筋によると、ブルックス(Vincent Brooks)在韓米軍司令官自身が「B-1B」展開の事実を積極的に広報せよと指示した。

「文正仁発言とは関係なく戦略的資産を投入する」との米国の意思を明確にしたもの、と関係者は見ている。

—文正仁氏は米韓合同演習の規模縮小まで言い出しましたね。

鈴置:もちろん、これも軍事的な圧力を弱める融和策です。北朝鮮が一貫して「演習中止」を求めているので、これを「ニンジン」にすれば対話に応じると文正仁氏は言いたいのでしょう。

 しかし文正仁発言により、軍事的な威嚇で北朝鮮を対話に引き出そうとする米国との姿勢の差がますます鮮明となりました。この米韓ギャップを突くことで、中国や北朝鮮が時間稼ぎに出る可能性もあります。米国や日本が実施してきた核放棄圧力を台無しにしかねません。

VOA、「タリバン」に反撃

—米国政府は文正仁氏の「合同演習縮小」発言にどう対応しましたか?

鈴置:これにもVOAが直ちに反撃しました。「国務省『文正仁の軍事訓練縮小発言は韓国政府の政策ではないだろう』」(6月18日、韓国語版)です。

 見出しは国務省のエドワーズ(Alicia Edwards)東アジア担当報道官の発言からとっています。VOAの質問に答えたものです。次がポイントです。

We understand these views are the personal views of Mr. Moon and may not reflect official ROK Government policy. I refer you to the ROK Government.

 要は、文正仁発言はあくまで個人的な意見に過ぎず、韓国政府とは関係ないんだろ。もしそうでなかったら、大変なことになるぞ。韓国政府は今すぐに訂正したらどうだ――との威嚇です。

 なお、文正仁氏は統一・外交問題の専門家で金大中(キム・デジュン)政権(1998―2003年)以降の左派政権で参謀役を務めました。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権(2003-2008年)では政府の委員会のトップも務めました。

 民族主義的で「反米親北」路線に突っ走った盧武鉉大統領。その参謀陣の一部を米政界は「韓国のタリバン」と呼びました(「文在寅は『五面楚歌』から脱出できるか」参照)。文正仁氏は米国から「タリバンの中心人物」と見られていると思います。

大統領も「文正仁発言」を支持

—文正仁発言は韓国政府と無関係なのですか?

鈴置:そんなことはあり得ません。大統領の特別補佐官なのです。経験豊富な国際政治学者ですから失言ではなく、反響を十二分に計算したうえでの発言でしょう。

 文在寅大統領は6月20日、米CBSのインタビューを受けました。この問題に関しては「彼(文正仁氏)がワシントンで語ったことは個人的な意見だ」と述べました。「Top 5 takeaway from S. Korean President’s Interview with Norah O’Donnell」(6月20日、英語)です。

what he mentioned in Washington was his personal view.

 しかし「北朝鮮をいかに対話に引き出すかには様々の意見がある」「トランプ大統領との会談でそれを話し合い、合意に至りたい」とも語りました。文正仁発言を事実上、支持したのです。

I believe that there can be many opinions on how we will draw North Korea out to dialogue.

I believe that when it comes to the detailed strategy and tactics on how we will achieve this, this will be ? have to be discussed and agreed upon during the summit meeting with President Trump.

いい警官、悪い警官

—なぜ大統領の周辺は6月末の首脳会談を前にして、米国との摩擦を引き起こす発言をするのでしょうか。

鈴置:韓国の発言力を増す狙いと思います。朝鮮日報の「青瓦台、文正仁特別補佐官に『韓米関係の助けにならない発言』」(6月20日、韓国語版)にも以下のくだりがあります。

文正仁氏は訪米前「米国に言うべきことは私が前に出て言う。ある種の『いい警官、悪い警官』の役割だ」と漏らしていたと消息通は語る。

 自分が過激な発言をして「悪い警官」を演じておけば、大統領が少々厳しいことを言っても、トランプの目には比較的「いい警官」に映るはずだ。そうすれば、THAADや対北政策を巡り激突が予想される米韓首脳会談を乗りれる――と計算したのでしょう。

小細工外交で存在を主張

—うまくいきますか?

鈴置:トランプ大統領が文在寅大統領を、いいにしろ悪いにしろ「警官」と見る保証はありません。むしろ「凶悪犯」の共犯者扱いする可能性の方が大きいと思います。日米からは、核武装に突き進む北朝鮮の「時間稼ぎ」を手伝っているように見えますから。

—韓国は小細工が好きですね。

鈴置:そうでもするしかないのでしょう。この政権は「米国の言いなり」と見られるのだけは避けたいのだと思います。

 文在寅大統領はワシントン・ポストのインタビューに答え「北朝鮮の核問題を解決するにあたって、韓国はより重要でより主体的な役割を果たさねばならない」と語っています。

 「South Korea’s new President: Trump and I have a common goal」(6月20日、英語)の冒頭に出てきます。以下です。

there is one thing I would like to stress: Korea should now play a larger and more leading role in this process. During the periods when South Korea played a more active role, the inter-Korean relationship was more peaceful and there was less tension between the United States and North Korea.

「韓国無視」と自嘲

 しかし、文在寅大統領の願いとは反対に韓国は、北朝鮮の核を巡る駆け引きで完全にカヤの外に置かれています。

 米国は、北朝鮮に経済的な圧力をかけてくれそうな中国とは頻繁に話し合う。軍事基地を提供し、後方支援してくれる日本の顔は立てる。しかし韓国にはろくに相談しません。

朝鮮半島を巡る米・中のカード

米国 中国
THAAD配備留保 従来より強い対北朝鮮制裁容認
米韓合同軍事演習の中断と一部制裁の解除 北朝鮮の核・ミサイル実験の中断
米朝平和協定(不可侵協定)の締結  ・米朝国交正常化  ・在韓米地上軍撤収  ・在韓米軍撤収  ・米韓同盟廃棄 北朝鮮の核兵器廃棄  ・核弾頭の増産中断  ・弾頭再突入技術の開発中断  ・弾頭小型化技術の開発中断  ・保有核兵器の全廃
「朝鮮半島の非核化・中立化」の制度的保障
 

注)左右の項目は必ずしも連動しない

 在韓米軍基地は北朝鮮に近すぎて使い勝手が悪いうえ、THAADの配備も邪魔するなど、韓国は信用できないからです(「『THAAD封鎖』でいよいよ米国を怒らせた韓国」参照)。この結果、韓国は北朝鮮からも交渉相手とは見なされない。

 そこで存在感を増すべく使い始めたのが「米韓合同演習の縮小」カードでしょう。これなら韓国にも発言力があるように見える。それをかざせば韓国を無視する米国と北朝鮮を振り向かせることができると考えたのでしょう。

 韓国紙には毎日のように「Korea Passing」(韓国無視)との自嘲的な単語が踊ります。北朝鮮の核問題には韓国人の死活的な利害がかかるというのに、自分たちは関与できないとの不満です。そんな中「韓国も駆け引きに参加する」ことになれば、政権は浮揚力を一気に増せます。

米韓同盟は要らない

—でもそんな小細工をすると、米国との関係が悪化しませんか。

鈴置:もちろん悪化します。米朝の軍事衝突が予想される中、同盟国の米国を裏切って中朝側に走るのですから。

この政権の中枢部には「韓国にとってもっとも重要な北との和合・統一を米国が邪魔している」と考える人たちが座っています。彼らにとって米韓同盟は邪魔なのです。文正仁氏は米国で以下のように発言しています。

THAAD問題が解決されなければ韓米同盟が壊れるとの見方があるが、そうだとするなら何たる同盟なのか。

 米国人は「THAADで言うことを聞かねば、在韓米軍を撤収する」と脅してくる。韓国を子分扱いして意見を聞かず、南北和解を阻害する同盟など願い下げだ。いつでも打ち切る――との思いの表出です。

マケインと会わなかった文在寅

 一連の「反米騒動」の中で、米上院軍事委員会委員長のマケイン(John McCain)議員と文在寅大統領の「会談消滅事件」が明るみに出ました。

 中央日報の社説「マケイン米上院議員の取りやめ、尋常ではない兆候だ」(6月16日、日本語版)によると、5月に青瓦台(大統領府)はマケイン議員から会談の要請を受けましたが、すぐには返答しませんでした。

 韓国側は1週間後に面談日を指定しましたが、マケイン議員から「その日には別件がある」と連絡があり、会談は不成立に終わったというのです。

 マケイン議員のような同盟国の安全保障の命綱を握る大物政治家との会談に、韓国の大統領が積極的に応じないのは前代未聞です。普通だったら要請を1週間も放置しません。

中国の顔色を見た?

 マケイン議員と会えば「米国ではなく北朝鮮に味方するのか」と問い詰められる可能性が大でした。会談を受けていいのか、大統領周辺は判断できなかったのだと疑う向きが多いのです。

 あるいは同議員が軍事問題の専門家であることから「米韓同盟強化を嫌う中国の顔色を見て、会談を事実上、拒否したのだろう」と言う人もいます。

 会談不発の原因について青瓦台は「事務的な問題」と説明していますが、米政界はそうは考えないでしょう。「やはり、第2のタリバン政権だ」と見なしたはずです。

 米国と韓国は激突します。これまでは前哨戦。6月29、30日の首脳会談が天王山です。

(次回に続く)

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