『北方領土交渉進展へ一段と高いハードル 共同経済活動はもろ刃の剣』(12/20日経ビジネスオンライン 池田 元博)について

左翼リベラル偏向メデイアは論外ですが、保守派の中にも「経済支援だけすると、食い逃げされる恐れがある」との批判があります。可能性としては確かにその可能性はありますが、それを恐れていては何もできません。それでは中国へ6兆円も支援したときに、ストップをかけたかと言いたいです。日本の支援にも拘わらず、中国は南京や従軍慰安婦の嘘を世界に撒き散らし、反日教育をして国民に日本に対し恨みを抱くようにし、且つ尖閣はおろか沖縄までとりに来ようとしています。ロシアは少なくとも反日教育はしていません。将来国民同士が友好的に付き合うことは可能と思います。勿論、日ソ中立条約違反やシベリア抑留等過去の問題はあったにしろ。米国の原爆投下を許してきたのだから、充分ロシアの過去の行為だって許せるはずです。日本人の特質は「水に流す」ことです。中国人・韓国人のように歴史をあげつらって強請る民族ではありませんので。

ある人は「北方領土返還で一番問題は4島に日米安保が適用されるかどうか。安倍首相が1月下旬にもトランプ大統領と会い、日米安保の適用除外or4島に米軍基地は置かないと確認、密約するのでは。それを受けて本格的な返還交渉、平和条約締結交渉となるのでは」と言っていました。今回の安倍・プーチン交渉は、その露払いであったのかもしれません。日本の最大の敵国は中国です。米国の力が相対的に下落傾向にある時に、中国包囲網を築くには、ロシアをどうしてもその中に組み込まなければなりません。

米国メデイアや日本のメデイアの発する記事だけでは、真実を師知ることはできません。ネットでいろんな情報を取り、情弱を脱しませんと。それをベースにして自分の頭で考えるようにすれば、メデイアや学者、共産党や反日民進党の嘘にも騙されなくなります。民主主義は国民一人ひとりが賢明になることが要請されている政治システムです。そうでなければ衆愚政治に陥ります。

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やはり、というべきだろうか。大統領として11年ぶりとなったロシアのプーチン大統領の来日は、北方領土問題を含めた平和条約締結交渉で確たる進展のないまま終わった。ロシア側の強硬な立場が改めて浮き彫りになった。

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来日したプーチン大統領は12月16日、安倍首相と共同記者会見を行った(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

ロシアの首脳にとって、日本訪問は鬼門だ。会談では常に北方領土問題が議題の中心にならざるを得ないからだ。プーチン大統領が今回、初日の会談場所となった山口県の旅館に約2時間半遅れて到着したのも、日本側の期待値をあらかじめ下げる思惑があったのかもしれない。

12月15日に安倍晋三首相の地元の山口、翌16日には東京に場所を移し、2日間に及んだ今回の日ロ首脳会談。大統領の到着が遅れたとはいえ、会談時間は合計で約6時間に上った。このうち領土問題を集中的に議論したのは、初日の安倍首相とプーチン大統領による通訳だけを交えたサシの会談だった。

首相は2人だけで約95分間も会談したとし、「平和条約の問題を中心に議論した」と語った。その成果は翌日、日ロが別々に発表した2つの「プレス向け声明」に盛り込まれた。ひとつは北方4島における共同経済活動の協議開始の合意、もうひとつは4島の元島民らがロシアの査証(ビザ)なしで「自由往来」できる制度の拡充・簡素化をうたったものだった。

なかでも注目を集めたのは、4島での共同経済活動だろう。声明では共同経済活動の協議開始が「平和条約の締結に向けた重要な一歩になり得る」と指摘。具体的な分野として漁業、海面養殖、観光、医療、環境などを挙げ、関係省庁に条件、形態などを調整する協議開始を指示するとしている。

さらに、実施のための法的基盤の諸問題は「国際約束の締結」を含めて検討するとし、共同経済活動が「平和条約問題に関する日ロの立場を害するものではない」と明記した。声明には、両首脳が「平和条約問題を解決する自らの真摯な決意を表明した」との一文も盛り込まれた。

なんとかつないだ、領土問題解決への「細い糸」

ロシアのウシャコフ大統領補佐官によると、日ロは数週間前から事務レベルで「共同文書」の作成作業を進めてきた。しかし、文書の内容や表記の仕方で合意できず最終的に首脳の裁量に委ねられ、両首脳が約40分かけて調整したという。つまり95分に及んだ2人だけの会談のうち、半分近くは「プレス向け声明」に費やしていたわけだ。

ちなみに、当初予定していた共同声明が日ロ別々の「プレス向け声明」になった理由をいぶかる向きもあるが、日ロの表記で違う部分は北方4島の表現だけだ。日本側は「択捉島、国後島、色丹島及び歯舞群島」とし、ロシア側は「南クリール諸島」と記している。4島の名前を明記しなかったのは、ロシアでは歯舞群島とは言わず、色丹島と歯舞群島を合わせて「マーラヤ・クリールスカヤ・グリャダー」(小クリール群島)と総称しているからだろう。

話を戻そう。今回の会談は日ロの領土交渉の当面のヤマ場とみられていたが、発表された声明を見る限り、領土問題という言葉は全くなく、4島における共同経済活動の協議開始がほぼ唯一の成果だったことになる。

安倍首相は9月にロシア極東のウラジオストクを訪問した際、プーチン大統領と会談後に「新しいアプローチに基づく交渉を今後、具体的に進めていく道筋がみえてきた」と表明していた。その道筋が今回の合意だったのだろうか。

首相はウラジオ訪問に先立って5月にロシア南部のソチを訪問し、ウクライナ危機後に控えていた本格的な日ロ首脳対話を再開した。このソチ訪問の際に、首相はプーチン大統領との間で「新しいアプローチ」を掲げたわけだが、日本側はその一環として、当時から北方領土での共同経済活動に前向きに取り組む姿勢を示していたとされる。

ただ、ソチ、ウラジオ会談当時、日本側が想定していたのは恐らく、「2+α」方式だったのだろう。色丹、歯舞両島は日本に引き渡してもらい、択捉、国後の両島は共同経済活動によって日本が関与できる形で決着させる方式だ。

プーチン大統領はかねて、平和条約締結後に色丹、歯舞の2島を日本に引き渡すとした1956年の日ソ共同宣言の有効性を認めている。北方領土での日ロの共同経済活動にも前向きだ。安倍首相は70年以上も未解決の北方領土問題を動かすには、ロシアが応じやすい方式で着地点をみいだすのが現実的だとみて、これを「新しいアプローチ」と称して進めてきたようにみえる。

ところが、プーチン大統領の来日が近づくにつれ、領土問題に対するロシア側の想像以上に厳しい姿勢が明らかになり、結局は共同経済活動と元島民らの4島往来の拡充だけを打ち出す形で、なんとか細い糸をつないだのが実情ではないだろうか。

早くも浮き彫りになった日ロの見解の相違

では、共同経済活動によって平和条約交渉進展の道は開けるのだろうか。

もちろん、北方4島に日本が直接関与できるメリットはある。ヒト、モノ、カネの往来を盛んにし、現地の経済インフラを整えれば、将来の返還に向けた環境整備を事前に進めることにもなるし、地元住民との信頼醸成にも寄与するだろう。しかし、主権の問題があやふやなまま進めれば、逆にロシアによる4島の実効支配を固定化することにもなりかねない。共同経済活動はもろ刃の剣だともいえる。

両首脳の声明は確かに「双方の(法的な)立場を害さない」としており、安倍首相は「ロシアの法律でも日本の法律でもない特別な制度の下で実施していく」と述べ、「特区」を念頭に進める考えを示す。ただ、ウシャコフ大統領補佐官は「(4島が)ロシアに帰属しているのだから、ロシアの法律で実施するのは当然だ」としており、早くも日ロ間の見解の違いが浮き彫りになっている。

過去をさかのぼると、日ロ両国は1998年、北方領土の周辺水域での日本漁船の操業枠組み協定を結んだ経緯がある。管轄権を事実上棚上げにして、双方が安全に漁業に従事できるようにしたもので、日本側は今後、これを参考にしながら実現の道を探っていくとみられる。

ただ、小渕政権時代のこの年には日ロの共同経済活動委員会も設置され、操業枠組み協定を発展させてウニ、貝類の栽培漁業などを進めようとしたが、主権の問題などが絡み実現しなかった。今回もあくまでも「双方の立場を崩さない」方式で共同経済活動を実施しようとすれば、入念かつ綿密な事前調整が欠かせない。実現にはかなり長い時間がかかるとみるべきだろう。

新たなリスク要因となりかねない共同経済活動

首脳会談で打ち出された共同経済活動の協議開始の合意は、別の観点からみても新たなリスク要因となりかねない危うさを抱える。今後の平和条約交渉を進める前提条件となる恐れがあるからだ。

プーチン大統領はこれまで、平和条約の締結には「高いレベルの信頼関係」が不可欠とし、信頼醸成のひとつの方策として、日ロ間の大規模な経済協力を挙げていた。一方の日本側は今回、安倍首相が提案した「8項目の対ロ経済協力プラン」に基づき、官民合わせて80件、総額で3000億円規模に上る日ロの合意文書をまとめた。

ところが、プーチン大統領は来日直前、読売新聞と日本テレビのインタビューで、「例えば南クリール(北方領土)を含めた大規模な共同経済活動」が平和条約を準備する条件づくりに寄与するかもしれないと語っている。来日時の合意事項を事前に踏まえたうえでの発言といえるだろう。

つまりロシア側は今後、日本が4島でどれだけ共同経済活動に関心があるのかを注視するだろうし、仮に活動条件や形態をめぐる事前調整が長らく難航すれば、平和条約締結に向けた「高いレベルの信頼」が醸成されていないと言い続けることもできるわけだ。

大統領は来日時の共同記者会見で、ロシアは1855年の日魯通好条約で北方4島を日本に「引き渡し」、第2次世界大戦後にこれらの島々を「取り戻した」と言明した。両国の国境線を択捉島とウルップ島の間と定めた通好条約は日本側が「北方4島は日本固有の領土」と主張する根拠になっているが、大統領は当時から「ロシアは自国に帰属するとみなしていた」として、日本の歴史認識にも鋭くクギを刺した。

日ソ共同宣言についても「(主権の問題を含めて)どのような原則で2島を日本に返還するのかは分からない」と改めて強調。日米同盟に基づき、米軍が駐留する懸念も領土交渉の障害になっていると示唆している。平和条約締結交渉の前途はかなり厳しいと予測せざるを得ない。

ロシアが強硬姿勢を貫く背景には、米国でロシアに融和的なトランプ政権がまもなく誕生し、原油価格も底打ちしたことで、日本に接近する動機が薄れたという事情もあるのだろう。

平和条約締結への前向き姿勢は崩していないプーチン大統領

ただし、ここで止まってしまえば、領土問題決着の道は完全に閉ざされる。プーチン大統領の国内支持率は依然として80%を超え、しかも強い指導力を持つ。手ごわい相手ではあるが、日ロの平和条約締結に前向きな姿勢は崩していない。

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安倍首相はその大統領とすでに16回も会談している。今後とも首脳間の信頼関係をはぐくみ、日ロ双方の国益や実利につながる協力を積み重ねながら、局面打開の方策を粘り強く模索していくべきなのだろう。

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