『トランプ時代の米中対立、想定される中国の報復シナリオ』(12/16ダイヤモンドオンライン ロイター発)、『習近平主席「トランプ劇場」に我慢の限界?』(12/14日経 中沢克二)について

トランプがブランスタド・アイオワ州知事を駐中国大使に任命するのは、楊潔篪と父ブッシュの逆をやると考えれば良いのでは。問題が生じたときの、緩衝材としての役割を果たすことが期待されていると思います。

http://blog.livedoor.jp/ussyassya/archives/52076054.html

上のURLのブログ記事を読みますとイレーン・ラン・チャオ(趙小蘭)運輸長官候補は江沢民派と思われます。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%81%E3%83%A3%E3%82%AA

江崎道朗氏によれば、今の習政権は江派の利権を潰すように動いているという事なので、中国からの投資で米国へのインフラ整備は難しくなるのでは。日本の出番と思われます。企業も内部留保を貯め込むだけが能でなく、安全保障にも目配りした外国投資が必要です。トランプはインフラ整備にメイドインUSAの物を使うと言っていますので、工場を建てるとか金融支援の道を探さないと。中国と米国の経済的結び付きをこれ以上深めないように日本は振る舞うべきです。

ダイヤモントのロイター記事にありますように、中国は着々と米国に報復しています。あまつさえ、日本や台湾にまでも。

①台湾近辺での軍事的挑発

中沢氏の記事にありますように、人民解放軍は空自機にロックオンしたのは間違いないでしょう。空自機が妨害弾を発射することは憲法の制約があってできないはずです。「チャフ」や「フレア」でロックを回避したという所では。12/17の士気の集いの江崎道朗氏の講演会に織田邦男氏も来ていましたが、「差しさわりがある」とのことで事実関係につき聞けませんでした。やはり、憲法を早く改正しないと、自衛隊員の命が守れません。

②南シナ海における対決姿勢

12/17日経<中国、南シナ海で米の無人潜水機奪う 米は返却求める 

【ワシントン=川合智之】米国防総省のクック報道官は16日、南シナ海の公海を調査していた米国の小型無人潜水機1機を中国海軍の艦船が奪ったことを明らかにした。「国際法の義務に従い、無人機を速やかに返却するよう中国に要請する」と表明した。

15日にフィリピンのスービック湾から約90キロメートル北西を航行していた米海軍の調査船が、海温や塩分濃度などを調べる無人機を海中に降ろして調査していたところ、中国海軍の艦船が近づいて無人機を引き揚げた。米海軍は無線で返却を呼びかけたが、中国軍艦は無視して立ち去ったという。

米メディアによると、無人機の価格は15万ドル(約1800万円)。無人機が集めていたのは海洋調査のデータで、機密情報ではないとしている。中国軍艦は米海軍の調査船に数日間にわたりつきまとっており、調査船が無人機を回収しようとした際、先回りして引き揚げ、去っていったという。

>(以上)

12/18日経<米、中国が奪取した潜水機返還で合意と発表

【ワシントン=川合智之】米国防総省のクック報道官は17日、中国軍が南シナ海で奪取した米国の無人潜水機について、返還を受けることで中国側と合意したと発表した。中国側も17日に返還する意向を示していた。>(以上)

中国は分かりやすく報復行動を起こします。子供じみていますが、何と言われようとも脅した方が良いと考えるのが彼らの流儀です。これから延々とこういう展開が続くと思います。しかし日米のメデイアとも強く中国を非難することはしません。左翼・リベラルの巣窟と言うこともありますが、中国のことですから裏で金を配っているのでは。悪の国の経済を大きくすれば賄賂の財源として使われます。日系企業はもっと考えないと。

オバマは本当に罪作りです。世界の平和を攪乱するような怪物を作り上げて。それでいてロシアにあれだけ強硬なのですから、二重基準としか言いようがありません。「ノーベル平和賞」受賞には全然値しないでしょう。選考基準がおかしいのでは。

ダイヤモンドオンライン記事

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2月13日、米国のドナルド・トランプ次期大統領が中国を怒らせている。台湾の蔡英文総統と電話会談を行い、米国が長く維持してきた「一つの中国」原則と言う立場を必ずしも堅持する必要はない、と発言したためだ。写真は2011年、北京のホテルに掲げられた米国と中国の国旗(2016年 ロイター/Jason Lee)

[13日 ロイター] – 米国のドナルド・トランプ次期大統領が中国を怒らせている。台湾の蔡英文総統と電話会談を行い、米国が長く維持してきた「一つの中国」原則と言う立場を必ずしも堅持する必要はない、と発言したためだ。

台湾問題は、米中関係における最も難しい要素であると言える。中国は台湾を反乱地域と見なしており、これを支配下に置くための武力行使を放棄したことはない。

トランプ氏が台湾問題をめぐって強硬姿勢を維持する場合、米国に対する中国の報復措置として、想定されるシナリオは以下の通り。

  • 米国との断交

トランプ氏が台湾に対し、何らかの公式な外交的承認を提示するならば、中国は大きな混乱を招く過激な行動ではあるが、米国との外交関係を絶つ可能性が高い。中国は、台湾と国交を維持する国に対して外交関係を持つことを拒否している。米国との断交は、中国政府による最終手段となる可能性が高い。

  • 台湾近辺での軍事的挑発

中国は、台湾近辺で軍事的挑発を行うことで、台湾支配に向けた決意を示す可能性がある。たとえば、人口密度の高い台湾西岸に近い水域にミサイルを発射することによって海路や空路を実質的に封鎖するなどの手段に訴える可能性があり、これは地域を不安定化する動きとなる。中国の国営メディアは、台湾問題を断固として解決するためには、いまや軍事的手段が必要となるかもしれないとさえ示唆している。

  • 南シナ海における対決姿勢

中国は領有権争いが生じている南シナ海において、「航行の自由」作戦の下で米国が行った哨戒活動に怒りを示してきた。中国は南シナ海で占拠した島嶼(とうしょ)や岩礁で埋め立て工事を行い、飛行場その他の施設を建設している。

これまで中国は、哨戒活動を行う米艦を追尾し、言葉による警告を発するという形で対応してきた。だが、米国による今後の哨戒活動に対しては、より強硬な手段をとる可能性がある。2001年には、米軍の偵察機が南シナ海で中国側戦闘機と接触した後、中国領内に強制着陸させられた例がある。

ただし、中国は自国の通商路を確保しておくために南シナ海の平和を必要としており、軍事衝突を起こすことには消極的だろう。

  • 台湾向け武器輸出に関与する米国企業への制裁

2010年、中国はオバマ米政権による台湾への新たな武器輸出に怒りを示し、関与した米国企業への制裁措置をほのめかした。最終的にはこの制裁は実施されなかった。

  • 保有する米国債の大量売却

中国は米国にとって最大の債権国であり、9月時点で1兆1600億ドル(約137兆円)相当の米国債を保有している。

中国が保有する米国債のかなりの部分を急に売却すると決定すれば、米債券市場に深刻な打撃を与え、米国は資金を求めて慌てることになる。ただ、中国による報復的な米国債の大量売却は、精密な照準爆撃とはなり得ない。グローバル市場を混乱させ、ひいては中国自身にもその衝撃が及ぶ可能性が高い。したがって一部のアナリストは、こうした動きは、戦争に次ぐ最悪のシナリオと認識している。

  • 北朝鮮への圧力緩和

米国は、核武装を進める北朝鮮に対して、中国に「厳しい対応」を繰り返し求めている。中国は北朝鮮にとって経済や外交面における最大の支援者ではあるが、中国自身も北朝鮮の核実験・ミサイル発射実験については強い怒りを示している。

中国が米国への不快感を表現するために北朝鮮に対する国連制裁を緩和する可能性はあるが、それは逆効果を招き、結局のところ、北朝鮮政府とそのミサイル・核開発計画を後押ししてしまう可能性がある。これは中国政府が望まない結果だ。

  • 米企業に対する圧力

国営メディアや消費者団体を通じて、あるいは単に国民感情を煽ることによって、米企業に打撃を与えるという間接的な手段もある。

南シナ海における領有権紛争に関して今年、国際司法の場で中国が敗れた後、アップルやケンタッキーフライドチキンの親会社ヤム・ブランズなど複数の米国ブランドが、短期間ではあるが反米的な抗議行動やボイコットの標的となった。

米企業に対し関税を引き上げる可能性や、航空機などの製品について、米国以外の競合他社へ乗り換える動きが露骨に進められることも考えられる。

また中国は、国内で活動する米企業に対して官僚主義的な障害を設けるかもしれない。在中の米大手消費財メーカー幹部は、米企業に対する何らかの報復があるとすれば、声高で攻撃的な対応よりも、地元当局による認可プロセス停滞や書類処理の遅れなどが発生する可能性が高いとロイターに語った。

  • 農産物調達先の乗り換え

銅からトウモロコシ、原油に至るまで、中国は世界随一のコモディティ消費国である。したがって中国は、農産物調達先の乗り換えを模索することで米国に打撃を与えることができる。トウモロコシから大豆に至るまで、米国産農産物の中国輸出量は、2015年に過去最高の4790万トンに達した。

  • 市場アクセス推進の停止

トランプ氏が「1つの中国」原則を捨てれば、ほぼ確実に2国間投資協定をめぐる協議に差し障りが出る。そもそもトランプ氏はこの種の協定に乗り気ではないかもしれないが、2国間投資協定による市場アクセスの拡大は、中国に対して米ビジネス界が望む最優先項目である。

以前からずっと、米中の2国間投資協定が中国に対する投資自由化の先駆けになると考えられていた。その協議が停滞すれば、中国は欧州との投資協定に関する協議を推進する可能性もある。

  • サイバー問題に関する合意への障害

トランプ氏が「1つの中国」政策を維持しなければ、2015年に中国の習近平主席とオバマ大統領が合意したサイバーセキュリティに関する誓約を中国が反故にする可能性がある。政府顧問やセキュリティ専門家は、この誓約によって中国主導のサイバースパイ行為が減少したと評価している。

(Ben Blanchard記者、Michael Martina記者、John Ruwitch記者、 Jo Mason記者、Adam Jourdan記者、翻訳:エァクレーレン)

日経記事

「トランプが『一つの中国』を商業的な利益と交換しようとするのは幼稚な衝動だ」「外交をまるで知らない子供」「台湾に関して平和統一を武力統一に優先させる必要があるのか」

中国共産党機関紙、人民日報傘下の環球時報は12日付の社説でかなり鋭く米次期大統領トランプを攻撃した。言いたい放題である。そこには共産党内部の本音がにじむ。

さらに、13日付社説では「北京は、非平和的手段による台湾独立派への様々な懲罰を探る必要に迫られている」「武力行使による台湾統一は一つの選択肢だ」などと強調した。

同紙は中国の保守・強硬派を意味する「左派」の影響力が強く、ときに当局の公式答弁と異なる見解を示す裁量権を持つ。特に今回は、中国が武力行使も辞さない「核心的利益」とする台湾問題だ。関係者は「編集幹部は人脈上、人民解放軍との関係が深く、内部の声も反映されている」と指摘する。

■「一つの中国」のほごも取引次第

「様々な取引ができないなら、なぜ『一つの中国』の原則に縛られなければならないのか」

トランプの米FOXテレビにおける発言は、中国国家主席、習近平に衝撃を与えた。中国が40年かけて慎重に重ねた「積み木」を崩されかねない。トランプは「外交の素人」を装って、高いハードルを軽々と乗り越えそうな勢いだ。その威力は、トランプと台湾総統の蔡英文による電話会談を超す。

なお、中国政府の公式答弁はおとなしい。「関係報道に注目している」「強く懸念している」。中国外務省スポークスマンは、トランプという固有名詞の名指しをあえて避け、新しい米政府の指導者という用語を使った。「一つの中国」に関する立場を表明する声色も抑制的だ。

なぜなのか。前回、このコラムで紹介したように、訪中した米元国務長官、キッシンジャーが習近平に「協力的に対処せよ」とアドバイスした点も効いている。

習近平としては、トランプが2017年1月20日に大統領に就任する前に、決定的な対立に至るのは避けたい。だが、共産党内の情勢は刻々とそれを許さない雰囲気に傾きつつある。その一端が、連日掲載された環球時報の社説にも表れた。

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習近平・中国国家主席(左)とトランプ米次期大統領=AP

一方、トランプは中国に変化球を投げ込んだ。次期駐中国米大使に70歳のアイオワ州知事、ブランスタドを指名したのだ。習近平の古い知り合いだからである。1985年、32歳だった習近平は初めて訪米した。当時、彼は河北省の小さな町、正定県のトップだった。

訪米の目的は、農業大国の穀倉地帯、アイオワ州の視察である。そこで習近平は、若きアイオワ州知事のブランスタドに会う。中国トップへの道が見えてきた頃から、2人のパイプは徐々に太くなる。12年、習近平が国家副主席として訪米した際も、わざわざアイオワ入りし食事を共にした。

トランプ人事は、なかなか巧妙である。農業州、アイオワにとって中国は大得意先だ。トウモロコシ、大豆の大切な輸出先なのだ。中国は、習近平の「老朋友(古い友達)」を拒めないし、農産物の対中輸出拡大にも寄与する、とにらんでの人選だった。

はたして中国は、次期中国大使を大歓迎した。トランプ・蔡英文の電話会談が「硬」の策とすれば、中国に秋波を送る「軟」の策がブランスタドの起用――。中国はそう分析した。

ところが、事はそう単純ではなかった。それはトランプが出向いたアイオワ州の集会に布石があった。トランプは次期大使を紹介する前のあいさつで、予想を覆して対中強硬発言を繰り返した。ツイッターのつぶやきを拡声器で言い直したような中身は、大統領選挙中の激しい言葉を彷彿(ほうふつ)とさせた。

■駐中国大使は「トロイの木馬」か

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2016年9月、宮古海峡の上空を飛行して西太平洋に向かう遠洋訓練を強行した中国空軍のH6K爆撃機(左)と戦闘機スホイ30=共同

「米国の貿易赤字の半分近くを中国がつくり出している。中国は市場経済でない。彼らに(規則順守を)始めさせる時だ」「知的財産を盗み、我々の企業に不公平な税を課した」「北朝鮮の脅威を抑える役にも立っていない」「(人民元の)為替相場を低く抑え、ダンピング輸出している」

最後に、こう付け加えた。「ここで挙げたこと以外、彼ら(中国)は、なかなかすばらしい」。皮肉の効いたトランプ演説は、とても次期大使への餞(はなむけ)には聞こえない。ブランスタドは驚きつつも、トランプとにこやかに握手するしかなかった。

一連のトランプ発言は、その後のテレビインタビューで語った「『一つの中国』にこだわらない」という発言の前段だった。そこでトランプは南シナ海問題にも踏み込み「巨大な要塞を造っている」と中国を非難した。ひとまず習近平に歓迎されて北京入りするブランスタドだが、トランプが中国に送り込む「トロイの木馬」にも見えてくる。

中国の内部では侃々諤々(かんかんがくがく)の「トランプ論議」が始まっている。強硬派の本音の一端が表れたのが、先の環球時報の論調でもある。さらに問題なのは、中国人民解放軍の「独自」の動きだ。

電子偵察機を含む中国空軍の編隊は12月10日午前、スホイ30の護衛を伴って沖縄本島と宮古島の間を超えた後、台湾南部の空域とバシー海峡を通過した。台湾をぐるりと囲むように飛行したのだ。中国による明らかな挑発行為だった。

飛行の目的はなにか。日本の自衛隊、台湾軍、そして背後にいる米軍を試しているのだ。特に、政権移行期にある米軍の動きを気にしている。中国が本気で台湾を攻略しようとすれば、台湾東部の西太平洋の制空権、制海権を握って島全体を攻囲するのが手っ取り早い。「第一列島線」を越え、台湾南部とフィリピンの間のバシー海峡に回り込むのはその訓練だ。

■軍は日米台けん制、空自機を「ロックオン」?

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日本側は航空自衛隊のFー15が出動。台湾南部の守りを担う戦闘機も緊急発進し、追尾した。一部の中国系軍事サイトが驚くべき情報を意図的にリークした。「日本の戦闘機は東シナ海で人民解放軍機に『ロックオン』されて、妨害弾を放って命からがら逃げた」との見方だ。「ロックオン」情報のリークは、一連の動きが軍主導の動きであることを示唆している。

今回、中国国防省は「空自機の妨害」に関して、日本側の機先を制していきなり発表した。中国軍機の動きをあえて明かして「台湾問題は日本にも大きく影響する」と脅した形だ。真の狙いはトランプにある。だが、矛先はひとまず日本にも向けられている。

日本側は、空自機による至近距離の危険行為や、「妨害弾」の発射を否定している。とはいえ、周辺に緊張が走ったのは事実だ。だからこそ台湾側も「スクランブルをかけて、中国軍機を追い払った」としている。

習指導部は外交上、なお「冷静な対応」を続けているが、軍の論理と動きはまったく別である。トランプと蔡英文の電話会談を見過ごすわけにはいかない。人民解放軍はあらかじめ一定の権限を付与されている。軍が安全保障上の理由で作戦を立てるなら、最高指揮官の習近平は認めるしかない。今回の事態は、ある意味で軍が習近平に圧力をかけている、とも言える。

そもそも習近平は「韜光養晦(とうこうようかい)」と呼ばれる、鄧小平以来の安全保障の考え方を捨てた。軍事的な実力を隠して、ひたすら経済建設に没頭する中国は、すでに過去のものだ。それなら「核心的利益」である台湾問題では、武力行使も辞さない姿勢を示すしかない。仮に副作用がどんなに大きくても、である。トランプ劇場「台湾編」の刺激は強い。周辺からの圧力も強まるなか、いつまで習近平が我慢できるのか。限界は近付いてきている。(敬称略)

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