2/26ZAKZAK 『米軍 ステルス駆逐艦急派 中国封じ 攻撃型原潜も 東アジアで空母2隻展開へ』『対中包囲網を推進 日豪印の3カ国次官が協議』について

米国の対応は余りに遅すぎです。米国民が2008年にオバマを選んだ時からこういう展開になることは運命づけられていたのでしょう。オバマは第二のチエンバレンとして名を残すことになるかもしれません。チエンバレンがヒットラーへの宥和政策を止めていれば第二次大戦は起こらず、英国の覇権国からの転落もなかったかも知れません。それを考え合わせますと、米国の覇権国としての地位は安泰かどうか。中東ではサウジVSイラン、トルコVSロシアが睨みあっています。第三次世界大戦が起きないようにしなければいけないと思います。やはり、経済制裁、禁輸政策の発動が一番ダメージを与えられるのでは。それでも日本はABCD包囲網で戦争に突入しましたが。中国に原油輸出を禁止すれば良いのですが、そうすれば兵器を動かせなくなりますので。でも産油国は財政状況が苦しいのでそう呼びかけても乗って来ないでしょう。

G20で世界が協調して問題解決に臨むことはできませんでした。口先だけです。「政策総動員」なんてスローガンだけです。そもそも主催国の中国が一番大きな問題(3経済主体での25兆$の債務、過剰投資、過剰在庫)を抱えていますし、何より隠蔽体質、数字の改竄・捏造は当り前の国ですので。日本は中・韓から離れておくことが一番です。通貨スワップなどもっての他。

ASEAN外相会議では「南シナ海「深刻な懸念」で一致」しました。一歩前進です。でも、中国は金の力を使って分断してこようとするでしょう。早く中国企業を連鎖デフォルトさせないと。

1/28日経「南シナ海「深刻な懸念」で一致 ASEAN外相会議閉幕

【ビエンチャン=京塚環】ラオスの首都ビエンチャンで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議は27日、中国が軍事拠点化を進める南シナ海問題に対して全会一致で「深刻な懸念」を表明して閉幕した。従来より踏み込んだ表現で中国をけん制した。法的拘束力を持つ南シナ海での「行動規範」づくりに向け、中国と早期に協議する方針でも一致した。

 同日会見したASEAN議長国ラオスのトンルン副首相兼外相は「我々は協力して南シナ海を平和な場所に戻す努力をしたい」と述べ、南シナ海問題の解決を積極的に進める方針を示した。さらに「(南シナ海で武力を行使しないとした米ASEAN首脳会議の)サニーランド宣言を尊重する」として米国との関係を重視する姿勢もみせた。

 採択した議長声明では南シナ海での「航行と航空の自由の重要性」を明記したほか「一部の国が埋め立てや行き過ぎた行動など緊張を高める行動に懸念を表明した」として、中国へのけん制を強める内容となった。

 昨年11月にマレーシアのクアラルンプールで開いたASEAN首脳会議の共同声明では「一部の国による南シナ海問題の深刻な懸念の表明」との表現にとどめていた。

 会議ではベトナムのファム・ビン・ミン副首相兼外相が「ミサイル配備や軍用機の展開は地域の安全と安定の脅威だ」と強い調子で主張しフィリピンが同調。マレーシアのアニファ外相も「早期の行動規範策定を進めるべきだ」と表明した。

 ASEANが中国への懸念で一致した背景には、南シナ海の海洋進出で先鋭化する中国の動きがある。西沙(英語名パラセル)諸島への地対空ミサイル配備などが今月に入って相次ぎ明らかになった。一方で米太平洋軍のハリス司令官が南シナ海に艦船を派遣する「航行の自由」作戦の強化を示唆するなど米中の応酬は激しさを増している。

 ただ、今後もASEANが結束して強い対中姿勢を打ち出せるかは不透明だ。ラオスやカンボジアは中国から多額の経済援助を受け、中国に配慮してきた。今後中国がこれら親中派に再び圧力をかける可能性もある。

 今回の外相会議では15年末に発足したASEAN経済共同体(AEC)の統合深化に向けた工程表についても話し合った。今後、中国との関係をめぐって再びASEAN内に綻びが生じれば、域内の統合を深める作業にも影響が出かねない。」とありました。

少し考えれば中国がタダで支援することがないことが分かるはずなのに目先の利益を追うからです。やがては中国の属国になるのが見えているのに。日豪印の外務次官会談は中国の封じ込めには良いでしょう。豪は裏切らないように。ターンブルは親中派と言われていますので。

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stealth destroyer

米国が、中国への不信感を強めている。国際社会の批判を無視して、南シナ海での軍事的覇権を着々と進めているからだ。任期1年を切ったオバマ米大統領を軽く見ているのか、人工島に地対空ミサイルやレーダーだけでなく、戦闘機や爆撃機まで配備した。米軍中枢や軍関係者の間では、中国を封じ込めるため、攻撃型原子力潜水艦やステルス駆逐艦の前方展開や、原子力空母を常時2隻、東アジアで展開する案が浮上している。また、南シナ海に「対中軍事要塞」を構築すべきだという声もある。  「(中国は)東アジアの覇権を求めている」「(南シナ海の人工島を)前方展開基地に変容させようとしている」「緊張を飛躍的に高めている」  ハリス米太平洋軍司令官は23日、上院軍事委員会の公聴会で、中国の南シナ海における軍事的膨張について、このように証言した。世界の最重要シーレーン(海上交通路)を脅かす行為への怒りをあらわにした。  中国の暴走が加速している。今月に入り、南シナ海のパラセル(中国名・西沙)諸島にあるウッディー(永興)島に、地対空ミサイル8基を配備した。同海のスプラトリー(同・南沙)諸島にあるクアテロン(華陽)礁などには、レーダー施設が建設されたことが確認された。  さらに、ウッディー島に、旧ソ連のスホイ(Su)27を国産化したJ(殲)11戦闘機と、JH(殲轟)7戦闘爆撃機が配備されたことを、米情報機関が確認した。Su27は圧倒的な機動性に加え、攻撃力や航続距離でも高い能力を誇る、最強戦闘機である。  前出のハリス氏は24日、下院軍事委員会の公聴会で、突出する中国を抑止するため、攻撃型原子力潜水艦やステルス駆逐艦「ズムワルト」の前方展開を視野に入れていると表明した。

 ズムワルトは、全長180メートル、全幅24・6メートル、排水量1万4798トン。最大速度30・3ノット。乗員106人。「タンブルホーム型」という、喫水線から上が内側に大きく傾き、平面で構成された形状が特徴だ。ステルス性が高いだけでなく、ESSM対空ミサイルや、トマホーク巡航ミサイルも装備し、攻撃力も高い。

 だが、習近平国家主席率いる中国はひるむ様子はない。

 軍事ジャーナリストの井上和彦氏は「中国は『オバマ政権は弱腰で、大したことはできない』と見透かしている。どんどん増長している」といい、続けた。

 「岩礁の埋め立てを始めた瞬間から、中国は南シナ海を自国の海にするために、人工島の軍事基地化を狙っていた。世界最強の軍事力を持つ米国は早くから予想していたはずだが、オバマ政権は適切な対応ができなかった。『航行の自由』作戦も、中国へのけん制というよりは、東南アジア諸国向けのアピールの色彩が強かった」

 これを裏付けるのか、ワシントンで23日に行われた米中外相会談では、中国の強硬姿勢が目立った。

 ケリー米国務長官が、南シナ海の人工島の軍事基地化を厳しく非難したところ、中国の王毅外相は「最も重要なことは(中国の)レーダーなどではなく、(米軍の)戦略爆撃機や駆逐艦を含む最新兵器が日々、南シナ海に出現していることだ」と、自国の暴挙は棚に上げて、平然と詭弁(きべん)を弄したのだ。

 こうしたなか、米軍関係者の間では、空母機動部隊を常時2つ、東アジアで展開させることが議論の対象になっている。

現在、核実験や弾道ミサイル発射を強行した北朝鮮に対応するため、米原子力空母「ジョン・C・ステニス」と、横須賀基地を母港とする同空母「ロナルド・レーガン」が西太平洋地域に展開している。これを中国の軍事的膨張を阻止するため、常時展開させるというプランだ。

 ただ、米空母機動部隊といえども、中国が南シナ海の人工島に構築した軍事基地を撤去させることは簡単ではない。どうすればいいのか。

 航空自衛隊南西航空混成団司令を務めた佐藤守・元空将(軍事評論家)は「米ソ冷戦時代にヒントがある。1962年のキューバ危機や、72年と79年の戦略兵器制限交渉(SALT-I、SALT-II)では、ソ連の恫喝に、米国は『核戦争も辞さず』という断固たる姿勢で対応し、ソ連を譲歩させた。今回も、中国の軍事基地近くに、米国とフィリピンなどが軍事基地や軍事要塞を建設して、中国を慌てさせ、追い込めばいい。米国にも同様の知恵はあるはずだ。オバマ大統領には無理だろうから、次期大統領が腹を据えて取り組むべきだ」と語った。

 南シナ海は、日本の輸入原油の8割が通るシーレーンであり、ここを中国に支配されることは、日本の国益に直結する。日本の役割はないのか。

 前出の井上氏は「安倍晋三首相は、中国に南シナ海やインド洋を支配される危険性を理解している。だからこそ、第2次政権発足直後に、日本とハワイ(米国)、オーストラリア、インドの4カ所をひし形に結ぶ『安全保障ダイヤモンド構想』を提唱し、各国との関係強化に動いた。昨年、日米防衛協力の指針(ガイドライン)を改定し、安全保障法制も成立させた。日本は当事者意識を持って、南シナ海の『航行の自由』に取り組むべきだ。民主党などの野党5党は先日、安保法廃止法案を衆院に提出したが、中国を喜ばせるだけ。まったく安全保障を理解していない。彼らには外交も安保も任せられない」と語っている。

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日本とオーストラリア、インド3カ国の外務次官協議が26日午前、東京都内の飯倉公館で開催。アジア太平洋やインド洋での強引な軍事的覇権を強める中国に対し、日豪印と米国の4カ国が結束して対峙する、安倍晋三首相提唱の「安全保障ダイヤモンド構想」の一環といえる。

 協議は昨年6月のインド開催以来で2回目。斎木昭隆外務事務次官、オーストラリアのバーギーズ外務・貿易次官、インドのジャイシャンカル外務次官が出席する。

 こうしたなか、オーストラリア政府は25日、「台頭する中国は地域でさらなる影響力拡大を模索する」という国防白書を発表し、次期潜水艦を現在の2倍となる12隻調達する方針を表明した。建造をめぐっては、日本、ドイツ、フランスが受注を競っており、豪政府は今年中に共同開発相手を選ぶ方針だ。

2/24日経ビジネスオンライン 福島香織『「南シナ海」緊張拡大を仕掛けた中国の思惑 日本に求められる現状認識と覚悟と忍耐』について

昨日も書きましたが、ハリス米太平洋軍司令長官が、「中国がADIZ(防空識別圏)を南シナ海に設定することに懸念」といくら言明しても、中国はブレーキを踏まないでしょう。相手がノーベル平和賞受賞者のオバマですので。日本のTVのコメンテーターの中には「ノーベル平和賞を貰ったせいで、戦争ができない」とトンチンカンな発言をする人もいますが、オバマは本質的に軍事忌避のタイプです。平和賞受賞とは関係ありません。だから何でも決断が遅れ、優柔不断な大統領と揶揄されるのです。世界が混沌として来ているのは正しくオバマのせいです。中国は思い切り「韜光養晦」から「有所作為」に切り替えてきています。

福島氏は「パラセル諸島については、第二次大戦に敗北した日本が中華民国に返還」と言っていますが、それなら領土問題は中台だけの争いになり、ベトナムの関与するところはなくなるのでは。戦後日本が「新南群島」の領有権を放棄したのち、西沙諸島の帰属は定まっていないという事ではないでしょうか。

日本の安全保障上の取り組みは福島氏の言う通りだと思います。いつも言ってますように、中国は南シナ海が決着すれば、次には東シナ海に出て来るのは必定です。その前に中国を日米豪印比越と連携して叩かないと。経済を崩壊させるのが一番良いと思います。また「航行の自由」作戦を空・海ともに頻度を上げ、かつ6ケ国でやることです。

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Hongqi-9

南シナ海への配備が報じられた紅旗9(HQ-9)。米中の緊張が高まる。(写真=Imaginechina/アフロ)

 アジアが春節(旧正月=2月7日)で祝日ムードになる直前、きな臭い事象がいくつか起きた。一つは北朝鮮の弾道ミサイル(人工衛星)発射だが、もう一つは習近平・中央軍事委員会主席が、五大戦区改革発表後に初めて「戦備令」を出したことである。これで、新しく編成された解放軍の五つの戦区(戦略区)のうち安全戦区と呼ばれる首都防衛および他の戦区の支援にまわる中部戦区は2月7日より二級戦闘準備態勢に入った。これは、いまから思えば、その後まもなく中国が南シナ海パラセル(西沙)諸島のウッディー(永興島)に地対空ミサイルなどを配備していることが、米国発で報じられることを予想したものだともいえる。中国は、米国との緊張関係が一段レベルアップすることを想定し、首都の安全を担う中部戦区の戦闘準備レベルを格上げしたのではないか。

「米国が捏造報道で騒いでいる」

 米FOXニュースが、特ダネとして「解放軍が南シナ海の島に地対空ミサイルを配備した」と報じたのは2月16日。民間の衛星画像で確認されたという。FOXによれば、ミサイル配備はこの一週間ほどの間に配備された可能性があり、少なくとも2月3日には何もなかったところに、14日にはミサイル設備が写っているという。

 しかも、この件について、中国国防部は17日、「南海の武器配備はすでに何年も前から行っている」と、いまさら何をかいわん、とばかりの発言で事実を確認。同じ日の外交部の記者会見では報道官は「(ミサイル配備の事実を)承知していない。我が国の領土に必要な防御設備を配置する権利があり、それは軍事化とは違う」とあくまで曖昧な態度に終始したのとは対照的だった。王毅外相はそれらのコメントに先んじて「おそらく西側メディアの『でっちあげニュース』のやり方であろう。…メディアは中国が島礁を守るために駐在して、灯台を建てたり、気象観察施設を造ったり、漁民の避難施設を造っていることに注目してほしい。…南シナ海の非軍事化は単一国家(中国)に対して言うだけでなく、ダブルスタンダード、マルチスタンダートであってはいけない」と、むしろ米国が捏造報道で騒いでいるというニュアンスをにじませた。

外交部と国防部の発言の温度差は、縦割り行政の典型のような中国政府ではありがちのことだが、ひょっとすると就任以来、対台湾外交工作の結果が思わしくなく、習近平から最近あまり覚えめでたくないという噂の王毅自身は、何も知らされてなかったのかもしれないと、疑ってしまうほど外交部の存在感が軽んじられている。

 ところで、南シナ海の軍事拠点化について、これまであくまでも民間施設だと言い張ってきた習近平政権が、なぜ、この時期に、すでに軍事拠点化を進めていることを敢えて隠さなくなったのか。

軍事拠点化をなぜ今、隠さなくなったのか

 ウッディー島は面積にして2.1平方キロ(現在は周辺を埋め立て拡張して2.6平方キロ)。パラセル諸島の中で最大の島だ。パラセル諸島については、第二次大戦に敗北した日本が中華民国に返還、1950年に国共内戦に敗れた海南島の国民党軍が敗走してくるも、中国共産党の武装漁民に制圧された。以降、パラセルの東部は中国が実効支配、一方西部は米国の支援を得て南ベトナム(ベトナム共和国)が実効支配。1974年、中国はベトナム戦争末期で弱体化していた南ベトナムが実効支配していたパラセル西部に侵攻、南ベトナムの護衛艦を撃沈して、西部の実効支配に成功する。だが、ベトナムと台湾はともに領有権を主張し続けている。

 中国はウッディー島に1988年に2600メートル以上の滑走路と港湾を建造。2012年には海南省三沙市への行政区分が公式に発表され、南シナ海の中国が領有を主張する西沙、南沙、中沙の軍事、政治、文化の中心と位置づけられた。現在解放軍、武装警察部隊、役人、若干の漁民を含む1000人が住み、ガソリンスタンドも銀行もスーパーもファストフード店もあるミニ都市島が出来上がっている。

 ウッディー島が南シナ海における解放軍空海軍軍事拠点となっていることは周知の事実であったが、中国側はこれまで地対空ミサイル配備などは認めてこなかった。米国防総省はウッディー島に少なくとも過去2回、地対空ミサイルを配備したとしている。過去2回は、演習のための一時的な配備だが、今回は中国側の開き直りの態度から、恒久的な配備ではないかという懸念がある。なぜ、今のタイミングで、中国はこういう行動に出たのだろうか。

配備されたのは紅旗9(HQ-9)という地対空ミサイル部隊2個大隊分のランチャー8基、レーダーシステム。紅旗9は射程距離200キロとも言われ、ロシアの長距離地対空ミサイルシステムS-300をもとに中国が90年代に完成させた自慢のハイテク武器である。一台のランチャーから発射されたミサイルは海抜30キロ上空で200キロ離れた六つの目標を同時に撃破できるとか。

オバマ政権期間内に防空識別圏を発表か

 紅旗9が配備されたことが、米国を慌てさせたとも言われている。南シナ海の島嶼の紅旗9の配備は、南シナ海を飛行する米軍用機を落とす目的以外にはないからだ。これは中国がまもなく南シナ海上空の防空識別圏(ADIZ)を発表するつもりがあるということではないだろうか。ADIZは本来、制空権を意味するものではないのだが、中国にとってはこれは制空権確立のステップでもある。2013年11月に中国が勝手に定めた東シナ海尖閣諸島上空を含む防空識別圏については、米国から軽く無視され、直後にB52爆撃が堂々と飛行。中国的にはメンツを潰された結果となった。中国としては、オバマ政権期間内に南シナ海ADIZ化を実現させたいところだが、それには、米軍機の飛来を阻止できるだけの軍事実力を見せておかねばお話にならない。

 紅旗9ならば、諸島の上空十数万平方キロの空域の制空権を維持でき、仮に米軍機が中国のADIZを横切ろうとしたならば、少なくとも撃ち落とせる実力を備えることができる。もっとも、米国側はステルス戦闘機F22があり、これはマッハ1.8の高速を維持しながら、1センチの金属弾ですら補足できるレーダーを搭載、GPSとINSの精密誘導装置が組み込まれた統合直接攻撃弾ジェイダムなどで紅旗9のシステムなど粉砕できるのだ、と米メディアは報道している。

 どちらが強いか弱いかは別として、また実際に紅旗9とF22が対決する場面があるかどうかは別として、南シナ海はこれで、一段階高い戦闘準備態勢に入ったと言っても過言ではないだろう。緊張の最高点は、おそらく中国が南シナ海上空でADIZを発表するタイミングでやってくる。それはオバマ政権が終わる前のはずで、中国側ではオバマ政権は結局具体的に何もできないであろう、と踏んでいる。

以前、このコラムでも書いたが、北朝鮮の核実験、弾道ミサイル発射騒ぎの陰で、中国は着々と南シナ海実効支配のための準備を進めて来た。スプラトリー(南沙)諸島のファイアリー・クロス礁人工島では、計3本の3000メートル級滑走路を建設。1月2日には民間セスナ機の離発着テストを実行。北朝鮮の核実験に米国や日本が大騒ぎしていた1月6日は、最大離陸重量70トンクラスの大型爆撃機に匹敵するエアバスA319の離発着テストが行われた。これで滑走路が軍用機の使用に耐え得ることが確認されたという。考えてみれば、スプラトリー諸島の埋め立て拡張工事が始まったのが2014年初めで、実質2年で軍事使用に耐え得る滑走路を3本も建設した。南沙諸島は領有権を主張する台湾、ベトナム、フィリピンも実効支配している地域があり、軍用空港や滑走路、建造物を作っているが、この2年の間に、圧倒的に中国の影響力が強くなってしまった。

「米国の挑発が続けば対艦ミサイル配備も」

 こうした状況を招いたのは、やはり、オバマ政権の弱腰であっただろう。2014年のクリミア危機でオバマ政権の弱さが露呈してしまい、中国の南シナ海進出を加速させた。

 そのあと、いくら凄んでも、中国はオバマ政権を舐めたままだ。中国側の理屈では、米国こそが「南シナ海を軍事化」しているのであって、さして中国への牽制力にもなっていない「航行の自由作戦」を「大型軍艦を島礁近海に登場させ、侵攻性の作戦で武力をひけらかしている。このような米軍の実質的脅威を見せられては、解放軍とてより強力な武器システムを島に配置せざるを得ない」(2月17日付環球時報社説)として、紅旗9の配置は南シナ海における米軍の脅威にバランスをとった領土防御力であると主張している。

 オバマ大統領は15、16日とASEAN首脳をカリフォルニア州サニーランドに招いて会議を開き、ASEAN諸国に、南シナ海における中国の軍事的脅威を訴え、「航行の自由作戦」での連携と支持を求めた。だがASEAN議長国は中国よりのラオスということもあって、首脳会議後の宣言に「航行の自由」の原則は盛り込めたものの、中国の南シナ海における脅威を具体的に示す文言は盛り込めなかった。

 新華社はこの会議について、「米国は、この会議の場で南シナ海問題を煽ろうとしたが、ASEAN各国は米国の言いなりにはならなかった」と論評。米国の本当の狙いは、これを機会にTHAADミサイル迎撃システムをアジア太平洋への導入を進めるつもりだ、とロシア・スプートニク通信の報道を引用し、「誰が南シナ海問題を軍事化しようとしているかは誰の目にも明らか」と国防大学戦略部の梁芳教授のコメントを紹介している。

 中国側は米国がさらに“挑発”を続ければ、地対空ミサイルに続いて対艦ミサイル配備も行う可能性がある、などとサウスチャイナモーニングポストを通じて、強気の姿勢を崩していない。

こんなわけなので、南シナ海の緊張はまだまだ高まっていくだろう。

 これは日本にとってまったくもって人ごとではない。まず南シナ海は東シナ海に続いている。中国は外洋への二つの出口となるこの海を囲い込む第一列島線が対米国防ラインと戦略的に位置付けている。中国にとっては南シナ海だけでも、東シナ海だけでもダメで両方ほぼ同時に制空・制海権を強めていかねばならない。南シナ海の緊張は必ず、東シナ海の緊張、尖閣諸島をめぐる緊張につながる。南シナ海の島嶼に日本の主権は絡まないので無関心でおれば、気が付いた時に尖閣諸島が中国の武装漁民に占拠されていた、なんて事態もあり得るわけだ。

 もう一つは、すでに新たな安保法制下では、要請されれば南シナ海での対中哨戒に、自衛隊が派遣される可能性が強いということだ。それどころか、南シナ海有事が万一起これば、自衛隊が中国と直接対峙する可能性はあるだろう。だから、安保法制は反対すべきであった、というのではない。中国のような国と利害が対立する時は、国防力を含めた国力を背景にしなければ対等に話し合いすらできない。断固守る姿勢を見せねば一方的に侵される、そういう相手である。

高まる緊張に対する事実認識と覚悟と忍耐を

 日本人に今必要なのは、現実認識と覚悟である。

 中国が南シナ海の実効支配をここまで強化していること、それはいずれ東シナ海に波及してくるということ。それがオバマ政権の弱腰が招いた結果であり、中国は「話せば分かる」相手ではないこと。譲歩すれば舐められ、強硬姿勢を見せれば、それを口実にさらに強硬な手段に出る。実に厄介で恐れを知らない国なのだ。

 そういう国と隣り合わせにあり、領土も脅かされているという現実を日本人はあまり深く理解していない。

 そして、そういう国と対等に付き合うには、時に取っ組み合う覚悟も必要だ。向こうが片手に棍棒を持ってくるのであれば、こちらだって素手では話にならない。自分の身の丈に合った棍棒は必要なのである。ただし、その棍棒を絶対振り下ろさない忍耐も必要だ。今の多くの日本人は、現実認識も覚悟も忍耐もなく、何も考えていない状況だが、おそらくは、それが一番、有事の可能性を高めている。

2/23日経ビジネスオンライン 鈴置高史『「通貨危機のデジャヴ」にうなされる韓国 新たな火種は「北朝鮮リスク」』について

中国がP5と一緒になって北への制裁を強化しようとしていますが、南シナ海への目くらましでしょう。ハリス米太平洋軍司令長官が、「中国がADIZ(防空識別圏)を南シナ海に設定することに懸念」と言っていますが、中国がそんなことで譲るとは思えません。相手はハリスではなくてオバマですから。アメリカは勇気のない国になり下がりました。日本を第二次大戦に誘導してまでアジアを機会均等の名のもとに自分のものにしようとした歴史を忘れているようです。

中国国内の瀋陽軍(北朝鮮の支援者)と北京軍の習派との争いがあると予想されますので、習はこれ幸いに瀋陽軍を叩き潰す良い機会と思っている可能性はあります。兎に角利用できるものは何でも利用するのが彼らの特質ですので、今回の米が国連安保理に北の制裁を提案したのは渡りに舟かも。

それより、韓国の変わり身の早いこと。やはり信用ならない民族です。都合が悪くなれば平気で裏切る国です。こんな国を信じて外交すれば亡国となります。明治の英傑たちは皆皮膚感覚で分かっていたはずです。昔と比べて情報の入手が簡単になったのに、今は判断力が鈍らになっています。それも金の為せる業かも。昔はハニーなんて気にしていなかったのに、今やアカ新聞が騒ぎ立て国政と関係ないレベルの所で騒ぎ立て、内閣支持率を下げようとし、国政に影響を与えようとしています。下種の極みであります。でも騙される方が悪い。国民主権を標榜するなら情報強者にならないと。いろんなメデイアから情報を取り、いわゆる権威者の発言ではなく自分の頭で考えないと。小生は8年に及ぶ中国勤務で日本のメデイア、権威のいい加減さについて実感しましたし、中国との訴訟等も4回経験して彼らの阿漕なことは良く身に沁みました。けど、勝てなかったわけではありません。やはり、ロジックと熱意の差でしょう。金で解決するのは最悪です。

韓国の通貨スワップで、中国がTHHADの件で人民元を融通するかどうか分かりませんし、そもそも人民元何て$と違い信用がありませんから、元の支払いでは嫌がる国や企業が多いと思います。日本は「非韓3原則」を貫き、関わらないことです。与党+その他で衆参同日選挙をして2/3を確保しようと考えているのであれば①中韓に妥協せず②消費税凍結は必須です。

記事

前回から読む)

 韓国が通貨危機の再来に怯える。北朝鮮の核実験の後、資本がどんどん海外に流れ出しているからだ。

「欧州危機」以来のウォン安

鈴置:韓国の通貨当局が慌てています。ウォンが売られ、2010年の欧州債務危機当時の水準まで安くなったからです。

won VS $

 ウォン安に転じたのは2015年10月でした。まず、米国の利上げ観測により、資本流出が始まったのです。

 今年に入り中国経済への懸念や原油安がそれに追いうちをかけ、2月以降は「北朝鮮リスク」も加わってウォンは一気に下げ足を速めました。

 2月下旬には、欧州債務危機当時の最安値である1ドル=1258.95ウォン(2010年5月26日)の水準に迫りました。年初と比べても、対ドルで6%ほどの下げです。

 通貨当局は急激なウォン売りを牽制するため、口先介入に乗り出しました。2月10日には韓国銀行の李柱烈(イ・ジュヨル)総裁が「市場の変動性が過度に拡大した場合、政府と協力して安定化措置を積極的にとる」と述べました。

 いざという時は市場介入するよ、と宣言したのです。韓国は米国から通貨を低めに誘導し、輸出を伸ばす為替操作国と疑われてきました。それだけに、疑惑を増す「口先介入」は自制してきたのですが、堪えきれなくなって解禁したのです。

外貨準備は十分か

 同総裁は2月16日にも「マクロ経済リスク以外に、金融安定リスクも考慮しなければならない時期だ」と語り、ウォン相場に配慮する姿勢を見せました。政策金利を年率1.5%に据え置くことを決めた金融通貨委員会の後の記者懇談会での発言です。

 そして「対外条件の不確実性が高い状況では政策金利の調整を慎重にする必要がある」と述べました。景気てこ入れのために利下げはしたい。だが、それはウォン売り――資本逃避を引き起こす可能性があるので軽々しくすべきではない、と主張したのです。

 2月18日には柳一鎬(ユ・イルホ)経済副首相兼企画財政部長官が「外国為替市場の状況を注視している。非常に急激な変動があればスムージング・オペレーション(微調整)を行うのが原則だ」と述べました。この発言も市場介入を示唆したものです。

 聯合ニュースの「当局、為替下落に4年5カ月ぶりの『口先介入』……歯止めをかけられるか」(2月19日、韓国語版)が、こうした当局の必死の防戦ぶりを伝えています。

 柳一鎬・経済副首相は2月19日には国会で「現在の外貨準備高は予測可能な国際金融市場の不安に備えられる」と答弁しました。聯合ニュース「韓国経済副首相、外貨準備高は『不足していない』」(2月19日、日本語版)が伝えています。

 通貨危機を引き起こす資本逃避を防げるのか。それをカバーする外貨準備が十分にあるのか――との趣旨の質問が、ついに国会でも出たのです。

株式市場も外国人売り

—韓国は1997年に通貨危機に陥りましたね。

鈴置:そのトラウマが深く韓国人の心に残っています。あの危機で多くの人が職と希望を失いました。その後、2008年と2011年にも資本逃避が起きて韓国人は肝を冷やしました。外貨準備に神経質になるのは当然なのです。

—前回の「『THAADは核攻撃の対象』と韓国を脅す中国」の最後のくだりによると、株式市場でも外国人の売りが続いているとのことですが。

鈴置:2015年12月初めから外国人が売って機関投資家が買う、という展開が続いています。外国人の売りは決まって1日に2000億ウォン前後――ざっくり言って2億ドル弱。相場を崩さないよう、少しずつ売り抜けている感じです。

KOSPI

 外国人売りは東京市場でも見られる現象です。ただ「安全への逃避」を目指す投資家は、日本株を売っても円は買います。

 一方、韓国の場合は株もウォンも売ります。世界経済が不安定になると、ウォンは危険な資産に区分されるからです。だから外国人の韓国株売りは、資本逃避の先行指標として注目すべきなのです。

地政学リスクが決定打

—現在のウォン売りの主因は「北朝鮮」なのですか?

鈴置:先ほど引用した「当局、為替下落に4年5カ月ぶりの『口先介入』……歯止めをかけられるか」(2月19日、韓国語版)も「北朝鮮リスクが決定打」と書いています。以下です。

  • 北朝鮮の長距離ミサイル発射と開城工業団地閉鎖などによる地政学リスクの高まりは、不安定なソウル外為市場を一層揺らす決定打となったのだ。

 2015年10月からのウォン売りの主因は米金利上げでした。しかし年明け以降、市場は米連邦準備理事会(FRB)の心を読んで「利上げは当分の間、見送られる」と見なしました。

 原油価格も底入れの気配が出てきました。中国経済への懸念は続くでしょうが、人民元の対ドルレートを見る限り小康状態にあります。結局、2月以降のウォン売りの主犯は「北朝鮮」なのです。

北に年間1億ドル渡してきた

—4回目の核実験は1月6日のことでした。なぜ、今ごろになって市場に影響するのでしょうか。

鈴置:4回目の核実験や2月7日の長距離弾道ミサイル実験そのものは、さほど市場を揺らしませんでした。北朝鮮の挑発に韓国市場は慣れっこになっているからです。

 市場心理を大きく悪化させたのは開城工業団地の稼働中断でした。韓国政府が2月10日に宣言したものです。

 この工業団地は2004年に開設されました。南北を分かつ軍事境界線の北側にあって、韓国企業124社が進出し、約5万4000人の北の労働者が働いています。

 中断の理由は「労賃として支払われる年間約1億ドルが北朝鮮の核開発の資金になっているから」です。韓国政府がこう発表した以上、工業団地の再開はまず無理と見なされました。

顔色変えた韓国記者

—それがなぜ、ウォン売りにつながるのでしょうか。

鈴置:「外貨と対話の窓口を断たれた北朝鮮が暴れ出す」と市場が考えたからです。実は2013年4月から5カ月にわたって、北朝鮮側がこの工業団地の稼働を止めたことがあります。

 私がこのニュースを聞いたのは韓国紙の記者と昼食をとっていた時でした。ニュースに接した瞬間、韓国の記者の顔が異様にこわばったのを、今でもありありと覚えています。

 「下手すると戦争になる」とこの人は考えたのです(「韓国株まで揺さぶり始めた金正恩の核恫喝」参照)。

—ではなぜ、朴槿恵(パク・クンヘ)政権は返り血を浴びる稼働中断に踏み切ったのでしょうか。

鈴置:韓国は全世界に向かって、北朝鮮の核・ミサイル実験に対する徹底的な制裁を求めています。そんな中、肝心の韓国が北にドルを渡していた、では誰からも相手にされません。

 多くの韓国紙が、米国と日本が韓国に中断を求めたと報じています。厳しい対北制裁を避けようとする中国だって、韓国から批判されれば「開城工業団地経由で北にドルを送っている国に文句を言われる筋合いはない」と言い返すに決まっています。たぶん、そう言っていたでしょう。

3年ぶりの「韓国売り」

—2013年にこの団地が一時閉鎖された時、韓国市場はどうなったのですか?

鈴置:株も為替も大きく下げました(「韓国株まで揺さぶり始めた金正恩の核恫喝」参照)。

 北朝鮮が韓国を威嚇し始めた2013年3月14日以降の3週間で、株式市場での外国人の売り越しは4兆ウォンを超しました。政府の意向を受けたと見られる機関投資家が防戦買いに入りましたが、同年4月5日には年初来安値を付けました。

 為替もウォンレートのグラフを見れば一目瞭然です。2013年3月中旬からウォンは下げに転じています。4月5日は1ドル=1131.80ウォンと7カ月ぶりのウォン安・ドル高で引けました。

 当時、韓国メディアは「韓国売り」を恐れる政府が、世界の格付け会社に代表団を送り「正確な事実」を伝える計画だ、とも報じました。

 核実験などで緊張が高まって市場が荒れても、それは一過性で終わることが多い。ただ、軍事的な緊張が長引くと、さすがにボディーブローのように効く――ことがこの時に判明しました。

 今、市場参加者たちはデジャヴ――既視感に苛まれています。「2013年春」を思い出して「韓国売り」に走っているのです。

左派系紙が叫ぶ「コリアリスク」

—北朝鮮も「敵の市場を荒らす」作戦が有効だと知っているのでしょうね。

鈴置:もちろん分かっています。2013年当時の韓国紙は「市場攻撃」に悲鳴をあげ、なかでも左派系紙は「北との対話」を訴えたのです。

 今回も2月17日、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記がミサイルに関し「もっと多く、もっと速く、もっと痛快に撃ち上げろ」と命じたと2月19日、朝鮮中央通信が報じています。

 一義的には北朝鮮の国民の士気を上げるために「もっと多く」と煽ったと思います。が、少なくとも結果的には「韓国売り」要因になります。軍事的な緊張が長引く中、ウォンや韓国株を買おうという人は、あまりいないからです。

 2月19日、韓国の国家情報院が「北が金正恩第1書記の指示で韓国に対するテロを計画中」と発表しました。

 左派系紙のハンギョレは2月20日の社説「コリアリスクの為替影響を警戒すべし」(日本語版)で、この発表も為替相場に悪影響を与えたと韓国政府に警告を発しました。

 「北朝鮮リスク」ではなく「コリアリスク」と呼んで、南北双方に責任があるかのように書いたのが左派系紙らしいのですが。

「体制崩壊」に言及した大統領

—3年前と同じように、韓国の市場は当分荒れるということでしょうか?

鈴置:市場予測は難しいし、安易にすべきでもないと思います。でも、2013年当時以上に「荒れる」要因がそろっているのは事実です。まず、南北の対決が異次元の厳しさを見せていることです。

 朴槿恵大統領は2月16日の国会演説で「工業団地閉鎖」に触れた際、以下のように述べました。聯合ニュースの「朴大統領、対北政策大転換……『北政権変化』体制崩壊まで言及」(2月16日、韓国語版)に添付された動画で発言を視聴できます。

北の政権が核では生存できず、むしろ体制崩壊を早めるだけだということを痛切に悟り、自ら変化するしかない環境を作るために、より強力で実効的な措置をとっていきます。

 北に関し「体制崩壊」という言葉を朴槿恵大統領が使ったのは初めてです。北朝鮮との対決姿勢を明快に打ち出したのです。

 だから、対話と安定の象徴である開城工業団地の再開の可能性も極めて低い。北の体制打倒を目指す一環ですから、北朝鮮が核を放棄しない限り、韓国は再開には踏み切らないでしょう。

 一方、3年前の「工業団地閉鎖」は北朝鮮側によるものでした。発足間もない朴槿恵政権を揺さぶるのが目的です。しかし韓国側が放っておいたので、ドルが欲しい北側が結局は折れて再開しました。

 金正恩第1書記も、朴槿恵大統領に「体制崩壊」とまで言われれば黙ってはいられないでしょう。最低限、次なるミサイル発射や韓国に対するテロ、局地攻撃をするフリでもしなければ格好がつきません。それだけでも十分に韓国市場を揺さぶれますしね。

日本とのスワップは消滅

—ハンギョレ風に言えば、韓国市場を揺らすのには南の政権も協力してくれている、ということになりますね。

鈴置:韓国政府としては国民にテロへの警戒を呼び掛けないわけにもいかない。痛し痒しです。ハンギョレは、政府がテロ説を流すのも陰謀だ、と言いたそうですが。

 2013年当時よりも韓国市場が荒れるであろう理由が、もう1つあります。冒頭で説明したように「北朝鮮リスク」が発生する前から世界経済には「リスク」が山積し、韓国からの資本流出が起き始めていたのです。これが韓国政府にとってつらいところです。

—2013年当時は、韓国は日本との通貨スワップも維持していましたが、今回はありません。

鈴置:その差も大きい。日本とのスワップは2013年春の段階で2本、残っていました。ただ、いずれの期限が来ても韓国は更新しようとしませんでした。結局、2015年2月をもって日韓の2国間スワップは完全に消滅しています。

韓国の通貨スワップ(2016年2月22日現在)

   
相手国 規模 締結・延長日 満期日
中国 3600億元/64兆ウォン(約560億ドル) 2014年 10月11日 2017年 10月10日
UAE 200億ディルハム/5.8兆ウォン(約54億ドル) 2013年 10月13日 2016年 10月12日
マレーシア 150億リンギット/5兆ウォン(約47億ドル) 2013年 10月20日 2016年 10月19日
豪州 50億豪ドル/5兆ウォン(約45億ドル) 2014年 2月23日 2017年 2月22日
インドネシア 115兆ルピア/10.7兆ウォン(約100億ドル) 2014年 3月6日 2017年 3月5日
CMI<注> 384億ドル 2014年 7月17日  

 

<注>CMI(チェンマイ・イニシアティブ)は多国間スワップ。IMF融資とリンクしない場合は30%まで。

資料:ソウル新聞「韓国の経済体力は十分」(2015年2月17日)

 金融面でも中国を頼めるようになったから日本とのスワップは不要、との判断でした。2013年6月に訪中した朴槿恵大統領は中国とのスワップを3年間、延長することで合意しています。

 なお、日本とのスワップ終了により、韓国はドルを借りられる2国間スワップは全て失いました。相手先の通貨で借りるスワップだけが残っています。

 中国から借りられるのは人民元です。韓国の債券はドル建てがほとんどですから、いざという時にこのスワップで直ちに対応できるかは分かりません。

中国とも喧嘩、市場は底なし沼?

—地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)配備の問題で、韓国は中国を怒らせてしまった。前回の「『THAADは核攻撃の対象』と韓国を脅す中国」によれば、人民元建てスワップでさえ、中国が発動してくれるか分からない、とのことでしたね。

鈴置:そこがポイントです。市場も「中韓スワップは機能しないのではないか」と見なし始めました。投資家はそれを織り込んで動きますから、韓国の株も為替も底なし沼に陥る可能性が出てきたのです。

(次回に続く)

奄美2日目

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一昨日空港で借りたレンタカー。

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高知山展望台の東屋

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ホノホシ海岸の車海老養殖。

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ホノホシ海岸

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せとうち海の駅の海鮮丼。

奄美に昨日着きました。

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バニラエアー(成田空港)

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中国東方航空が入って来ていました。

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奄美「喜多八」。オリオンビールがありました。

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奄美サンプラザホテル。

2/19日経ビジネスオンライン 長尾賢『100隻の艦艇集め国際観艦式をしたモディの意図』について

日米豪印で中国の軍事膨張を封じ込めなければなりません。中国は西沙諸島に地対空ミサイルを配備しました。米軍の南沙・西沙諸島での「航行の自由」作戦は、国際法上の「無害通航」に当たり、領海12海里内でも軍事や経済活動などをしない場合には通航が認められる権利を行使したものです。腰が引けている話です。公海であれば軍事演習も可能でしょうに、それをせず、領海とかの説明では恰も人工島が中国の領土と認めているようなもの。オバマの宥和政策が中国を増長させ、好き勝手にさせています。来年1月20日の新大統領就任までに、中国は取れるものは取って置こうと思っています。豪印には「そうりゅう」型潜水艦をブラックボックス化して、供与して中国潜水艦に対抗できるようにした方が良いです。また台・比・越にも軍事協力していくべきです。

中国は直接武力に訴えるのではなく、三戦(心理戦・世論戦・法律戦)で勝利することを考えています。敵国の国民に中国の武力の凄さをアピール(空母遼寧を見ればどの程度かは想像できますが、一般国民は朝日新聞に代表されるアカ新聞のプロパガンダに騙されます)したり、国際的に日本の非道徳性(慰安婦・南京虐殺・今「正定事件」をバチカンに訴えている、総て捏造したもの)を訴えたり、中国の国内法で勝手に領土・領海にしたり、国家安全法や反スパイ法を制定して、外国人・外国企業にも適用したりしています。日本もやられ放しでなく、国際司法裁判所に提訴するようなことも考えて対抗していかないと。

記事

 インドが2月4~8日、インド海軍だけでなく50カ国の艦艇や代表が参加する国際観艦式を実施した。2隻の空母を含む約100隻の艦艇と45機の航空機が参加する大パレードだ(公式サイトには写真やビデオがある)。もちろん、日本も招待され、海上幕僚長と護衛艦の両方が参加した。

international fleet review in India

インドが15年ぶりに国際観艦式を主催した(写真:AP/アフロ)

 100隻を集める国際観艦式の挙行は多額の予算と労力を要する。世界最大の海軍である米海軍でも、約300隻の艦艇しか保有していない。比較的大きい海上自衛隊やインド海軍でも約140隻程度だ。そこから100隻を集める。このため、インドが国際観艦式を行うのは2001年以来15年ぶりのことである。

 なぜ今年、再び行ったのか。それは日本の安全保障にどのような影響を与えるのか、本稿で分析する。

海軍の活動を活発化

 昨今、インドは海洋を目指している。それは海軍に対する予算配分の変化を見れば明らかだ。インドの国防費における海軍予算のシェアは、1990年の12%から2015年の16%へと増加している。それも、インドの国防費全体を増やしている上でのことだから、大きな変化だ(図1)。

expenditure of defense in India

図1:インドの国防費推移 出所:Ministry of Defence, Government of India, Annual Reportより作成

海洋に対するインドの考え方の変化は、ナレンドラ・モディ政権下でさらに加速している。モディ首相の下で、インド海軍は世界の40カ国以上を訪問しているのだ(注1)。以前にはない活発な動きだ。訪問先は西から順に欧州、アフリカ、中東、インド洋の島嶼諸国、東南アジア、オーストラリア、日本そして米国と、インドから遠く離れた地域にまで及ぶ(図2)。

 

 

the countries India navy visitted図2:モディ政権になってからインド海軍艦艇が訪問した国々(橙色)

 さらに、2016年に入ってから、インドは空母を外国に派遣するようになった。インドの新しい空母ヴィクラマディティアは、1月にスリランカを、2月にはモルディブを訪問している(関連記事:インドの新しい空母が持つ戦略的意味)。

 インド洋沿岸各国に対して、哨戒艦艇、航空機、レーダーを供与するとともに、要員の訓練も行っている。

 そして、昨年12月にインドの国防相が訪米した際には、中国が飛行場建設を進める南シナ海において、米印両海軍が共同パトロールを行うことについて話し合ったようだ(注2)。実施される可能性は現時点では低い。だが、検討している以上、選択肢の一つになっている。

 インドの国際観艦式は、このような情勢の中で開かれた。海洋の大国であることを世界に示そうという、インドの強い意志が込められているとみてよい。

(注1)長尾賢「活動範囲を拡大するインド海軍:日本にとっての意味」『勃興するインド-日印協力のアジェンダ-』(東京財団)2015年10月7日

(注2)Sanjeev Miglani , “Exclusive: U.S. and India consider joint patrols in South China Sea – U.S. official” (Reutor, 10 Feb 2016)

中国の影に危機感を募らせるインド

 インドがこうした動きを進める背景には何があるのか。やはり中国のインド洋進出が関係しているとみられる。インド海軍の艦艇が訪問した40カ国以上の国々を詳細に見てみると、日本、米国、オーストラリア、東南アジア諸国の大半を訪問しているにもかかわらず、中国を訪問していない。

 実は、モディ政権より前の政権は、インド海軍の艦艇に日本を訪問させる時には中国も訪問させていた。しかし、昨年10月に訪日したインド海軍の艦艇は日本、韓国、フィリピン、ベトナムは訪問したが、それだけでインドに帰ってしまった。

 今回の国際観艦式には中国も招待しているから、ある程度の配慮はしている。だが、前の政権に比べれば、モディ政権は明らかに中国を警戒しており、それがインド海軍の動きに反映されているとみられる。

中国がインド洋で進める3つの展開策

 実際、中国海軍によるインド洋進出は非常に活発化している。中国の活動は大きく3つに分けられる。第1は、インド周辺の国々で進める港湾建設だ。これらの港湾を地図上に描いて結ぶと、インド亜大陸に真珠の首飾りをかけているように見えることから「真珠の首飾り戦略」と呼ばれる。インドは、これらの民生用の港が中国海軍の拠点として使用されることを懸念している。

 2つ目は中国海軍そのもののインド洋展開だ。中国はインドが懸念している通り、インドの周辺国に艦艇を寄港させ始めている。2014年にはスリランカに2度、中国の潜水艦が寄港。2015年にはパキスタンにも中国の潜水艦が寄港した。今年1月末には中国の3隻の軍艦がスリランカを訪問し、そのままバングラデシュも訪問した。中国艦隊がバングラデシュを訪問するのは初めてのことだ。

 こうした動きは、インドの周辺だけでなく、インド洋全域でみられるようになっている。特にソマリア沖の海賊対策に派遣された中国艦隊には、海賊対策のほかに別の目的があるようだ。2014年、中国は海賊対策のために潜水艦を派遣した。潜水艦は海賊対策には不向きだ。海賊対策を口実にして、インド洋に海軍力を展開し、情報収集や訓練にあたっているものとみられる。

 海賊対策に従事する中国の艦隊は当初、補給のためにセイシェルに寄港していた。それが今度は、ジブチに基地を設置する。中国にとって、インド洋沿岸で初めての海軍拠点になりそうだ。

中国がバングラデシュやスリランカにも武器を輸出

 3つ目は武器輸出である。中国はインド周辺国に向けた武器輸出を熱心に進めている。パキスタンに4隻のフリゲート艦を輸出し、さらに8隻の潜水艦を輸出することを決めた。バングラデシュにも、2隻のフリゲート艦を輸出済み。さらに2隻の潜水艦を輸出しようと積極的に動いている。中国とパキスタンが共同開発した戦闘機をスリランカに売却することも決めた。

 インドは、バングラデシュとスリランカに圧力をかけ、これらの計画を撤回させようと試みている。実際スリランカは、中パが共同開発した戦闘機の購入計画を撤回し、代わりに、インドの国産戦闘機の購入を検討中だ(図3)。

China's activity in Indian ocean

図3:インド洋における中国の海洋関連活動

 このようにインド洋における中国の海洋進出は、かなり活発になっている。インドが何もしなければ、その存在感は弱まっていくだろう。インドは、海洋においても大国であるとの強い意志を示し、中国の影響力を抑えたい。そのために国際観艦式を行い、空母を派遣して力を示すと同時に、武器や訓練を供与し、寛容なリーダーとして認められるよう努力している。そして、特に南シナ海における活動は、中国のインド洋進出に対するインド式の「返礼」、駆け引きのための重要なカードとなっているのだ。

インドは海洋国家になれるか

 だが、問題はインドの実力だ。インドは本当に強力な海洋国家になることができるだろうか。この疑問を解くカギは、シーパワーの研究者であるアルフレッド・テイアー・マハンの研究の中にあるかもしれない。マハンは、シーパワーに影響を与える要素として、地政学的位置、海岸線の長さと港湾、それを守る海軍力、海で働く人の人口、国民性、政府の政策などを挙げている(注3)。これらの要素をみると、インドにはシーパワーとしての高い潜在性が認められる。

(注3)アルフレッド・T・マハン著、北村謙一訳『マハン 海上権力史』(原書房、2008年)47~126ページ。

 まず地政学的位置だ。インドはそもそも大陸国家なのかというと、若干の違和感を覚える。高い山脈によってユーラシア大陸から切り離された地域だからだ。それを示すのは、かつてインドを治めた王朝の影響圏の範囲である。

 現在のインドとその周辺を統一した王朝はマウリヤ朝、ムガル帝国、英領インドの3つだけだ。この3つが影響を及ぼした範囲は似通っていて、南アジアからほとんど出ていない。

 原因の一つは地理である。インドは、ヒマラヤ山脈をはじめとする高い山脈に周囲を囲まれている。標高の低い地域から高い地域へと攻め上がっていくのは、戦闘面でも補給面でも難しいため、南アジアを超えた遠方に領土を広げることは困難だった。つまり、インドはユーラシア大陸とほぼ切り離された「島国」なのである(図4)。

Indian dynasty図4:インドの王朝の影響範囲 出所:長尾賢「インドは脅威か?」『政治学論集』第25号、2012年(学習院大学大学院政治学研究科)1~15ページ

 ただし、インドには別の歴史がある。チョーラ朝だ。欧州諸国が十字軍を派遣していた中世のころ、インド南部のチョーラ朝は強力な海軍力を保有し、インド洋沿岸から東南アジアまでを影響下に収めていた。チョーラ朝の歴史は、インドに海洋国家としての素地があることを示している。インド洋を通じて、東南アジア、中東、アフリカへと遠征することが可能だ。

海岸線は7500km、船員は5万5000人

 ほかの要素も、インドが海洋国家となる素地があることを裏付けている。その海岸線は7500kmに及び、多くの港湾を有している。インド洋の沿岸国の中で圧倒的に巨大な海軍も保有している。

 船員の数も多い。世界に散らばって働いているインド人船員を集めれば5万5000人規模となり、これは世界6位の人数である。しかも、インドでは、エネルギー需要が増大するのに伴って、海洋の重要性について理解を深めつつある。インド政府が海軍重視に政策の舵を切っているのは、前述の通りだ。つまり、インドは、マハンの言うシーパワーとしての潜在性があり、その能力を徐々に開花させ始めているのだ。

 公文書『インド海洋軍事戦略』には次のような文言がある。「インドは発展を続けている国だ。つまり『明日』は『今日』よりも良いだろう」(注4)。インドの海洋国家としての潜在性を見る限り、大きく外れた言葉ではない。

(注4)この翻訳は、長尾賢『検証インドの軍事戦略-緊張する周辺国とのパワーバランス―』(ミネルヴァ書房、2015年)312ページによる。

日米印連携は日本の国益になる

 インドが海軍力を強化すべく積極的に動いている現状は、日本にとってどのような意味を持つのだろうか。中国が海洋進出を進めるインド洋には、日本のシーレーンが通っている。中東から日本へ石油を運び、また、貿易するルートだ。中国との安全保障上の懸念を抱える日本にとって、インド洋におけるシーレーン防衛は気になるところだ。だから、2001年以来14年以上、海上自衛隊の艦艇や航空機を派遣し続けてきたのである。

 しかし、日本がインド洋でできることには限界がある。米海軍に期待するところもあるが、この25年の間に艦艇数を半減させており、あまり余裕がない。

 だから、毎年海軍予算を増やし続けているインド海軍との協力に期待が集まる。インド洋で日米が果たすべき役割を、少しでも多くインドが肩代わりしてくれれば、日米はそれだけ東シナ海、南シナ海に戦力を集中できるからだ。

 このような事情を背景に、米国はインドに最新型の対潜水艦用哨戒機を輸出。さらに、インドが進める原子力空母ヴィシャルの建造も支援し始めた。米国は、インドが進める原子力潜水艦の建造計画に対する支援も検討し始めている。日本もUS-2救難飛行艇の輸出交渉を進めるとともに、インドが求めているそうりゅう型潜水艦などの輸出についても真剣に検討するべき時期が近付いているといえよう。

2/18日経ビジネスオンライン 山田泰司『家政婦は見た! 中国経済の異変 不景気で減る仕事 帰省できず爆竹禁止でたまる鬱憤』について

「举报有奖」と写真にありますが、これは密告の勧めです。違反者を当局に通知すれば、報奨金を出すとの意味です。ネットの「五毛党」以外の世界にも、共産党は監視強化の政策を採り入れたのでしょう。文革の時にも密告を奨励し、林彪の亡命用の飛行機が落ちたのは(撃墜されたのでは?)、自分の娘の林立衡から密告され、亡命が発覚したからだという話もあります。中国は監視社会です。日本の人権派弁護士は中国や朝鮮半島が好きなようですが、日本をこんな社会にしたいと思っているのでしょうか?何が人権派かと言いたい。

春節の爆竹・花火の禁止は習がクーデターの勃発を恐れたからでしょう。音が凄いので、銃や爆発物の音と紛らわしくなるからです。習はそれだけ、軍を押えきれていないという事です。

農民工の出稼ぎが無いなんてことは過去の8年間の駐在時代(1997~2005)には聞いたことがなかったです。中産階級が増えて、保姆(=家政婦)を頼む人が増え、中国の不景気がトリクルダウンの逆バージョンで農民工にも来ている構図では。中国経済の崩壊はこれからが本番と言う予兆のようなものでしょう。中国の発表する数字は信用できません。都合の悪いときには10倍~100倍くらいに数字を水増ししますので。

中国に投資している人は回収すべきです。

記事

ban of firecrackers & fireworks

爆竹・花火禁止を呼びかける横断幕やポスターが年の瀬の町の至る所に掲げられた(上海市内)

 「爆買いはもう終了」、との声もありつつ、この春節(旧正月)も大勢の観光客が日本各地を訪れ旺盛な消費力を見せつけた。一方、中国国内、それも私の生活する上海市内に目を転じてみると、今年の春節は気になる2つの変化が見られた。1つは春節の風物詩とも言える花火と爆竹の禁止。もう1つは春節にも帰省せず上海にとどまる家政婦など出稼ぎ労働者が増えたことである。中でも帰省しない家政婦の一件は、中国経済の変調をうかがわせる、気になる現象である。

 中国に来たことのない人でもニュース映像などで一度は見たことがあるのではないかと思うが、中国の春節を象徴するものの一つに、人々が爆竹を鳴らし花火を打ち上げることがある。春節の休暇期間を通じて、昼夜問わずに町のそこかしこから爆竹や花火の音が聞こえるのだが、ピークは3回ある。除夕(大晦日)から初一(春節初日)に日付が切り替わる前後の1時間、お金の神様である財神が天から地上に降臨するのをお迎えする日とされる初五(春節5日目)の未明、そして春節休暇が終わりを告げる春節15日目の元宵の夜がそれで、上海中の市民が同時多発的に一斉に鳴らすため、家の中で目の前にいる相手の声が聞き取りにくいほどの爆音と、朦々たる煙に町が包まれる。

 ところが今年は、大気汚染のこれ以上の悪化を食い止めることを目的に、大都市を中心にこれを禁止する土地が続出した。上海でも中心部を取り巻く環状線の内側での打ち上げが禁止された。

日本人の想像を絶する中国人の爆竹好き

 中国人は、春節に帰省すること、そして家族で爆竹を鳴らすことを人生の楽しみに、そして励みにして暮らしているようなところがある。

 私はこれまで、何度も中国で春節を過ごしたが、帰省はともかく、大人になってまで爆竹を鳴らすことの何がそんなに楽しいのか、残念ながら今に至るまで、実感としては皆目分からないでいる。ただ、私が初めて中国に暮らし始めた1988年、新卒で大学の教師になった人の初任給が70元(現在のレートで約1260円)だった時代に、春節の花火と爆竹に費やす金額が1家族あたり200元(3600円)にもなるという話を聞いて、驚き呆れると同時に、爆竹を鳴らすのは中国人にとって、よく分からないけれども、とにかく特別なことなのだなということは感じた。現在でも、500~1000元(9000~1万8000円)程度は使うようである。

 私は昨年、河南省の辺境にある農村地帯から上海に出てきて廃品回収をしている友人が帰省するのに合わせて彼の自宅にお邪魔し春節を過ごしたのだが、やはり大量に買い込んだ爆竹と花火を納屋にしまい込んでいた。そこで、何がそんなに楽しいのかと単刀直入に聞いてみると、40代の友人はきょとんとした顔で、「因為、開心嘛」(だって、楽しいじゃん)と答えた。理屈抜きで楽しい、という意味である。中国人にとって、爆竹や花火は体の深いところに訴えかける何かがあって、ストレスも何もかもを吹き飛ばす効果があるのだろう。

「自首」「通報」町に溢れる寒々しい言葉

 その爆竹が大都市の多くで禁止された。上海では年の瀬から至る所に禁止を告げるポスターや横断幕が掲げられ、「違反を通報すれば報償」「違法行為を発見したらすぐ119番に通報せよ」「隠している者は自首を奨励する」といった寒々しい言葉が師走の町に溢れかえった。爆竹・花火打ち上げの3つのピークの中でも特に激しい年越しの夜に上海当局は、監視のために警察やボランティアを動員したのだが、その数なんと30万人と言うから驚く。私の住むアパートの入り口にも、年越しの夜は数人の警官が張り付いていた。その甲斐あってか見事に爆竹や花火の音は聞こえなかった。

 ところで、過去数年にわたり反腐敗による幹部の摘発が相次ぐ中、春節の爆竹に対する厳しい締め付けが行われたことで、「まるで文化大革命の時代が戻ってきたようだ」、といった批評を、日本のネットや報道で見かけることがある。「通報」「自主」などという言葉の羅列を町中で目の当たりにすると、確かにいい気持ちはしない。ただ、文革のまっただ中に生きた中国人に話を聞くと、「文革時代に似てるというのはさすがに大げさ」という反応があることを伝えておきたいと思う。

 北京で新聞記者の家庭に生まれたという60代のある女性は、文革のさなか両親の勤めていた新聞社の社宅のアパートに住んでいたが、「『今日は何号棟から同僚が飛び降りた』『昨日は何号棟から飛び降りた』というような話が毎日のようにあった。地獄だった」と当時を振り返る。

農村に溢れる習近平夫妻のポスターの意味

 やはり文革当時、天津で幼少年時代を過ごした50代のある男性は、遊び場にしていた近所の雑木林で時々、死んだ人間が転がっていたのを鮮明に覚えているという。「子供のころ、死体を見るのは特別なことでもなかった」。この男性が生まれたのは日本で東京オリンピックが開かれた1964年。私は彼の1つ年下だが、これまで目にした死体は、亡くなった自分の祖父だけである。

 中国の国や人の行動や言動を見て「どうして中国はこうなのかな」と理解に苦しむことも少なくない。ただ、同時代に生まれながら、幼少期に見たもの聞いたもの触れたものがまるで違うということを知ると、思考や価値観が違うこと自体は当然だということには得心がいく。

 この春節、私が訪れた安徽省の農村部にある石畳が美しいある古村落では、自宅の目立つところに習近平国家主席のポスターを貼っている家が目立った。どこで買うのと尋ねると、村の書店で売っているとのこと。この様子を見て私も、「農村では習近平に対する個人崇拝が進んでいるのかな」ということがチラリと頭をかすめた。ただ、その村に住む20代の友人は、「お正月に指導者のポスターを買って飾るのは特に珍しいことではない」と言う。そうなのか、でも、日本に安倍晋三と夫人のポスターなんて、書店はおろかどこにも売ってないよと話したら、彼女は「へえ、そうなの」と、とても意外だという顔をしていた。

poster of xijinping & his wife

春節の農村部で多数見かけた習近平夫妻のポスター

 中国人の自宅に国家主席とファーストレディーのポスターなどがペタペタと貼ってあるのを見ると思わずギョッとしてしまうが、話を聞いて実態を知ると、特に意味があることではなかったりもする。何をもって中国を理解するかというのは、なかなかに難しい話である。

去年の11月から急減した仕事

 さて、春節を目前に控えた1月末のある日。「明日帰省しちゃうからその前にウチにゴハンを食べに来て」と同世代の友人夫婦が誘ってくれた。安徽省の農村から上海に出稼ぎに来ているハンさん夫妻である。夫は再開発に伴う建物の取り壊しの現場で肉体労働、妻は富裕層から上位中間層の家で家政婦をしている。

 彼らに会うのは3カ月ぶり。昨年10月に結婚した次男夫妻に子供ができたと嬉しいニュースを聞かせてくれたのだが、どことなく浮かない顔をしている。次男の嫁を「ちょっとかんしゃく持ちね」と評していたので、嫁姑問題でも勃発しているのかと尋ねると、「そんなことじゃないよ!」と笑いながら手を振り、しかしすぐに笑顔を引っ込めて、「仕事が減っているのよ」と言う。

 ハンさんは、息子が結婚するのでその準備に1カ月ほど仕事を休んで帰省した。働きぶりが真面目で料理も上手なハンさんは売れっ子で、多いときには固定客だけで8軒を掛け持ちし、1カ月に過去最高で1万元(約18万円)、平均でも8000元(15万円)と、大卒サラリーマン顔負けの月収を稼ぎ出している。

「だから、1カ月ぐらい休んでも、お客さんはすぐに取り戻せると高をくくっていたの。ところが11月に上海に戻ってみると、完全に状況が変わっていた。家事を頼むお金持ちが、減っていたのよ」と言うのだ。

 仕事が減っているのはやはり景気が悪くなっているから? と尋ねると、「家政婦仲間ではそういう認識。掃除だけ頼まれていた家から仕事を打ち切られたとか、掃除と食事の準備を頼まれていた家から『食事だけでいいわ』と言われたとか。そんな話がこの2カ月で急に増えた」。ハンさん自身も、最高で8軒あった固定客は2軒に減った。「いくら1カ月休んでいたからといって、2軒から増やせないとは思いもしなかった。次男が結婚して初めての春節だから、両親として帰省してくるお嫁さんを実家で迎えないわけにはいかない。でも、上海に残って少しでも稼ぎたいというのが本音よ」。

 ハンさんの夫も、上海の都心部に取り壊すべき物件がほとんど無くなり仕事が減ったため、この数カ月はつてを頼って、富裕層を中心に広がり始めた床暖房の敷設工事をやり始めた。だが、解体の仕事が毎日あったころの月収には届かない状況が続いているという。

「仕事奪われるの怖い」 帰省できない出稼ぎ層

 仕事が減っていると証言する家政婦はハンさんだけではない。やはり安徽省の農村出身で、シングルマザーとして4歳の一人娘を育てているチョウさんもその1人だ。チョウさんは、過去2年、スマートフォンやパソコンが日本でも人気の台湾メーカーの上海工場で夜勤の仕事をしていたが、夜中に12時間働いても月収が4000元(7万2000円)に満たないため、週末に家政婦をして家計の足しにしていた。ところが、過去2年は2軒あった得意先が、昨年の11月から1軒に減ったのだという。「切る理由は言われなかったけど、景気が悪くなったことが関係しているのは間違いないと思う」。危機感を覚えたチョウさんは、今年の春節は子供だけを帰省させ、自分は上海に残って家政婦の口を探すことにした。ただ、結果は、「1軒も見つからなかった」とチョウさんは不安そうな顔で唇をかんだ。

 上海のメディア『東方網』は2月4日付で、今年の春節は家政婦の時給が50元(900円)と通常の25元(450円)の倍になったと報じている。これだけを見ると家政婦は売り手市場のように思えるが、チョウさんは、「ひとくちに家政婦といっても、料理、洗濯、掃除など家事の需要と、老人や身障者の介護、乳児や子供の世話の需要に分かれる。今年、春節の相場が倍になったのは、家政婦がいなければ家族が本当に困ってしまう介護の家政婦の方。家事だけなら同じ25元のままでしたよ」と実情を語る。

 先に紹介した習近平夫妻のポスターを自宅に貼る家々がある安徽省の古村落から上海に出稼ぎに来て家政婦をして10年目になるというオウさんも、「春節は、去年までなら上海に戻るのは、早くても法定休日最終日の初六(春節6日目)。長いときには元宵節(春節15日目)まで田舎の自宅にいた。でも今年は初四(春節4日目)には上海に戻る」と言う。例年より前倒しで仕事を再開する訳を尋ねると、「景気が悪くなって仕事が減り始めていることを心配して、今年は春節に帰省しない家政婦が多いと聞いたから。他人に仕事を取られると困る。私は今のお得意さんとは長い付き合いだが、安心はできない。仕事が減れば、音楽大学に通う子供に仕送りをするのも苦しくなる」。

 田舎の自宅に残って米を作り、農閑期には荷役をして現金を稼いでいるワンさんの夫が、妻や子供と顔を合わすのはこの10年間、春節に家族が帰省した時だけ。ワンさん夫妻にとって今年は、たった4日間の夫婦水入らずの時間となった。

 さらに身近なところでは、上海にある私の団地のご近所さんも、今年の春節は外地に出稼ぎに行っているご主人が帰省してこなかった。隣人夫婦は江蘇省の出身だが、既に身寄りがいないため故郷には帰省せず、夫婦の自宅があり妻が働く上海で春節を過ごすのを常としていた。ところが今年はご主人が戻らない。今年はご主人が帰ってこないんですね? とも聞けずにいたが、「わが団地の情報通」と自他共に認める16号棟のオバハンが私を目ざとく見つけてすり寄ってきて、「ご近所さんと麻雀して聞いたんだけどね、アンタのお隣さんのダンナ、稼ぎが悪くて今年は春節に戻ってこられないらしいよ」と耳打ちした。私は陰でなんと言われているのだろう。ヤレヤレ、である。

強引な政策は危機感の表れ

 ともあれ、不景気の影響で、出稼ぎの人々の仕事が減り始めているのは間違いないことのようである。これが春節前後だけのことであれば、日本をはじめとする海外に爆買いツアーに出かけるからその間、家政婦は不要、ということも考えられるし、実際、そういう理由も一部にはあるのだろう。ただ、家政婦たちは「11月ごろから仕事が減り始めた」と口を揃える。日本での買いっぷりを見ていると気付き難いが、景気の悪化は爆買い客の主体である富裕層、上位中間層よりも、彼らにサービスを提供する出稼ぎ層に一足先に忍び寄り始めたようだ。

 さらなる景気悪化の懸念が叫ばれる中、気になる現象ではある。ただ救いは、春節の爆竹禁止が都市部だけにとどまり、出稼ぎ層の帰省先である地方の小都市や村落には適用されなかったことだろうか。私が訪れた安徽省の農村でも、早朝5時ごろから深夜2時ごろまで、村人たちが連日、盛大に花火や爆竹を鳴らしていた。それでも、現地の夜空は、星に手が届きそうなほど澄み渡っていた。

 高度成長を享受するという点において、出稼ぎ層は、都市出身者に比べ確実に見劣りする。家政婦をしている人で日本に爆買いツアーに出かけたことがあるという人に、少なくとも私はまだ、お目にかかったことはない。その彼らが、何よりも楽しみにしている帰省先での春節の爆竹と花火を禁止されとしたなら、鬱憤は確実にたまることだろう。

 いや、今年は上海に居残りせざるを得ず、爆竹もできずに鬱憤をためた出稼ぎの人々が、昨年よりも確実に増えたはずだ。爆竹・花火の禁止を聞いたときには、大気汚染解消にはそれよりも先にやることがいくらでもあるだろうと突っ込みを入れたくなったものだ。ただ、市民の鬱憤が確実にたまるだろうことを承知で禁止に踏み切ったのは、景気と汚染の状態が、それだけ抜き差しならないところに来ていることを認識した当局の危機感の表れなのだろう。