2/8日経ビジネスオンライン 鈴置高史『北朝鮮が長距離弾道ミサイルを発射 日・韓の「核の傘」を揺らす一撃に』について

ジェブ・ブッシュは大統領選の討論会で、「北朝鮮のミサイルへの先制攻撃」について言及していましたが、「衛星かミサイルか」人工衛星で撮った映像で分かるのであれば兎も角、分からなければ無理でしょう。地下にミサイルを隠して発射時にだけドームを開いてと言うのは007の映画でも良く出てきます。やはり、ミサイル防衛システムが必要となってきますし、有事の際に反撃できる姿勢を確保できることこそが相手の抑止力になります。米国は勿論抑止力を持っています。日本海にも核を搭載した原潜が遊弋している(対北ではなく対中・対露では)と思われます。日本も早く憲法を改正し、いつでも反撃できるようにし、自衛隊にはネガテイブ・リストだけにすればそれだけでも相手国に対する強大な抑止力になります。それはそうでしょう。攻撃側が中段突きしか出せないと分かったら、それを流して上段突きを出せばよいのですから簡単です。何が来るか分からないようにして初めて相手が言うことを聞くようになります。

中国は外交上の蹉跌を繰り返しています。ルトワックが言っていた通りの道を歩んでいます。北への制裁もいつもどおり「圧力をかけると暴発する」と消極的です。周辺諸国は中国がまた邪魔をしていると思うだけです。国連は無用の長物と益々思われるでしょう。北朝鮮を中国のバッファ・ゾーンにという思いは勿論あるでしょうが、北京軍と瀋陽軍の権力争いもあり下手すればクーデターになることを恐れているのかもしれません。金正恩だって後ろ盾がなければあんなに狂気じみたことはできません。2/9日経には「マカオのバンコ・デルタ・アジアの口座を凍結後、関連口座は複数に分散され、実態がつかみにくくなった。中国から北朝鮮の原油輸入は統計上ゼロ。実際は中朝国境付近の鴨緑江に埋設された約11キロのパイプラインを通じて北に送油」とありました。でなければ経済的に息の根を止められて金王朝はすぐにでも崩壊するでしょう。イランとかは米国と国交回復(共和党大統領が出て来たらどうなるか分かりませんが)する予定なので、イランも北を応援することはしにくいでしょう。やはり中国が鍵です。でも北の主体思想は中国からの「主体」=中国の言いなりにはならないという考えです。朝鮮半島人は相手を利用することしか考えません。

今度はその韓国。2/8日経には「韓国国防相が「検討」 日本との防衛秘密共有

 【ソウル=峯岸博】韓国の韓民求(ハン・ミング)国防相は7日の国会答弁で、日本と直接、防衛秘密を共有するのに必要な軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の締結について「日本が何度も要求しているので、政府内で他の要素を一緒に見ながら検討していこうと考えている」と述べた。日韓のGSOMIAは2012年に署名直前で韓国側の要求により棚上げされた。日本は北朝鮮への対応に欠かせないと締結を求め続けている。」とあり、2012年にサイン直前でキャンセルした非も詫びずこれですから。如何に厚かましい民族かという事です。韓国を切れないという甘えと言うか足元を見ているのでしょう。Yahooニュースでは否定する一幕も。変わり身が早いのでしょう。この国の民は信用できません。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160208-00000036-yonh-kr

南スーダンで、自衛隊から弾薬1万発を借りたのに韓国国家としてお礼も言わず、「韓国側から要請したことはない」「不足していたわけではない予備的に借りただけ」とか見え透いた嘘を言う連中です。

また、韓国は米国ともTHAADで方針転換し配備を検討とありましたが、これも中国の恫喝でどうなる事やら。中国に振り向かせるために(女が男に気を持たせるような焦らし作戦のような)、やっているのでしょう。米国も韓国を信じてはTHAADの技術・情報が中国に流れると見ていいです。米軍基地内に配備し、韓国人はオフリミット、韓国シンパの米国軍人もオフリミットにしなければ。日本もTHAAD配備について新たに検討と2/9日経記事にありましたが、金が高くても買うべきです。自衛隊基地の中に置いて研究すべきです。

記事

北朝鮮が2月7日午前9時31分頃(日本時間)、北西部の東倉里(トンチャンリ)から長距離弾道ミサイルを発射した。米国をも核ミサイルの射程に入れたと誇るのが目的だ。韓国や日本に対する米国の核の傘を揺るがす一撃となる。

「衛星打ち上げに成功」

 北朝鮮の朝鮮中央テレビは午後0時半(同)に特別重大報道を放送し「地球観測衛星『光明星4号』の衛星軌道進入に完全に成功した」と伝えた。

 朝鮮日報のユ・ヨンウン軍事専門記者は「軍、『北のミサイル(による)人工衛星、宇宙軌道進入に成功』」(2月7日、韓国語版)で以下のように報じた。

  • 北のミサイルによる人工衛星は宇宙軌道進入に成功したと推測される、と韓国国防部は公式発表した。
  • 米本土に到達できる射程距離1万―1万3000キロのICBM(大陸間弾道ミサイル)の開発が、ほぼ成功段階に至ったことを意味する。

ミサイル実験で何が変わる?

—北朝鮮の狙いは?

鈴置:「米国にまで届く核」を持ったと示すことです。1月6日には4回目の核実験を実施し「核弾頭を着々と作っているぞ」と示しました。

  • 北朝鮮の核実験
回数 実施日 規模
1回目 2006年10月9日 M4.2
2回目 2009年5月25日 M4.7
3回目 2013年2月12日 M5.1
4回目 2016年1月6日 M5.1

(注)数字は実験によって起きた地震の規模。米地質研究所の発表による

 2月7日の長距離ミサイル実験で、今度は「その核弾頭を米国まで打ち込めるようになったぞ」と見せつけたつもりでしょう。

 韓国人が米韓同盟への疑いを深めるのは間違いありません。例えば、北朝鮮の通常兵器による挑発で南北が衝突したとします。大規模な戦闘に至れば、米軍が韓国軍を支援することになります。

 が、今後は北朝鮮が「介入すれば、米国を核攻撃する」と脅す可能性が高まります。すると、そうなる前から――平時から、韓国人は「米国人が自分の国への核攻撃リスクまで冒して、果たして自分を守ってくれるのだろうか」と悩むようになるわけです。

 こうして韓国人に米韓同盟への不信感を持たせたうえで、北朝鮮は米韓同盟の弱体化に本腰を入れるでしょう。すでに「米韓合同軍事演習を中止すれば核実験を凍結する」などの誘い水を韓国に向けています(「『在韓米軍撤収』を保守も主張し始めた」参照)。

 もしこの取引が成立すれば、北朝鮮は次には「在韓米軍撤収」や「米国との平和協定締結」を言い出し、米韓同盟を廃棄に追い込むシナリオを描いていると思われます。

5月の党大会で「実績」誇示

—今回実験したのは長距離弾道ミサイルだから、韓国と日本にはあまり関係ない、という人もいますが。

鈴置:日韓は北朝鮮がすでに保有している短・中距離弾道ミサイルの射程に入っています。確かに、今回の実験により直接的な脅威が増すわけではありません。

 ただ、韓国はある意味でそれ以上の脅威――米韓同盟への信頼性が大きく減じるという大問題に直面するのです。

 北朝鮮は「米国まで届く核」をかざして、日本に対しても強腰で挑むようになる可能性が大です。

—北朝鮮の労働党大会との関係は?

鈴置:労働党は5月に党大会を開きます。36年ぶりの党大会でして、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の権力基盤を固めるのが目的です。

 30歳代前半の若い指導者だけに実績が必要です。当然、4回目の核実験と合わせ今回のミサイル実験を、第1書記の権威付けに使います。

 「米国に届く核」を完成し、米国と対等に付き合えるようになった――と国民や韓国の親北派に向け、宣伝に乗り出すでしょう。

韓国は軍事行動に出るか?

—韓国はどう出ますか?

鈴置:手の打ちようがありません。中国はもちろん米国も、軍事力まで使って北から核ミサイルを取り上げてはくれません。

 経済制裁も、北朝鮮との輸出入を100%断つといった完全なものなら効果があります。が、原油の90%以上を供給するなど最大の貿易相手国である中国が消極的です。

—韓国自身が軍事力を使う手があるのでは?

鈴置:韓国人にそこまでハラは固まっていないようです。軍事行動に出れば、第2次朝鮮戦争になりかねませんからね。

 もちろん保守の中には、今春実施する米韓合同演習の際に一気に北進し北朝鮮を吸収合併するしかない――と主張する人もいます。戦争を始めてしまえば、米軍も韓国を助けざるを得ない、と説明してくれます。

 あるいは金正恩第1書記を暗殺しよう、と主張する人もいます。ただ、常に隠密行動をするリーダーの暗殺は、口で言うほど易しくはありません。

 そもそも軍事行動を唱える韓国人も、朴槿恵(パク・クンヘ)政権にはそんな思い切った手は打てないだろうとあきらめ顔です。大統領は「国民の目を意識して発言は強気一本やり。だが実は、度胸はない」と言うのです。

 せいぜい、対北支援のトンネル機関、開城工業団地の一時閉鎖程度の「強硬策」しか打てないだろうと見る韓国の専門家が多い。

ソウルに「核武装」の垂れ幕

—国民はフラストレーションがたまるでしょうね。

鈴置:核武装論がさらに盛り上がると思います。4回目の核実験の直後、保守系紙は「核武装を検討せよ」と書き始めました(「やはり、韓国は核武装を言い出した」参照)。

 その後も、米中など国際社会が早急な対北制裁に乗り出さないので、韓国の核武装論者の声はボルテージが上がる一方です。

 「日本と一緒に核武装に動けば米中も本気になって北を叱ってくれるだろう」との意見も出ています(「そうだ、日本と一緒に核武装しよう」参照)。

 さらには保守の大物政治家も、核武装を呼び掛けるに至りました(「FIFA元副会長も訴えた『韓国の核武装』」参照)。

 ソウルの繁華街には「核武装」を訴える垂れ幕が掲げられ始めたようです。保守サイト、趙甲済(チョ・カプチェ)ドットコムに金泌材(キム・ピルジェ)記者が書いています。

 「愛国党、ソウルのあちこちで『NPT脱退、自ら核武装』の垂れ幕掲げる」」(2月3日、韓国語)という記事で、写真付きです。

国論は分裂へ

—韓国の世論は核武装論一色になるのでしょうか。

鈴置:左派は核武装論に乗りそうにありません。反対に、北朝鮮との対話で解決しようという人が目立ちます。先ほど説明した「米韓合同軍事演習と核実験凍結の取引」に応じよう、といった意見です。

 驚くべきことに、保守の中からも「米中が談合して北の核を認めそうだ。この状況を根本から変えるために、在韓米軍撤収と北の核廃棄を取引する手もある」との意見が飛び出しました(「『在韓米軍撤収』を保守も主張し始めた」参照)。

 韓国の核武装は実現性が低いから、何とか他の手段も考えよう、ということでしょう。

—「韓国の世論は割れる」のですか?

鈴置:そちらの方向に向かっています。

—米国は?

鈴置:打つ手がないでしょう。韓国同様に、軍事力を使うつもりはないからです。4回目の核実験後から、中国と対北制裁を話し合ってきましたが、合意に至っていません。今後も、制裁強化に向け中国の説得に動くでしょうが「北の核」廃棄は難しい。

 今すぐではありませんが、韓国の左派や一部保守までが言い始めた「北朝鮮との取引」に応じる可能性もあると見る人が増えています。ベストの解決策ではありません。が、軍事力を使わないとの前提下では、これがベターに見えるからです。

「米韓同盟」消滅を待つ中国

—では、米韓同盟は緩んでいくということですね。

鈴置:そういうことです。中国にとっては願ってもない状況です。中国が「北の核」の解決に熱心でないのは、北という緩衝地帯を失いたくないからだ、というのが定説です。

 もちろんそれは正しいのですが「北の核」の存在により、米韓同盟を消滅させられると見ていることもあるでしょう。

 今回の北の長距離弾道ミサイルの実験は、単に「ミサイルの射程が伸びたかどうか」といった話ではないのです。東アジアの安全保障の構造を大きく変える事件なのです。

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