12/13日経 『中国 対テロに乗じる民族政策 新疆の炭鉱殺害「容疑者を射殺」 パリ事件翌日ネットに』について

12/13日経 半歩遅れの読書術 渡辺利夫『陸奥宗光のリアリズム 危機下の指導者の苦悩』についての記事が掲載されていました。

Toshio Watanabe

「日清戦争外交の全局を指導した外務大臣•陸奥宗光の凜たる漢語調の回顧録が『新訂蹇蹇録』(岩波文庫)である。「日清戦争外交秘録」というサブタイトルをもつ本書ほど、危機における指導者の行動をあからさまに描いた著作を私は他に知らない。

日清戦争とは、日本が清国と戦った近代初の対外戦争である。「定遠」「鎮遠」など世界最強の装甲艦を擁する清国に比して日本の劣勢は明らかだった。にもかかわらず、清国を宗主国、自らを属領とする「清韓宗属関係」を切断して朝鮮を「独立自主」の国としなけれぱ日本の「自衛の道」はないと陸奥は判断した。

李朝末期の朝鮮は政争と内乱を繰り返し、その度に清兵が半島に派される状況を目の当たりにして陸奥は危機感を募らせた。気が付けば世界最大の陸軍国家ロシアも朝鮮をうかがっているではないか。

日本が清国に挑んでこれに勝利する術は「機略」以外にはない。この時期、日本が外務大臣に陸奥を戴いたのは天の采配のごとくであった。戦う以上は勝たねばならないが、勝利してなお列強の反発は避けられない。自らを「被動者」、清国を「主動者」とし余儀なく戦わざるをえない戦争だと装うことに陸奥は努めた。

清国がのむとも考えにくい朝鮮内政の共同改革案を提示し、清国がこれを拒否したことをもって開戦の大義とした。弱者が強者に挑んで勝利するには敵の機先を制するより他ない。戦局のことごとくで日本軍はこの戦法に徹し勝利を手にした。そして日本は日清講和条約において清国に「朝鮮国ノ完全無欠ナル独立自主ノ国タルコト」を確認させるに至った。

しかし、条約蹄結の直後にロシアが独仏を誘って「三国干渉」の圧力を加え、 日本は重要な「戦利品」たる遼東半島を清国に還付せざるをえなかった。『蹇蹇録』の最後にこうある。「畢竟我にありてはその進むを得べき地に進みその止まらざるを得ざる所に止まりたるものなり。余は当時何人を以てこの局に当らしむるもまた決して他策なかりしを信ぜんと欲す」

言い訳ではない。「兵力の後援なき外交は如何なる正理に根拠するも、その終極に至りて失敗を免れざることあり」と記す。「臥薪嘗胆」の10年を経て日露戦争勝利に日本を導いたのも、陸奥の三国干渉受諾の決断だったといっても過言ではない。時代背景を論じた著作に岡崎久彦著『陸奥 宗光とその時代』(PHP文 庫)がある。 外務省庁舎のゲートを入って右手に進み、突き当たりを左へ少し歩いたところに陸奥の銅像が立つ。長いこと酸性雨に当てられたからだろう、数条の緑色の筋が顔に流れて陸奥の凄みを際立たせている。(経済学者)」

明治時代の外務省は国の命運を賭けて戦いましたが、大正デモクラシーの時代を経て劣化していき、昭和、平成とダメになりました。昭和には重光葵のような気骨のある外交官もいましたが、幣原のような意志薄弱な外交官もいました。平成に至っては平和ボケばかり。前述赤字の陸奥の言葉を拳拳服膺すべきでは。中国と言う「今そこにある危機」を回避するには、中国包囲網を友好国と築かなければなりません。それが中韓と言う敵国の「南京」「慰安婦」でやられ放し。少しは武器なき戦いで勝利するところを見せてはどうか。

日経もやっと「テロに名を借りた中国のウイグル族に対する弾圧」を記事にするようになりました。世界的にはとっくに報道されていましたし、ネットの世界では有名な話です。チベットも南モンゴルも同じように弾圧されていますが。チベットにはダライ・ラマがいますが、ラビア・カーデイル女史は日本ではまだ有名ではないような気がします。このように中国の暴虐を大手メデイアがどんどん報道するようにしないと。ネットを読んでいる人はとっくに中国の悪について理解していますが、メデイアの「ネットは悪」の宣伝を鵜呑みにしてネットから情報を取ろうとしない人がまだまだ沢山います。デジタル・デバイド(情報格差)が広がるというのが自覚されていません。

新聞がリベラルの立場を主張するのであれば、中国の人権弾圧にもっと声を上げねば、「ご都合主義」、「二重基準」の謗りを免れません。日本は世界の中でも人権が良く守られていると思います。それを中韓の尻馬に乗って、日本政府を非難することだけではおかしいでしょう。米大統領候補でレイシストのトランプが今でも人気が落ちないのは、米・白人の心の裡を表していると見て良いのでは。

欧州の移民受け入れは植民地を持った宗主国の道義的義務があるからですが、受け入れが失敗だったのはホームグロウンテロで明らかです。勿論人口は経済的にプラスと考えてのことでしょうが。日本は台湾、朝鮮半島、満州を統治しましたが、植民地(colony)ではなく、併合(annexation)ですので道義的責任は負いません。日経が主張している経済面のみを考えた安易な移民受け入れは失敗します。安全保障の方が大事です。靖国の爆弾事件はテロです。韓国はテロ支援国家と国際的に非難しなければ。外務省は何をしているのかと言いたい。フランスの地域選挙の第一回投票ではマリーヌ・ル・ペン率いる国民戦線(FN)が13地域中、6地域で第一党と勝利し、安全を願う国民が増えているという事です。マリーヌ・ル・ペンはレイシストとも言われていますが、それでこんなにも勝利するのでしょうか?やはり安易な難民受け入れはしたくないという国民の気持ちが働いたのでしょう。

記事

「56日におよぶ追跡のすえ、テロリストの射殺に成功した」。中国公安省がネットにこんな書き込みをしたのは11月14日、パリ同時テロの翌日だったという。詳細は明らかにされず、書き込みもやがて削除されたそうだ。それでも、中国情勢に関心を持つ向きには十分に意味のある情報だった。

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Rabiye Qadir中国の王毅外相は最近、新疆の過激派対策は世界規模の「テロとの戦い」の重要な一環だ、と表明した=ロイター

記者会見する「世界ウイグル会議」のラビア・カーディル主席(10月、東京・有楽町の日本外国特派員協会)

 キーワードは「56日」だ。9月18日に新疆ウイグル自治区アクス地区の炭鉱で50人が殺害されたとされる事件の、容疑者たちを掃討したのだろう――。そう推測するのは自然だった。

 炭鉱の事件について中国の当局やメディアは当時「公式発表」を一切していなかったが、米国の自由アジア放送(RFA)というメディアなどが早くに伝えていたからだ。

 思わせぶりな公安省の書き込みについて、またもRFAが詳しく報じたのは、3日後のこと。4人の女性と3人の子どもを含む17人の容疑者が隠れていた洞窟を当局が爆破し、全員を殺害した凄惨な出来事だった、と。

米報道を後追い

 これを受けて、というべきか。RFAの報道から3日後、新疆の共産党委員会の機関紙である「新疆日報」が9月18日の事件も含めた「公式発表」を掲載した。

 それによると、炭鉱の事件での犠牲者は16人。2カ月近い追跡のすえ最終的に「テロリスト」たちを掃討したのは11月12日で、射殺した「テロリスト」は28人だった。ただ、女性や子どもが含まれていたかどうかには触れなかった。「テロリスト」たちは「海外の過激派組織の指揮」を受けていた、とも新疆日報は指摘した。

 さらに3日後には、人民解放軍の機関紙である「解放軍報」が11月12日の掃討作戦を紹介した。火炎放射器を使って容疑者たちを洞窟からあぶり出し、刀を手にして向かってくるのをすべて射殺した、と。

 一連の経緯からは、RFAの報道が迅速で、かなり正確でもあることがわかる。

 たとえば、9月18日の炭鉱の事件について真っ先に報じた。あるいは、最後の「テロリスト」掃討作戦は洞窟が舞台だったと伝えた。いずれも後になって「公式発表」が認めている。すると当然、「公式発表」が触れない部分やRFAと食い違う部分には疑問が浮かぶ。

 当局が射殺した「テロリスト」のなかに女性や子どもは含まれていたのか。洞窟を爆破したのか、それとも火炎放射器を用いたのか。9月18日の炭鉱の事件の背景は何なのか。本当に「海外の過激派組織の指揮」を受けていたのか。こうした疑問点の解明を国際的な人権団体などが訴えているのは、当然だろう。

共産党内に異論

 実は共産党政権は足元で、新疆の民族政策や対テロ政策をめぐって党内の異論の封じ込めに追われている。たとえば11月はじめ、新疆日報の元編集長だった趙新尉氏を「民族政策などで異論を公言した」といった理由で党から除名した。「異論」の詳細は不明だが、高圧的な民族政策に対する不信が共産党の内側でも広がっている可能性がうかがえる。

 同月下旬には、党の規律問題に関わる部門の機関紙が「テロを支持したりテロに加わっている幹部がいる」とまで指摘して、思想統制の強化を訴える論文を掲載した。深刻なのは「海外の過激派」よりも党内の動揺の方ではないか、という疑念さえ浮かぶ。

 かりに「公式発表」が真実だとしても、「刀を手に」向かってきた容疑者たちをすべて射殺するという対処は適切だったのか、議論の余地があろう。足などを撃って動けなくするだけで十分だったのではないか、と。火炎放射器の使用も同様だ。

 中国当局は「反テロ」の名の下に暴力をエスカレートさせている――。海外に亡命したウイグル人たちの集まりである世界ウイグル会議(WUC)がこんな懸念を表明しているのは、理解できる。

 WUCは、共産党政権が「パリ同時テロ」に乗じて新疆のウイグル人への弾圧を強めている、とも非難している。実際、公安省が「テロリストの射殺に成功」と書き込んだのがパリ同時テロの翌日というタイミングだったのは、不気味だ。

 王毅外相は最近、国際会議に出席するために外遊した先で、新疆の過激派対策は世界規模の「テロとの戦い」の重要な一環だ、と表明している。

 「(米同時)テロは米国にとって悲劇だったが、中国の発展にはとても有益だった」。こんな言葉をこのコラムで紹介したのは、4年あまり前だ。語ったのは国際関係論の専門家として知られる金燦栄・中国人民大学教授だが、共産党政権の本音に近いだろう、と指摘した。パリ同時テロについても彼らは同じように受け止めているのではないか。そんな疑念を禁じ得ない。(編集委員 飯野克彦)

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