『安倍元首相のスピーチライターが見た「アベノミクスの光芒と無念」』(7/12日経ビジネス 谷口 智彦)について

7/12The Gateway Pundit<“THE NEW YORK TIMES IS TRULY THE ENEMY OF THE PEOPLE!” – President Trump on the NY Times>

7/11本ブログで米国人は紙媒体を16%の人しか信用していないと。日本も紙媒体を信じる人は少なくなってきているから、売上部数が減ってきている。押し紙問題で訴訟になり、新聞販売店が勝利したりして、新聞社の思い通りにはいかなくなってきている。

http://www.kokusyo.jp/oshigami/17072/

https://www.thegatewaypundit.com/2022/07/new-york-times-truly-enemy-people-president-trump-new-york-times/

7/13阿波羅新聞網<中共正在严正交涉 他曝日本第二颗“震撼弹”=中共は厳正な交渉をしている 彼は日本の第二の「衝撃爆弾」を明らかにする>安倍晋三元首相は8日、暗殺された。謝長廷駐日代表は今夜(12日)Facebookで、月末に7人の日本人議員が台湾を訪問することを明らかにし、「日本の国会の台湾への支援は安倍前首相がいなくても消えることはない」と強調した。これに対し台湾外交部はまた、日本のあらゆる分野の代表団が台湾を訪問し、さまざまな分野で二国間の実質的な友好関係を深めることを歓迎すると回答した。

https://www.aboluowang.com/2022/0713/1774832.html

7/12阿波羅新聞網<安倍枪手新资讯曝光 有6大疑点【阿波罗网报道】=安倍の狙撃手に関する新しい情報が公開された。6つの大きな疑問がある[アポロネットワーク報道]>凶悪犯は後に母親が統一教会の会員で、多額の寄付で家が破産し、安倍首相と宗教団体とのつながりに不満を持って殺害したと告白した。アポロの王篤然評論員は、6つの疑問を分析した。

第一に、統一教会のセキュリテイは安倍よりも当然厳しくない。この教会に恨みを抱くなら、長い間計画してきて、教会に復讐すれば、安倍に対するよりもはるかに難しいことではない。教会には多くの指導者がいる。目標は1人だけではないので、彼の発言はとってつけたものである。

第二に、教会の活動は通常週に一度行われ、母親は月に一度しかそこに行ってないので、彼女の敬虔さがどれほどなのか分からない。

第三に、教会の責任者はまた、安倍はお祝いのメッセージを送っているだけだと言った。この程度の関与と支援であれば、政党が宗教団体にお祝いの書簡を送るのは日常茶飯事である。この点だけでも、安倍と統一教会との緊密な関係というのは不正確である。

第四に、1998年に狙撃手の母親が入信し、2002年に家が破産したと言われているが、それから20年になる。狙撃手は時間が十分にあるのに、なぜ今年安倍に焦点を合わせたのか?

第五に、日本のメディアは現在、新宗教とこの問題との関係を掘り起こしている。米国にいる日本の記者は、統一教会も米国に大きな影響力を持っており、トランプをしっかりと支持し、トランプ、ペンスとポンペオは全員オンライン活動に参加したことがあると述べた。事情はますます奇妙になっている。日本のメディアと知識人は左寄りであり、安倍の生前に、メディアは彼に非常に非友好的だった。たとえば、大手新聞社の朝日新聞は非常に親共である。

第六に、狙撃手はとても落ち着いていて、今のところ何も変わっていない。彼は非常に冷血で、NYの民主運動家で反共の弁護士である李進進を殺した女殺し屋と似ている。日本の左翼勢力は非常に強力で、日本共産党は合法であるだけでなく、国会にも多くの議席を持っている。安倍首相の死の前日、日本の情報当局者は、中共が25,000人のスパイを日本に送っていることを明らかにした。

https://www.aboluowang.com/2022/0712/1774558.html

7/12阿波羅新聞網<安倍遇刺 0.2秒毙敌第一女保镖就在旁?大逆转【阿波罗网报道】=安部の暗殺時、0.2秒で敵を倒すNo.1の女性ボディーガードが隣にいれば?大逆転【アポロネット報道】>【8日のアポロネットビデオ報道】現場のビデオでは、マスクをつけた女性が地面に横たわっている安部の怪我をチェックしている。これは石田萌美で、No.1の女性ボディーガードが大事な時にはいなかったことを示した。 アポロネットの日本の編集者である李アンナは、現場に美しいボディーガードがいたという信頼できる日本のメディア報道がないことに気づいた。女性のボディーガードの石田萌美は、2014年頃に日本のメディアに登場した。ボディガードはスカートを着用せず、普通の女の子はスカートを着用するので、ボディガードでは当然ない。石田萌美も職務遂行時にはズボンを着用する。アポロネットの王篤然評論員は、石田萌美はとても冷静沈着で、顔は凛としていると言った。現場にいたスカートをはいた女の子たちはとても優しく、満月のような顔をしていて、見た目も気質も違う。

https://www.aboluowang.com/2022/0712/1774563.html

7/12阿波羅新聞網<乌克兰惊现这“武器”专家:俄军绝望了=ウクライナはこの「武器」に驚く 専門家:ロシア軍は絶望的>ウクライナの当局者は、ロシア軍が最近S-300防空システムを使って地上の標的を攻撃し始めたと述べた。専門家は11日に、このシステムは射程距離が長く、非常に速い飛行速度の利点があるものの、実際にかつては地上の標的を攻撃することもあったが、弾頭の致死性は不足し、誘導システムは搭載されず、機能とコストの不均衡を考慮すると、精密誘導弾はロシア軍が消耗しつくした可能性があり、ロシア軍は絶望を感じているのでは。

https://www.aboluowang.com/2022/0712/1774672.html

7/13阿波羅新聞網<这原因让斯里兰卡总统无法搭机出境 颜面扫地=この理由により、スリランカ大統領は国外に飛ぶことができなくなり、面子がない>スリランカの空港入国管理局は本日、ラジャパクサ大統領が出国手続を終える間にVIPラウンジで待つことを拒否し、四面楚歌の大統領は面子丸つぶれ、多数のフライトを逃した。情報筋によると、彼は現在、海軍の巡視艇を使って海外に逃げることを検討しているという。

https://www.aboluowang.com/2022/0713/1774869.html

7/12阿波羅新聞網<遭中共“一带一路”坑杀!斯里兰卡破产 这3国挫著等….=中共の「一帯一路」によって殺された!スリランカは破産し、これら3か国も待っている・・・>スリランカは6日、経済危機により破産を宣告し、多くの人が不満を抱き、抗議行動を起こした。9日には、ゴタバヤラジャパクサ大統領とラニルウィクレメシンゲ首相の公邸を占領した。彼らの両方は辞任を発表した。外国メディアの報道を総合すると、アナリストは、「一帯一路」に参加することによるスリランカの多額の借金の状況は、他国の鏡として使えると考えている。中共の「一帯一路」にも参加したザンビア、レバノン、パキスタンなどの国々も、同じ債務危機に直面している。

https://www.aboluowang.com/2022/0712/1774669.html

何清漣 @HeQinglian 7h

ジョンソン英国首相-西側で最初に倒れたドミノ牌https://upmedia.mg/news_info.php?Type=2&SerialNo=148984

この記事は、欧州における最近の政治的混乱の背後にある共通点を分析し、ロシア・ウクライナ戦争の現在の状況が西側の左陣営の予測と完全に異なっている所以は、まず米国とウクライナの共有する情報戦が他人を欺いても、最後には自分自身を欺くことはできないからと指摘した。第二に、西側陣営は形勢の見込みを完全に間違え、EUがロシアのエネルギーに大きく依存し、代替チャネルを見つけていないのに、EUは急いで制裁した。

upmedia.mg

何清漣のコラム:ジョンソン英国首相-西側で最初に倒れたドミノ牌-上報

最近、国際的大事件が次々発生し、ジョンソン英国首相の辞任、安倍元首相の暗殺、そして石油価格を安定させるためにバイデン米大統領が放出した戦略備蓄…。

何清漣 @HeQinglian 8h

香港メディア:20大で習近平リーダーに毛沢東と同等という大冠を授けるhttps://rfi.my/8Zkb.T

@RFI_Cn

Q:昨日はクーデターについて話してなかったか?クーデターの後にリーダーに指名されるチャンスがまだあるのはどうしてか?

rfi.fr

香港メディア:20大で習近平リーダーに毛沢東と同等という大冠を授ける

中国共産党の第20回全国代表大会は秋に北京で開催される。 2,300人の中共代表が中共の新しい指導者を選出し、中共総書記である習近平が再選されるかどうかが正式に発表される。

https://twitter.com/i/status/1546668100455522304

何清漣 @HeQinglian 5h

ドイツのグリーンロンダリングは本物であるが、カーボンニュートラル目標を取消するかどうか確認する必要がある。しかし、これは一部の人達の目ではすべてが間違っていると言う中国人であるが、事実がそこにあるので、彼は今回は非常に正しい:天然ガスと核エネルギーはすべてグリーンロンダリングされ、石炭採掘が再開された。

元々グリーンエネルギーは、他国がエネルギーを輸入し、炭素排出量の割り当てを購入することに基づいている。

引用ツイート

薛丁丁が帰ってきた @xuedingding01 21h

#ドイツは2035年のカーボンニュートラル目標を取消する。私が勉強していたとき、先生は、ほとんどの基準は現在、環境保護の名の下に欧米人によって設定されていると言った。実際、それらは発展途上国を制限するために使われ、あなた方が待っていれば完成できと言い、彼らはあなたを制限し続ける新しい一連の基準を出し、そしてもちろん、彼らがそれができないならば、彼らはいつでも基準を廃止するだろう。我々の努力の方向性は、西洋の基準を追求することではなく、我々の実力で基準を設定する権利を獲得することである。

実力とは武力のこと?

何清漣 @HeQinglian 1h

≪外交政策≫の3月の記事「スリランカでは、有機農業は災難的な誤りである」は、重要なポイントを示した:

1.経済状態が悪く、化学肥料に依存している農家の90%がグリーン農業を推進し、物価の高騰に.つながり、多くの人が食料を買う余裕がなく、野菜の供給が不足している。

2.推進した責任を負うのは農業の専門家ではなく、環境団体を含む少数の人達で、彼らがこれで利益を上げるようにしたから。

Foreignpolicy.com

スリランカでは、有機農業は災難的な誤りである

全国的な実験は、悲惨だけを生み出した後、放棄される。

何清漣 @HeQinglian 1h

NYTの2021年12月の記事「スリランカでは、政府はますます家族経営のように見える」

ゴタバヤ・ラジャパクサ大統領の3人の兄弟は、現在、政府の要職に就いている。彼の甥の2人も公職にある。

nytimes.com

スリランカでは、政府はますます家族経営の会社のように見える(2021年発行)

ゴタバヤ・ラジャパクサ大統領の3人の兄弟は現在、彼の政府でトップの地位にある。彼の2人の甥も公職にある。

谷口氏の記事では、日本経済の衰退の原因の一つに企業経営者の日本での投資マインドが減り、内部留保だけが蓄積していったと。

小生が思うに、①91年12月からのバブル崩壊の痛手で、“羹に懲りて膾を吹く”経営者心理が続いていた②2001年の中国のWTO加盟で中国進出がブームに③円高での国内脱出で産業の空洞化が進んだ。 でも下のグラフを見れば、円安・円高関係なく、日本企業の海外進出は進んでいったということです。メデイアの言うことは信じない方が良い。日本での雇用を守るより、コストの安い国へ進出して、日本を含む世界各国に輸出すればよいと経営者がバブル崩壊後は思い出したということでしょう。儲かればよいということで、不祥事が今に至るまで続いています。日本のエリート層(頭)がずっと腐ってきたので、政府が経済刺激策をいくらしても効かないということだったのでは。

(株)小川製作所調べ

安部氏の暗殺で思いますのは、左翼の影響(メデイア、教育)が社会の隅々に行き渡り、為に保守派と見做される人物は暗殺の対象になると。米国の民主党やソロスが保守派の最高裁判事や共和党員を民主主義の敵とみなしているのと同じです。日本は米国のように分断されていないはずなのに、メデイアが腐っていて分断を煽っているからでしょう。

記事

2013年1月、「強い経済を取り戻す」と所信表明演説をする安倍晋三首相(当時)(写真=アフロ)

7月8日に凶弾に倒れ、突然命を奪われた安倍晋三元首相。安倍氏の元で15年間スピーチライターを務めた慶応義塾大学大学院教授の谷口智彦氏が本誌に緊急寄稿し、アベノミクスと、そこに懸けた安倍氏の足跡を書き下ろした。

アベノミクスには第1版と、より長期の視野に立つ「2.0」とがあった。いずれもマクロ経済学的に筋が通った政策だった。だが効果がなかったのか? この問いに答えを出すのは、少し待ってほしい。

「高村さん」と、麻生太郎氏は高村正彦氏に呼びかけたという。2012年9月の自民党総裁選に立った有力三候補、石破茂、石原伸晃、それに安倍晋三各氏について、麻生流人物月旦(人物評)が始まろうとしていた。

石破、石原の両氏についてひとしきり一流の批評をしたあと、こう言ったらしい。「でもね高村さん、腹が悪いのは、クスリで治るらしいよ」

先立つこと5年前、07年9月突如として総理の座を退いたときの安倍氏は、持病の潰瘍性大腸炎が悪化し粥(かゆ)さえ受けつけない状態だった。

新薬で持病克服、生まれ変わった安倍氏

2年後の09年9月、スイスのティロッツ・ファーマという医薬品メーカーを折からの円高をテコに買収したゼリア新薬工業は、ティロッツ製で長年同病に悩む患者が待ち望んでいたクスリ「アサコール」の承認・販売にこぎつける。

服用を始めた安倍氏における薬効たるや顕著で、安倍氏は2010年ごろ、それ以前の40年経験したことのなかった寛解状態に至る。まるで神の啓示を聞き生まれ変わった(ボーン・アゲンの)人のごとくで、安倍氏がそのとき見た空は、人生で最初の突き抜けるような青空だっただろう。

麻生氏はそこを見て取って、安倍氏の総裁就任を予見し、期待した。

総裁就任は、12年9月26日。安倍氏が日銀の金融政策について語る言葉、経済を動学的に見ようとしない財務省を批判して言うあれこれの言辞は、俄然重みを持ち始めた。

円ドル相場は総裁就任の前日、1ドルに対し78.0093円。トレンド変化はそこから始まり、同年12月26日に第2次安倍政権が発足すると、翌27日に初めて85円台をつけた。13年1月末の終値は、91.029円。同月22日には財務省・日銀間で歴史的共同声明(アコード)が出たから、市場はいっそう確信を固めた。

株式市場に起きた同様の激変について触れるのは省くとして、12年12月から翌年1月にかけ、市場の空気を変えた効果は大きかった。

再登板、人々のマインドを動かし、空気を変えた

人々のマインドを断然変えたアナウンスメント効果の激烈さは、戦後日本経済史に類例をもたない。往昔、1931年に蔵相として返り咲いた高橋是清が就任当日金輸出停止に踏み切った例くらい、だろうか、比較に値するのは。ちなみにこの故事は、安倍氏が英金融街シティーの中心「ギルドホール」で2013年6月19日自身の経済政策について演説した際、援用した話だ。

第3の矢「成長戦略」が尻すぼみだったと見る向きは多かろう。

なるほど、中曽根康弘政権に可能だった国鉄民営化のようなメガ規制緩和を政府が追求できる余地は、残っていなかった。電力流通の自由化に期待はかかったが、所期の産業創出効果は出なかった。けれど第3の矢とは「民間投資を喚起する成長戦略」だったのであって、肝心要、「民間投資」が出てこなかったのは、企業部門における総意の表れだったとしか言いようがない。

財務省・金融庁は安倍氏生涯の盟友・麻生氏の指導の下、出せるタマをせいぜい出した。法人税が高いとする不満に応えて米国並みに下げ、その代わりしっかり稼いで納税余地をつくってくれと、自己資本利益率(ROE)重視の経営を鼓吹した(あの財務省が!)。企業に資金運用の効率化を図らせるため、英シティーに学んでコーポレート・ガバナンスの新基準とスチュワードシップ・コードをともに導入、機関投資家の圧力がかかりやすいようにした。

押したり、引いたりしたが、押しても引いても日本企業は変わらなかった。本邦非金融法人統合貸借対照表の借方には、国内総生産(GDP)の実に6割になんなんとする現預金が眠る。キャッシュなのだから何の果実も生まない。東京都立大学大学院経営学研究科・松田千恵子教授の研究によれば、「取締役会のメンバーに高齢者がいるほど投資活動が不活発となり、現金が社内に滞留する」というエビデンスがある。

アベノミクスは、企業に眠る現預金を揺さぶり世に出すことができなかった。ゆえに労働分配率は上がらず、新事業、新産業のめぼしい台頭はなかったが、その責を負うべきは高齢のボードをいただいてひたすらリスク忌避を図った「Japan Inc.」でなくて、他の誰であり得よう。

経営者たちに遍在する日本の将来それ自体に対する根深い不信が問題で、日本企業のリスク忌避傾向がそこに起因すると気づいた安倍総理、今井尚哉首席首相秘書官ら政策チームは、第2版のアベノミクスを打ち出す。当初アナウンスメント効果を狙い劇的成果を得た「矢」は、いったんここで矢筒に収まった。

長期視点の「アベノミクス2.0」

16年、安倍氏は主要7カ国(G7)から来たキリスト教徒の首脳たちを伊勢神宮内宮に連れて行き(空前にしておそらく絶後)、サミット会議に臨む。直後に打ち出したアベノミクス2.0は短期的刺激策であることをやめ、長期政権の実力をもって初めてなし得る超長期の政策提案だった。

希望出生率を1.8に持ち上げるとしたことこそは象徴的だ。

あたかも中央銀行におけるイールド・カーブ・コントロール=長期金利に働きかけようとする本来は困難な政策に似て、教育コストや託児費用の低下、老親介護経費の低廉化など、打てる手を八方打って現役世代に未来への期待を抱かせ、少しでも子どもをつくりたくなるよう誘導しようとする政策だった。

労働に疲弊しては、未来を思うゆとりができない。ワーク・ライフ・バランスを重んじる政策がここに発するし、雇用形態の差からくる賃金格差を埋めるべく、同一労働同一賃金の徹底を図る政策も現れた。

ひとに優しい政策ではあった。けれどもひとに優しくすることそのものを自己目的としたのではない。

「希望」こそが日本の希少材

チーム安倍にあったのは、日本においては「希望」こそが希少財だとの強い認識である。

そのうえで、
①日本の将来を明るいと思う人が増える②徐々に出生率が上がり人口減少が底打ちする③日本市場が再び投資するに値する場となり④企業が現預金を前向き用途に吐き出すと⑤賃金の上昇が始まり⑥税収も上がって⑦防衛力強化の余地が増して国際環境を安定させ⑧安堵感は人々をより未来志向にする。そして上の①に戻り、「自己強化型因果ループ」が回ることを期待した。

ちなみに①を実現するにもあれこれと試みた。五輪・パラリンピックと万博の招致をともに成功させることは、安倍氏の強いコミットメント抜きにあり得なかった。五輪の成否に意見は分かれるだろうが、筆者は、あれすらなかったとしたら疫病下の日本はもっと絶望的に暗かっただろうと思う。

しかし、またしても、だ。

労働慣行を変え非正規労働者を減らし、男女賃金格差を大きく埋めるといった働き方改革は、緒についたとはいえ道半ば。「三六協定」に縛られない労働時間管理は実現できず、金銭解雇法制も達成できなかった。

日本の野党は、新規政策の法案化について無力でも、与党の目玉政策を阻む力において無比である。慣習上日本の総理大臣は予算委員会に世界に類例をもたぬ長時間座り続けざるを得ず、野党は総理を人質にとりつつ、衆人環視のサーカスを演じて総理を追い詰め、重要法案審議の時間をまるごと奪うことができる。

これによって守られたのは、正規雇用の社員だった。

日本には、2種類の岩盤既得権益層がある。1つは莫大な医療費を費消する高齢者層。もう1つは絶対にクビを切れない正規雇用者。つまり、すぐ明日の私たちと、今日の私たちなのだ。消費税を上げた安倍氏は、増収分を若者に振り向けることで、「明日の自分」への闘いに挑みつつあった。民主制下で、最も困難であるに違いない闘いに。

サプライサイドを見る限り経済が成長するには3つの経路がある。そして3つしかない。①労働投入の増加②資本装備の上昇③全要素生産性(注1)の向上だ。

注1:経済成長を生み出す生産性を測る指標の1つで、資本や労働のような量の生産要素以外の、技術イノベーションなどによる生産性など質の面での成長要因を表すとされる。

これまでの叙述から、アベノミクスが①と②にポジティブな効果を与えようとしたことがおわかりいただけよう。

問題は「差分」として事後的に計れる上の③の増やし方で、これには決定的な解決策がない。一言で言うとあれもこれもすべて試すしかない。

この点で安倍氏とそのチームには期待を託した政策が2つあった。

1つには貿易と投資、データ流通において日本を自由な取引の中心に置こうとすることだ。ここでは米国退場の後を受け安倍氏獅子奮迅の働きで成功にこぎつけた「環太平洋経済連携協定(TPP-11)」、世界最大の民主主義経済連携協定となった「日EU経済連携協定(EPA)」の2つの目覚ましい達成を記す。安倍氏は、日本に新しいアイデンティティーを与えようとしたと私は見ている。海洋に開かれ、自由と民主主義の仲間と深く結ばれる国としての、日本。上の達成は、そのためでもあった。

いまひとつが、女性の活躍である。安倍氏は一時期アリアナ・ハフィントン(注2)ばりに、「もしリーマン・ブラザーズがリーマン・ブラザーズ・アンド・シスターズだったら」と問いかけて、「きっと潰れていなかった」と言うのを常とした。

注2:米のリベラル系オンラインメディア、ハフィントンポスト(現ハフポスト)の女性創業者。

付け焼き刃でなかったことを、言っておきたい。男の中には自分よりできる女を遠ざけたがる者や疎んじる者がいる。安倍氏の性格とはほど遠い。ついでに言っておくと、外遊先で夫妻と食卓を囲んだ折などによく見た昭恵さんとのほのぼのとした光景には、いつも心温まるものがあった。

安倍晋三氏を失って、少なくともしばらくは昭恵氏も失ってしまうことが残念でならない。

あれは15年4月、すでにして初夏の痛いような陽がわれわれをとらえたホワイトハウスのサウス・ローン(南庭)。オバマ、安倍の両首脳とともに2人のファースト・レディが立った。昭恵さんがそのとき着ていたのは、日の丸の赤と色配合を合わせたに相違ない真に目の覚めるような赤と、白とを合わせたツーピースだ。女優の黒木瞳さんがこのときのためとくにデザインしたものと聞いた。私には目に眩しく、心に頼もしかった。

ニューヨークで、ロンドンで、安倍昭恵氏は津波の跡を覆って立ち並ぶ防潮堤が森と海とのつながりを断つからよしてくれと言い、自らその目で見たHIV/AIDSの悲惨を語った。夫君と同様、練習を積んで臨んだ英語のスピーチは、昭恵さんの柔らかい声に載って、一座を沈黙させ、強い感動に包んだ。

安倍氏のためスピーチを書くのが生き甲斐だった

大和西大寺まで公共交通機関でしか行き着けず、駅から病院まで信号を守り渋滞に阻まれてしか到達できないようにした日本社会の吝嗇(りんしょく)を恨む。

翌日、7月9日。東京都渋谷区富ヶ谷の自宅へメルセデスの霊柩車に夫の亡きがらとともに乗って長い旅程の末着いた昭恵さんは、泣きはらしたのであろう、もうこれ以上流れる涙とてない様子だった。いつもは背筋を伸ばしてしゃんとしているのに、誰かにつかまっていたいような弱々しさがあった。

安倍晋三氏のためスピーチを書くことが生き甲斐となっておよそ15年。いま、氏が亡くなって私には気がついたことがある。朝起きてから、夜寝るまで、何を見、何を聞いても、これは総理ならどう思うか、スピーチにするならどうなるだろうと、そればかりを、いやそれだけを、考えて送ってきたということだ。

安倍総理、安らかにお休みくださいなどと、私は口にできない。

谷口 智彦(たにぐち・ともひこ)
慶応義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授

1957年生まれ、65歳。東京大学法学部卒業後28歳で日経ビジネス編集部に入り2005年外務省で外務副報道官となるまで約20年同誌で勤務。その間に、ロンドン支局で初代特派員。米プリンストン大学、上海国際問題研究院、米ブルッキングズ研究所で研究生活。2008~13年1月までJR東海常勤顧問。のち第2次安倍政権で当初内閣審議官、のち慶応義塾大学大学院教授就任とともに内閣官房参与。20年9月安倍総理退陣とともに官邸を去り今日に至る。

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