『アサヒGHDや東芝、人権配慮の調達急ぐ 政治リスク増す 』(4/26日経朝刊)、『ウイグル族の強制労働問題 問われる日本企業のビジネスと人権への対応 』(4/14 Sustainable Brand Japan )について

4/25阿波羅新聞網<川普总统呼吁部署国民警卫队 为亚利桑那州”爱国者法证审计”提供安保【阿波罗网编译】=トランプ大統領は、アリゾナの「愛国者の投票監査」に安全を提供するため、州兵の配備を要求する[アポロネット編集]>「ゲートウェイパンデイット」は、4/25(土)の朝、トランプ大統領が「勇敢な愛国者の2020年大統領選挙の投票監査」の安全のためにアリゾナ州警察または州兵の即時配備を求める新しい声明を発表したと報道した。

民主党はどう動くのだろうか?

https://www.aboluowang.com/2021/0425/1585327.html

https://twitter.com/i/status/1386024028888989701

4/25阿波羅新聞網<欧盟发布声明:中共在南海主权争议水域大规模聚集船只危及地区和平稳定=EUは声明を発表:南シナ海の紛争海域で、中共が大規模船団を繰り出したことは地域の平和と安定を危険にさらす>欧州対外行動局(European External Action Service)は、「南シナ海の状況は最近緊迫している。中共によるホイットソン礁(中国では牛軛礁として知られる)近くに大規模船団)を集結させたのは、地域の平和と安定を危険にさらす」との声明を4/24に発表した。

声明は、EUは、効果的で実質的、法的拘束力のある行動規範を策定するためのASEAN主導の取り組みを支持し、すべての当事者が最終計画に到達するために真摯な努力をすることを要請すると述べた。

フィリピン政府は先月、中国の武装民兵が乗った200隻もの漁船がフィリピンの排他的経済海域に集まったことを確認した。中共の動きは、米国、EU、日本を含む多くの政府に中共の動機に疑問を投げかけ、フィリピン政府による相次ぐ外交抗議にも直面している。

EU対外行動局はまた、EUが国際ルールと地域の安定に基づいて秩序を混乱させるいかなる行動にも強く反対することを繰り返し表明し、声明の中で強調した。 EUは、すべての当事者に対し、国際法、特に《海洋法に関する国際条約》の紛争解決メカニズム、および国連海洋法条約に準拠した2016年7月12日のハーグ国際法廷による南シナ海判決に従って、平和的手段を通じて紛争を解決するよう要請した。

日本の遺憾砲と同じく、声明だけではダメで、中国以外の自由主義国やASEAN 諸国が艦船を出してパトロールしないと。当然日本も。

https://www.aboluowang.com/2021/0425/1585336.html

4/25阿波羅新聞網<中国倒闭潮 两种店却越开越多 恶性循环开始 面粉贵过面包 下游亏损无法避免=中国の倒産ブーム 2種類の店舗がますます多くオープンしている 悪循環が始まる 小麦粉はパンよりも高い 川下の損失は避けられない>

テスラの普及を抑制するため、広州の多くの高速入口では入るのを禁止する(ビデオ)

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中国国民の資金不足は長期的な問題である・・・統計局の統計によると、2020年の中国の一人当たりGDPは72,000元に達し、一人当たり可処分所得は32,000元、居住者の可処分所得はGDPの44%に過ぎないが、米国では76%である。

居住者の家計債務/可処分所得合計額を使うと、中国の居住者のレバレッジ比率は160%を超えている。潜在的な消費=可処分所得+新規借入-債務返済となる。この公式によると、中国居住者の潜在的な消費には3つの特徴がある。

第一は、可処分所得が非常に低いこと。

第二に、レバレッジ比率が非常に高く、債務返済圧力が大きい。

第三に、新規借入は消費に使用されることはめったになく、主に住宅購入に使われる。2019年末現在、住宅ローンの残高は総家計債務の54%を占めている。

小麦粉はパンよりも高価であり、川下の損失は避けられない・・・パンデミック後、中国は企業への信用支援を積極的に強化し、信用を利用して仕事と生産の再開を支援した。

ここには2つの問題がある。

第一に、企業の生産能力の急速な回復により、上流の原材料に対する需要が高まっている。

第二は、過剰流動性の問題であり、M2-GDP-CPIの数値は10年で最高値に達しており、実体企業はそれほど多くのお金を消費することができず、大量のお金は空回りするだけとなっている。原材料需要の回復により、広告する余地が広がった。

川上の原材料の需要が回復し、予備資金が増え、大口商品価格が高騰し始めた。しかし、川下の商品の価格は需要が弱く、価格を上げることができない。小麦粉はパンよりも高価であり、川下の損失は避けられない。

中国の破産ブームの悪循環が始まった・・・川下の企業の存続は流動性支援に大きく依存していると指摘した。流動性が逼迫すると、川下の工場は金融支援を失う。川下の企業の損失問題は、流動性で覆われているのが、露呈し始め、破産のブームが現れる。

破産のブームは2つの影響を及ぼす。仕事を失う人もいれば、投資したお金を失う人もいて、関係者の購買力が低下する。

しかし、川下の生産能力の減退によりインフレは上方修正され、需要はさらに低迷する。

大陸の多くの店が閉店したが、この2種類のお店はどんどん出店している・・・中国の商店街で奇妙な現象が発生し、衣料品、アパレル、家庭用品を扱う多くの店が閉店したが、同時にレストラン、不動産仲介&薬局が絶えず出店し続けている。

東方航空のCAの添寝事件は逆転し、上海警察はニュース源を逮捕した。ネットは沸騰・・・昨日既報。警察が仇某(男,42歳、自由業)を噂の流布で取り調べ中。ネットでは「コロナが出たときも噂だと言った人がいる」、「マイナスのニュースは皆捏造?」と。

希土類戦争が始まり、オーストラリアのリチウム商が400億$の市場で活躍・・・オーストラリアのリチウム商Orocobreは、国内の小規模なGalaxy Resourcesを14億米ドルで買収したことを発表し、電気自動車用バッテリーの主材料であるリチウムの世界第5位の生産メーカーとなった。合併後の合弁会社の市場価値は急上昇し 30億米ドルになった。

中国は米国の秋の収穫トウモロコシの注文を獲得したが、価格は8年ぶりの高値に急騰

https://www.aboluowang.com/2021/0425/1585307.html

4/25希望之声<习要求又红又专 清华校庆表演艳舞火爆网络(视频)=習はアカと専門性を要求、清華大学の創立記念の艶やかなダンス演出はネットで人気に(ビデオ)>今年4月の最終日曜日(25日)は北京の清華大学創立110周年祝賀の日であり、清華大学は関連活動を継続的に行ってきた。清華大学創立110周年記念公演の動画がインターネット上で流され、妖しげな衣装を身に纏い、踊る女子大生は、ネチズン達の熱狂を呼んでいる。ネチズンはそれを田舎の墓前での踊りか入浴センターの開業祝賀演出として説明した。皮肉なことに、中共の習近平書記長は、先に清華大学を訪れ、学生たちに「アカと専門性を持つ」よう要求した。

中共の公式メディア「中新ネット」によると、4/24、清華大学110周年記念として「清楽未央遊園会2021」がキャンパス内で開催された。連日、清華大学のキャンパスは、学校の創立110年を祝うために「多くの特色ある」活動を行ってきた。

大陸の弁護士劉暁原は4/25に清華大学の記念イベントのビデオを発し、「天上人間」入浴センターの開業祝賀演出と見間違うが、まさか清華大学創立110周年記念公演とは思わなかった。

清華大学は北清事変の米国への賠償金の一部で創建されたもの。米国のダンスを踊ったからとして気に病むことはない。米国は門戸開放政策を採り、大陸の開放を訴えたが、モンロードクトリンにあるように米国大陸への欧州関与を拒絶した。二重基準の典型。そのころから米国は中国に執心してきて、ずっと騙され放し。今や第二次大戦後獲得した世界覇権も中国に奪われそうな体たらく。頭が悪すぎでは。

https://twitter.com/i/status/1386174355005087751

https://twitter.com/i/status/1386007080318865409

これは清華園か(デイズニー風)、それとも華清池(玄宗皇帝が造った楊貴妃の湯浴みの場所、蒋介石が張学良に捕まった西安事件の場所でもある)か? 言葉もない。

https://www.soundofhope.org/post/498686

日経の記事とSustainable Brand Japanの記事を読み比べると、日経は奥歯にものが挟まった感じ。企業から広告を取っているから仕方がないのかもしれませんが。日本企業も本当にESGやSDGsをやるなら徹底してやれば良いのですが、中途半端。日経はユニクロも例に挙げていますが、Sustainable Brand Japanの記事で挙げている通り、柳井正会長がこの問題について「政治的なことなのでノーコメント」と言ったと。これは実質新疆綿を使っていると言ったに等しい。使っていなければ、「使っていない」の一言で済むでしょう。ユニクロは本気でESGをやろうとはしていないということです。柳井氏は2006年1月に小泉首相の靖国参拝に対し、「なぜ靖国神社に行くのか分からない。個人の趣味を外交に使うのはまずいんじゃないか」と政治的なコメントをしています。今回「政治的なことなのでノーコメント」と言うのはご都合主義では。

パナがアンケートに無回答と言うのは戴けない。幸之助が生きていたらこうはしなかっただろうに、2012年の反日デモの時の工場焼き討ちが効いているのか?アサヒは2005年、右翼に支援していると捏造記事を出され(日本企業に揺さぶりをかけるいつもの手ですが)、不買運動を起こされました。

日本企業は人権侵害・虐殺・臓器売買等、悪の見本の中国に手を貸すべきではないし、そこで儲ければよいというのは人道に悖る行為です。士だったら、そんなことはしないでしょう。もしそれでも良いというのなら、精神的劣化の証拠です。

日経記事

日本企業が人権侵害を避けるためにサプライチェーン(供給網)の見直しを急いでいる。海外の取引先で児童労働や強制労働などがないかを調査し、必要に応じ調達先の切り替えを進める。欧米では調達への人権配慮を求める法規制も進む。日本企業もリスクを把握し情報を開示するように求められ始めた。世界で民主主義が揺らぐ中、企業も政治リスクにどう向き合うか、難しい課題を突きつけられている。

企業が強制労働やハラスメントなど人権への影響を特定することを「人権デューデリジェンス」と呼ぶ。自社だけでなく供給網も対象で、リスクに関する情報開示や予防・軽減策の導入も必要となる。

欧州連合(EU)は加盟国に対して関連法制の整備を求める指令を出す方針で、2021年上半期にも法案が提出される見通しだ。日本政府も20年に「ビジネスと人権に関する行動計画」を策定し、企業に人権への配慮を期待するとした。

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アサヒグループホールディングスは今年から強制労働などの人権侵害リスクが高いコーヒー豆などについて、海外取引先の現地調査を順次実施する。伊藤忠商事もマレーシアやブラジルなどにある取引先の農園や工場で児童労働や違法な低賃金労働などがないかアンケート調査をした。今後は他部門にも対象を広げる。

調達先などで人権侵害があれば国際的な評判を落とすだけでなく、訴訟や不買運動などのリスクにもさらされる。三菱地所グループは30年度までに建設工事に使用するコンクリートの型枠用合板を全て国際的な人権基準を満たすものに切り替える。主産地であるインドネシアなどで先住民の土地収奪につながる違法伐採が行われており、こうしたリスクを排除する。

海外企業では食品や衣料品産業中心に人権への配慮が広く行われている。契機となったのが国連が11年に採択した「ビジネスと人権に関する指導原則」だ。人権を尊重する企業の責任を認め、人権侵害があった場合の救済申し立て手続きの整備も求めた。

直近ではミャンマーでの軍事クーデターや中国の新疆ウイグル自治区、米国での人種差別問題もあり、人権への関心は高まっている。

米国はウイグルで強制労働が行われているとし、同自治区産の綿製品などの輸入を禁止した。20年3月には豪シンクタンクが強制労働の疑いのある工場と取引があるとして日本企業14社を含むリストを公表した。東芝では、ブランド供与先で強制労働が疑われる現地企業と取引していることが確認され、この取引を打ち切ることとなった。

企業はウイグルの人権問題に対応すると、中国では不買運動のリスクにさらされ、ミャンマーでは税金を納めるだけで軍事クーデターを支援していると受けとられかねない状況も生じている。

企業の政治リスクは高まるが、投資家は企業の選別を強めている。国連責任投資原則(PRI)はESG投資に関し、新型コロナ禍では「S(社会)」を重視すべきだとの考えを公表している。

米ブラックロックは1月、新型コロナ下の工場などの労働環境に問題があるとして、マレーシア企業の取締役選任決議に反対票を投じた。西村あさひ法律事務所の渡辺純子弁護士は「今後、人権対応を理由とするダイベストメント(投資撤退)は増加する可能性が高い。日本企業はトップダウンで法務や調達などの部署を横断する体制整備を進めることが必要になる」と指摘する。

(雇用エディター 松井基一、矢尾隆行)

Sustainable Brand Japan 記事

厚生労働省で行われた会見の様子

日本ウイグル協会と国際人権団体ヒューマンライツ・ナウはこのほど、ウイグル族の強制労働に関与していると指摘された日本企業14社の対応に関する調査結果を発表した。無回答の1社を除き13社は関与を否定しているが、実態調査の方法はさまざまで、透明性の確保や対応への疑念が残る。両団体は、疑わしい限りは取引を停止するよう強く求めている。日本ウイグル協会のレテプ・アフメット副会長は「強制労働は外部からの圧力がなければ解決しない。企業には人権問題の全体像に目を向けて欲しい」と訴えた。ヒューマンライツ・ナウは「最終的には機関投資家が離れる。基本的人権や民主主義をどう体現していくのか」と企業、そして国家のガバナンスやサステナビリティに対する根本的な姿勢が問われていると指摘する。(サステナブル・ブランド ジャパン=小松遥香)

日本企業14社の対応はさまざま

オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)は昨年、日本企業14社を含む大手グローバル企業83社の中国国内のサプライヤー工場で、イスラム教の少数民族であるウイグル族が監視下に置かれ、移動や信仰などの自由を奪われた状態で強制労働させられていることを示す調査報告書を発表した。2017年から2019年の間に、新疆ウイグル自治区の再教育収容所などから中国全土の工場に送られたウイグル人は8万人を超えるという。
これに基づき、日本ウイグル協会とヒューマンライツ・ナウは該当する日本企業14社に対し、質問状を送る形で見解および対応策について調査を行うとともに、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に則り、企業の社会的責任を果たすことを求めてきた。
14社に含まれるのは、日立製作所、ソニー、TDK、東芝、京セラ、三菱電機、ミツミ電機、シャープ、任天堂、ジャパンディスプレイ、パナソニック、無印良品(良品計画)、ユニクロ(ファーストリテイリング)、しまむら。パナソニックは無回答で、そのほか13社は質問状に回答する形で強制労働への関与を否定している。
このうちサプライヤー工場に対して第三者監査を実施したと回答しているのは、日立製作所、ソニー、TDK、東芝、京セラ、無印良品(良品計画)の6社。日本ウイグル協会とヒューマンライツ・ナウは、第三者による監査を実施したことは前向きに評価するとしながらも、中国の体制下で透明性のある監査が実施できたか疑念を拭えないとし、「強制労働の事実が明確に否定できない限り、即時に取引関係を断ち切るべき」と勧告する。なお、京セラは「取引停止の可能性も含め検討している」と回答しており、アフメット副会長は「監査したが問題はなかった、と回答する企業よりも一歩前向きな対応だ。検討結果に期待したい」と話した。
三菱電機、ミツミ電機、シャープは指摘されたサプライヤーとの取引はないと否定するに留まり、任天堂とジャパンディスプレイについては「自己評価的調査を実施したように見受けられるが、調査内容が不明で詳細が分からない」と評した。無回答だったパナソニックについては絶望的と肩を落とした。
一方、世界の綿の2割、中国産綿の8割が新疆ウイル自治区で生産されているといわれ、強制労働問題に懸念を示したH&Mやナイキが中国で不買運動の対象になるなど、注目されているのがアパレル産業だ。ファーストリテイリングは同日、自社の決算記者会見で柳井正会長がこの問題について「政治的なことなのでノーコメント」と答えたことを共同通信などが報じた。同社は、「報告書に記載の2社と取引がないことを確認し、取引先工場の上流工程にある主要な素材工場なども調査した結果、強制労働は発生していない」と否定したが、日本ウイグル協会は、その2社のHPに今年3月半ば時点で取引関係があることが記載されていたと指摘している。しまむらは「該当サプライヤーに事実関係を確認したが、そのような行為はないとの報告を受けた」と回答。アフメット副会長は、取引企業に強制労働の有無を聞いても「ない」と答えるのが当たり前で、調査になっていないとした。

各社の回答(全文)

2団体は以下を勧告する。
1.指摘されている日本企業及び組織は、該当企業との取引関係を明らかにし、説明責任を果たすべきである。
2. 仮に現時点でも取引が継続している場合、報告書が指摘する強制労働の事実が明確に否定できない限り、即時に取引関係を断ち切るべきである。
3. 強制労働に対する是正措置及び再発防止策を策定し、それを公表すべきである。

ウイグル問題が浮き彫りにする国際秩序

アフメット副会長は「企業は強制労働のその先を見ていない。働いている人たちは自らの意思で出稼ぎに行っているわけではない。ウイグル人の社会、伝統、文化、生活様式という、ウイグル人として生きる上で不可欠な環境から切り離し、独自性を破壊する目的で新疆ウイグル自治区から各地に送られている。勤務時間外に政治学習などが行われ、帰りたい時に自宅にも帰れない。唯一の望みは外部からの圧力。この時代に、こうした非人道的なことは放置できない、ウイグル人に限らずこうしたことが世界中どこで誰の身に対して起きても放置できないという圧力が世界中からあって初めて解決に向かう」と語った。
会見に同席した中国研究者の阿古智子・東京大学大学院教授は、貧困対策としてウイグル人を各地に送り、雇用を与えているという中国の主張に異を唱えた。一方、中国では漢族に対しても貧困対策として労務輸出をはじめ、住む場所の移転、要望を聞くことなく雇用をあてがうといったことが行われてきた例を挙げ、「悲観的に思うのは、中国ではこの問題が悪いことと認識されていない恐れがあることだ。人権に対する考え方が一般的な民主主義国家とは違う。このことを私たちはすごく真剣に考える必要がある。これからの世界秩序を作っていく上で、私たちが正しいと思うことを正しくないと思う国とどう付き合っていくか考えていかなければならない」と語った。同時に、欧米の研究者らが報復措置で入国できなくなっていることにも触れ、中国研究者としてこの問題を語ることで、今後中国に行くのをためらう気持ちもあると吐露した。

SDGs時代に、企業や国は人権尊重をどう体現するのか

ビジネスと人権の専門家で、ヒューマンライツ・ナウの事務局次長を務める佐藤暁子弁護士は、「取引を続けるということは、自らの意思に反する、尊厳に反する状態を継続させるということだ。企業はこうした権利が侵害されないように尊重する責任を負っている」と説明。国連「ビジネスと人権に関する指導原則」で求められている、サプライチェーン上で発生する人権に関する負の影響・リスクを特定・評価し、予防や軽減、救済を行うプロセス「人権デューデリジェンス」を実施することの重要性を強調した。
日本でも昨年10月、政府がビジネスと人権に関する国別行動計画を発表している。そのなかで、人権を尊重する企業の責任を促すための国の取り組みとして、指導原則に基づく人権デューデリジェンスの実施を促す。佐藤弁護士は「指導原則は国が元々負っている人権を保護する義務を実行するもの」とし、企業が人権尊重の責務を果たせるよう政府による支援も必要だと対応を求めた。
人権デューデリジェンスを巡っては、現在、EUでバリューチェーンにおける人権と環境に対するデューデリジェンスの義務化が進んでいる。現地法人がなくても、EU域内で活動する日本企業にもその対応が求められる。今回の問題で取引停止を表明したアディダスやH&Mなどグローバル企業26社は昨年9月、EU全域でのデューデリジェンスの義務化を求める共同声明を発表し、企業も足並みを揃える形でサプライチェーン上の人権への対応を進めている。また、すでにEUのほか英国、オーストラリア、米カリフォルニアでは、サプライチェーン上の人権の取り組みの開示を義務付ける法律が存在する。

投資家も注視

企業に人権の尊重を求めるこうした動きは1990年代から高まってきた。さらにコロナ禍で、雇用や人種などの人権問題を含むさまざまな社会的課題が浮き彫りになるなか、ESG投資においても「S(社会)」を重視する流れが生まれている。
ヒューマンライツ・ナウ事務局長の伊藤和子弁護士は、「最終的には機関投資家が離れていく。(ミャンマー国軍系企業と合弁事業を行っていたことで、機関投資家が投資対象から除外する可能性のある監視対象に加えた)キリンホールディングスの事例などを見ても、日本企業の人権に対する行動は見られている。中国による制裁を恐れるということはあると思うが、プリンシパルを持って活動することが大事だ」と語った。
実際に、投資家も動きを見せている。『S&P Global Market Intelligence』によると、ESG投資指標「ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス(DJSI)」で知られる評価会社、米S&Pグローバルは強制労働の疑惑を受け、アップルなど数社のESGスコアを引き下げたという。また、世界の9000社以上に投資しており上場株式の約1.5%を保有する、世界最大の政府系ファンド、ノルウェー政府年金基金は3月、強制労働に関与する企業の特定を始めたとし、上期に勧告を行う可能性があるとロイターの取材に答えている。さらに、300以上の機関投資家が加盟する米国の団体「Interfaith Center on Corporate Responsibility(ICCR)」の後押しにより50以上の機関投資家が、該当する40社以上にサプライチェーンの情報開示と、人権侵害を引き起こす状況を回避するよう求めていることも報じられている。

日本では、今年6月に施行する上場企業を対象とするコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)の改訂案でも、取締役会が取り組みを検討すべき重要な経営課題である「サステナビリティをめぐる課題」として、気候変動などの地球環境問題とともに人権の尊重が初めて明記された。
しかし現状では、日本企業の人権への関心は高いとは言えず、取り組みが遅れている。佐藤弁護士は「人権も気候変動も多岐にわたる。企業も省庁も、各施策について横断的に課題への対策が反映されているかどうかを見る構造、つまり企業であればコーポレートガバナンス、国であればガバナンス、ここにおける取り組みの不足が日本の対応の遅れにつながっている」と指摘した。
サプライチェーン上の人権侵害がもたらすリスクは、投資の引き揚げや取引停止、ブランドの毀損、不買運動など広範囲におよび、企業・ブランドの存在意義に直結する問題だ。コロナ危機を経験し、新しい社会経済を築こうとする流れのなかで、世界はどういう秩序や倫理観で立て直しを図るのか。中国市場と欧米市場で異なる対応をとるダブルスタンダードが果たして成立するのか、それは長期的に企業・ブランドにどのような影響を及ぼすのかーー。地政学的リスクをはらむ難問を前に、企業は誰のものか、という命題が改めて企業のみならず社会にも問われている。

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