『AIの軍事利用で世界最先端を進み始めた中国 アルファ碁の勝利をきっかけに一気呵成、お粗末すぎる日本の対応』(12/7JBプレス 渡部悦和)について

12/12NHKニュース6:59<日米共同開発の新型迎撃ミサイル 実験に成功>

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181212/k10011743931000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_009

12/12NHKニュース7:19<カナダ元外交官が中国で拘束 中国政府の対抗措置か>

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181212/k10011743871000.html?utm_int=nsearch_contents_search-items_001

中国のカナダ政府の孟晩舟逮捕への報復でしょう。分かり易い。2012年の尖閣での中国漁船拿捕、2016~17年、韓国へのTHAAD配備で中国市場からロッテや韓流の締め出しと韓国旅行禁止、12/11日本人をスパイ罪で12年の実刑判決は日本政府の華為・ZTEの政府調達禁止や大手キャリアが5Gで中国製品を使用しないことに対する報復です。中国は「やられたらやり返す国」です。日本も倍返しすれば良いのに、「国際ルールに従っているだけ」とか責任を米国に転嫁するような説明では、中国に「日本は脅せば言う事を聞く」と思わせるだけ。また今、中国でappleの不買運動が起きていますが、中国の不買運動は5.4運動から。これは裏で米国が唆したと言われています。米国はあまり考えないから、飼い犬に手を噛まれるのです。

https://capturelife1.net/%E3%82%B9%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%84/%E3%80%8Capple%E3%81%AF%E5%87%BA%E3%81%A6%E8%A1%8C%E3%81%91%E3%80%8D%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%BC%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%82%81%E3%81%90%E3%82%8A%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%81%A7%E6%B2%B8%E9%A8%B0/

12/12日経<防衛大綱骨子案 「空母化」「領域横断」を明記

政府は11日、防衛計画の大綱(防衛大綱)の骨子案をまとめた。護衛艦「いずも」を改修する事実上の「空母」導入を明記し、宇宙、サイバー、電磁波を扱う電子戦の対応のための「領域横断作戦」の必要性も示した。弾道ミサイルなどの発射前に敵の拠点を攻撃する「敵基地攻撃能力」は明文化を見送った。18日の閣議決定を目指す。

自民、公明両党の大綱見直しに向けたワーキングチーム(WT)は11日、いずもの甲板を戦闘機が離着陸できるよう改修する案を大筋了承した。最新鋭ステルス戦闘機「F35B」の搭載を想定する。事実上の「空母」保有で専守防衛を逸脱するとの指摘があり最大の論点だった。

政府は国会で「もっぱら相手国の国土の壊滅的な破壊のために用いられる攻撃的兵器」と答弁してきた。その一つが「攻撃型空母」だ。公明党は過去の国会答弁との整合性をただしてきた。

国際的には空母の明確な定義はない。政府はF35Bの常時搭載はしないと説明。「あくまで防衛目的」と理解を求めた。自民、公明両党はいずも改修が専守防衛の範囲内と確認する文書をまとめることで折り合った。WT座長代理を務める公明党の佐藤茂樹外交安全保障調査会長は「専守防衛の観点からもしっかり検討され、従来の政府答弁の域を出ない」と容認する考えを示した。

領域横断作戦は陸海空の自衛隊の一体的な運用を重視する考え方だ。2014年、ロシアはウクライナ侵攻でサイバー攻撃や電子戦の能力を使った「ハイブリッド戦」を仕掛け、重要性が認識されるきっかけになった。

骨子案は「あらゆる分野での陸海空自衛隊の統合の推進」を記した。統合幕僚監部の組織のあり方などを今後検討する。

具体策として「相手方によるサイバー空間の利用を妨げる能力」を挙げた。宇宙では位置情報の探知や通信などに使う衛星が破壊されると自衛隊の運用に大きな影響を与える。「宇宙ごみ(デブリ)」を監視する部隊の新設も明示した。電子戦では統幕などに専門部署を新設するほか、F15戦闘機を相手のレーダーに探知されにくくする。

敵基地攻撃能力は弾道ミサイルなどの発射前に敵の拠点を攻撃する能力を指す。自民党は5月にまとめた提言で政府に検討を求めたが、大綱には文言の明記を見送る。

安倍晋三首相が憲法9条改正を目指しており、野党の反発を招く議論を避ける思惑もある。公明党の拒否反応も強い。

事実上能力を持ちつつあることも明記見送りの一因だ。政府はすでに約900キロと射程が長い巡航ミサイルの導入を決定済み。中期防衛力整備計画(中期防)には羽根付きの弾頭で目標を狙う「高速滑空弾」の開発方針を盛り込み、陸自に運用部隊も新設する。

政府は憲法が敵基地攻撃能力の保有を否定しているわけではないと解釈している。1956年の鳩山一郎首相(当時)の「座して死を待つことを憲法は想定しない」との答弁を根拠にしている。>(以上)

12/12日経<「ゲノム編集出産」疑念次々 規制の仕方、世界に難題

中国・南方科技大の賀建奎副教授が、遺伝子の狙った部分を改変できるゲノム編集技術で受精卵から子を誕生させたという発表を巡り、疑問の声がやまない。11月に香港で開かれた国際会議で発表を聞いていた研究者らは口々に「本当はやっていないのではないか」とささやいた。

香港で開かれた国際会議で講演する中国・南方科技大の賀建奎副教授=28日(共同)

理由の一つは、約1時間に及んだ発表で示したデータが不十分だったからだ。賀氏はまず、基礎となる研究や動物実験を説明。肝心の受精卵の操作と子の誕生の話は全体の3分の1程度だった。

「詳細がよくわからず説得力がまったくなかった」。簡便な技術「クリスパー・キャス9」で、初めてヒトの細胞をゲノム編集した成果で知られる米ブロード研究所のフェン・チャン主任研究員もこう振り返る。

データの不自然さも話題になった。ゲノム編集の治療応用で問題になるのは、狙った以外の部分に遺伝子変異が生じる「オフターゲット」だ。将来、子の健康に問題が起きる懸念があるだけでなく、変異は子孫に受け継がれるからだ。

賀氏は移植した受精卵の遺伝子の1カ所でオフターゲットが起きたかもしれないが、悪影響はないと説明した。受精卵のゲノム編集研究を手掛ける別の研究者は「1カ所だけというのは考えられず、間違いがあるのではないか」と疑う。

子どもの体温や血圧、心拍数などのデータがないことも問題視された。「健康だと言われても根拠がない」(国立成育医療研究センターの阿久津英憲部長)。第三者がデータに目を通しておらず「でっち上げでもわからない」との声もある。

賀氏は今夏、米国で開かれた学会でもヒト受精卵をゲノム編集し女性の胎内に移植する計画を話したと主張する。しかし同じ学会に参加した別の研究者によると、主に動物実験の話で、人間の子を誕生させるとは言っていなかったという。

香港の国際会議で賀氏と対談した英フランシス・クリック研究所のロビン・ラベル・バッジ上級グループリーダーは「彼は孤立しており親しい相談相手がいない」と指摘する。それが不信感や疑いを膨らませたとみる。国際会議後は公の場に姿を見せていない。

本当に子が生まれていた場合、賀氏が一人ですべてをこなしたとは考えにくい。産婦人科、小児科などの複数の医師や看護師の協力があったとみるのが自然だ。賀氏は米国のゲノム編集や生命倫理の専門家の助言を得たと話している。

遺伝性貧血を出生前に治す研究の一環で、2015年に世界で初めて受精卵をゲノム編集したのは中国・中山大の黄軍就教授だ。倫理的に問題があると非難されたが、不妊症の研究目的で受精卵をゲノム編集する試みが英国などで動き出すにつれ、先駆者として評価されるようになった。香港の国際会議でも講演者の一人に名を連ねた。

賀氏の試みに関しても中国の政府機関や学界の少なくとも一部には、ゲノム編集ベビーで「世界一番乗り」を果たし実力を誇示したいという空気があったかもしれない。ところが蓋を開けると予想以上の拒否反応で、慌てて権威ある中国社会科学院などが賀氏を糾弾したとの見方もある。

世界の科学者や医療関係者は決して一枚岩ではなく、研究の自己規制を徹底するのは難しい。香港の国際会議の組織委員会は声明で賀氏を非難したが、受精卵のゲノム編集の「禁止」「モラトリアム(一時停止)」などの表現はあえて避けた。

むしろ「治療応用が許されるとしたら、従来考えられてきた以上に厳しい実施基準が必要であることを確認する内容にした」(組織委員のジョージ・デイリー米ハーバード大教授)。今後の研究進展の道を閉ざさないよう、慎重に言葉を選んだとも受け取れる。

組織委員長を務めたノーベル賞学者のデービッド・ボルティモア米カリフォルニア工科大名誉教授は「何をどこまで許容するかは各国の人々がそれぞれの実情に応じて決め、規制に反映させなければならない」と話す。その準備が日本にはできているか。自らに問いかけてみる必要がある。(編集委員 安藤淳)>(以上)

11/12阿波羅新聞網<面容憔悴!孟晚舟保释后首度现身 判若两人 未见丈夫踪影=顔が憔悴! 孟晩舟は保釈後姿を現す 逮捕前と後では別人に見える 夫は姿を見せず>

華為副会長の孟晩舟は3日間の裁判所拘留後保釈された。保釈金は1000万カナダ$(8.5億円)と身に電子タグを付けることや他の要求を守ることとされた。保釈後姿を現したが憔悴しきっていた。紫の帽子付上着とダウンジャケットを羽織っていた。その後車に乗り離れた。

逮捕後

逮捕前

https://www.aboluowang.com/2018/1212/1217204.html

孟の保釈が認められ、次は中共が殺しに来るか、逃げ出すかでしょう。映画『アメリカの敵』のように米国は衛星で監視、電話も盗聴して違法行為の証拠とすると思います。 カナダは、保釈はしても彼女が生きていれば米国に引き渡しすると思います。でもカナダの元外交官は「国際危機管理」の専門家としてはお粗末。わざと捕まって中国と米国とを天秤にかけたのかも?

渡部氏の記事と日経の記事とを読み比べて見ますと、クロスドメインは必要ですがもっとスピード感が必要です。やはり、ホットウオーではなく、詐術に近い所でネットによる技術窃取、ハッキング(経済混乱、軍事機能低下等)、での潰し合いとなると思います。近藤大介氏はTV朝日で①貿易戦②技術戦③(忘れました)④軍事戦と言ったと紹介されていました。その前に金融制裁がくるのでは。

相変わらず中国はAIやバイオ(ゲノム編集してサイボーグを作るつもりでしょう)の面で国際協調しません。意図的でしょう。世界制覇を狙っているからです。米国に替わって覇権を握ってもいいですが、共産党は自由を守りますか?守らないでしょう。そんな国に覇権は握ってほしくありません。でも日本は何周遅れか?軍事技術面でも、AI、バイオ面でも。科学技術は軍事技術の発展と歩調を合わせて来たのは誰もが知る所です。日本学術会議や日弁連の言うことを聞いていたら日本は侵略されるだけです。どうして内部で反旗を翻す人がいないのか?

安倍首相もできもしない憲法改正に威勢の良いことを言うのではなく、現実にできる部分を着実にやっていったら。戦後洗脳されたままで退化して現実が見えない日本人が多すぎます。中国のように若人をスマホゲーム感覚で殺すテクニックを競わせる必要はありません。(まあ、中国人は平気で生きたまま臓器摘出でき、人を食べることができる民族ですからこれも当たり前なのかも)。しかし、中国が侵略してきた時の戦い方、特に戒厳令の運用、を考えておき、スパイ防止法やら自衛隊のネガテイブリスト化を先にやったらどうですか?まあ、彼にしてみれば、こんなアホな国民を守る必要があるのかと思っているのかもしれませんが、歴史を持つ日本民族を独立したまま繋いでいかなければなりません。

記事

米中貿易戦争が進行中だ。その背景には「米中の覇権争い」があり、さらに言えば米中の「AIなどのハイテク覇権争い」がある。

習近平主席が目指す「科学技術強国(Superpower in Science and Technology)」は、国家ぐるみのハイテク覇権追求を象徴的に表現している。

本稿ではハイテク覇権争いの中核であるAI開発の状況特に中国におけるAIの軍事利用について紹介したい。なぜならば、AIの軍事適用は、将来の軍事作戦の帰趨を決定する最重要な要素であるからだ。

まず、最近報道されたAIに関する象徴的な出来事を紹介した後に、中国のAIの軍事利用に関する本論に入りたいと思う。

中国における若者を利用したAI兵器開発の試み

香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストが、北京技術研究所(BIT:Beijing Institute of Technology)のAIの軍事利用に関する「北京技術研究所プログラム(BITプログラム)」を報道*1しているので紹介する。

なお、BITプログラムは、18歳という若者を対象としたAI兵器の開発プログラムとしては世界初の試みだ。

  • BITプログラムの概要

中国はAIの軍事利用を重視し、米国との熾烈な開発レースを展開している。

北京技術研究所は、中国人民解放軍の兵器の研究・開発を担当しているが、優秀な若者31人(27人の男子と4人の女子)をAI兵器開発プログラムのためにリクルートした。

彼らは、約5000人の志願者の中から選抜された最も優秀な高校生で、世界で最も若いAI兵器の科学者を目指し、4年間のAI兵器システムプログラムに参加する。

BITの教授は、「31人の子供たちは全員、非常に聡明だが、聡明だけでは不十分だ。創造的思考、戦う意思、困難に直面した際の粘り強さ、新兵器を開発しようとする熱意をもった愛国者でなければいけない」と発言し、中国らしい育成の方向性を示している。

*1= China’s brightest children are being recruited to develop AI ‘killer bots’

31人には、各人に2人のベテラン兵器開発者がメンターとしてサポートする。1人は大学から他の1人は国防産業から派遣される。

若者たちは、当初の短期コースを修了すると、専門分野を選択し、関連する国防研究所に配置され、様々な経験をしスキルを上げていく。

4年間のコースを経て、博士課程に進み、中国のAI兵器プログラムのリーダーとなる。

中国においても日本と同様に、優秀なAI人材の不足が問題となっているが、高校生をAI兵器の開発に利用しようという試みは世界的に例がなく、中国人民解放軍のAI開発重視を象徴している。AI研究者の低年齢化は今後とも進むと思われる。

  • BITプログラムに対する批判

BITプログラムには当然ながら批判がある。国連大学政策研究センターの研究者(Eleonore Pauwels)は、次のように警告している。

「この中国のプログラムは、次世代の若者にAIの軍事利用に関する研究を奨励する世界で初めての試みだ」

「BITの試みは、AIの兵器化に焦点を絞った強烈な試みであり、多くの問題点を内包している」

「AIの知識が、その他の技術例えばバイオ技術、量子コンピューィング、ナノ・テクノロジー、ロボット工学などと結びつくと、安全保障や軍事的支配の観点で劇的な意味を持つ」

  • AI兵器に関する中国の本音と建て前

中国の発想と行動の特徴は、民主主義諸国が重視する倫理とか国際法の順守などに縛られることなく、自らの国益を追求していく点にある。

AIの軍事利用についても、倫理や国際的な取り決めには制約を受けないで、BITプログラムに対する批判にもかかわらず、これを推進するであろう。
中国は、国連などにおけるAIを搭載した殺人ロボットなどに対する規制の議論には参加しているが、本気で規制を実現しようとは思っていない、と判断するのが妥当であろう。

例えば、中国は国連に対してAI兵器の使用に関する文書を提出し、「ハイテク製品の誕生および致死的な自律兵器システムの開発や使用は、戦争の敷居を下げ、それを使用する国の戦争のコストを下げるであろう。これは、戦争がより起こりやすく、頻繁になることを意味する」と記述している。

しかし、中国国内では多様なAI兵器を開発し装備している現実がある。

米中貿易戦争の背景にある習近平主席の「科学技術強国の夢」

  • 中国の夢と米中貿易戦争

習近平主席の「中国の夢」は、「中華民族の偉大なる復興」であるが、この中国の夢の背景には中国にとっての屈辱の100年がある。

中国は、英国が仕かけたアヘン戦争(1840年)から中華人民共和国の誕生(1949年)までの屈辱の100年を経験した。この屈辱の100年の恨みを晴らすという思いが、習近平主席の心の奥底にはある。

国家主席になった瞬間(2013年)から、「今こそ、屈辱の100年の恨みを晴らし、世界に攻勢をかけるべき時だ」と判断したのであろう。

彼は、故鄧小平氏が主張した「韜光養晦」を過早にも放棄してしまった。

「韜光養晦」は、「才能を隠しながら、内に力を蓄える」という考えだが、これを放棄し、極めて強圧的な姿勢で「米国に追いつき、追い越す」政策を推進してきた。

この世界一の大国になり、世界の覇権を握ることを目指す中国、それも米国などの知的財産を窃取するなどの不公正なやり方でハイテク覇権国になろうとする中国に対するドナルド・トランプ大統領の怒りが、米中貿易戦争や米中新冷戦という状況を引き起こしたと私は思う。

中国は「韜光養晦」を持続し、辛抱強く「その時」を待つべきだったのだ。
●マイク・ペンス副大統領による歴史的な中国批判演説

ペンス副大統領は、10月4日に保守的シンクタンクであるハドソン研究所で行われたスピーチで中国を厳しく批判した。

「中国共産党は『中国製造2025』を通じて、ロボット、バイオテノロジー、AIなど世界の最先端産業の9割を支配することを目指している」

「中国政府は、21世紀における経済の圧倒的なシェアを占めるために、米国の知的財産をあらゆる手段を用いて取得するよう指示してきた」

このペンス演説は、米中貿易戦争の本質が「AIなどの米中ハイテク覇権争い」であることを如実に表している。

中国経済は現在、危機的な状況にあり、膨大な債務処理の問題など中国経済の構造的問題の解決は喫緊の課題であるが、そこにトランプ大統領が仕かけた貿易戦争が重くのしかかっている。

中国の著名な経済学者であり中欧国際工商学院教授の許小年氏は、この中国の危機を打開するためにはイノベーションが必要だと強調する。

そのイノベーションをAIなどの最先端技術で達成しようというのが習近平の科学技術強国路線であり、富国強軍路線である。

  • 中国の野望は「2030年までにAIで世界をリードすること」

現在、米国がAI分野における世界のリーダーになっているが、中国は、AI分野において米国に追いつき追い越すと決意している。

中国指導部は、AIを将来の最優先技術に指定し、2017年7月に「新世代のAI開発計画」を発表した。

その中で「中国は、2030年までにAIで世界をリードする」という野心的な目標を設定している。

そして、最先端のAI研究に大規模な予算を投入し、その目標を達成しようとしていて、中国のAI投資額は米国を凌駕し世界第1位だ。
中国は、すでにAI先進国であり、AIに関する論文数では米国を上回り世界一であり、AIの特許出願数において米国に次ぐ第2位である。数のみではなく質の面でも中国は米国を猛追している。

中国は、多額のAI予算の投入、アクセスできるビッグデータの存在、最も優秀な人材を集め教育する能力などにより、AI分野で米国に激しく迫ってきて、米国は手強いライバルと対峙することになる。

世界最強の囲碁AI「アルファ碁」が中国のAI軍事利用を加速させた

AIの歴史において、グーグルが買収したAI企業「ディープマインド(DeepMind)」が開発した「アルファ碁ゼロ」は画期的であった。

特に、囲碁発祥の地である中国は、「アルファ碁ゼロ」の登場に衝撃を受け、AIの開発とAIの軍事への応用に向けた努力に拍車がかかることになった。

なぜならば、「アルファ碁ゼロ」は、戦闘シミュレーション、ドクトリン(戦い方)の開発、軍事教育・訓練への応用などAIの軍事利用に大きな可能性を提供すると評価されたからだ。

ディープマインドが開発した囲碁のAIには3つのバージョンがある。

まず、第1のバージョンは「アルファ碁」で、2016年、当時の世界トップ棋士であった韓国のイ・セドル9段に勝利して世界の囲碁界を驚かせた。

次いで、第2のバージョンは「アルファ碁マスター」で、「アルファ碁」の能力向上バージョンであり、2017年に世界最強と言われていた中国の柯潔(かけつ)9段を圧倒し勝利を収めただけではなく、世界トップ棋士に60戦して全勝の実力を発揮した。

ちなみに、初期バージョンである「アルファ碁」と「アルファ碁マスター」は、トッププロ棋士の棋譜をビッグデータとして「深層学習(ディープラーニング)」で学びながら実力を高めていった。

つまり、人間の知識を利用して実力を高めていった。
一方、「アルファ碁ゼロ」にインプットしたデータは囲碁の基本的なルールのみで、トッププロ棋士の棋譜を全く使用していない。

「アルファ碁ゼロ」は、自己対局による強化学習だけで強くなり、ディープマインドの論文のタイトルにあるように「人間の知識なしで囲碁を極めた」のだ。

「アルファ碁ゼロ」の登場で、データが足りない分野でもAIを活用できる可能性が広がった。

ディープマインドはさらに改良を繰り返し、将棋やチェスにも応用したAI「アルファゼロ」を開発し、将棋、チェス、囲碁のいずれでも世界最強のソフトとなっている。

昔のAIは人間の助けが必要だった。

その後、大量のデータがあれば自ら学ぶようになり、今は人の助けもデータも不可欠ではなく、AIが競い合うことで「独学」で進化する技術(敵対的生成ネットワーク[GAN])の登場だ。

将来的には軍事における戦闘シミュレーションや自動運転のためのシミュレーションなどに使用される可能性が大である。

アルファ碁が世界のトップ棋士を完全に撃破したことは、AIが一定のルールの下では、複雑な分析や戦略構築において、人間よりも優れていることを示す転換点となった。

AIと人間の戦いは、将来戦争において指揮官が下す決心に対し、AIが果たす途方もない潜在力を示した。

人民解放軍にとってアルファ碁の勝利は、人工知能を将来的に活用することを考える大きな動機になったのだ。
AIの軍事利用

  • 人民解放軍は野心的な「AI軍事革命」を目指す

目覚ましい勢いでAIが進化しているが、中国の人民解放軍はAIを軍事のあらゆる分野に取り込み、「AI軍事革命」や「戦場のシンギュラリティ」を標榜している。

シンギュラリティ(技術的特異点)は、人によって定義が違うが、ここでは「AIの発達により軍事のあらゆる分野において抜本的な変化が起こること」と定義する。

このシンギュラリティに達すると、戦場の無人化が加速し、人間の頭脳ではAIが可能にする戦闘のスピードに追随できなくなる可能性がある。

人民解放軍の研究者であるエルサ・カニアは自らの論文「戦場のシンギュラリティ」*2で、

①中国は、AIを将来の最優先技術と位置づけ、「2030年までにAIで世界をリードする」という目標達成に向け邁進中である。

②習近平主席の「軍民融合」により、民間のAI技術を軍事利用し、「AIによる軍事革命」を実現しようとしている。

③「AIによる軍事革命」の特徴の一つは、AIと無人機システム(無人のロボットやドローンなど)の合体であり、この革命により戦争の様相は激変する。

④「AIによる軍事革命」にはリスク(倫理的問題など)もあり、人間とAIの関係は今後の大きな課題である、と記述している。

人民解放軍は今や、米軍も重視する新技術AIによる革命「AI軍事革命」を目指している。

人民解放軍のリーダーたちは、AIが「軍事作戦・戦術、兵器体系などを刷新させ、戦争の様相を激変させるであろう」と確信している。

*2= Elsa B. Kania, “Battlefield Singularity”, Center for a New American Security

中国では、AIが戦争を情報化戦(informatized warfare)から知能化戦(intelligentized warfare)へシフトさせると確信している。

中央軍事委員会の連合参謀部は軍に対して、指揮官の指揮統制能力を向上させるためにAIを使うように指導している。

AIはまた、ウォーゲーム、シミュレーション、訓練・演習を向上させるだろう。これは、実戦経験のない人民解放軍にとって非常に重要な意味を持つ。

AIは、軍事の専門分野や機能を人に代わり担当することが可能になるであろう。

AIが仮想現実の技術と合体して、人民解放軍の訓練をより現実的・実戦的なものにすることが期待されている。

いずれにせよ、AIは、軍事における指揮官の状況判断、幕僚活動、部隊の運用、訓練などを大きく変え、今後何十年後には戦いの様相を大きく変貌させていくであろう。

AIの軍事利用は既に始まっていて、各種対空ミサイルシステムの自動目標追随と目標の決定、重要な兵器の欠陥の予測、サイバー戦への適用などAIの適用分野は軍事の大部分にわたる。

  • 情報化から知能化へ

中国の情報革命は、3段階の発展を経て実現する。つまり、デジタル化(数字化)、ネットワーク化(网络化)、知能化である。

中国は、情報化のためにITを活用し、戦いにおいて情報を活用する能力を向上してきた。

また、ITをプラットフォーム(戦闘機、海軍艦艇など)やシステムに導入し、結果としてC4ISR(指揮・統制・通信・コンピュータ・情報・監視・偵察)の統合を図ってきた。
情報化の最終段階は、人民解放軍の情報を大規模かつ機械(コンピューターなどのマシーン)のスピードで処理し活用する能力を向上することだ。

また、中国の戦略家やAI専門家は、知能化に焦点を当てている。

彼らは、AIのインパクトのある応用を考える傾向にあり、AIを使った知能化による指揮・統制または意思決定の支援、知能化無人兵器、人間のスタミナ・スキル・知能の増強を指向している。

人民解放軍は、シミュレーションやウォーゲームを使い、軍事構想や理論を構築する傾向にある。

つまり、「技術が戦術を決定する」という伝統的な考えに基づき、AIを使った実験を実施し、新たな軍事理論や構想を構築しようと積極的な試みをしている。

人民解放軍は、AIを活用し、戦争遂行における戦術、作戦および戦略レベルにおける指揮・統制を強化し、高速での決心を可能にしようとしている。

戦いの知能化により戦いが高速になれば、人間は知能化戦の作戦テンポに追随できないであろう。

AIの導入は、人間の認識力を強化またはそれに取って代わり、決心のための思考過程OODAループ(Observe観測し、Orient方向づけをし、Decide決心し、Act行動する)のスピードを劇的に加速させるだろう。

  • 「軍民融合」により民間AI 技術を軍事利用

軍民融合は、「民の技術を軍に適用すること、反対に軍の技術を民に適用すること」だが、習近平自らが「中央軍民融合発展委員会」を主導する力の入れようだ。

米国のITの巨人であるグーグル(Google)、アップル(Apple)、フエイスブック(Facebook)、アマゾン(Amazon)の頭文字を取ってGAFAと表現されているが、GAFA はAIの巨人でもある。

GAFAに対抗する中国企業を表現する言葉としてBATがある。
BATとは、中国のIT企業であるバイドゥ(Baidu)、アリババ( Alibaba)、テンセント(Tencent)の頭文字を取ったもので、BATもAIの大企業だ。

中国の強みは14億人の人口であり、そこから得られるビッグデータはBATにとってもAIの開発にとって大きなメリットになっている。

BATは、ビッグデータにアクセスするメリットを享受し、AIの多くの分野(機械学習、言語処理、視覚認識、音声認識など)で長足の進歩を遂げている。

中国では民営企業がAI開発の主人公であり、習近平主席は、軍民融合という国家的戦略により、民間のAI技術を軍事に転用しようとしている。

例えば、自動運転車の技術は人民解放軍の知能化無人軍事システム(AIにサポートされたロボット、無人航空機、無人艦艇・潜水艦など)に応用可能である。

コンピューターによる画像認識と機械学習の技術を応用すると、目標の正確な認識が不可欠である各種兵器の能力を飛躍的に向上させることになる。

軍民融合における優先技術は、無人システムの智能化のためのAI技術のみならず、量子科学技術(量子コンピューター、量子通信、量子レーダー、量子暗号など)、バイオ技術などの最先端技術も含まれている。

また、研究・開発における軍民の連携のために、軍関係の研究機関、国営の研究機関、BATに代表される民間研究機関が連携する「連合研究所(Joint Research Institute)」が設置されている。

  • AIの軍事への適用分野

中国におけるAIの軍事適用の分野は戦闘・戦術・作戦・戦略の「あらゆる分野」である。

考えられるAI適用分野すべてであるが、既に記述してきた適用分野を含めてまとめると以下のようになる。
・無人機システムなどの兵器の智能化(自律化)。

例えば、AI搭載のドローンの分野では中国は最先端の兵器を持っている。

世界的なドローン企業であると同時に有力なAI企業でもあるDJIの智能化ドローン「ファントム」はコストパフォーマンスに優れたAIドローンだ。

また、AI搭載の水上艦艇や無人潜水艦、AIロボットの開発を推進している。

この無人機システムのAI化により、将来的には自ら判断して任務を完遂する自律型のAI無人機システムが多用されるであろう。

・サイバー・セキュリティに対するAIの適用は既に一部で実施されているが、今後ますますサイバー戦における防御、攻撃、情報収集の全ての分野でAIが活用されるであろう。

・AIによるデータ融合、情報処理、情報分析も有望な分野だ。

身近な例で言えば、AIを活用した小型で性能の高い自動翻訳機が完成するであろう。もはや語学を真剣に勉強しなくても困らない時代が来る可能性がある。

・目標確認、状況認識(SA)の分野で、例えば顔認証技術に関しては中国は世界一の可能性がある。

・ウォーゲーム、戦闘シミュレーション、訓練の分野はAIを早期に適用できる分野だ。

・指揮・意思決定、戦場管理の強化の分野におけるAIについては記述の通りだ。

・兵站および輸送分野。例えば、AIによる補給、整備、輸送などの迅速かつ最適な兵站計画の作成などに適用できる。

・戦場における医療活動、体の健康と心の健康の両方の分野でAIが適用されるであろう。意外な分野として、心の健康のためのカウンセラーをAIが代用する案は有望だ。
中国による最先端技術の窃取への対処が喫緊の課題

中国は、なりふり構わずに、「科学技術強国」「2030を目標にしたAI強国」「中国製造2025」の実現を目指している。

目標達成のために、米国をはじめとする諸外国からの先端技術の窃取を国家ぐるみで行っている。

その手段は、サイバースパイ活動(ハッキング)、人によるスパイ活動、最先端技術を有する外国企業の買収、中国に進出する外国企業に先端技術情報の提供を強制するなどにより入手している。

これらの不法な情報窃取に対して危機感を露わにする米国は、様々な手段を駆使してこれに対処しようとしている。

例えば、米司法省は、中国へ先端技術情報を持ち出す産業スパイの検挙を強化する「チャイナ・イニシアティブ」を実施している。

また、中国企業による米国ハイテク企業の買収禁止の措置などを行っている。米中貿易戦争に伴うハイテク製品の輸出禁止なども行っている。

また、ウミガメと呼ばれる中国人への対処も重要だ。

ウミガメとは、米国に留学し、卒業後にGAFAなどの有名な民間企業で働き、最先端技術を身に着けたのちに、中国本土に帰りその技術を活用する人のことを言う。

これを防ぐための措置(例えば中国人留学生の制限など)を検討している。
結言

中国は、「科技強国になる」「2030年までに世界のAIイノベーション・センターになる」などの明確な目標を設定し、国家ぐるみでその実現に向け邁進している。

また、中国は、目的のためには手段を選ばない、汚い手段を使うことを厭わないやり方を採用している。

その結果として、米中のAIなどのハイテク覇権争いにおいて、圧倒的に優位な立場にあった米国を中国が激しく追い上げる状況になっている。

この状況に危機感を抱いた米国は様々な方策を駆使して、ハイテク覇権争いで中国に勝利しようとしている。

それでは日本の状況はどうであろうか。

日本のAI開発に関する国全体としての明確な戦略や目標はなく、国家ぐるみの態勢にもなっていない。

例えば、IT戦略の中で、安全保障(軍事)の視点が欠如している。その典型例が「AI戦略実行会議」であり、防衛省からの参加者はいない。

AIを国家レベルで考える場合、安全保障は不可欠な観点であることを考えれば問題があると言わざるを得ない。

また、我が国では、アカデミア(大学など)における軍事分野の研究に対する拒否感が強すぎ、AIの軍事適用などに対するアカデミアの拒否感にも強いものがある。

その一方で、中国の各種工作(サイバースパイ活動、会社・大学からの知的財産の窃取)に極めて甘く、実効的に対処できてはいない。

日本は、中国による各種工作にあまりにも無防備である。

我が国がAIなどのハイテク技術において米中に完全に置いていかれないためにはやるべきこと(AIなどのハイテク技術に関する国家ぐるみの態勢の構築、憲法の改正、スパイ防止法の制定、民間企業・アカデミア・マスメディアにおける危機意識の向上など)をスピード感を持って遂行すべきだ。

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