『民主が下院奪還、弾劾とロシア疑惑追及をにらむ 米有権者は「傲慢な米国第一主義」に辟易』(11/8日経ビジネスオンライン 高濱賛)、『中国が米中覇権戦争に絶対勝てない3つの理由』(11/8ダイヤモンドオンライン 北野幸伯)について

11/7サンケイビズ<日本のハイテクが存在感 中国国際輸入博覧会、次世代ロボットを披露>北野氏の言うように日本は勝つ側にいないといけないのに、敗ける側に擦り寄って行っているように見えます。松下は2012年の反日デモの時に工場を焼き打ちされたというのに出展し、かつモバイクと日本でシエア電動自転車で提携とは。自社で十分対応できるでしょうに。日本侵略への野望を隠さない中国に対して考えがなさ過ぎです。

また「在上海の欧州連合(EU)商工会議所のカルロ・ディエゴ・ダンドレア会頭は「声明も表題も好ましくみえるが、われわれが望んでいるのは具体的な行動と具体的な改革の日程だ。改革が実現するとの希望に基づいて、欧州企業の最高経営責任者(CEO)らに中国で事業を立ち上げさせるわけにはいかない」と冷ややかな声も出ている。」と言う見方が正解でしょう。日本の経済団体はアホばかり。

https://www.sankeibiz.jp/macro/news/181107/mcb1811070613012-n1.htm

11/7中国観察 法輪功真相投稿<〝活摘〞阿拉巴馬州大學放映 觀眾要為法輪功發聲=生きたままの臓器摘出をアラバマ大学で上映 観衆は法輪功の為に声を上げる>

紀錄片《活摘》(Human Harvest),記錄了兩位諾貝爾和平獎提名人調查在中國發生的活摘器官及非法交易的故事。10月25日,該片在阿拉巴馬州莫比爾市(Mobile)春山學院學生中心進行了放映。觀眾們感到震驚,也意識到需要做些什麼來制止。

ドキュメンタリー [生きたままの臓器摘出] (人間からの収穫)は、2名のノーベル平和賞候補者が、中国で発生した生きたままの臓器摘出や違法な取引を調査して記録したものです。10月25日, アラバマ州モービル市のスプリングヒルカレッジで学生が中心となり、映画が上映された。観客はショックを受け、どうにかしてそれらを止めさすことを考えるようになった。

https://www.facebook.com/falungong.truth99/videos/192603418282296/

11/8阿波羅新聞網<中期选举 川普输了?反而赚到了!=中間選挙でトランプは負けたか?却って良かったのでは>下院と比べ上院はもっと重要である。重要なのは上院の人事の決定である。もし、上院で負けていれば非常に面倒が起きた。当初オバマは上院の共和党多数を阻止し、最高裁判事の任命の機会を潰そうとしていた。行政府の任用も上院の承認が要る。今のこの段階で、民主党は極悪非道で、もし上院が民主党に取られたら、トランプの政権メンバー指名が困難になり、力量を持った人材の登用もままならなくなる。下院を握った民主党は非難を受けるようになるかもしれない。行政が滞れば矛先は下院に向かう。これは責任をうやむやにし、トランプの政治家としての生命線を濃密にするものである。2年後の大統領選には大きな利益が転がり込む。

ビル・クリントンは中間選挙で負けたが、次の大統領選では高得点で再任された。オバマもそうであった。

http://www.aboluowang.com/2018/1108/1200881.html

11/8阿波羅新聞網<中共妄想民主党相救?美国新众议院议长被爆也反中共=中共は民主党が救ってくれると妄想たくましくする? 新下院議長のペロシも反共なのが明らかに>ペロシは過去に「北京は党の管理障壁、強制要求、過剰労働、反競争政策、その他の不公平貿易には、全面的に反撃する」と述べたことがある。

http://www.aboluowang.com/2018/1108/1200740.html

渡辺惣樹氏著『第二次世界大戦アメリカの敗北 米国を操ったソビエトスパイ』を読了しましたので、紹介します。ユダヤ人迫害を憎む二人のユダヤ系米国人(モーゲンソーとホワイト)に日本は戦争に誘導されたとしか思えません。

①「FDRは一九一三年には前年の大統領選挙の応援で功を挙げたことから、ウッドロー・ウイルソン新政権の海軍次官に抜擢された。FDRはその後ニユーヨーク州知事を経て一九三二年の大統領選挙では民主党候補となり、現職候補ハーバート•フーバーを破って当選した。彼の出世には三つの要因があった。一つはT •ル—ズベルト大統領の (義理の) 甥という毛並みの良さであり、二つ目は演説の巧みさだった。ただ現代の日本の政治家の言動からも類推できるように、弁舌の爽やかさと政治能力には何の関係もない。三つ目は労働組合を中心としたいわゆる左翼系団体の支援であった。FDRは政治の澱みを掃除するよりもそれを利用する側に立場を次第に変えていたのである。彼の属する民主党自体が組合組織や移民団体に_媚びを売って勢力を伸ばした政党であったから、党の色(体質) に染まったたけかもしれなかった。アリス(注:T •ル—ズベルトの娘)は、FDRのその変質に気付いていた。

FDRが大統領就任後すぐに実施したニューデイール政策は、経済の国家統制を進めながら大型公共投資でとにかく「金をばらまく」手法だった。国家予算をふんだんに得た組織が民主党支持を強めた。FDRはニューデイール政策の失敗に気付くと、今度は戦争経済で景気回復を目論んだ。ヨーロッパやアジアの騒乱に積極的に介入することで、ついには三選を果たした。

幼いころからFDRを知っていたアリスは、彼の政治手法に否定的だった。親友であったエレノアが、大統領夫人になって「進歩主義」のファーストレデイを気取ったことにも批判的だった。FDRは自身の秘書との不倫が「ばれた」ことでエレノアとは仮面夫婦となった(一九一八年)。彼は多くの愛人を持つ一方で、エレノアの自己顕示欲を満たすためにリベラル系団体の幹部に据え、進歩派女性のリーダーの立場を満喫させた。内気だったエレノアの危なっかしい変貌を、アリスははらはらしながら見ていたのである。

戦後になると、アリスはFDRの指導した先の大戦の結果に幻滅した。ヨーロッパでもアジアでも、共産主義国家ソビエトを民主主義国家の一員として連合国に組み人れたFD Rとウインストン・チャーチルの外交の過ちが現実のものになっていた。

ソビエトが「解放」したポーランドは共産化し、東部ドイツ(ソビエト占領地域)からはありとあらゆる工業機械がソビエトに搬出された。共産主義者の支配地域からは多くのドイツ系住民が西に逃げた。ベルリンでは、女性は老いも若きも身体を売らなくては生きていけなかった。中国では日本軍が撤退したことで共産党勢力が勢いづいた。ソビエト赤軍が日本軍から接収した大量の武器を共産党軍に流した。その結果、共産党軍は国民党軍との戦いを有利に進めていた。」(P.24~25)

②「モーゲンソーの越権行為にいらだちを隠せなかったハル国務長官の回想録に以下のような記述がある。

(モーゲンソーは)ヒトラーの台頭とナチスドイツによるユダヤ人迫害に対して感情的な反発を見せていた。大統領に、国務省が(反ドイツの)方向で政策決定するような期待をさせたり、(そうならない場合は)その方針を変えてしまうようにFDRに教唆した」

「モーゲンソーはドイツの戦後の取り扱い方針についてとんでもない許画(catastrophic plan)を立てていた。それを国務省の了承なしに大統領に承認させようとした。これは彼の越権行為の最たるものであった.

上記にある「とんでもない計画」こそが後にモーゲンソープランと呼ばれるものであった」」(P.39~40)

③「敗戦前のドイツは、工業製品を周辺諸国に販売し不足する農作物輸入に充てた。機械を奪われたドイツはそれが出来なくなった。JCS一〇六七号の「効果」であった。敗戦国ドイツは飢饉に襲われた。この時期にどれほどのドイツ人が食糧不足で死んでいったか正確なところはわからない。カナダ人研究家ジエイムズ・バツクの著した『罪と情け (crimes and Mercies)』によればドイツ国内の民間人五七〇万人、東部ヨーロッパから排除されドイツ本土に戻ったドイツ系ニ五〇万人、戦争捕虜一一〇万人、つまりおよそ九〇〇万人が死んだとされている。この時期の米国が引き起こした悲劇について語られることはほとんどない」(P.51~52)

④「第二節 下院非米委員会と「ハリウッド•テン」

高校の歴史教科書などではアプリオリにファシズムを悪として歴史を語るが、注意が必要である。同じ全体主義である共産主義との比較の上でファシズムを解釈しなくてはならない。アメリカではFDR政権となるまでは、ファシズムより共産主義の方が危険であると考えられていた。そのことはハーバート・フーパー元大統領の『裏切られた自由』の次の一節からわかる。

「(ウイルソン大統領に続いた)ハーデイング大統領、クーリッジ大統領は、ロシアを断固として承認しなかった。私(フーバー)自身も、ソビエトの国家承認に反対した。 自由人を抑圧する陰謀に、我が国のドアをわざわざ開けてやるようなことがあってはならなかった。四代の大統領(ウイルソン、ハーデイング、クーリッジ、フーバー)と、ドイツとの国交はヒトラー政権成立後も維持している(注:FDR政権は、クリスタルナハト事件〔ユダヤ人居住区やシナゴーグが襲われた事件、一九三八年.一一月〕に抗議して駐独大使〔ヒュー・ウィルソン〕を召還したが、国交は維持したままだった)。

ナチズムと共産主義はどちらも全体主義思想であり、個人の自由を束縛し国家利益を優先する。ただ両者には二つの大きな違いがあった。第一点は、共産主義思想は労働者独裁を目指した階級闘争を煽ったが、ナチズムは階級間の闘争を煽らず全階級の底上げを目指した。第二点は、ナチズムはその思想を全世界に伝播させようとするエネルギーを持たないが、共産主義には世界革命思想があった。だからこそ、アメリカに対しても国内秩序の混乱を狙った工作を仕掛けたのである。偽札をばら撒いたり、復員兵 (第一次世界大戦従軍兵)を扇動してワシントンで騒動(一九三ニ年のボーナス行進)を起こした。これがF DR以前の政権が頑としてソビエトを国家として承認しなかった理由だった。

FDRは政権に就くとたちまちソビエトを承認した(一九三三年一一月)。国務省東欧部はこれに反対したが、FDRが押し切った。FDR政権はソビエトの国家承認にあたってアメリカの秩序の混乱を狙う活動の停止を約束させた。それがマクシム•リトヴィノフ外相(外務人民委員)の以下の約束だった。

「アメリカ合衆国の内政には一切関与しない。アメリカ合衆国の平穏、繁栄、秩序、安全を傷つける行為やアジテーシヨン、プロパガンダを一切しない、そしてさせない。アメリカ合衆同の領土および所有する権利を侵したり、政治的変化をもたらし社会秩序を乱すような行為はしないし、させない。アメリカ政府を転覆させたり、社会秩序を混乱させる目的を持つ団体や組織を作るようなことはしない」

ソビエトはこれを守らなかった。」(P.228~230)

⑤「アメリカ世論は、チャーチルとトルーマンが練り上げたフルトン演説に冷ややかだった。VEディ(対独戦勝利ー九四五年五月八日)、VJディ(対日戦勝利同年八月一四日[米国時間〕)から、まだ一年も経っていない時期に、今度は「ソビエトを敵と見做せ」というチャーチルのロジックにはついていけなかった。「ウォールストリートジヤーナル」紙は、 「我が国とロシアの関係に毒を盛る演説である」、評論家のウォルター•リップマンは、 「政治的なおバカ発言である(almost catastrophic blunder)」と批判した。

演説草稿は二人で練ったものだけに、トルーマンは世論の反発に驚き怯んだ。「鉄の力―テン」演説はあくまでチヤーチルの発言であると逃げをうった。それでも、アメリカ国民も次第にソビエトの「悪行」を知っていくことになる。トルーマンは、世論の変化を見ながら対ソ強硬外交に切り替えると国民に説明する機会を窺っていた。そしてようやく一九四七年三月一二日、「トルーマンドクトリン」(ワシントン上下院に対する特別教書演説) を発表したのである。これは、トルーマンの「対ソ敗北宣言」であった。

「鉄の力―テン演説」や「トルーマンドクトリン」をス夕―リンへの敗北宣言だったと書く書はどこにもない。しかし、FDR政権は容共政権であったのではないかという視点(歴史修正主義史観)をもって歴史を読み解けば、それが合理的な結論とならざるを得ない。

筆者は前書きで、「ソビエトの諜報組織の暗躍」を横糸にした歴史描写が本書の狙いであると書いた。ソビエト諜報網は大きな広がりを見せていたが、本害ではもっとも太い二本の横糸(ハリー•デキス夕―・.ホワイトとアルジャー •ヒス)だけを使った歴史描写にとどめた。経済担当大統領顯問であったラフリン•カリー、容共派高官の筆頭とも思われるデイーン•アチソン(彼はスパイではない)、あるいはマンハッタン計画の核爆弾開発機密を流したユダヤ人夫妻(ジュリアス・ローゼンバーグとエセル・グリーングラス・ローゼンバーグ)といった「横糸」は使えなかった。手ャーチル政権やその後に続いた英政権内に潜伏し続けたスパイ網という「横糸」についても扱えなかった。彼らソビエトスパイたちは冷戦期に入っても「活躍」した。

ホワイトとヒスという太い横糸だけの歴史物語でも、あの戦争は何だったのかを考える重要なヒントになると思っている。使い残した「横糸」を使った歴史描写については機会をあらためて挑戦したいと考えている。」(P.322~323)

チエンバレンの宥和政策は誤りだったと語られる時が多いですが、渡辺氏はチャーチルの戦争驀進論が誤りだったと見ているようです。チャーチルは所詮FDRと同じく人種差別主義者です。

今回の中間選挙での下院の民主党勝利は、ユダヤ・グローバリストの影があるのではと疑っています。グローバリズムと共産主義は国境を無くすという点で親和性を持っていますし、法を蔑ろにする点でも似ています。

高濱氏の記事は、下院で民主党が勝って大喜びしている感じを受けます。所詮はグローバリストの考えから脱却できないのでしょう。米中が覇権をかけて戦争しているのが見えていません。トランプの弾劾はあり得ないと思っています。トランプはすぐにジェフ・セッションズ司法長官を解任しました。ロシアゲートは民主党のデッチ上げというのを明らかにしていくつもりでしょう。少なくとも民主党との駆け引き材料になるのでは。また、ヒラリーのクリントン財団への寄付・私的サーバー問題やベンガジ事件の再調査を働きかけて、これも取引材料とするのでは。

北野氏の言う通りに、米中覇権戦争は米国が勝つでしょう。武器使用の無い経済戦争でも、基軸通貨を持たない国が勝てるとは思えません。中国をその内、SWIFTから締め出し、権貴の隠し資産を公開すれば自ずと勝敗は見えて来るでしょう。

高濱記事

当選を決めた、民主党のオカシオコルテス氏。最年少の女性下院議員となる(写真:ロイター/アフロ)

—米国の中間選挙が終わりました。結果をどうみますか。

高濱:2016年に行われた大統領選と異なり、各種メディアの予想が今回は的中しました(笑)。上院は辛うじて共和党が死守。下院は民主党が過半数を制しました。

今回の中間選挙は、各候補者への投票というよりも、ドナルド・トランプ大統領が推し進めた2年にわたる「傲慢な米国第一主義」に対する米国民の審判といった色合いが濃かったのです。

米有権者の声は、「経済が好調」なのはいいけど、傲慢で独りよがりの「米国第一主義」にはやはりついていけない、というものした。

そして有権者は、トランプ大統領が“独占”していた三権(司法、行政、立法)のうち立法の一部を取り上げたのです。上院で、共和党を多数派のままにしておいたのは「弾劾決議案がそう簡単に通らない状況を(上院に)作ることで、トランプに首の皮一枚残しておいた」(米主要紙論説担当記者)と言えそうです。

—これで、米議会は上院と下院で多数党が異なる「ねじれ議会」になったということですね。

高濱:その通りです。「ねじれ議会」になると、今後2年、両党の意見が対立する法案を通すのが困難となります。さらに弾劾発議権を持つ下院が「民主党の天下」となったわけですからトランプ大統領を弾劾すべく訴求する動きが強まるのは必至です。それだけでなく、トランプ政権の政権運営に不透明感が出てきました。

ナドラー新司法委員長とトランプ氏は旧知の「大敵」

—弾劾手続きはまず、下院司法委員会が弾劾決議案を審議するところから始まります。委員長は共和党から民主党に替わって、弾劾の動きが現実味を帯びますね。

高濱:新委員長には、これまで民主党の筆頭理事(ranking member)だったジェリー・ナドラー議員(民主、ニューヨーク州第10区=71歳)が就任します。

ナドラー氏は同州下院議員を経て92年に連邦下院議員に当選して以来、連続して再選している超ベテラン議員です。州下院議員の時にフォーダム法科大学院の夜間コースに通って弁護士資格を取った苦労人です。

選挙区はニューヨーク・マンハッタンのど真ん中。不動産業を営んでいたトランプ氏と、ウエストサイド・ハイウェーの経路変更をめぐって90年代から激しく争った経緯があります。地元紙はかつて、両氏の関係を「大敵同士」を書き立てました。

同議員はその後、ロシア情報工作員13人がスパイ容疑で国外追放になった際にこう述べています。「ロシア人が米大統領選に介入したのは国家の根本問題だ。トランプ大統領がロシアに報復しないのは、日本軍が真珠湾を攻撃した時に当時の大統領が何もしなかったのと同じこと」

—ということは、ナドラー議員が司法委員長に就任すれば、トランプ大統領に対する弾劾発議の動きが一気に加速するということですか。

高濱:加速はするでしょうが、「一気に加速する」とは言えないかもしれません。

司法委員会の委員は40人。弾劾決議案は単純過半数(21以上)で可決でき、本会議に送付されます。下院本会議も単純過半数で可決でき、上院に送付されます。

上院で可決するには3分の2(67)の賛成が必要です。下院が弾劾決議案を可決しても、共和党が過半数を占める上院で3分の2の賛成を得るのは困難です。
(”How Many congress people it takes to impeach a President,” Joseph Milord, Elite Daily, 5/25/2017)

逆説的な言い方をしますと、ナドラー議員は大統領弾劾について、ある意味で慎重なのです。「弾劾を発議するなら本当に弾劾しなければ意味がない」という考え。下院で弾劾決議案を発議しても、それだけでは意味がないと考えているのです。

今年2月に『ニューヨーカー』の記者とのインタビューでこう述べています。「大統領を弾劾するというのは単純なアリスマティック(算術)だ。下院で弾劾決議案を可決しても上院で3分の2を取らなければ弾劾は成立しない。トランプ大統領を弾劾するには共和党の中から賛成派が出てこなければだめだ」

「それにはどうするか。<大統領を弾劾し、辞めさせなければ、国家は大変なことになる。米国憲法の精神が崩壊してしまう>という確固たる証拠を見つけ出し、共和党議員に同意させる。弾劾を発議するにはそれだけの準備と覚悟が不可欠だ」
(”The New York Congressman who could lead an impeachment charge against Trump,” Susan B. Glasser, The New Yorker, 2/16/2018)

やはり弾劾のカギを握るモラー特別検察官

—となると、注目されるのはロバート・モラー特別検察官の捜査がどんな結果になるかですね。

高濱:それがまさにナドラー新司法委員長が狙っている点です。トランプ大統領自身とロシアゲート疑惑の関係を立証する決定的な証拠が捜査で出てくれば、共和党上院議員の中にもトランプ大統領弾劾に賛成する者が出てくるでしょう。

ナドラー議員が弾劾にそこまで慎重になるには理由があるのです。ビル・クリントン大統領(当時)*1がホワイトハウス研修生と不倫関係にあったことが1998年発覚。下院は弾劾決議案を可決したものの、上院が辛うじて否決しました。

その時ナドラー議員は司法委員会の委員としてクリントン大統領の弁護に当たったことがあるのです。ですから大統領を弾劾することの重みと難しさを十分にわかっているのでしょうね。国民が選挙で選んだ大統領を議会がそう簡単に斬首するものではない、という信念なのでしょう。その信念がクリントン大統領を弾劾から守ったのです。

*1:上院は1999年2月12日、クリントン大統領の①司法妨害容疑②偽証罪容疑それぞれに対する弾劾決議案を採決し、前者は50対50、後者は55対45で否決した(可決には3分の2=67の賛成票が必要)。当時の上院は共和党55、民主党45、下院は共和党227、民主党207、無所属1だった。

シフ新委員長はロシア疑惑を徹底追及へ

—民主党が下院の過半数を占めたことでほかに注目される動きは出てきますか。

高濱:ロシア疑惑解明を続けている下院情報特別委員会の委員長に就任するアダム・シフ議員(カリフォルニア州第28区選出、58歳)の動きも目が離せません。

同議員は、スタンフォード大学を経て、ハーバード法科大学院で法学博士号を取得。米司法省の検事になり、その後政界入りした「民主党の新星」です。これまでもトランプ大統領のロシア・コネクションを厳しく追及してきました。

下院情報特別委員会(これまで委員長はダビン・ヌーネス共和党議員*2=カリフォルニア州第22区選出)は今年4月、「トランプ大統領とロシア政府関係者との接触及び共謀はなかった」との結論を出しました。

*2:ヌーネス氏はトランプ大統領と近い関係にある。同委員会が入手した極秘情報を外部に流したとの疑惑が取りざたされた経緯がある。このため下院倫理委員会が同議員を調査。同議員はその間、委員長を休職していた。

シフ議員はロシア疑惑究明をめぐってヌーネス議員と真っ向から対立しました。8月には保守系『ワシントン・エグザミナー』とのインタビューで、こう述べていました。「情報特別委員会の結論には賛成しかねる。16年の大統領選の際にトランプ大統領とロシアとが接触したり、共謀したりした証拠がたくさんある(plenty of evidence)ことは丸見え(in plain sight)だ。目下のところ、モラー特別検察官が鋭意調査中だ」
(”Adam Schiff ‘Plenty of evidence’ of Trump-Russia collusion or conspiracy ‘in plain sight.’” Daniel Chaitin, Washington Examiner, 8/5/2018)

シフ新委員長がどのような形でロシア疑惑を徹底究明するか。トランプ大統領は「眠れぬ夜」が続くかもしれません。(もしトランプ大統領が本当にロシアとの共謀を命じたり、許可したりしていたら、の話ですが)

トランプ大統領は外交では既定路線を突っ走る?

—民主党が下院の過半数をとったことで外交、軍事、財政、歳出、歳入といった主要委員会の委員長にはどんな議員が就任しますか。

高濱:以下列挙してみます。

  • 外交委員長=エリオット・エンゲル議員(ニューヨーク第16区選出)
  • 軍事委員長=アダム・スミス議員(ワシントン州第9区選出)
  • 財政委員長=マクシン・ウォーターズ議員(カリフォルニア州第43区選出)
  • 歳出委員長=ニタ・ロウィ議員(ニューヨーク第17選挙区選出)
  • 歳入委員長=リチャード・ニール議員(マサチューセッツ州第1区選出)

エンゲル新外交委員長はウクライナ系ユダヤ人で88年から連続当選しているベテラン議員です。外交委員会では中南米、カリブ海諸国を主に担当してきました。イランとの核合意については当初から反対。このため、トランプ大統領がイラン合意を破棄したことには賛成です。

スミス新軍事委員長は民主党中道派の議員です。北朝鮮の核・ミサイル廃棄について強硬な立場をとっており、北朝鮮の核から日本や韓国を守るべきだと強調してきました。「北朝鮮が核開発を続けるのは中国が物心両面で支援しているからだ」と厳しく中国を批判しています。「強固な抑止力」こそ国防政策の基軸だというゆるぎない信念を持っています。

—最後に、今回の選挙結果はトランプ大統領の外交にどんな影響を与えそうですか。

高濱:直ちに影響が出てくるとは思えません。北朝鮮問題では、8日に米朝高官協議が予定されていました(急遽延期された)。対中国では、9日に米中の閣僚級による外交・安保対話があります。対日ではマイク・ペンス副大統領が13日に訪日し、安倍晋三首相らと日米間の諸問題を協議します。

イランとの核合意破棄について、民主党のユダヤ系議員の大半は反イランです。したがって、対イラン政策では、民主党からも反論する声はそれほど出てこないのではないでしょうか。

いずれにせよ、トランプ大統領としては当面、民主党に下院を奪取されても今まで通り突き進む以外に手はないようです。トランプ氏の辞書には「妥協」という字はないのでしょうから(笑)

北野記事

前回の『トランプの「中国潰し」に世界が巻き添え、貿易戦争は覇権争奪戦だ』では、米中貿易戦争が覇権争奪戦に転化していることを指摘した。米国は、中国のウイグル人迫害を非難し始め、人民解放軍を制裁し、台湾への軍事支援を強化している。中国は、GDPでも軍事費でも世界2位の大国だ。しかし、この「戦争」で米国には勝てないだろう。その理由を3つ挙げる。(国際関係アナリスト 北野幸伯)

<第1の理由>
中国経済が悪化し続けるのは必然だ

米中貿易戦争は、覇権争奪戦争そのもの。しかし、中国はこの戦いで米国に勝利することはないだろう Photo:Reuters/AFLO

まず第1に、中国経済が悪化していくのは必然であることが挙げられる。これは、米中貿易戦争が始まらなくても、そうなる方向だった。どういうことか。

中国のGDP成長率を見てみよう。2008年9.6%、2009年9.2%、2010年10.61%、2011年9.5%。この国は、2008年に起きたリーマンショックの影響が皆無であるかのような成長を続けていた。

ところがその後を見ると、2012年7.9%、2013年7.8%、2014年7.3%、2015年6.9%、2016年6.72%、2017年6.86%、2018年6.6%(IMF予測)と、着実に鈍化している。
実をいうと、2010年代末に向けて中国経済の成長が鈍化していくことは、大昔から予測できた。たとえば、筆者は2005年に出版した『ボロボロになった覇権国家』127ページに、こう書いた。

<中国は2008・2010年の危機を乗り越え、初めは安くてよい製品を供給する「世界の工場」として、その後は1億3000万人の富裕層を抱える巨大市場として、2020年ぐらいまで成長を続けるでしょう>

2005年の時点で、中国は2008~2010年の危機を乗り越え、成長を続けるが、それも2020年までと予想していた。なぜこのような予測になるのか?

筆者の根拠は、「国家ライフサイクル論」だ。「国家ライフサイクル論」では、国のある体制にも人間の「生老病死」のようなサイクルがあると見る。具体的には、大きく「移行期=混乱期」「成長期」「成熟期」「衰退期」に分けることができる。

まず、前の体制からの「移行期」は、混乱が続いている。しかし、有能なリーダーが出て政治の混乱を終わらせ、かつ正しい経済政策を行うと、「成長期」に突入する。
中国は、安い人件費を武器に「安かろう悪かろう」と批判されながらも急成長。しかし、人件費が高くなるにつれて成長率は鈍化する。やがて企業は、より労働力の安い外国に生産拠点を移すようになる。こうして成長期は終わり、低成長の成熟期がやってくるのだ。

中国のライフサイクルは日本の「30年遅れ」である

日本と中国の国家ライフサイクルを比較すると、中国は、日本から約30年遅れていることがわかる。

1950年代、日本、成長期に突入。
1980年代、中国、鄧小平改革で成長期に突入。

1960年代、日本、「安かろう悪かろう」と揶揄されながらも急成長。
1990年代、中国、「安かろう悪かろう」と揶揄されながらも急成長。

1970年代、日本、「世界の工場」になる。
2000年代、中国、「世界の工場」になる。

1980年代、「日本が米国を追い越す」と多くの人が確信。
2010年代、「中国が米国を追い越す」と多くの人が確信。

この「パラレル状態」が続くと仮定すると、2020年代からの中国は以下のようになる。

1990年代、日本、「バブル崩壊」から「暗黒の20年」に突入。
 2020年代、中国、「暗黒の20年」に突入?

日本政府が尖閣を国有化した2012年、日中関係は「戦後最悪」になった。それで日本では、生産拠点を中国の他にもつくる「チャイナプラスワン」という考えが一般化した。日中関係の悪化が直接的原因だったが、中国の人件費が高騰し、利益が出にくくなったことが長期的理由だった。
外国企業が逃げ出す。これは、国家ライフサイクル論では、まさに「成長期後期」の典型的現象だ。つまり、米中貿易戦争が始まらなくても、中国経済の栄華は終わりつつあったのだ。

結論を書くとこうなる。

国家ライフサイクル通り、中国の経済的繁栄は終わりつつあった。米中貿易戦争は、この繁栄終了のプロセスを加速させるだろう。

<第2の理由>
中国の政治体制の脆弱性

第2の理由は、中国の政治体制が脆弱であることだ。ご存じの通り、中国の政治体制は、共産党の一党独裁だ。つまり、民主主義国家にあるような、「選挙による政権交代システム」がない。これは、非常に重大な欠陥だ。

理解しやすいように、米国と比較してみよう。黒人と白人のハーフ・オバマ前大統領の誕生は、まさに「革命」だった。ケニア人を父に持つ男性が、WASP(白人、アングロサクソン、プロテスタント)が支配する国のトップになったのだから。しかも、このプロセスは、選挙を通してあっさり実現した。これが米国の強さであり、安定性である。

日本でも、自民党が増長し悪政を行うようになると、時々政権交代が起こる。しかし、交代は選挙によって行われ、流血の事態は起こらない。これが日本の強さと安定性だ。実際の革命なしで、平和裏に「革命的」なことを起こせる。これが、民主主義国家の強さなのだ。

ところが中国では、そうはいかない。中国人が「政権交代」を望むなら、革命を起こすしか方法がない。

選挙で選ばれたことがない共産党は、これまで2つの「正統性」を確保してきた。1つは、国民党を駆逐して、「中華人民共和国」を建国したこと。2つ目は、奇跡的経済成長を実現したこと。ところが既述のように、中国の経済成長は終わりつつある。それで、共産党が勝手に中国を支配できる「正統性」はなくなりつつあるのだ。

今後、中国経済は必然的に悪化していく。そして、その責任は共産党、特に独裁者・習近平にあると認識されるだろう(中国政府は「貿易戦争を始めた米国が悪い」と国民に説明するだろうが)。

1990年代初めのバブル崩壊後、日本の政界は混乱した。そして1993年、日本新党の細川護熙氏が総理大臣に就任。38年間続いた自民党時代は終焉した。
2020年代になると中国の政界も、景気悪化で混乱することになるだろう。選挙による政権交代システムがない中国は、1990年代の日本以上の大混乱に陥る可能性が高い。

<第3の理由>
戦闘なしの戦争で、中国は勝てない

核兵器の登場と拡散で、戦争の形態は変わった。
米国と中国は、共に両国を破壊し尽くせる核兵器を保有している。それで両国は、大規模な戦闘が起こせない。結果、戦争の形は大きく変化した。戦闘よりも、情報戦、外交戦、経済戦などが重視されるようになったのだ。
情報戦で、中国は米国に勝てない。中国は、民主主義のない一党独裁国家だ。

言論の自由も、信教の自由も、結社の自由もない。ウイグル人を100万人強制収容しているといわれる、人権侵害大国である。こういう国なので、米国が望めば、容易に中国を「悪の帝国」にすることができるだろう。
外交戦は、自国の味方を増やし、敵国を孤立させるために行われる。「アメリカファースト」のトランプは、お世辞にも「外交上手」とはいえない。彼の要求が厳しすぎるので、欧州、ロシア、中国がお互いに接近している。
トランプの外交は、米国にとっては大きな懸念要因だろう。しかし、中国の景気がますます悪化すれば、人権問題がフォーカスされるようになる。
金のある人権侵害国家と付き合いたい国は、たくさんある。中国は、いつでも人権侵害国家だったが、1990年から2000年代の間、日欧米企業は、競ってこの国に進出してきた。
しかし、金のない人権侵害国家は「ただの人権侵害国家」だ。結局、世界の国々の大半は、再び米国側につくことになるだろう。

最後に経済戦。現代の戦争では、これがメインだ。ここでも、米国が勝つ可能性が高い。

米国は、年間5000億ドル強を、中国から輸入している。一方、中国は、米国から年間1300億ドルしか輸入していない。貿易戦争によって、お互いの全製品に関税をかけたとすると、中国が受ける打撃は、米国が受ける被害の3.8倍になる。

以上を簡潔にまとめてみよう。

・中国経済は、米中貿易戦争がなくても悪化していくトレンドである
・中国経済は、米中貿易戦争で悪化のスピードが加速する
・不況で、中国の政治は不安定化する
・民主的政権交代システムがない中国では、クーデター、革命が起こりやすくなる
・核大国である米中の「戦争」は、情報戦、外交戦、経済戦がメインになるが、中国は米国に勝てない

日本が注意すべき2つのこと

米中貿易戦争が、覇権争奪戦に転化する中、日本はどう動くべきなのだろうか?注意すべき点は2つだ。

まずは、「孤立しないこと」。1937年に日中戦争が始まったとき、中国は、米国、英国、ソ連から支援を受けていた。この戦争は事実上、日本vs米英中ソの戦いだった。日本が負けるのは当然だ。

あれから80年の時が過ぎ、日本は現状、孤立していない。しかし、中国は常に日本を孤立させようとしているので、決して安心はできない(証拠はこちらの記事を参照のこと)。

日本は、中国の罠にはまって孤立しないよう、常に慎重に行動しなければならない。
もう1つは、軍事同盟国・米国との関係を最優先にし、中国に接近しすぎないこと。第2次大戦時、日本最大の失敗は、ナチスドイツと軍事同盟を結んだことだった。「負ける国の同盟国になったこと」が致命的ミスだったのだ。

今の日本政府はそんなバカなことはしないと思う人が多いかもしれない。しかし、米中覇権争奪戦が始まった途端に、日中関係が大きく改善された。日本は、第2次大戦時のようにフラフラし、米中の間を揺れているようにも見えるのだ(安倍首相は、習近平との会談後、すぐにインドのモディ首相を別荘に招くなどして、バランスをとっているようだが)。
日本政府は、愚かにも「負ける国の側についた」第2次大戦から教訓を得て、今度は「勝つ国」の側にいなければならない。

そして、「勝つ国」は、またもや米国なのだ。

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