『中国・市政府の給与遅配で露呈した財政収支悪化 資金不足は財政移転に頼るしかない現実』(6/22日経ビジネスオンライン 北村豊)について

6/23The Diplomat<Mattis to Visit China, Japan, and South Korea With South China Sea, North Korea in Mind The trip will be Mattis’ first to China as U.S. secretary of defense.=マテイスは南シナ海、北朝鮮問題で、中国・日本・韓国を訪問 国防長官としての訪中はマテイスが初>“On Taiwan, Mattis had underlined that the Trump administration “oppose[s] all unilateral efforts to alter the status quo, and will continue to insist any resolution of differences accord with the will of the people on both sides of the Taiwan Strait.””台湾に関して、マテイスは「トランプ政権は現状を変える一方的な如何なる試みにも反対し、台湾海峡両岸の国民の意思に沿った紛争解決を主張して来た」と強調した。

マテイス長官には踏ん張ってほしい。中国の侵略行為をひとたび許せば、世界は共産主義化されてしまうでしょう。人類にとって不幸です。何せ、自由もなければ、選挙で国民代表も選ばれない仕組みです。法治は民主主義で選ばれた代表が制定する所に、その正統性が認められます。

https://thediplomat.com/2018/06/mattis-to-visit-china-japan-and-south-korea-with-south-china-sea-north-korea-in-mind/

宮崎正弘・福島香織著『世界の中国化をくい止めろ』の中に欺瞞だらけの「中国崩壊論」批判

福島:最近はいわゆる「中国崩壊論」に対し、崩壊しないじゃないかとの批判がかまびすしい。たとえば、「中国崩壊本の崩壊カウントダウン」(「ニユーズウィーク」ニ〇一七年十月二十七日)という記事がその典型ですが、中国経済は一〇年以上崩壊せず「崩壊詐欺」と批判しています。私自身の立場はこのまま習近平の独裁が強まれば共産党が崩壊すると言っているのであって、中国人がいなくなるような中国崩壊は「日本崩壊」同様起こりえないと思っています。タイトルだけを見て、一ロに「崩壊本」とくくるのではなく、その本が何を論じているのか、共産党がなくなるのか、中国経済が崩壊するのか、はたまた中国という国家が分裂するというのか、を読んだうえで批判してほしいですね。

宮崎:まぁ石平氏もニユーズウィークのインタビユーで答えていましたが、タイトルはだいたい出版社が決めることが多いですから。編集者も崩壊本のタイトルはインフレ状態で考えるのが大変だと、皆、頭を抱えていますよ(笑)。

それはさておき、「中国の経済成長がまだ続いている」、「その証拠に鉄鋼生産は伸び、不動産価格が上がっている」などと中国当局のフェイク数字を検証もしないで、報道している日本のメディアや経済評論家こそ、問題です。彼らは中国の代理人なのではないか。

パンダ・ハガー(親中派)の代表選手であるディビッド・シャンボー教授でさえ、新作『中国の未来』(本邦未訳)で崩壊論に転じています。シャンボーはキッシンジャーやエズラ•ヴォーゲルの仲間であり、中国政府にも厚遇されてきた人物です。彼の新作に目新しい分析はありませんが、典型的な親中派学者が転向したという事実はもっと注目すべきでしょう。

「中国経済が崩壊すると予言してきた人は、現在の中国経済の成長ぶりに対して反論できない、だろう」などとへンテコな意見をよく耳にしますが、ニ〇一三年から明らかに崩壊している中国経済の実態を直視しないどころか、隠蔽してさえいる。彼らは鬼の首をとったように崩壊論を批判しますが、それなら、われわれのように具体的な事例や数字の根拠を示したうえで、絶対崩壊しないという本を書けばいい。売れますよ、習近平が大量に買ってくれる(笑)。」(P.95~96)

外貨準備のカラクリ

宮崎:中国の外貨規制は、消費を冷やし、景気後退につながりますが、中央銀行は外貨流出を極度に恐れている。外貨流出は同時に人民元の大下落をもたらすからです。

海外送金は審査が厳格化され、さらには企業の外貨借入の前倒|し返済を禁止し、香港などで取引される海外運用の保険商品購入も規制された。過熱したビットコイン取引も全面的に排除し、と中国は外貨流出を防ぐために、ありとあらゆる手だてを講じている。

これは拙著(『連鎖地獄』ビジネス社)でも書いたことですが、私は中国自慢の世界一の外貨準備高が事実上マイナスなのではないかと、にらんでいます。そうでなければ、公表では三兆ドルもあるのに、これほどまで躍起になる必要はないはずです。

そのカラクリをわかりやすく図式で示します

ニ〇一八年一月末の中国の外貨準備は三兆一千ドル(A)

対外資産は一兆五千億ドル(B)

保有米国債は一兆一千億ドル(C)

ところが対外債務は四兆六千億ドル(D)

それゆえ簡単な計算式では「A + B + C」―D=一兆ドル強となる。だがCの米国債保有はAの外貨準備高に算入されている。したがってどう計算しても、外貨準備はマイナスになるのです。

そのうえ、CIA筋によれば、不正海外送金が四兆ドル余。あまつさえ外貨準備の中身は外国企業の資産である。たとえば中国に進出した外国企業は利益を送金できない状態が続いている。外国銀行からの借り入れが、そのまま外貨準備高に計上されています。

じっさい、不思議なことに、香港の関係者によるとニ〇一七年九月に中国が国債をニ〇億ドル(約ニニ〇〇億円)相当の起債をすると言い出したんですが、ドル建てなんです。米ドル建て国債の発行は一〇年超ぶりで、しかも過去最大規模。これ、おかしいでしょ。 SDR入りで人民元は「ハード・力レンシー」と認められているのに、なぜ中国が自らドル建てにする必要があるのか。もっとも人民元建ての中国国債を買うのは日本です。それを指導するの、が外務省と財務省。日本の大手銀行幹部はこの両省の天下りが多い。つくづく日本って、官僚主義の無責任体制だなあ。

福島:大量に刷った人民元で^調達したドル、すなわち自分たちのものではないドルを外貨準備に組み込んでいる実態を、じつは人民元がハード・カレンシーではないということを中国は理解している証左でしょう。

習近平は一五年の人民元暴落の恐怖を身をもって体験したわけですから。おそらく人民元の自由化の方向には習近平政権ではいかないでしょう。」(P.109~111)

6/24阿波羅新聞網<大陆银行取款5000美元 传将被“刨根问底”=中国国内の銀行は5000$だけ引き出せる 伝えられるところでは根掘り葉掘り聞かれると>最近、大陸ネットで「无錫市のある銀行は《外貨引出業務の公告》を公表した。引出条件は以前と比べて一層厳しくなった」と。

1、一回の引出額が5000ドル以上のお客様は一週間前に予約をして、パスポート、ビザ、航空券等旅行を証明する材料を後で提出する。

2、今年度累計で引出額が2万ドルに達していれば、今回と以前の分すべての用途を証明する必要がある。

今年度累計で預金額が2万ドルに達していれば、その来源を証明する必要がある。

3、他人の外貨引出の代行をする場合、直系親族のみが許され、身分を証明する材料を提供する。

公告期日:2018年6月21日 公告中の“錫城”は通常无錫市を指す。

現在、大陸の四大銀行である中国銀行、農業銀行、工商銀行、建設銀行全部外貨交換ができる。ただし、中共の外貨管理局規定に基づいて、個人の$の買入額は毎年5万ドルを上限とする。本条件と以前とを比べると一層厳しくなった。

無錫だけでなく全国レベルで締め付けが行われています。当局はキャピタルフライトが起きれば、中国経済に重大な影響を与えることを心配しているとも。中国の嫌がることをするのが正解です。宮崎氏の言うように、バカ官僚の天下り先銀行を通じて、通貨スワップをして中国を助けることのないように。

http://www.aboluowang.com/2018/0624/1133642.html

北村氏の記事で、地方財政が如何に苦しくなっているのかが分かります。中国社会では金が無い方が強いのです。払わないで済まされる社会です。小生も中国駐在時、合弁会社が金欠に陥り、何カ月も工事代金が払えないときがありましたが、「ない袖は振れない」と。実際ないものはないで仕方がないのですが。銀行もそう言う状態でしたので、おいそれとは貸してくれませんでした。しかし、借金取りは粘って何カ月も工場に逗留していましたが。

耒陽市では今年から債務の元本償還が始まるとのことですが、他の都市も似たり寄ったりでしょう。民間企業であればデフォルトとなり、破産でしょうけど、地方自治体ですから、中央政府が救済すると思われます。中央政府も総ての自治体や企業は救済できないでしょう。徳政令でも出すのかしら。誰がババを引くことになるのか。日本企業は14億人の人口に幻惑されることなく、撤退した方が良いと思います。日本よりAI、ITが進んだ中国では省力化して生産性は上がっている分、人に対する分け前が減ってきているのでは。格差はますます激しくなるでしょう。中間層も仕事がなくなり、=収入が無くなることを意味します。中国は掠奪社会主義ですから富は中共幹部にだけ集まるようになります。

記事

厳しい財政状況に苦しむ地方都市も少なくない

湖南省の東南部に位置する“耒陽(らいよう)市”は“衡陽市”の管轄下にある“県級市(県レベルの市)”である。耒陽市は中国四大発明の一つである「紙」の発明者として知られる後漢の宦官“蔡倫”(63年-121年)の故郷として知られ、“紙都”とも呼ばれている。

“耒陽市人民政府”のホームページに掲載されている「耒陽市の概要」の要点をまとめると以下の通り。

【1】耒陽市の総面積は2656平方km<注1>で、常住人口は115万人である。耒陽市は2200年以上の歴史を有し、その名は改名されたことがなく、「“一帝三聖”の地」とほめたたえられている。それは、中国古代の伝説上の帝王である炎帝・神農が“耒”の地を創り、“紙聖”の蔡倫が誕生した地、“詩聖”の“杜甫”(712-770年)が死去して埋葬された地、“游聖(大旅行家)”の“徐霞客”(1586-1641年)が巡遊した地であることにちなんだものである。
<注1>東京都の面積が2191平方kmであるから、耒陽市の面積は東京都の1.2倍の広さである。

【2】耒陽市は交通の要であり、京広鉄道(北京-広州)、武広鉄道(武漢-広州)、京珠高速道路(北京-珠海)、107国道、320省道などが網の目のように市内を走っている。“耒水”、“春陵江”は四季通航可能で“湘江”に直通している。南下して広州市までは100分間、首都の北京市までは8時間、“南岳機場(南岳空港)”まではたったの40kmである。

【3】耒陽市は資源の一大宝庫である。すでに45種類の鉱物の埋蔵が確認されており、そのうち石炭の可採埋蔵量は5.6億トンで、全国の石炭生産市(県)ベスト100の一つである。発電の総電容量は140万kwで、湖南省で最大の県級エネルギー基地である。

【4】近年来、耒陽市は「まじめに実行し、全力で構造転換し、努力して全省の第一陣に復帰する」戦略目標を掲げ、積極的に経済の“新常態(ニューノーマル)”<注2>に適応し、発展の新たな機会を捉え、市経済の平穏で比較的速い発展を維持している。2017年は通年で域内総生産(GRP)452億元、前年比5.1%増を達成した。また、財政総収入は22.17億元を達成したが、そのうち税収は15.32億元で、前年比1.62億元増えて11.84%増であった。税収の財政総収入に占める比率は、2016年の50.43%から69.09%に上昇し、財政収入の質をさらに一歩高めた。
<注2>“新常態”とは、中国経済が高度成長期を終えて中高速成長期という新たな段階に入っていることを指すもので、「停滞しつつある中国経済に対しての構造改革」を意味する。

【5】社会固定資産投資総額は411.52億元で、15.2%増を達成した。産業比率は、第一次:16.1、第二次:37.6、第三次:46.3から第一次:17.04、第二次:36.03、第三次:46.93へ調整された。都市部住民と農村部住民1人当たり平均可処分所得は、それぞれ3万1858元(8.2%増)、1万8771元(7.5%増)であった。

上記【4】と【5】を見る限りでは、耒陽市は前途洋々であるように思えるが、6月1日にあるインターネットユーザーが湖南省のニュースサイト“紅網(ネット)”の“百姓呼声(庶民の声)”欄に、「6月1日になった。1カ月間ご苦労さま。但し、5月分の給与は一銭も払われていない。聞くところによれば、6月分の給与も払われないというが、一体いつになったら給与は支払われるのか。我々はどうやって暮らしていけば良いのか」と書き込んだことに端を発して事態は大きく動いたのだった。この書き込みは湖南省内で大きな話題となり、一体どこの地域で給与の支払い遅延が発生しているのかという疑問が提起された。

「庶民の声」欄に遅延の原因説明

6月5日、ハンドルネーム“lysxcb”という人物が、紅網の「庶民の声」欄に『耒陽市在職幹部・職員の5月分給与支払い遅延に関する説明』(以下「説明」)を公開して、給与支払い遅延の原因を説明した。その説明の内容は以下の通り。

6月初めまで、耒陽市の在職幹部・職員の5月分給与は未だに期日通りの支払いが実現できておらず、社会各界の高い関心を集めた。関係事項の釈明・説明は以下の通り。

(1)2012年以来、耒陽市の主要財源である石炭経済の萎縮<2017年は2012年に比べて石炭の“規費(規定手数料)”が10億元(約170億円)減少>が持続し、市の財政は年々収入不足となった。2017年における耒陽市一般公共予算の累計は22億1696万元となり、前年比4万9862万元減少し、18.36%低下した。2018年5月31日までの我が市の財政収入の累計は8億726万元で、前年比1億4637万元減少し、15.35%低下した。一方、給与や重要な民生事業などの固定性が強い支出は年々増大し、市の財政収入が支出に及ばない現象が年々深刻度を増している。

(2)目下耒陽市の金庫は手持ち資金がひどく不足しており、耒陽市党委員会、耒陽市政府は手持ち資金の状況に基づき、退職者年金を期日通に支払うことを優先した。在職幹部・職員の給与を支払うための資金は今なお比較的大きく不足しており、耒陽市党委員会、耒陽市政府および財政部門は“湖南省財政庁”へ報告を行い、湖南省財政庁から給与の支払い資金を財政移転してもらえるよう努力している。

(3)一方では、税金の徴収管理部門に入金速度を速めるよう督促し、できるだけ速く十分な資金を工面し、最短の時間内に在職幹部・職員の給与を支払えるよう努力している。給与の支払い遅延により在職幹部・職員に不便と困難をもたらしたことに対して、我々は深く遺憾の意を表すと同時に、広範な市民には当面の耒陽市財政が非常に困難な状況にあることを理解願う次第です。

ネットユーザー各位が財政の仕事に関心を持ち、支持してくれたことに感謝致します。
耒陽市財政局  2018年6月5日

上記説明の末尾に「耒陽市財政局」と署名がなされていたことから、中国の経済メディア「第一財経」の記者が耒陽市財政局に問い合わせたところ、財政局側からハンドルネーム“lysxcb”は耒陽市の”宣伝部”であり、当該説明は宣伝部からの質問に対する回答として発信されたものであることが判明した。

恐らく耒陽市宣伝部は耒陽市が財政的に困難であることを知っていたため、ネットユーザーが6月1日付で「庶民の声」欄に書き込んだ5月分給与の支払い遅延が耒陽市の状況を指すと考え、市財政局に実情を問い合わせたものと思われる。

財政収入は悪化の予想

「第一財経」のニュースサイト“第一財経網(ネット)”は6月9日付で本件に関し次のように報じた。

【1】ここ数年来、主要財源である石炭経済が低迷を続けている影響を受けて、耒陽市の財政収入は未だかつてない困難に直面している。収入は下降しているが、支出は減らない。それが今回の給与支払い遅延を引き起こした原因である。

【2】耒陽市財政局のデータによれば、2016年の一般公共予算収入は約27億元(約459億円)であったが、2017年にはこの数字が約22億元(約374億円)に下降し、前年比18%以上の大幅な低下となった。特定の具体的公共事業のために国民や法人から徴収する“政府性基金収入”も楽観できる状況ではなく、2016年の政府性基金は約7.9億元で、前年比9割近い低下となり、2017年は7.9億元を維持した。昨年(2017年)の財政収入は困難な状況にあったが、今年(2018年)は“雪上加霜(泣きっ面に蜂)”でさらに悪化することが予想される。

【3】耒陽市の財政収入は今年上半期に前年比15.35%低下したが、給与や重要な民生事業などの融通の利かない支出は年々増大し、市の財政収入が支出に追い付かない状況に陥っている。2018年の『耒陽市政府業務報告』は、固定性の高い支出が増大する速度は明らかに使用可能な財政資金が増大する速度より大きく、市政府の正常な運営、給与の期日通りの支払い、市民の健全な生活などを維持していくことは極めて困難なものとなっている。

【4】昨年耒陽市は財政で扶養する人々に対する手当の補助金を1人平均300元とする政策を実施し、公務員組織の公用車補助を開始した。基本公共衛生に対する財政補助を1人平均50元に引き上げ、都市・農村住民医療保険の1人平均補助基準を450元に引き上げた。都市・農村住民養老保険の基礎年金の最低基準を1人毎月55元から85元へ引き上げた。

【5】耒陽市財政局の職員は第一財経の記者に次のように語った。すなわち、耒陽市政府の指導幹部は今回の給与遅配を非常に問題視している。我々は税金の徴収管理を強化して収入増を確保し、この苦しい日々を耐えて難関を乗り越えなければならない。

2件の債券総額は19億元に

しかし、耒陽市政府の『2018年予算報告』が示している所では、2018年に予定されている支出は、“耒陽市地方政府債券”の元金返済に9213万元、同地方政府債券の利息支払いに6025万元、世界銀行借款の元利払いに300万元であり、その合計は1億5538万元(約26.4億円)となる。

ただし、この数字には耒陽市政府が資金調達のために設立した融資プラットフォームや国有企業、さらには違法性の隠れた債務に対して支払う義務がある元金や利息が含まれていない。「苦しい日々を耐えて難関を乗り越えねばならない」と耒陽市財政局の職員は言ったが、耒陽市政府が直面している債務返済の圧力は途方もなく大きいのが実情である。

これだけではなく、耒陽市には同市が設立した「耒陽市都市・農村建設投資有限公司」が発行した償還期限前の債券が2件あり、2018年から利息を除く元金の償還が始まるが、これら2件の債券総額は19億元(約323億円)であるという。

6月9日、耒陽市財政局の職員は第一財経の記者に対し、「耒陽市政府が努力した結果、6月8日に遅延していた在職幹部・職員への5月分給与の支払いは全て完了した」と述べた。耒陽市政府が不足していた5月分給与を支払うための資金をどのように調達したのか説明はなかったようだが、「説明」にあったように湖南省財政庁から当該資金の財政移転を受けたものと思われる。

こうして耒陽市の在職幹部・職員に5月分給与が支払われたことで、6月1日にネットユーザーが「庶民の声」欄に告発した給与遅配は解決を見た。しかし、上述した債務返済圧力から考えると6月分以降の給与が期日通り支払われるという確証はどこにもない。

今から10年前の2008年9月に発生した米国発のリーマン・ショックにより世界経済は急減速を余儀なくされ、中国も輸出の不振で国内景気は低迷し、多くの地方政府は財政収支が落ち込む事態となった。これを救ったのは同年11月に中国政府が打ち出した総額4兆元(約68兆円)の大規模景気刺激策だった。

4兆元は、低価格住宅建設、鉄道・道路・飛行場などの重要インフラ建設、震災被災地の復興、農村インフラ建設、生態環境建設などに投入され、地方政府の財政収支を改善し、内需拡大に大きく寄与し、中国経済のさらなる飛躍を促進した。

それから10年後の2018年、上述した耒陽市のように財政収入の悪化で、政府職員の給与支払いにも支障を来し、債券の元利返済に苦しむ地方政府が増大している。たまたま耒陽市はネットユーザーのネットの投書蘭への書き込みにより職員給与の遅配が明るみに出たが、財政逼迫と巨額債務による苦境を隠蔽している地方政府は相当に多いものと思われる。

深刻な地方政府の財政赤字

一方、中国の金融情報サービス企業“Wind”の統計によれば、今年1月から5月7日までに、中国では19件の債券に債務不履行が発生しており、前年同期比で19%増大している。その債券規模は144億元(約2448億円)に及び、前年同期比で20%増大している。債務不履行の主体は10社を数え、その中に上場企業や大型企業が含まれていることで、業界は事態に懸念を示しているという。

世界の工場から世界の市場へと変身し、「一帯一路」政策により独自の経済圏の確立を図りつつある中国だが、華々しい外観とはうらはらに国内の経済状況は決して安泰と言うことができない状況にある。2017年9月に中国メディアが報じたところによれば、2016年の財政収支が黒字なのは、北京市、上海市、広東省、江蘇省、浙江省、福建省だけで、残る25の一級行政区(省・自治区・直轄市)は財政収支が赤字だという。

前者の財政黒字の合計が3兆元(約51兆円)であるのに対して、後者の財政赤字の合計は4.8兆元(約82兆円)で、差し引き1.8兆元(約31兆円)の赤字となっている。これら地方政府が財政赤字を解消する手段は、中央政府からの税収還付と財政移転に頼るしかないのが実情である。

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