『寒空の北京、路頭に迷う10万人の出稼ぎ者たち 火災を発端に「低級人口」駆逐、新都市計画推進へ』(12/1日経ビジネスオンライン 北村豊)について

12/3日経朝刊にも農民工追い出しの記事が載りました。

北京、人口流入抑制へ強権 住宅撤去で立ち退き迫る

【北京=原田逸策】中国の首都、北京市の当局が農村から流れ込む人口を抑制しようとなりふり構わぬ手立てを講じている。環境改善や交通渋滞の解消が狙いだが、労働者の住居を違法建築を理由に有無を言わせず撤去するなど、当局が強制的に住民を追い出す例が目立つ。その強権ぶりには中国国内でも批判が出ており、格差への不満に拍車がかかる恐れもある。

 北京市中心部から南西に約15キロの同市大興区西紅門鎮。近隣の繊維工場の労働者らが住むアパートで火災が起きたのは11月18日夜。子供8人を含む19人が亡くなった。

 火災の1週間後、現場を訪れるとブルドーザーが行き交っていた。アパート、店舗などすべてが壊され、歩道はがれきの山。寒空の中、住民に即座に立ち退くよう命じる通知があった。トラックに家財道具を積む家族は「知り合いを頼って河北省に行く」と語った。

 火災現場は再開発地域に指定されている。11月初めに始まった立ち退き作業が火災後、一気に加速した。北京市トップの蔡奇同市党委員会書記が今年末までに違法な住宅や工場、店舗を一掃する大号令をかけたためだ。火災が起きたアパートも「違法建築」とされた。

 違法建築は窓がないなど住環境は劣悪だが家賃は格安で、北京以外から流れ込んだ低所得の労働者らが住む。市内各地で進む立ち退きを巡り、一部の学者や弁護士らは「出稼ぎ労働者の追い出しが目的」と批判。「すぐに立ち退きを迫るのは違法」との指摘もある。

 北京市は火災の前から違法建築を理由に、出稼ぎ労働者や外国人が開いた飲食店、小売店を相次いで閉鎖してきた。2017年1~6月の営業停止や閉店は計2万店という。衣類などの卸売市場も郊外に移した。「仕事を奪い、出稼ぎ労働者を追い出す狙いだ」との不満が高まっている。

 背景には市外からの流入人口を抑える政策がある。北京市の常住人口は16年末に2173万人。前年比の増加幅はわずか2万人で、出稼ぎ労働者ら北京戸籍がない外来人口は15万人減った。毎年の増加幅を圧縮して20年の人口を2300万人以下に抑え、その後も増やさない目標を掲げる。

 北京だけでなく、上海でも常住人口は16年末で2420万人と4万人の増加にとどまった。20年に2500万人、40年も「2500万人前後」を目標とする。すでに出稼ぎ労働者は学歴、技能などの理由で「居住証」が取得しづらくなった。

 生活環境の悪化や交通渋滞に歯止めをかける狙いだ。北京市トップの蔡氏は「郊外に都市機能を分散するしかない」と断言。蔡氏は習近平(シー・ジンピン)国家主席の側近だ。その習指導部は17年4月、北京から南西に約100キロ離れた河北省に新都市「雄安新区」を建設し、大学などを移す方針を決めている。

 日本では東京、神奈川、埼玉、千葉の「東京圏」1.3万平方キロメートルに約3600万人が暮らす。一方、北京は1.6万平方キロメートルに約2200万人。計算上、北京の人口密度は東京圏の約半分だ。だが都心と郊外を結ぶ鉄道など公共交通インフラの整備が遅れ、先に自家用車が普及して深刻な道路渋滞が慢性化した。

 都市計画が追いつかない人口の膨張は生活環境の悪化などを招くが、都市への人口集積は技術革新を後押しし、労働生産性を高めるとの指摘が多い。むやみに人口を抑制するだけでは、将来の成長余地を狭めかねない。>(以上)

12/4facebookより<逼遷=強制取り壊し>多分北京の大興区ではないかと思われます。

https://www.facebook.com/100010739386824/videos/511835102517798/

人権が守られないのは共産国の共通した課題でしょう。中国人は家に人がいたとしてもブルドーザーを使い壊します。生きようが死んでしまおうが関係ありません。このような国が世界をリードするなんて、寝言をぬかすなと思います。

そもそも人間を「低端=low end」とスーパーやコンビニエンスストアの棚に並ぶ商品のように扱う事自体許されないでしょう。追い出しを喰らった10万人は実家に帰るしかありません。地方に職があればわざわざ都会に出て来て働くことはしないでしょうから、帰ったら失業することは目に見えています。社会保障が充実していない中国では「大躍進」時代ではないですが、餓死する危険性もあります。農業する土地も町や村に買い上げられ残っていないのでは。北村氏の言うように生活手段を考えてやってから、取り壊すべきと思うのですが、共産主義者にとって聞く耳はないでしょう。北京市書記の蔡奇は習に破格の昇進を受け、雄安新区を早く成功させようとの思いで邪魔になる農民工の住まいを取り壊したのでは。自分の出世の為には庶民が苦しもうとも関係ないというスタンスです。共産主義者だからなのか中国人だからなのか、小生はその両方と思っています。

中国は、その内に農民工を棄民として日本に送り込んでくる可能性もあります。今でも日本の健康保険を悪用している、踏み倒して帰ってしまうという事例があります。今の所、日本に来るのは富裕層でしょうけど。日本は中国の人口侵略に、土地の買い占め問題と共に真剣に対応策を考えていかないと。高級官僚はキチンと仕事をしなければ。

http://www.sankei.com/west/news/170508/wst1705080038-n1.html

記事

北京市は火災をきっかけに「工場アパート」の撤去に乗り出し、多くの出稼ぎ労働者が住む場所を失くすことに(写真:ロイター/アフロ)

 11月18日18時頃、北京市南部の“五環路(環状5号道路)”と“六環路(環状6号道路)”の間に位置する“大興区”の“西紅門鎮新建村新康東路8号”にある“聚福縁公寓(聚福縁アパート)”で火災が発生した。11月19日の“新華網(ネット)”はこの火災について次のように報じた。

工場アパートの閉鎖、違法経営の摘発を

(1)18時頃、北京市大興区西紅門鎮新建村で火災が発生した。“北京市119指揮中心(北市消防指揮センター)”<注>は18時15分に火災発生の通報を受け、消防部門は直ちに14の中隊と34台の消防車を現場へ急行させ消火活動を展開した。21時頃に火災は鎮火した。この火災による死者は19人、負傷者は8人であった。負傷者は現在治療を受けている。

<注>正式名称は“北京市公安局消防局119消防指揮中心”。北京市の消防局は本来の名称を“北京市公安消防総隊”または“中国武装警察部隊北京市消防総隊”と言い、“北京市公安局”と“中国公安部消防局”の二重の管轄下にある。消防局の隊員は武装警察官で構成されている。

(2)火災発生後、“北京市党委員会”書記の“蔡奇”と副書記で北京市長代理の“陳吉寧”は、即座に現場へ赴き緊急救助活動を陣頭指揮した。蔡奇は全力を挙げて現場における被災者の捜索と負傷者の治療を行い、後始末を十分に行い、市が先頭に立って調査チームを発足させ、事故原因を究明し、厳しく責任を追及するように要求した。また、「“挙一反三(一つの事から類推して多くの事を知る)”が必要であり、直ちに全市でローラー作戦を展開し、個々の村や居住区域をしらみつぶしに調査し、いかなる隠れた危険も見逃してはならない。さらに村・鎮に所在する“工業大院(工場アパート)”の閉鎖、違法経営の摘発をさらに進めねばならない。全ての区の全ての組織に主体的な責任を負わせ、安全生産と公共安全を確保しなければならない」と述べた。なお、今回の火災の原因は調査中であり、容疑者はすでに強制措置が採られている。

 火元となった聚福縁公寓は“新建一村”の十字路の片側にあり、周辺にはアパートや商店が立ち並んでいた。聚副縁公寓は長さ80m、幅76mの古びた3階建てのビルで、白かったはずの外壁は黒ずみ、電線が乱雑に掛かっていた。表から見れば3階建ての聚福縁公寓は実質4階建てで、地上3階、地下1階からなり、地上の1階部分はレストランや銭湯、加工工場、倉庫など、2階と3階の一部は貸室、地下1階は冷凍倉庫および工場となっていた。2階と3階の一部にある貸室は合計305室あり、全部で400人以上の人々が暮らしていた。

 上述した“工業大院(工場アパート)”とは零細企業に工場の場所を有料で提供する賃貸ビルを指し、土地を持つ地元の農民がカネ儲けのために安普請で建設したもので、工場を誘致したい村・鎮政府の意向と合致して各地で工場アパートが次々と建設された。そうなると工場で働く労働者の宿舎も必要になり、工場アパートに並行して居住用のアパートも続々と建設された。アパートの貸室には主として外地から働きに来た出稼ぎ者が住んだ。

聚福縁公寓は工場アパートとして建てられたビルだったが、5~6年前に地上2階と3階の一部を改造して10数m2程の部屋を305室作って貸室としたのだった。聚福縁公寓の正面には貸室の客を呼び込むための赤色の広告が掲げられていたが、そこには「聚福縁公寓」と大書した下に「室内設備:独立トイレ、熱水器、キッチン、暖房、ベッド、洋服ダンス、LANケーブルなど」と記され、「電話:15901222098、18911416568」と連絡先が表示されていた。なお、火災後にメディアがこの番号に電話を入れたが、1つは電源が切られていたし、もう一つは誰も出なかったという。

 さて、貸室の家賃は占有面積により異なるが、月400元(約6800円)~700元(約1万2000円)と安く、住民のほとんどは外地から来た出稼ぎ者だった。彼らの多くは1室に3~4人で住み、共同生活を送っていた。居住者の1人はメディアのインタビューに答えて、「1人で月600元(約1万200円)の部屋に住んでいるが、来月から月200元(約3400円)の暖房費を取って集中スチーム暖房が始まるはずだった。地下には倉庫や工場があるようで、しばらく前までは常にガタンガタンという音が聞こえ、変圧器のブレーカーがしばしば落ちた」と述べている。

有毒ガス発生、金網で逃げられず

 その後の調査により出火元は地下1階の冷凍倉庫であると判明した。倉庫内に貼られていたポリウレタンフォームが燃えたことにより毒性ガスが発生し、この毒性ガスが隣接する小さなアパレル縫製工場に流入したため多数の労働者が死亡した。また、2階には長さ60mの狭い廊下が2本しかなく、しかも薄暗い電灯が点いているだけだった。各部屋の窓には泥棒除けの金網が貼られていたため、煙の流入で火災発生を知った2階の住民たちは必死で金網を外そうとしたが、金網はびくともしなかった。そこで廊下に出た人々は煙が充満する中を手探りで1階の出口へ向かったが、同公寓には出入口が大門と小門の2カ所しかなく、大門は閉鎖されていたため、人々は小門からしか逃げられなかった。公寓から命からがら逃げ出した人々は誰もが全身煤まみれで、一部の人々は路上で吐いたし、子供の中には意識を失った者もいた。

 後に公表された火災による死亡者名簿の内容は以下の通り。彼らの死因は全て一酸化炭素中毒だった。

【1】山東省“郯城県”出身の男性(60歳)、その妻(58歳)、孫(男6歳)、孫(女1歳)

【2】河南省“拓城県”出身の女性(50歳)、孫(男1歳)、孫(女4歳)

【3】河北省“曲周県”出身の女性(31歳)、息子(1歳)

【4】陝西省“周至県”出身の女性(24歳)、息子(3歳)

【5】北京市大興区の子供(男11歳)、その弟(3歳)

【6】その他:河北省“深州市”出身の女性(27歳)、河北省“威県”出身の男性(30歳)、河南省“固始県”出身の男性(21歳)、黒龍省“五常市”出身の女性(42歳)、新疆ウイグル自治区“葉城県”出身の男性(26歳、ウイグル族)、吉林省“楡樹市”出身の男性(47歳)

 上記の通り【5】の2人を除く17人は全て外地の出身者であり、“県”出身者が大部分であることから農村からの出稼ぎ者およびその家族であることは明白である。彼らは故郷から北京市へ出稼ぎに来て、家賃の安い聚福縁公寓でつつましく暮らしていたが、不幸にも火災により命を落としたのだった。名簿からはアパレル縫製工場の労働者が何人死亡したのかは分からないが、死亡者19人中の8人が子供であったことは悲しい事実である。

出稼ぎ労働者を放逐、新都市計画を推進

 ところで、北京市党委員会書記の蔡奇は、どうして聚福縁公寓の火災現場において全市でローラー作戦を展開して隠れた危険をあぶり出すと同時に、村・鎮に存在する工業アパートの閉鎖と違法経営の摘発を行えと命じたのか。それは北京市の“城郷結合部(都市部と農村部の隣接地域)”にある出稼ぎ者主体の貧困者向けアパートや零細企業向け工場アパートを取り壊して新たな都市計画を推進するためである。貧困者向けアパートと工場アパートを兼ね備えた聚福縁公寓で火災が発生し多数の死亡者が出たことは、都市計画推進の理由付けとしては十分であり、この機を捉えて都市改造を進めると同時に外地から来た出稼ぎ者を駆逐するというのが本音と思われる。

 多数の新建村住民がメディアに語ったところでは、聚福縁公寓が所在する新建一村には違法建築が比較的多く、村の住人の多くが外地から来た出稼ぎ者であることから、新建一村は今年12月15日より前に建物の取り壊しと住民の移転を終わらせることを計画している。但し、現在までのところ住民の移転は進んでおらず、当該計画の進行は遅滞している。新建一村の掲示板に張り出されていた『通知書』には、「西紅門鎮は北京市の“城郷結合部”改造のモデル鎮として、都市部と農村部の様相を徹底的に改善し、都市部・農村部一体化の進行を加速させるべく、西紅門鎮の新建一村、“新建二村”、“新建三村”、“新建四村”と“北京市五連環投資有限公司”による“工業大院(工場アパート)”の明け渡し・取り壊し作業を2017年11月2日にから開始する」と記されていた。こうして見ると、聚福縁公寓の火災は遅々として進んでいなかった建物取り壊しと住民移転を促進させる作用をもたらした。

 この動きに呼応するかのように、11月21日には大興区の北部に位置する“旧宮鎮”の地元政府が次のような緊急通知を布告したことがネットに掲載されて話題になった。

《緊急通知》

 “大興区政府”および“旧宮鎮政府”の通知に応じ、北京市政府の関係文章の要求に基づき、本地区にある全ての“公寓(アパート)”および“出租房屋(貸室)”は5日間を期限として大至急清算し、返却することを要求する。11月26日には水、電気、ガスを強制的に停止する。全ての居住者はこの期限前に完全に退去することを要求する。この期限を過ぎても退去しない者は本公司および政府が強制的な措置を採るが、その結果は自己責任である。

2017年11月21日

 要するに、11月18日夜に聚福縁公寓の火災現場で北京市党委員会書記の蔡奇がローラー作戦を展開しろと命じたことを契機として、北京市は全市を上げて“城郷結合部”の改造に着手したのである。上述したように聚福縁公寓が所在する新建一村では11月2日から工場アパートの明け渡し・取り壊しが始まり、聚福縁公寓もその例外ではなく、一部の住民はすでに退去していたが、大多数の行き場のない人々は依然としてアパートの貸室に留まっていたし、地下のアパレル縫製工場も残留して稼働していた。そんな最中に火災は発生したのだった。本来11月18日には地下にある冷凍倉庫や工場に対する法執行が行われる予定だったが、週末を理由に2日間延期された。法執行が2日間延期されなければ、火災は発生しなかったに違いない。

零下の寒空に橋脚の下で寝泊まり

 聚福縁公寓の周辺では翌19日から住民の強制立ち退きが開始され、アパートや工場アパートの取り壊しが始まり、ホテルやレストランを始めとする各種商店は移転を余儀なくされた。この動きは上述した大興区内の西紅門鎮や旧宮鎮のみならず、全市の“城郷結合部”に拡大し、非公式な統計によれば、北京市全体で11月19日中に1万人以上の外地から来た出稼ぎ者が従来の住居から強制退去させられたし、11月24日までには1000棟近いアパートと工場アパートが違法建築や違法経営などの各種名目で取り壊され、強制退去させられた出稼ぎ者の数は10万人を超えたという。

 外地から来た出稼ぎ者たちは、その多くが上述の大興区西紅門鎮新建村のほか、“通州区馬駒橋鎮”、“豊台区盧溝橋郷張儀村”などの“城郷結合部”に居住して、縫製、飲食、物流、建築などの産業に従事していた。ところが、彼らが住居から強制退去させられて通常通りに働けなくなったことで、彼らを雇用していた業界は大きな影響を受けている。その最たるものは物流業界であり、彼らを配達員として大量に雇っていた“快逓公司(宅配便会社)”の一部では配達員不足により北京市内の宅配業務を停止さざるを得ない状況に陥った。

 北京市の天気は聚福縁公寓火災が発生した11月18日が晴れで、気温は最高5℃、最低零下6℃であった。翌19日は曇りで、最高7℃、最低零下5℃であった。乾燥している北京市の寒さは、室内から外へ出てすぐは気温が零下でもさほど寒いとは感じないが、しばらくすると底冷えして凍り付くような痛みを感じるようになる。そんな気候の中を10万人以上もの人々が住み慣れた住居から強制退去を命じられたのである。メディアによれば、零下5℃の寒空の中で立体交差橋の橋脚の下で寝泊まりする人々の姿が目撃されたという。

 強制退去させられた人々が向かう先は“城郷結合部”からさらに奥に位置する環状6号道路の外側にある辺ぴな地域しかないが、そこに10万人以上の人々を受け入れる貸室があるとは思えない。しかし、所得の少ない彼らに支払える家賃には限界があり、住める地域は限られる。どうしても貸室が見付からなければ、故郷へ戻るしかないのだ。

“低端人口”を整理・抑制

 実は2011年4月25日にも大興区旧宮鎮で300m2を焼失する火災が発生し、死亡者17人、負傷者25人(含女児2人)を出したことがあった。火災が起きた建物は2010年に建てられた違法建築で、4階建てで38室の貸室あり、80人前後の人々が住んでいたが、消防安全措置は全く取られていなかった。死亡者17人中の13人は建物1階にあった零細なアパレル縫製工場の労働者で、外地から来た出稼ぎ者であった。この旧宮鎮の火災と聚福縁公寓の火災は6年の年月を隔てながら共通点を持っている。それは現場が工場アパートであることと、犠牲者の多くが労働集約型産業のアパレル縫製工場で働く出稼ぎ者であったことである。火災発生場所が旧宮鎮の現場から聚福縁公寓の現場まで7km南下しただけで、出稼ぎ者が犠牲となる構図は何も変わっていない。

 ところで、上述した北京市の“城郷結合部”改造計画に関連して、市内の“石景山区”、“海淀区”などの区政府が発行する公文書に、「“低端人口”を整理する」、「“低端人口”の流入を厳しく調整する」、「“低端人口”を抑制する」といった記述のあることが発見され論議を呼んでいる。“低端人口”とは「低級人口」の意味で、最下層に位置づけられる外地から流入した出稼ぎ者を指す。公文書の中であからさまに「低級人口を整理する」、「低級人口を抑制する」と記載する真意は、最下層の出稼ぎ者を北京市内から駆逐することにある。これは大都市への人口集中を抑制する政策の一環であり、北京市だけの問題ではないと思うが、出稼ぎ者を低級扱いするとは言語道断と言わざるを得ない。

 それにしても、10万人以上の人々を従来の住居から強制退去させるなら、予め然るべき受け皿となる居住場所を準備するのが為政者としての務めだと思うのだが、彼らを路頭に迷わせて泰然としている所はさすがと言うしかない。しかし、彼らは低賃金で働く最下層の出稼ぎ者が北京市にどれだけ大きな貢献を果たしているかを理解していないようだ。

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