『金正男暗殺は中朝“仮面夫婦”関係を変えるのか 国内政争と対米関係が絡む混沌下、中国の選択は…』(2/22日経ビジネスオンライン 福島香織)について

2/23三島由紀夫研究会に参加しました。講師は松本徹氏、テーマは「三島由紀夫の時代」でした。三島は大正14年=昭和元年生まれですが、大正時代には円本や文庫本が安く大量に出版されていました。世界文学全集や日本文学全集だけでなく、能、歌舞伎、浄瑠璃等の全集も出ました。日本文化の集大成として、です。三島と言う天才が彗星の如く現れる裏にはこのような時代背景がありました。

蓮田善明は「花ざかりの森」を読んで、16歳の三島を天才と呼び、三島の人生にも多大な影響を与えました。彼は終戦の詔勅をボホールバルで聴き、上官と意見の対立で、上官を射殺後、自殺したことで有名です。松本氏によれば、蓮田は単に意見の違いで射殺したのではなく、自分の立場が「承詔必謹」で天皇の命令は絶対、上官の命令は絶対という中にあって、反乱を起こそうとした兵士との板挟みになることを恐れたのではとの解釈でした。上官の中島連隊長も蓮田も死んでいますのであくまでも推測の域を出ませんが。小生はこれを聞いて、三島の「憂国」を思い出しました。正しく主人公がそのような境遇にあって切腹しますので。

北の今回のミサイル発射と金正男の暗殺(影武者との説もあります。TV映像では倒れる映像は顔が写っていませんので。救急車で運ばれたときに掏りかえられた可能性もあります。マレーシアの発表だけでは何とも。本人が生きている可能性もあります)という暴挙は、いよいよ米国に早期の先制攻撃を決意させただけなのでは。北がそんな行動を取ったのは、金正恩の「斬首作戦」が行われるというニュースを米国と日本から得ていたからでは。

中国は表面的には制裁すると言っていますが、朝鮮半島人と同じく嘘つき民族ですので全然信じられません。今までもそうでしたし、これからもそうでしょう。石炭の輸入禁止にしても第三国経由でやすやすと輸入すれば良いだけです。

福島氏の見方によれば、中国は地政学上北を見捨てることができないとのこと、そうであれば同じくアメリカも南を見捨てることはしないでしょう。どんなに従北大統領になっても。暗殺やクーデターという手段を取っても、です。まあ、キチガイ民族同士ですから、米中の強力な圧力がなければ、うまく統治できないのでは。日本は朝鮮半島の面倒を見るのは御免蒙ります。

http://diamond.jp/articles/-/119004

記事

金正男暗殺は中朝関係にどんな影響を与えるのか(写真:AP/アフロ、2001年5月撮影)

北朝鮮の流浪の王子、金正男は、日本人の愛人をもち、偽造旅券で東京ディズニーランドを楽しみ、赤坂のコリアンクラブの上客でもあったという、その日本びいきぶりと、記者とメールでやり取りにも応じる気さくさと、愛嬌のある容貌と、意外に開明的で視野の広い知性も備えていて、日本のネットユーザーの間で「俺たちのマサオ!」と結構人気があった。その金正男がマレーシアで、謀略小説さながらの方法で白昼、空港で暗殺された。いや、殺されたのは影武者で、偽装暗殺だった、俺たちの正男は生きている!という人もいる。とりあえず本当に暗殺されたとして、このことは中朝関係になにか影響があるのだろうか。

11人が関与、3か月前から準備か

まず、事件の概要について、少し整理しておこう。

北朝鮮の最高指導者、金正恩の異母兄である金正男はクアラルンプール第二国際空港の自動チェックインカウンターで、2月13日午前9時、暗殺された。マレーシア警察の記者会見によれば、事件には11人が関わっているとみられ、うち4人が逮捕された。残り7人の男は逃走中。

金正男の検死解剖は15日に行われているが、目下、毒物の検出結果を待っているところで、死因となった毒物は確定していない。

わかっていることは、インドネシア籍女性のシティ・アイシャ容疑者(25)が前から正男に何か話かけ、ベトナム籍のドアン・ティ・フォン容疑者(28)が後ろから手をまわし、顔に何かを擦り付けた。倒れた正男は空港職員に助けを求め、空港内の診療所に足を運び応急手当を受けたのち、市内の病院に搬送されたが死亡した。正男は金哲名義のパスポートで今月6日にマカオからマレーシア入りし、事件当日の13日午前10時50分の飛行機でマカオに戻る予定だった。死亡が確認されたのは午前11時ごろだった。

逮捕されたのはこの女容疑者2人と、シティ・アイシャ容疑者のボーイフレンドのマレーシア男性と、主犯格とみられる北朝鮮籍のリ・ジョンチル容疑者(46)。指名手配を受けている7人の男のうち5人は朝鮮人で、その名前と年齢は判明。すでにマレーシアから出国している。この5人以外の2人の男の身元については、手がかりとなる情報提供を呼び掛けている。写真から判断すると朝鮮人らしい。

暗殺計画は3カ月前から準備されていたもようで、リ・ジョンチルが二人に犯行を指示したとされる。ドアン・ティ・フォン、シティ・アイシャ両容疑者はともに自称ネットアイドルで、犯行当日に知り合ったという。シティ・アイシャの家族が日本のテレビメディアに答えたところによると、日本のテレビ番組のために「お金持ちにいたずらをしかける」仕事を依頼され、インドネシアのショッピングモールでも、いたずらを仕掛けて、報酬をもらったことがあるようだ。リ・ジョンチルは金日成大学卒業のエリートで、抗がん剤などを製造する製薬会社に勤務、クアラルンプール郊外の高級マンションに妻子とともに暮らしていたという。

だが一部韓国メディアでは、この女たちも含めて北朝鮮の特殊部隊、工作員だとする説も報じている。

マレーシア警察当局は、金正男の遺体を遺族に引き渡すとしており、本物の遺族であるかどうかもしっかり確かめるとしている。一方でマレーシア当局としては、事件の背後の政治問題に関しては関心がないとして、警察として犯罪事実をはっきりさせることだけに全力をあげるとしている。

ちなみに北朝鮮サイドは、北朝鮮公民が一人死亡したことを在マレーシア北朝鮮大使館として確認していると発表。だが、朝鮮大使館はマレーシア側が検死を行うことを拒絶。マレーシア当局は大使館員の立ち合いのないまま、検死解剖を行い、また遺体を大使館に引き渡すことを拒否したため、大使館側はマレーシア警察当局に厳重抗議をし、再度遺体の引き渡しを要求している。

中国は国境警備強化、石炭輸入停止

さて、中国の報道は、マレーシアメディア、シンガポールメディアを引用する形で、こうした事実関係を報道する一方、外交部記者会見では、公式には中朝は友好の隣国関係にあり、その友好往来の伝統は続いている、という無難な答えに留めた。だが、正男暗殺事件のあと、中朝の間で変化がいくつか起きている。

まず、中国側は中朝国境の兵員配置を強化した。建前は突発事件に備えて、第一線哨戒を1000人増強したという。金正男は、典型的な親中派として知られており、彼の存在が、親中人脈の中心人物であった張成沢の処刑につながったと解放軍サイドは分析している。正男の死が、なんらかの対中アクションに連動する可能性はゼロとは言えないと警戒したのだろう。あるいは単なる亡命者増加に対する警戒かもしれない。

韓国メディアの分析によれば、まだ金正男暗殺事件の首謀者が北朝鮮であるかは確認がとれていない。もしかしたら、北朝鮮の仕業と見せかけた国際謀略の可能性だってある。

ただ金正恩は2012年からずっと、正男の暗殺機会を狙っていたという。デイリーNK編集長の高英起は、正男には政権奪取の意思も力もないながら、国際社会で意外に評価の高い異母兄に対する嫉妬が直接の動機だという見立てを話していた。一部で正男が亡命政権を中国や韓国などに樹立することを恐れていたという話もある。

もう一つの動きは、中国が北朝鮮からの石炭輸入年内停止を発表したことだ。これは18日のことで、韓国メディアをはじめ多くの海外メディアがタイミングから言って、正男暗殺事件と無関係とはいえないとみている。中国の石炭輸入停止は昨年4月から、するするといっていたが、やってこなかった。

正男と中国の関係を簡単に述べると、正男はかねてから典型的な親中派人士であり、北朝鮮も中国式改革開放に学ぶべきだと言っていた。正日存命の間にすでに、後継者候補から外れていた正男については、中国は正日に頼まれるかたちで、早くから正男の庇護役を引き受けてきた。それは最近まで続いていたはずで、最初の妻は北京郊外の豪邸に今も住んでいるはずであるし、二番目の妻や愛人はマカオに住んでいるはずである。正男の最も優秀な息子とみられている金韓松も、パリ留学を終えたあとは、中国の庇護を受けられるマカオに戻っているはずだ。一部メディアでマレーシア入りが報じられているが、詳細は現時点では不明だ。

親中・後ろ盾の張成沢処刑で価値低下

2013年ごろまで、記者たちの目撃談では、たしか金正男には中国当局が複数の厳重な護衛をつけていた。金正男は、かつて金正恩政権のナンバー2で北朝鮮内親中派の筆頭であった張成沢(処刑済)が実の父親がわりになって育てていたこともあって、金正恩にとっては、いつ自分が排斥されて正男に政権を奪われるかもしれぬという恐れがあったとみられている。実際、中国が正男を対正恩政権外交のジョーカーに使おうと準備していたフシはある。

2013年に、突如、張成沢が残忍な方法で処刑されたのは、中国サイドが、張成沢と結託して、正男を擁立して正恩を排斥し、北朝鮮に親中政権を発足させる陰謀があるのではないかと、正恩が疑ったせいだとみられている。

中国国内では、習近平政権に追い詰められていた周永康が、北朝鮮亡命を画策し、金正恩政権の庇護を受けるために、胡錦濤政権時代に張成沢と中国共産党の間で、正恩を正男に挿げ替える可能性について話題にのぼったという情報を提供し、そのことが、張成沢はじめ北朝鮮内の親中派への苛烈な粛清の原因となったという説がある。この粛清で、中朝関係は過去最悪と言われるまでに冷え込んだ。

同時に張成沢亡き後では、中国にとっては正男の切り札としての価値は急激に下がった。だから、ひょっとすると、中国側は護衛を減らしたのかもしれない。しかしながら、正男の最大庇護者が中国であったことは変わらなかったはずだ。正男暗殺は、張成沢処刑に並んで、正恩政権の対中挑発という風に受け取られても不思議はない。

正男暗殺事件だけでなく、その前に、2月11日の北朝鮮ミサイル発射実験もあり、なにより、米大統領トランプが中国の立場を慮って「一つの中国」原則放棄のカードを引っ込めたことに対する“返礼”の必要もあり、中国側もこのタイミングで北朝鮮に対する経済制裁の全面参加を決断したといえる。これだけの材料があれば、中国共産党内の親北派を抑えて対北制裁に踏み切っても誰も文句は言えない。ちなみに中国の昨年の北朝鮮産石炭輸入量はドル換算にして12億ドル近くあった。北朝鮮の2015年の輸出総額が約27億ドルぐらいだから、相当な打撃となる。

だが、これを単純に、習近平政権VS金正恩政権の対立先鋭化とみるのは、単純すぎるかもしれない。中国と北朝鮮の関係は、米国との利害関係も絡んで非常に微妙な均衡の上にある。建前上は中朝はともに朝鮮戦争で戦った同盟関係であり、「血で固めた友誼」が存在する。また中国にとっては北朝鮮は、米国勢力との緩衝地帯であり、その存続自体に地政学的意味があることから、経済上政治上の最大パトロンであり続けた。だが、北朝鮮にとっては、中国は「生かさぬよう殺さぬよう」に自分たちの命綱を握り、外交交渉にカードとして利用するだけ利用し尽くす潜在的な敵であり、特に金正恩にとっては、自分の地位を脅かしかねない正男を庇護していただけに恨みが強い。

中国からみれば、北朝鮮はその生存を大きく中国に依存しておきながら、中国の言うことを聞かずに核兵器を保有し、その核兵器は北京を攻撃する能力をもち、さらには結果的に、韓国にTHAADミサイル配備という、中国にとって最悪の展開につながった。中国にとって北朝鮮は、中国に依存しながら、中国に刃向かい、弱小国のくせに、その安全や地政学的重要性を人質にとって大国中国を振り回す潜在的仮想敵だ。憎いにもかかわらず、表向き敵対できない、いつか殺してやると思いながら、今日も同じベッドに寝る仮面夫婦のような関係だ。

韓国THAAD配備決定で関係修復?

しかも、そこに中国共産党内の権力闘争も影響してくる。金正男、張成沢ら北朝鮮親中人脈は北京においては主に江沢民派の利権にかかわってきた。また中朝国境の東北地域においては、解放軍旧瀋陽軍区という習近平ときわめて相性の悪い旧軍区の利権であった。張成沢ら親中派人脈の粛清は、中国共産党にとっては対中挑発という文脈で捉えられるのだが、中国共産党内権力闘争においては、習近平派にとって、政敵たちの北朝鮮利権をつぶす好機となった。習近平は、江沢民派や旧瀋陽軍区とつながる既存の北朝鮮利権をつぶしながら、新たな北朝鮮利権を模索しているという見方もある。

特に韓国のTHAADミサイル配備が決まったあたりから、張成沢処刑で冷え込んだ中朝関係修復の動きが伝えられるようになった。昨年秋、北朝鮮に核兵器開発に必要な部品素材を輸出していたとして失脚させられた東北の女企業家・馬暁紅は、米国の情報筋によれば、党中央対外連絡部(部長の宋濤は習近平の核心人事の一人で、習近平の右腕として対北朝鮮外交を担っている)に属する人間であり、むしろ習近平派に属するらしい。国内で「習近平が激怒して自ら彼女に逮捕状を出した」という報道が喧伝されたのは、習近平、馬暁紅の北朝鮮利権ラインが米国につかまれたことを精一杯カモフラージュするためだという見方もある。一方で、解放軍筋から、中朝関係の悪化を伝える情報が集中して流れている。こうしたリークは、さまざまな陽動目的がありそうだ。

こういう状況を整理しつつ、最近の新華社や中国社会科学院の半島研究専門家のリポートなどを読み解いていくと、中朝関係の現状と未来については、次のような見立てが言えるかもしれない。

過去最悪、政争の具、制裁強化…楔打つ好機だが

① 現状、中朝関係は過去最悪にまで冷え込んでいる。しかしながら、習近平政権にとって、張成沢粛清や正男暗殺は、中朝対立の決定的な要因にはならない。むしろ、習近平の権力闘争に利用された感がある。ただし、米国の妨害もあって、習近平の新しい北朝鮮利権人脈の構築はうまくはいっていない。

② トランプ政権の登場で、1958年の朝鮮半島停戦以来、米朝関係は最も厳しい状況を迎えそうだが、その米朝対立の先鋭化を利用して、中国としては、潜在的仮想敵とみなす北朝鮮に対するコントロール力を強化するとともに、韓国のTHAADミサイル配備を何とか阻止したい。そのために、米国に協力して北朝鮮に対する経済制裁を強化することはやぶさかではないし、今後さらに、北朝鮮の締め付けを強化していく可能性はある。

③ 新華社世界問題研究センターのリポートを参考にすれば、北朝鮮が核保有国となることは規定路線であると中国はすでに認めている。中国にとっての最大の問題は、北朝鮮の核保有ではなく、その核保有問題を利用して朝鮮半島をアジア太平洋戦略の拠点に利用しようとする米国であり、それを阻止することが最大にして最終目標である。

④ 米国のアジア太平洋戦略を阻むために、韓国との関係正常化が必要だが、THAADミサイル配備は妥協できない。次の韓国の政権が親北政権となるのは歓迎であり、願わくばTHAADミサイル配備の白紙撤回をさせたい。だが韓国の翻意を促すには、中国が善意を示すだけでは難しく、相応の実力を見せつける必要がある。中国は今後も韓国に対しては経済圧力などを使って揺さぶりをかけていくだろう。

⑤ 中国社会科学院の半島研究専門家・李敦球の中国青年報への寄稿(1月18日)によれば、目下の状況では、韓国の次の政権が親北政権になろうとも米韓同盟が大きく損なわれる可能性は低い。半島情勢はますます緊張化し、南北衝突あるいは米朝衝突の可能性は高まるだろう。となると中国としては、適度に核問題を超越して、(現状冷え込んでいる)中朝関係正常化を加速することは現実的地縁政治の必需であり、中国の国家利益に符号する。

⑥ 南北問題は半島の病根である。南北が分裂していなければ、米韓同盟もなく、米国が半島情勢にコミットしてくることもなかった。中国が南北融和推進に積極的な役割を果たすことこそが、米韓同盟を揺さぶることであり、半島および東北アジアの地縁政治秩序を中国に取り戻すことにつながる。

あくまで中国サイドに立った見立てであり、北朝鮮には北朝鮮の思惑があろう。ただし中国にとってぶれない目標は、半島の小NATO化阻止の一点だと考えれば、いくら習近平と金正恩の相性が悪くとも、中国の方から北朝鮮を見放すことはないだろう。逆にいえば、中朝関係に本当に楔を入れられれば、半島の旗色は一気に日米韓同盟に有利に動き、中国のアジア覇権の夢に大きな打撃を与えることになるのだが、日本や韓国は、そういう中国を出し抜くような外交のできる状況にないのが、残念である。

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