『「ミサイルマン」復活! 韓国に牙をむいた金正恩 北朝鮮の核保有と強大なミサイル武装が既成事実化する未来(前編)』『掟破りのミサイル発射、北朝鮮が振りかざす理屈とは 北朝鮮の核保有と強大なミサイル武装が既成事実化する未来(後編)』(5/7・9JBプレス 黒井文太郎)について

5/8希望之声<孟晚舟案再开庭 引渡流程最快数月=孟晩舟の事件が開廷 引き渡しは速ければ数ケ月>華為の創設者、任正非の娘であり、最高財務責任者の孟晩舟の引渡し訴訟は、5/8(水)にカナダのブリティッシュコロンビア州最高裁判所で再開される。 米国のメディアは、「5/8(水)が正式な引渡し手続きの始まりになる。過程はダラダラするかもしれないが、数カ月で済むかもしれない」と報道した。

米国の引渡し請求について議論する前、孟の弁護士は「昨年12月のバンクーバー空港での彼女の逮捕は“不当”であり、引渡し聴聞会が始まる前にこの問題を処理しなければならない」と主張した。

孟が米国に引渡され、陰謀や詐欺などの刑事訴追を受ければ、今年47歳になる孟は監獄入りが何十年にも及ぶだろう。

カナダは中国から政治的圧力をかけられて、公平な裁判ができないとの危惧がありましたが、裁判が始まってしまえば、後は手続きに従って進むとの報道です。華為の悪行とスパイ行為を白日の下に晒せばよい。

https://www.soundofhope.org/gb/2019/05/08/n2867370.html

5/8看中国<“自经区是卖台还是转机?”蓝绿对呛火力全开(图)=”自由貿易経済特区は売国或は転機?“国民党と民進党は攻撃全開>最近、台湾各界で”自由貿易経済特区“が熱い議論を呼んでいる。高雄市長の韓国瑜は7日、2度に亘り”自由貿易経済特区“について説明、「台湾の将来は必ずや開放的な経済貿易区にあると考えている。 恐れることは何もなく、もし総目標が大儲けできるというのが古臭ければ、高雄の産業の競争力を高め、高雄を世界に向かわせることができると言い換えても良い」と。

行政院長の蘇貞昌は、「現在米中の貿易戦争が激化し続け、トランプ大統領は、中国の2,000億ドルの物品に対する課税を25%に引き上げると発表した。このようなときに、中国の製品を台湾に一旦入れて、台湾製として輸出すれば、米国は台湾に厳しい関税を課すかもしれない。台湾は受け入れられない」と。

”自由貿易経済特区“は国民党が政権を握っている15の県と市の首長が支持し、”自由貿易経済特区特別条例法案“を共同で署名し、その後国民党の27立法議員も連署して立法院に送るようにした。しかしもし完全免税とすれば台湾の産業を脅かし、特区内外の不公平な税率も大きな問題となる。

”自由貿易経済特区“は形を変えた「海峡両岸サービス貿易協定」(ひまわり運動の発端となった)のような気がしてなりません。毒が入っているでしょう。中国は深圳特区や上海・外高橋保税区の成功例を罠として国民党に持ちかけているのでしょうけど。日本ですら国家戦略特区(規制改革)がうまく行っているとは思えませんのに台湾でやる必要はないのでは。一度試しにと言うのが一番危ない。日本の民主党が政権を取った時がそうでした。

韓国瑜

https://www.secretchina.com/news/gb/2019/05/08/893017.html

5/8阿波羅新聞網<放风习近平遭白宫高官打脸 战火重燃将加速日企撤厂 惊!富士康有党支部还有党校=習近平はWHの高官に面子を潰されたとの噂が 戦火は再度広がり、日本企業の撤退は加速する 何と富士康(郭台銘の鴻海の中国子会社)には党支部だけでなく党校まである>トランプ大統領が5日に中国製品に増加関税を課すと発表した後、中国大陸のメディアは報道を禁止されているようである。 江派の香港メデイアによる報道は、米国貿易代表であるライト・ハイザーの言っていることと違うとして間接的に暴露した。トランプが衝撃弾を投下した後、中国の株式市場の千企業の株は暴落し、売買停止となった。しかし米国の株式市場は7日には急落しなかった。 日本のメディアは、トランプ大統領の中国からの輸入に対する関税引き上げが日本の産業チェーンの移転を加速させるだろうと報じた。 中国社会に精通している西側の幹部は、「中共の法律は良くて“広報活動”であり、“これらはすべて煙幕または装飾である”」と述べた。

台湾のメディアは8日、「富士康が2001年からグループ内に中共党支部を設立していた。その後、グループの違う地区で党支部や党委を設立し、富士康の統計によれば去年までに16の党委と200以上の党総支部、そして約1000の党支部を持っていた。 去年の7月、富士康党委員会は正式にグループの深セン本部に「グループ党学校」の設立を発表した」と報じた。

郭台銘は中共の手先であることがハッキリしたでしょう。国民党の予備選を勝ち抜けるかどうかですが。本選になった時に、台湾国民は彼に投票して総統にすれば、中共の言いなりになる事は見えています。

https://www.aboluowang.com/2019/0508/1286497.html

黒井氏の記事を読んで感じることは、日本は米国を頼り過ぎず、自国の防衛力強化を図っていくべきという事です。①憲法改正②さしあたってのニュークリアシエアリングの実現(韓国も同様な要求をするかも知れませんが。でも米国にとっても面倒な国であることは間違いない)③自衛隊法のネガテイブリスト化④スパイ防止法制定⑤外国人の政治活動禁止⑥国民へのセキュリテイについての啓蒙等。

安倍首相が北と無条件に話し合うというのは拉致問題で何か進展があったのかどうか?ご家族の年齢を考えれば、早く解決しなければとの思いは日本人でしたら誰しも思う所でしょう。ただ、北はタダでは返してくれないでしょう。金で解決することになりますが、金体制を生き延びさせ、核やミサイル開発の原資となります。どう判断するかです。

日本の外交を制約して来たのは、現実を見ない洗脳された国民の似非平和主義です。そこから覚醒しない限り、亡国の道を歩むだけです。

前編記事

ロシア極東のウラジオストクで、第2次世界大戦戦没者の献花式に出席する金正恩朝鮮労働党委員長(2019年4月26日撮影、資料写真)。(c)Kirill KUDRYAVTSEV / AFP〔AFPBB News

(黒井 文太郎:軍事ジャーナリスト)

5月4日、北朝鮮が複数のミサイルなどを発射した。この件に関し、翌5月5日に米国のポンペオ国務長官がFOXニュースのインタビューで語った言葉が波紋を呼んでいる。注目は以下の部分。

──北朝鮮は2017年以来のミサイル発射実験の凍結を反故にしたことになるのか?
ポンペオ国務長官「あれは短距離だった。我々は、それらが中距離ミサイルでも長距離ミサイルでもICBM(大陸間弾道ミサイル)でもなかったと確信している。(中略)我々の目的にとって注目すべき発射凍結は、明らかに米国に脅威を与えるICBMだ」

つまり、米国政府が問題視する北朝鮮のミサイル発射は、あくまでICBMであり、米国に届かないミサイルについては「どうでもいい」ということだ。この発言は、ICBM以外のミサイル発射を容認することを宣言しているに等しい。

これにより、北朝鮮側は自信を深めたはずだ。トランプ政権のホンネは、ICBM発射阻止しかない。ならば、それ以外の射程のミサイル発射なら、どんどんやっていけると考えるだろう。

北朝鮮が発射した新型短距離弾道ミサイル(労働新聞のサイトより)

水面下では兵器の開発を続けてきた

北朝鮮が今回の発射の前に、最後に弾道ミサイルを発射したのは、2017年11月29日になる。山なりの高い弾道で日本海に落下したが、通常の軌道で発射したと換算した場合、1万3000キロメートルの射程に相当した。これがICBM「火星15」で、これをもって北朝鮮は米国を完全に射程に収める核ミサイルを実現したとし、その後の弾道ミサイル発射を停止した。

その後、2018年に入ると、対米・対南融和戦略に転じ、平昌五輪参加から南北首脳会談、米朝首脳会談と緊張緩和政策をとり続けてきた。その間、弾道ミサイル発射は自粛した。

北朝鮮は2018年11月と2019年4月になんらかの新型兵器のテストを行ったことを公表しているが、北朝鮮全土を監視している米韓軍のセンサーには探知されておらず、少なくともそれなりに射程のある兵器の発射試験ではなかったものと考えられる。

このように、北朝鮮はしばらくの間、弾道ミサイルの発射は行ってこなかった。しかし、北朝鮮はその間も当然、水面下では兵器の開発・改良を続けてきたはずだ。

例えば、2018年2月の軍事パレードでは、新型の短距離弾道ミサイルが登場している。これは韓国軍が開発・配備した短距離弾道ミサイル「玄武-2」に酷似している。玄武-2はきわめて高性能なロシア製「イスカンデル」短距離弾道ミサイルの技術がベースになっているものとみられるが、北朝鮮が開発したものも、その形状から明らかにイスカンデルのコピーを狙った兵器と考えられる。

2018年2月8日に平壌で開催された軍事パレードに登場した新型短距離弾道ミサイル(出所:朝鮮中央通信)

しかし、この北朝鮮版イスカンデルは、まだ一度も発射実験が行われていなかった。したがって北朝鮮としては、本来なら発射実験を行いたいところだったはずだ。そして今回、北朝鮮が「戦術誘導兵器」と称して発射したものは、この北朝鮮版イスカンデルだった。

北朝鮮版イスカンデルが、本家であるロシアのイスカンデルと同等の性能を実現しているか否かは不明だが、仮に同等レベルの性能だとすれば、射程は500キロメートルを超える。北朝鮮南部から発射すれば、韓国の大部分が射程に入る。

仮に今回の発射で観測された最長到達距離である240キロメートルがこのミサイルであれば、実証された飛距離は240キロメートルということになるが、最小エネルギー軌道で発射されたどうかがまだ不明なので、射程がどの程度かはわからない。

また、推進方式については、本家のイスカンデルと同じく、固体燃料型なのは間違いない。従来のスカッドのように発射直前に液体燃料を注入する必要がなく、きわめて即応性が高いため、敵に発見されて破壊される確率が激減する。スカッドよりもおそらく誘導システムも向上していると推測されるので、命中精度も上がっている可能性が高い。

このように、対米、対日本には使えないが、対韓国(もちろん対在韓米軍も)ではきわめて有効な新兵器といっていい。北朝鮮とすれば、ぜひとも発射実験を経て実戦配備したい兵器ということである。

また、北朝鮮は今回、この短距離弾道ミサイル以外にも、「大口径長距離ロケット砲」と称して2種類のロケット砲を発射している。240ミリ多連装ロケット砲と300ミリ多連装ロケット砲(KN-09)だ。

240mm多連装ロケット砲(出所:労働新聞)

300mm多連装ロケット砲(出所:労働新聞)

このうち、240ミリは1990年代に配備された従来型の兵器だが、射程が65キロメートル程度で北朝鮮からソウルを狙える。300ミリは2016年に初めて画像が公開された比較的新しい兵器で、射程は200キロメートル程度あり、在韓米軍の本拠である平沢基地や烏山空軍基地などが射程に入る。300ミリはおそらくGPS誘導の技術が導入され、命中精度が向上している。240ミリにもGPS誘導が導入されている可能性もある。

いずれにせよ、これらの兵器は韓国を攻撃するための主力兵器であり、北朝鮮としては、常に訓練を行って即応体制を維持したいところだ。

目的は「強い戦力を維持すること」

こうしてみると、今回の一連の発射は、対韓国の戦力の維持・向上という軍事的な目的のために、北朝鮮としてはぜひともやりたかったことだったことがわかる。なお、これは韓国に対しては、まるでケンカを売っているかのような行為ではあるのだが、韓国政府の側はとにかく話を大きくしないことを最優先している。いちおう抗議の声を上げてはいるものの、北朝鮮と揉めることを回避するため、今回の北朝鮮版イスカンデルに対しても、ミサイルという見方は示さず、「挑発ではない」としてやり過ごす方針のようだ。韓国の防衛がひとつ危うくなったにもかかわらず、見たくない現実は見ないということなのだろう。

今回の発射の北朝鮮の意図について、「米朝交渉が停滞しているので、ミサイル発射で米国を挑発し、自分たちの強硬姿勢をアピールして、米国の妥協を引き出すのが狙いだろう」との見方が、とくに韓国では多いが、あまり説得力がない。

まず、冒頭のポンペオ国務長官のコメントにあるように、米国政府はほとんど挑発と感じていない。トランプ大統領の言動も、とりたてて問題視していない点では同様だ。相手が反応しない行為は、挑発にならない。

他方、米国の研究者の中には、「米韓合同軍事演習に参加した韓国の敵対的行為に対する警告だろう」との見方をする人もいる(38north/5月5日)。

金正恩委員長の真意は本人に聞かなければわからないが、北朝鮮はこれまで、何かアピールしたいことがあれば、公式メディアなどを通じて、むしろ声高に主張してきた。あえて裏を読まなければわからないような、わかりづらいメッセージでは、相手に伝わらず、メッセージにならない。裏の狙いというのは、表の言動では矛盾点が生じるときにはあり得るが、そうでなければほとんどの場合、単なる邪推になってしまう。

その点、今回のミサイル等発射を伝える朝鮮中央通信は、この発射の目的について、こう記している。

「(この訓練は)全軍を名射手、名砲手運動へより力強く奮い立たせ、経常的な戦闘動員準備を抜かりなく整えさせることに目的を置いて行われた」

「(視察した金正恩委員長は)全ての人民軍将兵が強い力によってのみ真の平和と安全が保障され、保証されるという哲理を銘記し、いかなる勢力の脅威と侵略からも国の政治的自主権と経済的自立を固守し、革命の獲得物と人民の安全を守られるように高度の臨戦状態を維持しながら戦闘力強化のための闘いをいっそう力強く繰り広げなければならないと強調した」

つまり、強い戦力を維持することが、目的だというわけだ。

発射実験をしたいミサイルはいくつもある

このように、北朝鮮としては、軍事訓練や新兵器の実験は続けたい。しかし、そこで怖いのは米国の反応だ。北朝鮮としては、米国が反発して再び北朝鮮敵視路線に回帰することは避けたい。北朝鮮としても、米国と軍事的に対決するような事態は、きわめて危険だからである。

したがって、もちろんいきなりICBM「火星15」(およびそれより少し射程の短い「火星14」)の発射などはやらない。しかし、それより短い射程のミサイルの発射なら、やっておきたい。そこでまずは、射程の短い短距離弾道ミサイルを発射してみたというところだろう。

そして、北朝鮮にとって幸運なことに、米国は今回の北朝鮮版イスカンデルの発射を事実上、不問に付した。ならば、それより射程の長いミサイルに次は進むだろう。

北朝鮮が発射実験をして技術を高めたいミサイルはいくつもある。まだ一度しか発射実験をしていない精密誘導型スカッド、発射実験で失敗が続いていたムスダン、そして現在開発中の新型潜水艦に搭載する新型SLBM(潜水艦発射式弾道ミサイル)の「北極星3」などだ。また、もしかしたら北朝鮮は新型の固体燃料型ICBMを開発したいと考えているかもしれないが、すでにその前段階の中距離弾道ミサイルを開発しているかもしれない。

それに、おそらくノドンに代わって対日本の弾道ミサイルの主力としたい固体燃料型の「北極星2」、対グアムに実戦配備されたと思われる液体燃料型「火星12」などは、実戦運用のための即応訓練を重ねたいところだろう。

このうち、火星12はさすがにグアムを狙うものだから、米国の強い反発が予想され、北朝鮮としてもやりづらい。しかし、日本を標的とする北極星2の即応訓練はやっておきたいところだろう。

また、ICBMでも、その新技術の実証のため、あえて飛距離を落として発射実験する可能性もある。

事態を放置しているトランプ政権

いずれにせよ、トランプ政権が今のような姿勢で北朝鮮のこうした動きを黙認すれば、いずれ北朝鮮は射程の短いミサイル発射を繰り返す。そして、それが3回、4回、5回となれば、それが常態化し、誰も注目しなくなる。既成事実化だ。

しかし、もしこうした流れで北朝鮮がミサイル実験を重ねれば、まず韓国と日本に対する脅威度はどんどん増すことになる。日本に対しては、それこそ核ミサイルの戦力が強化されるわけだ。

それだけではない。いずれこうした技術向上は、ICBMの技術向上にも繋がる。米国にとっても座視してはならない流れなのだが、トランプ政権はその危険性を直視せず、事態を放置している。

(後編に続く)

後編記事

北朝鮮人民空軍の飛行訓練を視察する金正恩朝鮮労働党委員長(2019年4月17日配信、撮影地不明、資料写真)。(c)AFP PHOTO/KCNA VIA KNS〔AFPBB News

(黒井 文太郎:軍事ジャーナリスト)

5月4日の北朝鮮の短距離弾道ミサイル発射に対し、韓国政府が迷走している。

同日、韓国大統領府は「北朝鮮の今回の行為は、南北間の軍事合意の趣旨に反するもので、非常に憂慮している」と懸念を表明したが、実際に北朝鮮が行った行為については、とにかくそれを矮小化し、問題にしない方針を貫いている。

たとえば、同日の発射を受けて、韓国軍合同参謀本部は当初、「短距離ミサイル」としていたが、わずか40分後に「短距離発射体」と修正した。同日、聯合ニュースは韓国軍幹部の話として「弾道ミサイルではない」とも報じた。

この場合、仮に弾道ミサイルだったということになると、国連安保理決議で北朝鮮が禁じられている「弾道ミサイルの発射」に抵触する。北朝鮮との融和政策を進めている文在寅政権としては、北朝鮮が安保理決議に違反などはしていないほうが望ましい。なので、そうした願いがあったのだろう。

しかし、翌5月5日、北朝鮮自身が朝鮮中央通信と労働新聞で写真を公開し、彼らが発射したのが2種類の多連装ロケット砲に加え、外観がロシア製「イスカンデル」短距離弾道ミサイルに酷似した新型短距離弾道ミサイルだったことが確認された。

しかし、それでも韓国政府は、あくまでミサイルと認めていない。韓国国防部は5日、「北朝鮮による短距離発射体の打ち上げに対する立場」を発表し、あくまでミサイルと認定することに抵抗し、それ以降も短距離発射体という言い方に固執している。国家情報院も6日、国会情報委員会への報告で「地対地とみられる」としながらも、「ミサイルか否かは分析中」と答えるに留めた。

翌7日には、韓国国会国防委員会の安圭伯委員長が、国会で国防部と軍合同参謀本部から報告を受けた後、記者団に「短距離ミサイルでない可能性が高い」と発言している。短距離弾道ミサイルの定義が「射程1000キロメートル以下」なのに対して、今回は飛翔距離が約200キロメートルにすぎなかったことを引き合いに出してのコメントだが、よくわからない謎理論である。

だが、いちばんの問題はそこではなく、安保理決議違反になる「弾道ミサイルか否か?」である。これはもう事実として弾道ミサイル以外の何物でもない。まぎれもなく安保理決議違反である。

韓国は「合意の違反とは言えない」

今回の発射が北朝鮮の約束違反ではないかとの指摘は、他にもある。韓国と結んだ「南北軍事合意書」に対する違反ではないかというのだ。

韓国大統領府が発射当日の5月4日に「軍事合意の趣旨に反するもの」と懸念を表明したことは前述したが、7日には韓国国防部報道官が「軍事合意の条項にはなく、違反とは言えないが、合意の趣旨に背くものだ」と発言している。弱気な発言にもみえるが、「合意の違反ではない」とはどういうことか?

韓国と北朝鮮はまず、2018年4月27日の南北首脳会談で合意された「板門店宣言」で次のような文言に同意している。

「南と北は、朝鮮半島で先鋭化した軍事的緊張状態を緩和し、戦争の危険を実質的に解消するため共同で努力していくだろう」

「南と北は、地上と海上、空中をはじめとするあらゆる空間で、軍事的緊張と衝突の根源となる相手に対する一切の敵対行為を全面的に中止することにした」

また、同年9月19日の南北首脳会談で「平壌共同宣言」と同時に合意された「南北軍事合意書」にも同じ文言がある。互いに敵対的行為をしないとの約束である。

しかし、軍事同意書には、具体的な項目として、以下の文言がある。

「(韓国の)束草から(北朝鮮の)通川までの海域では、砲の射撃および海上機動訓練を中止する」

軍事境界線付近の沿岸では互いに軍事訓練をしないという取り決めだ。ところが、今回、北朝鮮がミサイル発射した元山近傍の虎島半島は、その範囲外である。したがって、軍事合意の項目には違反していないが、友好を謳った精神に合わないということなのだ。

これは、北朝鮮との友好関係をひたすら掲げている文在寅政権には国内政治的なダメージとなる話だが、合意違反とまでは言えない。そもそも韓国自体が、北朝鮮を敵視した米韓軍事合同演習に、例年より規模を縮小したとはいえ参加しており、それに対して北朝鮮側が強く反発してきたという経緯がある。

米国とどんな「合意」があったのか

もっとも、韓国と北朝鮮の関係は、現在の北朝鮮の問題では些末な問題だ。より重要なのは、もちろん米国との関係で、この点でもトランプ政権は、今回のミサイル発射を問題にせず、北朝鮮との対話を優先する方針を打ち出している。

では、実際のところ、北朝鮮は今回の短距離ミサイル発射で、米国との約束を反故にしたと言えるのだろうか?

実は、北朝鮮は米国との間で「ミサイル発射はしない」と合意してはいない。北朝鮮側が勝手に「宣言」していただけだ。しかも、やらないと言ったのはあくまで「中長距離以上のミサイル」だけだ。したがって、北朝鮮側からすれば、米国との合意に違反したわけではないということになる。

北朝鮮がミサイル発射を取りやめると発言した経緯は以下のとおり。

[2018年3月5日]

韓国政府代表団が訪朝し、金正恩委員長と会見。金正恩委員長が語った話のなかに、「米国との対話が続いている間、新たな核実験や弾道ミサイルの発射はしない」という発言があった。

[2018年4月20日]

朝鮮労働党中央委員会総会で「核の兵器化の完結が検証された状況となり、いかなる核実験や中長距離ミサイル、ICBMの発射実験ももう必要なくなった」との決定書を採択。翌日、朝鮮中央通信が伝えたことで、対外的な宣言になった。

[2019年2月28日]

ベトナム・ハノイでの米朝首脳会談の後、トランプ大統領が記者会見で「金正恩委員長が昨夜、弾道ミサイルや核の実験をするつもりはないと私に約束してくれた」と証言──。

ベトナムの首都ハノイで会談したドナルド・トランプ米大統領(左)と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(2019年2月27日撮影、資料写真)。(c)Saul LOEB / AF〔AFPBB News

以上である。公式に対外的な言葉としては、党中央委員会総会での「中長距離ミサイル、ICBMの発射は必要ない」となる。

ただし、これは米国と交渉するためという理由付けではなく、もう完成したので実験は必要なくなったからという名目にしている。これは北朝鮮側からみれば「必要が生じたと自分たちが判断すれば、またやればいい。別に米国と約束したわけではない」ということになる。

それでも、現在の米朝交渉のなかでは、「中長距離ミサイル、ICBMの発射は必要ない」は撤回されておらず、事実上、交渉の前提になっている。なので、この宣言を自ら反故にすることは、対米交渉の前提を覆すことになる。

北朝鮮側が非公式に反故を匂わせたことはある。2019年3月15日、北朝鮮高官の話として、複数の国際メディアが北朝鮮の崔善姫・外務次官の発言を報道したのだが、その発言の中に「金正恩委員長が、履行中のミサイル発射停止措置を再考する可能性がある」という文言があったのだ。かなりもってまわった情報の出し方なのは、北朝鮮の公式見解ということではないことを担保するためだが、いずれにせよ牽制ではある。

ただし、米国との決定的な決裂は避けたい金正恩委員長としては、自分で宣言した「中長距離以上のミサイル発射はやらない」ことは守る可能性が高い。北朝鮮は無法ぶりが注目されるが、実は彼らなりの論理構築にこだわっており、自らの言葉を自己正当化の道具とするが、そのためにそこから逸脱しない傾向がある。

しかし、逆に言えば、準中距離と短距離の弾道ミサイルなら、金正恩委員長もこれまで一度も「発射しない」とは言っていない。もちろん米国ともそんな約束はない。

そこで北朝鮮としては、それらなら発射しても何も問題がないという理屈になる。仮に国際社会から非難されても、北朝鮮側からすれば、自分たちはあくまで自分たちの宣言を順守しているということになる。それどころか、北朝鮮は5月8日、外務省報道官の発言として「正常な軍事訓練の一環だ。どの国も国家防衛の訓練をしている」と主張。自分たちの行為を正当化している。北朝鮮のこうした言動は、自分たちの今後の行動を正当化するための布石であろう。

確実に既成事実化している核武装

このように、北朝鮮の今後の動きは、彼らが実際にどう発言し、行動しているかをみれば、ある程度は予測できる。非核化の問題も同様だ。

たとえば、米朝交渉が停滞する中で、経済制裁に苦しんでいるはずの北朝鮮側からも、交渉再開を模索する動きはほとんどみられない。仮に北朝鮮が経済的利益を最優先し、そのためには非核化してもいいと考えているなら、米朝交渉の速やかな進展に動くはずだが、その兆候はなく、むしろ非核化を進めないための時間稼ぎが目立つ。

しかも、2月のベトナムでの米朝首脳会談決裂以降、北朝鮮当局はしきりと内外に「自立」を喧伝し、制裁に屈しない姿勢を強調している。これを北朝鮮なりの駆け引きの一環とみることは可能だが、その見方を裏付ける根拠情報はない。

現実にどういう状況に動いているかを見れば、米朝交渉の手詰まりのなか、北朝鮮の核武装は確実に既成事実化していることがわかる。確かに経済制裁に苦しんではいるが、北朝鮮は苦境に立たされる一方かというとそうではない。彼らは今、核武装しているのに、米国に攻め込まれる懸念から解放されている。

北朝鮮の言動を見ると、彼らが言っていることはシンプルで、「米の軍事的脅威が除去されれば核は必要ない」「米韓側と同時の非核化を望むが、一方的な核放棄は拒否する」「相互的な段階的な交渉には応じる」だ。そこから一歩も妥協してはいない。そして、交渉の枠組みを維持することで、核武装が既成事実化している。彼らはとくにあからさまな嘘をつくこともなく、うまく米韓と駆け引きするなかで、この状況を手に入れている。

強い圧力をかけるしかない

現在の北朝鮮問題はこのように、非核化どころか、時間とともに核武装とミサイル強化が進む危険な方向に動いている。

これを阻止するには、やはり強い圧力しかない。しかし、北朝鮮の野望に立ち塞がるべき米国と韓国が、トランプ政権と文在寅政権ではどうしようもない。

筆者には、「金正恩委員長は非核化するつもりなのだろう」との希望的観測だけに頼って対応するのは、きわめて危険に思われる。やはり彼らの言動を分析して、彼らの行動を予測する作業が重要だ。

この点で、デジャブのように感じるのは、過去の経緯だ。たとえば、1990年代から2000年代半ばにかけて、「核開発は国際社会から援助を引き出すための瀬戸際外交だ」と、北朝鮮が言ってもいないことを前提にした論調が幅を利かせていたが、結局はそれで核武装を許した。

また、「ミサイルを発射するのは、米国に振り向いてほしいからだ」と、これも北朝鮮が言ってもいないことを前提にした論調が幅を利かせているうちに、北朝鮮はICBM「火星15」まで手に入れた。いずれも北朝鮮の意思を推測する分析の誤りであった。

今もまた、「北朝鮮は制裁解除のために非核化する」と、彼らが言ってもいないことを前提に考え、北朝鮮がなし崩しに核ミサイル武装をさらに強化する時間の経過を許せば、いずれ日本の隣に、誰も手が出せない強力な核武装独裁国家が出現することになるだろう。

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