『喧嘩バス事故相次ぐ中国、自動運転の“低い壁” 葛藤を伴うはずの科学技術が急速に発展する理由』(11/21日経ビジネスオンライン 福島香織)について

11/24日経<SNS、トランプ氏1強 米中間選挙 32万ツイート分析 民主に新星、オローク氏ら

米中間選挙に出馬した候補者のSNS(交流サイト)利用状況を調査したところ、上下院の候補703人分のリツイート(転載)数を合計してもトランプ米大統領1人の半分ほどだったことが判明した。「トランプ氏1強」の状態は変わらないが、民主党を中心に新顔も台頭した。オバマ前大統領が現れた08年大統領選のような次世代の対抗馬は現れるだろうか。

大統領候補も

11月6日投開票の中間選挙は、多数の候補がSNSを大規模に活用した初めての連邦議会選挙となった。日本経済新聞はネットの情報を自動で収集する「スクレイピング」の技術を使い、ツイッターでの拡散力を示す「リツイート(転載)」や共感力を表す「いいね」の数などを集計。上下院候補703人が1月1日~11月5日にツイッターに投稿した約32万4千件を分析した。

全候補で拡散力がトップだったのは、テキサス州の上院選で共和党の有力議員テッド・クルーズ氏と接戦を繰り広げた民主候補ベト・オローク氏の319万件。後援者の投稿や写真などをこまめに転載し支持を得た。惜敗したものの州内外から多額の献金を集め、20年大統領選への出馬待望論が浮上する。クルーズ氏(144万件、5位)は共和候補で最大だった。

拡散力トップ5の4人を民主候補が占めた。45歳で上院2期目の若手ホープ、クリス・マーフィー氏が193万件で2位。共和党のライアン下院議長の引退後の議席を争って敗れた「鉄の口ひげ」の異名をとる元鉄鋼労働者ランディ・ブライス氏(192万件、3位)や、29歳で史上最年少の女性下院議員となったアレクサンドリア・オカシオコルテス氏(175万件、4位)らが続いた。

ただトランプ氏(5170万件)の拡散力には及ばない。全候補703人分の合計でも2750万件とトランプ氏の半分程度にとどまる。引退後も人気の高いオバマ前大統領(453万件)と比べても、トランプ氏は10倍以上だった。

現職大統領は全世界からフォロワーを集めるため投稿が転載されやすい。中間選の候補と単純比較はできないが、自ら過激な投稿を続けるSNS巧者トランプ氏の拡散力は抜群だ。前回10月の当社調査では、1~10月の中間選の民主候補の平均リツイート数は共和候補の約5倍に上ったが、まだトランプ氏との差は大きい。

ネット広告急伸

20年の次期大統領選では現職トランプ氏に挑む民主対抗馬の擁立が課題となっている。米CNNテレビによると、民主の大統領候補の支持率は10月時点でバイデン前副大統領が33%で最も高く、民主系左派のバーニー・サンダース上院議員が13%で続く。両氏はいずれも70歳代と高齢で、前回16年の大統領選でも候補指名を争った。若手の新顔が育っていない民主の党内事情が浮かぶ。

黒人女性初の大統領をめざすカマラ・ハリス上院議員も出馬に意欲を見せる。ハリス氏は今回の中間選挙には出馬していないが、リツイート数は613万件とオバマ氏やオローク氏を上回った。

共和でトランプ氏に代わる候補は見当たらない。トランプ氏は中間選挙の最終盤でインディアナやノースダコタ、ミズーリの各州を遊説し、いずれも民主現職の上院議席を奪還した。トランプ氏の支持率は約4割で安定し、党内から「トランプ降ろし」の動きはない。

中間選挙でSNSでの政治広告は大幅に増えた。米調査会社ボレル・アソシエイツは、18年の政治広告費が計89億ドル(約1兆円)と14年の前中間選を上回ると予測する。なかでもネット広告が20%と前回の1%から大きく伸びる見通し。

5月以降に米フェイスブックに掲載された政治広告の支出額は首位がオローク氏の約800万ドルで、次いでトランプ氏の640万ドル(2団体合計)だった。SNSで露出を高め、献金を集めて投票を呼びかける戦略だ。(黄田和宏、ワシントン=中村亮)>(以上)

やはり米国左翼メデイアの報道は当てにならないという事でしょう。自分達の権益が侵されるからと言ってトランプをバッシングしますが、SNSでのトランプ人気は他を寄せつけない強みがあります。

11/24日経<米中、休戦か対立激化か G20で首脳会談へ 米国、関税上げ方針強調 中国、市場開放で譲歩も

【北京=永井央紀、ワシントン=河浪武史】トランプ米大統領と中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は30日から開く20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせて会談し、通商問題を直接協議する。中国は米国からの輸入拡大などで「一時休戦」を探るが、決裂すれば対立激化が避けられない。トランプ氏は来年1月から制裁関税を予定通り引き上げる方針を強調し、揺さぶりをかけている。(写真はロイター)

両首脳は30日~12月1日にアルゼンチンで開かれるG20の前後に会談する。トランプ氏は22日、フロリダ州で記者団に「(2千億ドル分の)中国製品の関税率は、来年1月に10%から25%に引き上げることになるだろう」と改めて表明。貿易問題について「中国は本当に取引したがっている。関税のおかげだ」と語った。

米国は中国の知的財産権侵害などを理由に、2500億ドル(約28兆円)分の中国製品に制裁関税を課している。このうち2千億ドル分の関税率は10%だが、年末商戦が終わる来年1月1日から25%に引き上げる予定だ。

米通商代表部(USTR)も20日に「技術移転など中国の不公正な行動は根本的に変わっていない」と批判する報告書を公表した。首脳会談を直前に控えたタイミングで中国への圧力を一段と強めている。

一方、中国外務省は23日、習氏のG20への出席とアルゼンチン、スペイン、ポルトガル、パナマへの訪問を発表した。米国との貿易交渉を担当する王受文・商務次官が23日の記者会見で米国との貿易戦争が「全世界の貿易に損害を与えている」と強調。「お互いに歩み寄って問題解決したい」とトランプ氏との首脳会談に期待を示した。

中国共産党関係者によると、中国は対米貿易交渉について(1)米国の貿易赤字縮小や中国市場の開放については米側の要求になるべく応じる(2)知的財産の保護強化策は一定の時間をかけて対応する(3)産業振興策「中国製造2025」の見直しには応じず、中国が技術覇権を目指さない考えを説明する――との対応方針をまとめている。米国と一定の合意を得て追加関税の対象拡大を防ぎ、可能であれば縮小に持ち込みたい考えだ。

米中は実務レベルの協議を再開しており、中国は142項目に分けた行動計画を米国に示した。農産品や資源の輸入拡大、金融市場の開放、知的財産の保護強化などが盛り込まれたもようだ。トランプ氏は「完成度は高い」と評価しつつも「重要な4~5項目が残っており、まだ受け入れられない」と指摘。首脳会談までせめぎ合いが続きそうだ。

金融市場には1年ぶりの首脳会談で貿易戦争の解決が図られるとの期待がある。ただ、閣僚レベルも含めた水面下の調整に大きな進展は見られず、米側は「完全な合意は難しい」(ロス商務長官)と指摘する。中国側も「何らかの成果が得られたとしても一時的な休戦にすぎず、中長期的な対立は続くだろう」(党幹部)と悲観的だ。

首脳会談では安全保障の問題も議題になる見通しだ。トランプ氏は中国が南シナ海で進める軍事拠点化の停止を求め、台湾への圧力の強化に懸念を示すとみられる。>(以上)

この記事は、本ブログで既に中国語記事の一部翻訳で紹介したものです。トランプが貿易戦を継続するのを望みます。どうせ中国は朱鎔基のように騙すだけですから。

11/24日経<米、中国・華為の製品不使用を要求 日本などへ説得

【ワシントン=共同】米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは22日、米政府が日本を含む同盟国に対し、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の製品を使わないように求める説得工作を始めたと報じた。

中国政府の影響下にある同社の製品が、高速大容量の第5世代(5G)移動通信システムなど、同盟国の重要インフラで普及した場合、不正な通信傍受や意図的な遮断など安全保障上の脅威にさらされかねないとの米側の懸念が背景にある。>(以上)

今後米国は中共打倒の為、日欧に統一歩調を取るよう要求して来るのでは。日本の中国に甘い経営者は、損を出すことになる事を覚悟しておいた方が良い。別に通信だけでなく、「中国製造2025」絡みの物は、全部そうなると思った方が良い。

11/23希望之声<黑色星期五巴国3枪手攻入中领馆 爆激烈枪战5人死亡=ブラック・フライデー、パキスタンで狙撃手が中国領事館に攻め入る 激しい銃撃戦となり5人が死亡>数名の悪党が今日パキスタンのカラチの領事館に押し入り、銃撃戦となり、5人が死亡。事件は恐らくパキスタン国民の反中感情と関係がある。

3名が、自動車を自爆させて、身にダイナマイトを付けて押し入り、パキスタンの駐領事館警察と激しい撃ちあいとなり、5人が死亡した。民族主義・分離勢力のBalochistan解放軍が犯行声明を出した。原因は「中共が我々の資源を掠め取っている」不満から。

https://www.soundofhope.org/gb/2018/11/23/n2410774.html

11/23阿波羅新聞網<川习会 川普惊人之语意味深长 中国亿万富豪提心吊胆=トランプ・習会談 トランプは人を驚かせるが意味深である 中国の億万長者はビクビク>台湾の国営メデイアの中央社は23日、「トランプは22日、フロリダのマールアラゴでメデイアに言った。“私の人生はこれをするための準備だったのだ”」と報道。これは中共と対決するために一生を捧げる決意を意味する。「自分はいろんな要素、統計数字を知っている。良く知っていると思われる人以上だ。私の直感は正しい方向を向いている」、「中国は貿易戦で合意したいと思っている。もし、合意できたら、我々は約束を守る」(=意味するところは、中国は約束しても守らないのではということでは?)。

日本のメデイアの報道は「中国の億万長者にとっては、貿易戦は逆風になっている。UBSのアナリストのPhilip Wyattは“もし、米中が全面的に貿易戦を展開するなら、経済環境の急変により、中国の億万長者の収益と投資に影響を与えるだろう”」と。日本経済新聞は今日の報道で、「アジアの億万長者は、中国に代表され、その存在感は高まっている」と。

http://www.aboluowang.com/2018/1123/1208330.html

11/24阿波羅新聞網<缺这个就完了! 中国成为超级强权 面临最大挑战=こんなにも水不測では終わりだろう! 中国は超弩級の強権になる 最大の挑戦に直面>オーストラリア放送(ABC)は23日、「統計の示すところによれば、過去25年来、中国の北方に28000の川があったが水がなくなった。水不足の問題は恐らく中国を超弩級の強権にさせ、最大の挑戦に向かわせる。

2名の男の子が北京郊外の干上がった永定河で、騎馬で遊ぶ。

中国政府は、「水不足の問題の解決方法の一つは南水北調である。この計画は実施して既に60年経つ。1000億$かけ、南方の水を15日かけて、1500Kmの運河を通り、北京に達する。北京の飲用水の2/3を賄う。もう一つはチベット高原からの運河を計画中である」と。

環境保護団体は、「南水北調は短期の解決でしかない。北方の省の需要を満足させることはできない。中国が持続的な経済発展をするのであれば、水不足は依然として国家発展計画にとって重大な問題である」と考えている。

http://www.aboluowang.com/2018/1124/1208391.html

福島氏の記事では11/6NTDTVのビデオがありますので、それをご覧ください。

やはり問題は中国人の民度であって、支配されることに馴れてしまっているのでは、魯迅の阿Qと何ら変わりがありません。あの時代から全然進歩していないことになります。国民が統治者に服するのは、国民が真に選んだ代表で、かつ代表が制定した法律に依って政治を行う場合のみです。共産党の場合、全然これに当てはまらないではないですか。国民はもっと怒りの声を上げなければ。でも支配に馴れた精神的イ●ポの国民では望むべくもありませんが。

記事

クレーンで川から引き揚げられる路線バス(写真:新華社/アフロ)

最近のショッキングなバス事故は、日本でも話題になった重慶路線バスの転落事故だろう。重慶市の22号路線バスが10月28日、万州長江二橋から約50メートル下の川に転落し、運転手および乗客15人が死亡した。31日にバスが川から引き揚げられ、地元警察がカメラ付きドライブレコーダーなどを確認したところ、転落の原因は48歳の女性の乗客と運転手が殴り合いになり、運転を誤ったことと判明した。道路工事の影響でバスが路線を変更、女性が降りたかったバス停に止まらなかったことで怒り出し、運転手に自分を降ろすように要求したが、運転手は「バス停以外で止まることができない」と拒否。口論から殴り合いに発展したのだった。

この一部始終が車内のビデオカメラに映っており、それがネットに流出したことが、より事件の注目度を高めた。女性の乗客が携帯電話を持った右手で運転手の右側頭部を殴ると、運転手も右手をハンドルから離して女性の首を殴り返す。すると女性はさらに運転手の右肩を殴り返し、運転手も右手で女性の右上腕をつかんだ後、右手を戻してハンドルを左に切ろうとしたところ、進路がずれて対向車線の小型車にぶつかり、川に転落したのだった。警察は「乗客に攻撃されたときは反撃せずに運転に集中すべきであった」として、運転手は重大な公共交通運転手職業規定違反に該当すると指摘。女性の行為も安全運転妨害に当たるとしているが、この二人とも死亡しているので、彼らの罪が司法で問われることはない。小型車の運転手はケガをしたが、一命を取りとめた。

国際社会がびっくりしたのは、実はこれは決して特殊な話でもないということだった。この事件から2週間に発生した、バス運転手と乗客が喧嘩したことが原因の事故、トラブルは新聞に報じられているだけで15件。いずれも死者が出なかったことは幸運であっただけで、死者が出ても不思議ではなかった。重慶の死亡事故に関連して各地方紙も類似のトラブルを報じたのであって、従来なら報じられることもなかっただろう。バス運手中に乗客が運転手の態度に腹を立てて、殴りかかったり、首を絞めたりすることは、日常茶飯事なのだ。

中国の最高人民法院ビッグデータ研究院が最近発表した調査によれば、バス運転手と乗客のトラブルで刑事事件に発展したケースは2016年1月から18年10月までに223件、2017年は2016年より4.8%増えた。立件された事件の7割で被告は公共安全危害罪および故意の傷害罪に問われた。56%のケースで乗客が運転手を攻撃している。54.5%が営業運転走行中に起きており、うち46%のケースで運転手が急ブレーキを踏むなどの緊急措置で対応しているという。トラブルの原因の6割は乗車賃や乗降車地点を巡るもの。4割のケースで死傷者が出ているという。立件された9割で被告人は懲役刑判決を受け、半数近くが3~5年の懲役刑、10年以上の長期刑も1%ほどある。

自動運転システムの実用化への期待

こういう事故や関連するデータを見ると、中国のバス事故の背景には、運転手や乗客の“民度”、つまり人としての成熟度や文化レベルの問題が大きい、というのは中国人自身が指摘している部分である。中国の交通事故件数や死亡者数は信頼できるデータがないのだが、日ごろ見かける事故現場の多さを勘案すれば相当の交通事故大国であることは間違いなく、やはりその理由のほとんどが交通ルールに対する意識の問題であったり、運転手や乗客の性格や質の問題であったりするといわれている。

中国で自動運転システムの実用化が早急に望まれているのは、自家用車保有が人口の多さや国土の広さに比してまだまだ少ない(自家用車保有1.7億台)のに交通事故大国、渋滞大国と言われており、これ以上運転人口が増えた場合、目も当てられないからではないか。このような状況を解決するにはAI制御による自動運転および道路交通システムに頼るほかない、というわけだ。少なくとも運転手がいなければ、乗客が運転手を殴ることによる交通事故は防げる。

11月14~18日、深圳で行われた中国国際ハイテク技術成果交易会でも自動運転車、AI交通システムなどの技術が特にクローズアップされていたように思う。アリババと並ぶ中国IT企業集団の一つ、テンセントが本拠地を置く深圳は、中国のハイテク見本市都市だ。深圳バス集団は昨年12月、無人自動運転バス・アルファバ4両の試験導入を福田保税区で開始、現在すでに試運転時間は300日を超えている。これは一般の乗用車や通行人が往来する公道における無人路線バスの試運転としては世界初の試みだとか。今後さらに2両の導入も決まり、来年から普通の乗客を乗せ始めるらしい。

また深圳運輸当局は10月末に自動運転車を一定の範囲内、一定の規則のもとテスト導入することを通達している。深圳の九つの行政区域をまたぐ19本の道路計124キロで、自動運転車の運行がテストされる。道路を横切る人や突然車線変更する車に自動運転車がどのぐらいの反応速度で対応できるかなどのデータが取られると、記者会見では説明されている。

深圳以外でも北京や上海、広州などの大都市で自動運転車テスト導入が始まっている。広州では区間と時間を限定し、係員を乗せた上で自動運転タクシー3台を試験導入。中国において自動運転でもっとも研究が先行しているとされる百度はレベル4(特定の場所での完全システム化)の自動運転小型バス「アポロン」(14人乗り)量産を開始し、北京、雄安新区、深圳、福建・平潭、湖北・武漢ほか、海外では東京での商業運用を始めると今年7月に発表している。テンセント、アリババなどが百度を追随しており、テンセントはレベル3の自動運転ソフトをすでに商品化、アリババは自社開発のレベル4の自動運転技術の物流車応用の実験を加速させている。

レベル4以上の自動運転に必要な技術というのは、中国国産だけではまだ賄えない。百度の自動運転システム研究プロジェクト・アポロ計画(国家プロジェクト認定)はざっくり130以上の企業が関与しているし、その中にはフォード、ボルボ、ダイムラー、エヌビディア、インテル、マイクロソフトといった多国籍企業も50以上含まれる。日本のトヨタやホンダも関わっている。コアの半導体はインテル、エヌビディアが提供している。

米貿易戦争が派手に展開されて、米国としては全力で中国の自動運転技術も含むハイテク技術国産化戦略「中国製造2025」を潰そうとしているとも見えるのだが、実際のところこの戦略を支えているのも米国を含む多国籍企業で、トランプ政権がいかに怒ってみせても簡単にアシ抜けできないぐらいのがっつりした関わり方だ。日本に至っては政府自身がこうしたハイテク企業に日本の技術系企業が関わることが、国家の安全保障問題に直結するという意識すらないかもしれない。中国は当然こうした合弁企業の技術は、すでに中国のもの、という考え方だ。

中国人知識人が抱く危機感

こういう現状に対して一番危機感を持っているのは、やはり中国人知識人ではないか、と私は感じている。政治プロパガンダとして「中国のハイテクはすごい!」とメディアが宣伝する一方で、シンクタンクや企業関係者に聞けば、彼らは必ずしも中国のハイテク開発に対して楽観的ではない。

米国次第で「中国製造2025」が潰される危険があることも分かっている。米国政府が、中国大手電信機器メーカー・ZTEに見せしめ的に米国産半導体輸出を一時停止して以降、この危機感は一層強くなっている。中国は前にもまして半導体開発のための技術者集めや研究に金をつぎ込むよう指示。「自力更生」(毛沢東が打ち出した政治方針)を今更引き合いに出して習近平は、半導体を中心とするコア技術の完全国産化を急がせている。

自動運転用AI向け半導体「崑崙」(百度)や「昇騰310」(華為技術)などの発表が最近相次いだのも、そうした背景を受けてのこと。華為はこの10年売上の10~15%(累計4000億元)と、あり得ないペースで研究開発費をつぎ込んできているし、今年に限っていえば1000億元を、半導体を中心とする研究開発に突っ込んだと報じられている。

米国が「中国製造2025」をひねり潰すのが先か、中国がこの圧力に耐え抜いて「自力更生」するのが先か、それが米中貿易戦争に象徴される米中新冷戦の行方を決めるカギ、ということになる。そうなると10年単位の長期戦になる可能性もあろう。

ところで中国の人工知能開発スピードがものすごい、深圳をみろ、杭州をみろ、という中国スゴイ派と、中国のいびつな発展状況では経済崩壊や社会不安定化は免れないという悲観派は中国国内にも分かれて存在する。実際のところ、この両方は共存する。

中国のAI開発スピードがおそらく今後米国を越えて加速することは事実だ。中国が圧倒的に有利なのはその市場規模の大きさ。トップの決定にボトムが絶対に異論や反対を唱えられない(上部組織に下部組織は絶対従う)という共産党独裁体制の支配力の強さ。そして、中国人の汚点として中国人自身が指摘する“民度”“文化レベル”の低さすら、有利に働く。

支配されることに慣れた中国人

米国ではUberやテスラの自動運転車の死亡事故が相次ぎ、その責任の所在や倫理基準をめぐり議論が起きた。だが中国の場合、そういう世論が感じる躊躇というものが比較的少ない。人工知能が人の代わりに判断し、人をコントロールすることに人が漠然と感じうる不安を中国人はあまり感じないのだ。

むしろ、運転中の運転手と喧嘩をおっぱじめるような大衆は、AIによって完璧に監視され、コントロールされ、独自の判断力を持たせない方がよいのだ、と言う。だから、AI付き監視カメラの導入によって普通の人々が監視されて生活することも、社会信用システムで市民がランク付けされることも、ウイグル人や特定の人々の人権が侵されていることも比較的受け入れやすく、置き引きやスリが減った、テロや犯罪が未然に防げてよかった、という評価に傾きやすい。

中国人は、すでに支配されることの楽さに慣れきっている人が多いし、長きにわたる思想統制の結果、信仰や哲学的思考が真空となっている。おかげで、自由な民主主義社会の人々が科学の発展途上で必ず感じる躊躇や迷いをほとんど経験せず済むのだ。AIだけでなく、移植医療や遺伝子医療、デザインベイビー、クローンといった倫理的な葛藤を伴うはずの科学も中国が進んでいるのはそういう背景だ。

中国でコア技術が生まれにくい理由

その一方で、ノーベル賞を受賞できるレベルの研究や発見、地道な研究を重ねた末にたどり着けるコア技術はなかなか中国で生まれない。それには自由にものを考えられる環境が必要だからだろう。中国で発展が進むのはあくまで応用科学の方、と中国のアナリストや専門家たちも言う。

そうなると中国のハイテク産業が世界でどこよりも先端をいき、巨大なビジネスチャンスを生む市場になる可能性もあれば、いつまでたってもコアな技術で自由社会を追い越せるだけの実力は持てず、早晩、米国にハイテク産業がことごとく潰されて、長期的な経済停滞期に突入するかもしれない。ただ言えるのは、どこの国よりも人がコントロールされ、自由にものを考える機会を奪われた息苦しい世界になるのではないか。

中国のハイテク応用技術は、おおむね人民を信じず、人民から判断権限を奪い、支配と監視を強化することでしか安定が得られない、という発想のもとに開発されている気がする。

さて、日本企業にはぜひ中国ハイテク市場で利益を挙げてほしいと私は願っている。だが、中国と技術協力をするとき、その技術が人を支配するためではなく、自由な人間に奉仕するものであるという視点だけは、失ってほしくない、と思う。たとえ、どんなに“民度”の低い人たちであっても、一方的に支配されるような社会は異常なのだ。

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