『自衛隊は「盾」、米軍は「矛」のままでよいか?「軍から守る」から「軍が守る」時代に』(9/11日経ビジネスオンライン 森永輔)について

9/14阿波羅新聞網<川普:是中共迫切与我们达贸易协议 它们正崩溃=>トランプはツイッターで“The Wall Street Journal has it wrong, we are under no pressure to make a deal with China, they are under pressure to make a deal with us. Our markets are surging, theirs are collapsing. We will soon be taking in Billions in Tariffs& making products at home. If we meet, we meet?

— Donald J. Trump(@realDonaldTrump) September13,2018”と発言。「ウオールストリートの記事は間違っている。貿易協議を欲しているのは中国であって、我々ではない。我々の経済は上昇し、彼らは崩壊している。まもなく多くの関税を賦課し、国内生産に移る。会うなら合っても良いが」と。

中共の貿易協議での要求は3つに分けられる。①3~4割は中国が米国の商品購入を増やす。これはすぐ実行できる②3~4割は市場を開放し、外国の金融合弁会社の持ち株比率を上げ、幅広い経営権を認める。但しこれは交渉で時間がかかる③残り2~4割は中国の補助金政策や技術強制移転を停止する。しかし国の安全や政治的な理由で多くの議題はテーブルには上げられない。この他中共は米国企業に技術の共有を強制しているのを否認した。

中国問題の専門家の横河は「簡単に言えば、双方とも話しができることは何もない。①貿易外交に於いてもそうで、米国は気にしない②WTOの引き延ばし戦術は既に17年も引き延ばした。これ以上は米国のペースを狂わせる③中共の統治と世界征服の野望は絶対に譲歩できない」と述べた。

9/14朝のNHKニュースでは、「トランプ支持層の大豆農家が中間選挙で共和党を応援するかどうか分からない、トランプは“Make our farmers great again !”という帽子を作って農家の取り込みを図っている」と言うものでした。まあ、左翼のNHKですから中国を助けるためには、中間選挙で民主党を勝たせ、弾劾できる可能性を持たせたいと思っているのがありありです。

http://www.aboluowang.com/2018/0914/1173550.html

9/13希望之声<驻日中领馆开车接人感动同胞 日媒道出真相太尴尬了!=駐日中国領事館が車を手配して関西空港まで出迎えた話は同胞を感動させたが日本のメデイア(産経)は真相を明らかにして大変バツが悪い>産経によると、「関西エアポートの広報官は“多くの大使館から迎えのバスを入れさせてくれと頼まれたが、混乱を避けるため、空港は一切拒否した”と述べた」と。空港の手配したバスは対岸の南海電鉄の泉佐野駅まで送る手はずであったが、中国人旅客は混乱を避けるため泉佐野市のショッピングセンターで降り、そこから領事館手配の車に乗換、大阪市内まで行った。報道によれば中共の役人はこの種の事件があると誇大かつプロパガンダに利用する。北京に住む台湾人は「海外で災害に遭った台湾人旅行客に対し、中共は彼らの不安心理に付け込み、巧妙なプロパガンダをする」と述べた。

中国が日本のカウンターインテリジェンスのレベルを試したのかも。騙されないように。「騙す方が賢く、騙される方が馬鹿」という民族ですので。

https://www.soundofhope.org/gb/2018/09/13/n2167065.html

http://www.sankei.com/world/news/180911/wor1809110024-n1.html

森氏の記事で、火箱氏の意見は非常に真っ当な議論(上から目線で言うのではなくて)と思われます。残念ながら日本の社会では原発を始め、真っ当な意見が押しつぶされて来ました。マスメデイアが情報を独占してきたためです。しかし、ネットの発達によりインタラクテイブに情報がやり取りできるようになり、メデイアの情報独占の壁は破られつつあります。問題は情弱老人でしょう。自分で情報を取りに行かないからメデイアの捏造改竄を疑わず、ドップリ洗脳されたままです。一党独裁の共産主義や他の専制政治の為政者にとってはこんな国民が理想なのでしょうけど。自分の頭で考えられない人が多いのは民主主義を破壊します。責任を自覚してほしいですが、呪縛にかかっているので難しいと思われます。世代交代を待つしかありません。

火箱氏の核持込とニュークリアシエアリング、予算増額、人員増、装備の近代化と自主開発、どれをとっても賛成できる話ばかりです。

記事

今年末をめどに「防衛計画の大綱」と「中期防衛力整備計画」が改訂される。前回の改訂から5年。この間に北朝鮮は核・ミサイルの開発を大幅に前進させた。トランプ政権が誕生し、米国の安全保障政策は内向きの度合いを強める。

改訂に当たって我々は何を考えるべきなのか。火箱芳文・元陸上幕僚長に聞いた。同氏は、自分の国を自分で守れるようにする体制整備と、米国頼みからの脱却を重視する。

(聞き手 森 永輔)

陸上自衛隊が導入を進める機動戦闘車。キャタピラーの代わりにタイヤをはいているため、軽量で小回りが利き、高速走行が可能(写真:アフロ)

—火箱さんは今回の「防衛計画の大綱」*1と「中期防衛力整備計画」*2の改訂はこれまでになく非常に重要だ、と主張されています。それはなぜでしょうか。

*1:国家安全保障戦略を踏まえ、今後の我が国の防衛の基本方針、防衛力の役割、自衛隊の具体的な体制の目標水準等を示したもの(防衛省の資料から引用) *2:防衛大綱を踏まえ、今後5年間の経費の総額と主要装備の整備数量を定めるもの(防衛省の資料から引用)

火箱:日本を取り巻く安全保障環境が激変しているからです。米国は“世界の警察官”から退く方針を明らかにしました。その軍事力は依然として世界一ですが、相対的には低下してきています。このため米国第一、すなわち、かつてのモンロー主義に回帰しました。

火箱 芳文(ひばこ・よしふみ)
陸上自衛隊・元幕僚長。1951年生まれ。1974年に防衛大学校を卒業し、陸上自衛隊に入隊。第1空挺団長、第10師団長、中部方面総監を経て陸幕長に。2011年に退官。現在は安全保障懇話会理事長、偕行社理事などを務める(写真:加藤 康)

その一方で、中国が台頭。一帯一路政策を進めるなど、中華民族の偉大な復興、夢の実現に取り組んでいます。米国が主体となって構築した秩序に挑戦する構えです。ロシアもかつての力を取り戻すべく歩みを進めています。

米国は退く姿勢を取りつつも、中国の海洋進出には警戒を強めています。中国の動きは南シナ海はもちろんインド洋まで及びます。それに鑑み、太平洋軍の名称を2018年5月、インド太平洋軍と改めました。これには安倍晋三首相が提唱する「自由で開かれたインド太平洋戦略」に乗った部分もありますね。

こうした中で米国は、米国が単独で事態に臨む一極体制から同盟国と責任を分担する体制にシフトしています。「俺に任せろ」とはもう言えなくなった。この点を同盟国にも明確に語っています。ジェームズ・マティス米国防長官は来日した際、「日米両国が防衛の人材・能力に投資し続けることが重要。お互い一緒に立てば強くなれる」と語っていました。

日本の社会はこれまで米国に依存しすぎたのではないでしょうか。「日本の安全を最後はアメリカさん、お願いします」という感じ。日本を取り巻く安全保障環境がこのように変化する中で、これまでの姿勢は改める必要があると思います。

北東アジアの防衛に米国を関与させ続けること

自衛隊で40年弱にわたって勤務する中で、日米同盟が「片務的」であることに違和感を覚えていました。同じ任務を米国と共同で分担する気持ちがあるのに、自衛隊は憲法の縛りがあるためできないと断らざるを得ませんでした。安全保障法制を成立させ現行憲法の下でギリギリのところまでできるようにしたとはいえ、集団的自衛権は依然として限定的にしか行使できません。

ドナルド・トランプ米大統領は深層では「日本は日米同盟にただ乗りしている」との考えを抱いています。これが表面化し、米軍を退かせる決断をする可能性は否定できません。実際、欧州において、防衛費の支出が足りないとドイツのアンゲラ・メルケル首相をなじることがありました。

こうした事態を避け、北東アジアの安全保障に米国を関与させ続けなければなりません。中国の台頭、ロシアの復活、朝鮮半島の問題が目白押しなのですから。朝鮮半島に親中の統一国家ができたらどうなるでしょう。在韓米軍が撤退する事態も生じかねないのです。こうした事態に備え、我々が責任を分担する必要があります。最悪の事態を想定し、備えなければなりません。

—トランプ大統領は6月12日の米朝首脳会談後の記者会見で、在韓米軍の縮小・撤収の可能性 に言及しましたね。

自分の国は自分で守る

—以上のお話をまとめると、①米国頼みになっている国民の意識を改める、②北東アジアの防衛に米国を関与させ続ける努力をする、③在韓米軍が撤収する事態も視野に入れることが重要、ということですね。一つずつ、内容を確認させてください。

まず、安全保障政策において国民が果たす役割について防衛大綱に記す必要はありますか。

火箱:今のままの自衛隊で日本を守り抜くことができるのか、を国民に問う必要があると思います。

例えば我が国は「防衛の基本政策」において「専守防衛」を謳っています。侵略戦争は行わない、という点は大賛成です。しかし、「相手から武力攻撃を受けたときにはじめて防衛力を行使」するのでは、最初に攻撃を受けた国民は守れないではないですか。この点に軍事的な合理性はありません。

専守防衛:専守防衛とは、相手から武力攻撃を受けたときにはじめて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神に則った受動的な防衛戦略の姿勢をいう。

いつの間にやら、矛(攻撃能力)の役割は米軍に依存することになり、自衛隊は何もできないことになってしまいました。これは、相撲に例えれば、手足を縛られたまま戦いうっちゃりで何とかせよと言われているようなものです。

北朝鮮が配備する弾道ミサイルが現実の脅威として存在している以上、例えば敵基地攻撃能力を備える必要があるのではないでしょうか。これを保持することは「憲法上許される」のですから。

ミサイルの発射基地を機能しない状態にしなければ、また次のミサイルが飛んでくるのです。イージス艦をはじめとするミサイル防衛システムがすべてのミサイルを迎撃できるとは限りません。今の状態は弾道ミサイルへの対応として十分とは言えないのではないでしょうか。

敵基地攻撃能力を備えることで、相手に弾道ミサイルを使う気を起こさせなくする拒否的抑止が強化される効用もあります。弾道ミサイルは、北朝鮮だけでなく中国もロシアも配備しているのです。

この点を国民に理解していただきたいと考えます。「専守防衛」を強調するのはやめて、新たに「積極防衛」に変えるべきではないでしょうか。もしくは、かつて使われていた「戦略守勢」にするべきと思います。これは、「攻勢に出ることはない」という意味です。

日本が戦わなければ、米軍は動かない

—尖閣諸島の防衛についても誤解があるように思います。グレーゾーン事態*3では米軍は何もすることができません。大量の中国漁船が押し寄せ、日本の領海に侵入。漁民の一部が魚釣島に上陸するといったケースですね。

*3:有事とは言えないが、警察や海上保安庁の装備では対応しきれない事態

火箱:そうですね。上陸した漁民が実は偽装していた軍人で、同島に軍事施設を建設し始める。こうして中国が施政権を行使するようになれば、米国は日米安保条約の適用範囲から同島をはずすことも考えられます。

仮に明確な軍事攻撃であったとしても、米軍はすぐに出動してくれるわけではありません。かつて米軍の元将官に明確に言われたことがあります。「まずはお前たちがやれ。お前たちがやるなら俺たちも寄り添う」。米国の立場に立って考えれば、これは道理です。

防衛大綱には「島嶼の防衛、奪還は日本人が自らやる」といった趣旨を書き込むのがよいのではないでしょうか。米国に守ってもらう--という発想からは脱却しなければいけません。

主権が侵害されたら自衛権を行使できるようにする

—安全保障法制が施行され、自衛隊の活動領域が法的に広がりました。「自分の国は自分で守る」との観点から、これで十分でしょうか。

火箱:確かに改善したと思います。しかし、まだまだ十分とは言えません。領域警備法を制定して、尖閣諸島周辺で起こるグレーゾーン事態などの主権侵害に対して自衛権を発動できるようにすべきです。そうでないと、十分な活動ができません。

例えば平時の情報収集を作戦任務に位置付けて、武器の携行を許し、何かあった時に身を守れるようにする必要があります。今、情報収集のための哨戒活動は「調査・研究」に位置付けられています。このため、尖閣諸島周辺を飛ぶ哨戒機は武器を携行せず丸腰で飛んでいる状態です。

領空侵犯に対応する航空自衛隊にも、領空侵犯した航空機の撃墜を認める。今は警察権の行使として行っているので、侵犯の恐れのある航空機に対して「出ていきなさい」と警告することしかできません。警告を無視されても、正当防衛でない場合に武器を使用することはできません。

国際標準では外国の侵犯した航空機は撃墜してもよいことになっています。仮に撃墜しても、すぐに戦争につながるものではありません。トルコが2015年11月、ロシア軍機がトルコ領空を侵犯したとして撃墜したことがありました。両国の関係は悪化しましたが、戦争には至っていません。

—それどころか、現在の両国の関係は良好で、まるで反米で共闘しているかのようですね。

火箱:海上でも改善が必要な事態が生じています。中国海軍の艦艇が2013年1月、日本の護衛艦に火器管制レーダーを照射したことがありました。これは宣戦布告に等しい行為です。であるにもかかわらず、この護衛艦はなすすべがありませんでした。平時には自衛権の行使はもちろん警察権の行使も付与されていないからです。防衛出動が発動されなければ、武力行使をすることができないのです。

領域を守るために何ができるかは「国際法」に従って決めるべきです。相手は外国勢力ですから。現在の自衛隊は「国内法」に縛られていて、自分の国を十分に守ることができない。自衛隊の運用に当たって不必要に厳しい制約が課せられているのです。これは本末転倒ではないでしょうか。

以上の状況は、自衛隊が十分に活動できないだけでなく、自衛官の命をいたずらに危険に晒していることを示しています。私としては、後輩たちのために、この点をぜひ改めてほしいと考えます。

F-Xの理想は独自開発

—自分の国を自分で守るに当たって欠けている法制についてうかがいました。装備については十分ですか。

火箱:陸上自衛隊の作戦基本部隊の装備に課題があります。師団が保有する戦車と火砲を減らして身軽にし、南西諸島に素早く移動できるようにする施策が全国的に進められています。現在約600両ある戦車を約300両に、約600門ある火砲は約300門にまで減らす予定です。そして、戦車の代わりに機動戦闘車(MCV、写真*4を導入する。戦車は重たいので、航空機で運ぶことはできません。しかし、MCVは重量26トン程度で軽いので、輸送機「C2」に載せて輸送することができます。155ミリ榴弾砲は射程が10km程度しかない短射程の重迫撃砲に置き換える。

*4:キャタピラーの代わりにタイヤをはいているため、軽量で小回りが利き、高速走行が可能

—迫撃砲は反動を吸収する機構が不要なので、軽くできますね。

火箱:おっしゃるとおりです。 こうした身軽な即応機動連隊を師団の一部に持つのは意味のあることです。しかし、すべての連隊をそのような体制に移行するのは行き過ぎだと思います。野球でいえば、即応機動連隊は1番バッターのようなもの。大事な存在ですが、4番バッターも必要なのです。ロシアによる北の脅威が再び増している。中国が九州に戦車を上陸させる可能性も排除することはできないのです。

装備は一度減らしてしまうと、元に戻すのは非常に困難です。

—装備をそろえるに当たって、FMS(対外有償軍事援助)*5が問題視されることが増えています。火箱さんが現役の時、FMSのネガティブな面を経験したことがありますか。

*5:Foreign Military Salesの略。米国が採用する武器輸出管理制度の1つで、武器輸出管理法に基づく 。購入する国の政府と米国政府が直接契約を結ぶ。米国が主導権を取るのが特徴。価格や納期は米政府が決める、米国の都合で納期が遅れることも多い。最新の装備品などは、FMSによる取引しか認めない場合がほとんどだ。

火箱:私自身が経験したことはありません。しかし、話は耳に入ってきました。やはり納期を守らないケースが数多くあったようです。また最新の装備は提供してくれません。F22*6を売ってくれなかったのは記憶に新しいところです。

*6:米ロッキード・マーチンが開発したステルス戦闘機。自衛隊はF4EJ改の後継機として検討したが、米議会が輸出を認めなかった。このためF35Aの導入が決まった経緯がある

米国から装備を調達する場合、FMS以外にも問題があります。F-35*7の組み立てを日本の企業が担当しています。しかし、ソフトやアビオニクスをはじめとする心臓部はブラックボックス。技術を蓄積することはできません。ライセンス生産ならば、多少は蓄積できますが。

*7:米ロッキード・マーチンが開発したステルス戦闘機。自衛隊は42機を導入する計画。最初の4機を除く、38機が日本の工場で組み立てられる

—改訂する中期防では、F-X(次期戦闘機)の扱いが注目されます。現行の支援戦闘機「F2」の後継として、2030年をめどに導入することになっています。日本による独自開発、外国との共同開発、外国からの輸入の3つの選択肢が想定されています。どうするべきとお考えですか。

火箱:現実を考えると「日本を中心とする共同開発」になるのではないでしょうか。

本来は独自開発が一番望ましい。しかし、その開発費をすべて賄うのは日本の今の財政事情にかんがみて難しい。米国の場合、輸出して開発コストを回収することができます。しかし、今の日本には難しいでしょう。

一方、外国から購入すると、必要な改良を加えることが容易ではありません。許可を得る必要が生じる場合がありますし、時間もかかります。こちらの思い通りにはいきません。

「世界標準であるGDP比2%を確保すべく努力する」

—お金の話が出たので、予算についてうかがいます。大綱・中期防で予算についてはどう触れるべきでしょう。三木武夫内閣が1976年に「当面、(防衛費は)国民総生産(GNP)の100分の1に相当する額を超えない」と閣議決定して以来、この方針がおよそ守られてきました。
しかし、イージスアショアをはじめとする高価な防衛装備の導入が予定されています。2機で2500憶円程度と報道されています。トランプ政権は、NATO(北太平洋条約機構)加盟国に対し「防衛予算をGDP(国内総生産)比2%に引き上げる」約束を守るよう強く求めています。日本にも同様の要求をしてくるかもしれません。

火箱:「1%の自縛から脱却して、必要な予算をつける」「世界標準であるGDP比2%を確保すべく努力する」と書き入れるべきと考えます。

ご指摘のようにNATO加盟国は2%を目指しています。スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が公表したデータを見ると、2017年の各国の防衛費(GDP比)は英国が1.8%、フランスが2.3%、ドイツが1.2%。

これに対して日本は0.9%です。同じ敗戦国であるドイツでさえ日本より多いのです。仮に2%まで拡大しても、日本が軍事大国になることは決してありません。日本の防衛に米国を関与させ続けるためにも、1%の自縛から脱却すべきでしょう。

ちなみに、この値は米国が3.1%で、ロシアが4.3%です。

増える任務、増えないヒト

—装備の次はヒトです。

火箱:自衛隊の人員、特に陸上自衛隊の編成定数(常備自衛官定数と即応予備自衛官員数からなる)と、実員数を増やすべきだと考えます。まずは07大綱(1995年に閣議決定)以前の18万人に。

—今は編成定数15万9000人ですね。

火箱:はい。07大綱において、それまで18万人だった陸上自衛隊の編成定数を16万人に削減しました。これを実行するため、陸上自衛隊では4つの師団*8を旅団に縮小しました。22大綱(2010年に閣議決定)を作成するときに何とか元に戻したかったのですが、実際には15万4000人に減ることになりました。

*8:「師団」は陸自における作戦部隊の基本単位。中に、普通科、特科、機甲科や兵站部隊から構成される。「旅団」は師団の小規模なもの

現在、海・空自衛隊では基地の警備にさえ、人数を欠く有様です。それを今後、陸上自衛隊が補ってやる必要がある。さらにその陸上自衛隊には、新たな任務が課されています。南西諸島防衛のため2016年3月、与那国島に沿岸監視隊を新たに配置しました。今年度末には奄美大島にも駐屯地を配置する予定です。

今の定数、実員数で与えられた役割を果たすのは容易ではありません。

関連して、実員数の問題を考える必要があります。定数を増やしても、それを満たすのが容易でないのです。陸上自衛隊の場合、毎年1万人ほどの人が定年などで辞めていきます。入ってくる人の数はそれより少ない。定数と実員数の間に乖離があるのです。

海上自衛隊の状況は陸上自衛隊よりさらに大変です。船に乗っていったん海で出れば、なかなか帰ってこられません。このため希望者が少ないのです。北朝鮮の弾道ミサイルの警戒に当たっているイージス艦は港に戻れない状態が続いていました。交代要員は、別の船に乗せて届けていたそうです。明治の海軍創設以来、初めてのことと聞いています。

地上に配備しているミサイル防衛システム「PAC-3」を担当する航空自衛隊の要員も同様です。レーダーを監視している担当者は交代する時間がない。彼らは陸上自衛隊の駐屯地で活動しているので、陸上自衛隊の隊員が食事を運んだりして協力しています。

こんな状態の時に災害派遣が必要になったらどうなるか。心配です。

自衛隊員の待遇の改善も考えるべき問題でしょう。若い人たちは今、自衛官よりも警察官や消防官を選ぶようになっています。一般の自衛官は「自衛官候補生(一般2士)」としてまず入隊します。これに候補生の母親たちが不満を漏らすのです。「候補生は、自衛官になれるかどうか分からない。そんな不安定な職に自分の子供を就かせることはできない」と。少子化が背景にあります。

給与面でも見劣りする感があります。自衛官候補生に応募する資格は中卒程度。2士*9の初任給は約16万円。警察官の場合は高卒程度で約18万円です。これも母親たちの不満の種です。現実には、自衛官候補生に応募する中卒者はわずかで、大卒もいます。駐屯地内に住めば糧食が支給されるので、給与の差は数字にみられるほど大きくはないのですが。

*9:自衛隊における最も下の階級

東日本大震災の時の自衛隊の活動を見て、入隊を希望する若者が増えました(関連記事「陸上自衛隊トップ、辞任覚悟の出動命令」)。しかし、その一方で、「あんな過酷な仕事を自分の子にさせたくない」という母親の声も高まりました。

自衛隊では現員を充足させるべく、自衛官候補生の年齢制限を引き上げる検討をしています。現在は18歳以上27歳未満。この上限を32歳に引き上げる予定です。

加えて予備自衛官を積極的に採用するようにしています。

—予備自衛官は、戦前の「予備役」とは異なるものですね。

火箱:はい。自衛官経験者もいますが、そうでない人もいます。予備自衛官には「予備自衛官」と「即応予備自衛官」があります。前者は有事などに召集され、基地の警備などに就きます。後者は、召集されると一般の自衛官と同様に働きます。部隊に配置されるし、定数にも含められています。当然、義務となる訓練日数も即応予備自衛官の方が多くなります。

—予備自衛官には年齢制限がありますね。

火箱:若くなくてもなれます。技能予備という制度があり、例えば外国語ができる、弁護士である、医者である、という特技を生かしてもらうことができます。

「いざとなった時には、国民全体で日本を守る」という意識を持ってもらい、応募してもらえればと思います。

在韓米軍への攻撃は米本土への攻撃と同義

—次に確認したいのは在韓米軍について。先ほど、在韓米軍が撤収する事態も想定する必要があるとうかがいました。在韓米軍は日本の防衛にとってどのような意義を持つのでしょうか。

火箱:在韓米軍は朝鮮半島の軍事境界線(38度線)を挟んで北朝鮮軍と対峙する役割を担っています。ここに米軍がいるということは同盟国である日本にとっての防衛ラインもこの位置にあるということです。在韓米軍がここで日本にとって防波堤の役割を果たしているのですね。

これが撤収することになれば、日本の防衛ラインは対馬まで後退することになりかねません。

—在韓米軍の装備は決して大きくはないですね。兵力は2万3000人。戦闘機はF-16が60機。これが日本の防衛につながるのでしょうか。

火箱:部隊の規模や装備よりも、そこに存在していることが大事なのです。在韓米軍を攻撃するということは、米本土を攻撃するのとイコールです。攻める相手は、それを覚悟してやる必要がある。これが抑止力につながるのです。

抑止力としての価値は対北朝鮮だけでなく、対中国においても同様です。

—在韓米軍が撤収することもあり得、それに備える必要がある。防衛大綱にはこれをどう書き込むのがよいのでしょう。

火箱:日米韓の協力によって北朝鮮および中国の脅威に備える、ということを強調することですね。

韓国以外の外国との協力も重要です。オーストラリアとインドとの協力を拡大するのは言うまでもありません。加えて、英国やフランスなど、朝鮮戦争において国連軍に加わった欧州の国々とも連絡を密にすることが大切です。これも大綱に記しておくべき。

在韓米軍の撤収を想定しなければならない一方で、北朝鮮が非核化を進めなければ、米国は再び軍事的な圧力を強める可能性が高まります。米大統領はトランプ氏ですし。実際に武力行使ということになれば、場合によっては、朝鮮戦争の時に組成された国連軍が再編されるかもしれません。そうなれば、当時の国連軍に参加した欧州の国が再び参加することもあるでしょう。彼らへの支援が必要になります。

日本の横田基地や横須賀基地には国連軍を支援する後方司令部が置かれています。安全保障法制の一環で重要影響事態法が制定され、米国と北朝鮮の軍事衝突が「重要影響事態」と認定された場合、日本は多国籍軍に後方支援することができるようになりました。

朝鮮半島で起きることを、我々は我が事として考えなければなりません。日本にも火の粉が降ってくるのです

—①尖閣諸島など島嶼は自らの力で防衛できるよう体制・態勢を整える、②朝鮮半島有事を我が事と考え、諸外国と協力する準備をする、ことで米国を北東アジアおよび日本の防衛に関与させ続けることができるわけですね。

火箱:おっしゃる通りです。

「核を持ち込ませない」を見直す議論を

—日本の防衛に対する米国の関与に関連して、火箱さんは非核三原則について一家言お持ちですね。

火箱:従来の常識にとらわれることなく安全保障政策を見直すことが大事です。非核三原則の第3項「持ち込ませない」を見直す議論をする必要があると防衛大綱に書き込むべきと考えます。もちろん、最後に決めるのは国民の意思です。

トランプ大統領が2017年2月に米国で安倍首相と会談し共同声明を発しました。その中で日米同盟は揺らぐことがないことを首脳同士が確認。同大統領は「核・通常戦力の双方を日本防衛にコミットする」と文書化しました。政治的には満足していますが、現実的でしょうか。保守の人も、革新の人も米国を信じ切っていますが、私は不確かだと思っています。米国が核兵器で日本を守ってくれるというのは幻想に近いかもしれないのです。

なので、今後は米国と交渉し、核兵器を在日米軍の基地に配備してもらう。米国は核を搭載する潜水艦を太平洋などに遊弋させており、どこからでも核兵器を発射できるので不要という人もいるでしょう。しかし、目に見える存在にすることで、核の傘をより確たるものにできます。こうすることで、対北朝鮮のみならず、中国やロシアに対する核抑止力も高まります。

—先ほどうかがった敵基地攻撃能力と、米軍の核兵器を日本国内に配備するのは、同じ効果を狙った二重の措置になりませんか。

火箱:敵基地攻撃能力は通常兵器としての弾道ミサイルに対処する措置です。核弾頭を搭載する弾道ミサイルにはやはり核でしか対抗できません。日本にとって、北朝鮮などの核兵器に対抗する力は、今のところ米軍の核兵器しかないのです。

さらに理想を言えば、核兵器を発射するボタンを日米で共有できれば、日本にとっての懲罰的核抑止力をさらに高めることにつながるでしょう。

—西欧諸国は冷戦時代、ソ連が中距離核ミサイル「SS20」を配備したのに対抗して、米国製の「パーシングII」とGLCM(地上発射巡航ミサイル)を配備しました。これと同様の措置を取るわけですね。
しかし、米国は中距離核をすでに廃止しているのではないですか。

火箱:そうですね。しかし、2018年2月に「核態勢見直し(NPR)」を発表し、爆発力を小さくし、機動性を高めた新型核兵器を導入すると明らかにしました。これが使えるでしょう。ミサイル部分についても、かつて開発・製造していたのですから、そのノウハウは残っていると思います。

これまでにしたお話は「過激にすぎる」と思われるかもしれません。しかし、これらを考えることなくこの国を守ることができるのか、不安を覚えています。私は自衛隊で働いた人間として、この国の安全に責任を感じてやってまいりました。それを果たすための法制や人員・装備がまだ十分には整ってはいないのです。

もちろん、最後に決めるのは国民(政治)です。しかし、そのための議論のたたき台を防衛大綱や中期防に盛り込むようお願いしたいと思います。

大東亜戦争で旧軍が犯した過ちを二度と繰り返さないため、戦後はシビリアンコントロールを重視してきました。「軍隊からの国民の安全」が強調されてきたのです。これはもちろん大事なこと。しかし、現在の自衛隊の組織や制度は旧軍とは異なります。今は「軍隊による国民の安全」ということに重心を移行すべき時期ではないでしょうか。

例えば、日本が中国を侵略することなど、あってはならないし、あり得ないことです。一方、外国から攻められた時に自衛隊は何もしないわけにはいけません。日本の国家、国民を守り抜かなければならないのです。

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