『“紅色企業株”6月暴落と「経済政変」の行方 中国経済は“魔の木曜日”以降も暴風雨やまず』(6/28/17 日経ビジネスオンライン 福島香織)について

6/30日経朝刊アジア投資銀、最高格付け 米ムーディーズ 

第2回年次総会の開幕式であいさつするAIIBの金立群総裁(16日、韓国・西帰浦)=共同

ムーディーズは「ガバナンス(企業統治)の強固な枠組み、妥当な自己資本、流動性の高さを考慮した」と説明した。格付けの見通しは「安定的」とした。AIIBは2016年1月の開業から1年半で、世界銀行やアジア開発銀行(ADB)など他の国際開発金融機関と同じ高い格付けを得た。

AIIBは自己資本が1千億ドル(約11兆円)と「同じ格付けの他の開発金融機関よりも厚い」(ムーディーズ)。6月末の投融資は約25億ドルと資本の2.5%にとどまり、大半が低リスクの世銀などとの協調融資だ。手元資金の管理も「他の開発金融と同等かそれより厳格」(同)とした。

今回の格付けには2つの「驚き」がある。

1つはムーディーズという国際大手の格付け会社から得たこと。海外市場で債券を発行しやすくなる。ドルなど人民元以外の資金も調達が容易になる。中国がロシア、インドなどと運営する新開発銀行(通称BRICS銀行)は審査の甘さが指摘される中国の格付け会社からしか「投資適格」の格付けを得ていない。債券発行も中国国内市場での人民元建てだ。

2つ目は格付けが最上級だったこと。低い金利で債券を発行できるので、低金利での融資が可能になる。日本政府内では「最上級は難しい」との見方があった。約3割と最大出資国の中国の国債が今年5月にムーディーズから格下げされたこともAIIBの格付けに響くとの指摘もあった。

AIIBの金立群総裁は6月の年次総会後の記者会見で「17年中に3つの格付け会社から格付けを取得できる」との見通しを示した。他の格付け会社からも格付けを取る可能性が高い。

格付け取得によりAIIBの国際開発金融機関としての体制整備はさらに進む。ムーディーズがリスクや財務の管理を評価したことで、AIIBは国際的な「お墨付き」を得たとアピールする可能性が高い。

ただ、ムーディーズはどのような場合にAIIBが格下げになるかにも言及した。融資審査やリスク管理が甘くなったり、中国など主要出資国からの支援が弱まったりした場合を挙げた。これまでのように堅実な運営を続けられるかどうかが高格付けを維持するカギを握る。

日本の財務省幹部は「民間企業の判断にコメントしない」としつつ、AIIBへの参加には慎重な考えを改めて示した。参加の是非を巡ってはAIIBの公正なガバナンスの確立などの条件が満たされるかを重視するという。>(以上)

上の写真は6/30日経朝刊に載った新刊紹介です。著者は上念司氏で「中国のGDPは437兆円以下で、日本のGDP522兆円に次ぐ3位」というもの。以前から中国の発表するGDPは日本以下という噂はありましたが。白髪三千丈の世界、捏造改竄が得意な中国だけのことはあります。何も根拠なく、中国のGDPの数字を挙げている訳ではないと思います(まだ読んでいませんので詳細は分かりません)。中国がこれに数字を挙げて反論するのを期待したいところですが、彼らは嘘がばれるのを恐れて何もしないでしょう。日本の左翼や反日民進党・共産党同様大手メデイアを押えておけばよいとの発想です。ですから、国民の情弱こそが問題になります。大手メデイアだけでなく、ネットを利用していろいろ情報を集める努力をしませんと。大手メデイアは中共の手先と思って見れば間違いありません。

高橋洋一氏も中国の公表するデータで唯一信頼できるのは貿易統計だけと言っています。誤差脱漏があっても相手のあることなので、大きくずれることはありません。以前は李克強指数(鉄道貨物輸送量、銀行融資残高、電力消費)が割と正確と言われていましたが、人口に膾炙し出すと、これもまた偽りの数字で発表されるようになりました。

http://ytanaka.g.dgdg.jp/chinaeconomy/newpage30.html

6/29日経朝刊華為が日本に通信機器大型工場 中国勢で初、技術吸収 

通信機器大手の中国・華為技術(ファーウェイ)が初の日本生産に乗り出す。年内にも大型工場を新設し、通信設備や関連機器を量産。日本の技術と人材を取り込み、日本や他の先進国で受注を増やす。事業買収や研究開発拠点の設置が中心だった海外企業による対日投資が生産まで広がる。中国企業が日本に本格的な工場を新設するのは初めて。

華為はスマートフォン販売の世界3位で、2016年12月期売上高は8兆円超。日本で初となる工場は、千葉県船橋市にあるDMG森精機の工場跡地と建屋を転用する。生産設備を導入し、早ければ年内に稼働する。当面の投資額は50億円程度とみられ、今後も追加投資を検討する。

華為はルーターなどのネットワーク機器が主力。高速通信網の整備を急ぐソフトバンクなど大手通信会社向けに販売が伸びている。新工場による現地生産で日本市場への供給力を高める。

中国企業による日本進出は00年代後半から目立ち始めた。業績が悪化した日本企業の買収が増えたためで、09年には中国の家電専門店大手がラオックスを買収した。本間ゴルフやレナウンなども相次いで中国企業の傘下に入った。

最近は研究開発拠点を設置する動きも広がる。自動車大手の長城汽車は16年に拠点を設け、電気自動車(EV)や自動運転の研究を開始。中興通訊(ZTE)もあらゆるモノがネットにつながる「IoT」の拠点を都内に開設した。

すでに研究拠点を持つ華為はさらに生産まで乗り出す。日本は人件費の高さが課題だったが、中国の人件費が上昇して差が縮小。日本の割高感が薄まり、華為は新工場で生産管理の人材を多く採用する予定。中国流の低コスト大量生産と組み合わせ、品質と価格競争力を両立させる。

中国は「世界の工場」の役割を担ってきたが、国内の景気減速で海外市場の開拓が急務だ。日本の製造業が低コストを求めて中国に進出する動きが一巡する一方、今後は逆に中国の製造業が日本に進出する動きが活発になりそうだ。>(以上)

華為は深圳で起業した人民解放軍と関係が深い企業と言われ、商品にはバックドアが仕込まれ、米国での政府系機関に導入することを禁止する法律ができており、市場から締め出しを喰っています。いつも言っていますように二国間では互恵主義が基本で、日本は中国の土地を買えないのに(小生は買いたいとは思いませんが)、どうして中国が買えるようにしているのはおかしいと思います。彼らが買った土地に官憲は容易に踏み込めず、外交官特権のクーリエで持ち込んだ小型核や毒ガスだって工場地下に眠らせておくことは出来ます。2015年天津で起きた大爆発は記憶に新しい所です。あれも違法に化学物質を保管していました。中国人ですから何でもありです。

https://ssl.bsk-z.or.jp/kakusyu/pdf/25-8shousassi.pdf

福島氏の記事に出てきます「ホワイトグローブ」の意味は、「白手袋、汚れた手を隠すために白手袋をする人、金融の裏仕事請負人」の意味です。

本記事の最後に「帰国して投資しようと考えている海外華僑のみなさん、目をしっかり見開いて見ていてください。国内には頼りになる法治はありませんよ。やってくれば、虎の口に自らつっこむ羊みたいなものです」とネットで書かれています。上記のAIIBの格付けの記事は日経が喜んで記事にしましたが、いい加減中国礼賛は止めた方が良いでしょう。日本企業のミスジャッジを誘います。ムーデイーズや日経のトップは中国のハニトラか金を貰っているのか疑われても仕方がないでしょう。AIIBの融資実績は9件しかなく、しかも大半がADBや世銀との協調融資です。何故最高格付になるのか分からないというか、おかしいでしょう。安倍首相が「一帯一路」に条件付き参加を認める発言をした後、北京の日本商会が「中国からの撤退手続きの迅速化」を求める声明を出しました。まあ、撤退は難しいでしょう。早くとも2年はかかるのでは。AIIBは「一帯一路」を実現するための金融的な裏付けをする機関です。日本企業は戦争の可能性のある国には近づかないことです。

http://shinjukuacc.com/20170207-01/

6/21日経中国進出の日系企業、「一帯一路」で協議会

【北京=原田逸策】中国に進出した日系企業でつくる中国日本商会は21日、中国独自の広域経済圏構想「一帯一路」の連絡協議会を設立した。会員企業間で一帯一路に関する情報を共有するほか、商談会やセミナー、講演会なども開く。

また日本商会は同日、中国政府に対して事業環境の改善を求める意見書も公表した。日系企業が中国から撤退する際に税務処理などの事務負担を軽くするよう求めた。>(以上)

記事

6月13日、中国に名をとどろかす紅色企業(革命に参加した主要ファミリーが経営や資本に関わっている企業)・安邦保険集団のトップにして、鄧小平の(元)女婿である呉小暉が失脚したことが明らかになった。9日に民生銀行から融資を受けた1000億元を横領した疑いで、身柄を拘束された、らしい。これに伴い安邦株は大暴落だ。

6月22日には、飛ぶ鳥を落とす勢いであった政商・王健林が率いる大連万達集団の株価も暴落。これに伴い王健林失脚の噂が流れた。22日午後には、中国のバフェット級投資家でもある郭広昌率いる復星集団の株価が暴落。「星野リゾートトマム」買収で日本でも知られるようになった郭広昌は2015年12月に失踪(上海市公安当局に贈賄容疑で身柄拘束されていたらしい)したが、無事復帰していたところだった。

中国経済の雄・万達、復星の株価暴落は、あまりに突然であり、22日は“魔の木曜日”と呼ばれた。その前に、米国に逃亡した闇の政商・郭文貴の暴露発言で、王岐山との癒着が噂された海航集団(南海航空集団)の株価も暴落している。

「ホワイト・グローブ」をめぐって

上記の企業に共通しているのは、政治的な強大な背景があり、その株価が鉄板と思われていた“紅色資本”であり、いずれも海外のM&Aに積極的であり、海外に巨額の資本を所有し、いずれも「ホワイト・グローブ」と呼ばれる、共産党中央の官僚・政治家の資金洗浄などを請け負っていた政商たちである。

この前に、やはり大富豪で政商であった蕭建華が香港で拉致され行方不明(北京に秘密裡に拘束されているという噂)となる事件があり、これら一見、関係ないようにも思える政商の拘束や紅色株の暴落は、実のところ関連しているとみられている。“経済政変”という言葉も飛び出している。中国経済界で一体何が起きているのか。

一連の件は、習近平の金融・保険業界の整理整頓の動きとして理解される向きも多いだろう。すでにこのコラムでも紹介したように、中国株価を自在に操る資金力を持つ大投資家・蕭建華が今年1月に、香港の五つ星ホテルから拉致され行方不明、中国北京で拘束され、取り調べを受けているといわれている(関連記事「蕭建華失踪事件から読む『習近平vs曽慶紅』暗闘」)。

彼が拉致された理由はいろいろと憶測が飛んでいるが、曽慶紅や江沢民ら太子党、上海閥の政治家・官僚たちの資金洗浄なども請け負っていたということ、また2015年6月の上海株の乱高下事件にも関わったという疑いが持たれている。習近平にとっては政敵の金庫番のような存在であると同時に、習近平の指導する金融業界整理やキャピタルフライト防止にとっては邪魔な存在であったということだ。

積極介入、積極管理の通達

4月に入ると中国保険監督管理委員会主席(閣僚級)の項俊波が失脚。そのあと、習近平は政治局会議を招集し、金融市場の活性化と安定を求める通達を出した。この通達は六つの具体的項目があったが、その六番目は「党の金融業務に対する指導を強化し、党中央委員会による集中・統一化された指導を堅持し、党が主導する金融業務の体制メカニズムを改善し、金融方面の政策決定の科学化レベルを引き上げる」。つまり金融市場の党の積極介入、積極管理の通達だった。

5月に入ると、中国保険監督管理委員会保監会は安邦保険集団傘下の安邦人寿保険株式会社に対して、三カ月の新規製品の発売禁止処分を決定。これは安邦人寿の発売する安享5号というハイリスクユニバーサルライフ保険が、規制・監督を逃れて市場秩序を乱しているなど、二種類の保険商品に違反が見られたことに対する処罰ということになっている。だが、本当の狙いは、キャピタルフライト防止しようとする習近平の意向を顧みずに海外資産買収にいそしむ怖いもの知らずの鄧小平ファミリー企業を見せしめ的に締め付けたのではないか、という見方もあった。このころから呉小暉失脚の噂が流れはじめた。そして6月についに呉小暉失脚が確定。安邦保険集団と呉小暉が中国においてどういった存在かは、過去のコラム「鄧小平一族の企業『安邦』、急ブレーキの意味」を参照していただきたい。

そして魔の木曜日事件だ。22日午前中だけで、万達集団の債券が投げ売り状態になり、2%超えの下落。深圳市場の映画関連最大手上場企業である万達電影院線は9・9%の下げ止まりとなった。この日蒸発した、王健林の資産は40億元という。

「ネットの噂」を引き金に

なぜ万達の債券投げ売りが起こったのかというと、インターネット上で、中国建設銀行など万達の主要取引銀行に対して、当局から保有する債券をすべて売却するよう通達があったという、情報が流れたからだ。万達サイドは、すぐに「銀行側に問い合わせたが、そういう通達は出ていない」として、ネット情報がデマであると火消しにまわったが、多くの人々が、王健林の失脚が近いのではないか、という予感を持った。

万達集団がハリウッド進出を目指して、無謀ともいえるような米映画関連企業の買収を行い、銀行に多額の借入金があり、財務状況が悪化していることはかねてから欧米のコンサル企業からも指摘されていた。また、米国のエンタメ業界に入れ込む姿勢は、一つ間違うと、中国独自のソフトパワー政策を掲げる習近平の不興を買う可能性もありそうだ。王健林は軍人出身であり、その父親も長征参加の革命世代。習近平ファミリーにも株を融通していたことは知られており、王健林の積極的なハリウッド買収や海外スポーツ関連の投資、買収なども習近平の意向に沿っているとも思われていた(関連記事「中国はハリウッドを乗っ取るのか」)。

だが元大連駐在記者で薄熙来失脚の内幕を暴いたことでも知られる亡命ジャーナリストの姜維平はラジオ・フリー・アジア(RFA)サイトに「王健林はひょっとして終わりか?」というコラムを寄せていて、彼が薄熙来や最近失脚した福建省の不動産王・黄如論らとも関わりが深いことを考え合わせ、失脚の確率がかなり高いのではないかとの予測を語る。

復星国際株は22日午後、8.5%という創業以来最大の暴落を経験。やはりネットの噂が引き金だった。今のところ、暴落した株価は回復したが、一時は2015年6月から始まったあの株災の再来か、と市場関係者は震え上がったことだろう。

前触れはあった。中国銀行監督管理委員会は6月半ば、大手銀行に対して、万達、安邦、海航、復星、浙江羅森などの民営企業を含む数社に対するリスク分析を行うよう要請、特に近年の猛烈な海外投資の比率などが調査対象だといわれた。こうした当局の姿勢が噂となって、この五大企業は“やばい”という心理がすでにあった上に、ネットの噂が直撃したということかもしれない。

6月上旬にルパート・フーゲワーフ研究院が発表した「2017年中国企業の越境M&A報告」によれば、中国企業が昨年海外で行った投資及びM&Aは金額にして前年比150%増、買収先は米国が一番人気で、香港、ドイツと続いているという。海外資産買収額が多いのは海航、安邦、万達…。

6月20日、中国共産党メディアの微信公式アカウント「学習小組」が、習近平の発言を流していのだが、それによると習近平は「いつの時代も権力を掌握しているのは社会の少数であり、権力の周辺には既得利益集団が集まっている。これら既得利益集団は“権力中心”に接近し、資源を独り占めし、巨大な利益を得ている。彼らは権貴階層かもしれないし、ホワイト・グローブかもしれない。…近水楼台先得月(水辺の建物では月がよりよく見える=権力に近いと得をする)、“権力が金銭に変わるゲーム”というルールを許してはならない」と語ったそうだ。習近平がわざわざホワイト・グローブに言及したことが、話題になった。

これを多くの人たちが、習近平のホワイト・グローブに対する警告、宣戦布告と受け取った。そう考えると、呉小暉失脚も、万達、復星の株価暴落(あるいは揺さぶり)も、習近平のホワイト・グローブ、既得権益層に対する攻撃、という風に理解できるだろう。

「2015年の株災」暗闘と反撃

ただし、これが純粋に習近平政権の経済政策上の現象かというと、かなり政治的な意味合いも強いと思われている。「経済政変」という言葉が出てくることからもわかるように、これは政変、つまり権力闘争とみる意見も少なくない。

香港経済日報(6月21日)がこう報じている。「最近の習近平政権が行っている金融関連政策の動きは、尋常ではなく、背後には第十九回党大会への考慮が隠然と見えている」。

報道によれば、習近平は2015年夏の株災について、経済問題ではなく、習近平に対抗する国内権貴族が、経済・政治利益を習近平から乗っ取ろうとした“経済政変”が発動した、と信じていたようだ。

“経済政変”説とは、2015年の株災は江沢民、曽慶紅、劉雲山ら上海閥の共産党金融機関のトップや、蕭建華、呉小暉ら投資家が関与し、習近平から経済・金融の操縦桿を奪おうという狙いだった、とする。目的は金融危機を通じての株民(個人投資家)の財産一掃、実体経済の悪化、大規模失業といった経済混乱を引き起こし、習近平指導部への経済界や大衆の恨みを引き起こして総書記の座から引きずり下ろすことであった、という説もある。習近平は今年に入って、そうした動きに反撃すべく、保険業界のトップの入れ替えを行い、金融市場の介入、管理強化を通達し、江沢民派、曽慶紅ら太子党の牛耳る投資企業集団をターゲットに揺さぶりを仕掛けた、という見方だ。

その黒幕こそが、呉小暉はじめ、紅二代実業家たちだという。呉小暉が横領したといわれる、民生銀行から借りた1000億元というのは、まさしく2015年の株災を引き起こした株の空売買に投入された、という話も。ちなみに民生銀行は、共青団系の初の民営銀行である。

亡命華人学者の何清漣の言葉を借りれば、中国の存在する数百に及ぶ紅色企業は、鄧小平、江沢民、胡錦涛の統治が習近平に残した政治的遺産だ。共産党は胡錦涛政権までは、資本と党を結びつける紅色企業に頼ることで、共産党の執政党としての求心力を経済成長に求めることができた。

ところが習近平時代になって、この経済成長は限界を迎え、党の執政党としての権威や求心力に利用できなくなってきた。反腐敗キャンペーンは、むしろ党内を牛耳っていた資本家を追い出す方向への転換ともいわれている。党内の資本家たちの代表は、太子党。となれば、習近平自身が習仲勲という革命世代の建国元老の息子であり太子党サラブレッドであるはずなのだが、ついに幼馴染や親戚同然の太子党ファミリー企業家を敵とみなす政策を取り始めた、ということになる。

太子党、紅二代の資本家たちは、習近平の反腐敗キャンペーンをしばらく観察した結果、紅色ファミリーを経済・金融市場から退場させようというのが習近平の最終的な狙いであると気づきはじめたのだろう。それが2015年夏の”経済政変”を仕掛けた動機であり、今年に入って習近平サイドが反撃に出ている、というわけだ。

このストーリーは一つの仮説であって、実際のところ、何が起きているのは判然としない。習近平ファミリーだって、少し以前までは紅色企業の利権にあずかる立場であったはずだ。どこか本当に太子党、紅色企業を敵に回すはずがない、という思い込みが中国ウォッチャーたちにもある。単に政権安定のために、行き過ぎたキャピタルフライトにブレーキをかけ、海外流出した資本の還流を目的とした一時的締め付けの可能性も当然残る。

「内部で殺し合いが始まっている」

しかし、もし習近平が本気で太子党権貴族、紅色資本家たちを排除し、金融や保険、株式市場の操縦桿を「習近平を核心とする党」が取り戻すというつもりなら、中国経済がこれまで進めてきた民営化、市場の自由化が一気に逆流することになるかもしれない。

ネットの天涯サイトの掲示板で、こんなコメントがあがっていた。

「内部で殺し合いが始まっている。相対的弱者がやられて、勝者が資産を山分けする。帰国して投資しようと考えている海外華僑のみなさん、目をしっかり見開いて見ていてください。国内には頼りになる法治はありませんよ。やってくれば、虎の口に自らつっこむ羊みたいなものです」

党大会まで(あるいは党大会後も?)、中国経済予報は雷雨暴風雨が続く模様である。

良ければ下にあります

を応援クリックよろしくお願いします。